〈特別寄稿〉こんな官僚的対応をしていて、新聞社として取材活動ができるのか ── 大学院生リンチ事件・鹿砦社名誉毀損事件をめぐる朝日新聞の対応について 山口正紀(ジャーナリスト、元読売新聞記者)

2月20日付「デジタル鹿砦社通信」を読んで、朝日新聞社の不誠実極まりない官僚的対応にあきれ果てた。

◆幹事社として鹿砦社に対応した朝日記者には、明らかに「説明責任」がある

問題の第一は、鹿砦社が李信恵氏を名誉毀損で提訴した際、記者クラブ幹事社として記者会見の要請を拒否したこと。「加盟全社に諮ったうえ」とのことらしいが、少なくともあの凄惨なリンチ事件の当事者が、それを告発した鹿砦社を「クソ」呼ばわりした、しかもその当事者は李信恵という社会的に名の知られたライターであり、自身の訴訟では度々記者会見を開き、記者クラブ加盟各社もその会見を記事にしてきた、半ば公人である。

これは、司法記者クラブという半ば公的な存在であるメディア機関が、このリンチ事件に関しては「中立・公正」の建前を捨て、それを市民・読者・視聴者に伝えるメディアとしての役割を放棄し、リンチ加害者を擁護したことになる。

これについて、幹事社として鹿砦社に対応した朝日記者には、明らかに「説明責任」がある。朝日新聞は、安倍政権のモリカケ疑惑などで、関係機関・個人の「説明責任」を求めてきたが、自身がそれを求められた場合、当事者である記者が、電話にも応じないというのは、実に不可解な態度であり、明らかな二重基準だ。

◆3人の朝日記者がとった対応は、ジャーナリストとしての基本を踏み外した責任放棄対応だ

問題の第二は、関与した記者たちが、鹿砦社の電話取材から逃げ回り、記者個人・ジャーナリストとしての矜持も捨てて、「会社」にすべてをゆだねてしまう情けなさだ。

この3人の記者は、自分の取材対象が取材途中で「詳しいことは会社が対応します。広報を通じて取材して下さい」と言ってきたら、はいそうですか、とすんなり応じるのだろうか。そんなことはあるまい。「あなたには、問題の当事者として取材に答える義務がある」とその当事者を追及するのではないだろうか。

もし、これが朝日新聞の「取材への基本的対応」であるとしたら、もうこれから、だれも朝日の取材には応じなくなるだろうし、応じる必要もなくなるだろう。3人の記者がとった対応は、それほどにジャーナリストとしての基本を踏み外した、「会社人間」の責任放棄対応だ。

◆本社広報部部長代理の対応は国税局長に出世した佐川氏と同レベルだ

問題の第三は、対応を委ねられた本社広報部部長代理の尊大極まりない電話対応だ。

個々の記者には「本社広報部が窓口」と言わせておきながら、窓口としての役割を果たそうとせず、鹿砦社の取材を「非常識・迷惑」と非難する不誠実な電話対応に終始した。

少なくとも、「広報が対応する」というのなら、記者個々人に代わって、広報部としてきちんと質問に答えなくてはならない。そうでなければ、「広報部」とは言えない。それを、この河野部長代理は、問題の経過、事実関係もろくに把握せず、「記者に連絡を取るのは止めてくれ」「細かい大阪のことは知らない」という無責任で不当・不誠実な対応を繰り返した。

河野氏は元新聞記者なのだろうか。もしそうであれば、取材対象が「広報部」に連絡してくれと言って、広報部に連絡すると「個人への取材は止めてくれ」と言われ、はいそうですか、と引き下がるような軟弱な取材しかしてこなかったのだろう。

記者個人に「広報部を通じて」と言わせたのなら、せめて、広報部として、相手の質問に誠実に答えるのが「新聞社の広報部」ではないのか。これではまるで、「何も知りません」「資料は破棄しました」答弁を繰り返して国税局長に出世した佐川氏と同レベルだ。

今回の鹿砦社に対する対応で、朝日新聞社は、自分たちが取材対象になった場合は、こんな官僚的対応を取る会社であり、「取材の自由」や「報道の自由」を平気で踏みにじるメディアであること、ジャーナリズムとは程遠い存在であることを、天下にさらけ出したというほかない。

▼山口正紀(やまぐち まさのり)
ジャーナリスト。元読売新聞記者。記者時代から「人権と報道・連絡会」メンバーとして、「報道による人権侵害」を自身の存在に関わる問題と考え、報道被害者の支援、メディア改革に取り組んでいる。

◎[関連参照記事]鹿砦社特別取材班「朝日新聞本社広報部・河野修一部長代理が鹿砦社に答えた一問一答の衝撃」(2018年2月20日付デジタル鹿砦社通信)

◎今回の朝日の対応は多くの方々に衝撃を与えました。今後、メディア関係者の論評を暫時掲載いたします。また、皆様方のご意見もお寄せください。

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朝日新聞本社広報部・河野修一部長代理が鹿砦社に答えた一問一答の衝撃

昨年末『カウンターと暴力の病理』を関係者に送付したあとに、年を挟んで1月25日鹿砦社代表・松岡利康名で、この本について約50名に「質問書」を送り、2月5日を期限に回答を待った。回答者は前回本通信でご報告したとおりだったが、「不回答者」の一部に対し2月19日、鹿砦社本社から電話取材をおこなった。

数名には電話が通じ、回答がない理由の聞き取りが行えたが、取材班は驚くべき事態に直面することになった。この日は主としてマスメディア関係者に電話で事情を聞こうと試みたが、“事件”はそこで生じた。

まず登場人物を確認しておこう。

いずれも朝日新聞で大阪社会部の大貫聡子記者、同じく采澤嘉高(うねざわよしたか)記者。この2人は現在大阪司法記者クラブに在籍している。阿久沢悦子記者は現在静岡総局勤務だ。この3名には、前述の「質問状」を送付してある。そして予期せぬ大物登場者は、朝日新聞東京本社広報部・河野修一部長代理だ。

◆「広報で対応する」一辺倒の大貫聡子記者

大貫記者は、李信恵が対保守速報裁判で勝訴した、11月17日の大阪司法記者クラブでの記者会見の際に、取材班の記者室への入室を拒否した人物だ。またこの裁判についての署名記事も書いている。この記事は明白な事実誤認がある問題記事だ。大貫記者に電話をかけると「この事案については会社の広報で対応しますので答えられません」と一方的に電話をガチャ切りされた。違う電話番号から再度大貫記者に電話をかけるも、やはり同様に「広報で担当しますので答えられません」と再度ガチャ切りされた。

鹿砦社は、ツイッターに「鹿砦社はクソ」などと何度も書き込んだ李信恵を、名誉毀損による損害賠償請求で訴えた際、2017年11月1日大阪司法記者クラブへ、松岡社長みずからが赴き、記者会見開催を要請した。ところが当時幹事社だった朝日新聞の采澤記者は「加盟社全社にはかったうえ」とし、記者会見を開かない旨の回答を、要請から実質的に2時間ほどで返してきた(松岡の携帯電話に着信があったのが要請から2時間後、その時松岡は会合中で実際にはその数時間後に釆澤記者へ松岡から電話をかけ「記者会見拒否」を知ることとなる)。納得のいかない松岡は翌日采澤記者に電話で再度「どうして会見が拒否されたのか」を質問した。

その際の回答は納得のできるものではなかったが、一応の「応答」は成立していた。しかし、19日大貫記者は質問をする前から会話を遮断し、「広報で対応する」とまったくラチが明かない。新聞記者は情報を得るために、取材対象を追い、時にプライバシーにまで踏み込んだ取材に及ぶことも珍しくない(職務上仕方のない面もあろう)。しかし自身が「質問」を受けたり、取材対象となると「広報で対応します」と逃げ出す態度は、報道人としてはズルいのではないか。鹿砦社や取材班が不法行為を行ったり、不当な要求をしているのであれば話は別だが、朝日新聞とは「天と地」ほどの規模の違いはあれ、鹿砦社及び取材班は、「事実」を追い、「真実」を突き止めようと情報収集活動を行っているのだ。都合が悪くなったら「広報で」とはあまりに身勝手にもほどがある。

逮捕と同時に 大々的な実名報道を行うのが大新聞だ(近いところでは元オウム真理教の女性信者を大々的に、あたかも有罪確定かのように報じたが、元信者は無罪が確定している)。あの報道を見れば、多くの人が元信者の女性は「有罪」と思わされたことだろう。大新聞はかように大変な影響力と権力を持っている存在であることは述べるまでもない。その大新聞に署名記事を書いている記者に質問をすることは、「不当な行為」なのだろうか。

◆阿久沢悦子記者も「この案件は本社の広報が一括して窓口になるので……」

取材班は仕方なく采澤記者に電話をかけて、大貫記者に「回答をするように促す」との言質を得た。しかし釆澤記者は言葉巧みに取材班の要請を交わしながら、腹の中では別のことを考えていた。電話で取材にあたった担当者も采澤記者が大貫記者に回答を「促す」ことなどないだろう、と感じていたという。

静岡総局に勤務する阿久沢悦子記者は、前任の勤務地が阪神支局で、李信恵らによる「大学院生M君リンチ事件」後、比較的早い時期からM君に接触し、一時はM君に同情的な言動を見せていた人物である(またM君を裏切った趙博をM君に紹介したのは阿久沢記者である)。取材班が阿久沢記者に電話をかけたところ、仰天するような言葉を耳にする。「この案件は本社の広報が一括して窓口になるので、私からは何もお答えできません」というのだ。

阿久沢記者は「その連絡は先ほど私にあった」とも語っていた。ということは、19日の大貫記者、釆澤記者への取材班の電話に対して、両名(もしくはどちらかが)が本社、もしくは上司に「相談」を持ちかけたと推測するのが自然だろう。釆澤記者の「大貫記者へ回答するように促す」との言葉は、やはりまったくの出まかせであったことが阿久沢記者の回答から明らかになった。取材班は「では、担当はどちらの部署か」と尋ねると、待ち受けたように阿久沢記者は「本社の広報部河野修一部長代理です」と電話番号を教えてくれた。

