台湾の旅[1]「千と千尋の神隠し」を彷彿させる山間の町・九?(ジォウフェン)を歩く

 

台湾北部の山間の町・九?(ジォウフェン)は、ジブリの映画、「千と千尋の神隠し」の舞台であるといわれている。宮崎駿監督は、この噂を否定しているようだ。宮崎駿「ええ、違います。」「映画を作ると、『自分の所(がモデル)だろう』という人は日本にもいっぱい居まして。トトロの時も…」「同じような風景はいっぱいあるっていう事です。」とインタビューにて答えている。

まあそれはそれとして、台湾は実にきれいな街並みだ。どこにいってもゴミがまったく落ちていない。だがそれは「中国本土みたいにならない」という意地の所作である。台湾人がきれい好きだとは限らない。

 

それはまあ別として、「ジォウフェン」という町はもともと金が発掘できるということで、かつてゴールドラッシュがおこり、山に無理くりに宿やらお店を大量に出した。と、いうわけで急な傾斜に立つ建物から下を見ると、あたかも巨人になったような気分になる風景が迫ってくる。

そして、台湾は食べ物も最高だ。小籠包も、タピオカも、チャーハンもおそらくアジアでナンバー1なのではないか。

ただし政治は別問題だ。台湾は今、アメリカとやりとりしたがる連中と中国本土に近い連中の間でつな引きが行われている。7月7日に台北市の松山駅で車両爆発事故が起きたが、一時、これは政治テロではないかという憶測も流れた。

台湾はIT立国であり、建物を見る限り、昭和の初期みたいだし、電車も昭和30年代のようだが、実は日本よりも進んでいる。ほとんど人が来ないような田舎の駅でさえも、wifiがとんでいる。

とはいえ、私自身は、これまでろくな中国人、ならびに台湾人に日本で会ったことがない。お台場あたりに行くとよくわかる。中国人や台湾人は「旅の恥はかきすて」とばかりに平気でゴミを捨てる。一度、ゴミを町中に置いていく東南アジア系と思しきツーリストに「常識外のことをするなよ。どこから来たのか」と聞いたら「台湾だ」と答えた。彼らの母国は綺麗だが、他国は平気で汚して帰る。

15年前のことだが、知人の台湾人ライターは「電気代も払えない」といっておきながら人に金を借りて、キャバレーに通っていた。厚顔無恥とはこのことで、いまだに彼は逃げている。こうした体験があるがゆえ、私は台湾人に良い印象を持っていない。台湾はたしかに美しい。だが、私が日本で出会った台湾人は残念ながら最低だったのだ。

台湾の美しき光景よ、聞くところによるとISが台湾で増えており、イスラムの輩が増えているようだが、せいぜい警戒すべし、である。

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
裏社会、事件、政治に精通。自称「ペンのテロリスト」の末筆にして中道主義者。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。

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BONSAI文化の魅力──「盆栽の聖地」さいたま市の盆栽町を訪ねて

 

さいたま市北区の盆栽町(大宮盆栽村)に行った。ここは日本が世界に誇る「BONSAI」文化の町で、町を歩けば盆菜園に当たる、といった風情である。来年の4月にはさいたま市で「第8回世界盆栽大会」が開かれるということで、「盆栽町」は盛り上がっている。

『町を歩けば盆栽園に当たる』といわれる盆栽町だが、実はその淵源は「町おこし」的なものだった。もともと盆栽が発展していたのは江戸の駒込であり、古くから将軍様のためにあつらえる植木職人が「団子坂」あたりに密集していた。

 

ところが関東大震災が勃発。被災した盆栽業者たちが盆栽に適した地を求めてさいたま市北区に移り住んだことがはじまりとされる。その後、盆栽とともに同好者たちが村へ移住し、町は活気に満ちてくる。

しかし、第二次世界大戦が激化していくにつれて、盆栽は贅沢品となり軍から圧力がかかるように。それでもやがて戦争が終わると、アメリカの調査団が村を訪れた際、盆栽の美しさを認め、海外からも注目されるようになったいきさつがある。

そして盆栽を世界に広めたのは、なんといっても1889年のパリ万国博覧会にて盆栽が紹介されたことが大きい。

この万博にて、セーヌ川を挟んで対岸にエッフェル塔が建造されたトロカデロ庭園では、日本の「園芸展示場」が作られ、各国から訪れた観光客がその美しさに度肝をぬかれた。

 

