『紙の爆弾』12月号に寄せて

中川志大 『紙の爆弾』編集長

日本初の女性首相として10月21日に始まった高市早苗内閣は、自維連立の経緯からして民意を無視したものですが、スタート時の支持率は68%(朝日新聞同月25~26日調査)。昨年の衆院選、今年の参院選で自民党が惨敗を喫した主因であり、公明党離脱のきっかけにもなった企業・団体献金の規制(廃止ではない)を拒否し、一方の日本維新の会も、廃止の主張を棚上げにして成立した高市政権に対してこの高支持率。トランプ米大統領来日時の従米姿勢すら大手メディアがほとんどまともに批判しない中で、本誌今月号では「責任ある積極財政」の中身など、詳細な分析を行ないました。そもそも、高市氏といえば、総務相時代の「電波停止」発言から、メディアと対立してきたように思われていますが、その一方で新聞業界から献金を受ける、新聞社の既得権益の擁護者でもあります。本誌記事「高市早苗首相のマネーロンダリング疑惑」は、そうした内実も明らかにしています。

自民党内に同居する極右・新自由主義・保守中道の3つのグループの中で、比較的財務省と距離を置いているように思われていたのが高市早苗氏でしたが、総裁に就任すると執行部人事で財務省路線(と統一教会癒着)を明確にしました。他方、総裁選後にみられた野党連携で首班指名選挙の対抗馬となったのは、元財務官僚であり、昨年衆院選で打ち出された消費税減税の流れを潰した玉木雄一郎・国民民主党代表で、どっちに転んでも財務省。さらに公明党の連立離脱は、政治経済学者の植草一秀氏が指摘してきた「2大従米保守グループの交代制」の構図が見え、対米自立リベラル勢力は消滅の危機にあります。

一方で公明党については、自民党との攻防とその後の「下駄の雪」路線を事実上主導してきた支持母体・創価学会の池田大作三代会長が2年前に死去したことから、今さらの方針転換は難しいものと認識していました。連立離脱が斉藤鉄夫代表の言う「自民党の不祥事を説明して歩かなきゃいけない」ことへの学会員の不満を背景にしているのであれば、高市自維政権よりよほど「民意」に基づいた結果といえます。

維新については前号でジャーナリストの吉富有治氏が、同党内で自民党との連立に対して考え方が二分していることを指摘。これを原因として9月に起きたのが維新議員の離党だったと分析しており、その後の展開を先読みする形となりました。その維新は自民党の補完勢力の役割を全うするとともに、大阪での自民との差別化もあいまいになって存在意義を失いつつあるものの、カジノ利権が引っ張れれば、あとはどうでもいいのかもしれません。

さらに今月号では、ロシア・ウクライナ戦争をめぐる詳細な分析を元外交官の東郷和彦氏が行ない、これは「反戦」を考えるうえで必読の内容です。またエマニュエル・パストリッチ博士が5カ国電子スパイ同盟ともいわれる「ファイブ・アイズ」の戦略を解説。いずれも他誌には読めないレポートです。『紙の爆弾』は全国書店で発売中です。

本誌執筆者で元TBS記者・田中塾塾長の田中良紹氏が病気のため10月7日に亡くなられました。直近では8・9月合併号「日本に野党はあるのか?」が、日本の「野党」の本質をえぐり、本誌のレベルを一段上げるレポートでした。今後も新たな視点を提供していただけることを期待していただけに、本当に残念に思っています。ご冥福をお祈りします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2025年12月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年11月7日発売

「政治とカネ」を闇に葬る最悪連立 自維金権腐敗政権 植草一秀
政治献金のグレーゾーンとマスコミ癒着 高市早苗首相のマネーロンダリング疑惑 黒薮哲哉
「万博」「都構想」「身を切る改革」そして…維新と吉村洋文は何度でもウソをつく 西谷文和
高市自維政権からの“報復”公明党連立離脱の全真相 大山友樹
「プーチンとの戦い」に前のめりなヨーロッパ ロシア欧州戦争の可能性 東郷和彦
戦争のできる国へ突き進む安保法制十年の軍事拡張 足立昌勝
漏洩された秘密文献から判明「ファイブ・アイズ」の対中国戦争計画 エマニュエル・パストリッチ
国家でもAIでもなく“決済”が言論を殺す クレジットカード帝国の静かな世界支配 昼間たかし
高市首相にあえて「保守」の姿勢を問う 木村三浩
日本社会を崩壊させる「SNS乗っ取り」と「ディープフェイク」の実態 片岡亮
BSL4施設の目的とは エボラウイルス研究所新宿移転の闇 早見慶子
公取委に訴えられた沼津市ほか「官製談合」疑惑 青木泰
エコロジストたちの大きな過ち メガソーラーが農業経営を圧迫する 平宮康弘
“芸能界のドン”引退でも再び利権化する「日本レコード大賞」 本誌芸能取材班
自罠党は二度死ぬ 佐藤雅彦

連載
あの人の家
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コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
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ニッポン崩壊の近未来史 西本頑司

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総力で月刊『紙の爆弾』の発行継続を勝ち取ろう! 今こそ集中して圧倒的なご支援をお寄せください!

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たとえ“便所紙”を使ってでも私たちはタブーなきリトルマガジン『紙の爆弾』の旗を死守します!

『紙の爆弾』編集長 中川志大 鹿砦社代表 松岡利康

月刊『紙の爆弾』を愛し支持される皆様!

