広島県教委の平川理恵前教育長(在任、2018年4月~2024年3月)らによる官製談合事件で、住民らの告発を受けて捜査していた広島地検は8月、平川被疑者を証拠不十分として不起訴処分にする一方、直接事務を担当していた当時の課長を略式起訴し、課長は50万円の罰金を納付しました。

この事件は、平川氏の故郷の京都が本部で平川氏と親交のあった『NPO法人パンゲア』のために平川氏が事実上、県費で仕事を作ってあげた、というものです。2022年8月、「文春砲」ですっぱ抜かれました。

確かに、直接的に平川氏が指示した証拠はないものの、平川氏のために仕事をつくって当たり前、と言う状況が当時の県教委にはありました。

◆市民団体の不服申し立ては当然

当然、10月1日、市民団体「県教委官製談合疑惑をただす市民の会」は、「平川氏が教育長でなければ事件は起きなかった」として、検察審査会に不服申し立てを行いました。検察審査会が二度【起訴相当】の議決を行えば、平川氏は「強制起訴」されます。

だいたい、「大阪城を造ったのは誰か?」と問われて「大工さん」と答える人はまずいないでしょう。「豊臣秀吉」と答えるのが普通です。では「パンゲアのために仕事を作ってあげたのは誰か?」と問われれば「平川さん」と答えるのが普通でしょう。その普通が通用しないのが広島県警であり、広島地検です。真面目にやっていただきたい。

◆持ち上げる東京マスコミ、反省のない平川氏

 

2024年9月30日配信『AERA』

一方で、解せないのは、教育長退任後の平川氏を東京のマスコミが持ち上げまくっていることです。

例えば『AERA』は「平川理恵さんが語る広島の「タイムマシンで未来見る」教育改革 米・ビジネスハイスクール視察や不登校支援センター設置も」で、平川氏の自慢話を一方的に垂れ流しています。

官製談合事件についてこの記事の中で平川氏は「見方の問題だと思います。(最終出勤日の)3月29日の前日に250人が送別会を開いてくれました。教育関係者に限るということで、現場の先生や教育委員会の方が来てくれました。いろんな見方があると思います。でも私はこの来てくれた250人の皆さんが答えだと思っています」とまったく反省がありません。

上司の送別会ですから、少々上司が嫌な奴でも参加するのは、当然でしょうに。筆者も県庁時代、嫌な上司がいなかったと言えばうそになります。それでも職場の送別会には参加しました。当たり前のことです。その上司だって、「俺のためにみんな来てくれた」とは思っていないでしょう。

同記事のヤフー版のコメントでは「いろいろな改革に取り組んだのは良いかもしれない。だが、広島の教育で何か良くなったものはあるのだろうか。あまり良い話を聞かない。現場の意見を聞かなすぎたんじゃないか」など『AERA』と平川氏への批判が噴出していますが当然です。

おそらく、一部の東京のマスコミを主導するインテリの方々には以下のようなステレオタイプな考え方があるのではないか?

「腐った田舎者に、東京の進歩的な女性がいじめられている」

実際に、筆者も東京で大学卒業まで過ごしたのでわかるのですが、思想的に左翼だから共産党、社会党に投票していたわけではなく「自民党は田舎臭くてダサいから共産党、社会党」程度の考え方の方も結構おられました。そういう方や、そういう方々をマーケットとするマスコミが、石丸伸二さんとかが出てくると「田舎の老害をぶっ叩く」「田舎の老害にいじめられた若者」イメージで持ち上げてしまい、結果として石丸さんが都知事選挙で160万票も取ってしまう(それも、野党系から票を奪う形で)のはわかる気がします。

しかし、平川氏がやったことは所詮は「広島の公教育の米国化」です。米国の公教育も決して褒められたものではないでしょう。例えば、米国大統領選挙もついこの間まではトランプvsバイデンなどという不毛な対決構図でした。こんなことになるのも、米国の教育がもたらした米国の有権者の意識の問題もかなり大きいのではないか?日本も大概だが、有権者としての教育に米国も失敗していると言わざるを得ません。その米国に倣った教育改革をこれ以上広島でされたらさらにひどいことになりかねなかった。
 
◆任命責任重大な湯崎知事、「法令違反は改革の副作用」と開き直り

そして大問題なのは平川氏を任命した湯崎英彦知事です。広島県内にも女性の校長先生などいらっしゃいます。あるいは教育で全国でも有名な広島大学にも女性の教授は当然おられます。社会教育で活躍している医師や弁護士などいくらでも優秀な人材はいます。「女性教育長」が平川氏である必要はどこにもなかったのです。

そんな平川氏は散々、広島の教育をかき回した挙句、刑事責任は部下に押し付け、東京で好き放題、自慢話。そしてそもそも、こんな方を「一本釣り」で任命した湯崎知事の責任は重大です。その湯崎知事は、2024年2月、「法令違反は改革の副作用」などといって、公然と法令違反を是認しています。こんな知事でいいのでしょうか?!

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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立憲民主党代表選挙(9月23日)、そして自民党総裁選挙(9月27日)が終わりました。終わってみれば、立憲民主党は野田佳彦さん、そして自民党は石破茂さんと「旧新進党OB」が二大政党トップとなりました。

石破さんは、自民党では初の他政党所属経験のある首相になります。

◆1993-94年の政治改革でメジャーデビューした石破・高市・野田・枝野氏

野田さんが決選投票で破った枝野幸男さん、石破さんが破った高市早苗さんも含めて、1993年の「政治改革解散」で注目を浴びた「若手・新人」議員です。いずれも現行の小選挙区比例代表並立制を軸とした「政治改革」の元祖・小沢一郎さんが党首だった政党(新進党か旧民主党)に所属経験がある方です。

1993年の状況をおさらいすると、1980年代末から90年代初めの日本の政治を牛耳っていた金丸信(故人)らによる汚職事件が相次ぐ中で政治改革が叫ばれました。

こうした中で「政治に金がかかるのは中選挙区制のせいだ。また、これからは、政策論争中心の政治にしないといけない。そのためには政党本位の選挙制度にしないといけない」という理屈で小選挙区比例代表並立制を、という議論になりました。

さらに、政党交付金制度が導入され、並行して二大政党に所属していないと国会議員に当選するのはおろか立候補も難しい制度設計とされました。1993年6月に政治改革法案の不成立の責任を問うて野党が提出した内閣不信任案に小沢一郎さんやその側近だった石破さんも含む一部自民党議員も賛成し成立。衆院解散総選挙の結果、自民党が過半数を大きく割り込み、細川政権が成立。1994年に上記のような内容の政治改革法案が成立しました。

しかし、今回の二大政党の党首選挙を拝見すると、30年前に行われたこの政治改革自体が制度疲労をおこしているといわざるを得ません。

◆自民党内の多様性可視化される

自民党総裁選挙では、自民党にもいろいろな考えの方がおられるのが可視化されました。このうち、小泉進次郎さんは親父さんの二番煎じの極端な新自由主義&緊縮財政主義です。解雇規制緩和が小泉さんの目玉でしたが、解雇規制が日本は主要国の中で厳しいとは言えない、と高市早苗さんらに反論され「炎上」。失速しました。

実際、米国は別として日本より解雇規制が緩いとされる北欧などはそのかわり行き届いた福祉や教育=大きな政府があるわけです。今の日本でそこまでの大きな政府を実現する土壌はないし、小泉さん自体が財務省寄りで緊縮財政です。労働者を路頭に放り出した挙句、福祉や教育への予算も不十分なら、大混乱になる。高市さんらの反論は当然です。

高市早苗さんは激しく追い上げた。積極財政であることは筆者も注目しました。この点は小泉進次郎さんよりは評価できる。しかし、高市さんが露骨に靖国参拝を掲げたことは、党内選挙とは言え、「韓国、ひいては米国との関係を悪化させ、日本を孤立させかねない」という不安が自民党員の方の中でも広がったのだろうと推測されます。このために、あと一歩、石破さんに及ばなかったのでしょう。

さて、石破さんが金融所得課税などを主張していたために、石破当選で株価が下がったと言われています。ただ、日本の場合、超大金持ちへの課税は米国さえより甘い実態がある。金融所得課税はどこかでやらないといけません。むろん、その場合でも、米国の利下げなどの動向を見ながら、利上げには当面慎重にするなどの手綱さばきは必要でしょう。慌てて利上げを日本がしなくても米国が下げれば金利差は縮小し、過度な円安→これ以上の物価上昇には歯止めがかかると思われます。

また、石破さんの政策では「気象庁の予算拡充」も注目されます。また、鉄道オタクであることから、芸備線を含む地方交通政策についても注目したい。他方で、消費税増税論者でもあり、この点が野田さんに近い。下手をすると大政翼賛会的な消費増税の危険もあります。

一方、立憲民主党代表になった野田佳彦さん。元総理の今も駅前で1人ででも立ってビラを配っておられるのは正直、頭が下がる。ご自身の選挙は強いと思います。
しかし、彼が野党全体への支持を高められるかといえば、疑問が大きいのです。やはり、2012年に当時の野党だった自公と合意した消費税増税と、セットでの緊縮財政のイメージが強すぎるのです。大震災の復興財源のために現場公務員の給料を減らしたり正規公務員数を減らしたりしたのはまずかった。その後相次いだ災害や感染症への対応で現場が苦労することになりましたし、住民サービスの持続性にも暗雲を投げかけています。野田さんには、ご自身がやったことの反省と総括を最低限お願いしたい。

◆切り捨てられる民意・抑圧される党内民主主義

ともかく、現代にはいろいろな政策課題があり、立憲の支持者も自民の支持者も価値観も多様化しています。いまの小選挙区比例代表制度かつ、政党幹部が財布のひもや公認権を事実上独裁的に握る制度での二大政党が本当に人々のニーズに合致するのでしょうか? 事実上大きな影響を持つ政党が二つでは、やはり、切り捨てられてしまう民意が大きくなってしまいます。

また、広島県内でも、河井案里さん失職に伴う参院選広島再選挙2021の立憲の候補者に内定していた楾大樹先生が、はしごを外されるという事件も発生しています(茶番選挙―仁義なき候補者選考)より。その後も、衆院選2021で一回敗けただけの広島都市圏の立憲候補3人が、事実上クビになっています。これは、政党幹部の独裁を可能とする現行の選挙制度の欠陥ではないでしょうか?

