DUEL.12 キック界次世代超スター、挑戦者たちの宣戦布告!

波賀宙也 vs ジョム・エスジム。波賀は技を駆使して攻めるが、ブロックや的を外すジョムの巧みさがムエタイの壁となる
波賀宙也 vs ジョム・エスジム。波賀にとって苦しい再起戦、ムエタイの壁となったジョム

選手だけでなく、若武者会プロモーターたちの宣戦布告であるかもしれない先月3日に続くDUEL興行。過去より比較的短い間隔、ディファ有明での開催も、ついに主要会場クラスに進出となりました。

◆波賀宙也 vs ジョム・エスジム

6月25日にWBCムエタイ日本スーパーバンタム級王座を失ったばかりの波賀は再起戦となる一戦。初回のローキックでのけん制から次第に距離が詰まっていく両者。組んでのヒザ蹴りも多くなり、互いの攻防はミドルキックやハイキックも繰り出し激しくなっていくが、波賀はジョムの距離に付き合ってしまっている印象。猛攻を掛けても芯を捕らえさせないジョムの上手さが目立った試合。

◆櫻井健 vs コンゲンチャイ

櫻井の蹴りにもパンチにも応戦するコンゲンチャイ。両者パワフルな攻防となるが、テクニックで優るコンゲンチャイが蹴られても蹴り返し、好戦的に前に出る。当初から5回戦と決められていたが、プログラムには3回戦とあり、3ラウンド終了時で「これは5回戦です」というアナウンスで戸惑う観衆。ただ選手と陣営は次のラウンドに入る素振りがあったので、当初から5回戦だったと感じる動きではありました。

後半は勝ちを確信した逃げかスタミナ温存か、ロープに詰まるように下がり始めるコンゲンチャイ。スタミナ充分な櫻井が圧力掛けるが、それでもコンゲンチャイは蹴りは強くムエタイ技を見せ劣勢に至らないコンゲンチャイが判定勝利。

エスジム所属のタイ選手のテクニックに翻弄されたメインクラスの波賀宙也と櫻井健でしたが、いずれも採点は2-1の接戦で、しかしこの差が大きく、これを乗り越えていかねばならない本場ムエタイへの通過点でもあります。

櫻井健 vs コンゲンチャイ・エスジム。重いローキックのコンゲンチャイ
櫻井健 vs コンゲンチャイ・エスジム。櫻井健も耐えて善戦するが、コンゲンチャイも怯まないで蹴り返して来る
バチ捌きは見事な連係、12分を戦い抜いた雄勝町伊達の黒船保存会の4名
ラウンドガール晴奈さん。リングも舞台も真剣勝負

KO決着は第1試合と第2試合のみ。パフォーマンスで目立ったのは毎度の鰤鰤左衛門。
鰤鰤は接戦の試合が多く負けの数も多いようですが、この日も接戦ながら勝利となりました。変則的な雰囲気を醸し出しながらしっかりとパンチと蹴りを持つ攻防でした。

アトラクションとして雄勝町伊達の黒船太鼓保存会による創作和太鼓の披露は、汗びっしょりになって太鼓を12分に渡りリズムに乗ってバチで叩き続けた4名の連係捌きが見事で、試合以外でも盛り上がりある興行となりました。リング上での披露はいつもと違った臨場感だったでしょう。

毎度のラウンドガール登場はDUELで2代目となる晴奈さんが登場。舞台やテレビ、映画出演が多い女優さんです。

◎DUEL.12 / 2017年10月1日(日) ディファ有明14:00~18:55
主催:NJKF若武者会 / 認定:NJKF

◆メインイベント 56.5kg契約 5回戦

波賀宙也(立川KBA/56.5kg) vs ジョム・エスジム(タイ/56.52kg)
勝者:ジョム・エスジム / 判定1-2 / 主審 多賀谷敏朗
副審:白神48-49. 中山49-48. 竹村48-49

◆ライト級 5回戦

櫻井健(習志野/60.8kg)
vs
コンゲンチャイ・エスジム(元・ルンピニー系バンタム級3位/タイ/60.6kg)
勝者:コンゲンチャイ / 判定1-2 / 主審 宮本和俊
副審 多賀谷49-48. 中山48-49. 竹村47-50

◆ウェルター級3回戦

NJKFウェルター級5位.Jun Da雷音(E.S.G/68.7kg)
vs
NJKFスーパーウェルター級6位.変わり者(東京町田金子/69.8kg)
勝者:.Jun Da雷音 / 判定2-0 / 主審 白神昌志
副審 多賀谷29-29. 中山30-29. 宮本29-28

◆58.5kg契約3回戦

NJKFスーパーフェザー級3位.大輔(TRASH/58.35kg)
vs
山浦俊一(新興ムエタイ/58.5kg)
勝者:山浦俊一 / 判定0-3 / 主審 竹村光一
副審 白神28-29. 中山28-29. 宮本27-29

◆バンタム級3回戦

NJKFバンタム級6位.淳士(OGUNI/53.2kg)
vs
同級9位.鰤鰤左衛門(CORE/53.4kg)
勝者:鰤鰤左衛門 / 判定0-2 / 主審 多賀谷敏朗
副審 白神28-30. 竹村29-29. 宮本29-30

淳士 vs 鰤鰤左衛門。アグレッシブに攻めた鰤鰤左衛門
接戦ながら勝利した鰤鰤左衛門

◆57.0kg契約3回戦

NJKFスーパーバンタム級4位.雄一(TRASH/57.0kg)
vs
NJKFスーパーフェザー級9位.真沙希(VERTEX/56.9kg)
勝者:真沙希 / 判定1-2 / 主審 中山宏美
副審 白神30-29. 竹村29-30. 多賀谷29-30

◆NJKF女子(ミネルヴァ) 52.8kg契約3回戦(2分制)

同・スーパーフライ級チャンピオン.伊織(T-KIX/52.1kg)
vs
同・スーパーバンタム級1位.小田巻洋子(クレイン/52.7kg)
勝者:伊織 / 判定2-0 / 主審 宮本和俊
副審 中山30-29. 竹村29-29. 多賀谷30-29

◆女子ライトフライ級3回戦(2分制)

RINA(谷山・小田原/48.6kg) vs YUKINO(トースームエタイシン/48.8kg)
引分け / 三者三様 / 主審 白神昌志
副審 中山29-29, 宮本30-29. 多賀谷29-30

◆55.0kg契約3回戦

永井健太朗(Kick Box/54.9kg) vs 中尾興慧(TGY/54.9kg)
勝者:中尾興慧 / 判定0-3 / 主審 竹村光一
副審 中山28-30. 宮本28-30. 白神29-30

インパクト勝利2人目、松谷桐

◆55.0kg契約3回戦

海人(E.S.G/55.55→55.35kg) vs 古村匡平(立川KBA/54.7kg)
勝者:古村匡平 / 判定0-3 / 主審 多賀谷敏朗
副審 竹村27-30. 宮本25-30. 白神27-30
海人は350グラムのオーバーウェイトの為、減点1が加算された採点

◆57.0kg契約3回戦

小田武司(拳之会/56.9kg) vs 山浦翔(新興ムエタイ/56.7kg)
勝者:山浦翔 / 判定0-3 / 主審 中山宏美
副審 竹村28-30. 多賀谷28-30. 白神28-30

◆スーパーライト級3回戦

野津良太(E.S.G/63.4kg) vs 岩橋伸太郎(エス/63.0kg)
勝者:野津良太 / 判定3-0 / 主審 宮本和俊
副審 竹村30-28. 多賀谷30-29. 中山30-28

◆フェザー級3回戦

吉田凜汰郎(VERTEX/56.5kg) vs 佐々木裕亮(光/56.5kg)
勝者:吉田凜汰郎 / 判定3-0 / 主審 白神昌志
副審 宮本30-24. 多賀谷30-24. 中山30-23

◆第2 フライ級3回戦

EIJI(E.S.G/50.6kg) vs 松谷桐(VALLELY/50.2kg)
勝者:松谷桐 / TKO 2R 2:25 / ノーカウントのレフェリーストップ
主審 竹村光一

松谷桐 vs EIJI。KO勝利2人目の松谷桐、飛び膝蹴りでダウンを奪い、再開後パンチで仕留めました

◆第1試合 バンタム級3回戦

鈴木力也(ZERO/53.3kg) vs 北田竜汰(光/52.6kg)
勝者:鈴木力也 / KO 1R 1:30 / カウント中のタオル投入による棄権
主審 中山宏美

鈴木力也 vs 北田竜汰。鈴木力也がハイキックで一発KO勝利、このカットではありませんが、逆方向からこんな形で決まりました
ハイキックKOは15試合中いちばんインパクトあった第1試合の鈴木力也

《取材戦記》

NJKF本興行から準ずる形の若武者会主催の第12回目と力を付けているDUELでした。今回はメインイベンタークラス以外にも注目して掲載してみました。今後もパワーアップして行きそうな若手のプロモーター興行です。

全15試合は14時から始まり、約5時間のちょっと長い興行となりましたが、早めの開始で19時に終わる興行としては帰りが遅くならない有難さがありました。

ひとつ苦言するならば、試合中のラウンド数変更は、キックでは伝達不足による原因でアナウンス訂正が有りがちですが、契約事項の確認、伝達の徹底は怠ってはならないでしょう。コミッションが管理管轄するプロボクシングでは起こり得ないことです。

日本 vs タイ国際戦もタイ選手側の幅広いレベルの差がありますが、以前から申すとおり、日本選手の壁となる、第一線級を退いてもまだまだ強いムエタイ戦士は貴重な存在と思います。

NJKFに於いて波賀宙也は2月の「KNOCK OUT」で小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺)に敗れ、6月にWBCムエタイ日本王座を小笠原裕典(瑛作の兄)に奪われ、今回の敗戦で3連敗となる中、今年27歳、WBCムエタイに於いてはまだまだ上位を目指せる存在。今後の踏ん張りを応援したいところです。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

愚直に直球 タブーなし!『紙の爆弾』11月号!【特集】小池百合子で本当にいいのか
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

