関東半グレの間で流行しているお仕置き「舛添ツアー」とは?

東京都の舛添要一知事が、政治資金でホテルや高級天ぷら店などで贅沢にすごしていた「公私混同」案件が話題となっているが、埼玉の半グレの間では、ヘマをした仲間への「お仕置き」として「舛添ツアー」なる罰ゲームが流行している。

「さいたま市北部のカラーギャングの間では、下手を打った後輩や仲間に対して『舛添が経費で遊んだ場所を全部まわって写真に撮って来い』という罰ゲームが流行しているようです。ただ旅行を巡るだけでなく、舛添都知事が通っていた湯河原の別荘やイタリア料理店、または正月に会議をしていたという『龍宮城スパホテル三日月』(千葉県木更津市)などに行き、その付近で「女をナンパしてホテルに連れ込んで 写真をとってこい」というかなりな無茶ぶりです」(実話誌ライター)

このツアーは、もはや「第1陣」がすでに出発しており、すべてのコースの終点は、都内世田谷区の舛添宅前。で、舛添都知事が全部の立ち寄った「疑惑の場所」でもらった領収書を手に最後の写真撮影をしてきて終了。

最近ではメンバーの間にて、「スペシャル罰ゲーム」として、『龍宮城スパホテル三日月』の温泉プールでセックスしてくるというウルトラCが用意されているようだ。

「この罰ゲームは口コミで関東北部の不良の間であっという間に広まっているようだが、いかんせん『龍宮城スパホテル三日月』は、都知事の経費濫用が報道されてからというもの、電話すらつながりにくい状態になりました。いつも混んでいる状態でプールはいも洗い状態。なおかつすごい勢いで部屋が予約されていくので、不良たちが朝から晩まで電話をかけていたら、電話回線の混みに拍車をかける。結果 として一般の客にもつながらなくなったようです」(旅行ライター)

とくに同ホテルには「舛添が使った部屋を押さえたい」と希望する客が激増しているようだが、スパだけだと大人1500円なので、不良じゃない一般の高校生やティーンも多く押し寄せてこの「舛添罰ツアーゲーム」に興じている。

この舛添都知事の騒ぎ以降、同ホテルを利用した経験がある客が言う。

「冗談じゃない。家族で楽しめるホテルだったのに、ガラが悪い若者が増えた。禁煙なのにそこかしこでタバコをふかすわ、ナンパを始めるわ。あげくのはてにプール内で性行為を始めるなんていうのは論外。もう二度と行かない」

『龍宮城スパホテル三日月』に「舛添都知事のおかげで繁盛していると聞くが、不埒な若者は多くなったのか」と聞いたが「申し訳ありません。取材にはご対応できません」という答えが返ってきた。

「都内の暴走族の間では、舛添都知事の車がどこに向かうか一日追跡しろ、という罰ゲームも考案されたようです。もはやもう舛添都知事の行動は、議論に値しない。今は不良少年たちの罰ゲームの対象でしかないのは悲しい限りです」(都庁関係者)

もしくは湯河原温泉のホテル数軒に「客は増えましたか」と聞いたが「とくに増えていません」とのこと。150万人もの署名が集まれば、60日以内に解職の是非を問える「リコールのための住民投票」も囁かれるこの騒ぎに乗じての罰ゲームツアーの光景がSNSやツイッターに上がるのは時間の問題だったが舛添都知事は辞表を出した。

もはや半グレや馬鹿なティーンなど一過性の馬鹿騒ぐ客でも来ればありがたい「夏休み前で客が減る」6月の梅雨シーズンに入った旅館・ホテル業界の本音はどうだろうか?

▼小林俊之(こばやし・としゆき)?裏社会、事件、政治に精通。大本営発表のマスコミに背を向けて生きる。自称「ペンのテロリストの末席」にして自称「松岡イズム最後の後継者」。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。

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ヘイトスピーチ対策法成立で西田昌司を英雄視する有田芳生参議への違和

闘いに「一点共闘」は選択肢としてはありうる。獲得目標が同様な場合その課題に限って立場の異なる人たちが、行動をともにすることが、現状打破へ繋がることもないではない。

しかし、「根本的な敵」との共闘はあり得ない。もしそんな模様が展開されたら、どちらかが仮面を被って偽装同調しているか、下心がある(つまり誰かが利用されている)状態である。

自民党の西田昌司参議院議員は、先日成立したいわゆる「ヘイトスピーチ対策法」(以下、「対策法」)の自民党窓口として「正義の味方」になっているようだが、西田と言えば、国会質問でのネッチッこい差別性と、根っからの右翼思想の持ち主として、自民党の中でも有数の右派議員として悪名が高い。

現在も西田のHPには政策として、
・「国防を確かなものに」      自主防衛と集団的自衛権の容認
・「憲法問題の本質」        占領憲法の破棄
・「皇室典範の改正」        男系皇統の維持
・「教育勅語の精神を活かす」  日本人の価値観の再興
・「原発問題」            原発再稼働は稼働せずよりリスクが小さい

などの主張が掲げられている。そして以下の動画だ。この質問は旧民主党政権時代に行われたものである。少々長いが西田の思想を理解するためにご覧頂きたい。


◎[動画]西田昌司議員の質疑(短縮版)

上記の動画は、政治資金規正法により禁止されている外国人からの政治献金を巡って、前原外務大臣(当時)を追及しているものだ。前原が昔から付き合いのある在日韓国人の方から年に5万円の献金を受けていたことを追及している場面だ。確かに政治資金規正法に照らせば前原が受けた献金は違法となる。しかし海外に居住地を持つ外国人と在日の人々を同様に扱う「政治資金規正法」は、それ自体「差別的」ではないだろうか。同様な批判を受けて、外国法人の政治献金については2006年に政治資金規正法の改正で大幅に緩和されている。西田の質問は法的には間違いではないが、ことさら「在日」を強調することにより、国会内での質問とはいえ、「在日差別」の色が濃く滲む。断っておくが私は旧民主党の支持者ではないし、前原の支持者では断じてない。