このかんたびたび繰り返し申し述べているように、私たちは、常に休刊の危機に喘ぐ月刊『紙の爆弾』の発行継続を図るために呻吟しています。

ご承知のように月刊『紙の爆弾』は2005年の創刊から幾多の苦難を乗り越えて本年4月で20周年に至り、多くの皆様方に祝っていただき、また叱咤激励も受けました。少なくとも4・5、7・12の東西2つの「反転攻勢の集い」に参加された計150名余の方々は『紙爆』に対して大きな期待を持っておられることが直に判り感銘いたしました。おそらく多くの雑誌が権力のポチ化し、『紙爆』のようにタブーを恐れない雑誌がなくなったからでしょう。以後私たちは、次の10年に向けて歩み始めていますが、なかなか財政問題をクリアできず、いまだ苦境にあります。

ちなみに、ここに来て老舗の芸能雑誌が続々と休刊になっています。領域は異なりますが、雑誌を毎月発行していくことが困難になってきた時代を象徴することだと実感しています。

これから年末に向かう中で、今こそ皆様方に圧倒的なご支援をいただきたくお願いいたします!

◆基本は本を買ってご支援!

いやしくも私たちは本や雑誌を出す出版社ですから、本を買ってご支援いただくことが基本です。まずもって『紙爆』に広告を掲載している書籍からご購読お願いいたします! 下に掲載の書籍は比較的最近(コロナ以降)のものですが、お買い漏れの書籍がございましたらぜひご注文ください!

そうして、これまで発行した既刊本や『紙の爆弾』のバックナンバー(一部の方々にはお知らせしていますが倉庫代軽減のため年内で断裁処分せざるをえなくなりました)などのご購読(できればまとめ買い)を早急にお願いいたします。既刊本の内容につきましては、鹿砦社HPをご覧になってください。また、HPに掲載していない書籍のリストは本社にご請求ください。そうして、ここ数カ月続けて来た「セット直販」もお願いいたします(年内いっぱい受け付けます)。

さらに金額は問いませんのでご支援カンパもお願いします。余裕がある方には1口5万円(以上)の特別カンパを、正念場である今こそ集中してお願いいたします!
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さらに『紙の爆弾』の発行継続には、この拡販が必須となります。ある方は、「振替用紙をまとめて送ってくれ」と言われ、指示通り送ったら、たちまち10人ほどの定期購読を獲得してくださいました。このようにして定期購読を増やしていければ、と思います。皆様の身近な方々に『紙爆』をお薦めください。

さらに、定期購読の新規申込や更新の際に、鹿砦社の本を1~2冊一緒にご購読いただけるようにお取り計らいください。小さなことですが、これもまとまれば大きな力になります。よろしくお願いいたします。

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◎ご注文、ご支援金は、下記のようにお願いいたします。送料は不要です。定価(税込み)の合計のみをご送金ください。

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② 銀行振込(三井住友銀行甲子園支店 普通 4304399(株)鹿砦社) (ご送金後、ファックスかメールにてお名前、ご住所、お電話番号、書籍名をお知らせください。)

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『紙の爆弾』11月号に寄せて

中川志大 『紙の爆弾』編集長

自民党総裁選は前回に見た面々、誰が勝っても同じという不毛なものでした。自民党にとって昨年より状況が悪化しているのにこれでは……と誰もが思うでしょうが、では誰がいるのかといえば、誰も思いつかない。だから「石破辞めるな」が説得力を持ってしまったのでしょう。むしろ、維新・国民民主、あるいは参政党と、どの補完勢力を選ぶかということの方が、まだ考えようがあります。加えて、自公政権が衆参で少数与党である中で、今回も自民党の総裁選が電波ジャックをすることに正当性があるのか。マスメディアの異常さが、ますます浮き彫りになっています。

総裁選の不毛さを自ら強調するかのように、候補者が「外国人政策」を訴えたことに、参政党躍進の影響があるのは言うまでもありません。付け加えるなら、彼らは参政党を排外主義とみて、それが受けたと考えていることが、その主張の内容から読み取れます。10月号では、「日本人ファースト」がなぜ支持されたのか、その理由に焦点を当てました。大西広慶應義塾・京都大学名誉教授の指摘は、彼らこそ読むべきものです。「日本人」がどういう状態にあるのか、その原因は何なのかに向き合わない限り、国内世論の断絶を含めた「移民問題」は解決に向かいません。

そもそも、排外主義はどこではびこっているのか。個人的な実感をいえば、それなりに共生している地域が大半だと感じます。本誌執筆陣のひとり、木村三浩氏が代表の一水会のX(8月27日付)で、「川口市内各地の住民5000人に治安について聞いたところ、大半が『自宅周辺の治安は良い』と回答したが、同時に大半が『川口市内の治安は悪い』と回答した」という埼玉県川口市議の調査結果が紹介されています。そもそも日本人同士がきちんと共生しているのか。今の混乱状況自体を問題視すべきだと考えています。

消費税減税や政治資金問題の根本解決を封殺した石破首相が、それでも「レガシー」にできたはずだったのが、「パレスチナ国家承認」でした。フランスやイギリスが承認に動く中、石破首相は国連演説で、「イスラエルが『二国家解決』への道を閉ざすさらなる行動をとる場合、パレスチナを国家として承認する」などと述べたのは、まるで自分がカードを持っているかの物言いです。見送りがアメリカ政府を忖度した結果であることは言うまでもありませんが、少なくとも1990年代の日本には、アラブの国々に対して日本の自主外交を示した実例があり、それゆえに国際的な評価を受けていました。当時よりも対米従属が深化していることを、今回の事態は示しています。一方で、フランスをはじめ「承認」に回った国々にも、一定の目論見があるようです。本誌記事で詳細に明かしています。