私の内なるタイとムエタイ〈11〉タイで三日坊主 Part.3 寺の環境に触れて

◆寺の堅苦しさは無くなり

ついにやって来たタムケーウ寺と藤川さんとの再会。お坊さんになったなら大人しく、真面目一辺倒の会話をするだろうという想定をいきなり裏切ってくれた藤川さん。大声で話し大声で笑ったバンコクのM&K食堂を経営していた頃と何も変わらないではないか。でもそれが堅苦しさをほぐす安心感を私に与えてくれるのでした。こんなんでもやっていけるのだと。藤川さんを通じて和尚さんにもお会いし、楽観的に捉えてしまう出家の道へ繋がりました。

トイレ、水周り掃除をする藤川さん
トイレ掃除する藤川さん
他の比丘も率先して清掃する者もいる

◆トイレ掃除は修行の一環

お喋りに付き合い、午後3時を回り、藤川さんは日課というトイレ掃除を始めました。洗濯洗剤と便器ブラシ、竹ぼうきを使って水浴びスペースとなるホンナーム(水の部屋=トイレとシャワー)を掃除。寺のクティにトイレは3箇所ほどあり、それを1時間ほど掛けて丁寧に掃除していきます。

トイレは外から入れるので、サンダル掃きで皆が利用します。常に泥汚れが溜まるトイレ。寺を訪れた俗人も使えるので一概に言えませんが、便器やその周辺はいつもタバコの吸殻が落ちており、仏門の世界でもモラルが欠落した寺の裏側が見られる場所でもあります。

藤川さんは寺に居る日で、立て続けに葬儀等が無い限りは毎日トイレ掃除をこなす様子。和尚さんや先輩比丘からそういう任務を命ぜられている訳ではなく、率先してやっているのでした。「毎日掃除しても翌日にはしっかり汚れとる。自分がやってきた若い頃のヤンチャな喧嘩や法律違反スレスレの建設営業、地上げ屋など人を騙したり脅したり、一日二日掃除しただけでは罪は消えんほどの悪行があったんや。お釈迦さんはそれをトイレの汚れで毎日教えてくださってはる、という思いで掃除するんや」と言う藤川さん。

そんな真面目な姿を見て、これが地上げ屋をやっていた人かと思うほど、変わりように驚くばかり、かつての不良や不動産屋仲間が見れば同じように思うことでしょう。トイレ掃除するのは藤川さんだけ。「他の奴は寝てるもんも居るし、勉強しとるもんも居る。皆、好き勝手に何かやっとるけど、これが誰も干渉せん寺の姿。修行は己でやるもんやから。これが葬儀やニーモン(比丘を招いて葬儀や結婚式、建築完成祝いなどでの寄進)が無い日はのんびりした一日や」という藤川さんの話しでした。

経文を覚える藤川さん

◆蚊避け線香!?

部屋に戻ると藤川さんのもうひとつの日課の一人読経が始まりました。今は本当の修行の身、日々お経を覚えているようで、仏陀の像の前で、その教科書となる経文を読みながらの読経を30分ほど続けた後、更に30分ほどの瞑想。

そうして夕方になると当然ながらイヤな蚊が出て来ます。生きものを殺すことが禁じられている戒律があるので、蚊は殺さないはずと思っていると、ここまで修行の顔を見せていた藤川さんは蚊取り線香を三つ出し、頭と尻尾にそれぞれ火を点け、部屋の隅々に置かれました。計6本点けたに等しい煙。やがて部屋中真っ白の煙だらけ。燃え尽きるまで3時間ほど掛かったかと思いますが、「蚊取り線香使っていいんですか?」と聞いても、「追い払ったんや、これで朝まで蚊は出て来えへん、蚊はこの部屋を避けて、しばらくすると左隣の部屋に集まってとなりの坊主が“パチン”と蚊を叩く音が聞こえるんや、時々嘆いとるわ、ワッハッハッハ!」と笑う藤川さん。この論点ずらしがオモロかった。

◆牛乳の力

比丘は午後食事をしてはならない戒律の下、藤川さんは当然何も食べていませんが、私には「寺の外に屋台があるけど、今日は食わんでもええやろ、牛乳でも飲んどき!」と言い、冷蔵庫から托鉢で寄進された紙パックの牛乳を出してくれました。
これが一本でも意外とお腹いっぱいになるもので、屋台に行く気も無くなり、「これは自分で空腹をごまかせるなあ」と何やら安心してしまう牛乳の力。贅沢な日々を送っているからデニーズなどでステーキやハンバーグ定食やパフェなど腹一杯食べたくなるもので、質素に暮らせば夜は小食で充分なような、藤川さんの勝手気ままな言い分に呑まれているのか、そんな気がしてしまうこの夜でした。

◆興味津々、覗き部屋!

ふと気が付けば、比丘の部屋には壁にところどころ穴が開いており、壁が劣化している訳ではなく、お互いが隣の部屋を覗けるようになっているのでした。つまり、一人で居ては隠れて何でも出来る。エロ本見ることもオナニーすることも、午後にお菓子を食べることも出来てしまう、それをさせない抑止力的覗き穴がところどころにあるのでした。

テレビや冷蔵庫を所有していても、修行の一環と認められれば必需品と拡大解釈されるものの、寺の外でも中でも至るところから厳しい目で見ているのが寺の日常であることが分かります。

その隣の部屋の穴から覗いたのがデックワット。すぐ藤川さんが「オイ、こっち来い」と呼び、こちらの部屋に来させたところ、この寺から小学校に通う男の子。親元を離れ、寺に居住しながら比丘の世話をすることで日々の生活費はタダ。日常生活に不自由はない寺でのデックワット生活の様子。しかし欲しいものが手に入るような贅沢はできないのは想像に難しくないところです。

夜も9時を過ぎ、朝も早いので寝る準備に入り、板の間に薄いタオルケットと古い黄衣の余りものを借り、硬い床の上で寝ることになります。こんな寝床はムエタイジムでも同じだったので苦痛ではありませんでした。ただ寝る前に、右隣の副住職の部屋からムエタイ中継が聞こえてきました。寺とはどういうところなのか。テレビは見れるし、蚊は殺せるし、牛乳は飲めるし、そんな自由奔放な寺の環境を見た一日。この日は安心しきって眠ってしまいましたが、節々に厳しさも垣間見れる寺であることもわかりました。

明日は、タイに居ながら身近で見ることが滅多に無かった托鉢に同行します。

デックワットを呼んで御挨拶

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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『NO NUKES voice』13号【創刊3周年記念総力特集】望月衣塑子さん、寺脇研さん、中島岳志さん他、多くの人たちと共に〈原発なき社会〉を求めて

WBCムエタイ2大チャンピオンの健太とMOMOTARO、NJKFで今宵も共演!

テーパブット vs 健太。接近戦でやられる覚悟を持って激しく打ち合う健太
テーパブット vs 健太。バックハンドブローを打つ健太、プレッシャー与えるだけでも効果的

今年、NJKFで話題を振り撒いた健太とMOMOTAROの出場。WBCムエタイ日本ウェルター級チャンピオン.健太(ESG)は4月から毎月の試合をこなして勝っても負けても立ち止まることなく戦ってきた健太。

WBCムエタイ・インターナショナル・フェザー級チャンピオン.MOMOTARO(OGUNI)は今回は3回戦ヒジ打ち禁止のルールの試合に出場。11月23日のRISEのトーナメント(DEAD OR ALIVE TOURNAMENT)へ、出場を見据えてのものという。

◆健太 vs テーパブット

接近しては危険な雰囲気からタイミング見計らって第2ラウンドに健太が左フックのクリーンヒットでスリップ気味ながらダウンを奪った。健太は思いっ切り打つボディへの左右フックとローキックでテーパブットがどこかで崩れるかと思えたが、ムエタイ一流選手は簡単には崩れない蹴りで凌ぎきり、健太はダウン奪ったラウンドの差だけの判定勝利となりましたが、ダウンを奪って以降、主導権支配し続けた勝利でした。

健太 vs テーパブット。健太がダウンを奪った左フック、スリップ気味だが綺麗に入った
健太 vs テーパブット。ロープ際に詰めて、かわして打って出るベテランの健太

◆MOMOTARO vs 北薗翔大

ヒジ打ち禁止ルールに挑んだMOMOTAROはヒジ以外の技を多用し、1ラウンド半ばから様子見を終え、徐々にペースを上げていった。パンチを強めた攻めでフルマークとなった展開は新たな戦略へ繋がった様子。

MOMOTARO vs 北薗翔大。ハイキックをヒットさせるMOMOTARO、オールラウンドプレーヤーの真髄
北薗翔大 vs MOMOTARO。至近距離でも高く上がるMOMOTAROの柔軟なハイキック

◆YETI達朗 vs 門田哲博

昨年、白神武央(拳之会)に王座を奪われた雪辱を目指すYETI達朗が、ストレートパンチとミドルキックで圧力を強めると、首相撲からのヒザ蹴りも蹴り負けない展開で僅差ながら門田哲博を突き放す。

YETI達朗 vs 門田哲博。ここで負けられないYETI達朗が門田を突き放すハイキック
前田浩喜 vs 新人。互角の蹴り合いから圧力を掛けたのは新人

◆前田浩喜 vs 新人

チャンピオン同士の正攻法のミドルキック中心にベテランらしい攻防が見られた両者。ウェイト差が影響したか、圧力を強めた新人が的確さで優り判定勝利。

◆杉貴美子 vs SAHO

女子の試合にしては密度の濃い試合となり、SAHOのジャブが距離感を掴み、蹴りへ繋げていく。至近距離での打ち合いもSAHOが支配し、杉貴美子に挽回を許さず判定勝利。杉貴美子は初防衛成らず、SAHOが新チャンピオン。

杉貴美子 vs SAHO。杉貴美子の突進を阻んだSAHOの前蹴りがヒット

◎NJKF 2017.3rd / 2017年9月24日(日)後楽園ホール17:00~21:10
主催:NJKF / 認定:WBCムエタイ、NJKF

MOMOTARO vs 北薗翔大。組めば転ばし、何でもこなしたMOMOTARO
MOMOTARO vs 北薗翔大。相手のタイミングを合わせて繰り出すMOMOTAROのハイキック

