《緊急報告》怒りを込めて振り返れ! 10年を迎える「カウンター大学院生リンチ事件」とは何だったのか? ── 主たる暴行実行犯・エル金こと金(本田)良平からの提訴について 鹿砦社代表 松岡利康

「記憶の中の事件は忘却の途についている」(注)── 私たちが実に7年にもわたって被害者М君に寄り添い関わって来た「カウンター大学院生リンチ事件」(別称「しばき隊リンチ事件」「北新地大学院生リンチ事件」。以下「大学院生リンチ事件」と記します)、果たしてこれでお終いにしていいのか? と思っていたところ、つい最近、「忘却」から「記憶」を蘇らせる出来事がありました。

[注](「デジタル鹿砦社通信」2022年12月10日号、黒薮哲哉寄稿「М君リンチ事件から8年、輪郭を現わしてきた司法制度の闇とヒューマニズムの劣化」より)

◆大学院生リンチ事件の主たる暴行実行犯・金良平が民事訴訟を起こしてきました!

かの「大学院生リンチ事件」の主たる暴行実行犯「エルネスト金」(略称エル金)こと「金(本田)良平」(以下、通称で記すのも失礼でしょうから本名の金良平と記載します)が、何を血迷ったのか、株式会社鹿砦社と森奈津子さんを「プライバシー侵害」で民事訴訟を提訴したのです(東京地裁立川支部)。

「請求の趣旨」は、

「1 被告森奈津子は、訴状添付別紙1投稿記事目録記載の記事(注:被告森奈津子の2023年10月2日のX)を削除せよ。」

 2 被告ら(注:森奈津子、鹿砦社)は、原告(注:金良平)に対し、連帯して、各110万円及びこれに対する2023年10月2日から支払い済みまで年3分の割合による金員を支払え。(3、4略)」

というものです。

被告とされた森さんが鹿砦社の「指令」で、金良平が大学院生М君に激しいリンチを加えたことにより課せられた罰金40万円が記された「略式命令」書をX(旧Twitter)に晒したことが「プライバシーの侵害」だというのです。

金良平が、この「略式命令」を明かした森さんへの粘着した経緯、また「略式命令」を食らうに至る、大学院生リンチ事件の経緯と情況を何ら記述することなく、その「前科情報」を公開したことが「プライバシーの侵害」だということのようですが、大学院生リンチ事件においてエル金がリンチの主たる実行犯であり刑事で罰金40万円、民事で賠償金113万円余(+利息)を課せられたことは〈公知の事実〉であり、すでに鹿砦社の8冊(田中宏和著『しばき隊の真実』『SEALDsの真実』含む)の出版物、あるいは裁判の経過をリアルタイムに報じてきた「デジタル鹿砦社通信」、さらにはSNSにて多くの人たちが発信し、さんざん広く語られ議論されてきたとおりです。

むしろ、リンチ被害者М君、及び私たちは、金良平、李信恵ら加害者5人に真摯な反省があるのか、またその後の生き方にどう教訓化してきたのかを問いたい。さらには、加害者の周辺にいた者ら、特に私たちの追及に沈黙したり逃げたりした、「知識人」とか「ジャーナリスト」といわれる者たち、政治家、弁護士らがこの10年近く、どう考えてきたのか、を問い質したい、と思います。

そうして、いやしくも「人権」だ「反差別」だと口にするのならば、リンチ事件の社会的、思想的問題を総括すべきでしょう。リンチ事件は絶対に「デマ」ではなく、わが国の反差別運動において最大級の汚点です。これはしっかりと主体的に反省し総括すべき問題です。この反省なくしては、いかなる綺麗な言論も虚妄でしかありません。こうしたことは、私たちが一貫して主張してきたことですが、私たちの言っていることは間違っているでしょうか?

◆私たちはなぜ「大学院生リンチ事件」に関わって来たのか?