盆栽町にはいまも有名な盆栽園がいくつもあるが、海外から「盆栽園で働きたい」という若者が殺到しているという。

今回、訪れた「大宮市盆栽美術館」には、貴重な盆栽がたくさん展示されており、過ぎる時間を感じさせない。

興味があるむきは、一度出かけてみてはいかがだろうか。秋の紅葉と盆栽。最高の一日はすぐそこにある。

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
裏社会、事件、政治に精通。自称「ペンのテロリスト」の末筆にして中道主義者。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。

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驚愕ヴィンテージ宇宙船! 北海道・苫小牧市科学センター「ミール展示館」

北海道の「苫小牧市科学センター」にある「ミール展示館」にでかけてみた。
東京にいるなら、8月、9月の猛暑でダウンしそうだが、苫小牧市は、昼間は24度くらいで夜は寒くて眠れないくらいだ。

さて、ミールは、筒状の長期滞在型ドッキングベイで、実はここに展示してあるのは「予備機」だ。

感想としては、「こんな薄い装甲で大丈夫なのか」ということと、「おいおい、こんなに狭いのか」という点を強調しておきたい。

基幹となるコアモジュールと、天体観測を行っていたというクバント(天体物理観測モジュール)の中に入ると、所狭しとボタンが並び、まさに計算機、とりわけスーパーコンピュータの中に入ったという気がする。

この狭さの中で、地球という故郷を思いつつ、天体観測や天体の研究データを集めるという貴重な実験をやってのけるロシア(旧ソビエト連邦)には、まったく頭が下がる。

「ミールには〝平和〟という意味があります」と展示館のスタッフが教えてくれる。

「北海道では、そこかしこにロシアとの友好を感じる場所があるが、はっきりいってここもそのひとつ。ミールについては、子供のころに何度も行ってけれど、夢があって大人になってからきてもいいですね」と地元の住民は言う。

はっきりいって、宇宙旅行は夢のまた夢だと思われていたが、NASAが「第2の地球」を発見するために観測機を飛ばす計画もあがっている(http://tocana.jp/2016/05/post_9695_entry.html)。

日本にいるとつい「本は電子書籍がいいか、紙か」など実に視野が狭いことを考えてしまう。だが、ときとして宇宙規模でものを考えてみるのもいいかもしれない。北海道には、まだまだ楽しいものがたくさんあった。機会があれば、また紹介しよう。

苫小牧市科学センター「ミール展示館」HP

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
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出口流「ビジネスに効く読書術」に参加した

 

10月22日、土曜日。午後2時から行われた出口治明氏(ライフネット生命株式会社代表取締役会長)の講演が東京都立中央図書館にて開催された。知る人ぞ知る知識人である出口氏は、読書家であり、知識人だ。歴史から経済から歴史からその造詣は深く、あまたの著作もある。その出口氏はネットのみで申し込める保険会社を立ち上げたのも見事であるが、これからの日本を憂いて嘆き節になっている点には共感した。

出口氏は「2030年には、労働人口が800万人も減り、あと50年で65才以上が4割を超える」として、人口が増える社会を望んでいる。また、「ドイツ人は年間1500時間の労働でGDPの成長率が昨年1.45%あるが、日本では2000時間も年間働いているのに成長率は0.5%しかない」と指摘した。その上で「働きかたが変わってくる」と指摘している。もう9時にタイムカードを押してひたすらに残業する時代ではない。効率が求められるし、「残業」は罪ですらある。

また出口氏は、成長する要素として、①人から学ぶ、②本から学ぶ、③旅から学ぶことが重要だと指摘した。①は、とにかく誘われたら、人に会うことが大切で、交流会や勉強会には積極的に参加せよと。②は、とにかく古典を読むことが大切で、たとえばアダム・スミスの本は何度も書き直しているから古典として読みやすいと。そして③は、旅とは旅行ということのみではなく、知らない街を歩いたり、博物館に出向いたり、「知識を広げる」ことが大切なのだと説く。

 

観点がとても参考になったのは、日本人が英語が得意になるのには経団連の会長が「TOEFLの点数がない者は企業で面接しない、と言い切ればいい」という論理だ。これには、目から鱗が落ちる思いだった。まあ、講義の中身はチャンスがあればここで小出しにして紹介するが、とりもなおさず教養人の「頭脳」に触れることは重要だ。

「古典を読んで分からなければ、自分がアホだと思いなさい。新著を読んで分からなければ、著者をアホだと思いなさい」という言葉が印象に残った。古典はかくもわかりやすく書かれている。出口氏は古典として「東方見聞録 マルコポーロの旅」やアリストテレスの「ニコマコス倫理学」などもあげられている。ぜひ読んでみたい本だし、また出口氏の講演は聞いてみたい。ただし抽選で当たるのがたいへんなほど盛況だが。

