日本政府「危機感ゼロ」という恐怖 CIA企業パランティアの危険性

昼間たかし(紙の爆弾2026年6月号掲載)

3月初頭、首相官邸のサイトにアップされた一枚の写真が波紋を呼んだ。高市早苗首相が白人男性と並んで笑顔を見せている。その人物こそ、ペイパル(PayPal)共同創業者でフェイスブックの最初の外部投資家として名を馳せた億万長者、ピーター・ティール。

この写真が公開されると、SNSでは専門家や識者から色を失ったようなコメントが相次いだ。「安全保障の観点ですらも不適格」「まじでヤバい。常軌を逸している」「『絶対触っちゃダメ』でお馴染みの、あのパランティア!?」ここまで言葉を選ばない反応を浴びせられるパランティアとは、いったい何なのか。

◆パランティアとは何か

パランティア・テクノロジーズ社はCIA(米中央情報局)である。

こう書くと陰謀論だと思うかもしれない。しかしこれはすでに多くのメディアが報じている事実だ。会社そのものがCIAの資金で設立された。

ティールがパランティアを創業したのは2001年9月11日の同時多発テロ以降、ペイパルの不正検知システムがFBI(米連邦捜査局)から注目されたのがきっかけだ。ティールはこのシステムを転用してテロリストを検知する技術を開発し出資者を募ったが、最初は誰も出資しなかった。顧客が誰なのか、何を売るのかがまったく明確ではなかったからだ。

そこで出資したのが、CIAの投資部門・インキュテル(In-Q-Tel)だ。1999年、CIA長官ジョージ・テネットが設立した準公的ベンチャーファンドで、目的は「米国の諜報機関が技術的優位を保つこと」。約125万ドル(約2.5億円=当時)という金額も驚くが、より重要なのは、「CIAが最初の顧客だった」という事実だ。

設立から数年間、パランティアの顧客はCIAだけだった。CIAアナリストがパランティアのエンジニアとCIA本部でテロリスト監視システムを共同開発した。2006年にリリースした「Palantir Gotham(ゴッサム)」はCIA、FBI、NSA(国家安全保障局)、国防総省が次々と導入。2011年のオサマ・ビンラディン殺害作戦でも使われたとされる。

日本法人は東京・神宮前のオシャレなオフィスビルに入居している。しかしその実態は「CIAの、CIAによる、CIAのための企業」だ。

パランティアの最大の問題点は、諜報機関との関係を超えた倫理観のおかしさだ。2025年8月、米テックメディア「ワイアード(WIRED)」が「パランティアは実際、何をしている企業なのか?」という記事を掲載した。元社員すら「まとまった説明をどうすればいいかは難しい問題です」と語り、別の元社員は「その質問にどう答えればいいか、まだわかりません」と答えた。働いていた人間ですら説明できない会社なのだ。

わかっているのはこうだ。パランティアが米軍に提供している主力製品「Maven Smart System」は、衛星画像・ドローン映像・電波傍受・位置情報をリアルタイムで統合し、AIが攻撃目標を自動選定する。従来は人間2000人が12時間かけて作っていた標的リストを、AIが1分以内に完了する。今年2月末から始まったイラン攻撃では、このシステムが初日だけで1000件以上の標的を選定したとされる。少なくとも13の病院が攻撃され、小学校への攻撃で165人が死亡した。効率的な殺人AIだ。

このシステムは、最初に開発していたグーグルも逃げ出したいわくつきのものだった。2017年、米軍のドローン映像AI分析プロジェクトに参加したグーグル(Google)では社員が倫理的問題を理由に大量退職し、2018年6月に撤退した。グーグルですら「人殺しに使っちゃダメだろ」と判断したものを、パランティアは喜んで引き継いだのである。

パランティアCEOのアレックス・カープはハーバーマスの下で社会理論の博士号を取得した知識人だが、発言は常軌を逸している。2025年2月の業績発表会では「パランティアは必要とあらば、敵を怖がらせ、場合によっては殺す」と明言。2026年3月には、軍事利用を拒否するAI企業アンソロピックを念頭に「政府がテクノロジーを国有化しないと思ってるなら、あんたは知的障害者だ」と公の場で差別発言を繰り返している。

「AI時代の死の商人」――それがパランティアの実情だ。そんな会社のシステムを、日本政府は本気で導入しようとしている。

1月16日、小泉進次郎防衛相がワシントンのパランティア本社を訪問。「AIや無人機の活用が非常に重要なポイントだ」と述べた。現状、富士通などの民間企業を通じてゴッサムを調達する方向で調整が進んでいる。

ゴッサムは、国家が持つあらゆるデータを統合してAIが分析・監視するシステムだ。警察の犯罪記録・税務データ・出入国記録・防衛機密・SNSの投稿履歴――これらを一つのプラットフォームに統合し「誰が誰とつながっているか」「誰が危険人物か」をAIが自動分析する。

マイナンバーカードの危険性が指摘されているが、それらはしょせん「閉じたシステム」である。ゴッサムは次元が違う。誰がどこで何をしているかを即座に検索し、犯罪を行なう〝危険性?まで予測する監視システムなのだ。

◆明確な基本的人権の侵害

こうした行き届いた監視システムに、導入を検討した主要国は、すでに次々と逃げ出している。

2023年2月、ドイツ連邦憲法裁判所は、ハンブルク市警察が導入したパランティアのシステムについて「違憲」との判決を下した。理由は「明確な基本的人権の侵害」だ。問題になったのは犯罪予防を目的としたシステムで、警察の犯罪記録・通話履歴・SNS投稿・位置情報を放り込むだけで犯罪を〝予測する?というものだった。

ところが実際にAIが検知したのは、あり得ない犯罪ネットワークだった。

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イラン戦争が示す高市政権「トランプ媚従」の末路

堀茂樹 構成・本誌編集部(紙の爆弾2026年6月号掲載)

2月28日、イランの首都テヘランへの空爆に始まった米国の戦争は、そもそも目的が明確でない。しかし動機は見え透いている。米国は、今日なお自国が世界を仕切る超大国であることを示したいのである。

実は、第二次世界大戦後の米国は、世界各地で戦争を仕掛け、毎度敗退してきた。ただし本土を攻められたことがないため、ベトナム戦争のような明らかな例を除けば、世界の人々は米国が敗北したとは認識してこなかった。