ほか今月号では、10月13日閉幕の「2025大阪・関西万博」の“成功”をアピールしながら“辞任ドミノ”に揺れる維新の内情を解説。「大川原化工機事件」違法捜査が明らかとなった公安警察の歴史、国際表現規制といわれる「ハノイ条約」について提案国・ロシア外務省を取材、ネパール・インドネシアなどで相次ぐ“デモ暴動化”の理由、「アフリカ・ホームタウン騒動」の裏側など、本誌独自の視点でレポートをお届けします。『紙の爆弾』は全国書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2025年11月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年10月7日発売
 

石破政権とは何だったのか? 財務省に操られた日本政治の真相 植草一秀
「万博成功」のはずが離党ドミノ 維新「副首都構想」の目的 吉富有治
フランスが動いた意図「パレスチナ国家承認」の真実 広岡裕児
米欧も絡むガザ沖合天然ガス争奪戦 イスラエル暴走の理由と「核危機」 平宮康弘
中国軍事パレードの裏で中ロ首脳の最大関心事 浜田和幸
原子炉格納容器がはらむ6大リスク 柏崎刈羽原発6号機設計者が語る脆弱性 後藤政志
「大川原化工機事件」違法捜査の闇 国民監視組織・公安警察の実相 足立昌勝
大江健三郎も上野千鶴子も“禁書”に?国際表現規制危機「ハノイ条約」とは何か 昼間たかし
日本政府「パレスチナ承認見送り」の大愚 木村三浩
混乱を招いた日本政府の不作為「アフリカ・ホームタウン」騒動の深層 片岡亮
「グローバリズム」はこうして始まった イチからわかるディープ・ステートの正体 広瀬隆
ネパール・インドネシア デモ暴動化の背後 早見慶子
予言への正しい向き合い方 佐藤雅彦
経団連による教育現場介入の危険性 永野厚男
シリーズ日本の冤罪 品川美容外科捜査資料漏洩事件 片岡健

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『紙の爆弾』10月号に寄せて

中川志大(『紙の爆弾』編集長)

10月号はマルクス経済学者で人口問題を研究する大西広・慶應義塾大学/京都大学名誉教授が「日本人ファースト」を分析。まず、このスローガンをもって参政党が大きく支持を集めた理由から明らかにしました。そのうえで、「日本人ファースト」はその前提に「日本人」が苦境にあるとの共通認識があり、排外主義批判だけではそれに対応していません。では、日本人の苦境とは何か。参政党支持者の中でも割合が高いのが就職氷河期世代です。格差拡大が結婚・出産を阻害し、人口減少を加速させています。「ヒトより資本」の資本主義が海外の安価な労働力を求めれば、それが国内の賃金水準の向上を妨げることにつながります。もちろん、日本に外国人が来ること自体が問題なのではなく、重要なのはそのスピードだと大西氏は指摘。「日本人ファースト」を問題として捉え、その解決を目指すのであれば、「日本人」が苦境にある根本的な原因に目を向けなければなりません。本誌記事では、その原因とともに、今の社会が正確に捉えられていない人口減少問題の深刻さを、明快に解説しています。

参政党は「参政」の名が示すとおり、とにかく政治参加させる(党員を増やす)ことを目的として掲げています。立ち上げメンバーで、後に脱退した国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は、「組織拡大のマーケティング対象として集めた党員層にウケる政策を言い続ける必要がある」と解説しています。主張のそれぞれの関係、あるいは一つの主張においても一貫性がないのはそのためなのでしょう。一方で、特に神谷宗幣代表は、なぜか天皇制だけは、マーケティングにさほど寄与しなさそうなのに、こだわっているように見えます。しかもその中身は本誌で足立昌勝氏が今回主張しているように、「いったい誰が求める天皇像なのか」というものです。この辺りにも、同党について考えるきっかけがあるように思います。

4月号に続き、鈴木宣弘・東京大学大学院特任教授に登場していただきました。まず猛暑の中で、もともと少ない備蓄米が放出されたことは、食料安全保障において危惧されるところですが、それが国内の新米で補充されない可能性があると鈴木氏は指摘。加えて、35年前の1990年の米の小売価格は1キロ4933円。今の米価高騰は急激すぎるとはいえ、まさに失われた30年で、いかに日本社会が貧しくなったかが、ここに反映されています。ほか記事では、財務省やグローバル企業の問題、ゲノム編集や添加物の問題にも踏み込んでいます。全てが繋がっていることがわかります。なお、日本の少なすぎる米備蓄については、その原因と解決策を別記事でも探っています。あわせてお読みください。

参院選で、参政党とともに議席を伸ばした国民民主党では、mRNAワクチンを問題視してきた須藤元気元参院議員の転向も話題となりました。同ワクチンについては、接種開始時点で治験が終了していなかったことがポイントのひとつで、須藤氏もそれを指摘してきましたが、須藤氏が国民民主党の公認を受けるにあたり、玉木雄一郎代表と福田徹衆院議員が須藤氏に「治験は終わっていた」と諭す動画が配信。しかし、ジャーナリストの藤江成光氏の質問に、福岡資麿厚労相が「治験終了は接種開始後」と答えており、須藤氏がウソの踏み絵を踏まされていたことがわかっています。問題は、このウソを聞かされた須藤氏の元支持者で、一番の被害者といえるでしょう。

