4月25日(土)14時より大阪・大国町にて菅野みずえ×飛田晋秀講演会「原子力災害 終わりの見えない3・11」にお集りを!

尾﨑美代子

4・25「原子力災害 終わりの見えない3・11」まで、あと5日となりました。

講演会に向け、個人的な思いを書いてみました。ちょっと陰謀論っぽい題名ですが、まじめに考えたことです。題して「闘いは新たなフェーズに入った」と「大国町から国際原子力マフィアとの闘いに挑む」──。ちょっと長いが、是非、ご一読を!

◆闘いは新たなフェーズに入った

福島第一原発事故から15年経った。3・11は、原発に関心のなかった人たちも、原発の危険性を知り、反原発の声をあげるきっかけとなった。原発は、このうえなく危険なうえに、安くないこともわかってきた。政府の言ってきたことは全て嘘だとわかった。

そして事故から、10年目経った2021年、私は編集で関わる反原発誌「季節」(鹿砦社)で、井戸謙一弁護士にインタビューしていた。

── 3・11から10年、今後反原発運動はどのように展開していく必要があるでしょうか?

井戸 原発のほうは、もうコストが高いとうことも隠せず認めなくてはならなくなっています。未だに2030年に23%を維持しているが、もう建て替えや新設は言えないし、先細るのは明らかで、もう終焉が近づいていると思います。問題は被ばくのほうです。ICRPが言っていたことを遥かに超えて、高い被ばくを福島の人たちなどに強いているので、汚染水にしろ、汚染土を全国にばらまく問題にしろ、全く今までどこもやったことのないことをどんどんやろうとしている。そこにどういう力が働いているかはなかなか外からは見えないのでわかりませんが、世界の原子力マフィアの先頭を日本が行っているのは間違いないです。(2021年「季節」春号より)

しかし、その後、日本は再び「原発回帰」へ大きく舵を切ることとなった。きっかけは、2023年、岸田政権が打ち出した「GX法」だ。名前からして一見原発推進とは関係ないように思われる「GX法」、産業革命以来の化石燃料中心の経済、社会、産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させ、経済社会システム全体を変革すべく、エネルギーの安定供給・経済成長・二酸化炭素排出削減の同時実現を目指す「GX(グリーン・トランスフォーメーション)」を推進するとしている。 

なんだか、いいことが一気に進む……みたいに見える。グリーンもそうだし、CO2( 二酸化炭素)排出削減は、世界中で喫緊の課題になっている「気候変動」問題と相まってとても重要な問題だ。「2050年カーボンニュートラル」(地球温暖化の原因になっている『CO2などの温室効果ガスの排出量』を『全体としてゼロ』にすること)にむけて、「国際的にみて日本は遅れているよね。もっと頑張るべきね」……とか。

とくに「CO2排出削減」と言われると「そうだ!そうだ!」と言いたくなるが、原発推進で本当にそうなるの? 今年の『季節』春号で再び井戸弁護士にインタビューした。

── 岸田政権が打ち出した「GX法」は、CO2排出削減のためとか、AIの需要が増えるから原発が必要としてますが、立法事実になってないと思うのです。井戸弁護士も(樋口英明元裁判長との)対談でCO2排出削減は嘘と話されてますし、末田さん(反げんぱつしんぶん編集長)も、AIの需要が増えても電力は足りていると説明されてます。

井戸 原発がCO2を排出しないのは運転中だけで燃料となるウランの採掘、運搬、原発建設、廃炉や使用済み核燃料の保管・処理に至るまで、大量のCO2を排出している。また原発を運転すると排出される冷却水が海水温度を高めるため海水中のCO2が大気中にでていく。どこがCO2排出削減かという話です。政府サイドは「原発を動かさないとAIの需要が増えて電力が足りない」という事実を根拠にしています。これ自体怪しい話で、大げさに言われていますが、AIの話が急にでてきたことは、政府にとっては恰好のタイミングだったと思いますよ。

『季節』2026年春号[表紙]福島県双葉町役場の野外時計。大地震が起きた直後の14時47分で止まったままの時針分針(飛田晋秀2016年7月22日撮影)※『季節』は当日会場でも販売します。

ほら、やっぱりね。政府の言うことは一事が万事、うそだらけ。騙されてはいけない。というか、政府は実に巧妙に原発回帰を進めている。汚染水は「処理水」、汚染土は「福土」だって。

だから、反対する側も変わっていかないといけない。そう、菅野みずえさんがどっと吐いてくれた「毒」のように、これまでのように「原発事故を忘れない」「FUKUSHIMAを忘れない」「原発バイバイ」だけでは闘えない。みずえさんのいうように、まさに「隣の家が燃えて鎮火もしていないのに、忘れないって 言ってるようなものだって気づかない」

そして「だって悪気ないつもり 善意のつもりの便利な言葉 忘れないは終わったこと 死んでしまった人に 別れていなくなった人に使う言葉と 私は思ってきた 哀しいなぁ」

そしてそして「毎日が反原発の日みたいに、肩の力を抜いて自分たちの暮らしを守るために どう生きるかって考えたい 3月だけ思い出さないで 毎日お天気考えるみたいに 『原発いらないよね』って考えるようになったら、世の中変わるかもしれない」

『季節』2026年春号[グラビア]わたしはこれから毒を吐く(文◎菅野みずえ/写真◎飛田晋秀)
『季節』2026年春号[グラビア]わたしはこれから毒を吐く(文◎菅野みずえ/写真◎飛田晋秀)

