『紙の爆弾』10月号に冤罪「みどり荘事件」を寄稿しました。ぜひ読んでください!

尾﨑美代子

「みどり荘事件」は、1981年大分県で起こった女子短大生強姦殺人事件です。この事件を書くにあたっては不思議ないきさつがありました。

確か25年ほどまえ、ある冤罪の専門書を読みました。日本の刑事司法の問題点がいろいろ書かれてて、ひとつに「日本は未だに自白中心主義だ」とありました。25年ほど前で「未だに」です。というか、それこそ「未だに」警察、検察は自白をとることに必死であることは、最近のプレサンス元社長冤罪事件でも明らかです(この事件も紙の爆弾に書いてます)。さらに驚いたのは、証拠の杜撰さです。つい先日も佐賀県警の科捜研の男性が長年DNA型鑑定で不正を続け(その数が130件)るという事件がありました。「問題ないね」と居直る佐賀県警、そんな訳ないだろう。

「みどり荘事件」に話を戻します。事件で犯人とされた男性の髪の毛はパンチパーマの短髪であったのに対して、「証拠」とされていたのは「ロン毛の金髪」だったというのがありました。おいおいおい、と驚く話です。それを裁判の途中でみつけた弁護団は、彼が常に短髪のパンチパーマだったことを立証するために、男性の姉、月に一度通う理髪店店員や理髪協会の関係者に証言させました。姉は事件前、父の葬儀があり、喪主である弟に理髪店に行かせたこと、理髪店店員は男性が常に数センチのパンチパーマをかけていたこと、理髪協会関係者はパンチパーマは時間の経過とともに伸びることはあってみ直毛にはならないなどと。その本では確かに「ロン毛の金髪」だったので、何の事件か調べようと、「冤罪、ロングヘアー、金髪」等で検索したこともありましたが、全くわからずに時が経ち……。 

一昨年、飯塚事件を取り上げた映画「正義の行方」を観た私は、どうしてもお話を聞きたくて、仲間と飯塚事件弁護団の徳田靖之弁護士をお呼びしました。その前に徳田弁護士がほかにどのような事件を担当したかを調べました。飯塚事件同様にすでに被告が死刑執行されたもう一つの冤罪「菊池事件」を担当しているのは知っていました。ほかを調べると、冤罪で一審で無期懲役、控訴審で無罪を勝ち取った「みどり荘事件」がありました(無罪判決を勝ち取ったのは、14年後の1995年でした。)。「どんな事件だったのだろう」と読み進めていくと、後半で、久間三千年さんの死刑執行の連絡を受け膝から崩れ落ちた岩田務弁護士が「念のため」と高裁で証拠品を確認しにいく場面がでてきます。そこで見たのは、被告の髪と全く違う髪の毛。「金髪、ロン毛」ではありませんが、被害女性か姉の毛髪のようで、栗色のセミロングでした。

裁判資料などを集め、書き進め、最後に徳田弁護士に確認して頂こうとメールを差し上げました。いつも多忙で「遅くなってすみません」と返事があるのですが、このときはすぐに返事がきました。「了承しました。その事件を取り上げて貰えるのは嬉しいです」と。記事は、徳田弁護士の大ファンの東住吉事件の青木恵子さんにも読んでもらいました。「この事件はしらなかった。徳田弁護士のように熱心に弁論してくれる弁護士ばかりだったらいいのに」などと言っておりました。その直前、青木さんが応援している被告の控訴審があり、まともな審理も行われず、あっという間に控訴棄却となってしまっていたからでしょうか。

原稿の締めをどのように書こうか、いつも悩みます。今回は、その素晴らしい最終弁論の場面を書きました。徳田弁護士の最終弁論が終了すると、傍聴者から拍手が沸き起こる。「静かにしなさい」と裁判長がたしなめます。それは法廷で良くある光景……さてその後どうなったか?ぜひ、本誌でご確認ください。

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

格闘群雄伝〈41〉小野寺力 ── キックボクサーの本道を貫くキックの鬼~ちゃん!

堀田春樹

◆平成の新星

元・日本フェザー級チャンピオン.小野寺力(目黒/1974年7月7日、東京都大田区出身)は、リズミカルなコンビネーションでのノックアウト劇と、アイドル並みの甘いマスクで大きな人気を獲得した平成初期の新星。現在では多くのテクニシャンが存在するが、当時は神秘的な存在だった。

「兄貴が空手をやっていた影響で蹴り技を使える競技をやりたかった」という小野寺は、月謝が安く、家から近かったという目黒ジムを選び、平成元年(1989年)、中学3年になった春、入門した。

当時、下目黒にあるボクシングの野口ジムを間借りしていた目黒ジムで小野寺は、自然とパンチを学ぶ機会には恵まれていたが、野口ジムコーチ(当時)の野口勝氏が「小野寺をボクシングでデビューさせたい」と語ったほど、小野寺のパンチのセンスは抜群だった。

◆日本チャンピオンとしての威厳

キックボクシングの基礎は3年間鍛えられ、高校三年、18歳の秋(1992年11月13日)にデビューし5連勝。しかし、ノックアウトを導くにはパワー不足を感じた小野寺は、ウェイトトレーニングでパワーアップを図った。 上位ランカーの佐藤堅一(士道館)や元・チャンピオンの山崎通明(東金)とは引分けるも、上位に通用する効果は表れ、続いて佐藤孝也(大和)、松尾栄治(士道館)と立て続けに国内フェザー級トップクラスに圧倒のノックアウト勝利し、一躍注目を集めるカリスマ的存在となった。

デビュー戦は落ち着いた試合運びで判定勝利した(1992.11.13)
ベテラン山崎通明戦は上手い試合運びを見せたが、際どく引分け(1995.6.2)
全日本キックの前チャンピオン佐藤孝也を倒した小野寺力(1995.12.9)

1996年3月には昭和の老舗・日本キックボクシング協会が復興。その代表的な立場で全日本キックボクシング連盟興行ではあったが、日本系vs全日本系の古き時代の交流戦も復活し、前田憲作(SVG)をノックダウン奪って判定勝利。復興再スタートの先陣を切った意義ある勝利を飾った。

交流戦での代表的選手の戦いは小野寺力が優った展開で判定勝利(1996.3.24)

同年5月25日には、日本キックボクシング協会復興プレ興行となった三重県津市での大柴ひろし(治政館)との日本フェザー級王座決定戦は意外な苦戦の中、狙った鋭いヒジ打ちで大柴の歯が唇を突き抜ける衝撃のTKO勝利で初の王座戴冠となった。

大柴ひろしには苦戦したが、最後は一撃必殺技で優った小野寺力の神業だった(1996.5.25)
初戴冠は日本系伝統のベルト、価値を上げるのはこれからだった(1996.5.25)

しかし、マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟から分裂しての王座であり、まだ真の頂点とは言い難かったが、ここまで順調に王座に昇り詰めた小野寺に大きな期待は掛かるのも当然で、より多大な試練が襲って来た。