◎[動画]岡崎トミ子が国家公安委員長時に、西田が行った質問

この映像も岡崎トミ子が国家公安委員長時に、西田が行った質問だ。こちらの質問は国会内で行われたあからさま「差別言辞」と断定してもよいだろう。韓国の日本大使館前で毎週行われている「水曜デモ」に岡崎が参加したことを西田は糾弾し、慰安婦被害者への「金銭的補償」を岡崎が主張していたことを批判している。「水曜デモ」は日本政府への謝罪・補償を求めて「韓国」で行われているデモだ。西田は岡崎への質問の中で「なぜ外国人に金を渡さなければいけないのか」、「従軍慰安婦自体が歴史によって確定されたものではないと思っている」、「私は河野談話自体を認めるものではない」とまで自身の考えを明確に述べている。

最後は首相であった野田への質問だ。ここでは野田と民団のか関わりを追及しているが、民団が呼び掛けた行為は法律によって規制されるものではなく、野田が卑怯にも民団との関係を曖昧に逃れようとしていることから、西田も調子に乗っているがこれは民団に対するとんでもない冒涜だ。重ねて強調するが私は旧民主党、いわんや野田の支持者ではない。


◎[動画]2011年11月15日参議員予算委員会より

西田が国会内で紹介した「差別的質問」を堂々と繰り広げている頃、街頭では「在特会」をはじめとした差別集団、個人が卑劣な行動をエスカレートさせていた。当時西田はネット内で右翼から「西田砲」ともてはやされ、紹介した質問などが右翼思想の側から大層賞賛を浴びていた。

そんな西田が急に懺悔をして、「差別的」な思想を改めるだろうか。西田の国会質問は「失言」ではなく、確信的な思想に基づくものである。そのことは冒頭紹介した西田のHPに現在も堂々と掲載されていることからも間違いない。

ではなぜ、西田が「対策法」の自民党窓口になったのか。その理由の1つは「在特会」をはじめとする街頭差別部隊が自民党(右派勢力)にはもう不要になったからだろう。国会内では西田をはじめ稲田朋美などが先頭をきって、旧民主党政権の「外国人地方参政権」などの施策をぶち壊し、街頭では在特会を中心とする連中が暴れまわった。そして政権は自民党へ戻り、特定機密保護法が成立し、解釈改憲も完了、集団的自衛権を認める「安保法案」も成立した。

西田らにとって、もう街頭での派手な部隊は必要ない。いやむしろ邪魔になってきた。だから喜んで「ヘイトスピーチ対策法」の窓口として手を上げたのだ。さらにここで紹介した西田の過去の質問(これだけに限らず他にもかなりある)は、下手をすると命取りになりかねない。「なぜ外国人に金を渡さなければいけないのか」、「従軍慰安婦自体が歴史によって確定されたものではないと思っている」との西田の思惑とは逆に、

西田昌司議員(自民党)と有田芳生議員(民進党)

「日韓両国政府は28日、従軍慰安婦問題で合意に達したと発表した。韓国の尹炳世外相との共同記者会見で岸田文雄外相は、安倍晋三首相が元慰安婦に対し心からのおわびと反省を表明するとともに、元従軍慰安婦支援のための財団を韓国政府が設立し、日本政府が自国予算で資金を一括拠出することを明らかにした。
 また、岸田外相は慰安婦問題が最終的・不可逆的に解決したことを確認したと述べ、さらに日韓両国政府は国連など国際社会で慰安婦問題に関して互いに批判・非難しないことで合意したと語った」(2015年12月28日ロイター

この決定には様々な問題がある。それは横に置くとして、少なくとも現政権、安倍と岸田は西田の言う「従軍慰安婦自体が歴史によって確定されたものではないと思っている」とは真逆の約束を韓国との間で結んだのだ。

私は「ヘイトスピーチ対策法」に危険性を感じている。その理由は右の写真である。西田の差別的思想と「対策法」がどうして結びつくのか。ニコニコ握手をしている有田芳生議員との写真に読者諸氏は違和感を抱かないだろうか。

からくりは簡単だ。「対策法」は今のところ「差別」を対象にしているけれども、その適応を広げれば(「付帯決議があるから心配ない」と考える善男善女は認識が緩い。総理が憲法の解釈を勝手に変える政権であることを、まさか忘れてはいないだろう)反基地、反原発、果ては反政府言説の全てを取り締まることの出来る21世紀型「治安維持法」導入の一里塚だからだ。これまで警察は「脅迫罪」、「公務執行妨害」、「道路交通法違反」を在特会などに差別集団に適用することに極めて消極的だった。やろうと思えば現行法で逮捕できる場面は数えきれないほどあった。なぜ警察が動かなかったのか。その理由がこの立法を支えるためであったと考えるのは穿ち過ぎか。

西田を英雄視する有田の姿、非常に強い違和感を感じる。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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「しばき隊」高野俊一が「有田丸」に同乗し、愛媛の合田夏樹さんを公開脅迫

 

こんな「チンピラ」まがいの政治活動が許されるのだろうか。
事件は5月29日愛媛県四国中央市で発生した。

有田芳生参議院議員の宣伝車、通称「有田丸」に乗車していた人物が、個人宅と職場を訪れて、数枚の写真を撮影し公開している。

被害に遭ったのは合田夏樹さんだ。合田さんに対しては以前から「しばき隊」中心人物の一人、伊藤大介が公にフェースブックで脅しをかけていた。

実名こそ挙げてはいないものの、合田さんの自宅住所をネット地図でピンポイント特定しているのだから個人を狙った「恫喝」である。伊藤は、知る人ぞ知る「十三ベース事件」こと「しばき隊による集団リンチ事件」の現場にも居合わせた人物である。