◆メインイベント 67.0kg契約 5回戦

健太(E.S.G/67.0kg) vs テーパブット・シッオブン(元・BBTV・SFe級C/タイ/65.95kg)
勝者:健太 / 判定3-0 / 主審:山根正美
副審:神谷50-47. 西村50-48. 竹村49-47

◆57.5kg契約3回戦

MOMOTARO(OGUNI/57.5kg) vs 北薗翔大(K-LIFE/57.35kg)
勝者:MOMOTARO / 判定3-0 / 主審:多賀谷敏朗
副審:神谷30-27. 西村30-27. 山根30-27

◆WBCムエタイ日本スーパーウェルター級挑戦者決定戦 5回戦

NJKF同級チャンピオン.YETI達朗(キング/69.9kg)
vs
JKI同級チャンピオン.門田哲博(武勇会/69.45kg)
勝者:.YETI達朗 / 判定3-0 / 主審:竹村光一
副審:神谷30-29. 多賀谷30-29. 山根30-28

◆56.5kg契約3回戦

NJKFスーパーバンタム級チャンピオン.前田浩喜(CORE/56.4kg)
vs
NJKFフェザー級チャンピオン.新人(=あらと/E.S.G/56.45kg)
勝者:新人 / 判定0-3 / 主審:西村洋
副審:竹村28-29. 多賀谷28-30. 山根28-29

◆NJKF女子(ミネルヴァ)スーパーバンタム級タイトルマッチ 3回戦

新チャンピオン、SAHOのマイクアピールで周囲への感謝を述べる

チャンピオン.杉貴美子(TenCloverGym世田谷/55.0kg)
vs
挑戦者同級2位.SAHO(闘神塾/54.95kg)
勝者:SAHO / 判定0-3 / 主審:神谷友和
副審:竹村29-30. 多賀谷28-30. 西村28-30

◆54.0kg契約3回戦

NJKFバンタム級チャンピオン.玖村修平(K3B/54.0kg)
vs
コンバンノー・エスジム(タイ/54.0kg)
勝者:玖村修平 / KO 2R 2:07 / テンカウント
主審:山根正美

◆62.0kg契約3回戦

NJKFライト級チャンピオン. NAOKI(立川KBA/62.0kg)
vs
キヨソンセン・FLYSKYGYM(FLYSKY/61.95kg)
勝者:キヨソンセン / 判定0-3 / 主審:多賀谷敏朗
副審:山根28-30. 神谷28-30. 西村28-30

他、4試合は割愛します。

《取材戦記》

NJKF看板選手が引退や怪我で戦線離脱が目立つ中、4月以降、毎月の試合で存在感大きくなっているのが健太。過去にはダウンもあれば判定負けもある中、大きな怪我も無く続けられているのは生まれ持った頑丈な肉体で、より鍛えられた筋肉美を強調。強さだけでなく笑いも誘うパフォーマンスを起こし、今年2月には「KNOCK OUT」興行出場と、8月には中国でのクンルンファイト出場とビッグマッチ出場も充実させた試合間隔を保っています。長くNJKFの看板選手の一角を務め、30歳になったばかりでもまだまだ進化を続ける健太です。

MOMOTAROは2013年12月から2016年12月に掛けて14連勝し、3月のタイでの試合は判定負けだったものの、修行の成果を発揮し、6月にWBCムエタイ・インターナショナル・フェザー級王座をKOで奪取。徐々にNJKFトップクラスに躍り出てきた注目の存在です。本名は小寺耕平で、同じOGUNIジム所属のWBCムエタイ・インターナショナル・フライ級チャンピオンのTOMONORI(佐藤友則)がMOMOTAROの名付け親となるようです。

他団体交流が盛んなNJKFは他団体興行出場も多く、MOMOTAROはこの日の北薗翔大に勝利時点で、11月23日に開催されるRISEトーナメントへ出場の正式決定はしていませんが出場を見据えての、今回のヒジ打ち禁止ルールでの試合でした。

「真の強者はルールを問わない」という信念で挑むMOMOTAROの今後の進化に期待が掛かります。

キックボクシングに於いて、ヒジ打ち有りと禁止では、単に有りか無しかではなく、その対戦相手との踏み込む距離感が違ってくると言われます。かつてムエタイルールに馴染んだ選手がヒジ打ち禁止ルールのイベントに出場して本来の力が発揮できなかった試合もありました。

ポスター、パンフレット用の正面向き表情を撮りたくても、毎度の健太筋肉パフォーマンス、いろいろなパターンがあります

本来のキックボクシング基本ルールに統一して欲しいと願うのは純粋なキックファンだけでなく、いろいろな団体に赴いて裁かねばならないレフェリーのようでもあります。打撃だけでなく、採点基準も違えばその都度、ルール確認とミーティングを行ない、今日はヒジ有り、明日はヒジ無しといった日が続くこともあるという厄介さ。と嘆いていても仕方なく、今あるイベントを盛り上げていくのが明日へ繋ぐ、今出来ることのキックボクシング界の現状のようです。

NJKF次回興行はプロ興行、関東エリアに関して、
10月22日(日)にPITジム主催「絆 Ⅸ」が埼玉・ふれあいキューブにて開催。
11月26日(日)に後楽園ホールにて「NJKF 2017.4th」が開催されます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

愚直に直球 タブーなし!『紙の爆弾』11月号!【特集】小池百合子で本当にいいのか
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

私の内なるタイとムエタイ〈10〉タイで三日坊主 Part.2 具体化する出家への道

お喋りと高笑いがお得意の藤川清弘さん、反面、厳しい面構えにもなります

◆藤川さんの思惑の始まり!

郵便受けから薄っぺらい封書を見つけた私は早速開けてみました。切れたと思った縁は切れておらず、ワープロで打たれた文字は、字が下手だからという理由も書かれた、大胆さが表れている内容でした。

「私の事覚えておられますか、バンコックでレストラン、スーパーをしている、と言うよりは、していた藤川です。その節は色々とありがとうございました。
 戦勝会を盛大に行ないたいと、思っていたのに何も出来ず本当に残念です。御免なさい。
 私、10月10日にブアット(出家)し、現在、ペッブリー県のワットタムケーウで坊主の修業をしています。前にも話していたと思いますが、前に一度出家した時から、いつかもう一度出家して、今度は一生仏門で過ごそうと決心しておりました。本当は、もう少し金を貯めてからと思っていたのですが、ある人から、なぜ出家を考えている人が金にこだわるのか?、と聞かれ、自分自身に問いかけた結果、やはりこの人の言うとおりだと気付き、出家するならパンサー(安居期間)が良いと思い、和尚様に相談して急遽出家致しました。前回は、一つの経験として軽い気持ちで出家したのですが、今回は、一生を仏と共に過ごそうと決心しているので、お釈迦様の教えに従い、正式に離婚し、家も店も捨て、身軽な身体になって寺に入りました・・・。」(一部抜粋)2536年(仏暦/西暦1993年)10月17日付

アッシーの試合後、お店で客の居ないテーブルの椅子に座って煙草を吸いながら、遠くを見つめて何か考えているような姿を、バイクタクシーに乗って通過する時、見たことがありました。あの時、すでに再出家のことを考えていたのかもしれません。

それにしても決断の早いこと。レストランに隣接するM&Kというコンビニエンスストアーも藤川さんの経営店で、すべてを妻に権利を渡し、今後の幾らかの活動資金だけ持って、知り合いの弁護士の兄が比丘を務めるタムケーウ寺を紹介されて、この寺で出家されたようでした。

タムケーウ寺正門
タムケーウ寺後門、牛が飼われる広い敷地です

◆再会を目指して!

この人にはもう一度会わねばならない。「この出家姿を追うだけでもいい写真が撮れる」そう考えた私は、なるべく早いうちに藤川さんが居る寺を訪問することを計画。自分が出家するチャンスも今しかないだろう。仕事は元々たいしたこともしていないし、やるなら今やっておいた方がいいと考え、藤川さんと手紙のやりとりをして、翌年(1994年)3月、寺の様子見と前準備の為、短期予定でタイに渡りました。

藤川さんは、「前に言ったとおり、日本で体験できない良い人生の勉強になると思います。一度、寺に来て和尚さんに会ってみてください。いきなり来て突然の出家できる訳ではないので、出家の何ヶ月か前に顔合わせしておいた方がいいでしょう。出家するには親(身元引受人)がいないと出来ませんが、我々にはタイでは親がいないので私の親代わりになってくれた弁護士も紹介します」という返答。

出家は確定した訳ではないが、すべてはここからレールを敷かれた上を走ればそのまま出家に至るだけ。まだ「俺に出来るんかいな」と半信半疑ではありましたが。

タムケーウ寺和尚さん

◆風格ある黄衣姿の藤川さん

藤川さんの案内どおり、バンコクの南部行きのサイタイマイバスターミナルから青いエアコンツアーバスに乗って2時間。終点手前で降りるので、車掌さんに「タムケーウ寺に行きたいので最寄のバスターミナルに着いたら教えてください」と告げておいて、着いたところから軽四輪のソーンテーオ(トラックの荷台を長椅子に替えた乗り合いバス、軽四輪から大型車まで有り)に乗って5分で観光地ナコーン・キリーがある山の麓、タムケーウ寺に着きました。

広い境内に圧倒されるタイ仏教の格式の重み。本堂やサーラー(講堂や葬儀場)が並び、静かで神聖な空間を漂わせる中、クティ前にいた比丘に「藤川清弘という日本人比丘はいますか?」とタイ語にして尋ねるとすぐ理解してくれて、2階の窓に向かって「キヨサーン!」となかなか気さくなお坊さんで日本語で呼んでくれました。

窓から覗く藤川さん。「上がって来て!」と招かれ、クティ2階の藤川さんの部屋の前へ。部屋から出てきた藤川さんは、剃った頭にこげ茶色系の黄衣を纏い、俗人の頃とは全く違う風格ある姿に変身。私の「こんにちは、御無沙汰しています!」の挨拶には応えず、「どうぞ中に入って!」と部屋に招き入れてくれました。ここまでに充分タイ仏教寺の雰囲気に呑まれていた私でした。

何でも揃っていた藤川さんの部屋

部屋に入ると……!

