3月後半開催のキックボクシング   4つの興行の見どころ! 堀田春樹

◆女子だけの試合 第3弾

戦績不振の選手は多い女子選手だが、選手層は厚くなってきた現在、女子だけの興行も成り立つ時代となりました。

昨年4月14日のGODDESS OF VICTORYⅡに於いてのミネルヴァ・スーパーフライ級王座決定戦で、上野hippo宣子に判定勝利しながら計量失格により王座奪還成らなかったNANAは、10月6日の新日本キックボクシング協会TITANS NEOS 35での同王座争奪4人制ワンデートーナメントに於いて、準決勝を3位.YURIKO SHOBUKAI(尚武会)に判定3-0勝利、決勝を5位.鈴木咲耶(チーム鈴桜)に判定3-0勝利し、遠回りしながら王座奪還。

そのNANAの今回の初防衛戦は上野hippo宣子との再戦。経験値からNANAの勝利は堅いところ、この一年間、上野がどんな研究をし、新たな戦略でいかに巻き返すか。

◎GODDESS OF VICTORY Ⅲ / 3月16日(日)GENスポーツパレス16:15~
主催:ミネルヴァ実行委員会 / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)

●第13試合 ミネルヴァ・スーパーフライ級タイトルマッチ 3回戦
 選手権者.NANA(エス)vs 挑戦者3位上野hippo宣子(ナックルズ)

●第12試合 ピン級(100LBS)ノンタイトル3回戦(2分制)
 ミネルヴァ・アトム級チャンピオン.Nao(AX) 
       vs
 WMC日本女子ピン級チャンピオン.MIREY(WSR・F三ノ輪) 

●第11試合 アトム級(102LBS)3回戦(2分制)
 ミネルヴァ・ピン級1位.祥子JSK(治政館)vs ミネルヴァ・アトム級3位.Marina (健心塾) 

●第10試合 ペーパー級(95LBS)3回戦(2分制)
 ミネルヴァ・ペーパー級2位.AIKO(AX)vs 沙緒里(ワイルドシーサー前橋関根)
●第9試合 スーパーフライ級3回戦(2分制)
 ミネルヴァ・スーパーフライ級5位.紗耶香(格闘技スタジオBLOOM) 
       vs
 同級7位.響子JSK(治政館)

●第8試合 ライトフライ級3回戦(2分制) 
 ミネルヴァライトフライ級7位.堀田優月(闘神塾)vs ラジーナ・ビスタ(エラワンムエタイ)

●第7試合 ペーパー級3回戦(2分制)
 ミネルヴァ・ペーパー級4位.Uver∞miyU(T-KIX)
        vs
 港町なぎさ(ワイルドシーサー前橋元総社)

●第6試合 55.0kg契約3回戦(2分制)
 ミネルヴァ・スーパーフライ級10位.松藤麻衣(クロスポイント吉祥寺) 
        vs
 妃芽奈(ワイルドシーサー高崎)

 他、プロノーランカー5試合、アマチュアEXPLOSION 5試合予定

昨年4月、NANA(左)は上野hippo宣子に判定勝利、今回の再戦で防衛成るか

※               ※               ※

◆コロナ禍以前の勢いに戻って来たムエタイオープン
 ルンピニージャパンタイトル始動

与那覇壱世は2019年12月1日に岩浪悠弥(橋本)に1ラウンドKO負けしてルンピニージャパン・バンタム級王座を失っているが、ノックダウンした際に反則蹴りを受けてダメージを引き摺っての敗戦でもあった。

その後のコロナ禍を経て、KNOCK OUT(RED)スーパーバンタム級王座奪取するなど飛躍を続けた壱世は、昨年11月10日、NJKFに於ける「JAPAN CUP 1st ROUND 55kg級8人制トーナメント初戦(準々決勝)」で、それまで散々挑発してきた嵐(KING)に冷静な試合運びで経験値を見せ付けた判定勝利。

12月30日の「K.O CLIMAX 2024」に於いてのワンデートーナメント準決勝では、前田大尊(マイウェイ)に延長判定で決勝進出したが、決勝戦では森岡悠樹(北流会君津)にノックダウンの応酬のKO負けで優勝は成らなかった。ワンデートーナメントは通常公式戦と違う異質なもので、休養を経て今回も好調な壱世として戻って来るだろう。

ルンピニージャパンタイトルもコロナ禍を経て復活。ジャパンタイトル戦にタイ選手起用という疑問符も残りますが、これもプロモーター主導の国境無きタイトルと認識していくべきところでしょう。

◎MuayThaiOpen.50 / 3月22日(土)墨田区体育館(ひがしんアリーナ)
主催:センチャイジム / 認定:ルンピニージャパン(LBSJ)
アマチュア大会11:00~ /プロ興行17:00~

●第13試合 ルンピニージャパン・スーパーバンタム級王座決定戦 5回戦
 壱・センチャイジム(=与那覇壱世/センチャイ)vs シンクロン・コーイ・ヌムパグデェ(タイ)

●第12試合 ルンピニージャパン・バンタム級王座決定戦 5回戦
 矢島直弥(TSK Japan)vs イティポンシット・ポー・チョーウォー(タイ)

●第11試合 ルンピニージャパン・ライト級王座決定戦 5回戦
 弘・センチャイジム(=大森弘太/センチャイ)vs 新田宗一朗(クロスポイント吉祥寺)

●第10試合 58.0契約3回戦
 稔之晟(マイウエイスピリッツ)vs チャイヤンレック・モー・コーチョーチェンマイ(タイ)

●第9試合 63.0kg契約3回戦
 錦和道(FIGHTBASE都立大)vs テレカ(NEXTLEVEL渋谷)

●第8試合 ウェルター級3回戦
 中村漣(BOUNCER)vs ムン・ソンチョル(韓国)

●第7試合 55.0kg契約3回戦
 駒木根稔和(TSK Japan)vs 渡辺悠斗(センチャイムエタイ錦糸町)

 他、6試合

壱世は他団体でビッグマッチ続きも好調を維持

※               ※               ※

◆KICK Insistの常連メンバー勢揃い

ここに何かひとつビッグなタイトルマッチが欲しいところではありますが。瀧澤博人を越えた感のメインイベンター(大トリ)としての睦雅の存在は大きいでしょう。

さらにフライ級王座を狙う細田昇吾と同級チャンピオンとして君臨する西原茉央の試合運びの比較も見どころです。

◎KICK Insist.22 / 3月23日(日)後楽園ホール17:15~
主催:VICTORY SPIRITS / 認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)

●第13試合 63.0kg契約 5回戦     
 ジャパンキック協会ライト級チャンピオン.睦雅(ビクトリー)
        vs
 ポムロップ・ルークスワン(元・S-1スーパーフェザー級Champ/タイ)

●第12試合 57.5契約3回戦 
 瀧澤博人(WMOインターナショナル・フェザー級Champ/ビクトリー)
        vs
 プラカイトーン・トータラヤン(元・ジットムアンノンstadium・Sバンタム級8位/タイ)

●第11試合 52.0契約3回戦   
 ジャパンキック協会フライ級チャンピオン.西原茉生(治政館)
        vs
 コウシ・ノーナクシン(WMOインターナショナル・ミニフライ級Champ/タイ)

●第10試合 スーパーフライ級3回戦   
 ジャパンキック協会フライ級1位.細田昇吾(ビクトリー)
      vs
 NKBフライ級5位.滑飛レオン(テツジム滑飛一家)

●第9試合 ウェルター級3回戦  
ジャパンキック協会ウェルター級3位.正哉(誠真)vs 梅沢遼太郎(白山道場)

●第8試合 ライト級3回戦  
 ジャパンキック協会ライト級2位.菊地拓人(市原)vs 青木大好き(OZ)

●第7試合 58.0kg契約3回戦   
 ジャパンキック協会フェザー級5位.眞斗(KIX)vs 同級6位.石川智崇(KICKBOX)

●第6試合 70.0kg契約3回戦   
 ジャパンキック協会ウェルター級5位.我謝真人(E.D.O)vs 白井大也(市原)

●第5試合 バンタム級3回戦 
 松田悠哉(誠真)vs JKイノベーション・バンタム級8位翔力(拳伸)

 他、ノーランカー4試合

ジャパンキックボクシング協会のメインイベンター睦雅も国内外で好調を維持

※               ※               ※

◆原点回帰から挑戦へ、令和の全日本キックボクシング協会の2年目!

設立2年目は新たな挑戦へ、韓国ムエタイ協会との提携、日本vs 韓国戦が開催。
オーシャン・ウジハラ連続出場で迎え撃つ。

◎挑戦 / 3月28日(金)後楽園ホール17:30~
主催:全日本キックボクシング協会

オーシャン・ウジハラは昨年12月28日、瀬川琉に僅差判定負けしているが、体幹崩れないベテランの技で瀬川を苦しめた存在。無所属ながら今回のメインイベンターとなった。

元々はセンチャイジム所属で2009年にWBCムエタイ日本フェザー級王座獲得し、その後プロボクシングに転向したり、キックボクシングに復帰したり紆余曲折を経て戦い続けています。まだ結果を残せる余力有りでしょう。

広翔と横尾空は昨年3月16日の設立興行でデビューし、「早くメインイベンターと成れ!」と期待の下、一年間一緒に戦って来た二人が、今年は王座を狙える地位へ浮上出来るか、壁にぶつかるか周囲は期待と不安の中、見守りたい存在でしょう。


●メインイベント 60.0kg契約3回戦
 オーシャン・ウジハラ(=氏原文男/無所属/1986.10.12高知県出身)27戦13勝(8KO)14敗
 vs
韓国ムエタイ協会フェザー級チャンピオン.Flash(本名=クォン・ヒョンウ/2000.11.25韓国出身)10戦8勝2敗

●セミファイナル バンタム級3回戦
 広翔(稲城)4戦3勝(1KO)1敗
      vs
 Joker(本名=パク・スンホ/2002.9.13韓国出身)5戦1勝(1KO)4敗

●フライ級3回戦
 横尾空(稲城)vs 小池空(I DEAL)

●スーパーフライ級3回戦
 HIROKI(AKIRA ~budo school~)vs 井上蓮治(パラングムエタイ)

●ライト級3回戦
 山田旬(アウルスポーツ)vs 生野逸晟(WSR三ノ輪)

●ライト級3回戦
 福僚太(健成会)vs 風間祐哉(WSR三ノ輪)

●フェザー級3回戦
 中村健甚(稲城)vs 斎藤鷹也(TRIM)

 他、4試合

氏原文男は全日本キックボクシング協会へ連続出場、メインイベントを務める

※               ※               ※

以上は3月後半の関東エリアで行なわれる一部のスケジュールです。

この中での注目度高い選手は「2025年に輝くキックボクサーたち」でも登場した睦雅と壱世で、広翔と横尾空、細田昇吾と西原茉生も今後も話題性高くなるでしょう。オーシャン・ウジハラがこの先、どこまで引っ?き回してくれるかも注目です。
4月以降の興行も展望は続いていく予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

NKB、今年はライト級中心に動くか! 堀田春樹

高橋一眞引退後のライト級は乱牙が担う。公式記録は引分けながら規定により延長戦を制して王座獲得。
カズジャンジラがハイキックでチャンピオンの存在感を見せて判定勝利。
片島聡志と吏亜夢は互いの持ち味発揮の末、若い吏亜夢が制す。

◎爆発シリーズvol.1 / 2月22日(土)後楽園ホール17:15~21:14
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

◆第11試合 第16代NKBライト級王座決定戦 5回戦

1位.棚橋賢二郎(拳心館/1987.11.2新潟県出身/ 60.95kg)25戦12勝(7KO)11敗2分
        VS
2位.乱牙(=蘭賀大介/ケーアクティブ/1995.2.9岩手県出身/ 61.1kg)
11戦7勝(3KO)2敗2分
引分け 三者三様(=公式記録)
主審:前田仁
副審:高谷48-49. 鈴木49-48. 笹谷49-49(延長戦は三者とも9-10で乱牙を支持)

開始早々に棚橋賢二郎が牽制の右ロングフック。以降は終盤まで強打を振り回すことは少なく、やや距離を保った流れ。乱牙のローキックで下がり気味の棚橋。第4ラウンドには強打を狙っていそうな棚橋の前進が始まり、打ち合うシーンが増えた。

乱牙と棚橋賢二郎の蹴りを忘れたパンチの打ち合いが続いた

最終ラウンドも激しく打ち合うも互いの顔面を打ち抜くような決定打は無く終了。三者三様の引分けとなった公式戦はここまで。王座決定戦の為、延長戦が行われ、疲労困憊した打ち合いが続く中、前進した乱牙がヒットを上回った流れで優勢支持を受けて王座獲得となった。公式記録は昭和から続くシステムで従来どおり引分け。

新チャンピオンとなった乱牙。反省と抱負を語る

◆第10試合 66.7kg契約ノンタイトル 5回戦

NKBウェルター級チャンピオン.CAZ・JANJIRA
(=佐々木和也/JANJIRA/1987.9.2東京都出身/ 66.3kg)44戦21勝(4KO)16敗7分
        VS
どん冷え貴哉(TOKYO KICK WORKS/1988.10.15滋賀県出身/ 66.5kg)
48戦25勝(6KO)21敗2分
勝者:CAZ・JANJIRA / 判定3-0
主審:笹谷淳
副審:高谷50-48. 鈴木49-48. 前田50-48

両者は、2021年4月24日に3回戦制で対戦し引分け。今回は5回戦制で決着戦を迎えました。

どん冷え貴哉は有効打は無いが手数と圧力は優っていく。第4ラウンドには、カズ・ジャンジラが巻き返しに入り、パンチで出るどん冷えにハイキックを合わせるとアゴにヒット。チャンピオンらしさを見せたヒットで勝負を大きく引き寄せるノックダウンを奪った。そこからどん冷えの巻き返しを許さず、このノックダウンを奪ったカズジャンジラが判定勝利。

