昭和のキックボクシング、アジアモエジップン連盟とは?

堀田春樹

「アジアの中の日本のキックボクシング」。これがアジアモエジップン連盟名称の意味である。

テレビによって起こったブームが去った後の昭和50年代のキックボクシング、分裂の始まりはすでに公開済ですが、枝分かれから更に細く枝分かれしたのが1983年(昭和58年)で、以前に述べました日本プロキックボクシング連盟から脱退し設立したのが日本ナックモエ連盟。このナックモエ連盟から枝分かれしたのが、みなみジム南俊男会長が興したアジアモエジップン連盟(AMF)でした。

アジア太平洋キック連盟設立記念興行は豪華版パンフレットとなった(1983年10月21日)

タイ語で“モエ”は表記上“ムエ”とも呼ばれますが、ボクシング中心とする競技を意味し、“ジップン”は“ジープン” とも呼ばれ、即ち日本のことである。

同年9月初旬に設立が発表されると、因みに新日本キックボクシング協会発足が同時期に発表されています。アジアモエジップン連盟記念興行は同年10月21日、後楽園ホールでした(翌22日が新日本初興行)。

設立御挨拶に立った南俊男代表(1983年10月21日)

分裂及び興行の激減、業界を去る関係者、新人が育たない、そもそも誰も入門して来ない氷河期に団体立ち上げて、興行が成り立つのかという懸念も、ただやることはデカい南俊男会長。各団体へ出場交渉と、打倒ムエタイを掲げる設立興行で、タイのナンバー1を呼ぼうと、ルンピニースタジアムで4階級制覇し、国際式ボクシングに転向したサーマート・パヤックアルンを招聘に臨みました。迎え撃つは日本プロキック連盟フェザー級チャンピオン、葛城昇(習志野)でしたが、招聘ビザ申請の面でも、ムエタイの英雄を招くというハードルの高さでも来日が難しい時代で残念ながら実現には至りませんでした。

サーマートと対戦予定だった葛城昇の「次回実現へ」の御挨拶(1983年10月21日)

実際のメインイベントとなったのは日本プロキック連盟の長浜勇(市原)が、在日の日本人キラー、バンモット・ルークバンコー(タイ)をパンチで倒し、トリをノックアウトで締め括り、セミファイナルは、みなみジムのエース、前・団体でのバンタム級チャンピオン、高樫辰征が韓国のアグレッシブな全再鐸を第5ラウンドに圧倒しTKO勝利して存在感を示しています。設立記念興行としては他団体頼りではあったが結構盛り上げた興行でした。

みなみジムの高樫辰征はアグレッシブな全再鐸に圧倒していく展開で制した(1983年10月21日)
セミファイナルだったが、高樫辰征は存在感示したKO勝利(1983年10月21日)

◆アジア太平洋キック連盟とは?

設立から一年後、名称が改名。世間に浸透し難いタイ語よりも馴染み易い呼称となった模様。

“キック” とは簡略化した言い方だが、この業界ではキックボクシングを意味することは当然でしょう。“アジア太平洋”という広域なエリアを指していますが、実質は日本国内の団体ではありました。

アジア太平洋キック連盟の当時の略号はAPF(後にAPKFと表記)。所属ジムも増えた1984年12月1日には設立一周年興行が行われました。メインイベントはシーザー武志が韓国の李興大を大差判定で下しています。APFフライ級王座決定戦では中川二郎(北心)がポパイ卓男(みなみ)をKOで下し、APFバンタム級王座決定戦では黒沢久男が前田市三(みなみ)を判定で下し王座獲得している模様(スポーツライフ社、マーシャルアーツ誌参照)。

◆マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟に加盟!

当時の業界は更なる分裂もありましたが、一時的には業界トップとなったマーシャルアーツ日本キックボクシング連盟と新生全日本キックボクシング連盟発足(1987年7月/旧・協会復興)の二大巨塔が暫く続いた為、その他の団体は興行少なく、陰に隠れる存在でしたが、アジア太平洋キック連盟南俊男会長は埋もれた存在では終わらぬ底力を秘めていました。

1992年10月には役員も代わったマーシャルアーツ日本キックボクシング連盟に加盟し、みなみジムの腕の見せどころ発揮、翌年には一層名声増したサーマート・パヤックアルンをついに来日させ、日本vsタイの対抗戦マッチメイクの中、初の日本人との対戦となった新妻聡(目黒)戦を実現させています(サーマートが判定勝利)。MA日本連盟の主要プロモーターとして、他にも定期的に興行を開催。

MA日本キック連盟で英雄サーマート招聘、日本vsタイ対抗戦を開催した南俊男会長(1993年4月24日)

1996年にはマーシャルアーツ日本キックボクシング連盟からあっさり脱退しましたが、1999年には4団体集結として発足したNKBグループに参加。現在のNKBは日本キックボクシング連盟とK-Uのみ。しかし発足当時はアジア太平洋キック連盟とニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)も加わって活気が増した活動でした。

結局は2005年頃にはNJKFもアジア太平洋キック連盟も離脱となり、やがて世代交代へ移っていくのは仕方ない時代となっていました。

◆令和時代は二代目、南孝侍が担う!

暫くはディファ有明などで細々とアジア太平洋キック連盟としての興行は行われていましたが、みなみジムの名称はNKB時代にMTOONG(エムトーン)ジムへ名称変更され、2010年頃、アジア太平洋キック連盟は先代会長(南樹三生=南俊男)が活動休止となり、MTOONGジムは御子息の南孝侍氏が引き継ぐことになりました。

2022年にはジャパンキックボクシングイノベーションに加盟したMTOONGジム。南孝侍会長は3歳からキックボクシングを習い幼稚園の頃から少年部の試合に出場、後にプロとしても活躍しましたが、18歳で引退という早過ぎる転機でした。

アジアモエジップン連盟の発足については当時の記録を掘り起こすだけでしたが、この先代のみなみジムから50年継続した南俊男(樹三生)会長と、二代目の南孝侍会長の物語は、時期未定ながら改めて公開予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

朝日新聞はリンチ事件に対して明確に態度を示せ! 広島・広陵高校のリンチ事件について思う

鹿砦社代表 松岡利康

ここ甲子園(松岡自宅、事務所所在)では夏の高校野球が開催中で賑わっています。今、甲子園は日本の中心と言っても過言ではありません。私は毎朝甲子園球場の周りを散歩して出社していますが、全国から応援や観戦に来られている人たちを見ると、こちらも何か嬉しいです。

今年は、例えば松坂大輔クラスのビッグスターがいないこともあるのか、一番話題になっているのが広島・広陵高校野球部内におけるリンチ(私刑)事件です。当初出て来た1件のみならず複数に渡るようです。今後のメディアの取材に期待します。

ところで、この高校野球の主催者はどこか? 日本高野連と朝日新聞です。このリンチ事件に対して、朝日新聞は頑ななほど沈黙しています。大会が終わったら、特集でも組むためにネタを仕込んでいるのでしょうか──不可解です。

広陵高校のリンチ事件は、すでに同校OBの元プロ野球選手・金本知憲(広島カープ→阪神タイガース。阪神では監督も経験)の時代からあることを、金本自身が著書で明らかにしています。

《ある日、ぼくはふだん以上にはげしい「説教」を受けた。気がつくと、ぼくは正座をしたまま、一瞬気をうしなっていた。二、三人がかりで、なぐられ、けられたのだ》

《先輩のだれかが、スパイクをはいたまま、ぼくの太ももをふみつけた。スパイクには金属製のつめがついている。そのつめがぼくの太ももの肉をえぐり、血が出た》(金本著『心が折れても、あきらめるな』2009年)

金本については他にも差別されたりイジメられていたようです。おそらく金本が在日であるからだと推認されます。

なのに、これまで放置されてきました。金本が先の著書で明らかにした時点で何らかの方策を取るべきでした、

高野連は果たして知らなかったのか? 朝日は知らなかったのか? 高野連、朝日とも主催者ですから厳しく対処すべきです。また、朝日と競合する他の大手各紙はどうか? この際、徹底して膿を出すべきだし、場合によっては、来年1年ぐらい中止してでも、解体的に出直すべきでしょう。古くは怪童・尾崎行雄、池永正明、太田幸司以来の高校野球ファンである私としては、本件に対しては地元・甲子園で大変怒っています。朝日よ、しっかりしろ!

さて、リンチ事件と言えば、私(たち)が長年一所懸命に取り組んだ、「カウンター大学院生リンチ事件」、事件が起きた場所に因んで「北新地リンチ事件」と呼ぶ人もいますが、「俗称「しばき隊リンチ事件」を思い出さざるをえません。加害者は、「反差別」を金看板にそのジャンヌ・ダルクのようにメディアが崇める李信恵、主要暴行犯・エル金こと金良平ら5名で、当時、某国立大学博士課程在学中のМ君に対し壮絶なリンチ(私刑)を加えました。М君が体に忍ばせていたICレコーダーの録音や事件直後に撮った写真が明らかになり、加害者らも降参するかと思いきや、「デマ」「でっち上げ」「街角の小さな喧嘩」「リンチはなかった」などと開き直りました(現在でもそうです)。人間としていかがものでしょうか?

この事件は発生から1年余り隠蔽され世間には知らされませんでした。朝日はじめメディアは知っていたはずです。М君は朝日の記者にも相談していますから。私たちがこれを知ったのは事件から1年余り経ってからでした。それほど隠蔽工作は徹底して行われました。隠蔽工作の証拠も明らかになっています。

私たちは被害者の大学院生から相談があって以来彼を全力で支援しました。また、裁判闘争を裏付けるために徹底して取材し、多くの資料を入手したり多くのことが判りました。それはこれまでに6冊の出版物として世に問いました(まだ書くことは残っていますが)。

しかし、小出版社たる私たちの力では、広く社会に知らしめることはできませんでした。残念です。

いま、しばき隊(もしくはこの界隈の輩)が各所で暴れ、その傍若無人な様が出て来て、心ある方々から批判され、関連して皮肉にも10年余り前の大学院生М君に対するリンチ事件も語られています。私たちがまとめた6冊のムック本、これらに収めきれなかったことは私のFBや「デジタル鹿砦社通信」をご覧になり、今につながる問題であることを感じ取っていただきたいと熱望いたします。

M君は、その後、何とか博士課程は修了したものの、失意のうちに研究者の途を諦め普通の市井人(給与所得者)として働いています。さらにはリンチのPTSDに苦しみながら生きています。リンチ事件によって人生を狂わされたと断じることができます。胸が詰まります。

このように、暴力は、受けた人の人生を狂わせます。広陵高校野球部でのリンチの被害者も、思い描いた広陵での野球生活を断念し転校を強いられたりしています。おそらくリンチを受けたことは悪夢として忘れられない傷跡を残していることは容易に察することができます。

このМ君リンチ事件でも、被害者М君が朝日新聞(他のメディアにも)などに必死に訴えたにも関わらず、彼ら記者連中は、まさに若い研究者の卵を弄ぶばかりで冷ややかな態度を取り、加害者らの隠蔽工作に加担したと断言いたします。М君や私たちの度々の記者会見要請にも応じませんでした。逆に加害者らを持ち上げ、記者会見は開くわ、賛美記事はどしどし掲載するわ、呆れてものが言えませんが、このこともМ君を苦しめました。彼ら大手メディアであることの変なプライドがあるのか、私たちの取材にも応じませんでした。

高校野球の主催者で日本を代表するマスメディアの朝日新聞は、今こそ<暴力>の問題について、社を挙げて徹底して取り組むことを強く願ってやみません。でないのなら、甲子園に出場した高校がこれまで犯してきた過ちを黙認した加害者として糾弾されても致し方ないでしょう。

【追記】古い話ですが、私は学生時代(1971年)、日本共産党=民青(みんせい)のゲバルト部隊(「ゲバ民」と言います)に襲われ病院送りにされました。また、身近の先輩らで、ゲバ民や敵対党派に襲われ亡くなったり傷ついた人は少なくありません。〈暴力〉の問題については、みずからも襲撃されて傷ついた体験から、その被害者の心身にわたる後遺症がどれほどのものか、機会を見て記述したいと思っています。

※別掲画像は8月17日の甲子園球場(撮影者:松岡)

【著者略歴】梓 加依(あずさ・かえ)。児童文学・子どもの生活文化研究家。1944年長崎生まれ、小学校から高校まで広島市内に在住。公共図書館司書、大学非常勤講師、家庭裁判所調停委員などの仕事を経て、現在は物語を書く会「梓の木の会」主宰。

格闘群雄伝〈40〉新妻聡 ── 肉体言語を貫いた野武士[後編]堀田春樹

堀田春樹

◆日本ランカー時代

新妻聡は自らパフォーマンスはやらないが、滑稽な言動で周囲を賑わす事態は幾度か起こしていた。

注目されだしたのは、タイへ衛星中継があった1990年(平成2年)12月15日、この日は前座だったが、ビッグイベント興行だけに舞い上がってしまい、入場の際、ロープ飛び越えたら滑って尻餅付いてしまった。それが凄く恥ずかしくて、逃げて帰りたい想いで対戦者の飯塚健を早く倒そうと我武者羅に向かって、第2ラウンドでノックアウト勝利した後、すぐリングを下りて逃げるように帰ったという。なんとナイーブな(良い意味で)。恥ずかしさが新たなエネルギーとなった試合だった。

これで日本ライト級1位に上昇し、後にライト級転級狙っていた日本フェザー級チャンピオンの山崎通明(東金)と対戦したが、山崎のヒジ打ちで鼻曲げられTKO負け。レフェリーに向かって「俺の鼻は元から曲がってんだ!」と叫んだが、続行を訴えた主張は通らなかった。

