12.8「とめよう! 原発依存社会への暴走 関電包囲大集会」に約700人が結集 木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会) 

◆「原発依存社会」に向かって暴走する政府と電力会社

原発は、現在科学技術で制御できる装置ではありません。原発は、冷却水を失えば暴走し、過酷事故に至ります。過酷事故の被害は甚大で、長期におよびます。人の命と生業を脅かします。

また、原発は、地震に脆弱で、大地震と過酷事故が重なれば、避難も屋内退避も困難を極めることを、能登半島地震が再認識させました。地震多発の日本に、原発はあってはなりません。

それでも、政府、電力会社は「原発依存社会」に向かって暴走しています。人の命と尊厳を蔑ろにした暴走です。

自公政権は、原発推進法(いわゆる「GX束ね法」)の実態化のために、「原発の最大限活用」を謳う第7次エネルギー基本計画の策定を進めています。既存原発の再稼働、40年超え運転をさらに進め、60年超え運転も拡大し、原発建て替え、新設も俎上に上らせようとしています。

一方、電力会社と政府は、加圧水型原発に続いて、沸騰水型原発・女川2号機(東北電力)、島根2号機(中国電力)まで再稼働させました(それぞれ、10月29日、12月7日)。

その中で、政府の尖兵・関西電力は、危険度急増の老朽原発への依存経営にのめり込んでいます。

老朽原発では、交換不可能な圧力容器の脆化が進み、点検や交換が難しい配管、送電ケーブルの損傷も進んでいます。老朽原発には、建設時には適切とされたが、現在の基準では不適当と考えられる部分が多数あります。

関電の稼働可能な原発7基の内の5基が、来年、40年超えの老朽原発となります。11月14日に運転開始後50年となった高浜1号機およびもうすぐ50年超えとなる高浜2号機、美浜3号機は、超老朽原発です。

いま、各地の原発では、危険極まりなく、行き場のない使用済み核燃料が溜り続けています。

発生直後の使用済み核燃料は、膨大な放射線と熱を発しますから、燃料プールで水冷保管しなければなりません。そのプールが満杯になれば原発を運転できなくなるため、電力会社や政府は、使用済み核燃料を乾式貯蔵に移して、プールに空きを作ることに躍起です。出来た空間に、膨大な放射線と熱を発する新しい使用済み核燃料を入れたプールが崩壊すれば、大惨事に至ります。

電力会社は、使用済み核燃料の搬出先として再処理工場の稼働を願望していましたが、8月23日、日本原燃は27回目の再処理工場の完成延期を発表しました。乾式貯蔵に移した使用済み核燃料の行き場はありません。

ところで、先の衆院選での自公の大幅後退、立憲民主、国民民主、れいわの躍進を受けて、政治は、混沌化、流動化しています。

原発関係でも、自公政権が、原発推進政党を抱き込んで、「原発推進」に暴走する可能性は大です。とくに、労使協調の電力総連に依拠する国民民主は、自公政権との「部分連合」を通して、原発推進を先導すると危惧されます。

◆自然エネルギーに全面切り替えを!

このような状況の中で、今、世界は原発縮小、自然エネルギーへと向かっています。

自然エネルギーのみを利用すれば、燃料費はほぼゼロですから、コストは原発に比較して圧倒的に安いのは当然で、地球環境の保全にも有効です。大地震が発生しても過酷事故に至ることもありません。

そもそも、人類のエネルギーに対する欲望のために、原子核に閉じ込められた膨大なエネルギー(化学反応エネルギーの数百万倍)を解放しようとするから、原発過酷事故が起こり、危険極まりない使用済み核燃料が発生するのです。また、地球が数億年かけて地中に蓄えた化石燃料を100年程度で枯渇する勢いで使うから、炭酸ガスが増えるのです。

現在の焦眉の課題・気候問題は、太陽から現在届いているエネルギー(自然エネルギー)のみを利用し、化石燃料や核燃料に閉じ込められたエネルギーを解放しない社会の実現を求めています。

目に見え、耳に聞こえる市民の行動によって、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会を展望しましょう!

