『紙の爆弾』2025年3月号に寄せて 『紙の爆弾』編集長 中川志大

フジテレビ問題に続き、週刊文春“誤報”問題が世間を騒がせています。1月27日の「10時間記者会見」でフジは、中居正広の事件把握後も出演番組を継続した理由について、「もし正式な調査に着手することで新たに多くの人間が知ることになると、女性のケアに悪影響があるのではないかと危惧した」と回答。文春の“誤報”は、事件当日に被害女性が中居宅を訪れたのはAプロデューサーではなく中居の誘いだった、というものでしたが、そうであればいっそう、望まない誘いに女性がなぜ応じたのか、そこで起きた事態をなぜフジは放置したのか、という点で、フジテレビのカルト性が浮かび上がってきます。同時にそんな社風が構成された背後に、日本の歴史的な男性社会も見なければなりません。

一方で、週刊文春の“誤報”を叩き、あげく「フジテレビ形勢逆転」と報じるメディアまであることには、大きな違和感があります。そもそも「文春砲」が生まれたきっかけはタレント・ベッキーの一件で、たかが不倫を大事件にしたのは文春ではなく世間でした。「文春砲」を勝手に権威化して、訂正記事を出したらこき下ろす。そんな状況で、オールドメディアもニューメディアもないのでは。とにかく必要なことは、メディアにかかわらず、私たち自身が報道に接する姿勢なのだと思われます。

アメリカで第二次トランプ政権がスタート。そのことが、日本人にとって「対米自立」を徐々にでも、具体的に意識させつつあるように感じています。ひょっとすると、石破茂首相の日米地位協定への言及も、トランプ大統領の再就任を前提としていたのかもしれません。とはいえ、本誌に登場する鳩山友紀夫元首相や植草一秀氏の指摘どおり、永田町のほとんどと、なにより霞が関は、あくまで対米従属です。人々の間で自立を求める声が高まるほど、その異常性が浮き彫りとなり、自民党裏金事件やフジテレビ問題もあわせて政官業米電の実態が暴かれつつあります。

現実に、日本は世界からアメリカの属国とみなされ、その主張が説得力を持たない状況が続いています。10年前、後藤健二さんを拘束・殺害したイスラム国から、当時の安倍晋三首相が「8500キロ以上も離れているのに、十字軍への参加を自ら志願した」となじられたことが思い出されます。そういう中で、日本が主体性を取り戻し、他国にそれを認めさせるきっかけとしなければならないのが、日本製鉄によるUSスチール買収問題です。バイデン前大統領の禁止命令を発端にしたこの問題で、日本政府の姿勢が問われています。決して日鉄が望んだことではないでしょうが、自ら日米関係との秤にかけられたようにも見えます。一方、鳩山元首相も語っているように、すでに沖縄の人々の命と貴重な自然環境より、アメリカへの忖度を優先し続けているのが日本の政府です。

ほか今月号では、トランプ大統領による安倍昭恵氏「私邸招待」の目的、日本でだけ増加を続ける「超過死亡」問題、警察の身分偽装、ヒット中の映画『どうすればよかったか?』と日本の精神医療、さらに“実行可能”で世界を変える「日本のグリーンランド買収」提言など、本誌ならではのレポートをお届けします。ぜひ全国の書店で入手をお願いいたします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年3月号
『紙の爆弾』2025年 3月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年2月7日発売

鳩山友紀夫元首相インタビュー
対米自立と政権交代——USスチール買収騒動が問う「日本とは何か」
トランプ第二次政権で日米関係の行方は? 日本の「対米従属勢力」を暴く 植草一秀
「安倍昭恵私邸招待」に隠された目的 トランプと孫正義 蜜月の裏側 浜田和幸
シリアにしのびよる「第二のナクバ」アサド政権崩壊の背後の国際謀略 木村三浩
ワクチンとの明らかな相関 最高値更新を続ける日本の超過死亡の原因 青柳貞一郎
“闇バイト対策”名目に国民監視強化 警察が身分証を“偽造”「仮装身分捜査」とは何か 足立昌勝
映画『どうすればよかったか?』を観た全ての人へ 精神疾患者への日本人の無知と無理解 野田正彰
薬物蔓延、連日の銃乱射、ホームレス急増……「危険国」アメリカの現在 片岡亮
実現可能で世界に貢献する“死活の奇手”日本こそがグリーンランドを買収せよ 藤原肇
中居正広「9000万円示談」で露見したフジテレビ「女子アナ上納」の伝統 本誌芸能取材班
米国マスコミが自主検閲で隠してきた2024年の重大ニュースTop25 佐藤雅彦
横行する「排除の論理」石丸新党・国民民主党・立花N国の記者排除 横田一
【静岡県掛川・菊川市】行政と産廃業者の露骨な癒着 不要な「ごみ外部委託」で巨額公金横流し 青木泰
報道改革提言・冤罪救済のウルトラマン監督・山際永三さんを偲ぶ 浅野健一
シリーズ日本の冤罪「ブラック校則」事件 片岡健
「カウンター大学院生リンチ事件」から十年(中・補)松岡利康

〈連載〉
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER Kダブシャイン
「ニッポン崩壊」の近現代史 西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DVG643HT/

【新刊のご案内】『LGBT問題 混乱と対立を超えるために』女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会=編著

LGBT思想の本質とは何か?
社会が安易に受け入れることに問題はないのか?
対話と議論のための、当事者・研究者・専門家による20篇!

A5判 総164ページ(巻頭カラー4ページ+本文160ページ)
定価990円(税込み) 1月28日発売!

『LGBT問題 混乱と対立を超えるために』女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会=編著 定価990円(税込み)

1:「心は女性」を支持する人々へ 織田道子
2:私の講演会はLGBT活動家としばき隊につぶされた 森奈津子
3:キャンセル・カルチャー事例集 井上恵子
4:50人の小説家を巻き込んだ、芥川賞作家による個人情報拡散騒動 斉藤佳苗
5:脅かされる女性・子どもの安全と言論の自由 台湾からの寄稿文
6:私はなぜ「シス」という言葉を使わないのか 千田有紀
7:LGBT問題をめぐる日本の歴史と現状のまとめ 斉藤佳苗
8:女性スペースを守る法律を 滝本太郎
9:少女たちの乳房切除を日本は止められるのか? 森奈津子
10:兵庫県知事選挙とLGBTアライ 繁内幸治
11:LGBT活動家の背後に存在する大富豪たち 斉藤佳苗
12:LGBTQ運動と生殖補助医療の不穏な関係 野神和音
13:私の彼女はトランス女性 山田響子
14:LGBTQSの時代──生得的異性限定の性的指向・スーパーストレート 三浦俊彦
15:「男性」になる、ということ 浅利進
16:性暴力被害者へのグルーミング 郡司真子
17:トランス支援活動評価のための課題:用語集の形で 三浦俊彦
18:性の多様性と社会の在り方 井上恵子
19:書評『LGBT問題を考える』 細川亙
20:書評『マテリアル・ガールズ』 三浦俊彦

◎紀伊国屋書店 https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-04-4910027200252

◎yodobashi.com https://www.yodobashi.com/product/100000009004080049/

【緊急のお知らせ!】4月5日、『紙の爆弾』創刊20周年、『季節』創刊10周年の集い開催! 鹿砦社反転攻勢への橋頭堡に! 圧倒的なご賛同をお願い申し上げ、共に祝いましょう! 鹿砦社代表取締役社長 中川志大 同会長 松岡利康

『紙の爆弾』『季節』をはじめとする鹿砦社の出版活動を支持されるすべての皆様!