さらに今月号では、「不正選挙」が疑われる期日前投票制度の欠陥、日本製鉄によるUSスチール買収のその後、桐島聡氏をめぐり見過ごされた本質、韓国で大統領夫人が逮捕・起訴された旧統一教会問題など、さまざまなテーマを独自の視点で取り上げています。『紙の爆弾』は全国書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2025年10月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年9月5日発売

[インタビュー]大西広 慶応義塾大学/京都大学名誉教授
人口問題の見地から考える本物の「日本人ファースト」
国民の食と命を差し出すニッポン「亡国農政」からの脱却 鈴木宣弘
不正を生む期日前投票制度 参院選で残された犯罪の足跡 青木泰
国民民主党が広めた ワクチン安全性めぐるウソを追及する 高橋清隆
日韓「政治と宗教」問題 韓国で解明進む旧統一教会資金ルート 片岡亮
米国に支配された「日本防衛」FMSの従属構造を断て 木村三浩
日本人も外国人も関係ない AI時代の労働問題を考える 青山みつお
アメリカで特許が取得された「STAP細胞」の現在 早見慶子
日本製鉄「USスチール買収」の狙いとリスク 浜田和幸
桐島聡さんと足立映画『逃走』が問いかけるもの 野田正彰
海がもたらす解決策「少なすぎるコメ備蓄」の本当の理由 平宮康弘
芸能界”昭和のドン”の死と新興事務所の金銭トラブル 本誌芸能取材班
政界バカッターをどう始末するか 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪 みどり荘事件 尾崎美代子
【ご報告】7・12「鹿砦社反転攻勢の集い・関西」松岡利康

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『紙の爆弾』2025年 8・9月号に寄せて

中川志大(『紙の爆弾』編集長)

東京都議選、そして参院選前の重要な時期にマスコミを席巻した元TOKIO国分太一の騒動。本誌校了時点で、彼が何をしたのかは明らかになっていないものの、これを「スピン」と見る声が相次いでいます。別のニュースを大々的に流すことで、権力にとって不都合な事態から大衆の関心を逸らせる「スピン報道」を疑う指摘がしばしばみられるようになりました。その点で、今月号で政治経済学者・植草一秀氏が解説する「令和の米騒動」の本質を隠す小泉進次郎農水相の“三文芝居”、そのどさくさ紛れの年金制度改悪、「103万円の壁」と「106万円の沼」、かき消されつつある企業・団体献金禁止と消費税減税。問題から目を逸らさない姿勢が求められます。また、そこに本誌の役割も見出しています。

今月号では、「遺伝子組換え米でつくる、飲む新型ワクチン」こと「ムコライス」について解説を試みました。問題は、これ自体に潜むmRNAワクチンと同様の危険性はもとより、コロナ・パンデミックを機に(ひょっとするとそれ以前から)日本人がかけられてしまった「ワクチンを打たないと病気になる」という洗脳です。そもそも製薬会社が“薬”よりも“ワクチン”の開発に積極的であるのはビジネス上の理由です。記事ではその点から、現代社会における医療の現実に迫るとともに、本来的に人間に備わっている免疫システムについても確認しています。

ところで、6月20日の「中身は言えない」ことを言っただけの日本テレビ社長会見。犯罪行為である「24時間テレビ」寄付金着服で会見を開かないところから、アリバイづくりの目的が明らか。都議選後の石丸伸二氏の会見で、ネット配信カメラをひたすら記者に向ける様子が話題になったものの、フジテレビも含めて取材者に批判的な反応を視聴者から引き出す狙いとして、やっていることは同じではないかと思われます。もちろん、メディア側が対抗策を持っていないことも問題です。

本誌発売日は参院選期間中。まともな論点が提示されるかが問題であるものの、この間、財務省のあり方を含めて「税」に注目が集まっているのは、悪い流れではないと思います。石破茂首相の「2万円選挙買収」は、受け取る人が自民党に投票すれば「買収」が成立する、という指摘があり、これが正解でしょう。

7月号で採り上げた「日本航空123便墜落」の真相究明を続ける青山透子氏インタビューには、“多方面”から大きな反響をいただきました。本誌記事は、参院選を前に青山氏や遺族の吉備素子さんへの言論妨害といえる佐藤正久・自民党参院議員の国会質疑に反論する形で、青山氏の活動の一側面を紹介したものです。7月4日発売の新刊『日航123便墜落事件 四十年の真実』(河出書房新社)が発売。本誌記事が同書を読むきっかけになれば幸いですし、青山氏の著作を読んだ方が、本誌を手に取るきっかけになれば幸いです。

さらに今月号では、5年前の7月18日に命を落とした俳優・三浦春馬の“不審死”について、究明活動を続けるファンの声を集めました。ほか、広島県の水を汚染する産廃処分場問題、米価格をさらに上昇させる“農薬”、そして権力の不正に大して“非開示”を許さない「情報公開制度」の“画期的判例”など、本誌でしか読めないレポートを多数お届けします。『紙の爆弾』は、全国書店で発売中ですので、ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2025年 8・9月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年7月7日発売

