飯村誓に続く試練! NJKF若武者会主催DUEL.19

新人の域を越え、日本ランカーを倒すまでの出世は早くても、ムエタイの壁には撥ね返される選手は多い。今年、飯村誓はタイ選手に2連敗して更に今回、タイでの戦歴が多い儀部快斗と対戦。

◎DUEL.19 7月21日(日)大森ゴールドジム17:15~19:35
主催:NJKF若武者会 / 認定:NJKF

◆第9試合 メインイベント スーパーフライ級3回戦

誓の前蹴りをキャッチする儀部快斗

NJKFフライ級2位.誓(=飯村誓/ZERO/51.8kg)
   VS
儀部快斗(エクシンディコンJapan/51.75kg)
勝者:儀部快斗 / 判定0-3 / 主審:竹村光一
副審:少白竜28-30. 宮本28-30. 君塚29-30

初回のパンチとローキックの様子見から、誓の打つタイミングを見計らって儀部快斗が蹴るタイミングなどリズムを作っていく。

第2ラウンドには儀部快斗がヒジ打ちで誓の右目尻を小さくカットさせ、誓にやや心理的に影響あるかに見えたが、誓はアグレッシブに攻めるも、儀部快斗が主導権を握った展開は変わらず、的確さで優った判定勝利。

儀部快斗の右ハイキックと誓のローキックが交錯
しぶとさではマリモーが上、パントリーが攻め倦む

◆第8試合 セミファイナル スーパーライト級3回戦

NJKFスーパーライト級5位.マリモー(キング/63.4kg)
   VS
NKBライト級5位.パントリー杉並(杉並/62.75kg) 
勝者:パントリー杉並 / 判定0-3 / 主審:中山宏美
副審:少白竜28-29. 宮本29-30. 竹村29-30

パンチとローキックのアグレッシブなパントリー杉並の攻勢も、しぶといマリモーの打たれ強さと返し技のローキックがしつこい。

第2ラウンドにはマリモーがヒジ打ちをヒットさせ、パントリー杉並の右目尻を小さくカットしたが、影響はほぼ無さそうで攻防は激しくなり、パントリー杉並の連打で出る勢いは衰えず、僅差ながら判定勝利。

パントリー杉並の連打でマリモーを圧倒
パントリー杉並がアウェイで勝利

◆第7試合 68.0kg契約3回戦

NJKFウェルター級3位.JUN DA雷音(E.S.G/67.35kg)vs渡邊知久(Bombo freely/67.6kg)
勝者:JUN DA雷音 / 判定3-0 / 主審:君塚明
副審:少白竜30-29. 中山30-29. 竹村30-29

◆第6試合 フェザー級3回戦

NJKFフェザー級7位.小田武司(拳之会/56.75kg)vs?太朗(DTS/57.1kg)
勝者:小田武司 / 判定3-0 / 主審:宮本和俊
副審:君塚30-29. 中山30-28. 竹村29-28

◆第5試合 フライ級3回戦(2分制)

EIJI(E.S.G/50.8kg)vsRISING力(己道会/50.6kg)
勝者:RISING力 / 判定0-3 / 主審:少白竜
副審:君塚28-30. 中山29-30. 宮本28-30

◆第4試合 58.5kg契約3回戦(2分制)

上田祐也(E.S.G/58.45kg)vs田中崚(VALLELY/58.05kg)
勝者:上田祐也 / TKO 3R 0:45 / 主審:竹村光一

互いの左ストレートの相打ち気味に、上田がクリーンヒットさせ、田中を一発で沈めレフェリーがストップした。田中崚は暫く立ち上がれないダメージで、一瞬で終わる怖さの試合だった。

上田祐也と田中崚のパンチが交錯した瞬間
倒された田中崚は暫く動けなかった

◆第3試合 女子キック(ミネルヴァ)スーパーバンタム級3回戦(2分制)

菅原麻子(トイカツ/55.1kg)vsKAEDE(LEGEND/55.05kg)
勝者:KAEDE / 判定0-3 / 主審:中山宏美
副審:竹村28-30. 少白竜27-30. 宮本27-30

◆第2試合 女子キック(ミネルヴァ)45.0kg契約3回戦(2分制) 

ピーポー梨乃(STRIFE/44.1kg)vs七瀬千鶴(138KICKBOXING/44.95kg)
勝者:七瀬千鶴 / TKO 1R 0:28 / 主審:君塚明

七瀬の左ミドルキックで苦痛の表情を浮かべた梨乃はしゃがみ込むとそのままレフェリーストップされた。

七瀬千鶴の左ミドルキックがピーポー梨乃のボディーにヒット

◆第1試合 女子キック(ミネルヴァ)アトム級3回戦(2分制)

亜美(OGUNI/46.0kg)vs愛裟(PON/45.5kg)
勝者:亜美 / 判定3-0 / 主審:宮本和俊
副審:竹村30-28. 君塚30-28. 中山30-27

儀部快斗もアウェイで判定勝利

《取材戦記》

この日、都内でビッグイベント興行が重なる中、単にいちばんお付き合いの縁が深いだけのNJKF若武者会主催のDUELプロ興行に訪れました。

しかし、16時30分開始予定のプロ興行が45分遅れの17時15分開始。アマチュア試合が朝10時開始で108試合あったようで、タイムスケジュールの組み方に最初から無理があるように感じられました。

先月の松谷桐vs仲山大雅戦同様に、年齢的に高校生vs大学生の構図となる誓vs儀部快斗戦。歳の差は3歳差でも18歳と21歳では大きな人生経験の差があるように感じられました。

その儀部快斗は、5月12日の石川直樹にヒザ蹴りの猛攻で敗れた試合から復活。飯村誓にとってはすぐ先の目標となるNJKF王座は、今年18歳となる者同士の松谷桐がNJKFフライ級チャンピオンである以上、挑戦する日までこれ以上の連敗は避けたいところ。“誓”が正式リングネームですが、文中、意味を間違いやすいので本名で載せています。

パントリー杉並は、ホームリングとなる日本キック連盟興行でもパンチ主体のアグレッシブな試合で、徐々にランクを上げていた。マリモーは華やかさは無いがシブとく打たれ強い。こんなタイプは昔にも居たなあと思う二人の戦いだった。

リングネームの由来をいつか聞こうと思っていたが、この日の試合を前にNJKFの公開インタビューで、「“パントリー”はお笑いの養成所に通っていた頃のコンビ名」と発表されていた。昨年はKOによる連敗があり、トップクラスに躍り出ることはなかなか難しいが、打たれないこと重視して今後の上位挑戦に期待したい。

マリモーのリングネームは“何となく”付けたそうだが、これはキングジムの向山鉄也会長の仕業っぽい気がする。変なリングネームいっぱい付けてきた人だから。今度改めて聞いておきましょう。

NJKF次回興行は9月23日(月・祝)に後楽園ホールで「NJKF 2019.3rd」が開催されます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

創業50周年!タブーなき言論を! 月刊『紙の爆弾』8月号
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』
上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』。「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」!

重森陽太がWKBA世界王座獲得、誰もが目指す王座へ、メジャー化は叶うか!

前蹴りでラックチャイの突進を止めた重森陽太
軽いパンチだが、ラックチャイと相打ちとなった瞬間の重森陽太

勝次が返上した日本ライト級王座は髙橋亨汰が獲得。

◎MAGNUM.50 / 7月7日(日)後楽園ホール17:00~20:45 
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会、WKBA

◆WKBA世界ライト級王座決定戦 5回戦

重森陽太(前・日本フェザー-級C/伊原稲城/60.8kg)
   VS
ラックチャイ・ジャルンクルンムエタイ(タイ/60.55kg)
(ラックチャイはアマチュアムエタイ60kg級チャンピオン経験有り)
勝者:重森陽太 / 判定3-0 / 主審:椎名利一
副審:少白竜50-46. 桜井50-46. 宮沢50-46

右ローキックで攻める重森陽太

重森は突き刺すような鋭い前蹴りでラックチャイの突進を阻み、自分の距離を掴んでパンチや蹴り、ヒジ打ちを叩き込んでいく。

重森は中盤以降も前蹴りを多用し、ラックチャイのバランス崩させる展開が続くが、接近すれば組みに来るラックチャイ、この体勢になると本領発揮のバランスの良さが表れるが、重森も不利な体勢にはならず、ヒザ蹴りも蹴り負けない。

最終ラウンド、倒すに至らない展開と前進衰えないラックチャイのタフさが印象付いてしまうが、それでもポイントは大差で圧倒した展開の勝利となった。

日本バンタム級とフェザー級の2階級制覇を果たしている重森は世界と合わせて三つめのベルト獲得となった。

3度のダウンを奪ってKO勝利の江幡睦

◆54.0kg契約 5回戦

WKBA世界バンタム級チャンピオン.江幡睦(伊原/54.0kg)
   VS
トーン・ハーブタイジョンジム(元・スラタニー県フライ級C/タイ/54.0kg)
勝者:江幡睦 / KO 1R 2:41 / 3ノックダウン / 主審:仲俊光

毎度のスピードある蹴りで、様子見ながら一気に倒しに掛かるような睦の勢いの中、ローキックからパンチの連打でロープ際に詰めたところで左ミドルキックをボディーにヒットさせるとトーンは蹲ってしまいノックダウンとなるが、トーンはまだ心は折れていない様子で立ち上がる。

組み合えば崩しに掛かる上手さを見せるトーンだが、睦の勢いは増していき、コーナーに詰めてのパンチ連打、離れても蹴りの上下の使い分けで、続けて左ミドルキックをボディーヒットさせ計3度目のノックダウンを奪い、ノックアウトに繋げた。
マイクを持つと、10月20日、後楽園ホールに於いて、ラジャダムナンスタジアムの王座挑戦が決定したことをファンに報告した。

コーナーに追い込み、右ストレートを打ち込む体勢の江幡睦
髙橋亨汰の左ストレートで内田雅之がダウン

◆日本ライト級王座決定戦 5回戦

1位.内田雅之(藤本/61.1kg)vs3位.髙橋亨汰(伊原/61.23kg)
勝者:髙橋亨汰 / 判定0-3 / 主審:少白竜
副審:椎名47-49. 桜井47-49.仲48-49

序盤は探り合いながら互いに主導権を奪いに打って出る攻防。

第2ラウンドには、高橋がヒジ打ちで内田の右眉辺りを小さいがカットさせ、更に左ストレートで内田をグラッとバランス崩させると、高橋が積極性を増し、再び左ストレートで、内田からノックダウンを奪う。

ダメージは軽そうで体勢を立て直し、第3ラウンドは内田のヒジ打ちが強くヒットし、高橋の額を深くカット、ここから流れを変えたい内田はペースを上げていくが、高橋はハイキックで内田の顔面を襲いリードを譲らない踏ん張り。

終盤、激しくなる攻防の中、内田の強引な蹴りとパンチ、ヒジ打ちを狙って出て行く。高橋も内田の顔面へ前蹴りをヒットさせ内田の突進を止める勢いがあった。ダウンの差を縮めるには至らなかった内田は惜しい敗戦。高橋は新しい時代を担うチャンピオン誕生となった。

髙橋亨汰の左ハイキックを受けながらバックハンドブローを繰り出す内田雅之
額を切られながらの攻防、髙橋亨汰の前蹴りが内田のアゴを捕える
念願の王座獲得で号泣する髙橋亨汰。お母さんの祝福を受けて更に号泣
伊原稲城ジム栗芝貴会長と並ぶ重森陽太