カズジャンジラvsどん冷え貴哉の攻防、レフェリーは2年前、カズと王座を争った笹谷淳

◆第9試合 スーパーバンタム級3回戦

片島聡志(元・WPMF世界スーパーフライ級Champ/Kick Life/1990.10.19大分県出身/ 55.2kg)57戦29勝(6KO)23敗5分
        VS
WMC日本スーパーフェザー級チャンピオン.吏亜夢(ZERO/2004.12.3栃木県出身/ 55.2kg)
15戦10勝4敗1分
勝者:吏亜夢 / 判定0-3
主審:加賀見淳
副審:前田28-29. 鈴木28-29. 笹谷27-30

若さからくる勢いで吏亜夢がスピードで優る前進。ベテラン片島聡志は攻められてもまともには喰わないディフェンスの上手さが目立った。

第2ラウンドには片島の蹴りに合わせた吏亜夢の右ストレートで片島がバランス崩してスリップ気味に尻もちをつくと、ノックダウン扱いとなったがダメージは無い。

ラストラウンド終盤には片島聡が前進、隙を突いてパンチヒットさせ、ただでは終わらぬ攻めの上手さを見せた。吏亜夢は長身さと手足の長さを有利に活かし判定勝利したが、互いの持ち味が発揮された展開となった。3ラウンドで終わるには時間が足らず、5回戦でやるべき勿体無いカードである。

吏亜夢と片島聡志のベテランと若さの攻防。攻めの上手さと守りの上手さが引き立った

◆第8試合 60.0㎏契約3回戦

横山典雄(不死鳥道場/1986.5.13新潟県出身/ 59.7kg)12戦7勝(3KO)5敗
        VS
JKIスーパーフェザー級8位.夢叶(エムトーン/2004.4.7神奈川県出身/ 59.75kg)
8戦4勝(2KO)3敗1分
勝者:夢叶 / TKO 2ラウンド 2分31秒 /
主審:高谷秀幸

夢叶が先手を打つ蹴りとパンチの多彩に攻める中、横山も夢叶の出方に合わせて攻防を続けるが、第2ラウンドに夢叶の右ヒザ飛び蹴り一発でノックダウン。カウント中のレフェリーストップで夢叶がTKO勝利した。

[左]夢叶がいきなりの飛びヒザ蹴りで横山典雄を倒した/[右]エムトーン南孝侍会長と夢叶。昭和と令和のテクニシャンが集う

◆第7試合 58.0kg契約3回戦

NKBフェザー級5位.半澤信也(Team arco iris/1981.4.28長野県出身/ 57.9kg)
33戦11勝(4KO)17敗5分
        VS
村上祐馬(不死鳥道場/1994.6.23長野県出身/ 57.5kg)8戦6勝(3KO)1敗1分
勝者:村上祐馬 / KO 3ラウンド 1分47秒 /
主審:鈴木義和

蹴りでタイミングを掴みながらパンチ中心の攻防。互角の展開が続く中、第2ラウンドから続く村上祐馬のローキックが徐々に効いていた半澤信也は第3ラウンドにノックダウン。更に村上にコーナーに詰められ猛攻を受けたパンチとローキックで2度目のノックダウン。更にパンチ連打されたところでタオルが投入された様子で、レフェリーが割って入り3ノックダウンとなる形で試合終了。村上がKO勝利。

村上祐馬が半澤信也をコーナーに詰めての猛攻で2度目のノックダウンに繋げた

◆第6試合 ウェルター級3回戦

大月慎也(Team arco iris/1986.6.19埼玉県出身/ 66.65kg)25戦11勝(5KO)10敗4分
        VS
天雷しゅんすけ(SLACK/1984.10.23新潟県出身/ 65.35kg)12戦5勝(1KO)6敗1分
勝者:大月慎也 / 判定3-0
主審:高谷秀幸
副審:前田30-27. 笹谷30-27. 鈴木30-28

初回から大月慎也が徐々に上下の蹴りで圧力掛け、組み合うとヒザ蹴りで圧倒。天蕾しゅんすけは攻められながらパンチで追うも敵わぬまま、大月がローキックやハイキックで圧倒した展開となった。

大月慎也が天蕾しゅんすけを圧倒。カズ・ジャンジラに指名された大月、王座に近付けるか

◆第5試合 64.0kg契約3回戦

小磯哲史(元・J-NETWORKライト級Champ/TESSAI/1973.8.8神奈川県出身/ 63.55kg)
53戦18勝(6KO)30敗5分
        VS
ちさとkiss Me!!(安曇野キックの会/1983.1.8長野県出身/ 63.9kg)
42戦7勝(3KO)31敗4分
勝者:小磯哲史 / 判定2-1
主審:加賀見淳
副審:前田30-28. 笹谷29-28. 高谷29-30

負けが大きく先行する両者の蹴りとパンチの一進一退の攻防も決定打が無い展開が続き、終盤には小礒哲史のパンチでちさとは鼻血を流すも打ち返す踏ん張りを見せた。

ちさとは倒される覚悟も懸命に互角に戦った。小磯哲史もベテランの上手さを見せた

◆第4試合 58.0kg契約3回戦

杉山茅尋(HEAT/2001.11.30静岡県出身/ 57.7kg)10戦3勝6敗1分
      VS
樋口雄生(ケーアクティブ/1995.4.14東京都出身/ 57.8 kg)4戦2勝(1KO)2敗
勝者:樋口雄生 / 判定1-2
主審:前田30-28. 高谷29-30. 加賀見29-30

杉山三兄弟の長男、茅尋登場。初回は殆ど蹴り中心の攻防。パンチや首相撲は少ない。第2ラウンドにはパンチと首相撲の展開も増えるが、樋口雄生がやや優った展開。杉山は兄弟揃ってのテクニシャンではあるが、茅尋は樋口にやや圧された流れで終了。採点が分かれる結果となったが樋口雄生が攻め優った判定勝利。

テクニックは互角ながら樋口雄生は杉山茅尋に圧力掛けて勝利を導いた

◆第3試合 ライト級3回戦

鈴木ゲン(拳心館/1973.6.5新潟県出身/ 60.7kg)12戦6勝(4KO)5敗1分
      VS
坂根卓弥(クロスポイント吉祥寺/1993.7.11京都府出身/ 61.1kg)6戦3勝2敗1分
勝者:坂根卓弥 / 判定0-3 (26-30. 26-30. 26-30)

初回に坂根卓弥の左ハイキックがヒットするとグラついた鈴木ゲン。坂根が手数とスピードが優っていき、鈴木は最後まで耐え忍び、坂根が大差判定勝利した。

◆第2試合 65.5kg契約3回戦

健吾(BIG MOOSE/1993.10.10千葉県出身/ 65.15kg)5戦4勝1敗
      VS
清水和也(アルン/2003.9.22新潟県出身/ 64.65kg)4戦2勝(2KO)1敗1分
勝者:健吾 / 判定2-0 (30-27. 29-29. 30-29)

◆プロ第1試合 バンタム級3回戦

TAKUMI(Bushi-Doo/1989.12.8新潟県出身/ 52.85kg)7戦7敗
       VS
早川曜平(ケーアクティブ/1994.1.13千葉県出身/ 52.8kg)2戦1勝1敗
勝者:早川曜平 / 判定0-3 (29-30. 29-30. 29-30)

◆アマチュア・オヤジキック第3試合 61.5kg契約2回戦(90秒制/延長1分)

オヤジキック関東スーパーフェザー級王者.アニマル・タケ王
(D-BLAZE/テツジム東京/61.1kg)
        VS
オヤジキック関西スーパーフェザー級王者.ゆきすぎて釜江(テツジム関西/ 60.4kg)
勝者:アニマル・タケ王 /
判定0-1 (19-19. 20-20. 19-20)
延長判定2-1 (9-10. 10-9. 10-9)

◆アマチュア・オヤジキック第2試合 70.0kg契約2回戦(90秒制/延長1分)

中條ミノル(D-BLAZE/ 69.5kg)vsヒロタカ(RIKIX百合ヶ丘/ 69.55kg)
勝者:中條ミノル / 判定3-0 (20-18. 20-17. 20-18)

◆アマチュア・オヤジキック第1試合 61.0kg契約2回戦(90秒制/延長1分)

ハリケーン吉野(TOKYO KICK WORKS/ 60.4kg)
      VS
藤元”ガンビット”ダイスケ(sports24荻窪/ 60.2kg)
勝者:ハリケーン吉野 / 判定2-0 (20-18. 20-18. 20-20)

《取材戦記》

イエスかハイで!?

カズ・ジャンジラは試合後のマイク挨拶で、「今年10月、NKBウェルター級タイトルマッチ(予定)で大月慎也選手、やりたいようでしたら、イエスかハイで!」と回答を求めた。決定権は選手ではなく、NKB実行委員会とマッチメイカー次第だが、前振りから盛り上げて行くにはマイクアピールも必要な時代でしょう。

更にカズ・ジャンジラは来年の2月興行で引退をすることを宣言。「それまでしっかりチャンピオンとしてNKBを盛り上げたいと思います。」と締め括った。

NKBライト級新チャンピオンとなった乱牙は「棚橋選手は滅茶苦茶強かったです。今後チャンピオンベルトを背負う者として、今日はあまりいい内容じゃなかったので、リングで言ったとおりですが、もっと練習して強くなってチャンピオンとして相応しい存在になりたいです。」と語った。ライト級戦線、他団体にも強力なチャンピオンが存在します。睦雅とか吉田凛汰朗とか。今比較すれば乱牙は見劣りしますが、今年一年で急成長出来るかが勝負。

竹村哲マッチメイカーは今回の興行に付いて、「KOが少なかったのがちょっと残念でしたが、メインイベントの棚橋賢二郎vs乱牙は正に死力を尽くして戦ってくれたので、あんなド突き合いは“これぞNKB”という試合を見せてくれたので良かったですね。」と感想を語った。

いろいろな選手や関係者に話を聞けばいろいろな応えが返って来ました。

会場入りしたばかりの吏亜夢は「絶好調です!」と笑顔で応え、ウォーミングアプする片島聡志は「いつもどおりですが絶好調です。相手を呑み込んでやろうという心構えです!」とリップサービスがありました。

更に開場前にリングサイドに居たエムトーンジム南孝侍会長とBIGMOOSEジム小林健二会長とは昔話に花が咲きました。アジア太平洋キック連盟の初期の頃など。

「こんな昭和から関わる話をまたしたいですね。」という南会長。彼のエピソードも奥深いのである。いずれ人物伝で拾う予定です。

日本キックボクシング連盟爆発シリーズvol.2は4月26日(土)に後楽園ホールに於いて開催予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

新鋭もロートルも、DUELで輝くRORD TO CHAMPION! 堀田春樹

前日計量は2月8日、12時よりVALLELYジムにて、全員一回でパス。
DUELのリングでNJKF 2024年の年間表彰式が行われました。大田拓真が2年連続最優秀選手賞獲得。

◎DUEL.33 / 2月9日(日)GENスポーツパレス 18:00~20:10
主催:VALLELYジム / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)

戦績は興行プログラムを参照し、この日の結果を加えています。

◆第7試合 67.0kg契約3回戦

NJKFスーパーライト級3位.マリモー(=沼耕平/KING/ 66.5kg)39戦15勝23敗1分 
        VS
ソムプラユン・ヒロキ(=緑川広樹/DANGER/ 66.5kg)7戦2勝5敗
勝者:マリモー / 判定3-0
主審:児島真人
副審:宮沢30-27. 中山29-27. 多賀谷30-27

両者パンチとローキックの攻防。ソムプラユン・ヒロキは長身を利した前蹴りやハイキックも使うが、マリモーはガードを固めて回避し我武者羅にパンチで攻める。

第2ラウンドには蹴りから首相撲の展開も見られ、マリモーはソムプラユンをロープ際に追い込んで、パンチ連打でより一層追い詰めて更にパンチからヒザ蹴り、左ボディーブローでノックダウンを奪った。第3ラウンドに入っても仕留められなかったが、優勢を保ったマリモーが判定勝利を飾った。

マリモーのハイキックがソムプラユン・ヒロキの顔面を襲う
マリモーのハイキックがソムプラユン・ヒロキの顔面を襲う
マリモーの前蹴りがソムプラユン・ヒロキの喉元にヒット
マリモーの前蹴りがソムプラユン・ヒロキの喉元にヒット

マリモーは「全然駄目だったんで出直して来ます。前蹴りとか対策して来たんですけど何も出来なかったんで」と反省点を振り返っていた。

ソムプラユン・ヒロキも似た反省点で「全然駄目でしたね。ヒザ蹴り貰ってしまいました。」と言葉少なに反省を語りました。

ラウンドガールとツーショットはなかなか無いぞ、マリモー

◆第6試合 フライ級3回戦

NJKFフライ級6位.愁斗(Bombo Freely/ 50.75kg)11戦6勝(3KO)3敗2分 
        VS
NJKFフライ級9位.明夢(新興ムエタイ/ 50.8kg)14戦4勝(1KO)7敗3分
勝者:愁斗 / 判定2-0
主審:梅下湧暉
副審:宮沢29-29. 中山29-28. 児島30-29

愁斗は前回11月10日にNJKFフライ級9位.永井雷智(VALLELY)にTKO負け。

明夢は前回、12月8日にNJKFフライ級7位.悠(=吉仲悠/VALLELY)と対戦し引分け。

初回早々から蹴りの交錯が始まり、愁斗がスピードで優る。離れた距離から接近してのヒザ蹴りも鋭い愁斗。明夢は出遅れ気味でも我武者羅に前進し、首相撲の展開では明夢も踏ん張り愁斗を崩し転ばす場面もあり。愁斗はテクニックの差は魅せたが、粘った明夢も善戦した。