さらに、同じ野党の日本共産党でも本やネットで田村智子さん、志位和夫さんと違う意見を言っただけで、除名・除籍される事件が続発しています。最近では「ごはん論法」考案で有名な紙屋高雪さんが、同党から除籍され、福岡市議団スタッフからもいきなりクビになっています。

また、大阪など関西では「維新」の公認や推薦というだけで、候補者個人の政策や人柄があまり吟味されないまま、爆発的に支持されてしまう現象が最近までありました。斉藤元彦・兵庫県知事による数々のご乱行を巡る混乱も招いています。

それなりの数の政党が存在し、なおかつ枠に入りきらないような無所属の候補も当選できるような選挙制度の設計がやはり望ましいと考えます。政策テーマごとに、政党の組み合わせが違ってもいいのです。

◆選管主催でガチバトルの公開討論会実施を

なお、自民党総裁選挙のガチバトルの公開討論会は自民党を支持しない筆者が見てもそれなりに面白かったです。これを国政・地方選挙で選管主催やったらどうかと思います。そうすれば金を持っている人が有利とかそういうこともなくなるでしょう。

というか、「政治改革」の前は、選管主催で合同立会演説会を公会堂とかでやっていました。政治の面白さが後退しているのです。今後、選挙管理委員会の前候補参加の主催討論会を各公民館で実施、ネットでも配信するなどしていけばいいでしょう。都知事選で悪用され、物議をかもしたポスター公営掲示板よりもよほど有権者に判断材料を提供することになるでしょう。

繰り返します。石破茂さん、高市早苗さん、野田佳彦さんらが注目された1993年総選挙後に行われた政治改革1994。裏金も含めて、本当の改革になっていたのか? そのことを与野党ともに検証すべきときではないのか? 30年たって、むしろ政治が劣化しているとすれば、制度を疑うことも必要ではないでしょうか?

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兵庫県知事で筆者の同一大学同一学部の後輩の斎藤元彦君。パワハラやおねだりなど数々のご乱行。そしてそれらについての告発を「嘘八百」と決めつけたことが、渡瀬元県民局長、そして阪神・オリックス優勝パレード担当課長の命が失われるという、取り返しのつかない事態を招きました。8月30日、9月6日には百条委員会でご本人が尋問を受けるという事態になりました。

◆出直し知事選挙「やる気満々」の斎藤君に腰を抜かす

9月19日、兵庫県議会により、前代未聞の全会一致での不信任案可決を受けました。そして、26日、斎藤君は記者会見し、県議会は解散せずに失職し、出直し知事選挙に立候補すると表明しました。筆者はこれにはびっくりしました。筆者はてっきり「斎藤君は、議会を解散し、延命を図る」のかと思いこんでいました。筆者の知り合いの兵庫県議も、解散の可能性が高いとして、選挙に備える覚悟を決めていました。

斎藤君は知事選挙になればほぼ、勝ち目はないと、いうのが客観的な見方でしょう。例えば2021年の横浜市長選挙では、与党(当時の菅総理)からも、野党からも見放された林文子・横浜市長が、当選した野党共闘候補や自民推薦候補、さらには落下傘の田中康夫さんをも下回る得票で大惨敗したくらいの結果が予想されます。

そうであるならば、議会を解し、40日以内に行われる県議選のあと、不信任案再可決(今度は過半数で可決)となるまでは知事に居座る。冬のボーナスや退職金もまんまと頂く。合理的に考えるとこのシナリオしかありえません。

すこし、奇策を混ぜるなら、議会を解散した上で、自分も辞職し、斎藤君自身が県議選に殴り込むのです。定数が多い選挙区なら可能性はある。そうすれば、県議として、斎藤君は「安定した身分」をしばらくは享受することになるのではないか?
ところが、斎藤君の出した答えは「失職・知事選再出馬」でした。なお、不信任案可決との場合は失職と辞職、両方選べます。辞職の場合は、斎藤君が当選した場合は残りの任期、すなわち一年足らずと言うことになります。これは、自己都合で退職、という意味合いもあるのでしょう。失職は「県民によりクビになった」ということで、斎藤君が当選した場合は四年の任期が与えられます。雇用保険の失業給付で会社都合退職の方が労働者に有利になるのに似てなくもありません。

実際には、辞職を選ぶ場合はそのまま引退と言うケースが多いです。例えば安藤忠恕・宮崎県知事(故人)は官製談合事件で不信任案可決となり、2006年12月4日辞職。その4日後、逮捕され有罪判決を受け、上告中の2010年に亡くなられました。安藤さんの場合は、現実問題、逮捕が迫っていることを自覚し、逮捕で選挙運動どころではないことを見越してお辞めになったのでしょう。

◆大義も勝機もないはずの出直し選挙

失職を選んだということは、出直し知事選挙で当選する可能性が高いと踏んでいるということです。

それでは斎藤君に「勝機」はあるのか?

失職したケースで出直し選挙に挑んで勝った人としては田中康夫・長野県知事がいます。田中知事の場合は確かに既成政党の多くを敵に回したものの、当時、長野県では結構大きな勢力を誇っていた日本共産党が支援に回ったこと。マスコミも田中県政を評価する論調だったことなどがあり、大差での再選となりました。

その時とはあまりにも状況が違います。田中知事の時は「脱ダム」などの争点となりましたが、今回の場合は、斎藤知事や片山副知事らによる一連の「ご乱行」が問われます。阪神・オリックス優勝パレード担当課長、そして渡瀬・西播磨県民局長が自死に追い込まれたという結果は取り返しがつくものではありません。

渡瀬さんの告発文書で告発されたことについて十分な調査もせずに「嘘八百」と決めつけてしまい、さらに、利害関係者である藤原弁護士(百条委員会で証人尋問された)による内部調査だけをうのみにして懲戒処分としてしまった。まさに、公益通報者保護法違反です。

また、斎藤知事の腹心(俗にいう牛タン倶楽部)の片山副知事(当時、7月31日付で「退職」)や小橋理事(当時、現在は降格)は、警察でもないのに「がさ入れ」を強行。片山副知事は必要な決裁も取らずに渡瀬さんの退職願を受理しない、とその場で本人に申し渡してしまいました。

また、「維新」の掘井けんじ代議士(近畿比例、地盤は加古川市など)は街頭演説で渡瀬さんの個人情報を有権者にべらべらしゃべってしまうという事件を起こしました。個人情報を斎藤知事、片山副知事、小橋理事(いずれも当時)ら誰かが漏らさなければ起きえない事態で、これも重大な犯罪です。

こんな中で斎藤君の立候補に大義もなければ勝機もない。通常で考えればそうなります。

◆「孤軍奮闘」イメージと「既成政党自滅」で若年層中心に善戦も

しかし、筆者は一抹の不安を感じています。

斎藤君は26日の会見の中で「一人で選挙をやる」ということを繰り返していました。これがウケる可能性はあるかもしれません。既成政党への不信感も強い中で、現職であっても一人で闘う姿に心を打たれる人は出るかもしれない。斎藤知事が嘘をついていなければという前提はありますが、高校生から激励の手紙を受け取ったという。これは、石丸伸二さんが東京都知事選挙で、主にインテリの若い男性に特にバカ受けしたのに似ているようにも思えます。 

いま、地方選挙では政策などが全くいい加減な人でも無所属・無党派と言うだけで結構な票を取る現象が結構起きています。この傾向は政党が自己反省し体質を改善しない限り続くでしょう。

出直し選挙に向けては、自民が独自候補を模索し、公明、立憲が自民に同調の構えだそうです。

共産は無所属新人の医師を推薦。維新も独自候補を模索。

そういう中で、反斎藤票が割れ、政党への反感の受け皿に斎藤君がなるかもしれないのです。

おりしも、9月25日、神戸地裁で民商による共産党県議候補だった東郷ゆう子さんが不当解雇された事実が認定されるという労働裁判の判決が出ました

筆者は労働者が救済されることは大歓迎します。他の全労連系の労働組合幹部の多くの仲間とは違い、筆者は日本共産党を支持しておりませんので、堂々と、判決を歓迎すると言明しています。ただ、これは兵庫県内においては間違いなく、反斎藤側に打撃になるでしょう。党内で年配者が若手にハラスメントする有様は、斎藤知事と瓜二つではないか? だから筆者は常々、「立憲や共産と言った野党はスターリン主義をやめて人を大事にすべき、と口を諫言してきたのですが言わぬことはない、です。

もちろん、おそらく自民党が出す候補が最有力にはなるでしょうが、自民党自体は決して評判は芳しくありません。維新は維新で斎藤知事の製造物責任があります。独自候補を出すことで余計に批判を浴びることも予想されます。

そういう中で、斎藤君が結果として一位になる、ということは既成政党側が油断すればあり得るのではないか? 東京都知事選挙で石丸伸二さんがバカ受けした現象を軽視すべきではありません。

ただ、石丸伸二さんが兵庫県知事選挙に突如殴り込めば、また状況は変わるでしょう。反既成政党票が割れて斎藤君に不利な展開になるでしょう。まさかの石丸知事誕生まではいかないまでも、アンチ既成政党票を石丸さんに食われると斎藤君の苦戦は免れないでしょう。