◆72.6kg契約 3回戦

日本ミドル級チャンピオン.斗吾(伊原/72.5kg)vs小原俊之(キングムエ/72.1kg)
勝者:斗吾 / 判定3-0 / 主審:宮沢誠
副審:椎名29-27. 少白竜30-27. 仲30-26

蹴り合いの様子見からコーナーで組み合うと小原が強引なヒジ打ちの連打で斗吾の右頬をカットさせ、これで怒り心頭となった斗吾がパンチで圧倒し、右ストレートでノックダウンを奪う。

小原の踏ん張りで斗吾も打ち合いに応じ、ノックアウトには繋げられなかったが、連打で追い詰めた斗吾が大差を付けた判定勝利。

◆67.0kg契約 5回戦

日本ウェルター級チャンピオン.リカルド・ブラボ(アルゼンチン/伊原/66.7kg)
   VS
助川秀之(Turning Point/66.8kg)
勝者:リカルド・ブラボ / 判定3-0 / 主審:桜井一秀
副審:宮沢50-46. 少白竜50-46. 仲50-47

序盤から重いパンチと蹴りの交錯が続く両者。ブラボのパンチがヒットすると、リズムに乗って連打で追い詰める。

第4ラウンドにはノックダウンを奪う寸前までいくが、倒すには至らない。助川は劣勢になりながらも耐え切り、ブラボが大差判定勝利。

メインクラス最終2試合のリングアナウンサーを務めた生島翔さんの代打、お父さんの生島ヒロシさん

◆70.0kg契約 5回戦

喜多村誠(前・日本ミドル級C/伊原新潟/69.9kg)
   VS
ペッダム・ペットプームムエタイ(タイ/68.4kg)

勝者:喜多村誠 / 負傷判定2-0 / テクニカルデジション 1R 1:00 / 主審:宮沢誠
副審:椎名10-10. 桜井10-9. 少白竜10-9

ミドルキックの蹴り合いから縺れ合って倒れた両者だったが、喜多村が後ろ向きからペッダムのアゴ辺りに圧し掛かかってしまい、ペッダムはもがき苦しみ立ち上がれず、ここでレフェリーは試合終了を宣告。

裁定はルールの在り方とレフェリーの判断によって結果は分かれるところ、ここでは偶然のアクシデントと判断され負傷判定が行なわれ、わずか1分の試合ながら、2-0で喜多村誠が勝利。

◆51.5kg契約3回戦

泰史(前・日本フライ級C/伊原/51.5kg)
   VS
WBC・M日本フライ級チャンピオン.仲山大雅(RIOT/51.5kg)
勝者:仲山大雅 / 判定0-3 / 主審:仲俊光
副審:椎名28-29. 宮沢29-30. 少白竜28-29

先手を打つ仲山のタイミングいいパンチと蹴りがヒットする。仲山の上手さが目立つが、ラウンドが進むと泰史は仲山の動きが読めるようになったか、泰史のパンチのヒットも増えてくる。しかし巻き返すには至らず、仲山の柔軟な技が目立った印象が残る。

◆63.0kg契約3回戦

日本ライト級2位.渡邉涼介(伊原新潟/62.95kg)vsイ・クロウ(Kick In The Door/62.75kg)
勝者:イ・クロウ / TKO 2R 2:29 / 主審:桜井一秀
渡邉の顔面負傷によるドクターチェック中の陣営によるタオル投入による棄権

◆62.0kg契約3回戦

日本ライト級4位.ジョニー・オリベイラ(ブラジル/トーエル/61.35kg)
   VS
ルンピニージャパン・スーパーフェザー級1位.角谷祐介(NEXT LEVEL渋谷/61.65kg)
勝者:角谷祐介 / 判定0-3 / 主審:少白竜
副審:宮沢29-30. 桜井29-30. 仲29-30

◆フェザー級3回戦

平塚一郎(トーエル/57.15kg)vs仁琉丸(ウルブズスクワッド/56.5kg)
勝者:平塚一郎 / 判定2-0 (29-29. 30-29. 30-29)

《取材戦記》

喜多村誠vsペッダム戦は、あの事態で終了ならば、プロボクシングなら試合の前半に起きたもので負傷引分け、ムエタイなら負傷裁定は無いので、ペッダムの試合続行不能による喜多村のTKO勝利となる。また、試合は成立しているので無効試合(災害や暴動などの収拾付かない事態)とはならない。昔だったら、アクシデントで負傷したものは、立ち上がれない時点でノックダウン扱いとなり、カウント数えられたものである。いずれにしても喜多村の負けにならない限り、異議申し立てる声を上げる者はいないだろう。

追い続けたラジャダムナンスタジアム王座の挑戦が決まったことを報告する江幡睦

重森陽太が語った、WKBAをメジャーにしたい想い。「このベルトが誰もが目指すベルトとなるように、ドンドン試合して、このベルトの価値を分かり易く証明していきたい」と語る。

それは以前から江幡睦も塁も同じ想いを持っていた。古く遡れば1993年に日本ライト級チャンピオン(MA日本キック時代)だった飛鳥信也(目黒)氏がWKBA世界戦に挑む時、提唱した日本統一論でもあった。このベルトを目指して皆が挑戦して来れば、必然的にここが頂点となる。

しかし現在もこの理想には近づいていない。それは統一を目指しながら実現できない国内王座が増え過ぎたことや、いずれのチャンピオンも、防衛戦の相手や場所・日時を決められる訳ではないことに繋がる。それでも新しい時代に新しいスターの重森陽太の目指す新たな挑戦に期待したい。

江幡睦が10月20日に後楽園ホールに於いてタイ国ラジャダムナンスタジアム・バンタム級王座へ4年ぶり4度目の挑戦が決定。現チャンピオン、サオトー・シットシェフブンタムがそれまで王座を維持していれば、このサオトーが来日することになる。江幡ツインズと同じく、サオトーも双子の兄弟が居て、サオエーク・シットシェフブンタムが居るようです。

這い上がる力、奪いに行く力が試される時、それが江幡ツインズであり、新日本キックの今である。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

創業50周年!タブーなき言論を! 月刊『紙の爆弾』8月号
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』
上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』。「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」!

ベテラン記者の技!レジェンド大集合の宴「舟木昭太郎氏喜寿を祝う会」!

レジェンド勢揃い

レジェンド達が集まるパーティーを開くことの凄さ、その羨ましい立ち振る舞い!──。先月のことになってしまいましたが、6月8日(土)、新宿京王プラザホテルに於いて行なわれた、「舟木昭太郎氏喜寿を祝う会」は盛大に130名あまりの格闘技関係者を集めて行なわれ、舟木さんの長き取材経験と実績を称える、同じ時代を生きた選手、ジム関係者で賑わいました。

発起人代表の新日本木村ジム・木村七郎会長、実行委員長の具志堅用高氏、渡嘉敷勝男氏、大熊正二氏、藤原敏男氏、富山勝治氏、シーザー武志氏、猪狩元秀氏、増沢潔氏、佐竹雅昭氏が並び、3年前から行なわれている舟木さんのトークショーで集まる面々は慣れたトークをドンと展開。

乾杯の御発声は新日本木村ジム・木村七郎会長
左から富山勝治さん、舟木昭太郎さん、関口修平さん、木村七郎さん

舟木昭太郎さんは大学を卒業後のフリーライター時代からプロボクシング、キックボクシングを取材し、日本スポーツ出版社へ入社後のゴング誌では昭和のプロボクシング全盛期と言える15回戦制世界チャンピオンから、キックボクシング生誕以降を生で見て来た取材の先駆者でした。

舟木昭太郎氏は「私が今ここにあるのは、多くの格闘家、関係者のお陰であります。とりわけ鬼籍に入られた野口修社長(野口プロモーション)、大山倍達総裁(極真空手)、金平正紀会長(協栄ジム)、梶原一騎先生(作家)と夫人高森篤子さん、そして、病床にある黒崎健時会長(黒崎道場)等の支え、皆様の導きがあったればこそです。御礼の言葉もありません。」

御存命、御健康であれば、会いたかったであろう先人の名前を披露し、感謝の気持ちを伝えられました。

全日本系のスター・島三雄さん、田畑靖男さんも祝いに御参加
具志堅用高実行委員長の祝辞

この舟木さんとレジェンド達との長年の物語は多様にある中、並んだ顔触れが祝辞を述べ、代表的にいちばん実体験から来る貴重なお話となった具志堅用高さんは、高校卒業して沖縄を発ち、プロデビューまでの経緯はかなり有名なところで、ゴング誌の取材を通じて舟木さんと出会い、「世界戦に挑む前の山中湖でのキャンプでは舟木さんが付きっきりで密着取材されました。

私生活では十代の頃から世間をあまり知らない遊びたい盛りに、後に世界チャンピオンになっても舟木さんから、“あれは駄目、これは駄目”とずっとマネージャー以上に、親父並に指導されました。」と語る。

「舟木さんに人生教えて頂きましたよ。私生活が変わり真面目になりましたねえ。引退してからは一緒に温泉に行ったり、一緒にお酒を飲んだり、楽しい思い出いっぱいあります。」と続けて語った具志堅さん。

具志堅用高さんの傑作トークが続く
大熊正二(小熊)さんもファンの前へ久々の御登場だった

2006年、そんな舟木さんの人生最大の危機が起こる。そこにたまたま居合わせた具志堅さんは、
「私が調子悪い時、キックボクシングの以前のコミッションドクター(日本系TBS)だった矢吹芳一先生の信濃町診療所でよく看て貰うんだけど、たまたま舟木さんが風邪をひいて診察に来ていた時に偶然会って、舟木さんの何だか顔が赤いな、何か静かだなと思ってたら、だんだん顔色が悪くなって、私は普段、選手の試合の動きとか練習の動き見て調子が分かるから、舟木さんを見てこれは大変だと、診療所で間に合う範疇ではない一刻を争うから、救急車呼ぶより自分の車ですぐ、外苑のインターにバァーンと乗って新宿の出口でバァーンと降りて、新宿ヒルトンホテルの隣の東京医科大まで飛ばして時間的に救急車より速かったあ。

とにかく元気な佐竹雅昭さん、“栄光の架け橋”を歌う

病院着いて受付け通り越えてロビーで“急患だ急患だ、お願いします!”と叫んだら、看護婦や医師が集まって来て私を取囲んで、みんな私が急患だと思ったんだね。“違う違うこの人(舟木さん)だ”と、でも騒いだことがよかったんだね。すぐ処置に掛かってくれて舟木さんは集中治療室に運ばれました。」

脳梗塞だった舟木さんは無事全面回復し、「具志堅さんは命の恩人です。あんな迅速な救いが無かったら私は後遺症が残っていたと思う。」と語る。

何が因で、また縁によって果に繋がるか、命を救ったのはこの仕事に就き、レジェンドを世に広め続けた縁が導いた結果となったのでしょう。

いつも大きな声と滑舌いい佐竹雅昭さんのトークは評判がいい
現役時代にクイズダービーに出演したコンビ、具志堅さんと富山さん

「これからのボクシング界のキーワードはレジェンドだ!」と30年以上前に舟木さんに言われたと言う祝辞を述べた参加者の一人は、「舟木さんが“日本名ボクサー100人”という新しい本の企画を考え、レジェンドを作り上げた先駆者です。」という、その先を見据えた発想は、その後、乱立していくチャンピオンの枠を越えたレジェンドが、今こそ希少価値ある存在となった時代でしょう。

選手の引退後、記者としての退職後、互いが歳を重ねた今、キックボクシング創生期から取材して来た格闘技記者はごく少数。レジェンドの取材を通して業界の裏側も見て来たであろう、ここがいちばん羨ましいところ。

富山勝治さんは渋く“皆の衆”を歌う
富山さんの歌に聞き入る周囲
イタズラ好きコンビ、渡嘉敷さんを杖で攻める藤原敏男さん
渡嘉敷さんもユニークさで笑いを誘う

渡嘉敷さんが「長生きしてください。次は米寿、100、200、300歳まで生きた人はいませんから!」と語ったギャグでしたが、傘寿、米寿、卒寿、白寿、紀寿、100歳を超えた長寿には、108歳の茶寿、111歳の皇寿、120歳の大還暦、250歳で天寿というものもあるそうです。

ボクシング評論家の郡司信夫さんは90歳まで執筆に務められました。これを越えるであろう舟木さんが企画する今後のイベントで、まだまだ語り続けて頂きたいものです。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

創業50周年!タブーなき言論を! 月刊『紙の爆弾』8月号
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』
上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』。「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」!

