動画公開!ハンスト学生らのシェアハウス「りべるたん」不当ガサ入れ現場!

本コラムで先日来、お伝えしていたハンスト学生関係者が暮らすシェアハウス「りべるたん」に警察が暴力的に押し入った動画が公開された。
この動画は現場で撮影を敢行したジャーナリスト藤倉善郎さん撮影によるものだ。この動画を見た方々はどうお感じになるだろうか。
私は敢えて多くをコメントしない。ご感想と判断は読者の皆さんの判断に委ねたい。


◎[参考動画]「りべるたん」家宅捜索(藤倉善郎さん2015年9月26日公開)

シェアハウス「りべるたん」に押し入る警官(写真提供=藤倉善郎さん他)
真ん中の男が辻則夫=警視庁公安部公安1課警部補(写真提供=藤倉善郎さん他)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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墓参りでの違和感──今年は誰も「戦争」の思い出を語らなかった

1年ぶりに墓参に出かけた。市営墓地は歴史が古く、昨年までは無縁仏の墓石のほとんどが一か所に集められピラミッド状に積み上げられていた。どなたのお墓か存じ上げない数々の戒名を刻んだ墓石のピラミッドは、ちょとした異様ではあった。今年になって無縁仏のピラミッドは跡形もなくきれいさっぱり撤去されていた。誰に充てるともなく記された「市」による無縁墓石撤去の「公報」は、すでに雨水が沁みて読みづらくなっている。

88歳を筆頭に墓参に参加する私たちの一団。年のわりには元気というべきだろう。相応にあちこちガタがきているけれども口数の元気さだけは変わらない。ともあれここ数年身内から葬式を出すことはなかった。身内にとってはありがたい数年間だったというべきだろう。

◆22歳ニューギニアで戦死した叔父の墓

先祖代々の墓の隣に、ひときわ背が高く先端が四角碓の墓石がたっている。22歳ニューギニアで戦死した私の叔父の墓だ。叔父は送られたニューギニアに到着直後に戦死している。1942年戦死の叔父は不幸中の幸いか、遺骨となって帰国を果たし、祖父や親戚が高知港まで出迎えに赴いたと聞いている。

叔父の戦死を知らせる新聞記事が残っている。「お国のために命を捧げた息子を誇りに思もふ」と、気丈に語ったとされる私の祖母は、叔父の遺骨を受け取った駅でただただ泣き崩れ、言葉を発することなどできなかったそうだ。新聞記事はまったくの嘘を書いている。

墓参後の食事の話題は、毎年もっぱら昔話である。傍で聞いていると、何年も同じような話をしているように聞こえる。でもみな楽しそうで嬉しそうだから結構なことだ。連休中で道が混んではいたけども、例年と何変わらぬ墓参の1日が無事過ぎた。

◆誰も「戦争」の思い出を語らなかった

でも思い返せば今年、年長者たちは直接、間接に「戦争中」の思い出を語らなかったことに気が付いた。保守的な土地柄に長らく商売を営む本家の主は、温厚で教養にもあふれる優しい人柄だけれども、こと国防や戦争に関する考え方は私と全く異なる。不義理な私は年に1度平均でしか顔を合わせない叔父と、意味のないいさかいを起こしたくないから、もちろん微妙な話題は避ける。

今年春先からやや体調を崩したためであろうか、昨年よりも叔父はすいぶんと小さくなったように見えた。食事の席で酒が入ると叔父の元気が戻ってきた。あれこれ亡き親戚の思い出話や、近隣住民の悪口、と話しは尽きない。

でも、やはり今年は誰も「戦争」の思い出を語らなかった。かといって「戦争推進法案」の成立が話題になることはない。

私の思い違いでなければ例年と異なっていたのは高齢者の誰もが「戦争」を語らなかったことと、市営墓地のそこここに満開の曼珠沙華の花弁が去年より薄く感じられたことだけだ。ひやっとさせられるほどの毒にさえ近いあの鮮明な曼珠沙華の血色の花が、柄にもなく遠慮深そうに何かを恥じているように色を控えていた。私の錯覚だろうか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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見せしめ逮捕のハンスト学生勾留理由開示公判──大荒れながらも全員釈放!

「ガサ入れ」、「勾留理由開示公判」、「公妨」、「警備法廷」……。ご存知の方には耳慣れた言葉でも、興味のない方には何のことやらさっぱり意味が解らないかもしれない。でも、この島国に住む全ての人々がこれからは上記の言葉の意味を理解していなくてはならない時代になった。

◆9月16日国会前冤罪逮捕、24日不当ガサ入れに続き、25日は勾留理由開示公判!

9月16日国会前で「戦争推進法案」に反対して集まった多くの人びとの中から、まったくの「冤罪」で13名が逮捕される事件が起こった。

24日被逮捕者に関係する数か所が警視庁公安の「強制捜査」(ガサ入れ)を受け、私もそのうちの1か所「りべるたん」で公安警察と名乗る「暴力集団」の狼藉の一部始終に付き合った(24日付記事参照)が、25日は東京地裁310法廷でまだ釈放されていない6名のうち2名の「勾留理由開示公判」が行われた。

秋雨が降り一気に肌寒さを増す悪天候ながら、開廷予定10時の1時間前には約30名の支援者が集まり、支援集会が開かれた。今回の法廷は悪名高い常時警備法廷である「429号」法廷の隣、「430号」法廷だ。「429号」法廷には33席の傍聴席があるが、「430号」法廷には20席しか傍聴席がない。

傍聴者の数を制限しようとする、裁判所の悪意は明白だったので、事前集会でもそのことへの追求や糾弾発言が相次いだ。午前9時30分、傍聴券の抽選が行われた。日頃行いの悪い私は今回も抽選から外れてしまったが、支援者の皆さんのご協力で傍聴券を譲って頂き法廷内に入ることができた。

「経産省前」でやはり不当逮捕された3名の「勾留理由開示公判」は「429号」法廷で開かれたが、その時以上に裁判所は警戒度を高めていたのだろう。

傍聴券を手にして法廷に入ることが出来る20名の他、支援者たちも地裁4階に集結し、「どうしてもっと大きい法廷で開かないんだ!」、「裁判所は傍聴させろ!」と開廷時間前から裁判所職員に抗議の声をぶつけた。この日、午前10時から「429号」法廷では何の審理もおこなわれていないことが判明したので、抗議の声はより高まった。

◆傍聴者全員を犯罪者扱いするような金属探知機による身体検査

東京地裁(高裁)は建物に入る際に金属探知機で全員が「身体検査」を受けるが、「警備法廷」傍聴の者は、筆記用具以外全ての荷物を裁判所に預けなければならないという「身勝手」なルールがある。私は傍聴できない方に全ての荷物を預かって頂き、多くの職員の間を通り法廷前に進んだ。ここでまた改めて「金属探知機」による身体検査がある。まるで犯罪者扱いだ。