まずは、去る1月6日、1996年以来30年近くに渡り鹿砦社の裁判闘争を支えてくださった内藤隆弁護士が急逝されました。内藤先生は、大学院生リンチ事件関連訴訟をご担当いただいており係争中でした。さらに、一昨年(2023年)7月31日には、こちらも1995年以来30年近く、主に関西での裁判闘争を支えてくださった中道武美弁護士が亡くなられました。中道先生は、『紙の爆弾』創刊直後になされた、「名誉毀損」に名を借りた言論・出版弾圧刑事事件の主任弁護人を務めていただきました。内藤先生には、この民事訴訟の代理人をも務めていただきました。鹿砦社の出版活動を背後から支えていただいたお二人の弁護士を亡くし、私たちは深い悲しみにあります。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。しかし、私たちは両先生のご遺志にお応えするためにも、いつまでも悲しみにふけってばかりもおれません。

さて、2005年に創刊された月刊『紙の爆弾』は、来る4月7日発売号にて創刊20周年を迎えんとしています。また、『紙の爆弾』の姉妹誌ともいうべき反原発情報誌『季節』(季刊)は、逸早く昨年8月5日発売号にて創刊10周年を迎えました。

かの『噂の眞相』休刊後しばらく、いわば“噂眞ロス”が続き、多方面からの強い要請で月刊『紙の爆弾』は創刊されました。創刊に至るまでに、取得が超困難といわれる雑誌コードを取得しなければなりませんでしたが、中川が足繁く取次会社に通い交渉を重ね、奇跡的にも取得できました。この面では『噂の眞相』休刊も吉に働いたようです。 

『噂の眞相』は創刊直後、「皇室ポルノ事件」によって廃刊の危機に瀕しましたが、これを乗り越え、さらには「名誉毀損」刑事事件(在宅起訴。のちに岡留氏に懲役8月、執行猶予2年。デスクに懲役6月、執行猶予2年の有罪判決)など幾多の傷を負いながらも持続し、休刊時には発行部数が10万部を超えるまでになったと聞きました。松岡が、編集長兼発行人だった岡留安則氏(故人)から生前直接聞いたりしたところによれば10年間は赤字だったとのことで、そうした幾多の修羅場を乗り越え発展・継続したそうです。(このあたりのことは松岡と岡留氏との対談集『闘論 スキャンダリズムの眞相』〔鹿砦社刊〕をご参照ください。残り僅か)

『紙の爆弾』も、創刊直後(2005年7月12日)、「名誉毀損」に名を借りた言論・出版弾圧により松岡逮捕→192日間の長期勾留→有罪判決(懲役1年2月、執行猶予4年)、巨額賠償金(一審300万円→控訴審600万円に倍増し最高裁で確定)を食らい鹿砦社は、松岡勾留中に事務所も撤去、壊滅的打撃を受けました。同じ「名誉毀損」事件ですが、岡留氏が在宅起訴、松岡が逮捕―長期勾留(身柄拘束)と、量刑も含め鹿砦社事件がいかに重大だったかが判るでしょう。

メディア・出版界、あるいは周囲のほとんどは、鹿砦社がそのまま沈んでいくことを信じてやまない中、信用不安にもかかわらず、決して多くはない取引先やライターの皆様方がサポートされ、あるいは取次会社も取引を維持して、なんとか会社は継続し、事件から4年余り後、一気にヒット、そのままヒットが続き復活、本社の甲子園返り咲きが実現したのでした。この時の感激は忘れることができません。その後、勢いに乗じ反原発雑誌『NO NUKES voice』(現『季節』)も創刊(2014年8月)しました。

その後、弾圧10周年(2015年)、また鹿砦社創業50周年(2019年)と、東京と西宮(本社所在地)にてお集まりいただき、会社復活・継続を祝っていただきました。そうして『紙の爆弾』創刊20周年を左団扇(うちわ)で迎えることを、私たちも含め誰しもが信じてやみませんでした。

しかし、人の世は何が起きるかわかりません。2020年からの新型コロナ襲来にて、世の中がそうだったように鹿砦社を取り巻く情況が一変いたしました。これを甘く見ていました。当初は売上微減、借入も必要なく、しばらくは“備蓄米”もたっぷりあり余裕さえありました。

ところが、書店の休業が続き、想定外の返品も続き、売上が激減し、途端に“備蓄米”が毎月1千万円前後なくなり、あっというまに青色吐息状態になりました。当社の規模で数千万円の“備蓄米”は何が起きても大丈夫の証だったはずですが認識と見通しが甘かったです。

こうした中、読者、寄稿者の皆様はじめ、これまで『紙の爆弾』『季節』、鹿砦社の出版活動を支えてくださった方々がご支援してくださり、新型コロナ襲撃以来5年間をサポートいただきました。あらためてお礼申し上げます。

あっというまの20年でした。そうして迎える『紙の爆弾』創刊20周年──いろいろなことが去来し胸が熱くなります。あらためて想起すると、20年という年月の重さを感じます。

そういうことで私たちは、創刊20周年記念号が発売になる直前の、来る4月5日に皆様方にお集まりいただき、20年間生き抜いてきたことを祝い、閉塞状況からの反転攻勢の橋頭堡にしたいと考えました。松岡が生きている間には最後になるやもしれません(次の30周年に松岡はおそらく生きていないでしょう。現実問題、生きていてもボケたりして尋常な状態ではないと思います)。こうした意味で松岡にとっては最後の檜舞台のつもりです。20周年の集まりまでに、もうひと山を越え、立派に集いを成し遂げ、次の10年に向けた財政の一助にするために、ぜひご賛同いただき、できれば駆け付け叱咤激励していただければ、とお願いいたします。

私たち鹿砦社は必ず閉塞状況を突破し反転攻勢を勝ち取り、腐朽化し権力のポチと堕したメディアの中で存在感のあるリトルマガジンとして『紙の爆弾』、そして姉妹誌であり唯一の反原発雑誌『季節』(紙の爆弾増刊)の旗を守り抜き、鹿砦社の名の通り、タブーなき言論の砦として皆様方と共に在り続ける決意です。圧倒的なご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

冒頭に挙げた内藤、中道両先生にも良いご報告をさせてください。

*集いの具体的内容が決まりましたら、あらためてお知らせいたします。

左から『紙の爆弾』創刊号、松岡逮捕後に発行された05年9月号、弾圧や裁判の詳細な内容をまとめた『パチンコ業界の アブナい実態』
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タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年2月号

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年冬号(NO NUKES voice 改題 通巻41号)