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国内コンビニ発祥の地「ココストア」閉店に想う春日井サウダージ

角には中日新聞、その横にクリーニング屋、八百屋、ココストア、藤山台センター(市場)などが並んでいたのが当初の町並みだったのではないだろうか。なにせもう45年程前の姿なので、その記憶は定かではない。ココストアの位置する商店街界隈の近くには、また別の小さな商店街があり、小ぶりながらおもちゃ屋や書店、散髪屋も並んでいた。さらにスーパーマーケット、「松坂屋ストア」はいつも買い物客でにぎわっていた。

ココストアはその後一時、店の名前が変わったような記憶もある。どうして「こんなに小さい店が市場やスーパーの隙間でやっていけるのか」と幼心に疑問だった記憶はあるが、あれが今日どの町にも見かける「コンビニエンスストア」の日本における第1号店だったとは、想像する由もなかった。当たり前だけれども当時は「コンビニエンスストア」なる名称もなかったし、概念もなかったのだか至極当然ではある。

愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウン内に位置するこの店舗の前を、幼少時代には親に手を引かれ毎日のように通っていた。市場や八百屋、スーパーマーケット店内の姿は覚えているのに、この店に入った記憶はない。その後、成人して夜遅くにタバコを切らすと、品揃えがよかったのと、遅くまで開いているから便利でしばしばお世話になった。大学から休みに帰省すると、この店の前で深夜、悪友たちと顔を合わせたことも何度かあった。

ココストアのテレビCM

今日の「コンビニ時代」の先駆けがあの場所から産声を挙げていたのは、先日同店舗が閉店となったニュースに接して初めて知った。周りにあった市場や他の店舗は、大規模ショッピングモール(サンマルシェ)の影響を受けてか、早々に店を閉めたが、あの商店街でもコンビニだけは45年間健在だったのだ。

ココストアのテレビCM

団地内に現在、全部で幾つのコンビニが今あるのかは解らないが、かつて生鮮食料品を中心に地域では一番の売り上げを誇っていた「松坂屋ストア」すらが撤退した後、団地の姿は大きく変わっている。春日井市の統計によれば現在高蔵寺ニュータウンに住所を置いている人の数は4万人を超えるとされているが、往時同所に居住していた人間にとってこの数は甚だ疑わしい。

ココストアのテレビCM

◎[参考動画]国内コンビニ“1号店”閉店(2016年11月17日CBCテレビ)

私がこのニュータウンで生活した初期は、まだ新しい団地の建設も進む勃興期で人口は毎年増加し、団地には子供の声が響き、小学校も1学年3~5クラスはあった。山を切り開いたニュータウンには当初、歴史も文化も人々の営みの積み重ねもなかったけれども、夏には大公園や各小学校で盆踊りが開催され、小学校では子供会毎に球技を競う大会が盛んだった。当時人口は3万だと聞いていた。しかし私の居住していた地域では早くも1980年頃に子供の数が減り始め、子供会は80年代後半に解散をしてしまった。私が一時在籍した藤山台東小学校は廃校になる年の卒業生がわずか2名だったそうだ。

ココストアのテレビCM

ニュータウンの中心部は旧住宅公団(現在のUR)が維持管理する賃貸の団地が主たる建物を占めるが、中には分譲され個人が保有しているものもある。本来はここが人口密集地帯のはずだが、団地の窓を見渡すと空き家が目立つ。目視しただけでも2~3割は空室のように見える。ニュータウンの周辺には一戸建て住宅や工場などが広がっている。

数年前、久方ぶりに同ニュータウンを訪れた時、中心部には昼間だというのにほとんど人の姿が見当たらなかった。子供の声ももちろん聞こえない。前述の通りが一時通っていた藤山台東小学校は廃校となり、どうやら3つの小学校が統合されたようだ。賑やかだった藤山台の中心地、松坂屋ストアの跡地には介護関係の事務所が入っている。小中学校の給食を調理し、配達をしていた「給食センター」も取り壊されていた。

その時は、以前このコラムで言及したが、何とも表現しにくい気分になった。そして「日本初のコンビニ」閉店のニュースは、どこかでこの街の宿命と結びついているのではないか、との邪推を喚起させる。今日私(たち)は避けがたく日々コンビニを利用する。便利なようだけれども並んでいる商品はどこも同じだし、店員さんと仲良くなることはあっても「きょうはこのサバがいいよ」とか「しゃあない、特別にまけとくわ」といった会話はない。コンビニ内は常に無機的である。

