IOCの決定により、来年予定されている東京五輪のマラソン・競歩が札幌に競技場を移されることが決定し、競技の日程もマラソン男女が同日の実施と変更になるなど、大混乱をきたしている。


◎[参考動画]【報ステ】札幌で決定 小池知事「合意なき決定」(ANNnewsCH 2019/11/01)

◆オリンピックは本当に「神聖なもの」ですか?

本通信で何度も強調してきたように、わたしは東京五輪開催に再度強く反対の意思を表明する。IOC(国際オリンピック委員会)は決して身ぎれいで、崇高な意思を持った団体ではない。今日オリンピックは完全に「商業イベント化」されていて、その大元締めがIOCだと考えていただいて間違いない。

開催国の決定から、スポンサーによる巨額収入の使途まで、IOCには明かされない部分があることは、多くのひとびとが指摘してきたとおりであり、しかしながらその「暗部」が表面化しないのは、「オリンピックは神聖なもの」である、との幻想と、世界の主要メディアをスポンサーとしてIOCが抑えている構造。主要メディアもニュースソースとして、IOCやオリンピックの情報はぜひ欲しい、という情報提供主と情報産業の「持ちつもたれる」の関係性が災いしている。


◎[参考動画]猪瀬直樹東京都知事のプレゼンテーション IOC総会(ANNnewsCH 2013/09/08)

◆札幌に一部競技を移したら、もうそれは「東京五輪」とは呼べはしない

だいたい、2020年の夏季五輪は開催地として、東京が選ばれたはずであるのに、かつて冬季五輪を開催した札幌に一部競技をうつしたら、もうそれは「東京五輪」とは呼べはしない。海外の人にしてみれば、「同じ日本の中だから、トウキョウもキョウトもフジヤマもサッポロもどうせ小さな島の中にあるんだろう」と思われているのかもしれないが、当事者のわれわれは東京と札幌が距離的、文化的、意識的にどれほど距離のあるかは実感できている。

しかも、IOCはマラソン・競歩の札幌実施について、事前に東京都へはなんの相談・連絡もしていなかった。知事小池百合子が「暑いところが問題であれば北方領土でやれば」などと頓珍漢で軽薄なコメントを口にするようだからか、あるいは東京ともIOCも同様に「腹黒い魂胆」の隠し合いをしているためか知らないが、開催地としてはこれほど馬鹿にされた対応はない、と感じるのは無理もないであろう。


◎[参考動画]滝川クリステルさんのプレゼンテーション IOC総会(ANNnewsCH 2013/09/08)


◎[参考動画]安倍晋三総理大臣のプレゼンテーション IOC総会(ANNnewsCH 2013/09/08)

◆度重なる災害で増加する通常の生活を送ることができない人たち

しかし、そもそも直近の千葉県を中心に膨大な被害をだした台風や大雨による惨状が示す通り、記憶されている範囲だけでも、広島、佐賀などでの水害被害、大阪、熊本、北海道、そして東日本大震災での地震津波被害など、自然災害と人災により、通常の生活を送ることができないひとびとが残念ではあるが年々増加するばかりだ。

それら災害の一つ一つが、数年間の間をおいて発生すれば、全国の注目を浴び、復旧へのまなざしももっと強く注がれ、政府の対策への注文もより強いものになろうが、このように甚大な自然災害が毎年のように発生していると、日々の情報消費速度が一貫して加速する社会にあっては、各被災地や被災者への記憶は、当事者ではないひとびとの日常からは薄れてゆかざるをえない。

大阪で震度7を初めて経験した茨木市や吹田市の古い住宅の屋根には、その数はだいぶ減ったものの、いまだにブルーシートの姿が見える。同じ関西に居住しているが、関西圏でも大阪での大地震(揺れの時間が短かったので東日本大震災のように甚大な被害ではなかったが、死者も出すほどの大きな揺れだった)に対する記憶は、ほとんど語られることがない。


◎[参考動画]東京2020/国際オリンピック委員会の記者会見(Olympic 2013/09/08)

◆日本はもはや経済大国ではない

そして、あまり口にする人はいないが、かつては「経済大国」であったこの島国、日本がもう世界的に経済大国としての地位を、失いかけていることに、日本居住者は鈍感であるがゆえに、バブル経済破綻まで崩れなかった「土地(地価)神話」のように、去りゆく「日本経済大国」幻想から、覚醒することができていないのだろう。

わたしが、指摘するまでもなく日本は20年以上デフレが続いていて、OECDのなかでこの20年間成長率は最下位だ。20年間最下位がつづくと、どういう現象が起きるか。たとえば為替レートが20年前と同じOECD加盟国に出かけたら、日本はデフレで物価が上がっていない(給与所得も上がっていない)が、その他のOECD加盟国は年率で2-4%の成長を続けてるので、20年前に日本より安価だと感じていた外食の価格が逆転し、さほど贅沢でもなさそうな外食に1000円~2000円払わなければならないという現象が起きている(豪州などでこの「逆転現象」は顕著である)。

豪州では30年ほど前に、シドニーを除くメルボルンやブリスベンなど都市近郊の約200坪プール付きの住宅が1500万円ほどで購入できたが、都市周辺部の地価はここ20年で約4倍(6倍の地域もある)に上昇しているという。かつては日本で建売住宅を買うよりも安く買えた、広々としたプール付きの住宅が、いまでは日本の給与所得者には手の届かない値段になっている。

全国各地に100円ショップが展開し、非正規雇用が4割を超える。この現象の進行を日本にいて日々生活をしていると「こんなものか」としか感じられないかもしれないが、確実に日本の経済力は低下していて、国家財政は破綻が目の前だ(山本太郎氏率いる新政党は「MMT理論」で国債発行は問題ない、としているが、私は「MMT理論」には懐疑的である。国債発行で国家財政が賄えるのであれば、苦労して行政は税金を集める必要がなくなるのではないか)。

あなたのお給料や年金は、ちゃんと毎年上がっていますか? 下がってはいませんか? 高度成長期を経験した、あるいはバブル期を経験した世代の方であれば、その後の急激な不景気がご記憶にあるだろう。今後日本は長期間にわたり、あのような不況がつづく。大企業に利益が集中し内部留保ばかりが増え、中小企業や低所得層が消費税で締め上げられる構造が維持される限り、間違いない。

ようするに、もうに日本は過去の日本のように「金持ち」ではないのだ。そして1964年に東京五輪を開催した時代のように、この先高度成長はやってくることはない。2020年東京五輪を開催すれば、巨額の請求書をのちに押し付けられ、それを支払うのは東京都民であり、日本国に納税する私たちであると、再認識しよう。五輪後の「不正経理」問題は長野五輪で経験済みだ。

「企業の祭典」、「灼熱地獄の忍耐競争」、「ボランティアという名のタダ働き」、「綺麗ごとを並べる権力者の利権争い」……。薬物禁止のポスターではないが、「百害あって一利なしの東京五輪はやめましょう」


◎[参考動画]2020年夏季五輪開催都市 東京に決定(ANNnewsCH 2013/09/08)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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攻撃力は上回るも、引分けというあと一歩が越えられないムエタイの壁。日本人のローキックで殿堂チャンピオンが倒れるなんて在り得なかった過去。でも江幡睦ならやるかもしれない。淡い期待もありながら、ムエタイ関係者は「その可能性は極めて低く、中盤以降にヒジで切られる可能性が高い」と言い切った。それほどサオトーの上り調子は素晴らしく、試合運びの上手さの前評判だった。

試合を終え、江幡睦の顔面はヒジ打ちを貰った3箇所の傷と腫れ、サオトーは足を引き摺りながら歩くダメージを残した。

判定結果を聞く江幡睦の表情、何を想うか

江幡睦のローキックが序盤からヒットさせサオトーにダメージを与えた

江幡睦の左ボディーブロー、これで何人も倒してきた

◎MAGNUM.51 / 2019年10月20日(日)後楽園ホール 17:00~20:15
主催:伊原プロモーション / 認定:ラジャダムナンスタジアム、WKBA

◆第9試合 タイ国ラジャダムナンスタジアム・バンタム級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.サオトー・シットシェフブンタム(タイ/53.45kg)
    VS
同級7位.江幡睦(伊原/53.35kg)

要所要所でサオトーは江幡の弱点を狙っていた左ハイキックをヒット

引分け 0-0 / スーパーバイザー:ジット・チオサクン(ラジャダムナンスタジアム支配人)
主審:ジラシン・シララッタナサクン 48-48
副審:ウォーラサック・パックディーカム 48-48 
副審:ナリン・ポンヒラン 48-48

序盤は想定どおりサオトーはムエタイ特有の手数少ない様子見ではあるが、江幡睦の強いローキックをやや貰うと効いた様子が伺え、更に睦みの左ボディーブローも貰ってしまう。場内に“もしかしたら・・・!”という期待が沸く。

しかしさすがの殿堂チャンピオン。そんな脆く崩れることはなかった。しぶとさを見せていくサオトーは想定どおり第3ラウンドから本調子を上げて来た。ヒジ打ちは、けん制を含めて第1ラウンドから出していたが、パンチとローキック主体にガンガン前に出て連打していく江幡睦に対し、応戦しながら要所要所で鋭いヒジを打ち込んでいくサオトーは、江幡睦の右目尻を切り、単発ながらヒザ蹴りも効果的にヒットさせた。

しかし江幡睦は組み合ってもサオトーの有利な体勢にさせない対策も活かしていた。更なるサオトーのヒジ打ちで、目下も切られた江幡睦は、紫色の内出血を残して第5ラウンドも必死に出て行き、江幡睦の右ストレートで仰け反ってしまうサオトーだが、ヒジとヒザを随所に当てていたポイントがどう流れるか分からない展開が続いた試合となった。

判定を聞く睦の表情は曇りがち。引分けでまたも逃がしてしまったムエタイ激戦区の最高峰のチャンピオンベルトだが、全力を尽くした結果にインタビューに応える表情は清々しかった。

