能登地震から一年……。福島の事故からずっと 「おめでとう」が言えない正月が続いている 尾﨑美代子

能登半島地震から1月1日で1年、多くの報道番組が輪島や珠洲市から中継を行った。とくに珠洲市は過去に原発の建設を住民らが反対して中止に追い込んだ町。ここに原発があったならば、どうなっていたのだろう。

◆珠洲市制50周年記念冊子にも記されていない「珠洲原発」という「黒歴史」

私はその珠洲市を去年、5月に訪れた。石川県では、井戸弁護士が裁判長時代に運転差し止めの判決を下した志賀原発については知っていたが、正直、珠洲原発は名前を知っている程度だった。何度もいうが、もし珠洲原発があったならば、福島の原発事故以上の大惨事になっていただろう。

そんな思いから、珠洲原発建設を止めさせた闘いを知りたくて、地元で長く原発反対運動に関わってきた北野進さんを訪ねたのだった。北野さんのお話で驚いたのは、29年間原発建設反対運動で地元住民が二分され、結果、珠洲原発は建設凍結(解凍する術がないから実質中止)に追い込まれたにも拘わらず、建設を進める行政側が全く反省しようとしていなかったことだった。それは北野進さん著書「珠洲原発・阻止への歩み」の「はじめに」に書かれている以下の内容だ。

珠洲市の寺家と高谷に建設が予定されていた珠洲原発は、2003年12月5日、関西電力、中部電力、北陸電力の3社が市長に計画の凍結を伝えたことで幕を閉じた。計画の浮上から29年、それ以前の水面下の動きを含めると35年以上の長い闘いだった。
実はその翌年2004年、珠洲市は市制50周年を迎えた。そこで50周年を記念して「珠洲市勢要覧2004」という冊子が発行されたが、そのなかで珠洲原発についての記載が一切なかったというのだ。珠洲市にとって珠洲原発問題は、俗にいう「黒歴史」だったのだろうか。北野氏はこれに対して「長年にわたる原発誘致一辺倒の行政も許しがたいが、これは(歴史からの抹消)は市民に対する二重の意味での重大な背信行為である」と書いている。

◆失敗を反省しない日本

珠洲市だけではない。日本はいたるところで反省することがない。

鹿砦社の反原発誌「季節」の最新号で特集したが、日本の原発立地自治体で作る避難計画は、どこでも「絵に描いた餅」状態だ。何度地震おきても、いつまでたっても寒い体育館で段ボール敷いての避難生活を余儀なくされている。食料が足りない、水がでない。何よりトイレが足りない。トイレを我慢するために水分を採らず体調を悪くさせる。関連死が増える…何度も同じことを繰り返す。

イタリアでは、1980年、2700人以上が犠牲になったイリピニア地震の反省から災害対策を担う国の機関「市民保護局」が設立された。それにより「ベッド、トイレ、キッチン」が地震発災から24時間以内に設営される。日常的にプロをも含めたボランティアが訓練を受けている。2700人が犠牲になった地震を反省するイタリアに比べ、何万人が犠牲になろうが、何も反省していない日本という国。

同じ昨年7月に花蓮で大きな地震がおきた台湾も、過去の地震の反省から地震対策を充実させている。地震発災から1時間で市や自治体がグループを立ち上げ、情報収集を開始、2時間後にはテントが設置され、3時間後には被災者を受け入れ、4時間後には設備が整うという。「どの避難所でも安全、衛生的、プライバシー、食事の確保が出来ており、生活に困らないレベルが確保されている」という。

しかも、倒壊の危険性が高いと判断された建物は、3ケ月後には解体・撤去作業が終了し、現地で工事関係者の姿をみることはなくなるという。それに比べ、能登半島はどうだ? 昨日見た番組では、解体が進まず、そのままの建物が見えた。もう、1年だぞ。

台湾は地震対策だけではない。再審法もどんどん変えている。ある事件で無実の人を逮捕してしまったことがきっかけだ。その人を実況見分に連れていった際、その人が飛び降り自殺してしまった。その後、真犯人が逮捕された。無実の人を死に追いやったことを猛反省し、台湾ではその後再審法がどんどん変えられていった。

話を戻すと、日本はすべてが遅れているのは、失敗を反省しないからだ。しかもそれを謝罪することもない。言い訳ばかりだ。奥能登の復興が遅れているのは、奥能登は交通の便が悪く、建設機材や重機、そして作業員を送るのも大変だ……と。それこそ、重機と人材は夢洲から奥能登へもってけ!私は万博、カジノには断固反対だが、賛成の人も賛成の議員も、万博は1年延期で、重機と人材はすべて能登の復興へ回せくらい言えないのか?

福島の事故からずっとこっち、「おめでとう」が言えない正月が続いている。

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年冬号

『紙の爆弾』2025年2月号に寄せて   『紙の爆弾』編集長 中川志大

あけましておめでとうございます。

新年1号目となる2月号では、被団協(日本原水爆被害者団体協議会)のノーベル平和賞受賞についてレポートしました。“お祭り騒ぎ”の中で、あえて抜け落とされた重要な事実とは何か。あえて疎外されてしまった人々とは誰か。詳しくは本誌をお読みいただきたいと思いますが、この受賞を未来への一歩とする上でこそ、レポートに登場する金鎮湖会長や平岡敬元広島市長の指摘は重要です。本誌増刊「季節」の執筆陣である「子ども脱被ばく裁判の会」水戸喜世子共同代表はフェイスブックで、「時計は止まっていないのだ。核兵器は言うまでもなく悪だ。子どもだって知っている。そこに耳目を引き付けながら、こっそりと核装置である原発によって世界の人命が危険に晒されている現状にこそ警告を発すべきであった。核被害の現在進行形なんだから」とコメント。全文をあらゆる人に読んでいただきたい内容です。

創薬立国を謳う日本で「ワクチン工場」が、続々稼働しています。同種の施設として、東京では東村山市の国立感染症研究所がウイルス研究所(BSL4)として有名ですが、隣に都立の支援学校が、裏手には市立小学校もあります。そもそも「薬で儲ける」とは、どういうことなのか。今月号では、「高齢者の危険運転」と薬の関係について、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる和田秀樹医師が解説しています。そこで和田氏は医療費の問題に加え、日本人は薬の服用者が多いことを指摘しています。「安心していつでもたくさん薬が飲めること」が医療の充実とされているのが現在の日本です。

本誌1月号でインタビューした原口一博衆院議員(立憲民主党)に対し、レプリコンワクチンを製造・販売するMeiji Seikaファルマ社が名誉毀損で東京地裁に提訴しました。本誌で原口氏が語っているとおり、原口氏の問題提起はレプリコンをはじめとしたコロナ定期接種ワクチンへの政府の承認手続きに対するものであり、それだけで「お門違い」だといえます。また同社はリリースで『私たちは売りたくない!』(方丈社)の著者である同社社員について社内調査し、出版元に抗議したとも明かしているものの、内容に関する言及はありません。なお、Meiji Seikaファルマ社については、1月号で紹介した郷原信郎弁護士・上昌広医師(医療ガバナンス研究所理事長)の指摘(YouTube『郷原信郎の「日本の権力を斬る!」』2024年10月20日配信)が重要と思われます。