「四国で2代目ボンボンの取引先に悪行をお知らせする巡礼しようかな」
「ほぼ丸裸なんだけど、ボンボン泣きいれちゃうかな?」
「つーかお前の自宅私道沿いだからグーグルで確認しずらかったぞ。もう確定したけどな」

などと書き込み、「襲撃」の予告めいたメッセージを発していた(そうでないと言うのであれば、削除する必要も無かろうに、現在このコメントは消されていて見ることは出来ない)。

こんなメッセージを突き付けられたら、どれほど気持ち悪く、不安になることだろうか。合田さんは「連絡をしてきてくれれば、誰とでも話す」とかねてよりツイッターに書いておられたが、「ほぼ丸裸なんだけど、ボンボン泣きいれちゃうかな?」という、一見何も具体的な行為を明示していないが、それだからこそ薄気味悪い表現に、合田さんがどれほどご家族の安否を心配なさっていたことだろうか。

◆有田丸には「しばき隊」メンバーが乗っていた

「有田丸」に乗車していたのは、高野俊一(ツイッターアカウント「チェブ夫」)ともう1名であることは高野自身が書き残しているので間違いない。以下に高野自身が書いたブログのURLを示すが、削除される可能性があるので、主要部分を抽出しておく。http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:qp_ISLLnN8AJ:ossanhitorimeshi.net/%3Fp%3D28339+&

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有田芳生・参議院議員の宣伝カー『有田丸1号』は、ひたすら西日本を走りつづけている。狭いようで、日本は広い。走っても走っても、なかなか隅々まで行き届かないところは、やり甲斐もあるというものだ。

きのうは有田丸、まず福岡。それからそのままフェリーに乗って、四国の松山に上陸した。

おとといは下関、その翌日に福岡から四国では、ちょっと移動が急すぎるのだが、それは人生、色々あるというものだ。
(中略)

有田丸は大分の佐賀関港からフェリーに乗って、愛媛にわたった。そこから延々100キロほどの道のりをさらに走って、松山のホテルに到着。

到着後、ヘイトスピーチ対策法の成立を祝い、打ち上げをしようと居酒屋にでかけた。

有田丸に同乗することになった男性は、僕よりも1年以上前から反差別カウンターに参加している。その男性がカウンターを始めたころは、ヘイトスピーチのデモは数百人、それに対してカウンターは数人、などというのが普通だったのだそうだ。

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写真01
写真02
写真03

高野ともう1名「僕よりも1年以上前から反差別カウンターに参加している男性」が有田丸には乗車していた。

そして5月29日に写真01がツイッター「男組総本部」のアカウントに掲載される

これは合田さんの職場を撮影した写真だ。「遊びに来た。なかなかいいところじゃん。」との書き込みがある。

さらに、この店舗群は合田さんの職場から直ぐ近くの場所に位置する。「ここでお買い物。」をしたそうだ(写真02)

そして、写真03には「カラオケ」の看板が映っているが、ここも合田さんの職場から至近の場所だ。「今夜はここでカラオケ!」との書き込みがある。

さらに「髪も切ったし後は行くところは1つ。謎」とある。「謎」と書いてあるが行き先は合田さんの自宅であることはほぼ間違いない。

時系列的にみると彼らは合田さんの職場周辺をうろつき職場や周囲を撮影後、散髪をして、合田さんのご自宅に向かったと推測される。幸い当日合田さんのお宅にはどなたもおらず、物理的な被害などは生じていないが、近所の住民が、「小太りで小柄な柄の悪い男と普通の体型で小柄で柄の悪い短髪の2人組みが自宅の周辺をウロウロして何度も玄関のチャイムを押していた」姿を目撃している。

前述の通りしばき隊の1人(若しくは2人)は「髪を切った」直後だ。「短髪の2人組」が高野ともう1名である可能性は高い。合田さんの自宅周辺では、普段見かけない「不審人物」への印象が強く残っている。不審人物がうろつくようなことはこれまでこの地域ではなかったという。5月22日に出されていた、伊藤大介による「襲撃予告」が現実のものとなったのだ。

これは明らかな計画的犯行ではないのか。もし、当時ご自宅にご家族が居たら、何が起きていたかわからない。有田はその事実を知っていたのか。否知っていようといまいと個人宅や職場に恫喝まがいの人間が宣伝車に乗って(あるいは至近に駐車しそこから歩いたとしても)訪れば、ご本人たちが大変な不安に襲われることは容易に想像できる。

最後にこの写真をご覧頂きたい。一方は高野(チェブ夫)の、そしてもう一方は有田芳生公式アカウントに掲載されていた高野が食べたうどんの写真だ。同じじゃないか。とうことは有田は高野らの行動を大筋で把握していたという事を意味する。現職の国会議員がその宣伝活動中に、あらかじめ脅迫めいた予告を与えておいた個人宅や職場に宣伝車を差し向けるようなことが許されるだろうか。

有田芳生公式アカウントに掲載されていたうどんの写真
高野俊一が食べたうどんの写真

◆なんと合田さんのアカウントが凍結される!

