開幕戦の逆転負けから悪夢の9連敗。前半はとてつもなく厳しい闘いの連続でした。開幕以来、3月=0勝6敗(月間借金6)、4月=9勝14敗1分(月間借金5)、5月=11勝13敗(月間借金2)と負け越し続き。最悪時には16も借金があり日本プロ野球史上最悪勝率を記録してしまった時期がありました。

ただ、3月から5月の負けが込んでいた時期、順位は当然セリーグ最下位でしたが、チーム防御率は2点代中盤で6球団中トップという不思議な記録を残していたんですよね。そして完封負け、1点差負けゲームが目に余るのが特徴でした。つまり簡単にいえば「打てなかった」んですね。投手陣は大崩れすることはなくむしろ好調でした。ですから、得点力がもう少し上がりさえすれば前半戦の間に、借金返済とはいかなくても、なんとか最下位を脱出できるのではないか、と結構少なくない解説者たちも予想していました。

そしてわたしは「そんなもんじゃないでしょう」と確信を持っていました。それは自分の目で確かめた5月22日甲子園での対巨人戦での完封勝利です。

プロ入り初完封を4月にあとアウト1つで逃していた、伊藤将司投手がわたしたちの目の前で完璧かつ全く不安を感じさせない完封を飾りました。佐藤、大山両主軸にもタイムリーが生まれ「いやー最高の観戦でしたね」と気分よく帰路についたのを覚えています。シーズン当初の最悪状態からチームが確実に上昇傾向に転じたのは、顧みると5月22日あの日の対巨人戦完封劇からだったといえるかもしれません。

6月に入ると14勝8敗1分 7月は14勝6敗でオールスター前に勝率を5割に戻し、甲子園で迎えたオールスター明けの首位ヤクルトとの3連戦でも2連勝で、ついに今シーズン初の貯金ができました。阪神タイガース以外を見渡すと、今年は序盤の混戦からヤクルトが抜け出し、早くもマジックが点灯する独走を見せています。気が付けば2位に浮上した阪神タイガースより下、3位以下のチームはすべて勝率が5割以下で現在のところヤクルトの独走が、まだ続いています

セ・リーグ順位表(2022年8月1日現在)

でも、ヤクルトは打線の迫力はあるものの、投手陣に疲れが見え始め一時の勢いからは、だいぶ失速しているように思えます。今年も暑い夏ですが、夏場は投手により大きな負担がかかります。ですからどれだけ先発陣が安定しているか、そして中継ぎの層の厚さ、抑えの疲労蓄積回避が夏場はポイントです。阪神タイガースは高校野球が甲子園で行われている間は、甲子園以外に遠征に出るか、京セラドーム大阪で主催ゲームを行います。昔は「死のロード」と呼ばれましたが、名古屋と東京ではドーム球場(エアコン入り)でゲームできるのですから、夏場の一番暑い時期に甲子園を高校生に譲るのは、まんざらマイナスでもないと考えられます。

「阪神タイガースはどうなっているのか」をテーマにに選んだのは正解でした。だって、史上最悪のスタートを切って最下位確定間違いなしと思われ、試合後のインタビューで久々に勝った矢野監督が泣く姿を見せるほどボロボロだった。あの姿からわずか2か月でまさか借金を返済して2位まで上昇するとは、まあ、ファン心理としては「そうあってほしい」と思うことはあっても、現実を信じた人は少数だったと思います。

でも、先ほど触れましたが投手陣の安定が崩れないんですよね。昨年最多勝の青柳はもう11勝(1敗)していますし、前半調子に波があった西勇も抜群の安定感を取り戻しました。2年目の伊藤もすでに7勝を挙げ、復活した才木も無敗で2勝。先発の層が厚いし、若手を中心にした中継ぎも崩れません。抑えに定着した岩崎はすでにセーブを22上げています。

そして、攻撃の活性化は誰の目にも明らかでしょう。ホームランを量産しだした大山、大山に本数は及ばないものの佐藤の存在感は2年目の選手とは思えません。そして見逃せないのは「走れる」選手の活躍が増えてきたことでしょう。中野、近本は昨年から盗塁では実績がありましたが、代走出場が多かった島田のバッティングが好調で2番に定着したことで1番から3番まで、隙あらばヒットが出なくとも盗塁を狙える選手が揃いました。代走には熊谷がいます。7月31日(午前現在)チーム盗塁数は73でセリーグではヤクルトの56を引き離し断然トップです。

さて、このように見てくると阪神が勝てなかった序盤戦から2位に上昇した7月まで、まさにドラマチックな展開だったといえることでしょう。しかし、わたしはまだ波乱はあるのではないかと予想します。これまでは「地獄から奇跡の生還」のドラマを目にしてきたわけですが、開幕戦の不思議な大逆転負けを思い出すにつけ、「いいことばかりが続く保証はない」という教訓を、ファン心理も学んだのではないでしょうか。ことしに限っては「コロナ第7波」の影響が後半戦には出てくるでしょう。現在多数の感染者を出している巨人は対戦をストップしています。試合出来るメンバーを組めないというのが理由だそうですか、振替試合は9月以降に回されるでしょう。ほとんどのチームで「コロナ7波」の感染者が出る中、主力選手が長期間離脱を余儀なくされる状況が生じると、先が読めなくなりますね。

ですからわたしは心の中では「こうなるんじゃないか」との予想を持っていますが、それをお伝えすることは遠慮しておきます。いや、逃げじゃないですよ。本当に「何が起こるかわからない」ことを今年のセリーグは教えてくれているように思えますので、ならば次にはどんなドラマが生まれるのか。ワクワクしながら見守りたいと思ってるんです。だって今日の最高気温35度ですよ。もうこれ以上頭に血を回したら自分でもどうなるか、自信がありませんから。

◎阪神タイガースはどうなってるの? http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=102

▼伊藤太郎(いとう・たろう)
仮名のような名前ながら本名とのウワサ。何事も一流になれないものの、なにをやらしても合格点には達する恵まれた場当たり人生もまもなく50年。言語能力に長けており、数か国語と各地の方言を駆使する。趣味は昼寝。

『紙の爆弾』と『季節』──今こそ鹿砦社の雑誌を定期購読で!