◆「斎藤事件再発防止」こそが争点だ

ともかく、斎藤君には、反省がない。内部告発に対する対処を決定的に誤った、公益通報つぶし、さらには維新のほりいけんじ代議士への情報漏洩などは刑事事件ものです。阪神・オリックス優勝パレードへの公金流用も信金関係者の証言も出てきて全容が明らかになってきた。これも解明されれば刑事責任は免れない。

斎藤君は次の任期で、県立大学無償化などの「若者への投資をやりたい」と会見で繰り返していました。

だが、くどいようですが、問題になっているのは政策ではなく斎藤知事とそのお仲間のコンプライアンスです。

どうしたら、人が二人も亡くなるような事件の再発が防げるか?それが大きな争点であるべきです。兵庫県内各政党は斎藤君の土俵=政策に乗ってはいけません。「若者への投資」も、新しい知事の下で、知事や小橋理事らの「独裁」ではなく、きちんと県民ニーズを踏まえて推進すべきです。

同時に、公益通報つぶしを許さない体制の整備は、県警の裏金問題の隠ぺいが起きているわが広島県、鹿児島県警本部長の不祥事隠しが起きている鹿児島県など全国の自治体です。そして公益通報者保護法の改正は国政の大きな課題ではないでしょうか? 来るべき衆院選の争点の一つにしても良いと思うくらいです。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
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イスラエル軍元兵士が語る『平和』 ダニーネフセタイさん講演会が9月18日(水)、広島市東区民文化センターで広島瀬戸内新聞が主催して行われました。


◎[参考動画]「武力で平和は生まれない」 元イスラエル軍兵士が広島で語る「平和」(広テレ!NEWS 2024年9月18日)

◆「武力で平和は生まれない」 元イスラエル軍兵士が広島で語る「平和」

 

ダニーネフセタイさん

ダニーネフセタイさんは1957年生まれの今年67歳。ダニーさんは、2008年にイスラエル軍が子どもを多く殺したことで、イスラエルがやっていることがおかしいと気付いたそうです。

ダニーさんの祖父母はそれぞれポーランド、ドイツから1920年代にイスラエルに移住。しかし、自分以外の親戚はホロコーストにあったそうです。しかし、イスラエルに移住したことでバランスが崩れてしまった。

「パレスチナでは英国が独立させる際に当初はユダヤ人・パレスチナ人が半々に土地を分割するはずだったのが実際にはユダヤ人が75%、パレスチナ人が25%になってしまった。パレスチナ人が面白くないのは当然。」

「ユダヤ人がパレスチナ人の土地を奪う。家に火をつける。車を壊す。そういうことが毎日のようにガザではなく表向きは安定しているように伝えられているヨルダン川西岸でも起きている」

と、紹介しました。

そして、なぜ、こういうことになるかといえば、

「イスラエルの文科省が認めている地図ではガザ地区との境界は書いてあるがヨルダン川西岸もゴラン高原も自国だ。子どもたちは毎日そういう地図を見る。歪んだ教育が戦争を肯定する人間を生み出している」

とダニーさんは指摘しました。

高校卒業後、イスラエルでは18歳になると男女問わず徴兵されます。ダニーさんは高校卒業後、空軍に所属しました。

しかし、今となっては「パイロットにならないで良かった」と振り返ります。

「パイロットになった友人もいるが、そういう友人は『ここに爆弾を落としてきなさい』と命令されたらその通り落としてくる。それによって多くの人を殺していても」

からです。

「ナイフを使って街中で人を殺せばかっこいいということにはならない。戦闘機で何百人も人を殺せばかっこいいとなってしまう。」

「軍隊は、以下のことで成り立っている。①自分たちを善、相手側を悪と差別すること。②殺人を正当化するほどまでに上官の命令に従うことが徹底している(普通の会社ではそういうことはない。) ③物事を解決することは話し合いではなく、武力で解決する。イスラエルはパレスチナのことをイスラエル軍にすべてを任せているから解決しない。」

と指摘します。

「イスラエル軍は1000万円の爆弾でガザを攻撃し、安全だとするが、ガザは5000円で出来るロケット弾で対抗する。結局、軍事費はうなぎ上りになってしまう。」

「イスラエルはフェンスをつくってガザを封鎖してしまった。」

「10.7以降、イスラエルの若者がガザに行く支援物資を止めてしまう。戦争は普通の人を鬼にしてしまう。」

「イスラエル軍は、力で抑えることで安全神話をつくってきた。しかし、そのたびにそれは崩れてきた。」

「イスラエルは、西岸地区でもパレスチナ人を勝手に逮捕してきた。」

◆「テロリスト」と決めつけず、対話を!

ダニーさんは、

「ハマスはテロ組織ではない。一応選挙で選ばれていた。テロという職業はない。自分の目的を達成するためにテロをやっている。」

と指摘。

「1946年当時、ユダヤ人のリーダーの後のベギン首相がイギリス軍司令部を爆破するというテロを行った。のちにベギン首相はエジプトとの和平で1979年にノーベル平和賞をもらった。1948年にイスラエルは独立したためにイギリスに逮捕されず、その後首相になった。」

という事実を紹介しました。

そして、

「テロリストと決めつけたら話ができなくなる。しかし、長年戦争をしていたイスラエルは実際にエジプトと和平し、その後はエジプトに平気で観光に行くようになった。」

「ガザとイスラエルの対立は数千年もあるから対話は無理だという人もいるかもしれない。しかし、50年前は検問所などもなかった。1998年にはガザ市とテルアビブ市は姉妹協定も結んでいる。和平をしようとすればできないことはない。」

と強調しました。

◆イスラエルはこのままではPTSDで持たない

イスラエルはガザを2008年に大規模に攻撃し子どもがたくさん殺した。その時に生き残った子どもが2023年、イスラエルを攻撃した。また、ハマスの指導者を暗殺したが、イランは報復すると宣言。イスラエル国民はおびえている。殺された人だけでなく、殺した人もPTSDなどと言う形で被害を受ける。

ダニーさんは

「戦争の時代に生まれた犠牲者でもあるが、政治家の間違った判断の犠牲者であり、間違ったプロパガンダの犠牲者でもある」

と指摘しました。

◆(核)抑止力ってあるのか?

ダニーさんは、「(核)抑止力」に疑問を呈しました。

「中学生がナイフを「抑止力のため」と持ち込んだら先生が認めるか?」
「岡山が攻めてくることに備えて「広島軍」をつくりますか?」

と問いかけました。

また、

「ロシアもイスラエルも核兵器を持っているが、ウクライナはモスクワまで攻撃しているしハマスもイスラエルを攻撃した。」

と核抑止力に疑問を呈しました。

◆戦争をベースにする歴史教科書

ダニーさんは歴史教科書が戦争をベースに記述していることも問題視しました。

「今、ロシアとウクライナは戦争していますが、欧州の51か国中2か国だともいえる。イタリアではいつもどおりピザを食べている。ただ、そんなことは教科書には載らない。」

「大昔でも、戦争をしていない国の方が多かった。戦争を止められないなら、戦争をしている国の方が多くなる。」

と指摘しました。

◆戦争・軍事こそ最大の環境破壊

「戦争はいつかおわる。ヘビースモーカーは余命2週間と知らされたらすぐにやめる。戦争も、気候変動で東京も上海もNYもガザもテルアビブも大変なことになる。そうなれば戦争どころではなくなる。」

「ただ、それを待っていたら、太平洋の島から沈むし、ガザでも人が死んでしまう。今から、平和のため、環境のために私ならがんばる。」

「戦車も戦闘機も燃費が悪い。F35戦闘機は1時間飛ぶと5600リットル燃料、すなわちクルマ1800台分の燃料を消費する。戦争をしなくても練習しているだけでも、どんどん環境を破壊する。戦争は最大の環境破壊だ。」

と指摘しました。

ダニーさんの講演を受けて活発な議論が行われました。

参加者からは

「イスラエルの状況や市民の方々の当たり前を知る機会を与えていただき、ありがとうございました。なぜあの様な状況が起きるのか疑問に思っておりましたが、日本に於ける二次大戦時の市民の方々の思いの推定も含め、認識を新たにさせて貰いました。良く見て、良く聞いて、良く話すことの重要性、夫婦や家庭でも同じだなぁ、と痛感しました。
 今後とも、このような上質な知識を得る機会を提供いただくようお願い致します。」

「戦争がもたらすこと戦争で何が起こっているかを伝えようという熱意、わかりやすく伝えたいという思いを強く感じました。おそらく、悲しみ怒りなど、持ちながら希望を伝えたいという思いを感じました。」

などの感想を戴きました。


◎[参考動画]イスラエル軍元兵士が語る『平和』IN広島 ダニーネフセタイさん講演会 広島瀬戸内新聞ニュース(2024年9月18日)

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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筆者は2024年9月6日、広島弁護士会館で行われた基礎経済科学研究所の秋季研究集会で「広島県における産業廃棄物問題と地域経済・社会への悪影響」と題して発表しました。

発表する筆者(右)

◆広島県の産業廃棄物問題 

広島県の産業廃棄物処分場の数は、2021年、全国で3番目。北海道の289、愛知の94に続く76か所です。特にいわゆる『安定型処分場』では54か所で2番目となっています。

「安定型産業廃棄物最終処分場」(以下「安定型処分場」)とは、性質が化学的に安定しているとされる廃プラスチック類、金属くず、ガラス陶磁器くず、ゴムくず、がれき類などの産業廃棄物(一般的には「安定5品目」で2006年10月1日からは、一定の基準を満たした石綿含有産業廃棄物も追加されています)を処分する最終処分場です。

処分場の構造は、「しゃ水工」と言われる「埋立処分場内の汚水の処分場外地中への浸出を制御するための工作物」を敷設しない素堀の穴です。簡単に言えば、シートすら敷かなくてよいのです。そして、処分場からの浸出水に対する処理も法令上は不要です。従って、有害物質を含む廃棄物が埋立処分された場合、有害物質が施設外に流出することになります。この安定型処分場は1980年代~1990年代に全国各地で問題となりました。日弁連はすでに安定型処分場の新規設置を禁止することも提言しています。安定型処分場を巡る問題の代表例としては香川県の豊島事件があげられます。