日本フェザー級王座は1998年5月5日の初防衛戦でマサル(伊東マサル/トーエル)と意外な苦戦の引分けだったが、1999年1月30日の2度目の防衛戦はマサルとの再戦を大差判定で退けた。

マサルには苦戦し、辛うじて引分け防衛。再戦では大差で退けた(1998.5.5)

選手層が厚いタイの激戦区を勝ち抜いたムエタイボクサーには、小野寺の華麗なテクニックを封じられ2連敗し、1997年秋にタイへ初のムエタイ修行に挑んだ。未熟だった首相撲で徹底的に転ばされる毎日だったが、これを克服しようとより闘志が湧いたという。

その復帰後もタイのテクニシャンには敗れ、タイ戦は4連敗となったが、1999年5月には5度目のタイ戦で、タイ国南部フェザー級王者、シーナコン・ギャットヨンユットを蹴りとパンチの技で優るコンビネーションで倒し、同年11月に新日本キックボクシング協会企画のタイ国ラジャダムナンスタジアムでの「Fight to MuayThai」に於いてノックアウト勝利を飾り、日本チャンピオンとして威厳を示した。

◆試練に立ち向かう

小野寺力の現役を振り返ると試練と言うより不運な事案も様々存在した。1996年当時のマーシャルアーツ日本キックボクシング連盟から分裂は仕方ない状況ではあったが、対日本戦好カード対決が減ったことは勿体無かった。当時のMA日本フェザー級チャンピオンはワンダーマン室戸(室戸みさき/東金)だったが、小野寺が挑戦権を得たこのカードはファンや関係者皆が楽しみだっただろう(決定直後に室戸は王座返上したが、本人の意図ではないだろうと推測される)。

1997年夏、キックボクシングよりもテレビの影響で世間の注目を浴びた人気イベントのK-1では、ヘビー級中心から新たに軽量級(フェザー級域)トーナメントも始まり、新日本キックボクシング協会から小野寺力にも出場要請があったが、キックボクサーの本道を貫く信念を持って出場を拒み、罪の無いまま半年間の理不尽な出場停止処分を受けたが、復活の日までジッと耐え、練習の日々を送っていた(この時期を利用したタイ遠征が被る)。

相次ぐ試練の最大の難関は、ハードパンチャーの宿命である拳の故障の連続だった。2000年頃から続いた右拳の負傷。右ストレートがしっかり打てぬハンディーは苦しかった。拳の回復は予想以上に時間が掛かり、そんな最中の2001年1月に、朴炳圭(朴龍/韓国)戦ではハイキック喰らってあっさり倒されたことは衝撃だった。

朴龍には意外なKO負け。ハイキックをまともに貰ってしまった(2001.1.21)

2000年5月、筋肉増強から来る減量苦もあって王座返上したが、2001年7月、後に王座獲得した小出智(治政館)との新旧チャンピオン対決では再び右拳と更に左拳を負傷し、両手が全く使えないまま後半の反撃を許して引分けとなる不運。

トップクラスの立場に陰りが見え始めたのもこの頃で、「小野寺の時代は終わった」という世間の声も聞かれ始めた。王座返上以降、チャンピオンベルトを巻いた姿は見られなくなったが、「価値ある座にある者をブッ倒し、己がより価値ある男になる」と最高峰に目標を掲げて現役を続行。

2002年9月、小野寺力が渋谷アックスで自主興行「GREATEST HITS!」を開催し、この復帰戦はタイのラタナサック・サックタウィーをラストラウンドで圧倒のラッシュで大差判定勝利して存在感を示した。

ジム経営に乗り出した時期でもあり、拳負傷の影響もあってブランクを作ったが、2005年10月には、これも自主興行「NO KICK NO LIFE」を大田区体育館で開催した引退興行となった。

先輩・飛鳥信也から始まった目黒ジムの伝統、現役最後の試合で完全燃焼するに値する最強の相手にタイの現役二大殿堂フェザー級チャンピオン、アヌワット・ゲオサムリットを迎え、ハイキックで攻勢も見せたが第2ラウンド、アヌワット得意のパンチ強打を受け3ノックダウンで倒される玉砕で現役を締め括った。

ラストファイトのアヌワット戦。パンチも蹴りも速く重かった(2005.10.29)

◆新時代へプロモーターとしての挑戦

現役時代の小野寺は、ジムやプライベートでは目黒ジム・野口和子代表やトレーナーの指示には礼儀正しく従い、優しい口調と笑顔で周囲からは「リキちゃん」という愛称で親しまれた。性格的にもフレンドリーな小野寺は、芸能界からの誘いも多く、テレビ出演も増していた。若さゆえの暴走を心配した野口和子代表からは、「立場が上にいくほど頭を下げなきゃダメよ!」と忠告されたことで、小野寺本人も当然自覚を持っていた。

当時のブルース京田トレーナーは、「小野寺は教えたことがすぐに出来たのが印象的です。ブレイクした後も天狗にならなかったし、ずっと謙虚でした。私は教えるのが下手でトレーナーは向いていないと思っていましたが、彼によってトレーナーを続ける気力が湧き、他の選手にもミット持って教えて自分の成長にも繋がりました。感謝です!」という。人の運命も好転させる小野寺は芸能界仲間にも慕われるようになり、人脈が広がったのは当然のことだろう。

この人脈から多くの協力者を得て、現役時代の2003年11月にRIKIXジムを大田区の大岡山に開設し、2011年4月21日、川崎市の小田急線百合ヶ丘駅前にRIKIXジム百合ヶ丘店を開設。その後、横浜店、三田店、湘南店と現在5店舗を拡大経営している。

2014年にはNO KICK NO LIFEイベントを正式に立ち上げ、2月11日を“キックボクシングの日”にしようと、なるべくこの日を目途に大田区総合体育館で開催。古きを大切に新しきを取り入れ、プロモーターとして躍進し始めた。

2016年9月には新たなイベント「KNOCK OUT」に誘われ移行したが、諸々事情はあったと推測されるが3年で退いてNO KICK NO LIFEを復活。不定期ではあるが再び大田区総合体育館で豪華イベントも行ない、現在も次なるイベントを計画している模様である。

現在は小野寺力の下で育った10名程のプロ選手が成長。各団体、各プロモーション興行からのオファーに応え、試合出場が充実している様子である。今後は国内から世界へ、チャンピオン誕生も近いだろう。

NO KICK NO LIFEの試合後、出場者を集めてイベントを締め括った小野寺力(2015.2.11)

※補足ながら、“キックの鬼~ちゃん”とは過去、ナイタイスポーツ紙で小野寺力氏にコラムをお願いした際のタイトルです。キックの鬼ながら優しいお兄さんを意味しています。

《格闘群雄伝》バックナンバー https://www.rokusaisha.com/wp/?cat=88

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

広島県知事選挙 出来レースでいいのか? 筆者らが候補者公募・考えるイベント開催

さとうしゅういち

2025年10月23日告示、11月9日執行の広島県知事選挙。4期16年務めた湯崎英彦さんは8月21日にご勇退を表明されました。しかし、湯崎さんの高校・大学の後輩で、この4月に副知事に着任されたばかりの横田美香さんが9月1日に退職し、2日に立候補を表明。その横田さんは湯崎路線の継承を打ち出しています。

完全な出来レースです。その横田さんを県議会の自民や旧民主系会派が支援を表明。自民党広島県連も16日に横田さんの推薦を決定しました。日本共産党が候補者擁立を模索していますが、過去のデータから見ても、極めて厳しい戦いが予想されます。しかし、このまま成り行き任せでいいのでしょうか?