Meiji Seikaファルマ社が訴えずとも、mRNA ワクチンやレプリコンワクチンの危険性への指摘は「陰謀論」とされるのが現状の日本社会であり、日ごとに明らかになるワクチン薬害の事実を前にしても、それは変わりません。ただし、アメリカで方向性が変われば付き従うのが追従日本なので、トランプ政権で厚生長官に就任するロバート・ケネディ・ジュニア氏の動向によっては、“常識”が変わる可能性もあります。

今月号ではここで触れたほかにも、女川原発2号機事故についての詳細解説、なぜ国連は戦争を止められないのか、ドイツ若手哲学者が問う「リベラル」と「極右」の現状など、さまざまな記事を収録しています。いずれも本誌ならではのレポートです。ぜひ全国の書店でご確認をお願いいたします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年2月号
タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年2月号

『紙の爆弾』2025年 2月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年1月7日発売

マスコミが「大接戦」と報道し続けた理由「トランプ圧勝」が暴いた世界史の真実  田中良紹
トランプ政権に3人のキーマン「ウクライナ」「ワクチン」「CO2」陰謀の真相  植草一秀
「高齢者の運転は危険」マスコミ煽動の嘘と本当の原因 和田秀樹
国際紛争で国連は何をしてきたか 国連の機能不全を問う 足立昌勝
「斎藤・立花連携」を裏付ける事実 斎藤元彦・立花孝志、そして国民民主党の背後の闇 横田一
オスロ代表団から除外された人々 日本被団協ノーベル平和賞受賞で語られざる「光と影」 浅野健一
「孫子の兵法」と「ノストラダムス」で読み解く世界情報戦略 浜田和幸
再稼働6日後に起きた重大事故 女川原発2号機で何が起きたのか 山崎久隆
「ダークウェブ」で売られる個人情報 「闇バイト」が日本で広がる理由 片岡亮
知らぬは日本人ばかり AIが読み解いた亡国ニッポンの実態 藤原肇
行方を占う「嵐・大野智」の動向 NHKとジャニーズの癒着と抗争 本誌芸能取材班
mRNAワクチン、毒素兵器、バイオハザード(後編) 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪 福井女子中学生殺人事件 尾崎美代子
「カウンター大学院生リンチ事件」から十年(中) 松岡利康

〈連載〉
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER Kダブシャイン
「ニッポン崩壊」の近現代史 西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/

COP28 原発をめぐる2つの動き 「原発3倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意〈3〉「気候変動」3つの概念 原田弘三(翻訳者)

◆気候変動対策の歴史的経緯

留意すべきことは、今回の合意が国連を中心に進められてきた「気候変動」対策の方向性に全く反するものではないということである。例えば国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2022年4月に発表した第6次評価報告書第3作業部会報告書には「原子力は、低炭素エネルギーを大規模に供給することができる」と原発を肯定的に評価している。今回の合意文書は、ある意味IPCC報告書の論調をなぞったものとも言える。

ここに至るまでの経緯を簡単に振り返ってみよう。大気中のCO2増加により気温が上がる、というCO2温暖化説自体はスウェーデンの化学者スヴァンテ・アレニウスらにより19世紀から唱えられていた。しかし当時は温暖化が危機であるという認識はなく、実際1970年代までは気温上昇も起きていなかったため温暖化は問題にならなかった。宮沢賢治などはCO2による温暖化が地球を救うという物語(『グスコーブドリの伝記』1932年)を書いていたほどである。

しかし1988年6月米上院でNASA(アメリカ航空宇宙局)の科学者ジェームズ・ハンセンが「99%の確率で気候変動が人為的に引き起こされている」と証言したのをきっかけに、CO2の人為排出が地球環境に危機を招いている、という説が急速に世界に広まり、各種機関により「対策」がとられるようになった。

それが、1988年11月のIPCC(国際連合気候変動に関する政府間パネル)発足、1992年の気候変動枠組条約締結、1995年の第1回気候変動枠組条約締約国会議(COP)開催、2015年のCOP21でのパリ協定締結へと続く。

◆「気候変動」3つの概念

「気候変動」を論ずる上では、①一般的な気候変動、②CO2温暖化説、③1988年のハンセン証言以後支配的となった「気候危機論」の3つを分けて考える必要がある。

①「一般的な気候変動」は、当然存在する。②「CO2温暖化説」についてはCO2の人為排出が気温上昇の原因か否かをめぐって科学上の議論が進行中である。問題は③である。この「気候危機論」の特徴は、気温上昇には作物生産が豊かになる、暖房が不要になるなどの良い影響が多大にあるにもかかわらず、もっぱら気温上昇の悪影響をクローズアップし、あたかも温暖化が人類滅亡の危機であるかのように論じていることである。

この点はCO2温暖化説の始祖スヴァンテ・アレニウスの見解と全く異なる。アレニウスは1906年の著書地球温暖化にはメリットが大きいと論じていた。

『宇宙の成立』(原著名“Worlds in the Making”)の中で「大気中の二酸化炭素の割合の増加の影響により、特に寒い地域に関しては、地球が現在よりもはるかに豊かな作物を生み出し、人類の急速な繁栄のために、より平等でより良い気候の時代を享受することが期待できる」と書き、地球温暖化にはメリットが大きいと論じていた。そうした温暖化に対する評価を180度転換したのが1988年のハンセン証言である。ハンセン証言を境に温暖化は「恵み」から「危機」へと変わり、CO2は退治すべき悪者と位置付けられたのである。(つづく)

◎原田弘三 COP28 原発をめぐる2つの動き 「原発3倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意
1〉「原発3倍化宣言」という暴挙
2〉「グローバル・ストックテイク」という文書に求められた役割
3〉「気候変動」3つの概念
4〉気候危機論」と原発の親和性

◎本稿は『季節』2024年夏秋合併号掲載(2024年8月5日発売号)掲載の同名記事を本通信用に再編集した全4回の連載記事です。

▼原田弘三(はらだ こうぞう)
翻訳者。学生時代から環境問題に関心を持ち、環境・人権についての市民運動に参加し活動している。

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COP28 原発をめぐる2つの動き 「原発3倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意〈2〉「グローバル・ストックテイク」という文書に求められた役割 原田弘三

◆「グローバル・ストックテイク」とは

成果文書での原発明記に触れる前に、「グローバル・ストックテイク」という文書の位置づけを簡単に解説しておこう。

パリ協定(2015年採択、2016年発効)では、産業革命後の地球平均気温の上昇幅を2℃を十分下回る水準で維持することを目標とし、さらに1.5℃に抑える努力をすべきとされている(2条1項[a])。

その後、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による「1.5℃特別評価報告書」の公表(2018年)をきっかけとして、産業革命後1.5℃の地球平均気温上昇でも、現在よりもかなりの悪影響が予測されること、そして、1.5℃上昇と2℃上昇の場合では、生じる影響に相当程度の違いがあるとの認識が広まり、1.5℃目標実現を目指すべきだとする機運が高まった。

IPCC第6次評価報告書は、1.5℃目標を実現するためには、遅くとも2025年までに世界全体の温室効果ガスの排出量を減少傾向に転じさせ、2030年までに2019年と比べて約4割の削減を達成し、さらに2050年までにCO2排出量のネットゼロを達成することが必要だとしている。