無機的住居空間の総合体として計画され、今やセピヤ色の空気が漂うニュータウンでのコンビニ閉店劇には、ひねくれ者のの私は「強制の宿命」と「寂しさ」を感じる。私はあの「寂しさ」に耐えきれず、同地を後にした。でもまだそこで暮らしている旧友がいる。長く連絡を取っていないことに気が付いた。あいつら今でも元気だろうか。


◎[参考動画]ココストアのテレビCM コジコジ(さくらももこ 1998年)


◎[参考動画]ココストアのテレビCM


◎[参考動画]日本最初のコンビニ:ココストア藤山台店

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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出版は「まだまだ喰える」と錯覚すら覚えた東京国際ブックフェア

東京ビックサイトにて9月23日から25日にかけて行われた「第23回東京国際ブックフェア」に行ってきた。

これは、出版社たちが力を入れている本や、印刷技術の最先端を展示するフェアであり、年々、参加する出版社が減っているで今年はどんなものだろうと気になっていたものだ。

◆ 講談社の猫本に見る「一点突破主義」

気になったのは、まずあの天下の講談社が、小説からノンフィクションまであらゆるジャンルの本を出しているのに、「猫関連本」にしぼって、猫本ばかりを展示して勝負してきたことだ。もはやこうした「一点突破主義」でないと出版社は生き残れない。その証拠に、趣味本から旅行本までカバーしている枻出版が横で展開していてそれなりに客を集めていたが、猫本ほどは売れていなかった。

◆「自由価格競争」時代に入った雑誌・書籍

つぎに、特筆すべきは、もはや雑誌や書籍の価格が「自由競争」の時代に入ったのではないか、という点だ。第二出版販売と八木書店が「自由価格本」のコーナーを作っていたが、2、3割安い本が飛ぶように熟れていた。

もはや八木書店が展開しているような自由価格競争は地方のスーパーなどでは常識で「本や雑誌は固定価格」の時代は過ぎようとしている。一部では「時限販売」などと呼ばれているが、たとえば、取り次ぎの日本出版販売は、この夏、「時限販売」と称して、一部の雑誌をテスト的に値引き販売したが、好結果に終わっており、この先も期待できる商売のやりかただ。

このフェアで配布された資料によると、もはや書籍を電子販売している出版社は4割を超えたようだ。
そのわりに「電子書籍は紙の書籍の売上げを埋めない」とする出版関係者が多い。

だが希望はある。過日、山口組弘道会系のヤクザと飲んでいたが、「最近の若いやつが本を読み始めた。やはり極道とてバカじゃあいけない」と話をしていた。

ヤクザこそ、法律に精通し、なんとかして暴力団排除の情勢の中を生きなくては、ならない。

◆出版の世界は「まだまだ喰えるのではないか」と錯覚すらしてしまうフェア

またこの日は、「告白」でデビュー、もはや「イヤミスの女王」となった湊かなえさんが講演、ふだんから世話になっている出版社の担当編集、取り次ぎ担当者、そして営業担当者を呼んで「本ができるまでのプロセス」を参加者にわかりやすく展開していた。

なんと双葉社は、「告白」の映画が決定してきたときに、文庫本が80万冊売れたという前提で膨大な予算の宣伝費をつぎこんでいた。もちろん文庫本は210万部を超える大ヒットとなり、映画も大当たりで38億円を稼ぎ、日本アカデミー賞でも4冠を達成、2010年の興業収入で7位となった。

かくして、出版の世界では「まだまだ喰えるのではないか」と錯覚すらしてしまうフェアだったが「本自体は昨年より売れていない」(参加した版元関係者)という声もある。

世知辛い出版不景気が続くが、やはり200万部突破するようなヒット作を生むべく努力したいものである。

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
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「もちもちクィーン」渡辺直美お勧め「もっちぃもっちぃ」人気の秘密

9月12日(月)13時、池袋サンシャイン噴水広場にて、株式会社タカラトミーアーツ主催「ディズニーキャラクターもっちぃもっちぃ」シリーズのぬいぐるみ10万個突破記念イベントが行われた。

今年4月の発売以来、1日800個以上売れている大人気の商品である。このぬいぐるみは、見て楽しむだけでなく、思わず何度でも触りたくなる。そして、ずっと抱きしめていたくなる。これまでのぬいぐるみにはあまりなかった”体験する”という付加価値の提案をコンセプトにしている。ぬいぐるみ好きな筆者は、とても興味を持って取材を開始した。