打たれたら打ち返すサオトーのパンチもヒット

江幡睦の左ミドルキック、この蹴りをもっとヒットさせたかった

サオトーの得意のヒジ打ちはどこからくるか分かり難い

江幡睦は「倒しきれなかった、それに尽きると思います。ひとつのダウンでも取れなければ、ラジャのベルトは取れないということです」と率直な感想。

前回、2015年3月の当時のチャンピオン、フォンペットに挑戦した時は、ラウンドを増す毎のインターバルでだんだん返事をしなくなるほど疲労困憊していたが、今回は最後まで冷静にセコンドや伊原会長の言うことに返事し、次どう行くか確認する様子が伺えた。

試合中は激しく檄を飛ばす伊原会長だったが、試合後のインタビューが終わった後、頭を“ポン”と撫でるように触れ「お前はよく頑張ったよ!」と褒め称えていた。

相打ち覚悟のパンチの応酬

最終ラウンドも必死に攻める江幡睦

サオトー陣営のアンモープロモーターに、「もう一回やりたいと言ったら対戦可能ですか?」と問うと、すかさず「ダーイ(OK)!、またここ(後楽園)でやってもいい!」とデッカイ声で喋る。「次はヒジ打ちの勝負になる!」とも語った。

足を引き摺りながら歩くサオトーにも同じ質問をしてみた。こちらもすかさず笑顔で「チョックダーイ(OK)!」と元気を見せ、ここはハッタリでも “同じ失敗は繰り返さない”という意欲をみせるのがムエタイ戦士なのだろう。

実際、対策は練ってくるだろうし、ローキックはまともには貰わないかもしれない。それは江幡睦にも対策はあることだろう。再戦が行なわれるかは分からないが、このカードはラジャダムナンスタジアムで再戦して欲しいものだ。

とにかくノックダウンを奪いたかった江幡睦、バックステップして打たれても倒れないサオトー

健闘称え合い役者が揃う、右はジット・チオサクン氏(スタジアム支配人)

◆第8試合 WKBA世界スーパーライト級王座決定戦 5回戦

アニーバルをロープに追い詰めパンチ連打する勝次

2位.勝次(藤本/63.0kg)
    VS
4位.アニーバル・シアンシアルーソ(アルゼンチン/63.1kg)
勝者:勝次 / KO 2R 2:59 / 3ノックダウン / 主審:椎名利一

序盤はパンチと蹴りのけん制から始まり、アニーバルのパンチ、蹴りの強さとタイミングを見極めた勝次がパンチでアニーバルを後退させると一気に連打した勝次。その勢いで第2ラウンドに進み、パンチ連打でロープ際に追い込みヒザ蹴りを加えスタンディングダウンを奪い、更なるパンチの攻勢でロープ際から逃げられない状態を作ると2度目のスタンディングダウン。

勝次は更に攻勢を続け、防戦一方となったアニーバルは最後まで倒れ込むことは無かったが、レフェリーに止められ(3ダウン相当)、勝次のKO勝利となった。

勝次がパンチから今日も出た飛びヒザ蹴り

しぶといアニーバルを徹底して攻めた勝次

キックボクシング世界で最初のWKBAタイトルを獲得した勝次、試練はこれから

◆第7試合 73.0kg契約 5回戦

日本ミドル級チャンピオン.斗吾(伊原/72.8kg)vsイ・ジェウォン(韓国/69.5kg)
勝者:斗吾 / KO 2R 2:49 / テンカウント / 主審:桜井一秀

序盤は距離をとって蹴りで様子見。斗吾の圧力が徐々にジェウォンを下がり気味に追い込む第2ラウンドに入ると、距離が縮まりパンチの交錯が始まる。バランス崩して横を向いてしまうジェウォンは気を抜き過ぎで、斗吾の右フックを貰ってノックダウンしてしまう。そこから斗吾のパンチのラッシュが始まり、ロープ際で滅多打ちからヒザ蹴り、更に追い詰めてボディーブローの連打でジェウォンは2度目のノックダウンし、そのままテンカウントアウトされた。

◆第6試合 62.0kg契約3回戦

日本ライト級チャンピオン.髙橋亨汰(伊原/61.95kg)
    VS
ペットワット・ヤバチョーベース(タイ/61.45kg)
勝者;髙橋亨汰 / TKO 2R終了 / 主審:少白竜

髙橋の左ミドルキックを腕に受け続けたペットワットが負傷を示し、第2ラウンド終了後のインターバル中、棄権を申し出た陣営をレフェリーが受入れ試合を終了させた。

腫れた太腿を氷で冷やすサオトー、足は相当効いていた

◆第5試合 バンタム級3回戦

泰史(前・日本フライ級C/伊原/53.5kg)vs.Mrハガ(ONE’S GOAL/53.5kg)
勝者:泰史 / 判定3-0 / 主審:仲俊光
副審:椎名30-28. 少白竜30-27. 桜井30-27

泰史の蹴りとパンチで攻勢を続ける展開。下がりながらも応戦して危機を乗り越えるMr.ハガ。泰史はノックアウトに結び付けられない課題を残す。

◆第4試合 63.0kg契約3回戦

日本ライト級3位.渡邉涼介(伊原新潟/62.9kg)vs風来坊(フリー/62.85kg)
勝者:風来坊 / 判定0-3 / 主審:宮沢誠
副審:椎名29-30. 少白竜29-30. 仲29-30 

◆第3試合 57.5kg契約3回戦

瀬川琉(伊原稲城/57.45kg)vs新田宗一郎(クロスポイント吉祥寺/57.25kg)
引分け 0-1 / 主審:桜井一秀
副審:椎名28-29. 宮沢29-29. 仲29-29

◆第2試合 60.0kg契約3回戦

井桶大介(クロスポイント吉祥寺/59.65kg)vs宇野高広(パラエストラ栃木/59.95kg)
勝者:井桶大介 / TKO 1R 0:44 / ノーカウントのレフェリーストップ / 主審:少白竜

◆第1試合 女子48.0kg契約3回戦(2分制)

栞夏(トーエル/47.55kg)vs erika(SHINE沖縄/47.25kg)
勝者:erika / KO 2R 1:53 / 3ノックダウン / 主審:椎名利一

ファンに詫びる江幡睦

《取材戦記》

最高峰の王座や名誉が懸かるとムエタイ選手は強いものだ。譲れないものだけに互いが必死の戦いになった。これがランカー以下のノンタイトル戦だったら江幡のローキックで、過去のタイ選手のようにヘナヘナと倒れ込んでいただろう。

そのサオトーの前評判は「ちょっと映像で見ただけだが、サオトーはあまり強さを感じない攻めで、日本人とやれば面白い展開になりそう。江幡が勝つかもしれない!」という知人も居たが、先に応えた関係者談が「江幡睦のローキックはかわされ、サオトーのヒジで切られる!」と言った予想もあり、私の予想も「もしかしたらサオトーは江幡のローキックでヘナヘナと倒れ込むのではないか!」と思ったが、試合展開から言うと、大雑把ながら皆、何らかの指摘が“近いところにいった”という経過となった。

最高峰への通過点ながら、ひとつの目標だった老舗のWKBA世界タイトルを獲った勝次はまず防衛しなければならない。前回のライト級でドローの末、延長戦で王座を持っていかれたノラシン・シットムアンシー(タイ)や国内にも敗れている難敵は居るが、WKBAを懸けて戦えばその因縁が面白くなる(ライト級は7月に王座決定戦で重森陽太が獲得)。本人は以前、「3回ぐらい防衛してその上に行きたい」と言っていたが、5回ぐらい極力短期で連続防衛してWKBAの活性化と権威向上に貢献して貰いたい。

新日本キックボクシング協会次回興行は、12月8日(日)後楽園ホールに於いて藤本ジム主催興行「SOUL IN THE RING CLIMAX」が開催されます。今年4月14日にWKBA世界スーパーウェルター級王座獲得した緑川創(藤本)の初防衛戦と、勝次と江幡ツインズ兄・塁も出場予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』。「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」!

10月20日夜、急な取材のため、でかけたものの帰宅できなくなり、安宿で一夜を過ごすことになった。この日はラグビーワールドカップの準々決勝、南アフリカ―日本戦が19時過ぎから行われ、のちの視聴率調査では40%を超える数字を得たという。

自宅にはテレビがないが安宿の食堂では、宿泊客がNHKの中継に見入っていてた。ラグビーは国境を意識させないスポーツとして、だいぶ以前に本通信で好意的に紹介した記憶がある。その一方、日本開催となった本大会に限れば、来年予定されている「企業の祭典」東京五輪の予行演習の側面と、例によって、にわかファンの騒ぎぶりに、ひねくれものは反応してしまい、ろくろく試合も見ていなかった。

◆「Nkosi Sikelel’ iAfrika」(神よ、アフリカに祝福を)

20日、日帰りを予定していた出張が、予想外に長引いたことでわたしも南アフリカ―日本の試合を観戦することができた。そして試合前にわたしは自分の不勉強と、虚を突かれることになった。ラグビーのワールドカップは他の競技と異なり、純粋な国対抗ではない。英国だけでもスコットランド、ウェールズ、イングランドが今大会に出場している(アイルランドも国だけではなく英国領アイルランドとの合同を意識したチームだ)。だから試合前の「国家斉唱」では通常の英国国歌とされるものではない歌詞やメロディーを使わざるを得ない。

そこまではわかっていたが、自分の無知を恥じたのは、南アフリカ国歌が流れたときだ。「え! あの歌が国歌になっていたんか!」と声を出してしまった。あれは何年だっただろうか。リチャード・アッテンボロー監督の映画『Cry Freedom』(邦題「遠い夜明け」)で聞いた曲だ。


◎[参考動画]Nkosi Sikelel’ iAfrika – Cry Freedom [1987]

当時国際社会から非難されながらも南アフリカでは、明確な差別、人種隔離政策“Apartheid”(アパルトヘイト)がまだ蛮行を続けていた。『Cry Freedom』のエンドロールでは、「1962年の国会において、南ア政府は法律なしでの勾留を認めるようになった。これから紹介するのは、それ以降投獄され死亡したひとびとの、名前と死因の公式発表である」の説明のあとに延々と名前が続いたことが忘れられなかった。