◆朝日新聞東京本社広報部河野修一部長代理との一問一答

おいおい、「天下の朝日新聞」よ、取材に対して拒否だけでなく、本社の広報部部長代理が応対するって? 仕方あるまい。取材班は本社広報部に電話をかけた。以下は取材班と河野氏の一問一答だ。

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広報部 はい朝日新聞社広報部です。
鹿砦社 お邪魔します。株式会社鹿砦社と申します。
広報部 どうもお世話になってます。
鹿砦社 いつもお世話になっております。河野(修一)広報部長代理はいらっしゃいますでしょうか?
広報部 はい、少しお待ちください。
河野  替わりました。河野です。
鹿砦社 突然お電話を差し上げまして恐縮です。株式会社鹿砦社と申します。
河野  はい、承知しています。
鹿砦社 お手を煩わせて恐縮なのですが、先ほど来、おそらく采澤さん(嘉高・大阪司法記者クラブ)とか、いろいろな方からご連絡が入って。
河野  ちょっとやめていただきたいんですよね。
鹿砦社 やめていただきたい?
河野  はい。ええ、まず記者の個々人に連絡を取るのはやめてください!
鹿砦社 ちょっとお待ちくださいね。いまおっしゃった「記者の個々人に連絡を取るのは止めてください!」と。
河野  はい、大変迷惑しておりますので。
鹿砦社 迷惑をしている?
河野  はい、そうなんですよ。で、今後連絡一切は私にお願いします。
鹿砦社 あの、ちょっとお待ちくださいね。
河野  はい。
鹿砦社 「連絡を取るのを止め。迷惑をしている」と、署名記事を書かれている記事についての質問状を送るのが、いけないんですか?
河野  質問状もこちらに送ってください。対外的な窓口はこちらなので。それはそのように、いろんなウチに対する申し入れでもそうしているんですよ、ええ。なので個々の記者への接触は厳に謹んでいただきたいと思います。
鹿砦社 「個々の記者への接触は厳に謹んでいただきたい」と。それは要請ですか? あるいは指示ですか?
河野  指示する権利は、こちらはないですのでものね。
鹿砦社 先ほど「迷惑している」というお言葉にちょっと驚愕しているのですけれども。
河野  はい、はい、はい、はい、非常に個々の記者たちは迷惑しています。報告はぜんぶ来ているんですけども。
鹿砦社 具体的にどういったことで、ご迷惑をおかけしているというふうに認識していらっしゃいますか?
河野  はい、そういったことにはお答えいたしませんが。
鹿砦社 いや(驚)?
河野  あの電話切ってよろしいですか!
鹿砦社 電話を切る?
河野  どういう要件ですか?
鹿砦社 ですから、ええといま私は静岡総局の阿久沢(悦子)様にお電話を差し上げて…。
河野  はい、阿久沢は大変迷惑していますので。
鹿砦社 阿久沢は大変迷惑をしている?
河野  それはそうでしょう。会社対応のスマフォとかに電話をかけられたら。
鹿砦社 会社対応のスマフォ?
河野  はい。
鹿砦社 「会社対応のスマフォ」ってどういう意味ですか?
河野  あの携帯に電話をかけているんでしょう。
鹿砦社 ああ、そうですよ。だって携帯電話の番号が入っている名刺を配ってらっしゃるんですから。
河野  いや、だけど迷惑なんですよ!
鹿砦社 ええ!! 名刺に電話番号を入れておいて、その書いてある電話番号にかかってくるのが迷惑というのは、世間では通じませんよ、そんなの。
河野  いや通じますよ。あなたたちのほうが、もうぜんぜんに非常識ですから。
鹿砦社 私たちのどこが非常識とおっしゃって。具体的に誤りがあれば訂正いたしますので。具体的にちょっと教えていただけますか。
河野  本をいきなり送ってきて、で、「その本を読んだか感想を言え」と。
鹿砦社 はい。
河野  その本が読みたくない本だったら迷惑ではありませんか。
鹿砦社 あの「読んでください」ということで、もちろんお送りしていますよ。ただし、送り付け商法ではありませんが、「お金を払え!」とかいうようなことは一切しておりませんよ。
河野  だったら本を送るだけにしてもらえませんか。その後のお便りいりません。
鹿砦社 本を送らせていただくのは、事実関係を理解していただく補助的な資料としてお送りしているのであって。
河野  ええ。
鹿砦社 質問状を送らせていただくにあたっては、こういう背景事実があるんだけども、「どうお考えになるか?」とお尋ねするのが、非常識な行為でしょうか?
河野  はい。
鹿砦社 非常識な行為なんですか?
河野  はい、あの~迷惑です。こちらからなにか読んで言いたいんであれば、連絡することもあるかもしれませんが。ええと、そういう気がまったくございませんので。
鹿砦社 署名記事で書かれていることに、署名記事で書かれるということはありますよねえ。一般的な社会面であっても、地方面であっても書名記事で記事を書くということはありますよねえ。もしもし? もしもし?〈不可思議な間(ま)が続く〉
河野  いや、どうぞ続けてください。
鹿砦社 署名記事を朝日新聞に掲載されることはありますよね。で、署名記事は書かれた方のお名前が分かりますので、それについての意見とか、ご質問とかは読者の方から沸いてこようかと思うんですが、それをお尋ねするというのもいけない行為なんですか?
河野  それは、尋ねたいことがあれば広報に今後お願いしますと。そういうことです。
鹿砦社 それはふつうの読者であってもそうなんですか? 一般読者であっても?
河野  一般読者の場合もお客様専用の、ええと問い合わせ窓口を作っていますんで、そこにかかってきますねえ。記者に直接来ることは、まあ直接取材を受けた方からということはあるでしょうけども。
鹿砦社 署名記事というのは、一定程度その方は、もちろん会社の意向の中で、社論の中で誰々さんが書いたことを明らかにするために、署名にするためじゃないのでしょうか。という理解は間違いでしょうか、私の? それは違っていますか?
━長い沈黙━
鹿砦社 私がお尋ねしている意味がお分かりいただけますでしょうか?
河野  いやーぜんぜん分からないので、返事のしようがない。
鹿砦社 お分かりにならない?
河野  はい。
鹿砦社 え!! 署名記事というは署名のない記事とはちょっと違って、その記事に関して一定の文責、文章を書いた責任を書いた記者の方が明らかにするという性質のものではないでしょう?という質問なんですけども。
河野  う~ん、ぜんぶの署名記事がそうなのかどうなのかというのは、ちょっと分からないですねえ。
鹿砦社 いや、一から百までの責任を個人に個に帰すというのではなくて、誰がどういうふうに書いたか分からないのではなくて、この記者さんはこう書いたものだよと。広い意味で、読者に分かりやすく提示するというので、署名記事というのがあるという理解は間違いでしょうか?
河野  いや、知らないんですけど。それと今回の送り付け行為となんの関係があるんですか?
鹿砦社 「送り付け行為」。
河野  はい。
鹿砦社 ええと恐れ入りますが、河野様ですね。
河野  河野です。
鹿砦社 河野様は、私どもの書籍を送らせていただいたことにはご存知だと思うのですが。
河野  はい、文面もすべて読んでいます。
鹿砦社 はい、その前にですね、私どもが「大阪司法記者クラブに入ることを拒否された」という前段があることは、ご存知でいらっしゃいますか?
河野  それは本にお書きになっているようですねえ。
鹿砦社 いや、事実関係は聞いてらっしゃいますか、記者の方から?
河野  すいません。こちからのお願いは一つで、個々への記者へのそういう……。
鹿砦社 違います! いま私がお尋ねしたのは、「河野さんはその事実をご存知ですか?」とお尋ねしているのです。
河野  あのーこっちは東京の広報なので、細かい大阪のことは知りません。
鹿砦社 だからあなたはご存知ではないわけですよ。なぜ私どもが質問を投げかけなければいけなくなったか、というそもそも発端を。
河野  もうやめてください。こちらとしても、ちょっと迷惑が過ぎるようだったら、ちょっといろんなところに相談しなくちゃいけませんし。
鹿砦社 迷惑?
河野  はい。ええと……。
鹿砦社 ちょっと端的に申し上げますよ。
河野  はい。
鹿砦社 大阪司法記者クラブという、大阪地方高等裁判所の中に記者クラブがあります。東京の裁判所にもあります。
河野  そういう話はいいので、とりあえず……。
鹿砦社 こちらが受けた被害は聴いてくださらないのですか?
河野  はい、なんで聴かなきゃいけないんですか!
鹿砦社 いや、「こちらが受けた被害は聴いてくださらないんですか?」と言っているんです。
河野  被害があるんであれば……。
鹿砦社 いまその話をしているんです。
河野  いいです。被害があるんであれば弊社を訴えるなり、なんなりしてくれればけっこうです。
鹿砦社 訴えるような話じゃなくて、「なんで(記者会見に)「入れていただけないのですか?」ということをお聴きしているのです。
河野  あの、とにかく、ずっと個々への記者へのこれ以上の接触は、この件についてはやめてください。
鹿砦社 いや、ですからその前提事実を、まず顕著な前提事実をご存知ないようですので、その確認を含めてお尋ねしたいと思って。その一つお伺いしたいと思うんです。あの大阪記者クラブ……。
河野  電話切っていいですか?
鹿砦社 あ、聴いていただけないわけですか? こちらは被害申告ですよ。
河野  じゃあいいですよ、別に。あれば書面で私宛てに送ってください。
鹿砦社 被害申告を聞かないわけですか?
河野  はいはい。だから、どうぞ書面で「中央区築地、朝日新聞」で届きますので、あの、どうぞどうぞ被害申告があるというなら。
鹿砦社 さっき「電話で受ける」とおっしゃったんですけれども、電話では受けていただけないんですか?
河野  はい。こちらから、とりあえず個々への記者への接触はやめてほしいということです。
鹿砦社 こちらは一方的に被害を受け続けろと?
河野  だから、そういう被害があるんでしたら改善されなければいけないのでしょうから。
鹿砦社 ですけど、いまお話しようと思うけど、「文書で出せ」というふうに。
河野  被害があれば、どうぞ! それはウチに出すべきものかは分かりませんが。
鹿砦社 じゃあ繰り返しますが、朝日新聞社様は、「非常に迷惑をしている」という認識なんですね。
河野  はい、そうです。
鹿砦社 間違いありませんね。
河野  はい。
鹿砦社 はい、ありがとうございました。失礼いたします。

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◆朝日新聞よ! あなた方は「報道の自由」をどのように考えるのだ?