パリ協定では、長期目標の実現に向けて、世界全体の気候変動対策がどれくらい進んでいるのかを5年ごとに評価することになっている(14条)。これをグローバル・ストックテイクと呼ぶ(ストックテイクは棚卸しという意味)。

このグローバル・ストックテイクの成果を受けて、各国は次の期の排出削減目標を立てることになる。

パリ協定には第1回グローバル・ストックテイクを2023年に行うと書かれており、これが今回のCOPの最大の注目ポイントであった。パリ協定では、各国の中期目標の達成が義務とはされておらず、どれだけ高い目標を設定するかは各国の意思に委ねられている。このため、各国が次期目標(2035年目標)を設定する際に、各国のより高い削減目標を設定する意欲をかき立てる、とういのがこのグローバル・ストックテイクという文書に求められる役割である。

◆成果文書での原発明記

そうした経緯でCOP28の最終日に合意されたのが第1回グローバル・ストックテイクの成果文書であり、その中に以下の文言が盛り込まれた。

「28……締約国に対し、……以下の世界的な努力に貢献することを求める。
(e)特に、再生可能エネルギー、原子力、特に削減が困難な分野における炭素の回収・利用・貯留などの削減・除去技術、ならびに低炭素水素製造を含む、ゼロ排出及び低排出技術を加速すること。」

この成果文書における原発の記述は、先に見た「原発3倍化宣言」に増して重大な問題を孕んでいる。

なぜなら前者が全加盟国に比べれば少数の22か国による宣言であったのに対し、こちらは全加盟国の合意であり、COPが原発を気候危機対策の有効な手段として公式に認め、「気候変動対策のための原発推進」が世界的な合意となったことを意味するからである。(つづく)

◎原田弘三 COP28 原発をめぐる2つの動き 「原発3倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意
1〉「原発3倍化宣言」という暴挙
2〉「グローバル・ストックテイク」という文書に求められた役割

◎本稿は『季節』2024年夏秋合併号掲載(2024年8月5日発売号)掲載の同名記事を本通信用に再編集した全4回の連載記事です。

▼原田弘三(はらだ こうぞう)
翻訳者。学生時代から環境問題に関心を持ち、環境・人権についての市民運動に参加し活動している。

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COP28 原発をめぐる2つの動き 「原発3倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意〈1〉「原発3倍化宣言」という暴挙  原田弘三

2023年11月30日から12月13日までUAE(アラブ首長国連邦)ドバイで開催された第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)では、原発をめぐって2つの大きな動きがあった。

1つはアメリカが提案した「世界全体の原発の設備容量を2050年までに3倍に増やす」との宣言案に、日本を含む21か国が賛同したことである。

もう1つは、最終日の12月13日、参加国約200か国が「第1回グローバル・ストックテイクの成果文書」を採択し、その中でCOP史上初めて、CO2排出量を削減するための重要なアプローチの1つとして原発が明記されたことである。

◆「原発3倍化宣言」

「原発3倍化宣言」は、COP28のサイドイベントで米国が提案し、21か国が賛同した「2050年までに世界の原発設備容量を3倍にする」という宣言である。参加国は米国、ブルガリア、カナダ、チェコ、フィンランド、フランス、ガーナ、ハンガリー、日本、韓国、モルドバ、モンゴル、モロッコ、オランダ、ポーランド、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スウェーデン、ウクライナ、UAE、英国である(当初、宣言国は上記22か国であったが、アルメニア、ジャマイカ、クロアチアが追加で参加し、3月1日現在25か国となっている)。

これらの国々のうち、提案国の米国、および西欧諸国は自国内では原発容量を増やす見込みは少ない。この宣言では原発設備容量を3倍にするための環境整備として、現在は原発関連プロジェクトを融資対象としていない世界銀行やその他の金融機関に対して、原発を融資対象とするよう働きかけるとしている。

原発はその本質的な危険性から、導入国の社会・経済が安定していることが求められる。そして財政基盤が弱い国での原発導入には、巨額の債務発生の危険が伴う。そこで、財務基盤の弱い国々への原発導入を図るために、世銀などが比較的低利で融資するよう圧力をかける、というのが今回の宣言の狙いと思われる。

つまりこの宣言は、宣言国のうちの原子力産業を擁する国々が自国の原子力産業を利するために、コスト高で危険な原発を財務基盤が弱く環境規制も緩い国々に売り込もうとしているのである。かつて盛んに行われた「公害輸出」の原発版を世界規模で押し進めようというのがこの宣言の本質であろう。

日本政府のこの宣言への賛同が許し難い暴挙であることは言うまでもない。(つづく)

◎本稿は『季節』2024年夏秋合併号掲載(2024年8月5日発売号)掲載の同名記事を本通信用に再編集した全4回の連載記事です。

▼原田弘三(はらだ こうぞう)
翻訳者。学生時代から環境問題に関心を持ち、環境・人権についての市民運動に参加し活動している。

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12.8「とめよう! 原発依存社会への暴走 関電包囲大集会」に約700人が結集 木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会) 

◆「原発依存社会」に向かって暴走する政府と電力会社

原発は、現在科学技術で制御できる装置ではありません。原発は、冷却水を失えば暴走し、過酷事故に至ります。過酷事故の被害は甚大で、長期におよびます。人の命と生業を脅かします。

また、原発は、地震に脆弱で、大地震と過酷事故が重なれば、避難も屋内退避も困難を極めることを、能登半島地震が再認識させました。地震多発の日本に、原発はあってはなりません。

それでも、政府、電力会社は「原発依存社会」に向かって暴走しています。人の命と尊厳を蔑ろにした暴走です。

自公政権は、原発推進法(いわゆる「GX束ね法」)の実態化のために、「原発の最大限活用」を謳う第7次エネルギー基本計画の策定を進めています。既存原発の再稼働、40年超え運転をさらに進め、60年超え運転も拡大し、原発建て替え、新設も俎上に上らせようとしています。

一方、電力会社と政府は、加圧水型原発に続いて、沸騰水型原発・女川2号機(東北電力)、島根2号機(中国電力)まで再稼働させました(それぞれ、10月29日、12月7日)。

その中で、政府の尖兵・関西電力は、危険度急増の老朽原発への依存経営にのめり込んでいます。

老朽原発では、交換不可能な圧力容器の脆化が進み、点検や交換が難しい配管、送電ケーブルの損傷も進んでいます。老朽原発には、建設時には適切とされたが、現在の基準では不適当と考えられる部分が多数あります。

関電の稼働可能な原発7基の内の5基が、来年、40年超えの老朽原発となります。11月14日に運転開始後50年となった高浜1号機およびもうすぐ50年超えとなる高浜2号機、美浜3号機は、超老朽原発です。

いま、各地の原発では、危険極まりなく、行き場のない使用済み核燃料が溜り続けています。

発生直後の使用済み核燃料は、膨大な放射線と熱を発しますから、燃料プールで水冷保管しなければなりません。そのプールが満杯になれば原発を運転できなくなるため、電力会社や政府は、使用済み核燃料を乾式貯蔵に移して、プールに空きを作ることに躍起です。出来た空間に、膨大な放射線と熱を発する新しい使用済み核燃料を入れたプールが崩壊すれば、大惨事に至ります。

電力会社は、使用済み核燃料の搬出先として再処理工場の稼働を願望していましたが、8月23日、日本原燃は27回目の再処理工場の完成延期を発表しました。乾式貯蔵に移した使用済み核燃料の行き場はありません。

ところで、先の衆院選での自公の大幅後退、立憲民主、国民民主、れいわの躍進を受けて、政治は、混沌化、流動化しています。

原発関係でも、自公政権が、原発推進政党を抱き込んで、「原発推進」に暴走する可能性は大です。とくに、労使協調の電力総連に依拠する国民民主は、自公政権との「部分連合」を通して、原発推進を先導すると危惧されます。

◆自然エネルギーに全面切り替えを!

