《報道と人権5》「窃盗」表現をめぐる法廷闘争、弁護士・喜田村らが起こした2件目の裁判、読売が最高裁で逆転勝訴

黒薮哲哉

読売新聞の江崎徹志法務室長が筆者に対して著作権裁判を起こしてから、2週間後のことだった。筆者は自宅のポストに特別送達の通知が投函されているのを見つけた。そこで郵便局へ足を運び、封書を受け取った。封書には埼玉地裁の文字があった。開封すると、訴状が入っていた。

訴状の原告は、読売の江崎法務室長を含む読売の会社員3人で、1法人・3個人によるものだった。訴状を執筆したのは、喜田村洋一・自由人権協会代表理事である。請求額は2230万円で、この中には喜田村弁護士に対する弁護料200万円も含まれていた。最初に頭をよぎったのは、仮に敗訴すれば金銭面で破産に追い込まれるのではないかという不安だった。

◆「窃盗」という表現

読売が訴えたのは、真村裁判の福岡高裁判決が読売の「押し紙」政策を認定した後に発生したある事件について、筆者が「メディア黒書」に掲載した記事だった。

すでに述べたように、真村裁判の判例が確立した後、「押し紙」に苦しんでいたYCの店主らが、問題解決を求めて江上武幸弁護士に相談するようになった。

連載4】で紹介したように、YC久留米文化センター前の平山春夫店主もその一人だった。平山さんの店では、江上弁護士に相談した時点で、搬入部数のおよそ50%が「押し紙」だった。

ところが、「押し紙」を排除して約3カ月後、読売は平山さんのYCを強制的に改廃した。しかもそのプロセスは強引で、江崎法務室長ら数人の読売関係者が事前連絡もなく平山さんの店を訪れ、本人の面前で改廃通知を読み上げ、契約を解除した。その後、読売ISの社員が店舗にあった折込チラシの束を搬出した。

この行為について筆者は、「メディア黒書」の記事で「これは窃盗に該当し、刑事告発の対象になり得る」と記した。

喜田村弁護士らが訴因としたのは、この「窃盗」という表現である。彼らは、折込チラシの搬出は契約解除後の行為であり、かつ平山さんの許可を得ていたため「窃盗」には該当しないと主張し、それを根拠に2230万円の金銭を求めてきたのである。

◆隠喩(メタファー)としての「窃盗」

確かに「窃盗」を文字どおりに解釈すれば、関係者の面前で行われた行為である以上、「窃盗」には該当しない。また、実際にチラシの束を運び出したのは読売新聞社の社員ではなく、読売ISの社員である。しかし筆者は、「窃盗」という言葉をレトリック(修辞法)としての隠喩(メタファー)として用いたのである。

隠喩の例としては、例えば次のようなものがある。

「あの監督は鬼だ」

「あの人は悪魔だ」

また、有名な例としては、

「踊子のように葉を差し上げた若い椰子は、私の愛を容れずに去った少女であった」(大岡昇平『野火』)

「人生は歩いている影だ」(シェイクスピア『マクベス』)

などが挙げられる。

筆者が記事の中で隠喩を用いたのは、この事件の悪質性が強いと感じたためである。突然店舗に現れた江崎法務室長が、平山さんの面前で改廃通知を読み上げたことは、平山さんに強い衝撃を与えた可能性が高い。仕事を失って動揺していたと想像できる。そのような心理状態の中で、読売ISの社員がチラシを搬出したのであれば、隠喩として「窃盗」と表現する余地はあったと考えた。筆者にとって、メディア企業が表現の問題で、このような訴訟を起こしたことは心外だった。

◆加藤裁判官と差戻審

判決は地裁・高裁ともに筆者の勝訴だった。その理由は、「メディア黒書」の記事が「窃盗」という事実を断定的に伝えること自体を主眼としていない、という点にあった。

読売は控訴したが、喜田村弁護士は控訴審の代理人から外れた。代わって登場したのは、TMI総合法律事務所の複数の弁護士である。同事務所は大手法律事務所であり、当時、元最高裁判事が少なくとも3名在籍していた(今井巧、泉徳治、才口千晴)。

人脈が影響力を持つ日本社会の現状を踏まえると、筆者は控訴審の行方に不安を覚えた。しかし控訴審は一度の口頭弁論で結審し、結果は筆者の勝訴だった。ところが読売はさらに最高裁へ上告した。

最高裁は上告を受理し、口頭弁論を開いたうえで、筆者勝訴の判決を東京地裁へ差し戻した。差戻審では加藤新太郎裁判官が担当した。この人物について調べたところ、過去に少なくとも2度、読売新聞のインタビューを受けていたことが判明した。

また、読売の社員が最高裁の各種委員会に参加していることも確認された(2012年6月時点)。

金丸文夫:裁判官の人事評価の在り方に関する研究会
桝井成生:裁判制度の運用に関する有識者懇談会、明日の裁判所を考える懇談会

こうした事情から、筆者は最高裁が読売の上告について慎重な検討を行ったのか疑問を抱いた。

差戻審の判決では、加藤新太郎裁判官は読売の訴えを認め、筆者に対して110万円の支払いを命じた。読売社と3人の社員に支払う金銭は、メディア黒書でカンパをお願いして集めた。

なお加藤裁判官は裁判官を退任した後、アンダーソン・毛利・友常法律事務所顧問などを経て、2021年に瑞宝重光章を受章している。

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2026年03月25日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

「司法の独立・裁判官の独立」について── モラル崩壊の元凶押し紙 (最終回)

江上武幸

NHK朝ドラの「ばけばけ」の放送が3月で終わりました。映画「国宝」の主人公役の吉沢亮が脇役で出演しているので、ファンの妻はビデオに毎日録画していました。
その録画を何気なく見ていたら、「日に日に世界が悪くなる 気のせいか そうじゃない」という歌が流れてきました。今の世相にぴったりの歌詞とメロディーに思わず耳を傾けました。この曲を作詞・作曲した佐藤さんカップルはもちろんですが、主題歌に選んだ朝ドラの制作陣に拍手を送りたいです。

以前、吉田拓郎の「落陽」(1966年作曲)の「この国ときたら 賭けるものなどないさ だからこうして漂うだけ」という歌詞と、さだまさしの「風に立つライオン」(1994年作曲)の「やはり僕たちの国は残念だけれど何か大切な処で道を間違えたようですね」という歌詞を紹介したことがあります。

「ばけばけ」は「野垂れ死ぬかもしれないね」と語りあったあと、「わからぬまま家を出て帰る場所などとうに忘れた 君とふたり歩くだけ」という歌詞が続きます。

このような歌を聞くと、アーティストはいち早くメタンガスをかぎとり、ガス爆発の危険を知らせる炭鉱のカナリアだとつくづく思います。

*日本はこの30年で若者の夢をすっかり奪ってしまいました。非正規雇用・未婚・少子化・振り込め詐欺などの寒々とした言葉にあふれる社会になりました。その責任は戦後80年におよぶアメリカ支配を脱しきれなかった日本人の不甲斐なさにありますが、今回のイラン戦争でアメリカがいかに恐ろしい国であるかはっきりしました。

日米合同委員会によるアメリカの日本支配に服従した官僚と政治家によって、日本の政治は歪められてきました。しかし、アメリカの信頼が大きくゆらぎ始めた現在、これからは非同盟・中立の国際連帯が世界の趨勢を示す時代が来るようになると思われます。日本の若者世代が他国の若者世代と一致協力して、国際法と各国憲法の人類史的意義を確認し、揺るぎない法の支配の確立を目指して活躍されることを願っております。

司法の独立と裁判官の独立は、法曹三者(裁判官・検察官・弁護士)が共に協力して堅持すべき憲法上の大原則です。

しかし、2000年代初頭の司法改革関連法案の成立以降、急速に変化した弁護士会を取り巻く状況をみると、以前のように弁護士会が司法の独立と裁判官の独立を支える役割の一端を担い続けることができるかどうか心配になってきます。

*ロースクールの導入を始めとする司法制度改革関連法案については、弁護士内部の強い反対意見にもかかわらず、最終的には裁判所・検察庁・法務省と足並みをそろえて賛成に回ることになりました。そのことは、2004年(平成16年)6月11日付の日本弁護士会連合会長梶谷剛氏の談話からも伺えます。

*2001年の司法制度改革審議会最終意見書提出時の12人の委員の中に弁護士3名の名前があります。元広島高等裁判所長官と元名古屋高等検察庁検事長、それに元日弁連会長の中坊公平氏です。文化人からは作家の曽野綾子氏、労働界からは連合副会長の高木剛氏の名前があります。実質的な弁護士会代表の中坊弁護士についてウィキペディアでは「法科大学院や裁判員制度の導入に尽力した弁護士である。」と紹介されています。司法制度改革委員会で中坊氏が果たした役割については、住宅金融債権管理機構社長時代の15億円詐欺疑惑で告発され、最終的には大阪弁護士会を退会されていることから、おのずと推察することができます。

