《6月12日、リンチ被害者M君が5名を訴えた上告について、却下の連絡が代理人の大川伸郎弁護士へあった。賠償を命じられた李普鉉氏からは「賠償金を支払いたいので口座を教えてくれ」と代理人から連絡があった。一方金良平氏からは何の連絡もないので、大川弁護士は金良平氏の代理人に「賠償金の支払い」を求める旨と、大川弁護士の銀行口座明細を記載したFAXを送付したが、7月2日現在大川弁護士には、金良平氏の代理人から何の連絡もないという。》

ここまでは7月3日、本通信でお伝えした。その後さらにM君はがっかりさせられる経験に直面した。7月10日付で金良平氏の代理人、姜永守弁護士から、一方的に「分割払い」を前提とした「合意案」の提案がなされたのだ。その詳細は明らかにしないが、なんと月にわずか5万円の支払いで、2021年までかけて弁済をするという、身勝手極まりないものであった。

M君と支援会は即座に対応を検討し、「こんな我が儘は取り合えない」で速やかに一致した。7月12日にM君代理人の大川伸郎弁護士から姜弁護士に対して、「『分割払い』にするのであれば、姜永守弁護士が連帯保証人に就任することを条件にする」との逆提案をおこなった。ところが、姜弁護士は日弁連の定めた「弁護士職務基本規定」を盾に連帯保証人への就任を断る回答を返してきた。

「弁護士職務基本規定」は法律のような響きがあるが法律ではなく、日弁連が定めた、いわば「ガイドライン」のようなものである。そこには代理人就任した依頼者の保証人には就任しないほうが良い、という趣旨の文章は確かにある。しかし、法的には姜弁護士が金良平氏の連帯保証人になることは何ら問題はない。

代理人に就任したのであれば、どうして最後まで責任を取らないのだ、と姜弁護士には強く聞きたいところである。そこで取材班は姜弁護士の所属する「ポプラ法律事務所」に電話取材を試みた。ところが電話をかけ、鹿砦社を名乗ると、「姜弁護士は事務所にいる」と言いながら電話をつながず、事務員と思しき女性が氏名や電話の目的などを事細かく聞いてくる。

保留音のあと「この件ではお答えできません」とふざけたことを言うので「あなたは、わたしの個人情報と取材目的を聞きながら電話を繋ごうとしない。そんな不誠実な態度は社会的に容認されるものではない。すぐ姜弁護士に繋いでくれ」と要請すると、ようやく姜弁護士が電話口に出てきた。が、姜弁護士に何を質問しても「答えられない」の一点張りでまったくらちが明かない。挙句「話すことはないから切ります」と一方的に電話を切られた。

こういう対応をしているから、しばき隊関係者は社会的信用を失っていくのだ。争いの当事者であろうがなかろうが、一定の社会的関心が持たれている事件の、鹿砦社はいわば「告発者」である。警戒する気持ちは分からぬではないが、われわれは「M君リンチ事件」で無理難題を求めてきたことはない。この日の電話のテーマだって、通常は考えられない「賠償金の分割払い」を提案してきた非常識に対して常識的な質問をしようとしていただけである。どうして逃げるのだ! 姜弁護士!

そして姜弁護士が、「弁護士職務基本規定」を盾に取り、連帯保証人就任に難色を示すのであれば、金良平氏の代理人ではないが、鹿砦社を目の敵にする神原元弁護士が連帯保証人に就任すればよいではないか。下記写真の通り、一審判決の直後に「敗訴しながら祝勝会」を開くほど近しい中である。「エル金は友達」という不思議なツイッター上での印象操作も過去あった。「友達」だったら、困ったときには助けてあげるのが筋じゃないのか。

「祝勝会」と称し浮かれる加害者と神原弁護士(2018年3月19日付け神原弁護士のツイッターより)

あるいは事件後すぐに100万円でM君に刑事告訴を断念させようと、金を出した伊藤大介氏でも構わない。もちろん李信恵氏や、事件が「なかった」「喧嘩はあったけどリンチはなかった」と繰り返した中沢けい氏や、国会議員の有田芳生氏でも構わない。金良平氏が賠償金の「分割払い」を求めるのであれば、だれかが連帯保証人になることを真剣に検討する気が、どうしてわかないのであろうか。

それ以前に、たかが100数十万円の金である。なぜ金良平氏に貸したり、カンパでこんなはした金が集まらないのだ。金良平氏を早く「リンチ事件の債務者」という縛りから解放してあげようと思う人間はいないのか。

取材班は「しばき隊は嘘つきである」証拠を山ほど探し当ててきたし、直接対話でも経験しているので、彼らは結局、金良平氏の負債を「無きものにしよう」、「M君への賠償支払いを無きものにしよう」と良からぬ合議を済ませているのではないかとの疑いが強まる。その論の延長には、恐ろしいことであるが、金良平氏は「いてもらっては困る存在」という将来像が浮かび上がってくる。

よいか! 金良平氏よ! あなたは、しばき隊から「面倒扱い」されたある「男組」関係者がどのような結末をたどったか、知らぬわけではあるまい。金良平氏よ! あなたは証人尋問の際、M君に頭を下げて詫びたではないか。「友達」や弁護士が頼りにならないのであれば昼夜働いてでも、一刻も早く賠償金をM君に支払うのが、あなたの将来のためでもある。

鹿砦社は「ケジメ」をつけた一般人をしつこく追いかけたりはしない。金額には不満だが、裁判所が金良平氏に支払いを命じた金員をM君に支払えば、金良平氏に対する言及を行う必要は、基本的には消滅する(また違う悪さに手を染めれば別であるが)。しかし、そうでなければ、金良平氏、並びにその周辺にいる「エル金は友達」であったはずの連中が、どれほど悪辣な嘘つきであるかを、指弾し続けなければならない。


◎[参考音声]M君リンチ事件の音声記録(『カウンターと暴力の病理』特別付録CDより)

(鹿砦社特別取材班)

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「反差別」運動のリーダー・李信恵氏が批判者に対して言い放ったツイート

「鹿砦社はクソ」「クソ鹿砦社」などと、「反差別」運動のリーダーが口にするとは到底思えない汚い言葉で私たちを攻撃してきた李信恵氏に対して、鹿砦社は李信恵氏を名誉毀損で提訴しました。裁判の終盤になって李信恵氏が「反訴をしたい」と、突如表明しましたが、これが認められずに別個の訴訟となりましたので、私たちは前者を「対李信恵第1訴訟」、後者を「対李信恵第2訴訟」としています。

李信恵氏自身の汚い言葉は日毎にエスカレートし、さらにこれに付和雷同する者らも続出して来ており、これ以上放置していては取引先などへの悪影響も出かねず会社の名誉が著しく毀損されると、小なりと雖も会社の経営者としては日々心配が募っていました。

これ以前にも李信恵氏らは、彼女に批判的な人たちに対して、職場に内容証明を送ったり電凸攻撃したりして、職場にいづらくする手法を取ってきました。これにほとんどの人たちは訴訟で対抗することもなく、いわば泣き寝入りしてきました。普通の人が訴訟ひとつ起こすことは大変なことですから。

例外的に不当な攻撃に立ち向かったのは、公立病院に勤める金剛(キム・ガン)医師、四国の自動車販売会社を経営する合田夏樹社長らがおられます。人の命を扱う病院の秩序を乱すような電凸攻撃など、日頃「人権」を語る者として疑問がありますし、合田社長に対しては、メーカーの本社などにも電凸攻撃が激しかったとのことで、普通なら取引停止にもなりかねません(合田社長の会社は販売実績が良かったのでこれを免れたそうです)。さらには国会議員の宣伝カーを使った自宅訪問(未遂?)までありました。

 

李信恵氏の仲間で、M君リンチの場にもいた伊藤大介氏による恫喝

鹿砦社に対する誹謗中傷は、もうしばらく泳がせていたら、もっと証拠は集まったでしょうが、気が短い私は、到底待つことはできませんでした。「警告書」を送っても馬耳東風で止む気配はありませんでしたし、代理人の神原元弁護士から開き直ったような回答が来るほどでした(神原弁護士の回答が血の通ったものであったなら、おそらく提訴は思いとどまっていたでしょう。李信恵氏らカウンター界隈の人たちは、一神教のように神原弁護士に頼る傾向があるようですが、これは考え直したほうがいいのではないでしょうか)。

やむなく2017年9月28日、大阪地裁に300万円の賠償金と謝罪(広告)を求めて提訴した次第です。

さすがに提訴したことで少しは懲りたのか、鹿砦社に対する誹謗中傷は鎮まってきたようでした。私たちは訴訟を起こす資金的、精神的余裕もありましたが、仕事や生活に追われる普通の人はそうもいきません。

2019年2月13日、大阪地裁第13民事は、李信恵被告の不法行為/名誉毀損を認め賠償金10万円を言い渡しました。鹿砦社の勝訴、李信恵被告の敗訴です。金額は小さくとも李信恵被告の不法行為/名誉毀損を裁判所が認定した意義、それまで「正義は勝つ!」と豪語し「法律しばき」などと放言してきた神原元弁護士らに一泡吹かせた意義は大きいと見なしていますし、そうしたことによって彼らなりに“反省”(しているでしょうか?)し少しは暴言を自粛するようになったのであれば、所期の目的は果たされたと言っていいでしょう。

「李信恵という人格の不可思議」(『真実と暴力の隠蔽』巻頭グラビアより)

 

何が「極左の悪事」やねん!? 李信恵氏代理人にしてしばき隊の守護神・神原元弁護士によるツイート

残念ながら不法行為/名誉毀損を認められなかった部分の認定と賠償額増額を求めて鹿砦社は大阪高裁に控訴し、また李信恵氏も逆転勝訴を求め控訴、つまり双方控訴という形になりました。

李信恵氏は一審を舐めてかかっていたようで、一度も出廷せず、いったん承諾した本人尋問を翻意、陳述書も出しませんでした。さすがに控訴審では、結審ぎりぎりになって陳述書を出してきました(私は、これに対する反論も迅速に行いました)。そうして去る7月26日、大阪高裁は双方の控訴を棄却、つまり原判決維持の判決を下しました。すなわち鹿砦社の勝訴ということです。李信恵氏が上告するかどうかは分かりませんが、おそらく引っくり返ることはないでしょう。

先に上告棄却となったM君リンチ事件の訴訟は、獲得目標に至らず不満の残る内容ではありましたが、暴力に対して賠償金を裁判所が課す判決が確定したことで、明確なM君勝訴でした。これは集団暴力に対する訴訟でしたが、くだんの対李信恵第1訴訟は、いわば“言葉の暴力”=暴言に対する訴訟でした。これも鹿砦社勝訴です。裁判所の判断も、賠償額は小さいですが、李信恵氏らが決して清廉潔白ではないことに気づいてきています

李信恵氏らカウンター界隈の人たち、李信恵氏の代理人を務めている神原、上瀧浩子弁護士らも、「法律しばき」など品性のない言葉を使わずに、もっと理性的に動くべきではないでしょうか? ましてや「私怨と妄想にまみれた極左の悪事」などと私たちを侮蔑するのは、弁護士としての品位を著しく欠いていることは自明でしょう。

ところで、第1訴訟控訴審で李信恵氏は、一審では出さなかった陳述書を出してきました。さらに驚くことに、先日の第2訴訟では、意外にも李信恵氏本人が出廷してきました。第2訴訟の前にあった、李信恵氏が高島章弁護士を訴えた訴訟でも出廷し高島弁護士との直接対面があったようです(私は傍聴していませんが、傍聴した者の証言)。第2訴訟では、本人尋問も陳述書提出もあるかもしれません。望むところですが、第1訴訟をおざなりにして敗訴したことに懲りてのことだと推察されます。

李信恵氏に付和雷同して発信された仲間らのツイート(『カウンターと暴力の病理』巻頭グラビアより)

かつて鹿砦社は激しい裁判闘争で1億円以上のお金を遣い、(今話題になっている)大きな権威・権力に対して闘い存在感を示しました(ちなみに、最近、芸能界の奴隷契約について公正取引委員会が動き出しました。これは、鹿砦社刊行の星野陽平氏の力作『芸能人はなぜ干されるのか?』に公取委の職員が注目し、星野氏を呼んで勉強会を行ったりして今回の警告に繋がりました。7月26日付け本通信参照)。判例集に載っている判決もあります。

人は、お金の問題ではなく、闘うべき時には闘わないといけません。神原弁護士の言う「売名と集金」などではありません。今回の対李信恵氏との訴訟についても、最後まで全知全能、全身全霊で闘い、「反差別」に名を借りた不当な暴言・暴力に対して断固として立ち向かうことを、あらためて決意するものです。

(おことわり;M君の訴訟は広く多くの皆様方のカンパで最後まで闘うことができましたが、くだんの対李信恵第1、2訴訟は全額鹿砦社の資金で闘っています。1円たりともM君訴訟で集めたカンパを流用していません。あらためてお伝えしておきます)。

最後に、もうひとこと言わせてください。M君リンチ事件訴訟で、エル金こと金良平氏は、確定した賠償金を未だ支払っていません。M君を村八分にし「エル金は友達」などと騒いでいた人たちは金良平氏を助けないのでしょうか? あなた方の「友情」とはその程度のものですか? リンチの現場に同座していた李信恵氏らにも道義的責任、連帯責任があると考えますが、この期に及んで知らぬ存ぜずでは人間としていかがなものでしょうか?

7月26日大阪高裁近くにて


◎[参考音声]M君リンチ事件の音声記録(『カウンターと暴力の病理』特別付録CDより)

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以下の文面は、あらかじめ『情況』編集部に諮ったり相談したりせず、あくまでも私松岡の責任で書き連ねた見解です。笠井、高橋両氏は、間違っても『情況』編集部をバッシングしないように申し告げておきます。あなた方の“圧力”自体が不当なのですから──。

『情況』創刊号(1968年)

◆『情況』創刊の意義と私の想い

私たちの世代にとって『情況』という雑誌は、何とも言えない郷愁もあり、これに寄稿することには、それなりの思い入れもあります。『情況』は、1960年代後半の叛乱の時代、70年安保―沖縄闘争、学園闘争、ベトナム反戦運動の盛り上がりを背景として1968年に「変革のための総合誌」を看板に創刊されます。

手元の創刊号を紐解けば、反日共系の活動家や知識人がこぞって、なかには森茂氏とか高知聰氏といった革マル派系の人たちも議論や寄稿に加わっています。それからまもなく、いわゆる内ゲバが激化すると、こういうことはできなくなります。

同誌は、その後活発な議論の場として発行を継続しますが、叛乱の時代が過ぎるや、長い苦しい“冬の時代”を迎えます。これを支えたのは、先頃亡くなった大下敦史さんでした。他人に言えないような大下さんのご苦労は、(内容は異なりますが)雑誌発行に携わる者として理解いたします。実は大下さんからは、病が発覚する前に、「『情況』は後の世代に任せ、私は資料編纂の仕事をやるので協力してほしい」との連絡があり、「喜んでお手伝いさせてください」と答えたところでした。

『情況』創刊にあたっては、多彩な人脈を動員するために初代編集長の古賀暹(のぼる)さんのご苦労は想像に絶しますが、他には稀有の哲学者・廣松渉先生(故人)らのご支援も忘れてはなりません。古賀さんによれば、──

