7・12「鹿砦社反転攻勢の集い・関西」まで、1週間足らずとなりました。圧倒的なご参加、ご支援を重ね重ねお願い申し上げます!

鹿砦社代表 松岡利康

月日の過ぎるのは速いもので、今から20年前の2005年、『紙の爆弾』創刊から3カ月後、「名誉毀損」に名を借りて大坪弘道検事(彼は厚労省郵便不正事件により逮捕、検事失職)率いる神戸地検特別刑事部は、朝日新聞と連携し、松岡逮捕→鹿砦社潰しの挙に出ました。実際に、私の逮捕―長期勾留により、私は肉体的にも精神的にもずたずたにされ、私たちの出版社=鹿砦社は壊滅的打撃を受けました。誰もがこのまま沈むものと思っていたことでしょう。

ところがどっこい、自分で言うのも僭越ですが、瀬戸際にある時に強いのが鹿砦社です。多くの方々のご支援により復活することができました。逮捕から4年余り費やしましたが……。この時、取引先やライターさんらのご支援、ご協力がなければ、復活はできなかったでしょう。

復活したのは2009年秋、かの事件から4年余り経っていました。その後、勢いは加速し、逮捕前よりも良くなりました。実験的1000部ほど出した限定豪華本が即日完売、限定版なので増刷はできず、普及版(特別装丁版)を出したところ、これがブレイク、実売3万部以上のヒットとなりました。

以降、快進撃は続きました。コロナが襲来するまでは……。

新型コロナ以降、他の出版社や書店同様、再び奈落の底に落とされました。しかし、私たちはぺしゃんこにされてもへこたれません。「捨てる神あり、拾う神あり」で、熱心な読者の方々のお力で、青色吐息で生き残り、ふたたびの復活を目指しています。私たちは潰れません! 鹿砦社55年余りの歴史、『紙の爆弾』20年、『季節』10年の実績を踏まえ、必ずや復活を誓います!

そうした想いで、4・5「鹿砦社反転攻勢の集い」(東京・日本プレスセンター)を開催し、年度初めの慌ただしい中でも、100人超の方々が結集し叱咤激励をしてくださいました。

それを踏まえ、やはりホームグラウンドのある関西でもやるべしという皆様方からの強い要請で開催することにしたのです。

来る7・12、20年前のこの日、私は逮捕され、そして1週間後の7・12に「鹿砦社反転攻勢の集い・関西」を開催いたします。圧倒的なご参加、ご支持、ご支援をお願い申し上げます! 

本年4・5からコロナ苦境にありましたが、7・12を目指し多くの熱心な読者、支持者のお力をお借りし頑張り、ようやく復活への突破口を開こうとしています!
私たちはくたばりません! 必ずや復活いたします!

NKB爆発シリーズvol.3は釼田昌弘引退試合!

堀田春樹

剱田昌弘のラストファイトは力出し切る全5ラウンドを戦い、僅差ながら判定勝利で有終の美を飾った。

ジャパンキック協会から参加の樹(治政館)は昨年からのフェザー級に転級後のパワーも備わり、ムエタイブルファイターに僅差ながら判定勝利。

カズ・ジャンジラへの王座挑戦権を懸けたトーナメントはどん冷え貴哉と健吾が挑戦者決定戦へ駒を進めた。

◎爆発シリーズvol.3 / 6月21日(土)後楽園ホール17:15~21:25
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

長くなりますが、アマチュア結果も掲載致します。
戦績はいつもどおり、連盟データを基にこの日の結果を加えています。

◆第13試合 73.5kg契約 5回戦

NKBミドル級チャンピオン.釼田昌弘(テツ/1989.10.31鹿児島県出身/ 73.4kg)
22戦7勝(1KO)11敗4分
          VS
TOMO・JANJIRA(JANJIRA/1992.1.12京都府出身/ 73.35kg)10戦4勝(3KO)5敗1分
勝者:釼田昌弘 / 判定2-0
主審:前田仁
副審:高谷50-46. 鈴木48-48. 笹谷49-48

両者、パンチと蹴りの攻防から剱田昌弘は得意の組み付いて行く手段も使いたいが、徐々にヒザ蹴りから崩して転ばせる勢い増して来た。TOMOは剱田昌弘の多彩な戦法にリズムを掴めない。

剱田昌弘のハイキックがヒット、出さないようで何でも出せる技の一つ

第4ラウンドに入っても手数減らない両者の攻防は次第に疲れが見え始めたが、パンチと蹴りの攻防からTOMOのヒジ打ち、剱田昌弘の飛びヒザ蹴りも見せ、主導権を奪って終わりたい一進一退の我慢の展開は5ラウンドを戦い終えて、剱田昌弘の判定勝利。予定どおりその場で剱田昌弘の引退セレモニーが行われ、テンカウントゴングに送られた。

TOMOのヒジ打ちを避けつつ、鼻がペチャンコの剱田昌弘

剱田昌弘は試合後、「全て出し切りました!」と完全燃焼した表情。「TOMOがフックパンチでガンガン来るイメージあったので、そこを潜っていく作戦も、それが無さそうだったんで、他の技で何でも出して行こうと思いました!」とラストファイトの作戦も語っていました。

TOMOは「もうちょっとパンチや蹴りとか貰わずに戦えるかなと正直思ったんですけど、目茶目茶貰って、5ラウンドなので、剱田さんもうちょっとスローペースで来ると思ったんですけど、それが想像以上に体力削られてしまいました!」と語った。

悲し気な剱田昌弘のテンカウントゴング

◆第12試合 58.0kg契約3回戦

ローッボット・スターライトジム(元・タイ国イサーン地区フェザー級Champ/2006.2.19ナコンパノム出身/ 57.2kg)198戦141勝55敗2分(参考)
          VS
ジャパンキック協会フェザー級2位.樹(治政館/2004.10.12埼玉県出身/ 57.8kg)
16戦8勝(3KO)7敗1分
勝者:樹 / 判定1-2
主審:笹谷淳
副審:高谷30-28. 鈴木29-30. 前田29-30

開始早々は両者、ローキック中心に様子見。更にパンチや多彩な蹴りで倒しに掛かるアグレッシブな攻防。樹はローッボットのムエタイ技を凌ぐ蹴り返しで対抗。互角に進んだ攻防はスプリットとなる見極め難さだったが、樹がローッボットの勢いを凌いで判定勝利した。

樹とローッボットの一進一退の攻防。忍耐の戦いが続いた

◆第11試合 NKBウェルター級挑戦者決定(4名参加)トーナメント準決勝3回戦

NKBウェルター級5位.Hiromi(=田村大海/拳心館/1995.11.20新潟県出身/ 66.5kg)
12戦5勝(5KO)7敗
      VS
どん冷え貴哉(TOKYO KICK WORKS/1988.10.15滋賀県出身/ 66.35kg)
49戦26勝(6KO)21敗2分
勝者:どん冷え貴哉 / 判定0-3
主審:高谷秀幸
副審:鈴木28-30. 前田28-30. 笹谷28-30

パンチのHiromiに対し、どん冷え貴哉は首相撲からヒザ蹴りに持ち込みHiromiの持ち味潰し、貴哉は首相撲だけでなくパンチと蹴りの多彩に攻め優った流れで判定勝利。

どん冷え貴哉が積極果敢にHiromiを攻め優った

◆第10試合 NKBウェルター級挑戦者決定(4名参加)トーナメント準決勝3回戦

大月慎也(Team arco iris/1986.6.19埼玉県出身/ 66.6kg)26戦11勝(5KO)11敗4分
        VS
健吾(BIG MOOSE/1993.10.10千葉県出身/ 65.85kg)7戦5勝(1KO)1敗1分
勝者:健吾 / 判定0-3
主審:鈴木義和
副審:笹谷28-29. 前田27-30. 高谷28-30