そして「430号」法廷の前に移動するが、傍聴に入った人が、「430号」法廷向かいの法廷の傍聴席に3名が着席していることを発見した。向かいの法廷は今日審理の予定が張り出されていない。つまり誰もいるはずがない、いてはならない場所に照明がともり「何者か」(警察の疑いが濃厚)が控えていることが判明した。

「おかしいじゃないか」の声が上がる。「開廷予定のない部屋に照明がともり不審者がいる。中を調べろ」と裁判所の職員に要求するが、一向に取り合う気配はない。開廷予定は午前10時であったが、弁護団の1名が他事件の接見で到着が遅れたために、開廷時間は30分ほど遅れた。到着した弁護士に、支援者が早速不審者が控えている旨を伝える。

定刻から約40分遅れで傍聴者の入廷を許されたが、開廷前にもかかわらず裁判官は「私語や拍手などあれば即退廷を命じます」と威圧的な発言をした。

◆拍手をしただけの傍聴者を法廷外へ排除する有賀貞博裁判官

この裁判官の名は「有賀貞博」 。そうだ。経産省前で逮捕された3名の「勾留事由開示公判」の際にも法廷を仕切り、多数の「退廷命令」を乱発し、挙句の果て「閉廷後の全員退廷命令」まで出した「退廷専門裁判官」だ。10時40分、被逮捕者が入廷してきた。拍手をした傍聴者に早速「退廷命令」が出される。まだ有賀は「開廷」を宣言していないのに、体格だけ大きくて暴力が大好きな裁判所職員が傍聴者1名を取り囲み、無理矢理法廷外へ排除した。

すかさず弁護団が「おかしいじゃないか、開廷も宣言していないのに何で退廷なんだ!」と抗議するが有賀は無視。続いて10時41分、被逮捕者に「頑張れ!」と声をかけた傍聴者がまたしても数人の「乱暴者」達により抱えられて無理矢理法廷外へ連れ去られた。

前回傍聴した「勾留理由開示公判」で有賀は弁護団の求釈明にほとんどまともに回答しなかった。この日も入廷して以来、1分に1度くらいの割合で法廷後部の壁に掛けられた時計をしきりに見ている。有賀には身柄を拘束されて非道な扱いを受けている冤罪被害者の「勾留理由」を説明するつもりなど最初からまったくなく、ただ形式的に弁護団の求釈明に「答えません」、「先ほど話した通りです」を繰り返し、この場を乗り切ろうとする姿勢がありありとうかがえた。しかも有賀の物言いは極めて高圧的だ「静かにしなさい」、「被疑者は黙りなさい」と命令口調に終始する。「お前は何様だ!」と怒った弁護士もいた。

不当拘束をされ、まともに「勾留理由」を開示しようともしない有賀に、被逮捕者が怒るのは当然だろう。何度も被逮捕者は有賀を糾弾する言葉を投げつける。

検察からは3名が出て来ていた。「全員名前を名乗れ」との弁護団の要請を、有賀は「発言した検察官に限り名前を名乗るように」と、裁判所=検察癒着体質を露わにする。そもそも「勾留理由開示公判」で検察が出廷していようとも発言することは稀だから、名前を名乗るチャンスはほとんどありはしないのだ。唯一「吉田純一」という検察の中でも「公安事件専門」と言われる検察官が苗字だけ名乗ったが、弁護団の「姓名を名乗れ」の要求を有賀は「その必要あありません」と却下した。

吉田のフルネームが判明したのは、傍聴席にかつて吉田に取り調べを受けた経験のある人がいたからだ。

弁護団は「求釈明を項目ごとに読み上げるので、その都度、理由の説明をして欲しい。そうでないと被疑者の人も傍聴席の人も訳が分からなくなる」と有賀に要求するも、有賀は「全て読み上げた後に回答します」と答えるのみだ。どうせ、「先ほど述べた通りです」、「これ以上は答えません」以外にこの裁判官という名の「国家権力の犬」(弁護団の表現)は語るつもりはないのだ。

私が知る限り、有賀の語彙は「前に述べた通りです」、「これ以上は答えません」、「被疑者は静かにしなさい」、「退廷を命じます」だけだ。

これだけの語彙で「裁判官」という職業は務まるらしいのだから、司法試験なんか不要なんじゃないか。有賀と同じ采配と発言なら私にだってできる。それほどこの男は許しがたく被逮捕者や傍聴人を冒涜する。本質的な意味において「悪人」である。

◆逮捕勾留は「弾圧のための見せしめ」だった!

11時06分、大した発言もないのにまたしても傍聴者に「退廷命令」が出される。

弁護団が緻密に用意した求釈明に有賀は一切まともに答えなかったのでその間のやり取りは割愛する。

が、ここで珍事が起きた。被逮捕者の両側に座り警備をしている警察官のズボンの中の携帯電話が鳴り出したのだ!

おいおい!法廷内には携帯電話持ち込み規制されて、傍聴者は全員入り口で預けさせられているんだぞ。お巡りさんよ。慌てふためく警察はどこのポケットに携帯電話が入っているのか探るがなかなか見つけられない。間抜けな呼び出し音が鳴り続ける。

おい!有賀!この警察官に何故「退廷命令」を出さなかったのだ!

百歩譲って、被逮捕者の警備が業務の警察官が携帯電話を持っていることまでは認めるにしても、法廷内で傍聴者の僅かな発言には「退廷」を命じるなら、少なくとも「携帯電話の電源を切るように」くらいの命令をすべきだろうが。

9月24日「りべるたん」ガサ入れの際に示された、被疑事実「被疑者は背中で機動隊を押した」には腰を抜かしそうに驚いたが、25日「勾留理由開示公判」に出廷した2名の被逮捕者の方々の嫌疑も、ほぼ同様に「背中で機動隊を押し暴行した」と有賀は冒頭勾留理由を読み上げた。

人権蹂躙と税金の無駄使い、そして不要な国家権力による暴力はたいがいにしろ!としか言いようがない。機動隊の虚偽の申告以外に証拠はないし、目撃証言もない。どう考えたって起訴できるわけがない! つまり、この逮捕勾留は「弾圧のための見せしめ冤罪逮捕」以外の何物でもない。

弁護団の意見陳述では3弁護士の怒りが爆発した。「話にならない。有賀!お前は裁判官であるまえに権力の犬だ!」との発言には私も思わず「よし!」と声を出しそうになったが、退廷を食らっては取材が続けられないのでぐっとこらえた。有賀の視線は相変わらず時計を追うばかりだ。