安定型といいながら、実際には車のシュレッダーダストなど有害物質が含まれるゴミが持ち込まれました。公害調停を経て、2024年現在も後始末が続いています。

こうしたことを背景に全国各地で住民や地元自治体による反対運動が起き、水道水源保護条例、環境配慮条例など表現は多様ですが規制する条例が制定されています。

これは、現行の廃掃法では、書類などの要件さえ整っていれば産業廃棄物処分場の設置を許可せざるを得ないからです。

そうした中、本県では、独自に規制する条例がつい最近まで県も市町も制定していませんでした。また、規制の運用でも他都道府県では抜き打ち検査が常識なのに、広島県ではそれもやっていません。そして、業者による展開検査もろくに行われていない状況があります。他都道府県が規制を強化する中で広島県だけ規制が緩いことで、全国から広島に産廃が流入しています。後述する三原本郷産廃処分場には、群馬や長野などのナンバーのトラックが入ってきています。

◆三原本郷産廃処分場 ── 汚染水流出、県は深刻化するまで放置プレイ

2018年4月、広島県三原市と竹原市の水源地のど真ん中にJAB協同組合による安定型処分場設置計画が持ち上がりました。

計画地 広島県三原市本郷町南方字観音平22179番地1 外関係地域 広島県三原市本郷南方 / 広島県竹原市新庄町
埋立面積 9万7,499㎡(マツダスタジアム約10個分)
埋立容量 112万6,000立方メートル(2~10t車両30台/日程度・160立方メートル/日)
国道2号から搬入
廃水計画 雨水・浸透水は調整池を経由後、自然流下で椋原川と日名内川に排水する
主な産廃排出場所 県内5割、県外5割(岡山、島根、大阪、京都、岐阜、愛知、静岡)

三原市でも竹原市でも住民が猛烈な反対運動を起こし、三原市議会では2019年10月、竹原市議会でも2020年の2月に反対の請願が全会一致で可決されました。

しかし、広島県の湯崎英彦知事は2020年、産廃処分場を許可してしまいました。住民側は、許可が下りるとほぼ直ちに広島地裁に産廃処分場許可取り消しを県に求める住民訴訟、また業者を相手取って産廃処分場の稼働を差し止める仮処分申請を行いました。2021年に住民側による稼働差止の仮処分申請が通ったものの、業者JAB協同組合が異議申し立て。紆余曲折を経て2022年6月までに広島地裁が認めてしまいました。2022年秋から産廃の持ち込み・投棄が始まりました。

2023年6月。三原本郷産廃処分場から異臭を伴った汚染水が流出していることが発覚しました。これを受けて県もようやく重い腰を上げ、産廃処分場内の井戸でBODが基準値を超過していたとして7月に警告を業者に行いました。しかし、井戸水の数値が元に戻ったとして、すぐに解除してしまいました。業者は、再検査時には井戸を真水で洗浄していたそうです。

仮に洗浄して薄まった水を検査しているのであれば、有害物の実態を把握するすべもありません。その後も、住民側の目視や簡易検査でも汚染水は明らかに出ているにもかかわらず、県も市も動かず、いわば「放置プレイ」が続いていました。県は調査も住民救済もしようとしなかったのです。

そのため、米作りをあきらめる農家も出てきました。他方で、広島地裁は2023年7月4日、広島県知事の許可の判断過程に看過しがたい過誤があったとして、産廃処分場許可を取り消すよう知事に命じる判決を下しました。しかし、湯崎英彦知事は判決を控訴しました。広島高裁における控訴審では、湯崎知事は、産廃業者JAB協同組合を被告側で補助参加させています。湯崎英彦知事は業者と一体となって県民に敵対しています。

こうした中で、住民の要求を受けて三原市当局は重い腰を上げて水源の保護に関する条例を制定しました。ただし、内容的にはパブコメでも寄せられた住民の意見が十分には反映されないものでした。市民の頑張りで委員会では市民側の修正案が可決されましたが、本会議では当局案が可決されてしまいました。

県が放置プレイを続ける中で、2024年夏、さらなる汚染水が発覚。筆者がうかがった7月21日には硫黄臭が漂い、妙なしょっぱい味がする水が流れていました。さすがに、これと前後して広島県警も動き、県も業者に対して指導を行いました。その理由は鉛の濃度が上回ったから、というものです。しかし、県の発表する文書では硫黄臭がするなどの状況は無視されています。現在の本郷処分場の汚染状況については、「廃掃法で規定されている場内の観測井戸のみ検査を行う」として、調整池や場外に排水されている汚水や河川の異常な泡や臭気、濁りについては検査や処置がなされない状況にあります。

なお、9月4日には、県は指導を解除し、処分場の操業を認めてしまいました。全くやる気なしと言うことです。こうした状況に現地の住民は8月末、国=環境省にも直訴をしています。環境省の職員も「広島県はこれでいいといっているのか?!」と驚いておられたようです。

さらに、産廃処分場下流の水田について、農協が玄米中の重金属検査を実施することを決定しました。

米が汚染されている可能性があるという異常事態です。それにもかかわらず、県は産廃処分場の操業を認めてしまっています。救われないのは農家です。


◎[参考動画]お米が植えられぬ三原本郷産廃、周辺のコメ重金属検査(広島瀬戸内新聞ニュース)

◆福島原発事故による放射性廃棄物流入の疑い

また、福島原発事故による放射性廃棄物が流入している疑いもあります。湯崎英彦知事は3.11当初の2012年、国よりも放射性物質の厳しい基準を打ち出していました。しかし、それを担保する厳しい検査などはなかった。そして、2013年11月に再選された後、基準を緩めてしまった。

広島県は産廃行政の運用は緩く、他都道府県では常識の抜き打ち検査などもされていません。こうした中で、産廃が流入し放題になっている恐れがあります。

◆上安産廃処分場 ── 不適切盛り土発覚、グローバル企業が買収

上安産廃処分場(https://equisenv.co.jp/facility/)は、上記JAB協同組合が1990年代末に設置したものです。その後、外資系グローバル企業エクイスが買収し、大幅拡張して現在に至っています。埋立容量2,146,901立方メートル 埋立面積114,601㎡

同社は福島県飯館村と上記広島市安佐南区上安に巨大な産廃処分場を所有。540億円もの投資を行っています。この上安産廃処分場は実は、地番を変えるなどのセコイ手法で保安林を勝手に伐採した上に、不適切な盛り土を行った上にできています。この上安産廃処分場については、前出の三原本郷産廃処分場問題が持ち上がった際、JAB協同組合について調べるために三原市民が独自に調査に行きました。その際に、汚染水が流出していることが発覚。広島市などに報告した経緯があります。

それまでは、広島市の行政はこの上安処分場について放置プレイだったのです。排水については一応是正の対応は取られたことになってはいます。しかし、不適切な盛り土の上である以上、いつ大雨災害で熱海のようなことになるかわからない状況です。なお、産廃処分場の設置許可は広島市内については政令市たる市当局が担当しています。一方、盛り土の規制は県が担当していたため、連携が取れていなかったという問題も指摘されています。

◆人口流出3年連続ワーストワンに追い打ち

広島県は2021年から3年連続で人口流出(転出超過)ワーストワンです。元々、広島県民は、18歳や22歳で大学進学や就職のために東京などへ行く傾向は強くあります。若い時は東京の有名大学や有名企業を目指す。ただ、30代、40代、50代で、「ゆったり子育てをしたい」とか「農業をしながらITや工芸などの自営業をしたい」などの思いで戻って来られる方も多くおられます。そのバランスで、コロナ禍前まではそこまでの人口流出にはなっていませんでした。しかし、いまや、10代20代だけではなく、男性の50代や70代以上を除くほぼすべての年齢階層、性別で転出超過になっています。

もちろん、広島県の産業構造として、特に若い女性に人気のIT関連の産業が弱いなどの問題はあります。しかし、Uターン組の不安要素にこの産廃問題がなっていることも無視はできないのではないでしょうか? 表立って口には出さなくとも、産廃が流入し放題の故郷に誰が帰りたいでしょうか? そんな故郷なら、「少々しんどくても東京でいいや」と思う人も多いのではないでしょうか?

実際に、三原本郷産廃処分場近くでも、Uターンをあきらめた人が出ているということです。三原本郷産廃処分場は氷山の一角です。筆者も、妻の親の実家がある地域で農業でもやろうかな、と考えたことがあります。しかし、「あそこは産廃処分場があるから農業を始めるのは止めた方がいいよ」と親族から止められました。

◆ゴミは流入、ヒトは流出から卒業を!