まるで常習クレーマーを相手にするかのような口調と、文字には表れないが、「揚げ足をとってやろう」と明らかに企図した不可思議な「間(ま)」。よくぞここまで「悪者扱い」してくれたものぞと、かえってすっきりするくらいの「馬鹿にした」態度だ。

朝日新聞よ! あなた方は「報道の自由」をどのように考えるのだ? 鹿砦社は1987年、「朝日新聞阪神支局襲撃事件」を受けて、先日NHKテレビ『赤報隊事件』の主人公、植田毅記者、辰濃哲郎記者らの取材に協力し、この事件の深刻さを編纂した『テロリズムとメディアの危機』を刊行し、「日本図書館協会選定図書」「全国学校図書館協議会選定図書」に選定された。鹿砦社は朝日新聞に「貸し」はあっても「借り」はないはずだ。

また2005年の「名誉毀損」に名を借りた松岡逮捕劇の際にも、検察の意を受けて松岡を騙し関係資料を入手し「スクープ」を手にしたのは朝日新聞の平賀拓哉記者だった。にもかかわらず、「迷惑」、「個人の記者への接触をしないでくれ」、「しかるべき措置を考えなければならない」などという河野部長代理の言葉は、赤報隊が朝日新聞阪神支局で小尻知博記者の命を奪った散弾銃のように取材班メンバーの心に“銃弾”を打ち込むほどの衝撃だった。ことは人ひとりをリンチし半殺しにした事件だ。昨日(2・19)に対応した記者たちに〈人間〉の心はないのか? 朝日新聞に「ジャーナリズム」を期待するのは無理なのか?

追伸:夕刻、毎日新聞の後藤由耶記者に電話が繋がった。後藤記者は「この件は社長室広報担当になりました。東京本社の代表番号から広報に電話をお願いします」と毎日新聞でも『報道管制』が敷かれた模様だ。取材班はこの通信にしては、長い文章を書きながらこみあげてくる(悲しい)笑いを抑えられない。この程度なのか? 日本の新聞は? 新聞記者は? 自分の行動に責任をもてないのかと。

※[お詫びと訂正]取材過程で、河野氏の表記を誤りました。お詫びして訂正いたします。(2月22日)

(鹿砦社特別取材班)

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寺の住職も駆け込む神原元弁護士の事務所は「しばき隊」人脈の駆け込み寺か?

『カウンターと暴力の病理』発刊のあと、M君が李信恵被告ら5名を訴えた裁判の本人尋問が昨年12月11日に行われたことは本通信でお伝えした通りである。「M君リンチ事件」への司法の判断は3月19日大阪地裁で、判決言い渡しを迎える。

他方ここへきて焦点化してきた、別の問題も無視できない。それはマスコミ関係者が李信恵被告を持ち上げる記事は書くが、李被告ならびに「しばき隊」の負の部分については、まったくといってよいほど報道がなされないことだ。『カウンターと暴力の病理』の中でも触れたが、大阪司法記者クラブはM君ならびに鹿砦社が要請した「記者会見」の開催を都合5回以上拒否している。

そこでこのたび、大阪司法記者クラブ所属の記者だけではなく、M君リンチ事件の情報を知っているマスコミ関係者、知識人、そして「しばき隊」の構成員、計約50名に「質問状」を送り2月5日正午を回答期限として、FAXもしくはメールでの答えを待った。内容はともかく返答を寄こしてくださったのは関西の「しばき隊」1名と朝日放送の大西順也氏、そして富山県にある珉照寺、山岸智史住職は質問に自らこたえるのではなく神原元弁護士(!)を通じてFAXで回答してきた。山岸住職は、

富山県・珉照寺(西本願寺派)の山岸智史住職によるツイート

と、鹿砦社を「馬鹿砦社」との誹謗を書き込んだ人物。西本願寺派の住職という、いわば「聖職」にある人間でありながら、このような鹿砦社への罵倒は到底看過できないので、『カウンターと暴力の病理』と質問状を宅配便で送ったところ、最初山岸住職は「受け取り」を拒否」。送付物は鹿砦社へ返送されてきた。仕方なく配達証明郵便で再度質問状を送ったところ、

神原元弁護士から鹿砦社松岡代表宛てに送られてきたFAX通信(2018年1月30日付)

が送られてきた。「しばき隊」関係者は言いたいだけ言い放ち、こちら側がその真意を確かめようと「質問」すると「えーん、神原先生! 鹿砦社怖いよ」と泣きながら、神原弁護士に代理人を依頼する。反原連(首都圏反原発連合)、五野井郁夫、秋山理央、李信恵、香山リカ、山岸智史住職と、この様子では、さらに神原弁護士が代理人に就任する人物は増えるかもしれない。

それにしてもいかがなものであろうか? 反原連には会計報告などを申し入れ、秋山理央には秋山のブログ上の収支報告に鹿砦社から支払った金員が掲載されていないので、その疑問への回答を求め、香山リカは「どこへ送ったのちょっと書いてみて」との香山の依頼に応じて送付先を書き込み、「鹿砦社はクソ」を連発する李信恵には「警告書」を送り、珉照寺山岸住職には「馬鹿砦社」発信の真意を確かめる「質問状」を送り……。いずれも鹿砦社が質問並びに申し入れをせざるを得ない状況を作りだした団体・個人へその意向を尋ねると、瞬時に神原弁護士が代理人に着任する。

そして、神原弁護士は、代理人着任の連絡を上記のように1枚だけの「FAX通信」なる題名で送付してくることがままあった。通常このような表題を代理人着任で使うものか、何人かの弁護士に尋ねたが、「各先生の考えによるのでしょうが、一般的には聞いたことがない」との回答だった。神原弁護士はひょっとすると、かつてFAXで鹿砦社が定期的に流していた「鹿砦社通信」(注:これは『紙の爆弾――縮刷版・鹿砦社通信』として一冊にまとめ出版している。また、この「デジタル鹿砦社通信」も、FAX版「鹿砦社通信」を踏襲している)を模して、冗談半分でこのような表題を付けたのではないか。

そこで、上記代理人を引き受けた団体・個人からの「委任状」を見せてくれと要請した。FAX一本送ってこられて「代理人に着任しました」と伝えられても、正式な委任を証明する「委任状」を見せてもらわないことには、ここまで多数の代理人(しかもいずれも問題が起きると直後に)への就任を確認できない。その要請に応じる形で返送されてきたのが以下である。今回のFAXは上記の「FAX通信」と異なり、正式に武蔵小杉合同法律事務所のカバーレターがついており(ということは、これまでの「FAX通信」はカバーレターすらつけずに送付してきた「おざなりな」形式であったことが証明された)体裁は整っている。

神原元弁護士から鹿砦社宛てに送られてきた武蔵小杉合同法律事務所のカバーレター付「FAX送付の件」(2018年2月2日付)
五野井郁夫の委任状
山岸智史珉照寺住職の委任状
香山リカの委任状
秋山理央の委任状

このように山岸住職以外は住所もなく、「代理委任(上記委任)に捺印します」との文言があるが、肉筆の署名があるだけで、捺印はない。しかも中塚尚子こと香山リカの委任状の日付はなんと、2018年2月2日となっている。神原弁護士がFAXに書いている通り香山の代理人に依頼は電話であったのだろうが、香山の委任状は鹿砦社からの催促のあとに作成されたものであることをこの日付は示している。

法律的に弁護士の代理人就任は、必ずしも書面を交わすことが義務付けられていない(刑事弁護などの場合は物理的に不可能な場合もありうるので、仕方ないだろう)けれども、複数の弁護士によると、日弁連は民事の代理人就任にあたっては、書面での委任を明確化するように弁護士に促しているという。

つまり神原弁護士は、鹿砦社案件について「しばき隊」各位の依頼は電話一本で引き受け、委任状も交わさずに代理人を引き受けているようだ。使命感か私怨か。判断のわかれるところだろう。

(鹿砦社特別取材班)

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李信恵という人への違和感、現在の「反差別」運動への懐疑 ――1・18鹿砦社vs李信恵「鹿砦社クソ」訴訟第2回弁論にあたって―― 鹿砦社代表・松岡利康

来る1月18日午前11時から、李信恵被告による相次ぐ「鹿砦社クソ」発言に対する名誉毀損訴訟第2回弁論(大阪地裁第13民事部)が開かれます。この期日には被告側の答弁がなされることになっています。

在特会や保守速報等に対する訴訟によって「反差別」運動の旗手ともて囃されている李信恵被告が、裏では大学院生リンチ事件に関わり、当社に対しては連続して「クソ」発言を繰り返すということをなぜ、李被告をもて囃す人たちは目をそむけ黙っているのでしょうか? それは「反差別」運動にとってもマイナスでしかないと思うのですが。

会社や社員を誰よりも愛する私としては、李被告による「鹿砦社クソ」発言は到底許せるものではありませんし、取引先への悪影響を懸念して、やむなく提訴に踏み切りました。以来さすがに当社に対する「クソ」発言は止まりましたが、私が李被告に会ってもいないのに喫茶店で睨み恐怖を与えたかのようなツイートをし、係争中にもかかわらずさらに私を貶めるような発言をしています。どこの喫茶店なのか、問い質しましたが返答がありません。それはそうでしょう、会ってもいないのですから……。

李信恵のツイート

私が李信恵被告の顔を見たのは、リンチ被害者の大学院生M君が李被告ら5人を訴えた裁判の本人尋問(昨年12月11日)が初めてでした。「反差別」運動の旗手として祀り上げられた人物とはどんな顔をしどんな雰囲気を醸しているのだろうか? 興味津々でした。意外にも、社会運動の旗手として君臨するような輝いたイメージではなく、顔色は酒焼けしているのか悪く、目の輝きはなく目つきもよくありませんでした。この人が「反差別」運動の旗手なのか――尋問も聴いていると、明らかに事実と異なる嘘を平然とついていました。「反差別」運動のリーダーたる者、嘘をついてはいけません。