5月22日阪神タイガース対巨人戦観戦報告の続報です。両チームの先発メンバーが発表されました。コロナ前なら、選手の名前がアナウンスされるたびに歓声が上がっていたものですが、球場内でもしきりに感染防止対策で、大声を控えるように告知がなされたり、ボードを掲げた係員が巡回しているので、先発メンバー紹介には拍手が送られる程度です。

が、意外な場面で球場がざわついきました。審判の紹介で「球審白井」とアナウンスが聞こえた瞬間、「おいおい白井かい!」、「え!」とそこここから声が上がりました。

佐々木投手はご存知、完全試合達成後、あやうく2試合連続完全試合に手が届きかけた、いま最も注目の若手投手です。その佐々木投手にちょっと訳の分からない絡み方をしたのが白井審判でした。ネット上には過去、白井審判の怪しい判定や、猛抗議を受ける動画が多数アップされ、注目度は抜群。その白井審判がよりによって球審だというのですから、波乱も含めてますます期待感が高まります。私の座っている席の近くからも「白井!ええ加減な判定したらあかんぞ!」と大きな声が飛びました。

試合開始直前に神妙な表情で審判団と打ち合わせをする白井審判

爽やかな五月晴れ、宿敵巨人との満員甲子園での対戦、そして裁く球審は、最も注目を浴びる審判白井。いよいよプレーボールです。球場内では700円もする生ビールですが試合進行以上に、最高の観戦コンデションにどんどん進みます。甲子園は風が気持ちいいんですよ。

阪神の先発は前回惜しくも完封勝利を逃した伊藤で、1月以上開いての登板です。伊藤投手は制球が安定して、ストレートの伸びもよく不安のない立ち上がりを見せてくれました。

一方、巨人の先発高橋投手は立ち上がりからコントロールが定まらず、小林捕手とのタイミングがとれていないように感じられました。小林捕手が高橋投手に投げ返すボールが左右にそれる場面も何度も見られたことから、阪神タイガースOBのOさんは「今日のね、高橋はいいことないね。うん。まあ、見ての通りコントロールが安定してないし、マウンドで落ち着きがないよね。おん。おん。これは阪神、ゆっくり見て行ったらいいんですよ。おん。今日ははように捕まえることできるますよ。おん。」と早くも阪神攻撃陣のチャンスを予言していました。

満員の甲子園球場

試合はOさんの予想通り、2回に先頭の陽川が四球で出塁。つづく糸原の打席でフルカウントからまたしても四球。長坂は犠打でランナーを2,3塁に進め、打席にはピッチャーの伊藤ですが、巨人の高橋は伊藤にも四球を出してしまい1死満塁です。高橋はもうこのあたりで限界のように感じましたが、巨人ベンチは動きません。つづく近本がセンター前に安打を放ち阪神タイガーが1点先取です。2番の中野が三振に倒れたあと大山がレフト前にタイムリー。この打球を巨人の外野手が下手くそな守備をしている間に2塁ランナーも帰ってきて3点目。高橋投手はここで降板しました。巨人の投手は戸田です。四番の佐藤は痛烈なファースト直撃ゴロを放ち、これが内野安打で一挙4点をあげました。こういう攻撃が見たかった!高橋の調子が悪かったとはいえ、2回に一挙4得点です。

中押し、ダメ押しが欲しいところですが、いまの阪神タイガースにそこまで求めるのは酷というものでしょうか。

この日は攻守に見どころがありました。目立ったのは近本選手ですね。3安打1打点プラス1盗塁。盗塁は完璧なタイミングで近本選手にとっては通算100個目の節目の盗塁でした。守備でもレフト方向に切れていくライナー性のフライをダイビングキャッチ。

その後も伊藤投手はヒットは打たれるものの要所を締めていよいよ最終回を迎えました。結局9回に出塁は許したものの最後は見事に巨人打線を抑えきり、伊藤投手は完封勝利です。

最後まで躍動感あふれるフォームで完封勝利を達成した伊藤投手

同上

同上

巨人相手に甲子園で完封勝利! いやー阪神タイガース強いじゃないですか。強い。たしかにこの日試合だけ見ればそうなんですが、問題は打てない試合が多すぎることなんです。今日は5月29日です。交流戦の真っ最中です。楽天相手に田中将投手から勝ち星を奪うなど、本格的な上昇ムードを期待したいところですが、5月29日時点で借金が11。そして問題なのは完封負けが12試合もあることでしょう。勝試合でも1点差勝利が多く、楽な展開がないのは、やはり打線が繋がっていないことを意味するのでしょうね。投手陣が大崩れすることは少なく、防護率はセリーグトップの2.77。これで最下位なんですから、逆にいえば「撃ちゃあええんよ」というこですね。

結果的には、優勝を狙うのは無理にしても「まだまだ分からんよ」ということでしょう。最高の観戦日和に気持ち良い浜風を受けて、お昼寝なさっている方の姿みられましたが、それくらい気持ちの良い試合でした。

気持ちよい観戦日和にうたたねをなさる観客の姿も

◎[関連リンク]阪神タイガースはどうなってるの?
〈4〉5.22巨人戦観戦報告[前編]

▼伊藤太郎(いとう・たろう)
仮名のような名前ながら本名とのウワサ。何事も一流になれないものの、なにをやらしても合格点には達する恵まれた場当たり人生もまもなく50年。言語能力に長けており、数か国語と各地の方言を駆使する。趣味は昼寝。

『紙の爆弾』と『季節』──今こそ鹿砦社の雑誌を定期購読で!

残念な結果がつづくと、急にうそのように連勝を始める今シーズンの阪神タイガース。「強いのか? 弱いのか?」5月25日時点では18勝29敗1分。セリーグ最下位ですから、強いというには無理があります。でも、全然見どころのない「ダメ虎」かといえば、そうでもないのです。成績以上に「勝ち様」の良い試合、残念だけど負けた試合の印象が深いので、借金が11もあるような気はしないんですよね。

そこで今年の阪神タイガース、および実戦日の甲子園球場がどのような雰囲気なのかを探るため、行ってきました!22日対巨人戦です!14時プレーボールの甲子園球場は12時開門です。試合前の球場周辺を一回りしてみましょう。

リニューアル当時はまだ元気のなかった甲子園名物の「ツタ」がかなり成長してきた様子がわかりますね。球場外の一塁側では各選手の写真とともに、感染予防策にかなり気を使っています。

近本は真面目に指示を聞きそうですね。大山も「体調に異変があればすぐ近くの係員にお声掛けを」と。

この2ショット、わざとじゃないでしょうけど、去年の緊急事態中どなたかの家で大騒ぎしてコロナにかかってしまった、藤浪投手と、これまた前回4月6日登板のあとに陽性が判明して登録抹消も、この日久しぶりに先発登板の「コロナ陽性2投手」。偶然にしろこういうポスターを作製できるのも、阪神タイガースの魅力です。

こんな感じで感染予防には本当に細かく配慮されていました。

おっとさらに少し歩くと、喫煙所がありました。そこそこ広いと思われますが「ご利用人数は3人まで」のシールが貼られています。私はタバコを吸いませんが、甲子園は球場内部にも結構喫煙所が設けられているのは、愛煙家にとって嬉しい配慮ですね。

さらに歩を進めてバックスクリーンの裏に回ります。五月晴れ空の爽やかさが伝わるでしょうか?