『紙の爆弾』創刊20周年の2025年、メディア総体が腐朽化する中で、『紙の爆弾』と鹿砦社の役割は重大! 皆様のご支援で年末危機突破! コロナによってもたらされた低迷を打破し再復活を勝ち取り、共に『紙の爆弾』創刊20周年を迎えましょう!  鹿砦社代表 松岡利康

定期購読・会員拡大、鹿砦社出版物の積極的購読で圧倒的なご支援を!
2025年年頭にあたって

皆様、新年明けましておめでとうございます。

2025年が始動しました! 本年は4月7日に本誌『紙の爆弾』が創刊20周年を迎えます。また、7月12日には、『紙の爆弾』創刊直後に検察権力によってなされた、「名誉毀損」に名を借りた言論・出版弾圧からも20年となります。これらについて詳細は別の機会に譲るとして、ここでは触れません。

さらに本年は、1月17日に鹿砦社本社の在る兵庫県一帯を襲い小社も(わずかですが)被災した阪神淡路大震災から30年、ベトナム戦争終結50年、敗戦から80年を迎え、社会的、歴史的にも節目の年となります。

こうした中、出版・メディアをめぐる情況は、全部とは言わないまでも多くが権力のポチとなったり腐朽化していき真実が報じられなくなってきています。

わが『紙の爆弾』はミニメディアではありますが、弾圧に屈せず、一貫として愚直に<タブーなき言論>を信条として20年近くせっせせっせと一号一号発行を積み重ねてまいりました。

この間、「名誉毀損」弾圧事件で壊滅打撃を被りつつも、皆様方のご支援で奇跡の復活を遂げることができました。しかし、いいことは長く続かないのか、新型コロナという魔物によって再び地べたに叩きつけられました。

それでも読者の皆様方は見棄てずご支援を続け、青色吐息ながら命脈を保ってきています。

この20年近くの間に、『紙の爆弾』『季節』の定期購読・会員が総計で1千名余りとなりました。この皆様方が中心になって、定期購読・会員の更なる拡大、書籍・雑誌の積極的購読、あるいはまとめ買い(1万円以上)を行っていただくだけで、かなり資金繰りは楽になります。

一昨年(2023年)は一時はコロナ前の水準に回復しましたが、昨年(2024年)に入りドツボに嵌ってしまいました。油断や見通しの誤認などがあったことは否定しません。

毀誉褒貶はありますが、この30年間、鹿砦社の、いわば〝ビジネスモデル〟として芸能(スキャンダル)本を出し続けて、この利益で硬派の社会問題書や『紙の爆弾』『季節』の赤字を埋め、これらを出し続けてきました。『紙の爆弾』はようやく利益が出るようになりましたが、とはいってもこれで人ひとりの人件費が出るほどでもありません。ちょっと黒字といったところです。

しかし、私たちの出版社は芸能出版社ではなく、本丸の勝負所は社会問題書です。そうでないと単なる、どこにでもある柔な芸能出版社になってしまいますから。

ところが、この‟ビジネスモデル”が壊れたのは、コロナ禍を機に最近のことです。儲け頭となっていた芸能本が売れなくなりました。何としても他に‟鉱脈”を発掘しなければなりません。それは何処にあるのでしょうか? 皆様方のアイディアや企画、ご意見を募ります。

このかん、「身を切る改革」ではありませんが、いつのまにか肥大化していた会社の態勢もスリム化し、経費圧縮も最大限行いました。お引き受けいただいた社債は総額2千万円に達しました。コロナ前、鹿砦社創業50周年を機に私松岡は後進に道を譲るつもりでしたが、すぐに新型コロナ襲撃(まさに襲撃という表現が正しい)、これにより、これだけの社債、さらには会員や定期購読などでご支援いただく方々が多くおられ、現状がコロナ前の状態に正常化し、社債の償還が解決するまでは無責任に身を引くわけにはいかなくなりました。若手の後継者・中川志大と二人三脚で頑張ります! 中川には無垢の状態で引き継ぐことができなく申し訳なく忸怩たる想いですが……。

2019年の鹿砦社創業50周年を東京と地元西宮で多くの皆様方にお集まりいただき祝っていただいてから新型コロナ襲撃、そして以来この5年間は、正直大変でした。今もまだ大変な情況は続いています。それは私たちの業界・出版界でもそうで、店閉まいした書店さんも多いです。出版社も、一部を除き大変な情況です(特に中小零細出版社は)。

しかし、私(たち)は諦めません。もう一度復活したい、いや復活するぞとの決意で、年の瀬をやり繰りし新年を迎えました。私たちの出版社・鹿砦社、あるいは『紙の爆弾』『季節』には、社会的にもなすべき仕事がまだまだ多くあります。例えばジャニーズ問題、一昨年英国BBC放送が世界に向けて告発放映したことをきっかけに大きな社会問題になりましたが、この後、日本の大手メディアも追随しましたが、一体それまで何をやっていたのでしょうか。

私たちは大手メディアには無視されつつ「イエロージャーナリズム」と揶揄、蔑視されながらも1995年以来四半世紀余りも細々ながら告発本を出し続け、BBCにも事前に資料提供など協力し、これが実を結んだといえるでしょう。こういうこともありますので、あながち「イエロージャーナリズム」も馬鹿にできません。こういった意味では『紙の爆弾』も「イエロージャーナリズム」の権化といえるでしょうが、こういうメディアは他にありませんので、この意味だけでも存在価値があるでしょう。

また、私たちは以前から、「たとえ便所紙を使ってでも」発行を続けると言い続けてきました。「便所紙」とは、昔々、日本がまださほど裕福ではなく、良質なトイレットペーパーがなかった時代、尻拭き紙として安価な紙を使っていたものを揶揄した言葉です。今では死語かもしれませんが、私たちの決意を表す言葉として使ってきました。これは今でもなんら変わりはありません。

新年を迎え、苦難の中、本年一発目の『紙の爆弾』をお届けするにあたり私松岡の個人的な想いを書き連ねさせていただきました。厳しい経営環境は、決して恥ずべきことでもなく、これを明らかにし、この一年必死で頑張り、来年の年初にはもっと明るいご報告ができるように努めます。

具体的には『紙の爆弾』『季節』の定期購読を1千人→2千人へ倍増、会員も倍増を目指します。そうして、従来の方々に加え新規の定期購読、会員の方々が‟最大のスポンサー”として鹿砦社の出版物の積極的直接購読を促進し、会社の売上や資金繰りに貢献いただきたく強く希望いたします。

本年も旧に倍するご支援、叱咤激励をお願い申し上げます。

株式会社鹿砦社代表 松岡利康

人生に夢や希望を持つ者は誇り高く生きてゆける(揮毫:龍一郎)
人生に夢や希望を持つ者は誇り高く生きてゆける(揮毫:龍一郎)
https://www.kaminobakudan.com/
タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年2月号
〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年冬号
〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年冬号