李信恵という人は、M君に対し5人でリンチを加えた現場にいてその場の空気を支配し、ネット上で流行語になった感さえある、「殺されるんやったら店の中入ったらいいんちゃう?」とリンチの最中に言ったり、半殺しの目に遭ったM君を寒空の下に放置して店を後にしたりした、その人です。こんな人が一方では「人権」を声高に叫ぶのですから、世も末です。

このリンチ事件に出会い、ずっと調査や取材を進めていく過程で、李被告に限らず「反差別」運動(「カウンター」‐「しばき隊」)の周辺の人たちの言葉が殊更汚いことは気になっていましたが、「殺されるんやったら店の中入ったらいいんちゃう?」という言葉に極まった感があります。

私は1970年代以降、この国の部落解放同盟による、いわゆる「糾弾」闘争などを経過し、私なりに「反差別」のなんたるかについて考えてきました。「糾弾」闘争への疑問が語られ始めた頃、師岡祐行さん(故人。当時京都部落史研究所所長)と土方鉄さん(故人。元『解放新聞』編集長)の対談を行い、両氏とも「糾弾」闘争の誤りを指摘されていたことを思い出します。土方さんは喉のガンの手術の後で、絞り出すように語られていました。この対談は記録にも残っています。1992年のことです。その後、さすがに解放同盟も反省したのか今では「糾弾」闘争をしなくなりました。

差別と闘うということは崇高なことです。真逆に「反差別」の看板の裏で平然とリンチを行うことは、差別と闘うという崇高な営為を蔑ろにし「糾弾」闘争の誤りを繰り返すことに他ならないと思います。それもリンチはなかったとか事件を隠蔽し、当初の反省の言葉さえ反故にして開き直っています。これが「反差別」とか「人権」を守るとか言う人のやることとは思えません。いやしくも「反差別」とか「人権」を守るというのであれば、みずからがやった過ちに真摯に立ち向かうべきではないでしょうか?

私(たち)は、大学院生M君リンチ事件に出会い、これを調べていく過程で常に自問自答を繰り返してきました。私(たち)がM君を支援しリンチ事件の真相を追及するのは是か非か――答えは明らかでしょう。リンチの被害者が助けを求めてきているのに放っておけますか? 私(たち)はできませんでした。あなたはどうですか?

私たちはすでにリンチ事件について4冊の本にまとめ世に出しています。事実関係はもう明白です。最新刊の『カウンターと暴力の病理』にはリンチの最中の録音データをCDにし付けていますし、リンチ直後のM君の凄惨な写真も公にしています。これを前にしてあなたはどう思いますか? なんとも思わないのなら、よほど無慈悲な人です。こんな人は、今後「人権」という言葉を遣わないでいただきたい。

李信恵という人に出会って、私は「反差別」運動や「反差別」についての考え方が変わりました。「人権」についてもそうです。平然とリンチを行う「反差別」運動とは一体何ですか? 被害者の「人権」を蔑ろにして「人権」とは? 

◆鹿砦社は「極左」出版社ではない!

李信恵被告の当社に対する罵詈雑言のひとつに、当社が中核派か革マル派、つまり「極左」呼ばわりしているツイートがあります。70年代以降血で血を洗う凄惨な内ゲバを繰り広げた中核‐革マル両派と同一視され、その悪いイメージを強調されることは、由々しき名誉毀損です。

李信恵のツイート

この際、いい機会ですから、このことについて少し申し述べておきたいと思います。

「極左」呼ばわりは、李被告と同一歩調を取る野間易通氏や、李被告の代理人・神原元弁護士らによって悪意を持ってなされています。「極左」という言葉は公安用語だと思いますが、いわば「過激派キャンペーン」で、鹿砦社に対して殊更怖いイメージを与えようとするものといえます。彼らが私たちに対し「極左」呼ばわりするのは何を根拠にしているのかお聞きしたいものです。

鹿砦社には、私以外に7人の社員がいますが、誰一人として左翼運動経験者はいません。私は遙か40年以上も前の学生時代の1970年代前半、ノンセクトの新左翼系の学生運動に関わったことがありますが、大学を離れてからは生活や子育てに追われ、運動からは離れていますし、集会などにもほとんど行っていませんでした。ノンセクトだったから運動から容易に離れられたと思います。考え方は「左」かもしれませんが、いわば「心情左翼」といったところでしょうか。社員ではなく、『紙の爆弾』はじめ鹿砦社の出版物に執筆するライターは左派から保守の方まで幅広いのは当たり前です。

また、鹿砦社は、1960年代末に創業し、当初はロシア革命関係の書籍を精力的に出版してきましたが、現在(1980年代後半以降)はやめています。昨年1年間で強いて左翼関係の本といえば、100点余りの出版物の中で『遙かなる一九七〇年代‐京都』(私と同期の者との共著で、いわば回顧録)だけです。

これで「極左」呼ばわりは、悪意あってのことと言わざるをえません。

さらに、M君リンチ事件について支援と真相究明に理解される方々の中にも、さすがに「極左」呼ばわりはなくとも「ガチ左翼出版社」と言う方もいますが、これも正確ではありません。

1970年代の一時期、当時どこにでもいたノンセクトの学生活動家だったことで、40年以上も経った今でも「極左」呼ばわりされないといけないのでしょうか。

『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』[特別付録]リンチ音声記録CD(55分)

《鹿砦社特別取材班年頭座談会》『カウンターと暴力の病理』の反響とこれから

松岡 昨年はお疲れ様でした。『カウンターと暴力の病理』は大反響で、発売直後は「しばき隊」は完黙(完全黙秘)状態でしたが本年もよろしくお願いいたします。

A あれにCD付けるアイディアは社長が発案しはったんですか?

松岡 それは「企業秘密」ということで。

B 「鹿砦社どこまで突っ走るの?」って仲間のフリーライターから面白半分に聞かれるんですけど、ここまで来たら一応の区切りまでは突っ走るってことでしょうか?

C もちろんでしょ。だから「サイバー班」から上がってくる情報の分析方法も格段に進歩したでしょ。

E 基本「特別取材班」は「M君リンチ事件」がもちこまれたところからスタートしましたよね。だからM君の一件が片付くまでは、「周辺事態」にも目配りしないと、ってことですかね。

A いやー。正直なところ、自分はちょっと精神的に疲れてるんですわ。

D どうしたの? 毎晩飲み歩いてるじゃない?

A 李信恵とか野間易通とかの書き込みのサマリーが、毎日「サイバー班」からあがってくるやないですか。あれ読んでたら「何がしたいんか、この人ら」って正直思いますよ。

D まあ無理はないだろな。俺もいい加減連中のお供には飽きが来てるし。

大学院生リンチ加害者と隠蔽に加担する懲りない面々(『カウンターと暴力の病理』グラビアより)

E それでは困るでしょ。まだまだM君の裁判は続くんだし。李信恵の判決後には記者会見を開くのに、M君や鹿砦社は一切無視のマスコミにも一撃くらわさないと。

C 暮れに毎日新聞の後藤由耶(よしや)記者に公開質問状を送ったけど回答はありませんでしたね。

A 毎日新聞もどうかと思うわ。取材対象に癒着してしもうて。あれやったら記者と取材対象やなしに、ただの友達やんか。

D まあ、毎日新聞にしろ、朝日新聞にしろ、原則違反の取材姿勢がはっきりしたから社長から遠からず「突撃命令」が出るんじゃないの。

B え! また「突撃」ですか?

松岡 今回はBさんとCさんにお願いします。

C は、はい・・・。

D まぁ、若いうちに直撃や、現場は踏めるだけ踏んでおいた方がいい。

A そういえばDさんはいまだに「直撃」はゼロですね。

D そのかわり君らの文章の校正は全部俺がやってるぜ。

一同 はあ、それはそうです。

B 『カウンターと暴力の病理』の最後で社長が「隠し玉はまだある!」って宣言してましたよね。

松岡 あれっ。まだ皆さんには送っていませんでしたか?

D 社長、あれは俺に任せたってことだったじゃないですか。

松岡 ああそうだった。Dさんよろしくお願いいたします。

D 「爆弾処理」承りました。毎度ながら今回の爆弾に「しばき隊」は腰を抜かすだろうな。

A どないな内容なんですか?

松岡 まあ、見てのお楽しみということで。ちょっとだけヒントを言うと、「しばき隊」のかなりコアとみられている・・・

D 社長、ストップ!これはメガトン級の衝撃取材だからゲラができるまでは特別取材班内でも秘密にしましょう。

松岡 そうですね。今年は私も徐々に一線から退いて、社長業に専念する方向で行こうと思っています。

B 本当に我慢できますか社長?「しばき隊」関連ではないけど『紙の爆弾』最近評判がうなぎ上りですね。

C うんうん。鹿砦社の仕事してるって話すと「紙爆か? 頑張ってるな」って全国紙の記者の評価も上がって来たよね。僕は「紙爆」の仕事回ってこないけど。社長、僕にも書かせてくださいよ!

松岡 中川(『紙の爆弾』編集長)に相談してみてください。

C  (なんだ、そっけない)

A ところで例の絨毯爆撃の効果はどないでした?

E かなりのものだったらしいよ。住所不明で帰って来たのは1人だけで、1人は「受け取り拒否」だったって。

C 「受け取り拒否」なんかした人には、当然直撃取材が待っているわけですね。

松岡 その人は北陸の人でね。有名人でもないから取材費使って「直撃」するのはどうしようかと考えています。

E 北陸といえば、あの宗教関係者だ!

A しかおらへんやろ。

D 小物はほっときなよ。それより今年はM君や鹿砦社だけじゃなく、対「しばき隊」の新たな訴訟の情報があるよ。

C 聞いてます。聞いてます。それも複数でしょ。

D 安田浩一がさ「こういう記事を書いて最終的に喜ぶ人間の顔がわかるんです」とかなんとか言ってたけど、俺に言わせりゃ「じゃあ連中が喜ぶようなことをするなよ」ってだけのことなんだよね。「不都合な事実」は隠蔽しようとする。でも起きたものは仕方がない。事実は事実でしょ。「しばき隊」は隠蔽せずに、「これはここがまずかった」って反省すれば、ことはそれで簡単に済んだんだよ。けど奴らはそうはしない。だからたちが悪いんだよな。有田もそうだけど。四国の合田夏樹さんは、俺はっきり言って思想的には全然合わないよ。彼は保守でしょ。安倍の支持者で原発にも賛成。でも人間は誠実なんだよな。だから話は通じる。それに有田の選挙カーで職場や自宅を「訪問」されてる。こんな事件聞いたことないぜ。

B 合田さん事件については新たな証拠も入りました。いずれ読者に公開できますね。

松岡 皆さん今年も昨年以上の奮闘を期待します。よろしくお願いしますね。

A 社長、年末年始の出費がかさんでいまキツイんです。ちょっとだけ前借お願いできませんか?