パンチと蹴りの様子見から健吾がサウスポーからの左ストレートで主導権を掴んで行った。健吾がボディーブローを打つと、二度目のボディーブローを大月慎也は前蹴りで突き放す上手さを見せたり、終盤はローキックで健吾の勢いを削りに掛かったが、健吾も左ストレートでなどパンチのリズムで対抗し前半の攻勢を維持して判定勝利。

健吾が先手を打ってのスピードと手数で大月慎也に攻め優った

◆第9試合 バンタム級3回戦

NKBバンタム級2位.雄希(テツ/2002.9.3大阪府出身/ 53.25kg)8戦6勝(3KO)
        VS
NKBバンタム級5位.香村一吹(渡邉/2007.2.22東京都出身/ 54.7→54.65kg/+1.13kg/計量失格減点3)5戦4勝(1KO)1敗
勝者:雄希 / 判定3-0
主審:笹谷淳
副審:高谷30-30(27). 前田30-29(26). 鈴木30-29(26)

初回早々からアグレッシブにローキック中心に蹴りパンチの攻防。雄希の首相撲からヒザ蹴りがやや攻勢も、香村一吹も蹴りからパンチ打ち込む積極性あり。ラストラウンド終了まで下がらない展開を見せた。

計量失格した香村はウェイト的には有利でも減点が大きく響いた。勝ちは拾えなくても倒しに行く意欲満々の香村に雄希も応戦。ともに好ファイトに繋げた。

雄希と香村一吹は互いに倒しに掛かる攻防から雄希が経験値で優った

◆第8試合 フェザー級3回戦

NKBフェザー級5位.半澤信也(Team arco iris/1981.4.28長野県出身/ 57.15kg)
34戦11勝(4KO)18敗5分
          VS
次難亮(TOKYO KICK WORKS/2002.6.23/千葉県出身/ 56.95kg)5戦4勝(1KO)1敗
勝者:次難亮 / TKO 2ラウンド 1分34秒
主審:高谷秀幸

次難亮の上下の蹴りがスピーディーに半澤信也を上回るが、半澤信也もパンチで互角に持ち込む。半澤信也が毎度の飛びヒザ蹴りも見せた。第2ラウンドにはガードの低い半澤信也に次難亮が右ハイキックでノックダウンを奪い、更に蹴りの圧力からパンチでノックダウンを奪うとレフェリーはほぼノーカウントでストップした。

次難亮のハイキックがガードの低い半澤信也にヒット、勝利を導いた

◆第7試合 52.0kg契約3回戦

NJKFフライ級4位.悠(=吉仲悠/VALLELY/2003.10.25北海道出身/ 51.8kg)
13戦6勝(3KO)5敗2分
       VS
緒方愁次(ケーアクティブ/2004.1.6東京都出身/ 51.7kg)4戦3勝1敗
勝者:悠 / TKO 2ラウンド 1分7秒
主審:前田仁

スピーディーな蹴りパンチで優る悠。首相撲で緒方愁次も反撃に転じたが、悠も体勢入れ替えパンチを打ち込む。第2ラウンドもアグレッシブに、パンチとローキックの交錯の後、悠の右ローキックで緒方がスリップダウンも、これはすでに狙っていた悠が突破口を開いて更にローキックでノックダウンを奪った。緒方は立ち上がったところでパンチの交錯から悠が再びローキックで倒すとノーカウントのレフェリーストップとなった。

顔はガードで隠れたが、悠がローキックで二度のノックダウン奪って倒し切った

◆第6試合 65.0kg契約3回戦

小磯哲史(元・J-NETWORKライト級Champ/テッサイ/1973.8.8神奈川県出身/64.65kg)
54戦19勝(6KO)30敗5分
       VS
TAIRA(TOKYO KICK WORKS/1989.1.21静岡県出身/ 64.85kg)12戦4勝7敗1分
勝者:小磯哲史 / 判定3-0
主審:鈴木義和
副審:笹谷30-29. 前田30-28. 高谷29-28

初回開始、首相撲からヒザ蹴り中心に動き出す両者。第2ラウンドには小礒が蹴りからパンチで適材適所上手く突いて攻勢を維持。TAIRAは失速の中、小礒は最後には飛びヒザ蹴りも見せたが圧倒には至らず僅差ながら判定勝利となった。

小磯哲史が縦横無尽に動いてTAIRAに攻め優った

◆第5試合 ウェルター級3回戦

ちさとkiss Me!!(安曇野キックの会/1983.1.8長野県出身/ 66.55kg)
43戦7勝(3KO)32敗4分
VS
安田学登(クボ/1995.9.14群馬県出身/ 66.65kg)11戦3勝7敗1分
勝者:安田学登 / 判定1-2    
主審:高谷秀幸
副審:前田30-29. 笹谷28-30. 鈴木29-30

初回は接近戦の攻防も主導権支配には至らない両者のパンチと蹴り。決定打は無いが、ちさとのヒジ打ちか、安田学登の右瞼辺りを切ったが傷は浅い。徐々に安田の圧す力がやや優ったが、ほぼ互角の展開。ちさとも打ち返したが判定も分かれるも安田学登が僅差勝利を掴んだ。

◆第4試合 60.0kg契約3回戦

鈴木ゲン(拳心館/1973.6.5新潟県出身/ 59.45kg)13戦6勝(4KO)6敗1分
       VS
辻健太郎(TOKYO KICK WORKS/1984.3.13東京都出身/ 60.2→60.0kg)
7戦3勝(1KO)1敗3分
勝者:辻健太郎 / 判定0-2
主審:鈴木義和
副審:前田28-29. 笹谷28-30. 高谷29-29

今日がラストファイトと言われた辻健太郎。鈴木ゲンは蹴りとパンチで前進するが、辻健太郎は距離とってローキックとパンチで鈴木より手数多く優った。終盤残り時間少ないところで鈴木ゲンが攻勢に出たが時間切れ。両者の手数ある攻防は鈴木への評価もある中、僅差だったが攻勢保った辻健太郎が力出し切る判定勝利となった。

◆第3試合 女子53.0kg契約3回戦(2分制)

MEGU(KICK SPARK/1979.12.4大阪府出身/ 52.85kg)10戦2勝8敗
VS
RUI・JANJIRA(JANJIRA/2000.11.5東京都出身/ 52.75kg)11戦4勝6敗1分
勝者:RUI・JANJIRA / 判定0-3 (28-30. 28-30. 29-30)

長身を利したMEGU。ミドルキックと前蹴りは効果的ながら、その距離を潰し接近戦で距離感を活かしたRUIのパンチや組み合ってのヒザ蹴りの細かい攻めが攻勢を維持し判定勝利。

◆第2試合 62.0kg契約3回戦

猪ノ川海(大塚道場/2005.9.30茨城県出身/ 61.9kg)5戦2勝(2KO)2敗1分
        VS
小林簾(アルン/2007.7.27新潟県出身/ 61.6kg)2戦1勝(1KO)1分
引分け 0-1 (29-29. 29-30. 29-29)

◆プロ第1試合 54.0kg契約3回戦

風間祐哉(WSR三ノ輪/1997.7.17石川県出身/ 54.0kg)6戦1勝3敗2分
      VS
早川曜平(ケーアクティブ/1994.1.13千葉県出身/ 53.25kg)3戦1勝1敗1分
引分け 三者三様 (28-30. 29-29. 29-28)

◆アマチュア第3試合
 
第2代オヤジキック関東スーパーフェザー級王座決定戦2回戦(90秒制/延長1分)
酒井“キッチンドリンカー”裕輝(EX M-FACTORY/ 60.9kg)
       VS
TAKENAKA(トイカツ道場/西日暮里ストライキング/ 60.85kg)
勝者:TAKENAKA / 延長判定1-2 (19-20. 10-9/20-20.9-10/20-20.9-10)