くだんの「大学院生リンチ事件」について、私たちはゼロの状態から地を這うような取材・調査を元に6冊の本にまとめ、その都度、その都度に出版物として世に問いました。そうは言っても私たちは捜査機関や大手新聞、大手出版社ではないのでカネやヒトで限界があったことは否めませんが、私たちなりに精一杯頑張ったつもりです。

そうした中で、この「大学院生リンチ事件」をどう捉えるかで、その人自身の人間性や人となりが問われると考えてきました。その最終報告がまだ出来ておらず、本年12月に10年を迎えるにあたり、それをやり切りたいと、つとに考えてきたところです。

リンチ事件の内容は、発生後意図的に1年余(発生の2014年12月~私たちが知った2016年1月)も報じられることなく隠蔽されてき、「十三ベース事件」なる呼称で、いわば都市伝説化し歴史の闇に消えようとしていたところ、事件から1年余り後に、かねてから私たちが主催して市民向けに行ってきた、いわゆる「西宮ゼミ」にちょくちょく参加していた人から、私たちの元に持ち込まれました。

被害者やこの周辺の人たちが提示した資料や証言、特にリンチ直後の写真(別掲)などから、私たちは素朴に、「これは非道い」と感じ、被害者に寄り添い、支援と真相究明を行うことにしました。血の通った一人の人間として当然であり、ここで目の前にいる被害者に「われわれでは君を助けることはできない」などと言えるでしょうか? 

[左写真]リンチ直後の被害者М君。数十発殴られ、そのほとんどが金良平によるもの。М君は無抵抗。これを見たあなたはどう思いますか? [右写真]金良平(右)とリンチに連座した李信恵(左)

また、リンチ事件を知りながら、安田浩一や池田香代子ら鹿砦社主催のゼミナールに招いた者も含め、私たちの取材から逃げたり沈黙したり開き直ったりした者らの人間性を、今あらためて問い質したいと思います。

池田香代子は名著『夜と霧』の新版を訳したことで有名ですが、かの名著を翻訳した者なら、『夜と霧』に通底する思想をわがものとし、このリンチ事件に真正面から向き合うべきではないでしょうか? ちなみに池田の新版では、旧版で掲載されていた残酷な画像はカットされていますが、このことは、池田が歴史を改竄するような人であることを物語っているといえるでしょう。

◆リンチによって台無しにされたリンチ被害者М君の人生 ── 金良平は今からでもМ君に真摯に謝罪せよ!

本年12月に10年を迎えるにあたり、原告・金良平は、みずからが行ったリンチを「街角の小さな喧嘩にすぎない事象」(訴状)とまで矮小化しています。被告とされている森奈津子さんとのやり取りのXでも「卑劣なデマで人を貶めた」とリンチ被害者М君や彼に寄り添い最後まで支援してきた私たちを誹謗中傷しています。私たちがどんな「卑劣なデマで人を貶めた」というのか、М君や私たちの前で言っください。

リンチ被害者М君は、当時、関西でもトップクラスの某国立大学の大学院博士課程に在学していました。将来は研究者としての人生を送るつもりでした。しかし、今でもリンチによるPTSDに苦しみ(これには著名な精神科医・野田正彰先生の精神鑑定書を裁判所に提出。未公開)、博士課程は何とか修了したものの博士論文は遂に書けず、研究者人生を断念、今は意に反し普通の会社勤めをしています。一人の研究者の卵の人生を台無しにして、何が「プライバシーの侵害」だ!?  まずは今からでも被害者М君に真摯に謝罪すべきでしょう。これが先決です。

また、原告・金良平らは、事件後いったんは認(したた)めた謝罪文(金良平のもののみを別掲)を、しばらくして反故にし開き直りました。今も何の反省もなく開き直っているようです。約束した活動自粛も再開しました。まずはその謝罪文に立ち返り、あらためて金良平が数十発殴ったМ君に謝罪すべきです。ここでも、私の言っていることは間違っているでしょうか?