藤川さんの部屋は4畳半よりやや広め、6畳は無いぐらい。そこにテレビはある、冷蔵庫はある、ワープロはある、私が送った立嶋篤史出場の試合ポスターは貼ってある、これがタイ仏教の比丘の部屋とは思えない神聖さを覆す近代設備の整った部屋。この日はホテルなども予約は取らず直接の訪問で、藤川さんから早速の「泊まっていけや!」の一言でこの狭い部屋での宿泊が決定。

そして、口から先に産まれてきたかのように捲くし立てて喋り始めた藤川さん。元々喋り好きだけあって普段話せぬ日本語を待ってたかのようにツバ飛ばしながらよう喋るし、よう笑う。周囲に丸聞こえの高笑いである。

かつてラーブリー県で出会った日本人比丘は口数少なく、堅い話しかしない真面目なお坊さんでした。そんな比丘イメージを崩してしまう藤川さんの黄衣を纏った今の姿。喋る相手ができたと言わんばかりの“泊まって行けや”誘いであったのは後々に分かることでした。

捲くし立てる話も一旦中断して、和尚さんのところへ連れて行かれ、和尚さんと初対面。タイ人のように上手くはない、ワイ(合掌)して御挨拶。

和尚さんはニコニコと「そうかそうか、よく来たな、遠慮なくゆっくりして行きなさい」とおおらかに温かく迎えてくれました。藤川さんが言う和尚さんの前評判は「ここの和尚は見栄っ張りでふんぞり返って偉そうに話すから見とき!」と言い、和尚としての立場もあると思いますが、そんな背伸びある雰囲気の和尚さんでありました。

「今度来た時、出家させて貰えますか?」と尋ねると「ダーイ(いいよ)!」と言ういとも簡単なお許し。先に話はついていることでしたが、和尚さんからの直接の承諾でまた確実さが一歩前進。

初期段階として、出家に向けて前準備が整っていきました。この後、神聖なる仏教寺のイメージが崩れる藤川さんの日課を見ていくことになりますが、その中身は真剣で、奥深い修行であることを徐々に実感していくのでした。

5ヶ月ぶりの再会(1994年3月)

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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待たせたな!田村聖 vs 西村清吾ミドル級決着戦!!

西村清吾(左)vs田村聖。戦う度激しさが増した両雄、田村の反撃も凄まじかった
プロレス技ではありません、無我夢中でスリーパーホールドへ?

◎神風シリーズvol.4
9月23日(祝・土)後楽園ホール17:30~21:10
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

田村聖vs西村清吾戦は、今年2月5日のNKBミドル級王座決定戦で、田村聖が最終ラウンドにヒザ蹴りで2度ダウンを奪い、形勢逆転の判定勝ちした王座獲得でした。

初黒星を喫した西村は、6月25日のチャンデー戦でムエタイ技術を学ぶ経験をした自信と、この日、元・ラジャダムナン系ライト級チャンピオン.梅野源治がセコンドに着いてくれた後押しで、西村は第1ラウンドの左ストレートをヒットさせ田村をグラつかせる好調な出だしでしたが、ヒットすると思っていなかったか、間を置いてしまい慌てて詰めに入るがタイミングが一歩遅れてしまう。しかしこれで田村は距離感が狂い、西村が主導権を握った展開でパンチのヒットが目立ち、田村も蹴りで応戦の前回よりアグレッシブな展開。前々回の昨年10月は凡戦だったことからみれば、かなりの成長の両者。

以前から交流のあった梅野源治氏からのジムでの指導とセコンドに着いての相当尻を叩かれた後押しは、苦しい修行を耐え抜いた西村の、この1年を、待たせた成長は大きいと言える第7代NKBミドル級チャンピオン誕生。

西村清吾vs田村聖。西村のクリーンヒットが目立った重いパンチ
苦しみから立ち上がって西村清吾が勝利、いろいろな想いが脳裏を過ぎる涙。セコンドは梅野源治

安田一平はこの日がラストファイト。重いパンチを振るい、洋介は蹴りで対抗するも、安田は距離を詰め、強打で仕留め有終の美を飾る。洋介は担架で運ばれる失神KO負け。公式戦後、簡素な引退式ながら、小野瀬邦英会長からのお言葉は「安田一平は一度引退しています。まあいろいろあって、一平は何年か後に、僕のところへ帰ってきました。“やり残したことがある”と、それを燃やし尽くす為に帰ってきました。燃やし残したものを真っ白に燃やし尽くす為に、今日の今日まで練習して戦ってきました。そして今日、その燃やし尽くせなかったものを真っ白に燃やしたと思います。またこれからの安田一平の人生も、いろいろなもの(人生の節目の)をかき集めて、それを燃焼させながら人生歩んで行くと思いますので、今まで同様、温かい愛情の応援を、これからも宜しくお願い致します。」とファンへ激励と感謝の御挨拶。

安田一平の強打が洋介にヒット、ラストファイトを飾る
完全燃焼して引退式に臨む安田一平と、労いの言葉をかけるSQUARE-UPジムの小野瀬邦英会長

安田一平は「僕なんかがこのリング(引退式)の上で喋るなんて数年前まで思ってもなかったことでした。小野瀬会長、高橋コーチと出会って、ここまでやれるようになったこと凄く感謝しています。また、ここまで来れたのはここに居る皆さんのお陰です。本当に有難うございました」と感謝を述べ、テンカウントゴングに送られました。

12月16日にNKBライト級新チャンピオンの高橋一眞(真門)に挑戦予定の、前チャンピオン.大和知也は新鋭の棚橋賢二郎にKO負けの意外な結果となりました。昨年の試合での怪我で王座を返上し、休養していた大和は試合勘がやや鈍ったか、余裕の序盤からペースを乱したか、第4ラウンドに一気に棚橋の右ストレートを受けあっさりダウン。立ち上がるもパンチ連打の追い討ちを受け、2度目のダウンを喫し立ち上がろうとするもフラついて、レフェリーに止められてしまいました。

棚橋賢二郎の右ストレートが大和知也にヒット
棚橋賢二郎の連打で崩れ落ちる大和知也
昨年6月デビューの5戦目の棚橋賢二郎が31戦目の元ライト級チャンピオンに勝利してのインタビューに応える

デビュー戦から7連敗し、初勝利を得て話題が広まった岩田行央は、KO勝利で3勝目。デビュー戦から岩田と3連戦を戦った藤田直道(藤田の2敗1分)もパンチ、首相撲からのヒザ蹴りなど技を酷使し、判定勝利で成長を見せ初勝利を飾る。普通、話題にならない30歳過ぎの新人が繰り広げた戦いにも人生有り。期待は薄いものの、二人がどこまで上位に進めるか、注目を浴びる存在であります。

《メインイベント、アンダーカード8試合》

◆NKBミドル級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.田村聖(拳心館/72.2kg)vs挑戦者1位.西村清吾(TEAM-KOK/72.35kg)
勝者:青コーナー・西村清吾 / 判定0-2 / 主審 鈴木義和
副審 佐藤友章49-49. 馳48-50. 亀川48-49

◆64.0kg契約 5回戦

NKBウェルター級1位.安田一平(SQUARE-UP/63.9kg)
VS
NKBライト級6位.洋介(渡辺/63.65kg)
勝者:安田一平 / TKO 2R 0:41 / ノーカウントのレフェリーストップ
主審 川上伸

◆ライト級 5回戦

NKBライト級1位.大和知也(SQUARE-UP/61.2kg)
VS
同級8位.棚橋賢二郎(拳心館/61.1kg)
勝者:棚橋賢二郎 / TKO 4R 1:13 / カウント中のレフェリーストップ
主審 馳大輔

◆女子50.0kg契約3回戦

喜多村美紀(テツ/50.0kg)vs佐藤“魔王”応紀(PCK連闘会/49.25kg)
勝者:喜多村美紀 / 判定2-0 / 主審 鈴木義和
副審 亀川30-29. 佐藤彰彦30-29. 馳30-30

◆68.0kg契約3回戦

NKBウェルター級8位.チャン・シー(SQUARE-UP/67.7kg)vsゼットン(NK/67.85kg)
勝者:チャン・シー / 判定2-0 / 主審 佐藤友章
副審 川上29-28. 馳30-29. 鈴木30-30)

◆ライト級3回戦

NKBライト級7位.パントリー杉並(杉並/60.75kg)
vs
同級9位.野村怜央(TEAM-KOK/61.1kg)
勝者:パントリー杉並 / 判定3-0 / 主審 亀川明史
副審 馳29-28. 佐藤彰彦30-29. 佐藤友章29-28

小笠原裕史vs岩田行央。岩田行央がKOできる武器を持って勝ち星を増やせるか

◆60.0kg契約3回戦

岩田行央(大塚/59.6kg)vs小笠原裕史(TEAM-KOK/59.5kg)
勝者:岩田行央 / KO 2R 1:12 / テンカウント
主審 川上伸

◆フェザー級3回戦

藤田直道(ケーアクティブ/56.9kg)vs鈴木孝則(TRIAL/59.9kg)
勝者:藤田直道 / 判定3-0 / 主審 佐藤彰彦
副審 亀川30-28. 鈴木30-28. 馳30-28

他、2試合は割愛します。

《取材戦記》

西村清吾は試合直後の応援してくれたファンに囲まれての記念撮影にリング下から会場ロビーまで移動してファンの応援に応えて長引き、控室に帰れない中で合間を縫っての私の質問に、今後の目標を聞くと「まず防衛」で、「他団体などのビッグマッチ出場を目指す気はありますか?」と尋ねると「これから考えたいです!」とその場では考えがまとまらないのは当然ながら咄嗟に応えてくれました。

新チャンピオン・西村清吾の誕生。ここまで来れたのも梅野さんのお陰、防衛して恩を返さねば

「控室に梅野源治さんも待っているのだから早く戻った方がいいよ」とは頭を過ぎりつつ、言いませんでしたが、退場はサッと一旦引き上げた方がカッコいいと思うところ、支援してくれた後援者も居るので仕方ないところでしょうか。最終試合の後はこんな光景が目立つことがあります。

次回興行は12月16日(日)後楽園ホールに於いて、NKBライト級とフェザー級のタイトルマッチが行なわれます。フェザー級は村田裕俊(八王子FSG)が2度目の防衛戦、再び優介(真門)を迎えての2度目の防衛戦となります。

村田裕俊は6月25日のライト級王座決定戦出場に際し、フェザー級王座は返上していなかったのかと疑問に思いましたが、その村田裕俊(八王子FSG)に2-1判定勝利で王座獲得した高橋一眞(真門)が王座初防衛戦。挑戦者の大和知也(SQUARE-UP)が今回KO負けを喫した為、現在保留の状態です。誰が挑戦して来ても、高橋一眞の今後を占う大事な一戦となるでしょう。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
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ムエタイM-ONE興行 WPMFも活発に!