◆アマチュア第2試合

68.0kg契約2回戦(90秒制/延長1分)
ヒデジン(新興ムエタイ/ 67.95kg)vs河野友信(A-sk丈夫/ 67.05kg)
勝者:ヒデジン / 判定2-1 (20-19. 20-18. 19-20)

破れたが、河野友信は飛鳥信也さんの後輩です。A-skはアスカを意味するのだろう。

◆アマチュア第1試合

51.0kg契約2回戦(90秒制/延長1分)
奏太(スターライト/ 50.8kg)vs輝流(BIG MOOSE/ 50.95kg)
勝者:輝流 / 判定0-3 (19-20. 18-20. 19-20)

《取材戦記》

釼田昌弘は2022年6月18日に田村聖(拳心館)との王座決定戦で、2-1判定勝利で王座獲得したが、同年10月29日には田村聖引退試合(ノンタイトル)で再戦し判定負け。2023年4月15日には土屋忍(kunisnipe旭)と引分け。後に首の怪我で手術をして2年のブランクを作ったが、今回、自身の引退試合となった。

試合直後の引退セレモニーは寂しいものだった。勝者コールを受けたところから勝利者賞トロフィーと対戦者、TOMOからの花束を受け取っただけで剱田昌弘の御挨拶とテンカウントゴング。ここまでで10分足らず。まだ総合格闘技への今後に関わる諸々事情もあったかもしれないが、もう少し華やかに送ってやりたい引退セレモニーだった。

ジャパンキックボクシング協会から参加した樹は試合後、「自分でも負けたと思いました!」と言うも、昨年フェザー級に上げ、当時のチャンピオン皆川裕哉(KICKBOX)、挑戦者決定戦では勇成(Formed)に判定で敗れたが、石川智崇(KICKBOX)にTKO勝利と調子を上げて来ている中で、倒しに来るローッボットに互角に渡り合った展開には皆川裕哉と勇成へのリベンジへの展望も見える様子だった。

比較的、いつも最後まで会場に残っている、ちさとkiss Me!!は、「戦っている中では、イケるかなと思いましたけど、ちょっと当たると調子に乗り過ぎました。シーソーゲームになってしまったのが敗因かなと。出ちゃった結果はしょうがないです。けど安田学登選手の方がダメージあったと思います!」と展開には、もう一歩前進足りなかった反省もあるが、結構よく喋ってくれる明るいキャラクターだった。この後、長野への帰路に就いたようである。ダメージ無いからと酒でも飲みながら帰っただろうか。

メインイベンターが想定し難い日本キックボクシング連盟「爆発シリーズ」は8月3日(日)に大阪176BOXに於いてNKジム、テツジム二部興行。本興行は10月18日(土)に後楽園ホールに於いて、NKBウェルター級挑戦者決定戦、どん冷え貴哉vs健吾が、おそらくメインイベントで開催されます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

西日本新聞 4月と10月に「押し紙」を増やす変則的な手口【YouTube配信9】

黒薮哲哉

「4・10増減」(よんじゅう・そうげん)と呼ばれる変則的な「押し紙」の手口がある。4月と10月に「押し紙」を増やす販売政策である。なぜ、4月と10月なのか。

結論を先に言えば、4月と10月のABC部数が、折込広告の設定枚数(折込定数)を決めるための有力なデータになるからだ。4月の数値は、6月から11月の折込定数に反映し、10月の数値は、12月から翌年の5月までの折込定数に反映する。新聞社は、それを知っているから「4・10増減」に走るのである。

西日本新聞の元販売店主(長崎県)が起こした「押し紙」裁判は、「4・10増減」が争点になった。裁判の中で、西日本新聞社が、全販売店の実売部数や残紙の程度を把握していたことを示す内部資料の存在が明らかになった。それにもかかわらず第一審で裁判所は、西日本新聞の「押し紙」政策を認定しなかった。7月3日には、控訴審の判決がある。

一目瞭然の「押し紙」政策の存在が客観的に立証されていながら、新聞社に軍配を上げ続ける裁判官の姿勢。

これは、裁判官が有する人を裁くただならぬ特権を悪用しているのではないか?

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2025年6月22日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

《7月のことば》禍福は糾える縄の如し

松岡利康

《7月のことば》禍福は糾える縄の如し(鹿砦社カレンダー2025より。龍一郎揮毫)

本日から7月、1年の半分が過ぎました。

今月の言葉「禍福は糾(あざな)える縄の如し」──これまでの私や鹿砦社の浮き沈みを言い得ている言葉で元々は『史記』にあります。

幸福と不幸は、より合わせた縄のように交互にやってくるという意味です。すなわち、災いだと思っていたことが幸運の原因になることもある。成功したと思ったら失敗する、失敗したと思ったら成功することもある。たとえて言うならば、より合わせた縄のようだ、という使われ方をされています。

私は20年前、「名誉毀損」に名を借りて逮捕され、会社は壊滅的打撃を受けました。しかし、その後、勝機を掴み復活しました。

ところが、私の人生に安穏はないようで、それはまた次の不幸の始まりでした。新型コロナの襲来によって今は塗炭の苦しみに喘いでいます。ここを切り抜けると必ずや何度も味わった栄光がやってくると信じたい。

さすがに龍一郎、うまい言葉を持ってきやがったな。

◇      ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

今月は〈7・12〉がもうすぐです。時の流れは速いものです。2005年7月12日の、晴天の霹靂の逮捕から20年です。皆様方と共に語り合い、有意義に過ごしたいと考えています。関西在住の方は、今からでもすぐに参加申し込みをお願いいたします。参加できない方はカンパやご祝儀などでご支援ください。

(松岡利康)

月刊『紙の爆弾』創刊20周年/唯一の反原発情報誌『季節』創刊10周年7・12「鹿砦社反転攻勢の集い・関西」まであと2週間に迫りました。圧倒的なご参加とご支援をお願いいたします!

鹿砦社代表 松岡利康

鹿砦社の出版活動を支援されるすべての皆様 ── 本格的な猛暑が襲来しました。平素は私たちの出版活動に多大のご理解とご厚誼、ご支援を賜り有り難うございます。 

7・12「鹿砦社反転攻勢の集い・関西」まであと2週間に迫りました。

私たちは、月刊『紙の爆弾』創刊20周年/『季節』創刊10周年に際し、去る4月5日東京日比谷の、わが国メディアの象徴である日本プレスセンターにて「鹿砦社反転攻勢の集い」を開き多くの方々にご参集いただき圧倒的な成功を収めました。これもひとえに皆様方のご支援があったからこそです。あらためてお礼申し上げます。

その成功を踏まえ、それに参加できなかった関西在住の支援者の皆様からの強い要望で急遽関西でも集いを開催することになり、目下総力を挙げて、7・12関西の集いの準備に取り組んでいます。関西在住の方はぜひご参加をお願いいたします。東京に負けず関西の意地と底力を見せつけようではありませんか!

これら2つの集いを機にコロナ禍以来の低迷状態を打破し再びベクトルを上向かせなければなりません。20年前の7月12日、『紙の爆弾』創刊から3カ月余りのち、「名誉毀損」に名を借りた出版弾圧で松岡の逮捕─長期勾留によって鹿砦社は壊滅的打撃を被り、それでも多くの方々のご支援により勝機を掴み復活することができましたので、今回も復活は優に可能だと信じています。

大きな節目を迎えた『紙の爆弾』『季節』ですが、今後の現実は厳しく、遺憾ながら両誌の版元の鹿砦社は、20周年、10周年を、新型コロナの波に飲まれた苦境の中で迎えなければなりませんでした。一時は巻き返したこともありましたが、私たちの非力と見通しの甘さで浮き沈みを繰り返しています。これまでご支援をいただいた皆様方には本当に申し訳なくお詫び申し上げます。

『紙爆』にしろ『季節』にしろ、このかん皆様方のご支援を賜り一号一号綱渡り状態で発行してまいりました。そうして迎えた4・5「鹿砦社反転攻勢の集い」は大成功を収めることができました。予想は厳しかったですが、皆様方のご支援でなんとかクリアできました。

そして迎える7・12 ── 財政問題はじめ、まだまだ当面する喫緊の諸問題を乗り越えないといけません。関西在住の方はなにとぞご参集ください。また、カンパやご祝儀などのご支援もよろしくお願いできれば幸甚です。現在好評裡に販売中の「セット直販」もお願いいたします。至急多くの浄財を集中的にお寄せください!