おっと、この写真では阪神タイガースの旗がはっきり見えません。

そうそう、こんな感じで吠えまくって欲しいところです。今日の巨人戦はどうなることでしょう。

あれっ? 急に青葉に隠れたどこにでもありそうなビルが目に入りました。ひょっとして、ここが噂の鹿砦社本社では? やはり甲子園球場からは本当に近いんですね。

さて、球場の隣には「甲子園歴史館」という立派な建物があります。

入り口を覗いてみると…

入館料、おとな900円!高いぞ!さらにスタジアムツアーは大人2000円!しかしスタジアムツアーでは球場内のふつうは入ることのできない場所に案内されたり、OBが直接説明してくれることもあるそうですから、ファンにとっては安いのかもしれません(私には手が出ませんが)。

びっくりしているとスタジアムツアーに参加する男性が女性係員に引率されて球場に向かってゆきました(これも料金のうちでしょう)。

さて、開門時間近くになり駅周辺の人も増えてきました。

駅の改札口から球場方向に歩いていると、懐かしの声が!「券余ってたら買うよ」すれ違う瞬間絶妙のタイミングでかけてくる小声。懐かしの(?)ダフ屋さんです。

ボロボロのジーンズの兄ちゃんは同じ場所で、自転車のおっちゃんは後ろから声をかけてきました。お姿から拝察するにあまり景気はよさそうではありませんね。

さて、余談はともかく球場の中に入りましょう。今日は一塁側内野席「アイビーシート」での観戦です。

やっぱり甲子園は広いですね。まだ試合開始まで2時間近くありますが、お客さんもそろそろ入り始めています。阪神タイガースの練習はすでに終わっていて、グランドで練習しているのは巨人の選手どもです。この日は両チームともに「復刻版ユニホーム」着用の試合でした。これがいけない。阪神の選手はほぼわかるのですが、ユニホームに名前がないので、巨人の選手を見分けるのが非常に難しいのです。だいたい巨人は強いのですが、最近では顔を知らない選手も多々いるので、ちょっといかがなものかと思いました。試合開始40分前。だんだん観客席が埋まってきましたね。この写真はネット裏最前列からグランド整備が行われている様子を眺めたものです。

「グランド整備をやらせたら世界一」の呼び声高い、甲子園園芸の皆さんが無駄のない動きでグランドを綺麗にならしてゆきます。

朝日放送テレビの解説は関本さん、ラジオは桧山さん。MBSは谷繁さんです。皆さん近くで見ると大柄です。仕事前なので愛想はよくありませんでした。(つづく)

▼伊藤太郎(いとう・たろう)
仮名のような名前ながら本名とのウワサ。何事も一流になれないものの、なにをやらしても合格点には達する恵まれた場当たり人生もまもなく50年。言語能力に長けており、数か国語と各地の方言を駆使する。趣味は昼寝。

『紙の爆弾』と『季節』──今こそ鹿砦社の雑誌を定期購読で!

現時点の状況からお伝えしましょう。35試合戦った5月6日の時点で完封負け9試合(11勝23敗1分)。この数字が阪神タイガース泥沼状態のすべてをあらわしています。5月6日の中日戦は阪神タイガースにとっては「鬼門」のナゴヤドームじゃなかった「バンテリンドーム」でした。

◆「ネーミングライツ」商法の違和感

ロードで残念に負ける阪神タイガースの凱旋を待つ甲子園球場周辺

話がそれますが「ネーミングライツ」という球場や、施設の名前を「切り売り」する商法。あれはなんだか気持ち悪くないですか?「バンテリンドーム」って聞いて名古屋と結びつく人ってそんなにいるでしょうか? 福岡ドームは「福岡 Yahoo! JAPANドーム」、「福岡 ヤフオク!ドーム」、「福岡PayPayドーム」と名前を変えてきました。

ホークスはチームとしては嫌いじゃないですけど「ペーペードーム」って響きが軽すぎるように感じるのはわたしの偏見でしょうか? 楽天本拠地の本名「宮城球場」もやはり「ネーミングライツ」を採用していますが、こちらはスポンサーの如何を問わず球場名に「宮城」を入れることが契約の条件に含まれます。そのため同球場はこれまで「フルキャストスタジアム宮城」、「日本製紙クリネックススタジアム宮城」、「楽天Koboスタジアム宮城」、「楽天生命パーク宮城」と3年契約を基本に名前が変遷してきました。

まあ、楽天やソフトバンクといった時代の先端企業のやることですから、古い感覚のわたしの世代にはちょっと馴染み切れない部分はあります。そうそう「京セラドーム大阪」も忘れちゃ困ります。京セラって京都の京をつけた会社でしょ。それが大阪ドームの名前になっちゃったのにもなーんかなぁといまだに納得がいきません。

◆タイガースにとって名古屋は相性の悪い球場

「ネーミングライツ」に話題をそらしましたが、問題は「バンテリンドーム」です。どうしてあんなに交通が不便な場所に作ったのか?と完成直後から地元名古屋でも悪評高かったんです。あの場所は球場近くにバスかモノレールかわからない「ゆとりーとライン」(ひらがなと、かたかなを織り交ぜた語感がいかにも名古屋っぽいです)なる交通機関が駅を設置していますが、最寄りの主要駅はJR大曽根です。徒歩で15分はかかりますよ!(怒るところではないか?)甲子園とはえらい違いですわ。

だからなのか、関係ないのか、とにかく阪神タイガースにとって名古屋はめちゃくちゃに相性の悪い球場だということは、阪神タイガースファンならご存知でしょう。2021年までナゴヤドームでの戦績、300試合中106勝187敗です。きのうのゲームについてご紹介する前に、2006年、当時41歳だった山本昌にノーヒットノーランを食らっていることも思い出しておきましょう。130キロも出ないストレートは球場で見ていたら、わたしでもバットに当たりそうなのに、なにをしとんねん!と怒鳴りまくった記憶があります。

そして、試合前から悪い予感がしたのがきのうの試合です。中日は今シーズンは調子は万全とは言えないものの、大黒柱の大野雄、阪神も昨年の最多勝、今年もすでに3勝を挙げている青柳が予告先発でした。当然投手戦が予想されるわけですが、わたしたちの頭にはつい最近、完全試合を達成しただけではなく、危うく2試合連続の完全試合を完成しかけた、怪物・佐々木朗希投手のピッチングとあの驚愕の残像が消えてはいないのです。

甲子園球場周辺

◆阪神苦戦を予想させる警鐘

偶然でしょうがこの日も佐々木投手はソフトバンク戦に先発し、初回からほぼ160キロ超えのストレートでどんどん押していました。結果佐々木投手降板後にロッテは逆転負けを喫しましたが、佐々木投手が槇原投手以来達成した完全試合が、「バンテリンドーム」悲劇と関係はないものの、阪神苦戦を予想させる警鐘ではあったようです。前回も登場していただいた元監督のO氏は、

「名古屋はね、マウンドが固いんよね。うん。ピッチャーがスパイクで掘ろうとしても掘れないんよ。おお。せやからね甲子園なんかとマウンドの感覚が全然違うでしょ。それでやられてまうんやね。おーん。俺が監督やった年かな。あんまり勝てへんから三塁側に土の硬いマウンド造らせたんよ。名古屋のマウンドに合わせるためですよ。そしたらそれから結構勝てるようになったしな。うんうん。けどね、あそこは投手有利な球場やね。東京ドームみたいに上の方で風は吹いてへんからね。せやから中日は長いこと調子よかったでしょ。落合が監督やっとるころとか。ああいう野球やったら名古屋をホームにしてたらそりゃ有利ですよ。うんうん。年間半分は自分とこで試合すんねんからね」

意外に知られていませんでしたがナゴヤドームは、マウンドの硬さに他球団が手こずる原因があったようです。たしかに阪神タイガースだけではなく巨人を除いてセリーグの他の球団はすべてナゴヤドームでは負け越しているそうです。