愁斗の鋭いハイキックが明夢を翻弄
愁斗のヒザ蹴りが明夢のボディーにヒット
フライ級戦線、期待が掛かる愁斗

◆第5試合 スーパーフェザー級3回戦

パヤヤーム浜田(KING/ 58.75kg)16戦2勝(1KO)14敗
          VS
翔吾(DANGER/ 58.6kg)3戦1勝1敗1NC
勝者:翔吾 / 判定0-3
主審:多賀谷敏朗
副審:宮沢29-30. 梅下28-30. 児島28-29

初回早々は翔吾がパンチ連打と蹴りも合わせてパヤヤーム浜田をロープに詰めたが、浜田もミドルキックやローキックで態勢を立て直すも、翔吾がやや攻勢を維持。
しかし、浜田の左ミドルキックが冴えた。翔吾のパンチの攻勢も浜田の返す左ミドルキックが強くヒットした。

両者、主導権を奪うに至らずも終盤は打ち合う流れで終了。僅差で翔吾が判定勝利を掴んだ。

翔吾のハイキックがパヤヤーム浜田にヒット、手数で優った
パヤヤーム浜田も左ミドルキックで翔吾を苦しめた

◆第4試合 女子ミネルヴァ 45.0kg級契約3回戦(2分制)

ミネルヴァ・ペーパー級4位.Uver∞miyU(T-KIX/ 44.95kg)14戦4勝9敗1分
      VS
杉田風夏(谷山ジム小田原道場/ 44.75kg)3戦2勝1敗
勝者:杉田風夏 / 判定0-3
主審:中山宏美      
副審:多賀谷28-30. 梅下29-30. 児島29-30

蹴りとパンチは一進一退も、接近戦で組み合うとヒザ蹴りが優った杉田風夏。ジャッジ三者が揃ったラウンドは無かったが、ヒザ蹴りで優った杉田が僅差判定勝利した。

杉田風夏は組み合ってのヒザ蹴りがUver∞miyUに優る展開に導いた

◆第3試合 フライ級3回戦

西村心(菅原道場/ 50.4kg)2戦1勝(1KO)1敗
VS
手塚瑠唯(VERTEX/ 50.5kg)4戦2勝(1KO)2敗
勝者:手塚瑠唯 / 判定0-3
主審:宮沢誠
副審:多賀谷24-30. 梅下24-30. 中山24-30

初回、アグレッシブに多彩な攻防を魅せた両者。手塚瑠唯はパンチからハイキックでロープに詰めパンチからヒザ蹴りでノックダウンを奪った。

第2ラウンドも攻勢維持した手塚だが、西村心もパンチで攻め心折れないアグレッシブな攻め。手塚は組み付くいてヒザ蹴り連打を続けるとレフェリーはスタンディングダウンを宣した。更にヒザ蹴りで猛攻の後、崩し転ばすとダメージあることからノックダウン扱いとなって2度目となるダウン。

第3ラウンド、手塚も勢い落ちたが攻勢を維持し圧倒した展開で終了。

◆第2試合 フライ級3回戦

高橋大輝(エス/ 50.45kg)6戦3勝3敗1分
     VS
トマト・バーテックスジム(VERTEX/ 50.4kg)5戦4敗1分 
勝者:高橋大輝 / 判定3-0
主審:児島真人
副審:多賀谷30-28. 宮沢30-29. 中山30-29

◆第1試合 55.0kg契約3回戦

上原心汰(MWS/ 54.9kg)3戦1勝2敗
      VS
堤昇之(DANGER/ 54.75kg)2戦1敗1分
勝者:上原心汰 / 判定3-0
主審:梅下湧暉
副審:多賀谷29-28. 児島29-28. 中山29-28

年間表彰選手、前列は左から基山幹太、吉田凛汰朗、大田拓真、真美、小林亜維二

《取材戦記》

負けが込んでいる者同士の戦いでも、いかに目立った試合が出来るか、埋もれた実力を発揮できるかが勝負のDUEL興行。

アグレッシブにノックダウン奪って勝利したマリモーは、マイクアピールで「これだけは言わせてください」と何やら動物愛護のアピールをしていたようですが、応援ファンも「マリモー、聞こえねえぞ!」と野次られるほどマイクに声が響かない。

リングを下りたマリモーに聞いてみると「僕は動物虐待とか殺処分とか大嫌いなんです。動物たちを見守ってあげて欲しいです」と訴えていた。

以前も動物愛護精神を持ったマリモーということを聞いたことがあり、キングジムでも蛙とヘビが飼われていた時の生き物係はマリモーだったと思うが、そんな、顔に似合わない優しさを持つマリモー。もっとリング上で訴えるには今後も勝利して後楽園ホールのリングで語って貰いたいところです。

GENスポーツパレスに於いてDUEL興行でNJKF年間表彰式とは珍しいパターンでした。ちょっと規模縮小の感も拭えずも、先週2月2日興行は終了時間制限の事情もあったでしょう。昨年は後楽園飯店で行なわれましたが、後楽園ホールで興行の際の年間表彰式はリング上で最も注目される場所でしょう。プロボクシングでの年間表彰式は東京ドームホテルで開催が多く、競技組織のスケールの違いを感じます。

以下はニュージャパンキックボクシング連盟の年間表彰選手です。昨年の表彰式で「来年は俺がMVP」と宣言していた嵐は努力賞に留まるも、努力の成果が出るのが今年となるか。大田拓真のMVPは内外で活躍した結果で順当なところでしょう。

年間最優秀選手=大田拓真(新興ムエタイ)

年間最高試合(2024年6月2日開催64.0kg契約)

吉田凛汰朗(VERTEX)vs基山幹太(BELLWOOD FIGHT TEAM)

女子ミネルヴァ優秀選手=真美(team lmmortaL)

殊勲賞=吉田凛汰朗(VERTEX)

敢闘賞=小林亜維二(新興ムエタイ)

技能賞=宮越慶二郎(拳粋会宮越道場)

努力賞=嵐(KING)

新人賞=永井雷智(VALLELY)、藤井昴(KING)

ゴング格闘技賞=小林亜維二(新興ムエタイ)

Fight&Life賞=谷津晴之(新興ムエタイ)

イーファイト賞=大田拓真(新興ムエタイ)

バウトレビュー賞=大田拓真 (新興ムエタイ)

先週の次回興行予定にこの2月9日のDUEL興行が抜けていましたが、次回NJKF関連は3月16日(日)に女子ミネルヴァ興行、「GODDESS OF VICTORY Ⅲ」がGENスポーツパレスで開催されます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年3月号

昭和のビッグイベント、オープントーナメントのその後! 堀田春樹

◆お祭り騒ぎ後の静けさ

前回までに語りました、キックボクシング界の見事な結集力を見せた活気ある1000万円争奪オープントーナメントも終わってしまうと閑散とした寂しさが残りました。その後は藤原敏男に続いて富山勝治も引退し、テレビに育てられたキックボクシングは終焉を迎えた1983年(昭和58年)で、このオープントーナメントの勢いもままならず、スターは居ない、テレビは付かない、再び沈静化した時代でした。

後の52kg級域頂上決戦は松田利彦が制した(1983.5.28)
暫定的日本統一ランキングは錚々たるメンバーが揃っていたが実現せず(1983.6)

◆タイガー大久保と鴇稔之らの運命

三階級優勝者の長浜勇、松本聖については過去に格闘群雄伝でも語っており簡略しますが、松本聖は興行の不安定さから出番が無くなり、長浜勇は翌1984年5月に優勝候補の一人ながら怪我で不参加だった斎藤京二に第2ラウンドKO負け。

52kg級の優勝者、タイガー大久保はその2ヶ月後、1983年5月28日の士道館興行で、こちらも優勝候補ながら準決勝で敗れ去った松田利彦と対戦。なんと第2ラウンドあっけなくKO負けしてしまいました。混沌としていた52kg級域でしたが、松田利彦株が急上昇。優勝者が崩れ落ちるのも、まだトップスターとして定着していない中での真剣勝負の厳しさがありました。

この後、タイガー大久保はプロボクシングに転向。「キックボクシングではもっと戦う場が欲しかった」という転身でした。

当時、京成小岩駅近くの西川ジムからも近かったロイヤル川上ジムからデビューし、数戦した後、アメリカのロサンゼルスに渡るも、アメリカでの試合は不遇な目に遭ったことも後に語られていて、紆余曲折した渡米のようでした。

3回戦トーナメントは後のチャンピオン、鴇稔之、渡辺明、鹿島龍、飛鳥信也も出場していた新人トーナメントでした。52kg級に出場した鴇稔之は初戦を勝利し、「これは決勝まで行けるな!」と思ったというものの、前回述べましたとおり、トーナメントはその後、立ち消えとなりました。

56kg級においては当初の10名トーナメントの開催が遅れたまま、6名に縮小となり立ち消え、62kg級においても欠場者が増え、いずれもその後の各団体に担った運営では日程も儘ならず、新人トーナメントは当初から計画性も進んでいなかった模様である。

後の62kg級域、ライト級頂上決戦は斎藤京二が制した(1984.5.26)

◆日本統一ランキング制定

同年6月半ば、オープントーナメント実行委員会は、トーナメント(5回戦)の結果を基に暫定的日本統一ランキングを発表されました。当時としてはなかなかの層の厚い名前が連なっていたものでした。

オープントーナメントは各階級を跨る変則的3階級で行なわれましたが、ランキングは当然の正規7階級制。トーナメントに参加していない選手名もランクされていますが、それまでの実績が考慮されての反映でした。

不参加だった伊原信一は新たに開拓していた香港興行が忙しくなった時期でした。先に述べました藤原敏男の後輩、斎藤京二は1982年7月のヤンガー舟木戦で負った顎骨折の影響で不参加でした。

またトーナメント戦から外れている、同シリーズ内で行なわれた重量級交流戦も対象となっており、向山鉄也(北東京キング)vsレイモンド額賀(平戸)戦とシーザー武志(東海)vs福島晃平(高葉)戦の4名はウェルター級とミドル級に分かれてランキングされています(勝敗結果は割愛します)。

正に画期的な日本ランキングでした。なかなか興味深いカードが期待され、これが真の日本統一王座制定へ進めば理想的でしたが、すぐの実現には至りませんでした。

しかし、1000万円争奪オープントーナメントも無駄ではないその後の流れでした。このトーナメントが在ったから辞めず踏み止まる選手やジムがあり、次の時代へ活かされたことでしょう。

◆オープントーナメントの裏側

元々、低迷期脱出と再浮上を狙っての二度に渡ったオープントーナメントでした。

500万円争奪戦はテレビ放映継続へ、1000万円争奪戦は業界全体の低迷からの底上げへ。欲を出せば裏目に出る傾向から、この時はテレビ放映復活の売り込みはしなかった模様。

また、優勝賞金は500万円争奪戦も1000万円争奪戦も資金調達が間に合わなかった様子も窺えました。ここにも苦しいやり繰りがありつつ、いずれも遅延しながらも円満に支払われた模様です。

1000万円争奪オープントーナメント開催前の5回戦組み合わせ抽選では、52kg級優勝者のタイガー大久保においては、新人戦の鴇稔之同様、「これは案外楽に決勝まで行けるぞ!」と思ったところが、抽選やり直しを強行されたという話もありました。56kg級、62kg級においては決勝戦で争うカードが予想され、優勝候補がブロック分けされている工夫が読み取れます。番狂わせもありましたが好カードは幾つも実現しました。

後々に第3回オープントーナメントが行われなかったのは、高額優勝賞金調達が難しいことや、当初の企画発案者、野口プロモーションの衰退に対し、業界が低迷期を脱し、定期興行が安定した中、業界が一致団結するイベントは難しくなったことでしょう。

その後は昭和から平成、令和にかけて小規模の幾つものトーナメントは開催されて行く中、今年(2024年)11月10日のNJKF祭から2ヶ月間で行なわれているJAPAN CUP 55kg級最強決定トーナメントは錚々たるメンバーが揃っているところ、チャンピオンクラスが3回戦制とか、準決勝と決勝はワンデートーナメント(12月30日横浜武道館K.O CLIMAX)というアマチュアのような在り方に疑問点はありますが、このイベントが成功すれば他のウェイト、階級でも開催が見込まれており、来年以降もそんな規模が大きくなるトーナメント戦は増えていくと予想されます。また昭和の1000万円争奪オープントーナメントを超える開催に期待したいものです。

時代は令和へ、JAPACUP 55kg級トーナメント、昭和のオープントーナメントを知らない世代たち(2024.11.9)

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年3月号

武田幸三率いるNJKF CHALLENGERは今年も過激に前進! 堀田春樹

今年もエース格、大田拓真は圧倒のKO防衛。世界へ大きく前進。
吉田凛汰朗は薄氷の初防衛、課題は残るも世界へは一歩前進。
女子試合、SAHOは攻勢を保って判定勝利。

◎NJKF CHALLENGER 7(2025.1st) / 2月2日(日)後楽園ホール17:15~21:31
主催:(株)オフィス超合筋 / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)

戦績は興行プログラムを参照、この日の結果を加えています。

◆第9試合 NJKFフェザー級タイトルマッチ 5回戦

第14代選手権者.初防衛戦.大田拓真(新興ムエタイ/1999.6.21神奈川県出身/ 57.0kg)
41戦31勝(10KO)8敗2分
      VS
挑戦者1位.TAKAYUKI(=金子貴幸/K-CRONY/1988.11.18茨城県出身/ 56.95kg)
33戦17勝(7KO)15敗1分
勝者:大田拓真 / KO 4ラウンド 30秒 /
主審:児島真人  