NKBフェザー級王座決定戦で髙橋亮がNKB2階級制覇! PRIMA GOLD杯決勝戦は10月12日、田村聖vs清水武戦に決定!

左ミドルキックを繰り出す高橋亮
左ローキックをヒットさせる高橋亮、上下の打ち分けが上手い

◎出陣シリーズvol.4 / 6月15日(土)後楽園ホール 17:15~21:20 
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

◆第14試合 メインイベント 第16代NKBフェザー級王座決定戦 5回戦

NKBフェザー級1位.ひろあき(=安田浩昭/プラスα/57.0kg)
   VS
NKBフェザー級3位.髙橋亮(真門/57.0kg)
勝者:高橋亮 / 判定0-3 / 主審:前田仁
副審:竹村光一47-50. 鈴木義和46-50. 佐藤友章46-50

ハイキックは狙い過ぎたが、圧力掛け続けた高橋亮

蹴りの鋭さや試合運びは高橋亮が上手だが、ひろあきは強い右クロスカウンターがあり、一発当たればそれだけで勝利を導く怖さがある。高橋三男・聖人との初戦(2017年12月16日)はこれで倒したこともあり、緊張感ある対峙となった。

ひろあきの強打を警戒しつつも、高橋亮もパンチの強打は無くても的確さは十分あり、先に当たるジャブやストレート、当たれば痛そうな素早いローキック、ミドルキックが炸裂。ひろあきは左瞼が腫れ、鼻血を出すほど高橋亮のパンチがコツコツ当たっていた。

第4ラウンド、高橋亮は一発KOを狙うハイキックを出すのはちょっと早過ぎたか、聖人との2戦目(2018年6月16日)で倒されたハイキックが教訓となっていたひろあきにはヒットしても浅く、ノックアウトには結び付けられなかった。やや不完全燃焼となるも、各ラウンドを抑えた大差判定勝利で王座獲得。高橋亮は「倒す技は幾つも考えていた」と言うが、「力み過ぎました」と反省点を述べていた。

パンチでも負けてはいない左ストレートを打ち込む高橋亮
左ヒジ打ちを打ち込む高橋亮、細かい技が冴える

◆第13試合 PRIMA GOLD杯ミドル級トーナメント準決勝3回戦

右ストレートカウンターで今野を倒すイレズミの田村聖

NKBミドル級1位.田村聖(前・C/拳心館/72.2kg)
   VS
ジャパンキック協会ミドル級1位.今野顕彰(市原/72.5kg)
勝者:田村聖 / KO 2R 2:24 / テンカウント / 主審:佐藤友章

トーナメント初戦(4月13日/準々決勝)で、吉野健太郎をKOした田村聖。井原浩之をヒジ打ちでカットし、ダウンを奪う判定勝利した今野顕彰。

距離を取った蹴りとパンチを打ち込むタイミングは今野が先手を打つペースで始まるも、田村が一気に距離を詰めパンチを打ち込むと今野はやや貰って効いてしまい、ロープ際へフラつくように下がってしまう。

これで出難くなった今野、第2ラウンドにはパンチの交錯が見られるも、田村のパンチで切られたか、今野の左目尻から出血。終始冷静に距離を見計らっていたのは田村。今野の右ストレートで出るところへ逆に右ストレートをカウンターで打ち込んだ田村がノックアウトで倒し切った。

あっさり倒した田村聖と見上げる今野顕彰
決勝戦は清水武vs田村聖に決定

◆第12試合 PRIMA GOLD杯ミドル級トーナメント準決勝3回戦

清水武の左ローキックが小原俊之にヒット

清水武(元・WPMF日本SW級C/sbm TVT KICK LAB/72.5kg)
   VS
J-NETWORKミドル級3位.小原俊之(キングムエ/72.25kg)
勝者:清水武 / ヒジ打ちによる瞼のカットでドクターの勧告を受入れレフェリーストップ
主審:鈴木義和

トーナメント初戦(準々決勝)、郷野聡寛をヒジ打ちで終わらせた清水武。西村清吾を左縦ヒジ打ちでノックダウンを奪取し終わらせた小原俊之。

第1ラウンドはローキック中心に静かな展開からパンチに繋ぐ交錯が続き、第2ラウンドに、清水がここでもヒジ打ちで小原の右眉尻辺りと額をカット、2ヶ所とも傷は小さいが、第2ラウンドに入っての打ち合いで清水のパンチとヒジ打ちが何度か小原の顔面をかすめていたが、今度はヒジ打ちで右目瞼を深く切り、これがストップの直接的原因となって試合を終わらせた。

やがて接近戦になり、清水武のパンチが当たりだす

◆第11試合 64.0kg契約3回戦

NKBライト級1位.棚橋賢二郎(拳心館/63.85kg)
   VS
セーンアーティット・ワイズディー(タイ/63.6kg)
勝者:セーンアーティット / 判定0-3 / 主審:竹村光一
副審:佐藤28-30. 鈴木28-30. 前田28-30

(セーンアーティットはフェザー級で元・ルンピニー系6位、元・ラジャダムナン系5位)

棚橋はローキックのけん制から強打を狙っていくが、セーンアーティットが柔軟なかわしと距離感を上手く利用したキレ味ある蹴りとヒジ打ちの返し技で大きく上回る判定勝利。

棚橋のパンチは貰わず、ムエタイ技が冴えるセーンアーティット

◆第10試合 ウェルター級3回戦

NKBウェルター級2位.稲葉裕哉(大塚/66.6kg)vs蛇鬼将矢(テツ/66.3kg)
引分け 0-1 / 主審:前田仁
副審:佐藤29-29. 鈴木29-29. 竹村28-29

◆第9試合 55.0kg契約3回戦

NKBバンタム級2位.高嶺幸良(真門/54.6kg)
     VS
NJKFバンタム級6位.鰤鰤左衛門(CORE/54.5kg)
勝者:鰤鰤左衛門 / 判定1-2 / 主審:竹村光一
副審:佐藤29-30. 前田30-29. 鈴木29-30

◆第8試合 スーパーライト級3回戦

NKBライト級3位.野村怜央(TEAM-KOK/63.4kg)
   VS
ジャパンキック協会ライト級7位.大月慎也(治政館/63.15kg)
勝者:大月慎也 / 判定0-3 / 主審:鈴木義和
副審:佐藤27-30. 前田27-30. 竹村27-30

◆第7試合 バンタム級3回戦

古瀬翔(ケーアクティブ/53.45kg)vs TOMO(K-CRONY/53.52kg)
勝者:TOMO / 判定0-2 / 主審:佐藤友章
副審:前田29-29. 鈴木28-29. 竹村28-29

◆第6試合 女子キック(ミネルヴァ)スーパーフライ級3回戦(2分制

TAMA(ReBORN経堂/51.9kg)vs sasori(テツ/52.16kg)
勝者:sasori / 判定0-3 / 主審:竹村光一
副審:前田25-30. 鈴木25-30. 佐藤25-30

◆第5試合 フライ級3回戦

山野英慶(市原/51.06kg)vs則武知宏(テツ/50.8kg)
勝者:則武知宏 / TKO 3R 1:48 / レフェリーストップ
主審:鈴木義和
山野英慶はリミット超オーバーウェイトにより減点1

◆第4試合 フェザー級3回戦

森田勇志(真門/56.4kg)vs渉生(アント/57.15kg)
勝者:森田勇志 / 判定3-0 / 主審:前田仁
副審:鈴木30-28. 竹村29-28. 佐藤30-28

◆第3試合 フェザー級3回戦

山本太一(ケーアクティブ/57.1kg)vs藤平泰地(花澤/56.1kg)
引分け 0-1 / 主審:佐藤友章
副審:鈴木28-28. 竹村28-29. 前田28-28

◆第2試合 バンタム級3回戦

五嶋龍太郎(真門/52.9kg)vs剣汰(アウルスポーツ/53.52kg)
勝者:五嶋龍太郎 / TKO 2R 2:39 / カウント中のレフェリーストップ
主審:鈴木義和

◆第1試合 ライト級3回戦

小笠原裕史(TEAM-KOK/61.1kg)vs哲太(Team S.A.C/60.6kg)
勝者:哲太 / 判定0-3 / 主審:前田仁
副審:佐藤24-30. 竹村24-30. 鈴木24-30

バンタム級に続き、フェザー級を制覇した高橋亮。次は兄が持つライト級王座?

《取材戦記》

高橋三男・聖人が返上したNKBフェザー級王座を次男・亮が獲得し、いずれはライト級も目指し3階級制覇すると言う。現在、ライト級は長男・一眞が王座に君臨する

「三兄弟でリーグ戦やれよ!」という身内間のジョークには3人とも笑って否定したが、兄弟対決は本当はやるべきではない。だが、王座の譲り合いとなる返上も望ましくはない。

他団体に見られる、“後輩に道を譲る”という選択肢が幾度かありましたが、個人競技たるもの、同門であっても上がってくる後輩は本来、返り討ちにすべきもの。下克上が起こればそれは世代交代の時。一概に選手を攻められず、本人の意思に関係なく、返上させられたという話も聞くが、王座たる頂点をビジネス優先に進め、好カードの面白さを奪ってはならないだろう。

PRIMA GOLD杯ミドル級トーナメントは10月12日に決勝戦を迎えます。この4ヶ月の期間が空くのは勿体無いところ。調整試合でも挟めそうなほど間が空くが、他のイベントの陰に隠れ、ファンが忘れそうになるほど熱が冷めないことを願いたい。

高橋兄弟2人のチャンピオンがそれぞれ王座を防衛し続けたら、現在無冠の三男・聖人はどうなるか。まさかウェルター級王座を狙うなんてことは有り得ないが、「KNOCK OUT」をはじめとする国内ビッグイベントに進出するでしょうか。

仮に、ライト級辺りでPRIMA GOLD杯トーナメントが大人数参加で行なえば盛り上がることでしょう。それこそ兄弟対決もトーナメント制なら仕方無いところです。

出陣シリーズvol.5は9月29日(日)大阪・すみのえ舞昆ホールに於いて開催。出陣シリーズvol.6は10月12日(土)後楽園ホールに於いて開催。出陣シリーズvol.7(ファイナル)は12月14日(土)後楽園ホールに於いて開催されます。

数年前から交流戦で盛り上がって来た日本キックボクシング連盟とNKB、高橋三兄弟をメインに何が行なわれるでしょうか。

PRIMA GOLD杯トーナメントに登場したラウンドガール

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

創業50周年!タブーなき言論を! 月刊『紙の爆弾』7月号
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』
上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』。「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」!

