生キ様ヲ刻メ! 35周年を迎える日本キックボクシング連盟の〈闘魂〉

大和知也との打ち合いを制し、綱渡り防衛となった高橋一眞
大和知也vs高橋一眞。二度のダウンの後の危ない打ち合いはファンをハラハラさせた。高橋一眞のピンチ

激闘ノックアウトが続いた主要カード3試合。

「格闘技人生賭けて今日全てを出し切ります。僕の生き様を見てください」と語っていた大和知也は一昨年、怪我で王座返上し、昨年9月の再起戦は棚橋賢二郎(拳心館)にKO負けもまだ王座復帰とNKBエース格を目指す。

高橋一眞は一昨年の3連敗から脱出し、昨年6月に宿敵村田裕俊から王座奪取し、再び「KNOCK OUT」出場を目指す今、両者とも負けられない立場。高橋一眞はパンチで出て来る大和にヒザ蹴り中心に右ローキック、ロープ際での接近戦で右ストレートでダウンを奪う。足に来た様子の大和だったが、パンチの距離になると右ストレートで逆転のダウンを奪う。

パンチとヒザ蹴りの攻防の中、更なるパンチ連打で2度目のダウン奪った大和。残り1分半。パンチで出る大和に応戦する一眞は危険な打ち合い。しかし一眞の右ストレートでスリップダウンする大和は立ち上がるも再び足に来ている様子で足がもつれる。一眞は上下の蹴りからヒザ蹴りも出すが、大和とパンチの打ち合いに応じ、どっちが倒れるかスリルある展開の中、一眞の右ストレートがヒット、足に来てフラついて起きれない大和にレフェリーが試合を止めました。

悔しさで号泣の大和。何のヒットで倒したか、自分がダウンしたことも覚えていない試合直後の一眞。2度ダウン後の打ち合いは危険な賭けは一眞にとっては今後に課題を残す初防衛となりました。大和は王座奪回成らず、2連敗。今後再戦するとしたら互いがガードをしっかりしなければならないでしょう。特に「“KNOCK OUT”に出たい」と言う一眞は要注意です。高橋一眞はこれで15戦11勝(9KO)4敗。大和知也は32戦16勝(11KO)13敗3分。

村田裕俊vs優介。向かって来た優介に村田のカウンターパンチがヒット、ダウンとなった瞬間

村田裕俊は2016年12月に初防衛戦で対戦した優介との再戦となる2度目の防衛戦。2017年は注目の選手との対戦が続く中、3連敗の村田。優介は再挑戦に向け、調子を上げてきた侮れない挑戦者。村田の攻勢は想定内で首相撲になっても組負けず、しなりある村田のハイキックとミドルキックが優介を圧倒。

2ラウンドには接近してきた優介に左フックカウンターでダウン奪う村田。優勢に進む中、村田の右ストレートが優介にヒットするも、相打ち気味だった優介の右ハイキックが村田のアゴを捉え、ダブルノックダウンのような形で、優介がやや先に尻餅つくが、ほぼスリップ気味ですぐ立ち上がり、村田は完全に足に来てフラつく中、レフェリーが止めました。

優介が劇的逆転ノックアウトで号泣の王座奪取成る。優介は第14代チャンピオン。村田裕俊はこれで19戦10勝(5KO)7敗2分。優介は25戦18勝(8KO)5敗2分。

村田裕俊の右ストレートはプッシュ気味、この直後、優介の右ハイキックが村田のアゴを捉える
ロープにもたれて倒れ込み、立ち上がれなかった村田裕俊

高橋聖人は昨年4月に村田裕俊を攻略する金星判定勝利。安田浩昭は3年前に髙橋聖人に判定負けしているが、その後勝利を重ね、上位進出してきた底力は侮れない。

パンチ主体の安田に対し、右ローキックを中心に蹴り技で優っていた距離感もよかった聖人。聖人の蹴りのペースが続き、安田の左足が効いていく中、安田の一瞬の右フックが聖人のアゴを捉えると、バッタリ倒れた聖人、完全に効いてしまって上半身を起こそうにも身体が言うこと利かないダメージでレフェリーが試合をストップ。パンチの当たる隙を安田が見逃さなかった展開。キックのキャリアは似たものがあるが、人生の経験値からくる勘があったであろう結末。聖人は反省点ある試合で今後に活かせることでしょう。高橋聖人はこれで10戦8勝(3KO)1敗1分。安田浩昭は10戦8勝(4KO)2敗。

新チャンピオン優介と真門ジム山岡会長。真門ジムでは優介が高橋兄弟に続く現役三つ目の王座獲得となった

◎神風シリーズ vol.6
2017年12月16日(土)後楽園ホール17:30~20:50
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

◆メインイベント NKBライト級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.高橋一眞(23歳/真門/61.05kg)
VS
挑戦者同級2位.大和知也(前C/32歳/SQUARE-UP/61.23kg)
勝者:高橋一眞 / TKO 1R 2:35 / 主審:前田仁

◆NKBフェザー級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.村田裕俊(28歳/八王子FSG/57.05kg)
VS
挑戦者同級2位.優介(33歳/真門/56.95kg)
勝者:優介 / TKO 2R 1:32 / 主審:鈴木義和

◆フェザー級 5回戦

NKBフェザー級1位.高橋聖人(20歳/真門/57.05kg)
VS
同級3位.安田浩昭(31歳/SQUARE-UP/56.9kg)
勝者:安田浩昭 / TKO 2R 3:02 / 主審:亀川明史

安田浩昭vs高橋聖人。頭をもたげる高橋聖人、身体は言うこと利かない痛烈なダウンシーン
安田浩昭vs高橋聖人。隙を突いた安田の右フックが高橋にヒット
王座挑戦権を得たであろう安田浩昭
初防衛成功の高橋一眞。王座奪取時にも見せた雄叫びポーズ

◆ライト級3回戦

NKBライト級1位.棚橋賢二郎(30歳/拳心館/60.95kg)
VS
小鹿雅弘(26歳/ジョイント/61.0kg)
引分け / 0-1 / 主審:川上伸
副審:前田30-30. 亀川30-30. 佐藤友章29-30

◆ミドル級3回戦

NKBミドル級6位.釼田昌弘(28歳/テツ/72.3kg)
VS
義充(27歳/アウルスポーツ/72.5kg)
引分け / 0-1 / 主審:佐藤彰彦
副審:鈴木30-30. 亀川29-30. 川上30-30

◆63.0kg契約3回戦

NKBウェルター級5位.マサ・オオヤ(43歳/八王子FSG/63.0kg)
VS
NKBライト級9位.野村怜央(27歳/TEAM-KOK/62.95kg)
勝者:野村怜央 / TKO 2R 1:58 / カウント中のレフェリーストップ
主審:佐藤友章

◆62.0kg契約3回戦

NKBライト級5位.パントリー杉並(25歳/杉並/61.65kg)
VS
J-NETWORK.スーパーライト級7位.伊東伴恭(33歳/ライラプス東京北星/61.9kg)
勝者:伊東伴恭 / 判定0-3 / 主審:亀川明史
副審:川上28-30. 前田27-30. 鈴木28-30

◆ウェルター級3回戦

NKBウェルター級4位.チャン・シー(33歳/SQUARE-UP/66.5kg)
VS
同級6位.SEIITSU(38歳/八王子FSG/66.45kg)
引分け / 0-1 / 主審:佐藤彰彦
副審:川上29-30. 前田30-30. 佐藤友章30-30

◆フェザー級3回戦

NKBフェザー級6位.鎌田政興(27歳/ケーアクティブ/57.0kg)
VS
同級9位.岩田行央(37歳/大塚/57.05kg)
勝者:鎌田政興 / 判定3-0 / 主審:鈴木義和
副審:亀川30-28. 佐藤友章30-28. 佐藤彰彦30-29

前座2試合は割愛します。

《取材戦記》

日本キックボクシング連盟に於いては、ラスト3試合は近来に無い壮絶な決着でした。リングサイド関係者は、意外な盛り上がりに驚きながらも満足気の様子。「来年(2018年)もNKBを盛り上げましょう」と言う声も聞かれました。高いレベルとは言い難いところもあり、「KNOCK OUTイベント」に向かっていくなら磨かねばならない技はあるものの、出場させてみたい選手も揃っています。

新年の興行タイトルは「闘魂シリーズ」だそうで、どこかで聞いたことあるようなシリーズ名ですが、この日のようなスリルは成り行き任せで難しくとも、好カードで盛り上がりを見せればNKBの存在価値も上がることでしょう。高橋三兄弟は課題を抱えつつ、負けてもまた向かっていく姿がカッコよく見えます。

2018年定期興行スケジュールは、2月17日、4月21日、6月16日、10月13日、12月8日、いずれも土曜日、後楽園ホールでの開催で、開始時刻は17:30の予定。この他、地方興行も予定されています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

キックボクシング 2017年の振り返りと2018年の展望!

ルンピニーのベルトも手に入れることが出来るか、二つ掲げたい梅野源治(2016.11.4)

2017年の主に目立った出来事を大雑把に独断と偏見で振り返ると、
・梅野源治とT-98(=今村卓也)のラジャダムナン王座陥落
・「KNOCK OUT」イベントの躍進
・IBFムエタイの発足
・高橋一眞の復活
・志朗と麗也の独立
などがありました。
他にも多くの興行、イベントがありましたが、あくまで独断と偏見です。

◆《1》梅野源治とT-98(=今村卓也)のラジャダムナン王座陥落

2016年6月1日にラジャダムナンスタジアム・スーパーウェルター級王座奪取したT-98(=今村卓也)は同年10月9日に日本人として初めて現地で初防衛を果たし、その勢いで2017年の更なる記録更新が期待される中、5月25日に現地での2度目の防衛戦は惜しくも判定で敗れ記録更新成らず。その後T-98は長い休養はとらず再起。今度はルンピニースタジアムに標準を定め、10月22日にルンピニージャパン・ミドル王座奪取を経て挑戦権を獲得。12月2日にタイ現地でルンピニースタジアム・ミドル級王座に挑戦しましたが、判定負けで王座奪取成らず。外国人初の二大殿堂制覇も成りませんでした。

2016年10月23日に、同じくラジャダムナンスタジアム王座をライト級で奪取した梅野源治は、2017年5月17日、現地で初防衛戦を行なうも判定で敗れ王座を失いました。現地に渡るとなかなか難しい本場の壁に阻まれますが、これを打ち破ってこそ崇高の王座であるわけです。