〈明大闘争のあとやることがなくなってしまった。でも、このまま戦線から消えるわけにもいかない。何とかブントを支えつつも僕にしか出来ない別な道を行かないと格好がつかない。それでブントをはじめとする大衆運動の援護が出来るような雑誌、また理論誌でもあるような雑誌を出そうと思った。それが『情況』のはじまりです。でも雑誌を作るのは大変なんです。僕はまだ26、7歳だった。雑誌を作るには金がいるけど、金なんかありゃーせん。廣松さんにもそんな夢を話したな。そしたらある日、突然、廣松さんから電話がかかってきて「神保町の喫茶店に来い」という。出かけていったら、「雑誌の話はどうなった」と聞いてくる。「お金も集まらないし、雑誌なんて出せるわけがありません。冗談ですよ」と言うと、真夏だったんだけれど、いきなり廣松さんがワイシャツを脱ぎだした。冷房がきいている喫茶店の中で裸になるわけです。ワイシャツを脱ぐとサラシが巻いてあって、そこからポンと100万円。サラシから湿った100万円(笑)を出して「これは少ないかもしれないが、新雑誌発刊の一部にしろ」と言う。
 僕は「あれは夢を語ったに過ぎません。それに、具体的な計画や準備があるわけではありませんから、このお金はいずれ改めて拝借します」と、そのお金を辞退しました。しかし、廣松さんは「男がいったん出した金を引っ込めるわけにはいかない。このお金は僕の志だ。雑誌が出来ないなら好きなように遣ってくれ」と恰好よく言うので、それで僕は無理をしても『情況』をスタートさせようと努力しなければならなくなったんです。廣松さんは、本当、革命家だよね。その100万円は当時入った原稿の印税をみんな持っていったのではないかと、廣松さんの奥さんの邦子さんは言っていますが、それはびっくりしました。〉

『情況』最新号

当時大卒の初任給が3~4万円ほどで、100万円は、今で言えば500万円ほどになります。廣松先生は、著名かつ一流の哲学者ですが、私などにも目をかけていただき、私が出し始めた拙い『季節』という冊誌にも、座談会や寄稿などご協力賜りました。

廣松先生は、中学生時代から革命運動に加わり福岡・伝習館高校を退学、大検で大学受験の資格を取り、のちに東大に入られ、また山谷などにも出かけられていました。東京大学名誉教授が最後の肩書でした。

このエピソードは『情況』という雑誌の誕生と性格を考える際に、極めて重要だと思い長く引用させていただきました。私は、こういう経緯で創刊し継続してきた『情況』という雑誌を読んで、みずからの思想形成の一端としてきたのです。ですから、今回のような不当な“圧力”を許すことはできないわけです。

ちなみに個人的な話になりますが、私は70年代の終わりから80年代にかけて、みずからがやってきた運動と思想を総括しようと『季節』という冊誌を出しました。全部で15冊程度で終わりました。『インパクト』(のちにインパクションに誌名変更)や『噂の眞相』よりも早い創刊でしたが、幕を閉じるのも早く、また内容でも『情況』『インパクト』『噂の眞相』などの足元にも及びませんでした。

このようにして、私(たち)は『情況』という雑誌に、それなりの思い入れを持って読んできたのです。昨年、大下さん亡き後、再出発したいので出資を募るというので、有無を言わず応じたのでした。

◆『情況』今号発行直前の軋轢

さて、同誌前号(2019年春号)で初期の段階から「カウンター/しばき隊」に関わってきた高橋若木氏の論考「『三・一一後』とは別様に 新入管法と運動史の切断」と座談会が掲載されているのを見て、真正面から彼の論を批判するわけではないが、彼が関わってきた「カウンター/しばき隊」に因んで寄稿を編集者に申し込みました。

これまで畏れ多くも同誌に寄稿させてもらったことはなく(インタビューが1回ありますが)、私なりに考えあぐんで文章を書き連ね担当編集者に送りました。既刊(19年冬号)で、この通信でもお馴染みの田所敏夫の論評に対して、『情況』は前号で全面的に反論された方の原稿(小波秀雄「福島の現実は差別や偏見との闘いである」)を掲載しました。雑誌として当然のあり方です。ですから、私の拙稿も当然全文掲載いただき、くだんの「リンチ問題」についての議論がなされたらいいな、と思っていました。

『情況』前号で私の目に止まったのは、TOKYO DEMOCRACY CREW(だったのは過去のことで今はやめていると本人は言う)高橋若木氏の名でした。高橋氏が、野間氏や、仲間のbcxxxこと竹内真氏らと初期の「カウンター/しばき隊」の路線を確立したことは、その界隈の者なら誰でも知っている“公知の事実”です。さらには「鹿砦社の質問状からは漏れてたけど、重要人物の一人」「主水へのリンチ事件の二次加害者をランク付けしたらA級戦犯レヴェル」などという噂さえあります。

笠井潔氏

そんな者に、なんと16ページも割き、さらに笠井潔氏らとの座談会(14ページ)にも登場しています。破格の待遇ですが、おいおい、『情況』は「カウンター/しばき隊」の理論誌だったのか!?

これには、とりあえずはなんらかの異議は述べなくてはなりません。私は同誌の株主でもあり、このところ毎号巻末に1ページ広告も出広したりしてささやかに同誌継続に協力してきたつもりです。株主にも少しはページを割いてほしい……。

そうして書いた論評でした。確かに今号に4ページにわたり掲載されていますが、遺憾なことに前半部分がそっくりカットされています。

送稿後、同誌編集部は、事実確認のために高橋氏本人に連絡を取ります。当然です。しかし、高橋氏は、私たちが想像する以上に仰天したらしく、大騒ぎしたようです。師と仰ぐ(?)笠井潔氏にも連絡を取り、何としても私の原稿掲載を潰しにかかります。松岡のような悪質な「デマ」を振り撒く人物の原稿を載せるな、ということでしょうか。特に笠井氏は強く掲載に反対したようです。これには理由があって、その一つと察せられるのは、「しばき隊/カウンター」のドン・野間易通氏との関係でしょう。

笠井氏は、このところしばき隊のドン・野間易通氏と昵懇の仲になり、共著の新書(『3・11後の叛乱―反原連・しばき隊・SEALDs』)も出しています。これは分からないでもありません。私とても、野間氏が当初から参画する「反原連」(首都圏反原発連合)を誤認して評価し1年以上にも渡り、「広告代」名目で300万円余りの資金援助をしていたわけですから。私が野間氏や反原連などの呪縛が解けた経緯は、この通信でも再三述べていますので繰り返しませんが、笠井氏が、野間氏や反原連、しばき隊の呪縛から解かれることを祈ります。

古い話になりますが、笠井氏には、1985年に一度書籍に寄稿いただいています(「戦後ラディカリズムの現在」/『敗北における勝利』所収)。その直前に尼崎の集まりの場に呼ばれお会いしました。お会いしたのはこれ一度です(高橋氏には会ったことはありません)。

その後、諍いなどなく長らくご無沙汰してきましたが、今回、このような形で“再会”するとは思いもしませんでした。笠井氏は、私のことを熟知しているかのように仰っているみたいですが、私と笠井氏の接点は、1985年の寄稿一回切りでした。私がどこでどう「デマ」を振り撒いているか明らかにしてほしいですね。笠井氏ともあろう方が、こんなことで「デマ」だなんだとムキになり大騒ぎされるのはいかがなものでしょうか? 「デマ」だと仰るのなら、少しはご自身で調べられた上でのことでしょうね? 野間氏からの受け売りではないですよね?

 

リンチ直後の被害者大学院生M君

リンチ事件について「カウンター/しばき隊」の人たちは「デマだ」「でっち上げだ」「リンチはなかった」「リンチではない」などと異口同音に言いますが、今回笠井氏らもそうですね。リンチ事件があったことを私たちは、綿密な取材・調査で5冊の本にまとめました。リンチの最中のおぞましい音声データ(CD)も付けていますし、リンチ直後の被害者の顔写真も公にしています。「デマだ」「でっち上げだ」「リンチはなかった」「リンチではない」などと言うのであれば、くだんの5冊の本に対する反論本なり反証本を出すべきではないですか? 笠井氏とあろう方ならドンと構えられたらどうでしょうか? 5冊の本を献本送付させていただきますので、斜め読みでもいいですから目を通してから「デマ」とか「リンチはなかった」とか仰ってください。

さらには、笠井氏か高橋氏か、ご両人ともか分かりませんが、私が同誌編集部を脅して寄稿を無理強いさせようとしているかのようにも仰ってもいるようです。私がいつ同誌編集部の方々を脅したのですか? いい加減なことを言わないでください。自分で言うのも僭越ですが、私も歳を重ね、最近では「仏の松岡」とか「好々爺」との評があり、他人を脅してまで寄稿を無理強いさせることなどありません。

そうこうしているうちに校了日が近づき、編集部も板挟みになり困っていましたし、私としても、これまで自社の出版物以外には、くだんの「リンチ事件」について報じるメディアもなかったことから、「不十分でもリンチ事件について明らかにできればいいではないか」と妥協し、前半部分のカットを了承したわけです。

高橋若木氏を大きく採り上げた朝日新聞(2014年9月13日)

高橋若木氏も、みずからに良い情況の時には、えらく元気ですが(別途新聞記事参照)、今回のような問題が起きれば、ビビッたのか自分で解決できず、年長の笠井氏に泣きつくなど、情けないぞ! 高橋氏はおそらく時流に乗って社会運動に加わり、さほどの苦労もなくのし上がったようで、今回のようにみずからにダイレクトに批判が来ると右往左往する程度の人物のようです。

また、笠井氏も、名も実績もある作家ですが、だからこそ「松岡の文章を掲載すれば、今後『情況』には協力しない」などと子どもみたいなことを仰るとは思いもしませんでした(笠井氏も野間氏と往復書簡をやるくらいですから、あえて厳しい物言いをさせていただきますが、“焼きが回った”ということでしょうか)。

さらに苦言を呈せば、『情況』編集部も、高橋氏や笠井氏らの物言いや圧力は、これ自体が不当なわけですから、「ピシャッ!」と跳ねのけていただきたいものです。

以上の記述は、『情況』編集部とのやり取りや外部情報などを勘案し書きました。事実誤認があれば訂正しますのでご指摘ください。また、笠井氏、高橋氏からの反論も大歓迎です。両氏には、私たちが足に豆を作り額に汗して調査・取材してまとめたリンチ関連本5冊を献本送付しておきますので、ご笑納いただき、少しは認識を改められ、私たちが言っていることが「デマ」ではないことを知っていただければ、と望みます。

*削除された前半部分を以下そのまま掲載しておきます。大騒ぎするほどのものですかね? 読者のみなさんはどう思われますか?

◆     ◆     ◆     ◆     ◆

松岡の論評(全4ページ)

〈本誌前号を紐解き驚いた。「しばき隊」の中心的グループTOKYO DEMOCRACY CREW(だった?)高橋若木氏に多くのページが割かれ、さらに笠井潔氏らとの座談会にも出席している。かつて笠井氏は黒木龍思のペンネームで、構造改革派の流れを汲み、新左翼党派では小規模セクトの部類に入る「プロ学同」(プロレタリア学生同盟。のちに赤色戦線)のトップで新左翼運動の一角を占めていた。ちなみに、先頃亡くなった『噂の眞相』編集長・岡留安則氏もこの党派に所属していた(本人談)。笠井氏は、のちに「マルクス送葬派」を自称した。最近では「しばき隊」トップの野間易通氏と昵懇のようで共著(『3.11後の叛乱 反原連・しばき隊・ SEALDs』)もある。
 さらに本誌前号には、反原発雑誌『NO NUKES voice』を発行し原発問題についての考え方や立場が私とは異なる小波秀雄氏の論考も掲載されており、「勘弁してくれよ。『情況』も様変わりしたな」と嘆息した。
 今回は、前号の高橋若木氏の論考に直接言及はせず、(後述するが)関西で、俗に「しばき隊リンチ事件」といわれる「カウンター大学院生リンチ事件」の被害者支援と真相究明に関わり、本誌の株主であり広告出広者でもある私としては一言呈しておかざるをえないということで本稿を寄稿する。

◆「しばき隊」とは何者か?

 高橋若木氏が活動の拠点としていたTOKYO DEMOCRACY CREWは「しばき隊」と総称される社会・政治運動勢力の中心を占め、高橋氏は、一時はしばき隊No.2とされたbcxxxこと竹内真氏や、今でもしばき隊の活動家とされるTAKUYAMAこと山本匠一郎氏らと共に、その主要人物だとされる。元しばき隊のメンバーによれば、「高橋さんや野間さんや竹内さんらとしばき隊の道筋を作った人です」という。TOKYO DEMOCRACY CREWはしばき隊の中心だったことは有名だが、本誌前号で高橋氏は「2015年夏まで」はTOKYO DEMOCRACY CREWのメンバーだったと自認している。
 竹内氏はやがて個人情報晒し事件(はすみリスト事件)の責任を問われ離脱に追い込まれるが(2015年秋)、その際にTOKYO DEMOCRACY CREWも解散したのだろうか? 現在高橋氏は入管問題に関わっているということだが、2015年秋以降から現在はどうだろうか? しばき隊との関係はどうか? リンチ事件が明らかになるや、「俺は(カウンターやしばき隊と)関係ない」とシラを切る者も多いが、そうではないだろうね?〉

◎小見出し(「しばき隊とは何者か?」)はそのままで、その前後の文章が削除されています。


◎[参考音声]M君リンチ事件の音声記録(『カウンターと暴力の病理』特別付録CDより)

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5月下旬から先月半ばにかけて、くだんのリンチ問題について私と公開議論を行い、それなりに有益な方向に行けば……と思った矢先、一方的に「終結」を宣言し、「逃亡」した感が否めない前田朗東京造形大学教授が、何を思ったか、「反差別運動における暴力(三)」を『救援』(603号。7月10日発行)紙上に発表されました。

前田朗教授「反差別における暴力(三)」(『救援』603号。2019年7月10日発行)

一読して、先の2つの論評の時ほどのインパクトはなく、むしろ違和感を覚えました。

だいいち、本通信6月4日号(「唾棄すべき低劣」な人間がリーダーの運動はやがて社会的に「唾棄」される!~前田朗教授からの再「返信」について再反論とご質問~)に私が前田教授に行った質問に対しただの一つも答えずに、今回の論評を寄稿された神経が理解できません。

「炎上商法」と鹿砦社を揶揄したことを坊主懺悔して、実質的に議論の打ち切りを行ったのは前田教授です。坊主懺悔されたので、私も大人の分別で、それ以上の追及は控えましたが、この期に及んで『救援』に再び私論を展開するのはどういう神経でしょうか? 学者の「常識」は、私たちにとって「非常識」だと感じました。

私の知人や取材班、支援会などの者たちは、「そもそも松岡さんの質問から『逃亡』した前田教授には、この問題を論じる資格があるのか?」という意見が大勢でした。常識的に見れば、私もそうだろうと思います。

知人の中には、『救援』は、「『言論弾圧法』である『ヘイトスピーチ解消法』の成立に尽力し、その勢力の擁護者であり、かつリンチ事件について無責任な発表を続けてきた前田教授を連載から降ろすべきである」と言う人もいました。

前田教授の周囲には現在、「ヘイトスピーチ解消法」の強化、もしくはもっと厳しい罰則のある新法の制定を唱える人たちが多いようですが、これは、言い方を変えれば「もっと弾圧を厳しくせよ」というものです。今は対象がヘイトスピーチを行うネトウヨ/極右勢力に対するものですが、やがて対象が捻じ曲げられたり拡大解釈され自らにはね返ってきたり、想定していなかった人たちにも行使されるとの危惧は否めません。かつて暴力団を取り締まる目的で出来た凶器準備集合罪が、やがては新左翼を弾圧する根拠となったように。

また、「カウンター」側の人たちの口汚い暴言や罵詈雑言を見るに、これも「ヘイトスピーチ」ではないのかと思うことも往々にしてありますが、解釈を変えれば「カウンター」の言説を「ヘイトスピーチ」と捉えられる可能性は十分にあるのではないでしょうか。そういった基本的な「権力に対する警戒心」が希薄すぎるように思われてなりません。

そうこう考えると、前田教授の主張は、本来の救援連絡センターの活動趣旨に反するものだと思います。少なくともセンターが弾圧を助長するような法律を認めてはいけません。

◆今回の論評中の個々の問題点に対するコメント

それでは、幾つか気になった点を見てみましょう。──

加害者に謝罪を迫るのは当たり前ですが「Mにも非があったのだから」とはどういう意味でしょうか? 判決のどこにそのようなことが書いてあるのでしょうか?