しかし近年、歴史学者エマニュエル・トッドも指摘するとおり、米国はウクライナを介した代理戦争でロシアにはね返され、関税を武器にした経済戦争では中国に力負けした。そして今回、空爆やミサイルによる直接的な戦争をイランに仕掛けたが、戦場が米国本土から遠く離れた中東ということもあり、兵力の不足が隠せなくなってきている。わが国は、この基本的事実を踏まえて、今後の国防戦略を考え直さなければならない。

◆トランプとイランの間の「価値観」の隔絶

これまで米国は、政権転覆工作を含む他国への攻撃に際して、いつも「民主化」を大義名分としてきた。しかし、今回トランプは、「アメリカとイスラエルに対して友好的であればイランに民主化は必要ない」(3月7日)と言い放った。イランの核開発への懸念を語りながら、平和的な協議中にいきなりの騙し討ちでイランの最高指導者らを暗殺した。大義のない戦争、帝国主義的暴力をむき出しにする戦争であることを、米国は隠さなくなった。

こうなると、トランプの「アメリカファースト」は、他国とその国民を犠牲にしてでも米国の利益を図るエゴイズム以外の何物でもない。しかも、追求するのはカネばかり。連発される「ディール」という言葉がその象徴だ。カネ儲けを超える価値を、トランプは持ちあわせていないのではないか。

対照的なのがイラン側の人々で、彼らは少なく見積もっても、個人的な生命を超える価値にセンシブルだ。暗殺された最高指導者ハーメネイー師の最期は、殺される可能性を織り込み済みであったように見える。殉教ということのあり得る社会と、あり得ない社会の間には、途方もない隔絶がある。

ただし、個人を超える価値、生命を超える価値への感覚は、必ずしも宗教の教えに直接依存しているわけではない。宗教によって培われた形而上学的理念が、当該の宗教が下火になったあと、世俗化して人々を導くことがある。たとえば西洋近代の人権尊重は間違いなくキリスト教起源だが、宗教としてのキリスト教から離れ普遍化した。

エマニュエル・トッドの出色の指摘の一つによれば、西洋人一般が今のイランを原理主義的なイスラム教権国家と見做しがちなのは現実を知らないからである。モスクは熱気が溢れているとはいえない状態で、むしろふだんは「空いている」し、また、イラン人女性は非常に高い確率で高等教育を受けており、全員がヒジャブを被っているわけでは全くない。

かつて西洋諸国でキリスト教由来の世俗的価値観が公的なコンセンサスとなり、キリスト教会の権威を私的生活圏に追いやったのと似たプロセスで、実はイランも、1970年代末のイスラム革命にもかかわらず、ではなくむしろ、ほかでもないイスラム革命を契機として、しかもあの革命が打ち出した教義や戒律には反して、俄然近代国家に変貌しつつある、と捉えるべきであろう。

長い文明の推移がそのような途上にある国に、愚かにも西洋は外から力ずくで西洋風の民主制を押しつける。しかも、それは名目にすぎず、真の動機は覇権の誇示と金銭的利益の追求に尽きている。民主制を押しつけられた非西洋国の国内は通常、外からの圧力への対抗の必要に駆られ、一挙に保守化し、強権的な政体へと向かう。それが、2003年のイラク戦争を契機にイスラム国が誕生したのをはじめ、中東地域の多くで見られた経緯である。

ところが、今回イランは、反動に翻弄されるどころか、米国とイスラエルに対して冷静に、強靱に、そして自律的に対処しているように見える。米国とイスラエルは昨年6月に「12日間戦争」を仕掛け、今年2月末にはイランの最高指導者をいきなり暗殺した。そして得意の情報戦を仕掛け、イランによる核兵器製造や、国内のデモにおける4万人もの市民の殺害を吹聴した。しかし、内乱もレジームチェンジ(体制転換)も起こすことができなかった。イラン国民はむしろ団結している。

そこに如実なのは、蓄えられたリアルな戦力の充実に加えて、宗教自体というよりも、宗教をバックボーンとする倫理観の確かさ、個人の生命を超える集団的価値(=祖国)や形而上学的価値(=永遠)への信念の強さであるように思われる。

イランを支えるそんな思想を、トランプと、トランプが戯画的に代表する現代西洋は理解しない。対立は長期化しそうだ。

本誌発売時点の具体的な戦況を予測することはできない。それでも、かなり早い段階で、米国の敗北はすでに確定的であったと考えられる。少なくとも、私がしばしば参照するフランスの複数の独立系メディアは、3月末にはすでに米国の敗北を明白と判断して、分析・解説を行なっていた。

◆「自由」と「民主」のバリエーション

ここで、米国の掲げる「自由民主主義」について確認しておきたい。

民主主義における意思決定の基本は「多数決」、すなわちマジョリティの支配である。しかし「多数の暴力」という言葉があるように、多数で決めたことだからといって、個人の基本的人権を損なうことが許されるわけではない。そこに多数決の限界が考えられている。

一方で、個人の権利擁護を絶対化すると、意思の集約ができず、民主主義は成り立たない。それは自由主義的でリベラルではあるが、もはや民主主義とはいえない。
米国の自由民主主義は、何事につけ、個人の自由を優先的にする。裁判で金を持つ側が有利となるのも当然のことと考えるし、名門大学のグループであるアイビーリーグにも富裕層の子弟は財力で入り込みやすい。なんと学内で、富裕層の学生が、優秀な学生を家庭教師として雇っていることもあると聞く。米国は、個人の権利を中心に据えた新自由主義的な社会といえる。

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れいわ新選組騒乱の真相 「弱者に寄り添う政党」が迎えた分岐点

鮫島浩(紙の爆弾2026年6月号掲載)

山本太郎は名優だった。2004年のNHK大河ドラマ『新選組!』で槍の名人・原田左之助役を颯爽と演じた姿は、今も私の脳裏に焼き付いている。

彼は原発反対運動で芸能界を追われ、政界へ転じた。与野党とも一線を画し、2019年4月に「れいわ新選組」をひとりで旗揚げ。最大で国会議員15人を擁する国政政党に飛躍させた。消費税廃止を掲げて大旋風を起こし、政界全体を減税へ大きく傾かせた存在感の大きさは、否定しようがない。

私が山本太郎と初めて話をした時、彼は勢いづく新党のカリスマリーダーとして、すでに脚光を浴びていた。大衆を引き寄せるパフォーマンスとリベラル派知識人も納得させる論理性を兼ね備えたその演説力は、数多くの政治家を取材してきた私の目から見ても、群を抜いていた。

だが彼はその時、意外にも芸能界への未練を語った。本当は俳優を続けたかった。いつの日にか俳優に戻りたい……そうは明言しなかったものの、言葉の節々にそんな本音がにじんでいた。