ミッキーマウス、ミニーマウス、くまのプーさんなどディズニーのお馴染みのキャラクターの面々が顔を揃えている。他のぬいぐるみと何が違うのだろうか。史上最高の触り心地を追求したというこの商品は、とにかく今までにない柔らかい触感である。例えて言えば、マシュマロのような感じである。こだわりは、中の綿にある。通常のぬいぐるみに使われている綿の13分の1から6分の1の超極細繊維を使っている。また、外側の生地も伸縮性の高いものを採用することで、より一層柔らかい触り心地を実現させた。

◆くまのプーさんになりきって登場した「もちもちクィーン」渡辺直美

さて、イベントのゲストに登場したのは、インスタグラムで人気ナンバー1のお笑い芸人、渡辺直美だ。もっちぃもっちぃのイメージにぴったりということで「もちもちクィーン」に選ばれたという。確かに、体型といい、人気者という点で納得する。くまのプーさんになりきって登場した渡辺直美は、全身黄色のワンピースを身にまとい頭には、くまのプーさんの小さいぬいぐるみを4個つけていた。ビヨンセの「crazy ln love」の曲に乗り愛嬌たっぷりのダンスで観客を釘付けにした。

 

タカラトミーアーツの社長より世界にひとつしかない本人の顔で作られたもっちぃもっちぃのぬいぐるみをプレゼントされ大喜びだった。続いて、150センチの大きなくまのプーさんのぬいぐるみがソファーに座り登場した。「こんな素敵なぬいぐるみが家に居たら淋しくないですね」と抱きしめながら笑顔で話していた。

イベント終了後、ぬいぐるみ購入者と写真撮影ができるサービスも行われた。撮影後の女性にインタビューを試みた。てっきり、渡辺直美のファンかと思いきや「もっちぃもっちぃのぬいぐるみを今日初めて知り、思わず可愛かったのでくまのプーさんを買いました。渡辺直美さんとも握手できて嬉しかったです」と答えてくれた。

 

◆「ぬい撮り」にはまる人たち

最近では「ぬい撮り」がブームとなっているのをご存知だろうか。これは自分のお気に入りのぬいぐるみを旅行や、飲食店などあらゆる場所に同行させ、景色などと一緒に写真撮影を楽しむ。ぬいぐるみがあたかも人間のように動いているようで可愛いと、ぬい撮りにはまる人が増えている。

さらには、ぬいぐるみの旅行代理店が登場した。自分愛用のぬいぐるみを宅配便で送り、旅行先の風景をバックにぬいぐるみたちが旅を楽しむ。写真を撮影したら、facebookにアップされる。ぬいぐるみの持ち主には、リアルタイムでその様子を見て、自分もその場に参加しているような気分を味わうことができる。

 

その目的は多種多様で、病気や、障がいがあって旅行ができない方、日本の文化に興味のある海外の方、家族や友人に楽しいサプライズを仕掛けたい方などがいるという。また、オランダの研究グループが、ぬいぐるみには、精神状態を落ち着かせ、癒しをもたらす効果があると分かったと発表している。

ストレス社会の現代において、これからもぬいぐるみの癒し効果を求める人が増えていくことだろう。実際にこのもっちぃもっちぃのぬいぐるみを触ってみると、その柔らかい感触に病みつきになり、くまのプーさんをむぎゅと抱きしめていた。癒されてみたい方はぜひ一度お試しあれ。

取材・文/林雅子 プロデュース/ハイセーヤスダ

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター/NEWSIDER Tokyo)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、書籍企画立案&編集&執筆、著述業、漫画原作、官能小説、AV寸評、広告製作(コピーライティング含む)とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。

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「琉球の風2016」が10月2日、熊本で復活開催! ふんばれ熊本! 必ず行くぞ!

 
10月2日(日)熊本「琉球の風2016」開催!

出直しとなった「琉球の風2016」が、いよいよ10月2日(日)に開催! 鹿砦社も協賛企業として出資、さらに先着1000名に特製エコバッグと、抽選で100名に『島唄よ、風になれ!~「琉球の風」と東濱弘憲』を提供!

当初、5月15日に開催予定だった「琉球の風2016」が、いよいよ10月2日(日)に開催の運びとなりました。

今回で8回目、4月の熊本地震で休止(延期)を余儀なくされましたが、実行委員長が経営する結婚式場も被災を受けながら、地元熊本の方々、沖縄のアーティストの方々のご支援にて、出直し開催の運びとなりました。

◆内田勘太郎さん(元・憂歌団)、南こうせつさん、島袋優さん(BEGIN)、宮沢和史さんらも駆けつけ出演決定!