春日部パフォーマンス「絆」! ムエタイ戦士3名を迎え撃つ日本の若手戦士たち

2013年から始まった「絆」興行も12回目を迎え、日本の各ジムがトレーナー兼選手として招聘した第一線級を退いたタイ選手でも充分なベテラン技でムエタイを披露。日本滞在が長く、勝利者インタビューで日野リングアナウンサーが日本語で感想を聞くと、片言ながら日本語で照れながら「ありがとうございます。また頑張ります」程度の受け答えでもしっかり応えてくれるタイの選手達でした。

ノックアウトを狙うような技は少ないが、ダメージを与えるよりバランスを崩させる技、踏み込んだ前足を払う、蹴ってきた軸足を払う、足を掴んで吹っ飛ばす崩し、突進を拒むジャブのような前蹴り、どこを狙うか分からない素振りからのヒジ打ち、ヒザ蹴り。裏の裏をかくような相手のフェイントを見破ってフェイントを掛ける上手を行く技。若い日本人選手3名はムエタイ戦士の巧みな技に、ムエタイ技術を学ばせて貰ったような実戦での展開。タイ3戦士とも日本に慣れて、日本の選手を育てる役割を果たす、そんな指導者のような存在だった。

追い詰めるとジョッキーレックの左ミドルキックを浴びてしまう誓
組まれると動けない。ヒザ蹴りを喰らう誓

◎絆 Ⅻ
2019年 6月9日(日)
埼玉県春日部市ふれあいキューブ 16:00~20:15
主催:PITジム / 認定:NJKF

◆スーパーフライ級5回戦

ジョッキーレック・DRAGON(タイ/51.9kg)
   VS
NJKFフライ級2位.誓(=飯村誓/ZERO/52.0kg) 
勝者:ジョッキーレック / 判定3-0 / 主審:竹村光一
副審:君塚50-49. 松田50-48. 中山50-48 

蹴り足を取られ、吹っ飛ばされる誓

ジョッキーレックは過去にHIROYUKI、岩浪悠弥、佐々木雄汰といった国内チャンピオンを降してきた実力を持つ36歳。“ジョッキーレック・ポー・ポンスリン”が本来のリングネーム。

18歳の飯村誓がパンチを狙ってもジョッキーレックはスウェーでかわし、接近するとジョッキーは首相撲でしっかり組んでヒザ蹴りを出してくる。組んでから崩し倒すのが上手いジョッキーレック。中間距離では何を出してくるか読み難いムエタイ技に翻弄される誓。

第5ラウンドは勝ちを確信したら下がるパターンは仕方ないが、誓が出てくれば余裕の応戦。ムエタイの奥義見せたジョッキーレックだった。

誓のハイキックを軽くかわす余裕のジョッキーレック
ユットvs日下滉大。ロープ際でユットのパンチを貰ってしまう日下滉大

◆56.0kg契約3回戦

NJKFバンタム級3位.日下滉大(OGUNI/55.9kg)vsユット・ZEROジム(タイ/55.6kg)
勝者:ユット・ZEROジム / 判定0-3 / 主審:多賀谷敏朗
副審:君塚27-30. 竹村27-30. 中山26-30 

初回から積極的に蹴りが出る日下だが、ユットは余裕で見ながら、かわしたり蹴り返したり、更にガードの空く日下へパンチを打ち込むタイミングを見計らう。第3ラウンドには日下は蹴りに行ったところにユットの素早い右ストレート貰いノックダウンを喫する。軽いヒットだがフラフラと倒れ込む。上手さが目立ったユット。更にロープ際で蹴りを出したところへユットの右ストレートを浴びると2度目のノックダウン。倒しきるほどラッシュは控えた感じの大差で判定勝利を掴んだユットだった。

ユットと打ち合う日下滉大
ユットの右ストレートを浴びてしまう日下滉大
ポンと打ち合う吉田凛太朗

◆59.5kg契約3回戦

NJKFスーパーフェザー級7位.吉田凛太朗(VERTEX/59.3kg)
   VS
ポン・ピットジム(タイ/58.4kg)
勝者:ポン・ピットジム / 判定0-2 / 主審:松田利彦
副審:多賀谷29-30. 竹村29-29. 中山28-29 

吉田は正攻法な蹴りで前進気味に攻めるが、ポンは下がり気味でも圧力あるヒットが目立つ。組み合えばポンが吉田の頭をを押さえ付けて優位な態勢に持ち込んでヒザ蹴りを加える。吉田がパンチ連打で出るとポンは距離とって迎え撃つ。吉田のガードが空けばハイキックで顔面をかすめる。僅差ながらポンが上手さで優った。

ポンの右ストレートを浴びる吉田凛太朗

◆女子キック(ミネルヴァ)45.5㎏契約3回戦(2分制)

WPMF日本ピン級3位.田中“暴君”藍(PCK連闘会/45.3kg)vs祥子(JSK/45.3kg)
勝者:田中“暴君”藍 / TKO 2R 1:21 / レフェリーストップ
主審:君塚明 

◆女子キック(ミネルヴァ)48.0㎏契約3回戦(2分制)

アトム級1位.佐藤レイナ(teamAKATSUKI/47.8kg)
   VS
ライトフライ級6位.後藤まき(RIKIX/47.8kg)
勝者:後藤まき / 判定0-3 / 主審:中山宏美
副審:多賀谷28-29. 君塚29-30. 松田28-29 

◆女子キック(ミネルヴァ)スーパーフライ級挑戦者決定トーナメント準決勝3回戦(2分制)

ライトフライ級4位.佐藤”魔王”応紀(PCK連闘会/51.9kg)真美(TeamlmmortaL/51.8kg)
勝者:真美 / 判定0-2 / 主審:竹村光一
副審:中山29-29. 君塚28-30. 松田28-29  

同日、大阪市平野区で行なわれているNJKFミネルヴァ実行委員会西日本主催興行で、もう一方の準決勝で聖愛(魁塾)が楓(LEGEND)を破り、決勝戦は真美vs聖愛となります。

佐藤応紀vs真美。女子キック、ミネルヴァの戦いに勝ち上がった真美

◆55.0㎏契約3回戦

篠田兼一(DANGER/54.9kg)vs NJKFバンタム級4位清志(新興ムエタイ/54.8kg)
勝者:清志 / 判定0-3 / 主審:多賀谷敏朗
副審:中山27-30. 君塚28-30. 竹村27-30 

◆80.0kg契約3回戦

J-NETWORKライトヘビー級6位.中平卓見(北眞館/80.0kg)
   VS
クイック・チョップリー(打撃武道我円/78.0kg)
勝者:中平卓見 / TKO 1R 1:15 / カウント中のレフェリーストップ
主審:松田利彦 

◆ウェルター級3回戦

NJKFウェルター級7位.佐野克海(拳之会/66.68kg)
   VS
星裕久(ワイルドシーサー高崎/66.4kg)
勝者:佐野克海 / 判定2-0 / 主審:君塚明
副審:松田29-29. 多賀谷30-28. 竹村30-28 

◆52.0kg契約3回戦

清水保宏(北眞館/51.2kg)vsナカムラン・チャイケンタ(teamAKATSUKI/51.8kg)
勝者:ナカムラン・チャイケンタ / KO 2R 2:58 / テンカウント
主審:中山宏美

◆スーパーバンタム級3回戦

紺野大(DRAGON/55.1kg)vs雅(クローバー/55.0kg)
勝者:雅 / 判定0-3 / 主審:竹村光一
副審:松田29-30. 中山28-29. 君塚28-30 

大場総vs希望。タイを主戦場に戦うプロボクシングの大場総

◆70.0kg契約3回戦

中川達彦(打撃武道我円/69.6kg)vs謙(PIT/69.0kg)
勝者:謙 / 判定0-2 / 主審:多賀谷敏朗
副審:竹村29-29. 中山28-30. 君塚29-30 

◆ボクシングルール59.0kg契約3回戦

WBCアジア・スーパーフェザー級13位.大場綜(チームバカボン横浜西/58.3kg)
   VS
希望(D-TRIBE/56.8kg)
引分け(3R終了無判定) / 主審:松田利彦

大場綜はJBC管轄下のジムには所属せず、タイで実績を積み上げてきた選手。タイでのインターナショナル・スーパーフェザー級王座も獲得する経験を持つ。日本国内ではキックボクシング系のリングでボクシングマッチに出場している様子。

御挨拶に立つ権守幸男議員

《取材戦記》

今回、リングネームでちょっと不便に思うことがありました。実力を発揮したムエタイ3選手は在日タイ人で、タイで登録されるリングネームとは違った日本式リングネームで出場する場合がありますが、頻繁にリングネームを変えることは、過去の戦歴を調べ難いものとしてしまいます。

ポン・ピットジムは過去“ポンチャン”と言うリングネームで試合しており、来日経験豊富で国内チャンピオンクラスを下すベテラン選手。パンフレット製作者によって作られるものはしっかりインタビューや経歴、過去数戦の戦歴が載せられること多くなりましたが、過去の経歴や来日戦績を公表することは大事だなと思います。

松永嘉之プロモーターの御挨拶

各々の興行プロモーションによってはWebサイトで出場選手の詳しい戦歴・経歴が載せられるところもあるようですが、日本のキックボクシングの団体となる協会や連盟などの集団レベルではルールを基準とした管理・規制が行き届かない問題点。

プロボクシングでは昨年4月より、日本で試合するタイ人選手のリングネームは本名に限定されています。タイ人選手が複数のリングネームを使い分けることや、同一人物で複数の戦績が存在し、実力の無い選手、無気力試合をする選手を招聘する側が審査を逃れる手段であったところ、規制が厳しく改訂された訳です。但し、世界戦を戦うレベルの著名選手が来日した場合は特例でリングネームが認められるようです。

JBCのような管理体制がしっかりしたコミッションなら国内戦績・経歴がすべて管理されるところで、キックボクシング界も現在は団体単位でも、しっかりした体制造りが求められるところです。

マイクを持って立つラウンドガールの未来さん

毎度のラウンドガールを務める未来(みく)さんは今回は珍しくマイクを持ってちょっとだけ御挨拶。次の登場の埼玉県議会議員の権守幸男氏をコール。

権守氏は松永嘉之興行プロモーターと幼稚園からの同級生、とは何度か触れましたが、今回も演説慣れした御挨拶にリングに上がられました。選手が命を削る思いで今日まで練習してきて戦いに挑んでいることに敬意を表された権守氏。いつもは業務に追われ、早々に会場を後にすることもありましたが、今回はゆっくり最後まで観戦・歓談されました。

絆XIIIは来年6月14日(日)と1年後になってしまいますが、春日部パフォーマンスが行なわれます。 

ラウンド板を持ってファンに応える未来さん

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

創業50周年!タブーなき言論を! 月刊『紙の爆弾』7月号
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』
上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』。「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」!