ローキックとパンチの様子見から大田拓真が先に仕掛け、パンチ連打で金子貴幸をコーナーに詰める攻勢。

第2ラウンドも大田が攻勢を強め、金子をロープ際に追い込み首相撲からヒザ蹴りも加えていく中、俯く金子に右フックかヒジ打ちか、側頭部にヒットさせノックダウンを奪う。圧倒する大田が蹴りから追い詰めてヒザ蹴り、コーナーに詰めると右ストレートで2度目のノックダウンを奪う。

終始圧倒した大田拓真は飛びヒザ蹴りで金子貴幸にプレッシャーを与えた

第3ラウンド、劣勢でも巻き返したい金子に、太田はペースを乱さない。右ボディーブローから右フックでノックダウンを奪い、仕留めに掛かる大田はロープに詰めて組んでヒザ蹴り、右フックで通算4度目のノックダウンを奪う。更に攻める大田はヒジ打ちで金子の右頭部をカット。インターバル中の金子は陣営に止血されながら目を瞑り疲労困憊の様子。

人生一番苦しい時間かもしれない第4ラウンド、絶対優勢の大田がパンチからヒザ蹴りでノックダウンを奪うと、レフェリーはカウントする中、終了のゴングが打ち鳴らされた。セコンドはタオルを投げてはおらず、WBCムエタイルールをNJKFルールにも起用していたということで、全ラウンドを通じての5ノックダウン制で自動的KO勝利となって初防衛となった。

大田拓真の右ハイキック、懸命に戦う金子貴幸にヒット

リング上で大田は王座返上を告げ、6月8日のNJKF興行でWBCムエタイ世界タイトル挑戦の意向を示しました。

大田拓真は金子貴幸の印象を「覚悟を持ってチャンピオンベルト狙いに来ているなという目と気迫を感じていました。僕も本当に油断せず、世界を狙って行くには誰が相手とか関係無く、しっかり追い込んで来たので、結果がしっかり出せて良かったです。」

今後については「ONE(Championship)もそうですし、WBCムエタイ世界戦もNJKFでやらせて頂きたいと意向を伝えました。」と内定したWBCムエタイ世界フェザー級王座挑戦は実現に向かう模様である。

金子貴幸は「もっといけるかなと思ったんですけど、大田選手はあまりにも強過ぎて、こんなに差があるのかビックリしちゃいました。」と完敗を認めていた。

愛息子とツーショットに収まる大田拓真

◆第8試合 NJKFスーパーライト級タイトルマッチ 5回戦

第7代選手権者.初防衛戦.吉田凜汰朗(VERTEX/2000.1.31茨城県出身/ 63.2kg)
28戦13勝(3KO)10敗5分
       VS
挑戦者.健太(E.S.G//1987.6.26群馬県出身/ 63.2kg)122戦68勝(21KO)47敗7分
勝者:吉田凛汰朗 / 判定2-0
主審:多賀谷敏朗
副審:宮沢49-48. 児島49-49. 中山49-48

距離を取ってのパンチとローキックで出方を探る様子見の両者。徐々に経験値優る健太が前進。ハイキック、右ストレートヒットとパンチでわずかに上回ったかに見える攻勢。

第3ラウンドには、健太のパンチか、吉田の左目尻から出血。このラウンドまでの公開採点でジャッジ三者とも第3ラウンドに差を付け30-29で健太が優勢。第4ラウンドも一進一退な展開は変わらずも、健太の手数がやや落ちたか。

流血の吉田凛汰朗が健太と打ち合う

最終第5ラウンドも倒しに行こうと吉田はパンチを振り回してもヒットしないが健太も同様に吉田を止められない。互角の展開で終了も判定は逆転した流れで吉田凛汰朗が勝利した。第4ラウンド以降はジャッジ二者は吉田にポイントが流れた模様。一者は第5ラウンドのみ吉田に与えドロー裁定。微差も振り分けるなら採点が不可解とは言えないが、見極めの難しい試合だった。

初防衛に成功した吉田は、勝ったらいろいろ言いたかったことがあった様子も、出直しを誓っていた。

健太と吉田凛汰朗、微妙な判定に明暗分かれた両者の表情

◆第7試合 53.0kg契約 ノンタイトル3回戦

S-1女子世界バンタム級チャンピオン.☆SAHO☆(闘神塾/1999.10.15兵庫県出身/ 52.85kg)
21戦19勝2敗
        VS
ダンコンファー・キヤペットノーイジム(タイ/23歳/ 52.65kg)52戦38勝14敗
勝者:SAHO / 判定3-0
主審:少白竜
副審:多賀谷30-28. 児島30-28. 中山30-28

SAHOは蹴りとパンチのリズムで距離を詰め攻勢強める。ダンコンファーは下がり気味でも怯まずチャンスを窺う。第2ラウンドも同様にダンコンファーが蹴って来てもSAHOも構わず蹴りパンチとも多彩に優っていく前進が続いた。

SAHOが圧倒したが、ダンコンファーもムエタイボクサーらしく蹴りは上手かった

第3ラウンド、首相撲になってもSAHOがダンコンファーを崩して優る。SAHOが終始圧倒する展開となったがKOには至らず、チャンピオンとして納得いく試合が出来なかったことに反省のコメントも残していた。

チャンピオンとして納得いかない内容に反省の弁もあった

◆第6試合 ミドル級3回戦

WBCムエタイ日本スーパーウェルター級チャンピオン.匡志YAMATO (大和/1993.1.29愛知県出身/ 72.25kg)28戦16勝(9KO)10敗2分 
        VS
雄也(MY/29歳/ 72.1kg)9戦2勝(2KO)7敗
勝者:匡志YAMATO / TKO 3ラウンド 1分48秒 /
主審:宮沢誠 

匡志がローキック中心の前進。更にパンチ連打で攻勢を強めていく。第2ラウンドも蹴りで雄也をコーナーに追い詰めローキックでノックダウンを奪う。更にパンチ連打で二度目のノックダウンを奪う圧倒の展開。

第3ラウンド、匡志が追ってローキックからコーナーに詰めて右ストレートでノックダウンを奪う。雄也は蹴りで反撃も疲労困憊。更に右ストレートで通算4度目のノックダウンを奪うとノーカウントのレフェリーストップとなって匡志が圧勝となった。

匡志は対戦相手(他団体チャンピオン予定)が変更された経緯もあって、雄也戦となったことに感謝の言葉を述べて、次回には他団体チャンピオンやタイ選手など強い相手を要望していた。

◆第5試合 51.5kg契約3回戦 

S-1世界フライ級チャンピオン.優心(京都野口/2002.5.28京都府出身/ 51.05kg)
17戦7勝7敗3分 
      VS
NJKFフライ級チャンピオン.西田光汰(西田/2001.2.13愛知県出身/ 51.4kg)
12戦8勝(1KO)3敗1分 
勝者:西田光汰 / 判定0-2
主審:多賀谷敏朗
副審:少白竜28-28. 宮沢28-29. 児島28-29

優心は首相撲や蹴りとパンチのコンビネーションでやや優る流れが続いた。第3ラウンドには西田光汰の右ストレートで優心がバランス崩してスリップダウンし、更に似た流れながら西田の右ストレートでスリップ気味に尻もちをつくと、レフェリーはノックダウンと見極めた。

西田光汰の右ストレートが優心にヒット、ノックダウンに至る兆しはあったか

ノックダウンではないとアピールする優心だったが、覆らぬことは分かる様子で素直に受け入れ、再開後に反撃も巻き返すには時間は少なく終了し、西田がポイント的には逆転する判定勝利となった。

“フラッシュダウン”の後の両者のアクション、レフェリーは毅然と対処した

◆第4試合 フライ級3回戦

NJKFフライ級3位.髙木雅巳(誠至会/ 50.55kg)12戦7勝(5KO)5敗
        VS
NJKFフライ級4位.永井雷智(VALLELY/ 50.8kg)7戦6勝(4KO)1分
勝者:永井雷智 / 負傷判定0-3 / テクニカルデジション 2ラウンド 1分8秒
主審:中山宏美
副審:少白竜19-20. 多賀谷18-20. 児島18-20 

永井雷智がパンチ中心にやや優勢気味に進めたが、第2ラウンドに髙木雅巳の股間ローブローを受けた永井雷智がダメージを負って立ち上がれず試合終了。偶然のアクシデントによる負傷判定となって永井雷智が望まぬ展開ながらも勝利した。

◆第3試合 スーパーフェザー級3回戦

NJKFスーパーフェザー級6位.匠(KING/ 58.5kg)9戦6勝(2KO)2敗1分
      VS
豪(GRATINESS/ 58.65kg)6戦4勝(3KO)2敗 
勝者:豪 / TKO 3ラウンド 1分21秒 /
主審:宮沢誠

第2ラウンドに豪が接近戦でのパンチでノックダウンを奪い、ヒジ打ちで匠の右瞼をカットし、第3ラウンドにも豪がヒジ打ちで匠の左目尻もカットし、流血が酷くドクターの勧告を受入れレフェリーストップ。

豪(左)のヒジ打ちで流血しながら戦う匠(右)

◆第2試合 スーパーフェザー級3回戦

Ryu(クローバー/1990.1.14茨城県出身/ 60.9→60.65kg)1.68kgオーバー、計量失格、グローブハンデ、減点2
7戦3勝(2KO)3敗1分
      VS
細川裕人(VALLELY/ 58.75kg)8戦4勝3敗1分
勝者:細川裕人 / 判定0-3 (25-30. 25-30. 26-30. Ryuに減点2が加算)

前進して蹴る勢いはあるRyuだったが、細川裕人がパンチからヒザ蹴りで応戦。ボディーを徹底的に狙った細川裕人が大差の判定勝ち。

◆プロ第1試合 60.5kg契約3回戦

高橋優(CORE/ 60.4kg)1戦1勝(1KO)
     VS
井岡巧(E.S.G/ 60.25kg)1戦1敗
勝者:高橋優 / TKO 2ラウンド 1分59秒 /

高橋のボディー蹴りで井岡巧が2度目のノックダウンでカウント中のレフェリーストップ

◆アマチュア2. オープニングファイトEXPLOSION U15 -60kg 級2回戦(90秒制)

佐藤陽平(第4代EXPLOSION60kg級覇者/TAKEDA/ 59.65kg)
     VS
田中豪 (VALLELY/ 60.0kg)
勝者:佐藤陽平 / 判定3-0 (20-18. 20-19. 20-18)

◆アマチュア1. オープニングファイトEXPLOSION U15 -45kg 級2回戦(90秒制)

堀口遥輝(TAKEDA/ 43.7kg)vs吏佐(ポンムエタイ/ 44.05kg)
勝者:吏佐 / 判定0-3 (17-20. 17-20. 17-20)

《取材戦記》

大田拓真は順当に金子貴幸を圧倒するKO勝利で初防衛。更なる上位王座を目指すことにはファンや陣営、NJKF運営関係者も新たな展開に期待したいところでしょう。
敗れた金子貴幸には戦前、もし番狂わせが起こったら。ここから金子貴幸の新たなドラマが生まれればという想定も出来ましたが、そこには至らずも、大田拓真に向かって行った闘志は、撥ね返されても悔いの残らない戦いだったでしょう。

この試合、レフェリーが止めた訳でもない不自然な試合終了だったので、試合後にレフェリーや運営部に尋ねたところが、全ラウンドを通じて5ノックダウン制だったらしく、WBCムエタイルールに倣ったという、そういった細かいルールは改訂する毎に発表する必要があるでしょう。NJKFはそんな曖昧さが少ないしっかりした団体です。今後の厳格な運営にも期待です。

吉田凛汰朗は僅差判定勝利の初防衛。2年前に敗れている老獪なテクニックの健太に雪辱出来るか、年齢や吉田の成長度で健太を圧倒しなければならないといった見所がありましたが、健太に呑まれた流れの微妙な結果と「パンチ貰っちゃいました!」と苦戦の反省もしていました。まずは“防衛してこそ真のチャンピオン” を果たして、更なる防衛か上位王座へ一歩前進でしょう。

優心にノックダウン奪って判定勝利した西田光汰は、第3ラウンドに西田の右ストレートによる優心のスリップ気味のフラッシュダウンではあったが、ノックダウン扱いとなったのは、軽くてもパンチを受けた上、尻もちダウンが2度目だったことが窺えました。要は同じパターンで尻餅ついては不利な流れとなったかもしれないことでしたが、他者の意見では「あれはノックダウンではないだろう」という意見も聞かれました。また、タイムストップはせず、ラウンド終了後に審判団で審議することも可能でしょう。

女子のSAHOは攻勢を維持し内容的には大差の展開でしたが、チャンピオンとして圧倒出来なかった、KO出来なかった悔しさはあったでしょう。試合内容に納得していないというSAHOはマイクで「また強くなって帰って来ます」とコメントを残しました。

次回、NJKF CHAKKENGER.8は4月27日(日)に後楽園ホールで開催です。バンタム級とスーパーバンタム級で各4名参加のトーナメントが発表されています。詳細はまた次回に。決勝は6月8日予定です。

他、3月16日(日)に女子ミネルヴァ興行、「GODDESS OF VICTORY Ⅲ」がGENスポーツパレスで開催。同じく3月16日、大阪で誠至会興行、4月20日(日)岡山県で拳之会興行が予定されています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年3月号

2月2日、2月22日、3月2日開催のキックボクシング3興行の見どころ! 堀田春樹

今年2025年の本通信では、試合の結果だけでなく試合告知とその見どころも、限られた範囲ながら解説していければと思います。今回は2月2日、2月22日、3月2日開催の3つの興行の見どころです。