軽量級らしいスピードとテクニックが魅了した試合の佐々木雄汰 vs 薩摩サザ波
薩摩のバックハンドブローがクリーンヒットし、佐々木雄汰がダウン
薩摩サザ波vs佐々木雄汰。右ヒジ打ちでダウンした薩摩
尚武会・今井勝義会長とツーショットの佐々木雄汰初防衛成功

タイでは国家イベントに起用されるWPMF世界戦、日本では乱立した中の一つでしかない存在ながら、選手の実力は高度なテクニックで試合を盛り上げた、この日の軽量級、中量級、重量級の技の競演は、どのカードも持ち味が活かされた展開で魅了。強い選手が揃っています。

メインイベント、佐々木雄汰(尚武会/17歳) vs 薩摩サザ波(TARGET/35歳)戦は、両者の展開速いテクニックを見せつつ、序盤の様子見から第3ラウンドに薩摩のバックハンドブローで佐々木雄汰がダウン、ここは年齢差からくる人生の経験値か。しかし第4ラウンドにはカウンターのヒジ打ちで逆転のダウンを奪った佐々木雄汰は、さすがに幼少期からのジュニアムエタイ時代から実戦で鍛えた勝負勘を感じます。薩摩にダメージが残る中、佐々木雄汰の攻勢がやや上回って、際どい2-1ながら判定勝利で初防衛成功。

武来安 vs 小嶋広樹戦は、パンチの重さは武来安やや有利。小嶋はパンチも打つが、やや見劣りする中、ローキック主体に攻める。接近戦では相手をパンチでグラつかせるラウンドが互いにあり。武来安が後ろ蹴りも多発した蹴りの多彩さとパンチの強さで上回ったかに見える判定勝利で王座獲得。

八神剣太 vs 鷹大戦は、3月20日に挑戦者決定戦で、アトム山田(武勇会)に判定勝利し、挑戦権を獲得した鷹大。互いに譲らない積極的な攻めも、鷹大のヒジ打ちで八神の顔面を切り、より激しい攻防が続く中、最終ラウンドは互いが怯まない相手を称え合うかのような、グローブタッチを繰り返しながらパンチと蹴りの思いっきりの攻防が続き終了。鷹大のヒジの攻勢が目立ったか、際どい2-0判定で王座奪取、WPMF日本王座2階級を制覇。

ゴンナパー vs 潘隆成戦は、ムエタイらしいゴンナパーの左ミドルキックと強烈なパンチが、徐々に調子を上げていき播隆成を苦しめる。3ラウンドまでの公開採点で、ダウンを奪わなければ勝てない潘隆成が攻勢に出るが、ゴンナパーが強い蹴りで凌ぎきる上手さが目立った。最終ラウンドも離れず攻勢を続けたゴンナパーが判定勝利で2度目の防衛。

T-98 vs ガムライペットは、再びムエタイ殿堂王座を目指すT-98が序盤、重いローキックと接近して圧力をかけてのパンチで出るが、ガムライペットのハイキックを受けたT-98はグラつき、2ラウンドにはヒジで切られる負傷負け。調子を上げる前に終わった感じの試合。王座陥落以降、復帰戦は勝ったが、この日敗北。試合ペースが短い現状から少々休養をとって更なる再起に期待したいところです。

◎M-ONE 2017.2nd
9月18日(月・祝)ディファ有明16:00~20:55
主催:ウィラサクレック・フェアテックス / 認定:WPMF

◆WPMF日本スーパーフライ級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.佐々木雄汰(尚武会/51.95kg)
vs
挑戦者.薩摩3373(=サザ波/MA日本フライ級C/TARGET/51.95kg)
勝者:佐々木雄汰 / 判定2-1 / 主審 チャンデー・ソー・パランタレー
副審 テーチャカリン48-47. ソンマイ48-47. 北尻47-48

ダウンを奪い返した佐々木雄汰の右ヒジ打ちクリーンヒット

◆第2代WPMF日本ライトヘビー級王座決定戦 5回戦

武来安(=ブライアン/J-NETWORKライトヘビー級C/上州松井/78.85kg)
vs
小嶋広樹(WSR・F幕張/79.3kg)
勝者:武来安 / 判定3-0 / 主審 北尻俊介
副審 テーチャカリン49-48. チャンデー49-48. ナルンチョン49-48

小嶋広樹vs武来安。重量級らしい重いパンチと蹴りが交錯した戦い、後ろ蹴りヒットさせた武来安

◆WPMF日本フェザー級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.八神剣太(レジェンド横浜/57.1kg)
vs
挑戦者.鷹大(前スーパーバンタム級C/WSR・F西川口/57.1kg)
勝者:鷹大 / 判定0-2 / 主審 ソンマイ・ケーウセン
副審 テーチャカリン48-49. 北尻48-49. ナルンチョン49-49

八神剣太を攻める鷹大の右ミドルキック、凄まじい試合となった両者
2度目の防衛を果たしたゴンナパー

 
◆WPMF世界スーパーライト級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.ゴンナパー・ウィラサクレック(タイ/63.5kg)
vs
潘隆成(前WPMF日本同級C/クロスポイント吉祥寺/63.5kg)
勝者:ゴンナパー / 判定3-0 / 主審 チャンデー・ソー・パランタレー
副審 ソンマイ49-48. 北尻50-47. ナルンチョン49-47

ゴンナパーの重いミドルキックが潘隆成を苦しめる

◆スーパーウェルター級3回戦

T-98(=今村卓也/元ラジャダムナン系SW級C/クロスポイント吉祥寺/69.85kg)
vs
ガムライペット・パーン26(タイ/69.85kg)
勝者:ガムライペット / TKO 2R 2:43 /
ヒジ打ちによる顔面裂傷、ドクターの勧告を受入れレフェリーストップ
主審 テーチャカリン・チューワタナ

T-98vsガムライペット。調子を上げる前に終わったT-98(=タクヤ)
T-98負傷負け。1度目のドクターチェックでかなり危なかったが再開を許されるも数秒の攻防ですぐレフェリーに止められた、おびただしい出血のT-98

◆WPMF日本ピン級(-45.359kg)3回戦(2分制)

WPMF世界ピン級チャンピオン.Little Tiger(WSR・F三ノ輪/44.9kg)
vs
ヨーディン・シットヨーディン(タイ/45.6→45.3kg)
勝者;Little Tiger / TKO 2R 1:09 / 一方的展開に陥り、レフェリーストップ
主審 北尻俊介

◆55.0kg契約3回戦

小笠原 裕典(JKIスーパーバンタム級C/クロスポイント吉祥寺/55.0kg)
vs
ナッタチャイ・パーン26(元・ルンピニー系ライトフライ級C/タイ/54.6kg)
引分け / 1-0 / 主審 ナルンチョン・ギャットニワット
副審 北尻29-29. チャンデー29-28. テーチャカリン28-28

◆59.0kg契約3回戦

WPMF日本スーパーバンタム級チャンピオン.中向永昌(STRUGGLE/58.9kg)
vs
コブスー・フェアテックス(タイ/58.75kg)
勝者:コブスー・フェアテックス / TKO 1R 1:21 / カウント中のレフェリーストップ
主審 ソンマイ・ケーウセン

◆60.0kg契約3回戦

NJKFスーパーフェザー級チャンピオン.琢磨(東京町田金子/59.8kg)
vs
デンサヤーム・ルークプラバート(タイ/59.75kg)
勝者:デンサヤーム・ルークプラバート / 判定0-3 / 主審 チャンデー・ソー・パランタレー
副審 北尻28-29. ナルンチョン28-29. ソンマイ28-30

◆53.0kg契約5回戦

WPMF日本バンタム級チャンピオン.隼也ウィラサクレック(WSR・F三ノ輪/53.0kg)
vs
奥脇一哉(はまっこムエタイ/53.0kg)
勝者:隼也ウィラサクレック / 判定2-0 / 主審 テーチャカリン・チューワタナ
副審 北尻48-48. チャンデー50-48. ソンマイ49-48

他、3試合は割愛します。

《取材戦記》

WPMF日本ライトヘビー級王座は3年半ぶりのチャンピオン在位。日本の重量級では層が薄い現状も、全団体から集まれば昔以上のランカーが揃う人材があります。ミドル級を越える重量級でも交流戦を増やして、少しでも対戦相手不足を解消して欲しいところです。

キックボクシング系競技でアメリカ人日本チャンピオンも過去、何人か居たと思いますが、武来安の活躍は、かつての日本ヘビー級チャンピオン.ジミー・ジョンソン(横須賀中央)の存在を思い出しました。こんな外国人横綱のような、日本王座に君臨する外国人チャンピオンの存在も憎たらしくていいかもしれません。ボクシングのリック吉村のような日本人をことごとく潰していく存在も面白い存在となるものです。

やがて来年6月末にはこのメイン会場となったディファ有明も閉鎖されますが、その後はどこで開催されるのでしょう。M-ONEに限らず、ディファ有明を主要会場としていた各団体・興行プロモーションも新たな会場を探っているようです。M-ONE次回興行は11月26日(日)にこのディファ有明で開催となります。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

私の内なるタイとムエタイ〈9〉タイで三日坊主 Part.1 藤川清弘さんとの出会い

◆三帰依再び!