被逮捕者お二人の意見陳述は見事だった。お一人は裁判官ではなく傍聴席に向かって「今日ここに集結された全ての労働者・学生その他の皆さん!」から始まり、「犯罪者を切り捨てるような視点で平和や社会問題を語ってはならない、それは犯罪を犯さずにはいられないところまで社会から追い詰められた人を切り捨てることになる」ときわめて多くの示唆に富む内容だった。

もうお一方は着席のまま淡々と今日の社会情勢を読み解き、何故この逮捕事件が起きたのか、そしてその意味は何かを極めて高い格調でかたっておられた。

有賀の一本調子と全くの好対照が印象的だった。

閉廷の予感が近づくと傍聴席から多くの声が飛び出した。被逮捕者も裁判所職員に阻まれそうになりながらも、笑顔で傍聴席と握手やガッツポーズを交わす。

有賀はもたないだろう。今日釈放でほぼ間違いないだろうと私は確信した。

その時、「全員退廷」命令が出された。有賀得意技だ。私は検察官の態度が許せなかったので、少し彼らにアドバイス(?)を送った。そうすると若手二人の検察官は泣き出さんばかりにおののいている。何を怖がっているのだ。私如き善良な市民に。

◆私を足蹴りで転ばした東京地裁職員たちこそ暴力集団!

気が付いたら天井が見えていた。裁判所暴力職員に足蹴りで転ばされたのだ。「おい!暴力やないか!」と反撃すると3人がかりで手足を掴んで立ち上がらせようとするが、その際明らかに1名が私の脇腹を(強くはないが)殴ってきた。さすがに私もキレてしまった。それ以降の発言は私の人格に対する誤解を招くので割愛するが、25日の有賀及び東京地裁暴力職員の横暴を私は決して忘れない。

そして、その様子は法廷外でも多くの人びとが直接、間接に見聞きして知っている。この写真は傍聴できなかった人から提供頂いたものだが、閉廷後も抗議の声は暫く止まなかった。

13時から記者クラブで学生を中心に記者会見が行われた。20近いメディアが取材を行った。

14時30分頃、被逮捕者釈放の報が支援者に届き、歓声があがる。その後拘留されていた残り5名全員の釈放決定の連絡が入った。

釈放は当然と言えば当然すぎる。だが愚かにして罪深い警察、検察、裁判所よ。そしてその最終責任者である安倍よ。お前たちの妄動はこのように自立した個と、豊かな個性、人格とその連帯によってことごとく粉砕されていくことを心しておけ。

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▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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安保法採決直後に若者弾圧!ハンスト学生への「不当ガサ入れ」現場報告

「戦争推進法案」反対の人々は連日国会前を埋め尽くし、力の限り反対の声を上げたが、ファシズム自公政権によりこの最悪法は可決されてしまった。多くの人びとのさまざまな抵抗や闘いがあった。その中で9月16日夜に13名が一挙に逮捕されるという事件があった。現場にいた人の情報によると、逮捕は16日21時頃から22時頃まで断続的に行われたようだ。

そして、被逮捕者の中には本コラムで紹介してきた「学生ハンスト実行委員会」関係者3名が含まれることが、先日明らかになった。

◆「言いがかり逮捕」の後にやってくるあまりに不当な「ガサ入れ(家宅捜査)」

関係者と連絡を取り状況を整理してみると、機動隊がこの種のデモや集会でお得意とする「言いがかり逮捕」にほぼ間違いないことがわかった。さらに昨夜「学生ハンスト実行委員会」メンバーの数人が共同生活する場所に「明日ガサ入れ(警察による家宅捜査)が入りそうだ」との確度の高い情報を得た。でっち上げの公妨(公務執行妨害)でも家宅捜索を強制し、当たり前の権利である悪政への抗議活動を委縮させ、反対運動や抗議の分断を画策する権力のデタラメ極まる態度は過去にもこのコラムでも紹介したが、またしても同様の「不当ガサ入れ」が行われるという。

私はたまたま、東京に滞在していてこの報に接した。このコラムでも紹介した学生の仲間たちが行なっていた正当な「抗議活動」に対する悪辣極まる弾圧は許せない。そこで24日午前9時頃から「学生ハンスト実行委員会」関連の学生も居住する「りべるたん」と呼ばれる2階建ての住居に赴いた。1階は居間と台所、風呂、2階が共同スペースと寝室となっている「りべるたん」は、この時代にあってはなかなか珍しい空間だろう。個性豊かな居住者とさまざまな若者が集まるコミュニティーとなっているようだ。しかし若者のたまり場だけあり、2階の散らかり振りは半端ではない。

午前中から私同様、「危険情報」を聞きつけた人びとが集まっており、広くない居間は座る場所もないほどだ。

ガサ入れは朝一(早朝含む)の場合もあれば、午後3時頃のこともある。仕事に出かける人や大学に行く学生などの出入りが激しいが、常時一定人数以上の人が「万が一」に備え準備していた。とはいうものの、路地に面した窓は網戸のままだし、人の出入りが激しいからときに玄関の施錠を忘れることもある。今から考えれば「ちょっとのんびりした」待ち受け体制だったかもしれない。

正午を回り、午後1時を過ぎるとただ待っている我々もくたびれてきた。「3時を回ってこなかったら、今日はないでしょう」。そんな話をして、ただ待機していると眠気が襲ってくる。

◆捜査令状も見せずに突然、土足で家に入り込んできた総勢約20人の「暴力装置」たち!

目が覚めたのは午後2時頃だ。窓に面した細い通路に多数の「不審人物」が現れた。マスクをしている奴も多い。

「来たぞ!」誰が叫ぶでもなく声を上げる。私は玄関の施錠を確認に向かったが、そのときすでに「国家の暴力装置」数名は捜査令状を示すこともなく、網戸を開けて土足で家に飛び込んできた。私はそのうち1名から意図的かどうかわからないが、アゴを殴られた。「警察」と呼ばれる公営「暴力集団」は勝手に玄関の鍵を開錠しなだれ込んで来ようとする。玄関に立ち「令状を見せろ」と応じる住民や支持者と警察の間で激しいやり取りが続く。警察の行列の奥ではテレビカメラが回っている(後で判明したがテレビ朝日だった)。

警官押し入る(写真提供=藤倉善郎さん他)
警官押し入る(写真提供=藤倉善郎さん他)