このタイトルなくしては真の“王者”と語れない! NJKF 2019.2nd

今回もカッコいいタイトルが付いた興行。もっと活発になれば権威も増すところ。
以前からのWBCムエタイ日本実行委員会から新たに発足させたWBCムエタイ日本協会に移行して1ヶ月。若い戦士が成長してきたタイトルマッチ出場選手。他団体や海外出場が多い健太も凱旋試合。松谷桐の妹、松谷綺(16歳)がデビュー戦勝利と注目は多い。

◎NJKF 2019.2nd / 6月2日(日)後楽園ホール 17:00~21:00
主催:NJKF / 認定:NJKF、WBCムエタイ日本協会

大田拓真のヒジ打ちが新人の鼻をかすめる

◆第10試合 WBCムエタイ日本フェザー級タイトルマッチ 5回戦

不覚にもヒジ打ち喰らってしまった大田拓真

第6代チャンピオン初防衛戦.新人(=あらと/E.S.G/57.0kg)
   VS
NJKFスーパーバンタム級3位.大田拓真(新興ムエタイ/57.0kg)
勝者:太田拓真 / 判定1-2 / 主審:多賀谷敏朗
副審:神谷50-48. 宮本48-49, 少白竜48-49
太田拓真が第7代チャンピオン

新人の正攻法な攻めに対し、大田はムエタイ技のタイミング読み難い攻めと、足払いで倒す上手さは見映えがいい。3ラウンド終了時点の公開採点でやや不利な新人は、巻き返しの積極的な蹴り技が増える。

初回から新人の右ミドルキックで大田の脇腹が徐々に赤く腫れていく経過と、最終ラウンドにみせた新人のヒジ打ちはベテランの技。大田の額をカットし、やや勢いを鈍らせるも判定は1-2に分かれた。

新人の軸足を払う大田拓真
王座奪取成功した大田拓真を表彰

◆第9試合 WBCムエタイ日本フライ級王座決定戦 5回戦

松谷の右目瞼が切れ腫れあがる

1位.松谷桐(VALLELY/50.7kg)vs4位.仲山大雅(RIOT/50.5kg)
勝者:仲山大雅 / TKO 1R 1:45 / カウント中のレフェリーストップ
主審:宮本和俊
仲山大雅が第5代チャンピオン

開始からローキックからパンチの静かな展開から40秒ほど、両者接近したところへ偶然のバッティングで松谷の右目瞼が切れ、徐々に大きく腫れ上がる。

思わぬダメージを負った松谷はそのまま下がり気味になり、凌ぎきることができないまま、首相撲へ持ち込んだ仲山のヒザ蹴りを安易に貰ってしまう。

最後はボディーから顔面へヒザ蹴りを貰ってダウンすると、ダメージ大きい松谷はカウント途中でレフェリーに止められた。

首相撲に掴まり、仲山のヒザ蹴りを貰ってしまう松谷桐

◆第8試合 NJKFライト級タイトルマッチ 5回戦

野津良太vs鈴木翔也、ダウンしてから激しい展開となった鈴木の右ストレート

第10代チャンピオン.鈴木翔也(OGUNI/61.23kg)vs同級5位.野津良太(E.S.G/61.0kg)
引分け0-1 / 主審:神谷友和
副審:竹村48-48. 多賀谷48-48. 宮本47-48
鈴木翔也が初防衛

初回は静かな様子見も、鈴木が野津へのボディーへ打つ左フックがインパクトを残す。第2ラウンドに、静かな展開からいきなり野津の右ハイキックを喰らいノックダウンする鈴木。

呼吸を整えカウント8で立ち上がり、野津がチャンスを逃すまいと執念で調子を上げていく。両者は我慢比べの蹴りとパンチの攻防へ移り、鈴木は左目尻と右頬を切り、野津も鼻血を流す苦しい展開も互いに耐え切り、接戦ながら鈴木翔也が追い上げた形の判定0-1で、辛うじて引分け防衛に踏み留まった。

野津も王座へ執念の攻撃を見せた
引分けで辛うじて防衛を果たした鈴木翔也

◆第7試合 NJKFスーパーバンタム級王座決定戦 5回戦

雄一vs久保田雄太、右ストレートが交差する

1位.久保田雄太(新興ムエタイ/55.3kg)vs2位.雄一(TRASH/55.15kg)
勝者:久保田雄太 / 判定3-0 / 主審:少白竜
副審:神谷49-48. 多賀谷50-48. 宮本50-48
久保田雄太が第7代チャンピオン

前田浩喜が返上した王座を争う試合。有効なヒットが少ない展開の中、久保田の右ミドルキックが度々ヒット。雄一はその蹴り足を掴んで右ストレートを打ち込むパターンが増える。

互いのパンチの交錯や、組み合ってのヒザ蹴りや崩しの攻防は差が付き難い展開で、最終ラウンドには2度の投げに出た雄一に注意が与えられると、心理的に打つ手を阻まれたか、やや勢いが落ちた感じの雄一。

ラスト20秒は互いに懸命な打ち合いの激しさが増して終わるも、久保田がやや攻める勢いが優った印象が残る。「5ラウンドをフルに戦ってしんどかったが嬉しいです」と語った久保田雄太だったが、今後に課題を残した内容だった。

あらゆる技を酷使、バックハンドブローで攻める久保田雄太

◆第6試合 64.5kg契約3回戦

WBCムエタイ日本ウェルター級チャンピオン.健太(E.S.G/64.25kg)
   VS
ジョー・セイシカイ(タイ/64.45kg)
勝者:健太 / TKO 2R 1:06 / ほぼノーカウントのレフェリーストップ
主審:竹村光一

1年ぶりのNJKF出場となった健太は「初回から飛ばすつもりでいた」と言うとおり、不気味なジョーの出方を伺いながらも、ローキックで前進し、パンチのタイミングを見計らった展開。

ジョーはロープ際に下がり気味となるが、ジョーも蹴りのタイミングを見計らっている感じ。健太はパンチのタイミングを掴んだところで左ジャブから強烈な右ストレートでノックダウンを奪い、更に打ち合いに出て強烈な右ロングフックで倒し、レフェリーが試合を止めた。

健太のロングフックがジョー・セイシカイにヒットして倒す
新チャンピオン、大田拓真

◆第5試合 65.0kg契約3回戦

NJKFスーパーライト級9位.田邊裕哉(京都野口/64.9kg)vs洋輔YAMATO (大和/64.9kg)
勝者:洋輔YAMATO / 判定0-3 / 主審:多賀谷敏朗
副審:神谷29-30. 少白竜29-30. 竹村28-30

◆第4試合 55.0kg契約3回戦

雨宮洸太(キング/54.7kg)vs檸檬(CORE/54.5kg)
勝者:雨宮洸太 / 判定3-0 / 主審:宮本和俊
副審:多賀谷30-27. 少白竜30-27. 竹村30-27

◆第3試合 60.0kg契約3回戦 

蓮YAMATO(大和/59.75kg)vs慎也(ZERO/59.5kg)
引分け0-1 / 主審:神谷友和
副審:多賀谷28-28. 宮本28-28. 竹村28-29

◆第2試合 ウェルター級3回戦 

vic.YOSHI(OGUNI/66.55kg)vs宗方888 (キング/66.25kg)
勝者:vic.YOSHI / TKO 3R 2:21 / カウント中のレフェリーストップ
主審:少白竜

◆第1試合 NJKF女子(ミネルヴァ)ピン級(45.359kg)3回戦(2分制)

松谷綺(VALLELY/44.75kg)vs七瀬千鶴(138KICKBOXING/45.1kg)
勝者:松谷綺 / 判定3-0 / 主審;竹村光一
副審:少白竜30-28. 宮本30-28. 神谷30-28

新チャンピオン、仲山大雅

《取材戦記》

バッティングの怖さ。それが目に当たれば視界や距離感を失うほどダメージは大きい。頭は硬く重く、この頭を素手で殴れば拳を痛めるのは当然で、グローブが着用されるのがボクシング。頭同士が当たればその骨の出っ張った部分の薄い皮膚が切れるのも当然で、顔の皮膚は部分にもよるが、他の身体の部分より10分の1ほどの薄さだという(皮膚科のお医者さんが言っていた話)。切れやすく腫れやすいのが顔面で、減量から徐々に回復する身体は、水分を摂ると翌日には傷もより浮腫むようです。女子選手はより大変でしょう。

松谷は右目を打ったダメージで戦略が狂ったのかもしれない。いつもはこんな劣勢には至らないと思うが、正攻法に戦う真面目さと17歳という若さではキックボクサーとしての経験値よりも、人生のずるさの経験値が足りなかったか。これが健太ほどの90戦近いベテラン選手だったら、無理に攻めずにこの場を凌ぐ時間稼ぎに出たでしょう。

試合は何が起こるか分からない恐ろしさがあります。昔読んだある記事ですが、「体調万全で試合に臨み、試合開始のゴングが鳴る直前に、コーナーで気合入れて思いっきり足の屈伸したら足首が“ブチッ”といった切れた音がした」という世界戦のリングでそんなことが起きた過去の日本人プロボクサー世界チャンピオンがいました。

“あっ、ヤバッ”と思っても、初回のゴングが鳴り、そのまま戦うしかなかったそうで、何とか15ラウンド判定勝ちで防衛したそうですが、試合後、シューズを脱ぐと足は腫れてパンパン。こんなハプニングは長い歴史の中、他の格闘技にもあるのではと思いますが、そんな世にも怖い魔物が住んでいる話を聞いてみたいものです。

今年の新役員に囲まれてチャンピオンベルトを巻いた久保田雄太

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

創業50周年!タブーなき言論を! 月刊『紙の爆弾』7月号
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』
上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』。「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」!

プロのリングに立てなかった選手たちの「オヤジ・オナゴキック」が熱かった!

プロのリングに立てなかった男達。プロのリングに未練を残すボクサー達。そんな狙いからプロライセンス定年を超えた者が戦う「オヤジファイト」が誕生し、ウェイト、年齢、経験値別にクラス分けされて試合が組まれ、やがてはキック版で「ナイスミドル」が誕生。更に関西で発祥したのが「オヤジ・オナゴキック大会」、その関東での初開催が5月26日に大森ゴールドジムにて行なわれました。

一番問題視されがちなのは安全面ですが、審判団は日本キックボクシング連盟、NKB実行委員会より派遣されたプロレフェリーが務め、ヘッドギアーの義務付け、1ラウンドは1分30秒の2ラウンド制、早めのストップ裁定は妥当な判断がされていた様子です。

35歳から出場可能で、これからプロとなってトップを目指すといった参加者達ではないから高度な技術戦よりは青春の想い出、人生の悔いを残さない為の出場が多いでしょう。

勝利者にはリングアナウンサーによるインタビューが行なわれ、出場に至った経緯や、練習に付き合ってくれたジム仲間に感謝を述べる選手が多いようでした。
「息子や嫁に健康管理や鍛錬の為に勧めておいて自分だけ仕事が忙しいとか言って何もしない訳にいかなかった」というオヤジファイター。

「35歳過ぎても未経験から始められます。決して遅くはありません、頑張りましょう」と勧めるオヤジファイター。「明日から仕事頑張ります」といった人間模様が現れたコメントが続きました。

実行委員長のガルーダ・テツさんは「熱い試合ばかりでリング下から興奮して見ておりました。始めて間もない人、20戦以上されている人、いろいろいらっしゃいましたけども、リングの中では皆さんが熱い試合をしてくれたので、こっち(関東)でやって良かったなとしみじみ思いました」という感想を述べられました。

