設立から6回目の興行、挑戦は続く全日本キックボクシング協会!

堀田春樹

瀬川琉は得意の左ストレートで主導権支配した判定勝利。
オーシャン・ウジハラ(氏原文男)は角谷祐介のスピードに付いて行けず判定負け。
野竹兄弟、兄の勇生は苦戦も好ファイト展開の引分け。
弟、生太郎はノックダウン奪った上、圧倒の展開も倒し切れない大差判定勝利。

◎SAMURAI WARRIORS 挑戦 2nd / 6月20日(金)後楽園ホール 17:15~21:26
主催:全日本キックボクシング協会 /

戦績はプログラムを参照にこの日の結果を加え、出身地年齢は調査不足で不詳です。

◆第12試合 60.5kg契約3回戦

全日本スーパーフェザー級チャンピオン.瀬川琉(稲城/ 60.35kg)22戦15勝(4KO)6敗1分   VS
アイドゥル(=金炳秀キムビョンス/2025年韓国HERO FIGHT優勝/ 60.35kg)
13戦6勝7敗
勝者:瀬川琉 / 判定3-0
主審:和田良覚
副審:竜矢30-28. 勝本30-28. 椎名29-28

初回はやや金炳秀が蹴りから圧力掛けた流れも、第2ラウンドには瀬川琉が左ストレートヒットで主導権を奪って、金炳秀は瀬川の左ストレートが怖くなったか前進が弱まった。金炳秀は元々ウェルター級で体格差もあって、62kgかライト級リミットの交渉から60.5kg契約に落ち着いたが、蹴りの距離感掴んだ瀬川のリズムは変わらず、金炳秀の蹴りも好ファイトに繋がり、瀬川が中盤から圧勝の流れとなった判定勝利。

瀬川琉は左ストレートで勝利を導いた

瀬川は「課題はメンタル的な部分で越えられなかった試合だったなと思います。第2ラウンドからちょっとずつ動けるようになってきた感じですね。でもトップに行こうと思ったら、まだ他団体のトップ選手と戦えないと思うので本当ちょっとショックです!」と周りから見るより本人の反省は多いが、好ファイトを展開したエース格としての成長は大きいだろう。

金炳秀は「瀬川選手の左ミドルキックが効きました。左の蹴りが強い!」と言い、ブロックした腕が痛そうだった。

瀬川琉の左ミドルキックが金炳秀に強烈にヒット、サウスポー瀬川の戦略が活きた

◆第11試合 ライト級3回戦

オーシャン・ウジハラ(氏原文男/無所属/ 60.9kg)28戦13勝(8KO)15敗
          VS
角谷祐介(ネクストレベル渋谷/ 60.9kg)26戦13勝10敗3分
勝者:角谷祐介 / 判定0-3
主審:少白竜
副審:竜矢28-30. 勝本27-30. 和田27-30

※「オーシャン・ウジハラは心センチャイジムとして2009年のWBCムエタイ日本フェザー級初代チャンピオン。角谷祐介はスックワンキントーン・スーパーフェザー級初代チャンピオン。」

角谷祐介のスピーディーなミドルキックやパンチ、ヒジ打ちに怯まず前に出るオーシャン・ウジハラだが、組んでも離れても角谷の勢いに圧され、角谷が大差判定勝利となった。

オーシャン・ウジハラは「前回と比べたら全然駄目でした。ダメージは無いけど疲れました!」と残念そうながらも明るく語るサッパリした表情でした。

角谷祐介のスピード、蹴りの圧力が優って氏原文男を圧倒

◆第10試合 スーパーライト級3回戦

全日本スーパーライト級6位.勇生(=野竹勇生/ウルブズスクワッド/19歳/ 63.35kg)
6戦4勝(3KO)2分
         VS
李導炫(イ・ドヒョン/韓国/ 63.0kg)5戦3勝1敗1分
引分け 三者三様
主審:椎名利一
副審:少白竜28-28. 竜矢28-29. 和田29-28

蹴りから圧力掛ける勇生だが、李導炫もパンチで勇生をコーナーに追い詰める圧力あり。勇生がハイキックやパンチで追い込んでも李導炫が怯まず反撃して来るアグレッシブな展開。流れ的には、勇生が後半やや攻勢で優ったかにも見えるが三者三様の引分け。一進一退の攻防は勇生にとっても良い経験になったと見られる。

勇生と李導炫の一進一退の若き戦い。勇生の右ミドルキックヒット
引分けとなった勇生と李導炫の攻防。いずれ再戦はあるだろう

◆第9試合 スーパーフェザー級3回戦

中村健甚(稲城/ 58.6kg)5戦1勝2敗2分
      VS
アハメド・ボーグリアーネ(フランス/ 58.6kg)1戦1勝(1KO)
勝者:アハメド・ボーグリアーネ / KO 2ラウンド 1分11秒
主審:勝本剛司

“アハメド・ボーグリアーネ”は英語圏とスペイン語圏では発音が全く違う場合あり。

アグレッシブな攻防が続く中、第2ラウンドにアハメドが中村健甚をロープ際に詰めたところでパンチではなくヒジ打ちがヒットし中村がノックダウン。背中越しで見えなかったが、パンチのようなバチンといった音でなく、ゴツンと当たる音だったという周辺。フラ付きながら立ち上がろうとするもカウントアウトされた。

中村健甚とアハメド・ボーグリアーネの攻防。勝負は一瞬だった

◆第8試合 67.0kg契約3回戦

カツヤ・ノラシンファミリー(Norasing Family/ 66.15kg)4戦2勝2敗
       VS
柳將元(=リュウ・ジャンウォン/韓国/ 65.9kg)4戦4勝
勝者:柳將元 / 判定0-3
主審:竜矢
副審:少白竜27-30. 椎名26-30. 勝本26-30

アグレッシブな攻防から徐々に柳將元の組んでのヒザ蹴りが効果的にヒット。第3ラウンドには柳將元のパンチか蹴りが(ハイキックの情報あり)ヒットし、カツヤがノックダウンも激しい攻防続く中終了。柳將元が大差判定勝利。

アグレッシブに攻めた柳將元のヒザ蹴りがヒット、カツヤは出遅れた

◆第7試合 ミドル級3回戦

KENTA・PUAKUTA・SHONBIN(DEAD HEAT/ 72.45kg)4戦1勝2敗1分
VS
一虎(=イーフー/1987年中国山東省出身/ 72.15kg)9戦6勝3敗
勝者:一虎 / 判定0-3
主審:和田良覚
副審:竜矢28-29. 椎名28-30. 勝本28-30

少林寺僧侶という一虎の左右のロングフックは豪快さがあった。KENTAもパンチ蹴りでアグレッシブに出るが、一虎も動じず蹴り返し、両者スタミナ消耗しながら第2ラウンドから勢い上げて来た一虎が攻勢維持して判定勝利。

両者全力で戦い抜いた中、調子付いた一虎がパンチで攻める攻勢

◆第6試合 63.0kg契約級3回戦

野竹生太郎(ウルブズスクワッド/ 62.85kg)3戦3勝
       VS
清宮拓(GODSIDE/ 62.9kg)9戦2勝(1KO)6敗1分
勝者:野竹生太郎 / 判定3-0
主審:少白竜
副審:和田30-26. 椎名30-26. 勝本30-26

初回、パンチとローキック、スピーディーに野竹生太郎が先手打ち、早々に左ハイキックでノックダウンを奪った。野竹が攻勢を維持し、多彩に攻めるも清宮拓を仕留めるには至らないもどかしさを残しながら優勢を維持した大差判定勝利。

初回、先手打った野竹生太郎がハイキックでノックダウンを奪った

◆第5試合 81.0kg契約3回戦

オマル・ファーレス(稲城/ 80.4kg)3戦1勝(1KO)2敗
      VS
ワグナー・カリオカ(ブラジル/ 80.3kg)10戦7勝3敗
勝者:オマル・ファーレス / KO 3ラウンド 1分59秒
主審:竜矢

初回、パンチ中心の攻防はややオマル・ファーレスが優り、第2ラウンドもオマルがパンチから蹴り、ヒザ蹴りで追い込み、右ストレートでワグナーは大きく仰け反ってスタンディングダウンとなってもいいぐらい後退するも、第3ラウンドにはオマルがパンチ連打でノックダウン奪い、精魂尽き果てたワグナーは蹲ったままテンカウントされ、オマルがKO勝利。

オマル・ファーレスがワグナー・カリオカを圧倒していくヒザ蹴り

◆第4試合 フェザー級3回戦

KAI・AKG(A-BLAZE KICK/ 57.1kg) 2戦2勝(1KO)
      VS
柳權(リュウ・グオン/韓国/ 56.4kg) 2戦1勝1敗
勝者:KAI・AKG / TKO 2ラウンド 2分48秒
主審: 椎名利一     

KAIのパンチ蹴りのヒットが優り、柳權の蹴られたら蹴り返す反撃も、KAIが上回るヒット。第2ラウンドもKAIの前蹴りか柳權がノックダウンの後、KAIのミドルキックがガードの上からでも強く蹴り込み、パンチ連打でノックダウンすると、ノーカウントのレフェリーストップとなった。

◆第3試合 65.0kg契約3回戦

小玉倭夢(無所属/ 64.7kg)2戦1勝1敗
      VS
亀田蓮(亀田同志会/ 63.7kg)1戦1敗
勝者:小玉倭夢 / 判定3-0 (30-28. 30-26. 30-27)

ローキックとロングフック中心の亀田蓮。組んでの崩しが上手い小玉倭夢が多彩に攻め大差判定勝利した。

◆第2試合 スーパーウェルター級3回戦

堀江耐志(Norasing Family/ 69.55kg)1戦1勝
      VS
蘆立亮太(YS’K YAMAGATA/ 69.3kg)2戦1勝1敗
勝者:堀江耐志 / 判定3-0 (30-27. 30-27. 30-27)

パンチの堀江耐志に蹴りで返した蘆立亮太。第3ラウンドにパンチでノックダウン奪った堀江耐志が判定勝利。

◆第1試合 スーパーバンタム級3回戦

渡邉獅生(JTクラブ/ 54.95kg)1戦1勝
      VS
ミツル(A X/ 55.15kg)3戦3敗
勝者:渡邉獅生 / 判定3-0 (30-26. 30-27. 30-26)

初回は渡邉獅生が圧倒した展開から倒し切れないミツルの踏ん張り。第3ラウンドにパンチで圧倒からフォロー的にハイキックで圧した形でノックダウン奪って判定勝利。

《取材戦記》

先回キック興行の「NJKF、6月の戦いKING OF CHALLENGER、WBCムエタイ世界戦開催!」記事において“三日月蹴り”を“三ヶ月蹴り”と書いておりました。文字打ち間違いで意識から外れていましたこと申し訳ありません。

本日の全日本キックボクシング協会、今年2回目の興行「SAMURAI WARRIORS 挑戦2nd」韓国、中国、フランス、ブラジルと国際色豊かなカードとなった今回の興行。ライバル的存在ながら韓国選手の強さと粘りが進化した近年であり、交流戦としても充実した存在となるだろう。

瀬川琉が左ストレートで持ち味発揮した勝利は協会エース格の存在感を示した。野竹兄弟は課題を残しながらも今後の成長に注目の存在感を示した。

氏原文男は試合前、「オーシャン・ウジハラとして上に行きます!」と元チャンピオンとしての再浮上を宣言していたが、もどかしい展開で完敗。ただ心は折れていない表情。全日本キックボクシング協会で3連敗となったが、心身ともにまだ戦える様子。ベテランが勝ち星から遠ざかっても現役を続けられるキックボクシング界ではあるが、まだ39歳として頑張って欲しい。

今回の興行で二つのジムが加盟し、現在29のジムとなりました(韓国のSAMSAN含む)。昭和から続く名門のジムは無いが、新しいジム中心に令和時代ををどう盛り上げて行けるか。

「どうやれば客が入るか考え行動しなけらばならない!」と助言する関係者も居る中、次回の全日本キックボクシング協会「SAMURAI WARRIORS 挑戦 3rd」は10月5日に後楽園ホールに於いて初の日曜日枠確保となって開催されます。メインイベンターは瀬川琉か、野竹兄弟、広翔の出場はあるか。今後、後楽園ホールを満員にするスターは生まれるか。この団体の確立した競技を目指す姿勢に期待するファン、関係者は多いでしょう。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

NJKF 6月の戦い KING OF CHALLENGER、WBCムエタイ世界戦開催!

堀田春樹

大田拓真が技と駆引きで優ったノックアウトでWBCムエタイ世界王座奪取。
星拓海が嵐にノックアウト勝利の番狂わせで王座獲得。
繋那が落ち着いた攻防で藤井昴を倒したTKOで王座獲得。
オープンフィンガーグローブの吉田凛汰朗vs健太は壮絶な打ち合いの末、無判定引分け。

◎KING OF CHALLENGER / 6月8日(日)後楽園ホール17:15~21:26
主催:オフィス超合金 / 認定:NJKF、WBCムエタイバンコク本部
放送:U-NEXT

この記事では最初の試合を第1とし、ナンバーはプログラムと異なっています。

◆第9試合 WBCムエタイ世界フェザー級タイトルマッチ 5回戦

選手権者.アントニオ・オルデン(1991.10.14スペイン・マドリード出身/ 56.95kg)
51戦43勝(7KO)7敗1分
          VS
挑戦者9位.大田拓真(新興ムエタイ/1999.6.21神奈川県出身/ 56.95kg)
42戦32勝(11KO)8敗2分
勝者:大田拓真 / KO 3ラウンド 1分49秒
スーパーバイザー:山根千抄(日本)
主審:パリン・ハンタナブーン(タイ)
副審:テーチャカリン・チューワタナ(タイ)、中山宏美(日本)、宮沢誠(日本)

両者の蹴りの距離からパンチに入る牽制の様子見。徐々に大田拓真の良い動きで組み合ってもウェイト乗せた攻防は優っていく印象。狙って打つ蹴る大田がリズム掴み、アントニオ・オルデンも初回から手数あるが大田を圧せない中、第3ラウンドには大田がオルデンをニュートラルコーナーに追い込む流れで右前蹴りとなる三ヶ月蹴りを蹴り込むと、オルデンは苦しそうにノックダウン。レフェリーのパリン氏はカウント6で試合をストップした。

大田拓真がアントニオ・オルデンを追い込んでいく中、この後三ヶ月蹴りが入る
三ヶ月蹴りを喰らって一瞬の間を置いて蹲ったアントニオ・オルデン

大田拓真はリング上のコメントで「世界一の実感はないですけど、とにかく嬉しいです。まだ僕はこれからも、もっと上を目指していきます。」と語った。

連盟代表で新興ムエタイジムの坂上顕二会長は「世界戦は実力だけじゃ獲れなくて、いろいろな壁を乗り越えていく中で、しっかり作戦どおり力出してくれたので、もうおめでとうと言いたいだけですね。」