歴史的な経緯から、大昔から広島の産廃行政は緩いことで有名でした。昔はそれで済んだのかもしれません。しかし、いまは、他の都道府県が産廃処分場の設置について独自の条例などで規制をする。廃掃法の運用についても抜き打ち検査など厳しくするなどしています。広島県だけが、その中で取り残されていれば、広島に産廃が流入するのは当然です。

広島県は「広島料理や食材のPR」を2024年度の県政の大きな柱としています。それは結構なことですが、足元の水を悪質な産廃から守れないのに、食材のPRだけしてどうするのか? 問われます。

三原本郷産廃処分場については、
・県は汚染水の実態を調査し、被害を救済する。
・県は控訴を取り下げ、産廃処分場の設置許可を取り消す
・県が処分場の土地を買い取り、原状回復する。とともに、再発を防止するため、
・他都道府県に倣った水源保護条例を制定する。といった対応が今後必要です。

他県の方からは、
「なぜ、平和都市広島がこんなことになっているのか?!」
「なぜ、広島がこんな形で外資に狙われているのか?」
などとご質問をいただきました。  

筆者は、
「端的に言って県も市も、広島の政治が腐りきっているからです」
「国政の与党はもちろん、野党でも与党以上に知事や市長とずぶずぶのところがある始末だ」
「湯崎英彦知事も軸足は日本人と言うよりはほとんど米国人で外資ズブズブの方。素晴らしいのは平和宣言だけ」
「県民もカープやサンフレに夢中なのはいいけど、投票率が全国でも40位台と低いのはいかがなものか?」
とお答えするしかありませんでした。それ以上でもそれ以下でもないからです。
 
前日には平岡敬・元広島市長が「広島が広島でなくなっている」と市政の腐敗について糾弾されました。
 
わたしは「いかに、広島が腐っているか、よーく皆さんお分かりになったと思います。わたしはカープが好きだし、広島は心から愛していますが、政治が腐りきっているという意味では、広島を心から憎んでいます」とお話しをしました。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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基礎経済科学研究所・2024年度秋季研究大会が9月7日から8日、広島弁護士会館で開催されました。

7日、トップバッターとして元広島市長の平岡敬(たかし)さん(任1991-1999)に特別メッセージとしてご講演をいただきました。

 

平岡敬元広島市長(9月7日広島弁護士会館にて)

平岡さんは大阪市生まれで広島育ち。原爆投下時はソウルにおられました。中国新聞の記者から中国放送社長を務め、1991年の市長選挙では経済界や連合広島などに推されて、当時の広島市医師会長らを破って保守分裂の選挙を制し、初当選されました。

在任中は、広島アジア大会が開催され、そうした中で平和首都を目指すと宣言。米国での原爆展開催などに尽力されました。また1991年の平和宣言では、はじめて第二次世界大戦における日本の加害責任にも言及されました。

他方で、経済政策の面では、まさに平成不況の中で財政難にもがいた8年間でもありました。広島広域公園運動場に屋根をつけなかったためにワールドカップ2002の会場から漏れてしまったことは批判にさらされました。ただ、旧市民球場が老朽化して建て替えが必死だった中で、仕方がない面もありました。2期8年で勇退されたあとは、平和運動にまい進されています。今年97歳になられる現在もご活躍されています。

筆者は平岡さんの著書『希望のヒロシマ 市長は訴える』(岩波新書1996年)を大学時代に拝読し、感動。広島で政治家になる、最終的には広島市長か県知事か広島県選出の参院議員か、をめざすと決心した覚えがあります。

以下は平岡さんのお話しの概要です。

※               ※               ※

「広島が広島でなくなるのではないか?」という危機感を覚える。

先日、広島で開催された映画「オッペンハイマー」の試写会を見に行った。

元広島市長ということで、米国を含む海外メディアの取材を受けた。取材を受けた感想として、「まだ米国の人たちは後ろめたい思いがあったのではないか?」と思った。

一方で、米国政府は未だに原爆を正当化している。戦争を早く終わらせ、米軍兵士の命を救ったと今でも言っている。しかし、一方で後ろめたいのだ。

1945年、日本が敗戦すると、米軍は呉のイギリス軍とオーストラリア軍に広島市の占領も任せた。後ろめたかったのではないか? 米軍は表にでてこなかったのだ。

戦後、ずっと米国にとり広島は喉に刺さったトゲだったのだろう。そこで、なんとかヒロシマを封殺したいという米国政府の思いがあるのだ。広島の反核を封じ込めようという思いが顕著になったのだ。

2016年に当時のオバマ米国大統領が来広したあたりが、それが加速するきっかけになったのではないか?」米国内では、オバマが謝罪するのではないかと心配する声があった。そうした米国内の心配を打ち消すため日本政府はもちろん、松井一實広島市長も謝罪を求めなかった。

これは間違いだった。

生きている人がそんな事を言って良いのか。死者に対して傲慢ではないのか。

そして、広島で「死が空から降ってきた」とオバマが言ったときびっくりした。

自分は腹が立ったが多くの市民は黙って聞いていた。被爆者とオバマは抱き合った。世界は米国と広島は和解したと思ったのだ。

しかし、和解には色々条件がある。謝罪、補償、再発防止だ。(オバマ来広には)そのすべてがない。

その後も、日本政府は米国従属を強めた。特に党内基盤が弱い岸田総理はなりふり構わなかった。

安保三文書で日本の防衛政策は専守防衛から敵基地攻撃に変質した。

そして、米国は2027年にいわゆる台湾有事が起きる、と繰り返し煽っている。
戦争は突然起きるのではない、国家が起こすのだ。

広島市民は危機感が薄いと思う。危機感が薄くなる転機は2023年のG7広島サミットだ。

G7広島サミットでは、核抑止力肯定の広島ビジョンが出された。核の有用性を認めたサミットのビジョンに対して広島市民あまり怒らなかった。

日本政府や米国政府は広島市に圧力をかけていた。その結果、はだしのゲンや第五福竜丸が平和教育の教材から削除されてしまった。

また松井市長は米国が持ちかけてきた平和公園とパールハーバーとの姉妹協定を結んでしまった。

NHK朝ドラ「虎に翼」で取り上げられた原爆裁判では国際法違反判決が東京地裁で出た。いまの核兵器禁止条約のバックになっている。しかし、日本政府はその核兵器禁止条約に背を向けている。

いま、広島は(米国政府により)土俵際に追い込まれている。

やはり米国に謝罪させるのが核廃絶の一歩ではないか?

このままでは広島は寄り切られてしまう。広島に声援を!

※               ※               ※

筆者としては平岡さんのお話は我が意を得たようなものです。ここ数年の広島の行政・政治の米国への忖度はあまりにも酷すぎます。それも、国政の与野党問わず。

「これでいいのか?! 広島の政治・広島の平和行政」

そう叫びたい。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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立憲民主党代表選挙が9月23日、実施されます。

はっきり申し上げます。筆者は立憲民主党を全く好きになれません。とくに立憲民主党広島県連については、特に広島市政・県政においては新自由主義の湯崎英彦知事、媚米主義の松井一實市長に自民党の一部議員以上にすり寄っていることもあり、自民党より酷い面があると認識しています。

筆者は、
〈1〉立憲民主党が現在でも、旧民主党政権の反省をきちんとせず、無自覚に新自由主義的であること。
〈2〉立憲民主党のスターリン主義的体質
が立憲民主党代表選挙の争点としてきちんと議論されなければ、同党の未来は暗いし、政権交代も難しいと考えています。

◆公務員叩きに庶民増税 与党時代の「新自由主義」の総括は何処へ?

〈1〉の新自由主義体質については、「公約破り」の消費税増税とともに、2011年に発生した東日本大震災の復興財源を増税と公務員給料カットに求めてしまったのが決定的な誤りであると考えています。

復興は設備投資に近いものであり、税ではなく、それこそ事実上お金を刷って賄ってもよかったのです。

当時は「復興需要でドルを売って円に買うのでは?」という憶測から円高が進んでいたのです。もし、お金を刷るとすれば、アベノミクス期よりも、民主党政権後期のあのタイミングでした。

お金を刷ることと財政出動を併用し、過剰な円高を押さえれば、連合組合員たる輸出系大手企業労働者の離反もストップできたのではないでしょう。

また、公務員の皆さんも多くが自治労などの連合の組合員でした。大震災の復旧復興でてんてこ舞いなのに、給料をカットされたわけです。民主党や後継政党の立憲への不信感はかなりあるのではないか? このあたりも、実は、立憲が自民党に小選挙区において僅差で競り負けたり、都知事選挙でも、公務労働者が石丸伸二さんに流れたりする要因になったのではないでしょうか?

2012年当時はたしかに公務員叩きの維新(橋下徹さん)がウケていました。しかし、維新に行くような票を民主党が狙いに行っても維新とかち合うだけでした。

また、復興を名目に、さらなる介護労働者の処遇改善も見送られ、失望を招いたのも事実です。旧来の支持者=連合組合員たる大手企業正社員、公務員=を失った上に、新しい支持者=介護労働者などケア労働者=にも失望されたら勝てる選挙も勝てないのは当然です。

◆人を使い捨てにする立憲幹部独裁「スターリン主義」

 

8月31日に筆者の支持者らの前で講演される楾大樹先生

〈2〉については、あまりにもスターリン主義的な立憲幹部の態度が目に余ります。広島県内においては、筆者も立候補した参院選広島再選挙2021で以下のような問題点を感じています。

2020年段階で、権限のある旧立憲幹部が「檻の中のライオン」で有名な弁護士の楾大樹(はんどう・たいき)先生の著書をろくに読まないで公認候補者に内定していました。

2021年になると、合併後の立憲広島は、県内ではほぼ誰も知らない宮口治子さんを担ぎ出した。宮口さんは実は、立憲広島の事実上の最高権力者の森本しんじ参院議員の秘書の妻でした。そして、楾大樹先生のはしごを外した。

他方で、2021年1月末段階で推薦願を同党に打診していた筆者に対して、当時の立憲広島の幹事長(西区選出の県議)は「さとうしゅういち? メッセージもらっているけど無視しているから大丈夫だよ」と楾大樹先生を安心させる発言もしていたそうです。これらの経過については楾先生の『茶番選挙 仁義なき候補者選考』(あけび書房)に詳述されています。

 

楾大樹著『茶番選挙 仁義なき候補者選考』(あけび書房)

また、筆者は実はこの広島再選挙2021の告示直前に、「伊方原発廃止を含む原発ゼロを呑むなら降りていい」と宮口候補側に伝えました。しかし、電話をいただいた陣営の立憲県議から「宮口さんは具体的な政策が分かる人ではないから」というお言葉をいただいただけです。宮口さんが具体的な政策が分かっていないかどうかは本当のところはわかりません。しかし、立憲広島というのは政策がわからないと認識している人を担ぐということ。人を馬鹿にするというか、これこそ女性差別じゃないかと突っ込みたくなります。

また、ある立憲民主党員は「お前が立候補するなら縁を切る。俺の地域に二度と出入りするな」と脅しの電話を筆者に下さいました。その方の地域が選挙後ほどなくして大洪水に見舞われました。筆者は、その方の地域にボランティアに伺いましたがバツの悪そうな顔をされていました。こういう、自分たち以外を見下すスターリン主義は止められた方がいい。立憲幹部もきちんとそういう部分は党員を指導していくべきです。人間、いつお世話になるかわからないのだから。あまり下品なことはしないことです。

また、2021衆院選後、立憲広島は一回敗けただけの候補者、具体的には2区、3区、5区の候補者を各区の総支部長から事実上クビにしてしまいました。特に2区、3区の候補者は「市民連合」が一生懸命に応援したにも関わらず、です。

参院選広島再選挙2021でのあまりにも不透明な候補者選考過程。そして、衆院選後の候補者のあまりにも安易すぎる使い捨て。森本しんじ参院議員ら「エライ人」中心のいわば「スターリン主義」的な体質を改めないとアンチがどんどん増えるだけではないでしょうか?