「警察」と呼ばれる公営暴力集団は「令状」を見せろと要求しても全員に見せようとしない。「立会人を決めろ」と勝手な理屈を並べる。だいたい令状を示さずに居住空間に土足で上がり込み多数がなだれ込むなどという行為は完全な「住居侵入罪」だ。この夏、経産省前で3人が「建物にも入っていないのに」「建造物侵入」容疑で逮捕された(その後不起訴)が、今日の「公営暴力集団」の最初の犯罪は「住居侵入」若しくは「建造物侵入」さらに私に対する「特別公務員暴行陵虐罪」だ。

住人や支援者と警察のやりとりが激化し、新たな「言いがかり逮捕」の危険を感じたので、私は「公営暴力団」の指揮官に「こちらで話し合って立会人を決めるから、まずは外へ出て待て」と要請した。その間にも「公営暴力団」の実態を記録しようと、カメラを向ける人を、特に言葉も行為も乱暴な輩が階段上で押し倒し、押さえつけている(ちなみにその人は私同様フリーのジャーナリストだった!大間抜けな公安よ!)。

テレ朝が支援者を撮影する(写真提供=藤倉善郎さん他)

◆「その場」に居合わせた責務として、私が「立会人」となった

「りべるたん」は20人以上はいたであろう「公営暴力集団」全員が入れるような広い場所ではない。暴力団は1階と2階を分けて調べるから「立会人」を2人出せという。ここで傍観していては何のために馳せ参じたのか意味がなくなるので、関係者の1名が1階の、私が2階の「立会人」になることとした。「立会人」を決めると他の家屋内部にいる人には外へ出るように命じられる。女性がカバンを持ち出す際には雑な手つきで下着まで物色してた。下衆な連中である。

その後ようやく令状が示された。「令状を撮影させろ」と要求するが「暴力団」は一切聞かない。仕方ないので1階の立会人が声を上げて内容を読み上げる。細かい記録がないが、被疑事実が実に笑わせてくれるものだった。

それはなんと「被疑者は背中で機動隊員の胸部を押して暴行した」とかいう内容だった。つまり、殴ってもいなければ、前向きで押したのでもない。「背中で機動隊の胸を押した」ことが「暴行」ってどういうことだ?

マスク軍団の侵入(写真提供=藤倉善郎さん他)
学生ハンスト実行委員会の学生たちが居住する「りべるたん」(写真提供=藤倉善郎さん他)

◆バカげた捜査令状を錦の御旗に粛々と違法強権を発動し続ける辻則夫=警視庁公安部公安1課警部補

あまりの馬鹿さ加減に私は捜査の指揮を執る警視庁公安部公安1課警部補の辻則夫に、「ちょっと待って、軽く体に触れるけど、これは確認のためだから。要するにこの被疑事実はこういう形で接触したということか」と私の背中を辻に押し付けてみた。

「この令状ではそういうことになっています」と辻は否認しない。

こんなバカな容疑があるか! 満員電車で毎日繰り返されるラッシュの何分の1にもならない体の接触しか「でっち上げられない」のか。もう少し偽造するならそれらしい「容疑」を偽造して持ってこいや!

と内心あきれたが、ここでキレてはいけない。やがて「家荒らし」が始まった。2階には4人の若手を中心とした体格は良いが、人相の悪い連中が上がってきた。私はそこで「弁護士に相談したいことがあるので電話をしたい」と告げた。すると人相の悪い中年男は「それは出来ない」という。「法的根拠は」と聞くと「どの法律のどこに書いてあるというものではないが、私たちはそうしている」となめた口をきく。「何言ってるんだ法的根拠がなければ、通信・交通の自由制限できないだろう」と追及すると、指揮官辻則夫がやってきて「過去の最高判例で捜査中は弁護士に電話をかける制限をしても良いというものがある。それに従って捜査をすすめている」という。怪しい。実に怪しい。

「いつのどの裁判での判決だ?」と聞くと「そこまでは覚えていない、あとで調べてください」と開き直る。「馬鹿言うな。判例を根拠にするなら最低限事件名と何年の判決かくらいは開示できなければ信用できないだろう」と追及するが、出まかせを並べて逃げようとする。因みに「ガサ入れ」後、知り合いの弁護士に「そんな判例聞いたことあるか」と連絡し調べてもらったが、「そのような判例はない」との回答を得た。

だとすれば警視庁公安部公安一課長警部補辻則夫をはじめとして、複数の「暴力団」が語っていたことは完全に「嘘」ではないか!

私はさらに難問をぶつけた。「私はここの住人ではない。ここへ来たのも初めてだ。立会人として今外出している居住者に対しては、一定の責任がある。仮に捜査後に令状と関係ない私物がなくなっていた場合、あなたたちは関係なく、立ち会った私が責任を問われる、つまり「民事上」の債務者とされる恐れがある。だからその対策を弁護士と相談したいのだ『警察は民事不介入』だろ。それでも私の電話を阻止するのか」と別の指揮官を問い詰めると、奴は「自分の一存では判断できないから相談してくる」と言い残し、その場を去ったが、行方をくらませ二度と姿を現さなかった。

真ん中の男が辻則夫=警視庁公安部公安1課警部補(写真提供=藤倉善郎さん他)

◆「機動隊に背中を寄りかからせて」逮捕されたとする被疑者の立件などありえない!

令状によると「機動隊に背中を寄りかからせて」逮捕されたとする被疑者(否逮捕被害者)の立件なんてできるはずがない。しかもこの無茶苦茶ガサと公営暴力団「警察」のやりたい放題と、「判例がある」との明らかな虚偽による弁護士との連絡妨害。正確に数えるといったいいくつの違法行為が積み重なることだろうか。

戦争に反対する真っ当な若者のたちの意思を国家権力は「暴力」と「虚構」で押さえつけようとする。

この島国で進行している無法狼藉をいやというほど思い知らされた。

他方、住民をはじめとする学生や支援者の態度は実に立派だった。不法行為や乱暴狼藉にひるむことなく、的確な批判と抗議を貫いていた。

どちらに非があるかは語るまでもない。不当逮捕された関係者は即刻解放されるべきだ。不当逮捕、不当捜査断乎糾弾!!