「最後の三ヶ月蹴りは、あれで絶対嫌がると思うからいろいろな攻撃パターンが生まれる中で、大体作戦がハマっていたところでしたね。」

獲りたかったWBCムエタイ世界のベルト、まだ先の挑戦は続く大田拓真

防衛戦については「WBCムエタイ本部から指名して来るので、アントニオ・オルデンの奪還戦になるか、他の海外の選手になるか、そして日本でやるかスペインでやるか、いずれも倒してしまえば文句無いのでどこでやろうと防衛戦はしっかりやっていきたいですね。」と語られました。

アントニオ・オルデン陣営の通訳されました川久保悠(伊原プロモーション)氏は「オルデン選手は試合はコントロール出来ていたので、あの三ヶ月蹴り貰ったのは凄く勿体無かったと言い、第4~5ラウンドに進んでいれば、そこでの展開は自信があった様子で、奪還戦についてはぜひ挑戦したいと言っていました。」ということでした。

◆第8試合 第9代WBCムエタイ日本バンタム級王座決定戦 5回戦

1位.嵐(=坂本嵐/KING/2005.4.26東京都出身/ 53.45kg)19戦13勝(6KO)4敗2分
VS
3位.星拓海(IDEAL/2005.7.26東京都出身/ 53.5kg)11戦8勝(3KO)2敗1分
勝者:星拓海 / KO 3ラウンド 2分22秒
主審: 宮沢誠

ローキックでの探り合いからミドルキックへ繋ぐ嵐。星拓海は焦りも怯みも無く蹴り返していく。第1ラウンド終盤に嵐が攻勢掛けたのはマストシステムでの印象点掴む戦略もあっただろう。

第2ラウンドも嵐から上下変化掛けながら蹴って出ても、星拓海もダメージ無く蹴り返す展開。徐々にリズムに乗って来たのは星拓海。飛びヒザ蹴りも繰り出し、第3ラウンドには三ヶ月蹴りと言われる前蹴りで嵐は蹲ってしまった。そのまま苦しそうにテンカウントを聞いた嵐。トップに立つと常勝は難しくなる壁でもあるだろう。

嵐にプレッシャーを掛ける星拓海、意外と強く下がらない攻防を続けた
星拓海が三ヶ月蹴りをヒットさせた後、嵐は崩れ落ちた

星拓海は「ボディーブローが効いた様子が有ったので三ヶ月蹴りで追い打ちを掛けました。」と語った。更に防衛戦は重ねて行きたいと言う。そこから大田拓真のように上位へのチャンスも生まれるだろう。

まだ日本タイトルながら、このまま大田拓真に続けるか

◆第7試合 オープンフィンガーグローブマッチ スーパーライト級3回戦(延長2R)

NJKFスーパーライト級チャンピオン.吉田凜汰朗(VERTEX/2000.1.31茨城県出身/ 63.2kg)
29戦13勝(3KO)10敗6分
       VS
健太(=山田健太/E.S.G/元・WBCMウェルター級Champ/1987.6.26群馬県出身/ 63.3kg)
125戦68勝(21KO)49敗8分 
裁定は「無判定引分け」延長2ラウンド、計5ラウンドまで経過
主審:中山宏美

凄惨な試合となった。正攻法な二人だけに乱戦にはならないが、薄いグローブの影響は現れて行った。アゴにヒットして脳震盪を起こさなければ倒れないであろう中、健太の方の顔がボコボコになっていき、額を切り、鼻血を流し、口の中も切った流血も酷くなる流れ。ヒザ蹴りもタイミングよくボディーヒットさせた吉田凛汰朗。3回戦制ではあったが、判定されたとしたら吉田凛汰朗の優勢だろうか。KO決着の為、延長戦、再延長戦と進むも吉田凛汰朗がやや優勢の中、無判定引分けとなった。

吉田凛汰朗の指が健太の鼻の穴へ、サミングも起きやすいオープンフィンガーグローブ
血みどろの戦い、両者我慢強いからボコボコになりながら最後まで倒れなかった

健太は「もう僕はトップを目指せません。そしてもう目指してもいません。」と宣言。

「この試合が最後か分からないですけれど、人間はブレるので“辞めます詐欺”するかもしれないですけれど、その時は悪しからず。」と引退を匂わせながら現役継続とも取れるコメントを残した。

◆宮越慶二郎引退式

宮越慶二郎は過去NJKFライト級、WBCムエタイ・ライト級、WBCムエタイ・インターナショナル・ライト級王座を獲得。46戦29勝14敗3分。この戦績を通じて人生を教えて貰いましたという想いを語り、キックボクシングに僕なりの恩返しをしたいと思います。第二の人生に御期待ください」と挨拶し、テンカウントゴングに送られました。

◆第6試合 第11代NJKFスーパーバンタム級王座決定戦 5回戦

2位.繁那(R.S/2004.1.28京都府出身/ 55.3kg)17戦13勝(8KO)2敗2分
VS
3位藤井昴(KING/東京都江戸川区出身19歳/ 55.0kg)前戦含む6戦3勝(1KO)1敗2分
勝者:繁那 / TKO 1ラウンド 1分30秒
主審:宮沢誠

両者は2024年11月10日に対戦し引分けている中での再戦となる王座決定戦。

ローキックで藤井昴の脚を攻めバランス崩させる繁那。藤井がローキックを返すと繁那は左ストレート打ち込む。すでに繋那の圧力が活かされている展開。藤井の動きは悪くないが、繋那の距離感に嵌っている中、繋那は右ジャブから左ストレートでノックダウンを奪った。

繋那は冷静に試合を進め、左ストレートをヒットさせた

再開後、すぐに向かわなかった繋那。藤井の出方を窺い、出て来る藤井に左ストレートを打ち込み二度目のノックダウンを奪い、立ってもフラ付く藤井をレフェリーはカウント中にストップを掛けた。

NJKF王座獲得となった繋那は次なる王座はWBCムエタイ、日本と世界か

◆第5試合 52.0kg契約3回戦

NJKFフライ級チャンピオン.西田光汰(西田/2001.2.13愛知県出身/ 52.0kg)
13戦8勝(1KO)4敗1分 
VS
NJKFフライ級6位.明夢(新興ムエタイ/ 51.75kg)14戦5勝(1KO)6敗3分
勝者:明夢 / 判定0-2
主審:児島真人
副審:梅下29-30. テーチャカリン29-30. 宮沢29-29

西田光汰は当初、永井雷智との初防衛戦が決まっていたが、永井の負傷欠場により、明夢とノンタイトル戦となった。

西田光汰の蹴りパンチ攻勢に明夢が劣らず着いていく展開。蹴り合っても首相撲となっても引けを取らない明夢。互角に蹴りパンチが続き、西田のコンビネーションブローの見せ場もある中、明夢の表情が強気に見えた。際どい採点ながら明夢が番狂わせを起こす判定勝利となった。西田はこのリングでは(正確にはマット生地)滑り易いのか、蹴っても滑って転ぶシーンが目立った。

◆第4試合 バンタム級3回戦(EX1)

山脇飛翼(K-1ジム心斎橋チームレパード/2001.10.31大阪府八尾市出身/ 53.3kg)
14戦 9勝(4KO) 4敗 1分
VS
サンチャイ・テッペンジム(元・ラジャダムナン系ミニマム級Champ/1988.5.30タイ国ソンクラー県出身/ 53.0kg)295戦222勝(89KO)70敗3分
勝者:山脇飛翼 / KO 3ラウンド 29秒
主審:中山宏美

山脇飛翼は4月27日に嵐に判定負けも、ローキックで嵐を苦しめた強気の展開。その勢いでサンチャイをローキックでジワジワ攻め、ヒザ蹴りやミドルキックも加えて最後はローキックでサンチャイを倒し切り、テンカウントを聞かせた。

◆第3試合 スーパーバンタム級3回戦(EX1)

NJKFスーパーバンタム級6位.王清志(新興ムエタイ/ 55.1kg)24戦10勝(3KO)13敗1分
VS
NJKFスーパーバンタム級7位.中島大翔(GETOVER/ 55.3kg)12戦5勝(1KO)5敗2分
勝者:中島大翔 / 判定0-3 (27-30. 28-29. 28-30)

◆第2試合 女子ミネルヴァ48.5kg契約3回戦(2分制)

山崎希恵(クロスポイント吉祥寺/28歳/ 48.25kg)4戦2勝1敗1分
      VS
あゆな(笹羅/22歳/ 47.9kg)2戦1敗1分
引分け 1-0 (29-29. 29-28. 29-29)

◆第1試合 フェザー級3回戦

陽平(TAKEDA/15歳/ 56.6kg)1戦1勝(1KO)
     VS
高嶋隆一(PIT/25歳/ 55.6kg)1戦1敗
勝者:陽平 / TKO 1ラウンド 2分28秒

高嶋隆一がアグレッシブな猛攻だったが、距離感掴んだ陽平が蹴り返し、ヒザ蹴りやパンチ連打で高嶋を追い込み、顔面ヒザ蹴りで圧倒すると高嶋はノックダウンとなってカウント中にレフェリーストップとなった。

《取材戦記》

戦績は前回興行結果と今回のプログラムを参照し、この日の結果を加えています。プログラムに曖昧な部分が発生しており、正確さには欠けますが参考まで。

今回、繁那に敗れた藤井昴は4月21日のトーナメント準決勝での中島凛太郎との対戦で、股間ローブローによる試合続行不可能となり、「判定2-1で負傷判定勝利」とアナウンスがありました。公式記録も確認しましたが、そのとおり。私どもは藤井昴の負傷判定勝利と記載しました。

しかし、後のNJKFからのリリースで試合結果は、「ノーコンテスト。トーナメントの為、1R途中までの採点となり藤井が 2-0 で勝利」という発表がありました。

すでにこのリリースに矛盾した部分はあり、気が付く人は解り、解らない人は解らないままと思いますが、諸事情で敢えて突っ込みはしませんが御容赦ください。2-1が2-0になっている部分だけはNJKF側の誤記かと思います。マストシステムですから。

なお、今回のプログラムに藤井昴だけ戦績が更新されていない様子でした。記載忘れでなく以上の結果を考慮したものと考えられます。

“ノーコンテスト(無効試合)”という裁定を戦績に含むか含まないかは、いろいろな解釈があると思います。

「原因に係わらず試合していないのと同じという意味で戦績に含まない。」

「天変地異など災害によるノーコンテストは戦績に含まない。試合中の偶然のアクシデントによるものは戦績に含む。」などなど。

吉田凛汰朗vs健太戦は2月2日のタイトルマッチを行ない、吉田が僅差で勝利し初防衛しましたが、不可解な判定の疑念が残り、今回、ノンタイトル戦、オープンフィンガーグローブ使用で再戦。過去1勝1敗の決着戦となったが、KO決着のみの無判定試合と制定されました。これは法の下で活動する本場ムエタイ式に言えばカテゴリー外れ(違法ではないが)。プロボクシングJBC管轄下に例えれば認められないグローブ。キックボクシングはプロモーター主体の競技で規制無く実行出来てしまいます。

試合中、「死ぬまでやらせるのか!」といった野次も飛び交ったという。白いマットが鮮血で染まっていくオープンフィンガーグローブ使用の試合は、サミングも起こり易く、今後も行なわれるのか疑問が残るルールです。

大田拓真のWBCムエタイ世界王座獲得としては、2014年11月15日の大和哲也と梅野源治以来となりました。まだ世界の頂点という実感は無いと言う中、今後も防衛戦やONEでの参戦で結果を残しながらと世界の頂点を極めていく心構えである。

NJKF次回本興行は9月28日(日)に後楽園ホールに於いて武田幸三主宰CHALLENGERシリーズが行われます。

関西版は7月20日には大阪府堺市で誠至会興行「NJKF 2025 west 3rd」が開催予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

格闘群雄伝〈39〉新妻聡 ── 肉体言語を貫いた野武士[前編]

堀田春樹

◆「先生と呼ばれるよりチャンピオンと呼ばれたい!」

元・WKBA世界スーパーライト級チャンピオン、新妻聡は1967年(昭和42年)3月27日、東京都三鷹市出身。沢村忠に似た風貌と言葉少なに肉体言語を貫き、日本ライト級王座に君臨。更に日本人初のWKBA世界王座奪取を達成。ファンの記憶に残る数々の名勝負は、かつての昭和の泥臭さが漂っていた。肉体言語を貫く拘りには、マイクアピール、パフォーマンスは一切やらない、戦いで語る信念があった。だが、言葉少ない中でもプライベートでは明るく、お茶目で人懐っこい人物である。

幼い頃はあまり勉強せず身体動かすのが好きだったという。小学校から中学3年生までは野球。高校から柔道を習い、日本体育大学へ進学。教員になることを勧められていたが、「先生と呼ばれるよりチャンピオンと呼ばれたい!」という希望からプロ格闘技の道を選んだ。

キックボクシングを選んだ理由は「メジャーとかマイナーとか関係無く、キックボクシングが一番強いだろう!」という強さへの憧れだった。

大学の柔道部の合宿所に泊っていた頃、合宿所のすぐ脇の通りを目黒駅行のバスが走っていた。そのバス一本で目黒駅まで行ける路線の、その手前の権之助坂で降りるだけ。目黒ジムを選んだのはそれだけの理由で、大学4年になる前の1988年3月、迷わず入門した。

◆痛いスタート

入門すると、柔道で鍛え上げられた基礎体力もあって半年後、同年9月に早くもプロデビュー戦を迎えた。

「柔道部合宿所で結構ボロクソに痛めつけられているから、どうってこと無いだろうと思っていたらプロの世界は厳しかった。バックドロップを試みたが、背中から落ちるだけでダメージを与えられるものではなく、柔道の内股かけて投げたらレフェリーに厳重注意され、その後ボコボコに殴られてKO負けでした!」という痛いプロデビューだった。

同年11月、第2戦目は当初、新人王トーナメント戦で、相手の欠場で代打出場となったが、デビュー戦で負けてるのに出場はカッコ悪く辞退するつもりが、ジムの先輩、日本バンタム級チャンピオンの鴇稔之さんが自身のV2防衛戦控えているのに、時間掛けていろいろ指導してくれていた中、その熱意に応える為にも出場に踏み切ったという。相手は3戦3勝だった。

「投げは反則だけど、2回投げたら減点取られるから1回だけやれ!」とトレーナーらの暗黙の了解があった。それを鵜?みにして内股掛けて投げたら相手は後頭部打って立てなくなってしまった。勝ったと思って「やった~!」とガッツポーズしたところが反則失格負けを宣せられ、これで2戦2敗である。