D やめときな。若いくせに前借の癖なんかつけたら、ろくなことにならないぜ。誰かさんみたいに50歳超えてもSNSしか居場所がなくなったら嫌だろう? バイトでもしなよ。

A キツイなー。けど説得力あるわ。「誰かさん」みたいにはなりとうない。夜勤のバイトしますわ。

(鹿砦社特別取材班)

『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』[特別付録]リンチ音声記録CD(55分)定価=本体1250円+税

「しばき隊」を必要としていたのは、「反差別」「反原発」「沖縄」の人たちではない

 
1『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』(2017年12月8日刊行)定価=本体1250円+税

鹿砦社取材班は常に「自分たちは間違っていないか? どこかに勘違いはないか?」と、留保の姿勢を維持しながら取材、執筆にあたっている。事実を探しだし、関係人物に話を聞き、事象を裏づける根拠(物証)を見つけて、ようやく原稿化する。当然のように「取材班は正義だ!」などとは微塵も思わない。むしろ世間知らずな面があることを自覚しながら、足らざる部分を補い合い、間違いを指摘し合いながら仕事をしている。

また、取材班は異なる個性の集合体であるので、個々の思想信条や属性、政治的意見もバラバラな人格の寄せ集めである。ただし、「差別」は許さない、「暴力やいじめは許さない」ことに関しては完全に一致をみている。その前提が共有できれば「M君リンチ事件」は、加害者や周辺人物がどのように詭弁を弄しようが、許されざる事件であることは簡単に理解できる。

◆「正義は暴走していいんだよ」と主張する人たち

他方、上記のように、「正義は暴走していいんだよ。だって、暴走しても正義だもん」と主張する人がいる。あきれる。笑いごとではない。小学生や幼児ではあるまいに。おのれを「正義」と規定する傲慢さと、「暴走してもいい」との際限なく浅はかで、危険な心情を吐露したコトバ。「暴走」はあらゆる場面で、ものごとの度が過ぎる場合に用いられるコトバだから、仮に自分の「正義」を確信したとしても(したならば、なおさら)「暴走」などと、理性ある大人は口にはしない。しかも公職や法曹関係者にとっての「正義」がいかなる定義づけをなされるか、は容易に想像される。

少なくとも「正義」の延長上に「暴走」を承認する理性などは、嘲笑の対象でしかない。彼がこの言葉を発したのは初めてではないらしい。やっかいなことに、彼は弁護士の職にある人物だ。その引用をしている人物も同様に弁護士、しかも二人ともM君と争う立場にある人たちの代理人を受任している。

大学院生リンチ加害者と隠蔽に加担する懲りない面々(『カウンターと暴力の病理』グラビアより)

◆しばき隊の「正義」は変幻自在に変化する

彼らに倣(なら)うかのように「しばき隊」は「みずからが規定する『正義』」になんの疑いもなく「暴走」する。しかしその「正義」の意味するところは、「しばき隊」にとって都合のよいように、変幻自在に変化する。彼らは「ヘイトスピーチ」はいけないという。取材班も同意する。

ではなぜ「ヘイトスピーチ」がいけないのか? 取材班は「差別される人の心を傷つけるから」ゆるされないものだと考える。「しばき隊」もおおすじ合意してくれるだろう。問題はその先だ。現象は常に「わかりやすい」とは限らない。口をつく、文字になる、映像になる差別のほかに、心に宿る差別はどうだろう? 取材班は常に、自己も無意識に保持するかもしれない「心に宿る差別」にも注意をはらう。そして「ヘイトスピーチ」が許されないものであるならば、「人の心だけでなく身体を傷つける暴力」がさらに罪深いことは当たり前だろう。

取材班はとりたてて優れた、または新たな人権思想や、社会のイメージを持っているなどとまったく思っていない。間違いをおかすことは誰にでもあるだろうと思う。なぜか? 「人間」だからだ。

きわめて単純だ。人間に絶対などなく、おおむね「正義」は相対的なものであり、自己を「正義」と評した瞬間、その人は無謬性という思考停止におちいることをあまたの歴史や経験から、そして取材班内の多様性からも知り得ているからだ。「人はみな違う」ことが重要なのだ。

鹿砦社への暴言の一部(『カウンターと暴力の病理』グラビアより)

◆“成果”にしろ“負の遺産”にしろ、社会運動の歴史を直視する

取材班は“成果”にしろ“負の遺産”にしろ、社会運動の歴史を直視する。歴史は断絶したものではありえず、負債にしろ勝利にしろ、私たちの社会で少なくとも戦後どのような社会運動が起きたのかをかなり研究し、共有している。その結実はなんだったのか? 戦術は? 参加者の想いは?被害者はいなかったか? あまつさえ犠牲者はでていないか? 不幸にも犠牲者が出ていれば、それは権力側の横暴によるものであるのか? あるいは不幸にも「正義の暴走」が引き起こした結果なのか?

歴史の前で謙虚になれば、「私たちはまったく新しい運動体」などと言い放つことができる運動など、出てきようががないことはあまりにも自明ではないか。その厚顔無恥を3・11後にやってのけたのが「反原連」(首都圏反原発連合)だった。首相官邸前に「日の丸」を掲げた“烏合の衆”(あえてこのように評す)が集まって、主催者内だけではなく「警察と打ち合わせ」(弾圧側との癒着は「社会運動」とは呼べない。社会運動の常識からすれば、これは「官製集会」、「官製デモ」と評されても過言ではなかろう)をしていた連中。彼らがやがてとんでもないことを引きおこすであろう予感は当時からあった。

◆「とんでもないこと」は2014年12月16日深夜から翌朝にかけて生じていた

そして「とんでもないこと」は実際2014年12月16日深夜から翌朝にかけて、不幸にも生じていた。「M君リンチ事件」だ。この事件を引き越した加害者の中には「戦後社会運動の歴史」を知るものはいないだろう。「新しい社会運動」と勘違いした人々のほとんどはそうだ。そうではなく「戦後の社会運動の歴史」を知る人は「ヘサヨ」、「ブサヨ」、「極左」などの烙印を押され、パージされていった。そして「失敗体験」を知らない人々だけが、「運動」を構成するようになり、やがて「運動」は目的をとらえ切れなくなる。2017年のしばき隊はすでに、「迷走」状態に突入しており、論理的整合性をたもった議論や論述を展開できなくなっている。「しばき隊」の出自が「日の丸」を掲げ「警察と打ち合わせ」をする「反原連」にそのルーツがあることをかんがみれば、当然の帰結である。

いまだに「リンチはなかった」などと平然と語る連中がいる──。(『カウンターと暴力の病理』グラビアより)

いまや「しばき隊」は極度のジリ貧で、中央が「締め付け」を強めないことには、アクティブな活動家とみられているメンバーの中にも、「辞めたいんですけど、怖くて」と取材班に連絡をしてくる人がいるほどだ。特高警察支配、スターリンの粛清なみに「しばき隊」の締め付けは、厳しいものになっている。つまり、彼らは崩壊の危機にあるのだ。でも心配はいらない。あなたたちを陰で支える、この国の権力はどこかで、あなたたちにテコ入れをしてくれることだろう。なぜならば、「あなたたち」をもっとも必要としているのは、「差別」された人でも「反原発」の人でも「沖縄」の人でもなく、「この国の権力中枢」にほかならないからだ、と取材班はみている。

(鹿砦社特別取材班)

『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』[特別付録]リンチ音声記録CD(2017年12月8日刊行)

カウンターと暴力の病理
反差別、人権、そして大学院生リンチ事件
鹿砦社特別取材班=編著
A5判 総196ページ(本文192ページ+巻頭グラビア4ページ) 
[特別付録]リンチ(55分)の音声記録CD
定価:本体1250円+税 12月8日発売! 限定3000部!

渾身の取材で世に問う!
「反差別」を謳い「人権」を守るとうそぶく「カウンター」による
大学院生リンチ事件の<真実>と<裏側>を抉(えぐ)る!
1時間に及ぶ、おぞましいリンチの音声データが遂に明らかにされる! 
これでも「リンチはない」と強弁するのか!? 
リンチ事件、およびこの隠蔽に関わった者たちよ! 
潔く自らの非を認め真摯に反省せよ! 
この事件は、人間としてのありようを問う重大事なのだから――。

【内容】

私はなぜ「反差別」を謳う「カウンター」による「大学院生リンチ事件」の真相
究明に関わり、被害者M君を支援するのか

しばき隊リンチ事件の告発者! M君裁判の傍聴人にしてその仕掛け人!!
在特会&しばき隊ウォッチャーの手記

カウンター運動内で発生した「M君リンチ事件」の経過
続々と明らかになる衝撃の証拠! リンチの事実は歴然!

「M君リンチ事件」を引き起こした社会背景
精神科医・野田正彰さんに聞く

前田朗論文が提起した根源的な問題
「のりこえねっと」共同代表からの真っ当な指摘

リンチ事件に日和見主義的態度をとる鈴木邦男氏と義絶

われわれを裏切った〝浪花の歌うユダ〟趙博に気をつけろ!

「M君リンチ事件」加害者・李信恵被告による「鹿砦社はクソ」発言を糾すが、
誠意ある回答なく、やむなく提訴いたしました!

「M君リンチ事件」裁判の経過報告
10
鹿砦社元社員の蠢動と犯罪性
11
大阪司法記者クラブ(と加盟社)、およびマスコミ人に問う!
報道人である前に人間であれ!
M君と鹿砦社の記者会見が五度も<排除>された!