2002年から弁護士事務所の法人化が始まり、弁護士報酬の自由化・宣伝広告の自由化が一気に進みました。

法人化のメリットとして税負担の軽減、支店展開による業務拡大、組織化・共同化による大規模な案件への対応力の向上などがあげられていますが、節税を図ることや事業規模を拡大することが社会正義の実現と人権擁護を使命とする日本の弁護士業務にとって何故必要なのか、具体的な説明はなされていません。

日本の弁護士会には社会正義の実現と人権擁護のためならば手弁当で駆けつけて共同して事件の解決・裁判にあたる歴史と風土があります。当番弁護士、国選弁護、犯罪被害者支援、生活保護申請補助などの公益活動に限らず、四日市ぜんそく、イタイイタイ病、新潟水俣病等の公害訴訟、予防接種、B型肝炎、アスベスト被害訴訟など数え上げればきりがありません。

弁護士事務所の法人化や報酬自由化、宣伝広告の解禁が弁護士会のそれらの活動を支援することになるのか、はなはだ疑問です。

先の投稿に、「弁護士人口の大幅増大は、司法の一翼を担う弁護士会の社会的・政治的影響力の低下を目的としたものではないかという疑いがあります。」と記載しましたが、その思いは益々強くなっています。また、後述のように学部や法科大学院、司法修習時代の多額の貸与型奨学金の返済のために新人弁護士の7割が東京・大阪の大手法律事務所を中心に就職するという異常事態を目前にすると、日本の弁護士制度自体の崩壊をも視野に置いていたのではないかとの疑いすら感じるようになりました。

*ロースクールは地方の大学院を中心に74校から34校に減少しました。司法研修所29期の同窓会で任官組から法科大学院の導入は裁判官・検事の天下り先の確保がひとつの目的だったと聞いてショックを受けたことを思い出します。裁判官や検事の退職後の天下り先は公証役場くらいしかないという愚痴はよく聞いていましたが、まさか天下り先の確保のために法科大学院を設置することにしたとの発言を聞くとは驚きでした。法科大学院教授の肩書は弁護士にとっても魅力ある肩書です。法科大学院に地元弁護士会の弁護士が教授として採用されれば、法科大学院の設置に反対する弁護士会の意見はおのずと小さくならざるを得ません。弁護士が裁判官・調停員に任命される弁護士任官制度の導入によって判・検交流に反対する弁護士会の声が小さくなるのも同じです。

弁護士事務所の法人化と歩調を一にして、報酬の自由化や宣伝・広告の自由化が認められ、過払い金返還請求やB型肝炎給付金請求等の宣伝をテレビ等で見かけるようになりました。宣伝広告をしている事務所がこれらの事件の解決に尽力した事務所かどうかは知りませんが、聞いたことのない横文字の事務所名です。

ホームページにも、相談料無料・着手金無料・完全成功報酬などの文字が躍っています。多くの弁護士はこれまでどおり旧来の日弁連報酬基準を採用していますので、弁護士報酬を自由化することや宣伝・広告を自由化することが何故弁護士間の競争の促進につながるのか、市民が質の高いリーガルサービスを受けられることにつながるのか、一向に理解できません。

最近、債務整理・自己破産の相談が増えてきています。ネット広告を見て大手法律事務所に相談したが、弁護士費用だけ取られて解決しないまま辞任されてしまったがどうしたらよいだろうかという相談です。最初から近場の弁護士に何故相談しなかったのか聞いてみたところ、ネットの方が気軽に相談できるからとのことでした。

法テラスの利用は出来ない代わりに、弁護料は分割払いが可能ということで債務整理の委任契約を結んでいます。弁護料の分割払いが終わってから債権者に対する支払いが始まる仕組みになっています。債権者は5社あるのに分割支払可能金額が少ないため、3社とだけ示談し残りの2社は自分で解決するように言われたという例もあります。

借りたものは返さなければならないという思い込みと、破産という言葉に抵抗感をもつ多重債務者の弱みにつけ込み、弁護士費用を得ることだけを目的に受任したとしか考えられません。

相談者が持参した債権者から取立てを依頼された弁護士法人の受任通知書にも驚かされます。写真(記事の冒頭)を掲載しておきますのでご覧ください。原色の毒々しい封書の表に「重要」・「大至急ご確認ください」・「緊急告知」といった大きな文字が書かれています。郵便配達員には配達先の住人が多重債務者であることが一目瞭然です。プライバシーの重大な侵害行為です。これまでこのような受任通知書は見たことがありません。

奨学金返済のためにキャバクラで夜のアルバイトをしているという女子大生が相談に来たことがあります。東京の法律事務所から300万円の慰謝料を請求する書面が届いたが、どのようにしたら良いかという相談です。馴染みの客から店外デートに誘われたところ、その奥さんから不貞行為の慰謝料として300万円を支払うよう請求されたというのです。書面に記載された法律事務所のホームページを見たところ、「不倫慰謝料請求徹底的に戦います。相談無料・完全成功報酬制度」と書いてありました。相談料・着手金無料の文句で顧客を誘引し、法律事務所からの請求書に驚いていくばくかの金員を払ってくれればいいし、払われなくとも裁判まではしないという考えが見え見えでした。アメリカのアンビュランスローヤーより品位に欠ける商法です。

弁護士人口が増大した結果、若手弁護士の就職先がなかなか見つからないという話を聞いています。2002年に発行された東京弁護士会所属の鈴木仁志弁護士著の「司法占領」(講談社刊)に、ロースクール在学中と司法修習期間中の学費・生活費のため、1000万もの貸与型奨学金(借金)を抱えて弁護士になる若者がいることを知り、驚きました。

私たちの時代は、裁判官・検事・弁護士志望のいずれであっても、司法修習期間中(2年間)は国から給料が支払われました。国民の税金で2年間の法律の勉強と生活ができるのですから、弁護士になって無償であるいは安い金額で社会に奉仕することは、弁護士の当然の義務だという意識がありました。

当時の弁護士の初任給は裁判官・検事の初任給より高かったように思います。私たちの世代の弁護士が裁判官・検事と対等に付き合うことができたのは、弁護士の収入が裁判官・検事よりよかったことが背景にあったことも一因ではないかと思います。

法科大学院導入後は、司法試験合格者数は大幅に増えましたが、裁判官・検事の数は横ばいのままです。このことは、法科大学院による法曹人口の増大は、初めから弁護士人口の増大が目的であったことがわかります。

弁護士人口が増大すると必然的に競争が始まります。医師の場合は、患者は自宅近所のかかりつけ病院や専門病院に入通院することになり、診療報酬も一律ですので全国的な競争はありません。

しかし、弁護士の場合はプライバシーにかかわる相談が主であることから、知り合いの弁護士が近くにいなければ遠方の法律事務所であってもそちらに相談しがちです。

相談料無料・着手金無料で相談者を獲得する事務所は、遠方からの相談の受け入れや受任体制を整えていますので、電話相談さえあれば受任までの支障はありません。

以前は、遠方からの相談は旅費・日当の問題がありますので、相談者の近くの弁護士を紹介するなどして受任をお断りしていたのですが、通信手段が発達した現在、電話やFAX、WEB、メールなどによって裁判を進めることができるようになり、遠方に出かける必要がなくなりました。そのため、以前にもまして東京・大阪・名古屋を中心とする大都市に法律事務所が集中するようになりました。

1000万円もの借金を抱えた新人弁護士に、社会正義の実現と基本的人権の保護に貢献することを求めることが、現実問題として可能でしょうか。

新人弁護士が年収1000万といわれる大手法律事務所や高額の収入が得られる見込みのある大都市の法律事務所を就職先に選ぶのは仕方がないことです。2024年の新人弁護士1203人のうち、約7割の859人が東京と大阪の事務所に就職したそうです。全国52の弁護士会のうち16の単位弁護士会は新規登録がゼロもしくは1名だったそうです。早晩、地方の単位会は消滅の運命をたどることになります。そうなればわが国の弁護士制度全体が崩壊します。

このような状況に置かれている弁護士や弁護士会が「司法の独立・裁判官の独立」に目を向けようとしても、現実には非常にむずかしいことです。

世界第2位だった経済大国日本は、非正規雇用・未婚・少子化などの寒々とした言葉があふれる国に転落してしまいました。

上から下まで何故こんなにダメな国になってしまったのか。国際法を無視し、トマホークの誤爆により児童ら170人以上を殺したアメリカの大統領に向かって「世界中に平和と繁栄をもたらせられるのはあなただけ」と媚びるような女性首相が何故誕生したのか……

日本国憲法第9条で戦争放棄と武力の行使を禁じてくれているおかげで、アメリカから参戦を求められても、日本は首の皮一枚で戦争に巻き込まれずにすんでいます。憲法前文は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」と宣言しています。第99条は、立法・行政・司法の三権を司る為政者に対し、憲法を尊重し擁護する義務を課しています。

従って、裁判官が憲法を堅持する姿勢さえ貫くことができれば、自衛隊員がアメリカ軍の手先となって戦場に出向き、人を殺したり殺されたりすることは避けることができます。裁判官による法の支配を側面から支えるのは検事・弁護士らの仕事です。司法界の外から応援するのはジャーナリストの仕事です。