リンチ後、金良平がМ君に渡した謝罪文。のちに反故。このことが被害者М君を苦しめる一因となった
 
金良平が知人に送った恫喝ツイート

リンチの主たる実行犯・金良平は、みずから「私自身のこれからの人生にとっても教訓としていかねばならないと考えています」(謝罪文)と言っていますが、その後、いかなる人生を送って来たのでしょうか? 今回の森奈津子さんに対してもそうですが、相変わらずXなどで、みずからが気に食わない人たちに激しい粘着、攻撃をしています。このかん、ざっと彼のXを閲覧しましたが、リンチ事件に対して真摯に向き合ってきたとは到底思えません。

また、リンチの場に連座した伊藤大介は、その後も、私たちと李信恵との訴訟を傍聴した後に酒に酔い、深夜右翼活動家を呼び出し仲間と共に暴行を加え有罪判決を受けています。反省がない証です(この件は、森さんも寄稿している『暴力・暴言型社会運動の終焉』に記述されていますので参照してください)。

◆私たちは本件訴訟を契機として「大学院生リンチ事件」の徹底的な検証と総括に努めます!

私たちは、今回の提訴によって、いわば「寝た子を起こされた」わけですが、むしろこれをいい契機として、リンチ事件を主体的に捉え返し、あらためて徹底した検証と総括作業を行い、後世に残るような〈最終報告書〉にまとめていきたいと考えています。

昨年、英公共放送BBCによるドキュメントを突破口に、半世紀以上わが国芸能界を支配し栄華を誇ったジャニーズ帝国が崩壊しました。28年前の1995年から追及してきた私たちは、その28年間の〈集大成〉として『ジャニーズ帝国60年の興亡』(A5判、320ページ)という大部の本にまとめ上梓しました。

大学院生リンチ事件関係本はこれまで8冊(田中宏和著書も含む)、1000ページを越します。虚偽があってはいけないと、一つ一つの本は、地を這うような調査・取材を元にまとめました。「デマ」を絶対に排することは当初からの禁止事項でした。私たちになんで「デマ」本を出す必要があるでしょうか? 

一連のリンチ事件関連本。第4弾の『カウンターと暴力の病理』にはリンチの一部始終を録音したCDが付いている

長年(鹿砦社は1969年創業。松岡が代表に就いて約40年)出版界に在って、それなりの存在感を示し歴史と矜持を持ち、「デマ」本を出すことは恥だと思ってきています。何度も言ってきましたが、」「デマ」だなんだかんだ言うのであれば、反論本を出すべきでしょうが、これはありませんでした。

今回の訴訟に対して私たちは真正面から対峙しますが、戦術的に手の内を見せることはしたくないので具体的に述べるのは最小限にしておきます。とはいえ、漸次報告は行っていきますので、どうかご注目をお願いいたします。

皆様方の圧倒的なご支援を要請する次第です。

最後にもうひとこと言わせてください。鹿砦社と共に被告とされた森奈津子さんですが、正月から重度障がい者のお連れ合いが危篤状態だということをみずからのXで公開しています。幸い今は小康状態だということですが、そうした中で、別件と併せ2件、神原弁護士を代理人として容赦なく提訴してきています。原告の金良平も代理人の神原弁護士も森さんのXを日々監視していると思われますが、それでの提訴です。

彼女も乳がんで片乳を取りながらサバイバルし、再発を恐れながら日々暮らしています。がんは半分精神的な要素で発症(再発)するともいわれ。お連れ合いの看護と複数の訴訟で精神的に追い詰めようとでもしているのか、と勘繰らざるをえません。

「人権」や「反差別」などと嘯(うそぶ)きながら、「武士の情け」などないようです。人情も地に堕ちたものです。 (文中、一部を除いて敬称略)