「ザ・おやじファイト」が2006年11月に開始され、「ナイスミドル」が2008年9月から始まりました。ずいぶん時間が経ったものです。オヤジ・オナゴキック大会は2015年11月に大阪で始まったイベントです。

ガルーダ・テツ実行委員長

◎第1回関東オヤジ・オナゴキック大会
5月26日(日)大森ゴールドジム13:00~16:30
主催:オヤジ・オナゴキック実行委員会

MVP賞 辻健太郎(ケーアクティブ)
理事長賞 みにまむ(プラスα)
激闘賞 高木昭彦(Kix)
特別賞 木村祐英(トイカツ道場池袋)
特別賞 寒河江卓也(トイカツ道場)

◆全試合2回戦(90秒制/2試合出場選手含む)※試合順

《1》オナゴ・ミニマム級(50kg以下)
みにまむ(プラスα)vsしょうこ(ウェストスポーツ)
勝者:みにまむ / 判定3-0

みにまむ
理事長賞 みにまむ

《2》オナゴ・フライ級(55kg以下)
O.D MEGUMI(TEAM GYAKUSAN)vs藤咲成美(K CRONY)
勝者:藤咲成美 / 判定0-3

《3》オナゴ・57.0kg契約
芝田弥咲(ケーアクティブ)vsバルボラ・アイラ(レンジャー)
勝者:バルボラ・アイラ / TKO 2R 0:50 レフェリーストップ

《4》オヤジ・フェザー級(57kg以下)
Little cozy(DANGER/44歳)vsトカレフ純血(岡田道場/47歳)
勝者:トカレフ純血 / 判定0-2

《5》オヤジ・スーパーフェザー級(61kg以下)
河合利彦(ケーアクティブ/37歳)vs岩崎涼(AKSドミネーター/43歳)
勝者:河合利彦 / 判定3-0

《6》オヤジ・スーパーフェザー級(61kg以下)
吉田工事21時25分(テツ・関西/45歳)vs武藤慎治(Beauty Kick X/45歳)
勝者:武藤慎治 / 判定0-2

MVP賞 辻健太郎

《7》オヤジ・スーパーフェザー級(61kg以下)
佐々木司(姉崎/51歳)vs武藤健一(Team COMRADE/51歳)
勝者:武藤健一 / 引分け延長判定0-3

《8》オヤジ・スーパーフェザー級(61kg以下)
熊田真幸(プラスα/51歳)vs鈴木秀明(K-1GYM WOLF/50歳)
勝者:鈴木秀明 / 判定0-3

《9》オヤジ・ライト級(65kg以下)
辻健太郎(ケーアクイティブ/35歳)vs汗技ファンタジスタ近藤(TEAM GYAKUSAN/36歳)
勝者:辻健太郎 / 判定3-0

辻健太郎

《10》オナゴ・ミニマム級(50kg以下)
みにまむ(プラスα)vs丸山まゆ子(龍拳会青葉台支部)
勝者:みにまむ / TKO 2R 0:25 レフェリーストップ

《11》オヤジ・スーパーフェザー級
戦う給食のおじさん(アウルスポーツ/39歳)vs寒河江卓也(トイカツ道場/39歳)
勝者:寒河江卓也 / 判定0-2

寒河江卓也
特別賞 寒河江卓也

《12》オヤジ・フェザー級(57kg以下)
ケンサキイカ土井(テツ・関西/50歳)vsトカレフ純血(岡田道場/47歳)
勝者:ケンサキイカ土井 / 判定2-0

《13》オヤジ・ライト級(65kg以下)
レイチャ親方(SHINKOH MUAYTHAI /48歳)vsリュウジ(BOSS/48歳)
勝者:リュウジ / 判定0-2

《14》オヤジ・スーパーウェルター級(69kg以下)
木村豪将(アウルスポーツ/40歳)vs骨の修理屋 ドクターとっしー(龍拳会青葉台支部/49歳)
勝者:ドクターとっしー / 引分け延長判定0-3

《15》オヤジ・スーパーウェルター級(69kg以下)
Safety First Takashi(SFT/DANGER/45歳)vsトライ勇己(岡田道場/43歳)
勝者:トライ勇己 / TKO 2R 0:47 レフェリーストップ

《16》オヤジ・スーパーウェルター級(69kg以下)
神山聖(トイカツ道場/36歳)vsザ・アマレスラー(龍拳会青葉台支部/48歳)
勝者:神山聖 / 判定2-0

《17》オヤジ・スーパーウェルター級(69kg以下)
山崎裕弘(ケーアクティブ/51歳)vs村竹昭彦(広島竹中道場/52歳)
勝者:山崎裕弘 / 判定2-0

特別賞 木村祐英

《18》オヤジ・ライト級(65kg以下)
辻健太郎(ケーアクティブ/35歳)vsカレーパンマン岡本(TEAM GYAKUSAN/40歳)
勝者:辻健太郎 / TKO 2R 0:10 レフェリーストップ

《19》オヤジ・ミドル級(73kg以下)
レッド(テツ・関西/36歳)vs勇者くにかた(アウルスポーツ/45歳)
勝者:レッド / 判定2-1

《20》オヤジ・ヘビー級(80kg超)
AF安原(DANGER/50歳)vsぷーちゃん(レンジャー/47歳)
勝者:ぷーちゃん / TKO 1R 1:15 レフェリーストップ

《21》オヤジ・ヘビー級(80kg超)
木村祐英(トイカツ道場ファイトフィット池袋/45歳)vs菅原裕之(レンジャー/49歳)
勝者:木村祐英 / TKO 1R 0:30 レフェリーストップ

木村祐英

《22》最終試合 オヤジ・ヘビー級(80kg超)
高木昭彦(Kix/50歳)vs押久保修二(総合格闘技GYM ENJOY/39歳)
勝者:高木昭彦 / 判定3-0

高木昭彦
激闘賞 高木昭彦

《取材戦記》

運営関係者の顔触れがキック興行で見かける人達ながら、当然通常のプロ興行とは趣が違ったイベントでした。かつてのプロボクシングは年齢17歳から37歳までがライセンス取得枠(改革毎に制限、条件付で延長あり)で、30歳過ぎての現役は稀でした。現在でも20代が中心でも30歳過ぎても衰え知らずの現役選手が増えたものです。キックボクシングでは基準が緩いせいもあってか、40歳超えも増えており、幼い頃から始められるアマチュアキック・ムエタイから年齢を重ねてから始めるアマチュア枠のオヤジファイト、オヤジキック、戦いは60歳代年齢層まで広がった時代となりました。

プロから比べれば、それほど厚い壁ではない出場資格を獲得すれば、一般女性でもサラリーマンでも出場可能。打撃競技における安全面だけ危惧され続ける競技ですが、挑戦してみるのもこの理不尽な無差別殺人などの犯罪に巻き込まれかねない世の中、身を守る術を学び人生を充実させる良い経験となるかもしれません。
「私でも出場できますか?」とガルーダ・テツさんに聞くと「できますよ、ぜひやりましょう!」と笑顔で勧められる怖い誘い。

タイで三日坊主の“再出家話”ではないが、やれる可能性を尋ねてみたまでで、昔なら考えられない雲の上の世界でした。私にはとてもこんなキツい鍛錬には耐えられませんが、「若い頃からやっていてば俺でもオヤジキックには出られたかもしれない」と思います。

「遅くはない」という誘いに心揺れ動く人は挑戦してみてはいかがでしょう。

全員集合

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』
上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』。「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」!

今後を占うジャパンキック協会、プレ旗揚げ興行開催!

最後のフィニッシュで再びヒザ蹴り猛攻を掛ける石川直樹

ファンが見極める技量審査場所とも言えるジャパンキックボクシング協会プレ旗揚げ興行の見せ場。MA日本キックボクシング連盟、NKB、フリーのジムとの交流戦、日本vsタイ国際戦で盛り上げました。

もう交流戦なくして新鮮な好カードは成り立たない時代になってきました。それほど一つの団体だけでは鎖国的で、置かれたレベルが分かり難くなり、切磋琢磨するレベルの高い試合は臨めないということでしょう。また、分裂細分化によって特定の団体と交流し易くなったという声もあり、「分裂する傾向を上手く利用した方が話が纏まり易く好都合」と言えるのも時代は変わったものです。

ヒザ蹴り猛攻に入った石川直樹

そんなこの団体での次の時代を担う者、石川直樹、瀧澤博人に続く、馬渡亮太と皆川裕哉には期待が掛かるところです。

「ジャパンキック協会は僕が盛り上げていきます」

ほぼ同じコメントを残し、エース格を自覚する瀧澤博人と馬渡亮太。また石川直樹と皆川裕哉も同じ気持ちでしょう。石川直樹は8月4日の旗揚げ本興行でもメインイベントを務めたい意向を示し、更に前・日本フェザー級チャンピオンの石原将伍も居るこの新団体でのメインイベント争いも勃発しそうなところです。

ジャパンキックボクシング協会代表は長江国政氏(本名・長江國正)が就任しましたが、足の怪我による車椅子での移動でリング上での御挨拶はありません。8月4日の旗揚げ本興行にて行なわれることでしょう。

◎KICK-Origin / 2019年5月12日(日)後楽園ホール17:00~21:10
主催:治政館ジム / 認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)

ヒザ蹴りでロープの外へ吹っ飛ばした石川直樹

◆第12試合 52.5kg契約 5回戦

JKAフライ級チャンピオン.石川直樹(治政館/52.3kg)
   VS
儀部快斗(エクシンディコンJAPAN/52.4kg)
勝者:石川直樹 / TKO 5R 2:23 / 主審:仲俊光

第1ラウンド、ローキックで先手を打った儀部快斗。石川は表情に表れないが、このまま攻め続ければ儀部が主導権を握りそうな勢いだが、石川も組みついてのヒザ蹴りを狙い、これが儀部へのプレッシャーとなっていく。

第2ラウンド以降も石川のヒザ蹴りが厄介そうで、儀部は蹴る見映えはいいものの、ローキックを更に効かせていく積極さは無く、突破口を開こうと時折バックハンドブローをみせるようになる。

石川はヒザ蹴りの圧力を掛け続け、徐々にタイミングを掴むもまだ圧倒まで至らず、第4ラウンドまでは三者三様の採点だった。39-38.39-39.39-40(後の公式記録より)。

第5ラウンドには組み合った状態からヒザ蹴りが入って儀部快斗が怯むと一気に攻勢に転じ、組み付いてのヒザ蹴りラッシュを掛けた石川がノックダウンを奪った上、更にヒザ蹴り猛攻を続け、動きが止まった防戦一方の儀部快斗をレフェリーが止めるTKO勝利に導いた。観る側のストレス発散となるような劇的ノックアウトで設立興行のメインイベンターの大役を果たしました。

パンチからヒザ蹴りヒットでKOへ繋ぐ馬渡亮太

◆第11試合 チェンマイスタジアム・バンタム級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.馬渡亮太(治政館/53.35kg)
   VS
挑戦者同級1位.ペットモンコン・ソー・ジンンジャルンカンチャン(タイ/52.75kg)
勝者:馬渡亮太 / KO 5R 0:45 / 主審:椎名利一

第1ラウンド、ムエタイ特有のリズムで探る静かな様子見。蹴り中心から馬渡が圧力掛け始め、ペットモンコンは強い蹴りを返すがロープ際に下がり気味。馬渡のリズムが優っていくと組み合う展開多くなり、パンチからヒジ、ヒザ蹴りへ繋ぐ。ペットモンコンは馬渡の前進を止められない。

