トップ団体へ挑戦が続く全日本キックボクシング協会、日本からアジアへの基礎固めへ!

堀田春樹

瀬川琉は前回に続いて韓国戦士を迎え撃ち、インパクト残す判定勝利。
広翔は前回の判定負けを払拭。韓国戦士に圧倒の展開で判定勝利。
勇生欠場で、弟・野竹生太郎が存在感見せたTKO圧倒勝利。

◎SAMURAI WARRIORS 挑戦3rd / 10月5日(日)後楽園ホール17:30~21:32
主催:全日本キックボクシング協会 /

前日計量は4日(土)稲城ジムにて14時より行われ、一人を除いて一回でパス。その一人も30分後に難なくパス。
戦績はプログラムを参照し、この日の結果を加えています。

◆第13試合 60.0kg契約3回戦 

全日本スーパーフェザー級チャンピオン.瀬川琉(稲城/ 59.5kg)23戦16勝(4KO)6敗1分
      VS
鄭相鉉(=チョン・サンヒョン정상현/韓国プロムエタイ55㎏級Champ/ 59.5kg)
16戦13勝3敗
勝者:瀬川琉 / 判定3-0
主審:少白竜
副審:竜矢30-29. 勝本30-28. 和田30-28

初回早々から瀬川琉がサウスポーからのローとミドルキックで早くもリズム掴んだ流れ。左ミドルキックは腕の上からでも強くヒットさせたが、鄭相鉉の打たれ強さと頑張りもあって仕留めるには至らなかったが、テクニックで優って判定ながら完勝の内容。

瀬川琉の左ミドルキック、初回から主導権を奪っていった
腕の上からでも折らんばかりに強く蹴って出た瀬川琉

試合後のリング上では、「ちょっとデカいこと言いたかったんですけど、12月28日にもう一回いい試合して、自分の言いたいこと、しっかりアピールしていきたいと思います。」とKO出来なかったことへの反省と、「今27歳ですけど、23歳で格闘技で飯食えなかったら辞めようというつもりでいました。だけど今の勤める会社の社長に拾って貰ったからこそチャンピオンベルト巻けて格闘技が出来ていると思います。練習も仕事も続けられる環境で、格闘技をバックアップして応援して頂いています。」と観戦している社長さんを紹介。

控室に帰ってからは、「相手は蹴り終わりを狙っていたので、そこを警戒し過ぎてたかなと感じます。今迄の中では一番見えていたんですけど、ちょっとまた練習の半分も出せていない感じですね。来年に向けて一試合一試合、自分の中では合格点出して他団体なり、トップどころと戦いたいなという目標はありますね。」と以前も他団体やトップ選手の存在を意識した発言があったが、来年へ向けて更に力強く抱負を語った。

瀬川琉が勤務するエコプロコート株式会社は、住宅関連各種コーティング施工関連の業務の模様。保護犬格闘家として、ファイトマネーを保護団体に寄付する活動をしている瀬川琉は犬や猫が安全に快適に過ごせるように床材を保護する施工の仕事のようである。

◆第12試合 スーパーライト級3回戦

ジョカミ・ナカジマ(ドミニカ/中島道場/ 63.45kg)1戦1敗
VS
アイドゥル(=金炳秀キム・ビョンス김병수/韓国/ 63.25kg)14戦7勝7敗
勝者:アイドゥル / 判定0-3
主審:椎名利一
副審:竜矢25-30. 勝本24-29. 少白竜25-30

勇生(=野竹勇生)欠場で代打出場のジョカミ・ナカジマはドミニカでの全国大会優勝の実績ある選手。アイドゥル(=金炳秀)は6月20日に瀬川琉に判定負け。

ジョカミ・ナカジマはテコンドー技で変則的にアイドゥルを手古摺らせたが、最初の1分半程まで。動きが読めて来たアイドゥルはパンチや組んでのヒザ蹴りで圧力掛けていった。ジョカミは鼻血を流し、圧されながらも屈しない攻防を続けた。

後ろ蹴りなどテコンドーで鍛えた技を変則的に使ったジョカミ・ナカジマ

第2ラウンドにアイドゥルの組み付いてのヒザ蹴り連打でスタンディングダウンを取られたジョカミ。第3ラウンドもアイドゥルのヒザ蹴り連打でスタンディングダウンを取られるも大きなダメージは受けていない様子で後ろ蹴りも見せるも逆転は成らず。アイドゥルが大差判定勝利した。

ジョカミの動きを読んだアイドゥルは多彩に攻め優っていった

◆第11試合 スーパーバンタム級3回戦

広翔(稲城/ 55.1kg) 6戦4勝(1KO)2敗
VS
申大容(=シン・デヨン신대용/韓国/ 54.95kg)2戦2敗
勝者:広翔 / 判定3-0
主審:和田良覚
副審:竜矢30-28. 椎名30-28. 少白竜30-28

広翔の鋭いミドルキックやローキックが申大容の前進を阻む。申大容もアグレッシブに攻めるが、広翔がパンチから蹴りのコンビネーションブローが申大容の前進を許さぬプレッシャーを与えた。なかなか鋭く落ち着いて迎え撃つ広翔。テクニックで圧倒した広翔が失点なく判定ながら完勝した。

広翔の蹴りが鋭く申大容を圧倒した。今後はKOが重要となる

広翔は試合後の帰り際、「前回(3月)の試合で負けたので、プレッシャーがあった感じで、蹴りで倒しに行きたかったですけど、行くところとで行けなかったので、次はもっとメンタルを強化してしっかり攻めて行きます。野竹兄弟に負けないようにKO目指します。今日は野竹生太郎がKO勝利で先を行かれたので、ここからもっと練習して打倒野竹兄弟で上を目指します。」と全日本キックボクシング協会のエース格争いにも階級超えたライバル意識が感じられた。

広翔も腕の上からでも強く蹴り込んだ。連続でしつこく蹴りたかった

◆第10試合 63.0kg契約3回戦

野竹生太郎(ウルブズスクワッド/ 62.85kg)4戦4勝(1KO)
        VS
キム・ハヌル김하늘(漢字表記不明/韓国/ 61.75kg)4戦2勝2敗
勝者:野竹生太郎 / TKO 1ラウンド 2分0秒
主審:勝本剛司

兄・勇生の分までインパクトあるTKO圧倒勝利を残した野竹生太郎。開始早々から両者アグレッシブに攻めるが、野竹生太郎が的確なヒットのローキックで優った。蹴って出たキム・ハヌルにヒザ蹴りで迎え撃つと、ボディーへまともに貰ったキム・ハヌルはノックダウン。

立ち上がるもパンチで反撃するキム・ハヌルに生太郎は迎え撃ち、更にヒザ蹴りボディーヒットでキム・ハヌルは苦しそうに蹲り、ノーカウントのレフェリーストップとなった。

野竹生太郎のヒザ蹴りを受けたキム・ハヌルは堪らず蹲った

◆第9試合 スーパーウェルター級3回戦

義斗(FPLUS TEAM QUEST/ 68.05kg)5戦3勝(2KO)2敗
        VS
康示勲(=カン・シフン강시훈/韓国/ 68.6kg)4戦3勝1敗
勝者:康示勲 / 判定0-2
主審:竜矢
副審:和田29-29. 椎名28-29. 勝本29-30

康示勲のアグレッシブな蹴りとパンチの圧力が義斗を圧していく。やや調子付かせてしまったか。大差は付かないが、我武者羅に出る康示勲に義斗は距離感掴めず、僅差判定で康示勲が勝利した。

康示勲の我武者羅に打って来るタイミングが掴めない義斗は攻め倦む

◆第8試合 ライト級3回戦

山田旬(アウルスポーツ/ 61.2kg)5戦4勝1分
        VS
清宮拓(GODSIDE/ 61.05kg)10戦2勝(1KO)7敗1分
勝者:山田旬 / 判定3-0
主審:少白竜
副審:和田29-28. 椎名29-28. 竜矢30-28

大きな差は無いが、パンチと蹴りの攻防が続き、第3ラウンドには山田旬が圧力掛けて蹴りのインパクトを残し僅差ながら判定勝利。

ラストラウンドで攻勢掛けた山田旬。蹴りでインパクトを残した

◆第7試合 スーパーフライ級3回戦

HIROKI(AKIRA~budo school~/ 51.8kg)8戦4勝(1KO)4敗
      VS
鬼久保海斗流(健成會/ 51.7kg)2戦2敗
勝者:HIROKI / 判定2-0
主審:勝本剛司
副審:少白竜30-29. 椎名29-28. 竜矢30-30

初回は蹴りから組み合う展開が増えた。偶然のバッティングで鬼久保海斗流が痛そうに蹲ること2度。更に股間ローブローもあって鬼久保は苦しい展開。ジャッジ三者が揃うラウンドは無かったが、僅かながら攻勢に立ったHIROKIが判定勝利。

◆第6試合 ライトヘビー級3回戦

星のケースケ(百足道場/ 78.1kg)2戦2勝
      VS
菊池圭治(GODSIDE/ 78.65kg)13戦9勝(4KO)3敗1分
勝者:星のケースケ / 判定3-0
主審:和田良覚
副審:少白竜30-28. 椎名29-28. 勝本29-28

菊池圭治は変則的にフェイント掛けながら蹴りやパンチを当てるが、第3ラウンドに星のケースケが菊池をロープに詰めてパンチ連打。最終ラウンドを制した星のケースケが際どくも勝利した。

◆第5試合 66.0kg契約3回戦

Katsuya Norasing Family(Norasing Family/ 64.9kg)5戦3勝(2KO)2敗
        VS
NAOKI(ウィラサクレック/ 65.65kg)4戦1勝3敗
勝者:Katsuya Norasing Family / 判定2-0
主審:竜矢
副審:少白竜30-28. 和田29-29. 勝本30-29

◆第4試合 59.0kg契約3回戦

KAI×A.K.G(A-BLAZE×KICK/ 58.85kg)3戦3勝(1KO)
        VS
杉浦昂志(キックスターズジャパン/ 58.9kg)5戦2勝2敗1分
勝者:KAI×A.K.G / 判定3-0
主審:椎名利一    
副審:少白竜30-29. 竜矢30-28. 勝本30-28

◆第3試合 67.0kg契約3回戦

滝口遥輝(中島道場/ 65.5kg)4戦3敗1分
      VS
成瀬晴規(無所属/ 67.1→67.0kg)6戦3勝2敗1分
勝者:成瀬晴規 / 判定0-2
主審:和田良覚
副審:少白竜29-30. 竜矢29-30. 椎名29-29

手数少ない両者にレフェリーがアグレッシブに攻めるようにイエローカードが示された。攻め難さがあったか、第3ラウンドにやや攻勢掛けた成瀬晴規が僅差で勝利。

◆第2試合 68.0kg契約3回戦

石塚健太(武士魂2代目闘心塾/ 66.5kg)2戦2敗
        VS
小玉倭夢(Norasing Family/ 67.9kg)3戦2勝(1KO)1敗
勝者:小玉倭夢 / TKO 3ラウンド 1分42秒 /
主審:勝本剛司

蹴りパンチの攻防は徐々に小玉倭夢が攻勢強め、第3ラウンドにはコーナーに詰めパンチ連打。2度のスタンディングダウンとなってレフェリーストップ。

◆第1試合 スーパーバンタム級3回戦

渡邊獅生(JTクラブ/ 55.2kg)2戦1勝1敗
      VS
梅原竜雅(龍成會/ 55.3kg)2戦1勝(1KO)1敗
勝者:梅原竜雅 / KO 1ラウンド 2分40秒 /
主審:竜矢

蹴りから首相撲とパンチと蹴りの攻防。組んで崩す梅原竜雅に圧される渡邊獅生。ロープ際でパンチで攻める梅原はヒジ打ちも放ったか、渡邉の額から鮮血が流れ、崩されて倒されると脳震盪のダメージもあったのか、ノックダウンとなって立ち上がるも足下ふら付いてテンカウントが数えられた。

《取材戦記》

韓国戦士を迎え撃った瀬川琉、ジョカミ・ナカジマ、広翔、野竹生太郎は場内盛り上がるアグレッシブな展開が見られたが、第3試合から第9試合は主導権支配の難しい僅差の判定が続いた。皆全力で戦っているが、感動のノックアウトはなかなか難しいものである。

全日本キックボクシング協会・栗芝貴代表が設立当初から目指すもの。

前回6月20日興行が終った後、全日本キックボクシング協会は中国の団体との交流へ臨みました。栗芝貴代表は8月2日、 海南省三亜市に訪れ、中国と日本のキックボクシングの交流と発展を促進するための会議が開催されました。中国の選手も全日本キックボクシング協会へ参加したいという話が進んだ模様です。

今回の興行の後、栗芝代表は香港に向かい、昭和の時代に試合をした際に交流あった香港ムエタイ協会との交渉も進め、来年を足掛かりにアジアトーナメントへプランを進める方向である。

栗芝代表は前日計量にて全出場選手に対し、「来年から本格的にアジアトーナメントに向けて準備していかねばならない。アジアトーナメントには強い日本人が必要なんですね。プロとして世界の強豪選手と戦える選手を作っていかねばならない。それで会場に来たお客さんに感動や勇気を与えられるような試合でなければならない。何を目指してやるのか。僕たちは日本や世界でトップに立てる選手になろう。腹を括って出て来る人を待っているんです。その為に私も目一杯やっています。」と語り、またメディアとの対話では、「まだウチの協会はテレビに載せられる人材が少な過ぎる」という。

その昭和時代のような地上波テレビ放映に向けては、「まだウチは設立以来7回目の興行です。来年は4回の興行、全て後楽園ホールで日曜日も取れました(土曜1回、日曜3回)。僕らは後楽園ホールでしかやりません。なぜか。スターを作りたい。輝く舞台を用意したい。その一心です。トップに行くこと。これが目標なんです。これからも世界に向けて準備をどんどん進めています。今から60年前に日本でキックボクシングがバーンと注目された時、毎週テレビ放送したんですね。ここもう一度、僕、絶対掴みます。なので明日の試合、スターになってください。全力で戦ってください。是非盛り上げて頑張ってください。宜しくお願いします。」と叱咤激励して締め括った。

他団体にも期待の新星と言える選手は多く居るが、全員が勝ち上がれる訳ではない、トップに立つスターはごくわずかとなる勝負の厳しさが有ります。全日本キックボクシング協会にも野竹勇生・正太郎兄弟や広翔が注目度高い選手で来年に期待が掛かっています。団体内ではなく、日本のトップ、更に世界最高峰に立てるか。

近年、地上波放送というのは難しい話だが、今月はキックボクシングの新イベントがテレビ東京で地上波放送という発表もされています。キックボクシングを知らない人の目に触れる機会が大きいのが地上波放送の力。ボクシングで例えれば、井上尚弥の名前は知っていても、中谷潤人の名前を知らない一般の人が多いのは、過去に地上波での世界戦が多かった方が知名度高いということでしょう。キックボクシング各団体がいろいろなイベント試みる中、設立3年目、初陣興行から7回目の全日本キックボクシング協会がどこまで躍進するか。栗芝貴代表の手腕に期待が掛かります。

次回の全日本キックボクシング協会SAMURAI WARRIORS 挑戦4thは12月28日(日)に後楽園ホールで開催されます。期待される出場選手は瀬川琉、広翔、野竹兄弟でしょう。

後半戦セレモニーで対峙した日韓各選手達

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

NJKF今回のメインイベンターは匡志YAMATO、感動のラストファイトで締め括る!