このような状況の中で、今、世界は原発縮小、自然エネルギーへと向かっています。

自然エネルギーのみを利用すれば、燃料費はほぼゼロですから、コストは原発に比較して圧倒的に安いのは当然で、地球環境の保全にも有効です。大地震が発生しても過酷事故に至ることもありません。

そもそも、人類のエネルギーに対する欲望のために、原子核に閉じ込められた膨大なエネルギー(化学反応エネルギーの数百万倍)を解放しようとするから、原発過酷事故が起こり、危険極まりない使用済み核燃料が発生するのです。また、地球が数億年かけて地中に蓄えた化石燃料を100年程度で枯渇する勢いで使うから、炭酸ガスが増えるのです。

現在の焦眉の課題・気候問題は、太陽から現在届いているエネルギー(自然エネルギー)のみを利用し、化石燃料や核燃料に閉じ込められたエネルギーを解放しない社会の実現を求めています。

目に見え、耳に聞こえる市民の行動によって、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会を展望しましょう!

◆12.8「とめよう!原発依存社会への暴走関電包囲大集会」の成果を、原発全廃の突破口に!

12月8日に開催された「とめよう!原発依存社会への暴走 関電包囲大集会」(主催:老朽原発うごかすな!実行委員会)には、寒風にも拘わらず、関西、福井、首都圏、四国、愛知、青森など、全国から700人近いご参加をいただき、原発推進に暴走する石破政権や電力会社に「NO!」の熱い決意を突き付けることができました。(司会は京都ユニオンの服部恭子さん)

冒頭、主催者を代表して、中嶌哲演さんは、ゼニ金まみれで建設された若狭の原発」「農村部に危険を押し付け、後世代に負の遺産を残す原発の全廃を達成したドイツ」「いまや核のゴミ銀座へと変貌しつつある若狭」について述べ、原発運転の理不尽を訴えられました。

先の米原市長・平尾道雄さんは、戒厳令を止めた韓国の市民の行動に賛辞を呈し、能登半島地震が教えた「原発稼働の無謀」に触れ、「現場が動けば変えていける。被曝前提の利権にまみれた原子力行政を変えよう」と、力強く結ばれました。

老朽原発うごかすな!実行委員会を代表して木原壯林は、原発をめぐる政府と電力会社の動向・情勢を述べ、「目に見え耳に聞こえる大衆の運動を高揚させ、原発を全廃しよう!」と訴えました。

青森から駆けつけた中道雅史さんは、27回目の完成延期が発表された再処理工場、9月に柏崎刈羽から使用済み核燃料が運び込まれた「中間貯蔵地」について話し、石破首相の「原発維持は、核の潜在的抑止力」という発言を上げ、反戦反核の闘いは一体であることを強調しました。

井戸謙一弁護士は「2006年に金沢地裁で判決を出したとき、能登の活断層は分かっておらず、4m隆起するなど誰も想定していなかった。このように、地震学の進歩は心もとない」と述べ、地震多発地域・日本の原発の早期全廃を訴えられました。

敦賀市民の山本雅彦さんは、過去13年間全く発電せず、原子力規制委員会(規制委)が運転不認可を決定した敦賀原発2号機を抱える日本原電は、今も各電力会社の徴取した電気料金で生き延びている事実を告発し、欠陥工事、不祥事続きで、原
発を運転する資格がないと断じました。

原発に反対する5政党(社会民主党、新社会党、日本共産党、緑の党グリーンズジャパン、れいわ新撰組)からは、各3分の「地震に脆弱な原発の全廃、自然エネルギーへの移行」を目指すアピールを頂きました。

名古屋地裁で老朽原発運転延長許認可の取り消しを求める裁判(来年3月14日判決予定)を闘う老朽原発40年廃炉訴訟市民の会の草地妙子さんは、規制委審査のいい加減さを明らかにしました。

原発賠償京都訴訟原告団の川崎安弥子さんは、国と東電の加害責任を明らかにし、避難の権利を認めさせ、損害賠償を求める控訴審(大阪高裁、12月18日判決予定)の論点を簡潔に紹介されました。3労働団体(平和フォーラム関西ブロック、全労連近畿ブロック、大阪ユニオンネットワーク)からは、労働組合の力で「原発依存社会」に向かって暴走する政府と電力会社に「NO」を突き付ける決意が述べられました。

最後に、老朽原発うごかすな!実行委員会の山下一美さんが「集会アピール」(下記参照)を高々と読み上げ、満場の拍手で採択されました。

なお、本集会には、全国で、反原発、反核燃料施設を闘う24の団体からメッセージが寄せられ、プログラムとともに冊子として配布されました。

集会後、参加者は西梅田公園から大阪駅までの約1時間のデモ行進に移りました。途中、手を振り、声をかけて下さる市民や飛び入りのご参加もあり、大いに励まされました。

本集会の詳細は、STOP原子力★関電包囲行動のたぬき御膳さんがYouTubeにUP下さっています。是非ご覧ください。

◎[参考動画][ツイキャス] とめよう原発依存社会への暴走 関電包囲大集会 / たぬき御膳のたぬキャス(2024.12.08)

12.8「とめよう!原発依存社会への暴走 関電包囲大集会」にご支援、ご参加
頂きました皆さん、ありがとうございました。

2024年12月11日 
老朽原発うごかすな!実行委員会

◆集会アピール

原発は、地震や津波などの自然災害に脆弱で、現在科学技術で制御できる装置でないことを、発生後13年半を経た東電福島第一原発事故および本年元日の能登半島地震が、大きな犠牲の上に教えています。原発が、過酷事故を起こせば、人の生業(なりわい)を奪い、避難の苦汁を強い、関連死する方も多数におよびます。

巨大地震の発生が危惧される今、原発の早急な全廃が求められます。それでも、自公政権は、数を頼んで成立させた原発推進法(いわゆる「GX束ね法」)の実態化のために、「原発の最大限活用」を謳う第7次エネルギー基本計画の策定を進めています。

一方、原発依存経営にのめり込む電力会社は、加圧水型原発だけでなく、沸騰水型原発である女川2号機を10月29日に、島根2号機を昨・12月7日に再稼働させました。

人の命と尊厳を蔑ろ(ないがしろ)にした「原発依存社会」への暴走です。

とくに、関電では、来年、稼働可能な原発7基の内の5基が運転開始後40年を超える老朽原発となります。すでに50年を迎えた高浜1号機およびもうすぐ50年超えの高浜2号機、美浜3号機は超老朽原発です。

老朽原発では、圧力容器が脆化し、配管や送電ケーブルの損傷も進んでいます。危険度急増の老朽原発の即時廃炉を求めましょう。

ところで、原発を運転すれば使用済み核燃料が発生します。その使用済み核燃料を保管するプールが満杯になれば原発を運転できなくなるため、電力会社や政府は、放射線量と発熱量が減少した使用済み核燃料を乾式貯蔵に移して、プールに空きを作ることに躍起です。しかし、使用済み核燃料の行き場として、原発推進勢力が稼働を願望していた青森県の再処理工場の完成は、8月23日、27回目の延期となり、使用済み核燃料は行き場を失いました。

今、世界は原発縮小、自然エネルギーへと向かっています。自然エネルギーは、燃料費がほぼゼロですから、コストが安いのは当然で、地球環境の保全にも有効です。国際情勢の影響を受け難い自前のエネルギーです。過酷事故に至ることもありません。

「目に見え、耳に聞こえる市民の行動」の高揚によって、人類の手におえず、行き場のない使用済み燃料を発生させる原発と決別し、自然エネルギーのみで成り立ち、人や環境が大切にされる社会を構築しましょう!