新妻聡が語る印象深い試合に寺田ヒロミ(太田)との2戦があった。寺田(=格闘群雄伝第18回)が後に末期癌で入院中、新妻聡が見舞いに行った際、寺田ヒロミが「新妻さんと後楽園ホールを盛り上げた2戦は自慢だったんですよ!」と言っていたいう。

それはいずれも目黒ジム主催興行で1991年11月15日、寺田はキャラクター的に派手で腕を振り回したり、アゴを突き出して「打って来いよ!」と挑発して来る始末。しかしそれが新妻聡の闘志に火を点け、最終第5ラウンドにコンビネションブローで寺田をノックアウト。最終ラウンドに倒されたのが悔しかったか、再戦を求めて来た寺田と翌年11月13日、再びグローブを交えた。

新妻聡は「お前の手の内は分かっているぜ!」と挑発に乗らず冷静に戦い、第3ラウンドでまたもノックアウト勝利したが、寺田はウェルター級だけにパワーあってパンチ受けてクラクラしたという中でのジワジワ盛り返す新妻聡の底力が見られた2試合でもあった。

寺田ヒロミと対峙。後楽園ホールを盛り上げた両者(1992.11.13)
寺田との第2戦は冷静に戦いKO勝利した新妻聡(1992.11.13)

◆国際戦で飛躍

日本ライト級1位を長く維持する主力選手として、1993年4月24日、タイの伝説のチャンピオン、サーマート・パヤックアルン(ルンピニー系4階級制覇、国際式元・WBC世界スーパーバンタム級Champ)との対戦が実現。

計量時に「こいつカッコいいな!」と思ったという。「サーマートは脹脛が異様に太かったですね。こいつは強いはずだと思った。練習嫌いとは言われていたけど、若い頃は凄い練習やったんだろうと見える痕跡だった!」という。

試合は第1ラウンドにサーマートのバランスいい蹴りの連係から右ストレートでノックダウン取られて何が起こったか分からなかったという。これでは勝てない、行くしかないと確信。第2ラウンドも右ストレートでノックダウン奪われるも、第3ラウンド目で逆に新妻聡の右ストレートがガツンと当たるとサーマートのマウスピースが吹っ飛んだ。これでサーマートの失速が始まり、逃げられた流れで仕留めるには至らず判定負け。

サーマート戦、番狂わせも在り得た戦いだったが、サーマートは天才だった(1993.4.24)

前編でも述べたました、1994年7月16日、日本ライト級王座をハンマー松井(花澤)と争い、判定勝利で初戴冠となった後、チャンピオンとしての戦いは世界的強豪との戦いに移っていった。

同年11月、タイ国ラジャダムナン系ライト級前チャンピオン、ゲントーン・ギャットモンテープには攻勢的に判定勝ちも圧倒できない苛立ち、ムエタイ式に戦ったゲントーンは負けた気は無いだろうという一般的見方も、ムエタイのトップクラスに通用する実力を着実に身に付けていた。

日本ライト級王座は翌1995年1月にハンマー松井を再度、判定で下し初防衛後、同年10月15日、今井武士(治政館)をノックダウン奪って判定勝利で2度目の防衛。いずれも下位から上がって来たしぶといファイターだったが、経験の大きさで退けた。

国際戦ではこの年の6月2日にはオランダのKO率80%を越えるハードパンチャー、ノエル・バンデン・ファウベルに終始圧倒されながら、ラストラウンド終盤に右ストレートでグラつかせる大健闘。

ノエル・バンデン・ファウベルは強かったが、一発のヒットで逆転も在り得た(1995.6.2)

「ノエルはパンチで来ると思っていたところがローキックばかりだった!」という中の“この野郎”と言わんばかりの強打ヒット。そこで倒し切ればドラマチックだったが判定に逃げられた。しかし敗れてもただでは終らせぬ見せ場をつくる姿は、まさに野武士魂であった。

同年12月9日は飛鳥信也の引退興行でのメインイベント。強打者ダニー・スティール(米国)に手こずり仕留めるに至らぬもパンチと組み合う圧力で優って判定勝利。

◆運命の悪戯

しかし1996年2月、最も充実した頃に思わぬ分裂騒動が起こった。選手側にとっては衝撃的な事態である。当時のマーシャルアーツ日本キックボクシング連盟から幾つかのジムが脱退する知らせが入った。当時も三団体には分かれていたが、現在ほどの多団体乱立、多イベントタイトル増産ではなかった。

新妻聡は新天地、日本キックボクシング協会復興の興行でエース格として、過去に先輩の飛鳥信也を二度退けているヘクター・ペーナ(米国)に挑むWKBA世界スーパーライト級タイトルマッチを迎えた。

復興記念イベント的な盛り上がりの中で、一進一退の攻防の中、ヒザ蹴りがやや低かったがヘクター・ペーナのボディーヒットもヘクター・ペーナの誤魔化し抗議で股間ファウルブロー扱い。ノックダウンだったらテンカウント聞かせていたかもしれないダメージ。

回復に時間を充分取ったペーナは巧妙な戦法で、新妻聡は最後には倒されてしまった。経験浅いレフェリー起用が悪いと主催の野口プロモーションに抗議も、「もう一回やればいいじゃないか!」と再戦を提示されたが、「簡単に言うんじゃねえよ。時間返してくれ!」という想い。パンチは強く、蹴りもよく出るヘクターペーナとは再戦しても簡単に攻略出来る相手ではなかっただろう。

ヘクター・ペーナはパンチが強かったが、新妻聡は勝てた試合を不運にも勝利を逃がした(1996.6.30)

それでも同年12月1日、名古屋で因縁のヘクター・ペーナに再挑戦。今度は誤魔化しも許さぬタイ人レフェリーが務めた。前回もヒザ蹴りが効果的だったが、今度もヒザ蹴りで勝利を導き、ノックアウトでWKBA世界スーパーライト級王座奪取した。

[左]怒涛のヒザ蹴りでヘクター・ペーナをノックアウト、WKBA世界王座奪取(1996.12.1)/[右]WKBA世界スーパーライト級チャンピオンとなった新妻聡、勝負はこれからだったが(1996.12.1)

◆完全燃焼! 貫いた肉体言語

この復興した日本キックボクシング協会に移り、ヘクター・ペーナと決着戦を終えてから、団体エース格として最も注目、活躍すべき時期にWKBA世界王座の防衛戦も組まれず、いつの間にか剥奪。協会側の複雑な事情もあったが、新妻聡の激闘は見られなくなっていった。元々のMA日本キックボクシング連盟で多くのライバルと死闘を繰り返し、世界レベルと戦っていた頃が最も充実していた時期だっただろう。

試合間隔が空き気味になる中、1999年7月24日にはかつて下した今井武士に大差判定負け。次第に気力も衰えていった頃かもしれない。

試合間隔も遠ざかった頃に今井志武士に巻き返されてしまった(1999.7.24)

「強い奴としかやりたくない!」といった意向から、最強の相手とラストファイトを行なうことになった2000年7月29日、現役ラジャダムナン系スーパーライト級チャンピオン、ノッパデーソン・チューワタナとの対戦が組まれ、新妻聡は完全燃焼の試合に向け、半年前から走り込み調整に入っていた。

ノッパデーソンはスピード速く柔軟性ある蹴りを上下自由自在に蹴って来る。襤褸切れのように蹴られ続けた大差判定負けも倒れることなく踏ん張り、なおも向かっていく姿は最後まで肉体言語を貫いた完全燃焼だった。願わくばもっと充実したマッチメイクと名勝負をファンに観て貰いたかった現役晩年だった。

完全燃焼のノッパデーソン戦。ボロボロに蹴られても向かって行ったラストファイト(2000.7.29)

戦績 37戦22勝(11KO)13敗2分

現役引退後は文京区白山で新妻格闘塾開始したが、ビジネスの兼ね合いもあって後に撤退。

2022年には、身体が動く今だからと、キックボクシングの指導やろうとジム形態ではないが、いろいろなスポーツ施設を借りて「新妻聡キックボクシングクラブ」を始めた。

しかし2023年5月に咽頭癌を患って休止。

「指導していて腕は上がらなくなるし、仕事辞めて時間あったから検査に行ったら癌が見つかりました!」という結果、早期発見で6月に摘出し、1年間の通院。その後の経過検査も問題無かったが、病み上がりというところで現在キックボクシング指導は休業中。

今後はその再開と、将来計画される目黒一門会が開催された際には参加が期待されるだろう。

新妻格闘塾時代。撮影の為の指導を少々でしたが熱のこもる指導が伝わって来た(2006.1.12)

《格闘群雄伝》バックナンバー https://www.rokusaisha.com/wp/?cat=88

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

小粒ながら多彩なカードで挑んだ真夏の新日本キックMAGNUM.62!

堀田春樹

エース格の木下竜輔は欠場。トリのジョニー・オリベイラは引分けに終わる。
他、期待の新人戦とNJKF発祥の女子ミネルヴァ、アマチュア登竜門。
多彩だったが、観衆少ない寂しい興行だった。

◎MAGNUM.62 / 7月27日(日)後楽園ホール17:15~20:47
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会

前日計量は26日14時より伊原ジムにて行われ、出場者全員が1回でパス。

◆第16試合 ライト級3回戦

ジョニー・オリベイラ(トーエル/ブラジル出身47歳/ 61.05kg)66戦16勝(1KO)31敗19分
       VS
NJKFライト級2位.岩橋伸太郎(エス/神奈川県出身38歳/ 60.85kg)27戦9勝14敗4分
引分け 三者三様
主審:少白竜
副審:椎名30-28. 宮沢28-30. 勝本29-29

ジョニー・オリベイラは3月2日に木下竜輔にKO負け。日本スーパーフェザー級王座陥落して以来の、ライト級に戻しての初戦。

岩橋伸太郎は4月20日にTAKUYA(K-CRONY)にノックダウンを奪って判定勝利して以来の試合。

ジョニー・オリベイラが前蹴りで岩橋伸太郎の突進をブロック

蹴りとパンチの攻防は、アグレッシブに攻める闘志は衰えない両者だが、打ち合いをしぶとく凌ぎ、どちらが優勢かという見極めは難しい展開。

岩橋伸太郎の右ミドルキックがボディーにヒットも頑丈なジョニーは怯まない

第3ラウンド半ばになると縺れ合い、組み付くパターンが多くなる消化不良の展開の末、セミファイナルに続き、ジャッジも見解が分かれる引分けとなった。

判定は見極めも分かれる三者三様の引分け

◆第15試合 女子ミネルヴァ・ペーパー級3回戦(2分制)

ペーパー級2位.AIKO(AX/埼玉県出身38歳/ 42.7kg)20戦9勝10敗1分
      VS
同級3位.Uver∞miyU(T-KIX/静岡県出身25歳/ 42.9kg)19戦6勝12敗1分
勝者:Uver∞miyU / 判定1-2
主審:中山宏美
副審:少白竜29-30. 宮沢29-30. 勝本30-27

初回、両者は蹴りの牽制。接近すれば首相撲になる展開。どちらもアグレッシブに攻めるも的確なヒットは無い。採点も分かれる見極めの難しい採点となった。

両者の手数やヒットがほぼ互角。わずかに優ったか、ウーバーの連打

◆第14試合 スーパーフェザー級3回戦

山本龍平(拳粋会宮越道場/埼玉県出身19歳/ 58.45kg)4戦2勝(1KO)2敗
      VS
翔吾(DANGER/茨城県出身28歳/ 58.7kg)4戦1勝2敗1NC
勝者:山本龍平 / KO 1ラウンド 1分41秒 /
主審:勝本剛司

パンチと蹴りのアグレッシブな攻防は山本龍平のクリーンヒットが優っていき、飛びヒザ蹴りも繰り出した。更に山本龍平の左ハイキックと翔吾の左ストレート相打ちも山本龍平のハイキックが優ってノックダウンを奪った。

立ち上がったところも左ストレートから左ハイキックで2度目のノックダウンを奪い、飛びヒザ蹴りを出したところでダメージを見たレフェリーが試合をストップ、3ノックダウンとなる展開で山本龍平がKO勝利した。

ヒットは翔吾が一瞬速かったか、でも蹴りの重さで山本龍平のヒットが優った

◆第13試合 62.0kg契約3回戦

平田康輔(平田/広島県出身18歳/ 60.2kg)3戦2勝1敗
     VS
光基(DANGER/茨城県出身23歳/ 61.6kg)2戦1勝1敗
勝者:平田康輔 / 判定3-0 (30-29. 30-29. 29-27)

パンチとローキック中心の攻防が続く中、第2ラウンド、偶然のバッティングで光基が右頬骨をカット。攻勢を掛けた平田康輔がやや攻勢を維持。ジャッジ三者が揃ったのは第2ラウンドだけで、大きな展開は無いまま終了。

一進一退の攻防。平田康輔がわずかに攻勢点を掴んだ中でのローキックヒット

◆第12試合 フライ級3回戦

トマト・バーテックス(VERTEX/徳島県出身24歳/ 50.3kg)6戦4敗2分
     VS
RIKIYA T-KIX(T-KIX/静岡県出身28歳/ 50.65kg)1戦1分
引分け 0-0 (29-29. 29-29. 29-29)

主導権を奪いに行く攻防はRIYIKAがやや攻勢も、徐々にトマト・バーテックスが巻き返した流れも決め手に欠ける展開で、引分けに終わった。ここから勝ち上がらないとランキングには入れない試練は続く。