堀田春樹

ドラマを作った匡志YAMATO、敗れるも完全燃焼のラストファイトを飾った。
大田拓真はムエタイテクニシャンを倒し切れずも危なげない圧勝。
HIRO YAMATOは勝次にスピードで優る若さの勝利。勝次も見せ場を作る。
亜維二が豪快TKOで皆から認められる本物チャンピオンへ存在感見せた。
西田光汰がテクニックで明夢に大差判定勝利で借り返す初防衛。

◎NJKF CHALLENGER.10(2025.4th) / 9月28日(日)後楽園ホール17:15~22:12
主催:オフィス超合金 / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟、WBCムエタイ

戦績はプログラムを参照し、この日の結果を加えています(正式からややズレもあるかもしれません)。

◆第10試合 第7代WBCムエタイ日本スーパーウェルター級王座決定戦 5回戦

4位.匡志YAMATO(=福田匡志/大和/32歳/ 69.75kg) 31戦17勝(9KO)12敗2分
VS
5位.津崎善郎(LAILAPS東京北星/40歳/ 69.7kg)35戦19勝(6KO)14敗2分
勝者:津崎善郎 / 判定1-2
主審:スイット・サエリム・ランボー
副審:多賀谷47-48. 宮沢47-48. 中山48-47

王座決定戦ながら匡志はラストファイトに、かつて熱戦を繰り広げた好敵手、津崎善郎を選んだ。

激しい打ち合いにはならなかったが初回、蹴りから繋ぐパンチの交錯は勝負を一瞬で終わらせるスリリングな展開となった。

一発のヒットで勝負が決まるスリリングな交錯が続いた匡志と津崎善郎

第4ラウンドには津崎善郎のヒジ打ちで匡志の左目尻辺りをカット。最終ラウンドには匡志のヒジ打ちで津崎の鼻をカット。血みどろの好ファイトは僅差で津崎が制した。

新チャンピオンとなった津崎善郎、WBCの新調されたベルトが光る

試合後は新チャンピオン、津崎善郎も加わって匡志YAMATOの引退セレモニーが行われた。大勢の支援者がリングに上がり、賑やかな引退セレモニーとなった。ダメージが重かった場合、引退セレモニーは行なわない可能性があったが、無事に執り行われた模様。

匡志は試合後、「出だしはちょっと悪かったのと、後半は良かったんですけど、けど結構減量が響いたのかなという動きでした。そこも込みの勝負なので結果に文句は無いです。大和ジム会長として4年目で、若い子達が育って来て、これから指導者として、この子達を育てていくのを天秤に掛けた時に、自分は現役を退いて、これから未来ある後輩達に僕の培ってきたものを注いで想いを託そうと決心したので今回引退をしようと決めました。」と語り、応援して頂いた皆さんに対しては、「ここまで匡志YAMATOを応援して支えてくれた皆さん、有難うございました。皆さんの御陰で32戦、ここまで戦って来れたと思います。一人だったらこんなに続けて来れませんでした。これからは皆さんに恩返ししていけるような人生を歩んで行きたいと思うので、これからも匡志YAMATOじゃなくて福田匡志への応援宜しくお願いします。」と動画インタビューと被るところあるかもしれないが、丁寧に語ってくれました。

2021年7月のWBCムエタイ日本スーパーウェルター級王座決定戦で、津崎善郎にTKO勝利して獲得した王座はWBCムエタイ側の意向で返上した形だったという。その経緯で今回も王座決定戦という形で津崎善郎と再戦となった模様。

支援者に囲まれた賑やかな引退セレモニーとなった感無量の匡志YAMATO

◆第9試合 58.0kg契約 5回戦

WBCムエタイ世界フェザー級チャンピオン.大田拓真(新興ムエタイ/1999.6.21神奈川県出身/ 58.0kg)43戦33勝(11KO)8敗2分
VS
ルークニミット・シンクロンシー(元・S-1・Sフェザー級、ライト級覇者/タイ・ロッブリー拳出身38歳/ 57.85kg)
勝者:大田拓真 / 判定3-0
主審:多賀谷敏朗
副審:児島30-27. 宮沢30-27. 中山29-28

大田拓真は今年6月8日にWBCムエタイ世界フェザー級王座挑戦し、チャンピオンだったアントニオ・オルデン(スペイン)に3ラウンドにノックアウト勝利で王座獲得してからの初戦となった。

ONEなど強豪揃う世界で競う上位のステップに行く為にも、今回の興行ではセミファイナルとなった立場としてもインパクトあるノックアウト勝利を収めたい大田拓真にとっては悔しい展開となった。

ルークニミットは大田に優るスピードは無くても、ベテランムエタイボクサーのしぶとさは発揮された。大田拓真はローキックやボディーブローでノックアウトを繋げそうな圧倒するテクニックを見せながらも倒し切れずに終わった。大田拓真には本来の5回戦で戦わせたい試合だった。

大田拓真のボディーブロー、一発で倒せる可能性もあったが、ルークニミットはしぶとかった

◆第8試合 WBCムエタイ日本ライト級タイトルマッチ 5回戦

第7代選手権者初防衛戦.HIRO YAMATO(大和/2000.6.25愛知県出身/ 60.95kg)
36戦20勝(7KO)13敗3分
VS
挑戦者同級8位.勝次(=高橋勝治/ TEAM TEPPEN/WKBA世界SL級覇者/1987.3.1兵庫県出身/ 61.15kg)82戦48勝(20KO)24敗10分
勝者:HIRO YAMATO / 判定2-0
主審:宮沢誠
副審:多賀谷48-47. ランボー47-47. 中山49-46

負けが込んでもチャレンジ出来るリング。連敗中の勝次は再浮上を狙いたいが、若いHIRO YAMATOが立ち塞がった。勝次にも勝機は充分にあった。ベテランの戦略は侮れない。その動きは初回早々に起こった。開始後距離を詰めた両者。勝次が右ストレートで軽いヒットだったがノックダウンを奪った。

このポイントを守り切れば勝利は有り得る話だが、ラウンドマストシステムで行なわれているこの日のWBCムエタイでは、ノックアウトか終始圧倒しなければ逃げ切りは難しい。

やはりHIROのパワー、スピードは徐々に優り、首相撲に持ち込んでのヒザ蹴りは勝次にとって反撃もままならず、不利な体勢の時間は勿体無かった。勝次のパンチも攻勢を維持出来ればいいが、HIROの圧力に圧されていった。判定は僅差の2-0でHIROが初防衛に成功した。

HIRO YAMATOのローキック、スピード手数でHIROがかつての名チャンピオン勝次を抑えた
藤原敏男氏と並ぶHIRO YAMATO、歳の差52歳。偉大さで追い付けるか

◆第7試合 スーパーライト級3回戦

NJKFスーパーライト級チャンピオン.吉田凜汰朗(VERTEX/2000.1.31茨城県出身/63.25kg) 30戦14勝(3KO)10敗6分
VS
TENKAICHIスーパーライト級チャンピオン.剣夜(SHINE沖縄/沖縄県出身36歳/ 63.1kg)
23戦9勝(5KO)13敗1分
勝者:吉田凜汰朗 / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:多賀谷30-26. ランボー30-26. 中山30-26

初回、吉田凛汰朗が剣夜の右ミドルキックに合わせて右ストレートでノックダウンを奪うが軽いヒットで、その後も先手打つ吉田のパンチと蹴りは剣夜を圧倒。諦めない剣夜もミドルキックで攻めるが、第3ラウンドには吉田のヒジ打ちで剣夜の左瞼辺りがカット。終了間際には吉田の怒涛のラッシュも耐える流血の剣夜だった。

吉田凛汰朗の攻めの上手さが発揮、剣夜は忍耐の勝負となった

◆第6試合 スーパーライト級3回戦

JKイノベーション・スーパーライト級チャンピオン.切詰大貴(武勇会/高知県出身26歳/ 63.4kg)9戦8勝(2KO)1敗
       VS
SB日本ライト級2位.基山幹太(BELLWOOD FIGHT TEAM/ 2001.12.24兵庫県出身/ 63.4kg) 25戦15勝(2KO)9敗1分
勝者:切詰大貴 / 判定2-1
主審:スイット・サエリム・ランボー
副審:多賀谷27-30. 宮沢29-28. 児島29-28

ポッシブルKが欠場で基山幹太出場。
両者アグレッシブにパンチと蹴りの攻防が続く。打ち合いはスリリングながら強烈なヒットは無く、差が出難い互角の展開の中、極端な2-1判定で切詰大貴が勝利となった。

◆第5試合 NJKFウェルター級タイトルマッチ 5回戦

認定王者.亜維二(=小林亜維二/新興ムエタイ/2006.神奈川県出身/ 66.95→66.8→66.78→66.68kg)13戦10勝(6KO)2敗1分
VS
挑戦者同級1位.宗方888(KING/ 66.4kg)14戦5勝(3KO)7敗2分
勝者:亜維二 / TKO 1ラウンド 1分37秒
主審:中山宏美

計量で躓いた亜維二。調整に狂いが出たか、減量がキツくなったか。しかし試合までにはしっかりリカバリー出来、開始早々にローキック牽制、宗方も蹴り返すとそこへ亜維二が左フックヒット、グラつく宗方。打ち合いに出た宗方に亜維二も迎え撃ち、左フックヒット。亜維二はノックダウン取ったと思ったか、後ろを向いてしまうが、更に蹴りからパンチ連打し、右ストレートでノックダウンを奪う。

亜維二が圧倒した強打の連続、大舞台への一歩となったか。宗方は為す術が無かった

立ち上がった宗方にヒザ蹴りからミドルキックでロープ際に追い込み、右ストレートから連打で倒したところでレフェリーストップ。テクニカルノックアウト勝利に繋げた。ノックダウンを奪った際、ニュートラルコーナーに行かず、ロープに上って応援団側にアピールするなどは冷静さが欠けるところは気を付けなければならないだろう。

亜維二は昨年6月に王座挑戦試合がチャンピオンの青木洋輔の欠場で、認定チャンピオンと成った。この在り方は任意団体都合で起こり得るもの。亜維二はタイトルマッチで勝たなければ真のチャンピオンとは言えない立場は理解しており、怒涛のTKO勝利で「これで皆、チャンピオンとして認めてくれたかな!」と安堵した様子。

“正規”ではあったが“認定”止まりから豪快TKOで皆が認めるチャンピオンへ成長した亜維二

◆第4試合 NJKFフライ級タイトルマッチ 5回戦

第14代選手権者初防衛戦.西田光汰(西田/2001.2.13愛知県出身/ 50.8kg)
14戦9勝(1KO)4敗1分
VS
挑戦者同級2位.明夢(新興ムエタイ/ 50.65kg)15戦5勝(1KO)7敗3分
勝者:西田光汰 / 判定3-0
主審:児島真人
副審:多賀谷49-46. 宮沢49-46. 中山50-47

6月8日予定だった初防衛戦は永井雷智欠場により、明夢とノンタイトル戦へ変更となった西田光汰は僅差判定負けだった。今回も挑戦者1位.永井雷智欠場で挑戦者は明夢となった。

今回は西田光汰が主導権を握った展開。西田のローキック、ボディーブローなど攻め優り、組み合っての圧力がインパクトを与えた。最終ラウンドは明夢も捨て身の前進。巻き返しには至らぬも、せめぎ合って終了。西田光汰が大差判定勝利し前回敗戦の借りを返した。

主導権支配した西田光汰がローキックで攻める、明夢に快勝。今後もライバル関係となるか

◆第3試合 55.0kg契約3回戦

HIROYUKI(=茂木宏幸/元・日本フライ級・バンタム級選手権者/RIKIX/1995.10.2神奈川県出身/ 54.95kg)
62戦42勝(22KO)16敗4分
VS
後藤和範(REALMuayThaiFitness/静岡県出身39歳/ 54.85kg)43戦14勝(4KO)28敗1分
勝者:HIROYUKI / KO 1ラウンド 2分0秒
主審:多賀谷敏朗

圧倒の展開を見せたHIROYUKI。蹴って来る後藤和範の動きが読めたか、左フックからローキック、右ストレートでノックダウン奪い、更に打ち合いの距離に誘い込み、立て続けの3ノックダウンで圧倒のノックアウト勝利となった。7月13日にジャパンキックボクシング協会興行でも初回ノックアウト勝利しており、円熟期を迎えたHIROYUKIの存在感が目立った。

◆第2試合 スーパーフェザー級3回戦

NJKFスーパーフェザー級6位.匠(KING/東京都出身23歳/ 58.65kg)
12戦8勝(2KO)3敗1分
VS
NJKFスーパーフェザー級7位.細川裕人(VALLELY/北海道出身23歳/ 58.95→58.9kg)
10戦6勝(1KO)3敗1分
勝者:細川裕人 / TKO 2ラウンド 2分26秒
主審:宮沢誠