ことは急を告げています。非礼を承知でこのたびも皆様方に甘えてしまいますが、何卒事情ご賢察のうえご参加と、早急なご支援のほどよろしくお願い申し上げます。 

暑さ厳しき折り、皆様方のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。 

設立から6回目の興行、挑戦は続く全日本キックボクシング協会!

堀田春樹

瀬川琉は得意の左ストレートで主導権支配した判定勝利。
オーシャン・ウジハラ(氏原文男)は角谷祐介のスピードに付いて行けず判定負け。
野竹兄弟、兄の勇生は苦戦も好ファイト展開の引分け。
弟、生太郎はノックダウン奪った上、圧倒の展開も倒し切れない大差判定勝利。

◎SAMURAI WARRIORS 挑戦 2nd / 6月20日(金)後楽園ホール 17:15~21:26
主催:全日本キックボクシング協会 /

戦績はプログラムを参照にこの日の結果を加え、出身地年齢は調査不足で不詳です。

◆第12試合 60.5kg契約3回戦

全日本スーパーフェザー級チャンピオン.瀬川琉(稲城/ 60.35kg)22戦15勝(4KO)6敗1分   VS
アイドゥル(=金炳秀キムビョンス/2025年韓国HERO FIGHT優勝/ 60.35kg)
13戦6勝7敗
勝者:瀬川琉 / 判定3-0
主審:和田良覚
副審:竜矢30-28. 勝本30-28. 椎名29-28

初回はやや金炳秀が蹴りから圧力掛けた流れも、第2ラウンドには瀬川琉が左ストレートヒットで主導権を奪って、金炳秀は瀬川の左ストレートが怖くなったか前進が弱まった。金炳秀は元々ウェルター級で体格差もあって、62kgかライト級リミットの交渉から60.5kg契約に落ち着いたが、蹴りの距離感掴んだ瀬川のリズムは変わらず、金炳秀の蹴りも好ファイトに繋がり、瀬川が中盤から圧勝の流れとなった判定勝利。

瀬川琉は左ストレートで勝利を導いた

瀬川は「課題はメンタル的な部分で越えられなかった試合だったなと思います。第2ラウンドからちょっとずつ動けるようになってきた感じですね。でもトップに行こうと思ったら、まだ他団体のトップ選手と戦えないと思うので本当ちょっとショックです!」と周りから見るより本人の反省は多いが、好ファイトを展開したエース格としての成長は大きいだろう。

金炳秀は「瀬川選手の左ミドルキックが効きました。左の蹴りが強い!」と言い、ブロックした腕が痛そうだった。

瀬川琉の左ミドルキックが金炳秀に強烈にヒット、サウスポー瀬川の戦略が活きた

◆第11試合 ライト級3回戦

オーシャン・ウジハラ(氏原文男/無所属/ 60.9kg)28戦13勝(8KO)15敗
          VS
角谷祐介(ネクストレベル渋谷/ 60.9kg)26戦13勝10敗3分
勝者:角谷祐介 / 判定0-3
主審:少白竜
副審:竜矢28-30. 勝本27-30. 和田27-30

※「オーシャン・ウジハラは心センチャイジムとして2009年のWBCムエタイ日本フェザー級初代チャンピオン。角谷祐介はスックワンキントーン・スーパーフェザー級初代チャンピオン。」

角谷祐介のスピーディーなミドルキックやパンチ、ヒジ打ちに怯まず前に出るオーシャン・ウジハラだが、組んでも離れても角谷の勢いに圧され、角谷が大差判定勝利となった。

オーシャン・ウジハラは「前回と比べたら全然駄目でした。ダメージは無いけど疲れました!」と残念そうながらも明るく語るサッパリした表情でした。

角谷祐介のスピード、蹴りの圧力が優って氏原文男を圧倒

◆第10試合 スーパーライト級3回戦

全日本スーパーライト級6位.勇生(=野竹勇生/ウルブズスクワッド/19歳/ 63.35kg)
6戦4勝(3KO)2分
         VS
李導炫(イ・ドヒョン/韓国/ 63.0kg)5戦3勝1敗1分
引分け 三者三様
主審:椎名利一
副審:少白竜28-28. 竜矢28-29. 和田29-28

蹴りから圧力掛ける勇生だが、李導炫もパンチで勇生をコーナーに追い詰める圧力あり。勇生がハイキックやパンチで追い込んでも李導炫が怯まず反撃して来るアグレッシブな展開。流れ的には、勇生が後半やや攻勢で優ったかにも見えるが三者三様の引分け。一進一退の攻防は勇生にとっても良い経験になったと見られる。

勇生と李導炫の一進一退の若き戦い。勇生の右ミドルキックヒット
引分けとなった勇生と李導炫の攻防。いずれ再戦はあるだろう

◆第9試合 スーパーフェザー級3回戦

中村健甚(稲城/ 58.6kg)5戦1勝2敗2分
      VS
アハメド・ボーグリアーネ(フランス/ 58.6kg)1戦1勝(1KO)
勝者:アハメド・ボーグリアーネ / KO 2ラウンド 1分11秒
主審:勝本剛司

“アハメド・ボーグリアーネ”は英語圏とスペイン語圏では発音が全く違う場合あり。

アグレッシブな攻防が続く中、第2ラウンドにアハメドが中村健甚をロープ際に詰めたところでパンチではなくヒジ打ちがヒットし中村がノックダウン。背中越しで見えなかったが、パンチのようなバチンといった音でなく、ゴツンと当たる音だったという周辺。フラ付きながら立ち上がろうとするもカウントアウトされた。

中村健甚とアハメド・ボーグリアーネの攻防。勝負は一瞬だった

◆第8試合 67.0kg契約3回戦

カツヤ・ノラシンファミリー(Norasing Family/ 66.15kg)4戦2勝2敗
       VS
柳將元(=リュウ・ジャンウォン/韓国/ 65.9kg)4戦4勝
勝者:柳將元 / 判定0-3
主審:竜矢
副審:少白竜27-30. 椎名26-30. 勝本26-30

アグレッシブな攻防から徐々に柳將元の組んでのヒザ蹴りが効果的にヒット。第3ラウンドには柳將元のパンチか蹴りが(ハイキックの情報あり)ヒットし、カツヤがノックダウンも激しい攻防続く中終了。柳將元が大差判定勝利。

アグレッシブに攻めた柳將元のヒザ蹴りがヒット、カツヤは出遅れた

◆第7試合 ミドル級3回戦

KENTA・PUAKUTA・SHONBIN(DEAD HEAT/ 72.45kg)4戦1勝2敗1分
VS
一虎(=イーフー/1987年中国山東省出身/ 72.15kg)9戦6勝3敗
勝者:一虎 / 判定0-3
主審:和田良覚
副審:竜矢28-29. 椎名28-30. 勝本28-30

少林寺僧侶という一虎の左右のロングフックは豪快さがあった。KENTAもパンチ蹴りでアグレッシブに出るが、一虎も動じず蹴り返し、両者スタミナ消耗しながら第2ラウンドから勢い上げて来た一虎が攻勢維持して判定勝利。