◆大国町から国際原子力マフィアとの闘いに挑む

大げさのようだが、私は3・11からずっと気になっていることから考えたのだ。3・11以降、全国的に盛り上がった反原発運動の中心になった「首都圏反原発連合」は、なぜ反原発、再稼働反対は掲げたが、被ばく問題をいわなかったか?もちろん現場に集まった人たちのなかには被ばく問題に関心をもっている人もいた。しかし「反原連」のコアなメンバーはちょっと違っていた。福島の木田節子さんが、妊娠した自分の娘が、その後「けいりゅう流産」で中絶、周辺の妊婦さんにも同じ症状で中絶した人が多かったと、それを反原連の集会で話したら、「デリケートな問題だからやめて」と言われた。実際、反原連のレッドウルフ・ミサオさんの超長いロングインタビューで、彼女は反原発は主張していたが、被ばくの「ひ」の字が一回もでてこなかった。被ばくをひとことも口にしないで反原発を語るとは、それはそれで凄い芸当だと思うが。あげく反原連は、事故から10年目に、カンパが集まりにくくなったとの「財政的理由」などで活動を休止した。えっ反原発運動って、カンパが集まらないとやれないの?私は心底たまげた。

しかし、問題はそこではない。311以降あれだけ盛り上がり、10年目で休止となった反原発運動とは何だったの?被ばく問題はなぜおきざり、タブーにされたのか?

そして2021年「季節」夏号のインタビューで井戸弁護士が国際原子力マフィアについて、こう語っていた。

── 今後ますます反被ばくの闘い、意義を広めていかなくてはなりませんね。

井戸 そうしなければいけません。国際的な原子力マフィアは、チェルノブイリの事故では、住民を避難させ過ぎたという反省から、次に原発事故が起こった場合は、住民を可能な限り避難させず、事故の影響を小さく見せたいと準備していた。そこに福島の事故が起き、福島ではそのことに成功している。このままでは、この「成功体験」が今後世界で原発事故が起きた場合のモデルケースにされてしまいます。日本に住む私たちは、世界の人に責任があるのです。

「国際的な原子力マフィアは、チェルノブイリの事故では、住民を避難させ過ぎたという反省から、次に原発事故が起こった場合は、住民を可能な限り避難させず、事故の影響を小さく見せたいと準備していた。そこに福島の事故が起き、福島ではそのことに成功している。」

ここ、私はずっと気になっていたこと。福島県三春町のお寺の僧侶で、作家でもある玄侑宗久さんが、事故直後の村の様子を認めていた日記を、何かの雑誌に掲載していた。事故直後、テレビ番組ではお笑い番組が多かったとあった。あと、現在関西の反原発運動、裁判闘争の中心的人物である森松明希子さんは、5月の連休に関西の実家に来た際、テレビで原発問題やっていることに驚いたと。つまり福島内ではこのような番組は見れなかったということ。これには、御用学者であれ、連日テレビに出演し、放射性物質だの、半減期だの、アルファ線、ガンマ線だのしゃべっていた関西の報道とはまるで違っていたのだった。関西のテレビでは、朝なんか、売れない吉本芸人が「でも身体によい放射能もあるよね。ラジウム温泉とかラドン温泉とかさ」とにこやかに話していたのを覚えている。いずれにしても放射能はじめ原発関連のことは日常茶飯事に話していたのに。

あと当時私が気になっていたのはもう一つ。確か事故から1年目の2012年正月の福島民友か福島民報どちらかの社説に「今後、福島で集められたデータは世界中の科学者が喉から手がでるほど欲しくなるにちがいない」と書いていたこと。数年後思い出し検索したがわからなかった。同じことを「福島市も郡山市もとてもじゃないが避難させられん。将来奴ら(福島市、郡山市の人たち)は集団訴訟とかするんやろな」とのたまった上昌広(医療ガバナンス研究所理事長)は、「浜通りの被ばくデータは世界が喉から手がでるほど貴重なものとなる。これらを蓄積して世界に発信する。この地域を廃墟にするも聖地にするもやり方しだい」とものたまった。この時点で、国際的な何かが動いている、と私は考えた。当然といえば当然。広島に原爆が落とされたあと、アメリカのABCCも被爆者のデータだけは欲しがったが、治療はしてくれなかった。先日観たドキュメンタリー映画「医の倫理と戦争」でも、731部隊が実施した人体実験のデータを、戦後アメリカに渡す代わりに非人道的な実験に加わった医師らは罰せられることなく、大学教授や有名大学病院の院長に戻った。

井戸弁護士が述べたように、チェルノブイリでは避難させすぎた、だから、次の福島では避難っせないようにした。さて、次に原発事故がおきたら……。今度は絶対やつらの好きなようにはさせない。

4月25日、ぜひ講演会にお集りを!

事故後カンパを集め出した私たち「西成青い空カンパ」は、なるべく皆様の前で被災者にカンパを手渡した。写真は長谷川健一さんにカンパを手渡した写真
毎年311前後に何らかの催しを企画した。三角公園前の「ふるさとの家」でやった際には場所がわからないだろうと仲間がプラカード持って案内してくれた
震災と原発事故から6年目の2017年、国は避難指示を解除し、被災者に故郷に帰れと指示した。果たして帰れるのか?

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

〈原発なき社会〉を求めて集う不屈の〈脱原発〉情報誌『季節』2026年春号
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3・11の彼方から―『季節』セレクション集 Vol.1
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