※本件訴訟について、次の方法にてご支援ください。

①大学院生リンチ事件関係書などの購読によるご支援

郵便振替(01100-9-48334 口座名:株式会社鹿砦社)にて書名明記のうえご注文ください。送料はサービスです。

②書籍などの見返りを求めず純然たるカンパによるご支援

以前はМ君関係訴訟の資金を集めることを優先したので鹿砦社としては身銭を切る形でしたが、今回は皆様方に資金面でのご支援を仰ぐことにしました。

カンパ専用口座を設けましたのでこちらにお振り込みください。本件訴訟のみに使用します。

 三井住友銀行 甲子園支店 普通口座 0966462
 口座名: 別口株式会社鹿砦社

《関連過去記事カテゴリー》
 M君リンチ事件 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=62

2月24日、国賠ネットワーク交流集会で『日本の冤罪』著者の尾﨑美代子さんと鹿野健一さんの対談が行われます! 松岡利康

2月24日、国賠ネットワーク交流集会が東京・水道橋のたんぽぽ舎で開かれます。詳細は下記の案内をご参照ください。

この日は昨年、本社から『日本の冤罪』を出版された尾﨑美代子さんと、本通信にも執筆している鹿野健一(ペンネーム田所敏夫)さんが招かれ『日本の冤罪』について対談が行われます。ご興味のあるかたは是非お出かけくださいますようご案内いたします。ただし、会場の都合上残席はわずかで、先着順とのことです。

『日本の冤罪』出版に当たっては、昨年12月24日に大阪でも集会が行われ、同書に推薦文を寄せていただきた井戸謙一弁護士をはじめ、冤罪事件被害者のみなさんも集まり、大いに盛り上がりました。当日も尾崎さんと鹿野さんの対談が行われましたが時間の関係で10分ほどでした。今回は約1時間にわたる対談が予定されています。

第33回 国賠ネットワーク 交流集会
『日本の冤罪』を語る : 尾﨑美代子さん & 鹿野健一さん
2024年2月24日(土)13:30~17:00 ■スペースたんぽぽ(たんぽぽ舎)

◎国賠ネットワーク https://kokubai.net/

国賠ネットワーク さまざまな国賠裁判を結ぶネットワークは1989年に立ち上げられました。国賠裁判とは、国や自治体の公務員から不当な被害を蒙った人々が、その責任を追及し、謝罪や賠償を求める訴訟です。無実の罪で逮捕・勾留・起訴された冤罪被害者を中心に、国賠を闘う原告や支援グループの、穏やかな連携と支援交流を目指すネットワークです。

◆交流集会 年に一度、それぞれの国賠の当事者・支援者が集まって、互いに報告し、語り合い、情報や知恵を共有する全国的な交流集会です。①東住吉冤罪国賠、②星野獄中死国賠、③大垣警察市民監視国賠、④湖東病院事件・西山国賠、⑤よど号旅券発給拒否国賠&産経新聞損賠、など当事者から現状についての報告を予定しています。

◆特別対論 最新刊『日本の冤罪』の著者・尾﨑美代子さんに、フリーライター・鹿野健一さんがお話を伺います。尾﨑さんは足を使い、渦中の人に会って話を聞き現場に出向き、更には住み込んでその複雑さの中に身を置き考える。このように肌の感覚をとことん味わい、言葉で伝えようとする人は意外に少ない。集会に多くの諸兄姉が参加し、彼女の話に耳を傾けていただきたい。

尾﨑美代子著『日本の冤罪』


『広島の追憶』の書評が『中國新聞』に掲載されました

昨年10月に出版した、梓加依・著『広島の追憶 ── 原爆投下後、子どもたちのそれからの物語』の書評が、地元・広島の『中國新聞』(2024年2月4日付け)に掲載されました。ご一読ください。

【著者略歴】梓 加依(あずさ・かえ)。児童文学・子どもの生活文化研究家。1944年長崎生まれ、小学校から高校まで広島市内に在住。公共図書館司書、大学非常勤講師、家庭裁判所調停委員などの仕事を経て、現在は物語を書く会「梓の木の会」主宰。

伝説のジャニーズ暴露本『光GENJIへ』のゴーストライター本橋信宏さんと鹿砦社松岡利康代表の対談が「サイゾーウーマン」で公開されました! 