第4ラウンドまでは馬渡が優っていたと見えたとおり、40-37、40-38、40-38の採点(後の公式記録より)。

第5ラウンドには一瞬の隙をついて出た馬渡の猛攻。ペットモンコンのハイキックをかわしてパンチで攻めると後退したペットモンコンのボディーにヒザ蹴りを突き刺し、ノックダウンを奪う。ペットモンコンは苦しそうな表情で立ち上がるも、そのダメージを深いと見たレフェリーはテンカウントを数えた。

技でジワジワ圧倒、馬渡亮太の右ハイキックがヒット
ノックダウンへ繋いだ馬渡亮太、崩れ落ちたペットモンコン
ニシャオの額が陥没

◆第10試合 フェザー級3回戦

瀧澤博人(元・日本バンタム級C/ビクトリー/57.15kg)
   VS
ニシャオ・ソー・ジンジャルンカンチャン(タイ/56.8kg)
勝者:瀧澤博人 / TKO 3R 2:21 / 主審:松田利彦 

第1ラウンド、長身の瀧澤が距離感を上手く掴み、ローキック、接近するとパンチ、ヒジで距離をとって迎え撃つ。

第3ラウンドにはニシャオが右ストレートを打って出たところに瀧澤は右ヒジ打ちカウンターさせ、ニシャオの額にヒットすると、すぐそこが窪んだ跡が見えた。

瀧澤のアピールと共にレフェリーが気付きドクターチェックされ、試合続行不可能が勧告されるとレフェリーが受入れ試合終了となった。

右ヒジ打ちカウンター、ニシャオの額が凹む
長身の瀧澤博人がニシャオに覆い被さるように攻める
タイ選手との対戦は2戦目、ペットワンチャイのハイキックを受ける皆川裕哉

◆第9試合 58.0kg契約3回戦

JKAフェザー級1位.皆川裕哉(KICK BOX/57.85kg)
   VS
ペットワンチャイ・ラジャサクレックムエタイ(タイ/57.75kg)
勝者:ペットワンチャイ / 判定1-2 / 主審:少白竜
副審: 椎名30-29. 仲29-30. 松田29-30

皆川の蹴りからタイミングを見計らった右ストレートが軽いがヒット。スピーディーな蹴り合いにテクニシャンのペットワンチャイも勢い衰えない余裕の応戦。

皆川は打ち負けてはいないがペットワンチャイは蹴りの的確さと崩し技で優ったか。判定は1-2だが、第1ラウンドは三者とも10-10の後、三者共通のポイント差は無く、内容的には互角か皆川がやや優った印象は受けた。

左ストレートをカウンター気味に打つ皆川裕哉

◆第8試合 63.0kg契約3回戦

JKAライト級5位.興之介(治政館/62.95kg)vs MA日本ライト級2位.翼(菅原/62.9kg)
勝者:興之介 / 判定3-0 / 主審:桜井一秀
副審:椎名30-28. 少白竜30-29. 松田30-28

◆第7試合 54.0kg契約3回戦

JKAバンタム級3位.幸太(ビクトリー/53.85kg)
   VS
NKBバンタム級5位.海老原竜二(神武館/53.8kg)
勝者:海老原竜二 / 判定0-3 / 主審:仲俊光
副審:桜井28-29. 少白竜28-29. 松田29-30

◆第6試合 フェザー級3回戦

JKAフェザー級2位.櫓木淳平(ビクトリー/56.9kg)
   VS
JKAフェザー級3位.渡辺航己(JMN/56.85kg)
勝者:渡辺航己 / 判定0-3 / 主審:椎名利一
副審:桜井28-30. 少白竜28-30. 仲28-30

◆第5試合 バンタム級3回戦

JKAバンタム級5位.田中亮平(市原/53.3kg)
   VS
JKAバンタム級6位.翼(ビクトリー/53.4kg)
勝者:翼 / TKO 3R 1:07 / カウント中のレフェリーストップ / 主審:松田利彦

◆第4試合 63.0kg契約3回戦

JKAライト級4位.林瑞紀(治政館/62.8kg)vs HARUKA(JMN/63.1→63.0kg)
勝者:林瑞紀 / 判定3-0 / 主審:少白竜
副審:椎名30-27. 松田30-26. 仲30-27

◆第3試合 ウェルター級3回戦

モトヤスック(治政館/66.4kg)vs山本大地(誠真/66.5kg)
勝者:モトヤスック / 判定3-0 / 主審:桜井一秀
副審:椎名29-28. 松田30-28. 少白竜30-29

◆第2試合 フェザー級2回戦

又吉淳哉(市原/57.0kg)vs花塚ノリオ(E.D.O/56.6kg)
勝者:又吉淳哉 / 判定3-0 (20-17. 20-17. 20-18)

◆第1試合 59.0kg契約2回戦

都築憲一郎(エムトーン/59.05→59.0kg)vs井上昇吾(白山/58.6kg)
勝者:都築憲一郎 / 判定3-0 (20-19. 20-19. 20-19)

《取材戦記》

ラウンドインターバル中に流れる曲はパートタイムラバー。この曲はマーシャルアーツ日本キックボクシング連盟の初期(日豊企画・石川勝将代表)時代のラウンドインターバル中に流された曲で、その頃、運営スタッフだった足立聖一(現タイムキーパー)さんがこの日、復活させました。インターバルでは気持ちが落ち着くリズムの、かなり有名ないい曲ですが、この曲であのMA日本キック初期を思い出す人が何人居たでしょうか。

元々、治政館ジムは20年以上の興行実績があり、興行運営は慣れたもの。タイトルの在り方、ルールの曖昧さなど、どこの団体でも見られる綻び部分を、この団体だけは確立して欲しい。そんな願いは1996年の日本系復興時に持ったものですが、ジャパンキックボクシング協会への期待も高まる船出したばかりの団体です。

ジャパンキックボクシング協会次回興行は8月4日に後楽園ホールで旗揚げ本興行が行なわれます。ダブルやトリプルメインイベントといった意味でなく、トリを務めるメインイベンターは誰か気になるところです。

新団体での復活をヒジ打ちでの完勝で飾った瀧澤博人

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』
上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』。「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」!

元・東洋ウェルター級チャンピオン、富山勝治さん現る!

◆37年ぶりに並んだ昭和キックの二大巨頭

格闘技マスコミのレジェンド記者、舟木昭太郎さんが定期的に主宰するトークショーが4月20日に銀座セントポールズサロンで開かれた。この日のメインゲストとして招かれた元・東洋ウェルター級チャンピオン、富山勝治さんは奥様と共に御来場。

長らく皆様とお目に掛かる機会も無かった富山勝治さんは、藤原敏男さんの居るテーブルに着くと仲良く談笑。イベント等でお二人が揃うのは1982年1月7日の日本キックボクシング協会興行でダブルメインイベントを飾って以来37年ぶり。引退後、公の場にほとんど姿を現さない沢村忠さんを別格として、昭和のキックボクシング二大巨頭が並んだのである。

藤原敏男さんは「今時はユーチューブやらインターネットで相手の過去の試合観れて戦歴なんかの情報も知ることが出来る。俺らの頃はデータなんて入って来なかったよね。計量で初めて相手の顔見るなんてこと毎度だった。対戦して様子見ながら作戦練るしかなかった。技術なんかタイの選手の動きを見て見様見真似で覚えたものだよね。」

富山さんも「でも藤原さんはそんな厳しい時代にタイの殿堂ラジャダムナンスタジアムのチャンピオンになって凄いことでしたよ。」と称える。

37年ぶり、全日本系・日本系の二大巨頭揃う

◆節目の激闘

やがて現役時代の入場テーマ曲、“アラスカ魂”に乗って富山勝治さんが入場し、宮本博史リングアナウンサーによりコールされると、
「今日はお集まり下さいまして有難うございます。皆様方が集まって頂けるとお聞きし、私の先輩でもあります藤原さん、増沢くん、猪狩くんも来て頂き有難うございます。猪狩くんとは45年ぐらい前に、バンコクのジムでは修行の擦れ違い際にお会いし、あの頃はまだ打たれていませんでしたので、あの当時のことは鮮明に覚えていますが、その後は打たれ過ぎましてね、最近のことは次の日には忘れてしまう状態ですが、多かれ少なかれ皆さんも同じような状態の方々と思い安心しております。

このような会に集まって頂き、御挨拶が出来ますのも沢村忠さんのお陰だと思っております。私は沢村さんに対しては敬意を表しており、私にとっては神様のような存在でございます。皆さんの心の中にも、あの当時の沢村さんのテレビに出て居た映像の姿が思い浮かんでいることと思います。」

コールされて現役時代のようにポーズをとる富山勝治さん

この後のトークショーに入る前に主宰者・舟木昭太郎さんは、「富山さんの凄かった試合の中では、サミー・モントゴメリー戦もそのひとつ」と言う。

沢村忠去った後の1978年5月8日の日米大決戦。TBS放映500回記念として、当然メインイベンターとして生放送された試合で、第2ラウンドに長身のサミーの鋭い右ストレートでダウンした際、右肩から落下して脱臼するもそのまま戦い続け、最終ラウンドはローキックでフットワーク速かったサミーの動きを止めた熱のこもった試合を展開。

そんな現役の節目には強い奴と戦って来た富山勝治さん。花形満戦から始まり、稲毛忠治、渡貢二、ロッキー藤丸、飛馬拳二、チューチャイ・ルークパンチャマ、サミー・モントゴメリー、ディーノ・ニューガルト。かなり打たれたというダメージが大きいものでした。

現役最後の姿(1983年11月12日)

◆海上自衛隊を満期退職して目黒ジム入門

トークショーは富山さんの語り口に皆さん没頭していきました。

ハワイで撮った沢村忠さんとのツーショットを掲げる富山勝治さん

「高校を卒業して九州の佐世保の海上自衛隊に昭和42年4月に入隊しまして、佐世保の米軍基地で空手の試合に常々出ていて、その時の上司が、『お前なら沢村に勝てるぞ』と言うんですよ。“沢村って誰かな?”って思いましてね。その頃、九州ではキックボクシングはまだテレビに映っていなかったんですよ。『今、東京ではキックボクシングというのをやっているからお前も東京に上れ』って言われたんですが、私は親父との約束で3年間は自衛隊を勤めるということで、3年満期で辞めて上京して来ました。初めて沢村さんを見た時は、“これが沢村か、なーにこの野郎なんか一発だ!”と思いましたが、皆も同じように思っただろうと思うんですよ。そして私がデビューして1年ぐらい経った時かな。アメリカ遠征に行ったんですよ。

(沢村忠さんとのツーショット写真を持ち)これはハワイの帰りかな? この頃はもう“沢村様様”だったんですよ。

このちょっと前にロサンゼルスで沢村さんが『オイ富山くん、ちょっと来い』って言うから、心で“何だこの野郎、何言ってやがる”と生意気にも、先輩だろうと闘志むき出し根性あったから今に繋がるんですけども、『練習相手してやるから』と言うので、私が構えて立ったら、その場でポーンと軽々飛び上がってスネで私の肩に乗っかって上から私の頭の天辺押さえられて、正に空飛ぶ人間爆弾の姿を見た感じだったんですよ。“これは強い”と思って、私も空手やっていたから分かるんですよ。肩まで軽く飛んで乗っかるのはそういない。100人に1人もいないと思います。それ以来、この人には勝てないと思いましたよ。」