そして驚くべきことに、合田さんのツイッタ―アカウントが6月3日深夜に「凍結」されてしまう。合田さんは「多数のスパム報告があったのではないでしょうか」と原因を推測しているが、これまで合田さんは他人を貶めるような書き込みをしたことはない。むしろ伊藤大介のような人間から「攻撃される側」に立たされていた。そしてここしばらくは「集団リンチ被害者」である、ツイッター名「主水」を応援する旗幟を鮮明にしていた。「しばき隊」の中には個人で複数(中には10を超える)アカウントを保持していて、合田さんのケースの様に「ネットリンチ」をかける、専門部隊がいるという(元しばき隊経験者)。

彼らは、自分たちと立場が違う、意見が違う人には手段を選ばず嫌がらせを行う。

◆卑劣な行為に屈しない合田さん

だが、合田さんはこの程度の嫌がらせには微動だにしていない。「結局彼らは墓穴を掘っただけですよ」と事もなげに語り、4日午前には緊急で新アカウント「合田夏樹@合田夏樹を応援!」を開設(このアカウント名が奮っている!)

「また卑劣な事をやられると思うので予防策として大勢の方のフォローが必要です。駄文ばかりですが言論の自由や民主主義を守る為にご協力下さい」

とのコメントを掲載したところ、6月5日正午時でフォロワーは1,847人にまで達している。

今回の事件は、合田さんを襲った単なる私人間のトラブルでは済まされない。冒頭述べた通り、時系列的、状況証拠的に有田芳生参議院議員の宣伝車に乗っていた人物が手を染めた可能性が限りなく高い。有田議員並びに、高野俊一(ツイッターアカウント「チェブ夫」)らには明確な説明を行う責任がある。

右翼の街宣車による嫌がらせは有名だが、野党議員の宣伝車による特定個人への嫌がらせなど聞いたことがない。この疑念を明確に晴らすことが出来なければ(灰色では意味がない)、有田が次期参議院選挙に出馬する資格はないだろう。

(佐野 宇)

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伊勢志摩サミットという猿芝居で利を得た者はだれか?

サミット(summit)の語源は「頂上、頂き、極致、頂点」などを意味する。だから「伊勢志摩サミット」と言えば「伊勢志摩に世界に君臨する国々の指導者が集まる会議」と訳しても過大な誤りではないだろう。

この語感自体に私は嫌悪を感じる。もっともサミットの前身は更に露骨な名称を冠して恥じ入ることがなかった。1975年11月15日から、フランスで行われた会議は「第1回先進国首脳会議」と呼ばれていた。開催国であるフランスのジスカールデスタン大統領が議長を勤め、米国大統領のフォード、英国首相のウィルソン、西ドイツ首相のシュミット、イタリア首相のモロに、日本からは首相三木武夫が参加して3日間の会議が行われた。「先進国」と当たり前の様に呼ぶけれども、これはだって、かなり傲慢な名称ではないか。

翌年からはカナダも加わり、いわゆる「G7体制」による、経済を話題とする「世界支配国」の定期的会合として定着してゆくのであるが、ソビエト連邦の崩壊からロシアへの移行に伴いロシアも参加する形で「G8体制」が定着するかと思われたが、民族紛争への批判などから「伊勢志摩サミット」は「G7」とEU議長が参加して先週行われたのはご存知の通りだ。

サミットは1975年オイルショック後の経済をどう舵取りするかが表向きの話題として開催された出自から、主として政治問題よりは経済問題を重視する傾向にある。だから「帝国主義者どもによる戦争準備会議」との批判は世界中にあり、日本以外の開催国では「反新自由主義」、「反グローバリズム」を訴える市民が毎回相当激しい抗議行動を行うのが、お決まりの風景となっている。

◆誰のために、何のために行われたのか?

さて、先週行われた「伊勢志摩サミット」である。あれは一体誰の為に、そして何の為に行われたのだろうか。その理由を私が簡潔に解説しよう。

議長である安倍がぶち上げた「アベノミクス」という「経済破綻プロジェクト」の破綻隠しがその主目的である。

その一環として消費税引き上げは安倍にとっては、欠くことの出来ないシナリオだった。5%から8%への消費税増税と法人税減税が税収の低下を招くことは自明だった。消費税を導入した1989年と、消費税率3%から5%へ引き上げた1997年の翌年はいずれも税収が減っている(1998-1999年の減収は2.7兆円)。消費税を上げると必ず税収が落ち込むことは過去の統計が明確に示していた。だから私は消費税の引き上げではなく、消費税の撤廃を提言したが、私の戯言などに安倍が耳を貸すはずもない。

それだけでなく8%から10%への引き上げも、既定路線として「公約」とされていたが、「3本の矢」(自滅の愚策)や、「異次元の金融緩和」のいずれも全く効果がない。景気好転の気配はないから当然税収も落ち込む。予定通り来年4月に消費税を10%に引き上げれば、更なる消費の冷え込みと財政悪化必定だ。そこで安倍は3月に「国際金融経済分析会合」を発足させ、米国人はじめ多くの外国人経済学者に議論をさせるポーズを装った。この会合に日本人経済学者は1名しか含まれていなかった。
 
これ程情けなく、自身の「無能ぶり」を晒す猿芝居もないだろう。一国の税制、それも消費税の引き上げに限って、わざわざ外国人経済学者(その中にはノーベル経済学賞受賞者のジョゼフ・スティグリッツも含まれた)の議論により、税制運営を「教示」してもらったわけである。独立直後で行政が体をなさない国でも、形の上では一応の国際機関であるIMFに意見を求めるだろうに、あろうことか欧米経済学者の「威光」を借りて、政策の要としていた「消費税引き上げ」を延期する口実としたのだ。

そして「伊勢志摩サミット」である。政府内でも「いったい誰が言い出したのか」と騒動となる「リーマン・ショック前の状況に似ている」との安倍の大間抜け発言は、現在言い出しっぺの犯人探しで霞が関は大わらわだ。海外主要メディアはそろって、「迷惑な発言」、「経済が困難な状況にあることは間違いないがリーマン・ショックのような危機が近いうちに起こるとは思われない」と一斉に疑問と批判を投げかけている。日本の政府関係者も「実態とかけ離れた議論となり、議長国として恥ずかしい」と正直な感想を述べている。