前半はRIKIYAがやや優勢。徐々に盛り返したトマトも引分けに終わる

◆第11試合 ヘビー級2回戦

翁長リバウンドマン将健(真樹ジム糸満/沖縄県出身21歳/ 96.25kg)9戦4勝4敗1NC
       VS
直也(横須賀太賀/神奈川県出身28歳/ 119.3kg)2戦2敗
勝者:翁長リバウンドマン将健 / TKO 2ラウンド 1分29秒 /

接近戦のパンチ中心から巨漢で圧力掛ける直也に、翁長将健がフェイント掛けながら直也と距離を取り、第2ラウンドにはヒジかパンチか、直也の左瞼をカットもそのまま続行。更にパンチ連打でノックダウンを奪うと、カウント中にレフェリーストップとなった。

体格差はあったが、小刻みに動き、瞬発力で優った翁長将健が連打で勝利

◆第10試合 ウェルター級2回戦

大智(横須賀太賀/神奈川県出身24歳/ 64.45kg)1戦1敗
       VS
琉聖(平田/広島県出身18歳/ 65.4kg)1戦1勝(1KO)
勝者:琉聖 / TKO 2ラウンド 1分9秒 /

ガード無防備な大智に琉聖が攻勢を掛け、大智も躱しては向かっていく勢いはあるが、琉聖のパンチを受けると背を向けてしまう為、スタンディングダウンを奪われてしまう。なおも攻勢を掛ける琉聖で、初回は10-7を付けるジャッジも居たほど。
第2ラウンドも琉聖が圧倒し、右ストレートでスタンディングダウンを奪い、更にパンチ連打で、戦意乏しい大智は試合を止められてしまった。

ガード不完全な大智を仕留めるには時間が掛かったが、最後は連打で圧倒した琉聖

◆第9試合 女子ミネルヴァ・スーパーフライ級3回戦(2分制)

シンティア・モルティージョ(イタリア出身23歳/ 54.95kg)7戦4勝3敗
      VS      
SHIORIN(GRATINESS/愛知県出身28歳/ 54.55kg)9戦6勝1敗2分
勝者:SHIORIN / 判定0-3
主審:中山宏美
副審:椎名26-30. 宮沢26-30. 勝本26-30

初回に右ストレートでノックダウン奪ったSHIORIN。その後も右ストレートヒットを見せ、前蹴りやボディブローも効果的にヒット。シンティアも蹴りとパンチで攻め返す頑張りを見せたが、SHIORINが終始優った攻勢で大差判定勝利。

シンティア(左)に右ストレートヒットしてノックダウンを奪ったSHIORIN(右)

◆第8試合 女子ミネルヴァ・スーパーフライ級3回戦(2分制)

紗耶香(格闘技スタジオBLOOM/静岡県出身/ 52.1kg)19戦7勝(1KO)11敗1分
         VS
森田実幸(K-LIFE/鹿児島県出身20歳/ 51.55kg)3戦1勝1敗1分
勝者:紗耶香 / 判定3-0
主審:少白竜
副審:勝本30-28. 宮沢30-28. 中山30-27

紗耶香が首相撲に持ち込んでのヒザ蹴りで主導権を奪った展開。離れても蹴りで優った紗耶香。森田実幸は自分の距離に持ち込めないまま終了。

◆第7試合 女子ミネルヴァ・スーパーフライ級3回戦(2分制)

松藤麻衣(クロスポイント吉祥寺/長野県出身39歳/ 51.65kg)8戦3勝5敗
     VS
MIKU(K-CRONY/茨城県出身32歳/ 51.85kg)8戦3勝4敗1分
勝者:MIKU / 判定0-3 (28-30. 28-30. 28-30)

MIKUの先手の攻撃力が優っていく。前蹴りも松藤麻衣の前進を効果的に止めた。松藤麻衣も圧されながら蹴り返す力はあり、ジャッジ三者が揃うラウンドは無かったが、MIKUが攻勢を維持して判定勝利。

◆第6試合 女子ミネルヴァ 54.0kg契約3回戦(2分制)

MIO LaReyna(TEAM REY DE REYES/千葉県出身/18歳/ 54.0kg)8戦1勝6敗1分
      VS
ゼイナ・クランティッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ出身36歳/ 53.35kg)2戦1勝1分    
勝者:ゼイナ・クランティッチ / 判定0-3 (28-29. 28-30. 28-29)

5月11日に引分けた試合の再戦。パンチでも蹴りでも我武者羅な攻防の中、ゼイナのパンチヒットが優った。首相撲ではヒザ蹴りの攻防、崩し転ばす技もゼイナが優り、攻勢を印象付け判定勝利。

◆第5試合よりプロ 女子ミネルヴァ・アトム級3回戦(2分制)

鈴木萌(クロスポイント吉祥寺/東京都出身21歳/ 45.65kg)3戦2勝1分
       VS
夢結華(=山本夢結華/猛者連八幡支部/京都府出身18歳/ 45.0kg)2戦1勝1敗
勝者:鈴木萌 / 判定3-0 (30-28. 30-28. 30-28)

積極的な両者、蹴られても蹴り返し、打ち合いも怯まない中、中盤から的確差でやや優っていった鈴木萌が判定勝利。

◆第4試合 アマチュア女子 42.0kg契約2回戦(2分制)

瀬川柚子心(小野道場/14歳/ 39.75kg)vs西田永愛(伊原越谷/14歳/ 41.7kg)
勝者:瀬川柚子心 / 判定2-1 (19-20. 20-19. 20-19)

◆第3試合 アマチュア 52.0kg契約2回戦(2分制)

三浦龍之介(伊原越谷/14歳/ 51.7kg)vs渡部翔太(KING/14歳/ 50.05kg)
勝者:渡部翔太 / 判定0-3 (18-20. 19-20. 19-20)

◆第2試合 アマチュア 女子 51.0kg契約2回戦(2分制)

三橋暖愛(士道館ひばりが丘/12歳/ 49.55kg)vs武井梨子(RE-SPAWN/16歳/ 50.2kg)
勝者:武井梨子 / 判定0-3 (19-20. 18-20. 19-20)

◆第1試合 アマチュア 35.0kg契約2回戦(2分制)

渋谷剛(伊原越谷/12歳/ 34.3kg)vs小屋松晴空(BURNING/11歳/ 34.3kg)
引分け 0-1 (19-20. 19-19. 19-19)

※プロ新人戦 フライ級2回戦 中止
手塚瑠唯(VERTEX/19歳/ 50.7 kg)vs渡邊匠成(伊原/19歳)
渡邊の負傷欠場により中止。手塚は計量パスにより勝者扱いとなる模様。

《取材戦記》

当初、メインイベント出場予定の木下竜輔(伊原)は体調不良による欠場。代打となったNJKFの山浦俊一(新興ムエタイ)は本業の勤務中の事故で欠場。対戦予定だった選手は、在日の元・ラジャダムナン系フェザー級5位、ガン・エスジムで、中止に大きな影響は無いが、本来のメインイベントが消えた興行となった。

“セミファイナル格”の女子ミネルヴァ、AIKOvs Uver∞miyUは女子の最軽量級だけに一発で倒す強打も無く終わったが、両者の必死で向かう形相は、勝ちに行く姿勢が見られた好戦だった。

“メインイベント格”のジョニー・オリベイラvs岩橋伸太郎戦は決定打が少ない展開からラストラウンド、組み付く消極的攻防が増えると、レフェリーから「プロだろ打ち合え!」と檄を飛ばされた、もどかしい展開は役不足が顕著に表れた最終試合となった。

今回はスターの居ないかなり寂しい興行だった。フリー選手の起用やNJKFとの連立政権とは語弊があるが、DUELに近いカードで梃入れした興行が続いています。

そして10月26日興行TITANS NEOS.37へ向けて、ジョニー・オリベイラは試合への意欲旺盛で、連続出場の可能性高いだろう。エース格・木下竜輔は絶対必要。次の欠場は許されない。更にはまだまだ活かせる人材や、新しい興行の戦略をもって再び隆盛への道を歩んで欲しい老舗を継承する新日本キックボクシング協会である。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

WMO世界戦、馬渡亮太は幻の勝利か、王座は保留!

堀田春樹

7月13日に後楽園ホールに於いて行われたKICK Insist.23のメインイベント、WMO世界スーパーフェザー級タイトルマッチは前日計量から試合終了数日後まで波乱の展開となりました。

馬渡亮太が激戦の末、2-1判定で勝者コールされ、チャンピオンベルトも渡された後から、観衆は気付かずも、異様な雰囲気が漂ったリングサイド周りとその後の舞台裏。オーウェン・ギリスが第2ラウンドにノックダウン奪ってから大きく劣るラウンドは無いと見ている陣営は、採点の在り方に抗議すると、ジャッジ一人(タイ)の集計ミスを見付け、更なる猛抗議。運営進行係の集計ではなく、ジャッジの集計だった。

運営進行側のインスペクター(タイムキーパー等)は、ジャッジペーパーに集計ミスがあっても勝手に書き換えてはならない。間違いを認識した場合、変更指示出来るのは、この日の場合においては立会人だけだった。それでWMO立会人は、トータル記入どおりで良いと判断され、マイクで発表した運営進行側は指示に従うだけだったが、このジャッジ一人の記載ミスが大きな波紋を呼んだ。この担当ジャッジも、馬渡亮太がポイント優り、“勝者・馬渡亮太”と判断したなら、忖度したとしても明確に辻褄合う採点に気付くべきだっただろう。

ギリス陣営はWMO本部に直訴。審議され、試合結果は正規集計に基づき3日後、WMOサイトで三者三様の引分けに訂正。また、ジャパンキックボクシング協会側の言い分も伝えられたと考えられるが、発表された後、すぐ削除される様子もあり、裏舞台での攻防は、なかなか最終決定が下されなかったことに繋がりました。

プロボクシングでの各タイトルマッチは各ラウンド毎に集計され、インスペクターが記載しますが、今回のこのムエタイタイトルマッチの場合、ジャッジペーパー1枚には全ラウンドを採点記入し、ジャッジ自身で集計して渡す方式だった。

馬渡亮太の勝ちでも引分けでもいい。間違いない集計がされていれば大きな問題は起こらなかったはずである。

問題はここだけに留まらず、オーウェン・ギリスの計量失格となった前日計量にも遡ります。

前日計量は12日14時、水道橋駅近くの内海ビルにて行われ、オーウェン・ギリスは630グラムオーバー。15時55分、3回目の計量で330グラムオーバーで計量失格確定したが、陣営が持参したデジタルヘルスメーターを出して、「この正確な秤でリミット内だった!」と主張するギリス陣営。そんな個人所有のもの認められる訳もなく、出場者全員が公平に規定の正規計量器で量り、他2名の前座ウェイトオーバー者も最終的にこの秤でクリアーした。

オーウェン・ギリスは全裸で計量、3回目(15時55分)で計量失格は確定。

しかしオーウェン・ギリス陣営はここから理不尽な要求が始まった。「王座剥奪なら試合に出ない!」と言い出したらしい。試合中止は避けたいジャパンキックボクシング協会側は細かい制約は告げず、そのままリングに上がらせたが、実際はリング上でしっかり計量失格で王座剥奪をアナウンス。そこはギリス陣営は日本語が解らないと読み、抗議は起こらなかった。


◎KICK Insist.23 / 7月13日(日)後楽園ホール17:15~21:30
主催:(株)VICTORY SPIRITS、ビクトリージム
認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)、World Muaythai Organisation(WMO)

セミファイナル(第12試合)以下は前回掲載済。

◆第13試合 WMO世界スーパーフェザー級タイトルマッチ 5回戦

前・選手権者.オーウェン・ギリス(イギリス/19歳/ 59.6→59.3→59.3kg/+330g/計量失格)
        VS
挑戦者11位.馬渡亮太(治政館/2000.1.19埼玉県出身/ 58.96kg)
結果保留(判定1-2、或いは三者三様)

スーパーバイザー:アウラチャー・ウォンティエン(タイ)
審判構成はWMOが指示。主審はタイ、副審はタイから2名。日本から1名選出されています。
主審:ナルンチョン・ギャットニワット(タイ/採点には加わらない)

オーウェン・ギリスはアグレッシブに攻めるファイタータイプで初回から強い蹴りを繰り出して来た。馬渡亮太は蹴り返して互角に進んだ印象も、圧力あるギリスに馬渡も必死の形相。第2ラウンドにはギリスのパンチ連打に馬渡はヒジ打ちカウンターするも右フックでノックダウンを奪われる劣勢。中盤以降は馬渡が初回から続けたローキックや首相撲でのヒザ蹴りで徐々に優って巻き返し、最終ラウンドも持てる力を繰り出した両者。最後までパンチとハイキックなどパワーと勢いあったギリス。馬渡はギリスの左足を折らんばかりに効かせながら終了まで熱戦を繰り広げた。

初回から馬渡亮太も強い蹴りで渡り合った。
第2ラウンドにギリスの右フックでノックダウンを喫した馬渡亮太。
ノックダウン後、ギリスのアグレッシブなパンチに圧された馬渡亮太。

「セコンドはインターバル中に相手の様子を見ることも重要。」

過去、そんなことを言った仲間の記者が居たことを思い出した。第4ラウンド終了後のギリス陣営はギリスの左足を持ち上げるだけで表情を歪めて痛がった。そこも重要な注視ポイントだろう。

馬渡亮太もムエタイ技の一つが活かされた前蹴りヒット。
ギリスのハイキックに馬渡亮太はローキックを合わせる。ダメージあるのはギリス。
馬渡亮太のローキックを避け、サウスポーに変えるも右足を狙われる。

でも攻められてもオーウェン・ギリスは強かった。馬渡亮太はラストラウンドにもっとローキック出していればギリスは倒れただろうという周りの想いもあるが、馬渡亮太本人の戦略と、蹴りに行けなかった、そこは戦う本人にしか分からない事情もあっただろう。

7月25日時点でもジャパンキックボクシング協会、小泉猛代表には経緯も詳しく話して頂きましたが、「結果保留。WMOの連絡待ち」という状況。

深く追求すれば諸々の問題点と対策があり、今後に改善されていくことでしょう。
今回はWMO世界スーパーフェザー級タイトルマッチの試合前後の経過のみとなります。

進捗状況がいつ発表されるか分かりませんが、ここでは速報性が保てませんので、7月25日時点とさせて頂きます。

勝負は差戻しへ。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

KICK Insistは波乱の展開、睦雅は圧勝、馬渡亮太は幻の勝利!?