にしても延長10回まで完全試合をやられるほどに打てないのは、いくら大野投手の出来が良くても阪神ファンは納得しないでしょう。阪神OB会長のKさんに聞きました。

「完全試合がなんぼのもんじゃい!え?仮にやで1対0で負けても、10対9で負けても、負けは負け、勝ちは勝ち。そういうことちゃうんか!たしかにことしのタイガース見とると、まあ、ワシにいわしても、ええことはないわな。これは正直結果に出とるもん。せやけどや、1年、シーズンは何試合あるんやと?いま何試合目ですか、とワシは聞きたいよ。え?まだ35試合じゃないか。あとどんだけ残っとんねん? 108試合やで!そんな時期にあれがどうしたこうした言うて、ごちゃごちゃぬかすな!いうことや。まあワシに言わせればやで。負けたもんはしゃーないやんか。もう終わったことをごちゃごちゃぬかしとったらあかん!今日の試合をどうするのか、な! これからどう戦うのか。これだけ考えとったらええねん。ワシかて生涯で211本ヒット打ってる男や。日本におるときイチローの年間最高安打数より1本多いの、おまえ知っとるか?どーせ将来イチローのような選手が出てくるやろうと。予想して生涯安打を211本にしといたんや。まあ、これはここだけの話やけど。それくらいの余裕をもって、見るもんも見ていかなあかんのちゃうか。細かいことをごちゃごちゃぬかすな、いうことや」

いっぽう数多くの伝説を持つ元名投手Eさんは別の見方です。

「日本ハムが新庄君を監督にすえてね。BIG BOSSだと。色々パフォーマスも含めて今の成績というのは、ある意味仕方がない。1年だけを見ているわけじゃないんだから。栗山監督が大谷君を育てたり、北海道にしっかりとね日本ハム、それも常に優勝争いに加わるチームに育て上げたのは大きな功績だと思いますよね。でも、阪神の場合はちょっと事情が違うんやないかと思いますよ。たしかに去年40セーブを上げたスアレスが抜けたのは大きいですね。これは誰が見てもわかる。けれども先発陣のやりくりはできるはずですよね。青柳君はもちろんだけど、伊藤君というね、去年新人離れした度胸を見せてくれた戦力も加わったんだし、岩崎君も当然。それから実績充分の西君。西君(西勇)の親戚で去年がんばった西君(西純矢)。それから肘を痛めてしまって今シーズンは無理だけど高橋君。もう何年も課題の藤波君。そこに外国人が絡んでくるわけですから、先発中継ぎ、抑えも足らないはずはないと思いますね。そうなるとベンチワークがどう機能しているか。伊藤君が完投・完封まであと一人までいった試合がありましたよね。4月6日の横浜戦。あそこは通常なら当然続投です。あと一人なんだから。だけれども出塁を許した時点で、その試合だけを見るのではなくて今シーズンの先を見る判断は、あったんじゃないか、と思いますよね。結果論といえばそうなるのかもしれないけれども、あそこ岩貞君に変える勇気がベンチにあるかどうか。そのあたりがいまの結果に結びついているんじゃないでしょうかね」

さあ、ゴールデンウィークも終わっていよいよ平常運転に戻ります。阪神タイガースも阪神電車のようにダイヤに遅れることない状態に早く戻ってほしいところです。(つづく)

甲子園球場周辺

▼伊藤太郎(いとう・たろう)
仮名のような名前ながら本名とのウワサ。何事も一流になれないものの、なにをやらしても合格点には達する恵まれた場当たり人生もまもなく50年。言語能力に長けており、数か国語と各地の方言を駆使する。趣味は昼寝。

おかげさまで創刊200号! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年6月号

みなさんお待たせいたしました! 新連載「阪神タイガースはどうなってるの?」をきょうから担当させていただく、取材班の伊藤です。私はキャリアの長い阪神タイガースファンですが、「阪神タイガースはどうなってるの?」では阪神ファン・アンチ阪神どちらの方にも興味を持ってもらえる企画を目指しています。

甲子園の歓声が聞こえる出版社は、全国広しといえども鹿砦社しかありません。選手や解説者、マスコミ関係者たちが通う飲食店も取材班はよーく知っています。立地を生かしてデイリースポーツでも知らないコアな情報をお伝えしてゆきます! 乞うご期待! そして、有名解説者も名前を伏せて登場を承諾いただいていますので、解説陣にもご注目を!

鹿砦社本社から眺める甲子園球場

◆予想されていた2022年阪神の苦戦

この、デジタル鹿砦社通信は社会問題などを中心に、硬派の記事が多いようです(日曜に掲載が多い堀田春樹さんの格闘技記事を除いて)ね。ロシアのウクライナ侵攻やコロナなど、「阪神タイガースのこと気にしてる場合か?」のお声も聞こえそうですが、とにかく阪神タイガースです!

今年の阪神、開幕から恐ろしいほどの連敗続きでした。4月24日の時点では4勝20敗1分。勝率が0.167、これが先発投手陣の防御率ならうれしいのですが、はっきり言って絶対的最下位でした。昨年ゲーム差なしの悔しい2位(あと1ゲーム勝っていたら優勝)からクライマックスシリーズでの敗戦で、風船がしぼんだ印象を受けたファンも多かったのではないでしょう。

そうなんです。2022年阪神の大不振の原因は昨年後半の戦いからすでに予想はされていました。

昨年FA権を取得した梅野捕手は、去就が注目されていました。というのも、盗塁阻止率リーグトップなのに、打撃の調子は落ちたとはいえ、後半の大事な試合で先発起用がなくなったのは、ファンならご存知でしょう。かわって坂本がマスクをかぶったわけです。

取材班の得た情報では、梅野が去年FA権を行使する可能性は五分五分でした。矢野監督は攻撃型の捕手よりも、守りに徹する捕手を重用するという情報は、関係者の間で有名でしたが、それにしても得点圏打率3割以上、盗塁阻止率セリーグ1位の梅野がFA宣言を控えた時期に、あえて先発を外す起用法には解説者からも疑問の声が上がりました。

甲子園のある西宮市で高校野球名門校出身の現タレント兼解説者は、「去年の後半ね矢野監督、なにを考えてるんやろうというのは正直思ったね。俺が梅ちゃんやったら出てるわな。だってあれだけ数字残して、日本代表にまで選ばれて、オリンピックで金メダルでしょ。優勝かかっている試合で先発外されたら『えっ?おれちゃうの?』やんか。球団の意向か矢野監督の判断かはわかんけど、(阪神を)出たほうがええって、テレビでもラジオでも俺は言うたしね。今年坂本キャプテンやんか。選手会長は大山で。役割がようわからへんねんけど、梅野がやる気を削がれるのはわかるよな。で、矢野監督は梅野と坂本併用を続けてるけど、この成績でしょ。わからんね。なにを考えているんか」

試合開催の日にはごった返す阪神甲子園駅(西口)