伝説のジャニーズ暴露本『光GENJIへ』のゴーストライター本橋信宏さんと鹿砦社松岡利康代表の対談が2月1日の「サイゾーウーマン」で公開されました。前編と後編の2本立て。ぜひご一読ください。(編集部)

◎[前編]ジャニーズ暴露本『光GENJIへ』から35年、ゴーストライター・本橋信宏と鹿砦社が見つめるジャニーズ問題
  https://www.cyzowoman.com/2024/02/post_463030_1.html

◎[後編]ジャニーが生きている間に、歯止めを利かせられていたら ── 暴露本の当事者が明かす胸中
  https://www.cyzowoman.com/2024/02/post_463040_1.html

◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

ジャニーズ帝国60年の興亡
鹿砦社編集部=編 A5判、320ページ、カバー装  定価1980円(税込み)
少年愛の館、遂に崩壊! ジャニーズ問題追及28年の執念、遂に実る!

本年(2023年)3月7日、英公共放送BBCが、わが国だけでなく全世界に放映した故ジャニー喜多川による未成年性虐待のドキュメント映像が話題を呼び、これをきっかけに、ジャニーズ問題が報じられない日はない。

本書は28年に及ぶ対ジャニーズ問題取材と出版活動の〈集大成〉としてジャニーズ60年の詳細な歴史をあますところなく記述し、これ一冊でジャニーズの歴史がすべて解るようにした。今では貴重な資料も復刻・掲載、ジャニーズの60年の出来事を直近まで詳細に記載し、鹿砦社にしかできない、類書なき渾身の書!

鹿砦社編集部編『ジャニーズ帝国 60年の興亡』A5判 320ページ 定価1980円(税込み)

【主な内容】
Ⅰ 苦境に立たされるジャニーズ
  2023年はジャニーズ帝国崩壊の歴史的一年となった!
  文春以前(1990年代後半)の鹿砦社のジャニーズ告発出版
  文春vsジャニーズ裁判の記録(当時の記事復刻)
 [資料 国会議事録]国会で論議されたジャニーズの児童虐待

Ⅱ ジャニーズ60年史 その誕生、栄華、そして……
1 ジャニーズ・フォーリーブス時代 1958-1978
2 たのきん・少年隊・光GENJI時代 1979-1992
3 SMAP時代前期 1993-2003
4 SMAP時代後期 2004-2008
5 嵐・SMAPツートップ時代 2009-2014
6 世代交代、そしてジュリー時代へ 2015-2019
7 揺らぎ始めたジャニーズ 2020-2023

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315290/

《2月のことば》覚悟 信念を貫く 鹿砦社代表 松岡利康

《2月のことば》覚悟 信念を貫く(鹿砦社カレンダー2024より。龍一郎揮毫)

今年も2月1日がやって来ました。

人には誰も覚悟を決める時があります。

私にとって2月1日は、まさにその時でした(以下2・1)。

また、7月12日もそうです(以下7・12)。

2・1と7・12については、この通信をご覧になってきた方にはお分かりでしょう。

52年前の1972年2月1日、私(たち)は、ある大学のキャンパスの中心にある建物の屋上に拙い砦をこしらえ学費値上げに反対する意志表示として立て籠もり徹底抗戦しました。

強い覚悟を持って──。

これ以降の私の人生に於いて辛いことは幾度となくありましたが、その時には52年前の2・1の覚悟、あるいは19年近く前の7・12の逮捕のことを想起して乗り切ってきました。

もっと穏やかに平々凡々の人生を送る選択肢もあったのに、生来鈍愚な私は、逃げることなく常に愚直に突き進みました。何事も私なりに一所懸命に格闘してきました。編集者としては二流、出版社としても零細出版社にとどまりました。

そうして齢70を越え、気づいたら満身創痍── もっと過酷な人生を送った方々もおられるでしょうから、取り立てて威張れるものではありませんが、もうしばらく「覚悟」を持って、やり残している仕事を完遂させたいと考えています。

(松岡利康)

