社長が夜逃げ! あるIT企業社員の手記 (27)

「弁護士さんね、こっちは離職票も出してもらってないんで、8月で解雇って言われても困るんですよ。失業者にもなれないんだから」
「あ、はい。ですからそちらは急ぎ発行しようと思っております。社長の判断を考慮しまして8月末日の日付で」
「いやだから、我々は9月になってもずっと働いていたんですよ。実は8月でクビになってました、なんて納得できるわけ無いでしょ」
「ですけれど、退職日が早い日付になれば、失業給付の認定日も早まるんですよ」
一瞬、考える間を取ってしまった。弁護士というものは、どうものらりくらりと会話をする。確かに、離職日を8月末ですぐ離職票が発行されれば、即日ハローワークで失業申請をして、7日の待機期間後に給付認定が出される。給料の支払いが絶望的な今、生活のためにも一日でも早く失業給付は欲しい。

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