『人権と暴力の深層 カウンター内大学院生リンチ事件真相究明、偽善者との闘い』(紙の爆弾2017年6月号増刊)
『反差別と暴力の正体 暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾2016年12月号増刊)
『ヘイトと暴力の連鎖 反原連―SEALDs―しばき隊―カウンター 』(紙の爆弾2016年7月号増刊)

朝日新聞が報じた李信恵・断髪理由のウソ

12月22日朝日新聞デジタルは「ネットで顔さらされヘイト投稿 衝動的に髪を切った夜」と題した、大貫聡子記者が李信恵を特集した記事を掲載した。この記事の中にはちょっと不思議な部分がある。李信恵は、

「ネット上では、長い髪の時に撮った写真が、さらされていたので、ある夜『短ければ私だとわからないのではないか』と衝動的に自分で短く切ってしまったこともありました」

と語っているが、下の李信恵がみずから書き込んだツイッターとはいったいどう整合性がとれるのであろうか。この書き込みは2017年6月17日だ。「50センチ以上の髪の毛が不足していると聞いた(ロングウイッグ用)のでがんばって伸ばした」と李信恵は書いている。画像を見ればカット前にはかなりのロングヘアーであることは歴然だ。

2017年6月17日の李信恵ツイッター

髪の毛の伸びる速度には個人差があり、ホルモン分泌や年齢により一定ではない。また体毛は部位により伸びる速度が異なる。毛髪は3日で1ミリほど伸びるのが標準的な速度だそうだ。とすると1月に1センチ、1年で12センチ。50センチ伸ばすためには最低4年以上の時間が必要だ。「ひとによって伸びるスピードに個人差がある」とはよく言われる通りだけれども、50センチ以上伸ばすためには(毛髪が全くない状態から)最低4年を要するはずだ。

「ネット上では、長い髪の時に撮った写真が、さらされていたので、ある夜『短ければ私だとわからないのではないか』と衝動的に自分で短く切ってしまったこともありました」

のは「いつ」なのか?2017年に上のように50センチを超える長さに伸びているのだから、「髪を短く切った」のは2013年か2012年でないと計算に合わない。ところがその時期に李信恵は、まだ「反ヘイト裁判」を起こしてはいない。また裁判を起こす前に出演した「チャンネル桜」の討論会では、肩より長く髪を伸ばしている。これはどういうことだろうか。

そして周辺関係者によると、李信恵が「反ヘイト裁判」を起こしてから、髪の長さが極端に短くなったことはないという。であるならば、

「ネット上では、長い髪の時に撮った写真が、さらされていたので、ある夜『短ければ私だとわからないのではないか』と衝動的に自分で短く切ってしまったこともありました」

は李信恵の勘違いか、ウソということになる。朝日新聞が李信恵についての記事を掲載するにあたり、大貫記者は事実確認を行ったのだろうか?タイトルにしているのだから重要な事実だと大貫記者が感じたのだろう。しかし、その挿話がいかにも疑わしいことは述べたとおりだ。

そもそもまったくの無名な市民で、社会的に露出されることを嫌う方であればともかく、李信恵は、新聞、ネット中継、集会、そしてなによりもみずから連日自分のツイッターやインスタグラムで、これでもか、これでもかと自分の姿を発信している人物だ。片一方でさんざん露出しておいて、同時に「私だとわからない」ことを望むのは、一般的な感覚からすれば、大いなる矛盾ではないか?「わたし」を知られたくなかったら、せめて写真発信を控えたり、取材者にも顔写真の撮影を遠慮してもらう、などいくらでも防御する方法はある。実際、有名な冤罪事件被害者の方の中には、文字での取材には応じるが、顔写真の撮影は断る、という姿勢を続けられておられる方々がいる。李信恵にはそんなそぶりはまったくないではないか。

李信恵が熱心に自分の写真を発信していたことを、大貫記者は知らないことはあるまい。記事のタイトル「ネットで顔さらされヘイト投稿 衝動的に髪を切った夜」は情動的に過ぎ、かつ事実から離れたものではないか。

実は大貫記者には「事実から離れる」、「事実から(人を)離す」癖がある。11月16日大阪地裁で李信恵が記者会見を開いた際に、記者室への取材班の入室を拒んだのはほかならぬ大貫記者だった(『カウンターと暴力の病理』参照)。大貫記者の署名入り記事は翌日の朝日新聞に掲載された。ところが、12月11日李信恵が被告として尋問を受ける法廷に大貫記者の姿はなかった。大貫記者には既に『カウンターと暴力の病理』を鹿砦社はお送りしている。それでもこのような記事を書き続けるのは、大貫記者(あるいは朝日新聞)が李信恵の提灯持ちだからなのか?であれば仕方ない。取材班“直撃チーム”は次なるターゲットリストに大貫記者の名前を書き加える。

李信恵の勘違いか、ウソに取材班は少なからず接してきた。12月11日大阪地裁で行われたM君が李信恵をはじめとする5人を訴えた裁判の、尋問の中でも下記の点は勘違いか、ウソだ。

・M君が暴行を受けてから店に入ってきたときに、M君の前髪が下がっていたので顔が見えなかった。
→事件当時、M君の前髪は眉毛にもかからない程度の長さだった(事件直後の写真により確認できる)から顔が見えないはずはない。
・「M君を弟のように思っています」と発言。
→そうであれば、ツイッターでM君の本名を明かし、「喧嘩はあったけど、リンチなんかなかった」をはじめとする数えきれないM君への攻撃はどのような心理によるものなのか。「弟のように思う」人間にネットで攻撃をしかけるだろうか。
・警察の調べでの発言を原告代理人の大川伸郎弁護士に聞かれた際「事件の記憶とその後に見たM君の写真の印象が混乱していた」旨の発言をしているが、M君の事件後の写真が公開されたのは2016年であり、李信恵が警察で調べを受けたのは2015年だ。つまり「写真の印象」との李信恵の発言は、ここでも時系列的に矛盾する。
・事件当時「チョゴリ」を着ていなかったと尋問で李信恵は断言した。
→しかし事件を録音した音源には、李信恵がM君に掴みかかり暴れた際に、「チョゴリが汚れるから」と周囲の人物が発言していることが確認される。
・12月11日、裁判当日の朝、鹿砦社社長、松岡が、喫茶店内で李信恵に「嫌がらせ」をしたかのような書き込みをしている。
そのような事実はまったくなく、これは完全なウソである。

2017年12月13日の李信恵ツイッター

差別を受けて辛い思いをしたであろうことは想像できるが、その心理を描写するのに「勘違いかウソ」を語ってはならない。そしてどうして朝日新聞の大貫記者に限らず、マスコミは相変わらず李信恵らの「負の部分」を全く報じないのだ!仕方がないから鹿砦社が事実を探し出し、社会に伝えねばならない役回りを担わざるをえない(これにより取材班に対する、婉曲な恫喝や直接の罵倒は数えきれない。「駅のホームでは一番前に立たない方がいいですよ」とのアドバイスをしてくれる人もいるほどだ)。

マスコミが「事実」や「真実」を伝えないから『カウンターと暴力の病理』を出さざるを得なかったのだ。『カウンターと暴力の病理』は付録のCDで話題になっているが、むしろ取材班は、その中身を読んでいただきたい。李信恵ら「しばき隊」の「みもふたもない」(本書176頁秋山理央の告白文言)正体を知れば、読者は世の中の色彩が違って見えるかもしれない。

(鹿砦社特別取材班)

最新刊『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』[特別付録]リンチ音声記録CD(55分)定価=本体1250円+税
『人権と暴力の深層 カウンター内大学院生リンチ事件真相究明、偽善者との闘い』(紙の爆弾2017年6月号増刊)
『反差別と暴力の正体 暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾2016年12月号増刊)
『ヘイトと暴力の連鎖 反原連―SEALDs―しばき隊―カウンター 』(紙の爆弾2016年7月号増刊)

「困った人」香山リカ氏らによる鹿砦社への、筋違いな侮辱発言に抗議する!  株式会社鹿砦社 代表取締役 松岡利康

新刊書籍『カウンターと暴力の病理』において、精神科医の泰斗‐野田正彰氏に「困った人」と評価された、同じ(格はぐっと落ちるが)精神科医で立教大学教授の香山リカ氏――くだんの一件(「どこに送付したか、ちょっと書いてみては?」事件)以来、鹿砦社に対する発信をしばらく見かけませんでしたが、またしても「困った人」ぶりを発揮しています。小さなことにはいちいち相手しないつもりでしたが、「M君の裁判を支援する会」も反論している通り、ことはお金に関することでもありますので、あらためて抗議いたします。

香山氏は、今や刎頸の同志となった感のある野間易通氏による「(鹿砦社が)支援者のみなさんに広告・宣伝をして本を売るのです。そのために弁護士を雇って裁判を次から次へと起こさなければならないのです」(12月15日)とのツイートに応え、「出版の世界はいま構造的な不況で、最近会う編集者からも景気のよい話は聞かない。その中で『裁判を起こす→支援者からのカンパで費用を集める→本を出して支援者に買わせる』という小口ビジネスモデルに活路を見出したのだろうか。支援者は『カンパ』『本の購入』と二重取りされてることになるが」とリツーイトしています。野間氏にしろ香山氏にしろ、言うに事欠いて、根拠のないことを言わないでいただきたい。事実に反し筋違いの無責任な物言いには憤激を覚えます。

野間氏や香山氏らの同志、李信恵被告ら5人に対して、彼らにリンチを受けた被害者の大学院生M君が起こした民事訴訟は、多くの心ある方々の浄財によって支えられてきています。このお金については、弁護士が管理し、1円たりとも裁判費用以外には使われていません。支援会事務局のメンバーが集まる交通費や飲食費なども自腹です(時たま私がいる時には飲食費について私が負担することはありますが)。また、鹿砦社が李信恵被告を訴えた訴訟費用や鹿砦社の運転資金にも、当然ですが1円たりとも流用されていません。

香山氏の表現を普通に読めば、あたかも鹿砦社が、心ある方々から寄せられた浄財を使って「本を出して支援者に買わせ」て不当な利益を挙げているかのような誤解を与えます。そして「小口ビジネスモデルに活路を見出したのだろうか」だって!? 私はそんなセコいことはしません。鹿砦社は本年も(例年同様)年間100点余りの新刊を発行していますが、リンチ関係本はたった2点だけで、売上の比率は全体の1パーセントほどにすぎません。「小口ビジネス」と言うには小さすぎます。いい加減なことを言わないでいただきたいものです。香山先生、あなたも、それなりに名のある「知識人」でしょう、みずからを貶めるようなことは言わないほうがいいのではないでしょうか。