前田教授は「双方が謙虚に謝罪し合うべきである」などと呆れた主張をされていますが、どうして一方的に集団リンチの被害にあった被害者M君が、加害者に謝罪する必要があるのでしょうか? ささいな喧嘩ではないのですよ。一方的に凄惨な集団暴行を受け半殺しの目にあった被害者に「謝罪しろ」などとの物言いは、さらに被害者を痛めつけるものです。そうではないですか? 

被害者M君が加害者に謝罪する必要や道理など、金輪際ないし、一方的被害者に不当な「謝罪」を要求している点で、前田教授の論は加害者に加担するものであることが明らかです。いわば“喧嘩両成敗”を勧め、一見まともに見えますが、問題の本質から外れています。前田教授は本当に事件の内実をご存知なのでしょうか?

M君や鹿砦社の代理人、大川真(ママ。「伸」が正しい)郎弁護士を「筆者が敬愛する弁護士」としていますが、東京在住の前田教授は、大阪弁護士会の大川弁護士の仕事の内容や業績を熟知されているのでしょうか? また大川弁護士と昵懇の仲なのでしょうか?(少なくともそんな話は聞いたことはありませんし、大川弁護士は、いわゆる「人権派」「左派」としての仕事を積極的になさるのではなく、基本的には左右を超えた実務肌の弁護士ではないでしょうか)。

「和解の障害となっているのは鹿砦社、松岡利康社長……李信恵および関係者の間の対立がますます激化していることである」(ん?)

いい加減にしてください! 基本的な事実認識が間違っています。鹿砦社は李信恵氏に散々ツイッターで罵詈雑言、誹謗中傷をされ、「通告書」などで「品性なく事実に反する言いがかりを控えるよう」要請しましたが、一向に収まらず、さらに仲間らも付和雷同しエスカレートする兆しもありましたので、仕方なく出版社としての業務防衛のために提訴せざるを得なかったのであって、好き好んでお金と手間暇を使い訴訟を起こしているわけではありませんよ。この訴訟は一審で鹿砦社が勝訴しましたが(控訴審判決は7月26日)、提訴以降、李信恵氏本人や仲間らも鹿砦社への誹謗中傷を自重しつつあるようです。

一方、李信恵氏はその訴訟の中でほぼ争点が出尽くし、間もなく結審か、というタイミングになり急に「反訴したい」と言い出しました。裁判所は李信恵氏の反訴を認めなかったため、李信恵氏は別の訴訟を起こしました。前田教授の言い分では、あたかも双方が同じレベルで「喧嘩」をしているかのような印象を読者に与えますが、上記のような事情が全く無視されています。意図的にか前田教授の無知かはわかりませんが、このくだりも虚偽を述べている点で非常に悪質でさえあり責任も重いでしょう。

その他、鹿砦社に対して批判する権利を前田教授は有しないと思います。なぜならば冒頭に述べた通り前田教授は私との公開の議論から一方的に「逃亡」しているからです。前田教授が一方的に「逃亡」した事実は、少なからずの人たちが知り、いわば“公知の事実”になっており、先の2つの論評に感激した人たちを落胆させました。前田教授はまず6月4日付けの本通信において投げかけられた質問事項に真摯に答えるべきではないでしょうか? 「今からでも遅くない。背筋を正して事実と責任に向き合うべきである」(反差別運動における暴力一)と前田教授自身が述べておられるではないですか。

 

リンチ直後に出された李信恵氏の「謝罪文」(1ページ目のみ。全文は『カウンターと暴力の病理』に掲載)

さらに前田教授は「裁判所の判決に従え」と繰り返し述べておられます。これは、原発訴訟や行政訴訟などで不当判決が下された場合でも、それに従えというようなもので、住民や市民が、心ある弁護士や学者らの力を借りながら不当判決に抗していくことを前田教授はどうお考えなのでしょうか?(とりわけ『救援』紙上でこのような主張は妥当でしょうか?)「弾圧されて、不当判決を出されても従え」──“前田論法”では刑事事件においてはこのような行為を推奨することになります。そんなバカな話はないでしょう。

ア・プリオリに「判決に従え」を繰り返す前田教授の意見には同意しかねますが、仮にその論を認めるとして、裁判所の判決が被告によって「履行」されなければ、どうしろというのでしょうか? 現に加害者の一人、金良平氏は、裁判によって確定した賠償金の支払いを渋っており、金良平氏によるM君の被害は全く回復されていません。この事実に「判決至上主義」の前田教授はどう申し開きなさるのでしょうか? 「判決至上主義」は、明確に破綻していることが示された事実です。

ちなみに、私見を申し上げれば、このリンチ事件は、前田教授もおっしゃるように全員に「道義的責任」があり、リンチの現場に同座した5人全員に連帯責任があると考えますので、和解の前提としては、まずは賠償金を5人全員で負担すべきではないでしょうか? なにしろ「エル金は友だち」だったわけですから──。

リンチ直後に出された金良平(エル金)氏[画像左]と李普鉉(凡)氏[画像右]による「謝罪文」(いずれも1ページ目のみ。全文は『カウンターと暴力の病理』に掲載)

 

辛淑玉氏による2015年1月27日付け文書「Mさんリンチ事件に関わった友人たちへ」(1ページ目のみ。全文は『カウンターと暴力の病理』に掲載)

今から思い返せば、前田教授は「本書(注;鹿砦社出版のリンチ関連本)が批判する野間易通、辛淑玉、有田芳生、中沢けい、上瀧浩子とは面識があり、いずれも敬愛する運動仲間である」(「反差別運動における暴力」一)と述べておられました。あの論評の論旨は立派ではありましたが、結局全員が何らかの形でM君に対する〈加害者〉となったわけで、そんな連中への「敬愛」を表明していた前田教授。あの時に前田教授が、連中と根本は同根であることを見抜けなかったのは、私(たち)にとって不徳の致すところでした。それどころか、「前田教授の姿にこそ、腹を据えて持論を展開することのできる真の言論人の矜持を見る」(『カウンターと暴力の病理』P82)などと過大評価(誤認?)していました。少なからずの方もそうだったと思うと、前田教授の責任は決して軽くはないのではないでしょうか?

前田教授は論評の中で李信恵氏に対し「唾棄すべき低劣さは反差別の倫理を損なう」(「反差別と~」二)と喝破されましたが、これは今でもそうお考えでしょうか? リンチ被害者M君の人権を顧みず、村八分にし隠蔽に走り闇に葬ろうとした「カウンター」周辺の者らこそ「唾棄すべき低劣」な人種だと断言しますが、そういう人間に「人権」などという崇高な言葉を使って欲しくはありません。

◆「和解」への途はあるのか?

これまで本稿では前田教授に対して厳しい意見を申し述べてきましたが、今回の論評に前田教授の認識と一致するところがないわけでもありません。末尾に、「本件が反差別・反ヘイト運動にもたらしたダメージは計り知れない」から「これ以上、反差別・反ヘイト運動を貶めないように自戒してもらいたいものだ」と記されています。

これには異議がありませんが、「デマだ」「でっち上げだ」「リンチはなかった」「リンチではない」などと異口同音に言うだけで、「自戒」や反省などどこへやら、リンチ事件と真正面から取り組まず隠蔽活動に走った人たち、とりわけ前田教授が共同代表を務める「のりこえねっと」の辛淑玉氏ら他の共同代表の方々に対して、もっと強くおっしゃってほしいものです。

さらに前田教授は、今回殊更に「和解」を勧めておられます。

「和解の条件を整える努力を続けるべきである」
「確定判決を前提に和解の席につくべきである」
「今後の和解に向けた冷静かつ真摯な対応を期待したい」等々

私は従前から自らを和解論者と自認してきました。これまでに出版した5冊の本の端々にもそう記しています。特に第5弾本の木下ちがや・清義明氏との座談会で、木下氏が予想外に物分かりの良い様子だったこともあり、そう申し述べ、賛意を得ました。しかし、「和解」実現のためには、まずは李信恵氏らが一方的に反故にした「謝罪文」に立ち返ることが最低必要条件でしょう。そうではありませんか?

そうして、前田教授が、頑なにM君や私たちを攻撃し続ける加害者らに仲介の労を取られる覚悟があるのであれば、私(たち)も意を決して「和解の席につく」こともやぶさかではありませんし、それが反差別・反ヘイト運動の近未来にとって有益な方向に向かうのならそうします。李信恵氏ら加害者側の人たちはいかがでしょうか?

しかし、前田教授に、「カウンター/しばき隊」周辺からの厳しいバッシングと対峙して「和解」への仲介の労を取る覚悟がないのであれば、簡単に「和解」という言葉を口にしてほしくはありません。

例えは悪いですが、ヤクザの抗争でもどこかで“手打ち”が行われます。ここでも、第三者的立場の大物ヤクザが仲介する場合があります。仲介に立つ大物ヤクザにとって失敗したらヤクザの世界で生きていけなくなったり威信が下がりますし、場合によれば殺されかねませんから命がけです。前田教授は勿論ヤクザではありませんが、それなりに大物ですし発言力は大きいわけですから、“手打ち”の仲介人になっていただければ、このかん荒れに荒れてきた反差別運動界隈に平和が戻ることでしょう。「敬愛」する前田教授へ──。

*【付記】6月7日に前田教授を招いて反ヘイト・反弾圧の「大学習会」を主催した戸田ひさよし前大阪門真市議から「弾劾質問状」が届き、これに期限の6月30日に回答し(7月1日付け本通信参照)、この際、戸田氏に逆質問を行い、この期限を、戸田氏からの質問状の期限と同じ3週間後の7月21日に設定させていただきましたが、戸田氏から「当方で種々の用件が重なってしまっているため、そのご希望にそえず、『できるだけ8月上旬までの見解表明』、『最も遅くとも8月下旬までの見解表明』とさせていただきます」との連絡がありましたので、とりあえずお知らせしておきます。
  

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6月12日、リンチ被害者M君が5名を訴えた上告について、却下の連絡が代理人の大川伸郎弁護士へあった。賠償を命じられた李普鉉氏からは「賠償金を支払いたいので口座を教えてくれ」と代理人から連絡があった。一方金良平氏からは何の連絡もないので、大川弁護士は金良平氏の代理人に「賠償金の支払い」を求める旨と、大川弁護士の銀行口座明細を記載したFAXを送付したが、7月2日現在大川弁護士には、金良平氏の代理人から何の連絡もないという。

確定判決で約114万円(プラス利息)の支払いが命じられた金良平氏。大阪地裁の法廷でも尋問の際は、M君に向かい一応「謝罪」の態度をとっていたが、それは心からのものであるとは到底感じられなかった。まさか、ではあるが金良平氏がM君に対して賠償金の支払いを行わなければ、M君の被害は永遠にあがなわれないこととなる。金良平氏はエルネスト金 @erukimnenのハンドルネームで、最高裁却下が伝えられた6月12日の前日まで、実に多くの書き込みを行っていた。しかしそれ以降は意見の表明などは一切控えているようだ。

これほど頻繁にツイッターをする時間があったら、M君の弁済に充てるお金を準備するのに、どうして働かないのだろうか。相変わらず居丈高な発信が目立つが、金良平氏に「反省」の気持ちはあるのだろうか。そして、仮に自分で賠償金が準備できなくとも、知人(彼には少なくともM君リンチ現場に臨んだ4名の友人がいる)などに、用立てしてもらい、M君への賠償金を支払う気持ちと準備があるのだろうか。

もし、現在金良平氏がM君への賠償金支払いの算段で、忙殺され連絡が取れていないのであれば、取材班は上記懸念を取り消し、金良平氏にお詫びする。しかし、判決確定後「賠償金支払い」がM君の代理人から伝えられて約半月が経過する。「支払う気があるのか」、「すぐには支払えないのであれば、どのように弁済するのか」くらいは連絡があってよかろう。

「祝勝会」と称し浮かれる加害者と神原弁護士(2018年3月19日付け神原弁護士のツイッターより)

そのようなことは、断じてあり得ないと信じるが、まさか金良平氏は裁判所の判決を「踏み倒そう」と考えてはいまいか。そのことに「悪知恵」を貸している金良平氏の「悪友」はいまいか。金良平氏に告ぐ。あなたのそばで、もしそのような「友人」を装った人間がいれば、その人はあなたを永遠に「社会的存在」ではなくそうと企図する、あなたの本質的な敵である。金良平氏は裁判所の判決通りの金員をM君に支払えば、民事的な責任は果たしたことになる(道義的責任はともかく)。しかし、もし金良平氏が策を弄してM君への賠償金支払いを行わなければ、永遠に「裁判判決不履行者」の負い目をおわなればならない。

我々は知っている。しばき隊の連中は「用済み」になった、あるいは「お荷物」になった人間をいかに冷酷に切り捨てるか。その結果最悪の事態に陥った人間もいるではないか。

もし金良平氏にM君への賠償金支払いの財力がなければ、「人権」、「差別」を口にする「友達」のために、「M君リンチ現場」に居合わせた4名は、金良平氏の人生を縛る永遠の十字架から彼を解放するために、金良平氏に資金援助をすべきである。それこそが、冷酷な法によるものではなく、真に人間的な問題解決と金良平氏の人生を助ける道ではないのか。

取材班は被告諸君と、その代理人弁護士の方々へ金良平氏の将来を案じて、あえて提案するものである。

大学院生リンチ加害者と隠蔽に加担する懲りない面々(『カウンターと暴力の病理』グラビアより)


◎[参考音声]M君リンチ事件の音声記録(『カウンターと暴力の病理』特別付録CDより)

(鹿砦社特別取材班)

《関連過去記事カテゴリー》
 M君リンチ事件 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=62

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6月9日に、なにかと過激な言動で有名な戸田ひさよし前大阪門真市議から私に対して「弾劾質問状」が届きました。6月7日に戸田さんらが催された、この間やり取りした前田朗教授を招いての「大学習会」について触れた5月23日付け「デジタル鹿砦社通信」(及び私のFacebook)の戸田さんについての部分に対するものです。期限が6月30日ということですので、期限の昨6月30日回答させていただきました。

「弾劾質問状」の全文は戸田さんのHP
http://www.hige-toda.com/x/c-board/c-board.cgi?cmd=one;no=11376;id=#11376
と、私の6月19日付けFacebook
https://www.facebook.com/toshiyasu.matsuoka.7
で公開されていますので、アクセスしてご覧ください。

戸田さんからの要望で公表・公開でやろうということですので、私の回答と、私から戸田さんへの「ご質問」を以下全文公開いたします。

「デマだ」「中傷だ」とお互い罵り合うのではなく、近未来的に有益になるように前向きな議論ができれば幸いです。

なお、戸田さんは5月23日付け「デジタル鹿砦社通信」の戸田さんに関する記述の部分について「撤回」と「謝罪」を要求されていますが、現時点においては「ご回答」に述べた通り相当な理由と根拠がありますので、その必要はないものと考えます。

◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇

戸田ひさよし 様

ご 回 答

                           

2019年6月30日
                           株式会社鹿砦社
                           代表取締役  
                            松岡利康  

はじめに

ここ3年余り、私たちは「カウンター大学院生リンチ事件」の被害者支援と真相究明に関わってきましたが、私たちの取材や質問に多くの方々が真正面から向き合うことなく逃げ回っていることを見るにつけ、反面教師として、「そういう人間にはなりたくないな」と感じることも往々にしてありました。なので、私は戸田さんからの「弾劾質問状」に対して真正面から向き合い、私なりに真摯に回答したく思います。悪意を持った間違いはありませんが、無意識、無知による間違いは潔く訂正いたします。

また、戸田さんから途中経過も公表し公開でやりたい旨の要望もありました。すでに戸田さんのサイトでは「弾劾質問状」全文など公開されていましたが、こそこそやるのは私の性格ではなく、わざわざご連絡いただかなくても、公表・公開は望むところです。くだんの「リンチ事件」をめぐる議論も公表・公開でやりたかったのですが、関係者は逃げまくったり、単に「デマだ」「でっち上げだ」「リンチはなかった」「リンチではない」などと紋切り型の台詞を言うばかりで、きちんとした公開の議論は成立しませんでした。

この反省からも、今回、公表・公開したやり取りになり、問題点が明らかになればいいんじゃないでしょうか。

戸田さんもどこかで引用されていた記憶がありますが、「君の意見には反対だ。しかし、君が意見を言う権利は死守する」というヴォルテールの有名な言葉、議論の原点になる言葉があります。これを踏まえて、今回も前向きにしっかり議論いたしましょう!