1989年に入ると団体側(隆盛を誇った時期もあったMA日本キックボクシング連盟)の運営崩壊で新春から興行が無くなった頃だった。新妻聡は名門目黒ジムが進む先に興行は必ずあると見込み、逆に徹底的に練習量を増やした頃だった。その成果で興行再開後の3戦目はKO勝ち。4戦目は判定勝利。5戦目は粘り強い相手に第3ラウンドに劣勢になって際どくも判定で逃げ切った試合だったが、これで5戦3勝2敗でようやく白星先行となったところでタイ遠征に向かうことになった。

飯塚健(治政館)戦、この試合に勝って1位に上昇した新妻聡(1990.12.15)

◆タイ遠征から躍進

当時の目黒ジムの野口和子代表には「タイでは試合しないように!」と忠告されていたが、向かったチューワタナジムは試合を控える強い選手が多く、皆トレーナーは忙しくて、新妻聡には誰もミットも持ってくれなければ首相撲の相手にもなってくれない。これではタイに来た意味が無いと考えた末に、「試合したいです!」とチューワタナジムのアンモー会長に直訴した。それはすんなり受け入れてくれたが、ここから選手やトレーナーの寄ってたかって思った以上の鬼のようなしごきが始まったという。

やがてアンモー会長から「ラジャダムナンスタジアムで試合が決まったぞ!」と言われた時は緊張が走った。当時はとてつもない強豪が集まる殿堂スタジアムという先入観があり、「日本で5戦3勝2敗の俺がラジャダムナンスタジアム出場なんて、アンモー会長はマイペンライナ(大丈夫、大丈夫!)としか言わないし、本当怖かったですよ!」と当時の心境だった。

でもラジャダムナンスタジアムと言っても日曜日の昼興行は新人戦で、それは後で知ったことだった。

初めてのタイ、初めてのラジャダムナンスタジアムでの試合。新人戦でも選手層の厚さからレベルは高いのは当然だった。けど全力で立ち向かえば為せば成ると、「第1ラウンド、左フック一発でKOしちゃった!」と語る。

帰国第一戦がタイ行く前に対戦した相手だったが、今度は5回戦だった。長丁場になると相手から見ればはスタミナ的に有利だったかもしれない。でもタイで勝って自信付いたのか、しごかれたことで実力アップしたのか、圧倒の第1ラウンドKO勝利。実力急上昇が実証された試合だった。

セコンド後ろ姿はトレーナー時代が長かった藤本勲氏、沢村忠時代から目黒の象徴であった(1991.5.24)
日本ランキング戦は負けることなく長く1位をキープ(1991.5.24)
タイの実力者、日本人キラー、パントーン・ソムチャイにも勝利した新妻聡(1992.5.23)

◆メインイベンターへの道

その後も上位ランカー飯塚健を下し、日本ライト級1位に上昇。当時のチャンピオンは同門の先輩、飛鳥信也で、この1位留まりは3年ほど続いた。同門対決は基本的には行なわれないが、トーナメント戦やタイトルマッチは例外とされる。しかし新妻聡は「尊敬する先輩と戦う気は無い!」という姿勢も見せていた。練習を共にし、多くの指導をしてくれた先輩との対戦を想定することは出来ない様子だった。

1994年7月16日には、世界挑戦に向けた飛鳥信也が返上した日本ライト級王座をハンマー松井(花澤)と争い、判定勝利で初の王座獲得となったが、それまでも日本人ランカー、階級を越えた対決や、伝説のスーパースター、サーマート・パヤックアルンやラジャダムナン系ライト級チャンピオン、ゲントーン・ギャットモンテープ(タイ)、オランダのノエル・バンデン・ファウベルら名声有る強豪と激闘も残すことが出来、マッチメイクに恵まれた時代でもあった。

日本ライト級王座決定戦でハンマー松井と対戦、激闘を制して初の王座獲得(1994.7.16)
目黒ジム色が強いスリーショット、当時のMA日本キック連盟代表の藤本勲、新妻聡、小島弘光レフェリー(1994.7.16)

次回、後編ではその戦いの軌跡を紹介します。(つづく)

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▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

恒例の市原ジム興行、今年のメインイベンターは勇成!

堀田春樹

一昨年のメインイベンターは睦雅。昨年は皆川裕哉。今年は、皆川裕哉からタイトル奪取した勇成が務めて圧倒のノックアウト勝利を飾った。
市原ジムの主力選手である菊地拓人はアグレッシブな攻防の末、判定負け。

◎Road to KING3 / 5月25日(日)市原臨海体育館16:00~19:10
主催:市原ジム / 認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)

戦績は主催者発表にこの日の結果を加えています。

◆第11試合 57.5kg契約 5回戦

ジャパンキック協会フェザー級チャンピオン.勇成(Formed/2005.8.17福岡県出身/ 57.4kg)11戦10勝(7KO)1敗
        vs
ヌアシラーS.R.K(タイ/23歳 57.25kg)89戦60勝27敗2分
勝者:勇成 / KO 2ラウンド 33秒
主審:椎名利一

ヌアシラーS.R.Kは元・タイ国True4Uバンタム級8位で、True4Uはテレビチャンネルの一つです。

先手を打つ勇成の左ミドルからハイキック。ヌアシラーは蹴り返しても勇成に圧され気味。組み合っても離れても勇成が先手を打つ前進が目立つ。ヌアシラーは不意を突くヒジ打ちや、組み合った際の崩し転ばしは上手を行くが、勇成もヒジ打ちは上手く、前蹴りから左ボディブローも入れて落ち着いて捌く。

左ボディブローも何度も強くヒットさせた勇成

第2ラウンドにも勇成が前進気味の中、接近戦でヒジ打ちの相打ちのような流れで勇成が左ヒジ打ちをヌアシラーのアゴに打ち込み、効いてしまったヌアシラーはゆっくり立ち上がるもカウントアウト。勇成が圧倒した展開でノックアウト勝利となった。

重なって見えないが、最後は左ヒジ打ちがヌアシラーのアゴにヒット
勇成のヒジ打ちヒット後、ヌアシラーは後方に崩れ落ちた

勇成は試合後、応援団に囲まれながら「1ラウンド目はちょっと固かったんですけど、2ラウンド目は少し修正出来て上手く倒せて良かったと思います!」という感想。

次戦については「次の試合は決まって無いですけど、怪我も無いのですぐやれるのでまた頑張ります!」と応えた。

◆第10試合 65.0kg契約3回戦

ペップンミー・ビクトリージム(タイ/24歳/ 64.75kg)66戦51勝(16KO)15敗
        vs
中尾満(エイワスポーツ/ 1984.1.18千葉県出身/64.7kg)62戦22勝(8KO)34敗6分
勝者:ペップンミー・ビクトリージム / KO 1ラウンド 2分8秒
主審:少白竜

ペップンミーは元・タイ国ムエサヤーム・イサーン地区フライ級2位。
中尾満は新日本キック協会での元・日本ライト級暫定チャンピオン。

両者ローキック中心の蹴りの牽制から、中尾満がいきなりボディーへ左ストレートを打ち込むと、ペップンミーはカウンターの右ミドルキックが交錯。中尾は大きくバランスを崩して吹っ飛ぶように後退。更に蹴りの攻防が続く中、中尾は更に左ストレートを打ち込みヒットを狙う。

中尾満の左ボディブローにペップンミーは右ミドルキックを合わせた

ペップンミーは読みが深く、まともには喰わない。そんな打ち合いの距離の中、ペップンミーの左ヒジ打ちが中尾のアゴにカウンターヒットすると、中尾は倒れ込み立ち上がれずカウントアウトされてしまった。

これも重なってしまったが、ペップンミーの左ヒジ打ちで中尾満は崩れ落ちた

試合前の煽り映像で、「百戦錬磨という意味で目標は100戦。ムエタイスタイルの中での、パンチで倒しに行くスタイル(ムエマッド)で戦っていきたいと思います。」と語っていたとおりのパンチを打ち込む踏込みは勢いがあったが、捌くペップンミーも上手かった。

◆第9試合 ライト級3回戦

ジャパンキック協会ライト級2位.菊地拓人(市原/千葉県市原市出身25歳/ 61.0kg)
9戦6勝(3KO)3敗
        vs
NJKFスーパーフェザー級6位.匠(=小林匠/キング/東京都出身23歳/ 60.9kg)
10戦7勝(2KO)2敗1分
勝者:匠 / 判定0-2
主審:勝本剛司      
副審:椎名29-29. 中山28-29. 少白竜29-30

先手を打った菊地拓人が、パンチで圧力掛けて匠をロープ際に追い込むが、匠は蹴りでジワジワ前進。菊地の出方に合わせて蹴りとパンチで巻き返す匠。更に組み合ってからの足払いで菊地を引っくり返すテクニックも見せた。

菊地拓人がアグレッシブに前進も、匠も応戦して巻き返した

第2ラウンドも菊地が攻めても匠は怯まず攻め返して来る圧力に攻め倦む菊地。

第3ラウンドに入っても流れは変わらずも、終盤は菊地がパンチラッシュを仕掛けるが、流れを変えるに至らず、匠は巧みに攻めた技で判定勝利。

菊地拓人の出方に合わせてヒザ蹴りもヒットさせた匠

勝利した匠は「最初は自分がコントロールして後半勝負の戦略も、相手が最初からガンガン来て呑まれちゃって、対抗するしかないなと何とかローキックとパンチで我武者羅に打っていただけなんですけど、練習で散々追い込まれて来たので、そのスタミナ成果が出せたかなと思います。最後は結構グダグダしちゃったんでもっと練習します!」と応えました。

試合前の煽り映像でも「噛み合うと思っているんで、ヌルイ試合しないでバチバチにやり合いましょう!」と言っていたとおりの好ファイトになった。いずれ再戦しても見応えある展開になるだろう。

◆第8試合 女子ミネルヴァ・ピン級3回戦(2分制)

アトム級1位.祥子JSK(治政館/1983.12.3埼玉県出身/45.3kg)31戦10勝19敗2分
         vs
ペーパー級4位.Uver∞miyU(T-KIX/静岡県出身25歳/45.25kg)17戦5勝11敗1分
勝者:祥子JSK / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:椎名30-28. 勝本30-28. 少白竜30-28

長身の祥子の蹴りの距離感が良く、タイミングよくミドルキックがヒットする。距離が近づくとパンチもヒットし、ウーバーミユの左目辺りが腫れだした。

第2ラウンド以降も祥子の主導権は変わらず距離感掴んで蹴り中心に攻め優って判定勝利。

蹴りの距離感掴んだ祥子JSKが右ミドルキックヒット、主導権を完全に掴んだ

◆第7試合 ミドル級3回戦

白井大也(市原/千葉県市原市出身22歳 72.35kg)5戦2勝(1KO)1敗2分
      vs
MOTOKI(レジェンドドラゴン/愛知県出身22歳/ 67.85kg)5戦3勝(1KO)2敗
勝者:MOTOKI / KO 2ラウンド 1分45秒
主審:少白竜

初回は互角に蹴り合う両者。第2ラウンドもアグレッシブに蹴り合い、組み合った際のMOTOKIのヒザ蹴り、もしくはミドルキックか、白井大地のボディーにヒット、後退りするように赤コーナーに向かって蹲るとそのままテンカウントされ、MOTOKIのノックアウト勝利となった。

MOTOKIが白井大地へのボディー攻め、ノックアウトへの感触を掴む

◆第6試合 バンタム級3回戦
 
花澤一成(市原/2004.4.9千葉県市原市出身/ 53.4kg)11戦2勝(2KO)6敗3分
      vs
木部晴太(尚武会/三重県出身21歳/ 53.2kg)1戦1敗
勝者:花澤一成 / KO 1ラウンド 2分35秒
主審:椎名利一

花澤一成は蹴りで距離感を保ち、ローキック、ミドルキック使い分けリズムを掴んだ試合運びが上手い。前蹴りで突き放し、飛びヒザ蹴りも高く二度繰り出し、三度目はやや低くも飛び上がり気味のヒザ蹴りで木部晴太のボディーにヒットさせノックダウンを奪うと、そのままテンカウントされ、花澤一成が久々のノックアウト勝利となった。

最後に仕留めた花澤一成のヒザ蹴り、木部晴太は後方に崩れ落ちた

◆第5試合 JKA女子アマチュア-45kg級王座決定戦2回戦(2分制/延長1分)

田中心結(市原/千葉県出身12歳)vs 髙澤希愛(BANG BANG/千葉県出身14歳)
勝者:田中心結 / 判定3-0 (20-18. 20-18. 20-18)

上下の蹴りとヒザ蹴り、組み合っても圧力掛けて優った田中心結がフルマークの判定勝利。アマチュアでも両者は幼い頃から始めた体幹でスピーディーにバランス良く蹴って攻め切った。

◆第4試合 58.0kg契約3回戦

海士(ビクトリー/山形県出身36歳/ 57.9kg)4戦3勝1敗
      vs
石井隆浩(尚武会/東京都出身28歳/ 57.0kg)4戦4敗
勝者:海士 / 判定3-0(30-26. 30-26. 30-26)

◆第3試合 65.0kg契約3回戦

アキト・オー・チャロンチャイ(TEAM KUNTAPアキトムエタイ/千葉県出身29歳/ 64.7kg)3戦3勝
      vs
中山裕登(JKI花澤/千葉県出身21歳/ 64.2kg)3戦1勝2敗
勝者:アキト・オー・チャロンチャイ / 判定2-1 (29-28. 29-28. 29-30)

◆第2試合 ウェルター級3回戦

三澤悠多郎(市原/千葉県出身34歳/ 65.35kg)1戦1分
        vs
ユウキ・オー・チャロンチャイ(TEAM KUNTAP/千葉県出身24歳/ 65.7kg)
5戦1勝3敗1分
引分け 1-0 (29-29. 29-29. 29-28)

◆第1試合 ライト級3回戦

西山天晴(治政館/千葉県出身18歳/ 61.1kg)1戦1敗
      vs
前田歩(YSS/千葉県出身26歳/ 61.35→61.28→61.05kg)2戦1勝1敗
勝者:前田歩 / 判定0-3 (28-29. 28-30. 28-30) 

《取材戦記》

蘇我英樹以来、メインイベンターを任せられる選手が不在の市原ジム。菊地拓人は昨年のジャパンキックボクシング協会新人賞受賞選手だが、この日は圧勝で存在感を示したかっただろう。

花澤一成は2021年7月25日の、JKイノベーション千葉キック興行でのデビュー戦をKO勝利して以来の勝利を今回もKO勝利となった。連敗し大きく遠回りした年月だったが、ここから浮上出来るか、打たれ脆さの懸念はあるが回復力は早く、市原ジム伝統の名選手への期待が掛かります。菊地拓人と花澤一成、早くメインイベンターに成長せねばならない。

タイ選手の肩書は二大殿堂と言われるラジャダムナンスタジアムやルンピニースタジアムの他、台頭して来たスタジアムやテレビチャンネル等があります。

ペップンミーの「元・タイ国ムエサヤーム・イサーン地区フライ級2位」の“ムエサヤーム”も以前掲載した記憶があり、何らかの組織名でしたが、ちょっと曖昧でまた調べておきます。

有名タイトルに限ると、無名のノーランカーが多くなるので、肩書は主催者発表どおり、一つの目安として書き入れますが、しっかり調べないとその価値が高かったり、無いに等しいものだったりする場合があります。そんな拘りも時間があれば(暇だったら)今後も調べていきたいと思います。

市原臨海体育館はJR内房線五井駅から直線で3km程ある市原臨海競技場内にあります。五井駅からタクシーで大凡1400円。歩くとスピードにもよるが30分少々。都心から行くだけでも大変な道程です。昔は市原でも君津でも木更津でも東金でもキックボクシング興行は沢山行なわれたものでした。現在は関西や東北、九州で行なわれる興行が増えましたが、東京西部埼玉辺りから見れば千葉県内という地理的距離は行こうかやめようか微妙な位置にありますが、毎年導かれるように行っています。といった本日の脱線話でした。

次回のジャパンキックボクシング協会イベントは、7月13日(日)に後楽園ホールに於いてKICK Insist.23が予定されています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

6月のキックボクシング、三つの興行概要!