空飛ぶ人間爆弾の恐怖を語る富山勝治さん
熱く語るトークショー、後方映像に映るは花形満

◆花形満戦を振り返り

全日本ウェルター級王座決定戦として行なわれた花形満戦でしたが、当時はTBS系も“全日本”と言っていた時代でした。なぜTBS系側が“日本”と呼称されたかは不明ながら、この年の4月からこの“日本”明記となりました。

「花形満戦は、今だったら負けています。レフェリーが早く止めますからね。昔は倒れてもレフェリーが起こしたんですよ。『寝るのが早い』って。下手に諦めるとレフェリーに引き起こされて、『早過ぎるとお客が怒るから』と。もし、私がみんなに嫌われていたら、ワン・ツー・スリーをテンまで早く言えばいいんですから。

ところがレフェリーはゆっくり数えるんですよ。あれだけ打たれたらイヤになりましたよ。このまま寝ようと思ったけど、試合前に母親から『お前が負けたら関門海峡渡れないぞ』と脅かすものですから、それも頭を過ぎったから何とか起き上がっても、打つ手が無いんですよ。打たれて打たれてね。でも本能なのか、なぜか負ける気はしなかったんですよ。そして最後は私の根性が出たんですけど、左ハイキック3発から“こ~の野郎、今だぁ~!!”と思って右ストレートから右フック2発。ロープ掴んだのは反則ですけど、これは私の性格なんです。けど勝たにゃいかんと思ったから、今も鮮明に覚えています。

ところが試合後3日間は記憶になかったんですよ。頭がガンガンしてね。どうやって勝ったのか、勝って何を喋ったのか。でも沢村さんに『富山くん、インタビューはちゃんと応えていたから心配するなよ』と言われたんです。でもその時は全く覚えていないし、それなりの代償はありましたけど、あの花形満さんとの試合のお陰で今の私があるんですよ。彼には感謝しています。

後に私が引退する時に寺内大吉先生に呼ばれまして、世田谷の大吉寺に行った時に、『これは人間性の勝利です。皆があなたを勝たせてくれたんです。』と、書を残してくれまして、そういう時代に生きてきたから、今思えばそんな導かれた縁の繋がりで、その時代の皆さんのお陰で勝てたと思うんですよ。

いろいろな縁があってまた先に繋がってきたんですけれども、私は自衛隊での上司の最初の一声から始まって人生の方向が変わったんですよ。基礎体力と自信があったからキックに向かったんですが、そして沢村忠さんとの出会い、花形満戦があったように、いろいろな人に恵まれて今があると思います。皆さんも残された人生を楽しく、“残された5年間が幸せであれば人生楽しい”ということですから何ごとにもめげずに頑張って人生を謳歌して頂きたいと思います。」

ビデオ映像に映る花形満戦を語る富山勝治さん
左から増沢潔さん、富山さん、右が猪狩元秀さん、同時期両団体ウェルター級名チャンピオンが揃った

◆竹を割ったような性格は不滅!

「花形満さんはパンチありましたね。これ以来、私はガラスのアゴだと言われましてね。この弱点が定着しました。ああいう強い人とやらないと試合は面白くないですよね。でもあんまり強い人とやり続けると藤原さんみたいに杖ついて歩くほど足腰バラバラになるんですよ。や~めときゃいいのに~ぃ!」

舟木さんが突っ込む余裕も無いほど、一方的に喋り、笑いを誘う語り口には、「竹を割ったような性格」という、かつて実況の石川顕さんが言っていた、そんな例えがピッタリだったトークショー。かつてのオーラが漂う富山さんでした。

ファンとも語らう富山さんも古希を迎え、昔、輝いた戦いを懐かしそうに語る姿は実に楽しそうでした。

昭和のキックボクシングを盛り上げたレジェンドたちも今や70代。残された人生5年以上は有る皆さんの元気なうちはまだまだ語りは続くでしょう。

乾杯の後のレジェンド4ショット
日本系色強い5ショット

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』
上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』。「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」!

また分裂、新たな団体、ジャパンキックボクシング協会(JKA)が誕生!

キックボクシング50年の歴史は分裂の繰り返しでもありました。なぜ分裂は起こるのか、政治と同じような派閥組織の永遠のテーマであります。

21世紀に入り、新たに始まったのが団体に属さないフリーの興行プロモーターの多発。更に興行とは別の認定団体誕生。2013年にはMA日本キックボクシング連盟から脱退したジャパンキックボクシングイノベーションが誕生。

JKAロゴ

そして平成最後の年にまた分裂で令和元年初日に新しい団体が誕生。新日本キックボクシング協会から脱退したのが“ジャパンキックボクシング協会”という名の団体発足となりました。かつての日本キックボクシング協会の復興ではありません。本当はそうしたかっただろうとは推測できますが、そこには“老舗”を名乗れない事情があります。

キックボクシングの原点は1966年1月に設立された日本キックボクシング協会で、TBSの全国ネットによる隆盛、斜陽から氷河期を経て1984年11月に統合団体に吸収された後、1996年3月に、後のMA日本キックボクシング連盟から脱退し、日本キックボクシング協会が復興した原点回帰から始まるのが新日本キックボクシング協会とそこから分かれたジャパンキックボクシング協会のふたつの団体です。

新団体の代表となった長江國正氏は現役時代、藤原敏男や島三男、ビラチャート・ソンデン、ベニー・ユキーデといった名のある世界的トップと戦った元・全日本フェザー級チャンピオンで、WKA世界ライト級王座にも就きました。1984年に引退後、治政館を開設して2001年1月には武田幸三をタイ国ラジャダムナン系ウェルター級チャンピオンまで育て上げています。初めての団体代表となる長江國正氏が率いるジャパンキックボクシング協会の今後の活動は順風満帆か波乱万丈か、しっかり見ていきたいところです。

ジャパンキックボクシング協会代表となった長江國正氏

以下は、ジャパンキックボクシング協会広報部より発表されましたリリースです(4月16日配信)。

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「このたび所属しておりました新日本キックボクシング協会と今後の方向性などの話し合いの結果、円満に退会することとなり新団体を発足する運びとなりました。
令和元年5月1日より『ジャパンキックボクシング協会』を設立し、同じく前団体から退会した有志のジムと新たに加盟するジムで団結し、5月12日(日)後楽園ホール大会でのプレ旗揚げ戦より活動をスタートしていきます。

日頃の皆様のお引き立てに心から感謝するとともに、何卒倍旧のご支援お引き立てを賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

ジャパンキックボクシング協会  
代表・長江國正  

 

5月12日開催KICK ORIGIN興行ポスター

団体名:ジャパンキックボクシング協会
(JAPAN KICKBOXING ASSOCIATION)
設立日:令和元年5月1日

執行部
代表・長江國正(治政館ジム会長)
副代表/統括本部長:小泉猛(市原ジム会長)
興行本部長:八木沼広政(ビクトリージム会長)
事務局長:鴇稔之(KICK BOX会長)

ジャパンキックボクシング協会事務局
〒144-0052 東京都大田区蒲田5-12-2バリアビルB1F

前団体で現役王者であり所属団体移籍の為、ベルトを返上した下記の両選手につきましては当協会におきましても初代王者に認定することが決定しました。

ジャパンキックボクシング協会フライ級チャンピオン.石川直樹(治政館)
ジャパンキックボクシング協会フェザー級チャンピオン.石原將伍(ビクトリー)

またジャパンキックボクシング協会旗揚げ戦は8月4日(日)後楽園ホールに於いて、年内興行は11月(後日発表)を予定しております。

KICK-Origin / 5月12日(日)後楽園ホール17:00~
主催:ジャパンキックボクシング協会(JKA)

石川直樹。王座は2016年10月23日、4R・TKO勝利で泰史(伊原)から奪取したのが原点

《予定カード》

第11試合 52.5kg契約 5回戦
JKAフライ級チャンピオン.石川直樹(治政館)
VS
儀部快斗(タイ国RAM100スタジアム114pondチャンピオン/エクシンディコンJAPAN)
第10試合 タイ国チェンマイスタジアム認定バンタム級タイトルマッチ 5回戦
チャンピオン.馬渡亮太(治政館)
VS
挑戦者同級1位.ペットモンコン・ソー・ジンジャルンカンチャン(タイ)

第9試合 フェザー級3回戦
瀧澤博人(元・日本バンタム級チャンピオン/ビクトリー)
VS
ニシャオ・ソー・ジンジャルンカンチャン(チェンマイスタジアム・フェザー級C/タイ)

第8試合 58.0kg契約3回戦
JKAフェザー級1位.皆川裕哉(KICK BOX)
VS
ペットワンチャイ・ラジャサクレックムエタイ/タイ)

第7試合 63.0kg契約3回戦
JKAライト級5位.興之介(治政館)vs MA日本ライト級2位.翼(菅原)

第6試合 54.0kg契約3回戦
JKAバンタム級3位.幸太(ビクトリー)vs NKBバンタム級5位.海老原竜二(神武館)

第5試合 フェザー級3回戦
JKAフェザー級2位.櫓木淳平(ビクトリー)vs 同級3位.渡辺航己(JMN)

第4試合 バンタム級3回戦
JKAバンタム級5位.田中亮平(市原)vs 同級6位翼(ビクトリー)

第3試合 ライト級3回戦
JKAライト級4位.林瑞紀(治政館)vsHARUKA(JMN)

第2試合 ウェルター級3回戦
モトヤスック(治政館)vs山本大地(誠真)

第1試合 フェザー級2回戦
又吉淳哉(市原)vs花塚ノリオ(E.D.O)

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石原將伍。2017年10月22日、王座決定戦で高橋亨汰(伊原)にKO勝利したのが原点

《取材戦記》

チェンマイスタジアムタイトルマッチはどれほどの価値があるのでしょう。スタジアム毎に王座認定されていたらどれぐらいの数になるだろうかと思います。タイでもやたらチャンピオンが増えてきた印象を受けます。

新日本キックボクシング協会での日本フライ級チャンピオン、石川直樹と日本フェザー級チャンピオン、石原將伍は新団体に移っても初代チャンピオンに認定されるという。「選手に罪は無く、団体の都合だから」という解釈でしょうが、脱退において王座は返上されているので、本来は新団体で改めて王座決定戦を行なうべきものであるが、この解釈は理解されないでしょうね。ならば「初代チャンピオンは認定チャンピオン」で終わることなく、新日本キックで王座獲得した試合まで遡って経歴を残して認定して貰いたいものです。「誰と戦って王座獲得したのか」を言えなければなりません。

ジャパンキックボクシング協会はこれまでの団体とどんな違いを見せられるのか。この団体とは部外者の業界関係者の予想では、「おそらく加盟ジムが今迄以上に増えるだろう」と言うもの。そういう新団体への信頼も期待が掛かっているのでしょう。しかしすでに6団体が存在する中、大所帯となることは考え難いので、イベント盛り上げ重視ばかりに集中しないよう競技性を確立した一番の団体を目指して貰いたいところです。

プロボクシングのようにコミッションが機能すれば否応にも分裂など出来ないものですが、名前だけでないその機能するコミッションを確立できなかったのは「昭和の隆盛期に先を見据えなかった老舗の怠慢」という関係者もいます。分裂しまくった平成の時代を終えて、これから30年ほど続くと思われる令和時代の内に統一と国家ライセンスの下、運営が成立する業界となることを願いたいものです。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』
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