「司法の独立・裁判官の独立」を外から応援する新聞・テレビの記者や報道マンの役割は、ネット社会の到来によっても小さくなることはありません。しがらみのない若い世代の人達が、本来の使命である権力監視と批判および国民の知る権利の保障のために胸を張って仕事ができるように、一刻も早く恥ずべき押し紙をなくすよう改めて新聞社経営陣に求めます。

まとまりのない投稿になりましたが、引き続き西日本新聞押し紙訴訟および毎日新聞押し紙訴訟の行方に注目いただければ幸いです。

* 最後に、古賀茂明(元)通産官僚、前川喜平(元)文部科学事務次官、孫崎享(元)外交官、岡口基一(元)裁判官ら官僚OBの方達の活躍を祈念しています。

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2026年4月1日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼江上武幸(えがみ・たけゆき)
弁護士。福岡・佐賀押し紙弁護団。1951年福岡県生まれ。1973年静岡大学卒業後、1975年福岡県弁護士会に弁護士登録。福岡県弁護士会元副会長、綱紀委員会委員、八女市役所オンブズパーソン、大刀洗町政治倫理審査会委員、筑豊じんぱい訴訟弁護団初代事務局長等を歴任。著書に『新聞販売の闇と戦う 販売店の逆襲』(花伝社/共著)等。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

『紙の爆弾』6月号に寄せて

『紙の爆弾』編集長 中川志大

前号(5月号)ではジャーナリストの乗松聡子さんと木村朗・鹿児島大学名誉教授、今月号では堀茂樹・慶応大学名誉教授に、イラン戦争の分析をお願いしました。前号は情報戦・認知戦を中心に解説、今回は「西側」「非西側」そして「日本」の社会のありようと、「グローバリズム」への分析などにも焦点を当てました。さらに第二次世界大戦当時のアメリカと現代中国の比較は、ほかにない観点でありながら、誰もが納得できるものです。

高市首相の「媚米」ぶりが、日米関係を、これまでになくわかりやすく可視化しました。最近、「対米従属」という言葉をよく聞くようになったのは、そのためでしょう。ただし、「だからどうするか」ということでは、いまだ「日本の安全保障は米国抜きには成り立たない」との論から脱せていないように思います。もはや本誌では、「対米自立」はメインテーマの一つとなっています。「日米同盟は存在しない」とたびたび指摘してきたのが一水会・木村三浩代表で、中国脅威論しかり、幻想を打ち砕くことが必要です。

4月28日、「出光丸」のホルムズ海峡通過が代替的に報じられると、翌日に高市首相は「私自身も、(イランの)ペゼシュキアン大統領に対して、こうした我が国の立場を申し入れました」とXにポストし自身の手柄かに語りましたが、一方で同日の在日イラン大使館のポストは「出光興産が所有する日章丸の1953年の歴史的な任務─イラン産石油を日本へ輸送したこと─は、両国間の長年にわたる友情の証として残っています」。もし高市首相のアピールが正確であれば、出光以外の船舶も通過できるはず。またもや根拠のない、いい加減な発言が明らかになっています。さらに「高市人気」も、私たちが自ら考えることをあきらめさせる、ある種の幻想といえるのかもしれません。そう考えると、日本政府の「情報戦」は国内・国民に向けられているようで、それがもっともわかりやすく表れているのがスパイ防止法です。

そして、「パランティア」。その危険性をもっともわかりやすく解説したのが昼間たかし氏の記事で、デジタル主権の問題を正確に捉える必要があります。高市政権がスパイ防止法や国家情報局設置で対策するのは、中国・北朝鮮・ロシアといった「外国」だが、Google、Apple、META、Amazonなどの企業をまったく問題視しないと記事は指摘。むしろこれら巨大テックに、個人がその認知と行動を設計される段階にきています。

また今月号では、足立昌勝・関東学院大学名誉教授が再審制度見直し議論を解説。このテーマを掘り下げると見えてきたのが、日本の冤罪構造でした。自民党内の議論では稲田朋美衆院議員の言動が注目されています。弁護士として最低限の矜持を守ったと評価すべきではあるものの、のいう通り問題はこれからで、今後も主張を続けることができるかに注目する必要があります。

ほか、れいわ新選組が迎える“分岐点”、イスラエルの核攻撃戦略、岡山県警元警視の女性記者に対する「不同意わいせつ事件」冤罪の可能性、京大吉田寮をめぐる裁判と現在など、6月号も独自の視点からのレポートをお届けします。
「紙の爆弾」は全国の書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2026年6月号
A5判 130頁 定価800円(税込み)
2026年5月7日発売

イラン戦争が示す高市政権「トランプ媚従」の末路 堀茂樹
日本政府「危機感ゼロ」という恐怖 CIA企業パランティアの危険性 昼間たかし
警察・検察・裁判所、そして法制審「再審制度見直し」に表れた冤罪構造の深層 足立昌勝
中東の核を独占する「ベギン・ドクトリン」イスラエルの核攻撃計画 青柳貞一郎
「弱者に寄り添う政党」が迎えた分岐点 れいわ新選組 騒乱の真相 鮫島浩
『USAを盗んだ男』が暴く国家私物化の実相 なぜ世界はトランプを止められないのか 白坂和哉
行政と成年後見制度に殺された私の父 富加見直子
“数字”が人間の思考を奪う AI管理される「人気」と「世論」 片岡亮
政府の対米従属を国民が批判すべし 世界多極化で高まる「日ロ相互理解」の重要性 木村三浩
大阪関西万博・安倍暗殺・鳩山政権…映画『ニッポン狂想曲』の真相追究 太田隆文×木村朗
兵庫県文書問題とトランスジェンダー問題 三浦俊彦
六年半続いた裁判が終結 京大吉田寮と学問の公共性 板谷めぐみ
サナエのイチ推し『ヒトラー選挙戦略』を読む2 佐藤雅彦
日本の冤罪 警視女性記者性加害事件 片岡健

〈連載〉
例の現場
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
「絶望ニッポン」の近未来史:西本頑司
芸能界 深層解剖

◎鹿砦社 https://kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0GZ6C2TVV/

黒薮哲哉さんが、2冊の山上徹也公判記録本を書評! 双方に距離のある黒薮さんこそ第三者的に読解できる人だ!

鹿砦社代表 松岡利康

くだんの2冊の山上徹也公判記録本が発売になりました。双方が「盗用」を叫び、浅野さんは、もう一方の本の出版差し止め(浅野さんによれば「出版禁止」)仮処分を申し立てています。仮処分は強度の緊急性が必要なのに、いまだに裁判所から特別送達が来ていないそうです。私の経験では、仮処分の決定には双方から意見を聴く場(審尋)がありますが、それもまだ未定のようです。

このかん、浅野さんは異常なまでにアジテートしています。あけび書房とこの著者に出版差し止め等を求め、さらに帯を書いた鈴木エイトさん、他に私、黒薮さん、さらには編集を手伝ったМさんらにも「法的措置」を通告しています。

私は、浅野さんとあけび書房の間の紛争に介入するのではなく、名の有る「ジャーナリスト」が出版禁止という法的手段を取ると公言されたことで声を挙げたのですが、恩のある故・山口正紀さんに対する浅野さんの態度に不快感を覚えていたこと、さらには私や山口さんが必死に取り組んだ大学院生リンチ事件で加害者側に立った金正則を講演に招いたり選挙で応援演説したりしたこと等も伏線としてあって、いささか「エキセントリック」(浅野さんによれば『紙の爆弾』編集長の中川が言ったというが、私が中川に確かめたところ言っていないということでした)になりましたが、このかんの浅野さんの異常さほどではないと思っています。

おそらく双方とも訴訟対策で表に出さないのかもしれませんが、相手方が「盗用」しているとするチェックリストが出来上がっているとのことで、2冊の本が出たからといってすぐに照合できません。

こうした中、浅野さんに「法的措置」を通告された黒薮さんが2冊の本の書評を、みずからが主宰するサイトMEDIA KOKUSYOに書かれています。

私は、浅野さんとは1980年代から知り、あけび書房・岡林信一代表とも2010年から知っていて、双方知っているので、上記の山口さんらの件もあり、利害関係がないとも言えないのですが、黒薮さんは浅野、あけび双方にほとんど付き合いもないので(浅野さんとは忘年会や新年会で会った程度、あけびとは今回初めてではないかと思います)、第三者的にものが見えると思っています。

私見を繰り返しますが、浅野さんは今からでも出版禁止仮処分申し立てを取り下げ、また訴権の濫用はやめるべきだとの考えは変わりません。

さらには、私の青春時代にかなりの数の刺激的な本を出版され、ずいぶん熱心に読んだ三一書房たる名前も歴史もある出版社が、「ジャーナリスト」として自殺行為にもなりかねない浅野さんの出版禁止仮処分申し立てや、今後続くとされる訴権の濫用をたしなめないのか、不思議でなりません。

◇     ◇     ◇     ◇

【書評1】書籍の制作ノウハウに疑問符、元同志社大学教授の浅野健一著『石ころを石礫に』
MEDIA KOKUSYO 2026年5月2日号より転載

2日、ジャーナリストで同志社大学元教授の新刊本を購入した。喫茶店に入り、すぐに読み始めた。難解な本である。というよりも、分かりにくい。冒頭に事件の概略が記述されるのかと思えば、統一教会の内部資料である「TM特別報告書」に関する記述や挿入されていたり、浅野氏の専門である記者クラブ制度への批判が展開される。全体として、この章で何を伝えたえのか、さっぱり分からない。まるでピントの外れた写真である。