堀田春樹

今回の武田幸三率いるCHALLENGER興行は大田拓真がメインイベンター。

◎KING OF CHALLENGER / 6月8日(日)後楽園ホール(開場17:00/開始17:15)
主催:オフィス超合金 / 認定:NJKF、WBCムエタイバンコク本部

久々のWBCムエタイ世界と日本のタイトルマッチ開催。

2月2日にNJKFフェザー級王座初防衛戦で金子貴幸にKO勝利した大田拓真はリング上で王座返上を告げ、6月8日にWBCムエタイ世界タイトル挑戦の意向を示し実現に運ばれました。

4月27日に行われた二つのトーナメント決勝となるそれぞれの王座決定戦。WBCムエタイ日本バンタム級とNJKFスーパーバンタム級のそれぞれ4名参加の王座決定トーナメントは勝ち上がった嵐vs 星拓海、繁那vs 藤井昴で6月8日に決定戦を迎えます。

2月2日に吉田凜汰朗がNJKFスーパーライト級王座初防衛戦で健太を僅差で下した微妙判定の再戦を、オープンフィンガーグローブで行われることが発表されています。キックボクシングにオープンフィンガーグローブ使用の影響も注視したいところです。

ムエタイの世界戦。大田拓真が初挑戦
四つのトーナメント戦、インパクトある展開を残すのは誰か

◆第7試合 WBCムエタイ世界フェザー級タイトルマッチ 5回戦

選手権者.アントニオ・オルデン(1991.10.14スペイン・マドリード出身)
      vs
挑戦者9位.大田拓真(新興ムエタイ/1999.6.21神奈川県出身)

アントニオ・オルデンは過去にWBCムエタイ・インターコンチネンタル、ISKAインターコンチネンタル、WKA欧州、WKAスペインなど同級王座を獲得。

シュートボクシングに出場経験あり。2017年に武居由樹にKO負け。2024年に玖村将史にKO負け。ONE Champion Shipでは2023年10月6日にポンシリー・スージーバミーキアオ(タイ)に判定2-1勝利しています。

◆第6試合 WBCムエタイ日本バンタム級王座決定戦 5回戦

1位.嵐(=坂本嵐/NJKF同級Champ/KING/20歳)
vs
3位.星拓海(スックワンキントーン・バンタム級Champ/IDEAL/20歳)

◆第5試合 スーパーライト級3回戦(延長2ラウンドまで可能)

NJKFスーパーライト級チャンピオン.吉田凜汰朗(VERTEX/25歳)
       vs
健太(=山田健太/E.S.G/38歳) 

健太はスーパーライト級も制していれば三階級となるところだったが、叶わなかった前回の吉田凛太朗戦。過去1勝1敗の決着戦となる。

◆第4試合 NJKFフライ級タイトルマッチ 5回戦

選手権者.西田光汰(西田/24歳)vs 挑戦者1位永井雷智(VALLELY/)

4月27日、高木雅己(誠至会)にKO勝利した永井雷智が挑戦権獲得。

2月2日にS-1覇者.優心(京都野口)に微妙なノックダウン奪って僅差ながら判定勝利した西田光汰。優心との決着と上位王座に向けても大事な試合となる。

◆第3試合 NJKFスーパーバンタム級王座決定戦 5回戦

2位.繁那(R.S/21歳)vs 3位.藤井昴(KING/)

嵐と同門の藤井昴も続いて王座奪取したいところ。

以下4試合(3回戦)
バンタム級/山脇飛翼vs サンチャイ・テッペンジム(タイ)
スーパーバンタム級/王清志vs 中島大翔
女子ミネルヴァ48.5kg契約/山崎希恵vs あゆな
フェザー級/陽平vs 高嶋隆一

左から今回の王座戦出場者、星拓海、嵐、繁那、藤井昴、永井雷智

※               ※               ※

令和の全日本キックボクシング協会、大韓ムエタイとの戦いが続く。

◎SAMURAI WARRIORS 挑戦 2nd / 6月20日(金)後楽園ホール(開場17:00/開始17:15)
主催:全日本キックボクシング協会 /

平日開催から次回は日曜日開催へ持ち込める模様。

今回の注目は、相手が誰だろうとエース格の存在感示さねばならない瀬川琉。期待の新星・野竹兄弟出場。渋さ発揮のオーシャン・ウジハラも出場。今回も大韓ムエタイ協会との交流戦が4試合。今後、大韓ムエタイが躍進するかも見計りたいところです。

全日本キックボクシング協会、今回のイメージポスター
SAMURAI WARRIORS 挑戦2nd 顔入りポスター

◆第12試合 60.5kg契約3回戦

全日本スーパーフェザー級チャンピオン.瀬川琉(稲城/27歳)
vs
アイドゥル(=金炳秀キムビョンス김병수/2025年韓国HERO FIGHT優勝/韓国出身)
リングネームの“アイドゥル”は二人の子供を持つパパという意味のようです。

メインイベンター瀬川琉、6月の3興行の中で一番目立てば大飛躍

◆第11試合 ライト級3回戦

オーシャン・ウジハラ(=氏原文男/元・WBCムエタイ日本フェザー級Champ/無所属/39歳)
vs
角谷祐介(スックワンキントン・スーパーフェザー級初代Champ/ネクストレベル渋谷)

◆第10試合 スーパーライト級3回戦

全日本スーパーライト級6位.勇生(=野竹勇生/ウルブズスクワッド/20歳)
         vs
李導炫(이도현イ・ドヒョン/韓国出身)

◆第9試合 スーパーフェザー級3回戦

中村健甚(稲城)vs AHMED BOUGRIANE(=カタカナ表記不明/フランス出身)

◆第8試合 ウェルター級3回戦

カツヤ・ノラシンファミリー(Norasing Family)
       vs
柳將元(=リュ・ジャンウォン류장원/韓国出身)

◆第7試合 ミドル級3回戦

KENTA PUAKUTA SHONBIN(DEAD HEAT)vs Yihu(=漢字カタカナ表記不明/中国出身)

◆第6試合 63.0kg契約級3回戦

野竹生太郎(ウルブズスクワッド)vs 清宮拓(GODSIDE)

◆第5試合 81.0kg契約3回戦

オマル・ファーレス(稲城)vs Wagner Carioca(=カタカナ表記不明/ブラジル出身)

◆第4試合 フェザー級3回戦

KAI AKG(A-BLAZEKICK)vs 柳權(=リュ・グオン류권/韓国出身)

以下、3試合(3回戦)
65.0kg契約/小玉倭夢vs 亀田蓮(亀田同志会)
スーパーウェルター級/堀江耐志vs 蘆立亮太(YS’K YAMAGATA)
スーパーバンタム級/渡邉獅生vs ミツル(A X)

※               ※               ※

主役は剱田昌弘、ベストファイトでメインイベンターを超えるのは誰か

剱田昌弘が引退試合を迎える。チャンピオンとしての存在感がもっと欲しかった剱田。
新潟から田村聖の弟、Hiromi(=田村大海)出場。
テツジムが推す雄希が渡邊ジム期待の香村一吹と対戦。
ジャパンキックボクシング協会から樹(治政館)が出場。

チャンピオンのカズ・ジャンジラへの挑戦権を懸けたNKBウェルター級挑戦者決定4名参加トーナメント準決勝2試合が行われます。

◆第13試合 73.5kg契約 5回戦

NKBミドル級チャンピオン.釼田昌弘(テツ)vs TOMO JANJIRA(JANJIRA)

3年前、剱田昌弘がチャンピオンベルトを締めた日、最後も笑顔が見られるか

◆第12試合 58.0kg契約3回戦

元・タイ国イサーン地区フェザー級チャンピオン.ローッボット・スターライトジム(タイ)
          vs
ジャパンキック協会フェザー級2位.樹(治政館/20歳)

◆第11試合 NKBウェルター級挑戦者決定トーナメント準決勝3回戦

NKBウェルター級5位.Hiromi(=田村大海/拳心館)
      vs
どん冷え貴哉(TOKYO KICK WORKS/26歳)

2月22日にチャンピオンのカズ・ジャンジラに判定負けしているどん冷え貴哉だが、復活戦となる挑戦。

◆第10試合 NKBウェルター級挑戦者決定トーナメント準決勝3回戦

大月慎也(Team arco iris/39歳)vs 健吾(BIG MOOSE/31歳)

2月22日にカズ・ジャンジラが大月慎也を名指ししていた流れもあったが、トーナメント戦開催となった。

◆第9試合 バンタム級3回戦

NKBバンタム級2位.雄希(テツ/22歳)vs 同級5位.香村一吹(渡邉/18歳)

◆第8試合 フェザー級3回戦

NKBフェザー級5位.半澤信也(Team arco iris)vs 蒔田亮(TOKYO KICK WORKS)

◆第7試合 52.0kg契約3回戦

NJKFフライ級4位.悠(VALLELY)vs 緒方愁次(ケーアクティブ)

以下、プロ6試合(3回戦)、アマチュア3試合
65.0kg契約/小磯哲史vs TAIRA
ウェルター級/ちさとkiss Me!!vs 学登
60.0kg契約/鈴木ゲンvs 辻健太郎
女子53.0kg契約/RUI JANJIRAvs MEGU
62.0kg契約/猪ノ川海vs 小林簾
54.0kg契約/風間祐哉vs 早川曜平
アマチュアスーパーフェザー級/酒井“キッチンドリンカー”裕輝vs TAKENAKA
アマチュア68k.0g契約/ヒデジンvs 河野友信
アマチュア51.0kg契約/輝流vs そうた

※               ※               ※

マニアックに細かく見れば好カード多数有り、ドラマ有り。ここから大手ビッグイベント興行出場に繋がれば選手にとって願うところ。本来は歴史ある各団体が主導権を握らねばならないだろう。

5月25日(日)に恒例のジャパンキックボクシング協会、市原ジム興行「Road To KING 3」も予定がありましたが、期限切れで割愛します。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

TITANS NEOSメインイベンターは試練の木下竜輔、新日本キックの牙城守れず!

堀田春樹

牙城守れない興行がまた発生したが、
注目はチャンピオン初戦の木下竜輔がどんな存在感を示すか。
15歳、西田蓮人はセミプロという現在地から今後を占う成長ぶりを発揮出来るか。
他、NJKFから参戦の庄司理玖斗と翔依斗の兄弟が存在感をアピール出来るか。
といった見どころも木下竜輔は持ち味発揮出来ず判定負け。
庄司理玖斗は優翔の圧力に圧され判定負け。
弟、翔依斗はスピーディーに試合を支配し判定勝利。
西田蓮人もスピーディーに多彩な攻防の末、僅差ながら判定勝利。

◎TITANS NEOS 36 / 5月11日(日)後楽園ホール 17:15~20:54
主催:伊原プロモーション(TITANS事務局) / 認定:新日本キックボクシング協会

この記事での試合順はオープニングファイトから第1としてカウントします(興行プログラムとは異なります)。

前日計量は10日14時より伊原ジムにて、木下竜輔は2回目でパス。他の選手は1回でパス。

◆第16試合 59.0kg契約3回戦

日本スーパーフェザー級チャンピオン.木下竜輔(伊原/1996.2.12福岡県出身/
59.15→58.95kg)13戦5勝(3KO)8敗
        vs
NJKFスーパーフェザー級7位.細川裕人(VALLELY/北海道出身23歳/ 58.95 kg)
9戦5勝3敗1分
勝者:細川裕人 / 判定1-2
主審:少白竜
副審:勝本29-30. 宮沢29-30. 中山30-29

木下竜輔がどうノックアウトに結び付けるかが注目の初回、素早いローキックから入る木下。細川裕人はパンチと蹴りで圧力掛けて前進。打ち合えば木下の強打にチャンスはあるが、タイミングが命。打つ体制が悪いと強いパンチを打ち込めない。

接近戦ではヒジ打ち入れるも効果薄く、細川は長身からのヒザ蹴りは距離感よく見映えいいヒット。木下は効いていたらマズいがその様子は無さそうだった。

細川のパンチ、ヒザ蹴りは木下に攻め難い圧力を掛け続けた。時折、木下の強い右ミドルキックがヒット。もっと蹴らないとペースを引き寄せられないが単発で終わってしまう。

細川裕人の圧力が優った展開、左ミドルキックで木下竜輔を追う

第3ラウンドには木下が勝ちに行く前進を見せるも、細川の勢いは衰えず、終盤に木下の右ミドルキックの強いヒットはあっても、もっと続けて蹴りたかったところだった。判定はスプリットデジションで細川裕人が勝利した。

残り時間少ない中、木下竜輔が強い右ミドルキックを放った

◆第15試合 スーパーバンタム級3回戦

ポンパン・エスジム(タイ国出身40歳/ 55.2kg)56戦31勝25敗
      vs
鰤鰤左衛門(CORE/北海道出身43歳/ 55.1kg)42戦10勝27敗5分
勝者:ポンパン・エスジム / 判定3-0
主審:椎名利一
副審:少白竜30-28. 宮沢30-28. 中山30-28

両者、ローキック中心に上下の蹴りとパンチ。ポンパンはヒジ打ち加えるなどベテランの上手い攻め。鰤鰤左衛門も怯まず蹴って出るがポンパンは動じない。互いにダメージ与えるヒットは無い中、バックハンドブローも見せる積極的な鰤鰤左衛門。適材適所の攻めが上手かったポンパンの判定勝利。

鰤鰤左衛門のバックハンドブローとポンパンのミドルキックが交錯

◆第14試合 59.0kg契約3回戦

優翔(team NOVA/神奈川県出身22歳/ 58.75kg)41戦31勝(7KO)10敗
      vs
NJKFフェザー級5位.庄司理玖斗(拳之会/岡山県出身22歳/ 58.8kg)
17戦10勝(5KO)6敗1分
勝者:優翔 / 判定3-0
主審:勝本剛司
副審:椎名30-27. 少白竜30-27. 中山30-27