捕手は守りのかなめで、配球の主導権を握る存在だけに勝敗への関与も大きいポジションです。かつて阪神タイガースで監督を経験したこともあるO氏は言います。

「キャッチャーには打撃期待してなかったね。うんうん。キャッチャーと、セカンドショートは打たんでもええと。ねえ。守ってくれたらええと、俺は思っとった。まあね、城島とかトリ(鳥谷)とかね、打撃のいい選手は助かりますよ。けどね、基本クリンナップで得点するもんやんか。うんうん。だからね、今年の阪神はね、四番を決めるべきよ。うん。佐藤でええやん。俺やったら絶対そうするな。うん。それから四番の守備位置は固定せなあかんね。佐藤はサードでええやん。キャンプでも見たけど、佐藤のサードはうまいよ。ライトなんかやらせんでええねん。大山は打球処理が引っかかる(ファーストへの投球ミス)ときがあるからな。ファーストでええんよ。そないしたら近本センターで、糸井ライトで、もう一人外国人や調子のいい選手をライトに使えるやんか。それをなんで佐藤をね、2番に持ってきたり、ライト守らすか。わからんよね。」

先発メンバーの打撃成績は昨年に比しても決して数字が悪いわけではありません。でも、O氏が指摘された通り、敗戦続きのためか先発メンバーと打順が固定されず、浮足立っている感はたしかに否めません。

では攻撃面で現状をどう打開すればいいのでしょうか。やはり阪神タイガースで二軍監督の経験もあるK氏に伺いました。

「矢野監督のですね、シーズン前の引退宣言。あれはどうだったんだろうと思いますね。ええ、ええ。選手というのははっきり言いますが、試合に入ったら、コーチなんか見ていません。試合はじまったらサインは見ますが、見ているのは監督だけ。僕もそうでしたし。ええ、ええ。そのいわば大黒柱というか、中心の人が『俺今年でいなくなるよ』と。矢野監督はもちろん選手の奮起を期待して、考えに考え抜いて発言したんでしょう。でもですよ、じゃあ、あの発言を聞いた選手はどうなるかといえば、『今年は絶対落とせないぞ』と感じるのは当然でしょ? これは野球じゃなくてもそうだと思うんですが、僕に言わせると悪い意味でのプレッシャーがかかちゃった。まだ途中ですから、結論めいたことを言うのは早いにしても。いま阪神の選手は、矢野監督の『引退呪縛』といますか、あのプレッシャーから抜け出せていないですよ。矢野監督自身を含めて。ええ、ええ」

と、マイナス材料ばかりうかがった直後、阪神の反撃がはじまりました。5月1日時点では、これまで想像もできなかった破竹の6連勝で、10勝20敗分まで持ち直しています。さて、エース青柳がコロナから復帰して勝利が転がってくるようになったものの、この勢いは本物なのか、それとも開幕当初の不振が本当の姿なのか? 引き続き続報をお伝えしてゆきます。次回をお楽しみに!

甲子園駅を出たところにあるローソン。甲子園ではローソンも「甲子園色」に

▼伊藤太郎(いとう・たろう)
仮名のような名前ながら本名とのウワサ。何事も一流になれないものの、なにをやらしても合格点には達する恵まれた場当たり人生もまもなく50年。言語能力に長けており、数か国語と各地の方言を駆使する。趣味は昼寝。

『紙の爆弾』と『季節』──今こそ鹿砦社の雑誌を定期購読で!

円楽師匠が、最後に「じじい! 早すぎるんだよ!」と締めたのは、きっと日曜の夕刻少なくないファンの涙を誘ったことでしょう。『笑点』の大喜利に回答者、司会として半世紀出演した桂歌丸師匠が亡くなりました。


◎[参考動画]スッキリ 「歌丸さんありがとう追悼大喜利」 円楽「ジジイ!!早すぎるんだよ」言った後涙。(報道チャンネル2018/07/08に公開)

今度は本当に亡くなりました。

数カ月前に「体重37キロでいまは医者から40キロになるように言われています」と歌丸師匠の悲痛なコメントを聞いた時に「ヒェッーこれシャレにならないよ」と笑うに笑えなかったのですが、もうステージの上では何回も死んでいる(殺されている)歌丸師匠のことですから、まあ何があってもこの方はこうやって長生きするんだろうなーって安心していたら、本当に亡くなってしましました。

『笑点』が一時代の区切りを超えたということでしょうか。落語や落語家が好きな私にとって、歌丸師匠の旅立ちは、落語界や演芸への警鐘のようにも思えます。『笑点』の大喜利も正直なところ、下降線の一途じゃないでしょうか。極めつけは「親の七光り」の実力も、才能もない林家三平(2代目の起用です。残念ですが先代の三平さんと2代目は、比べ物になりません。もっといえば、三平の兄弟には誰ひとりとして初代三平さんに並ぶ力のある子供はいません。才能も適正もないんです。あの目を見てください。必死で「どうやったら笑ってもらえるか」と苦悩し、内心「自分がつまらない」ことをわかっていながら、面白くもない芸を続けている気の毒な姿を。

初代三平さんの落語は、古典落語とは全然違って、ギャグの連発でした。あれは落語ではなかったという人もいるほどです。でも落語であろうが、邪道であろうが、三平さんは観客を笑わせずにはいられない性分でした。生前からネタの研究には、人一倍熱心だったことは有名でした。でも三平さんはアドリブだけでも1時間は一人で観客を笑わせる芸(天性?)を持っていました。

あんなのは古典落語の世界から見れば、「とんでもねぇやつ」となったでしょう。軽薄にもみえたし、ときどきツボを外した時は、観客も前のめりで、笑えると思っていたら、どこがオチかわからなくなって、ずっこけそうになる時がありました。が、三平さんはすかさず、右の掌をこめかみあたりにもっていって「どうも、すみません。本当に大変なんですから。ね。おばあちゃん、体だけには気をつけてくださいよ」で乗り切ってしまうのです。

ストーリーなんかまったくなくて、ギャグの連発。三平さんは「軽薄」だったかもしれないけど東京医大の裏口入学、じゃなくて偉大でした(どーもすみません)。

 

CD-BOX『桂歌丸 名席集』(ポニーキャニオン2018年)

楽太郎時代から頭の回転や話芸にも、非凡さを発揮していた円楽師匠。円楽師匠による歌丸師匠への無礼講「殺し」芸はどれくらいあったでしょうか。愛がなければただの悪口で後味が悪い、本当の病人(歌丸師匠)に対する、辛辣な円楽師匠の「殺し」話術。あれはなかなかまねできるものではないと思います。円楽師匠ももう70歳近いそうで、数年前に得度されたのだそうです。どっちもびっくりですがテレビの前で大笑いできる時代がいよいよ終わるのかなぁとちょっと寂しくもあります。

吉本新喜劇もなんだか泥臭さがなくなったし、中途半端なお笑い芸人はピン(ひとり)で間が持たないから10人まとめてひな壇芸人になったり、何を勘違いしているのか情報番組の司会やコメンテーターになったり。岡八朗や花紀京が腹巻をして演技をしていた頃の、安心感はもうなくなってしまったようです。いまあの頃の舞台は、もう演じられない諸事情もあるのでしょうけれども。

話芸には修行や積み重ねが必要でしょうが、笑いを引き起すのは、つまるところ人格なんじゃないかと思います。亡き横山やすし師匠は台本なくても、いつでも予想外に笑わせてくれました。泥酔して久米宏の番組にでたり、本当に競艇で船に乗ったり、選挙に出て予定通りに落選したり……。相方の西川きよし師匠が上品な人生をおくるのとは対極に、わずか50歳過ぎで亡くなりました。