両者全力で戦い抜いた中、調子付いた一虎がパンチで攻める攻勢

◆第6試合 63.0kg契約級3回戦

野竹生太郎(ウルブズスクワッド/ 62.85kg)3戦3勝
       VS
清宮拓(GODSIDE/ 62.9kg)9戦2勝(1KO)6敗1分
勝者:野竹生太郎 / 判定3-0
主審:少白竜
副審:和田30-26. 椎名30-26. 勝本30-26

初回、パンチとローキック、スピーディーに野竹生太郎が先手打ち、早々に左ハイキックでノックダウンを奪った。野竹が攻勢を維持し、多彩に攻めるも清宮拓を仕留めるには至らないもどかしさを残しながら優勢を維持した大差判定勝利。

初回、先手打った野竹生太郎がハイキックでノックダウンを奪った

◆第5試合 81.0kg契約3回戦

オマル・ファーレス(稲城/ 80.4kg)3戦1勝(1KO)2敗
      VS
ワグナー・カリオカ(ブラジル/ 80.3kg)10戦7勝3敗
勝者:オマル・ファーレス / KO 3ラウンド 1分59秒
主審:竜矢

初回、パンチ中心の攻防はややオマル・ファーレスが優り、第2ラウンドもオマルがパンチから蹴り、ヒザ蹴りで追い込み、右ストレートでワグナーは大きく仰け反ってスタンディングダウンとなってもいいぐらい後退するも、第3ラウンドにはオマルがパンチ連打でノックダウン奪い、精魂尽き果てたワグナーは蹲ったままテンカウントされ、オマルがKO勝利。

オマル・ファーレスがワグナー・カリオカを圧倒していくヒザ蹴り

◆第4試合 フェザー級3回戦

KAI・AKG(A-BLAZE KICK/ 57.1kg) 2戦2勝(1KO)
      VS
柳權(リュウ・グオン/韓国/ 56.4kg) 2戦1勝1敗
勝者:KAI・AKG / TKO 2ラウンド 2分48秒
主審: 椎名利一     

KAIのパンチ蹴りのヒットが優り、柳權の蹴られたら蹴り返す反撃も、KAIが上回るヒット。第2ラウンドもKAIの前蹴りか柳權がノックダウンの後、KAIのミドルキックがガードの上からでも強く蹴り込み、パンチ連打でノックダウンすると、ノーカウントのレフェリーストップとなった。

◆第3試合 65.0kg契約3回戦

小玉倭夢(無所属/ 64.7kg)2戦1勝1敗
      VS
亀田蓮(亀田同志会/ 63.7kg)1戦1敗
勝者:小玉倭夢 / 判定3-0 (30-28. 30-26. 30-27)

ローキックとロングフック中心の亀田蓮。組んでの崩しが上手い小玉倭夢が多彩に攻め大差判定勝利した。

◆第2試合 スーパーウェルター級3回戦

堀江耐志(Norasing Family/ 69.55kg)1戦1勝
      VS
蘆立亮太(YS’K YAMAGATA/ 69.3kg)2戦1勝1敗
勝者:堀江耐志 / 判定3-0 (30-27. 30-27. 30-27)

パンチの堀江耐志に蹴りで返した蘆立亮太。第3ラウンドにパンチでノックダウン奪った堀江耐志が判定勝利。

◆第1試合 スーパーバンタム級3回戦

渡邉獅生(JTクラブ/ 54.95kg)1戦1勝
      VS
ミツル(A X/ 55.15kg)3戦3敗
勝者:渡邉獅生 / 判定3-0 (30-26. 30-27. 30-26)

初回は渡邉獅生が圧倒した展開から倒し切れないミツルの踏ん張り。第3ラウンドにパンチで圧倒からフォロー的にハイキックで圧した形でノックダウン奪って判定勝利。

《取材戦記》

先回キック興行の「NJKF、6月の戦いKING OF CHALLENGER、WBCムエタイ世界戦開催!」記事において“三日月蹴り”を“三ヶ月蹴り”と書いておりました。文字打ち間違いで意識から外れていましたこと申し訳ありません。

本日の全日本キックボクシング協会、今年2回目の興行「SAMURAI WARRIORS 挑戦2nd」韓国、中国、フランス、ブラジルと国際色豊かなカードとなった今回の興行。ライバル的存在ながら韓国選手の強さと粘りが進化した近年であり、交流戦としても充実した存在となるだろう。

瀬川琉が左ストレートで持ち味発揮した勝利は協会エース格の存在感を示した。野竹兄弟は課題を残しながらも今後の成長に注目の存在感を示した。

氏原文男は試合前、「オーシャン・ウジハラとして上に行きます!」と元チャンピオンとしての再浮上を宣言していたが、もどかしい展開で完敗。ただ心は折れていない表情。全日本キックボクシング協会で3連敗となったが、心身ともにまだ戦える様子。ベテランが勝ち星から遠ざかっても現役を続けられるキックボクシング界ではあるが、まだ39歳として頑張って欲しい。

今回の興行で二つのジムが加盟し、現在29のジムとなりました(韓国のSAMSAN含む)。昭和から続く名門のジムは無いが、新しいジム中心に令和時代ををどう盛り上げて行けるか。

「どうやれば客が入るか考え行動しなけらばならない!」と助言する関係者も居る中、次回の全日本キックボクシング協会「SAMURAI WARRIORS 挑戦 3rd」は10月5日に後楽園ホールに於いて初の日曜日枠確保となって開催されます。メインイベンターは瀬川琉か、野竹兄弟、広翔の出場はあるか。今後、後楽園ホールを満員にするスターは生まれるか。この団体の確立した競技を目指す姿勢に期待するファン、関係者は多いでしょう。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

西日本新聞押し紙訴訟 控訴審判決を前にして

江上武幸(弁護士)

7月3日(木)午後1時25分の西日本新聞押し紙訴訟福岡高裁判決の言渡期日が迫ってきました。既報のとおり、福岡地裁判決は前年の4月1日に東京高裁・東京地裁・札幌地裁から転勤してきたいわゆる「東京組」と呼ばれる3人の裁判官達による判決でしたので、敗訴判決が出る可能性はある程度予期せざるを得ませんでした。

しかし、この裁判では、西日本新聞社が原告販売店に毎年4月と10月に前月より200部も多い部数を供給し続けていること、その目的は、原告の押し紙の仕入代金の赤字を補填するために折込広告部数算定の基礎となるABC部数を大きくするためであること、つまり、押し紙政策を続けるために西日本新聞社が主導して折込広告料の不正取得(詐欺行為)を行わせていたことが明らかでした。

また、押し紙を行っている新聞社は、西日本新聞社に限らず押し紙の責任を販売店に押し付けるために、販売店の実配数は知らないし知り得ないと主張します。しかしこの点についても、西日本新聞社は販売店の実配数を把握しており、毎月、実売部数を記載した部数表を作成し、外部に知れないように本社で厳重に管理している事実を認めました。

この裁判は販売店が勝訴する条件が充分に揃った裁判でしたので、敗訴判決を聞いた瞬間、東京組の裁判官3名を福岡に派遣した最高裁事務総局の、新聞社の押し紙敗訴判決は出させないという強い意志を感じました。

* 福岡地裁判決の問題点については、5月25日に投稿した「控訴準備書面(全文)」をご覧ください。

福岡高裁の裁判官達が九州モンロー主義が支配した時代にみられた「最高裁なにするものぞ」という気概に満ちた判決をくだしてくれるかどうか、皆様と共に期待しながら待ちたいと思います。

なお、近時、司法試験合格者の裁判官希望者が少なくなっており、若い裁判官の中途退官も増えていると聞いています。外部からはこれらの情報はなかなか知ることはできませんが、幸い、岡口基一元裁判官がフェイスブックで裁判の独立と裁判官の果たすべき役割について積極的に発信しておられますので、それらの様子を伺い知ることができています。