堀田春樹

好ファイトが続出した全14試合だったが、メインイベント終了後に波乱は起きた。馬渡亮太が勝者コールされたが、リングを下りてから雲行きが怪しくなったリングサイド周りとその後の舞台裏。採点の在り方にギリス陣営が抗議。マイクで発表した運営側に不備や責任は無く、今後WMOが対処する模様。

最終メインイベント以下、睦雅はコンビネーションブローで圧倒の勝利。
瀧澤博人はリズム掴めず苦戦しながらも、攻めの姿勢で僅差の判定勝利。
HIROYUKIが倒す気満々の攻勢でノックアウト勝利。
吏亜夢がムエタイテクニシャンのキヨソンセンを技と勢いで優って大差判定勝利。
細田昇吾が前回の敗戦から立ち直り、圧倒のノックアウト勝利。

◎KICK Insist.23 / 7月13日(日)後楽園ホール17:15~21:30
主催:(株)VICTORY SPIRITS、ビクトリージム
認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)、WMO

前日計量は12日14時、水道橋内海ビルにて行われ、オーウェン・ギリスは15時55分、計量失格。ゴリムは泣きながら何とかクリアー。花澤一成は軽く走って問題無くクリアー。

◆第13試合 WMO世界スーパーフェザー級タイトルマッチ 5回戦

前・選手権者.オーウェン・ギリス(イギリス/19歳/ 59.6→59.3→59.3kg/+330g/計量失格)
        VS
挑戦者11位.馬渡亮太(治政館/2000.1.19埼玉県出身/ 58.96kg)

正式に最終決定が下されば再度、触れたいと思います。

◆第12試合 63.0kg契約3回戦

WMO・INスーパーライト級チャンピオン.睦雅(=瀬戸睦雅/ビクトリー/ 1996.6.26東京都出身/ 62.8kg)29戦22勝(14KO)5敗2分
VS
タイ・ジットムアンノンStadiumライト級4位.ペットムアンデット・コルウッティチャイ(タイ出身20歳/ 62.6kg)61戦40勝18敗3分
勝者:睦雅 / TKO 2ラウンド 32秒
主審:少白竜

ペットムアンデットの多彩に出て来る勢いに負けず、ローキックからパンチ、組み合っても圧力掛けて出る睦雅。ペットムアンデットの出方を見極め、より前進。ロープに詰め、パンチ連打から飛びヒザ蹴りと勢いに乗る。

睦雅の三日月蹴りヒット、効果的にノックダウンに繋げた
睦雅の右ストレートヒット、蹴りとのコンビネーションブローでノックアウトに繋げた

第2ラウンドには右ストレートから右ローキックでノックダウンを奪う。更に右ローキックで脚を弱らせ、左フックでほぼ勝負を決め、連打とヒザ蹴りフォローでノックダウンを奪い、ノーカウントのレフェリーストップ。睦雅の余裕の完封TKO勝利となった。

5月30日にタイ・ルンピニースタジアムでのONE Friday Fightsに於いて、ヤイ・チャン(ミャンマー)に判定勝利した睦雅は、ジャパンキックボクシング協会の顔という自覚も持ってONE でベルト(王座)獲ることが目標と言う。今後も日本とタイで存在感を示す勢いは続きそうである。

◆第11試合 57.5kg契約3回戦

WMO・INフェザー級チャンピオン.瀧澤博人(ビクトリー/1991.2.20埼玉県出身/ 57.4kg)
44戦28勝(15KO)12敗4分
VS
ヌンプーシン・コルウッティチャイ(元・BBTVバンタム級5位/タイ出身22歳/ 57.5kg)
81戦61勝19敗1分
勝者:瀧澤博人 / 判定2-1
主審:椎名利一
副審:西村30-29. 少白竜29-30. 中山30-29

瀧澤博人は左ジャブでリズムを掴みたいが、ヌンプーシンの蹴りの圧力が瀧澤の勢いを止め、瀧澤の脇腹が赤く染まる。瀧澤は距離を詰めパンチを打ち込むが簡単にはヒットしない。

瀧澤博人の長い左ジャブ、試合のコントロールはここから始まる

最後まで主導権は奪えなかったが、要所要所でジャブやヒジを出し、ヌンプーシンの頬を腫れ上がらせたり、自分の距離に導こうとする前進でヌンプーシンの蹴りを凌いで終了。際どい判定となったが僅差で勝利を掴み、次の11月へのステップへ駒を進めた。

これがヌンプーシンの頬を腫らす一発か、瀧澤博人のヒジ打ちヒット

リング上の瀧澤博人は、倒し切れなかったことは残念と言い、「この悔しさでもっと強くなって次、11月興行で、もし世界戦が決まったら応援に来てください!」とアピールした。

◆第10試合 54.5kg契約3回戦

HIROYUKI(=茂木宏幸/元・日本バンタム級Champ/RIKIX/1995.10.2神奈川県出身/54.5kg)61戦41勝(21KO)16敗4分
      VS
アカラデット・クェイバンコーレーム(元・ジットムアンノン・フライ級3位/タイ出身24歳/ 54.0kg)78戦49勝26敗3分
勝者:HIROYUKI / KO 1ラウンド 2分5秒
主審:勝本剛司

両者の様子見の蹴りパンチの攻防は、余裕あるHIROYUKIが前蹴りでアカラデットを突き飛ばすとボディーを狙って距離を詰め、パンチからボディーへヒザ蹴りでノックダウンを奪うと、効いてしまったアカラデットは苦しそうにテンカウントを聞かされた。

HIROYUKIが前蹴りでアカラデットと突き飛ばした。狙いは定まったか
ヒザ蹴りでボディーを効かせたHIROYUKI、ノックアウトへ繋げた

◆第9試合 60.5kg契約3回戦

キヨソンセン・ビクトリージム(元・WMO・ICスーパーフェザー級Champ/タイ出身35歳/ 60.5kg)188戦110勝(15KO)70敗8分
         VS
WMC日本スーパーフェザー級チャンピオン.吏亜夢(ZERO/2004.12.栃木県出身/ 60.2kg)
25戦18勝(8KO)5敗2分
勝者:吏亜夢 / 判定0-3
主審:西村洋
副審:椎名 27-30. 少白竜27-30. 勝本27-30

吏亜夢は2024年6月9日、亀本勇翔と王座決定戦に初回カウント中のレフェリーストップ勝利で獲得。

キヨソンセンに蹴りでプレッシャーを掛け前進する吏亜夢。ローキックからストレートでボディブロー、首相撲もヒザ蹴りも吏亜夢が優った。キヨソンセンもやや劣勢な態勢も距離感を計り、要所要所で隙を突いて蹴って来るタイミングはベテランの上手さがあった。

吏亜夢は圧倒も倒し切れないもどかしさを残したが、圧倒の判定勝利。

吏亜夢のアグレッシブなヒットとキヨソンセンの巧みな技が交錯
優っていったのは吏亜夢のしなやかさ、ハイキックでキヨソンセンを襲う

◆第8試合 52.5kg契約3回戦

ジャパンキック協会フライ級1位細田昇吾(ビクトリー/1997.6.4埼玉県出身/ 52.4kg)
24戦15勝(4KO)7敗2分
        VS
ゴリム・クェイバンコーレーム(元・True4Uフライ級9位/タイ出身21歳/ 52.7→52.65→52.6→52.55→52.5kg)49戦30勝16敗3分
勝者:細田昇吾 / KO 2ラウンド 2分6秒
主審:中山宏美

初回から細田昇吾が先手を打つアグレッシブな展開。ゴリムのいきなりのハイキックはしっかり見て躱した。細田はパンチとローキックで弱点を探ると、第2ラウンドには右ストレートボディーブローでノックダウンを奪い、続けてボディブローによる3度のノックダウンを奪って圧倒のノックアウト勝利。

細田昇吾の狙ったボディブローヒット、上下多彩に攻め、ゴルムの弱点を掴んだ
細田昇吾のボディブローが効いたゴリムは蹲ってしまう

◆第7試合 ウェルター級3回戦

ジャパンキック協会ウェルター級3位.正哉(誠真/神奈川県出身22歳/ 66.3kg)
12戦7勝(3KO)5敗
         VS
同級5位.我謝真人(E.D.O/神奈川県出身33歳/ 66.678kg)17戦5勝(2KO)10敗2分
勝者:我謝真人 / KO 1ラウンド 2分51秒
主審:少白竜

初回の正哉のパンチで前に出る圧力からボディブローとハイキックはいい流れだったが、我謝真人が凌いで徐々にローキックで出た後、コーナーに詰め、ヒザ蹴りボディブロー一発であっさりノックダウンを奪うと正哉は立ち上がれずテンカウントを数えられた。

◆第6試合 スーパーフェザー級3回戦

ジャパンキック協会フェザー級3位.石川智崇(KICKBOX/神奈川県出身33歳/ 58.7kg)
9戦5勝3敗1分
        VS
青木大好き(OZ/千葉県出身29歳/ 58.6kg)14戦7勝7敗
勝者:石川智崇 / 判定3-0
主審:椎名利一
副審:西村29-28. 中山29-28. 少白竜29-27

初回、石川智崇のタイミングいい右フックでノックダウンを奪うが、青木も諦めずに攻めて来る中、蹴りとパンチで試合運びの上手さで攻勢を維持した石川智崇が内容的には圧勝の判定勝利。

◆第5試合 58.0kg契約3回戦

ジャパンキック協会フェザー級4位.眞斗(KIX/千葉県出身35歳/ 58.0kg)14戦5勝(2KO)7敗2分
        VS
松岡優太(チームタイガーホーク/宮城県出身23歳/ 57.8kg)4戦3勝1分
勝者:松岡優太 / 判定0-2
主審:勝本剛司
副審:椎名29-29. 中山28-30. 少白竜29-30

◆第4試合 73.0kg契約3回戦

白井大也(市原/千葉県市原市出身/23歳/ 72.75kg)6戦2勝(1KO)2敗2分
        VS
タイン・ノーナクシン(タイ出身23歳/ 72.9kg)40戦28勝10敗2分
勝者:タイン・ノーナクシン / 判定0-3
主審:西村洋
副審:椎名28-30. 勝本29-30. 少白竜28-30

◆第3試合 スーパーフライ級3回戦

花澤一成(市原/2004.4.9千葉県市原市出身/ 52.25→52.0kg)12戦3勝(3KO)6敗3分
    VS
磯貝雅則(STRUGGLE/東京都出身38歳/ 52.0kg)7戦2勝5敗
勝者:花澤一成 / TKO 3ラウンド 2分9秒
主審:中山宏美

初回から花澤一成が先手を打った多彩な蹴りで主導権を奪った流れでプレッシャーを掛け飛びヒザ蹴りも見せた。第3ラウンドに入るとやや手数減ったが、首相撲でも優って崩れ行く中、磯貝雅則が後頭部を打ってダメージを負うとノックダウン扱いとなって立ち上がれずカウント中のレフェリーストップ。5月25日の市原興行に続いて2連続KO勝利の花澤一成。これからが勝負。

◆第2試合 53.0kg契約3回戦

西澤将太(ラジャサクレック/埼玉県出身20歳/ 53.0kg)1戦1勝(1KO)
        VS
謙斗(バトルフィールドteamJSA/静岡県出身31歳/ 52.9kg)1戦1敗
勝者:西澤将太 / TKO 3ラウンド 39秒

多彩に蹴り合った両者は第3ラウンドに入って西澤将太がパンチ連打でノックダウンを奪うと続けて連打でノックダウン奪ってレフェリーストップに追い込んだ。

◆プロ第1試合 フェザー級3回戦

BANKI(治政館/埼玉県出身17歳/ 56.3kg)1戦1勝(1KO)
        VS
デートサヤーム・シット・デーンサヤーム(タイ出身19歳/ 56.8kg)7戦5勝2敗
勝者:BANKI / KO 1ラウンド 1分5秒

両者の鋭い蹴りの様子見の中、BANKIが右ハイキックをキレイにヒット。カウントアウトされ、短い時間だったが、密度の濃い攻防だった。

◆アマチュアキック 75kg級2回戦(90秒制)

西村寿一(SOGA/ 71.75kg)vsリブタック・ヒデ坊(K-BRIGHT/ 74.7kg)
勝者:リブタック・ヒデ坊 / TKO 1ラウンド 1分10秒

《取材戦記》

馬渡亮太が会場盛り上げる激戦を戦いながら勿体無いジャッジ側の不手際。試合後のオーウェン・ギリス陣営の猛抗議。収拾がつかず、正式な結果を載せることも出来ないので、この試合結果は7月17日夜時点で保留に致します。最新の情報はWMOのホームページ等で観られますが、最新の進展が発表されつつ、すぐ削除という展開もあるようです。ジャパンキックボクシング協会側も収集着くまで安易には発表できない事情もあるでしょう。

セミファイナル、睦雅までのアンダーカードは激しい展開が見られました。睦雅は圧倒の倒して勝つTKO勝利。瀧澤博人は際どくも勝利を掴んで次に繋げ、HIROYUKIはインパクトあるノックアウト勝利で存在感を示した。細田昇吾も前回のKO負けから払拭。再起を飾った勢い有るKO勝利でした。

次回のジャパンキックボクシング協会興行は9月15日(月・祝)に新宿フェースにてKICKInsist.24が開催予定。11月23日(日)には後楽園ホールに於いてKICK Insist.25が予定されています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

キックボクシング系の戦い!真夏は誰が盛り上げるか!?