『紙の爆弾』2025年2月号に寄せて   『紙の爆弾』編集長 中川志大

あけましておめでとうございます。

新年1号目となる2月号では、被団協(日本原水爆被害者団体協議会)のノーベル平和賞受賞についてレポートしました。“お祭り騒ぎ”の中で、あえて抜け落とされた重要な事実とは何か。あえて疎外されてしまった人々とは誰か。詳しくは本誌をお読みいただきたいと思いますが、この受賞を未来への一歩とする上でこそ、レポートに登場する金鎮湖会長や平岡敬元広島市長の指摘は重要です。本誌増刊「季節」の執筆陣である「子ども脱被ばく裁判の会」水戸喜世子共同代表はフェイスブックで、「時計は止まっていないのだ。核兵器は言うまでもなく悪だ。子どもだって知っている。そこに耳目を引き付けながら、こっそりと核装置である原発によって世界の人命が危険に晒されている現状にこそ警告を発すべきであった。核被害の現在進行形なんだから」とコメント。全文をあらゆる人に読んでいただきたい内容です。

創薬立国を謳う日本で「ワクチン工場」が、続々稼働しています。同種の施設として、東京では東村山市の国立感染症研究所がウイルス研究所(BSL4)として有名ですが、隣に都立の支援学校が、裏手には市立小学校もあります。そもそも「薬で儲ける」とは、どういうことなのか。今月号では、「高齢者の危険運転」と薬の関係について、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる和田秀樹医師が解説しています。そこで和田氏は医療費の問題に加え、日本人は薬の服用者が多いことを指摘しています。「安心していつでもたくさん薬が飲めること」が医療の充実とされているのが現在の日本です。

本誌1月号でインタビューした原口一博衆院議員(立憲民主党)に対し、レプリコンワクチンを製造・販売するMeiji Seikaファルマ社が名誉毀損で東京地裁に提訴しました。本誌で原口氏が語っているとおり、原口氏の問題提起はレプリコンをはじめとしたコロナ定期接種ワクチンへの政府の承認手続きに対するものであり、それだけで「お門違い」だといえます。また同社はリリースで『私たちは売りたくない!』(方丈社)の著者である同社社員について社内調査し、出版元に抗議したとも明かしているものの、内容に関する言及はありません。なお、Meiji Seikaファルマ社については、1月号で紹介した郷原信郎弁護士・上昌広医師(医療ガバナンス研究所理事長)の指摘(YouTube『郷原信郎の「日本の権力を斬る!」』2024年10月20日配信)が重要と思われます。

Meiji Seikaファルマ社が訴えずとも、mRNA ワクチンやレプリコンワクチンの危険性への指摘は「陰謀論」とされるのが現状の日本社会であり、日ごとに明らかになるワクチン薬害の事実を前にしても、それは変わりません。ただし、アメリカで方向性が変われば付き従うのが追従日本なので、トランプ政権で厚生長官に就任するロバート・ケネディ・ジュニア氏の動向によっては、“常識”が変わる可能性もあります。

今月号ではここで触れたほかにも、女川原発2号機事故についての詳細解説、なぜ国連は戦争を止められないのか、ドイツ若手哲学者が問う「リベラル」と「極右」の現状など、さまざまな記事を収録しています。いずれも本誌ならではのレポートです。ぜひ全国の書店でご確認をお願いいたします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年2月号
タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年2月号

『紙の爆弾』2025年 2月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年1月7日発売

マスコミが「大接戦」と報道し続けた理由「トランプ圧勝」が暴いた世界史の真実  田中良紹
トランプ政権に3人のキーマン「ウクライナ」「ワクチン」「CO2」陰謀の真相  植草一秀
「高齢者の運転は危険」マスコミ煽動の嘘と本当の原因 和田秀樹
国際紛争で国連は何をしてきたか 国連の機能不全を問う 足立昌勝
「斎藤・立花連携」を裏付ける事実 斎藤元彦・立花孝志、そして国民民主党の背後の闇 横田一
オスロ代表団から除外された人々 日本被団協ノーベル平和賞受賞で語られざる「光と影」 浅野健一
「孫子の兵法」と「ノストラダムス」で読み解く世界情報戦略 浜田和幸
再稼働6日後に起きた重大事故 女川原発2号機で何が起きたのか 山崎久隆
「ダークウェブ」で売られる個人情報 「闇バイト」が日本で広がる理由 片岡亮
知らぬは日本人ばかり AIが読み解いた亡国ニッポンの実態 藤原肇
行方を占う「嵐・大野智」の動向 NHKとジャニーズの癒着と抗争 本誌芸能取材班
mRNAワクチン、毒素兵器、バイオハザード(後編) 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪 福井女子中学生殺人事件 尾崎美代子
「カウンター大学院生リンチ事件」から十年(中) 松岡利康

〈連載〉
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER Kダブシャイン
「ニッポン崩壊」の近現代史 西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/

『季節』2024年冬号 次の10年に向かって ── 季節編集委員会

本誌『季節』は前号で創刊から10周年を迎えました。10年前、世の中の機運が反(脱)原発に溢れ、会社の景気も良く、意気揚々と出発しましたが、新型コロナ急襲にて局面が変わりました。世の人々はコロナで狂わされた日々の生活に追われるあまり、反(脱)原発の機運も盛り上がらなくなりました。世の人々も私たちも、10年の半分の5年ほどはコロナ禍による業績不振に苦しんできました。

これを支えてくださったのは、福島現地の方々、避難され不自由な生活をされている方々、毎号現地からの活きたレポートを寄せてくださる方々らでした。さらには定期購読やご支援金で支えてくださる読者の皆様方にも助けられました。

半分(以上)は私たちみずからの力不足ではありますが、本誌は創刊以来一度も黒字になってはいません。常識的な経済原理からすると休廃刊もやむをえないところでしょうが、類似の雑誌もなく、小さくとも反(脱)原発の拠点として被災者、被災現地の生の声を伝えるメディアとして生き延び発行を継続していければ、と願っています。

今年も年末が近づいてまいりました。毎年思うのですが、被災地の方々、故郷から離れることを余儀なくされた方々らは、どのような想いで過ごされているのでしょうか。胸が詰まります。

そうしたこともあって、本誌でも毎号気持ちの入った書を巻頭に揮毫している、大学の後輩で書家の龍一郎と話し合い、わずかでも被災された方々と励まし合い、また一人でも世の方々にその想いを伝えようとして始めたのが鹿砦社カレンダーです。

それ相当の費用が掛かっていますが、私たちの想いが詰まったカレンダーですから無料で配布しています。数に限りはありますが、主に本誌の定期購読者を中心にお配りしています。今年も出来上がってまいりました。定期購読の方には同封しております。今、新たに定期購読をお申し込みされた方にも送ります。なくなればそこでストップとなります。毎年ほとんど余りません。

今夏は歴史的な猛暑でした。師走を迎え季節は冬に入っていきます。この冬の寒さはいかばかりでしょうか。寒さがいかに厳しいとしても、なんとしても乗り越え共に春を迎えましょう!

本誌『季節』は次の10年に向かって歩き始めました。この世から原発がなくなる日まで共に頑張りましょう!