筆者ら、現状に疑問を持つ市民が集まり、広島県知事選挙の候補者公募を続けています。我こそは、という方は政治経験の有無を問わずお待ちしております。お隣の山口県では、4期目を目指す現職に、保守系の女性県議が徒手空拳、議席を投げ出して挑むというニュースもあります。一般市民だけでなく、もちろん、県政や広島の政治を内部から熟知されている現職県議や国会議員経験者などの「決起」も党派を問わず、大歓迎です。

また、立憲民主党もまだ独自候補の擁立を含めて検討中(9月17日現在)です。筆者自体は、国政ではれいわ新選組を応援し、選対責任者も参院選広島ではさせていただきました。そして、立憲民主党を厳しく批判してきました。しかし、一方で、首長選挙は、党派の主張を上から押し付ける場ではありません。地方自治の課題の解決の実践の場です。

産業廃棄物フリーパス、巨大病院強行、黒塗り行政、教育行政不信と現場の疲弊など、湯崎路線の弊害からの転換を進めるのであれば、自民系、立憲系の方など、政党所属・支持の有無は問わずに、ともに歩むことはあり得ます。

筆者らは9月13日(土)に「庶民革命ひろしま」の第一回のリアルの会議を広島市安佐南区で行いました。

第二回のイベントを10月5日(日)、安佐南区民文化センターで行います。

オンラインも併用ですので、県外や県内でも遠隔地からのご参加もお待ちしております。以下は10月5日(日)開催のイベントの要領及び候補者公募要領です。

みんなで話そう!広島の未来と知事選び
「庶民革命ひろしま」おはなし会のお知らせ


あなたの声が、広島を変える力になります。
政治って、ちょっと遠い話に感じますか?
でも、私たちの暮らし?医療、介護、教育、環境?すべてが政治とつながっています。
「庶民革命ひろしま」は、みんなの声を政治に届けるために活動しています。2025年10月23日告示、11月9日投票で広島県知事選挙(呉市の皆様は呉市長選挙)が予定されています。
今回のおはなし会では、広島県の課題をわかりやすく紹介しながら、次の知事にどんな人がふさわしいか、みんなで考えます。

▼日時・場所

  • 日時:2025年10月5日(日)10:00?12:30
  • 会場:マエダハウジング安佐南区民文化センター 小会議室
     〒731-0122 広島市安佐南区中筋1丁目22-17
  • オンライン参加もOK!(広島都市圏外の方)
     ZoomミーティングID:411 718 3285 パスコード:5N6b38
  • 参加費:無料(カンパ歓迎!)

▼内容(予定)

  • 活動報告:「庶民革命ひろしま」のこれまで
  • 広島県の課題って?
     産業廃棄物、巨大病院、教育、介護、行政の透明性など
  • どんな知事がいい?みんなで考える「市民が選ぶ知事像」
  • 候補者がいる場合は、みんなで面接!市民参加の選考会
  • 意見交換・質問タイムもあります

▼こんな方におすすめ

  • 広島の未来を自分ごととして考えたい方
  • 候補者選びに市民の声を反映させたい方
  • 介護・環境・教育などに関心がある方
  • 「庶民革命ひろしま」の活動に興味がある方

▼お問い合わせ
佐藤周一(庶民革命ひろしま代表)
TEL:090-3171-4437
メール:hiroseto2004@yahoo.co.jp

【広島県知事選・立候補者を募集中!】
今こそ、広島の政治をみんなの手に取り戻すチャンスです!

こんにちは。庶民革命ひろしま代表の佐藤周一です。 私は元広島県庁職員で、今は介護の現場で働く一人の庶民です。

長年の県政の中で、県立広島病院の統合や制度の変更など、現場の声が届かないまま進められています。介護や医療の現場では、制度のすき間に苦しむ人がいます。 そして今、湯崎知事が勇退を表明しましたが、後継には副知事がそのまま就くという話も出ています。 でも、それって本当に県民のための選び方でしょうか?
広島県政には、まだまだ見過ごせない問題があります。

たとえばこんなことが…

三原の産廃処分場から汚染水が流れ続けているのに、県は業者寄りの対応

マリーナホップ跡地では、地元企業を押しのけて東京の企業を優遇

教育現場では、強引な改革の後遺症で先生たちが疲れ切っている

呉支所では、災害復旧の記録がウソだったことが判明。それを告発した職員の声も握りつぶされました

こうした問題を、私たち庶民の目線で見直し、声を上げていく必要があります。

「庶民革命ひろしま」は、政治を特別な人のものではなく、みんなの手に取り戻す運動です。 災害・医療・福祉・地域経済など、暮らしに関わることを、私たち自身が語り、動かし、変えていく。 広島から始める、草の根の民主主義です。

あなたも、広島県知事選に挑戦してみませんか? 政治経験は問いません。自薦・他薦どちらも歓迎です!
【応募資格】 ・2025年11月9日時点で30歳以上 ・日本国籍を持ち、公民権が停止されていない方
【締切】 10月4日(土)
【応募・推薦先】 hiroseto2004@yahoo.co.jp 090-3171-4437

寄附のお願い 佐藤周一は、贈り物や接待を受け取りません。だからこそ、あなたの寄附がまっすぐな政治を支える力になります。 1000円から、クレジットカードでも寄附できます。供託金は300万円。あなたの力が必要です!
【寄附方法】クレジットカード: https://go2senkyo.com/donate/flow/75891
(選挙ドットコム無料会員登録が必要)

郵便振替: 口座名義:さとうしゅういちネット 口座番号:01330-0-49219
※通信欄に「ご住所・ご氏名・ご職業・日本国籍の有無」をご記入ください

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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戦争と原発は核でつながっている ── 10月4日大阪でフォトジャーナリスト豊田直巳さんの緊急報告会を開催します!