堀田春樹

メインイベンターは馬渡亮太。エース格は睦雅。注目度ではHIROYUKIがどんなインパクトを残すか。

◎KICK Insist.23 / 7月13日(日)後楽園ホール17:15~
主催:ビクトリージム / 認定:ジャパンキックボクシング協会

今月はWMOの戦い。世界の頂きに立てるか。馬渡亮太がジャパンキックボクシング協会以外でも試合を行ない、実績を積み重ねての挑戦です。

KICK Insist 23、世界の頂きに立つのは誰か

◆第13試合 WMO世界スーパーフェザー級タイトルマッチ 5回戦

Champion.オーウェン・ギリス(イギリス)vs 挑戦者11位.馬渡亮太(治政館/2000.1.19埼玉県出身)
オーウェン・ギリスは3月にWMO世界王座を獲得。
馬渡亮太はWMOインターナショナル スーパーバンタム級チャンピオン。

馬渡亮太、世界を獲れるか

◆第12試合 63.0kg契約3回戦

WMO・INスーパーライト級チャンピオン.睦雅(ビクトリー/ 1996.6.26東京都出身)
vs
タイ・ジットムアンノンStadiumライト級4位.ペットムアンデット・コルウッティチャイ(タイ)

睦雅(=瀬戸睦雅)は3月23日にポムロップ・ルークスワンを左フック一発で初回TKO勝利し、5月にタイ・ルンピニースタジアムでのONE Friday Fightsに出場し、ミャンマーの選手に判定勝利。ONEでは通算4戦3勝1敗。

円熟、睦雅。安定した実力で日本とタイでトップを維持

◆第11試合 57.5kg契約3回戦

WMO・INフェザー級チャンピオン.瀧澤博人(ビクトリー/1991.2.20埼玉県出身)
vs
ヌンプーシン・コルウッティチャイ(元・BBTVバンタム級5位/タイ)

3月23日にプラカイトーン・トー・タラヤンにKO勝利した瀧澤博人が続いて出場。

瀧澤博人、世界再挑戦に向けて安定した試合展開を見せるか

◆第10試合 54.5kg契約3回戦

HIROYUKI(=茂木宏幸/RIKIX/1995.10.2神奈川県出身)
      vs
アカラデット・クェイバンコーレーム(元・ジットムアンノン・フライ級3位/タイ)

新日本キックで2017年に瀧澤博人から王座奪取した元・日本バンタム級チャンピオンの茂木宏幸はジャパンキックに2度目の出場。ONE Friday Fightsにも出場など活躍する勢いで波乱を起こすか。。

波乱を起こすかHIROYUKI

◆第9試合 60.5kg契約3回戦

キヨソンセン・ビクトリージム(元・WMO・ICスーパーフェザー級Champ/タイ)
         vs
WMC日本スーパーフェザー級チャンピオン.吏亜夢(ZERO)

◆第8試合 52.5kg契約3回戦

ジャパンキック協会フライ級1位細田昇吾(ビクトリー/1997.6.4埼玉県出身)
        vs
ゴリム・クェイバンコーレーム(元・True4Uフライ級9位/タイ)

3月23日にKO負けを喫し再起を賭ける細田昇吾。

◆第7試合 ウェルター級3回戦

ジャパンキック協会ウェルター級3位.正哉(誠真)vs 同級5位.我謝真人(E.D.O)

◆第6試合 スーパーフェザー級3回戦

ジャパンキック協会フェザー級3位.石川智崇(KICKBOX)vs 青木大好き(OZ)

◆第5試合 58.0kg契約3回戦

ジャパンキック協会フェザー級4位.眞斗(KIX)vs 松岡優太(チームタイガーホーク)

◆第4試合 73.0kg契約3回戦

白井大也(市原/千葉県市原市出身/22歳)vs タイン・ノーナクシン(タイ)

◆第3試合 スーパーフライ級3回戦

花澤一成(市原/2004.4.9千葉県市原市出身)vs 磯貝雅則(STRUGGLE)

5月25日に地元市原興行で3年ぶり勝利をノックアウトで飾った花澤一成。ここから浮上成るか。

他、新人戦2試合、アマチュア1試合。

※          ※          ※

◎NJKF 2025 west 3rd / 7月20日(日)開場12:45 / 開始13:00
主催:誠至会 / 認定:NJKF
会場:堺市産業振興センターイベントホール(大阪府堺市北区長曾根町183-5)

NJKFでは関西エリアでも定期興行が行われています。更なる上位目指す佐藤亮、5月11日に新日本キックボクシング協会TITANS NEOS 36で快勝した期待の新人、庄司翔依斗出場。

NJKF west、大阪の戦い。佐藤亮がメインイベンター

◆第12試合 60.0kg契約3回戦

佐藤亮(NJKFスーパーフェザー級認定王者/健心塾)
vs
KTKフェザー級7位.ソ・ヨンテク(韓国)

◆第11試合 Semi Final  ライト級3回戦

NJKFライト級4位.麻太郎(健心塾)vs NJKFライト級5位.田邊裕哉(京都野口)

ヒジ打ちによる2連続KO勝ちの麻太郎。

◆第10試合 フェザー級3回戦

NJKFフェザー級7位.坂本直樹(道場373)vs 同級8位.森田陸斗(誠至会)

◆第9試合 スーパーウェルター級3回戦

NJKFスーパーウェルター級2位.岩本光太郎(誠至会)vs 村木大樹(京都野口)

◆第8試合 バンタム級3回戦

NJKFバンタム級5位.中島隆徳(GET OVER)vs 天(誠至会)

◆第7試合 スーパーライト級3回戦

中野功貴(誠輪)vs 天の助(ノーナクシンムエタイ)

◆第6試合 女子ミネルヴァ・アトム級3回戦(2分制)

ピン級4位.杉田風夏(谷山ジム小田原道場)
        vs
アトム級6位.RIANA(TOKEN)

◆第5試合 50.0kg契約3回戦

庄司翔依斗(拳之会)vs マグナム・カンタ(直心会)

他、新人戦4試合、アマチュア NEXT☆LEVEL関西王座各階級決定戦(数試合)

※          ※          ※

◎MAGNUM 62 / 7月27日(日)後楽園ホール17:15~
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会

日本スーパーフェザー級チャンピオン木下竜輔は出場予定だったが、体調不良による欠場は残念。NJKFから山浦俊一と岩橋伸太郎が参戦。ジョニー・オリベイラが岩橋伸太郎を迎え討つ。

MAGNUM 62、木下竜輔に代わり山浦俊一出場

◆第16試合 59.0kg契約 木下竜輔(伊原)欠場

NJKFライト級1位.山浦俊一(新興ムエタイ)代打出場
vs
ガン・エスジム(元・ラジャダムナン系フェザー級5位/タイ)

木下竜輔の代打でメインイベンターを務める山浦俊一。NJKFの存在感を見せるか

◆第15試合 ライト級

ジョニー・オリベイラ(ブラジル/トーエル)vs NJKFライト級2位.岩橋伸太郎(エス)

岩橋伸太郎は4月20日にTAKUYA(K-CRONY)にノックダウン奪って判定勝利。

ジョニー・オリベイラと対戦する岩橋伸太郎。こちらもNJKFの存在感をどう見せるか

◆第14試合 女子ミネルヴァペーパー級3回戦(2分制)

ペーパー級2位.AIKO(AX)vs 同級3位.Uver∞miyU(T-KIX)

◆第13試合 フライ級2回戦

手塚瑠唯(VERTEX)vs 渡邊匠成(伊原)

◆第12試合 スーパーフェザー級

山本龍平(拳粋会宮越道場)vs 翔吾(DANGER)

◆第11試合 62.0kg契約

平田康輔(平田)vs 光基(DANGER)

◆第10試合 フライ級

トマト・バーテックス(VERTEX)vs RIKIYA T-KIX(T-KIX)

他、アマチュア含む10試合予定。

※          ※          ※

◎SHOOT BOXING 2025 act.4 / 8月9日(土)後楽園ホール17:30~
主催:(株)シーザー・インターナショナル / 認定:シュートボクシングコミッション
放送・映像制作:U-NEXT

キックボクシングから約20年遅れて誕生の、創設40周年を迎えたシュートボクシング。定期的イベントはなかなか豊富である。

SB act,4、主要メンバーの山田虎矢太、山田彪太朗、笠原弘希、安本晴翔、高橋幸光

以下、概要は配信リリースを引用しています。

これまでにライト級(SB-62.5kg)、スーパーフェザー級(SB-60.0kg)、フェザー級(SB-57.5kg)の国内三階級を制覇した笠原弘希は現在、スーパーライト級(SB-65.0kg)を主戦場に4階級制覇も目指しており、2月にコムキョウ・シットポージョーウォー(タイ)に1ラウンドKO勝利。4月にはジャック・ラーチャーノン(タイ)との再戦で勝利しリベンジ成功。今回、どのようなマッチメイクが組まれるか。
11月24日(月・祝)に創設40周年記念イベントで開催されるS-cup世界フェザー級トーナメントの決勝戦での山田ツインズ対決実現に燃えている山田彪太朗と虎矢太が2月以来の揃い踏み。兄・彪太朗は4月、川上叶の挑戦を退けSB日本フェザー級タイトル初防衛に成功。弟・虎矢太は6月、魁斗を1ラウンドTKO勝利で強烈なインパクトを残している。

第6代RISEフェザー級チャンピオン安本晴翔(橋本道場)もS-cup出場を視野に入れての出場。S-cup出場権を懸けた熾烈なサバイバルマッチ査定試合として3人にはどんな相手が用意されるか。

6月興行でSB日本スーパーウェルター級1位、RYOTAROを2ラウンドに左ハイキックで沈めた高橋幸光(飯伏プロレス研究所)も連続出場。タイトル戦線に絡む試合が組まれるか注目。
 
◆出場予定選手

笠原弘希(SB日本ライト級Champ/シーザー)
山田彪太朗(SB日本フェザー級Champ/シーザー)
山田虎矢太(SB日本スーパーバンタム級Champ/シーザー)
安本晴翔(第6代RISEフェザー級Champ/橋本道場)
高橋幸光(WMC日本スーパーライト級Champ/飯伏プロレス研究所)

以上は7月7日にシュートボクシング協会よりリリースされました情報です。対戦カードは今後決定していく模様です。毎度リリースを頂きながら取材も告知にも至らず申し訳ありませんが、今回は興行予定を活用させて頂きました。

※          ※          ※

キックボクシングとシュートボクシング。似て非なるものでも原点は一つ。どちらも進化を遂げて来ました。シュートボクシングも今後は拾える話題は扱っていきたいところです。

そんな中、新日本キックボクシング協会から枝分かれした三派。“協会”と名の付く団体の原点は日本系(=日本キックボクシング協会)となりますが、元の一つに戻らないかなあと願うファンも多いのです。連立政権ではないが纏まれば強い勢力になりますね。という取り上げるほどのことではない春樹のひとり言でした。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

NKB爆発シリーズvol.3は釼田昌弘引退試合!