ムエタイ以外でタイで出来る伝統文化って何だろう。そんな思い付きから、あの黄衣を纏って歩いてみたいという安易な妄想を描いてしまった若い頃。

しかし何の信仰心も無く無宗教で育った私は、日頃、両手を合わせる時は、学校給食の「いただきます!」と、苦しい時の神頼みしかありませんでした。成績最悪だった私は、地元の評判悪い私立の仏教系高校に辛うじて受かり、そこで毎朝合掌して唱えさせられたのが、

「ブッダン・サラナン・ガッチャーミー、ダンマン・サラナン・ガッチャーミー、サンガン・サラナン・ガッチャーミー」で、この意味は習ったはずも全く覚えておらず、卒業後の人生、全く頭に過ぎらぬほど、三帰依などすっかり忘れていました。

藤川清弘氏の著作。人物像はここにあり!

子供の頃からキックボクシングを観ていなければ、あの千葉にあるジムに行かなければ、そこであのタイ選手に会わなければ、そのタイ選手のバンコクのジムに居候しなければ、その近くで藤川清弘氏が日本料理の幟旗を立てなければ、その店へ行こうと日本人選手に誘われなければ……、これらのどこかで運命がほんのちょっとでもズレていれば、藤川氏と出会うこと無く、私は出家には至っていなかっただろうと思うのです。

対する藤川氏も波乱万丈の人生を送り、タイで事業を始めた人でした。この人もどこかで運命がちょっと違った方向に行っていれば、あそこであの時期にお店を開くことはなかったでしょう。いろいろな原因が結果となって現れ、それが次の原因となって次の結果を生んで続いていくことを“因果応報”と言います。

そして高校卒業後15年も経ってこの三帰依を再び唱える時が来てしまったのです。もしかしたら、あの嫌で嫌で仕方なかった高校に通った日々が原点だったのでしょうか。

◆幟に釣られた我々!

そんな運命に導かれるまで呑気に生きていた私は、1993年7月、バンコクのタリンチャン地区にあるムエタイのゲオサムリットジム宿舎となるアナン会長宅に居候していました。アナンさんは以前、キックボクシングの習志野ジムでトレーナーをしていた選手で、そこで偶然知り合った仲でした。そのアナン宅のある集落からすぐ出た小道に「たこやき」「やきそば」といった露店の幟旗が5本ほど立った、日本料理店であることを察する、オープンカフェ風の小奇麗なお店があるのを何度か通りかかった際、目撃していました。私はタイに来てまで日本料理は食べたくなかったので、一度も立ち寄ったことはありませんでした。それまでは……。

イメージ画像、実物とは関係ありません。オープンカフェ風レストラン!
タイの日本料理店がお客を釣る手段として用いる幟旗のイメージ画像。写真はタイ現地のものではありませんがこんな感じです

日本人の心を知り、適切に指導できるアナンさんのところへ、日本人キックボクサーが修行にやって来るのは当然の流れで、私が来てから2週間後にやって来たのが当時、日本のキックボクシングトップクラスにいた立嶋篤史選手でした。彼とはデビュー前から知り合いで、以前にもバンコクの別のジムでも一緒に過ごしたことある気兼ねない仲間内でした。

ジムが練習休みのある日曜日、アッシー(=立嶋篤史)から「あの日本料理の店行ってみましょうよ」と誘われる運命へ。彼は元々タイ料理が苦手で、これより5年前のムエタイジムで出会った新人の頃は、味付け海苔とフリカケとインスタント味噌汁を日本から持って来て、これだけで白飯を食べていたほど。その後、タイ料理はほぼ克服していましたが、近くに日本料理店があれば、彼の本能が赴くのは当然のことでした。私は付き合いがてら見学目的で一緒に行くことになりました。

店に入ると、テーブルに着いていたオーナーらしきゴツイ顔のオッサンが、「あんたら日本人やろ、どこに泊っとるんや!」。いきなり関西弁で遠慮ない問いかけをしてくるのが藤川清弘(当時51歳)氏でした。アッシーも活発な青年で意気投合し、藤川さんのツバ飛ばしながらよく喋る関西弁との上手く噛み合う会話が続き、ほとんど喋らない私は聞き役に回る程度でした。日本料理のメニューをお願いすると、藤川さんは「日本料理なんかあらへんで!」とあっさり。我々は「幟に書いてあるのはメニューに無いんですか?」と聞くと、藤川さんは「幟は客釣りや、タイ人には珍しい旗やろ、ワッハッハッハッハ!」。我々も引っ掛かったことに笑ってしまいました。

◆仏門の話題が出た!

アッシーはバンコクでの試合が決まり、減量も始まり、藤川さんの店に行くのは私だけになっていました。従業員の女の子とも仲良くなり、そちらの方が楽しみな日々。それまでの藤川さんとの雑談も、京都で地上げ屋やってたビジネス話から仏門の話がチラッと出た頃でした。

「ワシなあ、今年の1月から6月まで坊主やっとったんや」と見せてくれたのが、巡礼先で撮ったと見える黄衣を纏った坊主頭の藤川さん。このお店での姿はポロシャツにスラックス。髪は短めの七三分け。地上げ屋やってた人とは思えぬ比丘姿でした。

「ワシなあ、もう3~4年したらもう一回坊主やろうと思とるんや、今度は還俗はせんで、一生仏門に居るつもりや、堀田さんも短期でええからやってみたらどうや、日本では絶対に体験できへん良い人生の勉強になるで、得度式かて口移しで教えてくれるし、経文も覚えんでええ、ワシの時もそうやった!」

そんな言葉を掛けられて、過去にラーブリー県で会った品ある日本人僧や、以前付き合っていた彼女の弟の得度式での姿と、TBSの新世界紀行で見た日本の若者二人が出家した姿、それらが一気に頭を過ぎると、あんな姿で歩いてみたいという、お調子者の自分も挑戦してみたい気になりました。

とりあえずそんな縁だけ繋いでおこうと「僕もやりたくなったら誘ってくれますか、藤川さんの居る寺で」と言うと藤川さんは、「ええよ、面倒見てあげる、何も難しく考えんでええから!」と前向き対応。先はわからない簡単な口約束でした。3~4年後なんて仕事が忙しくなってタイには来られないかもしれない。機会あってもその時はビビッて怖気ずくかもしれない。でもまだ起きてもいない先のことは考えず、また雑談に店を訪れる日が続きました。

◆祝勝会もお別れ会も無く!

「アッシーが勝ったら祝勝会やろう」と言ってた藤川さん。アッシーは見事にKO勝ちしたものの、試合直後は日本とタイの雑誌取材等に追われ、すぐに店に訪れることは出来ませんでした。

試合翌日、私だけ訪れると「勝ったんか、たいしたもんやなあ、でも来れんのか、何でや~!?」とガッカリした様子の藤川さん。知り合って間もない関係だけに後回しになるのも仕方無いことでした。それはわずか5日間ほどのことでしたが、その後二人で訪れると、お店から藤川さんの姿が見えなくなっていました。

店の女の子に聞いても「社長はどこに行ったのか、いつ帰るのか分かりません」という返答。いつ行っても状況は変わらず、アッシーは先に帰国し、2週間ほどして私も帰国日になり、「もう藤川さんに会うことは無さそうだな。口約束はあくまで確約では無いし、祝勝会はもしかして御自身のお別れ会のつもりだったのかな」と頭を過ぎりながら、私は帰国の途についたのでした。

やがて2ヶ月ほど経ち、郵便受けに藤川さんからの手紙が届いていました。そう言えば名刺を渡していたなと思い出し、ここから切っても切れない恐ろしい腐れ縁の始まりとなっていくのでした。

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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TITANS NEOS 22 メジャーが王道の先にあるならば、この道を突き進む!

江幡睦vsマフアンレック。蹴り合いにも下がらず先手打ち、圧力掛けて出る江幡睦

アルゼンチン大使より、WKBA伊原信一代表へチャンピオンベルトの贈呈。これはWKBA加盟国の、アルゼンチンで活発に行なわれているアマチュア大会が、今後、周辺国と交流し、南米選手権、更にヨーロッパ、ロシア、アジアとの大陸間国際大会開催を目指したチャンピオンベルトとなります。アマチュア大会の裾野が広がって、プロへの基盤となればWKBA世界王座も真のメジャー化に繋がるでしょう。そんな険しい道程をどう切り抜けていくのかも応援したいところです。

江幡塁が12月10日、両国国技館で開催の「KNOCK OUTイベント」に出場決定! 10日程前に発表されていたことではありますが、この日、江幡睦が勝利したリング上でもマイクアピールされました。対戦相手は未定ですが、ここで話題の選手と対戦し、好ファイトを繰り広げれば、その後のムエタイ最高峰に挑んだ際にも、今まで以上の期待と声援が増すことでしょう。

江幡睦vsマフアンレック。右ストレートで1回目のダウンとなるクリーンヒット
斗吾vsファープラタン。パンチの強い斗吾が圧力を掛けていく、劣勢に陥るファープラタン

◎TITANS NEOS.22
2017年9月17日(日)後楽園ホール17:00~20:50
主催:TITANS事務局 / 認定:新日本キックボクシング協会

メインイベントは江幡睦のWKBA世界バンタム級王座初防衛戦。一度失敗している初防衛戦は、2015年3月に行なわれた、ラジャダムナン系バンタム級王座とのダブルタイトルマッチで、フォンペット・チューワタナに判定負けして奪取成らず、WKBA王座も陥落。その後フォンペットのWKBA王座返上で、江幡睦は再び王座決定戦を制し王座奪回。今回の挑戦者は元・ルンピニー系ライトフライ級1位.マフアンレック。

睦のパンチと蹴りのスピードがマフアンレックを上回り、タイミングをずらしたフェイントと、右ストレートと左アッパーで、2度のダウンを奪って快勝し、初防衛成功。

日本ウェルター級チャンピオン.渡辺健司は、憂也の若さでパンチで出る圧力に押される展開を見せるも、いつものしぶとさと粘りで凌ぎきる。どちらもあと一歩足りない手数に差が付かないまま終了。