2024年12月 季節編集委員会

12月11日発売 〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年冬号 

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年冬号(NO NUKES voice 改題 通巻41号)
紙の爆弾 2025年1月号増刊
A5判 132ページ(巻頭カラー4ページ+本文128ページ) 
定価770円(税込み) 2024年12月11日発売

[グラビア]輪島市門前町深見地区。5.2メートルもの隆起が確認できた(2024年9月8日 写真提供=北野進)

[グラビア]能登半島震災一年 隆起に沈む人と国(北野進)/復興進まず“棄民”の地(北村敏泰

樋口英明(元福井地裁裁判長)
[報告]2025年の脱原発 非力ではあるが、無力ではない

小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
[報告]核融合発電はできないし、やってもいけない
[講演]伊方原発を止める裁判闘争の歴史的・社会的意義

後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
[報告]福島第一原発事故炉 危機の真実 ペデスタル破損と溶融デブリの下で事故収束は可能か

山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
[報告]第七次エネルギー基本計画の何が問題か

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《特集》避難対策は全国どこでも「絵に描いた餅」
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北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団長)
[講演]能登半島地震が実証した避難計画の破綻

石地 優(福井県若桜町・有機農業)
[報告]能登半島地震で何が起きていたのか 原発事故になれば避難はできません

阿部功志(茨城県東海村議会議員)
[報告]問題だらけの東海村避難計画 どうすれば「避難弱者」を救えるか

菅野みずえ(福島県浪江町・原発事故避難者)
[報告]福島の避難所で起きていた性被害 避難計画には女性の意見を!

森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
[報告]原発賠償関西訴訟・法廷で語られる真実 本人尋問が伝える「被害」と「避難」の実相
 
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北村敏泰(ジャーナリスト)
[報告]脅かされる被災住民のいのちと生活 能登半島地震でも国や行政の“棄民”政策

和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
[講演]福島イノベーションコースト構想の真実〈後編〉「日本のハンフォード」になる福島

柳原敏夫(弁護士)
[報告]いま法律が危ない

平宮康広(元技術者)
[報告]水冷コンビナートの提案〈2〉

漆原牧久(脱被ばく実現ネットボランティア)
[報告]考えないようにすることで精神の安定を保っています  
3・11子ども甲状腺がん裁判第11回口頭弁論期日報告

三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
[報告]国家がせり出してくる時代 ── 希望は何処にあるか

板坂 剛(作家/舞踊家)
[報告]三島由紀夫生誕100年 死後54年に想う!

佐藤雅彦(翻訳家/ジャーナリスト)
[報告]原子力は地域社会に「核分裂」をもたらす

山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
[報告]山田悦子の語る世界〈25〉 絶望の時代《今》を生きる意味(上)

大今 歩(高校講師/農業)
[報告]「人為的CO2温暖化説」を止めない限り、原発は止まらない

再稼働阻止全国ネットワーク
核ゴミの行き場はない! 福島は終わっていない! 
沸騰水型原発の再稼動反対! 東電に原発動かす資格なし!

全国各地からの生の報告(全10本)
《青森》山田清彦(核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団)
 六ヶ所再処理工場とむつ中間貯蔵施設の実態
《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 再稼働反対11・2集会宣言(抗議声明)案(抜粋)
《福島》木幡ますみ(大熊町議)
 大熊町民の本音
《柏崎刈羽原発》桑原三恵(規制庁・規制委員会を監視する新潟の会)
 ”安全”ではありえない柏崎刈羽原発の再稼動
《日本原電》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 原発を動かす資格のない原電は廃炉作業に専念するよう求めます
《高浜原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
「9・23高浜全国集会」の報告と「12・8関電包囲大集会」の案内
《敦賀原発》山本雅彦(原発住民運動福井・嶺南センター事務局長)
 日本原電敦賀原発2号機の廃炉を要求する
《中国電力》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 活断層に囲まれた島根原発2号機の再稼働は中止すべきだ!
《四国電力》名出真一(伊方から原発をなくす会)
 伊方原発3号機の即時廃炉を!!
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 大地震の脅威を無視し原子力災害対策指針改訂でお茶を濁す原子力規制委員会

[反原発川柳]乱鬼龍

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

『紙の爆弾』2025年1月号に寄せて 『紙の爆弾』編集長 中川志大

総選挙前の11月号で本誌が挙げた論点は、「食」「消費税」「対米自立」でした。裏金問題から自公政権が惨敗した選挙結果は歓迎すべきものの、肝心の政策に関する議論が十分に行なわれたとはいえません。「自民党にお灸をすえる」という言い方がなされますが、すえ終われば戻るとすれば、より悪い形で自公政権が継続・復活する危惧もあります。選挙後になって「103万円の壁」が議論されているものの、“本題”は消費税です。

そうした状況にあって、mRNA・レプリコンワクチンの問題を含め、真正面から課題を挙げながら当選(佐賀1区)した立憲民主党・原口一博衆院議員にインタビューしました。原口議員に対しては、総選挙期間中の10月25日、レプリコンワクチンを製造するMeiji Seikaファルマが名誉毀損訴訟の提訴方針を公表。ただ、その後約1カ月後のインタビュー時点でもMeiji社は「準備中」としており、同社の狙いを違った観点から分析する識者もいます。詳細は本誌記事をぜひお読みください。なお原口議員については、11月号でも植草一秀氏の政治団体「ガーベラの風」講演を紹介しています。あわせてご一読をお願いします。

命を守るという意味で、食の安全は医療の安全と重なります。ただしその際には、そもそも「医療」とは何かという問いも必要です。また、旭川の少女に強いられた非合理な投薬、「ワクチン」という名の遺伝子製剤。企業や政府、医療界の意向が優先されている現状は、十月号の和田秀樹医師や、十二月号の内海聡医師が重要な指摘を行なっています。これらに対峙する時、医療で守る「健康」とは何かを問う必要があります。

今月号では、日本のメディアで報じられない中国の技術発展について現地レポートしました。その中国で、自動車の暴走など「無差別殺傷事件」が相次いでいます。日本の報道では背景として、しばしば政府への不満や「社会への報復」といったことが語られています。しかし、日本やアメリカでも、放火や銃乱射をはじめ、同様の事件は起きています。アメリカで銃規制の議論がある程度で、政府批判につなげられることはありません。「闇バイト」の背景に、自公政権の悪政を指摘するのは、それなりの説得力がある気もしますが、そんな分析は皆無です。これもプロパガンダ報道と見ていいと思われます。「中国の脅威」の煽り報道を正当化しようとしているのかもしれません。

イスラエル・ネタニヤフ首相の演説を分析すると、同氏が“戦術”として用いる「反ユダヤ主義」の実態が見えてきます。日本ではその影響力がわかりづらいものの、たとえばフランスのテレビでは、ガザの廃墟や避難民のキャンプは映っても、血にまみれた子どもの姿は流されません(12月号記事参照)。今月号で重信房子氏らが詳細に指摘しているとおり、米国トランプ政権もイスラエル・ロビーとの密接な関係が指摘されており、戦争や虐殺をどう止めるかが、今後より問われています。その際には、国連のあり方にもメスを入れる必要があります。