堀田春樹

剱田昌弘のラストファイトは力出し切る全5ラウンドを戦い、僅差ながら判定勝利で有終の美を飾った。

ジャパンキック協会から参加の樹(治政館)は昨年からのフェザー級に転級後のパワーも備わり、ムエタイブルファイターに僅差ながら判定勝利。

カズ・ジャンジラへの王座挑戦権を懸けたトーナメントはどん冷え貴哉と健吾が挑戦者決定戦へ駒を進めた。

◎爆発シリーズvol.3 / 6月21日(土)後楽園ホール17:15~21:25
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

長くなりますが、アマチュア結果も掲載致します。
戦績はいつもどおり、連盟データを基にこの日の結果を加えています。

◆第13試合 73.5kg契約 5回戦

NKBミドル級チャンピオン.釼田昌弘(テツ/1989.10.31鹿児島県出身/ 73.4kg)
22戦7勝(1KO)11敗4分
          VS
TOMO・JANJIRA(JANJIRA/1992.1.12京都府出身/ 73.35kg)10戦4勝(3KO)5敗1分
勝者:釼田昌弘 / 判定2-0
主審:前田仁
副審:高谷50-46. 鈴木48-48. 笹谷49-48

両者、パンチと蹴りの攻防から剱田昌弘は得意の組み付いて行く手段も使いたいが、徐々にヒザ蹴りから崩して転ばせる勢い増して来た。TOMOは剱田昌弘の多彩な戦法にリズムを掴めない。

剱田昌弘のハイキックがヒット、出さないようで何でも出せる技の一つ

第4ラウンドに入っても手数減らない両者の攻防は次第に疲れが見え始めたが、パンチと蹴りの攻防からTOMOのヒジ打ち、剱田昌弘の飛びヒザ蹴りも見せ、主導権を奪って終わりたい一進一退の我慢の展開は5ラウンドを戦い終えて、剱田昌弘の判定勝利。予定どおりその場で剱田昌弘の引退セレモニーが行われ、テンカウントゴングに送られた。

TOMOのヒジ打ちを避けつつ、鼻がペチャンコの剱田昌弘

剱田昌弘は試合後、「全て出し切りました!」と完全燃焼した表情。「TOMOがフックパンチでガンガン来るイメージあったので、そこを潜っていく作戦も、それが無さそうだったんで、他の技で何でも出して行こうと思いました!」とラストファイトの作戦も語っていました。

TOMOは「もうちょっとパンチや蹴りとか貰わずに戦えるかなと正直思ったんですけど、目茶目茶貰って、5ラウンドなので、剱田さんもうちょっとスローペースで来ると思ったんですけど、それが想像以上に体力削られてしまいました!」と語った。

悲し気な剱田昌弘のテンカウントゴング

◆第12試合 58.0kg契約3回戦

ローッボット・スターライトジム(元・タイ国イサーン地区フェザー級Champ/2006.2.19ナコンパノム出身/ 57.2kg)198戦141勝55敗2分(参考)
          VS
ジャパンキック協会フェザー級2位.樹(治政館/2004.10.12埼玉県出身/ 57.8kg)
16戦8勝(3KO)7敗1分
勝者:樹 / 判定1-2
主審:笹谷淳
副審:高谷30-28. 鈴木29-30. 前田29-30

開始早々は両者、ローキック中心に様子見。更にパンチや多彩な蹴りで倒しに掛かるアグレッシブな攻防。樹はローッボットのムエタイ技を凌ぐ蹴り返しで対抗。互角に進んだ攻防はスプリットとなる見極め難さだったが、樹がローッボットの勢いを凌いで判定勝利した。

樹とローッボットの一進一退の攻防。忍耐の戦いが続いた

◆第11試合 NKBウェルター級挑戦者決定(4名参加)トーナメント準決勝3回戦

NKBウェルター級5位.Hiromi(=田村大海/拳心館/1995.11.20新潟県出身/ 66.5kg)
12戦5勝(5KO)7敗
      VS
どん冷え貴哉(TOKYO KICK WORKS/1988.10.15滋賀県出身/ 66.35kg)
49戦26勝(6KO)21敗2分
勝者:どん冷え貴哉 / 判定0-3
主審:高谷秀幸
副審:鈴木28-30. 前田28-30. 笹谷28-30

パンチのHiromiに対し、どん冷え貴哉は首相撲からヒザ蹴りに持ち込みHiromiの持ち味潰し、貴哉は首相撲だけでなくパンチと蹴りの多彩に攻め優った流れで判定勝利。

どん冷え貴哉が積極果敢にHiromiを攻め優った

◆第10試合 NKBウェルター級挑戦者決定(4名参加)トーナメント準決勝3回戦

大月慎也(Team arco iris/1986.6.19埼玉県出身/ 66.6kg)26戦11勝(5KO)11敗4分
        VS
健吾(BIG MOOSE/1993.10.10千葉県出身/ 65.85kg)7戦5勝(1KO)1敗1分
勝者:健吾 / 判定0-3
主審:鈴木義和
副審:笹谷28-29. 前田27-30. 高谷28-30

パンチと蹴りの様子見から健吾がサウスポーからの左ストレートで主導権を掴んで行った。健吾がボディーブローを打つと、二度目のボディーブローを大月慎也は前蹴りで突き放す上手さを見せたり、終盤はローキックで健吾の勢いを削りに掛かったが、健吾も左ストレートでなどパンチのリズムで対抗し前半の攻勢を維持して判定勝利。

健吾が先手を打ってのスピードと手数で大月慎也に攻め優った

◆第9試合 バンタム級3回戦

NKBバンタム級2位.雄希(テツ/2002.9.3大阪府出身/ 53.25kg)8戦6勝(3KO)
        VS
NKBバンタム級5位.香村一吹(渡邉/2007.2.22東京都出身/ 54.7→54.65kg/+1.13kg/計量失格減点3)5戦4勝(1KO)1敗
勝者:雄希 / 判定3-0
主審:笹谷淳
副審:高谷30-30(27). 前田30-29(26). 鈴木30-29(26)

初回早々からアグレッシブにローキック中心に蹴りパンチの攻防。雄希の首相撲からヒザ蹴りがやや攻勢も、香村一吹も蹴りからパンチ打ち込む積極性あり。ラストラウンド終了まで下がらない展開を見せた。

計量失格した香村はウェイト的には有利でも減点が大きく響いた。勝ちは拾えなくても倒しに行く意欲満々の香村に雄希も応戦。ともに好ファイトに繋げた。

雄希と香村一吹は互いに倒しに掛かる攻防から雄希が経験値で優った

◆第8試合 フェザー級3回戦

NKBフェザー級5位.半澤信也(Team arco iris/1981.4.28長野県出身/ 57.15kg)
34戦11勝(4KO)18敗5分
          VS
次難亮(TOKYO KICK WORKS/2002.6.23/千葉県出身/ 56.95kg)5戦4勝(1KO)1敗
勝者:次難亮 / TKO 2ラウンド 1分34秒
主審:高谷秀幸

次難亮の上下の蹴りがスピーディーに半澤信也を上回るが、半澤信也もパンチで互角に持ち込む。半澤信也が毎度の飛びヒザ蹴りも見せた。第2ラウンドにはガードの低い半澤信也に次難亮が右ハイキックでノックダウンを奪い、更に蹴りの圧力からパンチでノックダウンを奪うとレフェリーはほぼノーカウントでストップした。

次難亮のハイキックがガードの低い半澤信也にヒット、勝利を導いた

◆第7試合 52.0kg契約3回戦

NJKFフライ級4位.悠(=吉仲悠/VALLELY/2003.10.25北海道出身/ 51.8kg)
13戦6勝(3KO)5敗2分
       VS
緒方愁次(ケーアクティブ/2004.1.6東京都出身/ 51.7kg)4戦3勝1敗
勝者:悠 / TKO 2ラウンド 1分7秒
主審:前田仁

スピーディーな蹴りパンチで優る悠。首相撲で緒方愁次も反撃に転じたが、悠も体勢入れ替えパンチを打ち込む。第2ラウンドもアグレッシブに、パンチとローキックの交錯の後、悠の右ローキックで緒方がスリップダウンも、これはすでに狙っていた悠が突破口を開いて更にローキックでノックダウンを奪った。緒方は立ち上がったところでパンチの交錯から悠が再びローキックで倒すとノーカウントのレフェリーストップとなった。

顔はガードで隠れたが、悠がローキックで二度のノックダウン奪って倒し切った

◆第6試合 65.0kg契約3回戦

小磯哲史(元・J-NETWORKライト級Champ/テッサイ/1973.8.8神奈川県出身/64.65kg)
54戦19勝(6KO)30敗5分
       VS
TAIRA(TOKYO KICK WORKS/1989.1.21静岡県出身/ 64.85kg)12戦4勝7敗1分
勝者:小磯哲史 / 判定3-0
主審:鈴木義和
副審:笹谷30-29. 前田30-28. 高谷29-28

初回開始、首相撲からヒザ蹴り中心に動き出す両者。第2ラウンドには小礒が蹴りからパンチで適材適所上手く突いて攻勢を維持。TAIRAは失速の中、小礒は最後には飛びヒザ蹴りも見せたが圧倒には至らず僅差ながら判定勝利となった。

小磯哲史が縦横無尽に動いてTAIRAに攻め優った

◆第5試合 ウェルター級3回戦

ちさとkiss Me!!(安曇野キックの会/1983.1.8長野県出身/ 66.55kg)
43戦7勝(3KO)32敗4分
VS
安田学登(クボ/1995.9.14群馬県出身/ 66.65kg)11戦3勝7敗1分
勝者:安田学登 / 判定1-2    
主審:高谷秀幸
副審:前田30-29. 笹谷28-30. 鈴木29-30

初回は接近戦の攻防も主導権支配には至らない両者のパンチと蹴り。決定打は無いが、ちさとのヒジ打ちか、安田学登の右瞼辺りを切ったが傷は浅い。徐々に安田の圧す力がやや優ったが、ほぼ互角の展開。ちさとも打ち返したが判定も分かれるも安田学登が僅差勝利を掴んだ。

◆第4試合 60.0kg契約3回戦

鈴木ゲン(拳心館/1973.6.5新潟県出身/ 59.45kg)13戦6勝(4KO)6敗1分
       VS
辻健太郎(TOKYO KICK WORKS/1984.3.13東京都出身/ 60.2→60.0kg)
7戦3勝(1KO)1敗3分
勝者:辻健太郎 / 判定0-2
主審:鈴木義和
副審:前田28-29. 笹谷28-30. 高谷29-29

今日がラストファイトと言われた辻健太郎。鈴木ゲンは蹴りとパンチで前進するが、辻健太郎は距離とってローキックとパンチで鈴木より手数多く優った。終盤残り時間少ないところで鈴木ゲンが攻勢に出たが時間切れ。両者の手数ある攻防は鈴木への評価もある中、僅差だったが攻勢保った辻健太郎が力出し切る判定勝利となった。

◆第3試合 女子53.0kg契約3回戦(2分制)

MEGU(KICK SPARK/1979.12.4大阪府出身/ 52.85kg)10戦2勝8敗
VS
RUI・JANJIRA(JANJIRA/2000.11.5東京都出身/ 52.75kg)11戦4勝6敗1分
勝者:RUI・JANJIRA / 判定0-3 (28-30. 28-30. 29-30)

長身を利したMEGU。ミドルキックと前蹴りは効果的ながら、その距離を潰し接近戦で距離感を活かしたRUIのパンチや組み合ってのヒザ蹴りの細かい攻めが攻勢を維持し判定勝利。

◆第2試合 62.0kg契約3回戦

猪ノ川海(大塚道場/2005.9.30茨城県出身/ 61.9kg)5戦2勝(2KO)2敗1分
        VS
小林簾(アルン/2007.7.27新潟県出身/ 61.6kg)2戦1勝(1KO)1分
引分け 0-1 (29-29. 29-30. 29-29)

◆プロ第1試合 54.0kg契約3回戦

風間祐哉(WSR三ノ輪/1997.7.17石川県出身/ 54.0kg)6戦1勝3敗2分
      VS
早川曜平(ケーアクティブ/1994.1.13千葉県出身/ 53.25kg)3戦1勝1敗1分
引分け 三者三様 (28-30. 29-29. 29-28)

◆アマチュア第3試合
 
第2代オヤジキック関東スーパーフェザー級王座決定戦2回戦(90秒制/延長1分)
酒井“キッチンドリンカー”裕輝(EX M-FACTORY/ 60.9kg)
       VS
TAKENAKA(トイカツ道場/西日暮里ストライキング/ 60.85kg)
勝者:TAKENAKA / 延長判定1-2 (19-20. 10-9/20-20.9-10/20-20.9-10)

◆アマチュア第2試合

68.0kg契約2回戦(90秒制/延長1分)
ヒデジン(新興ムエタイ/ 67.95kg)vs河野友信(A-sk丈夫/ 67.05kg)
勝者:ヒデジン / 判定2-1 (20-19. 20-18. 19-20)

破れたが、河野友信は飛鳥信也さんの後輩です。A-skはアスカを意味するのだろう。

◆アマチュア第1試合

51.0kg契約2回戦(90秒制/延長1分)
奏太(スターライト/ 50.8kg)vs輝流(BIG MOOSE/ 50.95kg)
勝者:輝流 / 判定0-3 (19-20. 18-20. 19-20)

《取材戦記》

釼田昌弘は2022年6月18日に田村聖(拳心館)との王座決定戦で、2-1判定勝利で王座獲得したが、同年10月29日には田村聖引退試合(ノンタイトル)で再戦し判定負け。2023年4月15日には土屋忍(kunisnipe旭)と引分け。後に首の怪我で手術をして2年のブランクを作ったが、今回、自身の引退試合となった。

試合直後の引退セレモニーは寂しいものだった。勝者コールを受けたところから勝利者賞トロフィーと対戦者、TOMOからの花束を受け取っただけで剱田昌弘の御挨拶とテンカウントゴング。ここまでで10分足らず。まだ総合格闘技への今後に関わる諸々事情もあったかもしれないが、もう少し華やかに送ってやりたい引退セレモニーだった。

ジャパンキックボクシング協会から参加した樹は試合後、「自分でも負けたと思いました!」と言うも、昨年フェザー級に上げ、当時のチャンピオン皆川裕哉(KICKBOX)、挑戦者決定戦では勇成(Formed)に判定で敗れたが、石川智崇(KICKBOX)にTKO勝利と調子を上げて来ている中で、倒しに来るローッボットに互角に渡り合った展開には皆川裕哉と勇成へのリベンジへの展望も見える様子だった。

比較的、いつも最後まで会場に残っている、ちさとkiss Me!!は、「戦っている中では、イケるかなと思いましたけど、ちょっと当たると調子に乗り過ぎました。シーソーゲームになってしまったのが敗因かなと。出ちゃった結果はしょうがないです。けど安田学登選手の方がダメージあったと思います!」と展開には、もう一歩前進足りなかった反省もあるが、結構よく喋ってくれる明るいキャラクターだった。この後、長野への帰路に就いたようである。ダメージ無いからと酒でも飲みながら帰っただろうか。

メインイベンターが想定し難い日本キックボクシング連盟「爆発シリーズ」は8月3日(日)に大阪176BOXに於いてNKジム、テツジム二部興行。本興行は10月18日(土)に後楽園ホールに於いて、NKBウェルター級挑戦者決定戦、どん冷え貴哉vs健吾が、おそらくメインイベントで開催されます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

設立から6回目の興行、挑戦は続く全日本キックボクシング協会!