あっ、話がそれましたね。『笑点』でしたね。歌丸師匠唯一にして最大の失敗は、司会の後継に昇太師匠を指名したことかもしれません。これまた残念ですが、昇太師匠には「話芸」の才はあるかもしれないけれども、大喜利のような生の空間で「笑い」を下支えしり、自分がネタにされたりする機転はありません。絶妙の一言や、「間(ま)」は修行や勉強をして身につくものではないんじゃないかと思います。

最初の頃みんな勘違いして笑っていましたが北野武なんかも、実は生理的に笑いが取れる人間じゃないんじゃないかと思います。なんだか偉そうに人生論を語ったり、映画を撮ったりしてるけど、それって笑いが取れないからってことじゃないですか? なんて言ったらまた怒られそうですね。予想を超えるツボに来る笑いや、ちょっと危険な笑いにときどき腹を抱えて笑っていたのは、もうだいぶ昔の話なんですね。

いけねぇ。しんみりしちゃった。最後に。

「梅雨明け宣言」とかけて、占い師と解く、

その心は?

「当たったためしがありません」

おあとがよろしいようで。


◎[参考動画]永久保存版『落語家:桂歌丸の名人芸』(Honey Bee チャンネル2018/07/07公開)

▼伊藤太郎(いとう・たろう)

月刊『紙の爆弾』8月号!


◎[参考動画]Allstars & Davichi 다비치 – Fly Day (Pyeongchang 2018 Song)

 

PyeongChang 2018

平昌オリンピックが終わりました。日本は冬季オリンピックでは過去最高、長野オリンピックを超える13個のメダルを獲得しました。いやー選手の皆さんご苦労様でした。そして感動的なシーンがたくさんありましたね。

フィギュアスケートの羽生結弦選手は、66年ぶりに男子シングルで2大会続けての金メダル! だけじゃなくて銀メダルも宇野昌磨選手! 女子のシングルでも宮原知子選手が自己最高スコアを出して、見事4位入賞! 金、銀はロシアの選手でしたが、フィギュアスケートの上位にこれだけ日本勢が食い込むのはやっぱり快挙ですよね。

スケートといえば、スピードスケートも大活躍でした。高木美帆選手は金、銀、銅メダルを揃えちゃったし、お姉さんの高木菜那選手は金メダルを二つも取りました。美帆選手に注目が集まる中、菜那選手が参加した、マススタートレースの読みがぴたりと当たり、最終コーナーから直線に入って一気の逃げ。あれが競馬場だったらはずれ馬券が宙をまったでしょうが、パシュートで過酷な練習を続けていた菜那選手にとっては、予定通りのレース展開でしたね。

パシュートといえば、高木姉妹に佐藤綾乃、菊池彩花両選手を加えて、最高のパフォーマンスを見せてくれました。予選のスタートでやや失敗気味だった佐藤選手を準決勝では温存して、菊池選手が準決勝を戦いました。決勝では予定通り佐藤選手が再び加わり、五輪新記録の見事な優勝でした。小平奈緒選手は1000mでは数回バランスを崩しましたが、それで銀メダル。500mでは試合用のサングラスと練習用のサングラスをかけ間違えるも、レースは完璧で圧倒的な強さを見せつけました。

スピードスケートは実力を発揮できるかどうか、が勝負の分かれ目で、ミスをせずに力を出し切れた選手には結果がついてきた、といえますね。

ところで、同じスケートでもちょっと偶然や、運不運が勝負を分けるのがショートトラックです。今大会日本勢では坂爪亮介選手だけが、ツイていました。坂爪選手、五輪はソチに次いで2度目ですが、前回は五輪前に大怪我をしたので、まったく力を出せませんでした。ショートトラックは圧倒的に韓国が強いので、坂爪選手ら日本の選手はしょっちゅう韓国にトレーニングに出かけます。今回参加した高校生の吉永一貴選手も、頻繁に韓国でトレーニングを積んでいます。

実は坂爪選手は1000mで5位、500mで8位に入賞しましたが、これほとんど「運」が味方した結果でした。ショートトラックは、接触や転倒が多い競技なので、転倒したり、邪魔されたと審判がジャッジした選手は競技で負けても、次のラウンドに進むことができます。次に進むことができた選手は「アドバンス」を得たと呼ばれ、逆に妨害した選手は「ペナルティー」(失格)となります。

個人競技で坂爪選手はこの大会で、アドバンスや、先行する選手の転倒や「ペナルティー」といった「たなぼた」で入賞を果たしました。逆に活躍が期待された5000mリレーでは予選、順位決定戦ともに転倒! 健闘していた横山大希選手は、レース後のインタビューで顔を隠して話すこともできないほどでした(みなさんショートトラックなんかあまり見ていないから知らないでしょう?)。

複合の渡部暁斗選手は、五輪前に肋骨を骨折して、現地入りしてからも3日ほどは体も動かせないほどの重症だったと競技後に語りました。そんな体調で複合のNH(ノーマルヒル)で銀メダルを獲得したのには本当に頭が下がりますね。一流選手は結果が求められますが、それを不利な体調でも果たした渡部暁斗選手の精神力には、脱帽です。

逆にマスコミもノーマークだったのが、フリースタイルスキー男子モーグルで銅メダルに輝いた原大智選手でしょう。応援に来ていたお母さんが「調子が悪いから予選が通過できるかどうか心配で……」と話していたほどですから。原選手もアジア大会での銀メダルの経験はあってもワールドカップでの表彰台経験はなし。余計な力が入らずに滑ることができたのでしょう。この種目で長年活躍した(けども五輪のメダルには縁のなかった)上村愛子さんがNHKの放送で、表情でははっきりびっくりしていましたもんね。

「うん。あのさーこっちでもいい、とおもうんだよねー」「そだね」「いっかー?」「うん」
すっかり軽やかな打ち合わせ(?)の言葉遣いが有名になった女子カーリング。見事な銅メダルでした。三位決定戦最後の1投をイギリスのスキップ、ミュアヘッドさんが投げた瞬間「え! なんでそのラインと重量なの?」と体を乗り出してしまいました。あのシーンではあんな早いストーンではなく、左側ガードの間を抜けてNO.1を取りに来るのが定石だと思ったからです。なのにあんなに早い石を投げたらリスキーすぎる。

逆に言えば、あの瞬間日本の勝利を確信しました。どうしてあのショットを選択したのか?「五輪に住んでいる魔物」のためでしょうか。カーリングチームは全員が「LS北見」所属ですが藤澤五月選手は以前「中部電力」に所属していた時期もありました。もし「中部電力」のチームで出場していたら、ここまで応援が盛り上がったかどうか…。JAは銅メダル獲得を祝って「コメ100俵」をプレゼントすることにしたそうです。

賑やかなうちに平昌五輪は幕をとじました。日本と時差がなく、移動にも時間がかからない。日本食にも不自由しないし、ホーム開催ではないので、過剰な緊張も強いられない。しかも応援団が駆けつけるのも旅費が安くて済みます。かえって日本で開催された五輪より、選手たちはプレッシャーを感じることなく、伸び伸び競技に集中できたかもしれませんね。そう考えると韓国での五輪は日本勢にとっては有利な開催場所であったともいえるでしょう。

華やかな五輪が終わりました。感動をたくさんくれた選手たちに感謝です!