◆第1試合 フライ級3回戦

植田琥斗(E.S.G/埼玉県出身18歳/ 50.15kg)4戦1勝3敗
VS
竹田奏音(TAKEDA/埼玉県出身16歳/ 50.0kg)1戦1勝(1KO)
勝者:竹田奏音 / KO 2ラウンド 1分25秒

《取材戦記》

存在感あったのは吉田凛汰朗のテクニックで剣夜を圧倒した勝利。豪快に倒して勝った亜維二。勝次をテクニックで優ったHIRO YAMATO。チャンピオンとしてこの地位を譲らない強さ、風格が身に付いた印象だった。来年はメインイベンターとしての登場も有り得るだろう。

武田幸三氏の総評は「ラストの試合はドラマではあったですね。興行的にはいろんな課題も有りつつ、でも人間のドラマをしっかり表現出来て、“THE NJKF”という形を見せました。そろそろ自力が付いて来たので、来年はもっと大きいこと、もうちょっと大きな会場で開催をチャレンジ出来ればと思っています、今回9割ぐらいのチケット売れたんですけど、まだ満員じゃないし、まだまだ皆の力の結集が必要なのかなと、皆の経験値でチャレンジしたいです。」と語り更に、「大田拓真はエースとして最後は倒したかっただろうし、今回はWBCタイトルが主役だったからメインを譲り、そこで大田くんの意地の反応観たかったですね。WBCムエタイはまた大きな発表もしていきます。」と語った。

興行終了後には武田幸三氏のTAKEDAジムの子供たちが後楽園ホールのゴミ集めなど掃除をして帰るという作業をしていた様子。皆が積極的に率先して掃除していた。これはこの子達が、将来に渡って会場を汚さない思想が定着していくだろうと思えました。大人になってからでは身に付き難い道徳心でしょう。

今回はいずれの試合も引分けが無くて良かった。WBCムエタイ戦はラウンドマストシステムで、他の試合によってはややこしい裁定があるのですが、文面が長くなるので今回は割愛します。いずれNJKFルールについては触れたいと思います。

NJKF CHALLENGER 11は11月30日(日)に後楽園ホールで開催予定です。今年の集大成としてメインイベンター争いも楽しみなところです。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

政斗がラストファイトで盛り上げたKICK Insist24

堀田春樹

昨年の王座奪取も豪快だった政斗が激しい攻防を制して初防衛も引退へ。

◎KICK Insist.24 / 9月15日(月・祝)新宿フェース(開場17:00 / 開始17:30)
主催:(株)VICTORY SPIRITS、ビクトリージム
認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)

第8試合  ジャパンキック協会ウェルター級タイトルマッチ 5回戦
チャンピオン初防衛戦.政斗(=黒澤政斗/治政館/1992.7.17東京都出身/ 66.6kg)
35戦19勝(5KO)13敗3分
       VS
挑戦者同級2位.細見直生(KICK BOX/ 66.55kg)5戦4勝(1KO)1敗
勝者:政斗 / 判定3-0
主審:椎名利一
副審:勝本48-46. 西村48-46. 中山48-45

初回、様子見から先手を打つ細見直生の右ストレートで政斗がマットに手を付いた。すぐに立ち上がったところへ細見が攻め込もうとしたが、すでにノックダウン扱いで、レフェリーが割って入った。政斗にダメージは無さそうで、政斗は組んでのヒザ蹴り加えた落ち着いた試合運びに移っていった。

政斗のミドルキックに顔を歪める細見直生

第2ラウンド以降も激しさ増していく蹴りとパンチの攻防の中、政斗の首相撲からのヒザ蹴りとヒジ打ちも加わりしつこく攻め込んでいく。細見直生も手数で劣らず攻め込むが、政斗の圧力に打つ手が無くなっていく。両者のパンチとヒジ打ちの激しい攻防は顔面が斬れる流血に移っていく中、。焦る細見は必死の形相に変わっていった。

政斗も流血から底力を見せた
気合いを入れた両者、政斗と細見直生の必死の打ち合い

最終ラウンドまで政斗の主導権支配は変わらず、初回のノックダウン以後は全て奪った政斗が判定勝利で初防衛に成功した。

勝利者インタビューに応える政斗が引退宣言で、「辞めるの~?」とは細田リングアナ

リング上、細田昌志リングアナウンサーのインタビューが始まり、初回にノックダウン奪われ、劣勢のスタートとなったことについては、
「ちょっと泥臭い試合になったんですけど、絶対やり返すと最後まで諦めないで頑張って立ち続けて勝てました。」

第3ラウンド以降、ミドルキックが当たり始め、ペースを取り戻したことについては、
「ミドルは練習どおりの技が使えて嬉しかったです。やっとペースが自分の方に流れて来たので、維持すれば勝てると思ったので頑張りました。」

細見直生選手の印象については、
「やっぱりパンチは注意していたんですけど、一発いいの貰っちゃって倒れたんですけど、そんなダメージは無かったので、この後やり返そうという気持ちでいっぱいでした。」

最終第5ラウンドを迎えた時の心境は、
「今日で現役最後なんですけど、最後の3分間と思って戦いました。最後という意識を持って今迄練習に励んで来ました。初防衛戦して引退しようと思っていました。なので夢を叶えて凄く嬉しいです。」

感謝を伝えたい師範と婚約者を迎え、飯塚健師範には、
「15歳でキックボクシングを始めてチャランポランばかりだった僕をずっと最後まで見捨てないでここまで導いてくださって本当に有難うございました。ここまで僕を育ててくれた師範がチャンピオンです。」と飯塚健師範の腰にチャンピオンベルトを巻いた。

婚約者には、
「10月に結婚式決まってるけど、もう一回想いを伝えたくて、ここでプロポーズです。今迄現役中、良い時も悪い時もずっと傍で支えてくれて本当に有難うございました。これからは俺が支えてあげられるように頑張るから、これからも宜しくお願いします。結婚しよう、愛してるよ!」と公開プロポーズでメインイベントを締め括った。

師範の飯塚健氏はかつて新妻聡(目黒)と対戦した元・日本ライト1位。自分は目黒ジムの選手に結構負けているんで、細見直生選手は鴇稔之さんのKICKBOXジムで目黒直系だし、今回は何とか弟子が勝って雪辱したい気持ちもありました。そんな想いも叶えてくれて嬉しいです。」という感無量だった様子。

治政館ジムの長江政人会長は「政斗は怪我が多いので一旦辞めて、もしかしたら、またやりたくなったら戻って来る選択もあるかもしれませんね。」と引退を労いつつ、先行きは分らないがそんな期待も語っていた。

◆第7試合 65.0kg契約3回戦

ペップンミー・ビクトリージム(元・タイ国ムエサヤーム・イサーン地方フライ級2位/タイ/ 64.6kg)
       VS
コムキョウ・シット・ボーチョーウォー(元・タイ国ムエサヤーム・中部地方スーパーフェザー級Champ/タイ/ 65.0kg)
勝者:ペップンミー・ビクトリージム / 判定3-0
主審:勝本剛司
副審:椎名30-29. 西村30-29. 中山30-28

ムエタイテクニシャンらしい攻防が続く両者。日本人との対戦も多いコムキョウ。しなやかな蹴りが目立ったコムキョウ。ペップンミーも前進して蹴り込み、採点は見極めが難しい中、やはりジャッジ三者が揃ったラウンドは無い僅差だった。

◆第6試合 ライト級3回戦

ジャパンキック協会ライト級1位.興之介(治政館/1988.12.17東京都出身/ 61.23kg)
25戦12勝(4KO)12敗1分
       VS
YUGA(エイワスポーツ/1999.11.19神奈川県出身/ 61.0kg)3戦3勝(1KO)
勝者:YUGA / KO 2ラウンド 1分56秒 /
主審:西村洋

初回、距離取った蹴りからパンチの牽制からYUGAの左フックか、スリップ気味に興之介を崩した。そこからYUGAがリズムを掴んだ様子。

第2ラウンドもYUGAが左フックで最初のノックダウンを奪った後、更に左ハイキックがヒットすると再びノックダウンした興之介。飛び蹴りを見せるなど攻め返す力は残っていたが、今度はYUGAの右ハイキックが興之介の側頭部を捕えると興之介は倒れ込み、3ノックダウンでYUGAのノックアウト勝利となった。

YUGAのハイキック、すでにダメージあった興之介は崩れ落ちた

◆第5試合 女子ミネルヴァ・ピン級3回戦(2分制)

アトム級1位.祥子JSK(治政館/1983.12.3埼玉県出身/ 45.7→45.36kg)32戦10勝19敗3分
          VS
ペーパー級1位.上真(ROAD MMA/1985.10.16石川県出身/ 44.8kg)19戦6勝11敗2分
引分け 0-1
主審:中山宏美
副審:椎名29-29. 勝本29-30. 西村29-29

初回早々からの蹴りやパンチや組み合う攻防は上真がやや圧力掛ける前進。祥子はやや下がり出遅れた印象も、第2ラウンド以降も手数減らない両者の攻防は祥子のミドルキックが目立った。ジャッジ三者が揃ったのは上真に付けた初回のみ。僅差の攻防は引分けとなった。

上真vs祥子JSKの接戦の攻防は引分けに終わる

◆第4試合 62.0kg契約3回戦

ジャパンキック協会ライト級4位.古河拓実(KICKBOX/ 61.8kg)8戦7勝(4KO)1敗
          VS
ソムプラユン・ヒロキ(=緑川広樹/DANGER/ 63.0→62.7kg計量失格 減点1)
10戦2勝8敗

勝者:古河拓実 / KO 2ラウンド 1分34秒 /
主審:椎名利一

ローキックからパンチの様子見の両者。次第に古河拓実のパンチでソムブラユン・ヒロキがバランスを崩し、ヒザ蹴りを貰ってしまう展開に移った。

第2ラウンドも蹴り合いは古河拓実が優る展開。更に古河拓実の左ストレートから連打、ヒジ打ちからヒザ蹴り連打でノックダウンを奪った。更にヒザ蹴り連打で2度目のノックダウン。飛び気味のヒザ蹴りから右ストレートで3ノックダウンとなって古河拓実がノックアウト勝利となった。ソムブラユン・ヒロキは計量失格の様子から体調も気力も精彩無い感じに見えた。

蹴りの圧力で優った古河拓実。出遅れ劣勢に陥るソムブラユン・ヒロキ

◆第3試合 フェザー級3回戦

ジャパンキック協会フェザー級5位.海士(ビクトリー/ 57.0kg)6戦4勝2敗
       VS
鈴木ゲン(拳心館/ 56.8kg)15戦6勝(4KO)8敗1分
勝者:海士 / 判定3-0
主審:勝本剛司
副審:椎名30-27. 中山30-27. 西村30-27

パンチと蹴りの攻防はスピードある海士が優る展開。スピード劣る鈴木ゲンはバランス悪く出遅れる。打たれ蹴られ劣勢になっても大きなダメージは無いのか、鈴木ゲンの倒れないしぶとさと蹴り返す頑張りはいつもどおりだった。倒しに行けない海士の方がパワー不足と感じるも全てのラウンドを海士が制したジャッジ三者が揃う大差判定勝利となった。

海士のボディーブローがヒット、打たれても最後まで倒れない鈴木ゲンだった

◆第2試合 66.0kg契約3回戦

三澤悠太郎(市原/ 64.55kg)2戦1勝(1KO)1分
       VS
TYLER(エイワスポーツ/ 65.3kg)1戦1敗
勝者:三澤悠太郎 / KO 1ラウンド 1分54秒 /
主審:西村洋

蹴りの攻防から三澤悠太郎が右ストレートでTYLERからノックダウンを奪うと、倒す距離感を掴んだ三澤悠太郎が立て続けにパンチ連打で3ノックダウンを奪ってノックアウト勝利となった。打ち返す展開も見せたTYLERだったが、距離感が悪かった。

三澤悠太郎がTYLERから3ノックダウン奪って速攻のKO勝利を飾った

◆プロ第1試合 フェザー級3回戦

BANKI(竹森万輝/治政館/2008.2.15埼玉県出身/ 56.8kg)2戦2勝(1KO)
         VS
ゲンキ・ノーナクシン(ノーナクシン/ 57.0kg)6戦2勝4敗
勝者:BANKI / 判定3-0 (30-28. 30-28. 30-28)

テクニシャンの攻防を見せる初回の両者。デビュー戦で魅せた右ハイキックも鮮やかに繰り出すBANKI。今回は簡単にはヒットさせないゲンキのディフェンスが強かった為、やや苦戦の流れもあったBANKI。展開に大きな差は無かったが、BANKIのハイキック、グローブの上からでも蹴りがやや優る攻勢でBANKIがデビュー後2連勝を飾った。

BANKIの鋭いハイキックが繰り出されるもゲンキもテクニックで対抗した

アマチュア3試合は割愛します。

《取材戦記》

今回のタイトルマッチが注目のカードだったKICK Insist.24“ジャパンキック協会ウェルター級タイトルマッチ”と謳っていますが、願わくば純粋に“日本ウェルター級タイトルマッチ”と謳いたいところでしょう。ここが分裂を繰り返して来た多くの団体の宿命です。

昨年3月24日、大地フォージャーを壮絶なノックアウトで王座奪取した政斗だったが、今回の初防衛戦は判定ながら、ノックダウン喫してからジワジワと巻き返しの激闘を制した。

長年のキャリアが活かされた政斗の底力。細見直生はまだ5戦目で政斗攻略法が出来上がっていなかっただろう。次の王座に臨むのは細見直生が再度挑むか、前チャンピオン、大地フォージャーが復活するか。ここはまだ予測するのは早いかな。

今回のセミファイナルに出場したタイ選手に「元・タイ国ムエサヤーム・パーカン」という経歴がありました。ムエサヤームというのは、専門誌のムエサヤームを冠にした各地方のムエタイ有識者による組織ごとの王座で、パーカンはPark・klang(パーク・クラーン)が正しく、パークは方向、クラーンは中央部で、タイの中部地方を指します。パーク・イサーンは東北部。パーク・ヌア(北部)、パーク・ターイ(南部)、パーク・タワンオーク(東部)などがあり、地方の若手選手達の登竜門的な王座でもあるようです。

ジャパンキックボクシング協会次回興行は11月23日(日)に後楽園ホールに於いて開催されます。睦雅と瀧澤博人のビッグマッチが見込まれています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

格闘群雄伝〈41〉小野寺力 ── キックボクサーの本道を貫くキックの鬼~ちゃん!