裁判所内部からも岡口元裁判官と同じ危機意識をもった人たちの動きが表面化してくれることを期待しています。

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2025年6月16日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼江上武幸(えがみ・たけゆき)
弁護士。福岡・佐賀押し紙弁護団。1951年福岡県生まれ。1973年静岡大学卒業後、1975年福岡県弁護士会に弁護士登録。福岡県弁護士会元副会長、綱紀委員会委員、八女市役所オンブズパーソン、大刀洗町政治倫理審査会委員、筑豊じんぱい訴訟弁護団初代事務局長等を歴任。著書に『新聞販売の闇と戦う 販売店の逆襲』(花伝社/共著)等。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

「いのちかがやく」大阪・関西万博で、下請け労働者のいのちが切り捨てられようとしている

6月22日(日)、大国町「ピースクラブ」で開催の原口剛神戸大教授の「釜ヶ崎で考える」反-万博論にお集まりの皆様、お疲れ様でした。

冒頭、主催として何故万博が始まった今、この問題を取り上げるかを少し話させて頂きました。

今回の大阪・関西万博、開幕前予測していた以上の酷い問題が噴出している。中でも釜ヶ崎に関わる者として見逃せないのが工事費用未払い問題。アンゴラ館に続き、ドイツ、セビリア、ルーマニア、そして6月20日最新情報では中国パビリオンでも。中国パビリオンの電気工事を請け負った二次下請け会社社長は、5月に結成された「被害者の会」(万博工事未払い問題被害者の会)の代表と会見し、「国家プロジェクトで未払いがまかり通るのは恐ろしい」と語った。なお、アンゴラ館で未払い状態の5次下請けの業者の下にはひとり親方の業者さんもいる。数か月家賃が払えない人もいるという。

SNSでは「貯金してなかったあんたが悪い」という人もいる。でも問題はそこではない。

「そんなことで文句いうな」「引き受けたあんたらが悪い」と言う人たちもいる。あげく「万博見に来た人たちを笑顔にさせて。そんな笑顔見たら満足だろ」という方も。

いやいやいや、何言ってるんですか? 笑顔見てもメシ食えんから。笑顔ナンボ見ても1980円の古古古古米さえ買えませんよ。

もともとゼネコンがやらない仕事(そこには大きな理由があった)、工期が迫ってる、開幕を延期しないと決めた吉村知事はテレビで「絶対開幕に間に合わせますっ」と豪語し、万博協会も必死で下請け業者に「やってくれ」と頼みこんだ。「だったらやってやろうじゃないか」と、引き受けた業者はそれこそ昼夜問わず働いた。

そんな人たちに未払い、しかも頼み混んだ吉村や協会が解決に取り組まない。あげく、万博来た人たちの笑顔見たら満足でしょう、とは。

協会はユスリカの大量発生やレジオネラ属菌にはすぐに対策本部作ったのに、未払い問題は放置したまま。下請け業者、作業員はユスリカ以下ですか?

そして始まった原口さんトークショー(詳しい内容は仲間が動画にしてくれます。楽しみに待ってください)、休憩を挟んでの質疑応答。何とそこで「被害者の会」の方が発言。会場に来てくれたことに驚き!

私も疑問に思っていたことを聞いた。「なぜ、建設許可証を持たない、建築実務のない業者が入札に入れたのか?」「なぜ建築実務のない広告代理店が関われたのか?」

「被害者の会」の方は必死で答えてくれた。そこには、この万博で維新のお気に入り、維新のお仲間を儲けさせるために、中抜きしやすくするために、従来労働者を守っていたはずの法律というか入札する際の基準を変えていたという余りにえげつない実態が……。

しかも圧倒的に多いのは中国系の業者だ。ここで、原口さんが「中国系の業者と中国の人たちを分けて考えないといけませんね」と注意を! 確かにそうです。

例えば打合せで図面がわずか2枚のペーパーしかないとか。どんな資材を使うかもわからない。そんなことだから、一旦やった仕事にクレームがつきまくり。当然だ。どうやって欲しいか注文する図面が2枚しかないのだから。いくらベテランの業者でもうまくいくはずがない。さっき、ゼネコンがこのタイプのパビリオン建設を断ったのは、こんなところにも理由があったのだ。そのくせ、「守秘義務がありますよ」だの「口外しないように」とどんどん罰則を強めてくる。

この実態を今後広めて行かねば……。下は「被害者の会」の方の投稿です。フォローして応援しましょう!

https://www.facebook.com/share/p/16Nq1BfnuK

【追記】 6月23日、「被害者の会」は大阪府に要望書を提出。その後府庁で会見を開いた。参加した業者の話では、ルーマニア、ドイツ、セルビアの3パビリオンで計約2億3700万が支払われていないとのこと。また被害者は、作業員とその家族を含めると約1000人にも及ぶという。会は未払い金の一時的立て替え、建設許可証なく工事に参入した業者名の公表などを要望、6月27日までに回答するよう求めた。

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

梓加依・著『広島の追憶』が広島市読書感想文コンクールの課題図書に選定!

鹿砦社代表 松岡利康

著者の梓さんとは古くから細く長い付き合いになります。娘さんが一時当社で働いたこともあります。

かつて長崎青海の名で『豊かさの扉の向う側』という本を初めて出版、1992年のことです。30年以上も前になります。それが偶然に書店で教育委員会の方の目に留まり、それで講演会に招かれ、その後、ある国立大学の講師の職に就くまでになりました。

長崎生まれ、広島育ち、戦後の被爆地の様子を見て育ち、その体験から何冊か本を出されています。本書『広島の追憶』もそうです。

もともとは高卒で大阪に就職で出てきて結婚、図書館でアルバイトをしながら平凡な生活を送っていました。

もう30年年以上も前、兵庫県川西市が汚職で問題になり、主婦の方々が立ち上がり「あしたを開く女性の会」を結成、2人が選挙に出馬、2人とも見事当選、それを記録しようと知り合いました。現在、『季節』編集長の小島卓君が丸ごと編集し『主婦の手づくり選挙入門』を出版しました。いい本で、今でも役立つと思いますが、残念ながら絶版です。会も分裂し、今はないと思います。議員のうちお一人の方が交通事故に遭ったとのニュースに接したことを思い出します。

その後、向学心に富む梓さんは、某大学で通信教育を受け学位を取得、それから神戸大学大学院に進み修士課程を修了されています。

これを機会に、一人でも多くの子ども、いや大人にも読まれることを望みます。

【著者略歴】梓 加依(あずさ・かえ)。児童文学・子どもの生活文化研究家。1944年長崎生まれ、小学校から高校まで広島市内に在住。公共図書館司書、大学非常勤講師、家庭裁判所調停委員などの仕事を経て、現在は物語を書く会「梓の木の会」主宰。
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315258/

◆     ◆     ◆     ◆     ◆

梓加依・著『広島の追憶』(鹿砦社 2023年)

図書紹介 〈広島の追憶 原爆投下後、子どもたちのそれぞれの物語〉
広島瀬戸内新聞ニュース 2024年12月21日

2023年鹿砦社から刊行
被団協ノーベル平和賞受賞、
被爆80周年になろうとしているいまこそ。
https://www.amazon.co.jp/d/4846315258/
https://www.rokusaisha.com/wp/?p=48020

1944年にナガサキに生まれ、小学校から高校までヒロシマで過ごした著者による「明日へと生きる若い人たち」への物語です。著者は「長崎青海」というペンネームで鹿砦社から松岡社長の編集で「豊かさの扉の向こう側」という本というより小冊子を著したことを契機に、大学非常勤講師や家裁の調停委員なども務めることになり、一念発起。図書館のアルバイト職員から大学に入学して司書資格を取得、修士課程も修了したという努力家でもあります。今回、30年ぶりに松岡社長の編集でまた本書を出されることになったそうです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

本書は、『はだしのゲン』など従来の本と比べれば具体的な被爆シーンなどはなく、ソフトな描き方ではありますが、人が次々と亡くなっていくという恐怖、そして、それが自分自身もそうなるかもしれないとずっと背負い続ける恐怖。これらをリアルに描き出すことに成功しています。はだしのゲンなど従来の本は大事にしつつ、本書も広げていきたい。

被爆から78年たった今となっては、大人も広島でこういうことがあったことを、頭では勉強していても、きちんと認識している人は少ないと思われるからです。

それも広島においてさえも、です。和也君や裕君の家だったと思われる場所周辺(下写真=広島市南区的場町)。でも原爆からの復興で建てられた建物はもちろん、その後建て替えられたモダンなビルもまた壊され、ポストモダンな高層建築物がニョキニョキとそびえています。ついつい忘れてしまうことがある。だけど、忘れてはいけないことがある。筆者自身には子どもはいませんが、その分、周りの大人に伝えていきたいと思います。

NJKF 6月の戦い KING OF CHALLENGER、WBCムエタイ世界戦開催!