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年2月号

「イエロージャーナリズム」のどこが悪い!? 鹿砦社代表 松岡利康

昨年3月7日の”黒船”襲来(つまり英公共放送BBCによるドキュメント放映)以来、わが国の芸能界のみならず社会全体が震撼させられている。言うまでもなく、これまでわが国芸能界を支配してきたジャニーズ帝国の崩壊である。これはその後、宝塚歌劇団の若き劇団員の自死、さらにダウンタウン松本による「性上納」問題へと拡がった。どれもまだ現在進行形で終わりが見えない。

 
『ジャニーズ帝国 60年の興亡』鹿砦社編集部=編

1995年、ジャニーズ事務所による理不尽な出版差し止めによって惹起されたスキャンダル暴露攻勢を始めた際には、まさかここまで来るとは想像だにしなかった。かつてベルリンの壁崩壊が東欧の民主化、そうして巨大なソ連崩壊へと繋がったことを想起する。何度も繰り返して言ってきたが、蟻が象を倒すこともありえ、また針の一穴がダムを崩壊させることもありえるということだ。

四半世紀余りも前からジャニー喜多川による未成年性虐待(当時の言葉で言えば「ホモ・セクハラ」)やジャニーズ事務所による理不尽な芸能界支配を批判、告発してきたわれわれとしては、やはりその〈集大成〉、あるいは〈総決算〉を行う必要がある。

しばらくは事態の推移を眺め、マスメディアからの取材協力要請に協力しつつも、途中からそれに違和感を覚え、『文春』よりも以前から立て続けにスキャンダル暴露に務めてきた立場は、これだけでも自負できることで、今夏から急遽集大成的な書籍をまとめる作業に集中した。

私は長年の不摂生が祟り目の疾患で編集実務が十分にできなくなり編集者としては役立たずになっているが、そうも言ってはおれず執念でことに当たった。

そうして世に送ったのが『ジャニーズ帝国60年の興亡』だ。A5判、2段組み、320ページの大部の本になった。東京新聞紙上で斉藤美奈子さんが「労作」と正当に評価してくれた。他にも幾つか正当に評価してくれた記事を見た。

『東京新聞』2023年11月22日付け

ところで、鹿砦社に対して斉藤美奈子さんにしても栗原裕一郎氏にしても「イエロージャーナリズム」といったイメージで見てきたようだ。2人ともみずからそう言っている。「イエロージャーナリズム」の対極に立派な本来の「ジャーナリズム」なるものがあるのかわからないが、立派な本来の「ジャーナリズム」がこれまでジャニー喜多川による未成年性虐待を放置し隠蔽してきたことに比べればマシだと思う。

また、栗原氏は「小出版社の孤独な奮闘が見直されることにもなった」と評価する一方で、「夥しく出版されたジャニーズ関連本にも怪しげなものが多い」とも詰る。これらジャニーズ関連本、とりわけスキャンダル系、告発系のものには直接私がすべてにわたり精魂込めて編集に関わったので、一冊たりとも「怪しげなもの」はないと自認する。

『週刊読書人』2024年1月5日号

思い返せば、ジャニーズ関連本にも、パチスロ界の雄・アルゼ(現ユニバーサルエンターテインメント)に対する本(4点)でも、さらに大学院生リンチ事件(しばき隊リンチ事件)に対する本(6点)でも、力を抜いたものはなく、生来鈍愚な田舎者である私は精魂込めて「奮闘」した。

その〈返り血〉は、決して小さくはなかった。逮捕・勾留(192日)もされ有罪判決も受けた(このことにより新規の銀行口座も作れなくなった。複数の金融機関を提訴し争ったがすべて敗訴)し巨額な賠償金も支払った。賠償金含め訴訟費用は1億円を越す。安全圏から、あれこれ講釈を垂れるのではなく、みずからが当事者となり身銭を切って「奮闘」してからものを言って欲しいものだ。

鹿砦社のアルゼ告発書籍

いわゆる「イエロージャーナリズム」には「イエロージャーナリズム」の意地がある。元々「芸能人にはプライバシーはない」とする私(たち)にとって、芸能人のプライバシーを時に侵害するのもやむをえない。芸能人たる者、みずからそういう職業を選んだのだから──。

