武田幸三氏の「CHALLENGER」! 馬渡亮太は快勝、モトヤスックは敗れる! 堀田春樹

馬渡亮太はこの日のMVP賞となる鮮やかTKO勝利で、日本人チャンピオン対決での結果を残す。

モトヤスックは北野克樹のハイキックで2度ノックダウン喫する大差判定負けの失態。

王座目指す睦雅は交流戦でNJKFの吉田凛汰朗と引分け、前に進めぬ足踏み状態。

皆川裕哉も交流戦で、大稚YAMATOに戦略で優って判定勝利。

興之介はNKBからの刺客、棚橋賢二郎に倒される。

◎CHALLENGER.5 / 5月1日(日)後楽園ホール17:30~20:37
主催:(株)オフィス超合筋 / Yashioジム / 認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)

◆第9試合 57.5kg契約 5回戦

馬渡亮太(治政館/2000.1.19埼玉県出身/57.5kg)
     VS
佐野貴信(創心會/1994.12.20神奈川県出身/57.45kg)
勝者:馬渡亮太 / TKO 3R 1:36 / カウント中のレフェリーストップ
主審:少白竜

馬渡亮太はWMOインターナショナル・スーパーバンタム級チャンピオン。佐野貴信は2019年4月にWMC日本フェザー級王座を獲得。

馬渡は相変わらず、しなやかな蹴り速く、ローキックが冴える。佐野も勢いある蹴りで探り合いが続いていく。第3ラウンドに蹴りの攻防から馬渡が右ストレートを佐野のアゴに打ち抜くと崩れ落ち、立ち上がろうとするも脚がおぼつかず、カウント中のレフェリーストップ。鮮やかなTKOでメインイベントを締め括り、MVP賞獲得となった。

馬渡亮太の力強いハイキックが佐野貴信へヒット、TKOへの伏線となった
馬渡の右ストレートで佐野貴信は立ち上がれず
鮮やかな右ストレートで倒し、MVP賞獲得した馬渡亮太

◆第8試合 68.0kg契約 5回戦

北野克樹のハイキックがモトヤスックの顔面を何度も襲った

モトヤスック(=岡本基康/治政館/2001.9.22埼玉県出身/68.0kg)
      VS
北野克樹(誠至会/1996.5.26大阪府出身/68.0kg)
勝者:北野克樹 / 判定0-3 /
主審:和田良覚
副審:椎名45-49. 櫻井45-49. 少白竜46-50

モトヤスックはこのジャパンキックボクシング協会ウェルター級チャンピオン。北野克樹WBCムエタイ日本スーパーライト級チャンピオン。

北野克樹が開始早々に左ハイキックでモトヤスックの顔面を狙う。蹴り中心の攻防の中、第2ラウンドにタイミング掴んだ北野がパンチから左ハイキックでモトヤスックはノックダウン。

北野は更にハイキックで顔面を掠めていき、危なっかしいモトヤスック。ダメージを引き摺っていたか、第5ラウンドにもまたもハイキックでノックダウンするモトヤスック。勢い付いた北野は威圧的にハイキックを連発。モトヤスックは大差判定負けとなった。

二度ノックダウンを奪った北野克樹は終盤に一層圧力掛けて蹴ってきた
他団体から乗り込んで勝利者となった北野克樹

◆第7試合 62.5kg契約3回戦

JKAライト級1位.睦雅(ビクトリー/ 1996.6.26/東京都出身/62.45kg)
VS
NJKFライト級2位.吉田凛太朗(VEATEX/2000.1.30杤木県出身/62.4kg)
引分け 0-0
主審:松田利彦
副審:和田29-29. 櫻井29-29. 少白竜29-29

序盤からパンチと蹴り、組み合うとヒザ蹴りの目まぐるしい展開も、睦雅は吉田凛太朗の下がらず手数減らない圧力に打ち返し、最後は追い上げる流れだったが、採点に於いては上回ったと言える印象は無く、交流戦においては引分けが続く。

睦雅は吉田凛太朗の前進を止める蹴りで攻防を盛り上げた

◆第6試合 フェザー級3回戦

JKAフェザー級8位.皆川裕哉(KICK BOX//57.1kg)
VS
NJKFフェザー級8位.大稚YAMATO(大和/57.1kg)
勝者:皆川裕哉 / 判定3-0
主審:椎名利一
副審:和田29-28. 松田30-28. 少白竜30-27

皆川裕哉はパンチと蹴り、首相撲からのヒザ蹴りでアグレッシブに打って出るが、しぶとい大雅が踏ん張って蹴り返し、皆川が攻め切れない展開も採点は僅差とフルマークもあったが、順当な判定勝利。