二人揃って王座陥落のままに終わった2017年でしたが、梅野源治は2018年2月18日、REBELS興行で、ルンピニースタジアム・ライト級王座決定戦出場が予定されています。日本人として新たな可能性を懸けて、ムエタイ二大殿堂王座への記録更新は2018年に引き継がれます。

T-98も厳しい立場に置かれたが、梅野同様まだ終われないT-98時代(2017.5.25)

◆《2》「KNOCK OUT」イベントの躍進

2016年9月14日に記者会見興行(お披露目1試合)から発足した「KNOCK OUT」イベントは同年12月、2回目興行(vol.0)から盛大に始まりました。(株)ブシロードがバックアップする背景から2017年は1年間を通じて8回の興行が開催され、想定する範疇ながら「やっぱり凄いな」と思わせる実績を残して来ました。

対戦が難しかった団体の垣根を越えたトップクラスの対戦があり、地上波のTOKYO-MXTVをはじめ、衛星放送やインターネット配信の充実、街頭スクリーンにもコマーシャルが流れる拡散に過去に無い一般社会へアピールの進出がありました。

選手の発言にも「KNOCK OUTに出たい!」と言う声が多くなっています。このリングに立つ為に、既存の各団体やフリーのプロモーション興行も選手の目つきが違って来ています。目指すものが大きいと選手のモチベーションも上がることが実証された1年でした。

ひとつ厳格に守って欲しいのは、本来のキックボクシングルールとシステムを遵守して欲しいこと。一旦勝手な解釈が加わると、そこからまた新たな解釈が加わり、本来のキックから逸脱した方向に行ってしまうので、老舗キック競技を守ることからイベント開催へ向かって行って欲しいところです。

◆《3》IBFムエタイの発足

2017年後半、水面下で動いていたのはIBFのムエタイ団体発足の動きでした。プロボクシングの主要4団体のWBCがムエタイ世界王座を発足されたのは2005年12月。いずれは他団体も手を付ける可能性が高いと思われたプロボクシング認定団体のムエタイ進出でしたが、ここに来てやっぱり出て来た他3団体の中のIBFでした。

多くの世界認定団体と二大殿堂王座、更に活発化するイベント(トーナメント戦優勝制)がある中、それらの価値が低くなってきた時代に、IBFムエタイがトップ争いの末、ムエタイ最高峰となることは無いでしょう。

初の世界王座決定戦を行なった2017年12月20日の世界戦数日前からから「ライトヘビー級か、クルーザー級かどっち?」と思っていたら、開催直前になって別選手によるウェルター級戦になる曖昧さ。発展途上のタイ側に任せていたらこうなるんです。ムエタイなので試合ルールは本場タイ側が主導するのは仕方ないにしても、IBFに限らず、組織管理・管轄はアメリカやメキシコの本部が監視していかないと、タイ側は勝手なことやりだすので、単なる名義貸しにならないよう注意して貰いたいものです。

発足したIBFムエタイ世界王座3試合のセレモニー(2017.12.18)
IBFムエタイ世界ライト級初代王座はセクサンvsパンパヤック戦(2017.12.19)
IBFムエタイ、最初のチャンピオンはウェルター級のピンクラーオ、左側はIBF会長のダーリル・ピープルズ氏、右側は元・タイ国副首相スワット・リパタンパンロップ氏(2017.12.20)
ここにも団体を担うチャンピオンとなった高橋三兄弟の長男・一眞が2018年を戦う(2017.6.25)

◆《4》高橋一眞の復活

2016年に悪夢の3連敗を喫した高橋一眞は2017年は4連勝と完全復活。過去3勝1敗の村田裕俊を破り、NKBライト級王座奪取と、元チャンピオンの大和知也を破り初防衛を果たしました。

長男・一眞は打たれ脆さが心配されます。大和知也との試合はそのスリルある展開を見せ大歓声となりましたが、再び「KNOCK OUT」出場することとなった高橋一眞は、2018年2月12日の「KNOCK OUT FIRST IMPACT」に於いてKNOCK OUT常連の町田光(橋本)戦が予定されており、ここはガードを固め冷静に戦って欲しいところです。

次男・亮も12月のKNOCK OUTに於いて、小笠原瑛作(クロスポイント)と引分ける好ファイトを見せながらも弱点を見せる展開。三男・聖人は安田浩昭に一発で逆転負けする不覚を喫したばかり。それでもNKBを担う立場に成長した高橋三兄弟は、安泰マッチメイクは無く試練を乗り越えていくので、負けながら這い上がるところに好感が持て、それぞれが2018年の急成長が見られるかが期待と見所でしょう。

本場のリングが主戦場となった志朗、2018年も厳しい戦いが続く(2017.12.9)

◆《5》志朗と麗也の独立

志朗と麗也(ともにKICK REVOLUTION)が新日本キックボクシング協会を、脱退宣言発表をしたのは6月20日でした。本場タイのリングでの戦いの場を求めて、これ以降ほぼ現地のみのリングに上がっていますが、現地の有力プロモーターに認められ、勝ち上がることはかなり難しい道程で、下手すれば簡単に切り捨てられる本場で、窮地に追い込まれても2018年も突き進まなければなりません。

早速1月13日(土)、タイ・ルンピニースタジアムにて志朗の出場が決定しています。試合はタイ地上波9チャンネルで放送と、セミファイナル出場が予定されるかなり高水準の待遇で、対戦相手は、チューペット・シットパナンチュンという、タイ7チャンネルや9チャンネルに出ている知名度があり、今最も勢いのある選手の一人として名を馳せており、パンチとローキックが武器で、最近は3連続KO勝ちしており、志朗とはKO決着が予想されています。

麗也は志朗とは別のジムに所属しており、まだ活躍の詳細は聞かれませんが、2018年は志朗に続かなければならない勝負の年となるでしょう。

新春最初の興行は1月8日に、後楽園ホールに於いて17時より、新日本キックボクシング協会・治政館ジム興行「WINNERS 2018.1st」が行なわれます。WINNERS、MAGNUM、TITANS NEOSなど、この団体内でもビッグイベントが揃っており、「KNOCK OUT」以外の国内各団体が突出してくるか、あるいはまた分裂が起こるか、何が起きても不思議ではないキック界が1年後にどうなっているか、波乱にも期待したいところです。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

江幡ツインズは、キック界の大黒柱! SOUL IN THE RING.15

右ストレートで3度目のダウンへ繋ぐ江幡睦

後楽園ホールと両国国技館でそれぞれが勝利を上げた江幡睦と塁。
睦はいつもよりは格下のトートーとの対戦でしたが、そのトートーの蹴りと繋ぎ技は素早く、油断はならない。対する睦はいつもどおりながら様子見のローキックからパンチへ繋ぎ、隙を見つけるといずれも右ストレートが決め手となる3ノックダウンを奪って余裕のKO勝利。

緑川創のローキックでサグントーンにダメージを与える

両国国技館での「KNOCK OUT」興行では、塁が宮元啓介(橋本)と激闘の末、判定勝利。そのまま後楽園ホールへ駆けつけ睦のセコンドに着く慌しさ。重森陽太(伊原稲城)も「KNOCK OUT」興行に出場し、マキ・ピンサヤーム(タイ)に判定勝ちした後、後楽園ホールへ来場。江幡ツインズとスリーショットとなりました。

緑川創も第1ラウンドに様子見から左フックをボディに炸裂させダウンを奪い、第2ラウンドに右ストレートでダウンを奪ったところでタオル投入されKO勝利。

渡辺健司vs大和侑也戦はちょっと興味深いカードとなった試合でしたが、渡辺のいつもの下がってかわす戦法に、正攻法の大和は持ち味を活かせない。自分の距離を見極めると渡辺のローキックやフック系パンチのしぶとい戦法で判定勝利を掴みました。

終盤にパンチで出ていく大和侑也だが渡辺攻略は難しかった

斗吾が第1ラウンドにパンチで斉藤をグラつかせるも、その追撃が足りず、その後のダメージから回復した斉藤が長身を活かした前蹴りが有効的に使われ、首を組んでのヒザ蹴りをしつこく繰り出す。パンチで攻めた斗吾が辛うじて引分けに持ち込んだ印象。2014年3月に対戦した時は斗吾がヒジ打ちでTKO勝利しているが、今回は斉藤が持ち味を活かした試合でした。

長身の斎藤智宏前蹴りが斗吾を突き飛ばす

瀬戸口勝也は皆川の若さとスピードに出遅れ、皆川は若さと攻めの打ち終わりにフォローを入れる追撃の見映えも良かったが、瀬戸口の強打が皆川のリズムを崩し、ベテランの技で勝利を掴みました。

瀬戸口勝也の強打が若い皆川をたじろがせる

◎SOUL IN THE RING.15 / 2017年12月10日(日)後楽園ホール17:00~20:10
主催:藤本ジム / 認定:新日本キックボクシング協会

◆メインイベント54.5kg契約 5回戦

WKBA世界バンタム級チャンピオン.江幡睦(伊原/54.5kg)
VS
トートー・ペットプームムエタイ(タイ/53.9kg)
勝者:江幡睦 / KO 1R 2:30 / 3ノックダウン
主審:仲俊光

右ストレートで2度目のダウンを奪う江幡睦

◆70.0kg契約 5回戦

緑川創(藤本/70.0kg)vsサグントーン・トー・ポンチャイ(タイ/68.0kg)
勝者:緑川創 / KO 2R 1:44 / カウント中のタオル投入
主審:桜井一秀

緑川創のボディへ右ストレートで上下どこでも攻めどころを捉えていく
第8試合勝者、ジョニー・オリベイラ。ラウンドガールもクリスマスバージョン
第7試合勝者、本田聖典
第6試合勝者、古岡大八
第4試合勝者、リカルド・ブラボー

◆68.0㎏契約3回戦

日本ウェルター級チャンピオン.渡辺健司(伊原稲城/67.8kg)
VS
大和侑也(元・WBCムエタイ日本同級C/大和/67.8kg)
勝者:渡辺健司 / 判定2-0 / 主審:椎名利一
副審:宮沢30-28. 仲30-29. 桜井29-29

◆73.5㎏契約3回戦

日本ミドル級チャンピオン.斗吾(伊原/73.5kg)
VS
斎藤智宏(Ys.k KICKBOXING/73.5kg)
引分け / 0-0 / 主審:宮沢誠
副審:椎名29-29. 仲29-29. 桜井29-29