◎[参考動画]Alina Zagitova 23.02.2018

▼伊藤太郎(いとう・たろう)

おかげさまで150号!衝撃の『紙の爆弾』3月号!

猪飼剛先生(医療法人社団 湖光会 若草診療所HPより)

「伊藤さん、2診へどうぞ」
猪飼剛先生は定刻の診察時間開始前に診療所に到着して、要領よく患者さんの診察をして下さる先生でした。若草診療所の午前の診療時開始は8時40分ですが、たいてい猪飼先生は8時30分前には診療所にやってきて(早い時には8時15分頃に)、待合室の患者さんの名前を呼んでくれました。猪飼先生は診療所に毎日のように勤務されていましたが、いつも診察室は2診で、1診には曜日ごとに別の先生が待機されていました。

午前診察終了時刻の12時過ぎでも、容体が悪い患者から電話で連絡が入ると、嫌がることなく「時間外でもいいから連れてきてください」とこころよく応じてくださいました。そのおかげで、のんびりしていたら生命にかかわる重篤な患者さんが、何人も救命されたことは、地元ではよく知られていました。報道で68歳と知りましたが、お世話になりだしたころから、下半身がしっかりしていてお元気な姿は、運動を欠かさない生活に秘訣があったのでしょう。

 

滋賀県医師会長の親子、スキー場で遭難 新潟(2018年1月25日付朝日新聞)

雪の激しい新潟県のスキー場で、猪飼先生がご子息と遭難され、亡くなってしまった。そうとは知らずにいつも通りに若草診療所へ受診に訪れていたわたしは、なぜだか表情のさえない受付の女性たちが気にはなっていましたが、まさかそんな惨事に猪飼先生が見舞われているとは知りませんでした。待合室の患者さんのなかには小声で「これからどないなるんやろうね」、「ここにしか通ってないから今さらほか行かれへん」と話す人もいたのですが、それが猪飼先生の遭難事故のことを意味するとは想像もできませんでした。

1月25日の若草診療所には、なんの貼り紙も掲示もなく、いつもよりちょっと少ない患者さんが普段通り待合室に集っていました。医療法人社団湖光会と建物には書かれていますが、長年お世話になった感覚からすると、若草診療所は猪飼先生と外科の先生だけが専任で、他の先生方は曜日によって診察を受け持つ先生です。診療所の経営にはかかわっていないように思えます。本当にこれからどうなるのかなと不安になります。

それよりも、つい最近まで元気毎日のように診察をこなしていた、猪飼先生が亡くなったことが、現実のようには思えません。昨年の12月は何度も診察や相談でお世話になり、いつも的確に「はい、ほな、そうしましょう。しばらくこの薬で様子見て、また効かんようやったら来てください」とお顔をあわしていましたが、事故にあわれたのが嘘のようです。報道によればお子さんと一緒に遭難されて亡くなったようですが、この地域のたくさんの人たちが、驚き、落胆し、猪飼先生のご逝去を悼んでいることでしょう。御不幸を知ってから猪飼先生が滋賀県の医師会会長であったことを知りました。たいそうご多忙な中で、毎日診察と医師会会長のお仕事をこなしておられたのでしょう。

もうだいぶ前になりますが、知人が入院手術をしなければならなくなり、猪飼先生にその病院の評価を伺いに行ったことがありました。「院長はあかん。あの人は金儲けしか考えてへんから。でもお医者さんはみなさん真面目な人ですよ。うん。だから心配せんでもええですわ」と、ある総合病院のことを教えて頂きました。アドバイスにしたがって、知人はその総合病院に入院し、無事回復しました。気さくで隠し立てしない性格は、看護師さんに厳しいこともあったかもしれません(あくまでも想像です)。

患者にしたら、具合の悪さをしっかり聞いていただけて、素早く柔軟な対応をしていただけるお医者さんでした。早すぎる、そしてお気の毒すぎるご不幸がくれぐれも残念です。これまで猛烈にお仕事をなさった猪飼先生、安らかにお休みください。

▼伊藤太郎(いとう・たろう)


◎[参考動画]新潟のスキー客親子捜索難航 2人と連絡つかず(ANNnewsCH2018年1月25日公開)


◎[参考動画]スキー場で心肺停止の男性2人発見 救助が難航(ANNnewsCH2018年1月26日公開)

2018年もタブーなし!月刊『紙の爆弾』2月号【特集】2018年、状況を変える

 

毎日、毎日アメリカと北朝鮮の緊張を伝えるニュースがひっきりなしに伝わります。アメリカは「あらゆる手段を排除しない」とか北朝鮮は「核攻撃には核兵器で応じる」など、文字だけを追って行けば、戦争直前のようなキナ臭いことばが行き交っています。だからといって日本政府が北朝鮮への「説得」や「外交戦術」に出る気配は一向にありません。あいも変わらず「対話と圧力」を繰り返すばかりの安倍総理。第二次安倍政権が発足してから、北朝鮮と「対話」をしたことがあったでしょうか。「拉致問題の解決に全力であたる」と繰り返していますが、「対話と圧力」の内実は「圧力に次ぐ圧力」で、それこそ封じ込められ「圧力釜」のように内圧が上がった北朝鮮の、暴発を、まさか内心期待したりしていないでしょうね。

現在書店で販売中、『紙の爆弾』5月号の特集は「私たちの『権利』を確認する」です。特集の紹介分は以下の書き出しからはじまります。

私たちには「人権」がある。言うまでもないことだが、ならば、私たちの人権は守られているだろうか。それに基づく「権利」は侵害されていないだろうか。社会で差別に出会ったり、職場で不当な扱いをされたりすれば、人権侵害を意識し、時に告発を行う。いまだに差別はなくならないし、搾取はあちこちで行われており、明らかに解決すべき課題である(後略)。

鹿砦社はいつから岩波書店のような「模範生」になったのか、と目をこすって、もう一度読み返したくなる文章です。『紙の爆弾』のサブタイトルは、表紙に小さな赤い文字書かれている「タブーなきラディカルスキャンダルマガジン」です。ほんとうは読者が「これちょっとな……」と時には顔をそむけるような暴露記事やスキャンダルを、満載したいはずです。でもどうですか。この真っ当なラインナップ。

●政治の「契約違反」にNOを 国家に異議を唱える権利 
 松村比奈子(首都大学非常勤講師組合委員長)に聞く
●高額供託金・運動規制「自由な選挙」を追求する 林克明
●権力による情報統制で進む「笑顔のファシズム」 本間龍
●ヨーロッパから見た自民党の「憲法改正草案」  広岡裕児
●捜査 裁判 報道以上の人権侵害 最高裁での逆転無罪の2冤罪事件 片岡健
●〝福祉行政”の魂胆が垣間見える 自治体「人権担当」という仕事 三谷誠
●「戦争絶滅受け合い法」制定のすすめ まず総理から前線へ!  佐藤雅彦