オバマの随行で一緒に広島に出かけたところで、安倍の無能は変わらない。大手メディア幹部と定例で夕食を共にしているから、辛辣な報道は抑えられるけれども、経済指標の粉飾には限界がある。安倍の退陣は遠くないと予言しておこう。

◆警備会社と広告代理店だけが儲け、権力は〈戒厳〉予行のごとき厳戒態勢を敷く

それにしても、このように全く無益で、国際社会に何の利益ももたらさない会議の為に、わたしたちの日常生活まで、なぜ制限を受けなければならいのだ。27日に京都から大阪へ出かけた際にはJR、私鉄全ての駅でコインロッカーが使用停止になっていて、ゴミ箱も全て封鎖されていた。「テロ対策」とか「サミット開催による特別警戒中」とかあちこちでアナウンスを聞かされたけれども、要はこの国の住民を「テロリスト」の容疑者に見立てているんじゃないか。

不覚にもガムを噛みながら外出した私は、自宅を出てから目的地へ到着するまでの2時間余り、味のしなくなったガムを捨てるゴミ箱をついに見つけられなかった。過去に東京サミットが行われた1986年、1993年でもこれほどの厳戒態勢はなかった。三重県は数カ月前からサミットに合わせて国内旅行者の勧誘に力を入れていたけれども、あちこちらが「封鎖」されて、ごく一部の土産物屋や宿泊施設以外は「結局普段より売り上げが落ちていた」と多くの業者が嘆いている。

儲かったのは警備会社と大手広告代理店だけ。もっとも肩透かしを食らったのが三重県だったろう。そして電車やバスに乗れば「ただいまテロ特別警戒中です」のアナウンスは、特に首都圏ではサミットのような国際行事がなくても毎日流れているじゃないか。

毎日「警戒中」が「厳戒中」に変わることにすら、私たちは慣らされ出してはいないだろうか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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「世に倦む日日」『SEALDsの真実』で問われている学者・文化人の言説と態度

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高橋源一郎、山口二郎、小林節、小熊英二、内田樹、上野千鶴子をはじめとする「シールズ」応援団の現・元大学教員に聞きたい。
あなたたちは人生の中で、とりわけ学究活動に身を置くようになり、何を学び何を経験し、何を学生に教壇から講義してきたのかと。

「シールズ」は20世紀の最終盤に産れた世代の学生が構成していた。だから彼らには60年安保、70年安保の実体験は当然ない。私自身だって60年安保、70年安保を自身の体験として経験している訳ではない。経験はないが書物や各種の情報、そして何よりも私自身がそれらを、決して軽視できない問題だと感じたから、断片的ながら調べることはしたし、私が生まれるより前に惨殺された、樺美智子の名前は、小林多喜二同様、頭から離れることがない。

数十万人の激しいデモに身を置いた経験もなければ、国会周辺を取り巻く「怒り」の一員になった経験もない。だけれども「どのようなことが起こったのか」、「人々の怒りはどう現されたのか」についての私の想像は、それほど的外れなものではないように思う。

ひるがえって、昨年の「戦争推進法案審議」の際に国会周辺で繰り広げられた「シールズ」による行動には、当初から極めて強い違和感があった。「本当に止める」と書かれたプラカードの文字は真逆の意味にしか受け取れなかったし、「とりま廃案」の「とりま」の意味は知り合いの若者に聞くまで解らなかった。シャボン玉よりも軽そうな、そしてシャボン玉ほどの瞬時の輝きすら持たないこれらの言葉は、本来自然に高まっていく「怒り」に穴をあけて、茶番劇が茶番劇を認める役割だけを果たした。

「シールズ」も大学生なのだから、言論については批判や責めを負う責任はあろうが、もっと指弾されるべきは、彼らの「無知」振りに「違う、そうではない」と豊かな経験と知識から諌めるべき学者や、教員があろうことかもろ手を挙げて、あの空疎な乱痴気騒ぎを称賛したことだ。全共闘運動の何たるか、何であったかを賛否はともかく経験しているであろうはずの、高橋、山口、小林、上野らが吐いた「ことば」がどれほど軽率なものであったことか。

しかし、よくよくこの面々の名前を見直すと実は共通項がある。彼らはいつの時代も根源的な正義ではなく、その時代に受け入れられやすいトピックに必ずと言ってよいほど顔を出す連中だ。上野は京大時代には学生運動の中でも相当に過激な運動を牽引する指導的学生と近しい関係にあったと聞いている。その経験と昨年のシャボン玉ほどの重さもない空疎なイベントを自身の中で学者として真摯に比較し、無知の過ぎる学生たちに彼女自身の経験(それが成功にせよ苦い経験にせよ)を何故語らなかったのだ。本気であのイベントが「新しい運動」だと考えていたのか。そうではあるまい。彼女の打算高さを考えれば別の計算が働いていたはずだ。

山口二郎は法政大学の教員として、なぜ足もとの法大キャンパスで起こっている、異常事態を問題にしないのだ。「ついに国民の怒りが爆発しましたね」などと、的外れなコメントする前に、学内でビラ配りも出来ない、立て看板も立てられない、公安警察が常駐する異常事態を何故問題にしないのだ。彼自身が積極的に動いた「小選挙区制」を導入すれば、今日のような政治的閉塞状態、多様性のある政党が存在できなくなることは自明であったにもかかわらず、それを積極的に推進した責任をどう考えるのだ。

「世に倦む日日」主宰の田中宏和さん

つまるところ、「シールズ」応援学者は、私の見るところ、インチキばかりだ。

このような粗雑な感想ではなく、社会科学的手法を用いて「シールズ現象」を読み解いた『SEALDsの真実』が発刊された。著者である田中宏和氏は、人気ブログとツイッター「世に倦む日日」で積極的な発信を行っている在野の研究者である。『SEALDsの真実』では、鹿砦社の本コラムや『NO NUKES voice』以外、一部の右派を除いては批判が皆無に近かった「シールズ」にメスが入る。

「忖度」や「自己規制」という言葉をメディア関係者からしきりに耳にするようになった。そんなものは不要だ。本書は「事実を直視することの大切さ」と「知識・学識への態度」について我々に多くの示唆を与えてくれる。

◎田中宏和さんのブログ「世に倦む日日」
◎「世に倦む日日」ツイッター 

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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いまこそ論争を! 『NO NUKES voice』8号と『SEALDsの真実』が今週刊行!