弁護士への電話連絡を押さえつける辻則夫=警視庁公安部公安1課警部補(写真提供=藤倉善郎さん他)

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学生ハンスト実行委員会:9.16国会前弾圧に対する抗議声明(レイバーネット2015年09月21日)

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NO PASARAN! 奴らを通すな! 実録・怒りの新横浜シットイン

9月16日。新横浜プリンスホテルで、参議院平和安全法制特別委員会の地方公聴会が開かれた。会場の雰囲気を知りたかったので、その日はホテルのなかでランチを食べることにした。

午前11時過ぎに新横浜駅に到着すると、警察官がすでに警備にあたっていた。公聴会は13時からの予定になっている。コンコースを抜けて駅前の広場に差し掛かると、「強行採決NO」「アベ政治を許さない」などのプラカードを抱える人たちと、何人もすれ違った。少し歩いてホテル入口に向かおうとすると「メンテナンス中のため閉鎖中」と、メンテナンスの様子がさっぱりわからない柵で封鎖されていた。

「中のレストランに行きたいんですけど」

警察官にそう話しかけて、正面入口まで誘導をお願いする。道路を挟んだ向かいには、すでにプラカードや幟を持参した人たちが集まり、抗議の声をあげていた。外に出て写真を撮ろうとすると、「中に入ってください!」と、ホテルマンに制止された。

吹き抜けになっているエスカレーターホールを、腕に緑色の腕章を巻いた警官がぐるりと取り囲んでいる。マスク姿の者も6、7名ほどいて、なんともいえない異様さを醸していた。

ランチを終え、公聴会が終わる15時過ぎまでホテル内で時間を潰す。公聴会は5階の宴会場でおこなわれることになっていたが、「宴会場 ご宴席名」の案内にはそれらしい表示がなく、異様さが増した気がした。

15時半までの予定だった公聴会が10分ほどおしたため、15時半に外に出た。正面入口から駐車場まで、ホテルを抗議者達がぐるりと取り囲んでいた。「採決中止!」「強行採決絶対反対!」「子どもを守れ!」などのシュプレヒコールが、あちこちからあがり騒然としている。じりじりと増す緊張感が、ビリビリと伝わってきた。

15時50分頃、ホテル駐車場からスモークを貼った車がゆっくりと現れた。すると一人の男性が何かにはじかれたように、わっと車道に躍り出た。瞬時に四方から、人々が道路に飛び出してシットインが始まった。

「危ないから押さないで!」

警官の1人はそう言いながら、なぜか私をシットインの方向に突き飛ばした。ダチョウ倶楽部かよ! 寝転んでいる人たちの中に立つことになった私は、そこにいる1人1人の表情に視線を向けた。

かたく目を閉じる者、腕を隣の人に絡ませて身を硬くする者……。これとよく似た光景を私は2年前の9月に、新大久保で目にしている。あの時はヘイトスピーチデモを通さないために、カウンター達が路上に飛び出していた。今回は委員の車を通さないために、みずからの身体で抗議をしている。警察は少しの間、彼ら彼女らを対応しあぐねていたが、すぐにごぼう抜きしていた、新大久保の時とは様子が違った。とはいえ彼らも複数の警察官に手足を持たれて、移動を余儀なくされたのは同じだった。しかしまた寝転ぶ上に、シットインに加わる者が次々と現れる。車は完全に、立ち往生していた。

20分ほど経った頃、右の後ろが騒がしくなった。ホテル正面入口付近に、「戦争させない」のプラカードを貼った軽自動車が、道路を横切る形で停められたからだ。運転手のいないその車は神奈川県警によって持ち上げられ、人力で後方に動かされていく。わずかな空間ができると、座り込む人たちが瞬く間に現れた。排除されては戻り、再度排除されてもまた戻る。安保法案に反対したいという強い思いに突き動かされながら、多くの人が不服従の意志表示をおこなっていた。

ほとんどの人は無言か、「採決中止!」「ノー・パサラン(奴らを通すな)!」といった声をあげるにとどまっていた。警察と対立するのが目的ではなく、廃案にするための行動だという信念が、痛いほど伝わってきた。

「民主党の委員が乗ってるんだよ!」

「これは蓮舫さんの車!」

そんなことを叫ぶ警察官もいた。しかし意志表示が目的であるなら、誰の車であるかよりも何をするかが優先される。抗議は止むことがなかったが、16時30分を少し廻った頃、足止めされていた車が後退して走り去っていった。ほんのわずかな出来事だった。警察も役目を終えたと言わんばかりに、ホテルの正面に戻って整列を始める。その背中に向かって人々は「ノー・パサラン!」と叫び、ある者は家路に、別のある者は国会前の抗議に加わるべく三々五々散っていった。

翌17日の午後、参議院の特別委員会では総括質疑をおこなわないまま、しかも速記停止中に、誰が何を言ったのかわからないまま、まるでだまし討ちのように法案が可決された。

連日の国会前抗議や16日のシットインは、果たして意味がなかったのか? そんなことは決してない。16日夜のニュース番組では、民主党幹部の「雰囲気は確実に変わった 国民が求めていることをやる」というコメントを紹介していた。市民の本気の怒りが議員に伝わったのは、紛れもない事実のようだ。

民意など意に介さない政権を民衆の力で倒すのは、決して容易なことではない。しかし諦めてしまったら、みずから国家の奴隷になるようなものだ。取り返しのつかない時代を迎えたくないのであれば、小さくても苦しくても声を出し続けること。私も、そうしていきたいと思う。

▼朴 順梨(ボク ジュンリ)
1972年、群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、テレビマンユニオンに参加。雑誌編集者を経てフリーライターに。主な著作に北原みのりとの共著『奥さまは愛国』(河出書房新社)、『離島の本屋』(ころから)など。2015年8月に発売された、3.11をきっかけにして生まれた新しいカルチャー・中津川THE SOLAR BUDOKANを追う『太陽のひと ソーラーエネルギーで音楽を鳴らせ!』(ころから)も話題。

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戦争構造と内面の自由

戦争へ進む脈々とした流れの一断章、「戦争推進法案」が参議院本会議で可決され成立した。この間、湧き上がる戦争反対世論に水をかけないように、そして私も心の底からこの最悪法の成立には反対だったから、拙くも小さい声ではあったが、私なりの意思を表明し続けた。

多くの反対の声を無視してあえなく、最悪法は成立してしまった。これでいよいよこの島国がいつ戦争に参加しても国内法的には不思議ではない状態が整った。来るところまで来た。

◆抵抗と闘いはこれから始まる

では、もう抵抗は無意味なのだろうか。そんなことはない。むしろ本当の抵抗と闘いはこれから始まる(それは幾重にも重層的な個々人内面の本質的覚醒を必要とする困難な戦いではあるが)。これまでのように集会やデモで同じ思いを共有する「仲間」とともに戦列を組むという形でだけではなく、その根底は個々人の心の奥から発せられるべきものとなるだろう。なぜならいくら最悪法が成立しようとも、心の中、つまり「内的領域の自由」に法の力は及ばない。個々の意志さえあれば「内的領域の自由」は国家からはるか離れたところで相変わらず闘い続けることが可能だからだ。

たしかに法律は私たちの日常を束縛する。国家による身勝手な施策、それが1パーセントの合理性もなく非人道的「戦争」であろうと「合法化」し、本来極めて単純に正当であるはずの「殺すな、殺したくない、殺されたくない」という態度が「反国家」化され、やがて「非合法化」されてゆくだろう。