肝心の山上裁判に関する記述は、歴史の年表のように単調で、著者が何をクロースアップしているのかさっぱり分からない。

私は、本書の記述から防犯カメラの延々と続く映像を連想した。防犯カメラは、レンズの先にある場面を、同じ角度・同じ密度で延々と記録する。ジャーナリストは、その膨大な記録の中から重要な部分をクローズアップしなければならない。本書は、その作業を怠っているように感じられた。

複雑な事件を順序立て、秩序立て、整理して、読者に何が問題なのかを分かりやすく伝える書籍の役割を軽視しているように思える。本のページ数が多いことが書籍の価値ではないだろう。量より質である。浅野氏の集大成とはいえ、正直なところ最初の50ページで、嫌気が差す本だった。

◇     ◇     ◇     ◇

【書評2】 脱会した宗教3世の視点が照らす「山上裁判」──『石ころの慟哭』
MEDISKOKUSYO 2027年4月24日号より転載

『石ころの慟哭 山上徹也・奈良地裁裁判の私記』(辻井彩子著、あけび書房)の書店販売が20日から始まった。本書は、浅野健一氏(同志社大学元教授)が出版差し止めを求めて裁判所に仮処分を申し立てているルポルタージュであり、裁判所が浅野氏の言い分を認めた場合、入手困難となる可能性がある。浅野氏が申立書を公開していないため、現時点では公式な差し止め理由は明らかになっていない。

辻井氏は、いわゆる「宗教3世」である。安倍首相殺害事件があった場所と同じ校区で育ち、事件に強い衝撃を受けて教団から脱会した。同時に自身が洗脳された状態にあったことに気づき、事件の取材を始めたのである。記者経験はなかったものの、それを補って余りある強みがあった。自らが宗教団体の被害者であるという点だ。

さらに、その境遇は山上氏と類似している。暗い影が兆した家庭に育った点である。辻井氏の兄は小学生のとき、友人に首を絞められ、半年にわたり「歩くことも、言葉を話すことも、字を書くこともできなくなった」。後遺症は、その後も長く続き、家族は暗たんとした日々を送った。

こうした体験は本書にも色濃く反映されており、単なる「報告」の域にとどまる新聞記者の記述とはかなり異なる。本書は、15回にわたって行われた山上氏の裁判員裁判を時系列で解説しつつ、同時に自身の体験に照らして論評する構成をとる。たとえば第11回公判では、山上氏の兄の自殺がテーマとなる。辻井氏は事実関係を整理したうえで、次のように考察する。

私の兄と同じように、山上さんのお兄さんは、「このままではいけない」と自分を奮い立たせる一方で、前に進めない、大学進学の夢を奪った統一教会をゆるせない自分に悩んでいたのではないだろうか。(略)お兄さんが大学にこだわったのは、大学へ行き、就きたい職業で働き、身体にハンディキャップをもちながらでも堂々と働いて、支えてくれた兄妹にせめてもの恩返しをしたいという思い、統一教会で苦しんでいる子どもたちを救いたい思いがあったからかもしれない。

本書は、実際に発生した事件を、宗教3世がどのように受け止めたのかを知るうえで、貴重な記録である。

なお、浅野健一氏が刊行を予定している『石ころを石礫に─安倍氏暗殺・山上徹也さん裁判記録』(三一書房)は、4月28日に発売される。読者には、山上裁判をテーマとしたこの2冊の新刊を読み比べることを勧めたい。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

ゴーストライター原稿をめぐる著作権問題、浅野VS辻井、過去には「現代のベートーベン」佐村河内守の事件でクローズアップ

黒薮哲哉

『石ころの慟哭 山上徹也・奈良地裁裁判の私記』(辻井彩子著、あけび書房)の出版差し止めをめぐる事件の続報である。この事件の争点は、同志社大学の元教授でジャーナリストの浅野健一氏が、2人のアシスタント(編集者とゴーストライター)の協力を得て制作した原稿の著作権が誰に帰属するかという点にある。浅野氏は出版を取りやめた後、ゴーストライターは、原稿を改編して、あけび書房から自らの名義で出版した。これに対して浅野氏は、出版差し止めの仮処分を裁判所に求めた。

一方で浅野氏は、同じテーマの本を三一書房から出版する予定である。タイトルは『石ころを石礫に 安倍氏暗殺・山上徹也さん裁判記録』。4月末には書店に並ぶ見込みだ。この本に、ゴーストライターの辻井彩子氏が執筆した原稿(以下、「元原稿」)の一部が使用されている可能性は、次の記述からも読み取れる。

「辻井氏は、2025年11月ごろから本年2月9日ごろまで、幻となった私のあけび書房傍聴記本の取材協力者で、私は10数万円の労働対価を支払い、取材経費も支払っています。辻井氏はその金銭を返却していません。
 辻井氏の書いたものが、(黒薮注:浅野氏の書いた)三一書房の『石ころを石礫に 安倍氏暗殺・山上徹也さん裁判記録』(5月1日発売)に掲載されるのは当然です。助手が書いた文章は、著者が自由に使えます。助手がそれを自身の論稿に使うのは、著者の了解を取るべきです。」

◆浅野氏が「著作権侵害」を主張する根拠

浅野氏は、「元原稿」の著作権が自らにあるという前提に立ち、辻井氏が書いた文章を自著に使用できると主張している。実際、辻井氏の著書の出版差し止めを求めた申立書の中にも「著作権侵害」という文言が見られる。申立書は、浅野氏に著作権があるという前提で書かれている。

「著作権侵害」を主張する根拠は、おそらく上記引用にある「私は十数万円の労働対価を支払い、取材経費も支払っています。辻井氏はその金銭を返却していません」という点にあるのだろう。自分が辻井氏を雇ったから、辻井氏が書いたものは、自分の所有になるという論理のようだ。

◆2014年の佐村河内守事件

ゴーストライターによって書かれた文章の著作権は、ゴーストライターに帰属するのか、それとも依頼者に帰属するのか。この問題を考える上で格好の例がある。2014年に発覚した佐村河内守事件である。

佐村河内守は「現代のベートーベン」の異名を持ち、国際的にも知られた「作曲家」だった。しかし実際には、ゴーストライターの新垣隆が作曲者であることが明らかになった。

その後、佐村河内は新垣に対して名誉毀損などで提訴したが、訴えは棄却された。この裁判では、著作権(財産権)は佐村河内に帰属し、著作者人格権は新垣にあるという前提で審理が行われた。

著作権(財産権)とは、著作物から生じる経済的利益に関する権利である。したがって、CDの売上などの収益は佐村河内に帰属する。

一方、著作者人格権とは、著作物を創作した本人が有する権利であり、公表権や同一性保持権などを含む。浅野氏が進めている出版差し止めは、この著作者人格権に基づくものである可能性が高い。申立書が、浅野氏を著作権者とする前提で構成され、金銭ではなく、出版の禁止を求めているためである。

ちなみに著作者人格権は、譲渡が認められていない。著作権法第59条は、次のように定めている。

第五十九条 著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。

◆両者が共同著作者として著作者人格権を有している可能性もある

元原稿は、単純に考えれば辻井氏の著作物であり、辻井氏が著作者人格権を有する。しかし、浅野氏も制作に深く関与しているため、両者が共同著作者として著作者人格権を有している可能性もある。少なくとも辻井氏は、この権利を有している。
そうであるならば、辻井氏が執筆した文章を浅野氏が『石ころを石礫に 安倍氏暗殺・山上徹也さん裁判記録』に組み込んでも問題ないという話にはならない。共同著作物の場合、権利の共有者の同意を得なければならない。著作権法は次のように述べている。

「第六十五条 共同著作物の著作権その他共有に係る著作権(以下この条において「共有著作権」という。)については、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又は質権の目的とすることができない。

2 共有著作権は、その共有者全員の合意によらなければ、行使することができない。

3 前二項の場合において、各共有者は、正当な理由がない限り、第一項の同意を拒み、又は前項の合意の成立を妨げることができない。」

当初、この問題に巻き込まれたのはあけび書房だったが、三一書房もまた当事者となった。今後、展開によっては、反訴もありうる。訴権の濫用がクローズアップされる可能性もある。

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2026年04月28日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

成年後見制度法制審議会にモノ申す! 主客転倒の立法主旨!? Nothing about us without us.(私たちのコトを私たち抜きで決めないで)〈後編〉

高貴高齢者の会 鈴木慎哉

◆意識あらば見える

その後、複雑なパズルが解けるように、今まで頭の中でグチャグチャになっていた情報が一挙に整理でき、この推理が邪推であったとしても、私の思考と興味が、知識や情報の取り方に幅を広げるという変化をもたらし始めたのです。

途端にこんな記事に目が止まリました。

『紙の爆弾』5月号の「統一教会最終戦争」青山みつお氏の記事51ページ上段5行目に、
「最後に全国各地で問題が多発している成年後見制度を見直す『改正要網案』を法務省の法制審議会が答申したことについて触れたい。四月に閣議され国会審議される予定だが、一九九九年の制定時の制度設計に統一教会の弁護士が関わっていたことはあまり知られていない」

と述べ、成年後見制度に詳しい「後見の杜」の宮内康二氏による、今回の法改正に対する批判と共に自らの意見として、「どうも政府案には増えつつある子供のない家庭や、結婚しなかった人の老後を、国が考えようとする意思に乏しいようだ、それが統一教会の存命に力を貸すことになりかねない」と述べておられますが、偶然とはいえ問題意識が無ければ素通りしたと思います。

妻に、意図せざる形で後見人が付き、あまりの横暴さと不条理・理不尽な仕打ちに耐えかね最初の解任訴訟裁判を争ってから早7年になりました。私は、まさか私の正当な要求や願いが却下され敗訴になるとは夢にも思っていませんでした。なぜなら一般的常識的にまた道徳的倫理上から見ても私の主張には何一つ嘘偽りはなく正義は勝つと思い自信満々でした。

それがまさかの敗訴!!