堀田春樹

瀬川琉は得意の左ストレートで主導権支配した判定勝利。
オーシャン・ウジハラ(氏原文男)は角谷祐介のスピードに付いて行けず判定負け。
野竹兄弟、兄の勇生は苦戦も好ファイト展開の引分け。
弟、生太郎はノックダウン奪った上、圧倒の展開も倒し切れない大差判定勝利。

◎SAMURAI WARRIORS 挑戦 2nd / 6月20日(金)後楽園ホール 17:15~21:26
主催:全日本キックボクシング協会 /

戦績はプログラムを参照にこの日の結果を加え、出身地年齢は調査不足で不詳です。

◆第12試合 60.5kg契約3回戦

全日本スーパーフェザー級チャンピオン.瀬川琉(稲城/ 60.35kg)22戦15勝(4KO)6敗1分   VS
アイドゥル(=金炳秀キムビョンス/2025年韓国HERO FIGHT優勝/ 60.35kg)
13戦6勝7敗
勝者:瀬川琉 / 判定3-0
主審:和田良覚
副審:竜矢30-28. 勝本30-28. 椎名29-28

初回はやや金炳秀が蹴りから圧力掛けた流れも、第2ラウンドには瀬川琉が左ストレートヒットで主導権を奪って、金炳秀は瀬川の左ストレートが怖くなったか前進が弱まった。金炳秀は元々ウェルター級で体格差もあって、62kgかライト級リミットの交渉から60.5kg契約に落ち着いたが、蹴りの距離感掴んだ瀬川のリズムは変わらず、金炳秀の蹴りも好ファイトに繋がり、瀬川が中盤から圧勝の流れとなった判定勝利。

瀬川琉は左ストレートで勝利を導いた

瀬川は「課題はメンタル的な部分で越えられなかった試合だったなと思います。第2ラウンドからちょっとずつ動けるようになってきた感じですね。でもトップに行こうと思ったら、まだ他団体のトップ選手と戦えないと思うので本当ちょっとショックです!」と周りから見るより本人の反省は多いが、好ファイトを展開したエース格としての成長は大きいだろう。

金炳秀は「瀬川選手の左ミドルキックが効きました。左の蹴りが強い!」と言い、ブロックした腕が痛そうだった。

瀬川琉の左ミドルキックが金炳秀に強烈にヒット、サウスポー瀬川の戦略が活きた

◆第11試合 ライト級3回戦

オーシャン・ウジハラ(氏原文男/無所属/ 60.9kg)28戦13勝(8KO)15敗
          VS
角谷祐介(ネクストレベル渋谷/ 60.9kg)26戦13勝10敗3分
勝者:角谷祐介 / 判定0-3
主審:少白竜
副審:竜矢28-30. 勝本27-30. 和田27-30

※「オーシャン・ウジハラは心センチャイジムとして2009年のWBCムエタイ日本フェザー級初代チャンピオン。角谷祐介はスックワンキントーン・スーパーフェザー級初代チャンピオン。」

角谷祐介のスピーディーなミドルキックやパンチ、ヒジ打ちに怯まず前に出るオーシャン・ウジハラだが、組んでも離れても角谷の勢いに圧され、角谷が大差判定勝利となった。

オーシャン・ウジハラは「前回と比べたら全然駄目でした。ダメージは無いけど疲れました!」と残念そうながらも明るく語るサッパリした表情でした。

角谷祐介のスピード、蹴りの圧力が優って氏原文男を圧倒

◆第10試合 スーパーライト級3回戦

全日本スーパーライト級6位.勇生(=野竹勇生/ウルブズスクワッド/19歳/ 63.35kg)
6戦4勝(3KO)2分
         VS
李導炫(イ・ドヒョン/韓国/ 63.0kg)5戦3勝1敗1分
引分け 三者三様
主審:椎名利一
副審:少白竜28-28. 竜矢28-29. 和田29-28

蹴りから圧力掛ける勇生だが、李導炫もパンチで勇生をコーナーに追い詰める圧力あり。勇生がハイキックやパンチで追い込んでも李導炫が怯まず反撃して来るアグレッシブな展開。流れ的には、勇生が後半やや攻勢で優ったかにも見えるが三者三様の引分け。一進一退の攻防は勇生にとっても良い経験になったと見られる。

勇生と李導炫の一進一退の若き戦い。勇生の右ミドルキックヒット
引分けとなった勇生と李導炫の攻防。いずれ再戦はあるだろう

◆第9試合 スーパーフェザー級3回戦

中村健甚(稲城/ 58.6kg)5戦1勝2敗2分
      VS
アハメド・ボーグリアーネ(フランス/ 58.6kg)1戦1勝(1KO)
勝者:アハメド・ボーグリアーネ / KO 2ラウンド 1分11秒
主審:勝本剛司

“アハメド・ボーグリアーネ”は英語圏とスペイン語圏では発音が全く違う場合あり。

アグレッシブな攻防が続く中、第2ラウンドにアハメドが中村健甚をロープ際に詰めたところでパンチではなくヒジ打ちがヒットし中村がノックダウン。背中越しで見えなかったが、パンチのようなバチンといった音でなく、ゴツンと当たる音だったという周辺。フラ付きながら立ち上がろうとするもカウントアウトされた。

中村健甚とアハメド・ボーグリアーネの攻防。勝負は一瞬だった

◆第8試合 67.0kg契約3回戦

カツヤ・ノラシンファミリー(Norasing Family/ 66.15kg)4戦2勝2敗
       VS
柳將元(=リュウ・ジャンウォン/韓国/ 65.9kg)4戦4勝
勝者:柳將元 / 判定0-3
主審:竜矢
副審:少白竜27-30. 椎名26-30. 勝本26-30

アグレッシブな攻防から徐々に柳將元の組んでのヒザ蹴りが効果的にヒット。第3ラウンドには柳將元のパンチか蹴りが(ハイキックの情報あり)ヒットし、カツヤがノックダウンも激しい攻防続く中終了。柳將元が大差判定勝利。

アグレッシブに攻めた柳將元のヒザ蹴りがヒット、カツヤは出遅れた

◆第7試合 ミドル級3回戦

KENTA・PUAKUTA・SHONBIN(DEAD HEAT/ 72.45kg)4戦1勝2敗1分
VS
一虎(=イーフー/1987年中国山東省出身/ 72.15kg)9戦6勝3敗
勝者:一虎 / 判定0-3
主審:和田良覚
副審:竜矢28-29. 椎名28-30. 勝本28-30

少林寺僧侶という一虎の左右のロングフックは豪快さがあった。KENTAもパンチ蹴りでアグレッシブに出るが、一虎も動じず蹴り返し、両者スタミナ消耗しながら第2ラウンドから勢い上げて来た一虎が攻勢維持して判定勝利。

両者全力で戦い抜いた中、調子付いた一虎がパンチで攻める攻勢

◆第6試合 63.0kg契約級3回戦

野竹生太郎(ウルブズスクワッド/ 62.85kg)3戦3勝
       VS
清宮拓(GODSIDE/ 62.9kg)9戦2勝(1KO)6敗1分
勝者:野竹生太郎 / 判定3-0
主審:少白竜
副審:和田30-26. 椎名30-26. 勝本30-26

初回、パンチとローキック、スピーディーに野竹生太郎が先手打ち、早々に左ハイキックでノックダウンを奪った。野竹が攻勢を維持し、多彩に攻めるも清宮拓を仕留めるには至らないもどかしさを残しながら優勢を維持した大差判定勝利。

初回、先手打った野竹生太郎がハイキックでノックダウンを奪った

◆第5試合 81.0kg契約3回戦

オマル・ファーレス(稲城/ 80.4kg)3戦1勝(1KO)2敗
      VS
ワグナー・カリオカ(ブラジル/ 80.3kg)10戦7勝3敗
勝者:オマル・ファーレス / KO 3ラウンド 1分59秒
主審:竜矢

初回、パンチ中心の攻防はややオマル・ファーレスが優り、第2ラウンドもオマルがパンチから蹴り、ヒザ蹴りで追い込み、右ストレートでワグナーは大きく仰け反ってスタンディングダウンとなってもいいぐらい後退するも、第3ラウンドにはオマルがパンチ連打でノックダウン奪い、精魂尽き果てたワグナーは蹲ったままテンカウントされ、オマルがKO勝利。

オマル・ファーレスがワグナー・カリオカを圧倒していくヒザ蹴り

◆第4試合 フェザー級3回戦

KAI・AKG(A-BLAZE KICK/ 57.1kg) 2戦2勝(1KO)
      VS
柳權(リュウ・グオン/韓国/ 56.4kg) 2戦1勝1敗
勝者:KAI・AKG / TKO 2ラウンド 2分48秒
主審: 椎名利一     

KAIのパンチ蹴りのヒットが優り、柳權の蹴られたら蹴り返す反撃も、KAIが上回るヒット。第2ラウンドもKAIの前蹴りか柳權がノックダウンの後、KAIのミドルキックがガードの上からでも強く蹴り込み、パンチ連打でノックダウンすると、ノーカウントのレフェリーストップとなった。

◆第3試合 65.0kg契約3回戦

小玉倭夢(無所属/ 64.7kg)2戦1勝1敗
      VS
亀田蓮(亀田同志会/ 63.7kg)1戦1敗
勝者:小玉倭夢 / 判定3-0 (30-28. 30-26. 30-27)

ローキックとロングフック中心の亀田蓮。組んでの崩しが上手い小玉倭夢が多彩に攻め大差判定勝利した。

◆第2試合 スーパーウェルター級3回戦

堀江耐志(Norasing Family/ 69.55kg)1戦1勝
      VS
蘆立亮太(YS’K YAMAGATA/ 69.3kg)2戦1勝1敗
勝者:堀江耐志 / 判定3-0 (30-27. 30-27. 30-27)

パンチの堀江耐志に蹴りで返した蘆立亮太。第3ラウンドにパンチでノックダウン奪った堀江耐志が判定勝利。

◆第1試合 スーパーバンタム級3回戦

渡邉獅生(JTクラブ/ 54.95kg)1戦1勝
      VS
ミツル(A X/ 55.15kg)3戦3敗
勝者:渡邉獅生 / 判定3-0 (30-26. 30-27. 30-26)

初回は渡邉獅生が圧倒した展開から倒し切れないミツルの踏ん張り。第3ラウンドにパンチで圧倒からフォロー的にハイキックで圧した形でノックダウン奪って判定勝利。

《取材戦記》

先回キック興行の「NJKF、6月の戦いKING OF CHALLENGER、WBCムエタイ世界戦開催!」記事において“三日月蹴り”を“三ヶ月蹴り”と書いておりました。文字打ち間違いで意識から外れていましたこと申し訳ありません。

本日の全日本キックボクシング協会、今年2回目の興行「SAMURAI WARRIORS 挑戦2nd」韓国、中国、フランス、ブラジルと国際色豊かなカードとなった今回の興行。ライバル的存在ながら韓国選手の強さと粘りが進化した近年であり、交流戦としても充実した存在となるだろう。

瀬川琉が左ストレートで持ち味発揮した勝利は協会エース格の存在感を示した。野竹兄弟は課題を残しながらも今後の成長に注目の存在感を示した。

氏原文男は試合前、「オーシャン・ウジハラとして上に行きます!」と元チャンピオンとしての再浮上を宣言していたが、もどかしい展開で完敗。ただ心は折れていない表情。全日本キックボクシング協会で3連敗となったが、心身ともにまだ戦える様子。ベテランが勝ち星から遠ざかっても現役を続けられるキックボクシング界ではあるが、まだ39歳として頑張って欲しい。

今回の興行で二つのジムが加盟し、現在29のジムとなりました(韓国のSAMSAN含む)。昭和から続く名門のジムは無いが、新しいジム中心に令和時代ををどう盛り上げて行けるか。

「どうやれば客が入るか考え行動しなけらばならない!」と助言する関係者も居る中、次回の全日本キックボクシング協会「SAMURAI WARRIORS 挑戦 3rd」は10月5日に後楽園ホールに於いて初の日曜日枠確保となって開催されます。メインイベンターは瀬川琉か、野竹兄弟、広翔の出場はあるか。今後、後楽園ホールを満員にするスターは生まれるか。この団体の確立した競技を目指す姿勢に期待するファン、関係者は多いでしょう。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

NJKF 6月の戦い KING OF CHALLENGER、WBCムエタイ世界戦開催!