「令和の米騒動」の正体 その裏で進む複数の危険事態 植草一秀
日本に野党はあるのか 自民党が権力を握り続けた「日本型民主主義」の真相 田中良昭
“投資の神様”ウォーレン・バフェットの光と闇 浜田和幸
攻撃開始後に政権支持率上昇 イスラエルが「イラン戦争」を始めた理由 広岡裕児
「ワクチンを打たないと病気になる」という洗脳 コメで作った新型ワクチン「ムコライス」とは何か 早見慶子
芸能・広告界の虚構の営業戦略「清純派女優」の終焉 片岡亮
民主主義国家における「秘密」とは何か「スパイ防止法」と憲法九条 足立昌勝
「横田空域」「米軍司令部移転」「PFAS」東京都の米軍基地問題を衝く 木村三浩
「行政の不法を隠す非開示は許されない」情報公開制度の壁を取り払う画期的判決 青木泰
5年を経ても抗議を続ける理由 三浦春馬“不審死”の真相究明活動 三川和成
三原本郷産廃処分場「産廃フリーパス」という広島県の惨状 さとうしゅういち
国内農業を守るためにすべきこと 米価格と農薬の語られざる関係 平宮康弘
ジャニーズ、スターダスト、そして松山千春「反省」しない芸能人と芸能プロ 本誌芸能取材班
亡国「自罠党」を葬り去るために 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪 南馬込実母焼殺事件 片岡健
「名誉毀損」に名を借りた出版弾圧から二十年 松岡利康

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【最終回】「ニッポン崩壊」の近現代史 西本頑司

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『紙の爆弾』7月号に寄せて

中川志大(『紙の爆弾』編集長)

40年前の1985年8月12日に起きた「日本航空123便墜落」の再検証を求める世論が、ここ数年、あらためて高まっています。一方で4月10日、真相究明をリードしてきた元日航国際線客室乗務員の青山透子氏の著作に対し、自民党の佐藤正久参院議員が外交防衛委員会の質疑で「フェイク情報」であり「全国学校図書館協議会の推薦図書に選ばれているのはおかしい」などと発言。即座に青山氏と遺族の吉備素子さんが言論弾圧であるとして抗議声明を発表しています。そこで、今月号で青山氏にインタビューしました。現在の世論の盛り上がりのきっかけとなった故・森永卓郎氏は、墜落を自衛隊反対論に繋げないため日本政府が米ボーイング社に泥をかぶってもらい、引き換えに同85年のプラザ合意、翌年の日米半導体協定など、米国言いなりの政策を日本政府は呑まされ、戦後好調だった日本経済を低迷に向かわせたと指摘。その森永氏が称賛したのが青山氏の著作群で、彼女からは膨大な資料に向き合い事実を積み重ねる姿勢を感じました。

7月号では「川崎ストーカー」「立川小学校侵入」など、最近に起きた事件をいくつか扱いました。川崎では警察とマスコミの動きに焦点を当てた一方、立川では、この騒動を利用した「モンスターペアレント」のレッテル貼りを懸念しています。さらに、近年やたらと強調される「カスタマーハラスメント」(従順な消費者)と監視・管理社会の関係は、ジャーナリストの高橋清隆氏が指摘してきたところでもあります。教育現場に限らず、正当な要求が「モンペ」「カスハラ」扱いされて封殺される。すでに杞憂ではないかもしれません。

物価高騰、特に米の暴騰が、生活を直撃しています。ただし米については、小泉進次郎新農相が就任早々に備蓄米について「5キロ2000円」を打ち出しました。「古古米、古古古米で2000円は当たり前」また「できるのならもっと早くやれ」という声が聞かれるものの、実現すれば「レジ袋」で落とした評価が逆転、小泉首相の目も出てくるのでは。そもそも、小泉氏が次期首相アンケートにリストアップされ続けること自体が疑問でしたが、何らかの“筋書き”が見えてきそうです。さらに、米価以外の政策課題や不祥事が吹き飛んだ現状にも、違和感を禁じえません。

この「令和の米騒動」において、「家畜の餌」発言でさらに評判を落としたのが国民民主党・玉木雄一郎代表。本誌レポートのとおり、山尾志桜里・足立康史の両元衆院議員や、脱原発派・新型コロナワクチン懐疑派から変節した須藤元気・前参院議員ら、参院選比例区の候補者選定で国民民主党支持者からも反発の声がやみません。問題の「確認書」を読むかぎり、むしろ憲法破壊と原発推進こそ国民民主党の第一の目的なのではないかと思われます。

ほか7月号では、作家・広瀬隆氏によるディープ・ステート(DS)解説、大規模再エネ発電と電気自動車製造が農業に与える被害、2025年7月5日「大災害」説の真相など、今月も独自目線のレポートをお届けします。『紙の爆弾』は、全国書店で発売中です。未見の方も、ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年7月号

『紙の爆弾』2025年 7月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年6月7日発売

青山透子氏インタビュー「日航123便墜落」真相究明に政治の言論封殺
トランプ大統領への“お土産探し”石破茂首相 東南アジア訪問の裏目的 浜田和幸
飛松五男解説 川崎ストーカー事件は警察の犯罪である
“原発ゼロ”から変節の石破政権を延命「原発推進党」という国民民主党の正体 横田一
両国ジャーナリストが語る インド・パキスタン対立激化が日本にもたらす大影響 片岡亮
「暴騰歓迎」JAと自民農林族発言の符合 米価異常高騰の謎を読み解く 青山みつお
「ひめゆりの塔」西田昌司発言に表れた自民党の本質 足立昌勝
大規模再エネ発電と電気自動車が農業を滅ぼす 平宮康広
下田条約締結170年・訪露報告 ロシアは「停戦」ではなく「終戦」を求めている 木村三浩
ゼロからわかるディープ・ステートとは何か? 広瀬隆
7月5日 令和「大津波」の真相 エドワード・ホラー
フジテレビ幹部が戦々恐々 中居正広“反論”が明かす事実 本誌芸能取材班
NHK100年の呪い「英語会話」という名の奴隷教育放送(後編) 佐藤雅彦
モンスターは保護者だけか?「モンスター校長・教委職員」の実態 永野厚男
原発をなくすための石炭火力発電推進論 平宮康広