初回の蹴りの攻防は優翔が長身の距離感を上手く使ってハイキックも使う。庄司理玖斗は攻めたいが突破口が開けないか、パンチで優翔をコーナーに詰めてもクリンチに逃げられ、優翔の離れた位置からのヒザ蹴りも攻勢を印象付けるヒット。

理玖斗は前に出てパンチを打ちたい、そんなセコンドからの指示にも対応遅れ気味。優翔の蹴りやパンチヒジを先に打たれてしまう。

終盤、理玖斗はパンチでラッシュするも決定打を与えるに至らず、フルマークで優翔の判定勝利。

長身の優翔が距離を上手く使ってヒザ蹴りも繰り出した
庄司理玖斗も攻勢に転じる前進も見られたが逆転成らず

◆第13試合 77.0kg契約3回戦     

マルコ(伊原/イタリア出身34歳/ 76.3kg)13戦7勝(2KO)3敗3分
      vs
デイトン・ボウイズ(米国/ 74.6kg) Warren(=ウォーレン/米軍截空道)の欠場で代打出場
勝者:マルコ / TKO 2ラウンド 1分34秒 /
主審:宮沢誠

マルコが重いローキックとヒザ蹴りで攻め、デイトン・ボウイズはローキックを防御出来ず、マルコのパンチからローキックにバランス崩す。デイトンはパンチで攻めてもマルコに組まれヒザ蹴りを受けてしまう。

第2ラウンドにはマルコのローキックで嫌がるデイトン。蹴られてバランス崩しスリップ扱いのダウンもあり、マルコのパンチとヒザ蹴り連打、離れてハイキックからパンチ連打でスタンディングダウンを宣せられて、マルコは更にパンチ連打とローキックでデイトンを倒すとノーカウントのレフェリーストップとなった。

マルコのローキックでデイトンは終始劣勢

◆第12試合(セミプロ試合) 52.0kg契約2回戦(2分制)

西田蓮斗(伊原越谷/東京都出身15歳/ 51.45kg)
      vs
烈海王(MIYABI/茨城県出身15歳/ 50.85kg)
勝者:西田蓮斗 / 判定2-0 (20-19. 20-19. 19-19)

4月にタイのプーケットで奪取したというパトンスタジアム・フライ級チャンピオンベルトを掲げて登場の西田蓮人。素早い両者のフットワーク。上下の蹴り、組み付いての競り合い崩し合い。蹴られてもまともにブロックや躱しでまともに貰わないディフェンス。休まない攻防。ジャッジ三者揃うラウンドは無い中、西田蓮人が的確さ優って僅差ながら判定勝利。

15歳同士、西田蓮人と烈海王の攻防はスピーディーに激しく交差した

◆第11試合 70.0kg契約3回戦

ヴェジー・チョル(伊原/愛知県出身38歳/ 69.5kg)7戦3勝2敗2分
      vs
風成(エス/東京都出身27歳/ 69.6kg)5戦2勝(1KO)1敗1分1NC
引分け 1-0
主審:椎名利一
副審:中山29-29. 宮沢30-29. 勝本29-29

初回は風成の蹴りとパンチが次第に圧してヴェジー・チョルをコーナーに詰め優勢だった風成も、第2ラウンドはヴェジー・チョルのパンチの前進で攻勢。蹴りで圧していた風成もウェジーが蹴りで巻き返し互角に持ち込む。

第3ラウンド、一進一退の攻防は続くもヴェジー・チョルのハイキックが軽くヒット、右ストレートもヒットも風成の重い蹴りで互角の展開が続いた。

ウェジーがパンチでアグレッシブに前進。風成も重い蹴りを繰り出した

◆第10試合 50.0kg契約3回戦

林さん(GRABS/北海道出身23歳/ 49.85kg)4戦2勝2敗
      vs
庄司翔依斗(拳之会/岡山県出身17歳/ 48.95kg)2戦2勝(1KO)
勝者:庄司翔依斗 / 判定0-3
主審:少白竜
副審:椎名28-29. 中山28-29. 勝本27-29(三者、庄司に反則減点1含む)

庄司翔依斗はスピーディーにローキック中心に前進し、林を上回り、組み合っても翔依斗がバランスよく態勢を保つ。距離感掴んで繋ぎ技も上手い翔依斗。第2ラウンドも翔依斗の攻勢が続くもバックハンドブローがヒジ打ちとなって林の後頭部にヒットし、ヒジ打ち禁止の為、翔依斗に減点が課せられた。

第3ラウンドも翔依斗の圧倒する攻勢は変わらずも、翔依斗は初回から後ろ蹴りを計2度、バックハンドブローを計3度試みたが、ノックダウンを奪うに至らず判定勝利。

庄司翔依斗はスピーディーに攻め優った中、後ろ蹴りも見せた

◆第9試合 ヘビー級2回戦

小澤和樹(シュアリング/千葉県出身36歳/ 95.0kg)32戦15勝(5KO)16敗1分
      vs
直也(横須賀太賀/神奈川県出身28歳/ 114.6kg)1戦1敗
勝者:小澤和樹 / TKO 1ラウンド 57秒 /
主審:宮沢誠

接近戦でパンチの攻防。直也が小澤和樹をロープ際に詰めたところで小澤の右ヒジ打ちが直也の左眉辺りをヒット。もう少々攻防は続いた後、傷を見たレフェリーがドクターチェックに移り、ストップ勧告を受けレフェリーストップとなった。

◆第8試合 ライト級2回戦

山本龍平(拳粋会宮越道場/埼玉県出身19歳/ 60.6kg)3戦1勝(1KO)2敗
      vs
勝鬼(横須賀太賀/神奈川県出身19歳/ 58.95kg)1戦1敗
勝者:山本龍平 / KO 2ラウンド 16秒 /
主審:勝本剛司

初回から山本龍平の蹴りとパンチの圧倒する展開。勝鬼は山本のハイキックをブロックしながらも俯いて躱す劣勢。俯いてしまっては相手が見えず、逆に危険な状態。でも倒されないのは山本の決定打が足りないのか。それでも山本のヒザ蹴り猛攻からハイキック、パンチで追うと勝鬼は倒れずもスタンディングダウンを宣せられた。第2ラウンド早々には山本の左ミドルキックが勝鬼のボディーにヒットすると、今度はあっけなくノックダウンし、そのまま立てずテンカウントを数えられた。

山本龍平が勝鬼を終始圧倒して追い込んでいった

◆第7試合 女子ミネルヴァ・ペーパー級(95LBS)3回戦(2分制)

ペーパー級1位.上真(ROAD MMA/1985.10.16石川県出身/42.75kg)18戦6勝11敗1分
        vs
ロウ・イツブン(NEXT LEVEL渋谷/中国出身29歳/ 43.0kg)7戦2勝4敗1分
引分け 0-1 (29-30. 29-29. 29-29)

蹴り合いと組み合っての崩しや距離に応じたヒザ蹴り、前蹴り多彩に競り合った。初回は上真がやや優勢。第2ラウンドはロウ・イツブンがやや盛り返したか。そのまま決定打が無いまま終了。

◆第6試合 女子ミネルヴァ・アトム級(102LBS)3回戦(2分制)

ピン級1位.杉田風夏(谷山ジム小田原道場/神奈川県出身28歳/ 46.05kg)
5戦4勝(1KO)1敗
      vs
KANA(Bonbo Freely/茨城県出身42歳/ 45.8kg)3戦2勝1敗
勝者:杉田風夏 / 判定3-0 (30-27. 30-27. 30-27)

互いのアグレッシブな攻防ではあったが、杉田風夏が前蹴りで距離感を維持し、蹴りからパンチの攻めが攻勢を維持しフルマークの判定勝利。

◆第5試合 女子ミネルヴァ 54.0kg契約3回戦(2分制)

MIO LaReyna(TEAM REY DE REYES/千葉県出身18歳/ 53.9kg)7戦1勝5敗1分
       vs
ゼイナ・クランティッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ出身36歳/ 53.05kg)1戦1分
引分け 1-0 (29-28. 28-28. 28-28)

初回にMIOが右ストレートか、ノックダウンを奪うもゼイナも積極的なパンチの攻めを見せた。蹴り合っても互角を保ち、パンチ打ち合いで顔を背ける中島はやや劣勢の印象。盛り返した流れのゼイナだったが引分けとなった。

◆第4試合 女子アマチュア49.0kg契約2回戦(2分制)

中島瑠花(X-PLOSION/大阪府出身14歳/ 48.65kg)
        vs
ダマリス・ジョレット(2008.4.27スペイン出身/ 48.85kg)
勝者:中島瑠花 / 判定3-0 (20-18. 20-18. 20-18)

ダマリス・ジョレットはスペインで有望とされるアマチュアの戦歴ある17歳。フライ級でWBCムエタイ・ヨーロッパU-16とスペインU-18の王座を獲得。

ダマリスは蹴りは多彩に積極的に出ていたが、中島瑠花の右ストレートを貰い、パンチで圧されてしまう劣勢。中島はパンチと蹴りのコンビネーションを活かして判定勝利。

◆第3試合 アマチュア55.0kg契約2回戦(2分制)

透士(TRASH/広島県出身14歳/ 54.9kg)vs 本郷皇聖(笹羅/宮城県出身15歳/ 54.4kg)
勝者:透士 / 判定2-0 (19-19. 19-18. 20-19)

◆第2試合 女子アマチュア43.0kg契約2回戦(2分制)

結菜(伊原越谷/埼玉県出身12歳/42.6kg)vs 乃愛(マスター/東京都出身13歳/ 43.25kg)
勝者:乃愛 / 判定0-3 (18-20. 18-20. 19-20)

◆第1試合 アマチュアオープニングファイト 27.0kg契約2回戦(2分制)

土田紳之介(伊原越谷/埼玉県出身12歳/ 26.6kg)
      vs
虎鉄(POWER OF DREAM/東京都出身10歳/ 27.0kg)
勝者:虎鉄 / 判定0-3 (18-20. 18-20. 19-20)

《取材戦記》

今や新日本キックボクシング協会エース格となった木下竜輔にとってはプレッシャーの掛かるメインイベンター。ここで負けられない木下だが、細川裕人にとってはチャンス。NJKF色が強い現在の新日本キックボクシング協会の興行。そんなプレッシャーに圧されたか。木下竜輔はジョニー・オリベイラを倒したパンチと蹴りは鳴りを潜めてしまった。

苦戦の展開の末、採点が読み上げられ、ジャッジ一者ずつの支持、細川裕人と木下竜輔の名が呼ばれ、ドローとなる忖度かという雰囲気の中、2-1で細川裕人のスプリットデジション勝ち。木下竜輔にとって厳しい結果ながら妥当な判定だった。
今回は鈍臭い展開になっても勝ちを導かねばならなかった。逆に細川裕人はチャンピオンに勝った経験を足掛かりにNJKFに戻って上位進出となるだろう。

伊原越谷ジム、西田義和会長は木下竜輔について、「全然この前と違っていましたね。昔の悪い癖、パンチだけ。もっと下(脚)蹴ってくれればなと。蹴れるのに蹴らなかった。蹴っていればもっとプレッシャー掛けて前に出れたのに、下がり過ぎです。ポイント取られても仕方無いですね」

木下竜輔は「すみません。仕事出来ていないので言うことは無いです」とチャンピオンとして、メインイベンターとして責任を果たせなかった結果を、言葉少なに反省点を語った。

改善点を克服するなら、ジョニー・オリベイラを倒した勢いを取り戻すこと。元から強打を持ち、強い蹴りも出せることから戦略は陣営が示すだろうが、ここからの復活は可能だろう。

細川裕人陣営、VALLELYジム米田貴志会長は細川について、「結果はチャンピオンに勝ったんですが、内容は0点です……とは言い過ぎですけど、もっともっと前に出ていればなと。でも自信付いたと思うので、また内容も改善点いっぱいありますけど、結果出してくれたのでチャンピオンに向けて進みたいですね」

細川裕人は「勝っても2対1だったので、内容もまだまだです」と控えめながら、「チャンピオンを目指しますか?」との問いには「勿論です!」と意欲的だった。

庄司理玖斗は試合前、「今回、兄弟で出場させて頂いているので、まず弟の翔依斗にしっかり勝って繋げて貰って、3月に弟がデビュー戦のクセに後楽園ホールを盛り上げやがったので、僕もこれが兄だぞという試合やってしっかり倒したいと思います。去年の5月以来、後楽園ホールで勝ってブレイクダンスしてないので、今回は勝って舞いたいと思います」と語っていたが、ちょっとプレッシャーを与えてしまったかな。でもまた試練を乗り越えてNJKFに於いても関西に於いても頑張って貰いたい存在で、木下竜輔同様に改善点を克服していくだろう。

次回の新日本キックボクシング協会興行は、7月27日(日)に後楽園ホールに於いてMAGNUM.62が開催されます。おそらくは木下竜輔の連続出場が予想されます。次なるメインイベンターも育てなければならない下積みが続きます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

CHALLENGERに相応しい男、立嶋篤史出場!

