堀田春樹
エース格の木下竜輔は欠場。トリのジョニー・オリベイラは引分けに終わる。
他、期待の新人戦とNJKF発祥の女子ミネルヴァ、アマチュア登竜門。
多彩だったが、観衆少ない寂しい興行だった。
◎MAGNUM.62 / 7月27日(日)後楽園ホール17:15~20:47
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会
前日計量は26日14時より伊原ジムにて行われ、出場者全員が1回でパス。
◆第16試合 ライト級3回戦
ジョニー・オリベイラ(トーエル/ブラジル出身47歳/ 61.05kg)66戦16勝(1KO)31敗19分
VS
NJKFライト級2位.岩橋伸太郎(エス/神奈川県出身38歳/ 60.85kg)27戦9勝14敗4分
引分け 三者三様
主審:少白竜
副審:椎名30-28. 宮沢28-30. 勝本29-29
ジョニー・オリベイラは3月2日に木下竜輔にKO負け。日本スーパーフェザー級王座陥落して以来の、ライト級に戻しての初戦。
岩橋伸太郎は4月20日にTAKUYA(K-CRONY)にノックダウンを奪って判定勝利して以来の試合。

蹴りとパンチの攻防は、アグレッシブに攻める闘志は衰えない両者だが、打ち合いをしぶとく凌ぎ、どちらが優勢かという見極めは難しい展開。

第3ラウンド半ばになると縺れ合い、組み付くパターンが多くなる消化不良の展開の末、セミファイナルに続き、ジャッジも見解が分かれる引分けとなった。

◆第15試合 女子ミネルヴァ・ペーパー級3回戦(2分制)
ペーパー級2位.AIKO(AX/埼玉県出身38歳/ 42.7kg)20戦9勝10敗1分
VS
同級3位.Uver∞miyU(T-KIX/静岡県出身25歳/ 42.9kg)19戦6勝12敗1分
勝者:Uver∞miyU / 判定1-2
主審:中山宏美
副審:少白竜29-30. 宮沢29-30. 勝本30-27
初回、両者は蹴りの牽制。接近すれば首相撲になる展開。どちらもアグレッシブに攻めるも的確なヒットは無い。採点も分かれる見極めの難しい採点となった。

◆第14試合 スーパーフェザー級3回戦
山本龍平(拳粋会宮越道場/埼玉県出身19歳/ 58.45kg)4戦2勝(1KO)2敗
VS
翔吾(DANGER/茨城県出身28歳/ 58.7kg)4戦1勝2敗1NC
勝者:山本龍平 / KO 1ラウンド 1分41秒 /
主審:勝本剛司
パンチと蹴りのアグレッシブな攻防は山本龍平のクリーンヒットが優っていき、飛びヒザ蹴りも繰り出した。更に山本龍平の左ハイキックと翔吾の左ストレート相打ちも山本龍平のハイキックが優ってノックダウンを奪った。
立ち上がったところも左ストレートから左ハイキックで2度目のノックダウンを奪い、飛びヒザ蹴りを出したところでダメージを見たレフェリーが試合をストップ、3ノックダウンとなる展開で山本龍平がKO勝利した。

◆第13試合 62.0kg契約3回戦
平田康輔(平田/広島県出身18歳/ 60.2kg)3戦2勝1敗
VS
光基(DANGER/茨城県出身23歳/ 61.6kg)2戦1勝1敗
勝者:平田康輔 / 判定3-0 (30-29. 30-29. 29-27)
パンチとローキック中心の攻防が続く中、第2ラウンド、偶然のバッティングで光基が右頬骨をカット。攻勢を掛けた平田康輔がやや攻勢を維持。ジャッジ三者が揃ったのは第2ラウンドだけで、大きな展開は無いまま終了。

◆第12試合 フライ級3回戦
トマト・バーテックス(VERTEX/徳島県出身24歳/ 50.3kg)6戦4敗2分
VS
RIKIYA T-KIX(T-KIX/静岡県出身28歳/ 50.65kg)1戦1分
引分け 0-0 (29-29. 29-29. 29-29)
主導権を奪いに行く攻防はRIYIKAがやや攻勢も、徐々にトマト・バーテックスが巻き返した流れも決め手に欠ける展開で、引分けに終わった。ここから勝ち上がらないとランキングには入れない試練は続く。