尾﨑美代子

10月4日(土)、フォトジャーナリスト豊田直巳さんの緊急報告会を行います。限られた時間内での宣伝となりますが、ぜひご参集ください。

大学の先輩の豊田さんのジャーナリストとしての活躍ぶりは知っておりました。3・11後、私が釜ヶ崎の仲間と支援を始めた福島県飯舘村に足しげく通っていることも知っておりました。

時が流れ、Facebookなどでやり取りするようになったのが今年初め。私は編集委員で関わる反原発雑誌『季節』(鹿砦社発行)の原稿を豊田さんに依頼、最新号に掲載された豊田さんの記事が「ガザからフクシマへ」です。

5月17日、アジアで初めて原発ゼロを実現させた台湾、現地には水戸喜世子さんも行っておりました。さらに『季節』で依頼した豊田さんの写真に水戸さんのお姿もありました。そんな水戸さんと「いつか豊田さんの写真展と講演会をやろうね」と話していたところ、なんと、豊田さんから10月4日に報告会をやってくれないかとお話がありました。一緒に取り組んでくださるのは、水戸さんの娘さんの晶子さん。晶子さんも台湾で豊田さんと出会っていました。晶子さんはパレスチナ問題をもっと広めなくてはと奔走され、10月5日谷町六丁目の書店「隆祥館」で早尾貴紀さんとトークイベントを企画(チラシ参照)しており、豊田さんがせっかく来阪されるなら、4日もどこかでお話出来れば…ということで急遽この報告会がきまりました。

素適なチラシを作って下さった晶子さん、実は「12人の絵本作家が描くおうえんカレンダー」の制作活動を続けております。こちらのカレンダーは当日会場で販売いたします。そこに先の『季節』の豊田さんの文章から抜粋し、「プロジェクトX」風の文章にまとめてみました

その『季節』の豊田さんの文章の最後はこうまとめられています。

私(たち)は「どのように」許さないか。パレスチナからフクシマへの私個人の道のりが示すように、戦争と原発は、つまり戦争の中から生み出された核は、今も密接に結びついている。そのことを改めて私(たち)に実感させたのもやはりイスラエルとアメリカの戦争。イランへの核施設(原子力施設)への国際法違反を承知での攻撃だった。この現行の締め切り間際のこの蛮行を記す現状を、私(たち)は「どのように」許さないかが問われている。

世界各地の紛争地で続く核攻撃と、自国に向けられた核兵器である原発を、一刻も早く止めていこう。

※当日は同じく飯舘村支援を続けてきた「アカリトバリ」のミニライブ、ガザ支援の物販コーナーもあります。

[追記]翌5日(日)には隆祥館書店(谷町六丁目)でも豊田直巳さんのイベントが開催されます。こちらもぜひご参加を!

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0FJXW1RPD/

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)https://www.rokusaisha.com/wp/?cat=57
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

《横浜・副流煙裁判》東京高裁判決を誤解させる「またも会」の投稿 作田医師による医師法20条違反をごまかす手口

黒薮哲哉

8月20日に東京高裁が判決を下した横浜副流煙事件「反訴」の判決をめぐって、日本禁煙学会の会員である「またも会」(アカウント名)が世論を誘導するとんでもない策略を展開している。判決が認定した作田学理事長による医師法20条違反(無診療による診断書交付を禁止)の認定が行われていないかのような誤解を生む投稿をツイッター上で展開しているのだ。

既報したように、この判決で東京高裁は、作田医師による医師法20条違反を認定した。判決の主旨は、作田医師による医師法20条違反は認定するが、それにより藤井さんが損害を被ったわけではないので、金銭請求は棄却するというものである。ここでいう損害とは、この裁判の争点だった「訴権の濫用」の有無である。

◆「またも会」の手口

「またも会」の手口は、ネット上に判決文を提示する際に、あるテクニックを使って、読者が判決の主旨を誤解して、「医師法20条違反」はなかったかのように誘導する操作である。もっともその操作を意図的にやってのか、それとも偶然なのかはわからないが、偶然にしては、あまりにも低い確率のことが実現された。

そのテクニックに言及するために、まず作田医師の不法行為を認定すると同時に、藤井夫妻の請求を棄却した判決の箇所を引用しよう。「またも会」のツイート上には、この箇所の記述であるテクニックが施されているのだ。読者は、青文字と赤文字で表示した箇所に注意してほしい。文脈が変わる箇所である。

(2)被被告人作田に対する請求について

ア 控訴人は、被控訴人作田による本件診断書①、②の作成交付について、①記載内容の違法性、②無診察の違法(医師法20条違反)、③作成目的の違法がある旨を主張する。

被被告人作田において、被控訴人A子を診察しないで同人についての診断書を作成したことは、医師による

また、被控訴人将登に喫煙を辞めさせるために診断書を作成したことは、診断書作成経過や、その内容の妥当性等も関連し、診断書の趣旨・目的を逸脱すると言う余地もあると言うことができるものの、このことから直ちに、控訴人らの不法行為の被侵害利益に足りる得る利益が侵害されたということはできない。

作田医師が医師法20条には違反したが、藤井夫妻に経済的な損害は与えていないとする主旨の記述である。

ところが「またも会」がXにアップしたスクリーンショットは次のように表示されている。少なくとも筆者をはじめ複数の知人のスマホ上では、次のように表示された。

全文を書き起こしてみると次のようになっている。

(2)被被告人作田に対する請求について

ア 控訴人は、被控訴人作田による本件診断書①、②の作成交付について、①記載内容の違法性、②無診察の違法(医師法20条違反)、③作成目的の違法がある旨を主張する。

被被告人作田において、被控訴人A子を診察しないで同人についての診断書を作成したことは、医師による

PM2.5測定モニターを交付することを含め、被控訴人作田において、これらの行為を、別件訴訟に根拠がないことを知りながら、別件訴訟の維持のために行ったとうかがわせる事情もない。

ウ したがって、控訴人らの被控訴人に対する損害賠償はいずれも理由がない

この記述は、作田医師による医師法20条違反はなかったことになっている。赤の箇所から以下が画面上で、すり替わって表示されているのだ。

厳密にいえば、判決文の6ページの下から9行目を切り取り、7ページの8行目以下を張り付けた形になっているのだ。繰り返しになるが、それが意図的に行われたかどうは分らない。参考までに、わたしが実験的に偽造したものを下、提示しておこう。上のスクリンショットと同じ構成になる。

スマホではなく、PCで表示しても同じ画面が表示されたが、つなぎ目のカーソルと併せると境界線がみえる。しかし、カソールを操作しながら文面を読む人はほとんどいないだろう。

◆判決の主旨を真逆に解釈する危険性

なぜ、X上の表示でこのような現象が起きたのか。Xに複数の図面をアップした場合、最初に表示される枚数が決まっており、それを超えた枚数については、画面をクリックしてはじめて表示される。したがって「またも会」の投稿では画面をクリックすれば全文が読める。このような方法により、公文書を偽造したのではないという言い訳は一応は可能になる。

しかし、画面をクリックしない限り、読者を誤解に導く可能性が高い。従ってまったく問題がないとは言えない。

筆者が「書面内容」に違和感を感じたのは、事前に判決の全文を読んでいたからである。作田医師による医師法20条違反を否定する記述は、どこにも見当たらなかったことを記憶していたからである。

このような「またも会」の投稿を、仲間と思われる人々が拡散した。その中には、元毎日新聞の有名なジャーナリストも含まれている。画面をクリックして全文を表示できれば、判決の主旨を真逆に解釈する危険性があっても、法的に問題はないのか改めて調査したい。

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2025年8月26日)掲載の同名記事
を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

『3・11の彼方から 「季節」(「NO NUKES voice」)セレクション集vol.1』をお届けするにあたって

『季節』編集委員会

私たちの出版活動、特に『季節』をご支援、ご支持される皆様──

『3・11の彼方から 「季節」(「NO NUKES voice」)セレクション集vol.1』がようやく完成いたしました。当初の目論見に反し編集に苦戦、発行が遅れ、ご心配をおかけしました。