『Cry Freedom』の主人公は、南アの有力新聞デイリー・ディスパッチ紙の白人記者ドナルド・ウッズだ。けれども実際の主人公は1968年に「南アフリカ学生機構」を立ち上げ、のちにドナルド・ウッズと親交を結ぶことになる、スティーブ・ビコだ。スティーブ・ビコは1968年に「南アフリカ学生機構」を設立し、南アにおける黒人解放運動の指導者として、もっとも有名な人物のひとりである。つまり『Cry Freedom』は実話をもとにした映画作品であった。ビコは映画の途中で早々に、虐殺されてしまい、フィルムのかなりの時間はドナルド・ウッズの南アからの、脱出物語にさかれている。このあたりに、若かったわたしには「ちょっと、主役が違うんじゃないか」と感じた記憶もある。

メロディーが記憶にあったのは、調べてみるとコザ語、ズール語による「Nkosi Sikelel’ iAfrika」(神よ、アフリカに祝福を)という曲だったようだ。作詞作曲されたのは19世紀。以来アフリカの多くの国で、独立象徴の歌として歌い継がれたようだ(19世紀アフリカの解放歌が、キリスト教に依拠していた事実をどう考えるか、の課題は横に置く)。

南アの国歌は、わたしが一回聞いただけだが記憶にある「Nkosi Sikelel’ iAfrika」だけではなく、途中で著しく変調した。後半はアフリカーンス語の「Die Stem van Suid-Afrika」(南アフリカの呼び声)を編曲したものだ。1997年にネルソン・マンデラが大統領に就任して出来上がった、2つの歌が合体しているので、変調が際立ってきこえたのかもしれない。

◆寒い国で初めて出会った南ア人

『Cry Freedom』を鑑賞したのより、さらに10年ほど前、わたしは最低気温がマイナス30度を下回る国を放浪していた。その時も安宿に宿泊していた。二段ベッドが3つ並ぶドミトリーといわれる、最安値の宿だ。その国の住民と同じく白人の宿泊者が会話をはじめた。

「あんたこの国の人間かい?」

「いや、俺は南ア人だよ」

「フー、大変なところにすんでるな。黒人(blackとその白人は発語した)が面倒だろう」

「ああ、俺は徴兵を終えたばかりなんだ。軍隊はよかったよ。黒人に気をつかうことがなかったから」

「この国でも黒人はいつも問題をおこしてばかりさ」

なんというあけすけな人種差別をする連中か、とかと呆れていたら。こちらに声が向いてきた。

「あんたはどこからきたんだ?」

「南アだよ」

下手くそな英語で嫌味を返したつもりだった。

「そんな英語が下手な南ア人はいないさ」

すぐにみやぶられ、日本からやってきていることを告げて、

「南アの白人にとっては、有色人種は黒人と同じなんだろう?」

実際そうであると聞いていたので、素朴な質問をなげかけた。

「いや…。ウーン。日本人は特別扱いされると思うよ」

こちらの機嫌を気にしたのか、南ア白人は曖昧にこたえ

「あした、3人でクロスカントリースキーをやらないかい? 俺はやったことがないんだ。日本は雪が降るんだろう?」

と、妙ななりゆきで誘いをうけた。予定も立てていなかったので、3人でクロスカントリースキーを借りて、山道を歩き(滑るというほど初心者に簡単なものではなかった)まわった。

わたしの知る南ア人は、彼だけだ。山道を苦労しながらドタバタするなかでも、彼は饒舌だった。

「おれは規律がすきなんだ。だから軍隊が心地よかった。ワン、トゥー、ワン、トゥー!」

わたしは規律が嫌いで、軍隊に入ることなど想像もできない。

「雪山はきれいだな! 白はいい! 人間も白に決まってる!」

うそのような話だが、黄色人種のわたしの横で、休憩のために腰を下ろして,たばこを吹かしながら大きな声で、もう一人の白人に同意をもとめる。彼は“Apartheid“が廃止され、ネルソン・マンデラが大統領になる日が来るなど、考えもしなかったことだろう。

わたしは、たったひとりの南ア人とは1泊2日をともにしただけだから、そこから決めつけるのは乱暴すぎるかもしれないが、その後、日本で聞くニュースやなどからも、南アフリカについては複雑な感情しか持てなかった。

それだけに、その後ろくろく南アフリカの情報に関心を向けなかった自分の不勉強を、ラグビーの試合によって偶然知るしる機会を得たのは果報だった。まさかあのメロディーが「国歌」になるなんて。信じられなかった。両チームの選手には申し訳ないが、そのことの驚きは、かなり長時間持続した。わたしは「君が代」が大嫌いだ。陰鬱なメロディーで、「解放」などとは無関係な歌詞。対照的に、キリスト教を下地にしているとはいえ、アフリカ全土で歌われた、黒人解放歌が国歌だなんて、素晴らしいじゃないか。


◎[参考動画]Nelson Mandela – Nkosi Sikelel’ iAfrika (God Bless Africa)

南アには貧困、エイズ、引き続き人種による軋轢など、さまざまな問題があることは知っている。犯罪発生率も際立って高いことも。解放歌が国歌になっているぐらいで、感激しているのは、おめでたい奴だとじぶんでも思う。でも正直、久しぶりに感激した。きっと、それほどにわたしは、常日頃、冷めきっているのだろう。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

「国際オリンピック委員会(IOC)は10月16日、東京五輪の猛暑対策として陸上のマラソンと競歩を札幌開催に変更する案の検討に入ったと発表した。東京より気温が約5度低く、地理的な条件などを理由としている。五輪開幕まで1年を切り、IOCが会場変更を提案するのは異例の事態で、実現には難航も予想される。猛暑を見据えて準備を進めてきた現場サイドでは驚きと戸惑いの声が上がった。」(10月17日付スポーツ報知)

◆いよいよ混乱が本格化しはじめた

ほーらみろ。いよいよ「企業欲の祭典」、東京五輪の混乱が本格化しはじめた。前回1964年に東京で五輪が開催されたのは、10月。台風の懸念はあるが、年間通じて普通のひとにも過ごしやすい時期だ。あれから半世紀以上がたち、いまの東京8月は、もう「温帯」の気温ではなく「熱帯化」している。わたしが説明するまでもないだろう。関東にお住まいの方であれば「8月の東京」の灼熱ぶりが、五輪に適すか適さないかくらい、簡単にお分かりいただけよう。

そういう自然条件を承知のうえで、五輪招致委員会は「8月の東京」にこだわったのであり、IOCもそれを了承した。どうして8月でなければならないのか? それは北半球の多くの国で、8月が夏休みに充てられ、高い放送料が設定できるからだ、これが10月にずれ込むと放送料は数割安くなってしまう。つまりIOCも招致委員会も、最初から「商売第一」で「8月の東京」をごり押ししたのだ。

ところがである。先に行われたドーハで行われた世界陸上では、あまりの高温多湿にマラソンや長距離競技、競歩で棄権する選手が続出した。当然選手から批判の声が相次いで上がり「二度とこんなコンディションでは、走らせたくない」とコメントするコーチも現れた。

しかもそう発言したのは日本人選手のコーチだった。夜間でも40度を上回り湿度も90%を超える気候で、長距離競技が行われることを前提に、ルールはできていない。日本でも歴史あるマラソンは(福岡国際、別大、琵琶湖、女子マラソン)はすべて冬季に集中しているし、駅伝競技も同様だ。

◆ビジネス最優先のIOCと関連団体の「勘定論」

マラソンは15度くらいに温度が上がると「暑い」と表現され、20度を超えると「厳しい」、25度を超えると「過酷な」コンディションと表現される(気温は概ねの値である)。30度や40度近い気温の中で行われる競技ではないのだ。マラソンだけではない。トラック競技の1000mや20キロ、50キロ競歩なども同様だ。

さて、例年東京の8月の気温はどうであろうか。「熱帯夜」と呼ばれる最低気温が25度を下回らない夜は当たり前。25度どころか30度を下回らない夜も珍しくはない。そんな気温の中で「根性論」ならぬ「勘定論」の上に計画されたのが、東京五輪である。

けれども「勘定論」であるから、競技中に選手がバタバタ倒れたり、救急車がやってくる様子が画面に映ったのでは、非常に具合が悪い。スポンサーのイメージはむしろ下がってしまうから、高いスポンサー料を払っている企業からすれば(その中には朝日、毎日、読売、日経、産経など全国紙も含まれる)「惨憺たる灼熱地獄」を放送したくはない。

そこで、急遽「選手の健康第一」など殊勝な理由をでっちあげて、札幌でのマラソン実施を発案したのだ。IOCをはじめとする「スポーツに詳しいはず」の団体が、競技コンディションなどは二の次で、金勘定だけでうごいていることを証明することになった、象徴的な出来事といえよう。

しかしすでに述べた通り、灼熱地獄で行われるのは、マラソンだけではない。トラック内で行われる1000mは競技時間はマラソンよりは短いが、すり鉢状の競技場を観客が埋めれば、自然気温以上に空気が滞留し、高温化する可能性が高い。そして、あえて指摘しておけば、関東のかたがたがつい最近経験したような、大雨による水害や、地震はいつ発生するか予想ができない。関東を台風19号が直撃した日、千葉沖を震源とする最大震度の地震も同時に発生していたことを、関東以外にお住まいのかたはご記憶だろうか。

◆被災した人々の生活回復を第一に考えれば

自然災害は防ぎようがない。だから「東京五輪」を自然災害だけを理由に批判するのは的外れかもしれない。しかしながら、地震、大雨、火山噴火などここ数年の自然災害により、通常の生活を送ることができなくなっているかたがたがまた増えた。台風19号による被害者がもっとも多かったのは、福島県であった。

福島県……。人間も、自然もどこまで福島に不幸を強いるのであろうか。

被災した人々の生活回復を第一に考えれば、マラソンを札幌に持っていく程度のちゃちな子供だましで、被災者は救われないことくらい理解されるだろう。

東京五輪に対する、唯一最善の処方箋は、「中止・返上」することである。


◎[参考動画]Learn about Olympic Agenda 2020 The New Norm(IOC Media 2018年10月10日公開)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