堀田春樹

22年ぶりのニュージャパンキックボクシング連盟興行出場の立嶋篤史は前日計量との戦いはパスしたが、前田浩喜には力及ばず倒されてしまった。

WBCムエタイ日本スーパーバンタム級とNJKFバンタム級のそれぞれ4名参加の王座決定トーナメントは勝ち上がった嵐vs星拓海、繁那vs藤井昴で6月8日に決定戦となった。

小林亜維二が右フック一発で喜多村誠を倒す世代交代を見せ付けたノックアウト勝利。

◎NJKF CHALLENGER.8(2025.2nd) / 4月27日(日)後楽園ホール17:15~21:45
主催:(株)オフィス超合筋 / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟

◆第9試合  WBCムエタイ日本バンタム級王座決定トーナメント準決勝3回戦

1位.嵐(=坂本嵐/NJKF同級Champ/KING/ 2005.4.26東京都出身/ 53.52kg)
18戦13勝(6KO)3敗2分
VS
2位.山脇飛翼(K-1ジム心斎橋チームレパード/2001.10.31大阪府八尾市出身/ 53.1kg)
13戦8勝(3KO)4敗1分
勝者:嵐 / 判定3-0
主審:多賀谷敏朗
副審:梅下29-28. ノッパデーソン29-28. 中山29-27

初回、ローキックやジャブ等、牽制から次第に激しくなっていく中、前蹴りや飛びヒザ蹴りを見せた嵐。第2ラウンドにはヒザ蹴りに来る山脇飛翼にカウンターの右ストレートでノックダウンを奪った。

嵐はこの日も前蹴りを鋭く繰り出した

しかし初回からローキックでジワジワ攻めていた山脇は第3ラウンドには嵐の勢いを止め、もう少し蹴っていれば逆転も有り得た流れも試合終了。ノックダウンを奪った嵐がポイント優ったが、苦戦した試合だった。

山脇飛翼のローキックで圧される嵐は何とか踏ん張った

◆第8試合 WBCムエタイ日本バンタム級王座決定トーナメント準決勝3回戦

4位.JIN(MA日本同級Champ/楠誠会館/2006.3.9大阪府柏原市出身/ 53.15kg)
17戦10勝(3KO)7敗
VS
3位.星拓海(IDEAL/2005.7.26東京都練馬区出身/ 53.2kg)10戦7勝(2KO)2敗1分
勝者:星拓海 / 判定0-3
主審:宮沢誠
副審:多賀谷28-29. ノッパデーソン28-30. 梅下28-30

初回、両者の上下のパンチと蹴りで様子見の中、徐々にパンチの距離に移る。

星拓海とJINの蹴りの応酬。星拓海はアグレッシブに攻め優った

第2ラウンド、よりアグレッシブに星拓海の前蹴り、ハイキック、パンチの圧力が増し、第3ラウンドも星拓海が自分のリズムを崩さず、首相撲になっても優位さを維持し、JINの攻めを躱して打ち返す上手さを見せて判定勝利した。

星拓海の前蹴り、三日月蹴りと言われる肝臓狙いがヒット

◆第7試合 フェザー級5回戦

立嶋篤史(元・全日本Fe級Champ/ASSHI-PROJECT/1971.12.28東京都豊島区出身/ 57.5→最終計量57.15kg)101戦42勝(KO)51敗8分
VS
NJKFスーパーバンタム級4位.前田浩喜(CORE/1981.3.21東京都出身/ 56.85kg)
53戦31勝(19KO)19敗3分
勝者:前田浩喜 / KO 1ラウンド 1分56秒 / テンカウント
主審:中山宏美

初回、動きの良さで優る前田浩喜がローキックで立嶋篤史の脚を狙う。立嶋はローキックを返しながらどんな戦略で戦っているか。両者の蹴りが幾らか交錯する中、前田のサウスポーからの左ローキックが立嶋の右足にヒットするとあっけなく跪くように崩れ落ちた。

ローキックは前田浩喜が優り、立嶋篤史は敗れ去ったが戦略は如何なるものだったか

カウント内に立ち上がるかと思われたが、思うように脚が動かなかったか、テンカウントされてしまった。

ローキックを貰ってノックダウンした立嶋篤史、立ち上がれなかった

◆第6試合 NJKFスーパーバンタム級王座決定トーナメント準決勝3回戦

3位.繁那(R.S/2004.1.28京都府出身/ 55.3kg)16戦12勝(7KO)2敗2分
      VS
祖根亮麻(大和/1997.5.8沖縄県那覇市出身/ 55.05kg)9戦3勝(3KO)5敗1分
勝者:繁那 / TKO 1ラウンド 1分55秒
主審:ノッパデーソン・チューワタナ

ローキックで様子見から、やや繁那のパンチと蹴りの勢いで優る。祖根亮麻をコーナーに追い込みヒザ蹴りをヒット。更に追い込んでヒザ蹴りヒットでノックダウン奪うとレフェリーがカウント中にストップして繁那の勝利となった。

繁那が圧倒していく中の蹴りの牽制。祖根亮麻は徐々に追い込まれる

◆第5試合 NJKFスーパーバンタム級王座決定トーナメント準決勝3回戦

NJKFスーパーバンタム級7位.中島凛太郎(京都野口/ 55.28kg)11戦5勝5敗1分
     VS
藤井昴(KING/ 54.9kg)5戦3勝(1KO)2分
勝者:藤井昴 / 負傷判定1-2 / テクニカルデジション 1ラウンド1分52秒
主審:梅下湧暉
副審:ノッパデーソン10-9. 宮沢9-10. 中山9-10

両者、上下の蹴りの様子見から首相撲に移ると、開始1分弱で偶然のバッティングにより一旦中断。中島凛太郎にダメージが大きかった模様。

再開後、更に30秒ほど経過したところで中島のローキックで藤井昴に股間ローブローが入ってインターバルが与えられた。

再開後、更に30秒ほど経過したところで再び前蹴りの交錯で藤井昴に股間ローブローが入った。今度はダメージ深く、試合続行不可能となって負傷判定となった。

ほぼ互角の展開だったが、トーナメント上位進出の条件が掛かっており、藤井昴が辛くも負傷判定勝利となった。

中島凛太郎のローキックが股間ローブローとなった

◆第4試合 69.0kg契約3回戦

NJKFウェルター級チャンピオン.小林亜維二(新興ムエタイ/2006神奈川県出身/ 68.8kg)
12戦9勝(5KO)2敗1分
VS
喜多村誠(元・日本ミドル級Champ/リアクトジム湘南/ステラ恵比寿/1980.7.22福岡県出身/ 68.65kg)69戦40勝(23KO)18敗10分1NC
勝者:小林亜維二 / TKO 1ラウンド 2分59秒 /
主審:多賀谷敏朗

パンチとローキックの様子見の攻防から、やや喜多村誠が圧力掛けた前進も、ローキックの交錯は小林亜維二が圧力掛け優っていく。

喜多村を蹴りからコーナーに詰めると強打で連打。後ろ蹴りも見せた亜維二が主導権を奪った攻勢を維持。喜多村も首相撲に移ったところで右ヒジ打ちを入れるベテランの技も上手かったが、パワー、スピードで優る亜維二はパンチの交錯の中、強烈な右フックが喜多村のアゴにヒットすると最下段ロープに喉を引っ掛けるように前のめりに倒れ、レフェリーはノーカウントで試合ストップした。

小林亜維二の強烈な右フックが喜多村誠にヒット、この後、前のめりに倒れる

◆第3試合 NJKFフライ級次期挑戦者決定戦3回戦

2位.永井雷智(VALLELY/ 50.75kg)8戦7勝(5KO)1分
      VS
3位.高木雅己(誠至会/ 50.65kg)13戦7勝(5KO)6敗
勝者:永井雷智 / KO 2ラウンド 39秒 / カウント中のタオル表示による棄権
主審:梅下湧暉

前回2月2日に股間ローブローによる永井雷智の試合続行不可能となった試合の再戦(永井の負傷判定勝利)。不完全燃焼を払拭する決着戦。

両者様子見の中、永井雷智の右ストレートヒット。首相撲でも優位に進め、連打右ストレートで攻勢を強める。蹴りも永井が優り、パンチ連打から右ストレートでノックダウンを奪う。

第1ラウンド終了後、高木雅己は意識が錯乱か、フラフラとニュートラルコーナーへ向かい、レフェリーに青コーナーへ促されるまで気付かない様子。

第2ラウンドも永井雷智のパンチと首相撲の圧力から右ストレートヒット。力を振り絞ってパンチで向かう高木に返しのヒットを見せる永井。グロッギーになった高木に容赦なく連打し、ノックダウン奪うとカウント中に陣営よりタオル投入され永井のノックアウト勝利となった。

前回の不完全燃焼を払拭する圧倒を見せた永井雷智。蹴りからパンチで圧倒

◆第2試合 スーパーフェザー級3回戦

NJKFフェザー級6位.新人(E.S.G/ 58.75kg)43戦24勝(5KO)18敗1分
VS
NJKFスーパーフェザー級5位.豪(GRATINESS/ 58.75kg)7戦4勝(3KO)3敗
勝者:新人 / 判定1-0 延長戦3-0
主審:ノッパデーソン・チューワタナ
副審:宮沢29-29(10-9). 梅下29-29(10-9). 多賀谷29-28(10-9)

初回、蹴りの前進は豪の圧力がやや優る。第2ラウンドには新人が調子を上げ、蹴りがヒットしだす。豪もせっかくの攻勢を維持しよう、せめぎあいが続き、互角の展開は引分けとなったが、武田幸三氏が掲げた、勝敗を決するChallengerルールにより延長戦が行われ、勢い取り戻した新人が蹴りの圧力で出て、首相撲になっても長身からの覆い被さるスタミナ削りの攻勢で勝利を導いた。

◆第1試合 50.0kg契約3回戦
(当日15時の再計量51.0kg以下条件=グローブハンデ、減点2)

S-1女子世界フライ級覇者.真美(Team ImmortaL/ 52.5→52.45kg→当日51.2kg)
26戦18勝(6KO)8敗
VS
佐藤”魔王”応紀(元・聖域東北ライトフライ級覇者/PCK連闘会/ 49.5kg)
25戦14勝(7KO)9敗2分
勝者:佐藤”魔王”応紀 / 判定0-3
主審:中山宏美
副審:ノッパデーソン27-28. 梅下27-30. 多賀谷27-28(真美に減点2含む)

初回、圧力掛けて出るのは佐藤”魔王”応紀。徐々にパンチから首相撲の圧力掛けてきた真美。パンチの距離では佐藤の勢いで連打のヒットが目立つ。真美はスタミナ的に不利か。結構パンチ連打受けるも首相撲の攻防は真美が優る。当時計量とも直面しながら打ち合える技量が有った。蹴って打って首相撲、ヒザ蹴りの絡み合いは真美が優るも減点の影響もあり、佐藤が僅差判定勝利となった。

他、アマチュアEXPLOSION.2試合は割愛します。

《取材戦記》

90年代のレジェンド・立嶋篤史はデビュー前から“挑戦”を掲げて来たキックボクサーで、当時の所属した習志野ジムの壁にも各選手が年初めに目標、モットーが書かれた大きな紙が掲げられていた。そのチャレンジ精神と、現在の武田幸三氏が掲げる興行テーマと合致した中で、立嶋篤史にもオファーがあった。

フェザー級に拘ったキック人生。昭和から戦い100戦を超えたという今回、前日計量で苦戦した立嶋篤史。彼は若い頃から減量がキツいタイプだが、調整が凄く上手い。フェザー級リミットまで落とす場合は、ほぼ57.15kgで仕上げて来る。少々オーバーする場合があっても想定内で、30分もあればリミットまで問題無く落として来ただろう。

しかし今回は違った。本人はリミット一杯に調整したつもりで計量会場に現れ秤に乗った。しかし350グラムオーバーだった。秤に狂いはなく、他の選手も皆、同じ条件でパスしている。他にオーバーしたのは女子の真美だけ。

ここから過去にない試練が始まった。外に身体を動かしに行って57.2kg。あと50グラムが落ちなかった。周囲も協力的にキングジムの向山鉄也会長も立嶋の身体をジャケットの上からマッサージし、絞り出すように身体を擦った。ガムを買って来て渡す者。噛んで唾を吐く手段も使い、5グラム落ちた。計量失格したこと無いだけに、注目のフェザー級“登録選手”100戦目で計量失格は避けたかった立嶋の意地。7~8回は秤に乗ったか、規定の2時間も超えていたが特例で、最後は何とか57.15kgでようやくパスすると持参したウォーターボトルのコーヒーをゆっくり飲んで喉を潤した。

見守っていた武田幸三氏にも「飲んでください!」とコーヒーをカップに入れ差し出した。「甘んま~!、旨んま~!」と武田氏。なんとも微笑ましい光景だった。
明日に備えリカバリーに向かう立嶋。最後まで見守っていたマスコミ陣、スタッフに御礼を言いながら、計量会見場を去った。

セコンドに着いたソムチャーイ高津氏は、以前から立嶋篤史のジムに練習に行って、一緒に居酒屋に行ったり、共通の知り合いタイボクサーや日本のキックボクサーが居ることでより親近感が湧いたという。そういう仲間との交流が深まり、立嶋篤史から次の試合が決まったらセコンドに着いて欲しいという依頼をされ、それは立嶋篤史がかつて戦った中島貴志も同様だった。

今回、前田浩喜戦が決まり、セコンドの約束が実行された。そこから勝つ為の戦略を練っていったという高津氏。それは夢物語となったが、対する前田浩喜のサウスポーからの奥足へのローキックは、タイミング、スピード、パワー、角度など素晴らしかった。それは非常に勇気ある技で勝った前田浩喜を称えたいと語った。

女子50.0kg契約で、2.5kgオーバーした真美は試合当日15時に1kgオーバーの51.0kgまで落とす条件で試合成立となった。結果、51.2kgではあったが、佐藤”魔王”応紀陣営のPCK連闘会、鈴木芳喜会長は緩やかな対応をしつつ、佐藤の頑張って来たトレーニングの成果を発揮するべき試合を潰したくない想いもあって試合成立に漕ぎ着けた。女子の場合は生理的に体調の変化が大きく水分を落とし難い場合があると言われる。しかし、女子格闘技が普及した近年は男子と同じ条件で試合を迎えるしかない。将来的には試行錯誤の上、改善される部分があるかもしれないだろう。

トーナメント準決勝戦となった4試合の中、やはり存在感あったのは嵐。前日記者会見ではいつもながらの威圧的悪役ぶり発揮も、試合はクリーンに、試合が終われば礼儀正しく山脇飛翼と称え合った。

次回NJKF興行、6月8日のCHALLENGE.R.9では、大田拓真のWBCムエタイ世界フェザー級王座挑戦と、二つのトーナメント決勝戦となるそれぞれの王座決定戦。更に、前回2月2日に吉田凛太郎がNJKFスーパーライト級王座初防衛戦で健太を僅差で下した微妙判定の再戦を、オープンフィンガーグローブで行われることが発表されています。

堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

NKB系初のメインイベンター山本太一は牙城守れず!