◆フェザー級3回戦

日本フェザー級3位.瀬戸口勝也(横須賀太賀/56.8kg)vs同級6位.皆川祐哉(藤本/57.0kg)
勝者:瀬戸口勝也 / 判定3-0 / 主審:椎名利一
副審:仲30-29. 桜井30-28. 宮沢30-28

◆ライト級3回戦

日本ライト級4位.ジョニー・オリベイラ(トーエル/61.0kg)
VS
同級6位.大月慎也(治政館/61.2kg)
勝者:ジョニー・オリベイラ / 判定2-0 / 主審:仲俊光
副審:椎名28-28. 桜井29-28. 宮沢29-28

◆ミドル級3回戦

日本ミドル級2位.本田聖典(伊原新潟/72.3kg)
VS
萩本将次(CRAZY WOLF/71.0kg)
勝者:本田聖典 / TKO 3R 2:20 / 双方ともヒジ打ちによるカット、ドクターの勧告を受入れ、萩本将次をストップ、本田聖典は続行可能。
主審:宮沢誠

◆54.5㎏契約3回戦

日本バンタム級3位.古岡大八(藤本/54.5kg)vs鰤鰤左衛門(CORE/54.5kg)
勝者:古岡大八 / 判定3-0 / 主審:椎名利一
副審:桜井30-29. 宮沢30-28. 仲30-27

◆ライト級3回戦

日本ライト級5位.渡邉涼介(伊原新潟/60.8kg)vsTASUKU(CRAZY WOLF/60.7 kg)
引分け / 三者三様 / 主審:桜井一秀
副審:椎名29-29. 宮沢28-30. 仲30-29

◆68.0㎏契約3回戦

リカルド・ブラボー(アルゼンチン/67.6kg)vs山本ジエゴ(ウルブズスクワット/67.3kg)
勝者:リカルド・ブラボー / TKO 1R 2:23 / カウント中のレフェリーストップ
主審:宮沢誠

◆フライ級2回戦

山野英慶(市原/50.8kg)vs空龍(伊原新潟/50.6kg)
勝者:空龍 / TKO 1R 1:20 / カウント中のレフェリーストップ
主審:仲俊光

◆女子52.0㎏契約2回戦

白石瑠里(藤本/52.0kg)vs加藤みどり(エイワ/51.8kg)
勝者:加藤みどり / 判定0-3 / 主審:椎名利一
副審:桜井18-20. 仲18-20. 宮沢18-20

◆63.0㎏契約2回戦

KAZUMA(揚心/62.7 kg)vs中田憲四郎(藤本/62.3kg)
勝者:KAZUMA / 判定3-0 / 主審:桜井一秀
副審:椎名20-19. 仲20-18. 宮沢20-18

《取材戦記》

藤本ジムでの緑川創は勝次とともにエース格。8月に「KNOCK OUT」出場も宮越宗一郎(拳粋会)にダウンを奪われ判定負けをしていますが、その後再起2連勝。来年こそは飛躍しなければならない、何とかビッグタイトルに挑んで欲しいところです。

2018年新春興行は1月7日(日)に後楽園ホールで治政館ジム興行「WINNERS 2018.1st」が開催されます。昔の新春興行は元旦から1週間以内に日本系、全日本系のタイトルマッチが豪華に行なわれたものですが、現在は国内主要タイトルだけでも昔以上に多くあるのに新春に限らずタイトルマッチは少ないのが現状。そして「KNOCK OUTに出場したい」と言う選手も多く、目指すはビッグイベント出場へ、価値観が変化してきた現在、来年もその勢いが増すことでしょう。

両国と後楽園で、江幡塁、重森陽太、江幡睦、勝利のスリーショット

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

今村卓也、再びの12・2ムエタイ王座挑戦は惜敗!

ノッパガーオの右ヒジ打ちをかわす余裕を見せるタクヤ
ノッパガーオの右ミドルキックを受けてしまうタクヤ

この1年半で、今村卓也はムエタイ二大殿堂のラジャダムナンスタジアム王座奪取し、2度目の防衛戦で明け渡すも、今度はルンピニー王座挑戦のチャンスを得て、12月2日(土・現地/日本との時差2時間)、現地でルンピニースタジアム・ミドル級王座に挑みました。

5月25日のラジャダムナン王座陥落後は、数戦を経て、10月22日にディファ有明での蹴拳プロモーション興行に於いて、ルンピニージャパン・ミドル級王座決定戦を、ジフン・エナジー・リー(韓国)に判定勝ちして日本王座に就いています。

このルンピニージャパンタイトルは2015年8月7日に新設の発表があってから1年掛かりで動き出し、徐々に日本王座が埋まって来ている状況。本場ルンピニースタジアムタイトルへの近道とされるルンピニージャパン王座を経て、今回、今村卓也の挑戦が決まりました。

本場ルンピニー王座に就いた日本人は未だ居らず、またムエタイの二大殿堂ルンピニー王座とラジャダムナン王座の両方に就いた外国人(タイ人以外)は過去一人も居ない中での新たな挑戦でした。

タクヤの右ストレート直撃
ノッパガーオも強い左ストレートを返す

◆タイ国ルンピニースタジアム・ミドル級タイトルマッチ(160LBS) 5回戦

チャンピオン.ノッパガーオ・シリラックムエタイ(タイ/72.57kg)
VS
挑戦者. 今村卓也(=T-98/クロスポイント吉祥寺/72.57kg)
勝者:ノッパガーオ・シリラックムエタイ / 判定

ノッパガーオも調子を上げていく左ミドルキック

今村卓也は重いパンチとローキックで慎重に攻めていきます。顔面にヒットする右ストレート、それ以上に応戦するノッパガーオの蹴りとパンチも強いものがありました。

今村卓也のヒジ打ちによるノッパガーオの左眉のカットは、勝利へ期待が持てるものでしたが、ノッパガーオの的確に当ててくる強い蹴りで試合は混戦模様へ。組んでのヒザ蹴り、離れいてもヒザ蹴りも上手いノッパガーオ、今村卓也が優るローキックとパンチでは好感度低いものの、「日本だったらタクヤが勝っていただろう」と言う声もタイ側から聞かれた試合後のリングサイドでした。

タクヤのヒジ打ちで左眉を切ったノッパガーオ
更に流血の顔面へパンチで攻めるタクヤ

再び挑戦へ向けた再起ロードは始まるのか、ラジャダムナン王座陥落後も過密に戦ってきた今年の今村卓也でしたが、しばらく休んでからの再起がいいかもしれません。

判定はノッパガーオに。左がセンチャイ氏(ルンピニージャパン代表)

当日は4つのタイトルマッチの予定があったようですが、今村卓也のひとつ前の試合では、スーパーミドル級王座が新設された試合が行なわれています。

◆ルンピニースタジアム・スーパーミドル級(168LBS)王座決定戦 5回戦

4位.コンピカート・ソー・タワンルン(タイ/76.2kg)
VS
10位.ウィアンニー・マックススポーツジム(フランス/76.2kg)
勝者:コンピカート・ソー・タワンルン(初代チャンピオン) / TKO 2R

6月20日(火)にラーフィー・シンパートーン(フランス)がポンシリー・PKセンチャイから判定勝利し、ルンピニースタジアム・ウェルター級新チャンピオンに就き、同スタジアムでの外国人3人目(フランス人3人目でもあり)チャンピオンとなっています。

この日(12月2日)のウィアンニーはTKOで敗れ、王座奪取成らず(4人目成らず)でした。

二大殿堂も任意団体で、高いレベルの試合を群集に魅せてきた長い歴史と伝統とその権威は高いものの、時代の流れとともに過去になかった規制の緩みが出てきているのも事実で、軽量王国のタイで、ルンピニースタジアムはスーパーミドル級も新設されるという今までに無い重量級まで拡大化された現状。更には、今村卓也もルンピニースタジアムランキングには入っていないが、傘下のルンピニージャパンタイトルを獲ったことで、王座挑戦のチャンスが得られたと現地でも報道されています。最高峰への道が楽になったことが今後、業界にどう影響してくるでしょうか。
また同スタジアムは2014年2月にバンコク中心部のラーマ4世通りから、やや郊外北部のラーマイントラ通りへ移転してからは交通の便が悪くなり、ギャンブラーですらあまり行かなくなったと言う声も聞かれる中、今後集客率や試合レベルはどうなっていくのかという権威の低下が心配される部分もあります。

その反面、2018年は一波乱ありそうな本場ムエタイの動きに、興味あるファンや関係者は注目となるでしょう。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

『NO NUKES voice』14号【新年総力特集】脱原発と民権主義 2018年の争点

CLIMAX 2017 日タイ超人対決、実現!

宮越慶二郎はローキックでけん制、更に上下の打ち分け狙って接近したいが、危険なヒジ打ちの気配を感じ、得意の距離が掴み難そう。テーパブットは9月の健太戦で日本人のリズムを掴んだか、第2ラウンドにテーパブットのすかさず放った左ヒジ打ちで眉間をカットされた宮越。傷口がパックリ開く状態から続行はされるも、2度のドクターチェック後、レフェリーストップとなる。

いつ止められてもおかしくない負傷を抱える状況の中、パンチでKO狙ってラッシュする宮越慶二郎
反撃及ばず、傷が悪化しレフェリーが止めた瞬間
ロープに詰めても逃がさない新人のパンチのラッシュが優っていく

伊藤紗弥はパンチが苦手と言うとおり、その手数は少ないが蹴りでは負けない足数と圧力で主導権を維持。ヒザ蹴りでヨーッジンが嫌そうな顔をする瞬間もあり、起死回生のバックハンドブローを放つヨーッジンだがクリーンヒットには至らず。元々ピン級(-45.359kg)のヨーッジンは46.1kgで計量をパスし、46.8kgの伊藤より軽めで、体格差で押された様子もありました。

6月に駿太が新人(=あらと)に僅差で判定勝利していますが、今回も駿太はロープ際に下がり、ムエタイ技(ヒジ・ヒザ中心)狙いか、そのシーンが多く、追う形の新人が好戦的に手数足数多く攻め、判定勝利で王座を獲得。これで日本を越え、世界を目指す段階へ行くか