もちろんこれからも戦争に抗うあらゆる有形の抵抗は引き続き有効であり必要だ。だが、ここでひとまず振り返ってみよう。私たちは「戦争推進法案」成立により、また外堀を一つ埋められた。危機はいよいよ目前だ。しかしながらこの明確な危機ラインに到達するまでに、権力は脈々と巧妙な土台建築に取り掛かっていて、外枠は既に完成していた。現実を直視すれば「すでに私たちは敗北の中」にあったのだ。

◆今後の日本社会は「穏やかな獄中の日常」になる

「戦争構造」というべきこの建築物の基礎は1992年に開始されたPKOへの自衛隊参加から可視的な形で始まっていた。もっとも建築計画の発案は1955年の保守合同、自民党発足にまで遡らなければならないし、それ以前に敗戦後も戦犯「天皇」を国民の裁きにより処罰・根絶やしにできなかったことまで勘案する必要もあろう。

1999年成立の「国旗国歌法」は不可視的な分野、つまり個々人の内面を侵食する巧妙な媒介となって、やがて今日の総反動体制確立へ突き進む重大な役割を担った。歴史修正主義、偏狭なナショナリズムの幾何級数的高まりは「国歌国旗」が法制化されたことによりさらに勢いを増し「戦争構造」建立の追い風となった。2006年の教育基本法改悪で国家は合法的な「愛国心教育」の権利を手に入れ、不可視的な戦争構造=差別・排外主義を助長する決定的な鍵を握った。

そして2014年7月1日の「解釈改憲」で「戦争構造」は可視的な「棟上げ」を終える。残りは構造物の付加的部分と屋根を乗っければ完成という段階まで建築は進んでいた。そして改憲を経ずとも「戦争推進法案」成立で「戦争構造」建築は完成をみた。ほの暗いこの建築物の中に私たちの生活は幽閉されることになる。今後の社会は「穏やかな獄中の日常」と呼んでも過言ではないかもしれない。

自衛隊員の退職がこれから相次ぐだろう。欠員の補給に防衛省が窮することは明白だ。

◆「内面の自由」だけは絶対に放棄してはならない

そこで、ご推測の通り「徴兵制」がやって来る。

既に防衛大臣中谷が明かしている通り、防衛省は「企業向け2年間の研修コース」という名の実質的徴兵制を準備し終えている。2年間も研修のために自衛隊に社員を出す会社があるだろうか。「2年間の自衛隊研修」は、現在韓国における平均徴兵期間より長い(韓国の徴兵期間は陸軍・海兵隊で21か月、海軍23か月、空軍でようやく24か月)。軍人になって帰ってきた社員にまた最初から業務知識を教育する不合理性を考えれば、社員供出により見返りが期待できる軍需関連企業(三菱、日立、東芝など)以外にこんな制度を利用する会社はないだろう。

それでも足らない兵站の補給は、日本学生支援機構から奨学金を借りていて返済に窮する若年層に向けられるだろう。「研修」という名の徴兵制。これも21世紀型ファシズム戦時体制の特徴かもしれない。意味を収奪され・置き換えられたことば「研修」の実態は「徴兵制」だと読み解かなければならない。「平和を守る」をキャッチコピーにした自衛隊の募集ポスターはかなり昔からあるが、この場合の「平和」も「戦争」と置換しないと真意を見失う。

暗澹たる現実ばかりを紹介しているが、私がもっとも強く訴えたいのは「内面の自由」を絶対に放棄してはならない、ということだ。渋谷でも銀座でも梅田でも難波でも八丁堀でも国際通りでも、見かけは何変わらず自由に人々が行き交っていたし、今日だってそうだ。しばらくの間、近未来もその姿に変わりはないだろう。でも行き交う人たちの内面はこの30年ほどで随分劇的に変化してきてはいないだろうか。

◆「戦争構造」という建築物の住人に相応しい国民(臣民)の育成

消費と快楽の為に与えられる「情報」操作により、外見は変わらなくとも個々人の内面の自由は相当無意識に縮んできてはいまいか。「戦争構造」という建築物の住人に相応しい国民(臣民)の育成も同時に完成を見ようとしている、と考えるのは穿ち過ぎか。

「また」、と言われるかもしれないが、あえて指摘すれば「戦争推進法案」反対運動の中にすら、「内面の自由」を失い、あるいは理解できない人たちの姿があった。

まずは、「内面の自由」を固く守り、その領域をひとりひとりが広げてゆくことがこの悲しい時代にあっては肝要ではないかと思う。いささか悲観的に聞こえるかもしれないけれども、そうではない。状況は救いがたく殺伐としている。絶望的ですらある。でも「内面の自由」を保持してさえいれば、多様な反撃は必ず可能だ。未来や可能性は運動体の中だけにあるのではない。あなたの心の中にあるのだ。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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首が飛んでも動いてみせるわ──野党の本気が死中に活をみいだす

横断歩道より(2015年9月16日)

9月17日午後4時半
参議院平和安全法制特別委員会で「戦争法案」が強行採決された。
「やるだろう」「やられるだろう」は、織り込み済みではあった。
しかし、奴らの謀略は予定より1日遅れている。

我々は負けてはいない。
明日、野党議員が全身全霊で決起すれば、
展開は開かれる。

国会前正面道路入口付近(2015年9月16日)
国会への道々(2015年9月16日)


◎[参考動画]安保法案、参院委可決 採決強行に国会外でも抗議の声(共同通信社 2015年9月17日公開)


◎[参考動画]国会前デモ、これまでの動き 過熱する「NO」 大きなうねり(TBS News-i 2015年9月17日公開)


◎[参考動画]国会前ではデモ隊などから怒りの声(TBS News-i 2015年9月17日公開


◎[参考動画]国会前に新たにデモ隊など到着、81歳女性も(TBS News-i 2015年9月17日公開)


◎[参考動画]雨の国会周辺で響く、老若男女の「廃案」コール(テレビ朝日 ANNnews CH 2015年9月17日公開)


◎[参考動画]安保法案:採決強行 全国で抗議の声(毎日新聞2015年9月17日公開)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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「戦争法案」阻止で街頭の前衛に躍り出た若者たちが「安保闘争」を越える時

いよいよ「戦争推進法案」の参議院における審議が佳境に入った。ここへきてこの最悪法の阻止に立ち上がる人びとが全国で激増している。

60年、70年安保闘争の画像や映像も散見されるようになってきた。「壮大なるゼロ」と往時は自省を込めてか、表現されもした「安保闘争」。私は結果的には敗北したが故に「日米安全保障条約」が改訂、延長されてしまったけれども、あの闘争自体が無意味なものであったとは全く思わない。