2月2日開催、NJKF CHALLENGER 7

NJKF CHALLENGER 7、大田拓真が中心に立つ堂々たるメインイベンター

武田幸三氏が2023年にニュージャパンキックボクシング連盟に移籍し、掲げていた“CHALLENGER”は今回で7回目となります。

今回の興行は王座初防衛戦が2試合、大田拓真、吉田凛汰朗が迎え撃ちます。

◎NJKF CHALLENGER 7 / 2025年2月2日(日)後楽園ホール 17:15~
主催:(株)オフィス超合筋 / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)

《主要5試合》

◆メインイベント NJKFフェザー級タイトルマッチ 5回戦

第14代選手権者.初防衛戦.大田拓真(新興ムエタイ/1999.6.21神奈川県出身)  
           vs
挑戦者1位.TAKAYUKI(=金子貴幸/K-CRONY/1988.11.18茨城県水戸市出身)

NJKFのエース格、大田拓真は2019年6月に新人(=あらと/E.S.G)に判定勝利でWBCムエタイ日本フェザー級王座奪取(防衛1度)。昨年2月にNJKFフェザー級王座決定戦で笹木一磨(理心塾)に大差判定で勝利し王座獲得。ONE CHAMPION SHIPには2023年9月から出場して4戦3勝(1KO)1敗の戦績を残し、日本・タイで注目される存在。ここでTAKAYUKIに負けることは考え難いが油断はならない。

TAKAYUKIは昨年10月20日の大阪府堺市で、NJKFフェザー級次期挑戦者決定戦3回戦で僅差ながら坂本直樹(道場373)を判定で破り挑戦権獲得。TAKAYUKIは2016年5月に雄一(TRASH)との王座決定戦でNJKFスーパーバンタム級王座獲得し、1年後に前田浩喜(CORE)に敗れ陥落。なかなか地道な努力でキック人生を送っている中で、8年ぶりの王座獲得を狙い、トップに立つ大田拓真と互角以上に渡り合えるか。

◆セミファイナル  NJKFスーパーライト級タイトルマッチ 5回戦

第7代選手権者.初防衛戦.吉田凜汰朗(VERTEX/2000.1.31茨城県出身)
     vs
健太(=山田健太/E.S.G/1987.6.26群馬県出身) 

両者は2023年4月に64.0kg契約3回戦で対戦し、健太が自分の距離で戦う駆引きの上手さで判定勝利しています。

吉田凜汰朗は一昨年9月に畠山隼人(E.S.G)を倒して王座獲得。

健太は2008年5月にNJKFウェルター級王座決定戦で太陽照明(インスパイヤードモーション)に判定勝利で獲得。2010年5月にも太陽照明にTKO勝利してNJKFスーパーウェルター級王座獲得2014年9月にはT-98(=今村卓也)に判定勝利でWBCムエタイ日本ウェルター級王座獲得(防衛1度)。その後、ウェイトダウンしてライト級でも戦った健太は現在のベストウェイトで王座挑戦となりました。

吉田凛太朗が健太のペースに惑わされず完全KOでもすれば一躍NJKFのトップクラスでしょう。健太は100戦を超えるベテラン技、5回戦の戦い方で吉田を上回って主導権支配出来るか。

吉田凛太朗 vs 健太、前回は健太が戦略で優って判定勝利(2023年4月16日初戦)

◆第8試合 53.0kg契約3回戦

S-1女子世界バンタム級チャンピオン.☆SAHO☆(闘神塾/1999.10.15兵庫県加西市出身)
           vs
ダンコンファー・クアットペットノーイジム(タイ/経歴不詳) 

SAHOは第3代K-1 WORLD GP女子フライ級、S-1女子日本バンタム級、WMC女子日本スーパーバンタム級、ミネルヴァ・スーパーバンタム級などの王座を獲得した女子チャンピオンとしての存在感は大きい。

◆第7試合 72.5kg契約3回戦

匡志YAMATO(大和/ 1993.1.29愛知県海部郡出身)
    vs
雄也(MY/経歴不詳) 

匡志(=まさし)は2018年5月にNJKF日本スーパーウェルター級王座獲得。2020年7月にWBCムエタイ日本スーパーウェルター王座獲得も、コロナ禍により防衛戦が長期延期された経緯があります。

◆第6試合 51.5kg契約3回戦

S-1世界フライ級チャンピオン.優心(京都野口/2002.5.28京都府出身) 
         vs
NJKFフライ級チャンピオン.西田光汰(??/2001.2.13愛知県出身) 

優心は昨年12月17日に京都でマッファン・ゲッソンリット(タイ)とS-1世界王座を争い、引分け(1-0)、チェアマン裁定で優勢を受け王座獲得。NJKFではフライ級前チャンピオンでした。

西田光汰は昨年9月に谷津晴之(新興ムエタイ)とNJKFフライ級王座決定戦を行ない、引分けも優勢支持で王座獲得。本来なら西田が優心に挑戦するNJKFタイトルを懸けた戦いがファンの観たいところだったでしょう。


2月22日開催、今年の日本キックボクシング連盟は“爆発シリーズ”!

爆発シリーズvol.1、棚橋賢二郎と蘭賀大介が中央。新旧入り混じり盛り上げる

高橋一眞(真門)が引退返上したNKBライト級王座を、棚橋賢二郎と乱牙で争われます。

◎爆発シリーズvol.1 / 2月22日(土)後楽園ホール 17:15~
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

《主要3試合》

◆メインイベント NKBライト級王座決定戦 5回戦

1位.棚橋賢二郎(拳心館/1987.11.2新潟県出身)
       vs
2位.乱牙(=蘭賀大介/ケーアクティブ/1995.2.9岩手県出身)

棚橋賢二郎は強打の右ストレート、右ローキックが得意で、過去2度、髙橋一眞が持つNKBライト級王座に挑戦をしていますが撥ね返され奪取成らず。3年振り3度目の挑戦で戴冠目指します。

乱牙は右ストレート、右ミドルキックで好戦的に展開し、プロデビューから2年8ヶ月で王座挑戦となります。

◆セミファイナル 66.7kg契約 5回戦

NKBウェルター級級チャンピオン.カズ・ジャンジラ(JANJIRA/1987.9.2東京都出身)
        vs
どん冷え貴哉(TOKYO KICK WORKS)

両者は、2021年4月24日に3回戦制で対戦し引分け。今回は5回戦制で決着戦を迎えます。

カズ・ジャンジラは2023年2月に笹谷淳(team COMRADE)とNKBウェルター級王座決定戦を行ない、判定勝利で王座獲得しています。

どん冷え貴哉は今回の試合からTOKYO KICK WORKSへ移籍しての出場です。

◆スーパーバンタム級 3回戦

片島聡志(元・WPMF世界スーパーフライ級Champ/Kick Life/ KickLife/1990.10.19大分県出身)
         vs
WMC日本スーパーフェザー級チャンピオン.吏亜夢(=松本吏亜夢/20歳/ZERO)

片島聡志が常連となった日本キックボクシング連盟興行では久しぶりの出場。若い吏亜夢に老獪なテクニックで翻弄出来るか、吏亜夢がベテランを喰う成長を見せるか。


3月2日開催、聖地を揺るがせるか、新日本キックボクシング協会興行!

MAGNUM.61、軽量級から重量級まで、聖地を揺るがせるか

現在の新日本キックボクシング協会の主力メンバー、瀬戸口勝也、ジョニー・オリベイラ、木下竜輔出場。他団体選手を含め、誰がメインイベンターに迫るインパクトを残すか。

◎MAGNUM.61 / 3月2日(日)後楽園ホール 17:15~
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会

《主要4試合》

◆WKBA世界フェザー級王座決定戦 5回戦

日本フェザー級チャンピオン.瀬戸口勝也(横須賀太賀/1983.8.1鹿児島県出身)
       vs
NJKFフェザー級4位.赤平大治(VERTEX/2001.10.31栃木県出身)

瀬戸口勝也は2020年2月に平塚一郎(トーエル)と日本フェザー級王座決定戦を行ないKO勝利で王座獲得。コロナ禍を経て2022年10月に瀬川琉(稲城)にTKO勝利して初防衛。昨年3月に山浦俊一(新興ムエタイ)に判定勝利。5月にはガン・エスジム(タイ)に判定負け。10月に辰樹(Y’ZD)に1ラウンドで倒されるTKO負け(王座戦以外は3回戦制)。

赤平大治は昨年7月に山川敏弘(京都野口)にKO勝利も12月に大岩竜世(KANALOA)に3回戦2-1の判定負け。連敗中の瀬戸口勝也が汚名返上と、一気に新日本キックボクシング協会の最高峰に立てるか。

◆日本スーパーフェザー級タイトルマッチ 5回戦

初代選手権者.ジョニー・オリベイラ(トーエル/ブラジル出身46歳)
       vs
挑戦者2位.木下竜輔(伊原/1996.2.12福岡県出身)

木下竜輔は2021年4月デビュー。2022年年5月15日に王座挑戦経験を持つジョニー・オリベイラを第1ラウンドに右ストレートで倒すTKO勝利で一気に脚光を浴びる存在となった。両者は昨年3月3日に日本スーパーフェザー級王座決定戦で再戦し、ジョニー・オリベイラが判定勝利で王座獲得となりました。

ジョニー・オリベイラは昨年5月にペットボーライ・チュワタナに判定負け。7月に辰樹(Y’ZD)に判定0-3負け。10月に匠(KING)に判定2-0負け。チャンピオンに成ってまだ勝利を得ていない中で存在感を示さねばならない(王座戦以外は3回戦制)。

ジョニー・オリベイラ vs 木下竜輔、2戦目となった前回はジョニーが王座奪取(2024年3月3日初戦)

NJKF発祥の女子タイトル、ミネルヴァが団体の垣根を越えて広域にタイトル戦が行われる存在となって来ました。

◆女子(ミネルヴァ)スーパーバンタム級タイトルマッチ 3回戦

選手権者.浅井春香(無所属/1987.1.22愛知県大府市出身)
       vs
挑戦者4位.珠璃(=安黒珠璃/闘神塾/2006生)

二度の防衛はいずれも引分け。現在フリーだが、勝って防衛したい浅井春香は勢い有る珠璃を翻弄することが出来るか。

◆女子(ミネルヴァ)ペーパー級(95LBS)タイトルマッチ 3回戦

選手権者.上真(ROAD MMA/1985.10.16石川県出身)
       vs
挑戦者1位.撫子(GRABS/2000.7.7北海道札幌市出身)

上真は昨年10月13日に王座決定戦でAIKO(AX)と引分け延長戦で勝利し王座獲得。
挑戦権を得ていた撫子は以前の最軽量級のピン級(100LBS)チャンピオンだったが王座返上し、新たに設立された最軽量級のベストウェイトでチャンピオン目指す。

※         ※          ※

以上は協会や連盟といった団体制で行なわれている興行の一部のスケジュールです。

タイトルの価値に賛否の意見や疑問符付く試合もありますが、各団体の活性化と生き残りを懸けた戦いを長い目で見て行きたいところです。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

2025年に輝くキックボクサーたち 堀田春樹

1月下旬になって語るテーマでもないですが、昭和の隆盛期と比べて、正月松の内のキックボクシング興行は殆ど行われないのが現状です。

キックボクサーは注目を浴びるトップ選手だけでなく、不器用でも全敗でも各々に面白い個性があります。戦う場が少ない(出場出来る興行が少ない)選手も居ますが、昨年目立った中から、今年も話題を生むであろう選手を幾名か独断で選びました。

◆今年もトップクラスで輝くエース格

デビューから順風満帆に勝ち続けられる選手は殆ど存在しませんが、今年も上昇気流に乗って活躍、仮に同等以上の相手に負けても第一線級から脱落することは無いだろうと考えられるクラスには、

・ムエタイ殿堂三階級制覇、吉成名高(エイワスポーツ)

・壱センチャイジム(=与那覇壱世/元・ルンピニージャパン・バンタム級Champ)

・ジャパンキックボクシング協会の代表的エース格、睦雅(=瀬戸睦雅/ビクトリー)

・ニュージャパンキックボクシング連盟の代表的エース格、大田拓真(新興ムエタイ)等が存在します。

若干低迷しているものの、巻き返しが期待される中では、

・大田拓真の実弟、王座から落ちてはいるが大田一航(新興ムエタイ)

・IBFムエタイ世界王座から落ちて以降、奪回が待たれる波賀宙也(立川KBA)

・WMO世界王座には撥ね返されるも再浮上狙う瀧澤博人(ビクトリー)

・壁を撥ね返して再びメインイベンターとなるかNJKFバンタム級チャンピオン.坂本嵐(キング)

◆諸々の話題性増すと見込まれる選手

チャンピオンロードを歩み出して間もない選手や、ランカー以下でもこれから飛躍が臨める選手では、

・皆川裕哉を倒して王座戴冠したJKAフェザー級チャンピオン.勇成(Formed)

・一昨年9月、畠山隼人(E.S.G)を倒して王座戴冠後、激しい試合で勝っても負けても存在感増すNJKFスーパーライト級チャンピオン.吉田凛太朗(VERTEX)

2025年もメインイベンターの自覚持って戦う吉田凛太朗

・王座認定され、これから実績積み重ね勝負のNJKFウェルター級チャンピオン.小林亜維二(新興ムエタイ)

・テツジムの新エース、12月に王座戴冠したNKBフェザー級チャンピオン.勇志(テツ)

・勇志の御勧めでテツジム期待の秘密兵器、NKBバンタム級ランク入り確実、雄希(テツ)

