野獣シリーズの戦い、則武知宏は辛くも引分け! 堀田春樹

今回のメインイベンター則武知宏はTOMOにヒジ打ちで切り裂く見せ場を作るも引分けに終わる。

◎野獣シリーズvol.3 / 6月17日(土)後楽園ホール17:30~21:02
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

(試合順は中止試合を省いています。戦歴はパンフレットより。この日の結果を含む)

◆第13試合 フライ級5回戦

NKBフライ級3位.則武知宏(テツ/1994.12.5岡山県出身/50.65kg)
19戦8勝(4KO)7敗4分
        VS
NJKFフライ級3位.TOMO(K-CRONY/1982.10.30茨城県出身/50.65kg)
22戦7勝(5KO)12敗3分
引分け0-1
主審:前田仁
副審:加賀見49-49. 鈴木48-49. 高谷49-49

則武知宏は昨年12月24日に、ノンタイトル戦ながら藤原あらしに挑む形で、4ラウンド3ノックダウンによるKO負けを喫しているが、今回のメインイベントはTOMOを迎え撃つ形でしっかり勝利を掴みたいところ、両者は2020年2月8日に3回戦で引分けており、今回は5回戦で決着が付くと思われた。

引分けは惜しいが、一進一退の攻防が続いた則武知宏とTOMOの5回戦

初回はローキック中心の攻防。距離は遠く、単発の蹴りで長丁場を意識した様子見の両者。第2ラウンドには距離が近くなり、蹴りからパンチが激しくなる。

第3ラウンドには則武知宏がTOMOを青コーナーに追い詰め、ヒジ打ちでTOMOの額を切ってややリズムに乗って攻勢に転じるも、TOMOも劣勢を許さず先手打つパンチとローキックもあったが決定打に繋がらず試合終了。攻防の密度は濃かったが、またも引分けに終わった。

TOMOの長身が活きる中、則武知宏の距離を詰めての攻勢も強かった
健闘を称え合いツーショットに収まる両者

◆第12試合 57.0kg契約3回戦

WBCムエタイ日本フェザー級9位.TAKERU(GET OVER/1999.4.20愛知県出身/ 56.55kg)
25戦16勝(8KO)8敗1分
        VS
NJKFバンタム級4位.吏亜夢(ZERO/2004.12.3栃木県出身/56.85kg)
14戦8勝4敗2分
引分け 1-0
主審:高谷秀幸
副審:加賀見30-29. 鈴木29-29. 前田29-29

アンダーカードに比べ、スピーディーで、しなやかさが増した蹴りの攻防。2ラウンドまでは吏亜夢の長身を活かした蹴りと首相撲からヒザ蹴りで主導権奪った展開も、初回からコツコツ蹴って来たTATERUのカーフキックが第3ラウンドには逆転した流れで吏亜夢を苦しめたが時間切れで終了。

KAKERUがカーフキックで吏亜夢を苦しめた
ラストラウンド、吏亜夢の左ストレートがヒット

◆第11試合 ライト級3回戦

KEIGO(BIG MOOSE/1984.4.10千葉県出身/60.75kg)21戦7勝9敗5分
      VS
蘭賀大介(ケーアクティブ/1995.2.9岩手県出身/61.1kg)7戦5勝(3KO)1敗1NC
勝者:蘭賀大介 / 判定0-3
主審:加賀見淳
副審:前田27-30. 鈴木27-30. 高谷27-30

初回、互角の攻防から徐々に首相撲からヒザ蹴りの連打と圧力で第3ラウンドにはKEIGOを体力消耗でヘロヘロにしたところで右ストレートからパンチ連打でロープダウンを奪った蘭賀大介。更にパンチで追って大差判定勝利。

グロッギー状態のKEIGOを追い詰める蘭賀大介
蘭賀大介の連打を受けてロープダウンを喫するKEIGO

◆第10試合 59.5kg契約3回戦

半澤信也(Team arco iris/1981.4.28長野県出身/59.35kg)27戦9勝(4KO)14敗4分
       VS
NIIZMAX(クロスポイント吉祥寺/1980.9.20東京都出身/59.0kg)32戦15勝15敗2分
引分け 三者三様
主審:鈴木義和
副審:前田30-29. 高谷30-30. 加賀見29-30

スロー気味にフェイント入れる蹴りで、やや変則的なNIIZMAX。半澤信也も攻め難そうな中、互いのヒットも単発で噛み合わない攻防の末の引分け。

決定打の無い展開からラスト1秒でNIIZMAXが後ろ蹴りを見せる

◆第9試合 60.0kg契約3回戦

田中大翔(不死鳥道場/2002.7.4新潟県出身/59.0kg)7戦6勝(4KO)1敗
        VS
山本太一(ケーアクティブ/1995.12.28千葉県出身/60.0kg)13戦5勝(4KO)5敗3分
勝者:田中大翔 / TKO 2R 1:21 /
主審:前田仁

序盤は山本太一の先手パンチが有効だったが、田中大翔の左ストレートで山本がバランスを崩したような転び方。スリップ扱いだったが、このパンチが効いていたか、流れは田中に傾き、第2ラウンドにも左ストレートで山本を倒し、立って来るがカウントほぼ8辺りでレフェリーストップ。

田中大翔の左ストレートを喰らってスリップダウンする山本太一、これは効いていたか

◆第8試合 55.0kg契約3回戦

ベンツ飯田(TEAM Aimhigh/1997.4.17群馬県出身/54.7kg)14戦3勝(1KO)9敗2分
       VS
蒔田亮(TOKYO KICK WORKS/2002.6.23千葉県出身/54.9kg)3戦3勝
勝者:蒔田亮 / 判定0-3
主審:加賀見淳
副審:高谷27-29. 鈴木28-29. 前田28-29