山本太郎は、政治家を演じている。つねに社会的弱者の側に立ち、巨大権力に立ち向かう理想の政治家像を、名優として完璧に演じ切っている―私は初対面の彼にそんな印象を抱いた。

そもそもれいわのデビュー戦が、ドラマ仕立てそのものだった。

重度障害者、派遣労働者、公明党に異を唱える創価学会員……。2019年参院選の比例名簿には、現代の日本社会から弾かれ、取り残された無名の人々がずらりと並んだ。山本太郎は重度障害者のふたり(舩後靖彦と木村英子)を比例の特定枠1位と2位に搭載し、見事に当選させた。一方、自らは全候補者のなかで最多の99万票を獲得しながら落選したのである。

見たことのないドラマチックな選挙だった。山本太郎は俳優としてだけではなく、脚本家としても類稀な才能を持っていたのだ。

2022年の国会復帰後も、プロのミュージシャン顔負けの音響設備を導入した派手な消費税廃止デモを全国展開する一方、年末恒例の炊き出しや能登半島地震の被災地支援を寡黙に続けた。れいわ旗揚げから6年以上にわたり、絵に描いたような理想の政治家を演じ抜いた。

それが今、音を立てて崩れている。いったいどこで歯車が狂ったのか。

◆惨敗

山本太郎が突然、議員辞職を表明したのは1月21日。高市早苗首相が電撃解散を決断したと報じられた11日後だった。「ガンの一歩手前」になったと告白し、「自分の命を守る戦いに入る」ため、「政治活動を無期限で停止する」と語った。一方で、れいわ代表にはとどまるとも強調したのである。

何が起きたのか――。じっくり考える余裕がないほど、政界の流動は速かった。総選挙目前に、党内に動揺が走った。山本太郎が代役に指名したのは大石あきこだった。すでに共同代表に大石と??渕万里を指名し、幹事長に高井たかしを起用していた。だが大石の重用ぶりは突出していた。??渕と高井は、大石が際立つことを抑えるカモフラージュにすぎなかった。

大石は日本記者クラブやテレビの党首討論に独占的に出演し、山本太郎に代わる「れいわの顔」になった。ところが、彼女の過激な言動の数々(辛辣な言葉を連発して相手を糾弾したり、司会の制止を無視してしゃべり続けたり……)が、熱狂的な支持者を歓喜させる一方、世間をドン引きさせたのは否定できない事実だった。

山本太郎の演説は時に先鋭的だったが、ユーモアを織り交ぜることを忘れず、論理が逸脱することもなかった。大石は感情が先走って攻撃一辺倒になる傾向が強く、ネットを中心に大石批判が吹き荒れた。大阪府の公務員出身の大石に、カリスマ名優の代役を期待するのは、そもそも無理な注文だったのかもしれない。まさに「役者が違った」のだ。

山本太郎は選挙最終盤、街頭にサプライズ登場したが、焼け石に水だった。比例は2025年参院選の390万票から170万票へ激減。前回衆院選の9議席からは1議席に減らす大惨敗だった。それも自民が勝ちすぎて比例候補が不足し、れいわに回された「おこぼれ当選」の1議席。本来なら議席ゼロの壊滅的敗北といえた。

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『紙の爆弾』6月号に寄せて

『紙の爆弾』編集長 中川志大

前号(5月号)ではジャーナリストの乗松聡子さんと木村朗・鹿児島大学名誉教授、今月号では堀茂樹・慶応大学名誉教授に、イラン戦争の分析をお願いしました。前号は情報戦・認知戦を中心に解説、今回は「西側」「非西側」そして「日本」の社会のありようと、「グローバリズム」への分析などにも焦点を当てました。さらに第二次世界大戦当時のアメリカと現代中国の比較は、ほかにない観点でありながら、誰もが納得できるものです。

高市首相の「媚米」ぶりが、日米関係を、これまでになくわかりやすく可視化しました。最近、「対米従属」という言葉をよく聞くようになったのは、そのためでしょう。ただし、「だからどうするか」ということでは、いまだ「日本の安全保障は米国抜きには成り立たない」との論から脱せていないように思います。もはや本誌では、「対米自立」はメインテーマの一つとなっています。「日米同盟は存在しない」とたびたび指摘してきたのが一水会・木村三浩代表で、中国脅威論しかり、幻想を打ち砕くことが必要です。

4月28日、「出光丸」のホルムズ海峡通過が代替的に報じられると、翌日に高市首相は「私自身も、(イランの)ペゼシュキアン大統領に対して、こうした我が国の立場を申し入れました」とXにポストし自身の手柄かに語りましたが、一方で同日の在日イラン大使館のポストは「出光興産が所有する日章丸の1953年の歴史的な任務─イラン産石油を日本へ輸送したこと─は、両国間の長年にわたる友情の証として残っています」。もし高市首相のアピールが正確であれば、出光以外の船舶も通過できるはず。またもや根拠のない、いい加減な発言が明らかになっています。さらに「高市人気」も、私たちが自ら考えることをあきらめさせる、ある種の幻想といえるのかもしれません。そう考えると、日本政府の「情報戦」は国内・国民に向けられているようで、それがもっともわかりやすく表れているのがスパイ防止法です。

そして、「パランティア」。その危険性をもっともわかりやすく解説したのが昼間たかし氏の記事で、デジタル主権の問題を正確に捉える必要があります。高市政権がスパイ防止法や国家情報局設置で対策するのは、中国・北朝鮮・ロシアといった「外国」だが、Google、Apple、META、Amazonなどの企業をまったく問題視しないと記事は指摘。むしろこれら巨大テックに、個人がその認知と行動を設計される段階にきています。

また今月号では、足立昌勝・関東学院大学名誉教授が再審制度見直し議論を解説。このテーマを掘り下げると見えてきたのが、日本の冤罪構造でした。自民党内の議論では稲田朋美衆院議員の言動が注目されています。弁護士として最低限の矜持を守ったと評価すべきではあるものの、のいう通り問題はこれからで、今後も主張を続けることができるかに注目する必要があります。

ほか、れいわ新選組が迎える“分岐点”、イスラエルの核攻撃戦略、岡山県警元警視の女性記者に対する「不同意わいせつ事件」冤罪の可能性、京大吉田寮をめぐる裁判と現在など、6月号も独自の視点からのレポートをお届けします。
「紙の爆弾」は全国の書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2026年6月号
A5判 130頁 定価800円(税込み)
2026年5月7日発売