具体的には、公開討論会や予備選挙を経た候補者選考の導入などです。よりオープンに。そして、納得感のある候補者選考。そして人を大事にする体質の構築が重要です。

◆ネオリベ知事・媚米市長に自民党以上にすり寄り

また、立憲民主党広島は、広島県政、市政での対応が酷すぎます。県政では維新も真っ青な米国民主党的新自由主義者の湯崎英彦知事を自民以上に持ち上げています。広島市政でも原爆を落としたことへの反省も謝罪もない米国政府のエマニュエル駐日大使にぺこぺこし、パールハーバーとの姉妹協定まで結んでしまった媚米主義の松井一實市長を自民党の一部議員以上に持ち上げています。正直、「自民党より、立憲がより少なく悪い」とも言えない状況が特に広島ではあります。もちろん、政党間の競争により、緊張感を持たせないと自民党もどんどん悪くなっていくのは事実です。だがいかんせん、立憲広島があまりも良くないのです。

こういうところを是正するためにはどうすればいいか。そういう議論をする代表選挙にしなければ、立憲民主党による政権交代は難しいでしょう。政権交代へ向けてどこと組むか、などという議論以前に、立憲民主党の体質そのものが問われるのです。

◆金権腐敗・自民 VS 権威主義・立憲という不毛な構図脱却を

筆者がこういうことを申し上げると、「自民党の方が酷いのだから自民党を批判しろ」と言われる方も立憲民主党のみならず、立憲民主党と共闘する日本共産党の支持者からも出てきます。だが「自民党の方が酷いのだから」といっても、立憲民主党が現状の新自由主義的・スターリン主義的権威主義的体質を引きずっていていいことにはなりません。このままだと

金権主義の自民 vs スターリン主義・権威主義・立憲
という不毛な選択を有権者が迫られるだけです。

また、広島県政・市政レベルだと立憲が自民以上に県民・市民に害悪な存在になっています。

日本共産党の皆様にも申し上げたい。立憲民主党が押し付けてきた候補者をほいほいと推薦し、同党を甘やかしてきた結果がいまではないのか?ということです。

日本共産党は日本共産党で、スターリン主義的な体質があり、志位和夫さん、田村智子さんらの気に入らない者はすぐに除名、除籍になる。そんな党だからこそ、強引に、立憲のいい加減な候補を推しても党内的にはまかり通ってしまったのでしょう。しかし、もう限界です。このままだと、空中分解もあり得るでしょう。

市民連合も市民連合です。今後は、立憲民主党への苦言をきちんとしていくべきだ。2021衆院選で政権を取れなかった以上、当然です。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。

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8月中旬、米国のエマニュエル駐日大使が今秋の大統領選挙後、離任することが明らかになりました。ハリス候補が大統領選挙で当選した場合は、政権の要職に加わる見通しとのことです。

◆「どぶ板」で日本人の心をつかんできたエマニュエル氏

エマニュエル駐日大使は、2022年3月、岸田総理の招きで広島を訪問し、原爆慰霊碑に献花をしました。

そのことから、広島でもエマニュエル氏に好感を持っている人も少なくありませんでした。また、現在も日本各地を自転車旅行されるなど「どぶ板」で日本人の心をつかんでいる感はあります。

しかし、筆者に言わせれば、エマニュエル駐日大使ほど酷い駐日大使は日本を見下す方はいなかったと思います。そして、国際平和文化都市広島を米国忖度都市「HIROSHIMA」に変えようとしたのはこの男である。そのように断定せざるを得ません。

◆一線超えたエマニュエル氏のLGBT推進デモ参加

エマニュエル駐日大使は、東京・渋谷で行われたLGBT法案を推進するデモにも参加されました。外国政府の代表(天皇の接受を受ける)がこうした行動をとるのはいかがなものか?米軍による諸犯罪を糾弾する左翼の皆様からも、このことに対する懸念や批判は寡聞にして存じません。筆者ももちろん、米軍による諸犯罪は糾弾してきましたし、日米地位協定の改定も進めるべきだと思います。

しかし、そうであるならば、エマニュエル駐日大使の上記行動も批判しなければダブルスタンダードではないでしょうか? そうした左派のダブスタもエマニュエル氏をつけあがらせ、後述する広島や長崎への高圧的態度へ、と暴走させた原因になっているのではないか? 悔やまれます。日本国内のLGBTに関する施策についてはあくまで、日本に住む市民とその代表者たる国会や地方議会で決めるべきです。

同大使のデモへの参加は一線を越えたと言わざるを得ない。こういうことで米国政府の力を借りてしまった左翼の皆様にも猛省を促したい。

◆広島にパールハーバーと平和記念公園の協定締結「強要」

そして、LGBT法案成立で「調子ぶっこいた」のか、エマニュエル駐日大使は、2023年5月のG7サミット中に、広島市の松井一實市長に対して、パールハーバーと平和記念公園の姉妹協定を結ぶよう打診して来たそうです。さすがに、松井市長もすぐに締結することは避けましたが、議会や市民にある時期までこのことを隠したまま、突然、6月末に協定を締結すると発表。東京にいたエマニュエル氏に「謁見」し、協定を締結してしまいました。報道によれば、協定の案文等も広島市の主体性はまったくなく、松井市長は米国側に丸投げしたそうです。

そもそも、パールハーバーは現時点でも軍事施設です。核兵器を含む攻撃拠点です。今も昔も太平洋のど真ん中のこの場所の戦略的重要性は変わりません。

もちろん、大日本帝国海軍が宣戦布告の前にパールハーバーを攻撃してしまったのは国際法違反と責められても仕方がない。しかし、もう日本が降伏寸前の状況で、多数の民間人を虐殺した米国による原爆投下と「おあいこ」になる性質のものではないでしょう。

また、大日本帝国が広島や呉を出撃基地として中華民国を侵略したり、米国との戦闘中に東南アジアで現地の方の命を奪ったりしたのも事実であり、国際法違反です。しかしながら、米国にあれこれ言われる筋合いのものではありません。日本政府は、1995年のいわゆる村山談話で一定の総括はしています。広島市は1991年の平和宣言で当時の平岡敬市長が日本の加害責任にも言及しています。

米国は、現在もヒロシマ・ナガサキへの原爆投下について謝罪もしていませんし、反省もしていません。

その状態で、姉妹協定を、というのは、一体何様のつもりか? それを議会にも諮らずに受けてしまう松井市長も松井市長です。

◆日本政府よりも米国忖度? 平和記念式典における松井市長の姿勢

その広島市の松井市長は2022年以降の平和記念式典ではロシアとベラルーシを招待しませんでした。式典の円滑な実施のためと言うのが理由ですが、それを言い出したら米国だってイラクやシリア、アフガンなど中東諸国を空爆しまくりで相当イスラム過激派の方々には恨みを買っています。米国標的のテロなどいくらでも起きています。ロシアを招待することが米国以上のリスクになるとも思えません。やはり、明らかに米国への忖度が働いた、と言わざるを得ない。

そして、2024年の平和記念式典では、パレスチナ国は招待しないのにイスラエルは招待を続けていました。ロシアも確かに核威嚇はしていますがイスラエルだって閣僚がガザへの核使用を示唆しています。ロシアを呼ばないならイスラエルも呼ばない。それかどちらも呼ぶか。さもなければ筋が通りません。

一方で、長崎市の鈴木市長は、ロシアとともにイスラエルも招待しませんでした。その結果、エマニュエル駐日大使が音頭を取って、日本以外のG7諸国の大使が欠席をしたのです。

少なくとも、この間の松井市長の行動は明らかに何かに忖度している。その忖度の対象は岸田総理なのかな?と思っていたのですが、どうも、そうではなさそうだ。言うほど地元広島で岸田さんは人気がないからです。また、日本政府自体、パレスチナ国の国連加盟に賛成するなど、G7諸国では突出してパレスチナに配慮しています。となると、松井市長のこの2年間の行動は日本政府への忖度ではない。やはり、エマニュエル駐日大使に忖度、というのが正しいのではないか。

以下のエマニュエル駐日大使のSNSにある写真が全てを物語っているのではないか?

原爆を落とされた方が、落とした方に頭を下げる。普通は逆ではないでしょうか?

◆これ以上の米国忖度は国際情勢の危機加速に

そもそも、これ以上、米国による原爆投下を広島が米国政府による反省も謝罪もなく許した、と思われることは他の核保有国との関係でも好ましくありません。「実際に使った米国が許されるなら、威嚇くらいいいじゃないか?」。そのように中露英仏印パ朝、そしてイスラエルが言いだしたらどうするのか?大変なことになりかねない。

そして、パレスチナへのイスラエルによる侵略を是認すると思われるスタンスを広島が取ればどうなるでしょうか?ますます、「お墨付きを得た」とばかりにイスラエルは図に乗ります。

そういう状況では、例えば、ロシアによるウクライナ侵攻への批判はますます難しくなるでしょう。

中華人民共和国による領空侵犯はもちろん非難されるべきです。しかしながら、例えばいわゆる台湾有事についてはどうか?