・一昨年の王座戴冠から初防衛も果たしたNKBフライ級チャンピオン.杉山空(HEAT)

王座は初防衛果たして勢いに乗るNKBフライ級チャンピオン杉山空、他団体交流戦も期待

・令和の全日本キックボクシング協会でデビュー戦から最終試合(メインイベント)出場、ぜひとも飛躍して欲しい存在、バンタム級の北川広翔(稲城)

2024年3月16日、全日本初陣デビューからこれまで4戦3勝(1KO)1敗の広翔

・広翔同様に全日本キックボクシング協会を担う期待が掛かる野竹勇生(ウルブズスクワッド)

令和の全日本キックボクシング協会で次代のエース格候補No.1、野竹勇生

・古き時代の頑固一徹、渡邉ジムから現れた今時の新星、NKBバンタム級、4戦無敗の香村一吹(渡邉)

名門・渡邉ジムで久々のチャンピオン誕生に至るか、香村一吹

・国崇の後輩、関西で人気上昇中、NJKFスーパーバンタム級6位.庄司理玖斗(拳之会)

・与那覇壱世の後輩、センチャイジム期待の佐藤蒔音

壱世を追うセンチャイジムの期待の星、佐藤蒔音

・昨年は不振だったが、大化けしそうな存在感は大きいWMOインターナショナル・スーパーウェルター級チャンピオン.モトヤスック(=岡本基康/治政館)

・昨年3月に王座認定試合に勝利、今後もJKAメインイベンターの自覚持って戦うJKAフライ級チャンピオン.西原茉生(治政館)

・瀧澤博人、睦雅をピッタリ追うビクトリージム第3の男、JKAフライ級1位.細田昇吾

睦雅、瀧澤博人先輩の背中追って王座挑戦も近い細田昇吾

・高橋一眞に挑んだ二度挑戦の王座は敵わずも、次は豪腕で戴冠成るかNKBライト級1位.棚橋賢二郎(拳心館)

・2月22日に棚橋賢二郎と王座争うNKBライト級2位.蘭賀大介(ケーアクティブ)

・全日本キックボクシング協会を背負う責任重大のエース、スーパーフェザー級チャンピオン、瀬川琉(稲城)

・かつての名チャンピオン赤土公彦氏の御子息、まだまだ新人クラスも注目され期待値高い赤土公亮と剛琉の兄弟。

・小国ジム、かつての名チャンピオン佐藤友則、米田貴志の秘蔵っ子、吉仲悠(VALLELY)

・NKBライト3位.山本太一(ケーアクティブ)、“れいわ”の山本太郎氏並みに、耳に残る響きと、地道な努力に大器晩成型の期待感高まる存在。

今後も“太一やるじゃん”のアグレッシブな展開で魅せるか山本太一

◆ベテランの存在感

ピーク過ぎても老獪なテクニックで燃え尽きていない選手たち。メインイベンターから新人まで幅広い対戦相手と戦う元・チャンピオンが多い中、

・石川直樹(元・日本フライ級Champ/KickFul)

2023年8月に国崇からの対戦要求後にツーショットに収まった石川直樹

・国崇(=藤原国崇/元・WBCムエタイ日本スーパーバンタム級Champ/拳之会)

・片島聡志(元・WPMF世界スーパーフライ級Champ/KickLife)

・健太(=山田健太/元・WBCムエタイ日本ウェルター級Champ/E.S.G)

・藤原あらし(元・WPMF世界スーパーバンタム級Champ/バンゲリングベイ)

・オーシャン・ウジハラ(=氏原文男/元・WBCムエタイ日本フェザー級Champ)等
が若い選手の壁となって立ちはだかります。

◆生き残りを懸ける選手

第一線級を維持出来なければ引退という瀬戸際ながら、踏ん張る選手たち。

「お前、もう辞めろ!」と会長や身内から言われることはあっても、ルール的に引退勧告を受けることは無いキックボクシング界では、王座陥落や格下に連敗しても、自身のやる気次第で歳取っても、引退してもまた再起する選手も居るものです。

プロボクシング大手のジムとなると「試合の次の日、ジムに行ったら自分のロッカーが撤去されていた」という実例もあり、負ければ捨てられる厳しい世界でもある中、捨てる神あれば拾う神ありのキックボクシングは再起の道が広く開かれている業界でもあります。

そのキックボクシング界、まだ諦めてはいないという選手では、

・勝次(=高橋勝治/元・WKBA世界スーパーライト級Champ/TEPPEN)は連敗してもリベンジ精神満々でどのような完全燃焼へ進むかが見もの。

・JKAウェルター級1位.大地フォージャー(=山本大地/誠真)、政斗(治政館)に倒され初防衛成らなかったが出直しは可能、去就に注目。

・JKAフェザー級1位.皆川裕哉(KICK BOX)も初防衛成らなかったが、再浮上の期待が掛かります。

・日本フェザー級1位.木下竜輔(伊原)、現在の新日本キックボクシング協会を牽引するエース格と期待されながらジョニー・オリベイラに敗れ王座に就けずも、このままで終わるつもりは無いと闘志を燃やしています。

新日本キックボクシング協会を盛り上がられるか、右ストレートが強い木下竜輔

以上は私目線で2024年に見てきた選手たちで、今年も勝敗だけでなく、今後の試合レポートに登場することが考えられる、記録より記憶に残る話題を振り撒きそうな選手たちでした。

まだ注目株は大勢居ます。更に私が取材に行っていない大手イベントに登場する選手、去就が不明な選手も大勢居ますが、紹介しきれていないところは御容赦ください。

選手実績にはチャンピオンの肩書きが多いキックボクシング界です。それぞれはプロモーター主体の任意団体の王座で今後、国レベルのチャンピオンに成れるか、更なる上のメジャー競技に進むかも視野に入れて頑張って貰いたい2025年です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

原点回帰の一年、令和の全日本キックボクシング協会の躍進! 堀田春樹

令和全日本キック初のチャンピオン、瀬川琉がベテランのオーシャン・ウジハラに辛くも勝利。

全日本キックの将来を背負うであろう勇生はアグレッシブにヒジ打ちで圧勝。

期待の広翔も試合運びが上手く攻勢を維持して圧倒の勝利。

◎原点回帰 四ノ陣 / 12月28日(土)後楽園ホール17:30~21:24
主催:全日本キックボクシング協会 /

前日計量は27日14時より稲城ジムにて行われ、ヘビー級と女子は別格で未確認ですが、他は全員パスしています。戦績はパンフレットを参照し、この日の結果を加えています。

◆第13試合 60.0kg契約3回戦

全日本スーパーフェザー級チャンピオン.瀬川琉(稲城/1998.6.6東京都出身/59.8kg)
21戦14勝(4KO)6敗1分
         VS
オーシャン・ウジハラ(=氏原文男/無所属/1986.10.12高知県出身/59.8kg)
27戦13勝(8KO)14敗
勝者:瀬川琉 / 判定3-0
主審:少白竜
副審:竜矢29-28. 和田30-28. 勝本剛司30-28

オーシャン・ウジハラは2009年9月23日にWBCムエタイ日本フェザー級初代チャンピオンとなった心・センチャジム選手です。

初回、蹴り中心の様子見からハイキックも見せる瀬川琉。首相撲に移ると氏原文男のムエタイテクニックの圧力が優るが、離れると瀬川のサウスポーからの左ストレートヒットでリズムを掴んでいく。主導権を奪うには至らない両者のもどかしい互角の蹴り合いが続く中、瀬川が僅差判定勝利を掴んだ。

瀬川琉がいきなりのサウスポーからの左ストレートヒット
瀬川琉がいきなりのサウスポーからの左ストレートヒット
氏原文男はムエタイテクニックで攻め、瀬川琉が迎え撃った
氏原文男はムエタイテクニックで攻め、瀬川琉が迎え撃った
瀬川琉のカウンター左ストレートヒット、リズム掴んで僅差ながら勝利を導く
瀬川琉のカウンター左ストレートヒット、リズム掴んで僅差ながら勝利を導く

◆第12試合 スーパーライト級3回戦

勇生(ウルブズスクワッド/2005.石川県出身/63.3kg)5戦4勝(1KO)1分
      VS
ユン・ジソン(韓国/ 61.9kg)4戦3勝1敗
勝者:勇生 / TKO 2ラウンド 3分0秒 / ヒジ打ちによる左眉カット
主審:椎名利一

勇生は前回6月13日に滝口遥輝にKO勝利。両者、性格的にもアグレッシブに攻める中、我武者羅に出るユン・ジソンに対し、勇生の距離に応じて上下の蹴りパンチ、ユン・ジソンの蹴り終わりを攻めたりとテクニックが優っていく展開。第2ラウンド終盤に首相撲に移った中で、勇生の右ヒジ打ちがユン・ジソンの左眉上をカットした様子。レフェリーがタイムストップを掛けたのはラウンド終了ゴングと同時だったが、ドクターチェックに入り、傷が深くストップ勧告を受入れ、レフェリーストップとなった。

勇生が優勢に進めた中の右ストレートヒット
勇生が優勢に進めた中の右ストレートヒット
勇生がヒジ打ちで斬った後の左ハイキック、この後すぐレフェリーがタイムストップ
勇生がヒジ打ちで斬った後の左ハイキック、この後すぐレフェリーがタイムストップ

◆第11試合 バンタム級3回戦

広翔(稲城/ 53.4kg)4戦3勝(1KO)1敗
    VS
ハリィ永田(Astra Workout/ 53.5kg)32戦13勝17敗2分
勝者:広翔 / TKO 3ラウンド 50秒
主審:和田良覚

広翔は前回、9月6日に風間祐哉に判定勝利。

初回、蹴りの攻防から広翔の蹴りパンチヒザ蹴りで攻勢を強める。長身を活かしたハリィ永田が蹴りで攻めるも、広翔も距離を掴んで蹴り返し主導権を奪うと、首相撲から転ばせる技も使って優勢を目立たせた。

アグレッシブな両者、広翔は左ストレートを活かした攻勢
アグレッシブな両者、広翔は左ストレートを活かした攻勢

第2ラウンドも広翔のリズムで進み、終盤はローキックからパンチ連打で永田を劣勢に追い込んで終了。第3ラウンド、広翔は左フックで永田をグラつかせ、ヒザ蹴りからパンチ連打でノックダウンを奪い、更に猛攻でパンチ連打で圧倒し、崩れ行くところをレフェリーストップとなった。広翔のスピーディーさ、攻めの圧力はデビューから1年足らずで成長。来年はこの団体のタイトル争いに浮上するだろう。

広翔が圧倒していく中のヒザ蹴り、更にパンチ連打で仕留める
広翔が圧倒していく中のヒザ蹴り、更にパンチ連打で仕留める

◆第10試合 58.0kg契約3回戦

杉浦昴志(キックスターズジャパン/ 57.85kg)3戦2勝1分
      VS
中村健甚(稲城/ 57.8kg)3戦1敗2分
引分け 0-1
主審:勝本剛司
副審:椎名29-29. 少白竜29-30. 和田29-29

打撃はアグレッシブに多彩に出るまだ3戦目の両者。パンチと蹴りのコンビネーションが揃わず、勝ちに行く姿勢はあるが、これで倒そうという技が無い印象のまま引分けに終わった。

◆第9試合 52.0kg契約3回戦

吉田鋭輝(team彩/ 51.85kg)3戦2勝1敗
       VS
HIROKI(AKIRA ~budo school~/ 51.7kg)4戦3勝1敗
勝者:HIROKI / 判定0-3
主審:竜矢
副審:勝本29-30. 椎名29-30. 和田28-30

アグレッシブにパンチと蹴り、首相撲で組み合う攻防も見られる中、僅差ながらHIROKIの勝利。

◆第8試合 スーパーフライ級3回戦

横尾空(稲城/ 51.9kg)3戦2勝1分
     VS
風間祐哉(WSR三ノ輪/ 51.7kg)4戦1勝2敗1分
引分け 0-0
主審:少白竜
副審:勝本28-28. 椎名28-28. 竜矢28-28

横尾空は前回、9月6日に内山朋紀に僅差ながら判定勝利。風間祐哉は同日、広翔に判定負け。

初回、横尾空が飛びヒザ蹴りを出した後、パンチの攻防から風間裕哉も飛びヒザ蹴りを出し、これが効いたか、その後パンチが当たったか、横尾がノックダウン。呼吸を整える横尾にはまだ余裕ある表情。

第2ラウンドから横尾が冷静に試合を組み立て、風間を上回るパンチと蹴りで巻き返していくと、パンチを喰らった風間は鼻血が激しくなる苦しい展開。第3ラウンドにドクターチェックを受ける風間だったが、鼻は折れてはいない様子。完全に主導権奪った横尾が巻き返すもポイント的に引分けに終わった。

◆第7試合 68.0kg契約3回戦

義人(kickboxing Fplus/ 67.3kg)3戦2勝(1KO)1敗
       VS
石塚健太(武士魂 二代目闘心塾/ 66.0kg)1戦1敗
勝者:義人 / TKO 2ラウンド 1分44秒 /
主審:和田良覚

初回、パンチ中心の攻防から第2ラウンドも義人が打って出て組んでのヒジ打ちも打って攻勢を強め、更に組んでのヒザ蹴り、パンチ連打から右フックで石塚健太を倒すとレフェリーはほぼノーカウントでストップ。石塚は担架で運ばれた。

この日KO勝利から。義人は連打から左フックで仕留めていく
この日KO勝利から。義人は連打から左フックで仕留めていく

◆第6試合 女子48.0kg契約3回戦

牛山華子(HIDE’S KICK)1戦1敗
     VS
あー子(無所属)2戦2勝
勝者:あー子 / 判定1-2 (29-28. 29-30. 28-30)