◆12.8「とめよう!原発依存社会への暴走関電包囲大集会」の成果を、原発全廃の突破口に!

12月8日に開催された「とめよう!原発依存社会への暴走 関電包囲大集会」(主催:老朽原発うごかすな!実行委員会)には、寒風にも拘わらず、関西、福井、首都圏、四国、愛知、青森など、全国から700人近いご参加をいただき、原発推進に暴走する石破政権や電力会社に「NO!」の熱い決意を突き付けることができました。(司会は京都ユニオンの服部恭子さん)

冒頭、主催者を代表して、中嶌哲演さんは、ゼニ金まみれで建設された若狭の原発」「農村部に危険を押し付け、後世代に負の遺産を残す原発の全廃を達成したドイツ」「いまや核のゴミ銀座へと変貌しつつある若狭」について述べ、原発運転の理不尽を訴えられました。

先の米原市長・平尾道雄さんは、戒厳令を止めた韓国の市民の行動に賛辞を呈し、能登半島地震が教えた「原発稼働の無謀」に触れ、「現場が動けば変えていける。被曝前提の利権にまみれた原子力行政を変えよう」と、力強く結ばれました。

老朽原発うごかすな!実行委員会を代表して木原壯林は、原発をめぐる政府と電力会社の動向・情勢を述べ、「目に見え耳に聞こえる大衆の運動を高揚させ、原発を全廃しよう!」と訴えました。

青森から駆けつけた中道雅史さんは、27回目の完成延期が発表された再処理工場、9月に柏崎刈羽から使用済み核燃料が運び込まれた「中間貯蔵地」について話し、石破首相の「原発維持は、核の潜在的抑止力」という発言を上げ、反戦反核の闘いは一体であることを強調しました。

井戸謙一弁護士は「2006年に金沢地裁で判決を出したとき、能登の活断層は分かっておらず、4m隆起するなど誰も想定していなかった。このように、地震学の進歩は心もとない」と述べ、地震多発地域・日本の原発の早期全廃を訴えられました。

敦賀市民の山本雅彦さんは、過去13年間全く発電せず、原子力規制委員会(規制委)が運転不認可を決定した敦賀原発2号機を抱える日本原電は、今も各電力会社の徴取した電気料金で生き延びている事実を告発し、欠陥工事、不祥事続きで、原
発を運転する資格がないと断じました。

原発に反対する5政党(社会民主党、新社会党、日本共産党、緑の党グリーンズジャパン、れいわ新撰組)からは、各3分の「地震に脆弱な原発の全廃、自然エネルギーへの移行」を目指すアピールを頂きました。

名古屋地裁で老朽原発運転延長許認可の取り消しを求める裁判(来年3月14日判決予定)を闘う老朽原発40年廃炉訴訟市民の会の草地妙子さんは、規制委審査のいい加減さを明らかにしました。

原発賠償京都訴訟原告団の川崎安弥子さんは、国と東電の加害責任を明らかにし、避難の権利を認めさせ、損害賠償を求める控訴審(大阪高裁、12月18日判決予定)の論点を簡潔に紹介されました。3労働団体(平和フォーラム関西ブロック、全労連近畿ブロック、大阪ユニオンネットワーク)からは、労働組合の力で「原発依存社会」に向かって暴走する政府と電力会社に「NO」を突き付ける決意が述べられました。

最後に、老朽原発うごかすな!実行委員会の山下一美さんが「集会アピール」(下記参照)を高々と読み上げ、満場の拍手で採択されました。

なお、本集会には、全国で、反原発、反核燃料施設を闘う24の団体からメッセージが寄せられ、プログラムとともに冊子として配布されました。

集会後、参加者は西梅田公園から大阪駅までの約1時間のデモ行進に移りました。途中、手を振り、声をかけて下さる市民や飛び入りのご参加もあり、大いに励まされました。

本集会の詳細は、STOP原子力★関電包囲行動のたぬき御膳さんがYouTubeにUP下さっています。是非ご覧ください。

◎[参考動画][ツイキャス] とめよう原発依存社会への暴走 関電包囲大集会 / たぬき御膳のたぬキャス(2024.12.08)