駿太へ雪辱を果たすべく、積極的に蹴り続けた新人
新人もNJKFに続くWBCムエタイ日本王座を獲得し、更に上位を目指す

第1ラウンドに琢磨の右ストレート気味の攻勢で軽いダウンを喫した浅川でしたが、その後にポイントを巻き返す勢いは足りず、琢磨が判定勝利で王座獲得。

この日、いちばん圧倒して勝った印象が強いYETI達朗はパンチで真樹親太郎を圧倒。第1ラウンドから一気にたたみ掛け、3ノックダウンを奪ってノックアウト勝利。他団体同級チャンピオンを2戦連続で破った勢いは大きい。一旦NJKF王座を白神武央(拳之会)に奪われているが現在、白神が持つWBCムエタイ日本同級王座に、来年2月に雪辱戦となる挑戦が決定しているところで一層の弾みを付けた形。

このところ5連勝、力強さが増したYETI達朗のミドルキック
TETSUROが浅瀬石真司を圧倒していく中でのヒザ蹴りで突き放す
今年、NJKF王座に続き、WBCムエタイ日本王座も獲得した琢磨、右はトロフィーを持つ町田金子ジム会長

浅瀬石は第1ラウンドはローキックでペースを掴んでパンチに繋ぎ、このまま維持できればよかったが、第2ラウンドにヒジで左瞼を切られた後、不用意に右フックを貰ってダウン。主導権はTETSUROが握り、第3ラウンドにパンチで2度、第4ラウンドに1度のダウンを奪う圧倒の中、第5ラウンドも右ストレートでダウンを奪うとレフェリーが試合を止め、TETSUROが新チャンピオンとなる。

◎NJKF 2017.4th / 2017年11月26日(日)後楽園ホール17:00~
主催:NJKF / 認定:WBCムエタイ日本実行委員会、NJKF

◆メインイベント 63.0kg契約 5回戦

WBCムエタイ・インターナショナル・ライト級チャンピオン.宮越慶二郎(拳粋会/62.9kg)
   VS
テーパブット・シット・オブン(元・BBTVスーパーフェザー級C/タイ/62.3kg)
勝者:テーパブット・シット・オブン / TKO 2R 1:56 / ヒジ打ちによる眉間の裂傷によるレフェリーストップ / 主審:竹村光一

◆WBCムエタイ女子世界ミニフライ級(47.627kg)王座決定戦 5回戦(2分制)

WMC女子世界ミニフライ級チャンピオン.伊藤紗弥(尚武会/46.8kg)
   VS
WPMF女子世界同級暫定チャンピオン.ヨーッジン・シット・ナムカブアン(タイ/46.1kg)
勝者:伊藤紗弥 / 判定3-0 / 主審:宮本和俊
副審:竹村49-47. 君塚50-46. 神谷50-46

◆第6代WBCムエタイ日本フェザー級王座決定戦 5回戦

1位.駿太(谷山/57.15kg)vs2位.新人(=あらと/E.S.G/56.8kg)
勝者:新人 / 判定0-3 / 主審:中山宏美
副審:竹村48-49. 君塚47-49. 神谷47-49

◆第6代WBCムエタイ日本スーパーフェザー級王座決定戦 5回戦

1位.琢磨(東京町田金子/58.7kg)vs3位.浅川大立(ダイケン/58.85kg)
勝者:琢磨 / 判定2-0 / 主審:竹村光一
副審:中山49-47. 君塚47-47. 神谷48-46

激しい攻防の中、パンチの的確さが優った琢磨
両者懸命の打ち合いの中、二つ目のタイトル目指し、積極的に攻めた琢磨
北海道からやって来たTETSUROの王座獲得を祝福する左側の佐藤友則会長も未だ現役

◆70.0kg契約3回戦

NJKFスーパーウェルター級チャンピオン.YETI達朗(キング/69.7kg)
   VS
MA日本スーパーウェルター級チャンピオン.真樹親太郎(真樹・AICHI/69.9kg)
勝者:YETI達朗 / KO 1R 2:43 / 3ノックダウン
主審:宮本和俊

◆NJKFウェルター級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.浅瀬石真司(東京町田金子/66.35kg)
   VS
4位.TETSURO(GRABS/66.2kg)
勝者:TETSURO / TKO 5R 0:23 / レフェリーストップ
主審:君塚明

諦めない浅瀬石真司の反撃、パンチが交錯する両者
尚武会・今井勝義会長も伊藤紗弥と共に歩いて来た世界への道はまだ続く

◆65.0kg契約3回戦

NJKFスーパーライト級1位.畠山隼人(E.S.G/64.3kg)
   VS
NJKFウェルター級3位.山崎遼太(OGUNI/65.0kg)
勝者:畠山隼人 /. 判定3-0 / 主審:神谷友和
副審:中山30-29. 竹村30-29. 宮本29-28

◆バンタム級3回戦

NJKFバンタム級7位.淳士(OGUNI/53.1 kg)
   VS
同級10位.古村匡平(立川KBA/53.1kg)
勝者:古村匡平 / KO 2R 2:01 / カウント中のタオル投入
主審:君塚明

◆フライ級3回戦

J-NETWORKスーパーフライ級9位.松岡宏宜(闘神塾/50.4kg)
   VS
NJKFフライ級6位.一航(新興ムエタイ/50.65kg)
勝者:一航 / TKO 2R 2:49 / カウント中のレフェリーストップ
主審:中山宏美

◆スーパーライト級3回戦

野津良太(E.S.G/63.3kg)vs木村弘志(OGUNI/63.25kg)
勝者:野津良太 / TKO 2R 2:16 / カウント中のレフェリーストップ
主審:神谷友和

蹴りの威力は伊藤紗弥が完全に優っていった
ラウンド進むごとに自信を増して攻め続けた伊藤紗弥

《取材戦記》

「CLIMAX 2017 日タイ超人対決、実現!」は今興行のタイトル。超人とは言い難いところ、テーパブットのヒジ打ちの脅威は見せ付けてくれたメインイベントでした。

伊藤紗弥はミニフライ級で、8月にWMCとこの日WBCムエタイの世界2団体を制し、残りはWPMFだけになりました。アトム級と言われる102ポンド(-46.266kg)は元々主要3団体世界王座には無い階級(ローカルタイトルは地域によって在り)なので、このミニフライ級が今後の適正階級となるでしょう。

二つ目の世界獲得、まだ18歳、日本女子のトップを行く笑顔が可愛い伊藤紗弥

ヨーッジン(Yord・Ying)は、ローマ字表記をそのまま読めば“ヨーディング”と呼んでも仕方ないところ、この選手を招聘した主催者がどう読むかで発表される表記になってしまう場合が多いでしょう。なるべくなら発音を聞いて英語表記を比べて見る方が正確になると思います。特にタイ人氏名は、なるべくならタイ語が読めると完璧。発音を聞かなくてもタイ文字だけで読めます。あとは日本語では末子音が無いと不自然な言葉になってしまうので、末子音を加えると“ヨードジング”となってしまいますが、これもタイ語的には正確とは言えない発音になってしまいますので、末子音を省いて“ヨーッジン”になります。このYはJ発音になる場合があるので、“ヨードイング”ではなく“ヨードジング”になります。“日本”をタイ語で“yiipun”と言いますが、“イープン”ではなく、“ジープン”と呼びます。タイ東北部やラオスに行くと“イープン”と呼びます。

この日のリングアナウンサー、コンタキンテ(今田景一)さんが“ヨージン”と呼びましたが、発音はともかく、正確なコールをするよう、ある専門家から教示があったと思われます。

WPMF世界ピン級暫定王座獲得時は“パヤックジン・シットモエサヤーム”になっていますが、リングネームなので、時折“ヨーッジン・シットナムカブアン”で出場もあるようです。

この日、他の興行でも全く別の国内タイトルマッチがあったと思いますが、それぞれが関係者と友人集めてやっているような興行で、来年以降、どう改善していくか、それぞれの団体が考えていかねばならない時代に突入していくでしょう。「KNOCK OUTイベントに世間の注目が集まるだけではいけない」と対抗策を考える既存の団体関係者も多いようです。

NJKFの年内最後の興行は12月3日(日)、岡山で拳之会主催興行が行なわれます。
2018年初回興行は、1月14日(日)誠至会興行が大阪市旭区民センターで行なわれ、2月25日(日)にはNJKF本興行が後楽園ホールで開催となります。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

KICK Insist7 強かった石川直樹は世界まで勝ちあがれるか!

幸太vs 石川直樹。石川の猛攻でスタミナ、バランス失い崩れる幸太
離れても組んでもヒザ蹴りで圧倒した石川直樹

5月14日のノンタイトル戦で幸太のパンチで苦戦し、調子付かせてしまった石川直樹は、今度は首相撲からヒザ蹴り地獄でねじ伏せる圧勝。

第1ラウンドは幸太のパンチが優勢。このまま引きずれば幸太のリズムで勝利を導きそうな中、第3ラウンドから石川は戦法を変え、得意の首相撲からヒザ蹴りにもっていくと流れが大きく変わり石川が優位に立つ。第4ラウンドはそのピッチを上げ、ヒザ蹴りの猛攻で2度のダウンを奪って圧倒のノックアウト。首を掴まれてのヒザ蹴りに為す術が無かった幸太はランキング戦から出直しとなる。

瀧澤博人は王座陥落後、この日の再起2戦目は引分けるも、技を酷使した好ファイトを展開。初回から長身を利した左ジャブと前蹴りけん制し、距離が縮まっても突き上げるようなヒザ蹴りを背の低いウィラポンレックの顔面を狙う。パンチ中心に多彩な蹴りとスピードを持つウィラポンレックとの距離の掴み合いでクリーンヒットは少ないが技の攻防が随所で観られた試合。

NJKFからやって来たNAOKIは7月2日にNJKFライト級王座奪取したばかりで、過去、梅野源治と引分けているヨーペットと対戦も攻略できず完敗。技の柔軟さ、蹴るタイミング、組めばヨーペットのバランスの良さでヒザ蹴りへの繋ぎも速いヨーペットが優りました。

◎KICK Insist.7 / 2017年11月19日ディファ有明15:30~20:05
主催:ビクトリージム / 認定:新日本キックボクシング協会

◆メインイベント 日本フライ級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.石川直樹(治政館/50.6kg)vs 挑戦者1位.幸太(ビクトリー/50.8kg)
勝者:石川直樹 / KO 4R 2:28 / 10カウント / 主審:仲俊光

石川直樹初防衛。治政館ジム長江国政会長(左)と新日本キック伊原信一代表に囲まれての勝利のショット

◆56.0kg契約3回戦

瀧澤博人(元・日本バンタム級C/ビクトリー/56.0kg)
   vs
ウィラポンレック・ギャットゴーンプン(元・タイ北部フライフ級C/タイ/54.8kg)
引分け / 0-1 / 主審:椎名利一
副審:桜井29-30. 仲29-29. 宮沢29-29