この令和の全日本キックボクシング協会に於いては初の女子試合。そして3回戦ではあるが、男子と同じ3分制で行なわれた。

蹴りはパンチへの繋ぎ技でパンチ中心に攻めた両者。採点も分かれる差の付き難い展開はジャッジ三者が揃うラウンド無くあー子がスプリット僅差判定勝利。

◆第5試合 スーパーライト級3回戦

滝口遥輝(中島道場 / 62.6kg)3戦2敗1分
      VS
NAOKI(WSR西川口/ 63.35kg)3戦1勝(1KO)2敗
勝者:NAOKI / KO 2ラウンド 2分4秒 /

パンチと蹴りの攻防はNAOKIが圧していく展開。NAOKIの組みに行ってのヒザ蹴りで滝口遥輝が身体をくの字に、うつむいてしまうのは危なくて守りにならない。

第2ラウンドもNAOKIのパンチからヒザ蹴りの攻勢で滝口からノックダウンを奪い、踏ん張る滝口はパンチで出るが再びNAOKIのヒザ蹴りに捕まり、計3度となるノックダウンによるNAOKIのKO勝利。

この日KO勝利から。NAOKIはヒザ蹴りで3度のノックダウンを奪って圧勝
この日KO勝利から。NAOKIはヒザ蹴りで3度のノックダウンを奪って圧勝

◆第4試合 ヘビー級3回戦

オマル・ファーレス(稲城)1戦1敗
     VS
ピクシー犬飼(府中ムエタイクラブ)3戦1勝1敗1NC
勝者:ピクシー犬飼 / 判定0-3 (26-29. 26-29. 27-30)

◆第3試合 スーパーバンタム級3回戦

二宮渉(アウルスポーツ/ 54.85kg)2戦1勝1敗
       VS
馬上一樹(G-1 TEAM TAKAGI/ 55.3kg)4戦4敗
勝者:二宮渉 / 判定3-0 (28-26. 28-26. 29-26)

◆第2試合 スーパーライト級3回戦

野竹生太郎(ウルブズスクワッド/ 63.2kg)2戦2勝
      VS
小玉倭夢(無所属/ 63.15kg)1戦1敗
勝者:野竹生太郎 / 判定3-0 (30-28. 30-27. 30-28)
主審:勝本剛司

野竹生太郎は勇生の実弟。パンチでリズム掴むと蹴りも優っていき大差判定勝利。

◆第1試合 スーパーフライ級3回戦

鬼久保海斗流(健成会/ 52.05kg)1戦1敗
      VS
井上蓮治(パラングムエタイ/ 51.95kg)1戦1勝(1KO)
勝者:井上蓮治 / TKO 2ラウンド 59秒 / カウント中のレフェリーストップ

スピーディーな両者の攻防。一つ一つの蹴りに場内両陣営の応援団の大声援に湧く。デビュー戦からこの盛り上がりはなかなか見られない光景。第2ラウンドには井上蓮治の左ストレートでノックダウンを奪うと井上が更に鬼久保海斗流をコーナーに追い詰め、連打から左ストレートで仕留めた。

《取材戦記》

「ウジハラは歳じゃん! 瀬川が圧倒しないと駄目でしょ!」というリングサイドで聞かれた試合前。

オーシャン・ウジハラは2009年9月23日にアトム山田に判定勝利し、WBCムエタイ日本フェザー級初代王座獲得した心・センチャイジムで、翌年には眼の負傷もあってキックボクシングを離れ、長期治療の後、JBCの認可を受けプロテストを受け、フラッシュ赤羽ジムよりプロボクシングデビューを果たしました。諸々の経緯あって2019年にキックボクシング復帰に至っています。

ウジハラは「今回(瀬川琉に)負けたら引退と思っていましたが、ちょっと冷静に考えます。」とまだ戦う意欲有りの中、今後のことは考え直す様子が窺えました。
元々、センチャイジムではデビュー戦から5回戦だったという。

「キックボクシングは5回戦が基本だからね。」というセンチャイ会長の言葉だった。今回の試合も「5回戦で観たかった」という応援者の声があったという。

その試合は主導権支配には至らなかったが、組み立て方は衰えておらず、ここでの引退は勿体無いところである。もう暫く王座復帰を目指す、チャンピオンを苦しめる、若手の壁になるといった存在であって欲しい。

瀬川琉は「超ダメでした。試合早々に足痛めて蹴れなくなって課題だらけの試合でした。負けたとは思わなかったけど、もっとしっかり勝って、いろいろ言いたかったところは抑えて、出直しだなと思う感じです」と多くは語れない立場という振舞いで、来年に向けては前回リング上で語ったとおり、「全日本のベルトの価値を高めていくこと。他団体のトップどころと戦うリングに立てるように上を目指して行きます」というエース格の自覚がありました。

セミファイナルの勇生は「楽しかったです。今回、リラックスして倒すこと考えてやったら上手くいった感じですね」

「タイトル挑戦があるとしたら?」の問いに「来年中にはタイトル獲りたいですね」という回答でした。

対するユン・ジソンは勇生から受けたヒジ打ちによる傷が深くて骨まで達していた様子で、医務室で傷を縫う治療を受けていました。

セレモニーでは、9月17日に脳梗塞の影響で逝去されました、平成の元・全日本ライト級チャンピオン、須藤信充氏の追悼テンカウントゴングが行われました。御子息の須藤健太氏がジーニアスジムを受け継ぎ、運営していく模様。御挨拶ではマイクが要らないぐらい力強い大きな声で感謝の言葉を述べ、“須藤~信充~!”とコールしてリングを下りました。父親の活発さを受け継ぐ健太氏がまた各所でちょっとユニークな存在で盛り上げてくれることでしょう。

2024年9月、脳梗塞で亡くなられた須藤信充氏の御子息、村松健太氏が活気ある感謝の御挨拶
2024年9月、脳梗塞で亡くなられた須藤信充氏の御子息、村松健太氏が活気ある感謝の御挨拶

栗芝貴代表の今年の総評は、
「今年(2024)一年、全日本キック立ち上げて大成功だったと思います。他(団体)がどうと言うよりは我々がどういう姿勢で向き合って来たかというところ。来年に向けて、将来に向けて、子供たちに夢や希望を持てるキックボクシング競技にする為に考えてみて、一歩ずつそこに向かっていると間違いなく実感しています。それで賛同してくれる人が本当に今、どんどん増えているので、僕の熱量をどう伝えていくかというところです。来年(2025)は更にチャンピオンを、何とか勇生を中心に仕上げていきたいですけど、そこに追随するウチの協会の選手を来年もデビュー戦からどんどん追っかける選手を作らなきゃいけないですね」と語り、
正に一から始まった全日本キックボクシング協会が、他団体と比べられながらも成長は感じるところでしょう。まず興行の一年目終了。二年目に更なる進化があるかが注目です。

今回、国内加盟ジムが5件増え、A-BLAZE KICK、武士魂二代目闘心塾、百足道場、中島道場、ONE BOXING FITNESSと更に韓国のサムサンムジムが合流。加盟ジムが20件を超えるのはかつての新日本キック並みという勢いです。

令和の全日本キックボクシング協会、2025年の興行日程は3月28日(金)、6月20日(金)、10月5日(日)、12月28日(日)、いずれも後楽園ホール夜興行で開催予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年2月号

キックボクシング 2024年を振り返る 堀田春樹

2024年もキックボクシング界の話題は豊富でした。選手の活躍も各々ありましたが、各団体単位でも時代の流れと共に諸々の動きがありました。世間一般には注目されない小さな出来事でも、振り返っておきたい2024年の話題を纏めました。

◆全日本キックボクシング協会の初陣興行

2023年春に新日本キックボクシング協会から離脱した稲城ジム栗芝貴代表が同年8月1日、全日本キックボクシング協会を設立。原点回帰を掲げ、今年(2024年)3月16日に初陣興行を行ないました。12月28日までに計4回の興行では大半が新人戦で、正に一から始まった新団体でした。

1月20日の設立記者会見で栗芝貴代表は、「三年で全日本キックボクシング協会の名前を全国に轟かせる。三年でスター選手作る。後楽園ホールを満員にして、この三年で作り上げていくのが僕の責任と思っています。」と語りました。

デビュー戦からメインイベンターを目指す自覚を持たせ、試合をアグレッシブな展開に導いて新人にも大きい成長も見られました。

9月6日には初のタイトルマッチ、全日本スーパーフェザー級王座決定戦を行ない、瀬川琉(稲城)が仁琉丸(ウルブズスクワッド)を倒して最初のチャンピオン誕生となりました。二人はすでに新日本キックボクシング協会での戦歴ある選手でしたが、今後は各階級で全日本キックボクシング協会からデビューした選手らが王座を争っていくことでしょう。

2025年は設立から3年目。初陣興行から2年目。まだ全国どころか格闘技界にも存在感は薄い現在。2025年はどこまで浮上することが出来るか、まだまだ険しい道程が続きます。

令和の全日本キックボクシング協会初陣興行出場選手と栗芝貴代表(2024.1.20)

◆新日本キックボクシング協会の変化と江幡塁引退

新日本キックボクシング協会の一時代を担った江幡ツインズの塁が、前年2月に患った脳腫瘍の影響からドクターストップによる引退に踏み切りました。

選手として引退も、「新日本キックボクシング協会から世界を獲れるような強さ、そして自覚を持った選手を輩出していけるように力を尽くしていきます!」と昨年10月のリング上で語ったとおり、後進の指導には今後も続けて行く模様。

その一年前の時点では、「選手を諦めていない」という語りから、復帰して現役続行かと期待しましたが今後、願わくばプロモーターとして興行を担っていけば、また新日本キックボクシング協会の再浮上もあるかもしれない僅かな可能性も期待したいものです。

その新日本キックボクシング協会は選手層の薄さが表れる中、外国人選手によるメインイベンター起用や、Mixed Martial Arts(MMA)の試合もテスト的に開催されました。

今後、どのように進展していくかは未定ながら動向が注目されます。

江幡塁、清々しい引退式にて、愛娘と一緒に(2024.10.6)

◆武田幸三の一年

2023年10月にニュージャパンキックボクシング連盟に加盟し、主力プロモーターとして団体を率いる存在となった武田幸三氏。「NJKFをトップ団体に引き上げる」と宣言し、以前から掲げていた“CHALLENGER”というコンセプトの下、ここまで計6度の興行を前日計量と記者会見から盛り上げ、それまでのNJKF色をすっかり変えてしまい、以前のNJKFに無いインパクトある興行が続きました。

「本気でトップ狙って本気でトップの団体にしようと思っています。」と語った武田幸三氏。一年を経過した今後、更に世間にどれだけ選手の存在感、NJKFの存在感が訴えらるかが期待されるところでしょう。

武田幸三、NJKFでの所信表明演説(2023.11.12)

◆長江国政さん永眠

昭和の全日本キックボクシング協会隆盛期で、一時代を築いた長江国政さんが6月11日に肺癌の為、永眠されました。すでに述べた部分ではありますが、2018年頃から神経性の難病との戦いが続いていましたが、難病の悪化とは直接の関係は無い模様で、煙草を吸う姿を何度も見たことありますが、こんな影響もあったのかもしれません。

キックボクシングの主力関係者の訃報が聞かれること多くなった近年、それまではキックボクシング生誕から関わって来た選手、興行関係者が若かったことに尽きるでしょう。競技そのものが新興格闘技だった為、二十代で活躍した名選手らも今や七十代以降に突入している時代です。でもその七十代でジム復興や立ち上げも計画している若々しいレジェンドも居て、今後もどう展開するか注目したいところです。

長江国政メモリー、会場での展示にて(2024.7.28)

◆2025年に何を期待するか

各団体の興行の少なさ。ランキングの層の薄さが見られる各団体。過去には統一に向けた動きや、団体統一は目指さなくても、一定の団体が集まる統一チャンピオン制定がありました。

現在のNKBも初期は4団体が集まったものでした。WBCムエタイ日本統一ランキングも立ち上げから活発だった時期もありました。いずれも現在も継続されていますが、キックボクシング界を先頭切って率いるほどの注目度はありません。

近年の選手が目指すものはONE Championnship、KNOCK OUT、RIZINといったリングで勝負することへ方向転換されている現在です。本来の活性化した日本タイトルには至らないのか。そこに既存の団体の纏まりに希望を持ちたいところで、武田幸三氏や全日本キックボクシング協会の飛躍に期待が掛かります。

私が関わる独断による団体編の纏まりの無い語りとなり、他にも日本キックボクシング連盟やジャパンキックボクシング協会の活動もありますが、次回は選手編で2024年に勝ち負け関係無く、各団体の目立った選手の動向を拾ってみようと思います。

令和の全日本キックボクシング協会最初のチャンピオンは瀬川琉(2024.9.6)

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

冠鷲シリーズ最終戦、勇志が王座戴冠となって今年を締め括る! 堀田春樹

テツジムから6人目のチャンピオン誕生。勇志が鎌田政興を圧倒して王座決定戦を制す。

次なるテツジム期待の雄希はランカーの佐藤勇士を倒す急成長。

蘭賀大介は苦戦の始まりから持ち直しの判定勝利。

◎冠鷲シリーズFINAL(vol.7) / 12月14日(土)後楽園ホール17:30~20:48
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

戦績はプログラムを参照し、この日の結果を加えています。

◆第10試合 第17代NKBフェザー級王座決定戦 5回戦

2位.勇志(テツ/2000.4.28大阪府出身/ 57.05kg)15戦11勝(5KO)2敗2分
          vs
4位.鎌田政興(ケーアクティブ/1990.5.6香川県出身/ 56.8kg)22戦10勝(3KO)10敗2分
勝者:勇志 / 判定3-0
主審:前田仁
副審:鈴木50-45. 高谷50-45. 笹谷50-44