『NO NUKES voice』08号【特集】分断される福島──権利のための闘争

鹿砦社の総反撃がいよいよ開始される。熊本の大地震を目の当たりにしながら、川内原発の運転を停止しない、原発マフィアどもに、反原発運動の仮面を被りながら、その実、警察権力と手を携え、ひたすら「排除の論理」で唯我独尊に陥った「反原連」へ、そして、「反原連」を出自とする、リンチ事件が専ら噂のしばき隊、その子分で「9条改憲」を持論とする「シールズ」の諸君へ!

◆25日(水)、『NO NUKES voice』第8号発売開始!

第一段は今週25日(水)発売の『NO NUKES voice』第8号である。第一線で闘ってきたジャーナリスト、研究者、市民運動家にご登場頂き、各持ち場での持論を展開して頂く。三者三様の立場から我々が学ぶべきものに限りがないことを、改めて認識させられる。

また、福島に寄り添う気持ちを忘れないためにも、今号も現地福島に取材班が足を運んだ。過酷な現実と向き合いながらも、将来を切り開こうとする揺るぎない意思をご紹介する。決して楽観論のみでは語れない福島の現実を私たちは直視してゆこうと考える。

田中宏和『SEALDsの真実――SEALDsとしばき隊の分析と解剖』

◆27日(金)、「世に倦む日日」田中宏和さんの『SEALDsの真実』発売開始!

そして27日の金曜日(場所によってはそれよりも早く)には「世に倦む日日」主宰、田中宏和さんによる『SEALDsの真実』がいよいよ書店に並ぶ。アマゾンで告知した直後、一時は人気第一位を記録した注目の問題作だ。

奥田愛基がすぐにTwitterで鹿砦社に対して侮蔑的な書き込みをしたことからも明らかなように、本書の出版については「シールズ」に関わった人々がかなりナーバスになっているようだ。しかし、心配は不要である。本書は「シールズ」に対して正面からの問題提起を行うものであり、彼らの庇護者である「しばき隊」が常套手段として用いる、恫喝、罵声浴びせ、身分明かしなどといった卑怯な手法は、当然の事ながら一切用いられてはいない。あくまでも社会科学的に「シールズ現象」とその背景についての考察が加えられた、学術書に過ぎない。しかしながら、であるからこそ、実は彼らにとっては痛撃となる可能性は低くないだろう。ツイッターの140文字空間にだけ、生息場所を持っている窮屈な言論に慣れ切った御仁には少々難解であるかもしれないが、それこそ「勉強」の為に、是非とも「シールズ」のメンバーには一読をお勧めするし、反論があれば是非有益な議論を交わしたいものである。

しばらく、大人しくしている間に、随分と座視できない〈事件〉が立て続けに起こっているようだ。その中に〈犯罪〉まで含まれているというから事は穏やかではない。

◆雑誌と書籍の使命は闊達な言論を喚起することだ!

『NO NUKES voice』8号は(毎号そうではあるが)編集部が総力を挙げ、やや危険と思われる水域にも敢えて足を踏み込んでいる。そのくらいの危険を冒すことなしに闊達な言論を喚起することはできないであろうし、雑誌を提供する者の最低限の義務だと私たちは考える。原則はゆるぎない。原発全機即廃炉を目指し、読者諸氏からの叱咤を期待する。

『NO NUKES voice』は決して不偏中立ではない。科学と人道に立脚しながら、非人間的存在である「原発」とそれが包含する「差別構造」を常に視野に入れながら敵を撃つ。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

『NO NUKES voice』08号【特集】分断される福島──権利のための闘争
5月27日発売!「世に倦む日日」田中宏和『SEALDsの真実――SEALDsとしばき隊の分析と解剖』

映画「ヤクザと憲法」に「古きヤクザ」の終焉を感じて涙


◎『ヤクザと憲法』劇場予告編

映画「ヤクザと憲法」を元「週刊実話」の編集長と、手伝いにいっている編集プロダクションのデスク氏とで鑑賞した。このドキュメンタリーは東海テレビが制作し、すでに放映されたものだがヤクザの日常をレポートした内容ゆえに、当然、全国放映は不可能。そこで映画でしか観れないしろものとなった。本当は「憲法」とつく映画のタイトルゆえ「5月3日」に観たかったが、やはり混んでいると予測し、この日にしたのだ。

渋谷は、ゴールデンウィークのまっさい中だというのに、ガラガラだ。池袋は歩けないほど人ばかり(外国人の旅行者も含めて)ができているってのに、渋谷には「怖い」というイメージがあるのだろうか。

はてさて今、レビューを急いで書いているのには理由がある。ヤクザとつるむタイプのジャーナリストである俺は、警察に追われて近く、高飛びするからだ(なんていうのは嘘)。

そう、ヤクザは危険な生き物の代名詞だ。なのに、この映画に出てくる人はみな、ヤクザとはいえ等身大の「人間」だ。

この映画は、大阪の指定暴力団「二代目東組二代目清勇会」に100日にわたってカメラが入った稀少なドキュメントである。

今、ヤクザは人権がないかのごとく司法上は扱われる。銀行の口座を持てない。家をもてない、ゴルフはできない、宅急便は扱いを拒絶される。だが日本国憲法第4条は定めている。

『すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない』と書いてある。

作家・宮崎学は、この条文の後ろに『ただし、ヤクザを除く』と書いてあるとよく解説する。

僕もそのとおりだと思う。この映画は、確かにヤクザの日常をカメラで切り取っているという点で画期的だし、未来永劫、記録と記憶に残すべきしろものだと思う。

部屋住みの青年が言う。

「嫌いな者どうしでも一緒におれるというのがいい社会とちがいますやろか」

ヤクザはもともと、賭け事の仕切りと祭りの露天商を稼業としてきた。それが、覚せい剤の密売など犯罪行為へと傾斜していった。昭和40年代になると組どうしの抗争はエスカレートしていき、拳銃の大量所持や、抗争で一般人が犠牲となることが問題化してきた。

そうした中、平成3年に「暴力団対策法」が制定され、前科のある組員の割合などが一定を超えると「指定暴力団」として警察の強い監視下に置かれることになる。

こうなるとみかじめ料や用心棒代を要求しただけで「中止命令」が出る。これはいわゆる「イエローカード」で、無視すれば「逮捕」となる。お目こぼしは一回しかないというわけだ。

さて、このヤクザをとりあげた映画が「人権を守る」最後の砦として未来では扱われないことを切に願う。そして、この映画をよく作ってくれたと思う。感謝すらしている自分がいる。

「銀行口座が作れないと悩むヤクザ」「金を手持ちすると親がヤクザだとばれる」というきついご時世では、「自動車保険の交渉がこじれた」段階ですぐに詐欺や恐喝で逮捕される。

同時に、この映画では、山口組の顧問弁護士だった山之内幸夫弁護士が、恐喝で立件されて実刑10月の処分を地裁に言い渡されて弁護士資格を失った瞬間をもカメラはとらえている。このとき、「ああ、古きヤクザの時代が終わっていくのだ」と僕は映画館の最前列で滂沱の涙を流した。そう、古いヤクザの時代は、音を立てて終焉に向かっているのだ。

◎『ヤクザと憲法』HP http://www.893-kenpou.com/

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
裏社会、事件、政治に精通。自称「ペンのテロリスト」の末筆にして松岡イズム最後の後継者。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。

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333年前から続く湯治場──那須塩原温泉への旅

4月28日、29日と那須塩原温泉にいた。
ゴールデンウィークの入り口、寸前なので28日はまだ旅館が通常料金に近い。なんといっても行くなら本格的な硫黄温泉に入りたい。というわけであるが、縁もゆかりもないが、評判がやたらといい「湯荘白樺」に宿泊した。

 

肌寒い。まるで感覚としては冬で空気は澄んでいた。西那須野から。バスで40分ほど走ると塩原温泉バスターミルに着く。そこに旅館の車で迎えにきてもらった。山中、970メートルの山を登っていくと山桜がようやく咲き始めたのが見える。ゆっくりとだが、確実に少し私たちより遅れて春が「山」に来ているようだ。

天和2年(1683年)からすでにこの温泉はすでに湯治場として知られ、神経痛か肩こりリウマチ、胃腸の疾患に効くそうだ。

 

布団を敷きにきてくれた旅館店員は言う。
「泥パックを塗るといいですね。温泉に備え付けてあります。湯の中に入って、毛穴を開かせて10分間、塗っておいてパックすると白く乾きます。そうしたら洗い流す。私など1年間入ったら、腰痛がすっかり治りました」

那須町への観光者数は微増していて、平成27年度は 480万2,208人 (前年470万7,029人)前年比 102.02% 9万5,179人増)だからうまくいっているほうなのだと思う。実際、那須塩原は修学旅行地のメッカとしても知られ、小学校のときに宿泊したあまりにも有名な「ホテルニュー塩原」を38年振りに見たときは思わずため息が漏れた(何年経営しとんねん)。

 

あ、肝心の腰痛、ヘルニアだが実際問題、誇張ではなくて軽くなった。1日でかなり軽くなるということはやはり温泉は治癒効果があるのだな、と思う。まあ年をとったらこのあたりに住むのもいいかもしれないな、と思う。

いっぽうで、大分の湯布院温泉などは、熊本地震の影響でキャンセルが相次いでいるという。これは九州全体の旅館が打撃を受けており、2、3割値段を下げて必死に集客をしているようだ。機会があれば、熊本や大分にも赴こうと思う。それが震災地が元気になる最もてっとり早い手段だと信じるのみである。

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、著述業、落語の原作、官能小説、AV寸評、広告製作とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。格闘技通信ブログ「拳論!」の管理人。

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抗うことなしに「花」など咲きはしない『NO NUKES voice』Vol.7

戦争を殺さなければ──憲法集会演説で際立ったむのたけじさん101歳の覇気

むのたけじさん

1947(昭和22)年5月3日に施行された日本国憲法。これを記念して定められたのが憲法記念日だ。5月3日(火)、東京臨海広域防災公園で開催された〈5.3 憲法集会〉に参加した。

最寄駅のひとつ国際展示場駅を降りると、大勢の参加者と様々な団体旗・組合旗に迎えられた。政治や教育に関するビラを配る人々を横目に早速メイン会場へ向かう。

会場では開会前のプレコンサートが行われていた。沖縄音楽を代表する歌い手、古謝美佐子さんの歌声が広く響き渡るなか、徐々に参加者が集まってくる。開会宣言がなされた13:00には通路にまで溢れた参加者の熱気で、まさに大集会といった空気が出来上がっていた。

野党4党首のスピーチからは、やはり彼らは「人気者」なのだなという印象を受けた。しっかりと組まれた主張内容を訓練された話法で彩り、聴衆は適宜拍手を挟むなどして応える。ありきたりだが外さない演説であった。