◆第11試合 ヘビー級2回戦
翁長リバウンドマン将健(真樹ジム糸満/沖縄県出身21歳/ 96.25kg)9戦4勝4敗1NC
VS
直也(横須賀太賀/神奈川県出身28歳/ 119.3kg)2戦2敗
勝者:翁長リバウンドマン将健 / TKO 2ラウンド 1分29秒 /
接近戦のパンチ中心から巨漢で圧力掛ける直也に、翁長将健がフェイント掛けながら直也と距離を取り、第2ラウンドにはヒジかパンチか、直也の左瞼をカットもそのまま続行。更にパンチ連打でノックダウンを奪うと、カウント中にレフェリーストップとなった。

◆第10試合 ウェルター級2回戦
大智(横須賀太賀/神奈川県出身24歳/ 64.45kg)1戦1敗
VS
琉聖(平田/広島県出身18歳/ 65.4kg)1戦1勝(1KO)
勝者:琉聖 / TKO 2ラウンド 1分9秒 /
ガード無防備な大智に琉聖が攻勢を掛け、大智も躱しては向かっていく勢いはあるが、琉聖のパンチを受けると背を向けてしまう為、スタンディングダウンを奪われてしまう。なおも攻勢を掛ける琉聖で、初回は10-7を付けるジャッジも居たほど。
第2ラウンドも琉聖が圧倒し、右ストレートでスタンディングダウンを奪い、更にパンチ連打で、戦意乏しい大智は試合を止められてしまった。

◆第9試合 女子ミネルヴァ・スーパーフライ級3回戦(2分制)
シンティア・モルティージョ(イタリア出身23歳/ 54.95kg)7戦4勝3敗
VS
SHIORIN(GRATINESS/愛知県出身28歳/ 54.55kg)9戦6勝1敗2分
勝者:SHIORIN / 判定0-3
主審:中山宏美
副審:椎名26-30. 宮沢26-30. 勝本26-30
初回に右ストレートでノックダウン奪ったSHIORIN。その後も右ストレートヒットを見せ、前蹴りやボディブローも効果的にヒット。シンティアも蹴りとパンチで攻め返す頑張りを見せたが、SHIORINが終始優った攻勢で大差判定勝利。