瀧澤博人vsウィラポンレック。至近距離からのヒザ蹴りが上手かった瀧澤博人、技が冴える試合が続く
引分けながらツーショットに収まるウィラポンレックと瀧澤博人

◆62.5kg契約3回戦

NJKFライト級チャンピオン.NAOKI(立川KBA/62.5kg)
   vs
ヨーペット・JSK(タイ/62.0kg)
勝者:ヨーペット・JSK / 判定0-3 / 主審:和田良覚
副審:椎名27-30. 仲29-30. 宮沢27-30

NAOKIvsヨーペット。ヨーペットのバランスいいハイキック

◆63.0kg契約3回戦

日本ライト級1位.永澤サムエル聖光(ビクトリー/63.0kg)
   vs
夢センチャイジム(センチャイ/62.8kg)
勝者:永澤サムエル聖光 / 判定2-0 / 主審:桜井一秀
副審:椎名29-29. 仲30-29. 和田30-29

永澤サムエル聖光が僅差ながら夢センチャイジムに勝利

◆68.5kg契約3回戦

日本ウェルター級1位.政斗(治政館/68.2kg)
   vs
ピラポン・ギャットアノン(タイ/67.0kg)
勝者:政斗 / 判定3-0 / 主審:宮沢誠
副審:椎名30-29. 桜井29-28. 仲30-29

政斗がピラポンに判定勝利

◆ミドル級3回戦

日本ミドル級1位.今野顕彰(市原/72.1kg)
   vs
J-NETWORKミドル級10位.小原俊之(キングムエ/72.2kg)
勝者:小原俊之 / TKO 3R 2:51 / ハイキック / 主審:和田良覚

小原俊之が今野顕彰をハイキックで倒しTKO勝利
NJKFからやって来た村中克至、ハイキックでダウン奪って直闘に判定勝利
馬渡亮太がベテランの阿部泰彦に僅差の判定勝利

◆61.5kg契約3回戦

日本ライト級2位.直闘(治政館/61.35kg)
   vs
NJKFライト級2位.村中克至(ブリザード/61.0kg)
勝者:村中克至 / 判定0-3 / 主審:桜井一秀
副審:仲28-29. 宮沢28-29. 和田28-29

◆55.0kg契約3回戦

日本バンタム級2位.阿部泰彦(JMN/54.8kg)
   vs
日本バンタム級4位.馬渡亮太(治政館/54.8kg)
勝者:馬渡亮太 / 判定0-2 / 主審:椎名利一
副審:仲29-30. 和田29-30. 桜井29-29

◆フェザー級3回戦

日本フェザー級7位.櫓木淳平(ビクトリー/56.8kg)
   vs
角チョンボン(CRAZY WOLF/56.3kg)
勝者:角チョンボン / 判定0-3 / 主審:宮沢誠
副審:椎名28-29. 和田29-30. 桜井29-30

◆55.0kg契約3回戦

日本バンタム級5位.田中亮平(市原/54.6kg)
   vs
高橋茂章(KIX/54.8 kg)
勝者:田中亮平 / 判定3-0 / 主審:仲俊光
副審:和田30-28. 宮沢30-28. 桜井30-28

角チョンボン、判定勝利(左)。田中亮平、判定勝利(右)

◆フェザー級3回戦

金子大樹(ビクトリー/57.0kg)vs 渡辺航巳(JMN/57.0kg)
勝者:渡辺航巳 / TKO 2R終了 / 金子の負傷による棄権
主審:椎名利一

◆フライ級3回戦

細田昇吾(ビクトリー/50.6kg)vs 平野翼(烈拳會/50.1kg)
勝者:細田昇吾 / TKO 2R 2:20 / 主審:仲俊光

渡辺航巳、TKO勝利(左)。細田昇吾、TKO勝利(右)

◆ミドル級2回戦

徳王(伊原/72.4kg)vs 都築頼秋(ダイケンスリーツリー/71.6kg)
勝者:都築頼秋 / 判定0-3 (18-20. 19-20. 19-20)

◆61.5kg契約2回戦

林瑞紀(治政館/61.5kg)vs 梅木裕介(トーエル/61.1kg)
勝者:林瑞紀 / 判定3-0 (20-18. 20-18. 20-18)

◆70.0kg契約2回戦

高橋デミアン(伊原/69.8kg)vs RYOTA(トーエル/69.9 kg)
引分け 0-1 (19-20. 19-19. 19-19)

《取材戦記》

最終試合の石川直樹の首相撲からガッチリ固めてのヒザ蹴り猛攻は、“ヒザ蹴り地獄”と言えるものでした。昨年10月23日、泰史をTKOに破り日本フライ級チャンピオンになった後、今年1月11日、ブンピタックにムエタイ技の壁に阻まれ完敗。5月14日には幸太と引分け、今回は真価を問われる初防衛戦を、メインイベントを飾るに相応しい圧倒のノックアウトとなって株を上げた石川直樹、まだ初防衛したばかりで、遠慮がちなマイクアピールの中、「防衛を重ねて世界を目指したい」と語りました。目指す“世界”もいろいろある訳で、険しい道となろうとも群集が認める最高峰を目指していって欲しいものです。

新日本キックボクシング協会にとっては最後のディファ有明となった今回の興行。老朽化もあるようですが、東京オリンピックの拡張工事に備え、来年6月末で閉鎖が決定しています。最終興行が何であるか分かりませんが、格闘技興行でなくても最後のイベントでディファ有明の最後を見届けたいものです。

リング上の勝者のクローズアップ撮影は主に、次回興行のポスター、パンフレットの対戦カード、各媒体での対戦者同士の並び写真等に使用する目的で撮られるもので、また単に勝者がデータ上で分かるように撮る場合もあるでしょう。せっかくファイティングポーズを撮ったのに、使わないのも勿体無いので選手の存在を活かし、勝者ポーズを載せられる範囲で用意してみました。微力ながら顔が売れてくれればと思います。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

タブーなき『紙の爆弾』12月号 安倍政権「終わりの始まり」
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

シーザー武志さんと11・22 SHOOT BOXING BATTLE SUMMIT-GROUND ZERO

笑顔が優しく、人気あるシーザー武志さん
熱く語るシーザー武志さん

今、キックボクサーの昔話が面白い。マニアだけでなく、聴けば試合や時代背景などの語り口に、はまってしまう人多いでしょう。

格闘技専門誌の名門、月刊ゴング誌編集長だった舟木昭太郎さんが毎度、名選手を招いて行なわれる「トークとオークションの午後Part.11」が10月28日に銀座で、シーザー武志さんをお招きして開催、「シーザー武志の日2」として昨年に続く2回目の登場となりました。

お話は主にキックボクシングデビューの頃のエピソード、佐山聡氏との出会い、息子さんの王座獲得やRENA、MIOの活躍など、時代の背景とともに懐かしい話題で盛り上がりました。

MIOも活躍中、期待を掛けるシーザー武志さんとツーショット
多くを語ったシーザー武志さん、左は主催者・舟木昭太郎さん

◆デビュー戦から舟木さんの目に止まる存在!

シーザー武志さんは本名・村田友文、1955年(昭和30年)生まれ、1972年(昭和47年)に大阪西尾ジムからキックボクシングデビュー。1982年3月には日本ウェルター級王座獲得。

デビュー当時はまだ17歳、そのデビュー戦は敗れるも、好ファイトを展開したことで、この日の司会者の舟木さんは、
「コーナーに追い詰められる窮地にさらされても頑張っていて、それが凄い印象に残って小さなコラムに書いたんですよ。」と語ります。

シーザーさんは「その何行か書いて頂いたことが凄く嬉しくて、その載ったゴング誌を20冊ぐらい買って家族や親戚に配ったことが思い出されます。ずっと諦めない気持ちでやって来ました。90戦あまり試合して、引分けが30戦ぐらいあるんですけど、私がいちばん引分けが多いんじゃないかな」とあまり知られぬエピソードも語り、当時を振り返りました。

1983年当時のシーザー武志さん、この頃からシュートボクシングを興す思想が芽生える

舟木さんに、「顔が全然崩れていないね」と聞かれると、「痛けりゃすぐ倒れるから・・・、右からヒジ打ち食らって鼻が曲がって、左からヒザ蹴り食らって元に戻りました」と笑いを誘うジョークもありました。

シーザー武志さんのデビュー当時は活字の誌面としてのゴング誌は貴重で、ゴング誌に載ることが選手にとって憧れと誇りで、当時の選手は皆そんな想いを持っていただろうと思います。

キック創生期は浅草公会堂でキック興行をやっていた時期がありました。当初は舞台だけが屋根があり、客席は野外となり原っぱのような(土の地面)状態だったといいます。お客さんは少なくて、後にテレビ放映が始まってブームとなり、沢村忠のタイトルマッチでテレビ視聴率が35%以上いくと、権之介坂のガラス張りの目黒ジムは歩道いっぱいに人だかり。それに対し西尾ジムは目黒ジムのカマセ犬みたいな存在で、シーザー武志さんはそういう目黒の強い、有望な選手と当てられて負けが込むも、その中で辛抱してきた選手でした。そんな忍耐心がその後、シュートボクシングを始めても不振が続いても諦めない、継続力に繋がっていきました。

これは昨年の1枚より、ミッキー鈴木、アトム鈴木兄弟も当時目黒ジムで、ライバルながら指導を受け、「二人は私の師匠」と言うシーザー武志さん
盛り上がる会場でオークションを眺めるシーザー武志さん

◆佐山聡との出会い!

「力道山は尊敬するほど好きだったけど、後のプロレスはあまり見ませんでした。キックボクシングが下火になり、興行もほとんど無かった頃、佐山聡の知り合いから“UWFの試合を観に来てくれ”と誘われて観に行ったら佐山聡に会うことになり“シーザーさん、蹴りを教えてくれませんか?”と言われて、ちょうど暇だったので、タイガージムへ教えに行くようになりました。そこで、前田日明と山崎一夫と高田信彦に“練習いっしょにいいですか?”と言われて教え始めたのがUWFとお付き合いする切っ掛けでした。前田は以前、空手をやっていたので、その棒蹴りの癖はなかなか直らなかったですね。いちばん上達が早かったのは佐山聡で、彼のパワーは凄かったですね。以前にもキックをやっていた経験があるので、蹴り方を覚えていて、教えたことは更に上手く習得していきました。いちばんダメだったのが高田信彦で彼は蹴りはやったことなかったから。その代わり、彼の偉いのはみんな練習終わっても、ずーっと蹴りの練習していましたね。だから後々にはかなり上達しました」と裏話あり、そこでシーザー武志さんが教え始めたことで皆、蹴り技が上手くなっていきました。

その後、佐山聡氏が1984年にシューティング(現在の修斗)を創設し、その影響から翌年にシュートボクシングを設立に至り、興行を充実させ、シーザー武志氏も本来の実力を発揮、WSBAを設立し、日本と世界のホーク級チャンピオンに君臨しています。引退後は選手育成に力を注ぎ、緒方健一をはじめ、多くの名選手が生まれて来ました。

◆現在のスター!