堀田春樹

◆平成の新星

元・日本フェザー級チャンピオン.小野寺力(目黒/1974年7月7日、東京都大田区出身)は、リズミカルなコンビネーションでのノックアウト劇と、アイドル並みの甘いマスクで大きな人気を獲得した平成初期の新星。現在では多くのテクニシャンが存在するが、当時は神秘的な存在だった。

「兄貴が空手をやっていた影響で蹴り技を使える競技をやりたかった」という小野寺は、月謝が安く、家から近かったという目黒ジムを選び、平成元年(1989年)、中学3年になった春、入門した。

当時、下目黒にあるボクシングの野口ジムを間借りしていた目黒ジムで小野寺は、自然とパンチを学ぶ機会には恵まれていたが、野口ジムコーチ(当時)の野口勝氏が「小野寺をボクシングでデビューさせたい」と語ったほど、小野寺のパンチのセンスは抜群だった。

◆日本チャンピオンとしての威厳

キックボクシングの基礎は3年間鍛えられ、高校三年、18歳の秋(1992年11月13日)にデビューし5連勝。しかし、ノックアウトを導くにはパワー不足を感じた小野寺は、ウェイトトレーニングでパワーアップを図った。 上位ランカーの佐藤堅一(士道館)や元・チャンピオンの山崎通明(東金)とは引分けるも、上位に通用する効果は表れ、続いて佐藤孝也(大和)、松尾栄治(士道館)と立て続けに国内フェザー級トップクラスに圧倒のノックアウト勝利し、一躍注目を集めるカリスマ的存在となった。

デビュー戦は落ち着いた試合運びで判定勝利した(1992.11.13)
ベテラン山崎通明戦は上手い試合運びを見せたが、際どく引分け(1995.6.2)
全日本キックの前チャンピオン佐藤孝也を倒した小野寺力(1995.12.9)

1996年3月には昭和の老舗・日本キックボクシング協会が復興。その代表的な立場で全日本キックボクシング連盟興行ではあったが、日本系vs全日本系の古き時代の交流戦も復活し、前田憲作(SVG)をノックダウン奪って判定勝利。復興再スタートの先陣を切った意義ある勝利を飾った。

交流戦での代表的選手の戦いは小野寺力が優った展開で判定勝利(1996.3.24)

同年5月25日には、日本キックボクシング協会復興プレ興行となった三重県津市での大柴ひろし(治政館)との日本フェザー級王座決定戦は意外な苦戦の中、狙った鋭いヒジ打ちで大柴の歯が唇を突き抜ける衝撃のTKO勝利で初の王座戴冠となった。

大柴ひろしには苦戦したが、最後は一撃必殺技で優った小野寺力の神業だった(1996.5.25)
初戴冠は日本系伝統のベルト、価値を上げるのはこれからだった(1996.5.25)

しかし、マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟から分裂しての王座であり、まだ真の頂点とは言い難かったが、ここまで順調に王座に昇り詰めた小野寺に大きな期待は掛かるのも当然で、より多大な試練が襲って来た。

日本フェザー級王座は1998年5月5日の初防衛戦でマサル(伊東マサル/トーエル)と意外な苦戦の引分けだったが、1999年1月30日の2度目の防衛戦はマサルとの再戦を大差判定で退けた。

マサルには苦戦し、辛うじて引分け防衛。再戦では大差で退けた(1998.5.5)

選手層が厚いタイの激戦区を勝ち抜いたムエタイボクサーには、小野寺の華麗なテクニックを封じられ2連敗し、1997年秋にタイへ初のムエタイ修行に挑んだ。未熟だった首相撲で徹底的に転ばされる毎日だったが、これを克服しようとより闘志が湧いたという。

その復帰後もタイのテクニシャンには敗れ、タイ戦は4連敗となったが、1999年5月には5度目のタイ戦で、タイ国南部フェザー級王者、シーナコン・ギャットヨンユットを蹴りとパンチの技で優るコンビネーションで倒し、同年11月に新日本キックボクシング協会企画のタイ国ラジャダムナンスタジアムでの「Fight to MuayThai」に於いてノックアウト勝利を飾り、日本チャンピオンとして威厳を示した。

◆試練に立ち向かう

小野寺力の現役を振り返ると試練と言うより不運な事案も様々存在した。1996年当時のマーシャルアーツ日本キックボクシング連盟から分裂は仕方ない状況ではあったが、対日本戦好カード対決が減ったことは勿体無かった。当時のMA日本フェザー級チャンピオンはワンダーマン室戸(室戸みさき/東金)だったが、小野寺が挑戦権を得たこのカードはファンや関係者皆が楽しみだっただろう(決定直後に室戸は王座返上したが、本人の意図ではないだろうと推測される)。

1997年夏、キックボクシングよりもテレビの影響で世間の注目を浴びた人気イベントのK-1では、ヘビー級中心から新たに軽量級(フェザー級域)トーナメントも始まり、新日本キックボクシング協会から小野寺力にも出場要請があったが、キックボクサーの本道を貫く信念を持って出場を拒み、罪の無いまま半年間の理不尽な出場停止処分を受けたが、復活の日までジッと耐え、練習の日々を送っていた(この時期を利用したタイ遠征が被る)。

相次ぐ試練の最大の難関は、ハードパンチャーの宿命である拳の故障の連続だった。2000年頃から続いた右拳の負傷。右ストレートがしっかり打てぬハンディーは苦しかった。拳の回復は予想以上に時間が掛かり、そんな最中の2001年1月に、朴炳圭(朴龍/韓国)戦ではハイキック喰らってあっさり倒されたことは衝撃だった。

朴龍には意外なKO負け。ハイキックをまともに貰ってしまった(2001.1.21)

2000年5月、筋肉増強から来る減量苦もあって王座返上したが、2001年7月、後に王座獲得した小出智(治政館)との新旧チャンピオン対決では再び右拳と更に左拳を負傷し、両手が全く使えないまま後半の反撃を許して引分けとなる不運。

トップクラスの立場に陰りが見え始めたのもこの頃で、「小野寺の時代は終わった」という世間の声も聞かれ始めた。王座返上以降、チャンピオンベルトを巻いた姿は見られなくなったが、「価値ある座にある者をブッ倒し、己がより価値ある男になる」と最高峰に目標を掲げて現役を続行。

2002年9月、小野寺力が渋谷アックスで自主興行「GREATEST HITS!」を開催し、この復帰戦はタイのラタナサック・サックタウィーをラストラウンドで圧倒のラッシュで大差判定勝利して存在感を示した。

ジム経営に乗り出した時期でもあり、拳負傷の影響もあってブランクを作ったが、2005年10月には、これも自主興行「NO KICK NO LIFE」を大田区体育館で開催した引退興行となった。

先輩・飛鳥信也から始まった目黒ジムの伝統、現役最後の試合で完全燃焼するに値する最強の相手にタイの現役二大殿堂フェザー級チャンピオン、アヌワット・ゲオサムリットを迎え、ハイキックで攻勢も見せたが第2ラウンド、アヌワット得意のパンチ強打を受け3ノックダウンで倒される玉砕で現役を締め括った。

ラストファイトのアヌワット戦。パンチも蹴りも速く重かった(2005.10.29)

◆新時代へプロモーターとしての挑戦

現役時代の小野寺は、ジムやプライベートでは目黒ジム・野口和子代表やトレーナーの指示には礼儀正しく従い、優しい口調と笑顔で周囲からは「リキちゃん」という愛称で親しまれた。性格的にもフレンドリーな小野寺は、芸能界からの誘いも多く、テレビ出演も増していた。若さゆえの暴走を心配した野口和子代表からは、「立場が上にいくほど頭を下げなきゃダメよ!」と忠告されたことで、小野寺本人も当然自覚を持っていた。

当時のブルース京田トレーナーは、「小野寺は教えたことがすぐに出来たのが印象的です。ブレイクした後も天狗にならなかったし、ずっと謙虚でした。私は教えるのが下手でトレーナーは向いていないと思っていましたが、彼によってトレーナーを続ける気力が湧き、他の選手にもミット持って教えて自分の成長にも繋がりました。感謝です!」という。人の運命も好転させる小野寺は芸能界仲間にも慕われるようになり、人脈が広がったのは当然のことだろう。

この人脈から多くの協力者を得て、現役時代の2003年11月にRIKIXジムを大田区の大岡山に開設し、2011年4月21日、川崎市の小田急線百合ヶ丘駅前にRIKIXジム百合ヶ丘店を開設。その後、横浜店、三田店、湘南店と現在5店舗を拡大経営している。

2014年にはNO KICK NO LIFEイベントを正式に立ち上げ、2月11日を“キックボクシングの日”にしようと、なるべくこの日を目途に大田区総合体育館で開催。古きを大切に新しきを取り入れ、プロモーターとして躍進し始めた。

2016年9月には新たなイベント「KNOCK OUT」に誘われ移行したが、諸々事情はあったと推測されるが3年で退いてNO KICK NO LIFEを復活。不定期ではあるが再び大田区総合体育館で豪華イベントも行ない、現在も次なるイベントを計画している模様である。

現在は小野寺力の下で育った10名程のプロ選手が成長。各団体、各プロモーション興行からのオファーに応え、試合出場が充実している様子である。今後は国内から世界へ、チャンピオン誕生も近いだろう。

NO KICK NO LIFEの試合後、出場者を集めてイベントを締め括った小野寺力(2015.2.11)

※補足ながら、“キックの鬼~ちゃん”とは過去、ナイタイスポーツ紙で小野寺力氏にコラムをお願いした際のタイトルです。キックの鬼ながら優しいお兄さんを意味しています。

《格闘群雄伝》バックナンバー https://www.rokusaisha.com/wp/?cat=88

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

秋のキックボクシング、地道に突き進む5つの興行概要

堀田春樹

久々の登場、政斗は初防衛戦。
佐々木勝海はチャンピオンを目指し、TAKUYAを突き放せるか。
武田幸三率いるCHALLENGER、今回の異色の存在は、再浮上懸ける勝次が初出場。
全日本キックボクシング協会が中国との交流を開始。
新日本キックボクシング協会で女子の世界戦開催。

※             ※             ※

◆KICK Insist.24
 9月15日(月・祝)新宿フェース(開場17:00 / 開始17:30)
 主催:(株)VICTORY SPIRITS、ビクトリージム
 認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)

KICK-Insist24 ポスター

昨年3月24日 大地フォージャーから王座奪取した政斗は、ジャパンキックボクシング協会の顔となったことを自覚し、「これからどんどん盛り上げていこうと思っています!」と応えたが、同年9月29日のピラポン・ノーナクシン戦でヒジ打ちによる負傷TKO負け。

「全部のタイミングで相手が上でした。地道に積み上げてまた勝てるように頑張ります!」とトーンダウンしたが、ここは完勝防衛してチャンピオンとしての存在感を示したいところ。

細見直生はジャパンキックボクシング協会において5戦5勝(1KO)でタイトル初挑戦を迎える新鋭で、一気に世代交代となるか。

政斗の王座戴冠時の姿。再び歓喜に湧くか

●第8試合 ジャパンキック協会ウェルター級タイトルマッチ 5回戦
チャンピオン初防衛戦.政斗(治政館)vs挑戦者同級2位.細見直生(KICK BOX)

●第7試合 65.0kg契約3回戦
ペップンミー・ビクトリージム(元・タイ国イサーン地方フライ級2位/タイ)
        VS
コムキョウ・シット・ボーチョーウォー(元・タイ国中部地方スーパーフェザー級Champ/タイ)

●第6試合 ライト級3回戦
ジャパンキック協会ライト級1位.興之介(治政館)vsYUGA(エイワスポーツ)

●第5試合 女子ミネルヴァ・ピン級(-45.359kg)契約3回戦(2分制)
アトム級1位.祥子JSK(治政館)vsペーパー級1位.上真(ROAD MMA)

●第4試合 62.0kg契約3回戦
JKAライト級4位.古河拓実(KICKBOX)vsソムプラユン・ヒロキ(DANGER)

●第3試合 フェザー級3回戦
JKAフェザー級5位.海士(ビクトリー)vs鈴木ゲン(拳心館)

●第2試合 66.0kg契約3回戦
三澤悠太郎(市原)vsTYLER(エイワスポーツ)

●第1試合 フェザー級3回戦
BANKI(治政館/2008.2.15埼玉県出身)vsゲンキ・ノーナクシン(ノーナクシン)

BANKIは7月13日のデビュー戦でデートサヤーム・シット・デーンサヤーム(タイ)にハイキックで初回1分5秒でKO勝利。期待の2戦目を迎える。

●オープニングファイト アマチュア3試合予定

※             ※             ※

◆DUEL.35
 9月21日(日)GENスポーツパレス(開場17:00 / 開始17:30)
 主催:VALLELYジム / 認定:NJKF

DUEL 35 ポスター

-8月28日発表-
恒例のDUEL、新人と中堅ベテランの戦いの場から誰が次に繋がるステップを踏むか。

佐々木勝海はタイトルに一歩近づくか

●第10試合 スーパーライト級3回戦
NJKFスーパーライト級3位.佐々木勝海(エス)vs同級4位.TAKUYA(K-CRONY)

TAKUYA は4月20日に岩橋伸太郎に判定負けしてからの再起戦。

●第9試合 82.0kg契約 3回戦
鈴木健太郎(E.S.G)vs翁長リバウンドマン将健(真樹糸満)

●第8試合 スーパーフライ級3回戦
清水健人(白龍)vs手塚瑠唯(VERTEX)

●第7試合 スーパーフェザー級3回戦
パヤヤーム浜田(KING)vs森本直哉(無所属)