慰めの声など耳に入りませんでした。ただ、その時、私の依頼を無下に拒否した元検事総長だった弁護士のD氏が、「悪かったけど、ゴメンネ」と肩に手を置いてくれました。

それからしばらくして国策として後見制度推進キャンペーン中であったことと、後見人宛に指南書(上手くやるためのマニュアル)が後見人各自に配布されたといったウワサも耳にしたこともありました。そして成年後見法案設定時に制度設計に関与していたのではないかと疑われでいる人物も判りました。
 
◆火のないところに煙は立たず
  
成年後見制度が制定されスタートしたのが2000年、統一教会が政策決定に関与していたのかどうかが最も重要なポイントです。

では事実として確かに関与していたと証明できる証拠はあるのか? マスコミやジャーナリストがさまざまな人物とのインタビューや周辺状況から最も有力な容疑をかけられているのが、現在もなお教団側代理人として裁判活動を行っている福本修也弁護士です。

山上徹也が事件を起こした後に教団が会見した時、勅使河原秀行改革推進本部長の横に福本修也当時立法担当者はいた。時の法務大臣は自民党の安岡興治氏、その秘書が統一教会信者で立法担当者の福本修也弁護士だったことから確信的に関与者だったとされていると聴いています。

私もいくら偶然の所産と弁解されても必然的に仕組まれた後付けの苦しい言い訳にしか聞こえません。

それよりも、何より教会と制度の仕組みのコンセプトが二卵性双生児の如く類似しており同一人物の作品でないと否定する根拠がないほど似ています。  

例えば、
 1. 成年後見制度は判事が専権で後見人を決め不服は言えない
 2. 生涯やめられない
 3. 全財産の割合で報酬を無条件に取られる。
 といった仕組み等……。

まるで統一教会と同じ、瓜二つです。

信者自身も、「禁治産が成年後見に変わったとき〈浪費者〉は対象外になり人権の復活と喜んでいたが教会幹部信者が立法担当者として関わっているとなると浪費者を削除した理由も素直に喜ぶ気になれませんでした」と当時を振り返り暗に関わりを肯定する発言をしています。

本来なら社会の問題に目を向けて困っている人々弱い立場の方々を救済するのが政治家や弁護士の役割であり使命なのに現実は全く真逆です。

後見制度法は無条件で弁護士や司法書士はワルイコトはしないという前提、即ち〈性善説〉にたち法制化された法であり〈罪刑法定主義〉すら無視した法に抵触さえしなければ何をしても罰はない法制度なのです。

そしてその資格を与えているのが裁判官、裁判官には無罷免の原則? みたいな侵すべからず的不文律があり、弾劾以外は罷免できない特権があり、まさに〈お山の大将〉です。

このような浮世離れした非常識な下での裁判に、かてて加えて忖度保身出世、金かねカネが絡み、果たしてどのような法改定が採択されるのか?  期待と不安でいっぱいです。真に被後見人とその家族の余生が幸せで安寧な日々が送れる改定を期待しているのですが……。

最後のお願いです!

なぜ全ての決定権限が裁判官のみにあるのですか!?
民主主義を貫くならせめて多数決にくらいなりませんか!?

声高らかに
Nothing about us without us.
と叫びます。

(了)

紙の爆弾』5月号に掲載された鈴木さんの悲痛な叫び
『紙の爆弾』5月号 読者の爆弾
朝日新聞4月7日付け社説

鈴木慎哉 成年後見制度法制審議会にモノ申す!
 〈前編〉https://www.rokusaisha.com/wp/?p=54742
 〈後編〉https://www.rokusaisha.com/wp/?p=54746

DUELから後楽園ジャンブルへ、工藤叶雅が先陣を切る勝利!

堀田春樹

メインイベンター古林けいごは須貝孔喜を一発ヒットで完封TKO。
後楽園ジャンブルへ、注目の新人対決は工藤叶雅が僅差で出場権獲得。

◎DUEL.38 / 4月19日(日)GENスポーツパレス17:30~19:55
主催:VALLELYジム / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟

戦績はプログラムを参照にこの日の結果を加えています。

◆第9試合 63.5㎏契約3回戦

古林けいご殿(龍拳會青葉台支部/ 63.3kg)4戦3勝1敗
        VS
須貝孔喜(VALLELY/ 63.5kg)9戦3勝6敗
勝者:古林けいご殿 / TKO 1ラウンド 2分40秒
主審:スイット・サエリム・ランボー

須貝孔喜はローキックからハイキック、古林は素早くパンチで距離を詰めていく。接近すると首相撲に移るが、古林がヒザ蹴りで攻勢を強め、パンチの攻防に移ると古林のパンチ一発で須貝はノックダウン、立ち上がろうとするが、足元覚束ない状態でレフェリーストップとなった。

古林けいごの右ストレートヒット、先手必勝の戦略で優った

米田貴志会長は、「須貝はタイミングでパンチ貰った感じですけど、ここに向けて一生懸命にやって来た中で、次にどう繋げていけるか、須貝自身がどんな風に反省して改善するかに今後の成長があると思います。」というコメント。

勝者と敗者の明暗。古林けいごは笑顔でツーショット

◆第8試合 スーパーフェザー級3回戦

山本龍平(拳粋会宮越道場/20歳/ 58.75kg)6戦3勝(3KO)3敗
        VS
工藤叶雅(VALLELY/19歳/ 58.65kg)3戦2勝1敗
勝者:工藤叶雅 / 判定0-2
主審:児島真人
副審:中山29-29. ランボー29-30. 宮沢29-30

9月27日(日)の後楽園ジャンブル(KORAKUEN JAMBULL)出場権懸けたこの試合が実質のメインイベントでした。

初回、パンチとローキックで距離を計り詰めに掛かる両者。更に後ろ蹴りで牽制する山本龍平。スピーディーな攻防は互角。

第2ラウンドも山本は後ろ蹴りを加えてプレッシャーを掛けていくが、工藤も冷静に躱す。展開は互角も工藤のヒザ蹴りがやや有効か。ポイントは工藤に流れた模様。

際どい僅差ながら勝利を掴んだ工藤叶雅。運命を分けたのは蹴りのインパクトか

ラストラウンドも多彩に攻めた両者は互角の展開。延長戦も考えたであろう両陣営だったが、微妙な採点は僅差で工藤が制し出場権獲得。

後楽園ジャンブル撮影クルーのインタビューに応える工藤でしたが、わずか3戦目で注目の存在となりました。後楽園ジャンブル初戦で勝てば、より一層の注目度となるでしょう。

小林米仁統括主任より後楽園ジャンブル出場権を授与された工藤叶雅

工藤叶雅はインタビューでは小さい声ながら丁寧に応えていました。坂上顕二氏が工藤と並びインタビューに応えていましたが、VALLELYジムの米田貴志会長も加わるべきと思いました。工藤叶雅を育て、日々の様子を見て多くを知っているのは米田会長だからである。

工藤叶雅は試合については「めちゃめちゃキツかったです。」と言い、
後楽園ジャンブル出場については、「ニュージャパンキックボクシング連盟選手代表として強いところをお見せするつもりです。一番目立つように頑張ります。」と抱負を語りました。

米田貴志会長は、「工藤は3戦目でしたけど、練習どおりの動きが出来たかと思います。最後まで結果は分からなかったし延長戦まで考えましたけど、頑張って勝ってくれました。」とコメント。

インタビューに応える工藤叶雅とNJKF坂上顕二代表

◆第7試合 スーパーフェザー級3回戦

森本直哉(無所属/ 58.7kg)35戦14勝(5KO)20敗1NC
        VS
Ryu(クローバー/ 58.6kg)8戦3勝(2KO)4敗1分
勝者:森本直哉 / 判定3-0
主審:スイット・サエリム・ランボー
副審:中山30-28. 児島29-28. 宮沢30-28

第2ラウンドに森本直哉がパンチから軽く飛んだヒザ蹴りであっさりノックダウンを奪った。ラストラウンドも森本のヒザ蹴りが何度も出したが圧倒には至らない。Ryuも鼻血を流しながら踏ん張って蹴り返すも巻き返し成らず、森本直哉が判定勝利。