今年の9月16日には息子さんである村田聖明(22歳)がキャリア16戦目で初のタイトル挑戦となるSB日本スーパーフェザー級(-60kg)王座決定戦に出場。池上孝二(フォースクワッド)に判定勝利で王座奪取しました。「本当は格闘技やらせたくなかったですけどね。“デビューしたからにはジムや会場などの協会管轄下では親子の関係ではないぞ”と告げました。たまにジム行くのがいっしょの時間になると、“いっしょに車で行くか“と言うと“僕はバスで行きます”と返されるとちょっと寂しい思いがする時があります」と親心の一面も見せ、チャンピオンになった時は「協会の会長として感情出しちゃいけないと我慢していたんですけど、“お父さん、お母さん、今日まで育ててくれてありがとうございました”と言われた時は、耐え切れなくて涙流してしまいました」と心中を語りました。

紆余曲折を経て、人脈多く周囲の人達に支えられて32年続いたシュートボクシングで、「感謝の気持ちを忘れず続けていきたい」と語りました。シュートボクシングは香港の支部も出来、12月にはMIOも出場する興行があるようです。

RENAは総合格闘技にも進出している現在。「幼い頃からお姉さんにいじめられて反発し、喧嘩ばかりしていたようで負けん気が強い。普通、男でも倒れた相手の顔なんて踏めないもんだけどRENAは平気で踏むからね。そんなRENAの後を追いかけるMIOも、また違った戦略で世界進出させたい」と語るシーザー武志氏でした。
そんなシュートボクシングのビッグイベントが来週行なわれます。

「SHOOT BOXING BATTLE SUMMIT-GROUND ZERO TOKYO 2017」2017年11月22日(水)東京ドームシティホール17:30~

「SHOOT BOXING BATTLE SUMMIT-GROUND ZERO TOKYO 2017」
2017年11月22日(水)東京ドームシティホール17:30~

SB&RISEヘビー級チャンピオン.清水賢吾(極真会館)
vs
元・パンクラス・ウェルター級チャンピオン.三浦広光(SAMURAI SWORD)

4人の選手参加によるSB日本スーパーライト級(-65kg)王座決定トーナメントでは、海人(TEAM F.O.D)vs憂也(魁塾)、健太(E.S.G)vs高橋幸光(はまっこムエタイ)がそれぞれ準決勝戦で、ワンデートーナメントによる決勝戦が行なわれます。

深田一樹(龍生塾ファントム道場)vs笠原弘希(シーザー)戦、MIO(シーザー)vs ペッディージャー(タイ)戦、他にシーザー武志さんの息子さん村田聖明(シーザー)も出場決定しています。

《取材戦記》

シーザー武志さんがデビューした1972年(昭和47年)頃は創生期から少し時代が流れた頃で、稲毛忠治、松本聖、田畑隆など次の時代のスターが多くデビューした頃でした。

トークショーは限られた時間で一部のエピソードを拾ったもので、物足りなさは感じるところがイベントとして丁度良く、こういう昔話を掘り起こして、他の昭和の名選手からも深イイ話を生の声で聴けることを、今後のトークショーに期待したいところです。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

地方から東京へ! 西日本有数の大型イベント岡山興行シリーズ

リティグライ(右)のミドルキックは読み辛い上手さがあった © 岡山ジム

過去3回、岡山ジム興行は、首都圏イベントに負けないビッグマッチを続けました。2014年9月28日、倉敷山陽ハイツ体育館で第1回興行が行われ、タイ国ラジャダムナンスタジアム認定ウェルター級タイトルマッチを開催、外国人チャンピオン、ジョイシー・イングラムジム(ブラジル)にWPMF日本ウェルター級チャンピオン.田中秀弥(RIKIX)が挑むも判定で敗れ去りました。

2015年9月20日、第2回興行では、WPMFダブル世界タイトルマッチを行ない、スーパーフェザー級で町田光(橋本)が、ミドル級でT-98(=今村卓也/クロスポイント吉祥寺)が、WPMF世界王座奪取に成功。

2016年10月9日、第3回興行では、WPMF三大世界タイトルマッチという豪華版となって町田光(橋本)と宮元啓介(橋本)が激闘を勝ち抜き、町田は初防衛成功、宮元はWPMF世界スーパーバンタム級王座を奪取しました《翔センチャイジム(センチャイ)はWPMF世界ライト級王座奪取成らず》。

そして本年10月15日の第4回興行、メインクラスでは岩浪悠弥(橋本)と地元の女子トップファイター、白築杏奈(138 KICKBOXING CLUB)がWPMF世界王座挑戦に至り、タイ国二大殿堂のひとつ、ルンピニースタジアム王座に、勝ち上がるのは難問ながら、そのルートが敷かれるルンピニージャパン2階級王座決定戦、その他アンダーカードでは、天才児と名高い2名の安本晴翔(橋本)と中村龍登(橋本)が出場しました。

リティグライ(左)が得意のミドルキックで岩浪悠弥を攻める © 岡山ジム

前日計量は岡山・水島ジムで行われ、プロフェッショナルの部、全員が一回目の計量でパスしています。

タイから、タイ国プロムエタイ協会副総裁、WPMF副会長のブンソン・クッドマニー陸軍大佐が立会人として招聘されてのビッグイベント。ブンソン大佐はタイ国のムエタイ競技ルール、レフェリーの最高権威の方です。

◆リティグライvs岩浪悠弥

岩浪のハイキックがヒットする場面もありつつ、リティグライのタイミングいいミドルキックのヒットが主導権を支配し、完封に近い流れでフライ級に続き2階級を制覇。

◆ノーンビウvs白築杏奈

ノーンビウは初の海外試合で15歳という若さのせいか本来の動きに持っていけず、白築のムエタイ対策と闘志が上回った展開でした。白築が王座奪取。試合後、控室でノーンビウは会長である父親に思いっきり引っ叩かれており、ムエタイ特有の厳しさが現れていたようでした。ノーンビウ陣営は強く再戦を望んでいる様子でした。

白築杏奈vsノーンビウ。白築(左)の積極的な試合運びが勝利を掴む © 岡山ジム

◆翔貴vs田中将士

首相撲からパンチの激しい打ち合いの後、翔貴の強烈な右ハイキックで田中将士は頭から崩れ落ち立ち上がれず。翔貴が王座獲得。

翔貴vs田中将士。翔貴(右)が右ミドルキックで攻め、次の技へリズムを掴む © 岡山ジム

◆喜入衆vs橋本悟

第2ラウンドに橋本の右ストレートで喜入がダウン。その後、激しい打ち合いを展開しながら僅差のラウンドを支配した喜入が2-1の勝利となりました。喜入衆が王座獲得。

橋本悟vs喜入衆。僅差で勝利した喜入衆(右)、内容は激しいものだった © 岡山ジム
安本晴翔vsラムブーンチャイ。評価が高かった安本(左)の攻勢 © 岡山ジム
安本晴翔vsラムブーンチャイ。安本が勝利を掴む © 岡山ジム

◆ラムブーンチャイvs安本晴翔

ラムブーンチャイに優れたムエタイ技はあるものの、日本では評価され難い展開で、安本はパンチとローキックを何度もヒットさせるインパクトで勝機を導きました。タイ陣営は、安本の将来性を高く評価していたようです。

◆ペットコークセーンvs中村龍登

本来、パンチの強いペットコークセーンは、あまり打ち合いに行かず、速い蹴りとヒザ蹴りの上手さなどのムエタイ技で中村をいなし堅く勝利を掴みました。

◎第4回岡山ジム主催興行 / 10月15日(日)倉敷山陽ハイツ体育館11:00~
主催:岡山ジム / 認定:JAPAN KICKBOXING INNOVATION、WPMFタイ国本部
放映:11月中に倉敷ケーブルテレビにて放映予定

◆メインイベント WPMF世界スーパーフライ級王座決定戦 5回戦

リティグライ・ゲオサムリット(元・WPMF世界フライ級C/タイ/51.4kg)
     VS
挑戦者WBCムエタイ日本フライ級チャンピオン.岩浪悠弥(橋本/52.0kg)
勝者:リティグライ・ゲオサムリット / 判定3-0 (49-47. 49-48. 49-47)

マイクで師匠に感謝をアピールする白築杏奈 © 岡山ジム
中村龍登vsペットコークセーン。前蹴りで距離を取る中村(左)、自分の距離を保つのは難しかった © 岡山ジム

◆WPMF女子世界フライ級タイトルマッチ 5回戦(2分制)

チャンピオン.ノーンビウ・シットヨードシアン(タイ/50.8kg)
     VS
挑戦者.白築杏奈(NJKF女子ライトフライ級C/138 KICKBOXING CLUB/50.7kg)
勝者:白築杏奈 / 判定0-2 (49-49. 47-49. 48-49)

◆ルンピニージャパン・フェザー級王座決定戦 5回戦

1位.翔貴(岡山・水島/57.15kg)vs5位.田中将士(上州松井/56.85kg)
勝者:翔貴 / KO 1R 1:36

◆ルンピニージャパン・ウェルター級王座決定戦 5回戦

1位.喜入衆(MuayThaiOpenウェルター級C/フォルティス渋谷/66.55kg)
     VS
橋本悟(MuayThaiOpenスーパーライト級C/橋本/66.25kg)
勝者:喜入衆 / 判定2-1 (48-47. 48-50. 48-47)

◆バンタム級3回戦

ラムブーンチャイ・ゲオサムリット(タイ/53.15kg)
     VS
安本晴翔(橋本/53.52kg)
勝者:安本晴翔 / 判定0-3 (28-30. 29-30. 29-30)