●第6試合 フェザー級3回戦
山本龍平(拳粋会宮越道場)vs高嶋隆一(PIT)

●第5試合 女子ミネルヴァ・スーパーフライ級3回戦(2分制)
スーパーフライ級1位.鈴木咲耶(チーム鈴桜)vs同級5位.響子JSK(治政館)

●第4試合 女子ミネルヴァ・ピン級3回戦(2分制)
ピン級4位.江口紗季(笹羅)vs同級6位.ロウ・イツブン(NEXT LEVEL渋谷)

●第3試合 女子ミネルヴァ・ライトフライ級3回戦(2分制)
山崎希恵(クロスポイント吉祥寺)vsNAOKO WSR(WSR幕張)

●第2試合 ライト級3回戦
井岡巧(E.S.G)vs涼音(PIT)

●第1試合 63.5kg契約3回戦
遠近慎太郎(エス)vs古林けいご(龍拳會青葉台支部)

※             ※             ※

◆NJKF CHALLENGER.10(2025.4th)
 9月28日(日)後楽園ホール(開場17:00 / 開始17:15)
 主催:オフィス超合金 / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟、WBCムエタイ

CHALLENGER 10 ポスター

-8月24日発表-
WBCムエタイ日本が組織改革を行ない、日本タイトルも今まで以上に活性化の見込み。
6月8日の興行タイトルが「KING OF CHALLENGER」今回は「NJKF CHALLENGER.10」。
2023年11月12日の新体制から見れば今回のCHALLENGER.10は正しいカウント。
大田拓真は世界を獲ってもONE制覇へ、まだ終わらぬ最高峰への道。
負けも込んで来た勝次は再び巡って来たタイトル挑戦でアピールしたいところ。

●第10試合 58.0kg契約 5回戦
WBCムエタイ世界フェザー級チャンピオン.大田拓真(新興ムエタイ)
VS
ルークニミット・シンクロンシー(タイ)

●第9試合 WBCムエタイ日本スーパーウェルター級タイトルマッチ 5回戦
第6代チャンピオン初防衛戦.匡志YAMATO(大和)
VS
挑戦者同級5位.津崎善郎(LAILAPS東京北星)

●第8試合 WBCムエタイ日本ライト級タイトルマッチ 5回戦
第7代チャンピオン初防衛戦.HORO YAMATO(大和)
VS
勝次(=高橋勝治/元・日本ライト級Champ/TEAM TEPPEN)

正念場の勝次、NJKFで存在感を見せたいところ

●第7試合 スーパーライト級ノンタイトル3回戦
NJKFスーパーライト級チャンピオン.吉田凜汰朗(VERTEX)vs剣夜(SHINE沖縄)

●第6試合 スーパーライト級ノンタイトル3回戦
JKIスーパーライト級チャンピオン.切詰大貴(武勇会)
       VS
SB日本ライト級1位.ポッシブルK(K’GROWTH)

●第5試合 NJKFウェルター級タイトルマッチ 5回戦
認定チャンピオン.亜維二(新興ムエタイ)vs挑戦者同級1位.宗方888(KING)

●第4試合 NJKFフライ級タイトルマッチ 5回戦
第14代チャンピオン初防衛戦.西田光汰(西田)vs挑戦者同級1位.永井雷智(VALLELY)

●第3試合 55.0kg契約3回戦
HIROYUKI(=茂木宏幸/元・日本フライ級・バンタム級Champ/RIKIX)
VS
後藤和範(REALMuayThaiFitness)

●第2試合 スーパーフェザー級3回戦
NJKFスーパーフェザー級6位.匠(KING)vs同級7位.細川裕人(VALLELY)

●第1試合 フェザー級3回戦
植田琥斗(E.S.G)vs竹田奏音(TAKEDA)

※             ※             ※

◆SAMURAI WARRIORS 挑戦3rd
 10月5日(日)後楽園ホール(開場17:00 / 開始17:30)
 主催:全日本キックボクシング協会 /

SAMURAI WARRIORS 挑戦3rd ポスター

-8月4日発表-
韓国と続いている交流戦は日韓合同という意味合いもある中、アジアエリア拡大となる中国との交流が進展。中国側代表を招聘し、今後の展望がリング上セレモニーにて発表される模様。
瀬川琉はメインイベンターとして6月に続いて韓国戦に臨む。
期待の勇生は、前回瀬川琉と接戦を戦った金炳秀と対戦。弟の野竹生太郎も韓国の同世代ライバルと対戦。

野竹兄弟、勇生(左)と生太郎。富山からやって来る期待の二人

●第13試合 スーパーフェザー級3回戦 
全日本スーパーフェザー級チャンピオン.瀬川琉(稲城)
      VS
鄭相鉉(=チョン・サンヒョン정상현/韓国プロムエタイ55㎏級Champ)

●第12試合 スーパーライト級3回戦
全日本スーパーライト級5位.勇生(ウルブズスクワッド)
      VS
アイドゥル(=金炳秀キム・ビョンス김병수/2025年韓国 HERO FIGHT優勝)
前回6月20日に瀬川琉に判定負け。

●第11試合 スーパーバンタム級3回戦
広翔(稲城)vs申大容(=シン・デヨン신대용/韓国)

●第10試合 ライト級3回戦
野竹生太郎(ウルブズスクワッド)vsキム・ハヌル김하늘(漢字表記不明/韓国)

●第9試合 スーパーウェルター級3回戦
義斗(FPLUS TEAM QUEST)vs康示勲(=カン・シフン강시훈/韓国)

●第8試合 ライト級3回戦
山田旬(アウルスポーツ)vs清宮拓(GODSIDE)

●第7試合 スーパーフライ級3回戦
HIROKI(AKIRA~budo school~)vs.鬼久保海斗流(健成會)

●第6試合 ライトヘビー級3回戦
星のケースケ(百足道場)vs菊池圭治(GODSIDE)

●第5試合 スーパーライト級3回戦
Katsuya Norasing Family(Norasing Family)vsNAOKI(ウィラサクレック)

●第4試合 スーパーフェザー級3回戦
KAI×A.K.G(A-BLAZE×KICK)vs杉浦昂志(キックスターズジャパン)

●第3試合 ウェルター級3回戦
滝口遥輝(中島道場)vs成瀬晴規(無所属)

●第2試合 ウェルター級3回戦
石塚健太(武士魂2代目闘心塾)vs田山朋希(まっちゃんFIGHT CLUB)

●第1試合 スーパーバンタム級3回戦
渡邊獅生(JTクラブ)vs梅原竜雅(龍成會)

※             ※             ※

◆TITANS NEOS 37
 10月26日(日)後楽園ホール(開場17:00 / 開始17:15)
 主催:伊原プロモーション / 認定:WMA、新日本キックボクシング協会

8月22日に発表された2試合のみながら、WMA(Woman Muaythai Association)女子世界戦2試合を開催。全カードはもう少し先となる模様。日本勢の出場メンバーも期待したいところで、新日本キックボクシング協会もどん底から続ける挑戦。日本7階級チャンピンを率いてラジャダムナンスタジアムに乗り込んだ勢いを少しずつでも取り戻せるか。

●WMA女子世界スーパーフライ級王座決定戦 5回戦(2分制)
ミネルヴァ・スーパーフライ級チャンピオン.NANA(エス)
      VS
ジェンディ・モーラッソパコーラ(タイ)

ジェンディ・モーラッソパコーラvsNANA

●WMA女子世界ライトフライ級王座決定戦 5回戦(2分制)
アピデッ・シットヒラン杯ライトフライ級覇者.佐藤?魔王?応紀(PCK連闘会)
      VS
マフィアペット・モンコンディー(タイ)

マフィアペット・モンコンディーvs佐藤”魔王”応紀

※             ※             ※

カードは選手の負傷や病気により変更や中止の場合があります。
ノンタイトル戦出場のチャンピオンは、その階級を超えての契約ウェイトとなる可能性があります(ライト級チャンピオンなら62.0kg契約など)。
10月は日本キックボクシング連盟(NKB爆発シリーズ)興行も予定されています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

昭和のキックボクシング、アジアモエジップン連盟とは?

堀田春樹

「アジアの中の日本のキックボクシング」。これがアジアモエジップン連盟名称の意味である。

テレビによって起こったブームが去った後の昭和50年代のキックボクシング、分裂の始まりはすでに公開済ですが、枝分かれから更に細く枝分かれしたのが1983年(昭和58年)で、以前に述べました日本プロキックボクシング連盟から脱退し設立したのが日本ナックモエ連盟。このナックモエ連盟から枝分かれしたのが、みなみジム南俊男会長が興したアジアモエジップン連盟(AMF)でした。

アジア太平洋キック連盟設立記念興行は豪華版パンフレットとなった(1983年10月21日)

タイ語で“モエ”は表記上“ムエ”とも呼ばれますが、ボクシング中心とする競技を意味し、“ジップン”は“ジープン” とも呼ばれ、即ち日本のことである。

同年9月初旬に設立が発表されると、因みに新日本キックボクシング協会発足が同時期に発表されています。アジアモエジップン連盟記念興行は同年10月21日、後楽園ホールでした(翌22日が新日本初興行)。

設立御挨拶に立った南俊男代表(1983年10月21日)

分裂及び興行の激減、業界を去る関係者、新人が育たない、そもそも誰も入門して来ない氷河期に団体立ち上げて、興行が成り立つのかという懸念も、ただやることはデカい南俊男会長。各団体へ出場交渉と、打倒ムエタイを掲げる設立興行で、タイのナンバー1を呼ぼうと、ルンピニースタジアムで4階級制覇し、国際式ボクシングに転向したサーマート・パヤックアルンを招聘に臨みました。迎え撃つは日本プロキック連盟フェザー級チャンピオン、葛城昇(習志野)でしたが、招聘ビザ申請の面でも、ムエタイの英雄を招くというハードルの高さでも来日が難しい時代で残念ながら実現には至りませんでした。

サーマートと対戦予定だった葛城昇の「次回実現へ」の御挨拶(1983年10月21日)

実際のメインイベントとなったのは日本プロキック連盟の長浜勇(市原)が、在日の日本人キラー、バンモット・ルークバンコー(タイ)をパンチで倒し、トリをノックアウトで締め括り、セミファイナルは、みなみジムのエース、前・団体でのバンタム級チャンピオン、高樫辰征が韓国のアグレッシブな全再鐸を第5ラウンドに圧倒しTKO勝利して存在感を示しています。設立記念興行としては他団体頼りではあったが結構盛り上げた興行でした。

みなみジムの高樫辰征はアグレッシブな全再鐸に圧倒していく展開で制した(1983年10月21日)
セミファイナルだったが、高樫辰征は存在感示したKO勝利(1983年10月21日)

◆アジア太平洋キック連盟とは?

設立から一年後、名称が改名。世間に浸透し難いタイ語よりも馴染み易い呼称となった模様。

“キック” とは簡略化した言い方だが、この業界ではキックボクシングを意味することは当然でしょう。“アジア太平洋”という広域なエリアを指していますが、実質は日本国内の団体ではありました。

アジア太平洋キック連盟の当時の略号はAPF(後にAPKFと表記)。所属ジムも増えた1984年12月1日には設立一周年興行が行われました。メインイベントはシーザー武志が韓国の李興大を大差判定で下しています。APFフライ級王座決定戦では中川二郎(北心)がポパイ卓男(みなみ)をKOで下し、APFバンタム級王座決定戦では黒沢久男が前田市三(みなみ)を判定で下し王座獲得している模様(スポーツライフ社、マーシャルアーツ誌参照)。

◆マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟に加盟!

当時の業界は更なる分裂もありましたが、一時的には業界トップとなったマーシャルアーツ日本キックボクシング連盟と新生全日本キックボクシング連盟発足(1987年7月/旧・協会復興)の二大巨塔が暫く続いた為、その他の団体は興行少なく、陰に隠れる存在でしたが、アジア太平洋キック連盟南俊男会長は埋もれた存在では終わらぬ底力を秘めていました。

1992年10月には役員も代わったマーシャルアーツ日本キックボクシング連盟に加盟し、みなみジムの腕の見せどころ発揮、翌年には一層名声増したサーマート・パヤックアルンをついに来日させ、日本vsタイの対抗戦マッチメイクの中、初の日本人との対戦となった新妻聡(目黒)戦を実現させています(サーマートが判定勝利)。MA日本連盟の主要プロモーターとして、他にも定期的に興行を開催。

MA日本キック連盟で英雄サーマート招聘、日本vsタイ対抗戦を開催した南俊男会長(1993年4月24日)

1996年にはマーシャルアーツ日本キックボクシング連盟からあっさり脱退しましたが、1999年には4団体集結として発足したNKBグループに参加。現在のNKBは日本キックボクシング連盟とK-Uのみ。しかし発足当時はアジア太平洋キック連盟とニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)も加わって活気が増した活動でした。

結局は2005年頃にはNJKFもアジア太平洋キック連盟も離脱となり、やがて世代交代へ移っていくのは仕方ない時代となっていました。

◆令和時代は二代目、南孝侍が担う!