壱の左ハイキックが誓を攻める

11月1日に「KNOCK OUT」に於いて、HIROYUKI(=茂木宏幸/藤本)と対戦が予定されている壱(=いっせい/センチャイ)が、誓(=飯村誓/ZERO)をヒジ打ちで圧勝。

鳩(=あつむ/TSK JAPAN)がボディーブローで、ムエタイオープン・スーパーバンタム級王座獲得。

8月11日にタイ・チョンブリー県でWPMF女子世界ピン級王座獲得した田中“暴君”藍(PCK亘理)も、より成長した強さを発揮し、ヒジ打ちでTKO勝利。

8月31日、タイ・バンコクに於いてルンピニースタジアム最高責任者、デットウドム・ニチャラット将軍より、日本支部となる「ルンピニー・ボクシング・スタジアム・オブ・ジャパン」の認定が2年延長されました。

2015年8月7日、ムエタイの殿堂、ルンピニースタジアムが認定する史上初の海外支部となる「Lumpinee Boxing Stadium of Japan」発足以来、ムエタイオープン興行を中心に、ルンピニー日本王座とランキングを管理し、ムエタイ文化の国際普及に貢献してきたルンピニージャパン代表、センチャイ・トングライセーン氏は、この4年間に及ぶ功績を認められた様子です。

壱と誓のまだ静かな立ち上がりの蹴りあい

劣勢を撥ね返そうとパンチで出る誓

◎MuayThaiOpen.46 / 2019年9月29日(日)新宿フェース16:00~19:27
主催:センチャイジム / 認定:ルンピニー・ボクシング・スタジアム・オブ・ジャパン(LBSJ)  
 
◆第12試合 バンタム級ノンタイトル3回戦

LBSJバンタム級チャンピオン.壱センチャイジム(=与那覇壱世/センチャイ/53.3kg)
    vs
NJKFフライ級1位.誓(ZERO/53.25kg)
勝者:壱センチャイジム(赤コーナー) / TKO 3R 2:18 / 主審:山根正美

左瞼を腫らし、左目尻を切られた誓は苦しい展開

初回、誓の蹴りのけん制から壱の蹴り返す圧力が増し、第2ラウンドも攻防は壱が圧力を掛け、誓はロープ際に圧される展開が続く。接近戦から組み合うとヒジ打ちやパンチの交錯が続くと、誓は圧されながらもヒジ打ちをヒットさせ、壱の右目尻を小さくカット、攻勢を保ちながら切られた壱もやりかえそうと手数を増して出て行く。

第3ラウンドには蹴り合いから縺れ合って首相撲になると、壱がヒジ打ちを放った様子で誓の左目尻をカットする。すでに第2ラウンドにヒジ打ちで左目辺りにダメージがあった様子で、左瞼がやや腫れ、見え難いのか顔をしかめてしまう誓。更に蹴りから組み合うと、壱は誓の頭を下げてヒザ蹴りを蹴り込み攻勢を維持。蹴り合いから縺れ合って倒れるとヒジが当たったか誓の負傷箇所が悪化し、ドクターの勧告を受入れたレフェリーが試合を止めた。誓は格上との対戦の試練が続く4連敗となった。

相打ち気味の誓の右パンチが壱にヒット

至近距離の打ち合いは互角

離れての蹴りは壱が優勢

あっけなくも狙ったボディーブローでTKO勝利した鳩

◆第11試合 MuayThaiOpenスーパーバンタム級王座決定戦 5回戦

鳩(TSKJapan/53.0kg)
    vs
デンナダーオ・モー・ピンガローイジュンボーイ(タイ/52.65kg)
勝者:鳩(赤コーナー) / TKO 1R 1:44 / 主審:河原聡一

両者のローキックのけん制の様子見が続き、鳩が軽い右ローキックから強い左ボディーブローをヒットさせるとデンナダーオは蹲るように倒れ込んでしまうとレフェリーがカウント中に試合をストップし、鳩のTKO勝利となった。

左ボディーブローに移る鳩、これで仕留めるとは……

ラウンドガールとセンチャイ氏に囲まれる鳩

44歳の松崎公則のミドルキックが冴える

◆第10試合 スーパーフライ級3回戦

バンサパーン・センチャイジム(タイ/51.9kg)vs 松崎公則(Struggle/51.95kg)
引分け三者三様 / 主審:神谷友和
副審:河原29-28. 桜井30-30. 山根29-30

激しさは無いが、ローキックやミドルキックの攻防が休むことなく続く両者。そして松崎のしぶとく落ち着いた表情は激戦の兵と感じさせる。

最終ラウンドは松崎が攻勢を掛けてパンチと蹴りで前に出るが、バンサパーンは上手く捌きながらポイントに繋ぐようにハイキックを繰り出し劣勢を凌いだ。

三者三様の引分けがコールされて残念そうな両者

◆第9試合 スーパーフライ級3回戦

白幡裕星(橋本/51.9kg)vs 佐藤仁志(新宿スポーツ/52.16kg)
勝者:白幡裕星 / 判定3-0 / 主審:少白竜          
副審:河原30-28. 神谷30-28. 山根30-28

組み合えば田中のヒジが襲う、Saeは防戦一方

◆第8試合 女子47.5kg契約3回戦(2分制)

KOKOZ(=ココゼット/TRYHARD/47.4kg)vs 443(=よしみ/NEXTLEVEL渋谷/47.3kg)
勝者:KOKOZ / 判定3-0 / 主審:桜井一秀
副審:河原30-29. 神谷30-29. 少白竜30-29    

◆第7試合 女子45.5kg契約3回戦(2分制)

WPMF女子世界ピン級チャンピオン.田中“暴君”藍(PCK亘理/45.1kg)
    vs
Sae-KMG(=さえ/クラミツ/45.0kg)
勝者:田中“暴君”藍(赤コーナー) / 公式TKO 2R 0:02 実質1R終了 / 主審:山根正美

互いが対峙してのローキックのけん制から組み合うと早くも田中“暴君”の勢いが増していった。首の掴み方、体重の掛け方のバランスが良く、すぐさまヒジ打ち、ヒザ蹴りを入れ、田中の圧力を抑えることが出来ないSaeは険しい表情。

田中のヒジ打ちで左頬を切られたsaeは第2ラウンド開始と同時にドクターチェックが入り、そのままレフェリーに試合を止められた。

第2ラウンドの開始ゴングを待ってのドクターチェックで、再開されないままの終了であり、実質は1ラウンド終了時のTKOとなる。おそらくJBC式でも「TKO 1R終了時」となる。

田中“暴君”藍のヒザ蹴りがSaeにヒット

WPMF世界ピン級チャンピオンとしてより実力アップした田中“暴君”藍

◆第6試合 女子フライ級3回戦(2分制)

RAN(Monkey☆Magic/50.55kg)vs 竹井成美(エイワスポーツ/50.35kg)
勝者:RAN / 判定3-0 / 主審:河原聡一
副審:桜井30-27. 山根30-27. 少白竜30-28

◆第5試合 バンタム級3回戦  

稔之晟(=じんのじょう/TSK Japan/53.15kg)
    vs
チャローンリット・ソー・ウィセットキット(タイ/53.5kg)
勝者:稔之晟(赤コーナー) / KO 1R 1:43 / テンカウント / 主審:神谷友和

◆第4試合 66.0kg契約3回戦

ポッキー・ラジャサクレック(タイ/65.4kg)vs 雑賀弘樹(NEXT LEVEL渋谷/65.7kg)
勝者;雑賀弘樹 / 判定0-3 / 主審:少白竜
副審:神谷28-30. 山根28-30. 河原29-30

◆第3試合 スーパーフェザー級3回戦 

洸杜(T’sKICKBOXING/58.8kg)vs 直希(AKT/58.5kg)
勝者:洸杜(赤コーナー) / TKO 2R 2:10 / カウント中のレフェリーストップ / 主審:桜井一秀

◆第2試合 フェザー級3回戦  

三浦翔(クロスポイント大泉/56.85kg)vs 成澤龍(SRC/56.55kg)
勝者:三浦翔(赤コーナー) / KO 1R 1:58 / テンカウント / 主審:山根正美

◆第1試合 フェザー級3回戦  

健・センチャイジム(センチャイ/56.6kg)vs 岡田将充(クラミツ/56.2kg)
勝者:岡田将充 / 判定0-3 / 主審:河原聡一
副審:山根29-30. 少白竜28-29. 桜井29-30

着実に日本のトップ戦線に躍り出た壱、次戦はHIROYUKI戦

《取材戦記》

壱(=いっせい)は、昨年11月25日のMuayThaiOpen43に於いて、小嶋勇貴(仲FS)からルンピニージャパン・バンタム級王座奪取。この日、誓を下し、11月1日には「KNOCK OUT」に於いて、日本バンタム級チャンピオンのHIROYUKI(=茂木宏幸/藤本)と対戦が予定されています。2017年11月26日のデビュー戦では敗れたが、この日で15戦13勝(5KO)1敗1分。このMuayThaiOpenから生まれたスターが日本のトップクラスのリングで他団体チャンピオンと戦います。

「キックボクシングは今が全盛期ではないか」と言う運営関係者が居ました。

「乱立はしているが、組織の在り方は軟弱だが、多くの興行が成り立ち、ビッグマッチが行なえるイベントが増えてきた。イベントの盛り上げ方は、昭和の全盛期を上回るのではないか」と言う意見。団体や興行プロモーションは増え、王座は乱立したが、確かに興行が増え、交流戦が当たり前になり、トップクラスの戦いも増えた。これが時代の流れなのだろう。全国ネットで放送され、2団体しかなかった“昭和の良き時代”の語り部となっている我々世代はもう戻らぬ時代を想い、懐かしむだけの遅れた人間なのだろうと気付かされる。