堀田春樹

皆川裕哉を迎え討った山本太一、打たれ脆さの弱点突かれ撃沈。
王座獲得後初戦の乱牙も僅差ながら白星飾れず。
期待の杉山海瑠はランカーの壁、あと一歩の差破れず。

◎爆発シリーズvol.2 / 4月26日(土)後楽園ホール17:15~20:35
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

◆第11試合 59.0kg契約 5回戦

ジャパンキック協会フェザー級 1位.皆川裕哉(KICK BOX/1997.4.11東京都出身/ 58.8kg)28戦15勝(3KO)11敗2分
        VS
NKBライト級3位.山本太一(ケーアクティブ/1995.12.28千葉県出身/ 58.8kg)
21戦7勝(4KO)10敗4分
勝者:皆川裕哉 / KO 2ラウンド1分15秒 / 3ノックダウン
主審:前田仁

距離を取って蹴り中心の様子見。皆川裕哉が蹴りで仕掛けて、山本太一の左ストレートも軽くヒット。接近戦に入り、皆川が連打でノックダウンを奪うも、山本はダメージは軽く、立ち上がってラウンド終了。

第2ラウンド、皆川の勢いは増し、山本をコーナーに詰め、連打で崩れるところにヒザ蹴りを入れてノックダウンを奪う。更にパンチ蹴りのコンビネーションから右ストレートでノックダウンを奪い、山本の左ミドルキックに左ストレートからローキックを繋ぎ、3ノックダウン目となって皆川のノックアウト勝利となった。

山本太一の左ストレートもチャンスがあったが、皆川裕哉も攻め方は上手かった
皆川裕哉が連打で優って山本太一を追い詰めていく

初メインイベンターを終えて山本太一は「申し訳無いです。ショックしかないです。」と無念そう。

初回2分半までは緊迫感ある攻防で面白い試合になる流れだったが、接近戦でのパンチの交錯から皆川裕哉のコンビネーションブローと山本太一のガードの甘さが流れを変えてしまった。過去の試合もノックダウンが多かった山本太一。
「これから身体と相談して、出来れば上行きたいな!」とダメージの蓄積が無ければ更なる向上心も衰えていない様子。

皆川裕哉は「山本選手の映像観たんですけど、トリッキーでサウスポーぽくはないなと思って、事故(打ち合って玉砕)起こしやすい選手だなと。でもKO率高くないし、そういう(攻撃力ある)ところは警戒しながら、後手にはなるけど自分も体勢崩さないようにやる作戦だったんですけど、勝ててまずはホッとしてますね。」
と、皆川裕哉にとってもジャパンキックボクシング協会での王座陥落からの復帰戦を飾り、「王座奪還目指していますよ!」とまだまだ上を目指している様子。

◆第10試合 63.0kg契約3回戦

NKBライト級チャンピオン.乱牙(=蘭賀大介/ケーアクティブ/1995.2.9岩手県出身/ 62.65kg)12戦8勝(3KO)3敗1分
        VS
廣野孝文(KING LEO/1993.1.9富山県出身/ 62.75kg)6戦3勝2敗1分
勝者:廣野孝文 / 判定1-2
主審:笹谷淳
副審:高谷30-29. 鈴木28-29 前田28-30.

いつもより右の高い蹴りが連発した乱牙だったが、ここからパンチの交錯しても乱牙の強打は見られず、廣野孝文が強気の応戦で打ち負けない展開。やや前進は乱牙だが、ややヒット優るのは廣野孝文。ジャッジ三者が揃うラウンドは無いほぼ互角の展開も、廣野孝文が2-1判定勝利。乱牙は王座獲得後初戦で敗れる波乱の結果となった。

乱牙がミドルキックやハイキックは効果的だったが、圧倒には至らず
パンチの距離では廣野孝文がやや攻勢を維持した

◆第9試合 バンタム級3回戦

NKBバンタム級5位.兵庫志門(テツ/1996.4.14兵庫県出身/ 53.3kg)
18戦7勝(1KO)8敗3分
        VS
杉山海瑠(HEAT/2009.6.5静岡県出身/ 53.15kg)
4戦3勝(1KO)1分
引分け 0-1
主審:鈴木義和
副審:前田29-29. 高谷29-30. 笹谷29-29

杉山海瑠は小刻みに出入り、パンチとローキックで様子見。兵庫志門はローキックで様子見もなかなか打ち込めない距離感。

第3ラウンドにはアグレッシブに打って蹴り合うが、互いに効果的ヒットは無く、最後に杉山がバックハンドブローを見せたがヒットせず、この試合もジャッジ三者とも揃ったラウンドは無く終了。

終了間近に見せた杉山海瑠のバックハンドブローはヒットせずもインパクトはあった

◆第8試合 60.0㎏契約3回戦

JKIスーパーフェザー級5位.夢叶(エムトーン/2004.4.7神奈川県出身/ 59.75kg)
9戦5勝(2KO)3敗1分
        VS
KEIGO(TOKYO KICK WORKS/1984.4.10千葉県出身/ 59.75kg)24戦7勝11敗6分
勝者:夢叶 / 判定2-0
主審:高谷秀幸
副審:前田30-28. 笹谷30-28 鈴木29-29.

ローキック中心の交錯はやや夢叶の前進。第2ラウンドに首相撲が増えるも差が出ない中、第3ラウンドには夢叶が首相撲からの崩しと、やや投げ気味も体勢が相手に圧し掛かる攻勢と右ストレートの勢いあった僅差ながら判定勝利。

互いに飛んだ夢叶vsKEIGOのヒザ蹴りの攻防

◆第7試合 スーパーウェルター級3回戦

清水武(sbmTVT KICK LAB/1987.8.8東京都出身/ 69.75kg)34戦19勝(8KO)14敗1分
        VS
郷野聡寛(元・全日本キック連盟ヘビー級Champ/リングスジャパン/1974.10.7東京都出身/ 69.45kg)18戦9勝9敗
勝者:清水武 / 判定3-0
主審:笹谷淳
副審:鈴木30-29. 前田30-29. 高谷30-28

パンチ連打で攻める清水武と下がり気味の郷野聡寛。ローキックの蹴り合いからパンチで出る清水。郷野は清水にパンチカウンターする戦略も、清水が追う圧力が優っていった。

下がる一方の郷野聡寛に攻める前進力あった清水武

◆第6試合 59.0kg契約3回戦

JKIフェザー級4位.都築憲一郎(エムトーン/1988.7.4神奈川県出身/ 58.85kg)24戦7勝12敗5分
        VS
堀井幸輝(ケーアクティブ/1996.11.7福岡県出身/ 58.6kg)7戦4勝2敗1分
勝者:堀井幸輝 / 判定1-2
主審:高谷秀幸
副審:鈴木30-29. 前田28-30. 笹谷28-30

◆第5試合 フェザー級3回戦

安河内秀哉(RIKIX/2003.10.7東京都出身/ 56.8kg)12戦9勝(4KO)3敗
      VS
ジャッカル鈴木(BIG MOOSE/1989.2.15千葉県出身/ 56.75kg)17戦5勝10敗2分
勝者:安河内秀哉 / TKO 2ラウンド1分27秒
主審:鈴木義和

両者の蹴りからパンチの攻防から、安河内秀哉は右ストレートヒットさせてリズムを掴み、飛びヒザ蹴りから接近してヒザ蹴り、組み合ってもウェイト預けヒザ蹴り、更にパンチの攻撃力強め連打でノックダウンを奪った。

第2ラウンドも安河内がパンチで追い詰めノックダウンを奪うと更に左右のハイキック、左ストレートで2度目のノックダウン奪い、そのままノーカウントのレフェリーストップとなった。

安河内秀哉が上手く攻めた連打でジャッカル鈴木をレフェリーストップに追い込んだ

◆第4試合 ライト級3回戦

猪ノ川海(大塚道場/2005.9.30茨城県出身/ 61.05kg)4戦2勝(2KO)2敗
        VS
坂根卓弥(クロスポイント吉祥寺/1993.7.11京都府出身/ 61.0kg)7戦4勝(1KO)2敗1分
勝者:坂根卓弥 / 判定0-2 (29-30. 29-30. 29-29)

◆第3試合 ライト級3回戦

森野允鶴(渡邉/2001.1.17東京都出身/ 61.1kg)4戦3勝(1KO)1敗
      VS
魔娑屋(SLACK/1991.2.4岩手県出身/ 61.2kg)7戦3勝(3KO)4敗
勝者:魔娑屋 / TKO 3ラウンド1分5秒

初回から魔娑屋の蹴りとパンチが優ると森野允鶴は下がり気味。第2ラウンドも魔娑屋が的確にパンチヒットを見せ、ローキックから右ストレートでノックダウンを奪った。

第3ラウンドには逆転狙って打ち合いに出る森野に右ストレートヒットする魔娑屋。右ボディーブローから連打、ヒザ蹴り連打で圧倒すると笹谷淳レフェリーがストップをかけ終了。

魔裟屋がパンチからヒザ蹴りの猛攻で森野允鶴を圧倒してTKOに追い込んだ

◆第2試合 62.5kg契約3回戦

リョウヤ・ハリケーン(テツ/2002.10.20兵庫県出身/ 62.1kg)3戦1勝(1KO)2分
       VS
柳澤翔太(クロスポイント吉祥寺/1998.1.19新潟県出身/ 62.2kg)3戦2敗1分
        VS
引分け 1-0 (29-29.  29-28 29-29)

◆プロ第1試合 58.5kg契約3回戦

岡部惇(アント/1993.10.20岡山県出身/ 58.4kg)3戦1勝(1KO)2敗
      VS
真岸憲一(ワンサイド/1987.9.22長野県出身/ 58.5kg)2戦2敗
勝者:岡部惇 / TKO 1ラウンド1分34秒
主審:前田仁

蹴りからパンチの攻防は岡部惇の左ストレートヒットし、早々にノックダウンを奪った。真岸は逆転狙った打ち合いに出るも岡部の右ストレートで2度目のノックダウンでカウント中のレフェリーストップとなった。

第1試合の圧倒劇、岡部惇が真岸憲一を左右のストレートで倒した

◆アマチュア オナゴキック3. 49.0kg契約2回戦(90秒制)

ANAN(PIRIKA TP/ 49.25kg)vsWAKANA(チームKOガレージ/ 48.95kg)
勝者:ANAN / 判定3-0 (20-18. 20-19. 20-19)

◆アマチュア オヤジキック2. 60.0kg契約2回戦(90秒制)

田中聡(bring it onパラエストラAKK/ 59.55kg)
        VS
菅野 一教(PHOENIXファンキーガッツメン/ 59.15kg)
勝者:田中聡 / 判定3-0 (20-18. 20-18. 20-19)

◆アマチュア オヤジキック1. 62.0kg契約2回戦(90秒制)

ユウタ(スターライト/ 61.3kg)vs石黒海(無所属/ 61.05kg)
勝者:ユウタ / 三者三様(20-20. 20-18. 18-20)
延長戦2-1 (10-9. 10-9. 9-10)

《取材戦記》

日本キックボクシング連盟は存在感あるメインイベンターが少ないが、爆発シリーズに相応しい、観衆が最終試合まで帰らない話題性多い選手が欲しいところである。

世間の注目度は低くても、今回の皆川裕哉vs山本太一は何気に好カードだった。山本太一のメインイベンター起用は好ファイトに期待が高まった。ノックダウンの応酬や逆転勝利はスリルあって盛り上がるが、そんな危なっかしい試合はあまり望む訳にもいかない。そして打たれ脆さが露呈してしまった。

山本太一は今回59.0kg契約で、以前言っていたが、フェザー級まで落とせる自信もあるようで、適正階級を見極めながら調整していくことだろう。強くなって次回に期待である。

皆川裕哉にとっても昨年11月17日の王座陥落からの再起戦。語り口がなかなか活発で、どん底に落ちた気持ちは全く無い様子。次はホームリングに戻って7月に未確定ながら試合を予定しているという。フェザー級同士では、NKBチャンピオン、勇志との絡みもいずれ観たいものである。

日本キックボクシング連盟次回興行は6月21日(土)に後楽園ホールで爆発シリーズvol.3が開催予定です。

堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

RORD TO CHAMPION 今回のDUELは岩橋伸太郎が主役!

堀田春樹

前日計量はVALLELYジムにて12時より行われ、全員一回でパスしています。
岩橋伸太郎が昨年10月に引分けたTAKUYAにノックダウン奪って判定勝利。
悠は地道な努力で以前より積極性増した展開でTOMOに判定勝利。
愁斗は今年2連勝。大久保貴宏にノックダウンを奪って判定勝利。
上位三名はいずれも判定勝利ながら勢い増した展開を見せた。

◎DUEL.34 / 4月20日(日)GENスポーツパレス 18:00~19:47
主催:VALLELYジム / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟

◆第8試合 ライト級3回戦

NJKFライト級2位.TAKUYA(K-CRONY/1993.12.31茨城県出身/ 61.1kg)
17戦7勝8敗2分
VS
同級3位.岩橋伸太郎(エス/1987.6.4神奈川県出身/ 60.9 kg)26戦9勝14敗3分
勝者:岩橋伸太郎 / 判定0-3
主審:多賀谷敏朗
副審:宮沢26-30. 児島27-29. 中山27-29

2022年5月21日のDUEL.23 に於いてNJKFライト級王座決定戦5回戦で、岩橋伸太郎が判定勝利でTAKUYAを下し王座獲得しているが、昨年10月13日のDUEL.31に於いて両者は蹴り合う互角の攻防の末に3回戦引分け。今回は初回からアグレッシブに先手打って出た岩橋伸太郎。首相撲から崩す圧力も効果的に優勢を保った。TAKUYAも離れた距離での蹴りも効果的も岩橋のリズムを崩せず。第3ラウンドには岩橋が右ストレートでノックダウンを奪い、大差判定勝利を飾った。

TAKUYAが前進したところ、岩橋伸太郎の右ストレートヒット
岩橋伸太郎がノックダウン奪った右ストレート、戦略が功を奏した

岩橋伸太郎は試合後「前回ドローだったので白黒つけてやろうと意気込んでいたので、自分から行こうとずっと思っていたことが功を奏したなと思います。今回は自信が付きましたね!」と撮影ブースでファンに囲まれながらの回答で陽気に応えてくれました。

撮影ブースにて、自信を付けた勝利で今後に繋げたい岩橋伸太郎

◆第7試合 フライ級3回戦

NJKFフライ級4位.TOMO(K-CRONY/1982.10.30茨城県出身/ 50.65kg)
24戦7勝(5KO)14敗3分
VS
NJKFフライ級7位.悠(=吉仲悠/VALLELY/ 50.7kg)12戦5勝(2KO)5敗2分
勝者:悠 / 判定0-3
主審:梅下湧暉
副審:宮沢27-30. 多賀谷27-30. 中山27-30

悠は前回、12月8日に、過去一度勝っている明夢(新興ムエタイ)と引分け。
ローキックとパンチの攻防から悠が先手打つ積極性で優位に立つ。ボディーブロー、バックハンドブロー、上下の蹴りと多彩に優る悠。

悠も成長が見られた積極果敢な蹴りで前進

第2ラウンドには接近戦で悠の右ヒジ打ちがヒットしてTOMOの左頬がカットされた。TOMOは蹴りで巻き返したいが、悠のアグレッシブな前進は衰えずフルマークの判定勝利。

悠がヒジ打ちでTOMOの頬を斬る。今後も必殺技となるか

◆第6試合 フライ級3回戦

NJKFフライ級8位.大久保貴宏(京都野口/ 50.65kg)7戦4勝3敗
VS
NJKFフライ級6位.愁斗(Bombo Freely/ 50.8kg)12戦7勝(3KO)3敗2分
勝者:愁斗 / 判定0-3
主審:児島真人
副審:宮沢27-30. 多賀谷26-30. 梅下27-30

愁斗は前回2月9日に明夢(新興ムエタイ)に判定勝利。

パンチと蹴りで徐々に優る愁斗のスピードとしなやかさ、大久保貴宏も勢いよく蹴っていくが愁斗を下がらせるには至らない。愁斗のハイキックが大久保の顔面を掠め、第3ラウンドには愁斗のパンチか、大久保がややスリップ気味ではあったがノックダウン。その差は開いて愁斗が大差判定勝利。