いつからこんなに硬派になったんでしょうか?(もちろん東陽片岡さんの「シアワセのイイ気持ち道講座」、エロイ重里さんの「風俗広告代理店マンの営業日誌」や読者から人気が高い、村田らむさん「キラメキ☆東京漂流記」やマッドアマノさんの「世界を裏から見てみよう」も健在ですが)

さらには、≪森友学園「国有地払い下げ」"8億円減額”詐欺行為の全貌 悪い奴らを眠らせるな!青木泰≫と続きます。

ジャーナリストの田中龍作さんや音楽家の三枝成彰さんが「本当のことが知りたければ『紙の爆弾』を読みましょう」と言われたことがあります。あれは冗談半分かと思っていましたが、いまや本当になりました。最近の『紙の爆弾』(私たちは「紙爆」と呼びます)は、毎号目が離せません。大手新聞社の記者に聞くと「『WILL』や『正論』は読まないけど、『紙爆』は必ず読んでいますよ」という人が多いのも、なるほどとうなずけます。

でも、『紙の爆弾』は「タブーなきラディカルスキャンダルマガジン」の基本姿勢を修正したのではなくて、世の中が「一見真っ当なようなスキャンダル」だらけになってきたと言うべきでしょうか。これだけ閣僚がボロボロになっても誰も辞任しないし、更迭されることはありません。おかしな世の中です。

5月号では≪〝籠池爆弾”で大揺れ 安倍政権「崩壊」と「その後」を予想する 朝霞唯夫≫や、≪米軍基地反対運動中に不当逮捕、五ヵ月の長期勾留から保釈 沖縄取材班≫とカバー範囲の広さが印象的です。今の『紙爆』は80年代後半の弛緩した時代の『朝日ジャーナル』より硬派かもしれません。ぜひご一読くださいね。

(伊藤太郎)

※『紙の爆弾』編集部からの訂正とお詫び
《米軍基地反対運動中に不当逮捕、五ヵ月の長期勾留から保釈 沖縄取材班》の本文中に誤りがありました。112ページ下段5-6行目「正和さん夫妻と博治さんの奥さん」とすべきところ、「正和さん夫妻と博治さん」と表記しておりました。お詫びして訂正いたします。

『紙の爆弾』タブーなし!の愚直なスキャンダルマガジン

 

2011年3月11日から6年が経過した。あの日がなければ『NO NUKES voice』は発行される必要があっても、実際に世に出ることはなかったであろう。いま私たちは確実に核種が膨大に飛散し汚染された国土で生活をしている。そのことはとりもなおさず、日々人間だけではなく、動植物が「被曝」していることを意味する。原子力=核の問題根源は「被曝」だ。「被曝」が動植物の遺伝子を破壊しその健康状態や生命に悪影響を及ぼすから、「原子力=核」は極めて危険であり、生物が生きることと相いれないのだ(自然放射線はどうなんだ? という愚問は横に置く)。

◆「被曝」への危機感の薄さに苛立つ

「そんなことは知っている」と言われる向きもあろうが、実はなかなか理解されていない。悔しいけれども『NO NUKES voice』の認知度と変わらないほどに一般社会では「被曝」についての危機感が薄い。反・脱原発運動にかかわる人の中にすら、被曝問題を軽視する方もいる。専門家が何千回と警告を発し、原爆をはじめとする核災害の被害者が体を示してその恐ろしさと危険を示しても、まだ、本当の恐怖を理解してもらえない。

そうであれば仕方ない。この際、腕力で「被曝」の恐ろしさを知っていただこう。

腕力ではなかった。格闘技と表現せねば正確ではない。明日15日発売の『NO NUKES voice』には格闘家、前田日明さんが登場し、「被曝」の危険性から、少子化問題をはじめとする現代社会の諸問題、サンフランシスコ講和条約の欺瞞にまで踏み込んで読者にマウントポジションから遠慮のないパンチをぶつける。題して「日本国メルトダウン──原発を止められないこの国を変えるために」だ。

◆前田日明によるタブーなき場外乱闘「原発論」

前田さんは知る人ぞ知る読書家であり、歴史にも造詣が深い。そして独自の世界観を確立されている。前田さんのご意見は本誌編集部の歴史観や政治観と必ずしも多くの部分が重なるわけではない。だからこそ本誌編集部は前田さんが本音を語っていただいたことに深い感謝を感じるのである。われわれは多様な意見を尊重しながら、反原発の立場から脱原発を実現したいと思う。『NO NUKES voice』に前田さんがご登場いただいた意義が大きいのは、言論の多様性をわれわれが実践したいとの思いが伝わったからだと信じたい。われわれは前田さんの主張が批判を含め議論を喚起することを期待する。原発賛成の方にとっても必読のインタビューだ。

◆前田日明は「暗黙の掟」を破って本気の蹴りをさく裂させた

何年前になるだろうか。前田さんが新日本プロレスの若手として台頭していたころの姿を思い出す。新日本プロレスではアントニオ猪木が負けてはならず、全日本プロレスではジャイアント馬場が時に負けてもPWFのベルトだけは手放さない。これが見る側の常識とプロレス界の黙約であった。観客の本音は血を見たいくせに、最後は勝者が決まっている、いわば大掛かりな肉体演劇。タイガージェットシンがサーベルを持ってリングに上がれば、あの鋭い剣先で相手を刺せば良いものを、シンはサーベルの持ち手の部分で相手の顔面を殴ることしかしない。
「なんで刺さないの?」と親に聞いたら、
「本当に刺したら死んじゃうじゃない」
と至極真っ当ながら、子供にすればどこか興ざめな「解説」をしてもらった記憶がある。

ボボ・ブラジル(リングネームからはブラジル出身レスラーのように思えるが実はアメリカ国籍)は花束贈呈役、着物姿の女性から花束をむしり取ると花束を食べだす。なんたる野蛮で怖い人間がいるものか、と本気で恐怖にかられてけれども、あれも「演技」だった。アブドラザ・ブッチャーは白いズボンの中に先の「尖っていない」凶器を潜ませていた。レフェリーは見えているのに見えないふりをする。

子供心に「世の中は、ああそういうものか」と、当時のプロレスはある種の社会教育の役割も果たしてくれていたのだ。

ところが相手レスラーが誰であったかは忘れたが、まだ当時売り出し中の前田さんが「暗黙の掟」を破って本気の蹴りを相手の顔にさく裂させたことがある。格闘技好きにはたまないシーンのはずなのだが、テレビを見ているこちらがヒヤッとした。鍛え抜かれた人間の本気の蹴りと演技くらいは毎週二回プロレス中継をテレビで見ているだけの子供にでもわかる。

◆前田日明の蹴りには「怒り」こそあれ、「演技」は微塵もなかった

前田さんの蹴りには「怒り」こそあれ、「演技」は微塵もなかった。あれは当時のプロレスにあっては絶対にご法度(少なくとも見る側にとっては)の本気の蹴り、いわば「世の中はうそだ!」と言わんばかりの暴露にも近い衝撃を与える事件だった。

その「予定調和」を崩した若き日の前田さんは、のちに総合格闘技に転じるが、「予定調和崩し」の迫力がここに再現される。前田さんの「世界観」を存分にご堪能いただきたい。

[文]伊藤太郎 [写真]大宮浩平

『NO NUKES voice』11号3月15日発売開始!

前の記事を読む »