地道に進むムエタイオープンも紆余曲折を経て46回目を迎えました。会場に入る度、センチャイファミリーが運営する興行という雰囲気が漂います。タイ人プロモーターによる、イベントタイトルどおりにムエタイの趣が表れる興行は幾つか存在し、ムエタイ殿堂のルンピニースタジアム傘下のルンピニージャパンタイトルは、公式ルールを遵守する運営で、より伝統・格式が付いてくるもので、しっかり継続して貰いたいタイトルであります。

と、毎度綺麗ごとで纏めてしまうが、タイ人関係者(プロモーター)との意思の疎通は難しいと感じることがあります。疑問点が生じて事情を伺うと、言葉は伝わっても意味が伝わらないこと多い。しかし日本人であっても問題摩り替えて答えを無難に、はぐらかす者も多いから、記者が挑む取材は難しい仕事と思う。

ムエタイオープン47は12月1日(日)に、やっぱり新宿フェースに於いて行なわれます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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サオトー・シットシェフブンタム(撮影:山本有佐)

江幡睦が、10月20日(日)の後楽園ホールで開催される新日本キックボクシング協会MAGNUM.51に於いて、タイ国ラジャダムナンスタジアム・バンタム級王座へ4年半ぶり4度目の挑戦が予定されています。

現・チャンピオンは、サオトー・シットシェフブンタム(Saotho Sitchefboonthum)で、今年1月23日に当時のチャンピオン、ゴーンサック・ソー・サータラーに判定勝ちして王座獲得してから、現在まで6連勝中。6月27日にはゴーンサックにヒジ打ちでTKO勝利し返り討ち。江幡睦戦が2度目の防衛戦となります。

サオトー・シットシェフブンタム 
1997年8月16日、バンコク出身(22歳)
現・ラジャダムナンスタジアム・バンタム級チャンピオン 
約120戦をこなし80ほどの勝利(約10のKO)

噂の範疇ですが、サオトーは幼い頃、家が凄く貧乏な暮らしだったという。現在は経済発展著しいタイ国ではあるが、貧富の差はより激しくなった中、そんなハングリー精神は昔からあるムエタイボクサーの本能を持っているだろう。

双子の兄は、サオエーク・シットシェフブンタム。現在、スーパーバンタム級で、元・ラジャダムナンスタジアム・スーパーフライ級チャンピオン。

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レックトレーナーのミットに打ち込むサオトー(撮影:山本有佐)

◆サオトー・シットシェフブンタムインタビュー(9月21日現地 / 聞き手:山本有佐)

── 今回初めての海外遠征で日本での試合ですが、どうですか?

サオトー 日本に行くことが嬉しいです。

── 相手のことは知っていますよね?

サオトー はい。以前、(江幡陸が)シェフブンタムジムに練習に来ていたので知っています。

── その時、相手を見てどんな感じでしたか?

サオトー さほどの印象はないですね。でも、油断だけはしないようにします。

── 特に相手の攻撃で注意することはありますか?

サオトー 全部です。特にパンチと肘です。

前蹴りで相手の動きを止めるサオトー(撮影:山本有佐)

── 首相撲でも組み合ったと思いますが、どうでしたか?

サオトー なかなか強かったです。

── サオトー選手の得意技は何ですか?

サオトー 肘打ちです(右の肘打ちのポーズ)。

── 今回は肘でKOを狙いますか?

サオトー チャンスがあれば狙いたいと思いますが、それはタイミングだと思います。

── 初めてムエタイをしたのは、いつですか?

サオトー 6歳の時、ノンタブリーでしました。

―― 通常体重はどのくらいですか?

サオトー 59キロです。118パウンドでの試合は全く問題ありません。

── 10月の日本は涼しいですが、調整は大丈夫ですか?

サオトー タイで体重は調整して行きます。前日計量なので、試合は全く問題ありません。

── 今まで一番の強敵はだれでしたか?

サオトー ノーンヨットです(2019年8月15日、判定勝ち)

── 最後に日本のファンに一言お願いいます。

サオトー 10月20日は全力で戦います!

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左がサオトー、右が兄のサオエーク(撮影:山本有佐)

サオトーのトレーナーのレック氏は、江幡陸が今年タイ遠征し、シットシェフブンタムジムで練習していたのを見ているので、しっかり対策を立て、相手を想定してシュミレーションしながらミット打ちを指導していた様子。江幡陸にとって過去最強の難敵襲来、厳しい戦いが予想されます。

双子の兄、サオエークは11月1日、「KNOCK OUT」興行に於いて、睦の弟、塁に敗れている小笠原瑛作との対戦が予定されており、江幡兄弟とサオエーク・サオトー兄弟を絡む、興味を引く対戦が増えそうな日本のリングである。
 
WKBA世界バンタム級チャンピオン.江幡睦は1991年1月10日生まれの28歳。2013年3月10日にラジャダムナンスタジアム王座初挑戦も、当時のチャンピオン、マナサック・ピンシンチャイに3-0の判定負け。同年9月16日には江幡ツインズ弟の塁とラジャダムナン王座ダブル挑戦(睦は2度目の挑戦)で、当時のチャンピオン、フォンペット・チューワタナに2-1の判定負け。3度目の挑戦は、2015年3月15日にまたもフォンペット・チューワタナに3-0の判定負けの返り討ちに遭い、ここから4年半、タイのテクニシャン相手に待ち続ける戦いの年月を送った。

長年追い続けたムエタイ最高峰の王座、特に軽量級の50kg台のフライ級からスーパーフェザー級域は、本場タイでの激戦区で、外国人が絡むことが難しい階級であり、最軽量級(105LBS)では今年、吉成名高が二大殿堂制覇を果たしたが、この激戦階級では江幡睦が歴史を変える快挙を達成したいところだろう。更には現地での防衛を果たし、弟・塁との同時チャンピオンや二大殿堂制覇など、ファンが望む終わりなきトーナメントは続くのである。

左が挑戦する江幡睦、右が塁(2018.9.2)

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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◆死者が出かねなかったドーハの惨状

ドーハで開かれている世界陸上選手権の女子マラソン(9月27日)で、棄権者が相次いだ。気温は33度。出走68人のうち、じつに4割以上にあたる28人が途中棄権したのである。優勝したチェプンゲティッチ(ケニア)の2時間32分という記録は2007年大阪大会の2時間30分よりも2分遅い歴代最遅記録だった。

英BBCによると、5位だったマズロナク(ベラルーシ)はレース実行に踏み切った国際陸連を批判し、「アスリートに敬意がない。多くのお偉方がここで世界選手権をすることを決めたのだろうが、彼らはおそらく今、涼しい場所で寝ているんだろう」と皮肉ったという。

医療施設がゴールラインの隣に用意され、コース上で人が倒れるたび、選手たちは担架でそこに運び込まれたという。そもそも炎天下でマラソンを行なうこと自体が正気の沙汰ではない。

◆真夜中のレースでこの惨状

いや、このレースは炎天下ではなく、真夜中に行われたのである(午前0時過ぎにスタート)。気温は33度、湿度は73.3%だった。おなじく真夜中に行われた男女50キロ競歩、女子20キロ競歩でも棄権者が多数出た。ロシアメディア「スポルトエクスプレス」によると、22位でゴールしたトロフィモワ(ロシア)は、レース後に「非人道的な環境だった」と語った。自身のインスタグラムで「10キロで少女たちがまるで“死体”のように道路に横たわるのをみた」と惨状を明らかにした。まさに修羅場である。こんなのを“スポーツ”というのだろうか。

けっきょく、日本選手は7位に谷本観月(天満屋)、11位に中野円花(ノーリツ)と2人が完走したが、池満綾乃(鹿児島銀行)は30キロ過ぎに力尽きた。代表コーチを務める武冨豊天満屋監督は「こんな環境では、もう二度と選手を走らせたくない」と言いきった。

この結果をうけて、オリンピック委員会は来年の東京五輪マラソンを見直すのだろうか。いや、スタートを午前6時に繰り上げたばかりで、本気で強行するかまえを崩していない。選手ファーストどころか、アメリカ巨大ネットワーク放送の意向をうけた、買弁オリンピックを強行しようというのだ。

◆オリンピックで死者が続出してもいいのか

これまでに世界陸上で最低の完走率を記録したのは、1991年の世界陸上東京大会男子マラソンである(9月1日開催)。同大会では60選手がレースに出場し、40%に当たる24人が途中棄権した。当日の気象条件は、午前6時のスタート時で気温がすでに26度、湿度は73%と高温多湿のレースとなった。25キロ付近では気温30度を超え、日本のエース格だった中山竹通も途中棄権を余儀なくされている。

来年の東京オリンピックマラソンは、女子が8月2日、男子が8月9日である。今年の同日の気温を調べたところ、2日が35度、9日は36度である。この夏の驚異的な暑さは、いまも焼けた素肌感覚で残っている。このまま来年のレースが強行されたら、死屍累々たる結果は目に見えている。

しかるに、大会組織委員会、東京都、陸連の対策はといえば、打ち水や温度をためにくい舗装路にする、前述のスタート時間の繰り上げなど、抜本的なものはない。当たり前である。室内ではなく暑い東京の夏を走るのだ。

打ち水はいかにも日本人的な風情というか知恵のようにみえるが、熱気をもった水蒸気が選手に襲い掛かるという。湿度を上げるのだからそれも当然かもしれない。そしてスタート時間の繰り上げにも問題がある。

寝ている時と起きている時では、血圧に差があるのだ。寝ている時は最も血圧が下がってるが、そのため朝起きると血圧が急に上昇するという。その状態で、ランニングをすると、ただでさえ血圧が上がっている状態にさらなる負荷がかかり、血栓が血管を塞いでしまう。したがって、脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなるというのだ。

一般的に突然死が起きやすいのは午前中というデータがあるが、その理由の一つとして血圧の急上昇が挙げられるのだ。ようするに、気温の比較的低い朝のランニングこそ、人間の体に負担をかける。いや、負担どころか死をまねきかねないというのだ。暑さを考慮して繰り上げたスタート時間が、本当に選手の生死を左右しかねないのである。

◆今からでも遅くない、真夏の大会はやめるべきだ

それもこれも繰り返しになるが、アメリカの大手放送ネットワーク資本の事情によるものだ。

周知のとおり、アメリカでは大リーグのワールドシリーズ(プレイオフをふくむ)、アメリカンフットボールのレギュラーシーズンと、秋にスポーツのビックイベントが重なっている。大きなスポーツ大会のない7、8月の視聴率を埋めるために、オリンピックは夏場に開催されるようになったのだ。このままでは巨大資本のための大会に、選手たちが犠牲となるのだ。

1964年の東京オリンピックの記憶がある方は、あの素晴らしい青空のもと、すがすがしい風と共に思い出されるのではないだろうか。テレビ録画で55年前の入場風景をご覧になった方も、透明感のある空気とスポーツ日和を感じられるはずだ。スポーツの秋という言葉を引くまでもなく、真夏にオリンピックをやる愚は犯すべきではない。いまからでも遅くはない。アスリートファーストという言葉が嘘ではないのなら、今回のドーハの惨状に学ぶべきである。


◎[参考動画]【ドーハ2019世界選手権】日本代表発表!新ユニフォーム発表!記者会見 選手コメント(日本陸上競技連盟2019年7月4日公開)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
著述業、雑誌編集者。近著に『ガンになりにくい食生活』(鹿砦社ライブラリー)『男組の時代――番長たちが元気だった季節』(明月堂書店)など。

創業50周年 タブーなき言論を! 月刊『紙の爆弾』10月号絶賛発売中!