堀田春樹

大田拓真が技と駆引きで優ったノックアウトでWBCムエタイ世界王座奪取。
星拓海が嵐にノックアウト勝利の番狂わせで王座獲得。
繋那が落ち着いた攻防で藤井昴を倒したTKOで王座獲得。
オープンフィンガーグローブの吉田凛汰朗vs健太は壮絶な打ち合いの末、無判定引分け。

◎KING OF CHALLENGER / 6月8日(日)後楽園ホール17:15~21:26
主催:オフィス超合金 / 認定:NJKF、WBCムエタイバンコク本部
放送:U-NEXT

この記事では最初の試合を第1とし、ナンバーはプログラムと異なっています。

◆第9試合 WBCムエタイ世界フェザー級タイトルマッチ 5回戦

選手権者.アントニオ・オルデン(1991.10.14スペイン・マドリード出身/ 56.95kg)
51戦43勝(7KO)7敗1分
          VS
挑戦者9位.大田拓真(新興ムエタイ/1999.6.21神奈川県出身/ 56.95kg)
42戦32勝(11KO)8敗2分
勝者:大田拓真 / KO 3ラウンド 1分49秒
スーパーバイザー:山根千抄(日本)
主審:パリン・ハンタナブーン(タイ)
副審:テーチャカリン・チューワタナ(タイ)、中山宏美(日本)、宮沢誠(日本)

両者の蹴りの距離からパンチに入る牽制の様子見。徐々に大田拓真の良い動きで組み合ってもウェイト乗せた攻防は優っていく印象。狙って打つ蹴る大田がリズム掴み、アントニオ・オルデンも初回から手数あるが大田を圧せない中、第3ラウンドには大田がオルデンをニュートラルコーナーに追い込む流れで右前蹴りとなる三ヶ月蹴りを蹴り込むと、オルデンは苦しそうにノックダウン。レフェリーのパリン氏はカウント6で試合をストップした。

大田拓真がアントニオ・オルデンを追い込んでいく中、この後三ヶ月蹴りが入る
三ヶ月蹴りを喰らって一瞬の間を置いて蹲ったアントニオ・オルデン

大田拓真はリング上のコメントで「世界一の実感はないですけど、とにかく嬉しいです。まだ僕はこれからも、もっと上を目指していきます。」と語った。

連盟代表で新興ムエタイジムの坂上顕二会長は「世界戦は実力だけじゃ獲れなくて、いろいろな壁を乗り越えていく中で、しっかり作戦どおり力出してくれたので、もうおめでとうと言いたいだけですね。」

「最後の三ヶ月蹴りは、あれで絶対嫌がると思うからいろいろな攻撃パターンが生まれる中で、大体作戦がハマっていたところでしたね。」

獲りたかったWBCムエタイ世界のベルト、まだ先の挑戦は続く大田拓真

防衛戦については「WBCムエタイ本部から指名して来るので、アントニオ・オルデンの奪還戦になるか、他の海外の選手になるか、そして日本でやるかスペインでやるか、いずれも倒してしまえば文句無いのでどこでやろうと防衛戦はしっかりやっていきたいですね。」と語られました。

アントニオ・オルデン陣営の通訳されました川久保悠(伊原プロモーション)氏は「オルデン選手は試合はコントロール出来ていたので、あの三ヶ月蹴り貰ったのは凄く勿体無かったと言い、第4~5ラウンドに進んでいれば、そこでの展開は自信があった様子で、奪還戦についてはぜひ挑戦したいと言っていました。」ということでした。

◆第8試合 第9代WBCムエタイ日本バンタム級王座決定戦 5回戦

1位.嵐(=坂本嵐/KING/2005.4.26東京都出身/ 53.45kg)19戦13勝(6KO)4敗2分
VS
3位.星拓海(IDEAL/2005.7.26東京都出身/ 53.5kg)11戦8勝(3KO)2敗1分
勝者:星拓海 / KO 3ラウンド 2分22秒
主審: 宮沢誠

ローキックでの探り合いからミドルキックへ繋ぐ嵐。星拓海は焦りも怯みも無く蹴り返していく。第1ラウンド終盤に嵐が攻勢掛けたのはマストシステムでの印象点掴む戦略もあっただろう。

第2ラウンドも嵐から上下変化掛けながら蹴って出ても、星拓海もダメージ無く蹴り返す展開。徐々にリズムに乗って来たのは星拓海。飛びヒザ蹴りも繰り出し、第3ラウンドには三ヶ月蹴りと言われる前蹴りで嵐は蹲ってしまった。そのまま苦しそうにテンカウントを聞いた嵐。トップに立つと常勝は難しくなる壁でもあるだろう。

嵐にプレッシャーを掛ける星拓海、意外と強く下がらない攻防を続けた
星拓海が三ヶ月蹴りをヒットさせた後、嵐は崩れ落ちた

星拓海は「ボディーブローが効いた様子が有ったので三ヶ月蹴りで追い打ちを掛けました。」と語った。更に防衛戦は重ねて行きたいと言う。そこから大田拓真のように上位へのチャンスも生まれるだろう。

まだ日本タイトルながら、このまま大田拓真に続けるか

◆第7試合 オープンフィンガーグローブマッチ スーパーライト級3回戦(延長2R)

NJKFスーパーライト級チャンピオン.吉田凜汰朗(VERTEX/2000.1.31茨城県出身/ 63.2kg)
29戦13勝(3KO)10敗6分
       VS
健太(=山田健太/E.S.G/元・WBCMウェルター級Champ/1987.6.26群馬県出身/ 63.3kg)
125戦68勝(21KO)49敗8分 
裁定は「無判定引分け」延長2ラウンド、計5ラウンドまで経過
主審:中山宏美

凄惨な試合となった。正攻法な二人だけに乱戦にはならないが、薄いグローブの影響は現れて行った。アゴにヒットして脳震盪を起こさなければ倒れないであろう中、健太の方の顔がボコボコになっていき、額を切り、鼻血を流し、口の中も切った流血も酷くなる流れ。ヒザ蹴りもタイミングよくボディーヒットさせた吉田凛汰朗。3回戦制ではあったが、判定されたとしたら吉田凛汰朗の優勢だろうか。KO決着の為、延長戦、再延長戦と進むも吉田凛汰朗がやや優勢の中、無判定引分けとなった。

吉田凛汰朗の指が健太の鼻の穴へ、サミングも起きやすいオープンフィンガーグローブ
血みどろの戦い、両者我慢強いからボコボコになりながら最後まで倒れなかった

健太は「もう僕はトップを目指せません。そしてもう目指してもいません。」と宣言。

「この試合が最後か分からないですけれど、人間はブレるので“辞めます詐欺”するかもしれないですけれど、その時は悪しからず。」と引退を匂わせながら現役継続とも取れるコメントを残した。