5月には予定になかった、沖縄に移住されている内田勘太郎さん(元・憂歌団)南こうせつさん島袋優さん(BEGIN)、お馴染みの宮沢和史さんらが急遽駆けつけてくださることになりました。当初からの予定の夏川りみさんかりゆし58ネーネーズも駆けつけます。

昨年5月の「琉球の風」開催風景

また、沖縄からは、なんと100人でツアーを組んできてくれることになりました! 義に篤い琉球人の友情を感じさせます。義援金も集めていただき、持参いただけるとのことです。

鹿砦社関係も、100人には到底及びませんが(笑)7人+αが駆けつけます。また、例年好評の特製エコバッグを先着1000名にプレゼントするのみならず、今年は5回までの記録集『島唄よ、風になれ!』(通常版)を抽選で100名にプレゼントします。太っ腹やで!

◆故・東濱弘憲君が遺した「琉球の風」

このイベントは、父が沖縄・与那国島出身、戦後すぐに熊本に流れて来た父を持つ、私の高校の同級生の東濱弘憲君(故人)が、みずからの琉球の血を自覚し始めたものです。

今年は「トークゲスト」として参加してくださる宮沢和史さん(左)

東濱君は熊本で生まれ育ちましたが、高校時代は、まったくのワルゴロで、こういうことを真面目に考えるような男ではありませんでした。高校卒業後、熊本を離れ、職を転々としながら(マグロ船にも乗ったこともある)、あるいはガンに罹ったりし、そうした中で、彼なりに考えた末に、帰郷し熊本で沖縄料理店を開き、お店での小さなライブを重ね、また沖縄に何度も通いつめ現地のアーティストの信用を得ながら、遂に2008年、沖縄島唄の大御所・知名定男先生を総合プロデューサーに開始されたものです。1回目には、名曲中の名曲『島唄』の宮沢和史さんも出られ、これまでほぼ常連で出演されてきました。「琉球の風」の功労者の一人です。

しかし、1回目、2回目は大赤字、熊本という地方都市で大きなイベントを開催する難しさを思い知らされました。

総合プロデューサーは沖縄島唄の大御所・知名定男先生

◆宇崎竜童さんの男気に感謝! 

ようやく第3回目、宮沢和史さんに加え、BEGIN、われわれの世代には馴染み深い宇崎竜童さんが出演し、ようやく黒字に転化、以降、ほとんど赤字かトントンでアップアップしつつも、「黒糖ドーナツ棒」で急成長した大口協賛企業「フジバンビ」はじめ多くの支援を得て、これまで継続してきました。東濱君の想いに答え、われわれ鹿砦社も協賛企業の一角として支えてきました。

実行委員会が宇崎さんに、出演料を払おうとして口座番号を教えてほしいと連絡したところ、「教えません」と一喝されたとのこと、1回目、2回目の赤字に苦慮してきた実行委員会に配慮された宇崎さんの男気がうかがえるエピソードです。

このかん、東濱君は再度のガンに倒れ、2012年4月逝去、通夜・葬儀には500人以上の人たちが参集し、多くの人たちに愛された彼を象徴する出来事でした。

◆今年の「琉球の風」は熊本震災復興と共に!

そうして多くの心ある方々のサポートで継続してきた「琉球の風」ですが、今年は、あの熊本地震の直後でもあり、特別の意味を持ちます。復興への象徴として――。

私個人にとっても、生まれ育ち少年時代を過ごした、わが故郷・熊本が呻吟する中で、復興への記念すべき「琉球の風2016」になれば、と願います。

今からでも熊本行きのチケットを買い、駆けつけてください! 
なお、「琉球の風2016」の報告は、直後に「デジタル鹿砦社通信」で行います。

▼松岡利康(鹿砦社代表)

10月2日(日)熊本で「琉球の風2016」開催!

 

 『島唄よ、風になれ! 「琉球の風」と東濱弘憲』(「琉球の風」実行委員会=編)
  『NO NUKES voice』最新第9号! 特集〈いのちの闘い〉
 タブーなきスキャンダル・マガジン『紙の爆弾』!