ほか、パリ五輪の女子ボクシング競技で勃発した“染色体騒動”の新展開、“政変”に見舞われたフィリピン前官房長官インタビュー、「稲村ジェーン」ゆかりの鎌倉名物カフェが突きつけられた“立ち退き”問題など、本誌ならではのレポートが今月も満載です。ぜひ全国書店でご確認をお願いいたします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年1月号

『紙の爆弾』2025年 1月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2024年12月07日発売

原口一博衆院議員インタビュー レプリコン訴訟恫喝の深層 編集部
これは「ワクチン」ではない mRNA・レプリコンワクチンが「人体実験」といえる理由 青柳貞一郎
「反ユダヤ主義」とは何か 米欧を籠絡するイスラエルの戦略 広岡裕児
旭川女子中学生凍死事件「再調査」が隠蔽した真実 野田正彰
今後の政権交代も阻む「自公国政権」国民民主党はやはり“隠れ自民党” 横田一
自公「少数与党化」で何をすべきか 官僚に支配された国会を取り戻す 足立昌勝
尾を引く「三つの敗因」石破自民党“惨敗”後の内幕 山田厚俊
語られざる「中国脅威論」の実相 中国の宇宙支配と「人体改造」計画 浜田和幸
パリ五輪「女子ボクシング染色体問題」決断を迫られる「スポーツと性別」片岡亮
重信房子氏が語る展望 トランプ第二次政権とガザ大虐殺の行方 浅野健一
フィリピン前官房長官が語る 東アジアの危機とフィリピン政争の裏側 木村三浩
ジャニーズ「紅白ゼロ」松本「提訴取下げ」二つの“性加害”問題 終結の行方 本誌芸能取材班
パリ五輪「女子ボクシング染色体問題」決断を迫られる「スポーツと性別」 片岡亮
mRNAワクチン、毒素兵器、バイオハザード(前編) 佐藤雅彦
鎌倉「ヴィーナスカフェ」立ち退き問題が炙り出す市政の闇 青山みつお
シリーズ 日本の冤罪 ロス疑惑 片岡健
「カウンター大学院生リンチ事件」から十年(上) 松岡利康

〈連載〉
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER Kダブシャイン
「ニッポン崩壊」の近現代史 西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

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税金を浪費して弱体化する防衛産業 防衛費「GDP比2%」無駄遣いの全実態(清谷信一)/優生保護法めぐる訴訟が排除した本当の被害者(野田正彰)

月刊『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。記事単位での購入も可能になりましたが、『紙の爆弾』はあくまで紙がメインのメディアです。興味を持っていただけましたら、ぜひ書店でお手にとっていただければ幸いです。定価700円(税込)、年間定期購読7700円(1号分お得です)。ここでは12月号(11月7日刊行)の注目記事2本の一部を紹介します。

◆税金を浪費して弱体化する防衛産業 防衛費「GDP比2%」無駄遣いの全実態
 取材・文◎清谷信一

 
 

 低品質の国産装備を不当に高く調達する防衛省

防衛省の調達では、他国よりも性能や品質の劣った国産装備に対して何倍、あるいは一桁高い調達費や維持費を払っている。問題はこのような現実を、防衛省や自衛隊への取材の機会を独占している新聞・テレビ・通信社など記者クラブ会員の媒体がほとんど報じてこなかったことだ。これが防衛以外であれば大問題となっているだろう。

たとえばある自治体が、隣の町では10億円でつくっている小学校を、技術が低い地元の建設会社に50億円や100億円で発注し、しかも手抜き工事で雨漏りや耐震構造もいい加減な欠陥校舎が出来上がれば大問題となるだろう。だが防衛調達では、これが不思議と問題にならない。

国産機の調達をみてみよう。財務省によれば川崎重工が開発した空自のC‐2輸送機の維持費は、ステルス戦闘機で通常の戦闘機の二倍以上するF‐35Aよりもさらに高い。CPFH(Cost Per Flight Hour=飛行時間あたりの経費)も当然高い。

財務省の資料で公開されている、川崎重工製C‐2のCPFHは約274万円。対して米空軍の輸送機のC‐130Jが約61.8万円、C‐17が約150.9万円(※1ドル=112円。平成30=2018年度支出官レート)高コスト・低性能の輸送機「C-2」と哨戒機「P-1」。ともに川崎重工製だ(※参考:再生審議会資料『防衛』平成30年10月24日)。つまりC‐2のCPFHはC‐130Jの4.4倍、C‐17の1.8倍にもなる。

ペイロード(積載量)1トンあたりのCPFHは、C‐2は10.5万円(最大26トン)、C‐130Jは3万円(同20トン)、C‐17(同77トン)は1.96万円である。C‐2はC‐130Jの約3.5倍、C‐17の5.4倍と、比較にならないほど高いのだ。

さらに1機あたりのLCC(ライフ・サイクル・コスト)はC‐2が約635億円、C‐130Jが約94億円、C‐17が約349億円。C‐2はC‐130Jの6.8倍、C‐17の1.8倍である。

ペイロード1トンあたりにするとC‐2は24.4億円、C‐130Jは4.7億円、C‐17が4.5億円。ここでもC‐2はC‐130Jの5.2倍、C‐17の5.4倍となり、これまた比較にならないほど高い。C‐2の調達および維持費が、輸送機としては極端に高いことがわかるだろう。

調達単価、CPFHの面からもC‐2は極めてコストが高い。直近の令和3(2021)年度の補正予算での調達単価は243億円。これはペイロードが3倍近いC‐17と同等以上だ。

この極めて高額なC‐2輸送機を大量に買い、また空自は電子戦機のRC‐2やスタンドオフ電子戦機などもC‐2ベースの派生型として開発している(編集部注・電子戦とは電磁波を使った通信妨害などを伴う戦闘)。

これら派生型は、既存機と整備や訓練などを共用化、効率化できるなどメリットが大きいことはいうまでもない。だが先述のように、C‐2はそのものが調達単価も維持費も超高額であるため、それらのメリットは消し飛ぶ。そもそもC‐2の大きなペイロードは電子戦機に必要ない。

対して米空軍はビジネス機のガルフストリーム550をベースに電子戦機EC‐37Bを開発した。550の調達単価は70~80億円程度にすぎず、C‐2の約3分の1程度だ。維持費も一桁は違うだろう。いったいどちらがまともだろうか。

 欠陥哨戒機P‐1をめぐる海幕と石破茂長官の攻防

同じく川崎重工が開発した哨戒機P‐1も、コストがバカ高い欠陥機だ。現首相の石破茂氏が防衛庁長官だった2002年、彼はP‐1の開発に反対した。P‐1が低性能・高価格となることは必然だったからだ。しかし、内局や海上幕僚監部(海幕)に詰め寄られて、最終的には開発を認めざるを得なかった。官僚たちが一斉に反対することで、彼は孤立無援化してしまった。

海幕は、機体・エンジン・システムすべてを新規に開発する方針をとった。米国ですら既存の双発旅客機である737をベースに開発していたにもかかわらず、新規にエンジンを4発にし、整備コストを大幅に引き上げた。