印刷所から届いたばかりの『3・11の彼方から』

予想以上に難産でした。しかし、後々に残る立派な本になりました。

本書は、わが国唯一の脱(反)原発情報誌『季節』(前身の『NO NUKES voice』含む)創刊10周年記念事業として企画されました。

当初一巻本として、約400ページで出版する予定でしたが、編集の過程で、収録し後世に残したいものが数多あり、結局608ページで、それも三巻に分けて出版することになりました。史料としての価値も大いにあるものと自負しております。

『季節』は、『NO NUKES voice』の名で2014年8月に創刊いたしました。当初編集長は発案者の鹿砦社代表・松岡が務め、その後、小島卓が引き継ぎ、また誌名も『季節』に改題し現在に至っています。

創刊時、まだ3・11から年月もさほど経っておらず脱(反)原発の機運が盛り上がり国会周辺には多くの人々が結集し抗議の声を挙げていましたが、徐々に減っていき、今はほぼなくなりました。

また、創刊号から小出裕章氏ら錚々たる方々にご協力、ご寄稿賜りながら、私たちの営業力不足で実売的には苦戦し、残念ながらいまだに黒字に転じていません。当初は鹿砦社の景気も好況で、本書の赤字は会社の利益で消していましたのでよかったのですが、多くの企業のように新型コロナ以降、一転不況になり、そうもいかなくなりました。

新型コロナというパンデミックの襲来もありましたが、福島の悲劇の記憶はなしくずし的に風化しようとしています。遺憾なことです。

『季節』の今後につきまして、気分的には発行継続の方針ですが、現実問題としては資金的に困難な情況であることを隠しません。皆様方のご支援をお願いする次第です。まずは本書を一冊買ってご支援ください!

そして、どうか紐解いていただき、気に入れば周囲の知人、友人の方々にもご購読をお薦めいただければ幸いです。

本書vol.2は来年前半、vol.3は来年後半の刊行予定です。ご予約を入れておいていただければ助かります。

まずは『3・11の彼方から』完成のご挨拶にて失礼いたします。今後共『季節』、及び鹿砦社の出版活動をご支援、ご支持お願いいたします。

[A5判、本文608ページ、カバー装、限定500部、定価4950円(税込み)]

Ж お申し込みは、Amazonなどネット書店、最寄りの書店、または直接鹿砦社
本社 j-info@rokusaisha.com まで。

鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?group=new&bookid=0

2025年9月  
『季節』編集委員会  
株式会社 鹿砦社

《書評》野田正彰著『流行精神病の時代』 評者:黒岩秩子

黒岩秩子(くろいわ・ちずこ。社会福祉法人理事長。元参議院議員)

すごい本でした。

優生保護法によって、不妊手術をさせられた人が原告になった裁判で、勝訴した。ところが、この不妊手術をされた人の85%が精神障がい者であるにもかかわらず、原告の中には、精神障がい者はいなかった。

1950年ごろに東京都立松沢病院で、「臺実験」(うてなじっけん)と呼ばれる人体実験があった。ロボトミー手術をした人の脳を生検用として、切除する。この臺はその後、東京大学の教授となっている。

内村鑑三の孫、内村祐之が北大・東大の教授となって、「精神病は遺伝する」というでたらめを定着させた。「精神病遺伝説」は医学教育を通して、医者たちに浸透し,中学・高校「保健体育」教科書・マスコミを通して社会に浸透した。

これについての反省もないままに忘れている。たくさんの精神障がい者が、この考えのもと死んでいっているにもかかわらず。

北海道は特に優生手術がたくさんされている。『優生手術1000件突破を顧みて』という優生手術を礼賛する記録誌を北海道衛生部が出している。この本の中にはもっともっとぞっとするような実話が出ている。

野田さんは中高校の教科書にかいてある「精神病遺伝」説を批判して、朝日ジャーナルに2つの論文を出した。それによって、教科書は、書き換えられた。著者を抜きに出版社が反省も謝罪もないまま、書き換えたのだ。

うつ病や、発達障害という病名を多発することで、向精神薬、精神安定剤、覚せい剤が過剰に投与されている。それらによって自殺に追いやられる子どももいる。

野田正彰氏は、1969年に北大医学部を卒業して、1970年からの15年間、滋賀県の湖西地域で、精神科病院の改革を始める。地域に出て行って、相談を受ける会を作ったり、精神疾患の患者さんが、地域の中で暮らせるようにと、あらゆる企画を実践に移している。3人の患者さんの例を事細かに紹介しているので、彼らがどんな取り組みをしたのかが具体的に良くわかる。

◆旭川の少女自殺事件と「発達障害」

亡くなった少女は小さい頃は、少し目先がきく普通の子だった。ところが、先生が謝りに来なさいといったとき、彼女はその行為をしていなかったので、行かなかった。それを発達障害といわれ、病院に行かされて、精神安定剤を飲まされる。「薬を飲むと、ボーとする」と本人が言う。そして、中学に行くといじめられる。精神病院へ行って入院させられる。自殺予防として素っ裸にさせられる。かくて雪の中での遺体発見となる。まさに「発達障がい者作り!」

事件後に調査委員会が2回開かれている。第2次調査委員会に精神科医として参加して、報告を書いたのは斎藤環。「いじめ被害のトラウマによってPTSDに罹患していた」と。何も調べることなく書いている。斎藤環は、フィンランドにおける「オープンダイアローグ」を日本に紹介した人として知っていたので、この話にはびっくりした。

この事件については、「発達障害児作り」の典型的な事案と思われる。

大阪心療内科放火殺人事件についって野田さんの意見は、下記のようなものです。

この放火されたクリニックは、患者さんが大勢で、一人の診療時間は、数分だった。ほとんど話を聞かずに薬を出すだけ。そういうクリニックに通って、全然よくならないこの「犯人」は、拡大自殺(一人でではなく、周りを殺してする自殺)にこのクリニックを選んだ。当時、この事件の報道では、このクリニックの医者はとても「いい先生」でそんな先生を殺すなんてひどいという論調だったことを記憶している。「犯人」は4年10か月で112回もクリニックを受診している。ちっとも治らなかったのに。

このクリニックでは、医者が一人で、患者は600人とか800人とか言われている。そんな数の患者を診るには、まさに3分診療である。そんなことで患者が治るわけはない。そういう診療体制に対する「抗議」だったのではないか?

「どうすればよかったのか」というタイトルの映画が大勢の人に見られている。統合失調症の姉を持った弟が作った映画で、両親が医者である。両親は、精神医療の現状を知っているので娘を病院に入院させることはしないで、自宅で見ている。それを弟が赤裸々に撮った作品だという。野田さんによれば、ご両親が選択した「家で見る」ことには成功しているのでは?と問題を提起している。

福島の原発事故で自殺した方の追跡もしています。精神鑑定書を3人分、実に丁寧に書いています。この方々は、皆、もともとは元気な方々でした。うつ病などもないし、親族で自殺した方もない、ごく普通の方でした。原発事故で、身動きが取れなくなって、自殺なさった方ばかりです。一人一人の生活史にまで入り込んでの鑑定書です。原発さえなければ防げた自殺でした。

とにかく、この本を読んでほしい。

(評者の承諾を得て掲載させていただきました。)

◆     ◆     ◆     ◆     ◆

『流行精神病の時代』
野田正彰(精神科医)著

四六判 カバー装 本文248ページ 
定価1980円(税込み) 好評発売中!