最近、同世代の死が相次いでいる。齢72、もうわれわれの時代ではない。『ジャニーズ帝国60年の興亡』は、私の拙い出版人生の〈集大成〉の一つである。

今、まことしやかで、きれいな言論が増え、「怪しげな」「イエロージャーナリズム」はほとんど見当たらなくなった。そうした中で「孤独な奮闘」をするのもおつなものだ。われながら特異な出版人生だったな(苦笑)。

(松岡利康)

鹿砦社編集部編『ジャニーズ帝国 60年の興亡』A5判 320ページ 定価1980円(税込み)

【主な内容】
Ⅰ 苦境に立たされるジャニーズ
  2023年はジャニーズ帝国崩壊の歴史的一年となった!
  文春以前(1990年代後半)の鹿砦社のジャニーズ告発出版
  文春vsジャニーズ裁判の記録(当時の記事復刻)
 [資料 国会議事録]国会で論議されたジャニーズの児童虐待

Ⅱ ジャニーズ60年史 その誕生、栄華、そして……
1 ジャニーズ・フォーリーブス時代 1958-1978
2 たのきん・少年隊・光GENJI時代 1979-1992
3 SMAP時代前期 1993-2003
4 SMAP時代後期 2004-2008
5 嵐・SMAPツートップ時代 2009-2014
6 世代交代、そしてジュリー時代へ 2015-2019
7 揺らぎ始めたジャニーズ 2020-2023

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315290/

梓加依・著『広島の追憶』が神戸新聞12月16日朝刊で紹介されました! 鹿砦社代表 松岡利康

梓加依・著『広島の追憶』が神戸新聞12月16日朝刊で紹介されました。

2023年12月16日付け神戸新聞朝刊

著者とは長い付き合いで、その最初の書『豊かさの扉の向こう側』を出版し著者を世に送り出したのが鹿砦社でした。

まだ20世紀、1990年代初めのことでした。最も鹿砦社らしい(?)本です。

ウクライナ、パレスチナの戦火に心が痛む昨今、大人にも子どもにも一緒に読んでいただきたい書です。

(松岡利康)

【著者略歴】梓 加依(あずさ・かえ)。児童文学・子どもの生活文化研究家。1944年長崎生まれ、小学校から高校まで広島市内に在住。公共図書館司書、大学非常勤講師、家庭裁判所調停委員などの仕事を経て、現在は物語を書く会「梓の木の会」主宰。

唯一の反(脱)原発雑誌『季節』2023年冬号、週明け11日発売!  鹿砦社代表 松岡利康

このところ月刊『紙の爆弾』『季節』と発行がほぼ重なり、また来年のカレンダーの頒布とも重なり、それらの膨大な量に本社・東京編集室ともに一時は占拠され、発送が幾分遅れ気味になっていましたが、昨日でほぼ終了いたしました。

いましばらくお待ちください。週明け11日にはほぼ到着すると思います。

例年のように定期購読・会員の皆様方には書家・龍一郎揮毫の2024年鹿砦社カレンダーを一緒に送らせていただきました。

下は『季節』冬号の巻頭を飾っている龍一郎揮毫の書です。(松岡利康)

龍一郎揮毫
〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌 『季節』2023年冬号

〈原発なき社会〉を求めて集う
不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2023年冬号

通巻『NO NUKES voice』Vol.38
紙の爆弾2024年1月増刊
2023年12月11日発行 770円(本体700円)

2024年の大転換〈脱原発〉が実る社会へ

《グラビア》
「東海第二原発の再稼働を許さない」11・18首都圏大集会(編集部)
福島浪江「請戸川河口テントひろば」への道(石上健二)

《インタビュー》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
必要なことは資本主義的生産様式の廃止
エネルギー過剰消費社会を総点検する

《インタビュー》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
「子ども脱被ばく裁判」と「311子ども甲状腺がん裁判」
法廷で明らかにされた「被ばく強制」 山下俊一証言のウソ