◎[参考動画]1960年安保闘争(rosamour909 2010年05月12日公開)

結果は勿論重要だが、あの時代あらゆる力を結集し学生、労働者が闘ったことは、その場にいた人のみならず、実体験のない世代にも、そのエッセンスは受け継がれている。

時代が異なる。だから抗議行動の形態はずいぶん変化はしている。60年代、70年代は言わば「政治の季節」であり、学生がデモや政治集会を開くのは当たり前の風景だったのだから。

ひるがえり今日の大学は学生管理機構とも言い換えるべきほどの弾圧組織に成り果てた。立て看板は禁止、あるいは許可制で、学内での集会は届け出制という姿がおおかたの大学の有り様だ。

大学は学生が政治的、社会的問題に目を向けて、行動することを警戒し憎悪している。

非政治性こそがあるべき姿だとの暗黙が支配し、それに疑問を抱き、打ち破ろうとする教職員は圧倒的少数派だ。

ここに、本来学問の教育・研究をその責務とする大学の「裏切り」と「社会的背任」がある。悪の本質は「戦争推進法案」成立を企む安倍を中心とした反動政権にあることは間違いないけれども、大学だってこんな時代を招致した下支え機関として充分指弾されるべき役割を担ってきた。

でもそんな寒々とした今日だって学生は街頭に姿を現しはじめた。政治初心者が大半を構成する学生たちには大いなる活躍を期待する。主催団体の如何を問わず、遠慮することはない。怒りを!怒りをぶつけるがよい。

あれこれ御託を並べても、未来ある若者の前で老兵はありもしない未来を獲得出来る道理はない。

◆ようやく若返った「前衛」

闘いには、最先頭に位置する「前衛」その後ろから最前列を押す多数の「中衛」、そして体力的には若者にはかなわない年配者が後ろからの敵を睨む「後衛」がある。

本来闘いの隊列は自然にそのような形態を構成するのだが、長きにわたりデモや集会には若者が圧倒的に不足していて、「前衛」の平均年齢が60歳から70歳という光景が長く続いた。

あれでは勝てはしない。だいたい最前列には気力も体力も充実した連中が陣取らないと全体の高揚がない。仕方なく前衛に押し出された高齢の方々、心意気だけは20代のままだが、体力の衰えには勝てはしない。

新しく生まれた団体であろうが、各大学のサークルだろうが、この時代には珍しい政治に敏感な学生だろうが、この際関係ない。敵は若者を戦場に送りたがっている安倍自公政権だ。「戦争推進法案」の他にも、この政権は庶民にとって「何一つ」有難い政策を行ってはいない。

言い切ろう。安倍は絶対悪である!

街頭に躍り出た若者よ、未来を開くのは君たちだ。お行儀よく、おとなしく自重する必要など微塵もない。多彩な発想と行動で安倍を打倒しよう。遠慮していて赤紙が届いた時に後悔しても、泣くのは君と君を愛する人たちだ。


◎[参考動画]国会前、市民ら結集 安保法案反対で集会(共同通信社2015年09月14日公開)


◎[参考動画]安保法案 最大のヤマ場に「反対の声」各地から(TBS News-i 2015年9月16日公開)


◎[参考動画]TBS NEWS23 安保法案反対の声:国会前・横浜・名古屋・京都・広島(LunaticEclipseAnpo2 2015年9月16日公開)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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金曜で潮目は変わる!──「戦争法案」阻止でいま野党がすべきあの手この手

「国会の中で我々は少数だ。皆さんの声が法案成立を阻む力になる」民主党の岡田代表が過日、「戦争推進法案」反対集会で参加者に向かって語りかけた。社交辞令としてはそうだろうけども、腰を据えて「何が何でも」この悪法を阻止する、という当事者としての覚悟がこの言葉の中にはない。

◆「内閣不信任案」だけじゃない──与党の横暴に見合った最大限の抵抗を野党は徹底的に行うべき

中央公聴会、地方公聴会で2日間は時間を使わざるを得ないが、その後与党は、大急ぎで委員会強行採決を図ろうとするだろう。最短で17日といったあたりか。委員会採決に持ち込まれたら、野党議員は衆議院委員会時のような「茶番」は見せてほしくない。少なくとも与党の横暴に見合った、正しい最大限の抵抗(それは採決をさせないか、否決に持ち込む行動を意味する)を行うべきだ。

野党は「内閣不信任案」の提出を視野に入れているという。当たり前だろう。技術的なタイミングもあろうが、当然「内閣不信任」は問われるべきだ。それ以外にも「憲法を現実に合わせる努力をしなければならない」と発言した中谷防衛大臣や、答弁内容を二転三転させた岸田外務大臣の「問責決議」、これまでの政府見解を見事に無視した答弁を続けている横畠裕介内閣法制局長官の罷免要求、などは仮に委員会を法案が通過しても参議院本会議で審議に持ち込むべきだ。

◆採決が19日からの5連休後にずれ込めば、潮目は変わる

参議院本会議での採決を仮に18日中に行うことが出来なければ、情勢の変化が現実味を帯びてくる。5連休中は会社や学校が休みなので、日中も人が集まりやすいだろう。国会周辺は9月14日も5万人近い抗議の人々であふれた、と報道されているが、抗議活動がさらに高まり、霞が関、永田町を人民が占拠する事態になれば、連休明けの採決は容易ではなくなる。

かといって、与党がこの法案成立を諦めるはずはない。自民党議員の中には「せっかく政権を取り戻し、美味しい汁を吸っているのに、どうして次の選挙で確実に不利になることにばかり執心するのか」と内心苦々しく思っている新人議員も多いだろう。その通りだ。

民主党政権の「ドアホ」、とりわけ大飯原発再稼働を行った野田(もうこの名前と存在は忘れられつつある)。勝てる道理のない自爆的解散に打って出たあの男以上の自滅行為に猛進しているのが安倍だ。御用マスコミに支えられ、何があろうと盤石と思っているかもしれないが、それは慢心というものだ。

◆安倍政権の蒙昧は国民の愚かさをはるかに凌駕する!