奥田愛基さん

多くの方がマイクを握るなか、字義通り圧倒的な演説を行ったのがジャーナリスト、むのたけじさんだ。1915(大正4)年生まれのむのたけじさんは、朝日新聞社アジア特派員として活躍し、戦前・戦中期には近衛文麿や東条英機のインタビューを行ったこともあるという。現在101歳だ。

カンペを持たずに一言一言を確実に紡ぐその声は重く力強い。自身の戦争体験とそこから得た自責の念。特に印象に残ったのは「第三次世界大戦は、動植物の大半を死なせるでしょう。戦争を殺さなければ、私たち人間に生きる資格はありません。」という言葉だ。むのたけじさんのスピーチに対する拍手は絶大なものだった。落涙を免れなかった参加者の大勢いることは容易に想像できる。

ハイライトとして、SEALDsの奥田愛基さんの参加を挙げよう。遅れて会場に到着した奥田さんは、その理由(遅刻しそうだったためタクシーに乗り事情を説明。急ぎすぎた運転手が速度違反切符を切られた。そのために遅れたとのこと)を語り会場を笑わせる。

しかし、リュックを背負い、メモとしてiPhoneを見つめながらスピーチする彼の言葉は軽い。限りなく軽いその言葉と態度に、筆者は親しみを抱くことができなかった。現政権への対抗勢力の集まりという側面を持つこの集会に、奥田愛基さんの言葉はどれだけ有用なのだろうか。

参加人数の多い大規模な集会(この度の集会参加人数は主催者発表で50,000人)は社会の状況を端的に表すことがあり、無視することができない。やや私感に偏った観察記となったが、集会の様子を知る手助けとなれば幸いだ。


▼[撮影・文]大宮浩平(写真家)
1986年東京生まれ。
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日本国憲法はいま、本当に〈在る〉のか?

本日は1947年5月3日「日本国憲法」が施行された「憲法記念日」である。施行から69年目となるが、2016年の今日にいたり、成文憲法たる「日本国憲法」(以下「憲法」)は本当に「在るのか、もう無いのか」、私にはかなり怪しく思えて仕方がない。形式的にも外形上も「憲法」は存在しているけれども、その重要な柱とされたはずの「国民主権」、「基本的人権の尊重」、「平和主義」は文字通りの内容を伴い、下位法で定められ、行政の場で「憲法」が規定する運用がなされているであろうか。

◆条文と現実の間の乖離

「憲法」は前文以下第一章から第十一章補足の第百三章までで構成されている。その中で以下の文言は「在る」には「在る」が実態はどうだろう。カッコ内太字が私の疑問である。

第九条  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 (集団的自衛権容認)

2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。(自衛隊の存在)

第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。(近年3万人を前後する自殺者)

第十四条  すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。(各種差別の放置)

第十九条  思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。(大学による思想弾圧)

第二十条  信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。(神社本庁の政治介入)

2  何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。 (国家神道に由来する「君が代」斉唱の強制)

3  国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。(官僚の靖国神社参拝、首相の伊勢神宮参拝)

第二十一条  集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。 (鹿砦社が襲われた言論弾圧事件)

2  検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。 (盗聴法の成立)

第二十三条  学問の自由は、これを保障する。(文科省による「文系学部統廃合」)

第二十五条  すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。(ワーキングプア・生活保護支給拒否)

第二十八条  勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。(労組への不理解・労組の弱体化)

第三十三条  何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。 (現行犯以外での令状なし逮捕の横行)

第三十四条  何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。(不当逮捕・拘禁の横行)

第三十六条  公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。(警察・検察・海上保安庁などによる暴力の常態化)

第三十八条  何人も、自己に不利益な供述を強要されない。(自白の強要)

2  強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。(不当長期勾留により相次ぐ冤罪)

3  何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。 (自白のみでの死刑判決)

第四十四条  両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。(人種による差別)

第九十九条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。(憲法改正を公言して憚らない首相以下国務大臣)

◆「改憲」だけが「憲法の死」を意味するわけではない

素人目でざっと見渡しても現実と条文の間には、相当な乖離があり、乖離の幅は権力者の意図によりどんどん拡大され、かつ固定化を図られている。今、自衛隊が既に定着しているのはその好例だ。これだけ解かりやすい文言でも曲解すれば何でもできる。「学問の自由はこれを保障する」など文科省の官僚や、大学に批判的な「学生狩り」に血道をあげる多くの大学関係者には「冗談」にしか聞こえないだろう。

文言、条文はある。よく読めば所々に少しおかしな部分もあるけれども、ある種の思想と理念を総合的に包含した「憲法」を有機体ととらえれば、外見上の体裁は整ってはいる。まだ生きていそうだ。問題は「憲法」の内臓を喰いつくしつつある「悪性新生物」が既に有機体としての生命を奪う(あるいは既に奪われた?)ところまで拡大していることだ。

毎年のように5月3日に、私は「護憲」(条件付きながら)の意見を表明する発言や行動をしてきた。けれども今年は現実を直視しようと思う。極めて重篤で危篤状態にある「憲法」。おそらくは蘇生不可能な有機体としての「憲法」。

「改憲」だけが「憲法の死」を意味するわけではないことを、私(たち)は徐々に学ばされ、「解釈改憲」という「殺憲法術」をも目の当たりにした。「憲法」はこれからどうのように最期を迎えるだろうか。「明文改憲」がなされるのか、それとも「悪性新生物」が臓物を食い尽くし、内部は完全な変容を遂げても、表皮だけは「憲法」のままの体裁を取り続けるのだろうか。「憲法」はまだ「在る」。死んではいない。でも意識はあるか? 余命は幾ばくか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』7日発売!
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