銀座の蝶、凋落のフジテレビ社長よりも伸びしろある新人作家へ

森村誠一、野沢尚、東野圭吾、池井戸潤などを輩出した“売れっ子作家製造器”とも呼ばれる「第62回江戸川乱歩賞贈呈式」(日本推理作家協会主催・後援・フジテレビ/講談社)が9月9日18時から帝国ホテルで行われたが、この手の文学賞を彩るために呼ばれる「銀座の艶っぽいホステス」が群がったのは、フジテレビ社長の亀山千広社長や講談社の野間省伸ではなく、大御所作家で選考委員の有栖川有栖、池井戸潤、今野敏氏らでもなく、337名の中から大賞に選ばれ、『QJKJQ』で受賞した新人作家、佐藤究(きわむ)だった。

佐藤究氏

「例年、念入りにフジテレビの亀山社長や野間社長や大御所作家に挨拶するのですが、今年、招待された銀座のホステスたちは、挨拶は数分程度で、さっそく『金の卵』と化ける可能性もある新人作家、佐藤のところに並ぶ編集者の列に入ってきたのはびっくりした」(文芸雑誌記者)

とくにフジテレビの亀井社長は活気あふれる受賞式とは正反対でどんよりとした雰囲気。日帯(6~24時)視聴率で、TBSに抜かれて民放4位に転落、破棄がないフジテレビの亀山千広社長は「年々、受賞作が映像化しづらい作品になっておりまして。特に今回の受賞作は、本の帯に『私の家族は全員、猟奇殺人鬼』とある。テレビでは絶対できません」と冗談交じりに、あいさつの弁。その声には張りがなく「体調が悪いのか」とささやかれる始末。負のオーラがばらまかれているのか、近寄るのは男ばかりで、ポツネンとひとりたたずむ姿も。

いっぽうで吉本興業の警備員だったという異色の受賞者、佐藤は「私も今回応募した337名と同じくただ書き続ける日々を送ってきました。書くことは私の古い友人です。作家は、サーカスの曲芸師です。ここはトランポリンやブランコなどを行うサーカスをする楽しい場所です。楽しんでいってください」といっぷう変わった挨拶で聴衆を引きつけていた。

和服姿の美女ホステスがこっそり教えてくれる。「今時の出版社社長や落ち目のフジテレビの社長や、ベテラン作家などに営業しても、もうひいきの店は決まっているし、新人作家は大化けしてベストセラー作家になって大枚をお店に落とす可能性があるのです。だから店どうしの争いも激しいのです」(同)

佐藤への挨拶の順番を巡って割り込む和服ホステスもいて、「ちょっと、私たちが並んでいたのです」と押し返される場面も。いっぽうで野間社長も旧知の男性とばかり話しており、あまり女性を受け付けない雰囲気をかもしだしていた。

「さながらこの会場は現在の不況が凝縮されていた。出版社もテレビ局も銀座の店で遊ぶ余裕がなく、結局、当たれば億単位で稼ぐ“作家”のほうが銀座ホステスにとって“くどくべき相手”だということです。その証拠に、夜8時ごろはもう例年だとほぼ解散なのに,佐藤の“出待ち”をしているホステスもいた」(同)

同賞は、講談社の編集者ががっちりと佐藤をプロテクトしており、佐藤のほうは挨拶してきた連中に名刺を渡さない。

「佐藤が気に入った相手がいれば出版者の編集者であれ、銀座のホステスであれ、広告代理店スタッフであれ、佐藤のほうから連絡するのが受賞式でのマナーであり、ルールです」(同)

さて、凋落のフジテレビ亀井社長は、つぎの予定があるのか早々と会場をあとにした。
「江戸川乱歩賞は賞金が1000万円だが、かつて東野圭吾が『1000万円なんてはした金』と第60回の江戸川乱歩賞贈呈式で言い放ったことがあるように、売れっ子になれば『一晩に数百万を銀座に落とす』のも夢じゃないからね」(同)

この作品は、一家全員がシリアルきらーというかなりエキセントリックな作品だが、ふたりが推薦したようだ。 池井戸潤の選評を紹介する。

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現実と幻想が交錯するストーリーで、その境界線が曖昧なことが読み味なのかもしれない。小説は自由なのだから主人公を含め家族全員が殺人鬼という設定があってもいいし、殺人鬼が犯人を追って密室殺人に挑むというのなら、それはそれでおもしろい。

だが、その謎解きは肩すかしだ。その後の展開も、この小説世界を支える枠組みやルールを後だししている印象を受け、果たしてこれが周到に準備された小説ともいえるか、という疑問を最後までぬぐえなかった。

だが、これはあくまで私一己の読み方である。選考委員のうちふたりがこの小説に最高点を与えて評価するというのであれば、それを拒むものではない。受賞者の今後の活躍をおおいに期待したい。

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いい選評だ。審査委員の今野敏は、「終盤の主人公の少女と実父とのエピソードには思わず涙しそうになった」と語っている。