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「ニッポン崩壊」の近現代史 西本頑司

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『紙の爆弾』6月号に寄せて

『紙の爆弾』編集長 中川志大

さて、6月号では前号に続きウクライナ戦争の裏側を解説。前号では戦争を勃発させ、終わらせない勢力について分析。今月号では“利権”に焦点を当てました。米国トランプ大統領が主導する停戦交渉ではウクライナ国内の地下資源がカギとして取り沙汰されていますが、それらに開戦前から手を付けていたのが米国巨大投資ファンド。そこでゼレンスキー大統領が果たした“役割”など、この戦争の実態と停戦の行方を考えるうえで不可欠な情報をお伝えします。

また、自公政権でもこれみよがしに減税論が取り沙汰されている消費税をめぐっては、マスコミで報じられないもう一つの側面である「輸出還付金」について解説。前号では政治経済学者の植草一秀氏が、高額療養費制度改悪について、「十分な医療」を富裕層だけが受けられるものとする制度改変だと指摘しましたが、消費税もまた、その逆進性だけでなく、輸出大企業優遇のシステムを内包しています。そうである以上、いまの減税論と関連報道も、“本質隠し”の側面があることに留意する必要があります。

そして、世界を揺るがせているトランプ関税。「格下も格下」の日米関係を正常化するために、「地位協定は変えられる」そして「日米安保は破棄できる」という事実を確認しました。それらはいずれも単なる理念ではなく、むしろ日本の安全保障と世界の平和・安定に寄与するものです。とくに元外務省国際情報局長の孫崎享氏は、日米地位協定改定のための具体的な方法を提示。さらに、国際的に異常な日米安保を正当化するデタラメな中国脅威論がなぜこれほどまでに日本中を覆っているのか。その“犯人”と“目的”を明快に指摘しています。

必然的に、誌面で米国トランプ大統領に関する話題が多くなっています。両面での分析が必要ですが、いずれにおいても結論は、日本の自立が必要だということ。4月号・5月号をはじめ、本誌はこれまで戦争を勃発させる勢力・工作について指摘してきました。また新たな戦争が起きるとしても同じこと。それに与しないために、日本の再独立が求められています。

フジテレビ問題が、少しずつ動きを見せはじめています。もっとも注目すべきはフジHDの外国人株主、米国ファンドの動きです。原因はフジにあるにせよ、スポンサー離れのきっかけはダルトン社の書簡だったと報じられています。そして、取締役候補にジャニーズ瓦解後を引き継いだスタート社社長。ジャニーズ問題にしてもフジ問題にしても、「外圧」が日本を健全化するかの楽観的な報道が目立ちますが、“黒船”が日本に何をもたらしたのかをおさらいする必要があります。

大阪・関西万博が開幕し、形だけは批判することもあったマスコミは予定通り大本営化しました。すると俄然、勢いづいているのが万博推進派。開催意義、中抜き、危険性など、指摘されていた問題が何ひとつ解決されていないにもかかわらず、なぜか勝ち誇ったような振る舞いを続けています。事態の本質は「公金収奪のカジノ万博」です。

ほか、麻生太郎・自民党最高顧問の「参院選事前運動疑惑」、「無所属の会」を立ち上げた内海聡医師が語る「日本の医療と政治の関係」、警察による違法な「架空名義口座」開設など、今月号も必読のレポートの数々をお届けします。前号で創刊20周年を迎えた『紙の爆弾』は、全国書店で発売中です。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年6月号

『紙の爆弾』2025年 6月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年5月7日発売

アメリカ巨大投資ファンドが蠢くトランプ「相互関税」とウクライナ戦争 浜田和幸
“中国脅威論”をばらまく犯人は誰か「日米地位協定」は変えられる 孫崎享
「石破おろし」「玉木首相擁立」計画 麻生太郎 参院選事前運動疑惑 横田一
マスコミが報じない大企業への“8兆円補助金”消費税「輸出還付金」を廃止せよ! 青山みつお
内海聡医師インタビュー 権力の奴隷にならないために「政治と医療」を考える
際限なき権限拡大 警察が「架空名義口座」開設 足立昌勝
山形県上山市清掃工場 重金属汚染による健康被害 青木泰
人気女優を襲ったいくつもの“悩み”広末涼子「事件」の背景 本誌芸能取材班
会社分割で「外資の草刈り場」と化すのか フジテレビ解体 片岡亮
在日米軍を撤退させ日本が軍縮を主導すべし 木村三浩
不戦国家・日本がなぜ「停戦」に無関心なのか 青柳貞一郎
劣化した現代政治をAIは見下し嘲笑する 愚劣なトランプ外交と古い地政学の克服 藤原肇
「ラジオ英会話」という名の奴隷生産教程 佐藤雅彦
ミャンマーで日本が展開中「現代版インパール作戦」 平宮康広
教職員への処分取消第五次訴訟「“君が代”強制」めぐる教育現場の現在 永野厚男
シリーズ 日本の冤罪 三崎事件 片岡健
5月号記事「伊藤詩織監督映画上映妨害は言論弾圧だ」に反論します 佃克彦
[ご報告]『紙の爆弾』創刊20年『季節』10年 4・5「鹿砦社反転攻勢の集い」

〈連載〉
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER Kダブシャイン
「ニッポン崩壊」の近現代史 西本頑司

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
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『紙の爆弾』創刊20周年に際し、私たちの想いをまとめ、同誌5月号(20周年記念号)に掲載しました!