◆第8試合 女子ミネルヴァ・スーパーフライ級3回戦(2分制)
紗耶香(格闘技スタジオBLOOM/静岡県出身/ 52.1kg)19戦7勝(1KO)11敗1分
VS
森田実幸(K-LIFE/鹿児島県出身20歳/ 51.55kg)3戦1勝1敗1分
勝者:紗耶香 / 判定3-0
主審:少白竜
副審:勝本30-28. 宮沢30-28. 中山30-27
紗耶香が首相撲に持ち込んでのヒザ蹴りで主導権を奪った展開。離れても蹴りで優った紗耶香。森田実幸は自分の距離に持ち込めないまま終了。
◆第7試合 女子ミネルヴァ・スーパーフライ級3回戦(2分制)
松藤麻衣(クロスポイント吉祥寺/長野県出身39歳/ 51.65kg)8戦3勝5敗
VS
MIKU(K-CRONY/茨城県出身32歳/ 51.85kg)8戦3勝4敗1分
勝者:MIKU / 判定0-3 (28-30. 28-30. 28-30)
MIKUの先手の攻撃力が優っていく。前蹴りも松藤麻衣の前進を効果的に止めた。松藤麻衣も圧されながら蹴り返す力はあり、ジャッジ三者が揃うラウンドは無かったが、MIKUが攻勢を維持して判定勝利。
◆第6試合 女子ミネルヴァ 54.0kg契約3回戦(2分制)
MIO LaReyna(TEAM REY DE REYES/千葉県出身/18歳/ 54.0kg)8戦1勝6敗1分
VS
ゼイナ・クランティッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ出身36歳/ 53.35kg)2戦1勝1分
勝者:ゼイナ・クランティッチ / 判定0-3 (28-29. 28-30. 28-29)
5月11日に引分けた試合の再戦。パンチでも蹴りでも我武者羅な攻防の中、ゼイナのパンチヒットが優った。首相撲ではヒザ蹴りの攻防、崩し転ばす技もゼイナが優り、攻勢を印象付け判定勝利。
◆第5試合よりプロ 女子ミネルヴァ・アトム級3回戦(2分制)
鈴木萌(クロスポイント吉祥寺/東京都出身21歳/ 45.65kg)3戦2勝1分
VS
夢結華(=山本夢結華/猛者連八幡支部/京都府出身18歳/ 45.0kg)2戦1勝1敗
勝者:鈴木萌 / 判定3-0 (30-28. 30-28. 30-28)
積極的な両者、蹴られても蹴り返し、打ち合いも怯まない中、中盤から的確差でやや優っていった鈴木萌が判定勝利。
◆第4試合 アマチュア女子 42.0kg契約2回戦(2分制)
瀬川柚子心(小野道場/14歳/ 39.75kg)vs西田永愛(伊原越谷/14歳/ 41.7kg)
勝者:瀬川柚子心 / 判定2-1 (19-20. 20-19. 20-19)
◆第3試合 アマチュア 52.0kg契約2回戦(2分制)
三浦龍之介(伊原越谷/14歳/ 51.7kg)vs渡部翔太(KING/14歳/ 50.05kg)
勝者:渡部翔太 / 判定0-3 (18-20. 19-20. 19-20)
◆第2試合 アマチュア 女子 51.0kg契約2回戦(2分制)
三橋暖愛(士道館ひばりが丘/12歳/ 49.55kg)vs武井梨子(RE-SPAWN/16歳/ 50.2kg)
勝者:武井梨子 / 判定0-3 (19-20. 18-20. 19-20)
◆第1試合 アマチュア 35.0kg契約2回戦(2分制)
渋谷剛(伊原越谷/12歳/ 34.3kg)vs小屋松晴空(BURNING/11歳/ 34.3kg)
引分け 0-1 (19-20. 19-19. 19-19)
※プロ新人戦 フライ級2回戦 中止
手塚瑠唯(VERTEX/19歳/ 50.7 kg)vs渡邊匠成(伊原/19歳)
渡邊の負傷欠場により中止。手塚は計量パスにより勝者扱いとなる模様。
《取材戦記》
当初、メインイベント出場予定の木下竜輔(伊原)は体調不良による欠場。代打となったNJKFの山浦俊一(新興ムエタイ)は本業の勤務中の事故で欠場。対戦予定だった選手は、在日の元・ラジャダムナン系フェザー級5位、ガン・エスジムで、中止に大きな影響は無いが、本来のメインイベントが消えた興行となった。
“セミファイナル格”の女子ミネルヴァ、AIKOvs Uver∞miyUは女子の最軽量級だけに一発で倒す強打も無く終わったが、両者の必死で向かう形相は、勝ちに行く姿勢が見られた好戦だった。
“メインイベント格”のジョニー・オリベイラvs岩橋伸太郎戦は決定打が少ない展開からラストラウンド、組み付く消極的攻防が増えると、レフェリーから「プロだろ打ち合え!」と檄を飛ばされた、もどかしい展開は役不足が顕著に表れた最終試合となった。
今回はスターの居ないかなり寂しい興行だった。フリー選手の起用やNJKFとの連立政権とは語弊があるが、DUELに近いカードで梃入れした興行が続いています。
そして10月26日興行TITANS NEOS.37へ向けて、ジョニー・オリベイラは試合への意欲旺盛で、連続出場の可能性高いだろう。エース格・木下竜輔は絶対必要。次の欠場は許されない。更にはまだまだ活かせる人材や、新しい興行の戦略をもって再び隆盛への道を歩んで欲しい老舗を継承する新日本キックボクシング協会である。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」