2024年12月8日
「とめよう!原発依存社会への暴走関電包囲大集会」
参加者一同

▼木原壯林(きはら・そうりん)
老朽原発うごかすな! 実行委員会。1967年京都大学理学部化学科卒。理学博士。専門は分析化学、電気化学、溶液化学。熊本大学、京都工芸繊維大学名誉教授等を歴任。京都悠悠化学研究所主宰。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌 『季節』2024年冬号(NO NUKES voice 改題 通巻41号) 紙の爆弾 2025年1月号増刊 A5判 132ページ(巻頭カラー4ページ+本文128ページ)  定価770円(税込み) 2024年12月11日発売

◎Yodobashi.com https://www.yodobashi.com/product/100000009004001320/

◎Rakuten books https://books.rakuten.co.jp/rb/18082281/

12月14日(土)金沢市で能登半島地震から1年の節目として「今こそさよなら!志賀原発 市民集会」を原告団など6団体で開催します! 北野 進

能登半島地震から1年の節目として「今こそさよなら!志賀原発 市民集会」を原告団など6団体で開催します。

日時 12月14日(土)13:30~ 
会場 金沢市ものづくり会館

志賀原発は13年間停止中でかろうじて最悪の事態を免れましたが、いまでも外部電源は2回線ダウンです。それでも北電は安全確保に全く問題はなかったと開き直り、再稼働に向かって突き進んでいます。

石川県は地震災害だけでも対応できなかったのに、あろうことか「震度7に原発事故が重なっても無事避難できます」という原子力防災訓練を11月24日に実施しました。

全国を見れば女川2号に続き島根2号も12月に再稼働されようとしていますが、能登半島地震を教訓に再稼働阻止を!という声は確実に広がっています。

北電や県に対して怒りの声をあげ、全国のたたかいと連帯し、さらに来年に向かって「まだまだやれることあるぞ」という意見交流の場にもしたいと思います。
多くの皆さまの参加をお待ちしています。

 

▼北野 進(きたの・すすむ)
1959年生まれ。石川県議を三期、珠洲市議を二期務め、現在は「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団の団長を務める。

12月11日発売 〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年冬号 

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年冬号(NO NUKES voice 改題 通巻41号)
紙の爆弾 2025年1月号増刊
A5判 132ページ(巻頭カラー4ページ+本文128ページ) 
定価770円(税込み) 2024年12月11日発売

[グラビア]輪島市門前町深見地区。5.2メートルもの隆起が確認できた(2024年9月8日 写真提供=北野進)

[グラビア]能登半島震災一年 隆起に沈む人と国(北野進)/復興進まず“棄民”の地(北村敏泰

樋口英明(元福井地裁裁判長)
[報告]2025年の脱原発 非力ではあるが、無力ではない

小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
[報告]核融合発電はできないし、やってもいけない
[講演]伊方原発を止める裁判闘争の歴史的・社会的意義

後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
[報告]福島第一原発事故炉 危機の真実 ペデスタル破損と溶融デブリの下で事故収束は可能か

山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
[報告]第七次エネルギー基本計画の何が問題か

────────────────────────────────────
《特集》避難対策は全国どこでも「絵に描いた餅」
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北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団長)
[講演]能登半島地震が実証した避難計画の破綻

石地 優(福井県若桜町・有機農業)
[報告]能登半島地震で何が起きていたのか 原発事故になれば避難はできません

阿部功志(茨城県東海村議会議員)
[報告]問題だらけの東海村避難計画 どうすれば「避難弱者」を救えるか

菅野みずえ(福島県浪江町・原発事故避難者)
[報告]福島の避難所で起きていた性被害 避難計画には女性の意見を!

森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
[報告]原発賠償関西訴訟・法廷で語られる真実 本人尋問が伝える「被害」と「避難」の実相
 
────────────────────────────────────

北村敏泰(ジャーナリスト)
[報告]脅かされる被災住民のいのちと生活 能登半島地震でも国や行政の“棄民”政策

和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
[講演]福島イノベーションコースト構想の真実〈後編〉「日本のハンフォード」になる福島

柳原敏夫(弁護士)
[報告]いま法律が危ない

平宮康広(元技術者)
[報告]水冷コンビナートの提案〈2〉

漆原牧久(脱被ばく実現ネットボランティア)
[報告]考えないようにすることで精神の安定を保っています  
3・11子ども甲状腺がん裁判第11回口頭弁論期日報告

三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
[報告]国家がせり出してくる時代 ── 希望は何処にあるか

板坂 剛(作家/舞踊家)
[報告]三島由紀夫生誕100年 死後54年に想う!

佐藤雅彦(翻訳家/ジャーナリスト)
[報告]原子力は地域社会に「核分裂」をもたらす

山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
[報告]山田悦子の語る世界〈25〉 絶望の時代《今》を生きる意味(上)

大今 歩(高校講師/農業)
[報告]「人為的CO2温暖化説」を止めない限り、原発は止まらない

再稼働阻止全国ネットワーク
核ゴミの行き場はない! 福島は終わっていない! 
沸騰水型原発の再稼動反対! 東電に原発動かす資格なし!

全国各地からの生の報告(全10本)
《青森》山田清彦(核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団)
 六ヶ所再処理工場とむつ中間貯蔵施設の実態
《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 再稼働反対11・2集会宣言(抗議声明)案(抜粋)
《福島》木幡ますみ(大熊町議)
 大熊町民の本音
《柏崎刈羽原発》桑原三恵(規制庁・規制委員会を監視する新潟の会)
 ”安全”ではありえない柏崎刈羽原発の再稼動
《日本原電》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 原発を動かす資格のない原電は廃炉作業に専念するよう求めます
《高浜原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
「9・23高浜全国集会」の報告と「12・8関電包囲大集会」の案内
《敦賀原発》山本雅彦(原発住民運動福井・嶺南センター事務局長)
 日本原電敦賀原発2号機の廃炉を要求する
《中国電力》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 活断層に囲まれた島根原発2号機の再稼働は中止すべきだ!
《四国電力》名出真一(伊方から原発をなくす会)
 伊方原発3号機の即時廃炉を!!
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 大地震の脅威を無視し原子力災害対策指針改訂でお茶を濁す原子力規制委員会