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
【検証】日本の原子力政策 何が間違っているのか〈1〉
無責任な「原発回帰」が孕む過酷事故の危険性

《報告》木原省治(「原発ごめんだ ヒロシマ市民の会」代表)
瀬戸内の海に「核のゴミ」はいらない
関電、中電が山口・上関町に長年仕掛けてきたまやかし

《報告》山崎隆敏(元越前市議)
関電「使用済燃料対策ロードマップ」の嘘八百 ── 自縄自縛の負の連鎖 

《インタビュー》水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
反原発を闘う水戸喜世子は、徹底した反権力、反差別の人であった
[手記]原発と人権侵害が息絶える日まで
       
《インタビュー》堀江みゆき(京都訴訟原告)
なぜ国と東電に賠償を求めるのか
原発事故避難者として、私が本人尋問に立つ理由

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
原発賠償関西訴訟 提訴から10年
本人調書を一部公開 ── 法廷で私は何を訴えたか?

《報告》平宮康広(元技術者)
放射能汚染水の海洋投棄に反対する理由〈前編〉

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
「核のゴミ」をめぐる根本問題 日本で「地層処分」は不可能だ

《報告》原田弘三(翻訳者)
「気候危機」論の起源を検証する

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
汚染水海洋放出に対する闘いとその展望

《報告》佐藤雅彦(ジャーナリスト/翻訳家)
フクシマ放射能汚染水の海洋廃棄をめぐる2つの話題
映画になった仏アレバ社のテロリズムと『トリチウムの危険性探究』報告書

《報告》板坂 剛(作家・舞踊家)
再び ジャニーズよ永遠なれと叫ぶ!

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈22〉
甲山事件50年目を迎えるにあたり
誰にでも起きうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか〈上〉

再稼働阻止全国ネットワーク
岸田原発推進に全国各地で反撃中!
沸騰水型の再稼働NO! 島根2号、女川2号、東海第二
《東海第二》小張佐恵子(福島応援プロジェクト茨城事務局長/とめよう!東海第二原発首都圏連絡会世話人)
《福島》黒田節子(原発いらね!ふくしま女と仲間たち/「ひろば」共同代表)
《東京》柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
《浜岡原発》沖 基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
《志賀原発》藤岡彰弘(命のネットワーク)
《関西電力》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
《中国電力》高島美登里(上関の自然を守る会共同代表)
《川内原発》向原祥隆(川内原発二〇年延長を問う県民投票の会事務局長)
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)

反原発川柳(乱鬼龍 選)

書=龍一郎

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

《12月のことば》良心の充満したる丈夫となれ 鹿砦社代表 松岡利康

《12月のことば》良心の充満したる丈夫(ますらお)となれ(鹿砦社カレンダー2023より。龍一郎揮毫)

本年のカレンダーもあと1枚となりました。

1年経つのは本当に速いものです。

新型コロナ襲撃でのた打ち回り、読者やライター、取引先の方々の力をお借りし、無我夢中で頑張ってきました。

コロナ以前には左団扇状態で蓄えも少なからずありましたが、一気に変わりました。

潰れもせずにやって来れたのは、ひとえに皆様方のご支援のお蔭、あらためて感謝申し上げます。

今月の言葉は、龍一郎や私の母校の校祖の言葉から採っています。

果たして私たちは「良心」に恥じない生き方をしてきたであろうか? 今の世の中に「良心」というものがあるだろうか? 良心があれば、ウクライナやパレスチナ問題は起きないでしょう。あらためて想う。

来年のカレンダーが出来上がってきました。

毎年楽しみに待っておられる方々が多くおられます。

まずは『紙の爆弾』『季節』定期購読者の皆様には新たな号と一緒に送りますので今しばらくお待ちください。

本年一年、どうもありがとうございました。

(松岡利康)

尾崎美代子『日本の冤罪』
鹿砦社編集部編『ジャニーズ帝国 60年の興亡』
山下教介著『[復刻新版]ドキュメント タカラヅカいじめ裁判 ── 乙女の花園の今』