鹿砦社代表取締役会長 松岡利康

同誌5月号に4ページ割いてもらい、同誌創刊20周年に際しての私たちの想いを書き連ね掲載しています。

本来なら、発売まもない号の一部を転載することはめったにありませんが、同誌を購読されていない方にもぜひお読みいただき、これを機会に他の記事もお読みいただくためにご購読をお願いいたします。

私たちのこの20年の軌跡は4ページに収まるものではありませんが、創刊当時の出来事など概略はつかめるかな、と思います。

『紙の爆弾』2025年5月号に寄せて 『紙の爆弾』編集長 中川志大

5月号では、開戦3年を過ぎたウクライナ戦争を“終わらせない勢力”の存在をジャーナリスト・田中良紹氏が指摘。現在を含め、戦争終結に向かう動きを封じ込めてきたネオコン勢力と、その影響を強く受けつつ世界を席巻する“リベラル・デモクラシー”に切り込みました。日本国内では、自公少数与党をなぜか打倒しようとしない野党勢力を国際政治学者の植草一秀氏が分析します。なぜ、昨年衆院選で国民が自公に鉄槌を下したにもかかわらず、政権交代の機運が早々に途絶え、自公政権存続の方向性が直ちに定まったのか。今国会の焦点のひとつであった高額療養費制度改悪とアベノミクスの関係、またそれが凍結ののちに、次期参院選の重要なキーポイントとなること。また企業団体献金禁止を妨げる野党勢力についても明らかにしています。

全国で「財務省解体デモ」が盛り上がる中、財務省が持つ“異常な権力”について、『消費税という巨大権益』『本当は怖い税金の話』などの著作を持つ元国税調査官・大村大次郎氏が徹底解明。「日本の財務省は先進国ではありえないほどの巨大な権力をなし崩し的に保持している」と断言する大村氏の言葉は、問題意識を持つ人のみならず必読です。さらに“減塩信仰”の嘘と「塩の効用」を神戸・ナカムラクリニックの中村篤史医師が解説。健康に関する情報としてはもちろん、私たちが日々いかに“洗脳”の中にあるか、考えるきっかけとなるものです。

本誌発売後に開催される「大阪・関西万博」で、石毛博行事務総長は“成功”の基準を問われ、「想定来場者の2820万人は想定であって目標ではない」と答えています。そもそも万博は、宣伝して客を呼ぶ商業イベントではないとは思っていましたが、人が来ないということは、関心を持たれていないということ。つまり、計画当初から問われていた「開催の意義」が、万博そのものにはやっぱりなかったということです。結局のところカジノ万博であり、加えて今月号で植草一秀氏は「産廃と淡路島」に言及しています。福島第一原発事故で国と東京電力旧経営陣を免罪した最高裁判事の顔ぶれを明らかにしていますが、危険が明らかな原発や失敗が明らかな万博を止められない政治・社会の構造をなんとか変えることこそ、いま求められていることです。

本誌はついに創刊20周年。編集長を務める私自身が「右も左も」どころかゼロから出発し、試行錯誤を繰り返してきました。いま、書店の減少がなお加速し、コンビニも雑誌を扱わない店が増えました(本誌はもともと書店のみですが)。一時は隆盛を見せた保守系雑誌も発行部数を減らしているといいます。ただし、経済的な意味での需要の減少は避けられないとしても、社会的需要=言論としての価値は増えていると感じています。課題は山積みです。『紙の爆弾』はそこにより深く楔を打ち込むとともに、読者に迫るメディアであろうと考えています。  全国書店で発売中です。ぜひご一読をお願いします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2025年 5月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年4月7日発売
戦争を終わらせないのは誰か ウクライナ戦争の真実 田中良紹
自公少数与党と対決しない 維新・国民民主・立憲民主の裏側 植草一秀
元国税調査官・大村大次郎インタビュー 財務省を解体すれば日本は確実に良くなる
道義平和国家・日本の矜持を取り戻せ!シリア「政権の空白」で何が起きているのか 木村三浩
減塩で糖尿病・がん・心筋梗塞・肥満リスク増「塩の効用」を考える 中村篤史
SNS言論封じ法「情報流通プラットフォーム対処法」の言論統制 足立昌勝
「米露同盟」と「ヨーロッパ再軍備」アメリカの多国籍軍NATOの崩壊 広岡裕児
福島第一原発事故「国も東電経営者も責任なし」と判断した最高裁判事たち 後藤秀典
「コメ価格急騰」への影響も 誘拐被害者が語ったミャンマー詐欺拠点の実態 片岡亮
トランスジェンダー論争にみるキャンセル・カルチャーの実態 井上恵子
「Black Box Diaries」伊藤詩織監督映画上映妨害は言論弾圧だ 浅野健一
マスコミ幹部を飼い慣らした「みのもんた伝説」本誌芸能取材班
鎌倉「ヴィーナスカフェ」問題から闇を覗く ハマのドンと横須賀のドン 青山みつお
NHK廃止のための思想の準備作業「公共放送」の「公」をラジカルに問い直す! 佐藤雅彦
環境省の“犯罪黙認”沼津市による「特定有害物質」不法投棄問題 青木泰
シリーズ日本の冤罪 耐震偽装事件 片岡健
『紙の爆弾』創刊二十周年にあたって——創刊の頃、そして現在