もう14年も前になりますが、私が「名誉毀損」容疑で神戸地検特別刑事部に逮捕された際、戸田さんには想定外のご支援を賜りました。勾留理由開示公判で傍聴席の一番前でこぶしを挙げながら大声で裁判官に抗議しておられた戸田さんの姿を思い出します。これについては今でも恩義に感じています。その節はお世話になりました。

また、同年しばらくしたら戸田さんも逮捕されました。ほぼ同時期(私は7月、戸田さんは12月)に権力の弾圧を受け逮捕されたということで親近感もあります。だからこそ、少々の“ヤンチャ”はいいとしても、5年前のことで旧聞に属するとはいえ今回問題とされた「凪論」主宰者・N氏に対する行き過ぎた攻撃は残念であり遺憾です。戸田さんは、そんなに弱い者いじめをするような人ではないと思っていたからです。

戸田さんは先の統一地方選挙で、私も含め大方の予想に反し落選されました。私の高校の先輩は、前回落ち、4年間艱難辛苦を舐め年金で糊口をしのぎながら今回返り咲きました。戸田さんも、これから4年間は収入がなくなるわけで大変だと思いますが、ぜひとも捲土重来を期していただきたいと思います。

私は、個人的には戸田さんのキャラクターは嫌いではありません。むしろ小市民的な議員が多い中で、このキャラクターは議会に喝を入れるためにも必要だと思っています。

神原元弁護士のツイートより

また、「リンチ事件」に私たちが関わっているのを、「私怨と妄想にとりつかれた極左の悪事」(加害者側の代理人にして「カウンター/しばき隊」の守護神・神原元弁護士のツイート)にあるように、「私怨」だと言う人たちがいますが、私が直接リンチを受けたわけでもありませんし、李信恵氏ら誰彼への「私怨」からやっているわけではありません。趙博氏には直接裏切られましたので「私怨」がないと言えば嘘になりますが、こと戸田さんについては裏切られたこともなく「私怨」などありません。「凪論」N氏への攻撃という行き過ぎたアクションは批判しますが、戸田さんの人格批判はいたしません。この前提で議論し、わだかまりが解ければ幸いです。

戸田さんが連携されている「連帯労組(連帯ユニオン関生支部)」に対し権力の弾圧が続いています。鹿砦社は連帯労組との関係は希薄ですが、主義・主張を問わず権力からの弾圧には一致して抵抗すべきだ(「救援連絡センター」の当初からの思想でもあります)と思い、ささやかながら私どもが発行している雑誌『紙の爆弾』2019年3月号でも「救援連絡センター」代表の足立昌勝教授に寄稿いただきました。献本送付しておきますのでぜひご一覧ください。

あと、私の思想的なポジションですが、間違っても「ネトウヨ」や「極右」「レイシスト」ではありません。また、逆に「極左」でもありません。「カウンター/しばき隊」界隈の方々は私や鹿砦社を「極左」呼ばわりしますが、不正確です。先に挙げましたが、「私怨と妄想にとりつかれた極左の悪事」、これはどういう意味か? 誰が「極左」か? 何が「私怨と妄想」か? 神原弁護士にはとくとご説明いただきたいものです。「ネトウヨ」とか「極右」とか「レイシスト」と呼ばれるよりはマシかもしれませんが、あまりにひどいレッテル貼りであり物言いです。

また私は「リベラル」でも「革新」でも、ましてや戸田さんのように勇ましい「革命的左翼」でもありません。学生時代から「差別・排外主義」と闘うことは私にとって当然のことで、このスタンスは変わりませんが、体質としては、反戦、反原発、反改憲(特に9条と21条)で、ちょっと左がかった頑固な「守旧派」だと自分では思っています。しかし、私も歳を重ね、若い頃と違い、他人の反対意見にも耳を傾け柔軟に対応する度量はあるつもりです。

上記を前置きとして以下思うところを申し述べます。

6・7集会案内

〈1〉本件「弾劾」の発端

戸田さんは、去る6月7日に、ミュージシャンの趙博氏、仲岡しゅん弁護士らと共にヘイトと連帯労組弾圧に抗議する学習会を開かれました。ここに畏敬してきた前田朗教授が講演されるということで、ご恵送いただいた著書へのお礼兼ねて留意されるよう手紙を出しました。手紙は、リンチ事件の被害者支援で、いったんは「共に頑張ろう!」と意志一致していたところ、突然掌を返された趙博氏を主に念頭に置いて書いたものでした。私たちにとって趙氏は突然裏切ったA級戦犯であり到底許せない人間だからです。私たちは直接裏切られたわけですから、実感として身に染みています。前田朗教授が李信恵氏に対し『救援』紙上で、「唾棄すべき低劣さ」と断罪されましたが、趙博氏こそまさに「唾棄すべき低劣」な人間です。

また次いで、被害者M君と昵懇の間柄であったのに、こちらも離反し、たびたびM君や私たちを誹謗してきた仲岡しゅん弁護士がいたことも、私たちには疑問でした。趙氏の裏切りについては『ヘイトと暴力の連鎖』P74~79「『浪速の歌う巨人』趙博の裏切り」、『カウンターと暴力の病理』第7項「われわれを裏切った“浪速の歌うユダ”趙博に気をつけろ!」を、また仲岡しゅん弁護士については『人権と暴力の深層』第8項「M君リンチ事件に、見て見ぬふりを続ける『売り出し中』の二人の偽善者」を参照してください。

『カウンターと暴力の病理』より

『人権と暴力の深層』より

その学習会の案内に戸田さんも共催者(共謀企画者)の一人として名がありました。戸田さん一人で主催されたのなら、私も前田教授に手紙を出すこともなかったと思いますし、前田教授に挨拶するために出向いたかもしれません。戸田さんの過去の“武勇伝”=「凪論」主宰者・N氏攻撃(特に勤務先訪問)を思い出し、いわば“付け足し”として、手紙にも「デジタル鹿砦社通信」にも記載しました。これが今回「弾劾」されているものです。戸田さんについて私が問題にしているのは「凪論」主宰者・N氏への行き過ぎた行為のみです。

先に申しましたが、私が意識したのは主に趙博氏であり、比率で言えばこれが5、次に仲岡しゅん弁護士で比率2、そして戸田さんで比率1、この3人が同席することで比率2という按配です。

趙博氏は、いろんな運動に首を突っ込み、いろいろ軋轢や齟齬を起こし顰蹙を買っているとの情報が少なからずあります。仲岡弁護士も、リンチ被害者M君に手を貸すのではなく、崖から谷底に落とすようなことをやっています。正義感溢れるダイレクトな性格の戸田さんは、こうした人たちと一緒にやらないほうがいいんじゃないか、とアドバイスしておきます。趙博氏から私たちが受けたようなことになるのを懸念します。一度人を裏切った人間はまた裏切ります。くだんの本の中のタイトルに因んで言えば、「趙博に気をつけろ!」です。

その「通信」の後、末尾に記した一覧のように前田教授と私とのやり取りが続きました。

〈2〉リンチ事件と前田教授の勇気ある論評

私たちはここ3年余り、被害者らからの要請を受けて「カウンター大学院生リンチ事件」に関わり、前田教授は2度「反差別運動における暴力」という論評を『救援』紙に発表されました。戸田さんもすでに読まれているものと察しますが、非常に勇気ある、また本質を衝いた論評で、私たちも感激しましたし、おそらく戸田さんもそうでしょう。良識派の人々の間では評価が高かったものです。

この間の前田教授と私とのやり取りで、最後は前田教授が、鹿砦社を「炎上商法」と言われたのが何かのメーリングリストで暴露されたことについては「謝罪」されました。ですが私が項目を設けお尋ねしたことには、答えず逃げられました。残念なことです。上記の2つの論評のあの明晰さは一体何だったのかと落胆いたしました(ここでは戸田さんの「弾劾質問状」とは直接関係がありませんので、これ以上述べません。詳しくは「デジタル鹿砦社通信」か私のFacebookをご覧ください。このやり取りは末尾にリストアップしておきます)。

〈3〉戸田さんによる「凪論」主宰者・N氏攻撃と勤務先訪問、これに関連する地裁判決

戸田さんは、2014年5月頃、「ネトウヨ・ヘイター」「札付きの権力弾圧促進分子」として「凪論」というサイトの主宰者・N氏を攻撃し、さらにこれがエスカレートして遂に勤務先の児童相談所を訪れます。申し入れ書を作成し児童相談所所長にこれを渡し面談しN氏の配置転換を求めるためです。突然のことに衝撃を受け恐れおののき、勤務先に迷惑がかかることを懸念したN氏はサイト閉鎖を決断し、その後再開されていません。戸田さんによれば、「公然非公然の情報戦、個別撃破の電撃戦、『戸田戦略』の勝利!」と意気揚々と述べておられます。「凪論」は、けっこう有名なサイトだったらしく、左右問わず再開を望む声があるようです。

正直なところ私は、戸田さんに指摘されるまでに、この程度の知識はありましたが、もっと深くは調べませんでした。戸田さんのこの行動についての情報を見た私が思ったのは「これはマズイだろう」ということでした。このたび、戸田さんからの「弾劾質問状」で出てきましたので、私なりに調べてみました。結論から先に申し上げれば、「ここまでやる必要はないだろう」ということです。

私が14年前の「名誉毀損」事件で保釈され『紙の爆弾』を復刊しました。ご支援のお礼の意味もあり、一定期間にわたり少なからずの方々に献本送付していましたが、かなり多数の方(500人ほど)に膨れ上がり経費節減のために基本的に全廃し送らなくなり、戸田さんとは活動分野も異なり徐々に疎遠になっていきました。そして、この件(「凪論」N氏の勤務先訪問)が疎遠への決定打となりました。

今回、「弾劾質問状」を受けましたので、私の性格上徹底的に調べてみました。

まず、やはり一般市民に近い下級公務員(戸田さんが指摘される「副主幹」とは幹部でも管理職でもなく、民間で言えば係長クラスだということです)の勤務先を訪れるのはマズイと思います。

戸田さんも繋がりがある「カウンター」界隈の方々は批判者に対し勤務先に一斉電話攻撃を仕掛けたり、内容証明を送ったりするのが常套手段のようです。ある自動車販売会社の経営者には、メーカーの本社や取引銀行などに誹謗中傷の電話したり、戸田さんも交流のある、ある国会議員の選挙カーが自宅近くまで行き(自宅に行き呼び鈴を鳴らし、幸いにも家人が不在だったとの情報もあります)、それを詳細にツイートしたりしています。

さらには、あろうことか、リンチ事件や、これを惹き起こした「カウンター/しばき隊」に批判的な在日コリアンの医者が勤める公立病院にまでやんややんやと電話攻撃したりしています。いくらなんでも、人の生命に関わる問題で、これは誰が見ても非難されるべきです。普通だったら「凪論」N氏のように参ると思いますが、上記の会社社長と医者の2人は図太い神経の持ち主のようで参ることはなく反撃していますが、これは例外でしょう。戸田さんの行動もこうした類いと思っていました。

さらに、戸田さんの行動の前後、これに連繋するかのようにN氏の職場(児童相談所)には相当な数の電話があったそうです。本名や身元は明かさず、一方的に汚い言葉で暴言を吐きN氏を非難していたとのことです。児童相談所がただでさえ人出不足で忙しいことは、昨今の児童虐待に関係する報道でも想像できますが、N氏が勤務する児童相談所がてんやわんやであったことが察せられます。

戸田さんによるN氏の勤務先を訪れた行為は、思想・信条に関係なく、誰もが嫌がることです。相手が仮に「ネトウヨ」であったにしろ、逆に「極左」であっても、これは常識として慎むべきではないでしょうか。N氏は「嫌がらせ」と認識していますが、私もそう思います。

もうずいぶん前(1970年代後半)のことですが、私は大学を出て当時大阪心斎橋に在った小さな会社に勤めていましたが、在学中に学費値上げに反対し逮捕され有罪判決を受けていました。私の勤務先のビルの入口から公安の刑事が電話してきて、「出て来ないと会社に行くぞ」と脅され、やむなく出て行ったことがありました。もし刑事が会社に来て上司や経営者にいろいろ話したら、大変な騒ぎになっていたと思います。零細企業でしたので解雇になったでしょう。これと似ています。戸田さんは刑事ではありませんが、戸田さんが勤務先に来て動転したN氏の気持ちは分かります。

戸田さんは今回の選挙で、前回よりもかなり票を落とし落選となりましたが、選挙民は、見ていないようで見ています。しばらくは地元に足場を置いた運動に専念されたほうがいいのではないでしょうか。

ちょうど偶然にも、戸田さんによるN氏攻撃や勤務先訪問のネット記事を拡散したとして、N氏は「ぱよぱよちーん」こと久保田直己氏を提訴し、一審で勝訴しています(静岡地裁民事第1部平成30年(ワ)第212号。平成31年3月29日判決言渡。賠償金20万円。N氏は本人訴訟で、久保田氏の代理人は神原元弁護士)。N氏は戸田さんに恐怖を抱いているのか直接戸田さんを提訴していませんが、もし戸田さんが提訴されても同じような結果になると思います。直接でないにしろ戸田さんの行動を見る目安にはなるでしょうから、これを援用しつつ記述を進めます。

N氏は、上記久保田氏に対して提訴し勝訴したのみならず、しばき隊のトップ・野間易通氏に対しても提訴し、やはり静岡地裁で勝訴(賠償金20万円)しています。N氏に対する2つの訴訟資料を読むと、N氏への攻撃が凄まじかったこと、これにN氏がかなり参っていたことが判ります。野間氏、久保田氏、そして戸田さんの目論見は、おそらくそこにあったのではないかと推察いたします。

N氏について私はやはり「一般市民で下級公務員」と認識しています。公務員は、キャリアであるかないかで大きく「高級」か「下級」かに分けることができると思います。キャリアでなくとも、今回の児童相談所の所長や局長クラスならまだしも、N氏は「総務担当副主幹」だったそうですが、地位もさほど高くはありません。民間での「係長」クラスだそうで、やはり「下級公務員」で「一般市民」と見なしていいかと思います。公務員だからといって、すべて即公人、準公人というわけではありません。

N氏はなぜかM君の訴訟や鹿砦社が李信恵氏を訴えた訴訟にも数度傍聴に来られ、顔見知りになり簡単な会話をしました。付き合いと言えばそれだけのことで、一緒に飲食を共にしたことなどありません。N氏を、戸田さんは、「『反ザイトク側をもっぱら非難攻撃する』という『ザイトク別働隊・裁判オタク』、つまりは親ザイトク分子で、その上『札付きの権力弾圧促進分子』である凪」として、いわば「ヘイトの先頭に立っていた」人物、「ヘイトスピーチの被害者に思いを馳せたり気の毒に思ったりすることのない人物」「ネトウヨ・ヘイター」「札付きの権力弾圧促進分子」等々と詰(なじ)っておられます。事前にこのイメージがありましたので、もっと理知的でスマートな風貌を持つコワモテな方かと思っていましたが逆でした。彼はどこの組織にも属さず、サイトが閉鎖されるまでは身に付けていた法律知識を表現するブロガーにすぎず、独身で出世欲もなく、落語(傍聴の後に大阪・天満天神繁昌亭に行ってました)とサッカー(ある在日の選手のファンだとのこと)が趣味で、人の好い地方の下級公務員の中年オヤジという感じで、子どもが好きな児童相談所の職員というイメージがピッタリでした。とても「ザイトク別動隊」「ネトウヨ・ヘイター」などとは思えませんでしたし、そうした「ヘイトの先頭に立っていた」人物ということを静岡地裁も否定しています。

戸田さんがN氏の勤務先に来所された日、N氏が担当し面倒を見ていた子どもが相談所を出る日で、労いと激励の声をかけてやりたかったということでしたが、戸田さんが相談所を出られてから、上司に呼ばれ事情を聴かれたり大変だったようで、それができなかったことを悔やんでおられました。戸田さんが仰られる「子どもや社会的弱者に寄り添う気持ちが持てない者」(申し入れ書)とは逆のイメージです。

特段N氏を庇うわけではありませんが、戸田さんはN氏について牽強付会な物言いをされているのではないか、と感じました。

また、「凪論」は在特会などの「行動する保守」らに対しても批判記事を掲載していて、N氏なりにバランスを取っていたのではないか、と思います。

野間氏、久保田氏、そして戸田さんらによるネットでの非難や職場訪問が重なれば、私なら音(ね)を上げていたでしょう。私のみならず多くの方もそうだと思います。

さらに戸田さんは児童相談所を出てからN氏の自宅まで行き、自宅の写真を撮っておられます。このことはサイトでも書かれていますが、サイトに書かれていないことがありますよね? 戸田さんのサイトは複雑なので私が発見できないのかもしれませんが、その写真をN氏宛に配達証明郵便で送られましたよね? これは事実ですか? 事実であれば、これはどういう意図なのでしょうか? 常識的に見たら脅しとしか思えませんよ。実際にN氏は脅しだと感じたそうです。読者の皆様はどうお感じになるでしょうか?