「発達障害」と「精神病遺伝説」
──精神科医、製薬会社、NHK、学校の病気創りによって、無数の子どもが犠牲になっている。
日本で「精神医療」と呼ばれているものの実相とは。

目次
第一章 「優生保護法」は日本精神医学の常識
 一・一 現代に息づく優生保護法の思想
 一・二 業界による隠蔽
 一・三 優生保護法をめぐるお祭り訴訟
第二章 教科書と「精神疾患」
 二・一 精神病遺伝説を常識とした学校教育
 二・二 偏見に加担する教科書と法
 二・三 偏見改まらぬ教科書
 二・四 開かれた精神医療をめざして
 二・五 地域精神医学の現状
第三章 旭川少女殺人事件と「発達障害」
 三・一 「発達障害」という流行精神病の作り方
 三・二 旭川女子中学生いじめ凍死事件 雪の少女へのレクイエム
 三・三 雪の少女の哀しみ
 三・四 隠蔽のための「再調査」
第四章 事件と映画に思う
 四・一 自死とは世界の消去なのか 大阪放火事件に思う
 四・二 映画『どうすればよかったか?』を観た人へ
第五章 原発事故被害者の精神鑑定
 五・一 原発被害者が死ぬ前に見た景観
     [精神鑑定書1]菅野重清さん  
     [精神鑑定書2]大久保文雄さん
     [精神鑑定書3]Aさん
 五・二 原子炉との深夜の対話

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315827/

《「押し紙」の実態》中央5紙は年間で約96万部減部数、京都新聞3社分に相当、地方紙の減部数にも歯止めかからず ── 2025年7月度ABC部数

黒薮哲哉

2025年7月度のABC部数が明らかになった。それによると、読売新聞は前年同月比で約43万部減、毎日新聞は約27万部減と、大幅な減少に歯止めがかからない状況となっている。

中央紙(朝日、毎日、読売、日経、産経)の合計では、前年同月比で約96万部の減少となった。これは、発行部数28万5千部の京都新聞規模の新聞社が3社ほど消えたのに等しい規模である。

[図表]中央紙の発行部数と減少数(前年同月比)

地方紙も発行部数を減らしている。地元に根付いているため中央紙ほどの急落は見られないが、減少傾向に歯止めはかかっていない。次の表は主要な地方紙の2025年7月と2013年12月の発行部数を比較したものである。

[図表]ブロック紙・地方紙の発行部数と減少数(前年同月比)

◆なぜ、「押し紙」がジャーナリズムの問題なのか?

なお、ABC部数には「押し紙」が含まれているため、減部数がそのまま購読者数の減少を示すわけではない。新聞販売店の経営悪化により「押し紙」の負担に耐えられず、販売網を維持するために新聞社側が「押し紙」を減らした結果も影響している可能性がある。実際には、購読者離れと「押し紙」削減の両方がABC部数を引き下げていると考えられる。

「押し紙」は莫大な販売収入を新聞社にもたらしてきた。たとえば、毎日新聞の場合、2002年度の内部資料に基づく試算では、年間で259億円に達していたとされる。

[参考記事]国策としての「押し紙」問題の放置と黙認、毎日新聞の内部資料「発証数の推移」から不正な販売収入を試算、年間で259億円に

公権力(政府や公正取引委員会)が、「押し紙」を黙認したり、逆にメスを入れることをほのめかせば、簡単に新聞の紙面内容に介入できる構図になっている。不正な金額が莫大だから、それが可能になるのだ。

「押し紙」問題を放置したまま新聞ジャーナリズムの再生を語っても、まったく意味をなさないゆえんにほかならない。

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2025年9月6日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

秋のキックボクシング、地道に突き進む5つの興行概要

堀田春樹

久々の登場、政斗は初防衛戦。
佐々木勝海はチャンピオンを目指し、TAKUYAを突き放せるか。
武田幸三率いるCHALLENGER、今回の異色の存在は、再浮上懸ける勝次が初出場。
全日本キックボクシング協会が中国との交流を開始。
新日本キックボクシング協会で女子の世界戦開催。

※             ※             ※

◆KICK Insist.24
 9月15日(月・祝)新宿フェース(開場17:00 / 開始17:30)
 主催:(株)VICTORY SPIRITS、ビクトリージム
 認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)

KICK-Insist24 ポスター

昨年3月24日 大地フォージャーから王座奪取した政斗は、ジャパンキックボクシング協会の顔となったことを自覚し、「これからどんどん盛り上げていこうと思っています!」と応えたが、同年9月29日のピラポン・ノーナクシン戦でヒジ打ちによる負傷TKO負け。

「全部のタイミングで相手が上でした。地道に積み上げてまた勝てるように頑張ります!」とトーンダウンしたが、ここは完勝防衛してチャンピオンとしての存在感を示したいところ。

細見直生はジャパンキックボクシング協会において5戦5勝(1KO)でタイトル初挑戦を迎える新鋭で、一気に世代交代となるか。

政斗の王座戴冠時の姿。再び歓喜に湧くか

●第8試合 ジャパンキック協会ウェルター級タイトルマッチ 5回戦
チャンピオン初防衛戦.政斗(治政館)vs挑戦者同級2位.細見直生(KICK BOX)

●第7試合 65.0kg契約3回戦
ペップンミー・ビクトリージム(元・タイ国イサーン地方フライ級2位/タイ)
        VS
コムキョウ・シット・ボーチョーウォー(元・タイ国中部地方スーパーフェザー級Champ/タイ)

●第6試合 ライト級3回戦
ジャパンキック協会ライト級1位.興之介(治政館)vsYUGA(エイワスポーツ)

●第5試合 女子ミネルヴァ・ピン級(-45.359kg)契約3回戦(2分制)
アトム級1位.祥子JSK(治政館)vsペーパー級1位.上真(ROAD MMA)

●第4試合 62.0kg契約3回戦
JKAライト級4位.古河拓実(KICKBOX)vsソムプラユン・ヒロキ(DANGER)

●第3試合 フェザー級3回戦
JKAフェザー級5位.海士(ビクトリー)vs鈴木ゲン(拳心館)

●第2試合 66.0kg契約3回戦
三澤悠太郎(市原)vsTYLER(エイワスポーツ)

●第1試合 フェザー級3回戦
BANKI(治政館/2008.2.15埼玉県出身)vsゲンキ・ノーナクシン(ノーナクシン)