ワールドカップの一次リーグでジャパン(日本代表)が世界2位のアイルランドを19対12で破り決勝トーナメント進出への足掛かりを得た。これをメディアはこぞって「奇跡がふたたび」「大番狂わせ」と報道しているが、そうではない。観ていた方はわかると思うが、フィットネスの面でジャパンはアイルランドを圧倒していた。


◎[参考動画]【ラグビーワールドカップ2019ハイライト】日本×アイルランド(DAZN Japan 2019年9月29日公開)

この勝利は勝つべくして勝ったというべきである。そもそも、ラグビーというスポーツに「偶然」は「ラッキー」はない。いや、楕円ボールのラッキーバウンドすらも、練習によって見きわめられた想定内の運動なのである。ラグビーを多少やっていた人間として、ジャパンの強さを解説しておこう。

◆世界にほこるトレーニングの量

もう十数年前になるが、わたしは鹿砦社の松岡社長の紹介で日本ラグビーフットボール協会のA氏(慶応OB)を紹介されたことがある。それが機縁で社会人ラグビー(当時)のプロ化の準備に向けたサイトの運営、テストマッチ(国の代表チームの対戦)や日本選手権の取材などを引き受けていた。

そしてその中で、代表チーム(ジャパン)の個別のトレーニング管理という、きわめて徹底したマネジメントを知って驚いたものだ。代表候補選手に携帯のメーリングシステムを通じて、個人練習(その日に何キロ走ったか、など)を管理するというものだ。そこまでやるのかという、わずかに嫌な印象を持ったものだ。

現在はプロ化(完全ではない)が達成され、代表チームの招集も個別の所属チームに優先するようになったので、スマホで個人トレーニングを管理する必要もなくなったが、それでも激しいトレーニングは世界レベルでもトップではないか。

エディ・ジョーンズヘッドコーチの時代、ボールを使った練習中にホイッスルが鳴ると、数分間走り続ける、選手にとってはうんざりするようなトレーニングが課せられたものだ。80分間走るフィットネスにかけては、世界に敵はいないだろう。

アイルランド戦の勝利は、けっして奇跡ではないのだ。アイルランド選手が動けなくなっているときに、ジャパンの選手たちは体を躍動させていたではないか。そしてリザーブ選手がすぐに試合に順応できる層の厚さも、アイルランドとは好対照だった。

◆日本のラグビー文化の素晴らしさと限界

今回のジャパンの活躍で、にわかラグビーファンが増えるのは悪いことではないが、その反面でラグビーというスポーツ文化への一知半解が従来のラグビーファンの眉を顰めさせることもあるはずだ。

たとえば、テレビでは「サポーター」というサッカー用語をさかんに使っているが、ラグビーのサポーターという意味ならばともかく、個別のチームのサポーターがラグビーに存在するわけではない。よいプレイがあれば相手チームであれ、応援しているチームであれ、拍手で讃えるのがラグビーの観戦マナーである。

サッカーJリーグはファンにサポーターという地位を与えることで、応援で「活躍」する場をあたえた。これは野球にみられる応援文化を、そのまま海外におけるサッカーの応援シーンに合致させたものだ。ラグビーにもプロがあり、南半球のラグビー応援シーンはなかなか派手だ。しかし、大学ラグビーを底辺に構築されてきた日本のラグビー文化は、サッカーのそれを後追いするには異質なものがある。

たとえばアイルランド戦で活躍した福岡啓太選手は、医者を志望しているという。ラグビー選手がプロとしてチームに残る際も、企業のマネージャーとしての立場が必要である。高学歴ゆえに、組織マネージメントや技術者としての役割性を期待されるのだ。

ひるがえって、フリーランスでラグビー解説者やタレント化するほど、ラグビー人気に厚みはない。プロ化のいっそうの推進がどこまで可能なのか。ファンの支援が、サッカー並みに「サポーター」として厚みを持てるのか、これも昔の話で恐縮だが、伊勢丹ラグビー部が解散するときに「おカネがないのなら仕方がないね」で済まされたものだ。ラグビーはエリート社員たちの「余暇」としかみなされなかったのである。

◆ウエイトトレーニングが決め手だった

かつて、早明ラグビー人気を中心に、80年代にはラグビーブームという言葉があった。伏見工業ラグビー部をモデルにしたテレビドラマ「スクールウォーズ」の人気もあって、ラグビー精神のオールフォアワン、ワンフォアオールが人口に膾炙したものだ。その後、早明両校の低迷やJリーグサッカーの隆盛もあって、ブームの去ったラグビーは低迷期に入った。早明に代わって大学ラグビーの王者となった関東学院の生活事故(部員の大麻栽培)による凋落、出発したトップリーグも旧来の社会人ラグビーをリニューアルした以上の印象ではなかった。

ラグビーの変革はやはり、大学ラグビーに表象した。早明ラグビーはラックの早稲田(スピード)モールの明治(圧力)、早稲田の横の展開力に明治の縦の突進という戦術思想に限界がきていた。日本代表もスピードを基本に、日本人に合ったラグビー戦術を採っていたが、世界標準は戦略・戦術の総合力をもとめていた。それをいち早く達成したのは、岩出雅之監督がひきいる帝京大学だった。ウエイトトレーニングの導入で選手の体格・パワーアップに成功。相手をリスペクトするメンタルの高度化によって、規律のある(反則をしない)プレイを徹底した。この戦略は、じつに大学選手権9連覇という偉業を達成した。

そして名門明治がウエイトトレーニングを本格的に導入することで、もともと素材に勝る明治が帝京を破るという流れが、このかんの大学ラグビーである。このような動きと、ジャパンの強化策も同じである。けっきょく、スピード(軽さ)とパワー(重さ)という相反しがちなテーマは、徹底したウエイトトレーニングと走りこむことによってしか得られない。その苦行に、ジャパンは勝ち抜いてきたのである。

かつて、ジャパンはフランス大会においてニュージーランド(オールブラックス)に17対145(ワールドカップ記録)という大敗を余儀なくされていた。ヨーロッパ各国代表とのテストマッチでも100点差ゲームはふつうだった。奇跡ではなく、総合力のアップがジャパンの躍進をささえている。ジャパンのいっそうの活躍を期待したい。

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
著述業、雑誌編集者。近著に『ガンになりにくい食生活』(鹿砦社ライブラリー)『男組の時代――番長たちが元気だった季節』(明月堂書店)など。

創業50周年 タブーなき言論を! 月刊『紙の爆弾』10月号絶賛発売中!

波賀宙也は、圧倒は出来ず採点も際どくも、我武者羅に攻めた前進が世界王座獲得に導いた。

波賀宙也が前進強めて蹴って出る。トンサヤームは下がり気味

トンサヤームの転ばす技は冴えていた

S-1トーナメント55kg級は4名が前日計量時に、くじ引きで対戦相手が決まる方式。勝ち上がった馬渡亮太と大田拓真が次回興行で決勝戦が行なわれます。

前日の大阪・旭区民センター大ホールに於いて行なわれた誠至会主催興行で、NJKFウェルター級チャンピオン.中野椋太(誠至会)がチョ・ギョンジェ(韓国)を破り決勝進出を決め、畠山隼人は中野椋太と次回、65kg級決勝戦を争います。

鮮やかな彩りで舞うPPP

アトラクションとして歌のゲスト、川神あいさんが新曲の「愛の漂流船」と、出場選手へのエールとして「栄光の架け橋」を唄われました。

NJKFラウンドガールとして今後一年間の登場が決まった、PPP(トリプルP)の三名が披露されました。

◎NJKF 2019.3rd / 2019年9月23日(月・祝) 後楽園ホール17:00~21:15
主催:ニュージャパンキックボクシング連盟 / 認定:NJKF、IBFムエタイ本部

◆第11試合 IBFムエタイ世界ジュニアフェザー級王座決定戦 5回戦

1位.波賀宙也(立川KBA/55.3kg)
    vs
2位.トンサヤーム・ギャッソンリット(タイ/55.2kg)
勝者:波賀宙也 / 判定2-1 / 主審:ソムサック・プラサート
副審:チャッチャイ48-49. 竹村49-48. 宮本49-48

ローキックで攻める波賀宙也

組み合っても波賀宙也のヒザ蹴りが優った

トンサヤームがミドルキックやヒザ蹴りは波賀を上回るが勢いはあまり無い。組み合ってのバランスを崩して転ばす技はムエタイらしさを見せるテクニシャンぶりを発揮。

第3ラウンドに入ると押され気味だった波賀が、我武者羅に出始めた。追う波賀に下がり気味のトンサヤームは、組み合ってのヒザ蹴りは波賀が多くなっていくが、トンサヤームの蹴りが、どう採点に表れるかは分かり難い展開。

