私のミャンマー(ビルマ)周遊旅行に付き添ったビジネスパートナーNの妻、Pは、ミャンマー政府の高官だった父を持つ。彼女の父は、数十年前、ミャンマーのある地域の特定業界において、絶大な権力を持っていた。その地域で大きな建設が行われる際、工事を請け負いたい業者がPの家を必ず訪れ、付け届けをした。
「ミャンマーでは、金ですべてが何とかなる」
ミャンマー人の夫がよく言う。この社会に横行する賄賂の有り様を表したセリフだ。
Pの父は、業者が持参する付け届けを受け取り、さらに軍事政権から支払われた工事費の一部を着服して、Pになに一つ不自由させない裕福な生活を送らせた。彼女はミャンマー軍事政権が生み出した、ごく一部の富裕層に属している。

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