飛田晋秀
2011年3月11日東日本大震災・東京電力福島第一原発事故から15年になるが国・県・市町村は原発事故から建物が生まれ住民が帰還して終わったかのように、言っているが本当にそうだろうか。
初期、福島県とその首長である県知事がどのように県民に真実を伝えないで、隠していたかを検証してみたいと思います。


◆20ミリシーベルト被ばくの事実を隠すための「風評」
2011年3月17日に米大使は「80キロ圏内の避難勧告」を日本にいる米国民に出しました。日本政府も住民に対して避難難指示を出しましたが、半径30キロ圏内と80キロ圏内避難の米政府勧告とは大きく数字が異なっていました。
「80キロ県内は避難」の勧告を出した国はアメリカだけではありません、イギリス、オーストラリア、韓国などが相次いで同様の勧告を日本いる自国民に出しました。シンガポール外務省では「100キロ圏内」を避難対象としていました。
当時の福島県はどのように県民に原発事故の事を伝えたのか? 検証が必要です。「20ミリシーベルトを許容するように」と国に迫ったのは、実は当時、福島県の首長だった佐藤雄平知事本人でした。基準を低くすると(すでに福島県民は)放射能汚染していることになり、ますます風評被害が広がる。基準を高くすれば、「政府が安全と言っているんだから大丈夫だ」と住民に説明できるからです。福島県(知事・役人)は何を考えているか!今でも怒り心頭です。
実際に汚染している原発被害なのに、「風評」という言葉にすり替えて、国民を騙し、子供たちを犠牲にしてまでも、経済保身を第一に考えている福島県──。国民全体に対して取り返しのつかないことをしたのです。許せません。福島県知事が「20ミリシーベルト」の適用を福島県民に押し付けたことになります。
佐藤知事から文部科学省に「20ミリシーベルトまで認めろ」と言われたからといって、はいはい、と飲んでしまう文部科学省もとんでもない犯罪省庁に違いありません。佐藤知事は国を利用し、福島県人を利用し、国は国で、佐藤知事の要求を待ってましたとばかり受け入れた、ということになります。


◆国からSPEEDIの情報
福島第一原発事故で放射性物質が放出された際の大気中濃度や被ばく線量を地図上にリアルタイムで予測する「SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)」は、佐藤知事をトップとする福島県の現地災害対策本部に確かに送られていたのです。にもかかわらず佐藤知事、そして県の災害対策本部は「避難が必要だという科学的な説明もなし、ただ送られてきただけだから、俺は知らない」と言っているのです。「俺はSPEEDI情報を握りつぶした」と言っているのです。佐藤知事はSPEEDI情報を隠して、福島県人の人たちを避難させなかったのです。
佐藤知事の愚行は数しれません。何と言っても、せっかく佐藤栄佐久前知事(2025年3月逝去)が、IAEA(国際原子力機関)を始めとする国際的な原子力調査機関や国内の原子力専門家の人たち、野党の国会議員たちから「福島第一、第二原発はいずれ事故が起きる」という警告を受けて、福島の原発をいったん停止していたにもかかわらず、彼はそれを半ば無理矢理、運転を再開させたのです。
しかも、その危険性から福島県内の反対派からも危ぶむ声が上がっていた3号機のプルサーマルまで稼働させてしまったのです。なぜそんなことをしたのか? 電源三法交付金のほか、プルサーマルを動かすことを承諾することによって得られる「核燃料リサイクル交付金」の計60億円が欲しかったからです。
佐藤雄平知事は、福島県人人口流出を止めるため、SPEEDI情報を隠し、児童たちに20ミリシーベルトもの大量被ばくをさせても何の痛痒もかんじない、という狂人だったのです。(つづく)

▼飛田晋秀(ひだ・しんしゅう)
1947年生まれ。福島県田村郡二春町出身・在住。日本の職人撮影を専門とするプロ・カメラマン。写真集『三春の職人』(1999年)を上梓。3・11後、「事故を風化させない」「事故後の状況をありのままに知ってほしい」「福島県民の思いを知ってほしい」との思いから、福島第一原発事故の被災地を11年間撮り続けている。地元福島はもとより東京、大阪、愛知、北海道、神奈川、埼玉、岐阜他、日本各地で写真展「福島のすがた」並びに講演会を実施している。写真集『福島の記憶──3・11で止まった町』(2019年旬報社)は、各方面に衝撃を与えた。

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3・11から十五年② 未来の世代が住み続けられる地球のために
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3・11から十五年③ 原発被害者の「絶望」を終わらせてほしい
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原発追い出し訴訟 否定され続けた区域外避難者の十五年
《特集2》東電・柏崎刈羽原発再稼働
「第二の福島」は起きないか
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セキュリティとセーフティの欠陥と再稼働の実態
《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
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再稼働で起きている深刻な危険
《報告》武本和幸(刈羽村議会議員)
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地震想定を過少評価する原発利権の構造
《討論》柏崎刈羽原発再稼働の是非を考える新潟県民ネットワーク
再稼働 許していいのか 1・11集会
経過報告とリレートーク
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「再稼働容認」判断と今後の課題
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自分たちの場を立ち上げる
《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
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《反原発川柳》乱鬼龍選