暫くはディファ有明などで細々とアジア太平洋キック連盟としての興行は行われていましたが、みなみジムの名称はNKB時代にMTOONG(エムトーン)ジムへ名称変更され、2010年頃、アジア太平洋キック連盟は先代会長(南樹三生=南俊男)が活動休止となり、MTOONGジムは御子息の南孝侍氏が引き継ぐことになりました。

2022年にはジャパンキックボクシングイノベーションに加盟したMTOONGジム。南孝侍会長は3歳からキックボクシングを習い幼稚園の頃から少年部の試合に出場、後にプロとしても活躍しましたが、18歳で引退という早過ぎる転機でした。

アジアモエジップン連盟の発足については当時の記録を掘り起こすだけでしたが、この先代のみなみジムから50年継続した南俊男(樹三生)会長と、二代目の南孝侍会長の物語は、時期未定ながら改めて公開予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

格闘群雄伝〈40〉新妻聡 ── 肉体言語を貫いた野武士[後編]堀田春樹

堀田春樹

◆日本ランカー時代

新妻聡は自らパフォーマンスはやらないが、滑稽な言動で周囲を賑わす事態は幾度か起こしていた。

注目されだしたのは、タイへ衛星中継があった1990年(平成2年)12月15日、この日は前座だったが、ビッグイベント興行だけに舞い上がってしまい、入場の際、ロープ飛び越えたら滑って尻餅付いてしまった。それが凄く恥ずかしくて、逃げて帰りたい想いで対戦者の飯塚健を早く倒そうと我武者羅に向かって、第2ラウンドでノックアウト勝利した後、すぐリングを下りて逃げるように帰ったという。なんとナイーブな(良い意味で)。恥ずかしさが新たなエネルギーとなった試合だった。

これで日本ライト級1位に上昇し、後にライト級転級狙っていた日本フェザー級チャンピオンの山崎通明(東金)と対戦したが、山崎のヒジ打ちで鼻曲げられTKO負け。レフェリーに向かって「俺の鼻は元から曲がってんだ!」と叫んだが、続行を訴えた主張は通らなかった。

新妻聡が語る印象深い試合に寺田ヒロミ(太田)との2戦があった。寺田(=格闘群雄伝第18回)が後に末期癌で入院中、新妻聡が見舞いに行った際、寺田ヒロミが「新妻さんと後楽園ホールを盛り上げた2戦は自慢だったんですよ!」と言っていたいう。

それはいずれも目黒ジム主催興行で1991年11月15日、寺田はキャラクター的に派手で腕を振り回したり、アゴを突き出して「打って来いよ!」と挑発して来る始末。しかしそれが新妻聡の闘志に火を点け、最終第5ラウンドにコンビネションブローで寺田をノックアウト。最終ラウンドに倒されたのが悔しかったか、再戦を求めて来た寺田と翌年11月13日、再びグローブを交えた。

新妻聡は「お前の手の内は分かっているぜ!」と挑発に乗らず冷静に戦い、第3ラウンドでまたもノックアウト勝利したが、寺田はウェルター級だけにパワーあってパンチ受けてクラクラしたという中でのジワジワ盛り返す新妻聡の底力が見られた2試合でもあった。

寺田ヒロミと対峙。後楽園ホールを盛り上げた両者(1992.11.13)
寺田との第2戦は冷静に戦いKO勝利した新妻聡(1992.11.13)

◆国際戦で飛躍

日本ライト級1位を長く維持する主力選手として、1993年4月24日、タイの伝説のチャンピオン、サーマート・パヤックアルン(ルンピニー系4階級制覇、国際式元・WBC世界スーパーバンタム級Champ)との対戦が実現。

計量時に「こいつカッコいいな!」と思ったという。「サーマートは脹脛が異様に太かったですね。こいつは強いはずだと思った。練習嫌いとは言われていたけど、若い頃は凄い練習やったんだろうと見える痕跡だった!」という。

試合は第1ラウンドにサーマートのバランスいい蹴りの連係から右ストレートでノックダウン取られて何が起こったか分からなかったという。これでは勝てない、行くしかないと確信。第2ラウンドも右ストレートでノックダウン奪われるも、第3ラウンド目で逆に新妻聡の右ストレートがガツンと当たるとサーマートのマウスピースが吹っ飛んだ。これでサーマートの失速が始まり、逃げられた流れで仕留めるには至らず判定負け。

サーマート戦、番狂わせも在り得た戦いだったが、サーマートは天才だった(1993.4.24)

前編でも述べたました、1994年7月16日、日本ライト級王座をハンマー松井(花澤)と争い、判定勝利で初戴冠となった後、チャンピオンとしての戦いは世界的強豪との戦いに移っていった。

同年11月、タイ国ラジャダムナン系ライト級前チャンピオン、ゲントーン・ギャットモンテープには攻勢的に判定勝ちも圧倒できない苛立ち、ムエタイ式に戦ったゲントーンは負けた気は無いだろうという一般的見方も、ムエタイのトップクラスに通用する実力を着実に身に付けていた。

日本ライト級王座は翌1995年1月にハンマー松井を再度、判定で下し初防衛後、同年10月15日、今井武士(治政館)をノックダウン奪って判定勝利で2度目の防衛。いずれも下位から上がって来たしぶといファイターだったが、経験の大きさで退けた。

国際戦ではこの年の6月2日にはオランダのKO率80%を越えるハードパンチャー、ノエル・バンデン・ファウベルに終始圧倒されながら、ラストラウンド終盤に右ストレートでグラつかせる大健闘。

ノエル・バンデン・ファウベルは強かったが、一発のヒットで逆転も在り得た(1995.6.2)

「ノエルはパンチで来ると思っていたところがローキックばかりだった!」という中の“この野郎”と言わんばかりの強打ヒット。そこで倒し切ればドラマチックだったが判定に逃げられた。しかし敗れてもただでは終らせぬ見せ場をつくる姿は、まさに野武士魂であった。

同年12月9日は飛鳥信也の引退興行でのメインイベント。強打者ダニー・スティール(米国)に手こずり仕留めるに至らぬもパンチと組み合う圧力で優って判定勝利。

◆運命の悪戯

しかし1996年2月、最も充実した頃に思わぬ分裂騒動が起こった。選手側にとっては衝撃的な事態である。当時のマーシャルアーツ日本キックボクシング連盟から幾つかのジムが脱退する知らせが入った。当時も三団体には分かれていたが、現在ほどの多団体乱立、多イベントタイトル増産ではなかった。

新妻聡は新天地、日本キックボクシング協会復興の興行でエース格として、過去に先輩の飛鳥信也を二度退けているヘクター・ペーナ(米国)に挑むWKBA世界スーパーライト級タイトルマッチを迎えた。

復興記念イベント的な盛り上がりの中で、一進一退の攻防の中、ヒザ蹴りがやや低かったがヘクター・ペーナのボディーヒットもヘクター・ペーナの誤魔化し抗議で股間ファウルブロー扱い。ノックダウンだったらテンカウント聞かせていたかもしれないダメージ。

回復に時間を充分取ったペーナは巧妙な戦法で、新妻聡は最後には倒されてしまった。経験浅いレフェリー起用が悪いと主催の野口プロモーションに抗議も、「もう一回やればいいじゃないか!」と再戦を提示されたが、「簡単に言うんじゃねえよ。時間返してくれ!」という想い。パンチは強く、蹴りもよく出るヘクターペーナとは再戦しても簡単に攻略出来る相手ではなかっただろう。

ヘクター・ペーナはパンチが強かったが、新妻聡は勝てた試合を不運にも勝利を逃がした(1996.6.30)

それでも同年12月1日、名古屋で因縁のヘクター・ペーナに再挑戦。今度は誤魔化しも許さぬタイ人レフェリーが務めた。前回もヒザ蹴りが効果的だったが、今度もヒザ蹴りで勝利を導き、ノックアウトでWKBA世界スーパーライト級王座奪取した。

[左]怒涛のヒザ蹴りでヘクター・ペーナをノックアウト、WKBA世界王座奪取(1996.12.1)/[右]WKBA世界スーパーライト級チャンピオンとなった新妻聡、勝負はこれからだったが(1996.12.1)

◆完全燃焼! 貫いた肉体言語

この復興した日本キックボクシング協会に移り、ヘクター・ペーナと決着戦を終えてから、団体エース格として最も注目、活躍すべき時期にWKBA世界王座の防衛戦も組まれず、いつの間にか剥奪。協会側の複雑な事情もあったが、新妻聡の激闘は見られなくなっていった。元々のMA日本キックボクシング連盟で多くのライバルと死闘を繰り返し、世界レベルと戦っていた頃が最も充実していた時期だっただろう。

試合間隔が空き気味になる中、1999年7月24日にはかつて下した今井武士に大差判定負け。次第に気力も衰えていった頃かもしれない。

試合間隔も遠ざかった頃に今井志武士に巻き返されてしまった(1999.7.24)

「強い奴としかやりたくない!」といった意向から、最強の相手とラストファイトを行なうことになった2000年7月29日、現役ラジャダムナン系スーパーライト級チャンピオン、ノッパデーソン・チューワタナとの対戦が組まれ、新妻聡は完全燃焼の試合に向け、半年前から走り込み調整に入っていた。

ノッパデーソンはスピード速く柔軟性ある蹴りを上下自由自在に蹴って来る。襤褸切れのように蹴られ続けた大差判定負けも倒れることなく踏ん張り、なおも向かっていく姿は最後まで肉体言語を貫いた完全燃焼だった。願わくばもっと充実したマッチメイクと名勝負をファンに観て貰いたかった現役晩年だった。

完全燃焼のノッパデーソン戦。ボロボロに蹴られても向かって行ったラストファイト(2000.7.29)

戦績 37戦22勝(11KO)13敗2分

現役引退後は文京区白山で新妻格闘塾開始したが、ビジネスの兼ね合いもあって後に撤退。

2022年には、身体が動く今だからと、キックボクシングの指導やろうとジム形態ではないが、いろいろなスポーツ施設を借りて「新妻聡キックボクシングクラブ」を始めた。

しかし2023年5月に咽頭癌を患って休止。

「指導していて腕は上がらなくなるし、仕事辞めて時間あったから検査に行ったら癌が見つかりました!」という結果、早期発見で6月に摘出し、1年間の通院。その後の経過検査も問題無かったが、病み上がりというところで現在キックボクシング指導は休業中。

今後はその再開と、将来計画される目黒一門会が開催された際には参加が期待されるだろう。

新妻格闘塾時代。撮影の為の指導を少々でしたが熱のこもる指導が伝わって来た(2006.1.12)

《格闘群雄伝》バックナンバー https://www.rokusaisha.com/wp/?cat=88

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

小粒ながら多彩なカードで挑んだ真夏の新日本キックMAGNUM.62!

堀田春樹

エース格の木下竜輔は欠場。トリのジョニー・オリベイラは引分けに終わる。
他、期待の新人戦とNJKF発祥の女子ミネルヴァ、アマチュア登竜門。
多彩だったが、観衆少ない寂しい興行だった。

◎MAGNUM.62 / 7月27日(日)後楽園ホール17:15~20:47
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会

前日計量は26日14時より伊原ジムにて行われ、出場者全員が1回でパス。

◆第16試合 ライト級3回戦

ジョニー・オリベイラ(トーエル/ブラジル出身47歳/ 61.05kg)66戦16勝(1KO)31敗19分
       VS
NJKFライト級2位.岩橋伸太郎(エス/神奈川県出身38歳/ 60.85kg)27戦9勝14敗4分
引分け 三者三様
主審:少白竜
副審:椎名30-28. 宮沢28-30. 勝本29-29

ジョニー・オリベイラは3月2日に木下竜輔にKO負け。日本スーパーフェザー級王座陥落して以来の、ライト級に戻しての初戦。

岩橋伸太郎は4月20日にTAKUYA(K-CRONY)にノックダウンを奪って判定勝利して以来の試合。

ジョニー・オリベイラが前蹴りで岩橋伸太郎の突進をブロック

蹴りとパンチの攻防は、アグレッシブに攻める闘志は衰えない両者だが、打ち合いをしぶとく凌ぎ、どちらが優勢かという見極めは難しい展開。

岩橋伸太郎の右ミドルキックがボディーにヒットも頑丈なジョニーは怯まない

第3ラウンド半ばになると縺れ合い、組み付くパターンが多くなる消化不良の展開の末、セミファイナルに続き、ジャッジも見解が分かれる引分けとなった。

判定は見極めも分かれる三者三様の引分け

◆第15試合 女子ミネルヴァ・ペーパー級3回戦(2分制)

ペーパー級2位.AIKO(AX/埼玉県出身38歳/ 42.7kg)20戦9勝10敗1分
      VS
同級3位.Uver∞miyU(T-KIX/静岡県出身25歳/ 42.9kg)19戦6勝12敗1分
勝者:Uver∞miyU / 判定1-2
主審:中山宏美
副審:少白竜29-30. 宮沢29-30. 勝本30-27

初回、両者は蹴りの牽制。接近すれば首相撲になる展開。どちらもアグレッシブに攻めるも的確なヒットは無い。採点も分かれる見極めの難しい採点となった。

両者の手数やヒットがほぼ互角。わずかに優ったか、ウーバーの連打

◆第14試合 スーパーフェザー級3回戦

山本龍平(拳粋会宮越道場/埼玉県出身19歳/ 58.45kg)4戦2勝(1KO)2敗
      VS
翔吾(DANGER/茨城県出身28歳/ 58.7kg)4戦1勝2敗1NC
勝者:山本龍平 / KO 1ラウンド 1分41秒 /
主審:勝本剛司

パンチと蹴りのアグレッシブな攻防は山本龍平のクリーンヒットが優っていき、飛びヒザ蹴りも繰り出した。更に山本龍平の左ハイキックと翔吾の左ストレート相打ちも山本龍平のハイキックが優ってノックダウンを奪った。

立ち上がったところも左ストレートから左ハイキックで2度目のノックダウンを奪い、飛びヒザ蹴りを出したところでダメージを見たレフェリーが試合をストップ、3ノックダウンとなる展開で山本龍平がKO勝利した。

ヒットは翔吾が一瞬速かったか、でも蹴りの重さで山本龍平のヒットが優った

◆第13試合 62.0kg契約3回戦

平田康輔(平田/広島県出身18歳/ 60.2kg)3戦2勝1敗
     VS
光基(DANGER/茨城県出身23歳/ 61.6kg)2戦1勝1敗
勝者:平田康輔 / 判定3-0 (30-29. 30-29. 29-27)

パンチとローキック中心の攻防が続く中、第2ラウンド、偶然のバッティングで光基が右頬骨をカット。攻勢を掛けた平田康輔がやや攻勢を維持。ジャッジ三者が揃ったのは第2ラウンドだけで、大きな展開は無いまま終了。

一進一退の攻防。平田康輔がわずかに攻勢点を掴んだ中でのローキックヒット

◆第12試合 フライ級3回戦

トマト・バーテックス(VERTEX/徳島県出身24歳/ 50.3kg)6戦4敗2分
     VS
RIKIYA T-KIX(T-KIX/静岡県出身28歳/ 50.65kg)1戦1分
引分け 0-0 (29-29. 29-29. 29-29)