波賀のローキックや衰えぬヒザ蹴りのしつこさが堪えたか、インターバルではやや曇りがちな表情だったトンサヤーム。

四名の審判構成は主審がタイ人、副審二名が日本人、副審一名がタイ人で採点が割れる結果となり、キックボクシングとして見極めれば確かに波賀の勝利は間違いないところ、タイ人だけの審判構成だったら結果は逆になっていたかもしれない際どさだった。

下がるトンサヤームに追う波賀宙也、ローキックは効果ある蹴りだった

◆第10試合 S-1ジャパントーナメント65kg級初戦3回戦

NJKFスーパーライト級チャンピオン.畠山隼人(E.S.G/64.4kg)
    vs
WMC日本スーパーライト級チャンピオン.栄基(エイワS/64.7kg)
勝者:畠山隼人 / 判定3-0 / 主審:多賀谷敏朗
副審:神谷30-26. 竹村30-26. 宮本29-26

蹴りでの探り合いからパンチの距離に移っていくと畠山のパンチがヒットし、これでリズムを作った畠山。栄基は重い蹴りがあり、時折、ハイキックを繰り出し畠山の勢いを止める。

第3ラウンドには打ち合いが増すと、栄基のパンチもヒットし、相打ちも起こるほど激しくなる。栄基が打たれ気味に陥ったところで畠山の連打で栄基はノックダウンを喫する。畠山が勢い強めて出ると更にパンチで栄基をロープ際まで吹っ飛ばすようにロープダウンに繋げる。栄基は残り少ない時間でも巻き返しに出るが逆転成らず。

栄基の蹴りに合わせて右ストレートを打ち込む畠山隼人

◆第9試合 S-1ジャパントーナメント55kg級3回戦

JKAバンタム級チャンピオン.馬渡亮太(治政館/54.95kg)
vs
WMAF世界スーパーバンタム級チャンピオン.知花デビット(エイワS/54.9kg)
勝者:馬渡亮太 / 判定3-0 / 主審:和田良覚
副審:多賀谷30-28. 竹村30-28. 宮本30-28

馬渡亮太のハイキックが何度も知花デビットを捕らえた

知花デビットの負傷した額に前蹴りをヒットさせた馬渡亮太、足の裏に血が残る

蹴りの様子見から馬渡が長身で手足の長さを活かしハイキックでリズムを掴む。知花はパンチとローキックで出るが、主導権を手繰り寄せることが出来ない。

馬渡のヒジ打ち、ヒザ蹴りの圧力が増していくと、一瞬のヒジ打ちで知花の額をカットする。

ヒットを増やし、更に負傷箇所を深くしたが、2度のドクターチェックもレフェリーは続行を認め、知花は逆転を狙って打ち合いに出て行く。

第3ラウンドも馬渡の主導権は譲らぬまま進み、知花は打ち合いに出るも負傷箇所への更なる悪化は免れ終了まで攻めて出た。  

流血激しくなった知花デビットを再度ドクターチェックへ導く

打ち合う両者、知花デビットも最後まで諦めなかった

◆第8試合 S-1ジャパントーナメント55kg級3回戦

WBCムエタイ日本フェザー級チャンピオン.大田拓真(新興ムエタイ/54.95kg)
    vs
JKIスーパーバンタム級チャンピオン.岩浪悠弥(橋本/54.9kg)
勝者:大田拓真 / 判定3-0 / 主審:神谷友和
副審:多賀谷30-29. 竹村29-28. 和田29-28

互いのパンチと蹴りの交錯が続き、第2ラウンドはやや距離が詰まるとパンチとヒザ蹴りが増える。

第3ラウンドに入って岩浪がパンチの圧力を強めるも、太田もパンチと蹴り、ヒザ蹴りのコンビネーションでややペースを上げて岩浪の手数を減らすと、太田の攻勢的印象が残った。

大田拓真の右ミドルキックが岩浪悠弥にヒット

攻めのリズムが上回っていった大田拓真

シンダムの重心はブレず、ヒザ蹴りのバランスが良かった

◆第7試合 58.0kg契約3回戦

MA日本フェザー級チャンピオン宮崎勇樹(相模原S/58.0kg)
    vs
シンダム・ゲッソンリット(タイ/57.85kg)
勝者:シンダム / 判定0-2 / 主審:宮本和俊
副審:多賀谷29-29. 神谷28-30. 和田28-30

体幹しっかりしたシンダムのバランス良い蹴り、組み合ってもヒザ蹴りが目立ち、パンチで勝負を懸ける宮崎を上回って判定勝利。

◆第6試合 63.0kg契約5回戦

NJKFライト級チャンピオン.鈴木翔也(OGUNI/62.9kg)
    vs
晃希(team S.R.K/62.65kg)
勝者:鈴木翔也 / TKO 5R 1:32 / カウント中のレフェリーストップ
主審:竹村光一

5回戦ならではの総合力が試された展開。晃希にヒジで切られた鈴木翔也のジワジワ巻き返しが活きた計3度のノックダウンを奪った逆転TKO勝利。

後半の鈴木翔也のしぶとさが活きていった

川神あいさんの歌声が響いた後楽園ホールのリング

◆第5試合 57.2kg契約3回戦

NJKFスーパーバンタム級チャンピオン.久保田雄太(新興ムエタイ/57.2kg)
    vs
J-NETWORKフェザー級チャンピオン.一仁(真樹AICHI/57.15kg)
勝者:一仁 / 判定0-3 / 主審:多賀谷敏朗
副審:宮本27-30. 神谷28-30. 竹村28-29

◆第4試合 66.0kg契約3回戦

NJKFライト級1位.野津良太(E.S.G/65.9kg)
    vs
NJKFウェルター級10位.洋輔YAMATO(大和/65.6kg)
勝者:洋輔YAMATO / 判定0-3 / 主審:和田良覚
副審:宮本28-29. 多賀谷28-30. 竹村28-30

◆第3試合 60.0kg契約3回戦

NJKFスーパーフェザー級3位.梅沢武彦(東京町田金子/59.85kg)
    vs
NJKFスーパーフェザー級7位.吉田凛汰朗(VERTEX/59.7kg)
勝者:梅沢武彦 / 判定3-0 / 主審:神谷友和
副審:和田30-28. 多賀谷30-27. 竹村29-28

◆第2試合 バンタム級3回戦

雨宮洸太(キング/53.35kg)vs 七海貴哉(G-1 team TAKAGI/53.2kg)
勝者:七海貴哉 / TKO 1R 2:08 / 主審:宮本和俊

◆第1試合 ライト級3回戦

慎也(ZERO/59.9kg)vs 蓮YAMATO(大和/59.9kg)
勝者:蓮YAMATO / TKO 1R 2:06 / 主審:竹村光一

決勝戦で対戦する大田拓真と馬渡亮太

《取材戦記》

新しいテーマが加わったNJKF興行。2005年のWBCのムエタイ進出に加え、IBFも2年前にムエタイ界進出し、タイで立ち上げられた世界タイトル。

S-1トーナメントはタイの大物プロモーターで長年名を馳せるソンチャイ・ラタナスワン氏が掲げるイベントで、今回の日本版が開催。この優勝者はタイでのS-1トーナメント出場やIBFムエタイ世界ランキングにランクされるなど、好待遇が得られるという。近年、いろいろなビッグイベントが立ち上げられてきましたが、いずれも3年後に存続しているか、活性化しているかが注目点でしょう。

キックボクシングとムエタイ界で世界機構は幾つも誕生してきた過去に対し、プロボクシング主要団体がムエタイ界に進出してきた近年、元からあるキックボクシングとムエタイの世界機構より優らなければ意味が無いところで、WBCやIBFブランドだけが一人歩きしている感もある中、数ある世界機構の中に埋もれてしまわないよう願いたいところです。

波賀の防衛戦は期限が9ヶ月で、「来年の6月に初防衛戦を予定しています」と言う伊藤会長(立川KBA)。IBF傘下として、プロボクシングの規定を継承し、指名試合も明確に行なって欲しいところ。強い相手と防衛していかねば王座の価値が上がらないし、波賀宙也には過酷な防衛ロードをこなしてこそ世界の頂点に立つ証となるでしょう。

次回、NJKF興行は11月30日(土)に後楽園ホールで「NJKF 2019.4th(ファイナル)」が開催、S-1 55kg級と65kg級決勝戦が5回戦で行なわれます。

PPP登場、左からKANAさん、岬愛奈さん、星紗弓さん

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩 編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』。「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」!