イラン戦争が示す高市政権「トランプ媚従」の末路 堀茂樹
日本政府「危機感ゼロ」という恐怖 CIA企業パランティアの危険性 昼間たかし
警察・検察・裁判所、そして法制審「再審制度見直し」に表れた冤罪構造の深層 足立昌勝
中東の核を独占する「ベギン・ドクトリン」イスラエルの核攻撃計画 青柳貞一郎
「弱者に寄り添う政党」が迎えた分岐点 れいわ新選組 騒乱の真相 鮫島浩
『USAを盗んだ男』が暴く国家私物化の実相 なぜ世界はトランプを止められないのか 白坂和哉
行政と成年後見制度に殺された私の父 富加見直子
“数字”が人間の思考を奪う AI管理される「人気」と「世論」 片岡亮
政府の対米従属を国民が批判すべし 世界多極化で高まる「日ロ相互理解」の重要性 木村三浩
大阪関西万博・安倍暗殺・鳩山政権…映画『ニッポン狂想曲』の真相追究 太田隆文×木村朗
兵庫県文書問題とトランスジェンダー問題 三浦俊彦
六年半続いた裁判が終結 京大吉田寮と学問の公共性 板谷めぐみ
サナエのイチ推し『ヒトラー選挙戦略』を読む2 佐藤雅彦
日本の冤罪 警視女性記者性加害事件 片岡健

〈連載〉
例の現場
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
「絶望ニッポン」の近未来史:西本頑司
芸能界 深層解剖

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浅野健一さんの著書に、著作権侵害等で出版禁止仮処分を求めているあけび書房刊行書籍の著者の原稿を盗用した疑惑発生! 浅野さんはこれに答えるべきです!

鹿砦社代表 松岡利康

浅野健一さんは、彼のFacebookから松岡らをブロック!
浅野さんともあろう方が姑息な策を弄すべきではない!

去る4月22日夜半、私は浅野健一さんのFacebookに次のような投稿を行いました。

「浅野さん、浅野さんに『法的、道義的責任』を問われている松岡利康です。浅野さんのフォロワーの皆様にもお読みいただきたいので、浅野さんのフェイスブックに投稿させていただきます。
 御著、浅野さんが出版禁止の仮処分等を申し立てておられる本の著者・辻井彩子さんにも献本送付されたとのこと、ご立派です。
 辻井さんはすぐに紐解かれ、浅野さんの著書に辻井さんの文章がそのまま使われている(つまり盗用されている)ことに驚き、三一書房に辻井さんの著書を添えて手紙を出されたそうです。また、私にもその旨、メールにてご連絡いただきました。
 浅野さんの著書はアマゾンに注文していますが、まだ届いていないので、辻井さんのおっしゃることが事実かどうかわかりません。もし辻井さんの仰ることが事実であれば、すべての前提が壊れます。このかん自信満々に辻井さんを罵倒するかのように強く非難されておられるので、まさかとは思いますが、辻井さんの仰っているのは事実でしょうか? それとも、デマでしょうか? 重要なことですので、明らかにしていただけないでしょうか。切によろしくお願いいたします。」

そうしたら、翌日(4月23日)朝一番、盗用疑惑についての釈明ではなく、浅野さんのFacebookから私をブロックすることなどの内容がアップされました。どなたかがそのスクショを送ってくださいました。以下にアップしておきます。

ざっと読ませていただくと、浅野さんもかなり苛立っておられるようで、盗用しているしていないの回答ではなく、私のブロックを宣言されました。

著作権侵害を訴えておきながら、みずからが盗用していたんでは冗談にもなりません。なにしろ出版やメディアの世界で最も重大な出版禁止(出版差し止め。浅野さんが仮処分の表題にされた言葉が「出版禁止」ですので、今後は出版禁止という言葉を主に使います)、つまり「言論・出版の自由」「表現の自由」を保障した憲法21条に係る問題ですので、まずは、問いかけているこの件について回答いただきたいものです。

もし辻井さんが仰ることが事実ならば、出版禁止仮処分の前提が壊れます。人は問題の核心を衝かれたら話題を逸らすといわれますが、なにかそんな気がします。そうでないと言うのであれば、浅野さんはみずからの著書に辻井さんの原稿を使ったのか使わなかったのか、明言されるべきではないでしょうか?

◆浅野さんのFacebookでの発言について

浅野さんは冒頭から『紙の爆弾』編集長・中川が、あたかも100%浅野さんの側に立っているかのように書かれています。本当であれば、それは結構なことです。

浅野さんによれば、このかんの私の「諫め」の文が「あまりに『エキセントリック』」だと中川が言っているとされていますが、中川はこういう言葉は使ってなく、またこの件で浅野さんに連絡(返信)などしていないということでした。

昨年4月発売の『紙の爆弾』5月号に掲載の浅野さんが書かれた記事に対して抗議があり、私や中川は相手方の弁護士に真摯に対応し次号に反論を掲載するということで一応の妥結をしました。この際、浅野さんは私たちの対応に不満だったようで、問題の解決から逃げた恰好で相手になんら対応されませんでした。今も放置されているようです。

『紙の爆弾』に書けなくなったのは、私が「業務命令で、浅野に書かせるなと命じています。」とされています。しかし、私は浅野さんの頑なな態度に業を煮やし、「こんなことでは、しばらく浅野さんの寄稿は掲載できないな」と中川に申し述べました。「業務命令」で書かせなかったわけではありません。そうではないですか、問題が起きた際に相手方に真摯に対応しなかった人の原稿を載せれますか? 浅野さんが仰るように、中川が「業務命令で、浅野に書かせるな」と認識したのであれば、私の言葉足らずでした。すみませんねぇ。

浅野さんほどの経験と学識があれば、『紙の爆弾』のような毀誉褒貶の激しい雑誌でなくても、もっとグレードの高い雑誌への寄稿を求められたほうがいいのではないでしょうか。

亡くなった方をこんな問題に引き合いに出したくはありませんが、これまでの浅野さんによる山口正紀さんに対する酷い中傷がありながらも中川が浅野さんの寄稿を掲載してきたのは、あまり愉快ではありませんでしたが、中川にも考えがあってのことだと思い受容してきました。本当は、山口さんへの浅野さんの酷い態度はいろんな人からさんざん聞いていましたので、以前から「業務命令で、浅野に書かせるなと命じ」たかったのですが、あえてそうしませんでした。

AさんやBさんはじめ少なからずの方々から「浅野を外せ」と再三言われても「中川にも考えがあってのことでしょうから、しばらく様子を見てやってください」と言ってきたんですよ。しかし、昨年5月号の『紙の爆弾』の浅野さんの記事についての浅野さんの対応には不愉快でした。