皆川裕哉は倒し切れぬもアグレッシブに攻め、好ファイトを展開

◆第5試合 ライト級3回戦

JKAライト級3位.興之介(治政館/61.1kg)
VS
NKBライト級2位.棚橋賢二郎(拳心館/61.0kg)
勝者:棚橋賢二郎 / TKO 2R 1:29
主審:桜井一秀

開始直後は両者が蹴りの距離で様子見。興之介の蹴りは上手く距離を取るが、徐々に棚橋の強打狙いの形勢で距離が詰まる。

打ち合いの距離で棚橋がプレッシャーを与え、連打(最後は左フックらしい)でノックダウンを奪い、立ち上がろうとする興之介は足下おぼつかないままカウント中にレフェリーストップが掛かった。

棚橋賢二郎がミドルキックで興之介を追い詰めていくミドルキック

◆第4試合 ウェルター級3回戦

正哉(誠真/66.73→66.67kg)
VS
田村大海(拳心館/66.25kg)
勝者:田村大海 / TKO 1R 2:31

両者のローキックからパンチに繋ぐ様子見から、田村は右ストレートでノックダウンを奪い、立ち上がった正哉にヒザ蹴り、パンチ連打から右ストレートで倒し、カウント中のレフェリーストップとなった。

◆第3試合 ウェルター級3回戦

鈴木凱斗(KICK BOX/66.67kg)
VS
大将(KIX/66.15kg)
勝者:鈴木凱斗 / 判定3-0 (30-25. 30-25. 30-25)

◆第2試合 スーパーフェザー級3回戦

布施有弥(KIX/58.55kg)
VS
和斗(大和/58.1kg)
勝者:和斗 / TKO 3R 3:00

◆第1試合 フェザー級3分3R

石川智崇(KICK BOX/56.5kg)
VS
熊谷大輔(GT/56.85kg)
引分け 三者三様 (29-29. 29-30. 29-28)

《取材戦記》

前日計量で、「CHALLENGER.5」プロモーターで、元・ラジャダムナンスタジアム殿堂チャンピオンの武田幸三氏の選手への御挨拶で、来月の「THE MATCH」での那須川天心vs武尊のファイトマネーは過去最高額と言われる億単位について、「皆さんも貰えると思いますか?、貰えると思いましょうよ(そんなトップ選手になって)。そういう大会にしていきたいし、こっちが数十万円では悔しいですね。私もプロモータ-として、 今回出場する選手、その良い選手にはどんどんファイトマネー上げていきます。今回もスポンサーさんから“KO賞、MVP賞に使ってください”と言って頂きました。向こう(THE MATCH)には全然敵わないですけど、MVP賞、KO賞など、私の出来る限りのことはやりますので、とにかく熱い試合を、会場を盛り上げるのは選手ですので、宜しくお願いします!」

既存のキックボクシング団体では、過去においても(類似イベントを除いて)、一試合のファイトマネーが一千万円単位にも跳ね上がることはなかったでしょう。現在は凄い時代になったものです。ファイトマネーが一時的、一部だけでも日本のプロボクシング世界チャンピオンを超えるほどになるとは。“キックボクシング系競技”がこうなって来たのも、最初はK-1の出現からでしょう。

過去に述べたかもしれませんが、K-1等を観て育った世代が今、企業の経営者となって、スポンサーとなる理解者が増えたのもこの時代の流れが大きい。そんな新世代の格闘技と、昭和のキックボクシングを継承している団体とでは、アピール、プレゼンテーションにも違いがあるのでしょう。既存の団体やプロモーションも影響を受けて徐々に変わって来ている時代であります。

気合入る武田幸三氏の活入れるセレモニー

武田幸三さんのセレモニーでの語り口にはオーラがありました。他団体から出場する選手に「ウチの選手を遠慮なくブッ倒してください!」と檄を飛ばし、モトヤスックと馬渡亮太には「お前ら負けたらどうなるか分かってんだろうな!?」

毎度聞くセリフながら、リング上での選手に対する脅しのような活(かつ)を入れるオーラにも滲み出ています。これは今後、一層進化していくという「CHALLENGER」興行でしょう。

空手経験者は至近距離での正拳突きの経験から、その距離からのハイキックが得意だと聞いたことがあります。そんな不意を突かれるタイミングだったかは分からないが、モトヤスックが貰い過ぎるハイキックは最初のノックダウンからダメージを引き摺ったか、焦りがあったかもしれません。

ジャパンキックボクシング協会興行は6月12日(日)に市原臨海体育館にて市原ジム主催興行。7月17日(日)には新宿フェースにてビクトリージム興行が予定されています(イベント名未定)。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

おかげさまで創刊200号! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年6月号