両者は2020年12月に3回戦で対戦し、勇志が初回にノックダウン奪って判定勝利しています。前回10月19日の一人欠場による三名抽選準決勝戦を経て、この日迎えた王座決定戦。

手の内を知る中、初回早々から勇志の突進が凄かった。上下の蹴り、後ろ蹴り、右ストレート、間を置いて飛びヒザ蹴りやバックハンドブローと鎌田政興を倒さんばかりの圧力を掛けた。鎌田は反撃しても巻き返すような勢いは足りない。

勇志が多彩に攻めた中の飛びヒザ蹴りが鎌田政興にヒット

第2ラウンドには勇志が不意を突いた左ハイキックでノックダウンを奪った。攻めの勢いは衰えぬもタフな鎌田に攻め倦む流れに移り、勇志の攻勢は変わらずも後半に入ると疲れも見えて来てノックアウトには至らないだろうという空気が漂う。それでも大差で危なげなく進んだ。鎌田はパンチで逆転狙うが、クリーンヒットせず勇志に躱された。勇志は王座初戴冠。

ノックダウンを奪った勇志の左ハイキック、この後、鎌田政興は後方に倒れた
勇志が多彩に攻める中のローキックで鎌田政興を追い詰める

勇志は試合後、「鎌田はタフでしたね」

後ろ蹴りは何発かボディーヒットもあったが、アゴを狙ったか?の問いに、
「後ろ蹴りは適当です。ちょっと技見せようかなと思ってやったらあんな風になりました。まだまだ出してない技もあります」

圧倒に至った展開について、「スタミナはあったけど後半はちょっとしんどかったです。ノックダウンはあと2回ぐらいあったと思うんですけど、レフェリーがとってくれへんかったですね」

後輩を売り込み、「次、雄希がベルト狙って行きます」と、この日のアンダーカードでランカーの佐藤勇士に圧勝したバンタム級の雄希を称えた。

テツジム大阪のチームワークの勝利でもある

◆第9試合 62.0kg契約3回戦

NKBライト級2位.乱牙(=蘭賀大介/ケーアクティブ/1995.2.9岩手県出身/ 62.0kg)
10戦7勝(3KO)2敗1分
        vs      
スックワンキントーン・スーパーフェザー級5位.須藤誇太郎
(フジマキックムエタイ/2001.8.12神奈川県出身/ 61.85kg)10戦5勝(1KO)4敗1分
勝者:乱牙 / 判定3-0
主審:笹谷淳
副審:加賀見29-28. 高谷29-28. 前田29-28

開始15秒程に須藤誇太郎の投げ落としに近い崩しで乱牙は後頭部を打ったか、脚が覚束ない動きになって劣勢に陥った。須藤誇太郎はチャンスでありながら乱牙を仕留めるに至らず、乱牙はダメージを引き摺りながらも徐々に巻き返しに掛かった。

抱え上げられ落とされた流れの乱牙は後頭部を打った


第2ラウンド終盤には須藤をコーナーに追い詰めパンチ連打で主導権支配する攻勢。第3ラウンドも圧力掛けて出た乱牙がパンチで須藤を追い詰め、倒すに至らずも形勢逆転の判定勝利となった。

盛り返す中の乱牙の連打

乱牙は来年2月22日、棚橋賢二郎とNKBライト級王座決定戦が予定されています。

◆第8試合 ライト級3回戦

NKBライト級3位.山本太一(ケーアクティブ/1995.12.28千葉県出身/ 61.0kg)
20戦7勝(4KO)9敗4分
         vs
利根川仁(Realiser STUDIO/2003.1.24東京都出身/ 61.1kg)7戦6勝(2KO)1敗
勝者:利根川仁 / TKO 3ラウンド 1分57秒 /
主審:鈴木義和

初回、パンチを軸にローキックを加えた交錯が続くと、利根川仁の右ストレートヒットし、山本太一がノックダウン。再開後直ぐ、利根川仁が飛びヒザ蹴り、ハイキック、パンチ連打で再びノックダウンを喫する山本太一。

利根川仁が優ったパンチの交錯、山本太一は距離感が狂ったか

第1ラウンドは凌いだが、第2ラウンド早々にも利根川仁の前進からパンチ連打でノックダウンを喫する山本太一。ところがここから山本太一が左ストレートで逆転ノックダウンを奪い反撃に転じた。経験値の差かと思われたが、追い込んでいく中、またも利根川仁の右ストレートがヒットするとゆっくりしたモーションで倒れ込む山本太一。立ち上がるが第2ラウンドは終了。

第3ラウンドも利根川仁が連打でノックダウンを奪い、打ち合いに出る山本太一と一進一退の攻防を続けながらカウンターパンチでこのラウンド2度目のノックダウンを奪うとレフェリーがカウント中の試合をストップし、利根川仁がTKO勝利となった。

劣勢の山本太一が逆転ノックダウンを奪った左ストレートヒット、会場を盛り上げた

竹村哲マッチメイカーは山本太一に対し、「ダメージ貰った中であそこからダウン取り返したことは凄く良かった。“太一やるじゃん”と、あれで会場がワーッと盛り上がった。試合としては凄く良かったよ!」と絶賛。

山本太一は「勝ち上がるには今後もこのスタイルで行くしかない。ステップ使って無難に勝っても、あんまり観衆の印象に残らずダメな試合になっちゃうし、今日は倒しに行こうかなと思ったけど、結果負けちゃったし。気持ちは弱かったです」

竹村氏に戦略的アドバイスを受け、今後も倒しに掛かる試合を見せればタイトル戦やビッグマッチ起用へも可能となって来る山本太一である(興行終了後、たまたま見つけた山本太一にインタビュー)。

◆第7試合 バンタム級3回戦

NKBバンタム級3位.佐藤勇士(拳心館/1991.8.12新潟県出身/ 53.1kg)
22戦6勝(2KO)13敗3分
        vs
雄希(テツ/2002.9.3大阪府出身/ 53.1kg)7戦5勝(3KO)2敗
勝者:雄希 / KO 2ラウンド 2分30秒 /
主審:高谷秀幸

初回は両者、ローキックで距離感を探る様子見の中、雄希の蹴りの勢いで佐藤勇士にプレッシャーを与える。左ストレートでスリップダウンを奪うが、更に蹴りで誘ってパンチでノックダウンを奪い、攻勢を維持して効果あるヒットを繰り出した。
第2ラウンドも雄希の勢い止まらず、パンチ連打で2度ノックダウンを奪った後、勢い乗ったまま最後はヒザ蹴りをアゴ辺りにヒットさせ、3ノックダウンとなって圧倒のKO勝利。

雄希のヒザ蹴りが佐藤勇士にヒットしノックアウト勝利、ランカー破りの飛躍となった

◆第6試合 バンタム級3回戦

香村一吹(渡邉/2007.2.22東京都出身/ 52.5kg)4戦4勝(1KO)
        vs
涌井大嵩(アルン/1997.3.2新潟県出身/ 53.2kg) 4戦3勝(1KO)1敗
勝者:香村一吹 / 判定3-0
主審:加賀見淳
副審:前田30-29. 鈴木30-28. 高谷30-28

初回早々は涌井大嵩が先手を打って組んでのヒザ蹴りを入れるが、香村一吹は慌てることなく離れて蹴りとサウスポーからの左ストレートで攻勢に転じる。

第2ラウンド、蹴りとパンチの攻防も香村のパンチと蹴りのコンビネーションが冴え、やや優った流れも相手を見てしまう間合いもあり、終了間際にはヒジかパンチかバッティングか、右頭部を斬る負傷をしてしまったが続行可能とされ、第3ラウンドも差は付き難い中、サウスポーからの左ストレートとすぐ蹴りに繋ぐ攻撃力優った香村が圧し切り判定勝利。

流血しながら攻勢を維持した香村一吹、渡邉ジム久々の新星である

◆第5試合 バンタム級3回戦

兵庫志門(テツ/1996.4.14兵庫県出身/ 53.52kg)15戦6勝(1KO)7敗2分
        vs
ベンツ飯田(TEAM Aimhigh/1997.4.17群馬県出身/ 53.25kg)17戦3勝(1KO)11敗3分
勝者:兵庫志門 / 判定3-0
主審:笹谷淳
副審:前田30-27. 鈴木30-27. 加賀見30-27

兵庫志門がやや優る攻勢の中、最終第3ラウンドに兵庫志門ハイキックでノックダウンを奪ったが、引退試合のベンツ飯田は踏ん張って終了ゴングまで耐え切った。

◆第4試合 62.5kg契約3回戦

ちさとkiss Me!!(安曇野キックの会/1983.1.8長野県出身/ 62.25kg)
41戦7勝(3KO)30敗4分
        vs
辻健太郎(TOKYO KICK WORKS/1984.3.13東京都出身/ 62.45kg)6戦2勝(1KO)1敗3分
引分け 三者三様
主審:高谷秀幸
副審:前田30-29. 加賀見29-30. 笹谷30-30

蹴りとパンチの決め手の無い攻防は差が付き難い展開で修了。第2ラウンドが三者三様になった以外は互角の採点だった。

◆第3試合 ウェルター級3回戦

石原尚斗(テツ/1997.9.10岡山県出身/ 66.4kg)2戦1勝(1KO)1分
        vs
マナチャイ・エイムハイ(TEAM Aimhigh/1995.9.14群馬県出身/66.55kg)10戦2勝7敗1分
引分け 0-0 (28-28. 28-28. 28-28)

初回、パンチ連打でノックダウンを奪った石原尚斗だったが、巻き返していくマナチャイ。結果的にポイント追い付いて引分けとなった。

◆第2試合 51.5kg契約3回戦

緒方愁次(ケーアクティブ/2004.1.6東京都出身/ 51.4kg)3戦3勝
        vs
真虎(kick life/2002.6.28埼玉県出身/ 51.15kg)16戦1勝13敗2分
勝者:緒方愁次 / 判定3-0 (30-26. 30-27. 29-28)

初回、飛びヒザ蹴りでノックダウン奪った緒方愁次。真虎は劣勢から立ち直り、そこから互角に渡り合うも巻き返すには至らず、緒方愁次の判定勝利。

◆プロ第1試合 ライト級3回戦

龍一(拳心館/1995.11.17新潟県出身/ 60.95kg)10戦9敗1分
        vs
リョウヤ・ハリケーン(テツ/2002.10.20兵庫県出身/ 60.25kg)2戦1勝(1KO)1分
勝者:リョウヤ・ハリケーン / TKO 1ラウンド 35秒

初回早々のパンチのクリーンヒットでノックダウンを奪ったリョウヤが更に連打で龍一を倒すとレフェリーがノーカウントで試合ストップした。

◆3.アマチュア(オヤジキック提供) 81.0kg契約2回戦(90秒制)

天狗ちゃん(テツジム東京/ 80.05kg)
        vs
ナオマサ・ルトタナモンコンスック(D-BLAZE/77.55kg)
勝者:天狗ちゃん / 判定3-0 (20-17. 20-28. 20-17)

◆2.アマチュア(オヤジキック提供) 66.0kg契約2回戦(90秒制)

菅野裕宜(無所属/ 65.1kg)vs 昂介(D-BLAZE/65.8kg)
勝者:昂介 / 判定0-3 (18-20. 18-20. 18-20)

◆1.アマチュア(オヤジキック提供) 61.0kg契約2回戦(90秒制)

まさる(Labore spes/ 60.35kg)vs 長友亮二(KING/ 60.2kg)
勝者:まさる / TKO(RSC)2ラウンド 35秒

《取材戦記》


ベストファイトは勇志 vs 鎌田政興と山本太一 vs 利根川仁でしょうか。タイトルマッチの重みで勇志 vs 鎌田政興。一進一退の攻防で盛り上げたのは山本太一 vs 利根川仁でしょう。

勇志のパワフルな攻撃力は見事でしたが、後半バテる様子も窺えました。やはり3回戦制の戦い方で5回戦を戦っているのかもしれません。スタミナが足りない訳ではなく、前半飛ばし過ぎなのでしょう。

山本太一 vs 利根川仁戦の第2ラウンドはノックダウンの応酬となり、山本太一が二度、利根川仁が一度となりました。このラウンドの採点は10-8が一者と10-9が二者で利根川仁を支持でした。この二度対一度のノックダウンの在り方で採点はどう付けられるか。これはプロボクシングに於ける解釈として参考まで。ノックダウンの順は関係無く、両者一度分のノックダウンは相殺され、残る一つのノックダウンが採点されることになり、10-8となるのが基準。キックボクシングに於いても採点基準はプロボクシングに倣うことは重要でしょう。

蘭賀大介は今回からリングネームを“乱牙”と改名。本名で充分カッコいいと思いますが、その変更理由は聞くには至りませんでした。平成以降は姓と名が揃っていないリングネームが多い時代です。

人名はその名字の由来やその人柄を表すものとして、少ない文字で多くの情報が詰められている俳句のようにと言っては語弊があるかもしれませんが、あらゆるスポーツ選手も本名が多く(大相撲は別格)、日本人が使う漢字名はカッコいいものです。

2025年の日本キックボクシング連盟シリーズ名は「爆発シリーズ」です。爆発って過激な響きがあります。これも漢字の力。今年は冠鷲シリーズでした。あまり冠鷲とは関係無かったような気はしますが、毎年のシリーズ名も漢字のインパクトは大きいものです。

興行日程は2月22日(土)、4月26日(土)、6月21日(土)、8月3日(日)大阪175BOX、8月9日(土)新潟・大かま、10月18日(土)、12月13日(土)、8月以外は全て後楽園ホール夜興行です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/

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