ご存知のように鹿砦社は、14年前の「名誉毀損」逮捕事件で壊滅的打撃を受けました。しかし多くの皆様方のご支援で再興し、一時はヒット作が続き、かなりの利益が出て税務署に持って行かれそうになり、運動に還元することにしました。この一つに、野間氏らと繋がる「首都圏反原発連合」(反原連)に1年間で「広告代」名目で300万円余り拠出しました(が、反原連からは、感謝の言葉もなく一方的に「絶縁」されました)。反原連や、これに繋がるSEALDs-しばき隊-カウンターに疑問を持った最初のきっかけは、韓国からの京大研修員・鄭玹汀(チョン ヒョンジョン)さんへの凄まじいネットリンチでした(2015年)。母子で異国にやってきて、凄まじいネットリンチを受ければ、正義感の強い戸田さんがこれを見たら、「これはひどい!」と思われるでしょう。外国から来た人に対し、いろいろ親身に世話を焼くのではなく、逆に激しいバッシングをする――私は日本人として恥ずかしい気持ちでいっぱいでした。 

くだんの静岡地裁判決は、N氏に対する戸田さんの言動について、ほとんど「原告(注:N氏)の外部的名誉、すなわち社会的評価を低下させることが認められる」と判示しています。

特に、いまだに削除していないN氏の本名をフルネーム(最初は名字のみ、後にフルネーム)で表記し勤務先等も公開していることもまた同様の判示をされています。

さらには、「原告がヘイトスピーチを行っていたことやヘイトスピーチを先頭に立って主導していたことを被告が真実であると信じたことについて、相当な理由があるとは認められないというべきである」としています。

そうして、「本件戸田記述の記載内容について、違法性は阻却されず、原告に対する名誉毀損が成立する」と結んでいます。

ちなみに、くだんの箇所は戸田さんのサイトではいまだに掲載されています。久保田氏への訴訟で一審勝訴判決を得たN氏が今後どうするか分かりませんが、もしN氏が一審勝訴判決を基に戸田さんを提訴すれば戸田さんの敗訴は免れないと思われますので、老婆心ながら、今からでも削除されることをお勧めいたします。

〈4〉戸田さんからの具体的質問項目についてお答えします

これまでの記述で、私の回答の概略なり骨格はお分かりになるか、と思います。以下、戸田さんからの個々の具体的質問項目について申し述べます。

Q1.異論はありません。ただ、N氏が職場に居ずらくなるような、勤務先の児童相談所を訪れ、この所長宛に「申し入れ書」を渡し面談を要求する行為は賛成できません。また、戸田さんが仰られるような人に該当する者とは誰がどんな基準で判断するのでしょうか。

Q2.これも異論はありませんが、ここでも、誰がどんな基準で、戸田さんが否定される人物だと判断するのでしょうか。先の静岡地裁判決では、「原告(注:N氏)が人間らしい暖かい感情や人間としての良心を持ち合わせていない冷酷な人物であるという印象を閲覧者に与えるから、原告の外部的名誉、すなわち社会的評価を低下させることが認められる」と判示されていますが、この判示は戸田さんのサイトの文章の少なからずの箇所に及んでいます。

Q3.これには異論があります。当事者の静岡市の市議なら、申し入れたり改善を求めるのは理解できますが、戸田さんは大阪門真市の市議でいらしたのですから、他県他市の公務員の人事にまで口を出すのはいかがなものでしょうか。N氏の言動をすべて支持するわけではありませんが、遠隔地から勤務先にまで来られて抗議されるほど悪質であったとは思えません。仮に悪質であったにしろ筋違いでしょう。

Q4.戸田さんがN氏の勤務先を訪れ所長に面談したこと自体が迷惑行為ですし、N氏はおそらく数日仕事が手につかなかったんじゃないでしょうか。気が小さな方のようですし尚更です。戸田さんには、N氏が嫌がるということは分かった上での来所―所長面談だったのではないんですか? 立派な「業務妨害」です。

Q5.N氏とは市民や子どもらに「恐怖」を与えるような人物なのでしょうか。先の静岡地裁の判示で、「原告が人間らしい暖かい感情や人間としての良心を持ち合わせていない冷酷な人物であるという印象を閲覧者に与えるから、原告の外部的名誉、すなわち社会的評価を低下させることが認められる」とし、「本件各戸田記述の記載内容について、違法性は阻却されず、原告に対する名誉毀損が成立する」とされています。私はこの判決を支持します。

戸田さんの訪問や数多くの電凸攻撃などあれば、普通の企業なら解雇か、これに近い処分を受けるでしょう。N氏が、あれだけの攻撃を受けながらもいまだに勤務できているのは、「人間らしい暖かい感情や人間としての良心を持ち合わせて」いるからではないでしょうか。

Q6.2014年にはしばき隊/カウンター問題にはさほど関心がなく、「ああ、戸田さんがマズイことやったな」ぐらいにしか考えていませんでした。そして、「もうこういう人とは付き合わないでおこう」と思い、連絡などやめました。また、事実関係について戸田さんのサイトでの記述には間違いないだろうと思っていました。なので、戸田さんには特段確認する必要もないと考えていました。逆に事実関係を確認すべきなのはN氏に対してだと思います。

(2)静岡市児童相談所には取材していません。N氏の立場を顧みると、平穏に戻っているところで、再び「寝た子を起こす」ようなことはしたくありませんから。

(3)N氏本人には、取材班メンバーの協力を得て長時間取材し疑問点を幾つかたずねましたが、戸田さんの訪問や野間氏らによるネット攻撃には非常に迷惑し精神的に参ったということを繰り返しておられました。私がN氏の立場だったら同様だと思います。

(4)N氏は、戸田さんらによる攻撃には精神的も参り、戸田さんの勤務先来所を機にサイトを閉じたということです。「逃亡」でもなんでも構いませんが、人ひとりの言論を封じる結果になりました。N氏はたかが地方の一下級公務員ですよ、果たしてここまでやる必要があったのか疑問です。N氏には確かに右翼的言辞も散見されますし、逆に在特会やネトウヨに対する批判的コメントもあります。私は、平たく言って、N氏の言動をかなりの部分で評価できません。支持できる部分は、むしろ少ないです。組織をバックにしているわけでもありませんし、これぐらいは言うに任せたらいいんじゃないでしょうか。

戸田さんともあろう方が、こんな地方の下級公務員をイジメてどうするんですか。弱い者いじめとしか映りませんよ。せっかく直撃するのなら、もっと大きな相手、強者、権力になすべきでしょう。

今回、戸田さんによる「凪論」主宰者・N氏攻撃について、N氏本人への長時間の電話取材や前出の判決文の解読など徹底的に調べました。知らないことがずいぶんと判りました。「デマ中傷」どころではなく、戸田さんがサイトに記述されている以上に、凄まじい事実が出てきました。もうこんなことはやめるべきです。いくら「反差別」「反ヘイト」を旗印にしても、その頃から今に至るまで続く、暴言や電凸攻撃を一斉に行うようなネットリンチ(私刑)、ましてや職場訪問などはやめるべきだと思います。私の言っていることは間違っているでしょうか?

非礼を顧みず忌憚なく申し述べさせていただきましたので不快な点があれば何卒ご容赦ください。

以上、戸田さんの「弾劾質問状」への回答とさせていただきます。

《付 記》

【前田朗教授―鹿砦社・松岡利康の公開書簡】

◎松岡利康 前田朗教授の豹変(=コペルニクス的転換)に苦言を呈す!(2019年5月23日付けデジタル鹿砦社通信)http://www.rokusaisha.com/wp/?p=30689
◎前田朗氏 鹿砦社・松岡利康さんへの返信(2019年5月26日付け前田朗氏ブログ)http://maeda-akira.blogspot.com/2019/05/blog-post_56.html
◎松岡利康 前田朗教授の誤解に応え、再度私見を申し述べます(2019年5月28日付けデジタル鹿砦社通信)http://www.rokusaisha.com/wp/?m=20190528
◎前田朗氏 鹿砦社・松岡利康さんへの返信(2)(2019年6月1日付け前田朗氏ブログ) http://maeda-akira.blogspot.com/2019/06/blog-post.html
◎松岡利康 「唾棄すべき低劣」な人間がリーダーの運動はやがて社会的に「唾棄」される! 前田朗教授からの再「返信」について再反論とご質問(2019年6月4日付けデジタル鹿砦社通信)http://www.rokusaisha.com/wp/?p=30796
◎前田朗氏 鹿砦社・松岡利康さんへの返信(3)(2019年6月9日付け前田朗氏ブログ) https://maeda-akira.blogspot.com/2019/06/blog-post_22.html
◎松岡利康 前田朗先生、私の質問に真正面からお答えください!このリンチ事件をどう本質的に解決、止揚するかが社会運動の未来のために必須です(2019年6月13日付けデジタル鹿砦社通信) http://www.rokusaisha.com/wp/?m=20190613
◎前田朗氏 鹿砦社・松岡利康さんへのお詫び(2019年6月13日付け前田朗氏ブログ) https://maeda-akira.blogspot.com/2019/06/blog-post_13.html
◎松岡利康 前田朗教授が「お詫び」ブログを公開! 私との公開書簡も、私の質問に答えず一方的に「終了」宣言。はたしてこれでいいのでしょうか?(2019年6月17日付けデジタル鹿砦社通信)http://www.rokusaisha.com/wp/?p=31064

【その他の関連記事】

◎特別取材班 カウンター/しばき隊の理論的支柱・師岡康子弁護士による犯罪的言動を批判する! 前田朗教授に良心があるのなら、師岡のような輩と一緒に行動してはいけない!(2019年5月27日付けデジタル鹿砦社通信)http://www.rokusaisha.com/wp/?m=20190527
◎特別取材班 リンチ被害者M君勝訴! 加害者に約115万円の賠償金支払いが確定! 直ちに賠償金を支払え! 「M君敗訴」などという「誹謗中傷は許さない!」(神原弁護士の言)(2019年6月14日付けデジタル鹿砦社通信)http://www.rokusaisha.com/wp/?m=20190615
◎横山茂彦 しばき隊リンチ事件をめぐる松岡利康氏と前田朗氏の相論 ── 論点の整理、および事件の解決・和解のために (2019年6月18日付けデジタル鹿砦社通信)http://www.rokusaisha.com/wp/?p=31121

◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇

戸田ひさよし様
             

ご 質 問

                           

2019年6月30日
                           株式会社鹿砦社
                           代表取締役  
                            松岡利康  

戸田さんからの「弾劾質問状」には、私なりに真っ正面から取り組み真摯にお答えいたしました。

このたびは、あらためて戸田さんに以下のご質問をさせていただきますので、来る7月21日(日)までにご回答お願い申し上げます。ご回答の期限は、戸田さんからの「弾劾質問状」のご回答期限と同じ3週間とさせてください。

ご質問1: 戸田さんは6月6日付けサイトにおいて、私を「こじれサヨ」と揶揄されていますが、この根拠を具体的に明らかにしてください。

私は、鹿砦社が発行している『NO NUKES voice』で原発反対を謳い、この関係の集会には時々参加することはあっても、こうした反原発運動以外には、社会運動の場にはほとんど登場していません。他に「カウンター大学院生リンチ事件」被害者支援と真相究明活動ぐらいですが、私がどこで何をどのように「こじらせてしまった」のか教えてください。

ご質問2: 先の「ご回答」でも連々申し述べさせていただきましたが、私が悪意を持って、具体的にはどのように戸田さんへ「酷いデマ中傷」(6月6日付け「ちょいマジ掲示板」)を行ったのか明らかにしてください。

「凪論」追及(児童相談所所長への「申し入れ書」、勤務先の児童相談所への訪問など)に対する事実関係については戸田さんのサイトの記事をほぼ100%信じていますので「デマ」ではなく、これに対する私の論評や意見は、静岡地裁の判決に沿ったもので根拠があり「中傷」にはあたらないと考えています。

私たちは、この3年余り、「カウンター大学院生リンチ」事件の被害者支援と真相究明に関わってきましたが、「カウンター/しばき隊」界隈の方々が真っ先に口にするのは「デマ」という言葉です。戸田さんのケースには戸田さんご自身のサイトでの記述を基にしていますので「デマ」ではありません。私の論評が「デマ」であれば、戸田さんの記述も「デマ」ということになってしまいます。

ご質問3: 6月1日の戸田さんのサイトで、「『松岡氏の旧ブント仲間OBからの借金踏み倒し事件』を戸田が信頼する複数の被害関係者から話を聞いて」「『借金事件』は裁判になったけれども、原告(貸した側)が(不当に?)負けた」云々とありますが、この原告の名前、裁判所、事件番号を明らかにしてください。これが明らかにできなければ提訴も可能ですが、戸田さんは間違いなく敗訴しますよ。

私にはここで戸田さんが指摘されるような経験の記憶が全くありません。借金関係でこれまで裁判になったことはありません。戸田さんは、おそらく人の噂や悪口が好きな連中の言葉を簡単に信じられているのではないでしょうか。逆に私は貸し付けて返済しない人に対して法的措置を執り差し押さえたことが最近でもありましたが。

お蔭様で現在の鹿砦社は再起を果たし健全経営で支払いなどの遅れもありません。むしろライターさんなど個人事業主には、支払い期日よりもなるべく早く支払うように努め感謝されています。

ちなみに、14年前の「名誉毀損」逮捕事件で、ひどい話ですが、銀行や公的機関などからの借り入れもできなくなりましたので、いきおい業績アップに頑張らざるをえなかったのですが。

ご質問4: 「財政厳しき左派メディア」の『救援』『人民新聞』に「大規模連続広告を出し続けて『重要な金主』になっている」、「松岡氏にしたら『オレが左翼を支えてやってるんだ』、という『驕り』が強まっているんじゃないでしょうか?」と書かれていますが、これは一体どういう意味でしょうか? ご説明いただけますか?