堀田春樹

大田拓真が技と駆引きで優ったノックアウトでWBCムエタイ世界王座奪取。
星拓海が嵐にノックアウト勝利の番狂わせで王座獲得。
繋那が落ち着いた攻防で藤井昴を倒したTKOで王座獲得。
オープンフィンガーグローブの吉田凛汰朗vs健太は壮絶な打ち合いの末、無判定引分け。

◎KING OF CHALLENGER / 6月8日(日)後楽園ホール17:15~21:26
主催:オフィス超合金 / 認定:NJKF、WBCムエタイバンコク本部
放送:U-NEXT

この記事では最初の試合を第1とし、ナンバーはプログラムと異なっています。

◆第9試合 WBCムエタイ世界フェザー級タイトルマッチ 5回戦

選手権者.アントニオ・オルデン(1991.10.14スペイン・マドリード出身/ 56.95kg)
51戦43勝(7KO)7敗1分
          VS
挑戦者9位.大田拓真(新興ムエタイ/1999.6.21神奈川県出身/ 56.95kg)
42戦32勝(11KO)8敗2分
勝者:大田拓真 / KO 3ラウンド 1分49秒
スーパーバイザー:山根千抄(日本)
主審:パリン・ハンタナブーン(タイ)
副審:テーチャカリン・チューワタナ(タイ)、中山宏美(日本)、宮沢誠(日本)

両者の蹴りの距離からパンチに入る牽制の様子見。徐々に大田拓真の良い動きで組み合ってもウェイト乗せた攻防は優っていく印象。狙って打つ蹴る大田がリズム掴み、アントニオ・オルデンも初回から手数あるが大田を圧せない中、第3ラウンドには大田がオルデンをニュートラルコーナーに追い込む流れで右前蹴りとなる三ヶ月蹴りを蹴り込むと、オルデンは苦しそうにノックダウン。レフェリーのパリン氏はカウント6で試合をストップした。

大田拓真がアントニオ・オルデンを追い込んでいく中、この後三ヶ月蹴りが入る
三ヶ月蹴りを喰らって一瞬の間を置いて蹲ったアントニオ・オルデン

大田拓真はリング上のコメントで「世界一の実感はないですけど、とにかく嬉しいです。まだ僕はこれからも、もっと上を目指していきます。」と語った。

連盟代表で新興ムエタイジムの坂上顕二会長は「世界戦は実力だけじゃ獲れなくて、いろいろな壁を乗り越えていく中で、しっかり作戦どおり力出してくれたので、もうおめでとうと言いたいだけですね。」

「最後の三ヶ月蹴りは、あれで絶対嫌がると思うからいろいろな攻撃パターンが生まれる中で、大体作戦がハマっていたところでしたね。」

獲りたかったWBCムエタイ世界のベルト、まだ先の挑戦は続く大田拓真

防衛戦については「WBCムエタイ本部から指名して来るので、アントニオ・オルデンの奪還戦になるか、他の海外の選手になるか、そして日本でやるかスペインでやるか、いずれも倒してしまえば文句無いのでどこでやろうと防衛戦はしっかりやっていきたいですね。」と語られました。

アントニオ・オルデン陣営の通訳されました川久保悠(伊原プロモーション)氏は「オルデン選手は試合はコントロール出来ていたので、あの三ヶ月蹴り貰ったのは凄く勿体無かったと言い、第4~5ラウンドに進んでいれば、そこでの展開は自信があった様子で、奪還戦についてはぜひ挑戦したいと言っていました。」ということでした。

◆第8試合 第9代WBCムエタイ日本バンタム級王座決定戦 5回戦

1位.嵐(=坂本嵐/KING/2005.4.26東京都出身/ 53.45kg)19戦13勝(6KO)4敗2分
VS
3位.星拓海(IDEAL/2005.7.26東京都出身/ 53.5kg)11戦8勝(3KO)2敗1分
勝者:星拓海 / KO 3ラウンド 2分22秒
主審: 宮沢誠

ローキックでの探り合いからミドルキックへ繋ぐ嵐。星拓海は焦りも怯みも無く蹴り返していく。第1ラウンド終盤に嵐が攻勢掛けたのはマストシステムでの印象点掴む戦略もあっただろう。

第2ラウンドも嵐から上下変化掛けながら蹴って出ても、星拓海もダメージ無く蹴り返す展開。徐々にリズムに乗って来たのは星拓海。飛びヒザ蹴りも繰り出し、第3ラウンドには三ヶ月蹴りと言われる前蹴りで嵐は蹲ってしまった。そのまま苦しそうにテンカウントを聞いた嵐。トップに立つと常勝は難しくなる壁でもあるだろう。

嵐にプレッシャーを掛ける星拓海、意外と強く下がらない攻防を続けた
星拓海が三ヶ月蹴りをヒットさせた後、嵐は崩れ落ちた

星拓海は「ボディーブローが効いた様子が有ったので三ヶ月蹴りで追い打ちを掛けました。」と語った。更に防衛戦は重ねて行きたいと言う。そこから大田拓真のように上位へのチャンスも生まれるだろう。

まだ日本タイトルながら、このまま大田拓真に続けるか

◆第7試合 オープンフィンガーグローブマッチ スーパーライト級3回戦(延長2R)

NJKFスーパーライト級チャンピオン.吉田凜汰朗(VERTEX/2000.1.31茨城県出身/ 63.2kg)
29戦13勝(3KO)10敗6分
       VS
健太(=山田健太/E.S.G/元・WBCMウェルター級Champ/1987.6.26群馬県出身/ 63.3kg)
125戦68勝(21KO)49敗8分 
裁定は「無判定引分け」延長2ラウンド、計5ラウンドまで経過
主審:中山宏美

凄惨な試合となった。正攻法な二人だけに乱戦にはならないが、薄いグローブの影響は現れて行った。アゴにヒットして脳震盪を起こさなければ倒れないであろう中、健太の方の顔がボコボコになっていき、額を切り、鼻血を流し、口の中も切った流血も酷くなる流れ。ヒザ蹴りもタイミングよくボディーヒットさせた吉田凛汰朗。3回戦制ではあったが、判定されたとしたら吉田凛汰朗の優勢だろうか。KO決着の為、延長戦、再延長戦と進むも吉田凛汰朗がやや優勢の中、無判定引分けとなった。

吉田凛汰朗の指が健太の鼻の穴へ、サミングも起きやすいオープンフィンガーグローブ
血みどろの戦い、両者我慢強いからボコボコになりながら最後まで倒れなかった

健太は「もう僕はトップを目指せません。そしてもう目指してもいません。」と宣言。

「この試合が最後か分からないですけれど、人間はブレるので“辞めます詐欺”するかもしれないですけれど、その時は悪しからず。」と引退を匂わせながら現役継続とも取れるコメントを残した。

◆宮越慶二郎引退式

宮越慶二郎は過去NJKFライト級、WBCムエタイ・ライト級、WBCムエタイ・インターナショナル・ライト級王座を獲得。46戦29勝14敗3分。この戦績を通じて人生を教えて貰いましたという想いを語り、キックボクシングに僕なりの恩返しをしたいと思います。第二の人生に御期待ください」と挨拶し、テンカウントゴングに送られました。

◆第6試合 第11代NJKFスーパーバンタム級王座決定戦 5回戦

2位.繁那(R.S/2004.1.28京都府出身/ 55.3kg)17戦13勝(8KO)2敗2分
VS
3位藤井昴(KING/東京都江戸川区出身19歳/ 55.0kg)前戦含む6戦3勝(1KO)1敗2分
勝者:繁那 / TKO 1ラウンド 1分30秒
主審:宮沢誠

両者は2024年11月10日に対戦し引分けている中での再戦となる王座決定戦。

ローキックで藤井昴の脚を攻めバランス崩させる繁那。藤井がローキックを返すと繁那は左ストレート打ち込む。すでに繋那の圧力が活かされている展開。藤井の動きは悪くないが、繋那の距離感に嵌っている中、繋那は右ジャブから左ストレートでノックダウンを奪った。

繋那は冷静に試合を進め、左ストレートをヒットさせた

再開後、すぐに向かわなかった繋那。藤井の出方を窺い、出て来る藤井に左ストレートを打ち込み二度目のノックダウンを奪い、立ってもフラ付く藤井をレフェリーはカウント中にストップを掛けた。

NJKF王座獲得となった繋那は次なる王座はWBCムエタイ、日本と世界か

◆第5試合 52.0kg契約3回戦

NJKFフライ級チャンピオン.西田光汰(西田/2001.2.13愛知県出身/ 52.0kg)
13戦8勝(1KO)4敗1分 
VS
NJKFフライ級6位.明夢(新興ムエタイ/ 51.75kg)14戦5勝(1KO)6敗3分
勝者:明夢 / 判定0-2
主審:児島真人
副審:梅下29-30. テーチャカリン29-30. 宮沢29-29

西田光汰は当初、永井雷智との初防衛戦が決まっていたが、永井の負傷欠場により、明夢とノンタイトル戦となった。

西田光汰の蹴りパンチ攻勢に明夢が劣らず着いていく展開。蹴り合っても首相撲となっても引けを取らない明夢。互角に蹴りパンチが続き、西田のコンビネーションブローの見せ場もある中、明夢の表情が強気に見えた。際どい採点ながら明夢が番狂わせを起こす判定勝利となった。西田はこのリングでは(正確にはマット生地)滑り易いのか、蹴っても滑って転ぶシーンが目立った。

◆第4試合 バンタム級3回戦(EX1)

山脇飛翼(K-1ジム心斎橋チームレパード/2001.10.31大阪府八尾市出身/ 53.3kg)
14戦 9勝(4KO) 4敗 1分
VS
サンチャイ・テッペンジム(元・ラジャダムナン系ミニマム級Champ/1988.5.30タイ国ソンクラー県出身/ 53.0kg)295戦222勝(89KO)70敗3分
勝者:山脇飛翼 / KO 3ラウンド 29秒
主審:中山宏美

山脇飛翼は4月27日に嵐に判定負けも、ローキックで嵐を苦しめた強気の展開。その勢いでサンチャイをローキックでジワジワ攻め、ヒザ蹴りやミドルキックも加えて最後はローキックでサンチャイを倒し切り、テンカウントを聞かせた。

◆第3試合 スーパーバンタム級3回戦(EX1)

NJKFスーパーバンタム級6位.王清志(新興ムエタイ/ 55.1kg)24戦10勝(3KO)13敗1分
VS
NJKFスーパーバンタム級7位.中島大翔(GETOVER/ 55.3kg)12戦5勝(1KO)5敗2分
勝者:中島大翔 / 判定0-3 (27-30. 28-29. 28-30)

◆第2試合 女子ミネルヴァ48.5kg契約3回戦(2分制)

山崎希恵(クロスポイント吉祥寺/28歳/ 48.25kg)4戦2勝1敗1分
      VS
あゆな(笹羅/22歳/ 47.9kg)2戦1敗1分
引分け 1-0 (29-29. 29-28. 29-29)

◆第1試合 フェザー級3回戦

陽平(TAKEDA/15歳/ 56.6kg)1戦1勝(1KO)
     VS
高嶋隆一(PIT/25歳/ 55.6kg)1戦1敗
勝者:陽平 / TKO 1ラウンド 2分28秒

高嶋隆一がアグレッシブな猛攻だったが、距離感掴んだ陽平が蹴り返し、ヒザ蹴りやパンチ連打で高嶋を追い込み、顔面ヒザ蹴りで圧倒すると高嶋はノックダウンとなってカウント中にレフェリーストップとなった。

《取材戦記》

戦績は前回興行結果と今回のプログラムを参照し、この日の結果を加えています。プログラムに曖昧な部分が発生しており、正確さには欠けますが参考まで。

今回、繁那に敗れた藤井昴は4月21日のトーナメント準決勝での中島凛太郎との対戦で、股間ローブローによる試合続行不可能となり、「判定2-1で負傷判定勝利」とアナウンスがありました。公式記録も確認しましたが、そのとおり。私どもは藤井昴の負傷判定勝利と記載しました。

しかし、後のNJKFからのリリースで試合結果は、「ノーコンテスト。トーナメントの為、1R途中までの採点となり藤井が 2-0 で勝利」という発表がありました。

すでにこのリリースに矛盾した部分はあり、気が付く人は解り、解らない人は解らないままと思いますが、諸事情で敢えて突っ込みはしませんが御容赦ください。2-1が2-0になっている部分だけはNJKF側の誤記かと思います。マストシステムですから。

なお、今回のプログラムに藤井昴だけ戦績が更新されていない様子でした。記載忘れでなく以上の結果を考慮したものと考えられます。

“ノーコンテスト(無効試合)”という裁定を戦績に含むか含まないかは、いろいろな解釈があると思います。

「原因に係わらず試合していないのと同じという意味で戦績に含まない。」

「天変地異など災害によるノーコンテストは戦績に含まない。試合中の偶然のアクシデントによるものは戦績に含む。」などなど。

吉田凛汰朗vs健太戦は2月2日のタイトルマッチを行ない、吉田が僅差で勝利し初防衛しましたが、不可解な判定の疑念が残り、今回、ノンタイトル戦、オープンフィンガーグローブ使用で再戦。過去1勝1敗の決着戦となったが、KO決着のみの無判定試合と制定されました。これは法の下で活動する本場ムエタイ式に言えばカテゴリー外れ(違法ではないが)。プロボクシングJBC管轄下に例えれば認められないグローブ。キックボクシングはプロモーター主体の競技で規制無く実行出来てしまいます。

試合中、「死ぬまでやらせるのか!」といった野次も飛び交ったという。白いマットが鮮血で染まっていくオープンフィンガーグローブ使用の試合は、サミングも起こり易く、今後も行なわれるのか疑問が残るルールです。

大田拓真のWBCムエタイ世界王座獲得としては、2014年11月15日の大和哲也と梅野源治以来となりました。まだ世界の頂点という実感は無いと言う中、今後も防衛戦やONEでの参戦で結果を残しながらと世界の頂点を極めていく心構えである。

NJKF次回本興行は9月28日(日)に後楽園ホールに於いて武田幸三主宰CHALLENGERシリーズが行われます。

関西版は7月20日には大阪府堺市で誠至会興行「NJKF 2025 west 3rd」が開催予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」