中川が果たして「100%私(注:浅野さん)の側に立っていました」のであれば、浅野さんは中川と共に新規に出版社を立ち上げられたらいいでしょう。おそらく、浅野さんの唯我独尊とパワハラ体質、スタ官(スターリニスト官僚)体質ですぐにおじゃんになるでしょうが。

また、どなたかに「仲介を頼みました」とありますが、誰一人、「仲介」を申し出た人はいませんでした。なので、私が「協議を拒否」できるわけがありません。「仲介」の申し出自体がなかったわけですから。いい加減なことを言わないでいただきたいです。

さらに浅野さんは、私がこの間、「名誉毀損・侮辱・出版妨害」をやったことで「本訴を準備」していると記されています。私の文のどこが「名誉毀損・侮辱・出版妨害」になるのかご指摘していただきたいですが、おそらく浅野さんは自らの意に沿わない文はすべて「名誉毀損・侮辱・出版妨害」にあたると仰るのでしょう。

「最後に再度呼び掛けます。」として浅野さんは手前勝手に、近畿に来て「説明させてください」ということですが、山口正紀さんの件で長らく我慢してきて、昨年4月の件、そして今回の件で、もう無理だと思います。過日の母親の急逝から気持ちが重くなったことも重なり、浅野さんとの関係修復に尽力するエネルギーがありません。今はAさんやBさんらの進言に従い、あえて浅野さんと義絶させていただきます。訴訟をちらつかせて恫喝するような人とまともな「協議」などできるわけがありません。

もう一つ。私が浅野さんによる出版禁止仮処分申し立てや訴権の濫用に対して、その危険性を強く申し述べ批判したからと言って、「メンタルのこと」を持ち出して被害者意識丸出しに私をブロックされるということですが、あけび書房や辻井さんに、人格批判や罵詈雑言の限りを尽くしながら、みずからがちょっと強く批判されたからと言って「法的措置」をとり「法的、道義的責任」を問うと高らかに宣言しつつも、自分が不利になると、「私に説明させてください」「私の言い分を聞いてください」と泣き落としに出る……やめていただきたいものです。

さらには、「一人出版社」の零細出版社であるあけび書房を尋ねるように支持者をそそのかし、実際に何人かは尋ねて行き、まるで鬼の首を取ったかのように“成果”をFB画面にアップされていますが、公的機関でも公人でもないあけび書房と代表者にとってはたまったものではありません。浅野さんが、逆の立場だったら、どうでしょうか? それこそ天地がひっくり返るほどの大騒ぎをされるでしょう。こんなこともやめるべきです。

◆浅野さんに求めること

① 辻井さんが仰る、辻井さんの文章を掲載しないと言いながら掲載(盗用)したのかどうか、明らかにしてください。ここは重要なところです。辻井さんはすでに三一書房にも、みずからの文が掲載(盗用)されている旨知らせたということですが、この件は三一書房にも説明責任があります。もし浅野さんの著書の文に辻井さんの文が使われていなかったら(すなわち浅野さんのオリジナルな文であれば)、それこそデマであり、辻井さんは嘘つき女となります。

② 辻井さんの著書『石ころの慟哭』出版禁止仮処分を取り下げてください。憲法21条に保障された「言論・出版の自由」「表現の自由」に違反しますので。浅野さんが堂々と出版禁止仮処分を申し立てるということなので私は警告したのですが、これがなかったら、よく見聞きする版元と著者との紛争として“高見の見物”をしていたでしょう。あけび書房のような「一人出版社」であれ、『週刊文春』(2004年に大騒ぎになりました)のような大手出版社であれ、出版禁止を宣告された場合の諸問題は、5度の出版禁止を受けた私だからこそ言えることもあるので、あえて警告した次第ですが、浅野さんには私の真意をご理解いただけず、逆に「名誉毀損・侮辱・出版妨害」と認識されたようです。

◆繰り返し警告します!「バカなことをやめろ!」と。

10日ほど前に母親が亡くなり、本来なら喪に服し大人しくしていなければならないところ、重要な問題ですので、みずからに鞭打ち、拙稿を書いてきました。

浅野さんは私の文を「読みたくない」ということですので、お読みにならなくても構いませんが、出版差し止め=出版禁止、あるいは訴権の濫用という問題は、出版社やメディアにとって極めて重大問題ですので、誰に何を言われようと、また浅野さんに「名誉毀損・侮辱・出版妨害」と詰られ「法的措置」をとられ「法的、道義的責任」を問われようと強く警告しておきます。

この私の警告文をお読みの皆様方! 浅野さんが企てておられる出版差し止め=出版禁止仮処分の重大性、危険性を認識され、浅野さんに「バカなことをやめろ!」と叱責してやってください。私の言っていることは間違っていますか?

以上

「成年後見制度」について皆様の体験、ご意見などを求めます!

鹿砦社代表 松岡利康

4月4日の朝日新聞朝刊は、1面、2面を使い「成年後見制度」の問題について大きく採り上げ、さらに4月7日の社説でも改善を求めています。恥ずかしながら私たちもさほど知りませんでしたが、各地各所でいろいろトラブルが起きていることを知りました。

2026年4月4日朝日新聞

それは、これにより被害を被り、ご本人の願望に反し認知症の奥様に会えない方がご相談され問題の深刻度を認識し、私たちも遅ればせながら、この問題に本格的に取り組むことにいたしました。すでに『紙の爆弾』でも2度ほど被害者の方が寄稿され、これから断続的に採り上げていく予定です。一冊にまとめる企画も進行中です。

月刊『紙の爆弾』5月号(最新号。発売中)の誌面の一部

つきましては、「成年後見制度」についての体験やご意見などを広く求めることにしました。

どしどし下記の所にお寄せください。

専用メールアドレス: mt.rokusaisha@gmail.com
ファックス: 0798-49-5309
郵送: 〒663-8178 兵庫県西宮市甲子園八番町2-1-301

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0GVDQJ364/

『紙の爆弾』5月号に寄せて

『紙の爆弾』編集長 中川志大

トランプ大統領が「2~3週間で米軍の作戦を終了する」(3月31日)と語ったアメリカ・イスラエルとイランの戦争。しかし、もはや主導権がアメリカにあるのか疑問です。イランの核開発問題で交渉の進展を止めたいイスラエルが始めた「イスラエルとイランの戦争」という見方もあり、これから実態が見えてくる可能性があります。5月号では、その“起源”と“真相”に真正面から斬り込んだジャーナリスト・乗松聡子氏と鹿児島大学名誉教授・木村朗氏の対談をはじめ、「思想の時間軸」としての戦争、高市早苗政権の対応、トランプ大統領の目的まで、様々な角度から分析を試みました。