実はその当時から川崎重工がライセンス生産していきた哨戒機P‐3Cですら、整備予算が足りずに既存の機体からパーツを剥がして使う、いわゆる「共食い整備」をしていた。同機は世界的なベストセラー機として信頼性が高かったのだが、それですらこの有り様なのに、機体もエンジンもシステムも全部専用となれば、調達・維持コストが高騰するのは目に見えていた。

海幕は石破氏に対して「4発の方が双発に比べて生存性が高いです、長官には現場の隊員の気持ちがおわかりになりませんか」と詰め寄った。だが石破氏は「現場は信頼性の低い4発のよりも信頼性の高い双発がいいと言っていたのだが」と筆者に後に語っている。

確かに、同じ信頼性のエンジンであれば、双発よりも4発のほうが信頼性は高い。しかし、信頼性の低いものが4発ではその理屈は通用しない。そして現実にP‐1は低稼働率にとどまっている。主原因はエンジンの信頼性だった。

さらに、4発にすることでコストが高騰し、P‐1は整備用パーツを十分に確保できないことも予想されていた。当時のP‐3Cですら前述のように「共食い整備」を強いられていたので、それよりも維持費が何倍もかかるP‐1ではなおさらだ。果たしてP‐1の調達費は初年度(2008年度)で予定の100億円から157億円に高騰、来年度では421億円と、当初の目論見の4倍以上に膨れ上がっている。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/ne319308be297

◆優生保護法めぐる訴訟が排除した本当の被害者
 野田正彰(構成・本誌編集部)

 
 

2024年7月3日、最高裁は旧優生保護法(1948~96年)を違憲とし、国の賠償責任を認める判決を下した。10月8日には同法の下で不妊手術が強制された被害者に1500万円、配偶者に500万円、人工妊娠中絶手術を受けた人に200万円を支払う「旧優生保護法補償金支給法」が、参院本会議で全会一致で可決・成立。被害者に謝罪や差別の根絶を表明する決議も採択された。

この最高裁判決をもって、今から6年前の2018年1月、宮城県の60代の女性の提訴に始まった旧優生保護法下の強制不妊手術問題は一応の決着をみた、ということになっている。

私も判決は画期的であったと思う。しかし、優生保護法騒ぎには、根本的なごまかしがある。

一連の裁判は「精神障害者への優性手術が違法であると確認された」と報じられた。しかし、そこで対象とされたのは、本当に精神病者なのか。私がマスコミ関係者や弁護士、精神科医など十数人にこの問いを投げかけると、全員が「当然そうです」と答えた。だが、彼らの中には一人として、この法律の主たる対象であったはずの精神分裂病者(現在は「統合失調症」という名に変えられた)が原告団にいないことに気付いた人はいなかった。

各紙が原告と弁護士の喜びの姿を報道した。しかし、そこに長期間、精神科病院に強制入院させられた人らしき姿がないことに気付いた人はいない。先の十数人に聞くと皆、「当然、いるんじゃないですか」と口を揃えた。

実際は、原告は全て知的障害か、何らかの神経疾患である。ただ1人、実名を明かして訴え出た小島喜久夫さんは、精神分裂病と故意に病名を仕立てられて強制手術を受けた人だ。しかし、本誌2019年2月号で詳述したように、彼は10代のころ養父により札幌市内の中江病院に強制入院させられると、何の症状もないのに医者が問答無用で「精神分裂病」と診断して手術を強行した。小島さんは数カ月後に病院を脱走。その後、タクシー運転手として働くなどして70歳過ぎまできちんとした人生を送ってきた。

私は精神科医として彼を診察し、札幌地裁で証言した。彼のケースは素行が悪かった青年を意図的に精神分裂病と診断したものだ。すなわち、そもそも優生保護法の対象に当たらない人への犯罪(傷害)である。

 日本の精神医学の根幹にある優生保護法

私は1973年、「朝日ジャーナル」(2月16日号)に「偏見に加担する教科書と法」、翌74年(9月20日号)にも「偏見改まらぬ教科書――再び精神科医の立場から」を書き、優生保護法は人権抹殺思想であると訴えた。その経緯から、今回の最初の裁判が起こされると、朝日・毎日をはじめ多くの記者が取材に来た。

優生保護法の犠牲者の85%が精神病者であり、その多くは統合失調症者であった。この事実こそ、この問題の根幹であることを私は何度も強調した。なかでも熱心だったのが毎日新聞で、記者らは長時間をかけて私の話を聞いていった。しかし、大きく紙面を割いたインタビュー記事は、この重要な事実に触れなかった。私が抗議しても書かない理由を答えなかった。

毎日だけではない。全メディアが意図的に報道から除外した。毎日新聞グループは新聞協会賞をとり、2019年に『強制不妊――旧優生保護法を問う』(毎日新聞出版)まで出版した。

優生手術の主たる対象が精神病者であるという事実が重要なのはなぜか。そして、なぜマスコミはその事実を報じないのか。

私は1969年に北海道大学医学部を卒業し、精神科医として働きはじめた。当時の私は精神の病理を通して人間の精神全体を研究したいと思っていた。研修を始めてすぐ、戦後の民主化の時期に子ども時代を過ごした人間として、そして安保闘争や大学闘争に関わってきた青年として、日本の精神医学は誤っているという問題意識を強く持った。

医学部学生から精神科医へと進む過程とは、実は自ら人間性を失う過程でもある。たとえば私が通った北大では、すり鉢状の大教室の講義で諏訪望教授が助手に命じ患者を連れてきて、学生の前で意味もなく電気ショックをかけた。助手に押さえつけられた患者の全身が大きく痙攣する様子を、学生は黙って見ていた。

私は授業の後、抗議しなかった自分を責めた。電気ショックがどういうものかを学生に見せるために、患者にかけてみせる。患者はどれほど苦しい思いをし、自尊心を踏みにじられたことか。それに誰一人として無関心となるようにすることが、精神科の医学教育である。

卒業後、札幌市立の静養院を訪れると、板張りの大部屋に置かれた木製の大机で患者たちが昼食をとっていた。その大半はロボトミーやロベクトミーされていた。

ロボトミー手術は、電気ショックで意識を失わせたうえ、眼瞼の上から先の曲がったメス状のピックを差し込み扇状に動かし、前頭葉の周囲の動脈をずたずたに切断し壊死させる。脳には人間の血液の多くが流れ込む。その血管を開頭もせずに当てずっぽうに切り裂くことで、多くの人が亡くなっていった。ある病院では、術後数カ月の死亡率が3~4割に達したという。ロベクトミーは開頭して前頭葉を切除する手術を指す。

「臺(うてな)実験」と呼ばれた、1950年頃に東京都立松沢病院で行なわれた人体実験がある。廣瀬貞雄がロボトミー手術をした患者から生検用の脳組織を切除した。それが学会で問題となると、主導した臺弘は、ロボトミーで大脳皮質を壊死させるのだから問題ないと、まるで廃物利用したかのように言ってのけた。臺はその後に東京大学、廣瀬は日本医科大学の教授となった。廣瀬は札幌医大の中川秀三教授とともに「日本のロボトミスト」と呼ばれる人物である。こんな人がこんな殺人医学で教授になり、その思想を医学生に伝承してきた。