『救援』の広告は1回5万円、『人民新聞』は1万円です。これで「オレが左翼を支えてやってるんだ」もないでしょう。ご承知のように、私と鹿砦社は、14年前の「名誉毀損」逮捕事件で壊滅的打撃を蒙りました。運よく、多くの方々のご支援で再起できました。このお返しの意味も込めて、できるだけ運動に還元しようとしていて、私なりの恩返しのつもり以上の気持ちはありません。この行為のどこがいけないんですか? 人の厚意に対し、真っ直ぐに捉えず、「オレが左翼を~」というように曲解して仰るのはおやめください。

ご質問5: 私(たち)は、この3年余り「カウンター大学院生リンチ事件」の被害者支援と真相究明に関わってきました。この事件について戸田さんはどう思われますか? 正義感の強い戸田さんなら、きっと「許せない!」と思われるはずです。

私たちが心血を注いで作った本5冊を送りましたので、ご一読の上、ぜひともご意見をお寄せください。リンチの加害者らの周辺からは、「デマ」「でっち上げ」「リンチはなかった」「リンチではない」という言葉でしか、“反論にもならない「反論」”があるのみですが、戸田さんならもっと違う反応があるものと信じています。

ご質問6: 前田朗教授は『救援』紙に2度「反差別運動における暴力」という論評を発表されました。最近ではこの論評をみずから否定される言動に接し、私たちや、発表時に前田教授の勇気ある言動に感激し高く評価した多くの人たちは落胆いたしましたが、前田教授の2つの論評と、これをみずから否定されるような前田教授の言動について戸田さんのご意見、ご感想を述べてください。

『救援』(580号。2017年8月10日発行)

『救援』(589号。2018年5月10日発行)

ご質問7: このかんの前田教授と私とのやり取りについて戸田さんのご意見をお述べください。また、最後には私からの設問には答えず、逃げた印象がありますが、これについても戸田さんのご意見をお述べください。

ご質問8: 「リンチ事件」の被害者支援と真相究明の過程で、当初被害者の味方のように私たちの前に現われ、すぐに掌を返した、6月7日の学習会の共催者の趙博氏の行動をどう思われますか?

被害者が趙博氏に渡したリンチ事件関係の貴重な資料は戻って来ていません(結局、この資料の取得と被害者サイドの動きを探ることが目的だったという人もいます)。私から申し上げれば、はっきり言って、簡単に人を裏切り、先の「ご回答」でも述べましたように前田朗教授が李信恵氏に対して『救援』紙上で断罪された「唾棄すべき低劣」な類いの人間で、正義漢で少なくとも人を裏切ることをよしとしない戸田さんが付き合うような人物ではありません。実際に趙博氏に裏切られた私が言うのですから間違いありません。「朱に交われば赤くなる」という諺を想起してください。

ご質問9: その学習会の参加者の仲岡しゅん弁護士の、リンチ事件についての言動についても戸田さんはどう思われますか?

以上、よろしくお願いいたします。

なにが「デマ」だ! なにが「でっち上げ」だ! 徹底した調査・取材によって発行したリンチ関連本!

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鹿砦社 http://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000541

本欄をご愛読の方々は、すでに「しばき隊リンチ事件」およびそれに付随した論争はご周知のことと思います。Mさんリンチ事件の民事裁判は最高裁まで争われ、下級審控訴審判決どおりMさんの勝訴で決着した(2人の被告に114万円余の賠償金)。刑事事件も同様に、被告2人に有罪罰金刑となっている。不十分ながら、被害者が勝訴したのは幸甚です。

それはともかく、当該リンチ事件に批判的だった(「救援」紙に2度の論考を掲載)前田朗さんが、しばき隊の「関係者」とイベントで同席することに関して、鹿砦社の松岡利康さんから批判があった。

その件で双方の応酬があり、本欄はしばらく論争の場と化した(前田さんは、ご自身のブログで応答)。これを揶揄して「リンチ事件の場外乱闘」などと評すことはできない。言論人としての誠実さ、論旨の精緻さが問われる論争であって、そこから「リンチ事件」の本質を抽出し、その解決、謝罪や和解にむけた道筋を明らかにする内容がもとめられたはずだ。これは今も変わらないだろう。

「鹿砦社・松岡利康さんへのお詫び」(2019年6月13日付け前田朗氏ブログ)

3度にわたる応酬ののち、前田さんから松岡さんへの「お詫び」が明らかにされた。前田さんが「(鹿砦社の)炎上商法」と揶揄した批判が、不適切だったというものだ。その他の論点には触れられていない。したがって見解は変わらないものと理解します。

謝罪した前田さんの誠実さは、本欄での論争の帰趨を落ち着いたものにした。しかし前田さんが「資格がない」として今後の発言を自制されたのは、ちょっと残念なことである。というのも、いくつかの点で誤解や性急さがあり、事件の本質および「謝罪」あるいは「和解」への脈絡が閉ざされたやに感じられるからだ。

前置きはこのくらいにしたい。じつは松岡さんからわたしに、第三者的な意見をという要請があり、不肖ながら論点の整理をしようと思った次第である。およそ論争というものは論軸を逸らしたり、別の議論にすり替えたりしてしまうと、何も生み出さない。批判のための批判、収拾のつかない言い合いになってしまうからだ。今回はそんな様相(第三者への批判のひろがり)を見せながらも、前田さんの真摯な態度で論争は「中断」した。いずれふり返られて、反差別運動への何らかの教訓が提言できれば良いのではないか。

ともあれ、ここでは松岡さんと前田さんの議論にかぎって論点を整理し、読者諸兄姉の解読の一助となるのを目的にしたい。それがリンチ事件の解決・和解に向かう道筋の糸口になれば幸いである。ただし論争のジャッジメントではなく、あくまでも現在のわたしの批評にすぎない。読者諸兄姉のご批評をたまわれば幸甚です。

そこで論点を拾ってみたが、細かい点はともかく、わたしが気になったのは以下の3点、いずれも前田さんの論点およびわたしが読み込んだ論点である。

《1》処分なしの判決が出たのだから、李信恵さんのリンチ事件関与はなかったのか?

《2》たとえリンチ事件に関係する団体の関係者でも、同席することに問題はない

《3》被差別当該・複合差別の当該は、無条件に擁護するべきか

このほかに前田さんが云う、リンチは複数犯であることが構成要件との認識は論外であり、また判決は複数被告に有罪であるから、前田さんの論法をもってしても「リンチ事件」であるのは明白で、あえて論点とはしなかった。

◆《1》処分なしの判決が出たのだから、李信恵さんのリンチ事件関与はなかったのか?
  ── 法的責任はなくとも、リンチ事件への関与は批判されるべきである

前田さんは「李信恵さんについて言えば、共謀はなかったし、不法行為もなかったことが裁判上確定しました」(第1回返信)「受け入れがたい事実であっても、双方の立証活動をふまえた上で裁判所が下した判断が確定したのですから、社会的に発言される場合には、確定した事実をもとに発言されることが肝要です」(第2回返信)と述べている。

これでは、すべての事件・社会問題の解決は裁判所の判断にゆだねるべきで、事実誤認があっても受け容れよということになる。前田さんは「批判は自由だ」としながらも「社会的に発言される場合には、確定した事実をもとに発言されることが肝要」と云っているのだ。これは肯んじかねる。

松岡さんの反論はこうだ。

「先生は裁判で私たちの主張が否定されたのだから、これに従うようにと諭されています。しかし、住民運動や反原発の運動で、ほとんど住民側が敗訴し、裁判所の周りでがっかりしている住民の姿をよく見ますが、これでも裁判所がそう判断したのなら従えとの先生のご教示は同義だと思います」

松岡さんが指摘するとおり、前田さんは不当判決とされるものも「確定した事実をもとに発言」するべきだというのだろうか。この論法だけ切り取っていえば、袴田巌さんは有罪、狭山事件の石川一雄さんも有罪ということになる。裁判所の政治権力寄りの、あらゆる不当判決を是認することになるではないか。被害者側の視点・立場が欠けているから、このような裁判所無謬論とでもいうべき立論に陥ってしまうのだ。

前田さんは「この件で『冤罪』と言えるのは李信恵さんだけ」というフレーズを入れている。まさに李信恵さんの立場に立ってのみ、この裁判を見ていたのではないだろうか。

裁判判決が不当なものであれば、判決を批判するのは当然のことである。必要ならば再審を訴えることで、被害を回復するのも当然の権利である。そのための大衆運動は、これまでにも多くの被害者たちが行なってきた。それを知らない前田さんではないはずだ。一般論になってすみませんが、そのうえで加害者には道義的責任も問われるべきである。

前田さんも、李信恵さんの道義的責任を指摘している。

「法的責任はないとしても、道義的責任は残り、かつ大きいはずだと考えます。その意味で『救援』記事を訂正する必要はありません。関係者の行動にはやはり疑問が残ると言わなければなりません」

前田さんの「救援」の記事中、李信恵さんの道義的責任に関する箇所は以下のとおりだ。

「C(李信恵=引用者)をヘイト団体やネット右翼から守るために、本件を隠蔽するという判断は正しくない。Cが重要な反ヘイト裁判の闘いを懸命に続けていることは高く評価すべきだし、支援するべきだが、同時に本件においてはCも非難に値する」

そう、李信恵さんは、本件については非難に値するのだ。したがって法的には無罪が確定したとしても、道義的責任は相互の論争の場において、あるいは表現の場において批判に晒されるべきであろう。言論において判決に従がう必要などまったくないのだ。そうであればこそ、前田さんが「救援」で述べられている内容は「社会的に発言される場合には、確定した事実をもとに発言されることが肝要です」という教示とは明らかに矛盾し、みずからMさんの立場から李信恵さんらを批判しているのだ。 

◆《2》たとえリンチ事件に関係する団体の関係者でも、同席することに問題はない
  ── 論者には多面性がある

もともとこの論争は、松岡さんの側から前田さんがイベントで、事件に関係する団体の関係者3人と同席することへの批判だった。関係者の個々の関与については、寡聞にしてよく知らないので、かなり一般論に傾くことをご容赦ねがいたい。

わたしの立場は、たとい暴力事件に関わっていたとしても、表現の場は保障されなければならないというものです。ただし大衆運動の局面では、今回のようなイベントの場合はとくに、主催者および当該団体が出席の可否を判断するべきだと考えます。そこには生身の人間が介在するからだ。しかし、表現の場では自由でいいのではないか。

じっさい、わたしが編集している雑誌に、しばき隊の運動に過去に参加した論者が社会運動に関する論考を発表している。そのことについて、松岡さんから批判を書かせて欲しいとの要請があり、これを了解している。当該の論考には書かれていない事実についての批判になりそうなので、これには事実関係のみを先方に確認してもらう作業が必要となる。もちろん批判された論者にも、反論の場を提供するつもりだ。論争は事実関係が鮮明となり、論点が明確になる貴重な成果が見込めるからこそ、誌面を解放する意義があるのだ。したがって、事件に関与したから排除する、あるいは同席しないという立場は、わたしは採らないのです。

そこで、前田さんの見解を引用させていただくが、これには大いに賛成せざるを得ない。

「人間人格は多面的であり、決して一次元的ではありません」「社会的には立派な医者や弁護士と思われていても、自宅ではDVに励んでいる夫がいるのではありませんか。道徳教育の重要性について熱弁を振るっている政治家が、セクハラ常習犯というのは良くある話です。世の中には、マイノリティ女性に激しい憎悪むき出しでストーカー状態になっている人物が、孤立した被害者救済のために立ち上がった義侠心溢れる好漢ということもあるかもしれません」「一面を取り上げて鬼の首を取ったように決めつけ、全否定する論法は時として誤りにつながることもあるのではありませんか。人は多面的であり、しかも可変的でもあるのです」(第3回返信)

松岡さんは今回の事件に関連して、長らく仕事をともにしてきた方と訣別しなければならなかったと云われています。個々のケースがあるので一概には言えませんが、わたしはそうはしなかっただろうと思います。出版活動・出版事業はどこまでも理論闘争であり、相手を排除するのは政治闘争だと思うからです。

今回のリンチ事件は、加害者側が隠ぺいをするという政治的な対応をしてきたので、いきおい政治的な応酬(排除・訣別)となったのはやむを得ない。ことは運動内部の暴力であり、なかったことにするのは運動に対する無責任、事件を見ないふりをするのは思想的な頽廃です。

ひるがえって、排除や訣別も相互討論の放棄につながりかねない行為だと思います。被害者のMさんの闘い、鹿砦社と松岡さんの支援の闘いを支持しつつも、前田さんの見識に理があると考えました。もうひとつ付言しておけば、出版・編集という立場は、出版権・編集権という権力を持っています。政治的な対応はきわめて慎重を要し、抑制的にすべき立場にあるのだと思います。

◆《3》被差別当該・複合差別の当該は、無条件に擁護するべきか

このテーマは、一般的な運動論になります。

前田さんの論調には、李信恵さんの差別との闘い、とくに「複合差別」との闘いを「無条件に」高く評価するべき、との力点が感じられました。前田さんをして、今回の事件をめぐる論点を曖昧にしたものがあるとすれば、この力点ではないでしょうか。わたしは《2》に挙げた人間の多面性の観点から、李信恵さんの闘いは評価すべきだと思います。その意味では「救援」の論考を撤回せずに、李信恵さんをリンチ事件では批判するが、在日差別・反ヘイトクライム運動においては評価する立場はあるのだと思います。ただし、それに参加したくなるかどうかは、また別問題です。

わたしが高校生のころの話です。東京で朝鮮高校の生徒と国士舘高校・大学の学生が駅頭や列車内でくり返し乱闘となり、日本人の左翼系の高校生・学生のなかで「無条件擁護闘争」が起りました。乱闘の間に割って入り朝鮮高校生を無条件に護る、ようするに代わりに殴られるというものです。わたしの地元である北九州は在日朝鮮韓国人が多く、地元の不良高校生との喧嘩が少なくありませんでした。大学の学生活動家から一緒に「無条件擁護闘争」をやらないかと誘われたことがありました。

しかし北九州の実態は、朝鮮高校生からわたしたちが強喝されるのが日常茶飯事で、とくにわたしが通っていた高校はいわゆる坊ちゃん学校だったので、喧嘩の強い朝鮮高校生たちに角帽を奪われる(戦利品?)事件が頻発していました。とても「無条件擁護闘争」など参加する気分になれなかったものです。たったひとりでも、同世代として声を交わし合う朝高生がいれば、殴られるだけの闘争に参加したかもしれない。そんなことを後年、筑豊出身の在日の方と飲みながら話した記憶があります。無条件擁護はあってもいいと思うが、現実にはその運動に魅力があるかどうかではないでしょうか。

今回のリンチ事件を、運動の関係者がいち早く隠ぺいに動いたのには、理由があったはずです。運動内部の暴力が露顕すると、運動の広がりが阻害されると考えたからにほかならない。それはしかし、運動の発展をみずから阻害することでしかありませんでした。

暴力事件が起きたのは残念ながら仕方がないとしても、それを謝罪・反省することなく隠蔽しようとしたところに、浅薄で取り返しのつかない問題があると指摘しておきましょう。そこには運動は簡単に操作できる、政治工作で人を操れるという安易さ、社会運動のいちばん悪い面が凝縮しているからです。そんな人を騙すような体質の運動に、人を参加させる魅力があろうはずはありません。

社会運動がつねに清く正しくとは思いませんが、困難ながらも関係者が当初の「謝罪」に立ち返り、和解への途を模索することこそ、運動のおおらかな発展につながると確信してやみません。

[参照記事]
◎松岡利康【カウンター大学院生リンチ事件】前田朗教授の豹変(=コペルニクス的転換)に苦言を呈する!(2019年5月24日付けデジタル鹿砦社通信)

鹿砦社・松岡利康さんへの返信(2019年5月26日付け前田朗氏ブログ)

◎松岡利康【カウンター大学院生リンチ事件】前田朗教授の誤解に応え、再度私見を申し述べます (2019年5月28日付けデジタル鹿砦社通信)

鹿砦社・松岡利康さんへの返信(2)(2019年6月1日付け前田朗氏ブログ)

◎松岡利康【カウンター大学院生リンチ事件】「唾棄すべき低劣」な人間がリーダーの運動はやがて社会的に「唾棄」される! 前田朗教授からの再「返信」について再反論とご質問(2019年6月4日付けデジタル鹿砦社通信)

鹿砦社・松岡利康さんへの返信(3)(2019年6月9日付け前田朗氏ブログ)

◎松岡利康【カウンター大学院生リンチ事件】前田朗先生、私の質問に真正面からお答えください! このリンチ事件をどう本質的に解決、止揚するかが社会運動の未来のために必須です(2019年6月13日付けデジタル鹿砦社通信)

鹿砦社・松岡利康さんへのお詫び(2019年6月13日付け前田朗氏ブログ)

◎松岡利康【カウンター大学院生リンチ事件】前田朗教授が「お詫び」ブログを公開! 私との公開書簡も、私の質問に答えず一方的に「終了」宣言。はたしてこれでいいのでしょうか?(2019年6月17日付けデジタル鹿砦社通信)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)
 

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この間、公開書簡の形でやり取りをしている前田朗教授が「お詫び」ブログ
https://maeda-akira.blogspot.com/2019/06/blog-post_13.html
を公開されました。

前田教授の『救援』紙に公表された2つの論評は、教授の良心が現われている名文です。前田教授にはリンチの情報が伝わっておらず蚊帳の外に置かれていたようですが、これを私たちが作った本で知られ、教授の懸念と警告が、はたして加害者とこの周囲、神原元、上瀧浩子、師岡康子弁護士らに伝わったか疑問です。

少なくとも前田教授が、くだんの『救援』の2つの論評を書かれた際には、このリンチ事件に対して怒りと運動への懸念があったことは事実でしょう。

『救援』(580号。2017年8月10日発行)

『救援』(589号。2018年5月10日発行)

ならば、私(たち)からの質問には真正面から答えていただきたかったと思うと残念です。6月13日の通信でも述べていますが、私の一連の通信は前田教授と論争し教授を論破しようということを目的としたものではありません。「お詫び」なんて要りません。真正面から〈対話〉し、このままでは社会運動や市民運動への悪影響は否めませんから、なんとかこれを回避したいと思ったのです。前田教授の見識や立場からすれば、教授が意欲的にリンチ事件の本質的解決・止揚の作業に取り組まれれば、社会運動や市民運動への悪影響を阻止できると考えていました。

今回で、私とのやり取りも「終了」ということですが、読者の皆様方は、どう思われますか? 私の個人的意見としては、「お詫び」なんていらない、私からの質問にお答えいただくことを望むばかりです。そうでなく「終了」すれば、回答に窮し逃げたとの印象を読者の皆様方に与えかねないので、ヘイト研究の第一人者の前田教授にとってもマズイと思うのですが……。

◆リンチ事件訴訟、加害者に約115万円の賠償金支払い確定のM君勝訴!