イラン戦争について、3月22日付のニューヨーク・タイムズが興味深い報道をしています。いわく「モサド長官が開戦から数日以内にイランの反体制派を鼓舞し、暴動やその他の反乱行為を引き起こし、ひいては政府崩壊にまで至る可能性があると述べた」。情報戦、心理戦はもはや“裏”ではなく、戦争はミサイルやドローンだけではありません。すでに「反戦」の意味も変わっていて、今月号記事のタイトルを「日本もすでに戦場」とした理由でもあります。グーグルが使えないといった中国の国内情報統制を多くの人は独裁体制としてしか理解していませんが、合理性を認めざるをえないような世界情勢の中に、私たちはいます。少なくとも日本の官公庁のシステムがアメリカの巨大テックへの依存を加速していることの危険性が認識される必要があります。

前号の本欄で子どもの自殺増加問題に触れましたが、その対策を問われた高市首相の「7代前の250人のご先祖様」は、旧統一教会の教義との関連性を問わずとも、もっと批判しなければならない発言です。この社会で生きることに絶望した子どもに対して「俺を含む先祖を思って生きろ」とは、そんなことを自分の子どもに言える親がいるはずがなく、政治家としてはこれからの世代のための社会をつくる気がないことの表れです。むしろ、大人として今の社会に責任を感じ、辺野古の海で起きた事故について考え続けています。

暗号資産「サナエトークン」騒動は、高市首相の関与の有無とは別に、今の日本社会が抱えている大きな問題を露呈させたようです。今は「ビジネス右翼」の世界で“信者”からの巻き上げが活発化しつつあるようですが、要するに、お金を集められるなら手段は問わないということ。実体経済の軽視は長らく指摘されるところですが、それもここまで極まったか、との感があります。

さらに今月号では、逮捕者が続発し不正が明らかとなるなかで公正な選挙を求める行政訴訟、高裁でも解散命令が出た統一教会の今後、高市専制を象徴する「国民会議」、エプスタイン事件の本質、3月号に続く成年後見制度問題、自治体を政府が脅す水道民営化など、いずれも重要なテーマについて、深く掘り下げるレポートをお届けします。

『紙の爆弾』は全国の書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2026年5月号
A5判 130頁 定価800円(税込み)
2026年4月7日発売

【対談】乗松聡子×木村朗 日本も「情報戦」の戦場だ 米国イスラエル「イラン攻撃」の真実とフェイク
「カルバラー」と「ディール」の思想戦争 アメリカはイランに勝てない 昼間たかし
さらに高まる米国追従リスク 日本を狙うIT軍産複合体 木村三浩
【インタビュー】門脇翔平(ゆうこく連合幹事)「不正選挙」と民主主義を問う行政訴訟
「ネット右翼」はカネになる サナエトークン事件の本質 片岡亮
高裁でも解散命令が出た統一教会の最終戦争計画 青山みつお
国会軽視・民主主義軽視 高市専制政治の象徴「国民会議」の欺瞞 足立昌勝
「悪魔崇拝」と「トランスヒューマニズム」エプスタイン事件を考える 早見慶子
補助金カットで脅す政府の水道民営化“ごり押し策” 高橋清隆
続「成年後見制度」という宿痾 高齢者の人生と家族を奪う法の罠 鈴木慎哉
女性専用スペース法制化めぐる論争 井上恵子
広島県・虚偽公文書作成と公益通報つぶし さとうしゅういち
エプスタイン事件が秘めた闇情報とシンギュラリティの到来 藤原肇
サナエのイチ推し『ヒトラー選挙戦略』を読む① 佐藤雅彦

〈連載〉
例の現場
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
「絶望ニッポン」の近未来史:西本頑司
芸能界 深層解剖

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0GVDQJ364/

行き着く未来はデジタル植民地化 チームみらいの空虚な正体

昼間たかし(紙の爆弾2026年4月号掲載)

◆「AIあんの」が示した内情

2026年2月8日に投開票された衆院選で、新興政党「チームみらい」が比例代表で381万票を獲得、11議席を確保した。結党わずか9カ月。昨年7月の参院選で党首・安野貴博氏が比例当選して得た1議席から、一気に衆院で2けたの議席を手にした躍進劇は、多くのメディアで「テクノロジー政党の台頭」と好意的に報じられた。

彼らがテクノロジーに通じていることを宣伝するツールの一つとして登場したのが「AIあんの」である。

安野氏の声と口調を模した対話型AIが、ユーチューブのライブ配信上で有権者の政策質問に24時間対応する。マニフェストを学習させた大規模言語モデル(LLM)が回答を生成し、アバターが読み上げる仕組みだ。累計2万件超の質問に応じたとされ、「政治を身近にした」と称賛された。

だが、この看板は選挙直後に早くも剥がれ始めている。

投票日直前の2月4日未明、ユーチューブ番組「リハック」の生配信中、疲労困憊の安野氏は視聴者から「AIあんののベースモデルは何か」と問われ、「たしか今はGemini(グーグル製ジェミニ)だったと思います」と答えた。

グーグルの利用規約には選挙活動への使用制限がある。コメント欄で即座に指摘を受けた安野氏は「Geminiかも……Claude(クロード)かも……」と、自党の看板システムの根幹技術について曖昧な態度を見せた。

天才エンジニアを標榜する党首が、自らの看板プロダクトに何のAIが入っているかを把握していない。この一幕は、チームみらいのテクノロジー政党としての実態に深刻な疑問符を突きつけた。

その後、エンジニアチームが「Geminiは安野さんの勘違いで、現在はClaudeを使用している。利用規約は確認済みで問題ない」と訂正するも、火消しにはならなかった。

それどころか、
「GeminiとClaudeでは全く違う。それを把握していないなんて開発者としてありえない」「独自開発と思っていたら、海外製AIのAPIを繋いだだけだったのか」
という失望と呆れが広がっている。

さらに事態を悪化させたのは、総選挙後の2月15日、安野氏が批判的な投稿への対応として「エンジニアチームが分析用ツールを作りはじめている。時系列で投稿を分析し、アカウント間の繋がりを見える化する」と宣言したことだ。

技術的な透明性の確保ではなく、批判者のネットワーク分析を持ち出したことは、「テクノロジーで市民の声を聞く」という建前と真逆の、監視への転用として新たな疑惑を生んだ。