重森の前蹴りを掴んで凌ぐシラー

重森の右ミドルキックをキャッチし、パンチを打ち込むシラー

好ファイトが続出したTITANS NEOS、新メインイベンター重森陽太は苦戦を導く引分け。続くHIROYUKI、髙橋亨汰、喜多村誠、泰史も上位に繋がる結果となる勝利。いずれラジャダムナン王座を狙うリカルド・ブラボは他団体チャンピオンに痛い判定負け。

◎TITANS NEOS 26 / 9月1日(日)後楽園ホール17:00~20:35
主催:TITANS事務局 / 認定:新日本キックボクシング協会

◆第11試合 61.5kg契約 5回戦

WKBA世界ライト級チャンピオン.重森陽太(伊原稲城/61.2kg)
VS
シラー・ワイズディー(元・ラジャダムナン系バンタム級C/タイ/61.45kg)
引分け1-0 / 主審:椎名利一
副審:桜井48-48. 宮沢49-48. 少白竜48-48

いつもの前蹴り、ハイキックの鋭さを見せる重森は初回、すでに主導権を導く勢いがあった。しかし、シラーは怯まずローキックを中心にパンチを振って前進してくる。

時折、ボディーブローを炸裂させたシラー、重森は動じなかったが、やや効いたか

重森のしなやかなミドルキックは勝利を導く技、前半は調子良かったが・・・

時折、派手な技を繰り出す御茶目なHIROYUKI、回転後ろ蹴りを見せる

第2ラウンドには、長身の重森も更に出てくるシラーにヒジ打ちを合わせ、額(右眉上)をカットさせた。ここから逆転に勢いを増してきたシラーは重森の前蹴りやミドルキックを掴んでかわし、徐々に距離を詰めパンチを打ち込む流れに変わっていく。

度々ボディーブローも貰ってしまう重森。第4ラウンド以降、前進止まないシラーを調子付かせてしまい、結果は引分け。48-48の二者は2・3ラウンドが重森、4・5ラウンドがシラーの前蹴り対策がそのまま採点に表れていた。

◆第10試合 55.5kg契約3回戦

日本バンタム級チャンピオン.HIROYUKI(=茂木宏幸/藤本/55.2kg)
VS
KING強介(元・レベルスムエタイ・スーパーバンタム級C/fighting bull/55.4kg)
勝者:HIROYUKI / TKO 3R 1:11 / 主審:仲俊光

パンチとローキックが軸の攻防で、KING強介の出方を伺いながら、自分の技を試すHIROYUKI。

第2ラウンドには接近したところでヒジ打ちがヒットし、強介は左目尻を小さくカット。

次のラウンドに繋ぐとパンチで出てきた強介に右ヒジ打ちを同じ箇所に当てると強介の傷が深くなり、ドクターの勧告を受入れレフェリーストップとなった。

正攻法の左ミドルキックでもKING強介を圧倒したHIROYUKI

◆第9試合 67.0kg契約3回戦

日本ウェルター級チャンピオン.リカルド・ブラボ(アルゼンチン/伊原/66.75kg)
VS
J-NETWORKウェルター級チャンピオン.峯山竜哉(WSR・F西川口/66.85kg)
勝者:峯山竜哉 / 判定0-3 / 主審:桜井一秀
副審:椎名28-29. 宮沢28-29. 仲28-29

このクラスになると蹴りの重さが際立つ交錯。リカルドのミドルキックに対し、峯山の返す蹴りも重く、互いの攻防の中にも峯山の左ミドルキックが引き立つ勢いがあった。

第2ラウンドには接近したところで峯山の左ストレートがヒットしてリカルドがノックダウンを喫する。巻き返しに出てくるリカルドに応戦する峯山。リカルドは必死の形相でパンチや組み付いてヒザ蹴りを連打。猛攻を掛けたリカルドだったが巻き返しならず、判定負けを喫した。

リカルド・ブラボからダウンを奪い勝利した峯山竜哉

◆第8試合 61.5kg契約3回戦

日本ライト級チャンピオン.髙橋亨汰(伊原/61.45kg)
VS
ラックチャイ・ジャルンクルンムエタイ(タイ/61.25kg)
勝者:髙橋亨汰 / 判定3-0 / 主審:少白竜         
副審:椎名29-28. 桜井29-28. 仲30-28

ラックチャイは前回、重森陽太に敗れるも前進衰えないタフさが印象付いた。高橋は前蹴りやハイキック中心に先手を打って攻める。

接近するとヒジを振って来るラックチャイには油断ならないが、ヒザ蹴りやハイキック、ヒジ打ちの応酬となっても高橋は怯まず応戦し、ラックチャイのバランスを崩し競り勝つ。

高橋の攻める手数は重森陽太に負けない勢いを見せた。

重森戦では敗れたが、タフなラックチャイを追い詰めた髙橋亨汰

ラックチャイの前進を止めた前蹴りが顔面を捉える

喜多村のヒジ打ちが連打されていく

◆第7試合 70.0kg契約3回戦

喜多村誠(前・日本ミドル級C/伊原新潟/69.8kg)
VS
LBSJウェルター級チャンピオン.喜入衆(NEXT LEVEL渋谷/69.7kg)
勝者:喜多村誠 / 判定3-0 / 主審:宮沢誠
副審:桜井30-28. 少白竜29-28. 仲30-28

第1ラウンドの蹴り中心の攻防から喜多村が徐々に前進を強める。第2ラウンドにパンチの応酬で喜入は右目下を小さくカット。喜入も前進し、ヒジ打ちで圧力を掛けるも、冷静な喜多村はヒジ打ちを返していくと喜入の額の辺りも大きくカット。

第3ラウンドには喜入がラッシュを掛けてくるが、喜多村は接近すれば叩きつけるヒジ打ちで何度も喜入の前頭部を攻め込むと、喜入の額の負傷は3箇所ほどに増え、かなりの流血。

更にパンチや蹴りで圧倒する喜多村だが、諦めない喜入はスピード、パワーが鈍っても攻め返してくるが、喜多村の圧倒した展開は変わらず判定勝利した。

叩きつける喜多村のヒジ打ちの嵐

顔面の数箇所から出血した喜入衆

喜入が流血しながらバックハンドブローを打つ

◆第6試合 スーパーフライ級3回戦

泰史(前・日本フライ級C/伊原/52.1kg)
VS
老沼隆斗(レベルスムエタイ・スーパーフライ級C/STRUGGLE/52.0kg)
勝者:泰史 / KO 2R 2:57 / 主審:椎名利一

両者好戦的な蹴り合いから、老沼が先手を打って出る流れ。しかし泰史が徐々にパンチで追いはじめ、第2ラウンドにボディーブローからヒザ蹴りでノックダウンを奪うと、更にヒジ打ちを折り混ぜながら右ストレートで2度目のノックダウンを奪う。

諦めない老沼はリズムを変えたいが泰史が更に接近してパンチ連打を打ち込むと老沼は力尽きたように崩れ落ちたところで3ノックダウン。泰史のKO勝利。

老沼を追い込んだ泰史のパンチ

◆第5試合 フェザー級3回戦

日本フェザー級2位.瀬戸口勝也(横須賀太賀/56.75kg)
VS
NJKFフェザー級7位.小田武司(拳乃会/57.0kg)
勝者:瀬戸口勝也 / 判定3-0 / 主審:仲俊光
副審:椎名30-26. 少白竜29-26. 宮沢30-26

第1ラウンドに小田がローキックで出るも、瀬戸口が得意の重いパンチ連打が圧倒し、2度のノックダウンを奪うが、ノックアウトには至らず。第2ラウンド以降も小田は打たれながら打ち返す踏ん張りも目立ったが逆転には至らず、瀬戸口の大差判定勝利となった。

◆第4試合 ミドル級3回戦

日本ミドル級1位.本田聖典(伊原新潟/72.4kg)
VS
ポーンパノム・ペットプームムエタイ(タイ/70.45kg)
(プーケット県パトンスタジアム・ウェルター級C)
勝者:ポーンパノム / TKO 3R 0:39 / 主審:桜井一秀

◆第3試合 フライ級3回戦

日本フライ級2位.空龍(伊原新潟/50.6kg)vs阿部秀虎(鷹虎/49.85kg)
勝者:空龍 / 判定3-0 / 主審:少白竜
副審:椎名29-27. 仲30-28. 桜井30-27

◆第2試合 フェザー級3回戦

日本フェザー級6位.平塚一郎(トーエル/56.9kg)
VS
JKIフェザー級8位.千羽裕樹(スクランブル渋谷/56.95kg)
勝者:千羽裕樹 / TKO 3R 1:21 / 主審:宮沢誠

◆第1試合 70.0kg契約3回戦

大久和輝(伊原/69.75kg)vs NJKFウェルター級3位.JUN Da雷音(E.S.G/68.25kg)
勝者:大久和輝 / 判定3-0 / 主審:椎名利一
副審:少白竜29-27. 29-28. 30-26

《取材戦記》

「初秋のチャンピオンカーニバル」というサブタイトル。日本のキックボクシング界、どこに行ってもチャンピオンだらけのカーニバルという印象があるが、この日のマッチメイクに於いても激しい戦いが続きました。

重森陽太にとっては後半追われての引分けは悔しい結果。「どんな強い選手でも必ずKO勝ちをして興行を締めなければならないという使命感はありました。このような結果になってしまったのはまだまだ不甲斐ないと思っています。次は必ず結果を残したいと思います」とマイクで語った重森陽太。結果を残す次なる強豪相手は誰になるか、プロモーター次第だが、できればWKBA王座を、防衛期限を待たずにこなしていって欲しいと願うところ。これは全ての現・チャンピオンに言えることで、これが老舗王座の価値を高めることでしょう。

次回新日本キックボクシング協会興行は、10月20日(日)に後楽園ホールに於いてMAGNUM.51が開催。勝次(=高橋勝治)が一階級上げて、WKBA世界スーパーライト級王座決定戦に出場。対戦相手はリカルド・ブラボと同じアルゼンチン出身のアニバル・シアンシアルー選手に決定した模様。

3月3日のWKBA世界ライト級王座決定戦でノラシン・シットムアンシーに敗れ、4月20日のREBELS興行での宮越慶二郎にも敗れて2連敗中の中、次戦で結果を残せるか。そしてその先を視野に期待したいものです。

メインイベントは当初の予定どおり、江幡睦がタイ国ラジャダムナンスタジアム・バンタム級王座に4年ぶり4度目の挑戦。チャンピオンのサオトー・シット・シェフブンタムは1月23日に当時のチャンピオン、ゴーンサック・ソーサタラーから判定で王座奪取し、6月27日にはゴーンサックを3ラウンドTKO勝利で返り討ちにし、現在6連勝中で、江幡睦戦は2度目の防衛戦となります。

江幡睦にとって過去最強の難敵襲来のかなり厳しい予想となるも、“どんな技でも倒せる”という勢いで、“今度こそ奪取”の期待も高まる江幡睦です。

今回のサオトーは双子の弟で、兄は現在スーパーバンタム級のサオエークで、元・ラジャダムナン系スーパーフライ級チャンピオンの実力者。この先、江幡ツインズとサオエーク・サオトーツインズのタイトル絡みの対決も期待されます。

塁が戴冠の「KNOCK OUT」ベルトとWKBAのベルトを持つ江幡ツインズ、ラジャダムナン王座へ向けた二人の挑戦が続く

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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一水会代表 木村三浩 編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』。「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」!

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