「他人の土地を侵略しているイスラエルはどうなのか?イスラエルが無罪放免なら、台湾はあくまで国内問題だからお宅らには関係ない」

と中華人民共和国により反論されたらどうするのか?

イスラエルによるパレスチナ侵略・虐殺及び米国によるイスラエル甘やかしを放置しておけば、中国、ロシアに対しても非難がしにくくなることは間違いありません。

◆エマニュエル駐日大使離任機に米国忖度から脱却を!

いくら、エマニュエル駐日大使に頭を下げても米国は核実験を強行しています。そして、たかがイスラエルを呼ばなかったくらいで長崎の式典をG7総団結で集団欠席したエマニュエル駐日大使。明らかに日本をというより、日本人を下に見ています。そもそも、エマニュエル氏はシカゴ市長時代に黒人少年射殺事件で映像を隠したことで批判されています。

筆者はトランプ氏ら共和党が良いとは言いません。しかし、米国民主党も人権、民主主義、ジェンダー平等などご高説を垂れる割には、結局のところ、昔の白人帝国主義から本質は変わっていないのです。黒人虐殺の情報を隠すのも、原爆投下を謝罪・反省しないのも彼らの中では「善」なのです。ある意味ではトランプ以上にたちがわるいかもしれないのです。もちろん、筆者も米国から見れば外国人です。米国大統領選挙は見守るしかない。しかし、どちらが当選しようが、広島がやるべきことは決まっています。過剰な米国忖度から卒業することです。

筆者は、具体的に行動を呼びかけています。

ひとつは、引き続き、パレスチナ虐殺をやめるよう呼びかけ続けること。

ひとつは、平和記念式典の原理原則を立て直すこと。「パレスチナ国代表を招待してください」という請願は紹介議員を確保し、9月議会で審議していただく予定です。

そして、パレスチナ問題について勉強のため、ダニー・ネフセタイさん講演会を広島で開催します。

◆元・イスラエル軍兵士が語る「平和」 
 イスラエルの歴史と今・そして日本~ダニー・ネフセタイさん講演会IN広島

もうすぐ、イスラエル軍によるパレスチナ・ガザ地区への侵攻・虐殺が激化してから1年になろうとしています。ガザ地区では連日のように多くの命が奪われる状況に終わりは見えず、中東全体にも戦火が広がろうとしています。そもそも、なぜ、こんなことになってしまったのか?

 そして平和をつくるために、日本・広島に住むわたしたちはどうすればいいのか?

イスラエル軍の元兵士で現在は日本で木製家具職人の傍ら日本全国を「非戦・平和」等をテーマに講演されているダニー・ネフセタイさんにお聞きします。

日時 2024年9月18日(水) 18時開場 18時半スタート
場所 広島市東区民文化センター工作実習室 
(〒732-0055 広島市東区東蟹屋町10-31 広島駅から徒歩約10分) 
資料代 1000円
主催 広島瀬戸内新聞 
連絡先 佐藤 090-3171-4437 hiroseto2004@yahoo.co.jp

◎ダニー・ネフセタイさん プロフィール
1957年、イスラエル生まれ
1975年 高校卒業後、徴兵制によるイスラエル軍入隊。空軍にて3年間兵役を務める。
1979年 退役後、アジアの旅に出る。日本各地をヒッチハイクなどで旅をし、交流を深める。日本語学校にて更に深く言葉を勉強しその後神奈川の家具会社に勤める。
1988年 東京より埼玉県皆野町金沢へ引っ越す。木工房ナガリ家を開設。
1999年 皆野町金沢・出牛に自宅のログハウスを夫婦で自力建設。

現在は、夫婦で注文家具、遊具、木工小物、社会性オブジェの創作活動。ギャラリー にて個展、グループ展など多数開催。「世の中を良くすることも物づくりをする人間の指名である」という信条を持ち戦乱の絶えない祖国イスラエルを批判、「3.11」後の日本で脱原発の道を進むことを願い、活動をつづけている。
WEBサイト https://nagariya.handcrafted.jp/ 

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。

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日本共産党さんが 就職氷河期世代の星とも言えたまんが評論家の紙屋高雪さんこと神谷貴行さん(福岡県委員会所属)を8月6日付けで除籍しました。

私・神谷貴行は、2024年8月6日付で日本共産党から除籍されました。
また、本日(2024年8月16日)付で日本共産党福岡県委員会から解雇されました。
これらについてはいずれも到底承服できないものです。
詳しくはまた別の機会に書きたいと思います。

紙屋さんは、流行語大賞にもなった「ごはん論法」の考案者の一人としてもよく知られています。また、福岡市長選挙2018では、人気の高い現職の高島市長を相手に10万票近く、25%近い得票率で大健闘しました。

その紙屋さんに対して日本共産党は、日本共産党内でも、それなりに慎重な手続きが必要な「除名」(松竹伸幸さんが受け、現在裁判所で是非を巡り係争中)ではなく「除籍」といういわば「手抜き」の手法を取りました。

しかも広島原爆の日の8月6日に除籍です。「何をやっとるんじゃ!?」と憤りを禁じえません。それとともに、「やっぱり」という感想もあります。日本共産党のあまりに独善的な体質が、むしろ最近ひどくなっているように思えるからです。

例えば、党外の筆者に対しても、日本共産党の方は、以下のような事件を起こしています。2023年2月、原爆ドーム前での集会の際に、日本共産党員の方が筆者を取り囲んで、筆者が立候補する選挙区の変更を迫るという事件を迫ってきました。

結局、自分の言うことを聞かない人間には強圧的。これが日本共産党の体質なのです。これを改めないと、労働問題などでせっかく良いことをおっしゃっていても、ドン引きされてしまうのではないでしょうか?

◆日本共産党への疑問〈1〉他の既成政党と変わらぬ湯崎知事に対する腰砕け

筆者は最近、共産党さんについての疑問があります。そのひとつは、いつのまにか、湯崎英彦・広島県知事が広島駅北口に建設を予定している巨大病院構想への批判、それに伴って南区宇品にある県病院を潰すことへの批判をやめていることです。

筆者は、今年度になって、日本共産党の広島市議にこのことについて、ばったりお会いしたときにうかがったところ、「新巨大病院が上手くいかないのはわかっている。ただ、うちとしては県病院の跡地利用をどうするか?という話にシフトしている」と気まずそう(半ば逃げ出すような姿勢)で目を逸らしながらおっしゃいました。

そして、安佐南区内の有権者の方によると、『共産党は知事と裏で手を組んで系列の医療・福祉系法人が県病院の跡地に食い込めるように画策しているらしい。』というわけです。ある区内の医師は湯崎英彦・広島県知事を毎回推薦する自民党支持の方ですが、その方でも、「あの巨大病院構想はおかしい。そして知事と組もうとする共産党もおかしい」と憤っておられます。

選挙の時は、共産党さんはいかにも知事の姿勢に反対のようなことを言って、筆者の古くからの支持者の方の中でも共産党さんに流れた人がかなりおられました。しかし、選挙が終わればこの有様です。これこそ「政治屋」と言わずして何というのでしょうか?

◆日本共産党への疑問〈2〉平和記念式典2022でのロシア排除を批判せず

今年、広島平和記念式典ではロシア・ベラルーシは引き続き排除にもかかわらず、イスラエルは招待、パレスチナは招待せず、と言う状況でした。この状況に大きな批判が起きましたが、そもそも、日本共産党さんも、2022年の最初のロシア・ベラルーシ排除の時点では、何も文句を松井市長に対して言っておられません。保守系の平岡敬・元市長の方がこの現市長の姿勢を批判していたくらいです。もちろん、筆者も「すべての国と地域を呼ぶべき」との原理原則を当時から明らかにしています。

◆自民・維新自滅も、立共もスターリン主義で伸び悩み石丸バカ受け

岸田総理が8月14日、退陣を表明しました。「裏金で引責」と総理はおっしゃいますが、新自由主義を脱却すると言いながら、いつのまにか「貯蓄から投資へ」誘導し、保守層も含む皆様に株価暴落で損をさせたことで行き詰まったとみるべきでしょう。そんな岸田さんでも維新系の兵庫県・斎藤元彦知事よりは、『より少なく悪い』かもしれません。実際に、秘書給与詐欺で捜査されている広瀬めぐみ参院議員も『観念』したか、議員辞職しました。

維新系の斎藤元彦知事にいたっては、真面目な職員が二人も亡くならなければならない状況を造り、小橋理事や井ノ本総務部長ら側近を切り捨ててまでいつまでも居座る構えです(8月17日現在)。そして、斎藤元彦知事を維新の兵庫県議やネット上の大阪維新支持者が必死で庇い続けています。

だが、立憲・共産の野党もいわゆるスターリン主義的な体質で伸び悩んでいます。立憲民主党さんは楾大樹先生著「茶番選挙 仁義なき候補者選考」に見られるように、候補者=人を大事にしません。そして日本共産党は就職氷河期世代の星でもあった紙屋高雪さんを排除するなど人を大事にしない。確かに、これでは、あの石丸伸二さんがバカ受けしてしまうのもやむを得ないのでしょう。

◆日本共産党との違いをさらにご説明せざるを得ない

正直に申し上げます。筆者も最近は、地域の皆様に対して、

「わたしは、志位和夫さん、田村智子さんに逆らっただけで除名・除籍するような日本共産党の幹部のみなさんとは違います。わたしは自民党議員の方も含めて個々人の人権を尊重する真の人権派です。」