このところ「文学賞」は、最初からテレビドラマ化しやすい作品に受賞させるようになった。さらに同じおもしろさなら「現代劇よりも時代劇」を、「笑える話よりも泣ける話」を選ぶようにトレンドが変化してきた。ゆえに「本来なら受賞する作品も、落選する可能性がある」と日本推理作家協会のわが師匠も話していた。

さて、「家族全員が殺人者」というストーリーで羽ばたく佐藤氏は、もともと吉本興業の警備員をしていたという変わり種だ。

もともと江戸川乱歩がポケットマネーでつくったこの賞は、森村誠一、東野圭吾、西村京太郎、鳥羽亮ら偉大な作家たちを生み出してきた。この賞の存続を強く望む。

そして92年から後援で参加しているフジテレビよ! 亀山社長よ! 
ドラマ化しにくいのはわかるが、てめえの挨拶が終わるやすぐ帰るという姿勢はいかがなものか。

現在、不況にあえぐ出版社は無名の作家は初刷り1000部なんてザラ。ファンが確実に集まる江戸川乱歩賞受賞作家に「夜の女」がなびき、凋落の出版社やテレビ局らは相手にされない時代が到来したのだ。

(伊東北斗)

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映画「64」に見る理想の警察広報と現実の差

「クライマーズ・ハイ」などで知られる横山秀夫の原作は、「正義と悪」が必ずしも軸にはならない。立場により「悪が正」となり、また逆もしかり。 ヒットした横山氏の原作を基に、『感染列島』などの瀬々敬久監督と『ザ・マジックアワー』などの佐藤浩市主演で映画化した犯罪ドラマが作られた。

前半と後半で2連作となっているのだが、新聞記者が警察の広報官とことごとく対立する。その内容は、『被疑者を匿名』としたり「誘拐犯人を匿名」としたりする警察側と記者クラブとの攻防を縦軸として、昭和時代の最後の1週間にあたる昭和64年に起きた未解決誘拐事件をオーバーラップさせていく。新たに発生した類似の事件の謎に迫る。県警の広報官を演じる佐藤のほか、綾野剛、榮倉奈々、永瀬正敏、三浦友和ら豪華キャストが集結。

僕は、「記者クラブ」というものが不思議でならない。警察に事件について問うと禅問答のようなやりとりになる。

警察 「あなたは加盟社の記者ですか」
筆者 「いえ、ちがいます。所属はエスエル出版会といいます」
警察 「原則として電話では教えていません」
筆者 「電話では教えないということは、FAXでは事件の概要を教えているということですか」
警察 「いいえ、そうは言い切れません。一般のかたに公開できない情報もあるからです。あなたがどの社に所属しているか、身分を特定しないとわけがわかりませんし」
筆者 「それでは、名刺や書いた記事など一式と社長に身分保障を書いてもらって郵送すれば事件の概要について教えていただけるということでしょうか」
警察 「いいえ、そうとは言っていません。こちらであなたの身分を特定して、公益性があると判断すれば教えるケースがあります。ただし、その結果を 担保しません。われわれとしては」
筆者 「何を言っているかよくわかりません、それでは書類を一式、FAXしますが、ご検討いただきたい」
警察 「送っていただくのはかまいませんが、それで教えるケースが生まれると保証できかねます」

いったい、何を渋っているのだろうか。ここで僕は取材依頼書と名刺、住民票までも送る。そして警察の広報に連絡を入れる。

筆者 「FAXは届きましたか」
警察 「届きましたが、検討はまだしておりません」
筆者 「どういうことでしょうか? FAXを送らせておいて検討しないというというのは、どうすれば教えていただけるのですか」
警察 「ですから、こちらに来ていただいて、事情を説明していただければお教えする可能性はありません」

ここで頭に来て電話を切った。
行かないと話にならないなら、はじめから交渉などしない。
知り合いの新聞記者にとっくに頼んでいる。
ちなみにこのバカ警察は大津警察署だ。
バカも休み休み言えとは警察のためにある言葉だ。

話をもとに戻せば、こうして「現実」を無視して理想の警察の広報官をこの映画では佐藤浩行が演じている。この誘拐事件の行く末はもちろん、警察と 記者クラブとの摩擦や警察内の対立、主人公の娘の行方など怒とうの展開に目がくぎ付けとなるだろう。

だが諸君、誤解することなかれ。こと警察の広報は、バカばかりで話にならぬ。このほか、バカ警察の広報のふざけた対応は山ほどあるが、機会があれば紹介しよう。ただし僕が仲がいい警視庁のエリートの刑事はきちんとしている。一応、フォローしておこう。

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
裏社会、事件、政治に精通。自称「ペンのテロリスト」の末筆にして松岡イズム最後の後継者。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。

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