森本直哉が試合終了間際に見せたインパクトある胴回し回転蹴り

◆第6試合 スーパーウェルター級3回戦

村木太樹(京都野口/ 69.7kg)9戦1勝7敗1分
        VS
風成(エス/ 69.5kg)7戦4勝1敗1分1NC
勝者:風成 / 判定0-3
主審:宮沢誠
副審:中山27-30. 児島28-30. ランボー27-30

第2ラウンドに風成が村木をコーナーに詰めて右ストレートでノックダウン奪った。村木もパンチや蹴りで反撃を見せたが、風成が圧し返し判定勝利。

風成がパンチで攻勢を維持。KOにはもう一歩

◆第5試合 女子ミネルヴァ 57.0kg契約3回戦(2分制)

小澤聡子(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/ 57.0kg)44戦12勝28敗4分
VS
ミネルヴァ・スーパーバンタム級5位.谷岡菜穂子(GRABS/ 58.2kg)7戦5勝2敗
勝者:谷岡菜穂子 / 判定0-3
主審:中山宏美
副審:宮沢27-30. 児島28-30. ランボー27-30

蹴りとパンチの攻防の中、谷岡菜穂子の前蹴りが小澤聡子の顎をヒットや後ろ蹴りもヒットする攻勢。第2ラウンドも谷岡菜穂子が攻勢を続けるが、小澤も積極的に打ち返す踏ん張りを見せた。主導権支配するテクニック優った谷岡菜穂子が大差判定勝利した。

谷岡菜穂子が前蹴りで小澤聡子の顎をヒット。アグレッシブな攻めを見せた

◆第4試合 スーパーフェザー級3回戦

髙橋優(CORE/ 58.7kg)3戦2勝1敗
        VS
斉藤寛明(MWS/ 58.2kg)2戦1勝(1KO)1敗
勝者:髙橋優 / TKO 3ラウンド 1分4秒
主審:児島真人

初回、高橋が蹴りからパンチで距離感を掴んだ流れ。第2ラウンドもアグレッシブな展開を見せる両者、髙橋の的確なヒットが目立った。ラストラウンドには髙橋をコーナーに追い詰めた齋藤だったが、髙橋優が右ストレートカウンターでノックダウン奪い、斉藤寛明はカウント中にレフェリーストップとなった。

実力差あると言われた髙橋優の攻勢。的確なヒットが目立った

◆第3試合 スーパーライト級3回戦

小原将裕(拳粋会宮越道場/ 63.0kg)1戦1勝
        VS
遠近慎太郎(エス/ 63.1kg)2戦2敗
勝者:小原将裕 / 判定3-0 (29-27. 30-27. 30-27)
主審:スイット・サエリム・ランボー

開始早々から小原将裕の高いガードは遠近慎太郎にとってやり難い印象。蹴り合いと接近戦も互角の攻防が続く中、第3ラウンド終盤に小原がヒザ蹴りでノックダウンを奪って判定勝利。

◆第2試合 女子ミネルヴァ・アトム級3回戦(2分制)

坂田実優(FELLOW/ 46.02kg)17戦6勝9敗2分
        VS
豊嶋里美(TEAM OJ/ 45.85kg)14戦3勝9敗2分
勝者:坂田実優 / 判定3-0 (29-28. 29-28. 30-28)
主審:宮沢誠

女子にしては強いヒットが続く激しい攻防を制したのは坂田実優。

坂田実優のヒザ蹴りヒット。パンチも含め激しい攻防を制した

◆第1試合 女子ミネルヴァ・フライ級3回戦(2分制)

鍋倉凛音(習志野/ 50.6kg)5戦2勝(1KO)3敗
        VS
西野由希子(リバーサルジム横浜グランドスラム/ 50.3kg)1戦1敗
勝者:鍋倉凛音 / 判定2-0 (30-27. 30-28. 29-29)
主審:中山宏美

前蹴りが効果的だった鍋倉凛音が判定勝利。

◆オープニングファイト アマチュアEXPLOSION 45.0kg契約2回戦(90秒制)

西田結菜(伊原道場越谷)vs奥田愛來(kyoto SEIKENKAI)
引分け 0-1 (19-19. 19-20. 19-19)

西田蓮人の妹、結菜はアグレッシブな互角の展開で終わるも、あと一歩足らずの引分け。

《取材戦記》

今回のDUEL興行では新人戦の中、注目される試合が山本龍平vs工藤叶雅戦でした。

9月27日に後楽園ホールで行われる(株)東京ドーム主催の「後楽園ジャンブル」には、既存の団体等から選出された60.0kg級(下限は57.0kg)、デビュー10戦以内(現・元タイトル保持者は対象外)を対象に3回戦、ヒジ打ち有り・無し等の2つのルールにて全6試合を予定されている模様。出場選手は各団体・プロモーション興行の予選で決定される中、この日の試合の山本龍平vs工藤叶雅戦はニュージャパンキックボクシング連盟代表を決める試合となりました。9月の後楽園ジャンブル初戦は新人戦。その後は出場者交渉と時期を鑑みて各ランカー、各チャンピオンクラスへ進む模様です。

この日立会人の(株)東京ドーム統括主任の小林米仁氏は、「大会だけじゃなくて、いろいろな取り組みを通して、業界の環境整備をキチンとしていきたいと思っています。どこかの団体が“これやりますから集まってください”と言ってもなかなか集まることは難しいところで、そんな各団体にはそれぞれカラーがあって、そこを押し出していけるような環境整備ですね。」とコメント。

ニュージャパンキックボクシング連盟・坂上顕二代表は、「後楽園ジャンブル出場権争いはこんなに若手選手を盛り上げたかと思うところです。こういうことが励みになって若い子がドンドン伸びて行けばいいですね。」とコメント。

2年前に「東京ドームもキックボクシングに関心を持っています。」というプロボクシング関係者がいました。その流れがここに繋がって来たことになります。

昭和時代に、日本ナックモエ連盟代表(現・NKB代表)の渡邊信久代表が“後楽園ランキング”を提案したり、平成期の某・ジム会長は、「後楽園ホールは会場貸し出しだけでなく、格闘技のメッカと言われる日本の代表的な会場なんだから、キックボクシング団体を纏めることをやればいいのに!」という意見もありましたが、「こっち立てればあっち立たずの纏まらないキックボクシングに、厄介なとばっちり喰らう羽目になることはしないでしょう。」と言っていたところが現在、東京ドームシティーが動き出すとは時代も変わったものである。

90年代のK-1を観て育った世代が今大人になり、企業の中枢に立ち、物言える立場となってスポンサーとなったり、イベントを立ち上げる者が増えた時代になったかと思います。

東京ドームシティーが、タイの一昔前のルンピニースタジアム、ラジャダムナンスタジアム隆盛期のような一極集中するような発展に繋がれば関係者にとって喜ばしい限りでしょう。

と言っても「この顔触れではまた撤退や消滅となりますよ!」という悲観的意見もあって、採算合わなければとっとと去るといった過去の歴史・前例から見て、また3年ほど成り行きを見守る必要はあるでしょう。

期待を掛けるならば、(株)東京ドーム北原義一会長も、沢村忠から観て来た古くからのキックファンで「皆さんは余計なこと考えないで選手を沢山育ててください。こちらが選手を盛り上げますから!」と発表されたようで、任期の間に基礎固めをやらないと、会長交代すると他のスポーツや文化イベントに方針変わるということも有り得るので、ここは業界の総力を結集し、北原義一会長の期待に応える形で発展して欲しいものである。

NJKF以外の他興行ではあと3試合の60.0kg級出場者決定戦3回戦が予定されています(いずれも後楽園ホール)。

スック・ワンキントーン / 5月3日(日)
光流(teamS.R.K/24歳)vs神谷斗夢(SUNRISE/23歳) 

RISE.198 / 5月16日(土)
門脇碧泉(TARGET/22歳)vs岩永勝亮(OISHI/21歳) 

Bigbang.56 / 5月17日(日)
高岩拓(TRY HARD/21歳)vs大江昇成(team MIYABI/23歳) 

ニュージャパンキックボクシング連盟興行は前回予告と同様ですが、6月14日(日)に後楽園ホールに於いて、「CHALLENGER 14」が行われます。4月27日時点でまだカード未定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

《5月のことば》継続は力なり

鹿砦社代表 松岡利康

《5月のことば》継続は力なり(鹿砦社カレンダー2026より。龍一郎揮毫)

あきらめずに本づくりの仕事を続けてきて40年余、いろんなことがありました。浮き沈みが激しかったな。その都度、みなさん方の力を借りて、今も本づくりの仕事を続けられています。だからこそ、「継続が力」になって打たれ強くなり今に至っているんだと思っています。

「あきらめないこと つづけること」「継続は力なり」と簡単にいうけれど、会社は創業57年、私が引き継いで40年も「継続」することは簡単ではありませんでした。

さらに言えば、月刊『紙の爆弾』が創刊21年、反原発情報誌『季節』創刊12年になりますが、こちらも維持・継続していくのは大変でした。何しろ、『紙の爆弾』は、創刊直後、「名誉毀損」に名を借りた言論・出版弾圧で、たちまち廃刊の危機に直面しましたので。