ダブルノックダウン寸前のパンチ交錯の後、蒔田亮がパンチでノックダウンを奪って攻勢を維持して判定勝利。

ダブルノックダウン寸前から蒔田亮が攻勢に転じてここでノックダウンを奪う

◆第7試合 57.5kg契約3回戦

村上祐馬(不死鳥道場/1994.6.23長野県出身/57.25kg)3戦2勝(2KO)1分
       VS
堀井幸輝(ケーアクティブ/1996.11.7福岡県出身/57.3kg)3戦2勝1分
引分け 0-1
主審:鈴木義和
副審:高谷29-29. 前田29-29. 加賀見29-30

下がり気味の堀井幸輝だったが、クリーンヒットが優って互角の展開に収まり引分け。

◆第6試合 ライト級3回戦

マングース松崎(NEXT LEVEL渋谷/2003.3.7沖縄県出身/60.15kg)3戦1勝1敗1分
        VS
辻健太郎(TOKYO KICK WORKS/1984.3.13東京都出身/61.2kg)3戦1勝2分
引分け 三者三様
主審:高谷秀幸
副審:加賀見30-29. 前田30-30. 鈴木29-30

◆第5試合 54.5kg契約3回戦

安河内秀哉(RIKIX/2003.10.7東京都出身/54.4kg)5戦3勝(2KO)2敗
      VS
煌(KANALOA/2004.12.18岐阜県出身/54.45kg)1戦1敗
勝者:安河内秀哉 / 判定3-0
主審:鈴木義和
副審:加賀見30-28. 前田30-28. 高谷30-28

安河内秀哉がカーフキックで煌を苦しめ主導権奪って第2ラウンドと3ラウンドを抑えて判定勝利(10-9)。

◆第4試合 バンタム級3回戦

幸太(八王子FSG/1998.3.19山形県出身/53.3kg)5戦1勝4敗
      VS
香村一吹(渡邉/2007.7.22東京都出身/53.4kg)2戦2勝
勝者:香村一吹 / 判定0-3 (27-30. 27-30. 27-30)

香村一吹は前進気味に幸太をロープ際に追うが蹴りが少ない。それでも接近戦でパンチ連打でスタンディングダウンを奪って大差判定勝利。

◆第3試合 60.0kg契約3回戦

木村郁人(BIG MOOSE/2000.12.27千葉県出身/59.65kg)5戦1勝4敗
      VS
利根川仁(Realiser STUDIO/2003.1.24東京都出身/59.6kg)1戦1勝
勝者:利根川仁 / 判定0-3 (26-30. 26-30. 26-30)

第2ラウンドに利根川仁がヒザ蹴り連打でスタンディングダウンを奪って攻勢を維持して大差判定勝利。

◆第2試合 女子53.0kg契約3回戦(2分制)

KARIN(HEAT/2007.2.15静岡県出身/51.9kg)2戦1勝1敗
     VS
RUI・JANJIRA(JANJIRA/2000.11.5東京都出身/52.7kg)1戦1敗
勝者:KARIN / 判定2-0 (29-28. 30-30. 29-28)

KARINが前蹴りの素早さで主導権奪って攻勢維持。RUIも細かくパンチを打って出る踏ん張りを見せた。

◆第1試合 ウェルター級3回戦

健吾(BIG MOOSE/1993.10.10千葉県出身/66.3kg)2戦1勝1敗
      VS
後藤啓太(拳心館/1997.8.29新潟県出身/66.6kg)2戦2勝(1KO)
勝者:後藤啓太 / 判定0-3 (28-30. 28-30. 29-30)

◆フェザー級3回戦 真生の体調不良により欠場により中止
真生(神武館)vs増田康介(Realiser STUDIO/ 56.75kg)

《取材戦記》

前回興行までは藤原あらしや片島聡志が特別出場していた感じの賑やかさも、今回は特別参加は無く、やや物足りなさを感じる興行でした。更に13試合中5試合が引分け。それがセミファイナルとメインイベントが含まれていては消化不良の印象は拭えないでしょう。

第12試合で、蘭賀大介の連打を受けてKEIGOがロープダウンを喫しました。ロープが無ければ倒れていたと考えられる状態を言います。今回はスタンディングダウンと言っても問題無い範疇でしょう。スタンディングダウンは立ったまま打たれ続けては危ない為、“ノックダウン同様扱い”となりますが、プロボクシングではスタンディングダウンが無い為、このまま試合ストップされます。これには賛否両論あるようですが、スタンディングダウンは有った方がいいと思います。

日本キックボクシング連盟興行は8月5日(土)に拳心館主催興行、野獣シリーズvol.4が新潟県万代島大かま多目的ホールにて開催。メインイベントは「棚橋賢二郎(拳心館)vsガン・エスジム(タイ)。

8月6日(日)には大阪府豊中市の176BOXに於いて、「Z-V Carnival」が朝11時より開催。メインイベントは高橋聖人(TRIANGLE)vsどん冷え貴哉(Maynish)。夕方興行では「ガルーダフェスvol.4」が15時30分より開催。メインイベントは高橋一眞引退試合、高橋一眞(TRIANGLE)vs駿(Reborn)。

いずれも野獣シリーズvol.5となるようです。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

月刊『紙の爆弾』2023年7月号