◆スーパーバンタム級3回戦

ペットコークセーン・ゲオサムリット(タイ/55.0kg)
     VS
中村龍登(橋本/55.15kg)
勝者:ペットコークセーン / 判定3-0 (29-28. 30-29. 30-28)

中村龍登vsペットコークセーン。ペットコークセーン(右)が巧みな攻めで優位に立つ © 岡山ジム
立会人となったブンソン陸軍大佐の認定宣言 © 岡山ジム

◆67.0kg契約3回戦

ジン・シジュン(韓国/67.0kg)
     VS
タップロン・ハーデスワークアウト(タイ/66.6kg)
勝者:ジン・シジュン / 判定2-0 (29-29. 29-28. 30-29)

他、プロ9試合は割愛します。

プロの部の前にはアマチュア大会「SMASHERS」中国地区大会7試合が開催されています。

《取材戦記》

取材に行っていないので、情報を頂いての単なる感想になりますが、地方で行なわれるビッグイベントに、本場タイ国からブンソン・クッドマニー陸軍大佐が立会人として来日されたことは価値ある存在でしょう。こういう立会人は、実は世界戦などの重要なタイトルマッチのシンボルとなるものです。止むを得ず代理人となる場合もありますが、名のある組織管轄下でのタイトルマッチには欠かせない存在でしょう。

今回はタイから招聘された選手4名(この日の試合の為の短期来日タイ選手)は全員勝利を狙っていましたが、日本側のレベルアップもあり、侮れない存在になっていることも事実である日本側の実力です。

回を重ねる毎にイベントの成長も伺えるようで、来年は何が起こるか、地方から首都圏への挑戦が更に強まるでしょう。

※このイベントは岡山ジム広報担当・大島健太氏から頂いた情報と画像、“来日タイ側陣営”から頂いた情報と画像を引用、使用しています。画像の著作権はすべて岡山ジムとなります。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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本物だけが生き残る ── スターを揃える新日本キックボクシングの今後

「どんな技でも、どんな相手でも倒せる試合を見せる」と宣言する江幡塁。いつもアグレッシブな展開を見せる江幡ツインズは、パンチや蹴りが強いだけでなく、ブロックし難いタイミングで打つフェイントとスピードが勝機に結び付けています。

江幡塁vsペットサミン(3R)。江幡塁の強い左ハイキックが炸裂
江幡塁vsペットサミン(5R)。ブロックし難いスピードとタイミングで江幡塁の右ハイキックが炸裂

ペットサミンは強打者という情報で、初回から打ち合いにくる可能性があったところ、互いが警戒し、すぐのパンチの距離にはならなかった両者。ローキック、ハイキック、左フックを時折強く繰り出す江幡塁、これらがどんな技でも倒せるという技のひとつであり、あとはタイミング次第で倒せそうな威力は充分。4ラウンドに入ってペットサミンが左ストレートで前進、被弾した江幡塁はやや後退はあったものの立て直しは速く、ラストラウンドはハイキックできたペットサミンをかわして左フックのフルスイングがクリーンヒットしてペットサミンを沈め、ほぼノーカウントでレフェリーがストップするノックアウトでWKBA世界スーパーバンタム級王座2度目の防衛成功。

江幡塁vsペットサミン(5R)。KOとなった江幡塁の強烈な左フック
江幡塁vsペットサミン(5R)。KOの左フックをフルスイング

石原將伍vs高橋亨汰戦は、序盤で高橋の前蹴りが石原のアゴを捉え仰け反らせる攻勢はあったが、しだいに石原のパンチの攻勢が強まる。第2ラウンド終了に近づく中、石原の右ストレートがクリーンヒットし、高橋がダウン。第3ラウンドに入っても石原の攻勢が続き、パンチで3度のダウンを奪ってKO勝利。石原將伍は第10代日本フェザー級チャンピオンとなる。

高橋亨汰vs石原將伍(3R)。2度目のダウンに繋がった石原將伍の右ストレート

緑川創vsポーンパノム戦は、緑川がローキック主体に出方を窺い、徐々に圧力を強める。ボディブローも強烈にローキックも続け、第3ラウンドには一発蹴った右ローキックでポーンパノムは崩れ苦痛の表情で立ち上がれず。緑川は8月の「KNOCK OUT」興行での宮越宗一郎(拳粋会)に判定で敗れて以来の再起戦を勝利で飾る。

緑川創vsポーンパノム。緑川創の重い左ボディブローがヒット

重森陽太vs森下翔陸戦は、第1ラウンドに重森が左ミドルキックでボディに炸裂させ、ダウンを奪う。重森は、しなる蹴りがいつもより少ない印象。決定打が欠いたまま判定へもつれ込むも2点差を開く安定勝利。

森下翔陸vs重森陽太。重森のしなるハイキックが脅威となる

HIROYUKIvs地花デビッド戦は、中盤までHIROYUKIが蹴り中心に主導権を握った展開から第4ラウンドに知花がボディブローでHIROYUKIからダウンを奪う。続行後も立て直せず劣勢の中、左ヒジ打ちを貰ってダウン。立ち上がるも10カウントを許してしまう。たまにやってしまうHIROYUKIの失態、今後に課題が残る一戦。

HIROYUKIにボディブローでダウンを奪った知花デビッド

喜多村誠vsペッダム戦は、喜多村の蹴りのスピードが優り、第3ラウンドに左右フックからアッパーが強烈に入ったあとの追撃連打でペッダムを倒す。

ペッダムvs喜多村誠。重量級パワーで圧勝した喜多村誠のハイキック

内田雅之vs春樹戦は、春樹が2.37kgオーバーで2点減点の制裁を受ける。しかし試合は第1ラウンド途中に偶然のバッティングで内田が試合続行不可能となり、負傷判定が採用され、互角の展開ながら春樹の減点があり、ジャッジ三者とも10-8で内田雅之の負傷判定勝利となる。

泰史vsスターボーン戦は、先月に続き、泰史が積極果敢に攻める攻勢で左ボディブローで仕留める圧勝。日本フライ級王座奪還目指し、ひたすら攻め続ける勢いが好印象を持たれます。

◎MAGNUM.45 / 2017年10月22日(日)後楽園ホール17:00~20:55
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会

高橋亨汰vs石原將伍(2R)。最初のダウンを奪った石原將伍の右ストレート
石原將伍の表彰時、八木沼会長も涙を見せた。

◆メインイベント WKBA世界スーパーバンタム級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.江幡塁(伊原/55.34kg)
VS
挑戦者5位.ペットサミン・サックピンヨー(タイ/54.6kg)
勝者:江幡塁 / TKO 5R 0:47 / 主審:仲俊光

◆日本フェザー級王座決定戦 5回戦

1位.石原將伍(ビクトリー/57.15kg)vs2位.高橋亨汰(伊原/57.15kg)
勝者:石原將伍 / KO 3R 2:59 / 3ノックダウン / 主審:椎名利一

ポーンパノムvs緑川創。緑川の右ストレートがヒット
ポーンパノムvs緑川創。フィニッシュとなった右ローキック、ダメージがあった上での決定打となりました
ポーンパノムvs緑川創。崩れ落ちたポーンパノム苦痛に歪む表情

◆70.0kg契約 5回戦

緑川創(前・日本ウェルター級C/藤本/70.0kg)
      VS
ポーンパノム・ペットプームムエタイ(タイ/69.1kg)
勝者:緑川創 / KO 3R 1:29 / 10カウント / 主審:桜井一秀

◆59.0kg契約3回戦

重森陽太(前・日本フェザー級C/伊原稲城/58.8kg)
VS
森下翔陸(TOP RUN-55kg級C/CRAZY WOLF/58.0kg)
勝者:重森陽太 / 判定3-0 / 主審:宮沢誠
副審:椎名30-28. 仲30-27. 桜井29-27

◆55.0kg契約 5回戦

日本バンタム級チャンピオン.HIROYUKI(=茂木宏幸/藤本/55.0kg)
       VS
WMC日本バンタム級チャンピオン.知花デビット(エイワスポーツ/54.9kg)
勝者:知花デビット / KO 4R 3:00 / 10カウント / 主審:椎名利一

◆70.0kg契約3回戦

喜多村誠(前・日本ミドル級C/伊原新潟/69.6kg)
      VS
ペッダム・トー・パラーン32(タイ/67.7kg)
勝者:喜多村誠 / KO 3R 1:31 / カウント中のタオル投入による棄権
主審:桜井一秀

◆ライト級3回戦

内田雅之(元・日本フェザー級C/藤本/60.9kg)
    VS
日本ライト級3位.春樹(横須賀太賀/63.8→63.6kg=減点2)

勝者:内田雅之/ 負傷判定3-0 / TD 1R 1:35 / 偶然のバッティングによる内田の負傷/
主審:宮沢誠
副審:椎名、桜井、仲、三者とも10-8

◆51.5kg契約3回戦

泰史(前・日本フライ級C/伊原/51.5kg)
     VS
スターボーン・トー・シリトゥーム(タイ/51.15kg)
勝者:泰史 / KO 1R 1:03 / 10カウント / 主審:仲俊光

他、前座4試合は割愛します。

《取材戦記》

内田雅之vs春樹戦は、試合が前半を超えない第1ラウンド途中での負傷ストップ。プロボクシングでは“負傷引分け”となりますが、キックボクシングでは曖昧な裁定が多く、安易に無効試合になるよりはいい裁定となりました。内田は勝者コールは受けざるを得ないですが、納得いかない結末に早々にリングを降りて行きました。

HIROYUKIは好不調の並が大きく、今回はバンタム級超えの契約ウェイトで収まっており、王座剥奪はありませんが、ボディブローで崩れ落ちるのは残念な姿でした。逆に知花デビッドの強さが光った一戦となりました。

江幡塁はこの日の防衛戦をKOで2度目の防衛成功。12月10日の「KNOCK OUT」出場へ繋ぎ、新日本キックからは、勝次(藤本)と重森陽太(伊原稲城)とともに出場。江幡塁は宮元啓介(橋本)と対戦となり、日本国内に於いての本当の立ち位置が見えてくる試合となり、ファンの期待と評価は高まります。

今日の喜多村誠も勝利後、12月10日はまず藤本ジム興行出場希望をアピールしつつ、「KNOCK OUT」出場を意識する発言、「行く行くは自分も出たいと思っています」ともマイクアピールしています。

石原將伍が新チャンピオン誕生となり、新たなエース格スター候補生誕生。今後も「KNOCK OUT」イベント等に出場の機会が増えれば期待の戦力となります。

「KNOCK OUT」出場のいずれの選手も勝利を掴んで、新日本キックの王道をアピールしたいところでしょう。選手個人の目標は違うところにあるかもしれませんが、貴重な経験を経てホームリングに戻って来て欲しいところです。

新日本キックボクシング協会興行は、11月19日(日)にディファ有明に於いて、「Kick Insist.7」が開催、12月10日(日)に後楽園ホールに於いて、「SOUL IN THE RING.15」が開催されます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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DUEL.12 キック界次世代超スター、挑戦者たちの宣戦布告!

