堀田春樹
引退試合として迎えた絆のメインイベント、Ryuは激闘の勝利。
セミファイナル、女子ミネルヴァの戦いはドロー。
知名度はいちばんあった佐藤界聖はバックヒジ打ちで圧倒勝利。
◎絆XVⅡ(17) / 8月2日(日)春日部ふれあいキューブ 16:00~20:54
主催:PITジム / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟
◆第9試合 60.0㎏契約3回戦
Ryu(=酒匂和哉/クローバー/茨城県出身36歳/ 59.7kg)9戦4勝(2KO)4敗1分
VS
アキト・サンライズジム(サンライズ/大阪府出身24歳/ 59.5kg)3戦1勝2敗
勝者:Ryu / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:ランボー29-28. 児島30-28. 宮沢30-29
様子見といった探り合いも殆ど無く、開始早々からローキックとパンチ中心の交錯。蹴られたら蹴り返す一進一退の攻防はRyuのヒザ蹴りを加えた攻防でより激しくなった。アキトも蹴り返し、会場を大声援で盛り上げた展開は勢い衰えぬ鬩ぎ合いで、前進する圧力でラストラウンドを抑えたRyuが完全燃焼の判定勝利となった。


美保会長は「第1ラウンドはヒヤッとしましたけど、奥脚蹴るとかヒザ蹴りとか出せるようになってから良い方向に向かったと思います。この“絆”ってRyuがデビューした試合で、彼はここで引退したいと決めていたので、ラストファイトもRyuらしい良い試合だったと思います。クローバージムってなかなかプロが育たないジムなのに、Ryuは諦めずに戦って35歳で引退するつもりのようでしたけど、今36歳と半年なんですけど、“もうちょっと俺が頑張れば後輩が育つかもしれない”と言って残ってくれた奴です。本当に感謝しかないです。」と想いを語った。
試合後、リングを下りてファンに囲まれる中、Ryuは「根性と言うか、ここで一歩でも下がったら相手も気持ち乗って来ちゃうなと思ったので譲れなかったですね。でも絶対打ち負けないと思って出ました。絆の大月会長はじめ、NJKFの皆さんには感謝しかないです。今後はジムに残って指導者として、オジンからプロ、子供まで、しっかり育てていきたいと思います。有難うございました。」と完全燃焼した清々しい表情で語った。

◆第8試合 女子ミネルヴァ44.0kg契約3回戦(2分制)
ピン級2位.上真(元・ペーパー級Champ/RODA MMA/1985.10.16石川県出身/ 43.95kg)
22戦6勝13敗3分
VS
ペーパー級2位.ロウ・イツブン(NEXT LEVEL渋谷/1995.5.26中国出身/ 43.95kg)
12戦4勝5敗3分
引分け 三者三様
主審:児島真人
副審:ランボー28-30. 中山30-29. 宮沢29-29
負けは込んでいるが、タイトルマッチを経験する名の知れた両者。蹴りは激しく交錯するが、ロウ・イツヴンは自分の距離感掴みたいところ、上真の前進で蹴り難い印象。組み合ったシーンが増えると、ロウイツヴンの右ヒザ蹴りが上真の顔面を捉え、上真の左瞼から出血が見られた。

第2ラウンドも蹴りパンチの攻防は互角。ロウ・イツヴンのヒザ蹴りが高く上がるので、この見映えは良いが単発。第3ラウンドもバランス保てない首相撲の縺れ合いが続く。蹴りとパンチも差は無くポイントになり難い展開で、ジャッジ三者が揃ったラウンドは無い三者三様の引分けとなった。

◆第7試合 75.0kg契約3回戦
佐藤界聖(PCK連闘会/2001年宮城県出身/ 74.45kg)23戦15勝(7KO)7敗1分
VS
クワン・サンライズジム(元・タイ・イサーン地区ライト級Champ/タイ東北部出身41歳/ 74.9kg)150戦超
勝者:佐藤界聖 / TKO 2ラウンド 1分17秒
主審:宮沢誠
ムエタイのベテランボクサー、クワンは体格こそ崩れていたが、テクニックは健在。

高い蹴りが出るクワンに対し、まともに貰うことなくしっかり蹴り返し、圧力掛けた佐藤界聖。第2ラウンドも、佐藤が蹴り優る展開でクワンをロープ際に追い詰めた。こういった在日タイ人は勝てないまでも倒されない守りに入ると、倒しに掛かるのは難しくなるが、佐藤はクワンをコーナーに追い詰め、バックヒジ打ちでノックダウンを奪い、ダメージあるクワンはカウント中にレフェリーストップが掛かり、佐藤のTKO勝利となった。

◆第6試合 スーパーバンタム級3回戦
シャークYU斗(新興ムエタイ/兵庫県出身28歳/ 55.34kg)13戦4勝(3KO)8敗1分
VS
髙嶋隆一(PIT/東京都出身26歳/ 54.7kg)5戦3勝2敗
勝者:髙嶋隆一 / 判定0-2
主審:スイット・サエリム・ランボー
副審:宮沢29-30. 中山29-29. 児島29-30
初回、髙嶋隆一はパンチ連打でやや攻勢維持。第2ラウンドにはシャークYU斗もヒットを見せるが、好戦的な攻防は互角に進み、初回のポイントが活きた高嶋が僅差ながら判定勝利。

