『ニュースの天才』というアメリカ映画(2003年)の本筋は、実在の人物が起こした事件に基づいた実話である。アメリカの有力誌『The New Republic』(ザ・ニュー・レパブリック誌)において1995年から1998年にかけての3年間、同誌の若手スター記者ステファン・グラスは、いくつもの面白い記事を同誌に提供し、売り上げに貢献したことで何度も表彰され、他誌からも記事執筆の依頼が来る売れっ子となった。
ところが、彼の記事は捏造であったことが発覚し、彼は同誌から解雇された。彼の記事は、そこに登場する人物や団体が架空の存在であったから、関係者から抗議が来なかった。だから、なかなかバレなかった。
日本では死刑囚が再審で無罪を勝ち取った例は4件しかない。しかも、そのすべては80年代に集中しており、1989年1月の赤堀政夫さん(島田事件)以来、現在まで20年以上も死刑囚に対する再審無罪判決は出ていない。そんな中、今年は袴田事件や飯塚事件という有名死刑事件で再審開始可否の決定が出るのではないかとみられているが、実はそれ以外にもう1件、再審の重大局面を迎えている死刑事件がある。90年代末にマスコミが「第2の和歌山カレー事件」として騒ぎ立てた本庄保険金連続殺人事件である。