日本ミドル級チャンピオン.斗吾は序盤にファープラタンの蹴りのテクニックに詰め難さがあったが、斗吾のパンチの威力に後退し始め、表情に現れるような劣勢とスタミナ不足。斗吾の威力が増していき、右ボディーブローでKOする。

アルゼンチンから伊原ジムに移籍したマウロ・エレーラとミドル級から階級を上げたショーケン、重いパンチを振るうエレーラに、負けず劣らず前に出たのはショーケン。右ストレートでダウンを奪い、エレーラを後退させるシーンが目立ち、判定勝利を得る。ミドル級時代より力強さを感じたショーケンでした。

日本フライ級王座奪還目指す泰史は、第1ラウンド終了近くにパワフルな攻めを見せる平野翼から右ハイキックでダウンを奪い、2ラウンド開始早々には右ローキックから瞬時に飛びヒザ蹴り一発で倒してKO勝利。

◆メインイベント WKBA世界バンタム級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.江幡睦(伊原/53.45kg)
VS
マフアンレック・チョー・ノーパルタン(タイ/53.1kg)
勝者:江幡睦 / KO 2R 2:25 / カウント中のタオル投入による棄権
主審 椎名利一

◆74.0kg契約3回戦

日本ミドル級チャンピオン.斗吾(伊原/73.85kg)
VS
ファープラタン・ペットプームムエタイ(タイ/73.7kg)
勝者:斗吾 / KO 3R 0:59 / カウント中のタオル投入による棄権
主審 少白竜

ファープラタンvs斗吾。最後は斗吾ボディーブローが強烈に決まった
渡辺健司vs憂也。若い憂也も攻め倦む、両者あと一歩出れば勝機に繋がった惜しい試合

◆67.2kg契約3回戦

日本ウェルター級チャンピオン.渡辺健司(伊原稲城/67.15kg)vs
VS
憂也(魁塾/67.2kg)
引分け / 0-1 / 主審:宮沢誠
副審 椎名29-29. 仲29-29. 少白竜29-30

◆ヘビー級3回戦

日本ヘビー級1位.マウロ・エレーラ(伊原/95.3kg)
VS
日本ヘビー級4位.ショーケン(山田/94.5kg)
勝者:ショーケン / 判定0-3 / 主審 宮沢誠
副審 椎名27-30. 仲28-29. 少白竜28-29

マウロ・エレーラを後退させたショーケン、今後に期待

◆52.0kg契約3回戦

泰史(前・日本フライ級C/伊原/52.0kg)vs平野翼(烈拳會/51.5kg)
勝者:泰史 / TKO 2R 0:10 / ノーカウントのレフェリーストップ
主審 仲俊光

平野翼vs泰史。飛びヒザ蹴り一発で平野翼を沈めた泰史
江幡睦と塁。WKBA、KNOCK OUT、ムエタイ王座と新しい伝説へ突き進む江幡ツインズ

◆74.0kg契約3回戦

日本ミドル級2位.本田聖典(伊原新潟/73.6kg)vs同級3位.中川達彦(花鳥風月/73.9kg)
勝者:本田聖典 / TKO 2R 0:46 / 一方的展開の為、レフェリーストップ
主審 少白竜

◆62.5kg契約3回戦

日本ライト級3位.春樹(横須賀太賀/62.5kg)vs清水隆誠(烈拳會/62.5kg)
勝者:清水隆誠 / 判定0-3 / 主審 椎名利一
副審 少白竜28-30. 宮沢誠27-30. 仲28-30

◆ライト級3回戦

日本ライト級4位.ジョニー・オリベイラ(トーエル/61.1kg)
VS
同級5位.渡邊涼介(伊原新潟/61.15kg)
引分け / 0-0 / 主審 少白竜
副審 椎名29-29. 宮沢29-29. 仲29-29

他、5試合は割愛します。

《取材戦記》

江幡ツインズ弟・塁は10月22日にMAGNUM.45に於いてWKBA世界スーパーバンタム級王座2度目の防衛戦で、その後12月10日にKNOCK OUT出場となります。同日、兄・睦は後楽園ホールでの藤本ジム興行に於いてのビッグマッチが予定されており、同日に別々の会場でツインズ出場は初めてのことです。来年は睦も後々にKNOCK OUT出場予定されている模様です。

伊原代表に贈られたWKBAアマチュアチャンピオンベルト中央には「King of The King」と刻印されており、鷹と王冠もデザインされています。この鷹と王冠は旧・日本キックシング協会系のチャンピオンベルト(沢村忠さん達の時代のベルト)にも王冠に掴まる鷹が描かれており、同一デザインではありませんが、何かキックの老舗のこだわりがあるような気がします(鷹か鷲か不明ですが)。

今回の興行テーマとなった「メジャーは王道の先にあるならば、この道を突き進む!」にはTITANS NEOSの強化と、海外から発信のWKBAアマチュア大会や、KNOCK OUTイベントに江幡ツインズ出場といった王道の先にメジャーがあり、それが2018年に大きく開花していくのかもしれません。

アルゼンチン大使と伊原代表を囲む。南米担当・川久保悠さん、リングアナウンサー・生島翔さんも加わって

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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国崇も勢い上げるDUEL.11、女子キックも充実!

国崇vsチャーオサム。開始早々から攻勢を掛ける国崇、倒す気満々
国崇vsチャーオサム。国崇のローキックで棒立ちとなるチャーオサム
勝利者ならではのツーショット

◎DUEL.11 / 2017年9月3日(日)ゴールドジム・サウス東京ANNEX.17:00~19:20
主催:NJKF若武者会 / 認定:NJKF

国崇(くにたか)のローキックで早々にチャーオサムの動きが止まり、パンチでのボディブローと左頬にヒジ打ちを加えると、ダメージ深いチャーオサムはやや遅れて倒れ、レフェリーが止めて国崇の勝利となる。今年に入って4連続KO勝利、まだまだ現役を続ける意思表示を見せた国崇でした。

C-CHANは序盤、長身を利した右ミドルキックで自分の距離間を掴むが、接近戦に持ち込む百花のパンチが次第に増えて圧力を掛ける。C-CHANの蹴りが優ったように見えたが、百花のパンチで攻め返される見映えの悪さと、百花の積極性でポイントが流れた様子でC-CHANは王座陥落。百花がNJKFミネルヴァ・アトム級王座奪取となる。ピン級(-45.359kg)での王座争奪トーナメント戦出場を願い出た百花は、この軽量級エリアで更なる上位階級への挑戦も目指して欲しいところです。

《全10試合結果》

◆第10試合 メインイベント 57.0kg契約 5回戦

ISKA(ムエタイ)世界フェザー級チャンピオン.国崇(拳之会/56.7kg)
vs
チャーオサム・エスジム(タイ/56.8kg)
勝者:国崇 / TKO 1R 3:03 / カウント中のレフェリーストップ
主審:宮本和俊

◆第9試合 NJKF女子(ミネルヴァ)アトム級(-46.266kg)タイトルマッチ3回戦

チャンピオン.C-CHAN(TEAM GONJI/46.3→46.26kg) vs 挑戦者同級1位.百花(魁塾/45.3kg)
勝者:百花 / 判定1-2
主審:多賀谷敏朗
副審:宮本29-28. 竹村28-30. 白神28-30

C-CHANvs百花。後半の追い込みを掛ける百花
C-CHANvs百花。蹴られ続けても我が身を信じ、パンチで攻めた百花
百花が王座奪取。更なる階級制覇へ意欲を見せる

◆第8試合 58.5kg契約3回戦

hayato (FOKAIJAPAN/58.3kg)vs 雅也(T-KIX/58.5kg)
勝者:hayato / 判定2-0
主審:竹村光一
副審:宮本30-29. 多賀谷30-28. 白神29-29

◆第7試合 フライ級3回戦

一航(新興ムエタイ/50.8kg)vs 池上侑李(岩崎/50.7kg)
勝者:一航 / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:宮本30-28. 多賀谷30-28. 竹村30-28

◆第6試合 女子アトム級3回戦(2分制)

美保(KFG URAWA/46.1kg)vs めぐみ(日進会館・宮原/46.0kg)
勝者:美保 / 判定3-0
主審:白神昌志
副審:中山30-27. 多賀谷30-26. 竹村30-27

◆第5試合 女子53.0kg契約3回戦(2分制)

田丸茜(エイワS/52.5kg)vs 坂本優(CROSSLINE/51.6kg)
勝者:坂本優 / 判定0-3
主審:宮本和俊
副審:中山28-30. 白神28-30. 竹村29-30
狩野友里(KICK BOX)の欠場により田丸茜が代打出場

◆第4試合 女子50.0kg契約3回戦(2分制)

ライトフライ級3位.後藤まき(RIKIX/49.6kg)vs にゃあしゃー綿田(チームNYAA/49.0kg)
勝者:にゃあしゃー綿田 / 判定0-2
主審:多賀谷敏朗
副審:中山29-30. 白神29-29. 宮本29-30

◆第3試合 女子ピン級(-45.359kg)3回戦(2分制)

真奈長(真樹・オキナワ/44.8kg)vs 奥脇奈々(はまっこムエタイ/45.35kg)
勝者:真奈長 / 判定3-0
主審:竹村光一
副審:多賀谷30-27. 白神30-28. 宮本30-27

◆第2試合 フェザー級3回戦

小田武司(拳之会/57.0kg)vs 獠太朗(DTS/57.0kg)
勝者:獠太朗/ 判定0-2
主審:中山宏美
副審:多賀谷28-29. 竹村29-29. 宮本28-30

◆第1試合 女子フライ級3回戦(2分制)

七美(真樹・オキナワ/50.1kg)vs 佐藤瑠南(VERTEX/50.7kg)
引分け 0-1
主審:白神昌志
副審:多賀谷29-29. 竹村29-29. 中山29-30

hayatoの勝利を祝して、3日後の試合を控える梅野源治も登場
NJKF斉藤京二理事長(左)より認定証を受け、DUEL竹越義晃代表(右)よりチャンピオンベルトを受けた百花
DUELでは恒例のラウンドガール実来さん登場

《取材戦記》

女子の軽量級域の細か過ぎるウェイト間隔。選手にとっては「1ポンドでも大きな差」と言っても一般人では、1日以内で変化ある1キログラム以下の間隔ってどうなのでしょう。百花はピン級ウェイト(-45.359kg)でアトム級(-46.266kg)王座を奪った形です。

その女子を中心とした興行もかなり増えました。少子化や競技の多様化で、各格闘競技人口の減少の上、こんな痛い思いして、お金にならないことしなくてももっと儲かる競技を目指す若者も多い中、女子キック・ムエタイ競技の興行が増えたことは、喜ばしいことなのかもしれません。

ウェイトの問題ではもうひとつ。クルーザー級は1980年にWBCのプロボクシング世界戦で新設され、後にキックボクシングでも真似するように新設されました。当初は190ポンド(86.182kg)以下でしたが、10年ぐらい前に200ポンド(90.718kg)以下に変更されました。

ところがキックボクシング各団体は知ってか知らずかそのまんま。キックやムエタイの各団体で「190ポンドで行なう」と宣言してくれれば、それで確定で分かり易いのですが、ボクシングの試合は観るがルール変更に気が付かないキック関係者が多いようです。

国崇は、今年2月のスペンサー・テー(シンガポール)戦からこれで4連続KO勝ちとなりました。今回も5回戦ヒジ打ち有りルールの試合でしたが、「ムエタイがそのルールですから」と本来のルールに拘りました。多くの世界王座を奪取し、ムエタイ殿堂王座挑戦も経験している国崇は37歳にしてまだ上を目指す挑戦を続けます。

NJKF興行は9月24日(日)に後楽園ホールで、NJKF 2017 3rdが行なわれます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

愚直に直球 タブーなし!『紙の爆弾』10月号!【特集】安倍政権とは何だったのか
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

私の内なるタイとムエタイ〈8〉 タイの安堵感、ノンカイの寺巡り

いっしょに寝そべって撮りたくなるユニークさを誘います
サーラケーウクーの世にも奇妙な石像たち

国境を越え、入国手続きを済ませてタイ領土に戻ると安堵感がありました。タイの方が慣れた土地、まだ広くて静かなノンカイに居ることが幸せな気分でした。

「ビエンチャンの街はどうでした?」と大阪弁オジさんに感想を聞かれ、率直に「楽しかったです!」が本音であり大雑把過ぎる返答をし、ビエンチャン談議もそこそこにノンカイの見所を教わって出発準備。

そこでオジさんに呼ばれた隣の店で休憩中のトゥクトゥクの色黒の運ちゃん。観光地3箇所と最後にミーチャイター寺を巡ってノンカイ駅前に戻って来るコースをお願いしてくれました。

◆ノンカイで寺巡り

願い事、占いも人気のポーチャイ寺、祈る女性が奇麗だと見とれてしまいます
聖水を掛けられる願掛け、有難さが増します

最初に向かった先は、サーラー・ケーオ・クー(ケーク寺)、ビエンチャンにあるブッタパークと同じような形でノンカイにも造ったらしく、仏教とヒンズー教が入り混じったと言われる、多くの奇妙な石像が立ち並び、見応えある寺の庭園でした。

写真を撮るなら何を主役に撮るか、彼女や友人が一緒なら、人と多くの石像をどう捉えるかなど撮影のいい勉強になる、そんな利用価値ある広い庭園です。

2番目に向かったのが、ポーチャイ寺。ここも大きな寺で観光スポットとして女性が多い賑やかな寺でした。願掛けや運勢を占う者、比丘から説法を受ける者多く本堂が広いので、仏陀像の前に長く座って我人生の在り方を心で問いかけてみるのも心安らぐ場所でしょう。

◆過去を振り返るノンカイの街

3番目に向かったのはメコン河沿いにあるターサデット市場で、メコン河沿いから対岸のビエンチャンを眺めたことで両岸から眺める目的も果たせ、運気を上げる充実の時間でした。河沿いにあるラムドゥアン寺に近寄ると、掃き掃除をしていたネーンに「上まで上がっていいですよ」と誘われ、高い本堂の最上部に上がって眺めるメコン河もいい眺め。この寺もいいなあと、“隣の芝は青く見える”状態でした。

ノンカイには幾つか市場があり、このターサデット市場は広い敷地で22年前、ビエンチャンで知り合ったアメリカ人青年がこの市場で簡易湯沸かし器を買っていましたが、古く懐かしい電化製品も日用品も何でも揃う市場です。

平日の昼では人通りが少ないですが、夜や日曜日は賑わう市場です
多くの仏陀像が売られるお店、タイにはまった者は仏像には興味をそそられます

ターサデットは船着場でもあり他の箇所でも、“矢切の渡し”のような船の発着場がありますが、観光客は出入国手続きのあるところしか乗ることはできません。でもそんな矢切の渡しで国境越えを経験したいものです。

昔、托鉢で歩いた懐かしい道をトゥクトゥクで走り、一昨日に続き、ミーチャイター寺へ訪問。

本堂が開いていたので勝手に入り、一人で三拝。朝4時と夕方6時に始まる読経に藤川僧と加わった数日や、先のアメリカ青年をここで出家させた記憶が蘇りました。「あれから22年だぞ」と時間の大切さを実感させる仏陀の目線でした。

この日は和尚さんのお兄さんという俗人のお寺の世話人と偶然対面。タイ人は信頼ある友人は皆、兄弟みたいな呼び方をするので、和尚さんとは血縁関係は無さそうな風貌。この日も念の為、この寺で撮った昔の写真を持って行ったので、この兄さんに見せながら22年前のことを話してみました。

「和尚は明日戻るけど来るかい?」と言われても、私らは明朝の列車でバンコクに帰らねばなりません。「じゃあまた来てくれ、和尚に伝えておくから」と、わずかな信頼関係を作って、同行友人から奪ったマイルドセブンをプレゼントし、この寺を後にしました。

ミーチャイター寺本堂、壁画は仏陀の一生。ここでの思い出も蘇ります
どこの屋台でもこんな光景が日常的
ノンカイ駅に佇む地域犬
プラットホームに入って来ても追い払われないのどかな田舎の駅、馴れたものです

この道路を挟んだ向かい側の路地の奥に“ミーチャイトゥン寺”があり、今は改築されて建物の造りが変わり、ミーチャイトゥン寺と気が付かぬほど。色黒運ちゃんがなぜか機転が利いて最後に立ち寄ってくれましたが、この寺は22年前、比丘としてノンカイに来た際の最初にお世話になった寺でした。より交流が深まったミーチャイター寺から比べれば記憶から外れてしまいましたが、いずれまた来なければならないと誓って最後の訪問地を去りました。

◆再び煩わしいバンコクへ

「ノンカイ観光はどうでした?」と大阪弁オジさんに聞かれて、率直に「楽しかったです!」と本音であり大雑把過ぎる、同じこと繰り返す返答をした後、雑談に花を咲かせる飲み会状態。この店では簡単なバミー(ラーメン)や炒め物など5種類だけのメニューをやっているという大阪弁オジさんの奥さんが切盛りする屋台で、ノンカイ・ビエンチャンの旅では最後の晩餐となりました。ビエンチャンで使ったトゥクトゥクやタクシー値段は「ちょっとボラレとるね!」というオジさんの率直な回答。ちょっとどころではなかったかもしれません。

翌日早朝は、6時40分に駅に入り、列車の到着を待ちました。前日、ノンカイ駅で列車乗車券を買っておきましたが、早朝7時発なのに窓口で「明日は6時30分までに来なさい」と言われ、その意味深く考えず見過ごしていましたが、バンコクからやって来る寝台列車が折り返して行くのだと思って、6時45分頃到着した寝台列車の切り離しや清掃を待ち、乗車できるタイミングを見計らっていたら、なんとトゥクトゥクの昨日の色黒運ちゃんが突然やって来て、「君ら、この列車じゃないぞ、向こうの列車だ」と言われ慌てました。

知らなかったら乗り過ごすところでした。日本と違い低いプラットホームで、通常は線路を渡れるものの、手前に列車がいては2番線に行くには大回りになるので、車掌さんに頼んでくれて両側のドアーを開け、2番線の列車に導いてくれました。乗車券窓口での「6時30分までに来い」と言う意味がこの時初めて分かる、鈍感な我々。

「色黒運ちゃんには感謝する、ビエンチャンのタクシー運ちゃんよりいいオジちゃんだ、また会いましょう」と簡単な御礼を言って笑顔で別れました。この色黒運ちゃんもまた使ってやりたいオジちゃんです。

この地で生きるトゥクトゥク色黒おじさん。また思い出の仲となりました

◆バンコクでムエタイ関係者との最後の晩餐

列車はやや定刻遅れの17時20分にバンコク・フアランポーン駅に着き、最終宿泊地、スクンビット通りのホテルへ、早速の煩わしい渋滞を避け地下鉄で移動は大成功。夜はムエタイ関係者と旅最後の晩餐となりました。

帰りの列車の中で振り返ったこの10日間のタイ・ラオスの旅では、ペッブリーでの得度式に出会い、行かないつもりだったビエンチャンに渡り、予定より2日間を費やした為、昔バンコクでお世話になった人のところやサムットソンクラーム県のお寺へ行けず、更に再会したい人も増え、もう一度行かねばならないところかなり増えた旅となりました。

「またお会いしましょう」と何人に言ってきたことか、この先また“22年後”にならないよう急ぎたいものです。その頃は生きてても長旅は無理かもしれません。

今回は過去に比丘として訪れた街を再訪問しただけの単純な旅でしたが、ノンカイへ向かう列車の中で、「途中下車したらどうなるだろう」と頭を過ぎるも、過去に訪れた地方都市を通過しました。過去にはムエタイ選手が、試合が終わってロッブリー県への里帰りに同行したことや、試合取材で訪れた地方都市などを再訪問するムエタイ絡みの旅も機会あればしてみたいと思います。

単なる日記形式の羅列でしたが、この旅で偶然出会った地元の人達との触れ合いが強烈に記憶に残る楽しさがありました。これから、現在のこんな出会いに繋がった22年前のタイで出家した物語に移りたいと思いますが、興味御座いましたらお付き合いくださいませ。

夕陽のメコン河、対岸からやって来る船、見ていて飽きない風景です

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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