◆第5試合 59.5kg契約3回戦
高橋優(CORE/東京都出身22歳/ 59.5kg)4戦3勝(1KO)1敗
VS
村上心一(無所属/ 埼玉県出身23歳/ 59.6→59.5kg)4戦2勝3敗
勝者:高橋優 / KO 2ラウンド 2分30秒 / 3ノックダウン
主審:宮沢誠
髙橋優が右ミドルキックでボディーにヒットさせ2度のノックダウンを奪い、右ハイキックで3ノックダウウン目を奪ってKO勝利。

◆第4試合 63.0kg契約3回戦
翔吾(DANGER/千葉県出身29歳/ 62.75kg)9戦4勝4敗1NC
VS
涼音(PIT/埼玉県出身25歳/ 62.7kg)5戦3勝2敗
勝者:翔吾 / 判定3-0 (30-27. 30-27. 30-27)
主審:児島真人
翔吾がカーフキックとヒザ蹴りで優勢を維持して、パンチでノックダウンを奪うも仕留めるに至らず、涼音がダメージ回復と共に蹴り返して来るが、翔吾は飛びヒザ蹴りや、パンチとヒザ蹴りで追い込む攻勢でノックダウンの差も大きく大差判定で勝利した。

◆第3試合 フライ級3回戦
植田琥斗(ESG/埼玉県出身19歳/ 50.35kg)5戦2勝3敗
VS
椎谷輝(PCK連闘会/宮城県出身19歳/ 50.25kg)4戦1勝3敗
勝者:植田琥斗 / 判定3-0 (30-28. 30-28. 30-279
主審:スイット・サエリム・ランボー
クリーンヒットは無いが、パンチ連打とヒジ打ちハイキックと多彩に攻めた両者。的確差で植田が攻勢を維持して判定勝利。
◆第2試合 63.0kg契約3回戦
しんたろう(エス/神奈川県出身33歳/62.65kg)3戦1勝2敗
VS
武神(峯心会/群馬県出身19歳/ 60.7kg)1戦1敗
勝者:しんたろう / 判定3-0 (30-27. 30-27. 30-27)
主審:中山宏美
しんたろうの長身を利した上下の蹴り、前蹴りで武神の勢いを止めるなどタイミングが良い。武神はパンチで巻き返したいが、しんたろうの蹴りが優勢に進め、フルマークで判定勝利。
◆プロ第1試合 66.0kg契約3回戦
末木龍(T/山梨県出身35歳/ 65.4kg)4戦4敗
VS
内田大樹(BELIEF/埼玉県出身34歳/ 65.15kg)1戦1勝(1KO)
勝者:内田大樹 / TKO 2ラウンド 0:16秒 / カウント中のレフェリーストップ
主審:スイット・サエリム・ランボー
内田大樹左右の蹴り、ヒザ蹴りが効果的にヒット、右ストレートヒットで末木龍からノックダウンを奪ってカウント中のレフェリーストップ。
◆アマチュア第3試合 55.0kg契約3回戦(2分制)
金森来蘭(TeamS.R.K/ 54.0kg)vsティファ・サンライズジム(サンライズ/ 54.6kg)
勝者:金森来蘭 / 判定3-0 (30-29. 30-28. 30-28)
主審:中山宏美
◆アマチュア第2試合 フライ級3回戦(2分制)
松本来斗(ZERO/ 49.6kg)vs布施英汰(PCK連闘会/ 50.0kg)
勝者:松本来斗 / 判定2-0 (30-29. 29-29. 30-29)
主審:宮沢誠
◆アマチュア第1試合 男女混合42.0kg契約3回戦(2分制)
SARA(GRIT KICK ONE/ 40.05kg)vsガモン・サンライズジム(サンライズ/ 41.4kg)
勝者:ガモン・サンライズジム / 判定0-3 (27-30. 27-30. 27-30)
主審:児島真人
《取材戦記》
春日部で行なわれている絆興行も17回目となりました。今回のRyuの引退試合は当初予定に無い感じでしたが、新人戦の域を脱していない戦いは、上真vsロウ・イツブン、佐藤界聖の存在の上を行く盛り上がりを見せ、メインイベントを締め括りました。
佐藤界聖は、日本人の壁となるこの程度の在日タイ選手には圧倒しなければならない空気の中、しっかり大技で倒し切りました。聖域タイトルだけでなく、今年2月8日に日本の代表的タイトル(ロードトゥムエタイ・ウェルター級王座決定戦)にも出場している佐藤は更なるステップへ進むでしょう。
PITジム先代会長の松永嘉之氏は今回の興行について「試合カードがちょっと薄かったんで心配していたんですけど、思ってた以上に会場が湧いたので、それは良かったですね。」と語り、2022年4月24日の興行から御子息の大月謙氏が担っていますが、今後については、「まだまだ一回一回の興行が勝負なので、毎回がテーマ、永遠のテーマですね。良いカードと思っても観衆が入らなかったり、試合会場の雰囲気も私がやってた頃には考えられないことやってますから、時代の流れだなと思いますね。とにかく長く続けられるように、これからもドンドン良い方向に一人でも多く観に来てもらえるカード組んでないといけないと思っています。会場についてはここ(ふれあいキューブ)で言えば、フロアーの敷居を一つずつ取ってスペースを広くして、千人の観衆が入るように持って行きたいですね。」と規模拡大へ期待を掛ける感情が込められていました。
来年開催には誰がメインイベンターとなるか。新たなテーマを以って挑む様子です。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」