主導権を奪いに行く攻防はRIYIKAがやや攻勢も、徐々にトマト・バーテックスが巻き返した流れも決め手に欠ける展開で、引分けに終わった。ここから勝ち上がらないとランキングには入れない試練は続く。

前半はRIKIYAがやや優勢。徐々に盛り返したトマトも引分けに終わる

◆第11試合 ヘビー級2回戦

翁長リバウンドマン将健(真樹ジム糸満/沖縄県出身21歳/ 96.25kg)9戦4勝4敗1NC
       VS
直也(横須賀太賀/神奈川県出身28歳/ 119.3kg)2戦2敗
勝者:翁長リバウンドマン将健 / TKO 2ラウンド 1分29秒 /

接近戦のパンチ中心から巨漢で圧力掛ける直也に、翁長将健がフェイント掛けながら直也と距離を取り、第2ラウンドにはヒジかパンチか、直也の左瞼をカットもそのまま続行。更にパンチ連打でノックダウンを奪うと、カウント中にレフェリーストップとなった。

体格差はあったが、小刻みに動き、瞬発力で優った翁長将健が連打で勝利

◆第10試合 ウェルター級2回戦

大智(横須賀太賀/神奈川県出身24歳/ 64.45kg)1戦1敗
       VS
琉聖(平田/広島県出身18歳/ 65.4kg)1戦1勝(1KO)
勝者:琉聖 / TKO 2ラウンド 1分9秒 /

ガード無防備な大智に琉聖が攻勢を掛け、大智も躱しては向かっていく勢いはあるが、琉聖のパンチを受けると背を向けてしまう為、スタンディングダウンを奪われてしまう。なおも攻勢を掛ける琉聖で、初回は10-7を付けるジャッジも居たほど。
第2ラウンドも琉聖が圧倒し、右ストレートでスタンディングダウンを奪い、更にパンチ連打で、戦意乏しい大智は試合を止められてしまった。

ガード不完全な大智を仕留めるには時間が掛かったが、最後は連打で圧倒した琉聖

◆第9試合 女子ミネルヴァ・スーパーフライ級3回戦(2分制)

シンティア・モルティージョ(イタリア出身23歳/ 54.95kg)7戦4勝3敗
      VS      
SHIORIN(GRATINESS/愛知県出身28歳/ 54.55kg)9戦6勝1敗2分
勝者:SHIORIN / 判定0-3
主審:中山宏美
副審:椎名26-30. 宮沢26-30. 勝本26-30

初回に右ストレートでノックダウン奪ったSHIORIN。その後も右ストレートヒットを見せ、前蹴りやボディブローも効果的にヒット。シンティアも蹴りとパンチで攻め返す頑張りを見せたが、SHIORINが終始優った攻勢で大差判定勝利。

シンティア(左)に右ストレートヒットしてノックダウンを奪ったSHIORIN(右)

◆第8試合 女子ミネルヴァ・スーパーフライ級3回戦(2分制)

紗耶香(格闘技スタジオBLOOM/静岡県出身/ 52.1kg)19戦7勝(1KO)11敗1分
         VS
森田実幸(K-LIFE/鹿児島県出身20歳/ 51.55kg)3戦1勝1敗1分
勝者:紗耶香 / 判定3-0
主審:少白竜
副審:勝本30-28. 宮沢30-28. 中山30-27

紗耶香が首相撲に持ち込んでのヒザ蹴りで主導権を奪った展開。離れても蹴りで優った紗耶香。森田実幸は自分の距離に持ち込めないまま終了。

◆第7試合 女子ミネルヴァ・スーパーフライ級3回戦(2分制)

松藤麻衣(クロスポイント吉祥寺/長野県出身39歳/ 51.65kg)8戦3勝5敗
     VS
MIKU(K-CRONY/茨城県出身32歳/ 51.85kg)8戦3勝4敗1分
勝者:MIKU / 判定0-3 (28-30. 28-30. 28-30)

MIKUの先手の攻撃力が優っていく。前蹴りも松藤麻衣の前進を効果的に止めた。松藤麻衣も圧されながら蹴り返す力はあり、ジャッジ三者が揃うラウンドは無かったが、MIKUが攻勢を維持して判定勝利。

◆第6試合 女子ミネルヴァ 54.0kg契約3回戦(2分制)

MIO LaReyna(TEAM REY DE REYES/千葉県出身/18歳/ 54.0kg)8戦1勝6敗1分
      VS
ゼイナ・クランティッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ出身36歳/ 53.35kg)2戦1勝1分    
勝者:ゼイナ・クランティッチ / 判定0-3 (28-29. 28-30. 28-29)

5月11日に引分けた試合の再戦。パンチでも蹴りでも我武者羅な攻防の中、ゼイナのパンチヒットが優った。首相撲ではヒザ蹴りの攻防、崩し転ばす技もゼイナが優り、攻勢を印象付け判定勝利。

◆第5試合よりプロ 女子ミネルヴァ・アトム級3回戦(2分制)

鈴木萌(クロスポイント吉祥寺/東京都出身21歳/ 45.65kg)3戦2勝1分
       VS
夢結華(=山本夢結華/猛者連八幡支部/京都府出身18歳/ 45.0kg)2戦1勝1敗
勝者:鈴木萌 / 判定3-0 (30-28. 30-28. 30-28)

積極的な両者、蹴られても蹴り返し、打ち合いも怯まない中、中盤から的確差でやや優っていった鈴木萌が判定勝利。

◆第4試合 アマチュア女子 42.0kg契約2回戦(2分制)

瀬川柚子心(小野道場/14歳/ 39.75kg)vs西田永愛(伊原越谷/14歳/ 41.7kg)
勝者:瀬川柚子心 / 判定2-1 (19-20. 20-19. 20-19)

◆第3試合 アマチュア 52.0kg契約2回戦(2分制)

三浦龍之介(伊原越谷/14歳/ 51.7kg)vs渡部翔太(KING/14歳/ 50.05kg)
勝者:渡部翔太 / 判定0-3 (18-20. 19-20. 19-20)

◆第2試合 アマチュア 女子 51.0kg契約2回戦(2分制)

三橋暖愛(士道館ひばりが丘/12歳/ 49.55kg)vs武井梨子(RE-SPAWN/16歳/ 50.2kg)
勝者:武井梨子 / 判定0-3 (19-20. 18-20. 19-20)

◆第1試合 アマチュア 35.0kg契約2回戦(2分制)

渋谷剛(伊原越谷/12歳/ 34.3kg)vs小屋松晴空(BURNING/11歳/ 34.3kg)
引分け 0-1 (19-20. 19-19. 19-19)

※プロ新人戦 フライ級2回戦 中止
手塚瑠唯(VERTEX/19歳/ 50.7 kg)vs渡邊匠成(伊原/19歳)
渡邊の負傷欠場により中止。手塚は計量パスにより勝者扱いとなる模様。

《取材戦記》

当初、メインイベント出場予定の木下竜輔(伊原)は体調不良による欠場。代打となったNJKFの山浦俊一(新興ムエタイ)は本業の勤務中の事故で欠場。対戦予定だった選手は、在日の元・ラジャダムナン系フェザー級5位、ガン・エスジムで、中止に大きな影響は無いが、本来のメインイベントが消えた興行となった。

“セミファイナル格”の女子ミネルヴァ、AIKOvs Uver∞miyUは女子の最軽量級だけに一発で倒す強打も無く終わったが、両者の必死で向かう形相は、勝ちに行く姿勢が見られた好戦だった。

“メインイベント格”のジョニー・オリベイラvs岩橋伸太郎戦は決定打が少ない展開からラストラウンド、組み付く消極的攻防が増えると、レフェリーから「プロだろ打ち合え!」と檄を飛ばされた、もどかしい展開は役不足が顕著に表れた最終試合となった。

今回はスターの居ないかなり寂しい興行だった。フリー選手の起用やNJKFとの連立政権とは語弊があるが、DUELに近いカードで梃入れした興行が続いています。

そして10月26日興行TITANS NEOS.37へ向けて、ジョニー・オリベイラは試合への意欲旺盛で、連続出場の可能性高いだろう。エース格・木下竜輔は絶対必要。次の欠場は許されない。更にはまだまだ活かせる人材や、新しい興行の戦略をもって再び隆盛への道を歩んで欲しい老舗を継承する新日本キックボクシング協会である。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

WMO世界戦、馬渡亮太は幻の勝利か、王座は保留!

堀田春樹

7月13日に後楽園ホールに於いて行われたKICK Insist.23のメインイベント、WMO世界スーパーフェザー級タイトルマッチは前日計量から試合終了数日後まで波乱の展開となりました。

馬渡亮太が激戦の末、2-1判定で勝者コールされ、チャンピオンベルトも渡された後から、観衆は気付かずも、異様な雰囲気が漂ったリングサイド周りとその後の舞台裏。オーウェン・ギリスが第2ラウンドにノックダウン奪ってから大きく劣るラウンドは無いと見ている陣営は、採点の在り方に抗議すると、ジャッジ一人(タイ)の集計ミスを見付け、更なる猛抗議。運営進行係の集計ではなく、ジャッジの集計だった。

運営進行側のインスペクター(タイムキーパー等)は、ジャッジペーパーに集計ミスがあっても勝手に書き換えてはならない。間違いを認識した場合、変更指示出来るのは、この日の場合においては立会人だけだった。それでWMO立会人は、トータル記入どおりで良いと判断され、マイクで発表した運営進行側は指示に従うだけだったが、このジャッジ一人の記載ミスが大きな波紋を呼んだ。この担当ジャッジも、馬渡亮太がポイント優り、“勝者・馬渡亮太”と判断したなら、忖度したとしても明確に辻褄合う採点に気付くべきだっただろう。

ギリス陣営はWMO本部に直訴。審議され、試合結果は正規集計に基づき3日後、WMOサイトで三者三様の引分けに訂正。また、ジャパンキックボクシング協会側の言い分も伝えられたと考えられるが、発表された後、すぐ削除される様子もあり、裏舞台での攻防は、なかなか最終決定が下されなかったことに繋がりました。

プロボクシングでの各タイトルマッチは各ラウンド毎に集計され、インスペクターが記載しますが、今回のこのムエタイタイトルマッチの場合、ジャッジペーパー1枚には全ラウンドを採点記入し、ジャッジ自身で集計して渡す方式だった。

馬渡亮太の勝ちでも引分けでもいい。間違いない集計がされていれば大きな問題は起こらなかったはずである。

問題はここだけに留まらず、オーウェン・ギリスの計量失格となった前日計量にも遡ります。

前日計量は12日14時、水道橋駅近くの内海ビルにて行われ、オーウェン・ギリスは630グラムオーバー。15時55分、3回目の計量で330グラムオーバーで計量失格確定したが、陣営が持参したデジタルヘルスメーターを出して、「この正確な秤でリミット内だった!」と主張するギリス陣営。そんな個人所有のもの認められる訳もなく、出場者全員が公平に規定の正規計量器で量り、他2名の前座ウェイトオーバー者も最終的にこの秤でクリアーした。

オーウェン・ギリスは全裸で計量、3回目(15時55分)で計量失格は確定。

しかしオーウェン・ギリス陣営はここから理不尽な要求が始まった。「王座剥奪なら試合に出ない!」と言い出したらしい。試合中止は避けたいジャパンキックボクシング協会側は細かい制約は告げず、そのままリングに上がらせたが、実際はリング上でしっかり計量失格で王座剥奪をアナウンス。そこはギリス陣営は日本語が解らないと読み、抗議は起こらなかった。


◎KICK Insist.23 / 7月13日(日)後楽園ホール17:15~21:30
主催:(株)VICTORY SPIRITS、ビクトリージム
認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)、World Muaythai Organisation(WMO)

セミファイナル(第12試合)以下は前回掲載済。

◆第13試合 WMO世界スーパーフェザー級タイトルマッチ 5回戦

前・選手権者.オーウェン・ギリス(イギリス/19歳/ 59.6→59.3→59.3kg/+330g/計量失格)
        VS
挑戦者11位.馬渡亮太(治政館/2000.1.19埼玉県出身/ 58.96kg)
結果保留(判定1-2、或いは三者三様)

スーパーバイザー:アウラチャー・ウォンティエン(タイ)
審判構成はWMOが指示。主審はタイ、副審はタイから2名。日本から1名選出されています。
主審:ナルンチョン・ギャットニワット(タイ/採点には加わらない)

オーウェン・ギリスはアグレッシブに攻めるファイタータイプで初回から強い蹴りを繰り出して来た。馬渡亮太は蹴り返して互角に進んだ印象も、圧力あるギリスに馬渡も必死の形相。第2ラウンドにはギリスのパンチ連打に馬渡はヒジ打ちカウンターするも右フックでノックダウンを奪われる劣勢。中盤以降は馬渡が初回から続けたローキックや首相撲でのヒザ蹴りで徐々に優って巻き返し、最終ラウンドも持てる力を繰り出した両者。最後までパンチとハイキックなどパワーと勢いあったギリス。馬渡はギリスの左足を折らんばかりに効かせながら終了まで熱戦を繰り広げた。

初回から馬渡亮太も強い蹴りで渡り合った。
第2ラウンドにギリスの右フックでノックダウンを喫した馬渡亮太。
ノックダウン後、ギリスのアグレッシブなパンチに圧された馬渡亮太。

「セコンドはインターバル中に相手の様子を見ることも重要。」

過去、そんなことを言った仲間の記者が居たことを思い出した。第4ラウンド終了後のギリス陣営はギリスの左足を持ち上げるだけで表情を歪めて痛がった。そこも重要な注視ポイントだろう。

馬渡亮太もムエタイ技の一つが活かされた前蹴りヒット。
ギリスのハイキックに馬渡亮太はローキックを合わせる。ダメージあるのはギリス。
馬渡亮太のローキックを避け、サウスポーに変えるも右足を狙われる。

でも攻められてもオーウェン・ギリスは強かった。馬渡亮太はラストラウンドにもっとローキック出していればギリスは倒れただろうという周りの想いもあるが、馬渡亮太本人の戦略と、蹴りに行けなかった、そこは戦う本人にしか分からない事情もあっただろう。

7月25日時点でもジャパンキックボクシング協会、小泉猛代表には経緯も詳しく話して頂きましたが、「結果保留。WMOの連絡待ち」という状況。

深く追求すれば諸々の問題点と対策があり、今後に改善されていくことでしょう。
今回はWMO世界スーパーフェザー級タイトルマッチの試合前後の経過のみとなります。

進捗状況がいつ発表されるか分かりませんが、ここでは速報性が保てませんので、7月25日時点とさせて頂きます。

勝負は差戻しへ。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

KICK Insistは波乱の展開、睦雅は圧勝、馬渡亮太は幻の勝利!?