BANKIは7月13日のデビュー戦でデートサヤーム・シット・デーンサヤーム(タイ)にハイキックで初回1分5秒でKO勝利。期待の2戦目を迎える。

●オープニングファイト アマチュア3試合予定

※             ※             ※

◆DUEL.35
 9月21日(日)GENスポーツパレス(開場17:00 / 開始17:30)
 主催:VALLELYジム / 認定:NJKF

DUEL 35 ポスター

-8月28日発表-
恒例のDUEL、新人と中堅ベテランの戦いの場から誰が次に繋がるステップを踏むか。

佐々木勝海はタイトルに一歩近づくか

●第10試合 スーパーライト級3回戦
NJKFスーパーライト級3位.佐々木勝海(エス)vs同級4位.TAKUYA(K-CRONY)

TAKUYA は4月20日に岩橋伸太郎に判定負けしてからの再起戦。

●第9試合 82.0kg契約 3回戦
鈴木健太郎(E.S.G)vs翁長リバウンドマン将健(真樹糸満)

●第8試合 スーパーフライ級3回戦
清水健人(白龍)vs手塚瑠唯(VERTEX)

●第7試合 スーパーフェザー級3回戦
パヤヤーム浜田(KING)vs森本直哉(無所属)

●第6試合 フェザー級3回戦
山本龍平(拳粋会宮越道場)vs高嶋隆一(PIT)

●第5試合 女子ミネルヴァ・スーパーフライ級3回戦(2分制)
スーパーフライ級1位.鈴木咲耶(チーム鈴桜)vs同級5位.響子JSK(治政館)

●第4試合 女子ミネルヴァ・ピン級3回戦(2分制)
ピン級4位.江口紗季(笹羅)vs同級6位.ロウ・イツブン(NEXT LEVEL渋谷)

●第3試合 女子ミネルヴァ・ライトフライ級3回戦(2分制)
山崎希恵(クロスポイント吉祥寺)vsNAOKO WSR(WSR幕張)

●第2試合 ライト級3回戦
井岡巧(E.S.G)vs涼音(PIT)

●第1試合 63.5kg契約3回戦
遠近慎太郎(エス)vs古林けいご(龍拳會青葉台支部)

※             ※             ※

◆NJKF CHALLENGER.10(2025.4th)
 9月28日(日)後楽園ホール(開場17:00 / 開始17:15)
 主催:オフィス超合金 / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟、WBCムエタイ

CHALLENGER 10 ポスター

-8月24日発表-
WBCムエタイ日本が組織改革を行ない、日本タイトルも今まで以上に活性化の見込み。
6月8日の興行タイトルが「KING OF CHALLENGER」今回は「NJKF CHALLENGER.10」。
2023年11月12日の新体制から見れば今回のCHALLENGER.10は正しいカウント。
大田拓真は世界を獲ってもONE制覇へ、まだ終わらぬ最高峰への道。
負けも込んで来た勝次は再び巡って来たタイトル挑戦でアピールしたいところ。

●第10試合 58.0kg契約 5回戦
WBCムエタイ世界フェザー級チャンピオン.大田拓真(新興ムエタイ)
VS
ルークニミット・シンクロンシー(タイ)

●第9試合 WBCムエタイ日本スーパーウェルター級タイトルマッチ 5回戦
第6代チャンピオン初防衛戦.匡志YAMATO(大和)
VS
挑戦者同級5位.津崎善郎(LAILAPS東京北星)

●第8試合 WBCムエタイ日本ライト級タイトルマッチ 5回戦
第7代チャンピオン初防衛戦.HORO YAMATO(大和)
VS
勝次(=高橋勝治/元・日本ライト級Champ/TEAM TEPPEN)

正念場の勝次、NJKFで存在感を見せたいところ

●第7試合 スーパーライト級ノンタイトル3回戦
NJKFスーパーライト級チャンピオン.吉田凜汰朗(VERTEX)vs剣夜(SHINE沖縄)

●第6試合 スーパーライト級ノンタイトル3回戦
JKIスーパーライト級チャンピオン.切詰大貴(武勇会)
       VS
SB日本ライト級1位.ポッシブルK(K’GROWTH)

●第5試合 NJKFウェルター級タイトルマッチ 5回戦
認定チャンピオン.亜維二(新興ムエタイ)vs挑戦者同級1位.宗方888(KING)

●第4試合 NJKFフライ級タイトルマッチ 5回戦
第14代チャンピオン初防衛戦.西田光汰(西田)vs挑戦者同級1位.永井雷智(VALLELY)

●第3試合 55.0kg契約3回戦
HIROYUKI(=茂木宏幸/元・日本フライ級・バンタム級Champ/RIKIX)
VS
後藤和範(REALMuayThaiFitness)

●第2試合 スーパーフェザー級3回戦
NJKFスーパーフェザー級6位.匠(KING)vs同級7位.細川裕人(VALLELY)

●第1試合 フェザー級3回戦
植田琥斗(E.S.G)vs竹田奏音(TAKEDA)

※             ※             ※

◆SAMURAI WARRIORS 挑戦3rd
 10月5日(日)後楽園ホール(開場17:00 / 開始17:30)
 主催:全日本キックボクシング協会 /

SAMURAI WARRIORS 挑戦3rd ポスター

-8月4日発表-
韓国と続いている交流戦は日韓合同という意味合いもある中、アジアエリア拡大となる中国との交流が進展。中国側代表を招聘し、今後の展望がリング上セレモニーにて発表される模様。
瀬川琉はメインイベンターとして6月に続いて韓国戦に臨む。
期待の勇生は、前回瀬川琉と接戦を戦った金炳秀と対戦。弟の野竹生太郎も韓国の同世代ライバルと対戦。

野竹兄弟、勇生(左)と生太郎。富山からやって来る期待の二人

●第13試合 スーパーフェザー級3回戦 
全日本スーパーフェザー級チャンピオン.瀬川琉(稲城)
      VS
鄭相鉉(=チョン・サンヒョン정상현/韓国プロムエタイ55㎏級Champ)

●第12試合 スーパーライト級3回戦
全日本スーパーライト級5位.勇生(ウルブズスクワッド)
      VS
アイドゥル(=金炳秀キム・ビョンス김병수/2025年韓国 HERO FIGHT優勝)
前回6月20日に瀬川琉に判定負け。

●第11試合 スーパーバンタム級3回戦
広翔(稲城)vs申大容(=シン・デヨン신대용/韓国)

●第10試合 ライト級3回戦
野竹生太郎(ウルブズスクワッド)vsキム・ハヌル김하늘(漢字表記不明/韓国)

●第9試合 スーパーウェルター級3回戦
義斗(FPLUS TEAM QUEST)vs康示勲(=カン・シフン강시훈/韓国)

●第8試合 ライト級3回戦
山田旬(アウルスポーツ)vs清宮拓(GODSIDE)

●第7試合 スーパーフライ級3回戦
HIROKI(AKIRA~budo school~)vs.鬼久保海斗流(健成會)

●第6試合 ライトヘビー級3回戦
星のケースケ(百足道場)vs菊池圭治(GODSIDE)

●第5試合 スーパーライト級3回戦
Katsuya Norasing Family(Norasing Family)vsNAOKI(ウィラサクレック)

●第4試合 スーパーフェザー級3回戦
KAI×A.K.G(A-BLAZE×KICK)vs杉浦昂志(キックスターズジャパン)