愁斗のミドルキック、キャッチされるが振り解いて更に蹴って出る
愁斗のミドルキックがガードの上からでも蹴りつける、距離感を掴むのも上手かった

◆第5試合 女子ミネルヴァ・ペーパー級3回戦(2分制)

ミネルヴァ・ペーパー級2位.AIKO(AX/ 43.05kg)20戦10勝9敗1分
VS
港町なぎさ(ワイルドシーサー前橋元総社/ 42.65kg)3戦1勝2敗
勝者:AIKO / 判定2-0
主審:中山宏美
副審:児島29-29. 多賀谷29-28. 梅下30-29

AIKOは前回、3月16日に沙緒里(ワイルドシーサー前橋関根)にフルマークの判定勝利。一ヶ月余りでの出場はちょっとキツイかもだが、パンチと蹴りの攻防の中、徐々に勢い増し、飛びヒザ蹴りも見せる果敢な攻めで圧力を掛けた。第3ラウンドにはAIKOの前蹴りが港町なぎさのアゴにヒットさせた勢いが優ったか、僅差ながらAIKOが判定勝利。

ちょっとシャッターチャンスが遅れたが、AIKOの前蹴りで港町なぎさが仰け反る

◆第4試合 55.0kg契約3回戦

NJKFバンタム級3位.山川敏弘(京都野口/ 54.95kg)23戦10勝(6KO)11敗2分
VS
NJKFスーパーバンタム級6位.王清志(新興ムエタイ/ 54.75kg)23戦10勝12敗1分
勝者:山川敏弘 / KO 3ラウンド 1分28秒
主審:宮沢誠      

初回、蹴りとパンチの互角の攻防は差が付かない展開。第2ラウンドに山川敏弘がややパンチから攻勢に転じ、第3ラウンドには山川が王清志をロープ際に詰めてヒザ蹴りでノックダウンを奪った。更にボディーブローヒットさせ、ヒザ蹴りで倒してテンカウントを聞かせた。

山川敏弘のヒザ蹴りで王清志が堪らずノックダウン、後方でテンション上がる野口会長

◆第3試合 ライト級3回戦

金沢ごりちゅう光輝(AX/ 61.1kg)3戦3勝(1KO)
       VS
須貝孔喜(VALLELY/ 61.1kg)8戦3勝5敗
勝者:金沢ごりちゅう光輝 / KO 1ラウンド1分50秒

アグレッシブに攻め合う主導権争いは、金沢ごりちゅう光輝がヒザ蹴りでノックダウンを奪い、須貝孔喜の前蹴りに合わせてバックハンドブローで2度目のノックダウンを奪った。これでダメージ深くなったか、蹴り合いから再び金沢がヒザ蹴り連打でノックダウン奪うと3ノックダウンとなって金沢がノックアウト勝利となった。

須貝孔喜を下した金沢ごりちゅう光輝、金沢久幸氏の御子息である

◆第2試合 59.0kg契約3回戦

長友亮二(KING/ 58.3kg)3戦2勝1敗
       VS
小野寛(Bombo Freely/ 58.35kg)3戦1勝(1KO)2敗
勝者:小野寛 / TKO 2ラウンド 41秒

長友亮二のフットワークいい動きだったが、徐々に小野寛のパンチに圧される中、第2ラウンドには小野の右ミドルキックから右ストレートヒットすると長友亮二はノックダウンし、立ち上がるもレフェリーストップとなった。

◆第1試合 フェザー級3回戦

長谷川柊哉(AX/ 56.75kg)2戦2敗
       VS
神谷章夫(ワイルドシーサー南風原/ 56.6kg)4戦2勝(1KO)2敗
勝者:神谷章夫 / 判定0-2 (28-30. 29-29. 28-30)

パンチとローキックの静かな攻防から神谷章夫の右ストレートが増して行き、ヒット優って判定勝利。

《取材戦記》

さほど注目されるカードは無いが、新鋭からピークを過ぎたベテランまで、毎度活気あるDUEL興行です。

長友亮二が60歳超えでのKO負けはさすがに無理があるかと思いますが、プロとしての明確な規定は必要でしょう。

岩橋伸太郎と悠がこれまでよりアグレッシブに攻める姿が印象的でした。岩橋には王座再挑戦を目指して欲しいところです。

悠は、米田貴志会長が以前指摘していた「躊躇したり、ブチ切れて行く気迫、相手を飲み込むような力強さがあれば!」という部分が成長していた感じでした。

開場前の米田貴志会長は自身のVALLELYジムから出場する二名について、「悠は勝てばランキング上位に上がるでしょうし、須貝孔喜は勝てばランキング入りです。
練習の成果を発揮すれば結果は付いて来ると思います!」と語っていたが、興行終了後は「悠は凄い自信が付いた一戦だったのかなと思います。最近は勝利に繋がらない試合もあって足踏み状態ではありましたが、今回で一蹴された感じですね。今後もどんどん上位へ挑戦させたいし、楽しみですね!」と語られました。

「須貝孔喜については呑まれてしまった感じで勿体無かったです!」という感想でした。

次回のDUEL.35は6月22日(日)に予定されています。NJKF本興行CHALLENGER.8は4月27日に続いて6月8日(日)にCHALLENGER.9が開催されます。

堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

5月11日までのキックボクシング  4つの興行の見どころ!

堀田春樹

今回は4つの興行をピックアップしています。
武田幸三と立嶋篤史の共通点はChallenger!
立場は違うが、初メインイベンターの山本太一と木下竜輔、インパクトある展開を魅せるのはどちらか。

◆爆発シリーズvol.2 / 4月26日(土)後楽園ホール17:15~
 主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

NKBライト級3位、山本太一(ケーアクティブ)は初メインイベンターとして、ジャパンキックボクシング協会フェザー級1位、皆川裕哉(KICK BOX)と対戦。山本太一は青コーナーだが、実績で優る皆川裕哉を赤コーナーに迎え討つ。

皆川裕哉は去年11月24日、勇成(Formed)に3ラウンドKO負けで王座転落し、5ヶ月振りのリングとなります。

山本太一は去年12月14日、利根川仁(Realiser STUDIO)と連続ノックダウン奪われる劣勢から逆転のノックダウン奪う見せ場を作るも、更に攻め込まれ3ラウンドTKO負け。今回はライト級から、フェザー級まで落とす準備はあるという59.0kg契約での出場。どちらもここを踏み台に上昇気流に乗りたい戦いとなります。

今年2月22日、NKBライト級王座決定戦で、棚橋賢二郎(拳心館)と引分け(公式記録)るも、延長戦で優勢点を受けて王座獲得となった乱牙(=蘭賀大介)が、廣野孝文(KING LEO)と対戦。

廣野はRISE、DEEP KICKなどで活躍し、今回NKB傘下初出場。お互いパンチの打合い必至の攻防が観られそうである。

NKBバンタム級5位、兵庫志門(テツ)が杉山三兄弟の三男・海瑠(HEAT)と対戦。

爆発シリーズvol.2、山本太一と乱牙は牙城を守れるか


《主要6試合》

●第11試合 メインイベント 59.0kg契約 5回戦
 ジャパンキック協会フェザー級 1位.皆川裕哉(KICK BOX)
        vs
 NKBライト級3位.山本太一(ケーアクティブ)

●第10試合 セミファイナル 63.0kg契約3回戦
 NKBライト級チャンピオン.乱牙(=蘭賀大介/ケーアクティブ)
        vs
 廣野孝文(KING LEO)

●第9試合 バンタム級3回戦
 NKBバンタム級5位.兵庫志門(テツ)vs 杉山海瑠(HEAT)

●第8試合 60.0㎏契約3回戦
 JKイノベーション・スーパーフェザー級5位.夢叶(エムトーン)
        vs
 KEIGO(TOKYO KICK WORKS)

●第7試合 スーパーウェルター級3回戦
 清水武(sbmTVT KICK LAB)
        vs
 郷野聡寛(元・全日本キック連盟ヘビー級Champ/リングスジャパン)

●第6試合 59.0kg契約3回戦
 JKIフェザー級4位.都築憲一郎(エムトーン)vs 堀井幸輝(ケーアクティブ)

以下、アンダーカード6試合(ノーランカー、新人戦、アマチュアオヤジキック)

[左]山本太一は皆川裕哉を迎え討つ初メインイベンター/[右]皆川裕哉は山本太一を捻じ伏せられるか

※               ※               ※

◆NJKF CHALLENGER.8(2025.2nd) / 4月27日(日)後楽園ホール17:15~
主催:(株)オフィス超合筋 / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟

2月2日のCHALLENGER.7のリング上で、武田幸三氏よりバンタム級とスーパーバンタム級でトーナメント開催が発表。各4名参加の王座争奪トーナメントが行われます。王座決定戦は6月8日予定です。

昨年11月10日のNKJF祭として行われたKICK BOXING JAPAN CUP 55kg級8名参加トーナメントといったイベントとは違う、本来のチャンピオンシップ制度のトーナメントとなります。当初出場が決まっていた大田一航は負傷欠場の為、祖根亮麻が代打出場します。

昭和からの現役生活、伝説のチャンピオン立嶋篤史が出場。53歳で100戦を超える、負け込んでも拘りの挑戦と、デビュー当時と変わらないフェザー級を維持して来た戦いに注目が集まります。

立嶋篤史がポスターになる、未だカリスマ的存在

アンダーカードでは過去新日本キックボクシング協会で活躍した第6代日本ミドル級チャンピオン、喜多村誠が出場。現在の昇龍チャンピオン、小林亜維二との世代間の差26歳差の戦いが行われます。

WBCムエタイ日本バンタム級トーナメント参加メンバー、嵐の存在感が引き立つ

●第9試合 WBCムエタイ日本バンタム級王座決定トーナメント準決勝3回戦
 1位.嵐(NJKF同級Champ/KING)
 vs
 2位.山脇飛翼(K-1ジム心斎橋チームレパード)

●第8試合 WBCムエタイ日本バンタム級王座決定トーナメント準決勝3回戦
 4位.JIN(MA日本同級Champ/楠誠会館)
 vs
 3位.星拓海(IDEAL)

●第7試合 フェザー級 5回戦
 立嶋篤史(第11、13、15代全日本フェザー級Champ/ASSHI-PROJECT)
 vs
 NJKFスーパーバンタム級4位.前田浩喜(CORE)

●第6試合 NJKFスーパーバンタム級王座決定トーナメント準決勝3回戦
 3位.繁那(R.S)vs 祖根亮麻(大和)

●第5試合 NJKFスーパーバンタム級王座決定トーナメント準決勝3回戦
 7位.中島凛太郎(京都野口)vs 藤井昴(KING)

●第4試合 69.0kg契約3回戦
 NJKFウェルター級チャンピオン.小林亜維二(新興ムエタイ/2006神奈川県出身)
 vs
 喜多村誠(/リアクトジム湘南/ステラ恵比寿/1980.7.22福岡県出身)

●第3試合 NJKFフライ級次期挑戦者決定戦3回戦
 2位.永井雷智(VALLELY)vs 3位.高木雅己(誠至会)

●第2試合 スーパーフェザー級3回戦
 NJKFフェザー級6位.新人(E.S.G)
 vs
 NJKFスーパーフェザー級5位.豪(GRATINESS)

●第1試合 50.0kg契約3回戦
 S-1女子世界フライ級覇者.真美(Team ImmortaL)
 vs
 佐藤”魔王”応紀(元・聖域東北ライトフライ級覇者/PCK連闘会)

以下、アマチュア2試合

NJKFスーパーバンタム級トーナメント参加メンバー

※               ※               ※

◆絆 XVI / 5月11日(日)
 春日部ふれあいキューブ OPEN 15:00 / START 16:00
 主催:PITジム / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟

16回目の絆興行、大月謙会長が率いる興行3年目となります。過去、新日本キックボクシング協会で活躍した第9代日本フライ級チャンピオンの石川直樹が春日部出身の地元で4年連続の出場。首相撲とヒザ蹴りのしぶとさ見せるか。大岩竜世は昨年12月8日に赤平大治(VERTEX)に僅差2-1の判定勝利。一歩ずつ王座を目指す中での石川直樹と対戦となります。

佐々木勝海も王座挑戦に近い存在として注目される存在です。

昨年の絆のリングでの石川直樹、今年も華麗に登場か

《主要3試合》

●第8試合 メインイベント  スーパーバンタム級3回戦
 石川直樹(元・日本フライ級Champ/Kickful)
      vs
 WBCムエタイ日本スーパーバンタム級6位.大岩竜世(KANAROA)

●第7試合 セミファイナル  63.0㎏契約3回戦
 NJKFスーパーライト級3位.佐々木勝海(エス)
 vs
 ペレー・サンライズジム(サンライズ)

●第6試合 58.0kg契約3回戦
 蹴登(クローバー)vs 横山みさと(MY)

以下、アンダーカード7試合(ノーランカー、新人戦)

PITジム主催「絆」4年連続出場は石川直樹

※               ※               ※

◆TITANS NEOS 36
 5月11日(日)後楽園ホール17:15~
 主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会

新日本キックボクシング協会のエース格に浮上した木下竜輔出場。3月2日にジョニー・オリベイラを飛びヒザ蹴りで倒してインパクトを残した王座獲得後の第一戦。どんな成長が見られるか。細川裕人は2月2日にRyu(クローバー)にヒザ蹴りを効果的に使って判定勝利しています。他団体交流と選手出場が大半となる新日本キックボクシング協会において木下竜輔に掛かる期待は大きいでしょう。

TITANSシリーズも初期から20年、新たな時代へ突入

《主要4試合》※ラウンド数は変更の可能性あり

●メインイベント スーパーフェザー級3回戦
 日本スーパーフェザー級チャンピオン.木下竜輔(伊原/1996.2.12福岡県出身)
        vs
 NJKFスーパーフェザー級7位.細川裕人(VALLELY)

●セミファイナル スーパーバンタム級3回戦
 ポンパン・エスジム(タイ)vs 鰤鰤左衛門(CORE)

●女子ミネルヴァ・アトム級3回戦(2分制)
 ミネルヴァ・ピン級4位.杉田風夏(谷山・小田原)vs KANA(Bonbo Freely)

●スーパーミドル級3回戦、マルコ(イタリア/伊原)出場予定

以下、プロ7試合、アマチュア4試合予定。

※               ※               ※

世間的にはまだまだマイナー競技と位置付けられるキックボクシングでは、一部のビッグイベントを除いて一般的な注目度は低いところ、ファンが注目する好カードは多数存在します。

山本太一vs皆川裕哉の互いの戦略、立嶋篤史の衰えぬ闘志と存在感、石川直樹の首相撲からのヒザ蹴りが見られるか、木下竜輔のチャンピオンとしての初戦など、見どころある立ち振る舞いが注目です。木下竜輔に山本太一と皆川裕哉が絡むカードは難しいか。期待は出来ないが、そんなマニアックな展開にも期待したいものです。

新チャンピオンとなった木下竜輔、責任重大のメインイベンター

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」