松沢病院に勤めていた吉田哲雄医師が、被害者のカルテを探し出し、記載内容を次のように発表した。

〈手術前、手術台上にて「どれ位切るんですか、かんべんして下さいよ、脳味噌取るんでしょ、どれ位とるんですか、止めて下さいよ、馬鹿になるんでしょ、殺されてしまうんじゃないですか、殺さないで下さい、お願いします、家ヘ帰らせて下さい、先生、大丈夫ですか、本当に大丈夫でしょうか、死なないですか、先生、先生、本当に死なないでしょうか、先生、先生、先生……」といった調子で執劫に情動的な訴えを繰返す。Grazieが全然ない。左側白質切載が終ると途端に自発的に口をきかなくなる。〉

患者は約一週間後に亡くなった。「Grazie(グラチー)」とはドイツ語で「優美」という意味で、精神医学では人間としての精神の自然な流れを指す。殺人医師が殺す人を、死を覚悟する優美さがないとカルテに書く。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/ne23bed47f158

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年12月号

『紙の爆弾』2024年 12月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2024年11月07日発売

野田正彰
優生保護法をめぐるお祭り訴訟 犯人と被害者のいない殺人事件

清谷信一
税金を浪費して弱体化する防衛産業 防衛費「GDP比2%」無駄遣いの全実態

内海聡(医師)×長井秀和(西東京市議)
日本人と日本社会が罹った薬と政治の「依存症」

広岡裕児
ハマス攻撃「10・7」から一年 ネタニヤフは何を考えているのか 

足立昌勝
袴田巌さん再審無罪判決が切り拓く死刑廃止への道

浜田和幸
拉致問題を「解決させない」のは誰か 日本と北朝鮮の間の語られざる闇 

青木泰
公明党代表・石井啓一は元森友大ウソ国交大臣 

横田一
兵庫県版“石丸現象”で斎藤前知事再選も 兵庫県知事選で問われる“民意”とは何か 

浅野健一
札幌・安倍晋三ヤジ訴訟 最高裁は「憲法の番人」の役割を捨てた 

木村三浩
フィリピンの「キングメーカー」ロドリゲス前官房長官 「アジア版NATO」よりもアジア諸国の団結を 

上條影虎
なぜ世界は戦争を終わらせようとしないのか? アメリカが牽引する歪んだ正義の正体

小西隆裕
終焉するグローバリズムと新自由主義 日米一体戦争体制から日本が脱却するために

片岡亮
ジャンポケ斎藤事件の背景 「観るべきではない」メディアに堕したテレビ現場の惨状 

“嵐”来年3月復活説の背景 NHKも全面協力 ジャニーズ「幕引き工作」

佐藤雅彦
「来た、見た、逝った」架空体験記「SEXPO 2025」 

青柳雄介
シリーズ 日本の冤罪54 袴田巖冤罪事件 

山口研一郎
一九七四年「学園闘争」から半世紀 長崎大学医学部闘争の全資料発掘 

〈連載〉
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER Kダブシャイン
「ニッポン崩壊」の近現代史 西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

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《急報》三島由紀夫×板坂剛 11月30日(土)新宿ガルロチにて、鬼才・板坂剛の脚本演出による、三島由紀夫生誕100年記念創作フラメンコ『班女』を初公演!

◆世間の三島離れに抗して作り上げた創作フラメンコ『班女』 板坂 剛

世間の三島離れに抗して、三島文学を創作フラメンコとして舞台化してみたいと思い立ったのは1年も前のことではなかったが、もし、そういう機会があれば是非挑戦してみたいと思う作品は既に20年前からあった。

近代能楽集の『班女(はんじょ)』である。三島由紀夫の戯曲と言えば『黒蜥蜴』『サド公爵夫人』が有名だが、どちらも判りやす過ぎてつまらない。しかし、『班女』には観る者の主観によりどこに美を感じるかが違ってしまう面白さがあって、混乱した印象を受けてしまうが。そこがこの作品にどのようにでも脚色できる誘いの隙を与えているのを感じる。

偶然にも1998年にスペイン人のフラメンコ舞踊家トーマス・デ・マドリーという人が滋賀県草津に在住する阿部啓子というやはりフラメンコ舞踊家のリサイタルで、彼の脚本演出による『班女』を上演している。

トーマスがスペイン人でありながら三島文学の愛好家であったことには驚いたが、彼自身の創作フラメンコ作品に『班女』を選んだことにはもっと驚かされた。

実際に上演された『班女』を観て、当然自分とは随分解釈が違うと感じたものの、同じフラメンコの舞踏家としていつかこの作品を舞台に乗せてみようと思ってはいた。

そして2024年11月30日。かつてフラメンコの聖地と呼ばれた新宿のガルロチ(元エル・フラメンコ)で、ようやく私の『班女』を上演することが出来る。この作品に目をつけるのは三島文学愛好家の中でも「研究家」と呼ばれるべきレベルであるとの自負をこめて……

▼板坂 剛(いたさか・ごう)
作家、舞踊家。1948年福岡県生まれ、山口県育ち。日本大学芸術学部在学中に全共闘運動に参画。鹿砦社より『三島由紀夫と1970年』(2010年、鈴木邦男との共著)、『三島由紀夫と全共闘の時代』(2013年)、『三島由紀夫は、なぜ昭和天皇を殺さなかったのか』(2017年)、『思い出そう! 1968年を!! 山本義隆と秋田明大の今と昔……』(紙の爆弾2018年12月号増刊)等多数。

11月30日(土)新宿ガルロチにて 三島由紀夫生誕100年×鈴木邦男追悼 トークシンポジウムとフラメンコの夕べ

三島由紀夫生誕100年 鈴木邦男追悼
トークシンポジウムとフラメンコの夕べ

三島由紀夫が古典芸能作品を脚色した「近代能楽集」の中でも
異色の傑作として知られる『班女』(はんじょ)──。
フラメンコ舞踊家で三島由紀夫研究家でもある鬼才・板坂剛による脚本演出で、
スキャンダラスで斬新な新たな創作フラメンコ『班女』としてよみがえる。
板坂自ら「総決算」と呼ぶ本公演をお見逃しなく!

第1部 三島由紀夫生誕100年記念 創作フラメンコ『班女』
脚本・演出 板坂剛

第2部 鈴木邦男追悼 トークシンポジウム 
富岡幸一郎(文芸評論家)×木村三浩(一水会代表)×板坂剛

日時:11月30日(土)開演 19:00~(開場18:00~)

会場:地中海料理&ワイン Showレストラン「ガルロチ」
東京都新宿区新宿3-15-17 伊勢丹会館6F(JR新宿駅 徒歩5分)

入場料(いずれも1プレート・1ドリンク付)
一般席:6.500円
S席:8,000円(舞台最前列席)

お問合せ/お申し込み f0228kame@gmail.com
ショートメールでの受付 090-8876-4018