だが正直に言えば、チームみらいの問題など、もはや小さい。

看板AIの中身も知らない党首、利用規約で火消しを図る広報、批判者を監視ツールで分析しようとする発想。これらは確かに杜撰で危うい。だが、しょせん1新興政党の内部統制の話だ。

本当に問われるべきは、この程度の政党が381万票を集めて躍進した日本という国の構造そのものだ。

◆米テック企業の「許可」の下での日本政治

問題の核心に入ろう。

チームみらいが「確認済み」と胸を張ったClaudeを提供するのは、米Anthropic社である。同社は2026年1月、「Claude’s Constitution(クロードの憲法)」と呼ばれるAIの行動規範を公開した。約2万3000語、米国憲法の約3倍に及ぶ文書には、こう明記されている。

「不当な権力の集中を助ける行為への協力を拒否せよ。Anthropic自身からの要求であっても例外ではない」。

つまり、Claude’s Constitution自体が、政治権力への従属的利用を想定外とする倫理規範なのだ。安野氏が「確認済み」と語るその「憲法」は、まさに彼のような使い方を拒むよう設計されている。利用規約の文言をクリアしていたとしても、その精神は完全に踏みにじっているわけだ。

ここで注意すべきは、Anthropic社の「憲法」が善意から作られたルールであるかどうかは、この問題の核心ではないということだ。そもそも、一企業が策定した行動規範が、他国の政治活動の許容範囲を事実上規定している。その構造が、当たり前のように存在しているのである。

しかし、これもまだ、問題の核心ではない。

真の問題は、日本の国会議員の政治活動が、米テック企業の「許可」がなければ成立しない構造にあることだ。安野氏が「規約を確認済み」と胸を張るとき、その中身は日本の法律でも国民の意思でもなく、米国カリフォルニア州の一企業が策定した価値観に基づくルールにすぎない。

規約に「政治利用OK」と書いてあれば使える。「NG」なら使えない。

もし明日、Anthropicが「政治利用を制限する」と規約を改定すれば、チームみらいの「頭脳」は一夜にして停止することになる。

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創価学会・公明党の目的とは「公明票」にみる中道改革連合の敗因

大山友樹(紙の爆弾2026年4月号掲載)

◆中道改革結成における公明党の目的

2026年2月8日投開票で行なわれた衆議院総選挙で、自民党は衆院の3分の2の議席を単独で超える316議席と圧勝。連立政権を組む日本維新の会の36議席を加えると、与党で352議席と4分の3を占める圧倒的勢力となった。

一方、総選挙直前に立憲民主党と公明党の衆院議員が合流して結成された新党・中道改革連合は、172議席から49議席へと123議席を失う大惨敗。初の女性首相としての高い人気を背景に、大義なき自己都合解散という大博打に打って出た高市首相に対し、立憲民主党と公明党も新党結成という大博打で迎え撃ったが一敗地に塗れる形となった。

この選挙結果に当事者である中道改革が大きなショックを受けているのは当然だが、公明党の組織母体で、中道改革の結集軸ないしは立・公の紐帯として両者の合流を推進した創価学会も深刻なダメージを受けている。

というのも、今回の新党結成については、政界やメディアさらには有権者においても、高市首相の突然の解散に対抗するための選挙目当ての結党と見る傾向が強い。たしかに野党の準備不足を狙った奇襲への緊急避難的な対抗策という側面があることは事実だろう。

しかし水面下では、公明党なかんずく創価学会が中・長期的な政治戦略の一環として、中道勢力の結集による政界再編を企図していた事実もあった。ところが今回の選挙結果はそうした創価学会・公明党の思惑を、それこそ完膚なく挫くものとなったからである。

少し時間を遡ってみよう。今を去る2年半前の2023年11月15日、創価学会の3代会長で公明党の創立者である池田大作氏が95歳で死去した。その死に際して公明党は、次のような追悼の意を込めた決意表明を行っている。

「創立者は、公明党が衆院選に初挑戦した1967年1月、党のビジョンを明らかにされた。『中道政治で平和と繁栄の新社会』の建設をモットーとして、第一に『清潔な民主政治の確立』を掲げ、内政面では『大衆福祉で豊かな生活』、外交面では『戦争のない平和な世界』をめざすとした内容だ。この未来像を現実の政治の世界で具体化していくことは、公明党の使命である。その自覚をもって、人間主義=中道主義の政治にまい進したい」(公明新聞11月20日付「主張」)。

党創立者の死という節目で、公明党は自らの原点が「中道政治」であることを再確認。「清潔な民主政治」「大衆福祉」「戦争のない平和な世界」を現実世界で具現化することを自らの「使命」であるとして、あらためて「中道主義の政治にまい進」することを鮮明化したのである。

これは公明党の決意であると同時に、一体不可分の関係にある創価学会の決意でもあった。

もっとも現実を見れば、自公連立政権下にあって公明党は、ここに書かれているような池田氏が示した政治的理念やビジョンとは、大きく乖離・矛盾する政治行動を続け、自民党に追随する「下駄の雪」と化して自民党政治を補完・扶翼し続けた。

その最大の要因は、皮肉にもこうした理念やビジョンを提唱した池田氏と創価学会を、政治やマスコミ、さらには世間の批判や攻撃から守るためであった。

具体的には自らが引き起こした言論出版妨害事件(1970年?71年)や、さまざまな違法行為や不法行為が問題となり、宗教法人としての適格性が問われた宗教法人法改正(1995年)を巡る国会の攻防の渦中で取り沙汰された池田証人喚問の阻止や、矢野絢也元公明党委員長が著書『乱脈経理』(講談社)で暴露した国税庁の創価学会に対する税務調査の妨害などが示す通り、政権や政治的影響力を盾にして創価学会や池田氏を防衛する政治戦略にほかならなかった。

だがそうした自家撞着に満ちた政治姿勢は、有権者はもとより学会員の不信と反発をも招くこととなり、創価学会が自らの勢力を計る「広宣流布のバロメーター」と位置づける国政選挙での公明党比例区票は、2005年の小泉郵政選挙での898万票をピークに下落の一途をたどり、昨年7月の参院選では521万票にまで落ち込んでいる。
 
この521万という数字は、公明党結党(1964年)翌年の参院選全国区での得票数510万とほとんど変わらない。しかも当時は自公の選挙協力はなかったのだから、公明党・創価学会の勢力は、いまや60年前を下回る状況にまで落ち込んでいるといえよう。急速に勢力を後退させている公明党・創価学会にとって、勢力回復は喫緊の最重要課題だったはずだ。