[反原発川柳]乱鬼龍

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

僕が放射性廃棄物の地層処分に反対する理由〈7〉最終回 使用済み核燃料棒は、地上で1000年保管する 平宮康広(元技術者)

◆2.4. 代替案

自民党富山県連が、富山県内での高レベル放射性廃棄物=ガラス固化体とTRU廃棄物の地層処分に反対する姿勢を見せてくれた後、僕はNUMOや経産省の職員に、「経産省資源エネルギー庁とNUMOは、無知と無能を組織化した反知性的集団である、高校生をアルバイトで雇い、サクラに仕立てて説明会を盛り上げる反社会的集団でもある」などというようになりました。

怒ったNUMOのある職員に、「あなたは無責任だ、我々の代が出した核のゴミは、我々の代に処分しなければならない、子孫にツケを回すことなどできない」などといわれ、経産省のある女性職員に、「そんなに私たちをバカにするのなら、賢いあなたが代替案を出してください」といわれたことがあります。

しかし、我々の代が出した核のゴミを我々の代に処分するなどというのは、思い上がりです。我々の代に、核のゴミ処分などできるはずがません。我々の代ができることは、ただちにすべての原発を停止し、これ以上核のゴミを出さないようにすることだけです。

それでも、キングギドラのような形相をした、経産省の怖い女性職員に、地層処分の代替案を出せと強いられました(ひょっとして、自民党富山県連が、僕以上に、無知だの無能だのといって罵ったのかもしれません)。

僕の代替案は、使用済み核燃料棒の1000年保管です。保管する場所は地上です。NUMOでさえ、使用済み核燃料の放射能は1000年後に100分の1になるといっています。地上で使用済み核燃料棒を1000年保管し、その後地層処分すればよい、これが僕の代替案です。

我々は、ふつう、科学者の発見の下で技術者が新しい発明をする、と考えます。しかし、技術者が新しい発明をした後、科学者がその発明の「科学」を事後説明する場合があります。そして、我々は、既存の科学の「壁」を打破して新しい発明をする人間存在を、「天才」と呼んでいるように思います。1000年間のどこかで、「天才」が放射能の半減期を人為的に短縮する方法を発明するかもしれません。

使用済み核燃料棒を地上で1000年保管し、処分を未来の天才に委ねることは、まちがいではないと考えます。仮に天才が登場しなくても、使用済み核燃料棒の放射能は1000年後に100分の1になるのはあきらかです。僕のような凡才にも対処できるでしょう(まあ、僕なら「もう1000年地上で保管しましょう」といいますけど!)。

使用済み核燃料棒の地上での1000年保管に技術上の困難はありません。コンクリートの耐用年数は100年しかないといい、それを根拠にして、地上での使用済み核燃料棒の1000年保管は困難である、という人がいます。ならば石材を使えばよい。世界には、1000年以上存在する石造物(石材建造物)が多数あります。イスタンブール市のソフィア大聖堂は約1500年前に建造された石造物で、西暦557年の大震災にも耐えました。しかも、エジプトのピラミッドとちがい、建造時の記録、建造後の記録がしっかり残っています。

ヴェネツィア市のサン・マルコ大聖堂や、アルセレナーレ(工房)も1000年以上前に建造された石造物です。アルセレナーレでは、2万5000名の労働者が働いていた、といわれてもいます。中世の技術から知見を得て、地上で使用済み核燃料棒を1000年保管することは可能です。

インドのパッタダカル寺院群やアイホーレ寺院群、エローラ石窟群やアジャンター石窟群も1000年以上前に建造された石造物と石窟の遺跡です。とりわけ石窟が参考になりそうです。小笠原諸島の父島列島にある婿島と弟島は無人島で、巨大な岩石ですが、エローラ石窟群やアジャンター石窟群から知見を得て石窟を掘ることは可能でしょう。

◆2.5. おわりに

放射性物質の崩壊熱は、時間に比例して小さくなります。原発敷地内で100~150年以上冷却すれば、使用済み核燃料の表面温度は気温と同程度になると考えられ、コンパクトなキャニスタ入れて、石窟での保管が可能になると思います。
廃炉を断念すれば、使用済み核燃料棒を原発敷地内で冷却することができ、中間貯蔵施設が不要になりますね。僕は、原発の廃炉=解体処分に大反対で、反対する理由を本誌に何度か寄稿しました。機会があれば、また寄稿したいと思います。

最後に、国会議員のみなさんに、お願いがひとつあります。最終処分法を改定していただきたい。最終処分法の改定作業は簡単です。「地下300m以深」という部分を、「地下300m以深の花崗岩層」と書き直すだけです。それだけで、原子力カルト教団と経産省資源エネルギー庁、NUMOの暴走に歯止めをかけることができます。

(僕は、文系の学者さんたちは、とりわけ法的側面で運動に貢献していただきたいと思っています。先日、長谷川公一さんという東北大学名誉教授の講演をビデオで視聴して、文系の学者さんたちを含む多数の学者さんたちの地層処分に対する日本学術会議の提言を知ったのですが、残念なことに、最終処分法への言及がなかったですね)

文系の学者さんたちには、TRU廃棄物や解体した原発=廃炉の炉心等金属類や制御棒の地下70m以深の処分(中深度処分)にも何らかの法的歯止めをかける努力もしていただきたいと思います。無知で無能で、そのくせ傲慢で卑怯者の原子力カルト教団、そして日本原電および経産省資源エネルギー庁とNUMOは、地下70m以深は泥岩層であると考えているでしょう。しかし、日本の礫層の深さはたいがい地下100m以深で、150m以深の場合がおそらく多い。地下70m以深が泥岩層であるとの保障はまったくありません。(おわり)

◎平宮康広 僕が放射性廃棄物の地層処分に反対する理由(全7回連載)
〈1〉日本原燃が再処理工場を新設する可能性
〈2〉ガラス固化体の発熱量は無視できても、地温は無視できない
〈3〉NUMOがいう地下300m以深の「岩盤」は、本当に「天然のバリア」なのか
〈4〉ガラス固化体以外の廃棄物が低レベル放射性廃棄物であるとの考えは、乱暴すぎる
〈5〉地震や豪雨・豪雪で地下水系は大きく変わる
〈6〉寿都町も神恵内村も玄海町も、その岩盤層は地層処分に適さない
〈7〉使用済み核燃料棒は、地上で1000年保管する

▼平宮康広(ひらみや・やすひろ)
1955年生まれ。元技術者。オールドウェーブの一員として原発反対運動に参加している。富山県在住。

 

『季節』2024年冬号 次の10年に向かって ── 季節編集委員会

本誌『季節』は前号で創刊から10周年を迎えました。10年前、世の中の機運が反(脱)原発に溢れ、会社の景気も良く、意気揚々と出発しましたが、新型コロナ急襲にて局面が変わりました。世の人々はコロナで狂わされた日々の生活に追われるあまり、反(脱)原発の機運も盛り上がらなくなりました。世の人々も私たちも、10年の半分の5年ほどはコロナ禍による業績不振に苦しんできました。

これを支えてくださったのは、福島現地の方々、避難され不自由な生活をされている方々、毎号現地からの活きたレポートを寄せてくださる方々らでした。さらには定期購読やご支援金で支えてくださる読者の皆様方にも助けられました。

