新型コロナ騒動とのリンクが凄い韓国映画「新感染」、その続編が今夏公開

感染が拡大する一方の新型コロナウイルスにより、世の中はだんだん殺伐とした雰囲気になってきた。そんな中、この騒動とのリンクのすごさに驚かされる映画がある。2016年に公開された韓国映画で、世界的に大ヒットした『新感染 ファイナル・エクスプレス』だ。

「新感染」公式HPより

◆コロナ騒動同様、感染が疑われる者を非感染者が拒絶

同作は、時速300キロ超で走る釜山行きの高速電車内でゾンビが大量に発生するパニック映画。ゾンビに襲われた客たちが次々にゾンビ化する中、幼い娘と一緒に電車に乗ったファンドマネージャーの男(コン・ユ)らが生き残るために奮闘する姿を描く。

この作品の原題は『釜山行』で、『新感染』は邦題だ。この邦題をつけた人は「新幹線」から着想したのは明らかだが、このダジャレのようなタイトルが「新感染症」とぴたりと重なっている。そこに、まず驚かされてしまう。

そんな映画は作中でもゾンビに襲われ、ゾンビ化することを「感染する」と表現しているのだが、感染が疑われる人間に対する非感染者の接し方も実によく現在のコロナ騒動とリンクしている。それは、主人公たちがゾンビ化した人たちが群れる車両を必死の思いで突破し、非感染者たちが避難している安全な車両に逃げ込もうとした時のことだ。

「こいつらも感染しているかもしれない!」

安全な車両に避難している非感染者がそう言い、主人公たちが入ってこないように車両のドアをロックしてしまうのだ。これは現在、感染の危険がある国や地域からの帰還者や訪問者を拒絶する世間のムードと酷似している。


◎[参考動画]『新感染 ファイナル・エクスプレス』予告編(2017/06/30)

◆夏には、続編が公開されるというが……

思うに、新型コロナウイルスは、人々の身体に与えるダメージの深刻さもさることながら、人々の心を蝕む力こそが驚異的だ。まだ発症していない感染者からの感染例も多く報告されているため、街中で誰を見ても、感染者に見えてしまう。そのため、人間同士で疑心暗鬼が広がっている。

新型コロナウイルスの感染を広めないための行動が求められるのは当然としても、感染した人が病状を心配されることなく感染したことを批判されるとか、感染した著名人やその関係者が謝罪しなければならないとか、この現在の空気は異常である。

とまあ、現在のコロナ騒動と実によくリンクする映画『新感染』だが、なんとこの夏、続編となる作品『半島』が韓国と世界各国で公開されるという。『半島』は、前作の4年後の廃墟となった地で生き残った人々が死闘を繰り広げる物語だそうだが……。

このタイミングで続編が出るというのも凄いが、夏ごろまでに映画館で普通に映画が鑑賞できるほどコロナ騒動が沈静化しているとは思い難い。一体、どうなるのだろうか。


◎[参考動画]『新感染 ファイナル・エクスプレス』続編 映画『Peninsula (原題)』米予告編(2020/04/02)

▼片岡健(かたおか けん)
全国各地で新旧様々な事件を取材している。近著に『平成監獄面会記』(笠倉出版社)。同書のコミカライズ版『マンガ「獄中面会物語」』(同)も発売中。

7日発売!月刊『紙の爆弾』2020年5月号 【特集】「新型コロナ危機」安倍失政から日本を守る 新型コロナによる経済被害は安倍首相が原因の人災である(藤井聡・京都大学大学院教授)他
「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)