7月26日(日)、福島県福島市で安保関連法案(戦争法案)に反対するデモが行われた。
福島からも「戦争法案」反対の声をあげるべく結成された「戦争法案に反対する福島県若者有志の会」が主催し、福島駅東口周辺を約200名で行進した。盆地の福島市は非常に蒸し暑かった。


[動画]戦争法案に反対するデモ@福島 – 2015.7.26 福島市(12分14秒)

福島県庁前を出発したデモ隊は、ふくしま自民党(自由民主党福島県支部連合会)が入る中町ビル前で、「なんか自民党感じ悪いよね!」「内閣支持率何%?内閣支持率35%!」「未来のために今声あげよう!」等のシュプレヒコールを上げた。
そして、街宣車に乗り込んだ若者たちは次々に「戦争法案」に反対するスピーチをしていった。

「僕のおじいちゃんは戦争経験者です。
小さい頃から戦争の話を聞いて育ちました。
小さい頃、おじいちゃんに『人を撃った事あるの?』って聞いたことがあります。
しかし、その質問にはきちんと答えてくれませんでした。
今ではもう聞くことができないけど、絶対に大変な経験をしたんだろうなあと思います。
『戦争ほど酷いものはない』と何度も言っていたおじいちゃん。
戦争ほど何も生み出さないものはないと思います。
その戦争を今安倍首相はやろうとしています。
僕たち若者の未来を、一政権の勝手な独断で決めてほしくありません。
僕たちは、自分の未来は自分で決めます。
その為に、今こうして全国の仲間たちと一緒になって声を上げています。
今集まっている人、今聞いている一人一人、様々な想い、
確かな決意があって来ていると思います。
僕は、今回の戦争法案で若者が政治に対して声を上げること、
政治に関心を持つことのきっかけになったと思います。
もう安倍政権は僕たちの声は無視できない」

「安倍首相は、この間テレビで、『この法案はいわば隣の家の火事を消すことだ』
と言ったそうですが、はっきり言って全然説明になってません。
戦争は消火活動なんかじゃないんですよ。人殺しですよ。
消すのは火じゃなくて人の命です。
それに手を貸す、それがどうして日本の安全に繋がるというのでしょうか。
そんな犠牲を負ってまで、強硬な軍事同盟による抑止力なんてものが必要なんでしょうか。
バカの説明には納得されず、自分で思考し、自分で行動していきましょう」

「4年前、福島の原発事故が起きた時、
たくさんの人が、先の見えないままに避難を余儀なくされました。
私はボランティアを通じて、いろんな人に出会いました。
家をなくした人、仕事をなくした人、仲の良かった友人と離ればなれになった人、
生き甲斐にしていた畑を原発事故によって奪われてしまい、
あの日から時間が止まったままだという人もいました。
それを知って私は、どこか罪悪感を感じ、今まで原発に対して、
まるで無知で無関心だった自分にすごい腹が立ちました。
どうしてこんなことになる前に、原発に反対しなかったんだろう、
もっと早い段階で気付いて行動を起こしていたらどれだけの被害者を出さずに済んだんだろう。
今回、無理やり成立させようとしている戦争法案も、決して他人事じゃないです」

それぞれが思い思いの言葉を街に響かせた。
安倍首相をバカ呼ばわりしているが、バカはきちんとバカとして扱わないといけないと思うので、必要に応じて今後も罵倒すれば良い。
全国各地で多くの人々が立ち上がっているのだから、自分たちの属している自治体で行動を起こした時は、よりパーソナルなレベルの話をするのは戦略的に間違っていないだろう。
地元の構成員たる自分が、自らの言葉を使い、当たり前のことを堂々と発言していくべきだ。そのようなことが全国各地で行なわれれば、本当に大きな力となるだろう。この福島市での行動は小さなものかもしれないが、大きな力の中のひとつだと感じた。

今回のデモでは、立派な大型街宣車を借りてきていたのだが、備え付けられたスピーカーは使用せず、より音の良いスピーカーを別に用意して設置していた。
音は非常に良かったのだが、それをモニタリングするスタッフがおらず、BGMと話す声のバランスが悪かったり、商店街を通行する時に音量が大き過ぎたりしていた。
話す人によって声量が違うし、かける曲によって音量が違う。それだけでなく、立地によってスピーカーから出して良い音のレベルが違うので、それを車の外からチェックしオペレーターに音量変更の指示ができればベストだ。

デモは正当な権利であるのだけど、時と場合を考えないと逆効果になってしまうこともある。
例えば、学習塾や病院、冠婚葬祭を行なう施設、イベント会場のそば等では、楽器を鳴らすのをやめたり、スピーカーの音量を下げたりする配慮は、その街を大事に思っている人として当たり前ではないだろうか。
防音対策が施されている建物だろうと、その施設の休みの日であっても、そのことを知らない人がいないとも限らない。デモは「イメージ」でもあるので、配慮があってこそ効果を生むと思う。

若者たちの感性をストレートにぶつけ、それなりの配慮のデモをしていけば、こんなに強い武器はないだろう。

[2015年7月26日(日)・福島県]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社) にて連載中。

《ウィークリー理央眼》
◎《017》戦争法案に反対する若者たち VOL.11 長崎
◎《016》戦争法案に反対する若者たち VOL.10 津
◎《015》戦争法案に反対する若者たち VOL.9 熊本
◎《014》緊急寄稿・朝日新聞と冨永特別編集委員のおわび
◎《013》戦争法案に反対する若者たち VOL.8 福岡

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