堀田春樹

好ファイトが続出した全14試合だったが、メインイベント終了後に波乱は起きた。馬渡亮太が勝者コールされたが、リングを下りてから雲行きが怪しくなったリングサイド周りとその後の舞台裏。採点の在り方にギリス陣営が抗議。マイクで発表した運営側に不備や責任は無く、今後WMOが対処する模様。

最終メインイベント以下、睦雅はコンビネーションブローで圧倒の勝利。
瀧澤博人はリズム掴めず苦戦しながらも、攻めの姿勢で僅差の判定勝利。
HIROYUKIが倒す気満々の攻勢でノックアウト勝利。
吏亜夢がムエタイテクニシャンのキヨソンセンを技と勢いで優って大差判定勝利。
細田昇吾が前回の敗戦から立ち直り、圧倒のノックアウト勝利。

◎KICK Insist.23 / 7月13日(日)後楽園ホール17:15~21:30
主催:(株)VICTORY SPIRITS、ビクトリージム
認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)、WMO

前日計量は12日14時、水道橋内海ビルにて行われ、オーウェン・ギリスは15時55分、計量失格。ゴリムは泣きながら何とかクリアー。花澤一成は軽く走って問題無くクリアー。

◆第13試合 WMO世界スーパーフェザー級タイトルマッチ 5回戦

前・選手権者.オーウェン・ギリス(イギリス/19歳/ 59.6→59.3→59.3kg/+330g/計量失格)
        VS
挑戦者11位.馬渡亮太(治政館/2000.1.19埼玉県出身/ 58.96kg)

正式に最終決定が下されば再度、触れたいと思います。

◆第12試合 63.0kg契約3回戦

WMO・INスーパーライト級チャンピオン.睦雅(=瀬戸睦雅/ビクトリー/ 1996.6.26東京都出身/ 62.8kg)29戦22勝(14KO)5敗2分
VS
タイ・ジットムアンノンStadiumライト級4位.ペットムアンデット・コルウッティチャイ(タイ出身20歳/ 62.6kg)61戦40勝18敗3分
勝者:睦雅 / TKO 2ラウンド 32秒
主審:少白竜

ペットムアンデットの多彩に出て来る勢いに負けず、ローキックからパンチ、組み合っても圧力掛けて出る睦雅。ペットムアンデットの出方を見極め、より前進。ロープに詰め、パンチ連打から飛びヒザ蹴りと勢いに乗る。

睦雅の三日月蹴りヒット、効果的にノックダウンに繋げた
睦雅の右ストレートヒット、蹴りとのコンビネーションブローでノックアウトに繋げた

第2ラウンドには右ストレートから右ローキックでノックダウンを奪う。更に右ローキックで脚を弱らせ、左フックでほぼ勝負を決め、連打とヒザ蹴りフォローでノックダウンを奪い、ノーカウントのレフェリーストップ。睦雅の余裕の完封TKO勝利となった。

5月30日にタイ・ルンピニースタジアムでのONE Friday Fightsに於いて、ヤイ・チャン(ミャンマー)に判定勝利した睦雅は、ジャパンキックボクシング協会の顔という自覚も持ってONE でベルト(王座)獲ることが目標と言う。今後も日本とタイで存在感を示す勢いは続きそうである。

◆第11試合 57.5kg契約3回戦

WMO・INフェザー級チャンピオン.瀧澤博人(ビクトリー/1991.2.20埼玉県出身/ 57.4kg)
44戦28勝(15KO)12敗4分
VS
ヌンプーシン・コルウッティチャイ(元・BBTVバンタム級5位/タイ出身22歳/ 57.5kg)
81戦61勝19敗1分
勝者:瀧澤博人 / 判定2-1
主審:椎名利一
副審:西村30-29. 少白竜29-30. 中山30-29

瀧澤博人は左ジャブでリズムを掴みたいが、ヌンプーシンの蹴りの圧力が瀧澤の勢いを止め、瀧澤の脇腹が赤く染まる。瀧澤は距離を詰めパンチを打ち込むが簡単にはヒットしない。

瀧澤博人の長い左ジャブ、試合のコントロールはここから始まる

最後まで主導権は奪えなかったが、要所要所でジャブやヒジを出し、ヌンプーシンの頬を腫れ上がらせたり、自分の距離に導こうとする前進でヌンプーシンの蹴りを凌いで終了。際どい判定となったが僅差で勝利を掴み、次の11月へのステップへ駒を進めた。

これがヌンプーシンの頬を腫らす一発か、瀧澤博人のヒジ打ちヒット

リング上の瀧澤博人は、倒し切れなかったことは残念と言い、「この悔しさでもっと強くなって次、11月興行で、もし世界戦が決まったら応援に来てください!」とアピールした。

◆第10試合 54.5kg契約3回戦

HIROYUKI(=茂木宏幸/元・日本バンタム級Champ/RIKIX/1995.10.2神奈川県出身/54.5kg)61戦41勝(21KO)16敗4分
      VS
アカラデット・クェイバンコーレーム(元・ジットムアンノン・フライ級3位/タイ出身24歳/ 54.0kg)78戦49勝26敗3分
勝者:HIROYUKI / KO 1ラウンド 2分5秒
主審:勝本剛司

両者の様子見の蹴りパンチの攻防は、余裕あるHIROYUKIが前蹴りでアカラデットを突き飛ばすとボディーを狙って距離を詰め、パンチからボディーへヒザ蹴りでノックダウンを奪うと、効いてしまったアカラデットは苦しそうにテンカウントを聞かされた。

HIROYUKIが前蹴りでアカラデットと突き飛ばした。狙いは定まったか
ヒザ蹴りでボディーを効かせたHIROYUKI、ノックアウトへ繋げた

◆第9試合 60.5kg契約3回戦

キヨソンセン・ビクトリージム(元・WMO・ICスーパーフェザー級Champ/タイ出身35歳/ 60.5kg)188戦110勝(15KO)70敗8分
         VS
WMC日本スーパーフェザー級チャンピオン.吏亜夢(ZERO/2004.12.栃木県出身/ 60.2kg)
25戦18勝(8KO)5敗2分
勝者:吏亜夢 / 判定0-3
主審:西村洋
副審:椎名 27-30. 少白竜27-30. 勝本27-30

吏亜夢は2024年6月9日、亀本勇翔と王座決定戦に初回カウント中のレフェリーストップ勝利で獲得。

キヨソンセンに蹴りでプレッシャーを掛け前進する吏亜夢。ローキックからストレートでボディブロー、首相撲もヒザ蹴りも吏亜夢が優った。キヨソンセンもやや劣勢な態勢も距離感を計り、要所要所で隙を突いて蹴って来るタイミングはベテランの上手さがあった。

吏亜夢は圧倒も倒し切れないもどかしさを残したが、圧倒の判定勝利。

吏亜夢のアグレッシブなヒットとキヨソンセンの巧みな技が交錯
優っていったのは吏亜夢のしなやかさ、ハイキックでキヨソンセンを襲う

◆第8試合 52.5kg契約3回戦

ジャパンキック協会フライ級1位細田昇吾(ビクトリー/1997.6.4埼玉県出身/ 52.4kg)
24戦15勝(4KO)7敗2分
        VS
ゴリム・クェイバンコーレーム(元・True4Uフライ級9位/タイ出身21歳/ 52.7→52.65→52.6→52.55→52.5kg)49戦30勝16敗3分
勝者:細田昇吾 / KO 2ラウンド 2分6秒
主審:中山宏美

初回から細田昇吾が先手を打つアグレッシブな展開。ゴリムのいきなりのハイキックはしっかり見て躱した。細田はパンチとローキックで弱点を探ると、第2ラウンドには右ストレートボディーブローでノックダウンを奪い、続けてボディブローによる3度のノックダウンを奪って圧倒のノックアウト勝利。

細田昇吾の狙ったボディブローヒット、上下多彩に攻め、ゴルムの弱点を掴んだ
細田昇吾のボディブローが効いたゴリムは蹲ってしまう

◆第7試合 ウェルター級3回戦

ジャパンキック協会ウェルター級3位.正哉(誠真/神奈川県出身22歳/ 66.3kg)
12戦7勝(3KO)5敗
         VS
同級5位.我謝真人(E.D.O/神奈川県出身33歳/ 66.678kg)17戦5勝(2KO)10敗2分
勝者:我謝真人 / KO 1ラウンド 2分51秒
主審:少白竜

初回の正哉のパンチで前に出る圧力からボディブローとハイキックはいい流れだったが、我謝真人が凌いで徐々にローキックで出た後、コーナーに詰め、ヒザ蹴りボディブロー一発であっさりノックダウンを奪うと正哉は立ち上がれずテンカウントを数えられた。

◆第6試合 スーパーフェザー級3回戦

ジャパンキック協会フェザー級3位.石川智崇(KICKBOX/神奈川県出身33歳/ 58.7kg)
9戦5勝3敗1分
        VS
青木大好き(OZ/千葉県出身29歳/ 58.6kg)14戦7勝7敗
勝者:石川智崇 / 判定3-0
主審:椎名利一
副審:西村29-28. 中山29-28. 少白竜29-27

初回、石川智崇のタイミングいい右フックでノックダウンを奪うが、青木も諦めずに攻めて来る中、蹴りとパンチで試合運びの上手さで攻勢を維持した石川智崇が内容的には圧勝の判定勝利。

◆第5試合 58.0kg契約3回戦

ジャパンキック協会フェザー級4位.眞斗(KIX/千葉県出身35歳/ 58.0kg)14戦5勝(2KO)7敗2分
        VS
松岡優太(チームタイガーホーク/宮城県出身23歳/ 57.8kg)4戦3勝1分
勝者:松岡優太 / 判定0-2
主審:勝本剛司
副審:椎名29-29. 中山28-30. 少白竜29-30

◆第4試合 73.0kg契約3回戦

白井大也(市原/千葉県市原市出身/23歳/ 72.75kg)6戦2勝(1KO)2敗2分
        VS
タイン・ノーナクシン(タイ出身23歳/ 72.9kg)40戦28勝10敗2分
勝者:タイン・ノーナクシン / 判定0-3
主審:西村洋
副審:椎名28-30. 勝本29-30. 少白竜28-30

◆第3試合 スーパーフライ級3回戦

花澤一成(市原/2004.4.9千葉県市原市出身/ 52.25→52.0kg)12戦3勝(3KO)6敗3分
    VS
磯貝雅則(STRUGGLE/東京都出身38歳/ 52.0kg)7戦2勝5敗
勝者:花澤一成 / TKO 3ラウンド 2分9秒
主審:中山宏美

初回から花澤一成が先手を打った多彩な蹴りで主導権を奪った流れでプレッシャーを掛け飛びヒザ蹴りも見せた。第3ラウンドに入るとやや手数減ったが、首相撲でも優って崩れ行く中、磯貝雅則が後頭部を打ってダメージを負うとノックダウン扱いとなって立ち上がれずカウント中のレフェリーストップ。5月25日の市原興行に続いて2連続KO勝利の花澤一成。これからが勝負。

◆第2試合 53.0kg契約3回戦

西澤将太(ラジャサクレック/埼玉県出身20歳/ 53.0kg)1戦1勝(1KO)
        VS
謙斗(バトルフィールドteamJSA/静岡県出身31歳/ 52.9kg)1戦1敗
勝者:西澤将太 / TKO 3ラウンド 39秒

多彩に蹴り合った両者は第3ラウンドに入って西澤将太がパンチ連打でノックダウンを奪うと続けて連打でノックダウン奪ってレフェリーストップに追い込んだ。

◆プロ第1試合 フェザー級3回戦

BANKI(治政館/埼玉県出身17歳/ 56.3kg)1戦1勝(1KO)
        VS
デートサヤーム・シット・デーンサヤーム(タイ出身19歳/ 56.8kg)7戦5勝2敗
勝者:BANKI / KO 1ラウンド 1分5秒

両者の鋭い蹴りの様子見の中、BANKIが右ハイキックをキレイにヒット。カウントアウトされ、短い時間だったが、密度の濃い攻防だった。

◆アマチュアキック 75kg級2回戦(90秒制)

西村寿一(SOGA/ 71.75kg)vsリブタック・ヒデ坊(K-BRIGHT/ 74.7kg)
勝者:リブタック・ヒデ坊 / TKO 1ラウンド 1分10秒

《取材戦記》

馬渡亮太が会場盛り上げる激戦を戦いながら勿体無いジャッジ側の不手際。試合後のオーウェン・ギリス陣営の猛抗議。収拾がつかず、正式な結果を載せることも出来ないので、この試合結果は7月17日夜時点で保留に致します。最新の情報はWMOのホームページ等で観られますが、最新の進展が発表されつつ、すぐ削除という展開もあるようです。ジャパンキックボクシング協会側も収集着くまで安易には発表できない事情もあるでしょう。

セミファイナル、睦雅までのアンダーカードは激しい展開が見られました。睦雅は圧倒の倒して勝つTKO勝利。瀧澤博人は際どくも勝利を掴んで次に繋げ、HIROYUKIはインパクトあるノックアウト勝利で存在感を示した。細田昇吾も前回のKO負けから払拭。再起を飾った勢い有るKO勝利でした。

次回のジャパンキックボクシング協会興行は9月15日(月・祝)に新宿フェースにてKICKInsist.24が開催予定。11月23日(日)には後楽園ホールに於いてKICK Insist.25が予定されています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」