◆宮越慶二郎引退式

宮越慶二郎は過去NJKFライト級、WBCムエタイ・ライト級、WBCムエタイ・インターナショナル・ライト級王座を獲得。46戦29勝14敗3分。この戦績を通じて人生を教えて貰いましたという想いを語り、キックボクシングに僕なりの恩返しをしたいと思います。第二の人生に御期待ください」と挨拶し、テンカウントゴングに送られました。

◆第6試合 第11代NJKFスーパーバンタム級王座決定戦 5回戦

2位.繁那(R.S/2004.1.28京都府出身/ 55.3kg)17戦13勝(8KO)2敗2分
VS
3位藤井昴(KING/東京都江戸川区出身19歳/ 55.0kg)前戦含む6戦3勝(1KO)1敗2分
勝者:繁那 / TKO 1ラウンド 1分30秒
主審:宮沢誠

両者は2024年11月10日に対戦し引分けている中での再戦となる王座決定戦。

ローキックで藤井昴の脚を攻めバランス崩させる繁那。藤井がローキックを返すと繁那は左ストレート打ち込む。すでに繋那の圧力が活かされている展開。藤井の動きは悪くないが、繋那の距離感に嵌っている中、繋那は右ジャブから左ストレートでノックダウンを奪った。

繋那は冷静に試合を進め、左ストレートをヒットさせた

再開後、すぐに向かわなかった繋那。藤井の出方を窺い、出て来る藤井に左ストレートを打ち込み二度目のノックダウンを奪い、立ってもフラ付く藤井をレフェリーはカウント中にストップを掛けた。

NJKF王座獲得となった繋那は次なる王座はWBCムエタイ、日本と世界か

◆第5試合 52.0kg契約3回戦

NJKFフライ級チャンピオン.西田光汰(西田/2001.2.13愛知県出身/ 52.0kg)
13戦8勝(1KO)4敗1分 
VS
NJKFフライ級6位.明夢(新興ムエタイ/ 51.75kg)14戦5勝(1KO)6敗3分
勝者:明夢 / 判定0-2
主審:児島真人
副審:梅下29-30. テーチャカリン29-30. 宮沢29-29

西田光汰は当初、永井雷智との初防衛戦が決まっていたが、永井の負傷欠場により、明夢とノンタイトル戦となった。

西田光汰の蹴りパンチ攻勢に明夢が劣らず着いていく展開。蹴り合っても首相撲となっても引けを取らない明夢。互角に蹴りパンチが続き、西田のコンビネーションブローの見せ場もある中、明夢の表情が強気に見えた。際どい採点ながら明夢が番狂わせを起こす判定勝利となった。西田はこのリングでは(正確にはマット生地)滑り易いのか、蹴っても滑って転ぶシーンが目立った。

◆第4試合 バンタム級3回戦(EX1)

山脇飛翼(K-1ジム心斎橋チームレパード/2001.10.31大阪府八尾市出身/ 53.3kg)
14戦 9勝(4KO) 4敗 1分
VS
サンチャイ・テッペンジム(元・ラジャダムナン系ミニマム級Champ/1988.5.30タイ国ソンクラー県出身/ 53.0kg)295戦222勝(89KO)70敗3分
勝者:山脇飛翼 / KO 3ラウンド 29秒
主審:中山宏美

山脇飛翼は4月27日に嵐に判定負けも、ローキックで嵐を苦しめた強気の展開。その勢いでサンチャイをローキックでジワジワ攻め、ヒザ蹴りやミドルキックも加えて最後はローキックでサンチャイを倒し切り、テンカウントを聞かせた。

◆第3試合 スーパーバンタム級3回戦(EX1)

NJKFスーパーバンタム級6位.王清志(新興ムエタイ/ 55.1kg)24戦10勝(3KO)13敗1分
VS
NJKFスーパーバンタム級7位.中島大翔(GETOVER/ 55.3kg)12戦5勝(1KO)5敗2分
勝者:中島大翔 / 判定0-3 (27-30. 28-29. 28-30)

◆第2試合 女子ミネルヴァ48.5kg契約3回戦(2分制)

山崎希恵(クロスポイント吉祥寺/28歳/ 48.25kg)4戦2勝1敗1分
      VS
あゆな(笹羅/22歳/ 47.9kg)2戦1敗1分
引分け 1-0 (29-29. 29-28. 29-29)

◆第1試合 フェザー級3回戦

陽平(TAKEDA/15歳/ 56.6kg)1戦1勝(1KO)
     VS
高嶋隆一(PIT/25歳/ 55.6kg)1戦1敗
勝者:陽平 / TKO 1ラウンド 2分28秒

高嶋隆一がアグレッシブな猛攻だったが、距離感掴んだ陽平が蹴り返し、ヒザ蹴りやパンチ連打で高嶋を追い込み、顔面ヒザ蹴りで圧倒すると高嶋はノックダウンとなってカウント中にレフェリーストップとなった。

《取材戦記》

戦績は前回興行結果と今回のプログラムを参照し、この日の結果を加えています。プログラムに曖昧な部分が発生しており、正確さには欠けますが参考まで。

今回、繁那に敗れた藤井昴は4月21日のトーナメント準決勝での中島凛太郎との対戦で、股間ローブローによる試合続行不可能となり、「判定2-1で負傷判定勝利」とアナウンスがありました。公式記録も確認しましたが、そのとおり。私どもは藤井昴の負傷判定勝利と記載しました。

しかし、後のNJKFからのリリースで試合結果は、「ノーコンテスト。トーナメントの為、1R途中までの採点となり藤井が 2-0 で勝利」という発表がありました。

すでにこのリリースに矛盾した部分はあり、気が付く人は解り、解らない人は解らないままと思いますが、諸事情で敢えて突っ込みはしませんが御容赦ください。2-1が2-0になっている部分だけはNJKF側の誤記かと思います。マストシステムですから。

なお、今回のプログラムに藤井昴だけ戦績が更新されていない様子でした。記載忘れでなく以上の結果を考慮したものと考えられます。

“ノーコンテスト(無効試合)”という裁定を戦績に含むか含まないかは、いろいろな解釈があると思います。

「原因に係わらず試合していないのと同じという意味で戦績に含まない。」

「天変地異など災害によるノーコンテストは戦績に含まない。試合中の偶然のアクシデントによるものは戦績に含む。」などなど。

吉田凛汰朗vs健太戦は2月2日のタイトルマッチを行ない、吉田が僅差で勝利し初防衛しましたが、不可解な判定の疑念が残り、今回、ノンタイトル戦、オープンフィンガーグローブ使用で再戦。過去1勝1敗の決着戦となったが、KO決着のみの無判定試合と制定されました。これは法の下で活動する本場ムエタイ式に言えばカテゴリー外れ(違法ではないが)。プロボクシングJBC管轄下に例えれば認められないグローブ。キックボクシングはプロモーター主体の競技で規制無く実行出来てしまいます。

試合中、「死ぬまでやらせるのか!」といった野次も飛び交ったという。白いマットが鮮血で染まっていくオープンフィンガーグローブ使用の試合は、サミングも起こり易く、今後も行なわれるのか疑問が残るルールです。

大田拓真のWBCムエタイ世界王座獲得としては、2014年11月15日の大和哲也と梅野源治以来となりました。まだ世界の頂点という実感は無いと言う中、今後も防衛戦やONEでの参戦で結果を残しながらと世界の頂点を極めていく心構えである。

NJKF次回本興行は9月28日(日)に後楽園ホールに於いて武田幸三主宰CHALLENGERシリーズが行われます。

関西版は7月20日には大阪府堺市で誠至会興行「NJKF 2025 west 3rd」が開催予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」