香山リカ氏のツイッターより

野間氏の言説にしても、全くいわれのないもので、どこからそんな発想が出てくるのか、到底理解できません。裁判ひとつ起こすのにも、それなりの費用も掛かりますし、神経も使います。できるならば、裁判など起こさないほうがいいに決まっています。それでも鹿砦社が李信恵被告を提訴したのは、「鹿砦社はクソ」発言があまりにも酷く、度重なる誹謗中傷が小社に対して名誉を毀損するのみならず、小社と業務上関係のある方々(取引先やライターさんら)への悪影響を懸念してのことです。何が、「支援者のみなさんに広告・宣伝をして本を売るのです。そのために弁護士を雇って裁判を次から次へと起こさなければならないのです」か。想像でものを言うのはやめていただきたい。

さらに香山氏は、「お金取り尽くしたらそこで終わり。この件ではもう本を出す価値なし、となったあと、協力者、支援者が冷たくあしらわれて傷つくことにならなければよいのですが」などとほざいています。

香山リカ氏のツイッターより

やれやれ。ここまで来ると、怒りを通り越して失笑を禁じ得ません。しかし、こうした物言いが続けば、これは名誉毀損であり偽計業務妨害であり提訴もやぶさかではありません。私はめったなことでは提訴することはありませんが、度を過ぎれば、李信恵被告に対する訴訟同様、〝賽を投げる〟こともあります。

私や鹿砦社が、李信恵被告ら「カウンター」による大学院生M君リンチ事件に関わったのは、「小口ビジネス」としてではありません。リンチ直後のM君の顔写真を見、リンチの最中の録音を聴いたりして、あまりに酷すぎると感じたことに発しています。それも1年以上も意図的に隠蔽されたり村八分にされたり、さらに事件隠蔽工作に当社の元社員が関わっていたり……。

香山先生、こうしたことについて、あなた自身は、ひとりの精神科医として、ひとりの人間としてどう感じますか? 正直にお答えいただきたい。今回の本にリンチ直後の被害者の写真はトップに出ていますし、リンチの最中の録音も付けています。香山先生にもお送りしています(「どちらに送付したか、言ってみては?」だって? 事務所です)。「釈迦に説法」かもしれませんが、まともな精神科医なら、まずは激しいリンチを受けた被害者の心中を慮り寄り添うべきではないのでしょうか。

また、このリンチ事件について、鹿砦社は4冊の本にまとめ出版しています。このシリーズは、取材費や製作費などに他の書籍よりも多額の費用がかかっています。「小口ビジネス」で本を出し不当に「利益」を目論んだと言わんばかりの言説は心外です。元々利益よりも義憤に感じて始めたのであって、外から想像するほど利益を出しているわけでもありません。

さらに言えば、この裁判は、個人間の諍いではなく、李信恵被告ら加害者らが平素から「差別」に反対し「人権」を守るとうそぶき「ヘイトスピーチ」に反対する訴訟を起こし社会的にも、いわば「反差別」や「人権を守る」運動の旗手のように認知されながら、裏では激しい暴力を行使し常識では考えられないほど凄惨なリンチを行ったことを顧みると、公共的な意味もあり、多くの皆様方に支えてもらい進めたほうがいいという趣旨で始められたと理解しています。これまでは多くの心ある方々のご厚意でカンパも集まり、それで裁判費用が賄えてきました。もし資金が足りなくなったら、鹿砦社や私の私財を投じてもいいとも思っています。それに対して、妙な言い掛かりをつけるんじゃない!

さて香山先生、あなたがまずやるべきことは、「(鹿砦社が)小口ビジネスモデルに活路を見出した」などという、子ども騙しのデマゴギーを振り撒くことではなく、前述したように、ひとりの精神科医、ひとりの人間として、凄惨なリンチを受けた被害者に寄り添い、被害者の傷ついた心中を慮り、あなたの仲間らがやった過ちを叱責し反省を促すことでしょう? そうではないですか!? もしリンチ事件に曖昧な態度を取ったり隠蔽したりリンチ加害者側に与するようなことがあれば、あなたも〈共犯〉です。

まずは、お送りした『カウンターと暴力の病理』に付録として付けたリンチの最中のCDをお聴きになって、ご感想を述べてください。

『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』[特別付録]リンチ音声記録CD(55分)定価=本体1250円+税

毎日新聞・後藤由耶(ごとう よしや)記者への公開質問状

「カウンター」・「しばき隊」内部で発生した大学院生リンチ事件が発生してから、17日で3年が経過した。鹿砦社がこの事件の情報を把握したのが昨年2月末、特別取材班が結成されたのが昨年3月はじめである。それ以来、取材班は被害者M君や周辺人物はもとより、加害者およびその関連人物にも取材を重ね、事件の全容を明かすべく努めてきた。これまでの成果は一連の著作物として世に送り出したが、過日4冊目となる『カウンターと暴力の病理』を刊行した。

「特別付録」リンチ事件の一部始終を記録した音声CDのインパクトもあってか売れ行きは好調で、Amazonカテゴリ「人権問題」部門でベストセラーの1位となっている。取材班は読者諸氏にあらためて感謝の意を表するとともに、今後M君リンチ事件の全容解明に向けさらに踏み込んだ取材、出版活動に邁進すべく誓いを新たにするものである。

◆M君リンチ事件隠蔽工作とマスメディアの罪

M君リンチ事件については、極めて組織的かつ計画的に、大規模で広範囲にわたる隠蔽工作が行われてきた。そこには、マスコミ関係者や大学教員、著名人、弁護士、果ては国会議員の名前までが登場する。その醜態はこれまで取材班が明らかにした通りである(詳細は『カウンターと暴力の病理』第3項、『反差別と暴力の正体』第4項および第5項を参照されたい)。

2015年12月までは「しばき隊」・「カウンター」と不可分の関係にある「反原連」を支援してきた鹿砦社でさえ事件後1年以上が経過するまではM君リンチ事件については「噂」レベルの話さえも把握していなかった。このことは、遺憾ながら「しばき隊」・「カウンター」関係者によるM君リンチ事件隠蔽工作が成功していたことの現れにほかならない。

ひと一人を半殺しにしたような事件を1年以上にわたって隠蔽することができた背景には様々な要因があろうが、最大要因の一つはマスメディアがこの事件を黙殺したことにある。それどころかマスメディアが、現在にいたるもM君リンチ事件を報じることを意図的に避けているとしか思えない事実の数々は、取材班が過去お伝えしてきた通りである。

「大阪司法記者クラブはなぜ、M君の記者会見を拒否するのか?」(2017年10月24日)
「鹿砦社の記者会見申し込みを大阪司法記者クラブが全社一致で拒否」(2017年11月2日)
「大阪司法記者クラブ(と加盟社)、そして全マスコミ人に訴える! 報道人である前に人間であれ!」(2017年11月4日)

一部マスコミ関係者はリンチ事件加害者の周辺人物と繰り返し酒食をともにする「仲間」となり、かかる馴れ合いに基づく人間関係のなかで提灯記事を書くことが常態化しているとの「噂」まで漏れ聞こえてくる(事実とすれば現政権がメディア関係者と「会食」を重ねているのと何が違うというのか)。

まさかとは思っていたが、その「噂」の一断面を示す証拠が見つかった。

◆毎日新聞・後藤由耶(ごとう よしや)記者に問う!

12月11日、M君が李信恵ら5名に対してリンチ事件の損害賠償を求めた裁判の本人尋問が行われた。2日後の12月13日、李信恵はみずからのFacebookに「男前たちに囲まれて飲んでたよー」というコメントとともに次のような写真を掲載した。

[画像1]
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李信恵とにこやかにツーショットにおさまるのは、毎日新聞の後藤由耶(ごとう よしや)記者である。さらにこの場にはリンチ事件主犯の「エル金」まで同席している。これはいったいどういうことなのか? 取材班は後藤記者に以下の通り公開質問をする。

[問1] あなたの所属する「毎日新聞」は2017年6月19日「大阪高裁『人種差別と女性差別との複合差別』在特会敗訴」と題した記事(https://mainichi.jp/articles/20170620/k00/00m/040/042000c)をあなたの撮影した写真とともに掲載しています。この他にも毎日新聞は「反ヘイトスピーチ裁判」と称する李信恵氏の裁判を複数回報道する一方で、李信恵氏が被告の一人として提訴され係争中の「M君リンチ事件」について現在に至るまで全く報じておりません。このような報道姿勢は「公正な報道」といえるとお考えですか?

[問2] 李信恵氏および「しばき隊」・「カウンター」関係者はあなたにとって「取材対象」であるはずです。その李信恵氏、さらにはリンチ事件加害者として李信恵氏ともどもM君に提訴されている「エル金」氏ほか「しばき隊」・「カウンター」関係者2名と親密に酒食を楽しんでおられる様子です。李信恵氏の発信からこのようなことは珍しいことではない様子が推認されますが、毎日新聞記者として適切な姿勢であるとお考えですか?

[問3] あなたが李信恵氏とともに会食していた「エル金」氏は、「M君リンチ事件」の主犯です。それにとどまることなく、伊藤健一郎氏とともに事件後水面下で「説明テンプレ」を作成。被害者であるM君を「M氏の異常性」などと事実無根の誹謗中傷を並べ、「差別加害者」とでっち上げて自らの保身と犯行の正当化、事件の隠蔽をもはかった人物です。「エル金」氏らがこの「説明テンプレ」を広く吹聴し、共有と賛同を図った人々を示すものリストが「声かけリスト」です。「声かけリスト」の中には、あなたの名前も入っています。あなたには「声かけ」がありましたか? あったのであればどなたからですか? 本年12月13日も「エル金」氏と酒食を共にしていたのは、あなたのところにも「声かけ」があったからなのですか?