先週12日、リンチ被害者M君が加害者5人を訴えた訴訟の上告が棄却されたとの報せがありました(正式決定日は11日)。直接の加害者の2人に約115万円ほどの賠償金支払いが確定しました。賠償金も、一審の80万円から増額になっています。当初の願望が大きかったこともあり不満が残る内容ではありますが、M君の勝訴です。もっとレベルアップした内容を求めて上告しましたが、これが棄却されたということです。不満が残る内容があるとはいえ、勝訴は勝訴です。私は長年多くの訴訟を経験しましたが、裁判とはこういうものです。完全勝訴など、ほんの一部です。M君や弁護士の先生、支援していただいた皆様――マスコミも完全無視するなど圧倒的少数派の中で頑張りました。彼らがよく使う言葉〈マジョリティ―マイノリティ〉の力学では、M君や私たちのほうが圧倒的にマイノリティで、マスコミや多くの知識人らを味方にした李信恵氏らのほうが圧倒的にマジョリティでした。

しかし、M君勝訴をかき消そうとしているかのように、加害者側代理人・神原弁護士や李信恵氏らはリンチ事件を「でっち上げ」と言い狂喜乱舞しています。当の加害者側の李信恵氏や野間易通氏らは大学院生M君の実名を出して攻撃しています。M君はまだ学生、日頃「人権」という言葉を口にしているのなら、いささか配慮がないんじゃないでしょうか。敗訴して狂喜する神経も理解できませんが、はたしてこのリンチ事件は「でっち上げ」なのでしょうか? 被害者M君が何の目的で「でっち上げ」ないといけないのでしょうか? リンチ事件(加害者らはリンチという言葉を殊更嫌うようですので集団暴行事件と言ってもいいでしょう)があったことは、私たちの綿密な調査・取材によって明らかになっています。フェイクではありません。これを私たちは5冊の本にまとめ世に問いました。これに対する加害者側からの反論本などは一切出ていません。「デマだ」「でっち上げだ」と鸚鵡返しにツイートするばかりです。

リンチ(集団暴行)があったことは裁判所も認定しており、激しい暴行は李信恵氏がM君の胸倉を掴んだことが口火になったことも認定されています。李信恵氏は決して清廉潔白ではなく、リンチの最中も、悠然とワインをたしなみ、これをインスタグラムで配信するという神経、さらには瀕死の重傷を負ったM君を師走の寒空の下に放置して立ち去ったという非人間性――到底理解できるものではありません。さらには、いったんM君に渡した「謝罪文」を一方的に反故にし活動再開したことも、人間としていかがなものでしょうか?

◆私たちがリンチ問題に関わった3年余り前を想起する──

2014年12月以来1年以上も経った2016年2月末に、私はこの事件を知りました。被害者M君は村八分にされ、一部の方(一般には無名の普通の市民)のサポート以外には孤立していました。「いくらなんでも、それはないやろ」という素朴な義憤から、まずは被害者救済/支援のために、M君の話をしっかり聞き資料を精査しようということで、最後までご尽力いただいた当社顧問の大川伸郎弁護士と共に面談しました。2016年3月はじめのことです。慎重な性格の大川弁護士は当初難色を示されましたが、鹿砦社の顧問弁護士でもあり、私が押し切る形で受任いただきました。大川弁護士は、ある事件で国選弁護士に就き、それが敗訴し容疑者が実刑になった際に、「自分の力不足で実刑になり申し訳ありませんでした」と容疑者に土下座して謝ったということを、その容疑者本人から聞き驚きましたが、大川弁護士への信頼は、この事例に基づいています。

◆鄭玹汀さんの本質を衝いたコメント

折りに触れて私のFBにコメントを下さる鄭玹汀さんは今回も次のようにコメントされています。──

「以下の記事(引用者注:6月14日、本通信に先立って公開された私のFBの記事)で取り上げられている問題は、今後の日本社会の人権運動において非常に重要です。しかし、関連記事や本を読まない限り、この投稿だけでは理解するのが難しいと思います。
 特に、ヘイト問題研究の第一人者の前田朗氏がこれまで、リンチ事件の主犯について批判してきたのに、その態度を急に変えて、むしろこれまで複合差別と闘ってきた人だと弁護するようになったのは、決して看過することのできない問題だと考えています。
 私はこの問題について、周りに関心を呼びかけても、ほとんどの方々が自分には関係ないことだと見做していたので、内心驚きました。
 これは日本社会を覆う暗雲といっても決して言い過ぎではありません。」

こうした方がおられるのにはとても勇気づけられます。鄭玹汀さんのような方は現在少数派ですが、こうした方の声が徐々に拡がっていくことを望んでいます。

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M君が上告をしていた対5人裁判で6月12日、上告棄却が代理人に伝えられた(正式決定日は6月11日)。これで大阪高裁の判決が確定することとなり、被告2名に合計114万7,640円(プラス利息)の支払い命令が確定した。

2019年6月12日神原元弁護士の発信

この判決確定までには、かなりの時間がかかったので、あるいは最高裁で弁論が開かれるか、との観測もあったが、大阪高裁判決が確定することになった。「M君リンチ事件」法廷編は、内容的に不充分ながら「M君のほぼ全面勝利」で幕を閉じることになった。

ところが相も変わらず、虚偽発信の印象操作に忙しい人々がいる。判決内容を知らない知人から、「神原元弁護士のツイッターを見たんだけどM君は負けたの?」と問い合わせがあった。

「とんでもない! 負けてないよ。2人に114万円余りの賠償命令が出て『負け』なわけはないでしょ」と回答しておいたが、右記神原弁護士の発信を見れば、勘違いする方々がいても不思議ではないだろう。

参考までに2018年3月19日大阪地裁判決直後の神原弁護士の発信。これを見たら「被告勝訴か」と勘違いする方がいても不思議ではないだろう

神原弁護士は地裁判決後にも「祝勝会」を開く様子を発信し、一部に混乱をもたらしたが、弁護士として、事実と異なる内容を発信するのは問題行為ではないか。しかも、ことは自分が代理人を受任している裁判の判決である。

ネット中毒で何件も裁判で負けている野間易通氏も、C.R.A.C.(何回目にしても、これが「反差別」を標榜する団体の名前とされていることへの違和感は消えない)アカウントから凝りもせずM君(及び鹿砦社)誹謗中傷を発信している。この手の低レベルな人間にはいちいち付き合わないが、問題は数年かけてM君が勝ち取った勝訴を、無きものにしてしまうような悪意と数の力である。

われわれはネット上での連帯や、グループ組織を一切持たない。この期に及んだので明らかにするが、裁判闘争に入る前に、取材班と鹿砦社、支援会の間の議論で申し合わせを行った。それは「M君支援を運動化しないこと」であった。

運動化するとどうしても構成員の中で民主的な意見調整を行わなければならず、それに割く時間と労力、費用は最小限に収めるべきだ、という点で合意を見た。また口頭弁論期日のあとに報告集会を開くべきではないか、との意見もあったが、同様の理由でそれも行わないこととした。

ツイッターへの書き込みでM君から提訴され、11万円の損害賠償判決を受け、M君に賠償金を差し押さえられた野間易通氏の書き込み。嘘満載

例外的に地裁判決、高裁判決後には報告集会を小さな規模で行った。貴重なカンパによって行われる裁判であるから、支援会、鹿砦社は襟をただし、浮かれた気分は微塵もなく最高裁まで闘うことができた。M君からはこの間お世話になった方々への語りつくせない謝辞が伝えられている。取材班、鹿砦社もこれまでご支援頂いた皆様にM君になり替わり、深く御礼と感謝を申し上げる。

皆様、ご協力本当にありがとうございました。

と、きれいに文章を終わりたいのであるが、やはり未だにM君攻撃を止めない中心人物の行動だけは、明らかにしておく必要があろう。仮にこの連中の行動が、日本の法律に抵触しなくとも、連中の行動は重大な「人道上の罪」である。成文法だけで人間は生きているわけではない。法に触れなければいいんでしょ、との言い訳は虞犯者の口にする言葉だ。下記(1)から(8)がリツイートしている人物(団体)、と誰の書き込みをリツイートしているかの一覧である。 

李信恵氏による神原氏・野間氏リツイート

これらのセカンド、サード「ネットリンチ」に手を染めている連中を、読者には是非ご記憶頂きたい。

(1)のりこえねっと=神原氏・野間氏リツイート
(2)ミサオレッドウルフ氏=神原氏リツイート
(3)影書房=野間氏リツイート
(5)香山リカ氏=神原氏・野間氏リツイート
(6)中沢けい氏=神原氏リツイート
(7)有田芳生氏=野間氏リツイート
(8)李信恵氏=神原・野間氏リツイート

いずれもリンチ事件隠ぺいや、事件後のM君攻撃に熱心だった御仁ばかりだ。その他のしばき隊平(ひら)戦闘員も多数、神原氏や野間氏の書き込みをリツイートしている。今回のリツイートで取材班は「のりこえねっと」を「集団リンチ肯定団体」と認定する。

「集団リンチ肯定団体」に「反差別」などを口にする資格はない。大阪地裁で鹿砦社に敗訴した李信恵氏は現在も鹿砦社と係争関係にあるが、M君の対5人裁判の法廷での反省の弁や、「謝罪文」はまったくの出まかせで、まったく反省していないということだろう。あとはいずれ劣らぬしばき隊幹部の面々である。

最後に、普通の日本語理解能力のある方には蛇足ではあるが、再度強調しておく。6月12日、上告棄却、大阪高裁の判決確定により、被告側2名が114万円余りをM君に支払う命令が決定された。どなたにも理解いただけようが、この裁判は「M君勝訴」で幕を閉じた。


◎[参考音声]M君リンチ事件の音声記録(『カウンターと暴力の病理』特別付録CDより)

(鹿砦社特別取材班)

《関連過去記事カテゴリー》
 M君リンチ事件 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=62 

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6月4日付け「デジタル鹿砦社通信」(と私のFB)に対して、前田朗教授から「返信(3)」 が届きました。リアクションだけは速いですが、その内容は? というと……。

◆前田教授からの「返信(3)」はゼロ回答! 1項目にも答えず!

6月4日の通信では、前田教授が答えやすいように14項目に整理し具体的に質問項目を提示いたしました。さらに、6月8日に東本高志氏がバクロしたメーリングリストでの私に対する前田教授の陰口についても確認を求めご本人にメールしましたが、これにも触れていません。

これらについては抽象論にならないように、また前田教授が答えやすいように、私なりに考慮し項目を設け質問しましたが、1項目にも解答がないのは誠実さに欠けるとしか言いようがありません。回答しない理由として、「その余の記載は、ほとんどが同じことの繰り返しのため、申し訳ありませんが、私も同じ趣旨のお返事を差し上げることしかできません」と仰っています。果たして「ほとんどが同じことの繰り返し」でしょうか? 例えば「師岡メール」についての質問は今回初めてで、師岡弁護士、および前田教授の「人権」についてのスタンスを問うた質問です。極めて重要です。今からでも、ぜひともお答えいただきたい質問です。

もう一方で、答えない別の理由として、「松岡さんはいつまでも、あれはどうだ、これはどうだ、と蒸し返し、掘り返し、執拗に自説を唱えています」から「他人がこれにお付き合いする理由がありません」と述べられています。学者は逃げる言い訳もうまいものですが、ずいぶんと無責任なものです。この通信の読者のみなさん、そう思いませんか?

また、研究者なのですから見解の発信には「事実」かどうかが不可欠でしょう(研究者でなくとも同様ですが…)。6・4通信の冒頭第1項目に訊ねた前田教授の「リンチ」についての規定と解釈の誤りや事実誤認(直接手を下した者が1人だったとするもの)についても重要なことなので答えていただかないと困ります。ご自身で単独犯なので「リンチではない」と仰っておられ、「リンチ」(私刑)の規定と事実認識を間違われたわけですから、少なくともここだけはご説明いただかないといけないのではないでしょうか?

さらに、東本氏がバクロしたメーリングリストでの陰口など初めて確認を求めるものです。これは図らずも漏れたものですが、前田教授を信頼していた人々を落胆させるに十分な内容でしょう。私もこれを見てわが目を疑い、非常に落胆しました。前田教授の良心を信じていましたので、これが一気に崩れました。

◆新左翼の内ゲバの二の舞にならないように、「今からでも遅くない、背筋を正して事実と責任に向きあうべき」だ!

生来浅学な私には前田教授と論争や論破しようなどという大それた考えはありません。せいぜい前向きな対話をしたかったにすぎませんが、せっかくそのきっかけが見えてきたところでのスルー……これでは問題の前向きな解決に向かうことはできませんよね? 前田教授も、この問題の本質的な解決を望んではいないのでしょうか? この問題に真正面から向き合い反省し教訓化し止揚しない限り近未来的に反差別運動、社会運動、市民運動の中で暴力事件は繰り返されるのではないでしょうか? 

1969年から70年にかけて新左翼の内ゲバで3人の学生が亡くなりました。大変な話で、これを深刻に捉えた、当時京都大学助教授で作家の高橋和巳は雑誌『エコノミスト』に2度にわたり「内ゲバの論理は越えられるか」(『わが解体』所収)を書き、今深刻に考えないと将来に禍根を残すことを訴えました。『エコノミスト』のような経済誌でも、そんな高橋和巳の必死の訴えを掲載するような度量がありました。この後も、知識人らが声明を出したりもしましたが、これらを無視するかのように内ゲバは激しくなり、現在までの死者は100人を越えています。あの時、高橋和巳の提言に真正面から向き合っていたら……との想いが消えません。そうした新左翼の内ゲバの二の舞にならないためにも、前田教授の言葉を借りれば「今からでも遅くない、背筋を正して事実と責任に向きあうべき」なのではないでしょうか?

◆裁判についての私たちの考え方と進行中の3件

前田教授は、「裁判所の判決が確定した以上、通常の法的手続きは終了です」とし、「法的救済を求めたのですから、結論としての判決に従いましょう」と本件からの私たちの退却を求めておられます。以前にも申し上げ恐縮ですが、冤罪被害者や薬害被害者、住民運動などが、訴訟上では負けても負けても「法的救済」を求めて訴訟を繰り返すことに「通常の法的手続きは終了です」「判決に従いましょう」とでも言うのでしょうか?

