

2002/4/10
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阪神タイガース最大の闇に斬り込む! 私たちの会社のある甲子園では、春の到来を告知するセンバツ高校野球も始まり、 またプロ野球も開幕となった。わが阪神タイガースは、開幕戦の巨人戦を白星で飾 り、その後破竹の7連勝、新監督の下、最高のスタートを切った。高校野球が終わる と、ホームグラウンドの甲子園に戻り、これから今秋までの130試合余りを戦って いくことになるわけである。いつもの風景ではある。 しかし、阪神タイガースでは、この3年の野村克也前監督夫人サッチーこと野村沙 知代にまつわる脱税事件や不祥事が続き、チームも四年連続最下位と、私たち地元甲 子園の住民を落胆させて来た。 ところで、野村が監督に就任する前年の1998年(平成10年)8月31日、当時の タイガース・スカウト、渡辺省三さんが、神戸市内のビルから謎の転落死を遂げた。 渡辺さんは、村山実、小山正明、藤村冨美男、吉田義雄らがいたタイガースの黄金 時代、現役通算134勝をあげ、現役引退後は、コーチを経て、1972年(昭和47 年)からはずっとスカウトを勤めて来た。彼が獲得した選手に、大リーグで活躍中の 新庄剛志、リリーフとして復活した遠山奨志、亀山努、野田浩司、仲田幸司、今売り 出し中の田中秀太らがいる。タイガース一筋でやって来た人で、温厚な名スカウト だったというのは、在阪スポーツ紙関係者の一致した評価である。 ■警察の対応の杜撰さ、初動捜査のいい加減さが、真相解明の障害になった さて、渡辺さんの謎の転落死について、警察は「自殺」と断定、警察が「自殺」と 断定すれば、そのまま忘れ去られるのが世の常であるが、娘さんらは、前後の経緯か ら、「なにかおかしいことばかりだ!」と執念の独自調査を粘り強く続けた。それ は、死の当日でも、「自殺」する動機も様子もなかったことや、猫の死体が送られて きたり、転落死したビルの清掃婦の所にヤクザ風情の男3人が脅しに来たり、不気味 な電話が続いたり、……と、不気味な出来事が続いたことからも、遺族としては到底 「自殺」として葬り去られることはできなかったものと想像に難くない。最愛の者を 亡くした遺族の立場にたてば当然のことだ。その過程で、初動捜査の際の警察(兵庫 県警生田署)の杜撰さ、遺族の願いや言い分を聞かず、証拠保全を怠るという致命的 ミスなどが、後々の真相解明にとって障害となって今日に至っている。 先般、神戸の大学院生が暴力団に拉致され殺害、死体遺棄されるという痛ましい事 件があったが、これは警察の初期段階での甘い対応がもたらした悲惨事だった。兵庫 県警の失態は、例えばこの5月3日で時効を迎える朝日新聞阪神支局襲撃事件、グリ コ・森永事件など、数えれば限りがない。 また、検察庁に刑事告発も行ったが、「不起訴」となっている。 そうした警察や検察の対応に業をにやした娘さんらは、ビラ配りや、証人探し、果 ては法医学の権威に依頼し科学実験などを行ったりして、検察審査会に「不起訴不 当」の審査申し立てを起こした。検察審査会というのは検察庁からは独立し有識者ら で構成された第三者機関で、検察庁の審判に対する審査を行うところだが、さすがに 疑問に感じる人が多かったらしく、昨年三月、申し立て通り「不起訴不当」の議決を 下し、この一年間、検察で再捜査がなされて来たということだが、実態は、決して十 分なものではなかったように思われる。 ところが、去る3月22日、検察庁(神戸地検)は再び「不起訴」の決定を行い、遺 族の願いは叶えられないまま、華やかな球春到来の蔭で、風冷たい春を迎えている。 一体、事件の真相はどこにあるのか? ■さらにもう一人の失踪者が…… 私たちは、地元甲子園の出版社として、この不可解な事件を黙視することはできな かった。娘さんら遺族は、私の自宅の裏に住んでおられる。会社からも2、3分の所 だ。いわば、同じ町内会での出来事である。昨年夏、一冊の本にまとめ、世に問いか けることになった。娘さんは爾来原稿を書き綴り、私たちも編集作業を進めていた が、先日の不起訴を受け、出版を急ぎ、この4月10日、『タイガースの闇〜ある名ス カウト“自殺”の謎』というタイトルで発売となった。オビを「突破者」宮崎学氏が 書いてくれた。 そうして、事態は意外な展開を見せている。娘さんの前夫、球団スカウト上司とも う一人広報担当者(いずれも当時。現在は球団職員と関係会社社員)らが深く関与し ているのではないか、というのだ。上司のチーフスカウトは、球団事務職員からの渡 辺さんの転落死の連絡にも平然とパチンコをしていたというし、もう一人の広報担当 者は、現場で目撃証人もいる。 前夫は、事件の直前に離婚、そして自己破産、渡辺省三所有のビルにて経営の美容 室クローズ、夜逃げにしたにも関わらず、事件からたった2カ月後、別の場所にて美 容室を再オープンしている。 さらに、前夫と懇意にしていた、同じ甲子園に住む大会社社長夫人の失踪(それも 億に近い大金を銀行から引き出しての。前夫の美容室再オープンの資金になっている ものと想像される)−−と、新たな犠牲者も生んでいる可能性が濃い。確かに「なに かおかしなことばかりだ!」 詳しくは本のほうを是非ともご一読いただきたいが、私たちは、渡辺省三さんの不 審な転落死は、伝統ある名門球団・阪神タイガース最大の<闇>だと考えている。こ れに比べれば、サッチーの事件などまだ小さい。なぜなら、前者は人ひとりが亡く なっているからだ。警察も、阪神球団も、人ひとりが亡くなったことの重さをもっと 認識すべきだ。 また、検察の再度の不起訴にキレた娘さんら遺族は、私たち版元の反対を押し切っ て、事件に関与していると思われる関係者に対する実名表記にこだわった。出版や報 道の世界では、犯人と決まってもいない段階で実名表記することは、いわば“掟破 り”ではあろうが、警察も頼りにならず、検察審査会が「不起訴不当」との決定をし たにもかかわらず、逆転不起訴となり、ここに至っては、訴訟やいかなるリアクショ ンを恐れず事態の打開を図るという遺族側の強い意志に、私たちもあえて容認した。 阪神タイガースは、この3年間、サッチー騒動にみまわれ、多くのファンも落胆し ている中で、ファンの方々にはいささか恐縮ではあるが、鈴木宗男、加藤紘一、辻元 清美らの政界スキャンダル後の、大きな球界スキャンダルに発展するに違いない。こ れを単なるスキャンダルととらえるのではなく、阪神タイガース球団も、その最大の <闇>に対して、断固とした態度を取られることを心から願っている。 (松岡利康) |
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