安倍は今年に入ってからだけでも、実にテレビ地上波に単独で9回も出演している。ネット番組への出演も入れればその数は数えきれない。「公正・中立」を電波法で定められているテレビ局のこの行為はどう見ても偏向・破廉恥としか表現しようがない。ニュース番組などで頼まなくても独占的テレビ出演が確保されているのに、NHKはいうに及ばず、民放テレビ局までが「さあ、さあ安倍総理様、どうぞお気兼ねなく、思う御分自説をお話しください」とばかりに「大ぼら」吹きに公共の電波を提供する。日本テレビ・フジテレビ系列テレビ局の罪は限りなく深い(安倍が出演したのはこの両局系列のみで、TBS、テレビ朝日系列への単独出演は今のところない)。

それでも、破格の「延命治療」を施してもらって株価はどうなった? 年金原資をどんどん放り込んで一時的な上昇を見せたけれども、そんなもの長続きはしない。もう「アベノミクス」という、あの欺瞞語だって聞かれなくなったじゃないか。

この島国の大半の国民は愚かだ。非常に愚かだ。しかし安倍政権の蒙昧は国民の愚かさをはるかに凌駕する。

[図]第23回参議院議員通常選挙の結果(2013年7月21日=Wikipedia)

◆参議院の与野党差が28議席だということ

現時点では参議院通過を「あらゆる手立て」で阻止することが重要だ。それは可能である。その手段を一つだけ示唆しよう。参議院の総議席数は242だ。そのうち自公が135で野党が107だ。野党の中にも自公同様の主張の党も混ざっているので単純な加減ではないけれども、与野党の差は28だ。(第23回参議院議員通常選挙の結果=Wikipedia)

これが逆転すれば当然与党案は否決される。採決の際に与党議員のうち14人が立場を変えれば同数となる。でも、それは今のところ現実的ではない。

例えばだ。自民党の中で急に集団インフルエンザが流行し議員本人が本会議に出席できなければどうなるだろうか。40人がインフルエンザに感染し、起き上がれなければ、採決では「委任」はできないから欠席理由は関係なく否決だ。理由はインフルエンザでも、交通事故でも不良に絡まれて怪我をしても、二日酔いでも、身内の不幸でも、自宅の床上浸水でも、ぎっくり腰でも関係ない。

そんなことは通常起こりそうなことではないけれども、農業用水のような小さな河川が氾濫し、誰も予想しなかった大水害が起きたことをつい先ごろ私たちは経験している。世の中何が起こるかわからない。その気になれば何が起きても不思議ではない。

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◎3.11以後の世界──日本で具現化された「ニュースピーク」の時代に抗す
◎快挙は国会前デモだけじゃない!──6日目124時間を越えた学生ハンスト闘争
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「戦争法案」断固阻止!──沖縄「祖国復帰斗争碑」に学ぶ「反戦」の哲学

「戦争推進法案」の参議院での審議が正念場をむかえている。与野党の議員数で単純に天秤にかければ、この最悪法案が可決されてしまうことは自明であるけれども、それを傍観しているわけにはいかない。

◆法制化された制約は私たちの生活や行動をいやおうなしに束縛する

私は政治が嫌いだ。でも、政治は私(たち)を常に拘束し、逃してくれることはない。だから、私にとって政治は嫌いな対象であっても無視することができない。私にかかわらないでくれ、政治は政治の好きな人たちで勝手に決めて、戦争も、紛争も決めた連中が、出向いて殺し合いなり、どつきあいなりしてくれ、と念じるけれどもそうはゆかない。振り払おうとしても法制化された制約は私たちの生活や行動を束縛する。

狡猾で無責任な政治家どもは、想像すらできない惨状を人びとにもたらす「戦争」に、この島国を誘引しようと熱をあげる。許せない。絶対に許せない。

憲法論、法律論の初歩すら通じない首相をはじめとする閣僚に、理解や対話による解決を求めるのは全く非現実的である。彼らは明確に私たち(この島国に住む住民だけでなく、戦争を望まない世界の人々に向かって)の敵である。

◆沖縄本島最北端、辺戸岬に立つ「祖国復帰斗争碑」碑文に学べ

あれこれ反撃を試みようと少ない知識での抵抗を試みていたが、私の無知を張り倒し、思いっきり叱られるような骨太の「反戦」哲学を示す記念碑の存在を思い出した。それは沖縄にある「祖国復帰斗争碑」だ。沖縄旅行のガイドブックなどを調べたがこの碑を紹介しているものはあるが、碑文の紹介を私は見つけられていない。文末に碑文の全文を紹介する。

沖縄本島辺戸岬に立つ「祖国復帰斗争碑」

沖縄本島最北端の辺戸(へど)岬に立っているこの碑に刻まれた血のにじむようなことばは、2015年9月、私たちが今、何を考え行動すべきかの示唆を与えてくれる。「NO NUKES voice 第5号」は「福島―沖縄犠牲のシステム」が特集で、表紙には「NO WAR! NO NUKES!」の文字が躍る。反戦・反原発から沖縄差別を徹底的に掘り下げる特集号だ。

鹿砦社は自慢ではないが、権威に媚びを売るような軟派ではない。

「戦争推進法案」審議闘争に「デジタル鹿砦社通信」は全力を傾注し、その斗いに微力ながら加わることを宣言する。沖縄、福島、を忘れずに「戦争推進法案」を断固粉砕する決意を表明する。

全国のそして全世界の友人へ贈る

吹き渡る風の音に耳を傾けよ。権力に抗し復帰をなし遂げた大衆の乾杯の声だ。打ち寄せる波濤の響きを聞け。戦争を拒み平和と人間解放を闘う大衆の雄叫びだ。

“鉄の暴風”やみ平和のおとずれを信じた沖縄県民は、米軍占領に引き続き、一九五二年四月二八日サンフランシスコ「平和」条約第三条により、屈辱的な米国支配の鉄鎖に繋がれた。米国の支配は傲慢で県民の自由と人権を蹂躙した。祖国日本は海の彼方に遠く、沖縄県民の声は空しく消えた。われわれの闘いは蟷螂の斧に擬された。

しかし独立と平和を闘う世界の人々との連帯であることを信じ、全国民に呼びかけ、全世界の人々に訴えた。

見よ、平和にたたずまう宜名真の里から、二七度線を断つ小舟は船出し、舷々相寄り勝利を誓う大海上大会に発展したのだ。今踏まえている土こそ、辺土区民の真心によって成る沖天の大焚火の大地なのだ。一九七二年五月一五日、沖縄の祖国復帰は実現した。しかし県民の平和への願いは叶えられず、日米国家権力の恣意のまま軍事強化に逆用された。

しかるが故にこの碑は、喜びを表明するためにあるのでもなく、ましてや勝利を記念するためにあるのでもない。

闘いをふり返り、大衆が信じ合い、自らの力を確め合い、決意を新たにし合うためにこそあり、人類が永遠に生存し、生きとし生けるものが自然の攝理の下に生きながらえ得るために警鐘を鳴らさんとしてある。(赤字強調引用者)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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体調悪化、原発回帰、カルト宗教、対米追従、芸能人脈、癒着企業の深層と真相