「最近どう、婚活のほうは?」と聞くと、「いやあ、諦めました。退会したんです」と、彼は苦笑いした。
彼は車椅子で生活する障害者で、30代。仕事もしており、快活だ。十分に結婚できると思える。普段の生活は、家と職場の往復。職場は小さく女性は皆既婚者だ。なかなか出会いがないので、大手の婚活サービスに入会していたのだ。
「障害があるというと、会うというところまで、なかなかたどり着けない。登録するデータには、障害のあるなし、その程度を書かなきゃいけない。また相手に対して、障害があってもいいかという質問項目があって、男女とも、たいていは、障害ありにはNOですからね」
会えなくても、データのやりとりで会費がかかるシステムだ。
「一人会うのに5万円かかった計算です。これなら、デリヘルにでも使えばよかった」
彼は、快活に笑った。

犯罪報道に関してよく議論になるのが、被疑者や被告人を実名で報じるべきか、匿名にすべきかということ。双方の立場から色々な意見があるが、実名報道派がよく言うのが「実名報道は公権力の監視のために必要」という意見だ。
刑務所を慰問して、歌で受刑者を激励する。言葉にすると簡単だが、続けるのは至難の業だと思う。
西日本の某地方で殺人事件の裁判員裁判を傍聴していたら、被告人のDNA型は「いつのものか」ということが争点になっていた。被告人の男性は一貫して無実を訴えているが、捜査では被害者の遺体発見現場周辺で見つかったタバコの吸い殻などから被告人のDNA型が検出されている。このタバコの吸い殻などをめぐり、「犯行時に捨てたものだ」(検察側)、「事件が起きる前にたまたま捨てたものだ」(弁護側)などと検察側と弁護側の主張が対立しているのだ。
殺人事件に巻き込まれ、無実の罪で服役中の冤罪被害者I氏に先日、刑務所で面会した時のこと。彼はそう言って、苦笑した。自ら獄中でまとめた再審請求書を裁判所に提出し、その旨を地元の新聞社に手紙で伝えたが、いっこうにレスポンスがないのだという。このマスコミの冷たさは、自分の事件が有名ではないからだと彼は思っているのである。