半分(以上)は私たちみずからの力不足ではありますが、本誌は創刊以来一度も黒字になってはいません。常識的な経済原理からすると休廃刊もやむをえないところでしょうが、類似の雑誌もなく、小さくとも反(脱)原発の拠点として被災者、被災現地の生の声を伝えるメディアとして生き延び発行を継続していければ、と願っています。

今年も年末が近づいてまいりました。毎年思うのですが、被災地の方々、故郷から離れることを余儀なくされた方々らは、どのような想いで過ごされているのでしょうか。胸が詰まります。

そうしたこともあって、本誌でも毎号気持ちの入った書を巻頭に揮毫している、大学の後輩で書家の龍一郎と話し合い、わずかでも被災された方々と励まし合い、また一人でも世の方々にその想いを伝えようとして始めたのが鹿砦社カレンダーです。

それ相当の費用が掛かっていますが、私たちの想いが詰まったカレンダーですから無料で配布しています。数に限りはありますが、主に本誌の定期購読者を中心にお配りしています。今年も出来上がってまいりました。定期購読の方には同封しております。今、新たに定期購読をお申し込みされた方にも送ります。なくなればそこでストップとなります。毎年ほとんど余りません。

今夏は歴史的な猛暑でした。師走を迎え季節は冬に入っていきます。この冬の寒さはいかばかりでしょうか。寒さがいかに厳しいとしても、なんとしても乗り越え共に春を迎えましょう!

本誌『季節』は次の10年に向かって歩き始めました。この世から原発がなくなる日まで共に頑張りましょう!

2024年12月 季節編集委員会

12月11日発売 〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年冬号 

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年冬号(NO NUKES voice 改題 通巻41号)
紙の爆弾 2025年1月号増刊
A5判 132ページ(巻頭カラー4ページ+本文128ページ) 
定価770円(税込み) 2024年12月11日発売

[グラビア]輪島市門前町深見地区。5.2メートルもの隆起が確認できた(2024年9月8日 写真提供=北野進)

[グラビア]能登半島震災一年 隆起に沈む人と国(北野進)/復興進まず“棄民”の地(北村敏泰

樋口英明(元福井地裁裁判長)
[報告]2025年の脱原発 非力ではあるが、無力ではない

小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
[報告]核融合発電はできないし、やってもいけない
[講演]伊方原発を止める裁判闘争の歴史的・社会的意義

後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
[報告]福島第一原発事故炉 危機の真実 ペデスタル破損と溶融デブリの下で事故収束は可能か

山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
[報告]第七次エネルギー基本計画の何が問題か

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《特集》避難対策は全国どこでも「絵に描いた餅」
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北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団長)
[講演]能登半島地震が実証した避難計画の破綻

石地 優(福井県若桜町・有機農業)
[報告]能登半島地震で何が起きていたのか 原発事故になれば避難はできません

阿部功志(茨城県東海村議会議員)
[報告]問題だらけの東海村避難計画 どうすれば「避難弱者」を救えるか

菅野みずえ(福島県浪江町・原発事故避難者)
[報告]福島の避難所で起きていた性被害 避難計画には女性の意見を!

森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
[報告]原発賠償関西訴訟・法廷で語られる真実 本人尋問が伝える「被害」と「避難」の実相
 
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北村敏泰(ジャーナリスト)
[報告]脅かされる被災住民のいのちと生活 能登半島地震でも国や行政の“棄民”政策

和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
[講演]福島イノベーションコースト構想の真実〈後編〉「日本のハンフォード」になる福島

柳原敏夫(弁護士)
[報告]いま法律が危ない

平宮康広(元技術者)
[報告]水冷コンビナートの提案〈2〉

漆原牧久(脱被ばく実現ネットボランティア)
[報告]考えないようにすることで精神の安定を保っています  
3・11子ども甲状腺がん裁判第11回口頭弁論期日報告

三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
[報告]国家がせり出してくる時代 ── 希望は何処にあるか

板坂 剛(作家/舞踊家)
[報告]三島由紀夫生誕100年 死後54年に想う!

佐藤雅彦(翻訳家/ジャーナリスト)
[報告]原子力は地域社会に「核分裂」をもたらす

山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
[報告]山田悦子の語る世界〈25〉 絶望の時代《今》を生きる意味(上)

大今 歩(高校講師/農業)
[報告]「人為的CO2温暖化説」を止めない限り、原発は止まらない

再稼働阻止全国ネットワーク
核ゴミの行き場はない! 福島は終わっていない! 
沸騰水型原発の再稼動反対! 東電に原発動かす資格なし!

全国各地からの生の報告(全10本)
《青森》山田清彦(核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団)
 六ヶ所再処理工場とむつ中間貯蔵施設の実態
《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 再稼働反対11・2集会宣言(抗議声明)案(抜粋)
《福島》木幡ますみ(大熊町議)
 大熊町民の本音
《柏崎刈羽原発》桑原三恵(規制庁・規制委員会を監視する新潟の会)
 ”安全”ではありえない柏崎刈羽原発の再稼動
《日本原電》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 原発を動かす資格のない原電は廃炉作業に専念するよう求めます
《高浜原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
「9・23高浜全国集会」の報告と「12・8関電包囲大集会」の案内
《敦賀原発》山本雅彦(原発住民運動福井・嶺南センター事務局長)
 日本原電敦賀原発2号機の廃炉を要求する
《中国電力》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 活断層に囲まれた島根原発2号機の再稼働は中止すべきだ!
《四国電力》名出真一(伊方から原発をなくす会)
 伊方原発3号機の即時廃炉を!!
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 大地震の脅威を無視し原子力災害対策指針改訂でお茶を濁す原子力規制委員会

[反原発川柳]乱鬼龍

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

島根原発2号機の再稼働を強行した中国電力本店前で抗議行動 さとうしゅういち

中国電力は2024年12月7日、12年ぶりに島根原子力発電所2号機を再稼働させました。島根2号機は、2011年に大事故を起こした福島第一原発と同じ沸騰水型軽水炉です。女川原発に続いて沸騰水型では2基目の再稼働となります。

原子力規制員会の新安全基準に基づいて審査され、2024年10月23日に「テロ対策施設整備を5年以内に実施すること」を条件に正式に「合格」したことにはなっています。

しかし、以下の問題が残されています。(後述の中国電力前での抗議行動での各弁士のお話しと筆者自身の過去の選挙での政策から構成)

◆裁判所も指摘した避難計画の実効性のなさ

島根原発は全国でも唯一、県都=松江市にある原発です。山陰地方の人口の多くが、30km圏内にある松江市、出雲市、境港市に集中しています。もし事故になれば、住民は島根県西部や広島県、あるいは鳥取県東部方面に避難することになります。

だが、大震災による原発事故の場合、日本海と宍道湖・中海に囲まれた地域は孤立する危険があります。

また、広島県民にとっても他人事ではありません。多くの住民は自家用車で避難するとみられます。その場合は、途中で除染を受けることに建前ではなっています。だが、福島原発の周辺が町村部で人口が少なかったのに対し、島根の場合は避難人口が多い。大混雑が予想されます。そして、スクリーニング検査や除染をスルーして広島県内の避難先に向かう人が多数出るでしょう。

島根原発2号機再稼働を差し止める仮処分申請について裁判所でも、避難計画は実効性がないと断じています。ただ、事故が起きる可能性があるのを証明するのは原告=住民側の義務だ、などと言う理由で、仮処分申請を却下しています。

◆島根県内の活断層連動の危険

島根原発すぐそばには宍道断層があり、M7以上の地震を発生させる可能性が高いとされています

地震動を起こす断層面は、原発の直下にも広がっています。これは、能登半島大震災時の志賀原発よりもさらに厳しい状況です。

さらに、この活断層は鳥取県沖の活断層とも連動する可能性を中電自身も認めています

それこそ、100Km以上に渡って連動すれば、M8以上と言うこともありうる。ただ、能登半島沖の活断層同様、これまで研究が進んでいなかっただけです。それこそ、原発の直下の地盤も大きく変動する。安全装置など役に立たなくなる危険もある。避難どころではなくなる危険もあります。

原子力規制委員会はテロ対策施設以外については、2021年9月15日時点で合格としています。だが、能登半島大震災の教訓を十分に踏まえた知見とは言えないのではないでしょうか?