そうした幾多の困難を乗り越えて、せっかく続けてきたわけですから、齢80歳になるあと5年ぐらいは、会社も、2つの雑誌も「継続」していきたいと考えています。

もうしばらく見守っていただき、力をお貸しください。

鹿砦社の新刊

成年後見制度法制審議会にモノ申す! 主客転倒の立法主旨!? Nothing about us without us.(私たちのコトを私たち抜きで決めないで)〈前編〉

高貴高齢者の会 鈴木慎哉

70年もの付き合いになる畏友(一級建築士A君)との雑談から急に成年後見制度に話題が転換し、今更あらためて〈法〉とは何かと真顔で問われ「秩序を保ち国民の権利と安全を守り安心して暮らせる社会をつくる」ルールと解しているが、と答えたことから話は思わぬ方向へ飛び、事実かフェイクかはともかく、いつもの冷静な彼らしくない話が飛び出した。
 
〈冥土のみやげ〉にと話してくれた余談話のあらましは、バブル(1986年12月から1991年2月までの約5年間)が弾けた翌年頃から彼自身身をもって感じた経済パニック現象だった。

それまで連日登記事務に追われ好きなゴルフの付き合いにさえ参加できないほど多忙を極めていた友人の司法書士が事務所を縮小したり、中小零細企業は言うに及ばす不況の煽りなど関係ないと思っていた法曹界にまでかなりバブルショックが広がっていた当時の惨状だった。   

私も当然当時のことは鮮明に覚えており、特に日本興業銀行事件の料亭女将(尾上縫)や北海道拓殖銀行の倒産など、いまだに信じ難い思いで話は弾み話に花が咲いた。

ここまではよくあるジジイの余談話、ところが我が畏友はこのバブルの崩壊の余波が[成年後見制度]にかなりのインパクトを与え法制化された形跡があるのではないかとその友人(司法書士)から聴いた推測を語ってくれた。

さすが親友そこまで私のことを心配し考えてくれているのか? と感謝し相槌を打ちながらも「まさか!」の念は拭えず二の句を告げずにいたところ、彼はその推測の根拠を示し「どうや? お前もそう思わんか!?」と私の顔を覗き込みニタリと微笑んだのです。
 
◆法曹界のハローワークと新市場
 
バブルが弾け弁護士業の必要性と需要が(民事訴訟が2分の1)司法書士に於いても、命綱とも言うべき〈登記〉が半減した。そのうえ資格試験の改革に伴う合格率のアップによる資格者(競業相手)が増大するという前代未聞の現象が発生し、日本一難しく難関と言われ、中には5年10年の歳月をかけ青春の総てを六法全書に賭けて合格した弁護士資格者に収入源を無くさせてはならないと法務省が先頭に立ち探し出し、見つけ出したマーケットが改定を求められていた(禁治産者法の)成年後見制度への移行だったのでは、という推測です。

禁治産では認めていなかった本人の意思を尊重するというキモ中のキモと身上監護、その当時流行し出したオレオレ詐欺などを未然に防ぐための財産管理を金科玉条の旗印に、その担い手として弁護士や司法書士が行政市場に入り込んでくるトリガーとなったというのです。

その解説を聴きながら不思議なコトに違和感や反発すべく何事もなく私の頭や心にストンと収まり、むしろ同感共感納得が全身に広まっていった感覚のほうか強かったような印象が今も残っています。

しかし、冷静に考えれば、あの誇り高き弁護士に、高齢者や障害者の意思や要望をじっくり聴き、その実現にどれほどの時間かかけられるか? さらにそれに必要な報酬が与えられることは可能なのか?を考えれば、ボランティアならともかく、高収入を目指して取得した資格が泣くと受け手がないのではないかという危惧を誰もしなかったのだろうか?

事実私自身も何回も何度も繰り返し主張しているように、利用者が増えない要因は法案そのモノにあるのでなく運営と運用にあるのであり、裁判官、弁護士といったプレイヤーに根源的原因があるコトの自覚と反省がなければ、いくら推進キャンペーンを張ろうが条文いじりだけでは絶対に普及発展はしないと忠告しているのですが……。

何はともあれ理屈と詭弁で法案は成立してしまった。形だけでも推進しなければならない。困った行政は、困った司法に(罪刑法定主義の枠外で)性善説を順守すべくグルのトライアングルを形成し見切り発車したのが、不幸な法律=〈成年後見制度〉だった、のです。
  
とはいえ、かなりのイジメから根性のひん曲がってしまった私の邪推の部分もあるだろうがと思いながら、このかん心情を記事にしてきたのは、何とか後見人を排除し、妻のたっての願望である自宅での生活を実現すべく過去4回の家裁・地裁・高裁の裁判を通じて、「この法は、この制度は、この裁判は、後見人制度は一体誰のための何の為の制度なのか」と訝しく思い悩み考えていたコトが常に私の全身に覆いかぶさっていたからなのです。
  
◆沈黙の拒否
  
そして関わってきてくれた弁護士たちは言外に「勝ち目は無い、せめて相手に逆らわず対応をするように」と私を諭し、結果が出た日にはサッサと契約を解除し去って行きました。

アレやコレや7年間の裁判所,行政相談所,公証人役場等の対応・態度、後見人弁護士の所業を思い返すに、まさに今更ながら〈法〉とは何かと逆に問い返したくなりました。

法は「秩序を保ち国民の権利と安全を守リ安心して暮らせる社会をつくる」ためにあるのみならず、誰か特定の地位や資格のある特権階級の人々の不労所得、不当収入のハローワークとなるコトさえできるのか?……。

そしてその典型的実例が弁護士や司法書士に〈後見人〉という名称を与え、バブル崩壊と粗製濫造の結果、過当競争でパイの増殖がなくなった法曹界のマーケットを禁治産法を発展的に廃止し〈成年後見制度〉という市場を創設したのであろうか?

彼は私にそのように示唆を与えているのだ!!
まさか!?とは思う。しかしそう考えれば辻褄が合い納得できる。

しかし、当事者までもおとなしく誰もなにもできない。マスコミすら見て見ぬふり、知っているのに知らぬふり!

胸騒ぎと喉の渇き口の中がカラカラになり、果てさて『書いてはならない』(森永卓郎)の向こうを張って〈書かねばならない〉と書くことにした。必ずいつかこの制度は行き詰まり正義の覇者も現れよう。

4月1日付け朝日新聞記事。朝日の記事では、この制度がなにか良い方向に改正されるかのように書かれているが、実際に個々の案件を審理―決定する簡易裁判所が変わらなければどうしようもありません。

[追記]上記稿を書かれた鈴木慎哉さんは、高齢になり認知症を患ったお連れ合いを、鈴木さんが突然に倒れられ入院している間に成年後見制度で隔離され、以来6年間もほとんど会えないまま現在に至っておられます。もちろん鈴木さんは司法に訴えられたり、あらゆる手を尽くしお金を遣いお連れ合い奪還の闘いを続けて来られましたが、ことごとく意に沿うことなく、致し方なく、どういうわけか『ジャニーズ帝国 60年の興亡』『アルゼ王国 地獄への道』など私たちが長年告発してきた書籍をご覧になり連絡くださいました。ちょうど10年前に、あらゆる手を尽くしても相手にされず、私たちのところに駆け込んできた大学院生リンチ事件(いわゆる「しばき隊リンチ事件」)の被害者もそうでした。こちらはいまだに関連の訴訟の審理が1件残っていますが、私たちは被害者・弱者の側に立ち、被害者支援、真相究明の闘いを続けてきました。関係本も8冊出しました。今回も、鈴木さんからの必死の叫びに応え昨年末から成年後見制度の問題に取り組んでいます。大学院生リンチ事件もそうでしたが、鈴木さんとの出会いもなにか運命的なものを感じます。なお、鈴木さんは『紙の爆弾』本年3月号、5月号にも寄稿されていますので、ぜひともご一読ください。また、近く『紙の爆弾』増刊号にて世に問う予定です。(5月3日記)

(つづく)

 鈴木慎哉 成年後見制度法制審議会にモノ申す!