「例えば、河井事件で起訴された自民党議員についても『疑わしきは被告人の利益』に、と言うスタンスです。日本共産党のみなさんのように、何でもかんでも有罪にしろといわんばかりのスタンスではありません。倫理と有罪・無罪は別問題だ。わたしはそういう意味では人権派・庶民派の保守だ。」
と申し上げています。

これは、新自由主義で暴走を続ける湯崎英彦・広島県知事や松井一實・広島市長、特に前者に待ったをかける政治家・活動家が日本共産党と、一部の保守、そして筆者くらいしか存在しない広島の事情もあります。そのせいで、日本共産党と同じとみなされてしまうと筆者としても全く困るからです。筆者は何でもかんでも排除、の日本共産党とはむしろ180度違う。

ただ、岸田さんのような「貴族保守」でもなく、湯崎英彦・広島県知事のようなネオリベでも、松井一實市長のような媚米でもない。個人の人権と庶民の暮らしを重視する保守。そのためには、現知事らを庶民が打倒する平和的な「革命」も必要だ。これは、スターリンや毛沢東が独裁する「共産主義革命」とは違う。これが筆者のスタンスです。

例えば、湯崎英彦広島県知事から広島の政治をあなたの手に取り戻し、#広島の水と食べ物 #広島の教育 #広島の医療 を取り戻し、#広島とあなたを守る #ヒロシマ庶民革命 に日本共産党員・支持者の方「も」個人としてご参加いただくのは大歓迎です。これは、#政党支持なしの方「も」、#自民党支持の方「も」、#維新支持の方「も」大歓迎なのと同様です。

また、所属する労働組合においては、組合の上司の多くは日本共産党員や支持者の方です。筆者も、数少ない「庶民派保守系の組合幹部」として介護・保育などケア労働者や、これまで制度の谷間におかれてきた非正規公務員労働者の抜本的な待遇改善を軸に取り組んでいくことには変わりはありません。

しかし、今回の紙屋高雪さん除名に見られるいわゆる「スターリン主義」的な体質の延長線上に、筆者らに共産党さんにばかり都合の良い行動を強要してくるのはご免こうむります。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。

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〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

◎『季節』創刊10周年特別企画『脱(反)原発のための季節セレクション』(仮)
出版のためのクラウドファンディングご支援のお願い

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◆「懸念」と言えば聞こえはいいが、事実上の「脅し」だった

8月9日の長崎平和祈念式典。長崎市の鈴木史朗市長は「平穏かつ、厳粛な雰囲気のもとで円滑に式典ができるように」することを理由に、イスラエルを招待しませんでした。一方で、パレスチナ国代表は招待しています。

広島市がイスラエルを招待する一方で、パレスチナを招待しなかったのとは対照的です。

こうした中で、7月の段階で既に、エマニュエル駐日米国大使が音頭を取って、米独英仏伊加の日本以外のG7やEUが長崎市に対して、イスラエルを招待しないことへの懸念を表明していました。懸念と言えば聞こえはいいですが、「イスラエルを招待しないと、俺たちは大使級の出席は見合わせるぞ」という事実上の脅しでした。

そして、8月9日、米独仏伊加やEUの大使級の姿は長崎平和公園にはありませんでした。それでも、過去最多の国が長崎平和祈念式典に参加されたそうです。改めて、鈴木史朗・長崎市長の毅然たる対応を支持したい。

もちろん、そもそも、ロシア・ベラルーシもイスラエルも両方招待するのが平和行政の原理原則であると筆者は考えます。しかしながら、ロシア・ベラルーシを円滑に運営するためと言う理由とは言え、すでに招待しない決断をしている以上、イスラエルを招待しないというのは筋が通っています。

そして、今回のG7―日本の対応は、まさに自称先進国の高慢さを世界にあぶりだしたと言えます。

◆「イスラエル万歳」姿勢を天下にさらした米独英仏伊加欧 

米独英仏伊加は、イスラエルを招待しないことを、ロシア・ベラルーシとイスラエルを同列に見なすことになる、としていました。だが、2023年10月7日以前のイスラエルはパレスチナ人の土地を奪い続けていました。今ほどではないですが空爆も続けていました。これを侵略者と言わずしてどういうのでしょうか? もちろん、ハマスによる10月7日の攻撃は、国際人権法違反です。これはこれでICCにより関係者に逮捕状が請求されています。侵略に対する防衛側であっても国際人権法を守らなければいけないのです。

他方で、当然、イスラエル首相のネタニヤフ被疑者と国防相のガラント被疑者にも逮捕状は請求されています。プーチン大統領が逮捕状を出されているロシアとイスラエルを同列にみなされて何が悪いのか? 米独英仏伊加のこんな「イスラエル万歳」姿勢がネタニヤフ被疑者をさらにつけあがらせ、犠牲者を増やしているのではないでしょうか?

◆変わらぬ「日本人は欧米先進国を忖度してくれるだろう」という思い上がり

そして、今回、エマニュエル駐日大使らから感じたのは、「日本人は、我々欧米先進国を忖度してくれるもの」という思い上がりです。実際に、残念ながら、広島市長は、脅される前から、イスラエルは招待し、パレスチナは招待しないという選択を取ってしまいました。しかし、長崎市長は違いました。そこで、「この野郎」とでも逆上したのでしょう、エマニュエル駐日大使は、欧州諸国にも呼びかけ、長崎平和祈念式典をボイコットしたのです。

◆原爆の日=祝賀会=セレブレーション 米報道官失言

さて、今回の件について記者会見した米国政府のミラー報道官は「原爆の日」のことを「セレブレーション=祝賀会」と言ってしまいました。これは、結局、原爆は戦争を終わらせたのだからめでたい、という米国のエライ人たちの本音を暴露しただけではないでしょうか?結局、「変わっちゃいない」です。

◆「反省無き」米国に忖度し舐められる広島

さて、広島は2023年、G7広島サミットを開催しました。そして、その後、広島市の松井市長は軍事基地であるパールハーバーと平和記念公園の姉妹協定を結んでしまいました。筆者は「米国政府は原爆の謝罪も反省もしていないのに随分おめでたいなあ」とあきれ果てていました。案の定、G7広島サミットから1周年の5月19日、米国が核実験をしたことが発覚しています。広島は完全に米国・バイデン大統領に舐められています。

米国の国会議員が「ガザをヒロシマ・ナガサキのようにすべきだ」などと暴言を吐いた時も松井市長は抗議もしませんでした。筆者が広島市長なら「こちらが低姿勢に出ればつけあがりやがって」とキレそうですが、この松井市長は違うようです。そして、今なお、舐められていることへの怒りも感じられません。

◆ダブスタの米英仏独伊に忖度無用!

結局、日本人の命もパレスチナ人の命も米英独仏伊加にとっては軽いものということが今回あぶりだされました。いくら、米英独仏伊加が民主主義だの人権だの「ご高説」を垂れていてもそういうことなのです。広島の平和行政もこれを参考に今後の在り方を考えるべきです。アジア大会1994を広島は開催しています。そのアジア大会にはパレスチナは来てくれました。核兵器禁止条約にもパレスチナは参加してくれています。

核兵器禁止条約を推進する平和首長会議と横の連携を引き続き重視すべきです。その上で、広島・長崎に核兵器禁止条約の締約国会議を招致したらどうでしょうか。その上で、核保有国=米英仏ロ中印パ朝イに迫っていくべきです。ヒロシマもナガサキも、米英仏独伊などの政府に対して礼儀は尽くすにしても、忖度はする必要はないでしょう。

◆ガザでのジェノサイド終結へ粛々と行動!

ともかく、筆者と広島瀬戸内新聞では、ガザにおけるジェノサイド終結、中東和平へ向け、粛々と行動していきます。

9月18日には、元イスラエル軍兵士・ダニー・ネフセタイさんをお呼びしての講演会を開催します。また議会への請願を通じて、広島市にも粘り強く米国忖度の路線からの軌道修正を働きかけていきます。

◆元・イスラエル軍兵士が語る「平和」 
 イスラエルの歴史と今・そして日本~ダニー・ネフセタイさん講演会IN広島

もうすぐ、イスラエル軍によるパレスチナ・ガザ地区への侵攻・虐殺が激化してから1年になろうとしています。ガザ地区では連日のように多くの命が奪われる状況に終わりは見えず、中東全体にも戦火が広がろうとしています。そもそも、なぜ、こんなことになってしまったのか?

 そして平和をつくるために、日本・広島に住むわたしたちはどうすればいいのか?

イスラエル軍の元兵士で現在は日本で木製家具職人の傍ら日本全国を「非戦・平和」等をテーマに講演されているダニー・ネフセタイさんにお聞きします。

日時 2024年9月18日(水) 18時開場 18時半スタート
場所 広島市東区民文化センター工作実習室 
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◎ダニー・ネフセタイさん プロフィール
1957年、イスラエル生まれ
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1979年 退役後、アジアの旅に出る。日本各地をヒッチハイクなどで旅をし、交流を深める。日本語学校にて更に深く言葉を勉強しその後神奈川の家具会社に勤める。
1988年 東京より埼玉県皆野町金沢へ引っ越す。木工房ナガリ家を開設。
1999年 皆野町金沢・出牛に自宅のログハウスを夫婦で自力建設。

現在は、夫婦で注文家具、遊具、木工小物、社会性オブジェの創作活動。ギャラリー にて個展、グループ展など多数開催。「世の中を良くすることも物づくりをする人間の指名である」という信条を持ち戦乱の絶えない祖国イスラエルを批判、「3.11」後の日本で脱原発の道を進むことを願い、活動をつづけている。
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『広島の追憶 原爆投下後、子どもたちのそれからの物語』【著者略歴】梓 加依(あずさ・かえ)。児童文学・子どもの生活文化研究家。1944年長崎生まれ、小学校から高校まで広島市内に在住。公共図書館司書、大学非常勤講師、家庭裁判所調停委員などの仕事を経て、現在は物語を書く会「梓の木の会」主宰。

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