「李信恵という人格の不可思議」(第5弾本グラビアより)

リンチ被害者M君が加害者(私は直接手を下した者2人のみならずリンチ現場に同座した者全員の連帯責任として加害者という語を使います)5人を訴えた訴訟は、最高裁に上告中でしたが、偶然にも本日(6月12日)、上告棄却の報せがありました。法的には確定しました。

 

李信恵氏の暴言1

しかし、鹿砦社が李信恵氏らを訴えた訴訟など3件はまだ当分続きます。これら4件は、この原稿を書いている段階では確定したわけではありませんでしたから、「判決未確定」を前提で執筆してきました。1件は本日確定しましたが、3件はまだ「確定」していないので、そうそう退却するわけにはいきません。特に李信恵氏が原告となっている訴訟は、鹿砦社に賠償と出版差し止めを求めていますから中途半端にはできません。裁判というものは、油断したら負けますので、私たちもまだまだ本件から退却するわけにはいかないのですよ。

 

李信恵氏の暴言2

現在の私たちにとっては、これら一連の訴訟こそ、前田教授の言葉を借りれば「目の前の最重要事実」です。そうして、これら一連の訴訟を裏打ちする真相究明も必要ですし、本件事件の総括のためにも、私たちはまだまだ老骨に鞭打って頑張っていかざるをえないのです。「正義だ、正義だ、正義だと言わんばかりのその作法」だって!? 仰る相手を間違っていませんか? 「正義は暴走してもいい」などと嘯き、執拗にネットでの被害者バッシングで訴えられ敗訴した徒輩にこそ仰られることではないですか?

おことわり:リンチ被害者M君が加害者5人を訴えた訴訟、最高裁に上告していましたが、本日(6月12日)棄却の報せがありました】

◆私の質問と直接関係のない記述でごまかしたらいけません!

前田教授は、私の質問にはなんら答えず、それでいて後半では私の質問には直接関係のないことを連々述べられています。私には到底理解できません。失礼な例えかもしれませんが、長年、任侠やアウトローを取材してきた、鹿砦社に出入りするライターが、「ヤクザは、本題で旗色が悪いと感じるや、本題とは直接関係のないことや瑣末なことなどを挙げつらって煙に巻く」と言っていました。私には今回の前田教授の「返信」が、同様の性格を帯びていると思われてなりません。

この通信は、莫大ではないものの、少なからずの方々が注目しています。これも試しに何人かに尋ねてみましたが、既にこの間の前田教授の態度は、『救援』の読者からも評価は落ちていますよ。

前田教授の『救援』の論評には大いに勇気づけられました。裁判にも証拠資料として提出もしました。いわく、

「本書のモチーフは単純明快である。反差別運動内部において暴力事件が発生した。反省と謝罪が必要であるにもかかわらず実行犯は反省していない。周辺の人物が事件の容認・隠蔽に加担している。被害者Mは孤独な闘いを強いられてきた。このような不正義を許してはならない」

「本書の問題提起は正当である。ヘイトスピーチは差別、暴力、差別の煽動である。反差別と反ヘイトの思想と運動は差別にも暴力にも反対しなければならない」

「しかし、仲間だからと言って暴力を容認することは、反差別・反ヘイト運動の自壊につながりかねない。本書が指摘するように、今からでも遅くない。背筋を正して事実と責任に向きあうべきである」

まったく異議はありません。名言ですらあります。前田教授は、これらの論評は「訂正の必要を認めません」と仰られていることは救いですが、「仲間だからと言って暴力を容認することは、反差別・反ヘイト運動の自壊につながりかねない」と述べつつ、現実には「暴力を容認」している師岡康子弁護士、辛淑玉氏、李信恵氏らに忖度していませんか? 果たして加害者やその周辺の人たちは「背筋を正して事実と責任に向きあうべき」という前田教授のアドバイスに従っているでしょうか?

私たちは決して無茶なことを要求していません。被害者M君に真摯な謝罪と正当な補償をすべきで、そのためにいったん提出しつつも反故にした「謝罪文」に立ち返るべきだと求めているにすぎません。それはダメなんですか? 私は何度も申し述べていますが、一貫して和解論者です。加害者らが心からそうするのであれば、社会運動の未来のために、暴言が飛び交い暴力がはびこる、現在の「反差別」運動に直接的に参加するつもりはありませんが、本件については条件が整えば和解に向けて汗をかく所存です。

◆メーリングリストの陰口には落胆しました!

一方、東本高志氏がバクロしたメーリングリストでの前田教授は、

〈○○さん
ごぶさた。コメント有り難うございます。
○○さんがアンチ前田とは初めて知りました(笑)。
鹿砦社は危機と乱戦を乗り越え、世界を遊泳してきた強者ですし、
今回は被害者救済という大義名分を手にしていますから、誰も止められません。
対立構図を固定させ、ひたすら「敵」を論難し、
突撃取材でネタをどんどん作り、一種の炎上商法。
権力相手にやってくれるのなら良いのですが、
ターゲットはマイノリティ女性。
日本的ヘイト状況の悲しいネガフィルムを見るようです〉

と述べられています。

これが本音なのでしょうか? 「炎上商法」だって!? 「ターゲットはマイノリティ女性」だって!? 必ずお答えください、前田先生! 私たちは単純素朴に被害者支援と真相究明に関わってきたにすぎません。「炎上商法」―-この表現には私のみならず取材班、私たちの周辺の者一同満腔の怒りを禁じ得ませんでした。「炎上商法」という物言いは、私たちに〈悪意〉を持った、ネット社会でしか生きられない連中の表現と同じですよ! 私たちは特段「マイノリティ女性」を「ターゲット」にしてもいません。

 

加害者エル金のツイート。反省などどこ吹く風

本件は、何度も表明していますが、第一線を退く目前だった私が、事件の凄惨さや被害者の苦境を知り、いわば“最後の仕事”としてもっぱら善意で、採算など度外視してリンチ被害者支援と真相究明に関わったにすぎません。社内外から集まった取材班や支援者らの大半もそうです。「社会運動の将来のためですから」と原稿料や謝礼を辞退してきたライターもいるほどです。そのような私たちの行為を「炎上商法」と前田教授は言い切られました。失礼ですが、前田教授の無礼には呆れます。

目の前に凄絶なリンチを受けながらも、正当な謝罪や補償も受けず、さらには村八分状態にされ苦しみ助けを求めている青年がいるのに、「いや、私たちには君を助けることはできないんだよ」などと言えるでしょうか? 私たちの世代は、日本国憲法や戦後民主主義に立脚した人権意識を植え付けられ、私でさえ人権意識の欠片ぐらいは持っているつもりです。「炎上商法」など頭の隅にもなく、私の人権感覚上も黙過するわけにはいきませんでした。

今でもリンチのPTSDに苦しんでいる被害者を前にして、少なくとも加害者らの心からの謝罪や正当な補償を受けることに力を貸し続けたいと考えていますが、このどこがいけないのでしょうか? 加害者らは「謝罪文」さえ反故にしているんですよ。少なくともこの地点には立ち返ってもらわないといけません。

 

香山リカ氏の小口ビジネスモデルのツイート1

筆者注:本稿が完成し、さあ送稿する段になって、前田教授は「炎上商法」との表現を撤回なさいましたので、今後「炎上商法」の件で前田教授を追及することは差し控えます。しかし本稿執筆から完成の時点で撤回はありませんでしたので、完成した当初の文章をそのまま掲載します。撤回は「友人の忠告」ということですが、この友人の方は、人間としての見識と常識のある方だと思います。こうしたことをもってしても、「炎上商法」という表現が、これと関係のない者にとって、いかに人を傷つけ、問題のある表現だということを前田教授も認識されたものと思います。「人権」を標榜する者なら、これぐらいは常識として認識していただきたかったものです】

 

香山リカ氏の小口ビジネスモデルのツイート2

◆またしても香山リカ氏……

先に前田教授から「炎上商法」という言葉が出てき、また香山リカ氏への言及がありましたので付言しておきますが、香山氏は私たち鹿砦社や、このリンチ事件と訴訟について、非常識極まる珍説をツイートしています。

例えば、私たちが、香山氏宛に質問状と本を送付したことを知った香山氏は「どこに送付したか、ちょっと書いてみては?」とツイッターで私たちに「要請」してきましたので、彼女の「要請」に従い送付先(=自宅住所)を書き込んだところ、すぐに神原元弁護士から削除の要求(電話、ファックス、内容証明郵便のトリプル要求。いかに慌てていたかがわかります)が来たことがありました。香山先生が「どこに送付したか、ちょっと書いてみては?」と言うから、これに応えただけのことです。

 

話題になった「どこに送付したか、書いてみれば?」

このような幼児性が象徴的ですが、私たちにとって、香山リカ氏はその知識・見識・人格において全く信用のおけない人物です。香山氏は、私たちが裁判を起こしてカンパを集め、それを元に出版をし支援者に買わせる「小口ビジネスモデル」をやっているなどと私たちを誹謗しました。この人の鹿砦社に対する物言いは、いつもこういった内容ですので放置しておきましたが、今回前田教授の「炎上商法」と香山氏の「小口ビジネスモデル」は同じ意味ではありませんか? 「のりこえねっと」の皆さんの中では「鹿砦社は『炎上商法』」が共通認識になっているのでしょうか? であれば全く残念至極な事態です。

さらに申し上げれば、『オジサンはなぜ勘違いするのか』など参考にする気にもなりません。天皇制と皇室をこよなく愛する香山リカ氏に、説教されなければならない理由はないからです。「昭和の常識は令和の非常識なのです」などとお気楽な自説を披歴していますが、時間の区切りを「昭和」「令和」と規定する時点で私の関心対象外です。元号がなければ薄っぺらいゴシップも書けないのか、と聞きたいところです。前田教授は、〈さすが香山さんと思わされるのは「もちろん、私も自分が“おとなでステキなオバサン”になれているとは思っていません」と冷静な認識を披露しているからです〉と誉め称えられていますが、散々迷惑を被っている私たちにすれば「それがわかっているのであれば、最低限おとなの振る舞いをしなさい」と言い返したいところです。

この前後の、鹿砦社に対する彼女のツイートと併せ私たちに対する名誉毀損は甚だしいものです。

前田教授の「返信(3)」の最後はその香山氏の著書からの引用で「勘違いオジサンは顰蹙を買うだけです」と結ばれています。私たちは前田教授が引用された香山リカ氏を全く評価していませんので、アドバイスには従いかねます。「勘違いオジサン」でも、たとえ「顰蹙」を買っても、本件の解決に向け更に一肌も二肌も脱ぐ覚悟です。中途半端で退却することは、私の生き方に反しますから―――。

 

リンチ直後の被害者大学院生M君

◆ひとまずの結びとして――

最後に、韓国からの研修員(現在大学講師)で、2015年、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったSEALDs(シールズ)を批判し、本件リンチ事件加害者らに連なる者らから激しいネット・リンチを受け、最近でも私信を悪意を持って公開された鄭玹汀さんの言葉を挙げて擱筆いたします。――

〈大衆の前で「人権」について声高く唱えても、長年「人権」についての本をたくさん出版しても、身近なところで他人を尊重しないのは、砂の上に家を建てるような生き方だ。
私は彼らを憎まないが、彼らの偽善を憎む。
周りの人を心から尊重する名もない人こそ本当に偉い人だとつくづく思う。〉(6月8日付けFBより)

至言です。前田教授はこの言葉をどう思われるでしょうか? 「人権だ人権だ」と言っても、身近の一人の青年の人権さえ蔑ろにする人に人権を語る資格はないでしょう。前田教授は、人権やヘイトスピーチについての著作が多いですが、リンチ加害者らの側の有力な人たちとの繋がりを持ち解決の橋渡しができる立場にいながら、リンチの被害者を見て見ぬ振りをするのならば、人権を語る資格はないということだと私なりに解釈しました。

私はそろそろ第一線を退くことを考えていた、ちょうどその頃、このリンチ事件に出会い、以来3年余りのかなりの時間、資金、労力を、この問題に費やしてきましたが、悔いはありません。「炎上商法」や「小口ビジネスモデル」で儲かったりなどしていませんし、そうするつもりもありませんでした。

ただ、目の前で苦しむ一人の青年を、彼が満足するように救えたかどうかは分かりませんが、私なりに彼の人権を尊重し法的、人道的に救済せんとしてベストを尽くしてきたことだけは確かなことです。「裁判所の判決が確定した以上、通常の法的手続きは終了です」「法的救済を求めたのですから、結論としての判決に従いましょう」――このようは言葉は当事者にとって、戯言にしか聞こえません。

リンチ被害者のM君はリンチの悪夢にうなされPTSDに苦しんでいます。加害者らは、このことがわかっているのでしょうか? 前田教授も、真に人権を考えておられるのなら、彼の人権に目を向け、彼の救済に一肌脱ぐことを考えませんか? これもまた「反ヘイト裁判」同様「目の前の最重要事実」ではないでしょうか? 前田教授は、リンチ直後の被害者の顔写真を見て何も感じないのでしょうか? You Tubeで視聴者が9万人ほどにもなるリンチの最中の音声もお聴きになれば、血の通った人間ならば、特に日頃「人権」を語る者ならば、身の毛がよだつのではないでしょうか?

最後に、この際ですから、前田先生に提案します。この間のやり取りで気づきましたが、前田先生は、私たちが想像していた以上に「カウンター」/「しばき隊」関係者と懇意のようです。また、本件リンチ事件の本質的解決、止揚の作業を放っておけば、この国の反差別運動や社会運動、市民運動に悪影響を及ぼすと思います。そう思いませんか? であるならば、せっかく、誰もが評価・称賛する『救援』紙上での2つの論評を公にし問題提起をされたのですから、ここは和解のために「カウンター」/「しばき隊」関係者と懇意の前田先生、一肌脱がれませんか? いくら机上で立派なことを言っても、それは〈空論〉でしかありません。

私は私で、もう少し老骨に鞭打ちたいと考えています。

【追記】先にも触れましたが、本日(6月12日)、リンチ被害者M君が加害者5人を訴えた訴訟の上告が棄却されたとの報せが代理人弁護士よりありました。これについては、後日あらためて私(たち)の見解を申し述べたいと思いますが、M君は一審、控訴審を通じて一貫して〈勝訴〉していたことを確認します。懲りもしない加害者やこの周辺の人たち、代理人の一人、神原元弁護士らは、さっそく「風説の流布」に余念がないようですが、現実に集団暴行で一人の青年に瀕死の重傷を負わせたという事実、これに対する反省などあるのでしょうか。不満ながらも加害者らに100万円超の賠償金の支払いが確定したことも変わりはありません。これに加え、私たちは闇に葬られようとしていた、このリンチ事件の存在を明らかにしたことを想起すれば、決して負けてはいません。

そして前田教授ならこう言うかもしれない、「最高裁で判決が決定したのですから」と。そうだ! その通りだ! 最高裁でリンチ(私刑)に対する賠償が確定したのだ。

まずは、これまでご支援を賜りました皆様方に心よりお礼を申し上げます。


◎[参考音声]M君リンチ事件の音声記録(『カウンターと暴力の病理』特別付録CDより)

[参照記事]
◎松岡利康【カウンター大学院生リンチ事件】前田朗教授の豹変(=コペルニクス的転換)に苦言を呈する!(2019年5月23日デジタル鹿砦社通信)

◎松岡利康【カウンター大学院生リンチ事件】前田朗教授の誤解に応え、再度私見を申し述べます(2019年5月28日デジタル鹿砦社通信)

◎松岡利康【カウンター大学院生リンチ事件】「唾棄すべき低劣」な人間がリーダーの運動はやがて社会的に「唾棄」される!~前田朗教授からの再「返信」について再反論とご質問~(2019年6月4日デジタル鹿砦社通信)

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鹿砦社 http://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000541

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