 〈前編〉https://www.rokusaisha.com/wp/?p=54742
 〈後編〉https://www.rokusaisha.com/wp/?p=54746

ゴーストライターと共同著作権 ──『石ころの慟哭』事件の論点整理

黒薮哲哉

ジャーナリストで元同志社大学教授の浅野健一氏が、『石ころの慟哭 山上徹也・奈良地裁裁判の私記』(辻井彩子著、あけび書房)の出版差し止めを求めて裁判所に仮処分を申し立てた事件の続報である。浅野氏は先週、申立書をメディア向けに公開した。

それによると、事件の概要は次の通りである。あけび書房にも自社の主張があると推測されるが、ここでは浅野氏側の経緯説明を要約する。

まず、浅野氏とあけび書房は『安倍晋三元首相銃撃・山上徹也さん裁判傍聴記』を出版することで合意した。これを受けて浅野氏は書籍の制作に取り掛かったが、二人の女性がアシスタントとして制作に加わった。二人は、フリーランスの編集者A氏と、ゴーストライターなどの業務を担当する辻井彩子氏である。辻井氏は、後に『石ころの慟哭』の著者になる。

浅野氏は、安倍殺害事件に関して書いた記事などを編集者Aに提出し、「赤入れ作業」を依頼した。それをあけび書房が入力した。完成後、これらの記述物を辻井氏へ渡し、辻井氏は書籍の制作に取りかかった。その際、辻井氏は新聞やインターネット上の記事も参照して執筆した。(推測になるが、浅野氏が提出した記事だけでは単行本としての分量が不十分だったためだろう。)

次に、浅野氏は辻井氏が作成した草案の修正を行った。特に、辻井氏が心情などを加筆した部分はすべて削除し、全体を再構成したうえでさらに加筆を行い、「最終原稿」とした。

その後、浅野氏はあけび書房に対して出版を撤回し、訴外の三一書房から、恐らく修正した原稿を出版した。

以上が申立書の概要である。念のため、原文の中から事件の経緯に関する重要部分を引用しておく。そのうえで、私見を述べたい。

◆申立書

【2】著作権侵害

(1)債権者は、債務者あけび書房との間で、債権者を著書とする「安倍晋三元首相銃撃・山上徹也さん裁判聴記」と題する書籍を出版することに合意して、その出版に向けて原稿を入稿し、債務者あけび書房は、チラシを作成して配布等を予約を募っており(疎甲2)、令和8年3月12日には組版のゲラがメールで送信していた(疎甲3)。

(2)しかしながら、債権者と債務者あけび書房の代表取締役岡林信一(以下「岡林」という。)との間において、同書籍についての編集方針や今後の進め方について埋めがたい乖離が生じ、債権者の債務者あけび書房に対する信頼関係が失われてしまい、このままでは債権者が当初目指していた形での出版が困難であると判断して、同年2月16日付通知書により、同書籍の出版の合意を撤回する旨を通知し、同債権者月17日に到達した(疎甲4の1、2)。

(3)債権者は、●●出版社編集部員であったA氏(女性)に、ボランティアで資料収集等を依頼し、奈良地裁での山上氏の刑事公判の全てを傍聴し、それをFacebookに投稿していたものと、それ以外に様々な媒体で書いた記事を紙ベースで編集して構成して、それに赤入れをしてもらったものを、紙で提供してもらった。それをあけび書房の岡林が入力してワード文書として原稿データを作成した({原告ファイル①」という。)。

(4)債権者は、同書籍のために、債務者辻井の協力を得ることとして、債務者辻井は、インターネットで新聞やテレビの電子版から収集してエクセルにまとめた14回分の公判についてまとめたエクセルデータ(疎甲5)などを提供してもらっていた。

(5)債権者は、前記(3)により作成した原稿ファイル①を債務者辻井に送付し、辻井氏がエクセルに入力した公判記録などを元に加筆した原稿を債権者に送信してもらった(「原稿ファイル②」という。疎甲6)。その後、その原稿について、債務者辻井氏が作成した14回にわたる刑事公判の記録から、証言・供述部分を、エクセルデータからコピーして、原稿ファイルを加筆するとともに、債務者辻井が心情などを加筆した部分は全て削除して、全体を再構成した上でさらに加筆を加えて、最終原稿を作成して岡林に送付して(「原稿ファイル③」という。疎甲7)、岡林は、それを踏まえて組版によるゲラを債権者に送付している(疎甲3。原稿ファイル③は疎甲3とほぼ同様内容であると考えられる。)。その後、債権者は債務者あけび書房に対して出版を撤回し、訴外三一書房から出版予定である(疎甲8)。

(6)債務者辻井及び岡林は、債権者が作成した原稿ファイル②及び同③を利用して本件書籍を作成したと考えられる(疎甲9)。本件書籍の元になっていると考えられる原稿ファイル②及び③については、いずれも債権者のジャーナリストとして、自らが法廷傍聴をしたことをベースに債権者の識見を踏まえて記述した表現物であり、その創作性は優に認められるから、言語の著作物として、債権者の著作権(著作財産権)が認められることは明らかである。そして、上述した経緯から、債務者辻井及び債務者あけび書房による依拠性は明らかであり、表現の類似性もあると考えられる。

また、本件書籍の書籍名の『石ころの慟哭山上徹也・奈良地裁裁判の私記』のうちの「石ころ」という表現は、債権者が岡林に伝えていたものであり、その表現には創作性があると考えられるから、言語の著作物として、債権者の著作権(著作財産権)が認められる。債務者辻井は、岡林が私から聞いた言葉を聞いて使用したと考えられるから依拠性も認められる。

(7)よって、本件書籍は、債権者の著作権(著作財産権)を侵害するものであるから、著作権法112条に基づき、差止請求権が認められるから、被保全権利は認められるべきである。

◆この事件に関する見解、そもそも浅野氏は唯一の著作権者なのか?

あらかじめ断っておくが、私は著作権の専門家でも弁護士でもない。ただし、2008年から2009年にかけて著作権裁判の被告となった経験がある。また、ゴーストライターとして約25年の経歴がある。したがって、辻井氏が直面している問題の本質は理解しているつもりだ。繰り返すが、以下はあくまで私見であり、専門家から見れば的外れな点があるかも知れない。あくまでも参考意見である。

ゴーストライターを用いて書籍を制作する場合、あまり認識されていないが極めて重要な問題がある。それは、完成した原稿の著作権者が誰であるかという点である。結論から言えば、著作者権は仕事を依頼した人ではなく、実際に執筆したゴーストライターに帰属する。

たとえば、私が山田花子という人物から日本のメディアを論じた書籍の執筆を依頼され、同氏から資料を受け取り、さらに自らも資料を集めて執筆したとする。この場合、実際の執筆者はわたしであるが、書籍上の著者名は「山田花子」となる。しかし法律上は、私が著作権者という位置づけになる。

とはいえ、これでは依頼者は納得しない。そのため、ゴーストライターと出版社の間で、あるいは依頼者との間で誓約書を作成するのが一般的である。その内容は主に二点ある。

一つは、著作財産権(印税などを受ける権利)の譲渡である。これは単純に書面を作成すればそれで完了する。

もう一つは、著作者人格権である。これは、誰が実際の執筆者であるかに関わる権利で、公表権などを含む。著作者人格権は譲渡できない。これは一身専属の権利である。法的に譲渡できないなので、ゴーストライターは著作者人格権を「行使しない」という誓約を交わす。

このような手続きを踏むことで、ゴーストライターと依頼者のトラブルを防いでいるのである。過去には、だれが文書の著作権者であるかが争点となった裁判もある。自由人権協会の喜田村洋一弁護士らが、嘘の著作権者をでっちあげてわたしを提訴した次の事件である。

【参考記事】喜田村洋一・自由人権協会代表理事らによる著作権を盾にした言論封殺とその崩壊、虚偽の事実を前提に裁判を提訴

あけび書房と浅野氏の係争において、まず明確にしなければならないのは、浅野氏と二人のアシスタントで完成させた原稿の著作権者が誰であるかという点である。辻井氏は浅野氏との間で著作者人格権を「行使」しない誓約を交わしておらず、一般論としては辻井氏が著作権者であると考えられる。ただし、浅野氏も自身の記事を資料として辻井氏に提供し、草案の加筆・修正を行っていることから、完成した原稿は共同著作物とみなされる可能性が極めて高い。浅野氏が単独で、著作者人格権を有しているとは考え難い。

『石ころの慟哭』が、三人で完成させた原稿から、その後、どの程度修正・加筆されたのかが、今後の一つの争点になるのではないだろうか。ただ、たとえ当初の原稿と同一の記述が含まれていたとしても、自らが著作権者である以上、「盗用」とまでは評価されない可能性が高い。問題となり得るのは、改変に際して共同著作権者の承諾を得なかった点にとどまるだろう。

一方で、浅野氏が三一書房から出版した書籍についても、同様のことが言える。書籍中に三人で制作した原稿の記述が含まれていたとしても、共同著作権者の承諾を得なかったという程度に留まる可能性が高い。ただし、三人で制作した原稿以外の記述とは別に、辻井氏が執筆した記述が含まれている場合には盗用と評価され得るが、認定のハードルは極めて高い。その事が、次の判例で明らかだ。

【参考記事】中京大・大内裕和教授とジャーナリスト・三宅勝久氏の記述盗用をめぐる係争、中京大は取材拒否

浅野氏が求めている出版の差し止めはまずありえない。

◆宗教二世の思いを綴った公益性の高い記録

裁判となれば、恐らく2年程度の時間を要するだろう。浅野氏は今回問題となった書籍の制作にアシスタントを用いているが、ジャーナリストであれば自分で精魂込めて執筆すべきではないか。他の職種であればともかく、ジャーナリストにとっては、文筆そのものが聖域である。裁判に時間を費やす余裕があるのであれば、ルポルタージュを一本でも執筆されることを望みたい。

また、辻井氏を長期間裁判対応に拘束すべきではない。

『石ころの慟哭』は、宗教二世の思いを綴った公益性の高い記録である。ジャーナリストが書いた紋切り型のルポよりも、貴重な記録なのである。

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2026年04月27日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu