開港阻止闘争から40年目の成田(三里塚)空港〈9〉女性たちの三里塚闘争

◆第四インター日本支部の栄光

3.26開港阻止闘争で全国にその名を知らしめたのは、第四インター日本支部(革命的共産主義者同盟)だった。管制塔占拠にさいしても「管制官には危害を加えない」という方針が確認されていたことから、非暴力直接行動であるとの評価も浮上した。もっとも、これはベトナム反戦運動のころに起きた、ベトナム戦争反対行動委員会の日特金属工業(米軍や自衛隊に機関銃を供給)への抗議行動(機械などを破壊)になぞらえて評価されたものだと思われるが、ちょっと的外れである。開港阻止闘争では機動隊に火炎瓶を投げつけたし、鉄パイプを機動隊員に打ち下ろしてもいる。だが、内ゲバはしないという組織路線が、革共同両派の内ゲバ戦争に辟易していた人々には、清廉なものに見えたはずである。左派労働運動のご意見番的な存在である長崎造船労組は「いま、君たち(第四インター)は好感をもって労働者たちに受け入れられている」と評したものだ。

当時、第四インターの実働部隊である青年学生共闘は逮捕された200人ほどをふくめて、600ほどか。政治集会で1000人ぐらいではなかっただろうか。当時、中核派が1500人ほど、社青同解放派が600~700、ブント系では戦旗(荒派)が150、戦旗(西田派)が100、ほかに大きなところでは立志社(のちにMPD)が130、第四インターとともに管制塔占拠をになったプロ青同(共労党)は80ほどにすぎなかった。わたしがいたグループといえば、60人もいたのだろうか。三里塚闘争全体では、警察発表で9000人、主催者(反対同盟)発表で20000人と言われていた時代である。いずれにしても、史上初めて学生と労働者が警察に勝ったということで、第四インターはいわゆる人民大衆に期待され、その活動は受け入れられた。まるで60年代の三派全学連(第四インターも三派全学連には参加している)の再来のように、かれらの人気は高まった。

が、思わぬことからその栄光の赤旗(鎌トンカチ)は、地に堕ちることになったのだ。それはレイプという女性差別が、ほかならぬ三里塚現地闘争団の内部に起きていたのである。

◆現地闘争団のレイプ事件

最近、当時の女性活動家から当時のことを聞く機会があった。レイプ事件そのものは、調べてみれば他党派もふくめて芋づる式に露見したという。わたしのいたグループでもレイプこそなかったものの、就寝中に女性の身体を触るなどの行為はあった。その問題については、「女性の政治的決起を抑圧するもの」と指導部から評価が説明されたかと思う。痴漢、あるいわセクハラ行為なのに、左翼はヘンな理屈をこねるものだと思った記憶がある。※第四インターでは、女性が嫌がる性的接触をすべてレイプと規定したという。

最近、わたしが話を訊いた元第四インターの女性も、「レイプ問題も、マルクス主義から説明しなければならない女性指導部に、ちょっと厭きれた」「女性が嫌なことをされたわけだから、そこを具体的に問題にしなければ解決しないのに」と語ってくれたが、そのいっぽうで当時は解放感にあふれた雰囲気で、三里塚の地はすばらしく楽しかったとも言う。若い男女が狭い小屋で寝泊まりしているのだから、問題が起きないほうがおかしいと、わたしは思う。とはいえ、女性が嫌がることをしていたのだから、徹底して指弾されてしかるべきである。かく言うわたしも、最初に街頭デモで密集したとき、女性活動家と身体を密着させることにアソコが驚いたものだ。左翼ってすごい、と思った。

◆フェミニズムの勃興は女性差別から

ともあれ、この事件(複数)によって第四インターは組織的な混乱に陥った。レイプを糾弾する女性グループが形成され、のちに分派して第四インター国際書記局から正統派と認められる(正確には組織としてではなく、このグループのメンバーを国際書記局が受け容れた)。女性差別と言えば、60年代末の全共闘運動のバリケードのなかで、レイプ事件や女性が嫌がる事件は頻発していたという。上野千鶴子は、男子活動家から『共同便所』という言葉が出たのがショックだった、とその当時を語っている(朝日新聞の連載記事)。いわば全共闘運動における女性差別こそ、リブ(フェミニズム)が生まれ出る契機だったのだ。

 
『三里塚闘争50年の集い7・17東京集会報告集』(2017年1月15日三里塚芝山連合空港反対同盟(代表世話人・柳川秀夫)発行/定価500円)※画像をクリックすると模索舎ストアにリンクします。

70年の全学連大会で議長が気軽に女性活動家に書記を依頼したことから、その大会は女性差別糾弾がテーマとなったのはよく知られている。第四インターという組織はおそらく、そういう組織的な矛盾を経ることがなかったのではないか。わたしは学生時代に障がい者介護をやっていたが、その当該(障がい者)が第四インターを批判して、ぼくの部屋を勝手に解放空間にしてしまったと語ったのを知っている。その解放空間とは、彼に言わせれば若い男女の乱れた関係、いや、セックスが解放されてしまった空間だったようだ。

上野千鶴子は「同志である男性活動家に裏切られた」と語っているが、差別の実際こそ男女の関係をつくりかえる契機になるのだろう。しかるに、三里塚闘争の主体である反対同盟農民の家庭において、その女性差別は顕著だった。若い男女の関係ではなく、封建的な家父長制において、嫁たちは苦しんでいたのだ。しかもその嫁たちはリブ運動に目覚め、反権力闘争の中に女性解放の展望を見出そうとしていた、新左翼の支援嫁たちなのである。このテーマについて、本稿ではこれ以上は掘り下げない。じつは支援嫁たちの三里塚闘争として、ある気鋭の女性ライターに書くことを勧めているからだ。乞うご期待! そのエッセンスは、支援嫁のひとりである石井紀子さんの発言で触れられる 。紀子さんによれば、おっかぁ(家父長の妻=婦人行動隊)たちは「共同経営者」であり、農家で妻の立場はけっして弱くはない。彼女たちの賛同を抜きには、家父長といえども何もできないからだ。支援嫁はしかし、ほとんど家内奴隷だった。ようやく共同経営者になろうとしたとき、夫たちは空港との共存に走り、支援嫁たちは立ち尽くすしかなかった。(つづく)

▼横山茂彦(よこやましげひこ)
著述業・雑誌編集者。3月横堀要塞戦元被告。主著に『「買ってはいけない」は買ってはいけない』(夏目書房)、『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、最新刊は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

横山茂彦『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)
『紙の爆弾』6月号 安倍晋三“6月解散”の目論見/「市民革命」への基本戦術/創価学会・公明党がにらむ“安倍後”/ビートたけし独立騒動 すり替えられた“本筋”

超ド級の爆弾炸裂! カウンター大学院生M君リンチ事件本第5弾『真実と暴力の隠蔽』本日発売! 鹿砦社特別取材班

 
M君リンチ事件〈爆弾〉第5弾『真実と暴力の隠蔽』5月28日発売 定価800円(税込。送料サービス)。予約申し込み先は鹿砦社販売部まで sales@rokusaisha.com

日本大学と関西学院大学アメリカンフットボール部の定期戦で発生した、危険なタックルは、すっかり社会問題化して、アメリカンフットボールを知らない人のあいだでも毎日のように「日大のワルさ」が認識されている。ことは重大であるけれども、はっきり申し上げて過剰報道である。この事件の裏で「残業代ゼロ法案」が、5月25日衆議院厚生労働委員会で強行採決された。

事件当事者はともかく、広く国民に関係する重大法案は、それ相応の報道で伝えてもらわないと、いつまでも「日大ひどいね」、「関学って知らなかったけどまともだね」という話に終始してしまう。床屋談義的には、たしかに日大の対応のまずさは、ワイドショーにとってはこれ以上ないネタを次々と提供する。その報道価値観に染まったテレビ番組制作者にとっては、このような傾向になるのは仕方のない側面も否定はできない(それが正しいとは思わないけれども)。

“実行犯”の学生が、自分の過ちを認める記者会見を本人出席で行った。そこでは「監督と会話したことはない」とびっくりするような発言も飛び出した。対照的に日大の内田監督とコーチは、尊大な態度の日大職員が司会をつとめる中、嘘八百を並べ立てた。挙げ句尊大な職員は一方的な記者会見打ち切りを言い渡し、暴言を吐き続ける。

対する関学は記者会見で「鳥内監督はクラブ所属の全選手との面談」を行っていることを明かしたうえ、「日大との定期戦は中止するが、当該選手がアメリカンフットボールを続ける手伝いをする用意がある」とまで踏み込んで語った。一連の事件後の対応と報道で、関学は100億円以上「イメージ向上」広告効果を得、逆に日大は同学相当の「イメージ失墜」を招いたことだろう(この事件について関学対応は真っ当である。が、関学には極めて深刻な問題教員が在籍する)。

結果は異なるが、この事件と「M君リンチ事件」は、加害者側の態度の不誠実性と、対応のまずさという点で、共通項が多々見られる。日大はようやく学長が記者会見で「監督から選手への指示」を認めたが、もう遅すぎる。当の監督が「指示」を否定し、あいまいな発言に終始し、挙げ句の果ては逮捕を悟った政治家のように「入院」してしまった。選手に行わせたプレーもひどいが、対応の酷さも同様である(しかしながら日大とは、元来そのような体質の大学であるという点が明るみになったことは朗報かも知れない)。

日大の行為は、2014年12月16日深夜から翌日にかけて、M君が見舞われたすさまじいリンチ事件と、その後周辺人物の対応のちぐはぐさ、悪質さと比類しうるものである。唯一にして最大の相違点は日大の行為は余すところなく、過剰なほどに報道されているが、「M君リンチ事件」は鹿砦社以外にほとんど報じるメディアがないことである。

仮に現場の様子が録画され報道されていれば、日大の悪質タックル同様(もしくはそれ以上)に加害者は厳しい批判にさらされたことは間違いない。しかし実態はそうなってはいない。なぜか。多くの学者、弁護士、テレビ、新聞関係者たちが寄ってたかって「隠蔽工作」に必死だからである。

取材班は隠蔽に加担する者たちを「偽善者」と断ずる。そして日大の危険タックルを行った選手と異なり、言葉の上だけで「謝罪」もどきを演じ、いまだに反省や加害の責任を認めないうえに、M君との約束を反故に好き放題な発信を続ける実行犯は、人間として最大限の卑劣な心象の持ち主とみなさざるを得ない。

残念ながらそれが事実であり、真実である。日大の問題はマスメディアが大学の体質も含め、膨大に報道しているので多くの人に伝わっているだろう。しかし、M君が半殺しにあった、「しばき隊」、「カウンター」の実情については公正な報道がない。あるのは「しばき隊」、「カウンター」関係者があたかも「差別と闘う人」のように賛美され、本質を誤解した報道ばかりである。

取材班の出発点は、あくまで「M君リンチ事件」の真相解明とM君の救済が目的だった。否定しようのない事実を提示すれば、報道機関も必ずや興味を示すだろうとの読み(今考えればそれは無理な注文だったのだが)もあった。しかしそうは動かない。

仕方がない。『ヘイトと暴力の連鎖』、『人権と暴力の深層』、『反差別と暴力の正体』、『カウンターと暴力の病理』と4発を連射してきたが、取材班はきょう、満を持して『真実と暴力の隠蔽』を世に送り出す。私たちはこの2年余り、相当なひとびとや資料にあたってきた。これまでも驚く証拠や証言に多々ぶつかった。そしてそのすべてを凌駕する「しばき隊」解体の可能性も秘めた、証言をついに手に入れた!!

マスメディアの解剖により、日大の本質が明らかになるのは好ましいことだ。日大には病巣がある。そして「しばき隊」、「カウンター」は日大ほどの歴史を持たないものの、一人の人間の生命を脅かす危険と組織的病理を持った集団である。であるならば、誰かがその本質を解き明かさねばなるまい。美辞麗句で称賛されている彼らの正体に「大本営発表」は言及しない。

ならば鹿砦社が斬るしかあるまい。返り血は覚悟の上だ。

注)関西学院の問題教員については実名を挙げて『真実と暴力の隠蔽』の中で言及している。

(鹿砦社特別取材班)

予約申し込みは、Amazonもしくは鹿砦社販売部sales@rokusaisha.com にお願いします。

カウンター大学院生M君リンチ事件本第5弾『真実と暴力の隠蔽』! いよいよ明日5・28発売! またもや衝撃の〈爆弾〉炸裂必至! 鹿砦社特別取材班

 
M君リンチ事件〈爆弾〉第5弾『真実と暴力の隠蔽』5月28日発売 定価800円(税込。送料サービス)。予約申し込み先は鹿砦社販売部まで sales@rokusaisha.com

いよいよ明日『真実と暴力の隠蔽』が発売になる。そこで本通信を毎日愛読してくださる読者への感謝として、少々取材班の内部事情を明かしてみよう。取材班は鹿砦社代表松岡利康、と鹿砦社社員数名、そこにフリーライター、写真家らで構成されている。そして正式なメンバーではないが、常にネットを監視するサイバー班がかなりの数おり、取材班に「これは」という発信があった時には、即連絡が伝わる態勢ができている。

サイバー班は全国各地の主婦の方がメインで、ネット上だけではなく、「しばき隊」関連のイベントや集会があると、直接出向き参加者の確認をしたり、情報収集を担っていただいている。しかし、イベントや集会の現場でその存在を炙りだろうとしても、絶対にわからない。サイバー班の皆さんは過去に「運動」経験のない人ばかりを集めているからだ。

さらに事案によっては「直撃」を専門に行う部隊が控える。「直撃」業界ではかなり名前の知られた人物もおり、ターゲットによっては出撃する。

通常は松岡を中心に取材班キャップとメンバーが協議し、取材対象を決め動くのだが、取材班には一般には珍しいであろう、〝他のメンバーには相談せず個人の判断で動く自由〟が認められている。ただし、取材に関するリスクは個人責任であり、経費も出ない。この協議によらない取材は「G」(ゲリラ取材の頭文字)と呼ばれており、その成果すべてを活字ではご紹介していないものの、すでにかなりのインタビューや「直撃」の蓄積がある。

通常「G」は経費の関係もあり、電話取材や近隣の関係者への情報収集がメインだが、時に、思いもよらぬ「大物」を釣り上げることがある。実は『真実と暴力の隠蔽』では超ド級の「G」が炸裂することになる。そして「G」を実行したのは、なんと松岡であった。松岡の"老人力〟には参る!

20年ほど前に、「暴露本」の数々で鹿砦社の名は全国に知れ渡っていた。あの頃の「闘争心」に再び火が点いたのであろうか。松岡は取材班が想像もしない手法で、予想を超える人物たちの直撃インタビューの山を獲ってきていたのだ。「なんで黙っていたんですか、社長!」、「ど、どうして会えたんですか、こんな対象に?」問い詰める取材班キャップに松岡は笑顔を浮かべるばかりで、詳細を明らかにしない。そのインタビューに応じた人物と内容があまりに衝撃的であることから、取材班の中でも松岡とキャップだけが「G」を担当し、発売前日になったきょうでも、他のメンバーはその内容を知らない。

広告にも敢えて、登場人物の名前を掲載しなかった。しかし読者諸氏には広告を凝視していただきたい。

予約申し込みは、Amazonもしくは鹿砦社販売部sales@rokusaisha.com にお願いします。

〈9 「カウンター」周辺のキーマンに松岡が直撃!明かされる「しばき隊」の内情〉

地味な文字が目に入るはずだ。そうだ!『真実と暴力の隠蔽』の大炸裂は、この地味なベールの中に眠っている!

取材班内にもいまだ明かされていないその衝撃のヒントを示唆してみよう。かつて鹿砦社社員であった藤井正美が業務中に多数のツイッターを行っていたことが発覚し解雇されたが、藤井は後に「しばき隊」内でかなりの実力者であることが判明した。当時鹿砦社は「M君リンチ事件」を知らず、「しばき隊」に対する知識もほぼ皆無だった。しかし、「しばき隊」の国会前部隊「反原連」に、年額300万円の支援をしながら、一方的に関係を断絶されるという「非礼」を経験していた(偶然にも「反原連」からの「非礼」が公表されたのは藤井正美に解雇を言い渡した前日であった)。藤井正美により鹿砦社内の情報は「しばき隊」に筒抜けになっていたわけである(その証拠の総量はデータにして300ギガに及ぶ)。

ならば、今度は逆を仕掛ければどうだろうか?「暴露本」で世間に「鹿砦社松岡利康」の名を全国に轟かせた(『週刊現代』GW合併号の特集「芸能人本の世界」で採り上げられている)。あの導火線の先に再び着火されれば何が起こるだろうか?藤井正美の逆。つまり松岡は「しばき隊」、「カウンター」内の重要人物に直接会いインタビューを敢行したのである。 それも5人も!(5人の中には現在「しばき隊」、「カウンター」に批判的な方も含まれる)

それだけでも衝撃は大きかったが、重要であるのはそのインタビューで対象者から語られた言葉である。われわれが受けたのは衝撃だが「しばき隊」にとっては「衝撃」どころでは済まないだろう。このインタビュー原稿が発刊前に「しばき隊」の手に渡れば、必ずや何らかのリアクションを鹿砦社は受けていたに違いない。問題の登場人物とは誰だ? 

「犬は喜び庭駆け回り、猫はこたつで丸くなる」

ヒントはこれで充分だろう。

(鹿砦社特別取材班)

M君リンチ事件〈爆弾〉第5弾『真実と暴力の隠蔽』5月28日発売 定価800円(税込。送料サービス)。予約申し込み先は鹿砦社販売部まで sales@rokusaisha.com

5・23 鹿砦社対李信恵訴訟、李被告「反訴」を取り下げ、しかし別訴を提起、さらにはこれを本訴と併合審理を要求するという不可解な動き――姑息な引き延ばし戦術か!? 鹿砦社特別取材班

M君リンチ事件〈爆弾〉第5弾『真実と暴力の隠蔽』5月28日発売 定価800円(税込。送料サービス)。予約申し込み先は鹿砦社販売部まで sales@rokusaisha.com

5月23日、13時15分から、相次ぐ「鹿砦社はクソ」発言などの誹謗中傷で鹿砦社が李信恵被告を訴えた訴訟の第4回口頭弁論が大阪地裁1010号法廷で開かれた。この裁判は李信恵被告が「鹿砦社はクソ」などとの悪辣な発信を多数行い、鹿砦社からの数度にわたる「注意勧告」にもその姿勢が改まることがなく、罵詈雑言や事実無根の言いがかりにより、出版社としての業務にも実際の悪影響が懸念されたためやむなく提訴に至ったのが経緯である。判決をまたずとも提訴以来、李信恵被告の鹿砦社への誹謗中傷や虚偽発信はほぼ止まっているので、提訴自体がすでに一定の抑止効果を上げてはいる。

ところが、第3回期日になり突然李信恵被告側は、「鹿砦社を反訴する」と主張しだし、4月16日付けの「反訴状」が同月25日に鹿砦社の代理人に届いた。本訴では「新たな反論は不要」(5・16上申書)とした。「反訴」とは本訴に関連して民事訴訟の被告が逆に原告を訴える行為だが、李被告は反訴の請求で、これまで鹿砦社が出版したリンチ関連本4冊に記述された李信恵被告(反訴原告)についての記事や本通信での記事が「名誉毀損」にあたるとして損害賠償550万円+弁護費用50万円の支払いと、4冊の「出版物の販売差し止め」と本通信記事の「削除」などを請求してきていた。

こちらは李信恵被告のツイッター上での発信を問題にしているのに、見当違いにも鹿砦社の本業である出版に関わる「反訴」はそれだけでも「筋違い」である。また実質的な「販売差し止め」を求める請求には、鹿砦社だけではなく各方面から「表現の自由の侵害だ」、「自分が文筆業なのに出版停止を求めるのは自己の職業否定に等しい」など疑問や批判が寄せられていた。関西の愛読者の中には「発禁になったらプレミアがつくから楽しみや」と冗談で激励してくださる方もいたが、「冗談」は反訴の内容であって、鹿砦社側は代理人を通じて反訴の不当性を主張する「答弁書」を裁判所に出していた。

そして、なんと23日被告側代理人の神原元弁護士、上瀧浩子弁護士は「反訴を取り下げ、別の訴訟を提起した」と表明した。どういうことなのか?かなり話がややこしくわかりにくいが、どうも鹿砦社の「答弁書」を読んで、「いったんは反訴したけれども裁判所に相手にされそうにないから、自分から取り下げることにした」のが被告側の判断と推察される。あるいは裁判所からのアドバイスがあったのかもしれない。何を考えているのだろうか?最初から元の提訴請求事件内容と無関係な「反訴」であることは、明白であったじゃないか。そのうえ「本日別訴を提起したので、(本件訴訟と)併合して審理されるよう上申します」(取下書)と被告側代理人は裁判所に求めたが、また同じことの繰り返しではないのか。

結局は、裁判長からの指示で、本訴での主張を整理し反論を6月末までに提出することになった。な~んだ、元の木阿弥じゃないか。法律の専門家ではない一般人から見れば、被告側の一連の行動は、ひたすら裁判を長引かせるための苦肉の策なのではないだろうかと推察される。であるならば悪質な引き延ばし戦法であると言わねばならない(これは「論評」である)。次回期日は7月18日であるが、第3回弁論の3月15日から、この間、全く無駄な日々だった。

さて、自身を(元)「狭義のしばき隊」と自認する神原弁護士は、いつも威勢がいいのが売りである。最近では懲戒請求を行った市民を訴える仕事に忙しいようだ。神原弁護士の「しばき隊」としての活動は法廷内にとどまらず、しばき隊中央執行部(仮の名称である)の人間とプライベートでも行動をともにする姿を、頻繁に目にする。そんなしばき隊中央執行部の面々は、そろいもそろって発信する言葉や内容が汚い。「反差別」を嘯きながら、平気で差別用語を発する。

『真実と暴力の隠蔽』ではこれまで取り上げた関係者に加えて、新たに何名か、M君に対して確信的な悪意を発信し続けている人物も取り上げた。当該人物の本名や職業、住所、電話番号(場合によってはさらに詳しい私生活上の秘密も)をすべて取材班は掌握しているが、悪質な書き込み主とはいえ、今のところ「公人」とまでは言えない人びとであるので個人情報を明かすのは極力控えた。本書第6項〈「カウンター」界隈の差別―反人権暴言集〉の一部をここで特別にご紹介しよう。

これは差別ではないが、「安保法制反対」で大騒ぎしていたはずの人物がこっそり発信した本音である。以下羅列するがコメントは控える。

ここでご紹介しているのは、ごく一部に過ぎない。第6項〈「カウンター」界隈の差別―反人権暴言集〉には“李信恵がM君を殴ったことを明記したエル金によるC.R.A.Cメーリングリストへの投稿”、“そのエル金の投稿への野間の返答”"李信恵と竹井信一とのツイッターでのやり取り、"エル金と竹井のツイッターでのやり取り“までを掲載した。これらは事件の悪質さを今さらながら確認できる証拠である。どうして取材班はそのような、いわば「内部資料」を入手できるのか? その回答は読者のご想像にお任せするが、第6項だけを目にされても多くの読者は、またしても驚愕するに違いないだろう。

(鹿砦社特別取材班)

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開港阻止闘争から40年目の成田(三里塚)空港〈8〉三里塚闘争と内ゲバ

わたしが逮捕されたとき、警察の取調べ官は交通課の刑事だった。逮捕者が200名以上もいたので、公安部の捜査員では足りなくなっていたのだろう。交通課の刑事たちにも左翼方面の知識はそれなりにあって、三里塚闘争の歴史にも詳しかった。40代なかばと思われる刑事は「君たちは便利だと思って乗ってるかもしれないけど、新幹線だって騒音の問題があるんだぞ」「政治が悪いから、いろんな問題が起きる」などと、社会問題に敏感なところを感じさせたものだ。

◆内輪揉めしている猶予がなかった三里塚でも、内ゲバは起きた

わたしが18歳のときに学内闘争で逮捕されたときほど、左翼運動にたいする批判めいたことは吹き込まれなかった。わたしが18歳のころは中核派の本多書記長が殺されるなど内ゲバも全盛期で、中央大学の中庭で襲撃された学生が植物状態になりながらも生きている話や、岡山大学の寮生がクルマで轢き殺された事件などを例に、耳もとで「だから学生運動はやめろ!」と説得されたものだ。三里塚では初期の段階で取り調べにきた年輩の刑事が「きみ、闘争に疲れたという顔をしてるなぁ。こうなった以上、しっかり勉強でもするんだな」などと励ましてくれた。開港を延期させた壮挙(?)に、彼らも歴史的な事件にかかわる興奮が感じられた。

とはいえ、交通課の刑事たちは「どうして三里塚では内ゲバが起きないのかな」「そうだなぁ。ああ、でも中核と革マルがいっしょにいるわけじゃないから、起きないんだろ」などと呑気な風情だった。担当検事はわたしの母校のOBだったから、やはり内ゲバの事例を材料に「転向」を迫ったり、「君たちの運動は離合集散が激しすぎる」と、的を得た批判をくれたものだ。三里塚では内ゲバは起きない。反対同盟の運動的な権威と組織的な厳格さがそれを許さなかったというべきか。あるいは日々が戦場である三里塚の地では、内輪揉めしている猶予がなかったというべきかもしれない。

しかしその三里塚でも、内ゲバは起きた。それも小競り合いや殴り合いというレベルではなく、寝込みを襲うという内ゲバ殺人の手法だった。すでに書いた83年の3月8日の反対同盟の分裂ののち、大地共有化運動に反対する中核派が第四インターの活動家を襲ったのである。数名が重傷を負い、1人が片脚を切断する事態に陥った。この行為は社会運動の広範な人々から批判され、のちに分裂した中核派系の人々は誤りであったと認めたが、それは大地共有化運動の否定に根ざすものであるところまで、自己批判が深められるものではなかった。

◆運動に与えた負の影響

内ゲバが運動に与えた負の影響は、ぬぐいがたいほど深刻なものとして、いまもわが国の社会運動に亡霊のような影をやどしている。ブントにおける7.6事件と赤軍派の分派、武装闘争の帰結としての連合赤軍事件、中核派と革マル派、および社青同解放派の内ゲバ戦争。三里塚闘争の大地共有化における内ゲバは、全国の三里塚支援勢力を分断した。あるいは多くの人々を三里塚から足を遠ざけさせた。これらの内ゲバは明確には教訓化されず、今日に至っている。

じっさいに、左翼運動の直接的な影響を受けていない人々においても、たとえばヘイトスピーチにたいするカウンター運動の内部で、同様の事件が起きているのだ。社会運動は非暴力直接行動であっても、激しい肉体的な接触が起きる。したがってそこに、実力で紛争を解決する志向が生じることになる。そして内部暴力が生まれる。

わたしたちの世代が影響をうけたマルクス主義やレーニン主義においては「いっさいの社会的秩序の暴力的転覆」(『共産党宣言』)によってしか、共産主義者の目的(革命)は達せられないとされていた。さらには「プロレタリア国家のブルジョア国家との交替は、暴力革命なしには不可能である」(『国家と革命』)とされてきた。そこから「暴力一般は否定しない」という意識が、ぬき難くあるのは間違いないだろう。

連合赤軍の場合は、高度な暴力である銃撃戦・殲滅戦に耐えられる高度な階級意識、すなわち共産主義化が必要であるとして諸個人の「総括」がもとめられた。この「総括」とは、リンチによる同志殺しであった。反革命を殲滅する「処刑」の思想でもある。マルクスおよびレーニンの暴力論が、そこに根ざしている。そうであれば、マルクスとレーニンによる左翼思想そのものが、内ゲバの根拠なのではないか。

そこまでは了解できるとしても、ヘイトカウンター運動のように、およそ基本的な左翼思想が感じられない運動の内部においても、内ゲバ(リンチ)は発生したのだ。いや、右翼においてもリンチ事件は発生している(統一戦線義勇軍)のだから、そもそも内ゲバは左右の思想圏を超えている。人間の運動体が持っている病理なのであろうか。

◆語りつがれるべきことを語って欲しい

明白な敗北の教訓、あるいは具体的な事実だけがすべてであろう。敗北が明らかであるがゆえに、徹底した総括(同志殺しではなく理論作業)がなされた連合赤軍問題にたいして、革共同両派および解放派の内ゲバ戦争は、かたちのうえでも継続されているかぎり、総括のとば口にすら立てない。100名をこえる死者は深刻であり、そしてその史実は重大である。その中心を担った人々も鬼籍に入らんとする現在、語りつがれるべきことを語って欲しいものだと思う。

たとえば「われわれがカクマルと戦うことで、人民の運動は防衛された」(革共同再建委員会の見解・『革共同政治局の敗北』の記述など)と、内ゲバを正当化する主張がある。これはしかし、未曽有の内ゲバ戦争を美化するものにほかならない。革マル派を「未曾有の反革命」に成長させたのも、ほかならぬ内ゲバ戦争によるものであって、革マル派だけが内ゲバの原因だったという主張は戦争の相互関係、事物の相対性を見ない硬直した思考なのである。革マルを指弾する中核派や社青同解放派が自治会や運動の統制においては、革マル派とまったく同じレベルの独裁制を敷いたのは、つとに知られるところだ。

革命党派・革命家こそ高い倫理性がもとめられると云ったのは、自身が共産党の党内闘争を体験した高橋和巳である。殺人にまでは至らなかったとはいえ、内ゲバによる他党派構成員襲撃とは人間の変革を否定した死刑の肯定にほかならない。そのような革命党派はおそらく、死刑制度を肯定する社会を築くにちがいない。革命運動をふくめた社会運動の所作とは、めざすべき社会をそのまま体現しているのだから。三里塚闘争においても、内ゲバは不可避であったが、やがて条件闘争派、絶対反対派、空港との共存派はそれぞれの道を歩むようになる。(つづく)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
著述業・雑誌編集者。3月横堀要塞戦元被告。

『紙の爆弾』6月号 安倍晋三“6月解散”の目論見/「市民革命」への基本戦術/創価学会・公明党がにらむ“安倍後”/ビートたけし独立騒動 すり替えられた“本筋”

弁護士への大量懲戒請求者たちを「差別主義者」扱いすることに賛同できない

 
「余命三年時事日記」は書籍化もされヒットしているらしい

「余命三年時事日記」というブログの呼びかけにより巻き起こったとされる弁護士大量懲戒請求騒動。懲戒請求を受けた弁護士たちが提訴などによる反撃の意向を次々に表明し、注目を集めている。

報道によると、騒動のきっかけは全国各地の弁護士会が朝鮮学校への補助金の交付を求める声明などを出したことだという。在日朝鮮人に差別的なことで知られる同ブログの運営者は、この声明を「犯罪行為」と受け止めて弁護士たちへの懲戒請求を呼びかけ、これに賛同した人たちが一斉に大量の懲戒請求を実行したという。

そのような経緯のため、大量の懲戒請求を行った者たちのことを「差別主義者」と決めつけ、批判する声が多いが、本当に彼らは「差別主義者」なのだろうか? 私はそんな疑問を抱き、問題のブログを調べてみたのだが、結論から言おう。私は彼らのことを「差別主義者」だとみなす意見に賛同できない。

◆あのブログの信者たちが案の定訴えていた「集団ストーカー被害」

私は今回の騒動をうけ、「余命三年時事日記」というブログに初めてアクセスしてみたが、ブログ上では、運営者のファンとみられる人々の投稿が多数紹介されていた。その内容を検証したところ、「案の定」と思える記述が散見された。それは、「集団ストーカー」被害を訴える記述である。

 
問題のブログ「余命三年時事日記」

集団ストーカーとは、統合失調症の患者が訴えることの多い妄想被害の1つとして知られる。訴える具体的な被害は、「24時間盗撮・盗聴されている」とか「尾行されている」とか「部屋に勝手に入られた」などで、犯人としては在日朝鮮人や在日中国人、創価学会、ユダヤ人、同和地区の人たちなどがよく挙げられる。

また、社会的な注目を集める大事件の犯人が統合失調症に陥っており、集団ストーカー被害を訴えているケースもよくあり、私が過去に取材した中では、当欄でお馴染みのマツダ工場暴走事件の引寺利明や淡路島5人刺殺事件の平野達彦らがそうだった。

では、「余命三年時事日記」には、具体的にどんな集団ストーカー被害関係の記述があったかというと、次の通り(以下、〈〉内は引用。行替えと句読点は読みやすくなるように改めたが、それ以外は原文ママ)。

〈反日勢力から組織的嫌がらせ(集団ストーカー・テクノロジー犯罪)を長年受けている日本人です。一年半前から嫌がらせが激化し、ブログを書くようになりました。その流れで、ネットに接する機会が増えました。ある被害者ブロガーさんの記事で、余命三年時事日記を知りました。余命三年時事日記には、今まで受けてきた嫌がらせや違和感の正体が全て書かれていました。主犯(黒幕)が日本人でなかったことに安堵し、ブログ記事に感動し、初めて希望を持つことができました。感謝の念に堪えません〉

〈初めて書き込みさせてもらいます。日本には反日勢力による組織的な殺人、集団ストーカーというものが存在します。これらの被害に遭うのは保守の人たちが多いようです。それらに対抗しうる余命主導の何かを立ち上げて欲しいです〉

〈集団ストーカーについて読者からの投稿を時折、ブログに載せて頂きましてありがとうございます。多くの日本人に、この犯罪を広く認知されるのが解決への第一歩だと思っています。そうすれば、在日帰化人達が声高に叫ぶ「共生」が絵空事だと、日本人に理解して頂けると考えております〉

〈投稿させてもらいます。余命三年時事日記をネットで知らない人のため、集団ストーカー・創価学会・朝鮮人あたりで検索に引っかかるように出来たら余命さんファンも増えるんでは増えるんでは^^;〉

文脈からすると、このブログのファンたちのうち、集団ストーカー被害を訴えている者たちは在日朝鮮人が集団ストーカーの犯人だと思い込んでいるようだ。彼らは今回、それゆえに大量の懲戒請求に走ったのだ。

◆精神疾患に冒された人たちである可能性を念頭に置いた対応を

この他、投稿者の中には「電磁波攻撃」や「テクノロジー犯罪」の被害を訴える者もいたが、それらも統合失調症の患者がよく訴える妄想被害だ。ということは、このブログの運営者や、大量の懲戒請求を行ったこのブログのファンに対処する際には、彼らが統合失調症を患っている可能性を考慮しないわけにはいかない。

今回の大量懲戒請求騒動に関するSNS上の意見を見ていると、懲戒請求を行った者たちのことを「ネトウヨ」とか「差別主義者」と呼んで批判したり、「頭の弱い人たち」とバカにしたりする人が目立つ。マスコミ報道も総じて、そのような論調だ。

それでは、何の解決にもならないどころか、病識の無い彼らを頑なにさせ、むしろ事態を悪化させかねないのではないかと私は懸念する。彼らが「差別主義者」ではなく、精神疾患に冒された人たちである可能性を念頭に置き、慎重な対応をすべきだ。

▼片岡健(かたおか けん)
1971年生まれ、広島市在住。全国各地で新旧様々な事件を取材している。

「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)

5・23 鹿砦社対李信恵裁判第4回口頭弁論、本訴について被告側は「新たな反論は不要」との「上申書」提出、「反訴」を裁判所がどう扱うかに注目! そして新刊『真実と暴力の隠蔽』にあたっての想い 鹿砦社代表・松岡利康

明日5月23日午後1時15分から、相次ぐ「鹿砦社はクソ」発言で鹿砦社が李信恵を訴えた訴訟の第4回口頭弁論が開かれます(大阪地裁第13民事部1010号法廷)。

ところが、この期日を前に、李信恵被告側は5月16日付けで「上申書」を提出し本訴での「新たな反論は不要」としています。

また、すでにこの通信でも触れていますように、4月16日付けの「反訴状」が同月25日に届きました。「反訴」とは本訴に関連して民事訴訟の被告が逆に原告を訴える行為です。反訴の請求では、これまで鹿砦社が出版したリンチ関連本4冊に記述された李信恵被告(反訴原告)についての記事や本通信での記事が「名誉毀損」にあたるとして損害賠償550万円+弁護費用50万円を支払えということ、4冊の「出版物の販売差し止め」と本通信記事の「削除」などを請求しています。穏当な請求ではありません。

「反訴」の主張は、本訴との直接関連性を欠き不適法なものです。機に乗じて「出版物の販売差し止め」まで請求するとは〝筋違い〟も甚だしいといっても過言ではありません。今回の弁論では、裁判所がこれをどう取り扱うが問題となります。

ところで、「出版物の販売差し止め」は、憲法21条に謳われた「表現の自由」「言論・出版の自由」に触れるもので、高度の違法性がない限り認められるものではないことは、「フリーのジャーナリスト」(反訴状)である李信恵ならば周知のことでしょう。先の4冊の本で万が一「出版物の販売差し止め」が認められるのならば、判例として残ることでしょう。あまりにも軽々に「出版物の販売差し止め」請求などを、「ライター」や「フリーのジャーナリスト」を自認する者がやるべきことではありません。それは自らの職業の否定に他ならないからです。

◆新刊『真実と暴力の隠蔽』を刊行します!

さて、私たちは5月28日にリンチ事件関連本第5弾『真実と暴力の隠蔽――カウンター大学院生リンチ事件の闇を解明する!』を出版いたします。

M君リンチ事件〈爆弾〉第5弾『真実と暴力の隠蔽』5月28日発売 定価800円(税込。送料サービス)。予約申し込み先は鹿砦社販売部まで sales@rokusaisha.com

これまで以上に新たな〈爆弾〉が装填されています。刑事事件にもなりかねない問題画像も満載です。仮にM君あるいは私たちが刑事告訴・告発をすれば、おそらく受理→立件されるでしょう。

実は前著『カウンターと暴力』掲載の被害者M君のリンチ直後の凄惨な写真が一部取次会社で問題になり配本を削減されました。にもかかわらず、それを凌駕する証拠を『真実と暴力の隠蔽――カウンター大学院生リンチ事件の闇を解明する!』には掲載しました。

私たちが取材を進め出版を重ねる過程で、多くの方々から情報が寄せられ弾が尽きることはありません。あまりに情報や資料が多く、今回も〝積み残し〟がありましたが、「弾はまだ残っとるぜよ」(『仁義なき戦い』)といったところでしょうか。

◆『真実と暴力の隠蔽』出版にあたって思うこと

蛇足ながらもう少し言わせてください。私(たち)は偶々このリンチ事件とこの被害者M君と出会いました。もう2年3カ月ほどになります。M君の話を聞いたり証拠資料を読んだりリンチの最中の音声データを聴いたりして、被害者M君救済・支援と真相究明にあたることにしました。それはそうでしょう、藁をもすがる想いで頼って来ている青年が目の前にいたなら見棄ておけるわけがありません。

事件から1年以上が経ち、わずかな人たちに支えられながらも、弁護士にもことごとく断られ続け、M君は孤立感を深めていました。ずっとリンチの悪夢に苦しめられてきたということですが、それはそうでしょう、私がもしM君だったら、精神に耐えられず発狂していたと思います。冗談ではなく――。

マスメディアは一行たりとも報じず、私たちが知ることができるわけがありません。加害者周辺の人たちの隠蔽工作、あるいは沈黙などもありました。なによりも鹿砦社の社員に、「カウンター」の中心メンバーがいながら気づきませんでした。会社の代表として人を見る目がなかったと反省しています。

一番驚いたのは、加害者らが「反差別」運動のリーダー的存在ながら、今回提訴した要因にもなっているように、汚い言葉を平気で吐くことで、いわばカルチャーショックを受けました。現在の「反差別」運動とはこんなものでしょうか。

私は学生時代に一時学生運動の洗礼を受けましたが、卒業後は長年社会運動の現場から離れていました。しかし「3・11」を機に脱(反)原発運動にも関わるようになり、この事件にも遭遇して、現在の社会運動の「現場」を垣間見ることになりましたが、驚くことばかりでした。

特に、このリンチ事件は、広く関係する人たちが対応を誤ると、この国の反差別運動のみならず社会運動総体にとって将来に禍根を残すと思います。そうではないという方は、根拠を持って反論していただきたい。

近刊の『真実と暴力の隠蔽』で、リンチ事件関連本は5冊目となります。シリーズ物でこれだけ出したものはありません。それなりに根性を入れて取材や調査をやりましたので、いくら生来鈍愚な私でも、事件の実態や「カウンター」とか「しばき隊」をいわれる人たちについては詳しくなりました。

私は性善説に立ち「覆水盆に返る」ことをずっと言い続けていましたが、「カウンター」や「しばき隊」の周囲にいた人や、私以上に長らくそれを見てきた人の中には「覆水盆に返らず」と仰る人がいます。いや、この人たちのほうが多いことにも驚きデスぺレートな気分になります。

このリンチ事件、今後どのように転回して行くのか判りませんが、私としては、被害者救済・支援と事件の真相究明をさらに続け、このままでは将来に禍根を残すことを微力ながらでも訴え続けていくしかありません。

予約申し込みは、Amazonか鹿砦社販売部sales@rokusaisha.com にお願いします。

5月28日発売!第5弾『真実と暴力の隠蔽』 ついに被害者M君自身の手記公開!

M君リンチ事件〈爆弾〉第5弾『真実と暴力の隠蔽』5月28日発売 定価800円(税込。送料サービス)。予約申し込み先は鹿砦社販売部まで sales@rokusaisha.com

「しばき隊ってなんなの?」、「M君リンチ事件ってどういう意味?」、「この本読んだけど登場人物が多すぎてわかりくいよ」……。これまで世に出した『暴力の連鎖』、『人権と暴力の深層』、『反差別と暴力の正体』、『カウンターと暴力の病理』には読者から様々な反応が寄せられた。「ひどいリンチ事件のはわかったけど、詳しい部分がわかりにくい」とのご指摘を少なからず頂いたこともたしかである。

そこで『真実と暴力の隠蔽』は、巻頭で「M君」自身の手記を掲載した。M君がどうして反差別運動にかかわることになったのか、その動機や背景から事件を経過して今日M君が考えることを踏み込んで表明している。

M君の手記は、あくまでそれら一連を経験したM君の個人的経験に基づく、今日彼の到達点である。まだ一審判決が下され、控訴審での審議がこれから始まる段階での中間総括だ。そして、M君の見解イコール取材班、鹿砦社の見解ではない。M君はあくまでも集団リンチ事件(今日に至るも「リンチ」ではないなどと論外の主張を繰り返す者がいるようであるが、そのレベルの稚拙な悪あがきを取材班は批判の対象として取り上げない)被害者本人であり、取材班はあくまで事実を追い、真実を浮かび上がらせようとする集団ではあるが「当事者」ではない。当然細かい点での意見の相違は生じる。

M君の手記は、これまで取材班が紹介した記事や関係者取材とは異なり「被害者本人」の声だ。まずは被害者が、いまどのように考えているか、を知っていただくことの意味は小さくないと取材班は考える。

弁護士の集団懲戒が話題になっているようだ。これについては本件と直接の関係はないので重きをおいてコメントをしようとは考えないが、この「騒ぎ」に関わっている、ある人物は『真実と暴力の隠蔽』に登場する。どのような形で登場するのかは本書を手に取ってご確認頂きたい。また、しばき隊のNO.1である人物が、過去ネトウヨとして暗躍した証拠が発覚し、本人は大慌てのようだ。取材班はこの人物が長年「ネット荒らし」に明け暮れていたことは早くから把握していた。これまでも断片的にはそのことに言及したが、『真実と暴力の隠蔽』ではその人物がいかなる考えの持ち主であるのか、何をやってきたのか。動かぬ証拠を提示する。

大阪地裁で下された、世紀の「誤判」=不当判決についても、松岡の論評と、判決分析をお読みいただければわかりやすいだろう(ちなみに「誤判」ではあるがM君は勝訴している)。この比類なく悪質な判決については、各方面の専門家から強い批判や違和感が寄せられている。共通しているのは「80万円払えば人を半殺しにするほどの暴力を振るってもよい」と司法がお墨付きを与えているのではないか、との指摘だ。同判決の問題点は、控訴審での闘いでの重要な争点になることは間違いない。

さらに、これまでの4冊ではご紹介しなかった、悪質極まる人物の発信も取り上げた。読者諸氏は表紙をめくると、まず目をそむけたくなるような憎悪に吐き気を催すかもしれない。これまでたびたびご紹介した事件直後、M君の顔写真だけでも多くの人には衝撃だったに違いないが、今回あえて1頁に掲載した「何物」かは、むしろ実際の写真以上に驚かれる方が多いだろう。

このような事実を並べる取材班の意図はなんなのか。グロテスクさや個人攻撃、面白がりが動機でこのような取材編集活動を行っているのであれば、取材班には何の存在意義もない。冷厳な事実を集め、整理しそれをまな板の上に乗せて、ごく簡単に包丁でさばいて、なるべく素材の味そのままに読者提供し、読者の味覚(判断)で味わっていただきたいと念じている。

そして可能であれば、「M君リンチ事件」には現代日本社会が包含する問題のエッセンスも、同時に隠れた旋律として奏でられていることをお伝えできれば、と希望している。

欺瞞だらけじゃないか!

なにが「差別反対」だ!なにが「難民歓迎」だ!どの口が「戦争法案反対」を声高に叫んでいた!「差別反対」でのし上がって、心にもない「難民歓迎」を掲げている人間が「ネトウヨ」であり差別発信を複数行っている真実。「戦争法案反対」の振りをしたSEALDsなるイベント好きな子供たち(大学生が中心だったらしいが)を集めて、マスコミを利用して自分たちの存在誇示に利用した当人たちが実は「憲法9条改憲派」であった仰天事実。弁護士のくせに「俺は正義だ」などと幼児の喧嘩で交わされるような言葉ばかり平然と吐く問題人物。

安倍自公政権の無茶苦茶ぶりには、呆れ果てモノをいう気もなくなるが、あたかも「反安倍」のようにスタンスをとり、その実安倍と何ら変わらない考えの連中が「リベラル」、「左翼」と勘違いされる今の日本(本当の「リベラル」や「左翼」の方に失礼だ)。

「M君リンチ事件」の真実を取材していると、歪み切った日本全体にCTスキャンかMRIで診察した結果と同様の諸相が浮かび上がってくる。欺瞞だらけなのである。

しかし、ご心配なく。『真実と暴力の隠蔽』ではそのような抽象論を展開はしていない。
取材班は常に最前線で闘っている。誇張ではない。大小含めてメディアの後追い取材が全くない(個人ジャーナリストを除いて)のだから。最前線で闘うためには自動小銃か手榴弾くらいは必要だ。

せっかくだから取材班が装備している武器の一部を次回はご紹介する(もちろん『真実と暴力の隠蔽』の中に記されている)。

アマゾンなどのネット販売ではすでに予約を受け付けている。また鹿砦社直接の予約申し込み先は鹿砦社販売部まで。sales@rokusaisha.com

(鹿砦社特別取材班)

予約申し込みは、Amazonか鹿砦社販売部sales@rokusaisha.com にお願いします。

公安調査庁OB西道弘氏が警告 東京五輪で予算・人員拡大図る公安調査庁の問題

昨年6月15日に成立、7月11日スピード施行された、いわゆる「共謀罪」。現在は野党各党による共謀罪廃止法案が提出されたままで審議入りはしていない。

市民的自由を脅かす憲法違反の法律がいくつもある中で、この共謀罪はその最たるものだろう。犯罪が起きていなくても、「計画した」「準備した」つまり「犯意がある」と人の心の中を捜査機関が判定すれば、日本国内のすべての人を罪に陥れることが可能な法律だから、最もたちの悪い法律である。

元公安調査庁調査官の西道弘氏。2016年にイスラムに改宗した(写真は寺澤有さんのツイッターより)

今後も廃止へ向けて世論を高めることが必要だが、共謀罪の廃止を強く訴える一人が、昨年3月まで公安調査庁の調査官だった西道弘氏(58)である。

各種の団体を監視・調査・情報収集をしていた当事者が共謀罪に警鐘を鳴らしていることに重みがあるのではないか。自身の体験から、公権力による市民の監視に警鐘をならし、最近は講演活動もするようになり、公安調査庁の実態を一般市民に伝え始めている。

政党や政治団体、市民団体、労働団体、学生団体など、体制に批判的なグループや人々を監視し弾圧している公安警察に接することは比較的多い。たとえば、集会やデモが行われるときは、参加者を撮影したり監視する姿がよく見られる。また、活動する人を逮捕するなどしているので関心も高い。

一方、公安調査庁は一般の人にはなじみが薄い。

公安調査庁のルーツは、占領時代に共産党などを撮り締まるための団体等規正令に基づく法務省特別審査局。占領終結と同時に団体等規正令を廃止し、代わりに破壊活動防止法(破防法)に基づいて公安調査庁が設立されたのだ。

主要なターゲットは日本共産党であり、今となっては時代遅れの官庁ともいえる。その公安調査庁は現在、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて「我が国・邦人へのテロ脅威に最大限の注意必要」(国際テロリズム要覧2017)と、テロ対策を口実にして予算と人員の拡大を目論んでいる。
 
なんとか組織温存、拡大のために必死のようすがうかがえるのだ。

◆共産党から国際テロ情報まで

1982年、西道弘氏は大学卒業後に公安調査庁に入庁。使命感を持つ一部の職員は別として、ノンポリ系が多かったという。簡単な彼の経歴を示しておく。

1982年入庁 関東局調査第一部第一課 共産党担当部署に配属(ただしこのときは庶務)
1984年 本庁総務部資料課で公開資料による旧ソ連情報分析
1985年 警察大学校国際捜査研修所でロシア語研修
1986年~1994年 本庁調査第二部第二課。外字関係調査(旧ソ連、中国、外国人労働者問題などのとりまとめ)
1995年~1996年(財)中東経済研究所に派遣
1996年~04年 関東局調査第二部第三課⇒第二部門(国際テロ関連調査)実際は在日ムスリムコミュニティ調査。
04年~09年「国際テロ要覧」、「内外情勢の回顧と展望」など原稿執筆。国際テロ関連情報分析業務
09年~11年 関東局国立駐在官室国内担当(共産党、過激派、特異集団「カルト集団」、右派系グループ「ヘイト集団」など)
11年~16年 関東局調査第二部第二・第五部門在勤(主としてイスラムコミュニティ関連調査)
16年7月 イスラームに改宗。
17年3月 辞職

先日西氏に話を聴いたところ、情報を収集するために各種の団体や催し物に参加、そこで「友達」になり、情報提供者や協力者を獲得する作業をしていたという。

印象的な話は、「カネ」である。協力者には謝礼金を払うが、カネ欲しさに悪質な情報を出してくる者が多い。

また、テロなどの危険はないと報告しても上司のウケは悪く、危機を煽り立てる情報を報告すると受けがよい。それは、危険がなければ組織の存在意義がなくなり、予算や人員の拡大ができないからである。

◆1990年代に転換期

西氏が入庁して間もない1980年代から、与党の中からも公安調査庁不要論が浮上してきた。しかし90年代に入り、必死で生き残りを図ろうとする。

1990年に革共同中核派に対する規制を検討したが、それは頓挫した。1997年7月には、オウム真理教教団に対する規制請求を公安審査委員会に提出したものの、97年1月に棄却されている。

なんとかして自分たちの仕事を作ろうと必死だった。

この90年代には、それまでの共産党調査などでは「売れる情報」が取れないということで、破防法には根拠のない「国内公安動向調査」と称して、反戦・人権擁護などを主張する市民団体などを対象とする監視調査してきた。

それから時が経ち、今や特定秘密保護法、拡大盗聴法、共謀罪が施行されている現在は、公安調査庁が生き残りをかけていた1990年代より、はるかに治安管理が強化されている。西氏が懸念するのは、「テロ防止の美名の下に、市民監視が公然と拡大していくこと」である。

彼自身の経験から現代日本に警鐘を鳴らず講演会があるので紹介したい。
 


《講演会》
イスラムに改宗した元公安調査庁調査官が語る
「共産党監視・旧ソ連関係・国際テロ関連情報分析、そして共謀罪時代の日本」
講師:西道弘氏(元公安調査庁調査官)

日時:5月19日(土)13:30開場、14:00開演、16:45終了
場所:雑司が谷地域文化創造館 第2会議室
東京都豊島区雑司が谷3-1-7 千登世橋教育文化センター内 
※会場に電話しないでください。

交通:「副都心線 雑司が谷駅」2番出口直結 「JR山手線 目白駅」より徒歩10分
資料代:500円 主催:草の実アカデミー
ブログ http://kusanomi.cocolog-nifty.com/blog/ 
E-mail kusanomi@notnet.jp  

▼林 克明(はやし・まさあき)
ジャーナリスト。チェチェン戦争のルポ『カフカスの小さな国』で第3回小学館ノンフィクション賞優秀賞、『ジャーナリストの誕生』で第9回週刊金曜日ルポルタージュ大賞受賞。最近は労働問題、国賠訴訟、新党結成の動きなどを取材している。『秘密保護法 社会はどう変わるのか』(共著、集英社新書)、『ブラック大学早稲田』(同時代社)、『トヨタの闇』(共著、ちくま文庫)、写真集『チェチェン 屈せざる人々』(岩波書店)、『不当逮捕─築地警察交通取締りの罠」(同時代社)ほか。林克明twitter

『紙の爆弾』6月号 安倍晋三“6月解散”の目論見/政権交代を目指す「市民革命」への基本戦術

「カウンター大学院生M君リンチ事件」一審判決に、前田朗東京造形大学教授が怒りの論評! 李信恵を「唾棄すべき低劣さ」と激しく批判!

『救援』2018年5月10日号に、以前も「M君リンチ事件」についての貴重な論考を寄せられた、日本を代表する法学者(専門は刑事人権論)で「のりこえねっと」共同代表の前田朗東京造形大学教授が「反差別運動における暴力(二)」を発表されている。その全文を掲載するので、読者にも是非お読みいただきたい。今回前田教授は、3月19日大阪地裁の李信恵はじめとする対5人裁判の判決について分析し、感想を綴っている。

前田朗東京造形大学教授による「反差別運動における暴力(二)」(『救援』2018年5月10日号より転載)

〈原告勝訴であるが、事実認定においても損害賠償額においても、実質的に「敗訴」に等しい結果となった。〉との書き出しは悪意によるものではなく、取材班も感じた判決の不当性に向けての前田教授の感想である。〈原告・被告の立証内容を把握していないため判決の当否について私見を述べることは容易ではないが〉と前置きしながらも前田教授にはこの判決を放置できない。〈判決文だけを読んでの印象を書き留めておきたい〉衝動が並大抵ではなかったことが文面から伺われる。

ここで前田教授が記しているように、一審判決後、鹿砦社は前田教授に大阪高裁への控訴に向けての「意見書」を書いていただけないか、と打診した。前田教授からは「すでに自分の意見は公にしてあるので『意見書』を書く立場にはないと思います」とのご返答とともに、判決文についての違和感が伝えられていた。

しかし事実や、法の正義に忠実な方にとって、「M君対5人裁判」大阪地裁判決は、「黙してはいられない」ほどに無茶苦茶な内容であることが、前田教授がわざわざ『救援』に紙面を割き、論評を展開されている事実からも理解されるであろう。前田教授は同論文の中でも述べている通り、〈私はCの弁護人から依頼を受けて裁判所に「ヘイトスピーチの被害に関する意見書」を提出した。それだけに、本訴訟の経緯と内容を見ると脱力感に襲われる。〉

取材班は再度前田教授に、この国では少ない真の行動する知識人の姿を見る。〈脱力感〉――まさにそうであろう。取材班は事件加害者やその隠蔽にかかわった者たちに、一縷の人間的尊敬や期待をもう抱いていない(かつては鹿砦社代表松岡利康と鈴木邦男の30年に渡る交流や、取材班田所敏夫と辛淑玉の20年の友人関係もあったが、それぞれ既に「本質的に相容れない」立場を確認し義絶している)。したがって彼らの相も変らぬ狼藉ぶりに、なんら驚くこともないが、「意見書」を書いて支持・応援した人間の素性が「これかい!」と完全に理解した前田教授の心中は、理解できる。

〈損害賠償額がABにそれぞれ80万円(取材班注:これはAB二人で80万円の意味)という。理解しがたい低額になっている(中略)。これで80万円の損害賠償で済むのだから被告らが判決当夜に「祝勝会」を開いたのも頷ける。判決は「暴力のススメ」に堕していないだろうか。〉

取材班も内心、怒号を上げながら糾弾した判決における、賠償金80万円の意味。〈暴力のススメ〉とは言い得て妙である。そしてCこと李信恵やその弁護士への感想が続く。正直取材班も前田教授がこれほどまでに、怒りを露わにした論評を発表するとは意外であった。前述の通り前田教授と、わずかな接点はあるものの、上瀧浩子、辛淑玉、野間易通、中沢けいなどを「ともに反差別と闘う」友人とみなしている(た?)前田教授と取材班は若干の見解の相違は致し方あるまいと考えていた。

しかし、そうではなかった。歴史的と評価してもよい〈誤判〉、不当判決に対する疑問と怒りを前田教授は取材班同様の評価で、共有していたのだ。

そして取材班が、「次はなんなんだ!」との読者の声なき声に五度(たび)応える機が熟してきた。これまで『ヘイトと暴力の連鎖』、『人権と暴力の深層』、『反差別と暴力の正体』、『カウンターと暴力の病理』の4冊を上梓し世に問い、その都度大きなインパクトを与えてきたが、その中間総括・報告というべき『真実と暴力の隠蔽』の発売が決まった! 内容はまだ明かせないが、とりあえず表紙画像のみアップしておく。

鹿砦社M君リンチ事件〈爆弾〉第5弾『真実と暴力の隠蔽』5月下旬発売開始 定価800円(税込。送料サービス)。完成次第発送する予約申し込み先は鹿砦社販売部まで sales@rokusaisha.com

『真実と暴力の隠蔽』には、ま た し て も、関係者であれば、だれもが腰を抜かすであろう〈爆弾〉を装填した。ちなみにその最重要部分につては取材班の中でも一部の人間しか接していない。書店に並ぶまでは取材班の一部しか知り得ない。それほどにセンシティブかつ破壊力のある第5弾は、ある種の人々には絶対に触れてもらいたくない内容だ。これまでで最大の〈爆弾〉となろう。発売は今月末で、まだHPやAmazonなどでもアップされていないが、以下のメールに申し込んでいただければ予約販売が可能で、完成次第発送する。2018年上期、最大衝撃の1冊になるであろうことをお約束する。定価800円(税込。送料サービス)。予約申し込み先は鹿砦社販売部まで。sales@rokusaisha.com

(鹿砦社特別取材班)