◆だれも責任を取らない原発

実は原発について、責任を取る人は決まっていません。原子力規制委員会も「基準に合格」と認定するだけです。「許可」をするわけではない。また、過去の判例でも例えば福島原発事故については、東京電力の責任は認めても、国の責任は認めていません。国が原発を推進してきたのですが、実際の運用は電力会社に任されている。そんな状態の物を動かせるのですか?ということです。

◆そもそも中国地方に原発は必要ない

百歩譲っても電力が足りない状況が生じえるのは、日本でも東京電力管内のそれも限られた時間帯です。AI関連のデータセンターで電力需要が増えると言うが、それなら遠方の原発から供給するのではなく近場での発電で賄った方が効率は良いでしょう。環境に配慮した形での再生可能エネルギー、つなぎとしての高効率火力発電。また、スマートグリッド、蓄電池などを進めて行けばよいのです。

また、東京周辺についてはそれこそ、人口が異常に集中しすぎているのが問題です。どうせ、狭い東京に電源を造るのに限界があるのですから、人口を分散させるしかない。「国会等の移転に関する法律」を速やかに実施し、政府機関の移転で人口の分散を図るべきです。

まして中国地方に原発を造るいわれはない。なお、これまで、核燃料税などで潤ってきた地元自治体に対しては国が責任をもって産業振興をすれば良いのです。また、原発廃炉に当たっては電力会社から国が原発を買い上げて責任をもって廃炉にすればいいのです(核燃料が財産として計上されている分も含め、国が保障する)。

◆中国電力前で抗議行動

再稼働の12月7日、「上関原発いらない!広島ネットワーク」など広島県や島根県の市民団体などは中国電力本店前で抗議行動を行いました。

広島に二番目に近い原発・島根原発。広島県民にとっても他人事ではありません。

そもそも、原爆の爆心地=広島1区の市民が選出=任命した衆院議員である岸田前総理が、安倍政権までの「脱原発依存」方針を転換してGX(グリーントランスフォーメーション)を錦の御旗に原発推進に一挙に舵を切りました。広島一区の有権者の責任でもあります。


◎[参考動画]島根原発再稼働に抗議 中国電力前 広島瀬戸内新聞(さとうしゅういち)

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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12月11日発売 〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年冬号 

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年冬号(NO NUKES voice 改題 通巻41号)
紙の爆弾 2025年1月号増刊
A5判 132ページ(巻頭カラー4ページ+本文128ページ) 
定価770円(税込み) 2024年12月11日発売

[グラビア]輪島市門前町深見地区。5.2メートルもの隆起が確認できた(2024年9月8日 写真提供=北野進)

[グラビア]能登半島震災一年 隆起に沈む人と国(北野進)/復興進まず“棄民”の地(北村敏泰

樋口英明(元福井地裁裁判長)
[報告]2025年の脱原発 非力ではあるが、無力ではない

小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
[報告]核融合発電はできないし、やってもいけない
[講演]伊方原発を止める裁判闘争の歴史的・社会的意義

後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
[報告]福島第一原発事故炉 危機の真実 ペデスタル破損と溶融デブリの下で事故収束は可能か

山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
[報告]第七次エネルギー基本計画の何が問題か

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《特集》避難対策は全国どこでも「絵に描いた餅」
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北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団長)
[講演]能登半島地震が実証した避難計画の破綻

石地 優(福井県若桜町・有機農業)
[報告]能登半島地震で何が起きていたのか 原発事故になれば避難はできません

阿部功志(茨城県東海村議会議員)
[報告]問題だらけの東海村避難計画 どうすれば「避難弱者」を救えるか

菅野みずえ(福島県浪江町・原発事故避難者)
[報告]福島の避難所で起きていた性被害 避難計画には女性の意見を!

森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
[報告]原発賠償関西訴訟・法廷で語られる真実 本人尋問が伝える「被害」と「避難」の実相
 
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北村敏泰(ジャーナリスト)
[報告]脅かされる被災住民のいのちと生活 能登半島地震でも国や行政の“棄民”政策

和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
[講演]福島イノベーションコースト構想の真実〈後編〉「日本のハンフォード」になる福島

柳原敏夫(弁護士)
[報告]いま法律が危ない

平宮康広(元技術者)
[報告]水冷コンビナートの提案〈2〉

漆原牧久(脱被ばく実現ネットボランティア)
[報告]考えないようにすることで精神の安定を保っています  
3・11子ども甲状腺がん裁判第11回口頭弁論期日報告

三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
[報告]国家がせり出してくる時代 ── 希望は何処にあるか

板坂 剛(作家/舞踊家)
[報告]三島由紀夫生誕100年 死後54年に想う!

佐藤雅彦(翻訳家/ジャーナリスト)
[報告]原子力は地域社会に「核分裂」をもたらす

山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
[報告]山田悦子の語る世界〈25〉 絶望の時代《今》を生きる意味(上)

大今 歩(高校講師/農業)
[報告]「人為的CO2温暖化説」を止めない限り、原発は止まらない

再稼働阻止全国ネットワーク
核ゴミの行き場はない! 福島は終わっていない! 
沸騰水型原発の再稼動反対! 東電に原発動かす資格なし!

全国各地からの生の報告(全10本)
《青森》山田清彦(核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団)
 六ヶ所再処理工場とむつ中間貯蔵施設の実態
《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 再稼働反対11・2集会宣言(抗議声明)案(抜粋)
《福島》木幡ますみ(大熊町議)
 大熊町民の本音
《柏崎刈羽原発》桑原三恵(規制庁・規制委員会を監視する新潟の会)
 ”安全”ではありえない柏崎刈羽原発の再稼動
《日本原電》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 原発を動かす資格のない原電は廃炉作業に専念するよう求めます
《高浜原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
「9・23高浜全国集会」の報告と「12・8関電包囲大集会」の案内
《敦賀原発》山本雅彦(原発住民運動福井・嶺南センター事務局長)
 日本原電敦賀原発2号機の廃炉を要求する
《中国電力》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 活断層に囲まれた島根原発2号機の再稼働は中止すべきだ!
《四国電力》名出真一(伊方から原発をなくす会)
 伊方原発3号機の即時廃炉を!!
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 大地震の脅威を無視し原子力災害対策指針改訂でお茶を濁す原子力規制委員会

[反原発川柳]乱鬼龍

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!