波賀宙也 vs ジョム・エスジム。波賀は技を駆使して攻めるが、ブロックや的を外すジョムの巧みさがムエタイの壁となる
波賀宙也 vs ジョム・エスジム。波賀にとって苦しい再起戦、ムエタイの壁となったジョム

選手だけでなく、若武者会プロモーターたちの宣戦布告であるかもしれない先月3日に続くDUEL興行。過去より比較的短い間隔、ディファ有明での開催も、ついに主要会場クラスに進出となりました。

◆波賀宙也 vs ジョム・エスジム

6月25日にWBCムエタイ日本スーパーバンタム級王座を失ったばかりの波賀は再起戦となる一戦。初回のローキックでのけん制から次第に距離が詰まっていく両者。組んでのヒザ蹴りも多くなり、互いの攻防はミドルキックやハイキックも繰り出し激しくなっていくが、波賀はジョムの距離に付き合ってしまっている印象。猛攻を掛けても芯を捕らえさせないジョムの上手さが目立った試合。

◆櫻井健 vs コンゲンチャイ

櫻井の蹴りにもパンチにも応戦するコンゲンチャイ。両者パワフルな攻防となるが、テクニックで優るコンゲンチャイが蹴られても蹴り返し、好戦的に前に出る。当初から5回戦と決められていたが、プログラムには3回戦とあり、3ラウンド終了時で「これは5回戦です」というアナウンスで戸惑う観衆。ただ選手と陣営は次のラウンドに入る素振りがあったので、当初から5回戦だったと感じる動きではありました。

後半は勝ちを確信した逃げかスタミナ温存か、ロープに詰まるように下がり始めるコンゲンチャイ。スタミナ充分な櫻井が圧力掛けるが、それでもコンゲンチャイは蹴りは強くムエタイ技を見せ劣勢に至らないコンゲンチャイが判定勝利。

エスジム所属のタイ選手のテクニックに翻弄されたメインクラスの波賀宙也と櫻井健でしたが、いずれも採点は2-1の接戦で、しかしこの差が大きく、これを乗り越えていかねばならない本場ムエタイへの通過点でもあります。

櫻井健 vs コンゲンチャイ・エスジム。重いローキックのコンゲンチャイ
櫻井健 vs コンゲンチャイ・エスジム。櫻井健も耐えて善戦するが、コンゲンチャイも怯まないで蹴り返して来る
バチ捌きは見事な連係、12分を戦い抜いた雄勝町伊達の黒船保存会の4名
ラウンドガール晴奈さん。リングも舞台も真剣勝負

KO決着は第1試合と第2試合のみ。パフォーマンスで目立ったのは毎度の鰤鰤左衛門。
鰤鰤は接戦の試合が多く負けの数も多いようですが、この日も接戦ながら勝利となりました。変則的な雰囲気を醸し出しながらしっかりとパンチと蹴りを持つ攻防でした。

アトラクションとして雄勝町伊達の黒船太鼓保存会による創作和太鼓の披露は、汗びっしょりになって太鼓を12分に渡りリズムに乗ってバチで叩き続けた4名の連係捌きが見事で、試合以外でも盛り上がりある興行となりました。リング上での披露はいつもと違った臨場感だったでしょう。

毎度のラウンドガール登場はDUELで2代目となる晴奈さんが登場。舞台やテレビ、映画出演が多い女優さんです。

◎DUEL.12 / 2017年10月1日(日) ディファ有明14:00~18:55
主催:NJKF若武者会 / 認定:NJKF

◆メインイベント 56.5kg契約 5回戦

波賀宙也(立川KBA/56.5kg) vs ジョム・エスジム(タイ/56.52kg)
勝者:ジョム・エスジム / 判定1-2 / 主審 多賀谷敏朗
副審:白神48-49. 中山49-48. 竹村48-49

◆ライト級 5回戦

櫻井健(習志野/60.8kg)
vs
コンゲンチャイ・エスジム(元・ルンピニー系バンタム級3位/タイ/60.6kg)
勝者:コンゲンチャイ / 判定1-2 / 主審 宮本和俊
副審 多賀谷49-48. 中山48-49. 竹村47-50

◆ウェルター級3回戦

NJKFウェルター級5位.Jun Da雷音(E.S.G/68.7kg)
vs
NJKFスーパーウェルター級6位.変わり者(東京町田金子/69.8kg)
勝者:.Jun Da雷音 / 判定2-0 / 主審 白神昌志
副審 多賀谷29-29. 中山30-29. 宮本29-28

◆58.5kg契約3回戦

NJKFスーパーフェザー級3位.大輔(TRASH/58.35kg)
vs
山浦俊一(新興ムエタイ/58.5kg)
勝者:山浦俊一 / 判定0-3 / 主審 竹村光一
副審 白神28-29. 中山28-29. 宮本27-29

◆バンタム級3回戦

NJKFバンタム級6位.淳士(OGUNI/53.2kg)
vs
同級9位.鰤鰤左衛門(CORE/53.4kg)
勝者:鰤鰤左衛門 / 判定0-2 / 主審 多賀谷敏朗
副審 白神28-30. 竹村29-29. 宮本29-30

淳士 vs 鰤鰤左衛門。アグレッシブに攻めた鰤鰤左衛門
接戦ながら勝利した鰤鰤左衛門

◆57.0kg契約3回戦

NJKFスーパーバンタム級4位.雄一(TRASH/57.0kg)
vs
NJKFスーパーフェザー級9位.真沙希(VERTEX/56.9kg)
勝者:真沙希 / 判定1-2 / 主審 中山宏美
副審 白神30-29. 竹村29-30. 多賀谷29-30

◆NJKF女子(ミネルヴァ) 52.8kg契約3回戦(2分制)

同・スーパーフライ級チャンピオン.伊織(T-KIX/52.1kg)
vs
同・スーパーバンタム級1位.小田巻洋子(クレイン/52.7kg)
勝者:伊織 / 判定2-0 / 主審 宮本和俊
副審 中山30-29. 竹村29-29. 多賀谷30-29

◆女子ライトフライ級3回戦(2分制)

RINA(谷山・小田原/48.6kg) vs YUKINO(トースームエタイシン/48.8kg)
引分け / 三者三様 / 主審 白神昌志
副審 中山29-29, 宮本30-29. 多賀谷29-30

◆55.0kg契約3回戦

永井健太朗(Kick Box/54.9kg) vs 中尾興慧(TGY/54.9kg)
勝者:中尾興慧 / 判定0-3 / 主審 竹村光一
副審 中山28-30. 宮本28-30. 白神29-30

インパクト勝利2人目、松谷桐

◆55.0kg契約3回戦

海人(E.S.G/55.55→55.35kg) vs 古村匡平(立川KBA/54.7kg)
勝者:古村匡平 / 判定0-3 / 主審 多賀谷敏朗
副審 竹村27-30. 宮本25-30. 白神27-30
海人は350グラムのオーバーウェイトの為、減点1が加算された採点

◆57.0kg契約3回戦

小田武司(拳之会/56.9kg) vs 山浦翔(新興ムエタイ/56.7kg)
勝者:山浦翔 / 判定0-3 / 主審 中山宏美
副審 竹村28-30. 多賀谷28-30. 白神28-30

◆スーパーライト級3回戦

野津良太(E.S.G/63.4kg) vs 岩橋伸太郎(エス/63.0kg)
勝者:野津良太 / 判定3-0 / 主審 宮本和俊
副審 竹村30-28. 多賀谷30-29. 中山30-28

◆フェザー級3回戦

吉田凜汰郎(VERTEX/56.5kg) vs 佐々木裕亮(光/56.5kg)
勝者:吉田凜汰郎 / 判定3-0 / 主審 白神昌志
副審 宮本30-24. 多賀谷30-24. 中山30-23

◆第2 フライ級3回戦

EIJI(E.S.G/50.6kg) vs 松谷桐(VALLELY/50.2kg)
勝者:松谷桐 / TKO 2R 2:25 / ノーカウントのレフェリーストップ
主審 竹村光一

松谷桐 vs EIJI。KO勝利2人目の松谷桐、飛び膝蹴りでダウンを奪い、再開後パンチで仕留めました

◆第1試合 バンタム級3回戦

鈴木力也(ZERO/53.3kg) vs 北田竜汰(光/52.6kg)
勝者:鈴木力也 / KO 1R 1:30 / カウント中のタオル投入による棄権
主審 中山宏美

鈴木力也 vs 北田竜汰。鈴木力也がハイキックで一発KO勝利、このカットではありませんが、逆方向からこんな形で決まりました
ハイキックKOは15試合中いちばんインパクトあった第1試合の鈴木力也

《取材戦記》

NJKF本興行から準ずる形の若武者会主催の第12回目と力を付けているDUELでした。今回はメインイベンタークラス以外にも注目して掲載してみました。今後もパワーアップして行きそうな若手のプロモーター興行です。

全15試合は14時から始まり、約5時間のちょっと長い興行となりましたが、早めの開始で19時に終わる興行としては帰りが遅くならない有難さがありました。

ひとつ苦言するならば、試合中のラウンド数変更は、キックでは伝達不足による原因でアナウンス訂正が有りがちですが、契約事項の確認、伝達の徹底は怠ってはならないでしょう。コミッションが管理管轄するプロボクシングでは起こり得ないことです。

日本 vs タイ国際戦もタイ選手側の幅広いレベルの差がありますが、以前から申すとおり、日本選手の壁となる、第一線級を退いてもまだまだ強いムエタイ戦士は貴重な存在と思います。

NJKFに於いて波賀宙也は2月の「KNOCK OUT」で小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺)に敗れ、6月にWBCムエタイ日本王座を小笠原裕典(瑛作の兄)に奪われ、今回の敗戦で3連敗となる中、今年27歳、WBCムエタイに於いてはまだまだ上位を目指せる存在。今後の踏ん張りを応援したいところです。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

愚直に直球 タブーなし!『紙の爆弾』11月号!【特集】小池百合子で本当にいいのか
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』