〈連載〉
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER Kダブシャイン
「ニッポン崩壊」の近現代史 西本頑司

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DM4Y59YX/

『紙の爆弾』2025年4月号に寄せて 『紙の爆弾』編集長 中川志大

おかげさまで『紙の爆弾』は、次号2025年5月号で創刊20周年を迎えます。姉妹誌の反原発情報誌『季節』は昨年創刊10周年を迎えました。それらを記念し、2025年4月5日(土)に東京で読者の集いを開催します。一回限りの全力イベントです。発売中の4月号でご案内を掲載しておりますので、ぜひご参加をお願いいたします。

今月号では「USAIDとは何か」を徹底解説。米国トランプ政権の「USAID廃止」がインターネットを中心にこれほど盛り上がったのは、そもそも「メディアがおかしい」という意識が、人々の中にあったからです。日本でも「マスゴミ」という言葉は昔からあり、権力監視の一環としてのマスコミ監視は、本誌のようなメディアの普遍的なテーマでもあります。ただし、単なる「ゴミ」ではなく、むしろ権力機関の一部として、その役割を積極的に果たしてきたことに、今注目が集まっているわけです。「政官業米電(電波)利権複合体」は植草一秀氏の指摘です。しかし、USAIDやNED(全米民主化基金)がなくなればいいのかというと、ことはそう単純ではありません。その点が、既存マスコミはもちろん、インターネットでもほとんど触れられていない点だと思われます。新たな形による「支配」にこそ、私たちは警戒しなければなりません。

USAIDを資金源とするNEDやCIA(米国中央情報局)に限らず、諜報や工作が歴史を動かしてきたことは、指摘するまでもない事実です。今月号ではいくつかの事例とともに、元外交官の孫崎享氏が解説。私たちが日々接しているニュースが、それらの結果にすぎないということは、頭に入れておかなければなりません。そして、諜報・工作のメインターゲットは、外国政府だけではなく、その国の「世論操作」です。ウクライナ・ゼレンスキー大統領とトランプ大統領の会談「決裂」に、3月号登場の鳩山友紀夫元首相は「問題はプーチンを悪者で敵だとする考えに染まっていては、戦争は終わらない。日本だけでもトランプに協力して戦争を止めたらどうだ」とXでコメント。踊らされない視点こそ、重要です。

昨年11月号に続き、鈴木宣弘・東京大学大学院教授が、「食と農の危機」を再び解説。コメをはじめ食料価格の高騰が続く中、「農業の憲法」といわれる食料・農業・農村基本法の大改悪に伴い4月1日に施行される「食料供給困難事態対策法」で、日本の農業はどうなるのか。そして、この危機に立ち向かうために私たちができることは何なのか。まさに今読むべき内容です。

また、2月13日に東京・広島・大阪・熊本・中央・武蔵美大の大学生たちが中心となって集会を開いた「学費値上げ反対運動」を取材。これがなぜ「新しい形の学生運動」といえるのか、レポートをぜひお読みください。学生たちのnoteもぜひご参照を。(https://note.com/no_raise_ut/n/n2caa621385ee

ほか、4月号では、オンラインカジノ摘発と大阪カジノ万博の関係、再び注目される「フジテレビ・日枝久とジャニーズ」、世界に跋扈する「現代版ノストラダムス」など、各分野で真相に迫る多彩なレポートをお届けします。全国書店で発売中です。ぜひご一読をお願いします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2025年 4月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年3月7日発売

戦争勃発させ国を壊す「西側工作」米ロ「諜報戦」の実相 孫崎享
4月施行 食と農と命を殺す「食料供給困難事態対策法」 鈴木宣弘
イスラエル暴虐の行方 トランプとネタニヤフを結ぶ「ガザ2035」構想 広岡裕児
世界マスコミ「沈黙」の真相 USAID廃止に潜むイーロン・マスクの野望 西本頑司
日本を蝕む「2+2」を破棄せよ 日米安保第四条の闇 木村三浩
「警察・自衛隊の外国攻撃」と「秘密保護強化」能動的サイバー防御法案は戦争推進法である 足立昌勝
「LGBT問題」「トランスジェンダー神話」刊行にあたって 反「性自認至上主義・クイア思想」の宣言 滝本太郎
自衛隊改組と日本永世中立化 日本から始まる新時代の地政学 藤原肇
吉本芸人に相次ぐ「見せしめ聴取」オンラインカジノ摘発 警察と政府の目的 片岡亮
「学費値上げ反対」と「103万円の壁」問題 「大学学費ゼロ」が世界の常識である 浅野健一
フジテレビと芸能プロの関係史 再び注目される「日枝久とジャニーズ」 本誌芸能取材班
世界各地を席巻する「現代版ノストラダムス」たちの予言をひもとく 浜田和幸
「総裁選公約」はどこに消えた? 石破茂「無策」の理由 山田厚俊
NHKへの最後通牒――「さらば“波”だ!」と言おう 佐藤雅彦
日本政治の衰退と世代間分断の根本原因 上條影虎
鎌倉名物カフェ立ち退き問題「小泉政権のキングメーカー」の死 青山みつお
シリーズ日本の冤罪 養女強姦虚偽告訴事件 片岡健
「カウンター大学院生リンチ事件」から十年(下) 松岡利康

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「格差」を読む 中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER Kダブシャイン
「ニッポン崩壊」の近現代史 西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

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