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[問4] あなたは、本年9月5日「この李信恵さんのツイートを報道にたずさわる人は読んでほしい。李さんの感じる痛みを常に意識し、理解しなければならない」とご自身のTwitterで発信されています。では、あなたは報道人として、1時間にもおよぶリンチを受けたばかりか、事件後「説明テンプレ」で「差別加害者」の如くでっち上げられ、野間易通氏ら「しばき隊」・「カウンター」関係者多数に現在も誹謗中傷や嫌がらせを受け続けているM君の痛みを意識し、理解する必要はお感じにならないのですか?

[画像7]

後藤由耶記者、以上の質問に対し、12月27日(水)正午までに取材班メールアドレス(genic@rokusaisha.com)まで誠実なる回答を求める。

(鹿砦社特別取材班)

『カウンターと暴力の病理 反差別、人権、そして大学院生リンチ事件』[特別付録]リンチ音声記録CD(55分)定価=本体1250円+税

M君リンチ加害者李信恵ら5人への12・11本人尋問傍聴記 被告側に4つの大失点

12月11日、大阪地方裁判所810号法廷でM君がリンチ加害者=李信恵ら5人を訴えた損害賠償請求事件の本人尋問が行われた。傍聴券配布が事前に伝えられていた法廷の傍聴をもとめ傍聴可能者数(35人)を超える人びとが集まった。

◆M君支援者VS「しばき隊」── 傍聴席の比率は2対1

M君支援者側は、期日前からツイッターや本「通信」で傍聴への参加呼びかけを行っていたのはご存知の通りだ。M君に対立する側もさすが「組織」の「しばき隊」らしく、尊師こと野間易通をはじめ、「説明テンプレ」、「声かけリスト」を作成したITOKENこと伊藤健一郎、ツイッターで悪質なM君誹謗を続けた、leny。ほかにもTakaaki、Hiroshito、「声かけリスト」で声掛けの役割を割り振られた、もしもしピエロ、うっちー。さらには、みょんきち、みひょん、東京さば子、中村美和(いずれもツイッター名)など10名を超える顔ぶれが傍聴券を求めて集まっていた。

この顔ぶれを見てわかることは、「しばき隊」も全国動員に近い集結指令が下ったであろうことである。地元関西はもとより、東京や新潟からも傍聴者が集まっている。

傍聴券抽選後、傍聴席についた割合はM君支援者2対「しばき隊」1の比率だ。取材班は最前列に鹿砦社・松岡社長が座り、数名はバラバラに着席した。四国から駆け付けた合田夏樹氏の姿もある。

◆M君に暴行中の細かな記憶の再生質問ばかりを繰り返した韓雅之弁護士

定刻10時30分開廷となり裁判官が尋問に先立ち証拠の確認を原告被告の双方に行う。双方了承後、M君の本人尋問がはじまった。瀬川武生弁護士がM君に質問(主尋問)で事件に至る経緯や被告らとの関係、事件の様子、事件後の成り行き、その後の被害などをM君に質問した。

そのあと被告側弁護士5名からM君に対しての反対尋問が行われた。細かい内容は省くが、総体としてM君に対する反対尋問はM君及び弁護団が想定していたものよりも、かなり厳しさを欠く内容であった。

その中で際立っていたのは凡の代理人、韓雅之弁護士だ。凡がエル金の暴行を止めるためにいかに全力を尽くしたかを強調するために、M君に対して、暴行中の細かな記憶の再生を求める質問を繰り返した。弁護士という職務上、依頼人である凡の利益を最大にするためには、どのような非人情な質問でもぶつけなればならないことは理解する(ある意味それはプロフェッショナリズムでもある)が、それにしても散々殴られ意識朦朧が確実なM君に事件時の子細な記憶再生を求めることにはおのずから無理があり、印象に残ったのは韓弁護士がとにかく凡の責任を最小限にとどめようと腐心している姿だ。

◆弁護士としては絶対にしてはならない質問を2度も繰り返した姜永守弁護士

そして、被告代理人最大の失敗は姜永守弁護士の質問だ。既定の時間を超えて、裁判から制止されるも行った姜弁護士のM君に対しての最後の質問、「あなたはこの裁判のなかで被告たちがリンチをしたとか、隠蔽をしたとかさんざん主張して、各被告の責任を訴えていますよね。あなたにとってはこの裁判はなんなんですか?」には、裁判官、原告弁護団、傍聴席からも驚きの声が上がった。

ざわつく法廷内を気にもせず姜永守弁護士は「何のためにこの裁判をしているのですか?」と弁護士としては絶対にしてはならない(まったく被告の利益にならない)質問を2度も繰り返してしまったのだ。M君も驚いただろうが「訴状に書いてある通りです」と明確に答えた。

◆エル金に告ぐ。鹿砦社出版物の「事実と異なる内容」を明確に指摘せよ

昼食の休憩をはさんで午後からは被告らへの質問が行われた。当日尋問を受けた4被告の中で、最初に証言台に立ったのはエル金だった。エル金は饒舌だった。主尋問、反対尋問にも即答を繰り返した。だが以下の発言は座視することはできない。主尋問に対してエル金は、
「原告側、いろんな媒体を使って、ネットや媒体を使いこの3年間で実際にこの事件で私が働いた、私個人で働いた暴行の実態以上のものが、誇張されて、歪曲して、非常に違ったものとして社会に広く知られることとなっているところです。それによって、意図的に関係のない、無関係な膨大な人たちに対して、その中のほとんど私と面識がない人たち。この人たちの名前や個人情報や職場や、そういうものを勝手に写真とか貼り付けて雑誌に載る(中略)。もう鹿砦社による4冊目と。すでにもうこの3年間で3冊目という。これが4冊目です。事実とは異なる内容で、さきほどいま申し上げた内容のことを、反映させた内容となっております。それが新刊なんですけど、ちょうど昨日(10日)名古屋で、名古屋の駅前で在特会、ヘイト団体がおぞましいヘイトスピーチ街宣をやりました。その場で八木(在特会会長)がマイクで、この本を掲げながら『この朝鮮人が働いた集団リンチ事件で、隠蔽事件がある』と。そのような文脈でヘイトに結び付け、ええ喧伝し、通行人の人たちに非常に恐ろしい思いをさせたと。そういうことが実際つい先日もあり」(太字取材班)
と、明確に鹿砦社の発行物が「事実とは異なる内容」と言い放った。そして在特会が鹿砦社の出版物を利用したことが、あたかも鹿砦社に非があるかの如く語った。

エル金に告ぐ。「事実と異なる内容」を明確に指摘せよ。事実認定の誤りや取材不足があればその内容を訂正・修正するに取材班はまったくやぶさかではない。これは出版の根本にかかわる問題だ。取材班は2年にわたり事実確認と取材を行い、証拠にもとづいて出版活動を行っている。その内容はエル金をはじめとして被告たちには、「不都合な真実」の連続だろうが、真実は真実なのだ。

◆伊藤大介よ、鹿砦社出版物のどの部分が「誹謗中傷」に該当するのか明言せよ

また伊藤大介も、
「二人(取材班注:エル金・凡)に対して原告や原告の支援者からネット上や雑誌等で酷い誹謗中傷を、デマに基づく誹謗中傷を受けて。これはもう自分たちが犯した罪の贖罪を超えているような状態。(中略)私と松本(英一)さん(ヨン様)に関しては任意の事情聴取どころか、警察から電話の1本さえありません。それなのに、私も『暴行事件・傷害事件』の加害者のような書き込みがなされ、原告や、原告の支援者の鹿砦社やネトウヨたちに、ネット上や雑誌上で酷い誹謗中傷を受けています。(太字取材班)」
と明言した。

鹿砦社は伊藤にこれまでさんざん誹謗中傷されてきた。その一部は『カウンターと暴力の病理』に資料として掲載した。伊藤にはわれわれから逆質問をぶつける。鹿砦社出版物のどの部分が伊藤に対する「誹謗中傷」に該当するのかと。

エル金に続く凡への質問は前述した通り、韓弁護士がなりふり構わず凡がいかに暴行を制止しようとしたか、に終始したが、大川伸郎弁護士の冷静な反対尋問はどんどん事実を露わにしてゆく。休憩時間中に裁判傍聴経験豊富な方々の間では「大川砲とんでもないですね」と驚愕の声が上がるほど、大川弁護士の反対尋問は冷静かつ真実を浮かび上がらせる質問の連続だった。

◆被告側法廷発言・4つの大失点

それは、李信恵、伊藤大介に対しても同様だ。この日被告側の大きな失点は、素人目に4つある。1つ目は前述姜永守弁護士の失当質問。2つ目は李信恵が「自分は乱暴な言葉を日ごろから使う『殺されるんやったら中におれば』もいつも通りの言葉遣い」と発言したこと。3つ目は同様に李信恵が事件時に着ていた「チョゴリ」を「着ていませんでした」と明言したこと、そして被告側最大にして取り返しのつかない発言は、伊藤大介が、殴られたM君の姿を見ても「エル金とは友達なんだから話し合った方がいい」と繰り返し述べてしまったことである。

伊藤の発言は取材班も予想外であった。伊藤は自身が「共謀」などなかったと何度も繰り返し主張しているが、この発言は伊藤が「暴行事実を確認しながら、それを放置(場合によってはさらなる暴力の誘因をはかった)と言っているに他ならないからだ。伊藤は事実がそうでなくとも「共謀」を否定するのであれば、絶対にこのような発言をしてはならなかった。素人にもそう感じられたが、合議体である裁判官が3人とも「暴行を受けている事実を確認して、また店外に出したらさらに暴力を振るわれると考えなかったか」といった趣旨の質問を繰り返した。その質問のたびに伊藤は前述通り「もともと友達だからちゃんと話し合って解決すべきだ」と思ったと語った。暴力続行の危険性を全く配慮していなかった=結果として黙認したことを何度も裁判官の質問に向かい確認したのだ。

◆判決は来年3月19日、同法廷で言い渡される

様々なやり取りがあった長い1日であったが、要点は上記に要約できるだろう。追加書類の提出期限が来年の1月末と定められ、判決は3月19日13時15分から同法廷で言い渡されることとなった。

取材班は裁判所の公正な判断を期待するのみだ。

(鹿砦社特別取材班)

いまだに「リンチはなかった」などと平然と語る連中がいる(『カウンターと暴力の病理』グラビア)
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