●第3試合 ウェルター級3回戦
滝口遥輝(中島道場)vs成瀬晴規(無所属)

●第2試合 ウェルター級3回戦
石塚健太(武士魂2代目闘心塾)vs田山朋希(まっちゃんFIGHT CLUB)

●第1試合 スーパーバンタム級3回戦
渡邊獅生(JTクラブ)vs梅原竜雅(龍成會)

※             ※             ※

◆TITANS NEOS 37
 10月26日(日)後楽園ホール(開場17:00 / 開始17:15)
 主催:伊原プロモーション / 認定:WMA、新日本キックボクシング協会

8月22日に発表された2試合のみながら、WMA(Woman Muaythai Association)女子世界戦2試合を開催。全カードはもう少し先となる模様。日本勢の出場メンバーも期待したいところで、新日本キックボクシング協会もどん底から続ける挑戦。日本7階級チャンピンを率いてラジャダムナンスタジアムに乗り込んだ勢いを少しずつでも取り戻せるか。

●WMA女子世界スーパーフライ級王座決定戦 5回戦(2分制)
ミネルヴァ・スーパーフライ級チャンピオン.NANA(エス)
      VS
ジェンディ・モーラッソパコーラ(タイ)

ジェンディ・モーラッソパコーラvsNANA

●WMA女子世界ライトフライ級王座決定戦 5回戦(2分制)
アピデッ・シットヒラン杯ライトフライ級覇者.佐藤?魔王?応紀(PCK連闘会)
      VS
マフィアペット・モンコンディー(タイ)

マフィアペット・モンコンディーvs佐藤”魔王”応紀

※             ※             ※

カードは選手の負傷や病気により変更や中止の場合があります。
ノンタイトル戦出場のチャンピオンは、その階級を超えての契約ウェイトとなる可能性があります(ライト級チャンピオンなら62.0kg契約など)。
10月は日本キックボクシング連盟(NKB爆発シリーズ)興行も予定されています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

『紙の爆弾』10月号に寄せて

中川志大(『紙の爆弾』編集長)

10月号はマルクス経済学者で人口問題を研究する大西広・慶應義塾大学/京都大学名誉教授が「日本人ファースト」を分析。まず、このスローガンをもって参政党が大きく支持を集めた理由から明らかにしました。そのうえで、「日本人ファースト」はその前提に「日本人」が苦境にあるとの共通認識があり、排外主義批判だけではそれに対応していません。では、日本人の苦境とは何か。参政党支持者の中でも割合が高いのが就職氷河期世代です。格差拡大が結婚・出産を阻害し、人口減少を加速させています。「ヒトより資本」の資本主義が海外の安価な労働力を求めれば、それが国内の賃金水準の向上を妨げることにつながります。もちろん、日本に外国人が来ること自体が問題なのではなく、重要なのはそのスピードだと大西氏は指摘。「日本人ファースト」を問題として捉え、その解決を目指すのであれば、「日本人」が苦境にある根本的な原因に目を向けなければなりません。本誌記事では、その原因とともに、今の社会が正確に捉えられていない人口減少問題の深刻さを、明快に解説しています。

参政党は「参政」の名が示すとおり、とにかく政治参加させる(党員を増やす)ことを目的として掲げています。立ち上げメンバーで、後に脱退した国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は、「組織拡大のマーケティング対象として集めた党員層にウケる政策を言い続ける必要がある」と解説しています。主張のそれぞれの関係、あるいは一つの主張においても一貫性がないのはそのためなのでしょう。一方で、特に神谷宗幣代表は、なぜか天皇制だけは、マーケティングにさほど寄与しなさそうなのに、こだわっているように見えます。しかもその中身は本誌で足立昌勝氏が今回主張しているように、「いったい誰が求める天皇像なのか」というものです。この辺りにも、同党について考えるきっかけがあるように思います。

4月号に続き、鈴木宣弘・東京大学大学院特任教授に登場していただきました。まず猛暑の中で、もともと少ない備蓄米が放出されたことは、食料安全保障において危惧されるところですが、それが国内の新米で補充されない可能性があると鈴木氏は指摘。加えて、35年前の1990年の米の小売価格は1キロ4933円。今の米価高騰は急激すぎるとはいえ、まさに失われた30年で、いかに日本社会が貧しくなったかが、ここに反映されています。ほか記事では、財務省やグローバル企業の問題、ゲノム編集や添加物の問題にも踏み込んでいます。全てが繋がっていることがわかります。なお、日本の少なすぎる米備蓄については、その原因と解決策を別記事でも探っています。あわせてお読みください。

参院選で、参政党とともに議席を伸ばした国民民主党では、mRNAワクチンを問題視してきた須藤元気元参院議員の転向も話題となりました。同ワクチンについては、接種開始時点で治験が終了していなかったことがポイントのひとつで、須藤氏もそれを指摘してきましたが、須藤氏が国民民主党の公認を受けるにあたり、玉木雄一郎代表と福田徹衆院議員が須藤氏に「治験は終わっていた」と諭す動画が配信。しかし、ジャーナリストの藤江成光氏の質問に、福岡資麿厚労相が「治験終了は接種開始後」と答えており、須藤氏がウソの踏み絵を踏まされていたことがわかっています。問題は、このウソを聞かされた須藤氏の元支持者で、一番の被害者といえるでしょう。

さらに今月号では、「不正選挙」が疑われる期日前投票制度の欠陥、日本製鉄によるUSスチール買収のその後、桐島聡氏をめぐり見過ごされた本質、韓国で大統領夫人が逮捕・起訴された旧統一教会問題など、さまざまなテーマを独自の視点で取り上げています。『紙の爆弾』は全国書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2025年10月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年9月5日発売

[インタビュー]大西広 慶応義塾大学/京都大学名誉教授
人口問題の見地から考える本物の「日本人ファースト」
国民の食と命を差し出すニッポン「亡国農政」からの脱却 鈴木宣弘
不正を生む期日前投票制度 参院選で残された犯罪の足跡 青木泰
国民民主党が広めた ワクチン安全性めぐるウソを追及する 高橋清隆
日韓「政治と宗教」問題 韓国で解明進む旧統一教会資金ルート 片岡亮
米国に支配された「日本防衛」FMSの従属構造を断て 木村三浩
日本人も外国人も関係ない AI時代の労働問題を考える 青山みつお
アメリカで特許が取得された「STAP細胞」の現在 早見慶子
日本製鉄「USスチール買収」の狙いとリスク 浜田和幸
桐島聡さんと足立映画『逃走』が問いかけるもの 野田正彰
海がもたらす解決策「少なすぎるコメ備蓄」の本当の理由 平宮康弘
芸能界”昭和のドン”の死と新興事務所の金銭トラブル 本誌芸能取材班
政界バカッターをどう始末するか 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪 みどり荘事件 尾崎美代子
【ご報告】7・12「鹿砦社反転攻勢の集い・関西」松岡利康

〈連載〉
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER Kダブシャイン
【新連載】ニッポン崩壊の近未来史 西本頑司

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