しかし、たとえば「清潔」を標榜していながら、「政治とカネ」の問題で厳しい批判を浴びる自民党と袂を分かつことも、創価学会を守るとの呪縛に囚われてままならず、せいぜいが「同じ穴のムジナではない」と言い訳する程度しかできずに共倒れ。起死回生の妙案はなかったというのが、この時期の公明党そして創価学会であった。

ところが池田氏の死によって、その呪縛が解かれたのである。公明党・創価学会が、自公連立政権から離脱するとともに、政治的原点である「中道」を旗印に、新党の結成にまで踏み切ることを可能にした「肝」はここにある。

◆「中道」が意味する創価学会の〝覚悟〞

さらに公明党ならびに創価学会をして、一連の政治決断に踏み切らせる契機となったのは、本誌2025年12月号で詳述したように、右翼タカ派で軍拡路線の高市早苗首相の登場だった。

いまや穏健保守と位置づけられ、毎年正月に地元の創価学会施設に挨拶に出向く石破茂首相率いる石破政権が続いていれば、おそらく公明党・創価学会は、石破首相の下で「中道主義の政治の実現」を目指すと言いながらも微温的態度で自公連立政権の継続を図ったはずだ。

だが、高市首相のパーソナリティに加え、大の創価学会嫌いを自認する麻生太郎氏を後見役とし、石井啓一元公明党代表に「自公の信頼関係は地に堕ちた」と言わしめた元凶で、「裏金」と「統一教会」に彩られた萩生田光一氏を幹事長代行に起用したことで、連立の道は閉ざされたのである。

連立離脱は創価学会が主導したと伝えられるが、これ以降、公明党は石破前首相をはじめとする自民党の穏健派や立憲民主・国民民主にも中道勢力への参加を呼びかけたことがわかっている。高市首相の登場というエポックを受けて、公明党そして創価学会は、高市政権の対抗軸たらんと組織の存亡を賭けて政界再編に乗り出したのである。

そうした公明党・創価学会の覚悟は、実は、新党の名称に「中道」を用いたことからも窺うことができる。

この「中道」の意味について一般には、左右の政治的対立の中間というように理解されているが、創価学会・公明党にとって「中道」は単なる政治用語ではない。それは「永遠の師匠」(創価学会会憲)である絶対的宗教指導者の池田氏の政治的遺言ともいえる極めて重要な言葉なのである。

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ネタニヤフがハマスと裏取引「カタール疑惑」とは何か イスラエルがイランに戦争を仕掛けた理由

西谷文和(紙の爆弾2026年4月号掲載)

2026年1月、私はイスラエルに入国し、まず最大都市テルアビブに向かった。17日(土)の午後7時、下町の中心に「ハビーマ・シアター」という劇場があって毎土曜日の日没後、この劇場前の広場が「反ネタニヤフ大集会」の会場になる。

この国では金曜の日没から土曜の日没まではシャバット(安息日)で街は静まりかえる。そして夕暮れとともに人々が弾ける。街にネオンがともり、どこからともなく通行人が現れ、大通りは路線バスや自家用車で渋滞する。堰を切ったように「休む」が「動く」に変化するのだ。

広場の正面には「WELCOME BACK HOME」(おかえりなさい)の電光掲示板。ハマスに囚われた人質がユダヤ社会に帰還できたことを祝うメッセージである。

集会参加者が続々と広場に集まってくる。湾岸諸国の一つ、カタールの民族衣装を着た女性がドルの札束を持ってハンドマイクで叫んでいる。

「ネタニヤフはこの金でカタールと一緒にハマスを養っていたのよ!」

女性の隣に「ネタニヤフおじさん」がいる。ウソをつきすぎて鼻が伸びたネタニヤフ、右手に破れかけたイスラエル国旗、左手にはガザの虐殺を象徴する血塗られた赤ちゃんの人形、そしてパンツはカタール国旗だ。

日本でも昨年に公開された映画「ネタニヤフ調書」はイスラエルでは上映禁止。しかし人々は密かにSNSのテレグラムでこの映画を見て、さらにネット経由で「カタール疑惑」に気がつき始めている。

ではカタール疑惑とは何か?

結論から言うと「ネタニヤフ政権はカタールを経由してハマスに資金を送り、テロリストを育ててきた」というとんでもない疑惑である。

歴史的な背景を振り返ってみよう。

1993年9月、ノルウェーの仲介で「オスロ合意」が締結される。アメリカのビル・クリントン大統領を中央に、握手するイスラエルのラビン首相とPLO(パレスチナ解放機構)のアラファト議長の姿を思い出す人も多いかと思われる。

合意内容は①PLOはイスラエルを国家として承認し、イスラエルはPLOをパレスチナ自治政府の代表と認める②イスラエルは占領地から撤退し、5年の間に和平に関する詳細を決める、というもの。これは世界中の人々を大いに喜ばせ、ラビン首相とアラファト議長は翌年のノーベル平和賞に輝いた。

しかし現実は厳しかった。イスラエルとパレスチナ双方に「和平反対勢力」がいた。その代表格がネタニヤフとハマスだった。

「イスラエル全土はすべてユダヤ人のものだ。アラブ人に領土を渡してはならない」。

エルサレムのシオン広場でネタニヤフがこう演説した直後の1995年11月、ユダヤの過激派青年によってラビン首相が暗殺される。

一方、パレスチナ側も自治が進まず、相変わらずイスラエル占領軍に民間人が殺害されていく中、怒った民衆が石投げ、つまり第一次インティファーダという抵抗運動が始まり、広がっていく。

やがてガザでハマスが台頭。「西岸のファタハ=アラファトは生ぬるい、自爆テロで対抗せよ」。この頃からハマスの自爆テロでユダヤ人が殺されていくようになる。

ネタニヤフへの抗議に集まったイスラエルの人々

◆「ハマスと裏取引」その目的

イスラエルでは「左派の労働党(ラビンとその後継者)ではダメ、ここは強硬右派のリクード党に治安を任せよう」という機運が広がって、1996年5月にネタニヤフが首相に就任する。

この時、ネタニヤフは何を考えていたのか?

地図を見てわかるようにパレスチナの土地は分割されている。

ヨルダン川西岸はPLOの主勢力、アラファトのファタハが抑えている。ガザでは台頭するハマスとファタハが主導権を争っている。このままガザもファタハが主導権を握ればパレスチナは団結を維持し、イスラエルにとって手強い相手になる。

ここはハマスに資金を投入し、ハマスを育ててパレスチナを分断すればイスラエルにとって好都合だ……。極右リクード党は典型的な分断統治を行なっていたのだ。
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