12.8「とめよう!原発依存社会への暴走 関電包囲大集会」にご支援、ご参加
頂きました皆さん、ありがとうございました。

2024年12月11日 
老朽原発うごかすな!実行委員会

◆集会アピール

原発は、地震や津波などの自然災害に脆弱で、現在科学技術で制御できる装置でないことを、発生後13年半を経た東電福島第一原発事故および本年元日の能登半島地震が、大きな犠牲の上に教えています。原発が、過酷事故を起こせば、人の生業(なりわい)を奪い、避難の苦汁を強い、関連死する方も多数におよびます。

巨大地震の発生が危惧される今、原発の早急な全廃が求められます。それでも、自公政権は、数を頼んで成立させた原発推進法(いわゆる「GX束ね法」)の実態化のために、「原発の最大限活用」を謳う第7次エネルギー基本計画の策定を進めています。

一方、原発依存経営にのめり込む電力会社は、加圧水型原発だけでなく、沸騰水型原発である女川2号機を10月29日に、島根2号機を昨・12月7日に再稼働させました。

人の命と尊厳を蔑ろ(ないがしろ)にした「原発依存社会」への暴走です。

とくに、関電では、来年、稼働可能な原発7基の内の5基が運転開始後40年を超える老朽原発となります。すでに50年を迎えた高浜1号機およびもうすぐ50年超えの高浜2号機、美浜3号機は超老朽原発です。

老朽原発では、圧力容器が脆化し、配管や送電ケーブルの損傷も進んでいます。危険度急増の老朽原発の即時廃炉を求めましょう。

ところで、原発を運転すれば使用済み核燃料が発生します。その使用済み核燃料を保管するプールが満杯になれば原発を運転できなくなるため、電力会社や政府は、放射線量と発熱量が減少した使用済み核燃料を乾式貯蔵に移して、プールに空きを作ることに躍起です。しかし、使用済み核燃料の行き場として、原発推進勢力が稼働を願望していた青森県の再処理工場の完成は、8月23日、27回目の延期となり、使用済み核燃料は行き場を失いました。

今、世界は原発縮小、自然エネルギーへと向かっています。自然エネルギーは、燃料費がほぼゼロですから、コストが安いのは当然で、地球環境の保全にも有効です。国際情勢の影響を受け難い自前のエネルギーです。過酷事故に至ることもありません。

「目に見え、耳に聞こえる市民の行動」の高揚によって、人類の手におえず、行き場のない使用済み燃料を発生させる原発と決別し、自然エネルギーのみで成り立ち、人や環境が大切にされる社会を構築しましょう!

2024年12月8日
「とめよう!原発依存社会への暴走関電包囲大集会」
参加者一同

▼木原壯林(きはら・そうりん)
老朽原発うごかすな! 実行委員会。1967年京都大学理学部化学科卒。理学博士。専門は分析化学、電気化学、溶液化学。熊本大学、京都工芸繊維大学名誉教授等を歴任。京都悠悠化学研究所主宰。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌 『季節』2024年冬号(NO NUKES voice 改題 通巻41号) 紙の爆弾 2025年1月号増刊 A5判 132ページ(巻頭カラー4ページ+本文128ページ)  定価770円(税込み) 2024年12月11日発売

◎Yodobashi.com https://www.yodobashi.com/product/100000009004001320/

◎Rakuten books https://books.rakuten.co.jp/rb/18082281/

僕が放射性廃棄物の地層処分に反対する理由〈7〉最終回 使用済み核燃料棒は、地上で1000年保管する 平宮康広(元技術者)

◆2.4. 代替案

自民党富山県連が、富山県内での高レベル放射性廃棄物=ガラス固化体とTRU廃棄物の地層処分に反対する姿勢を見せてくれた後、僕はNUMOや経産省の職員に、「経産省資源エネルギー庁とNUMOは、無知と無能を組織化した反知性的集団である、高校生をアルバイトで雇い、サクラに仕立てて説明会を盛り上げる反社会的集団でもある」などというようになりました。

怒ったNUMOのある職員に、「あなたは無責任だ、我々の代が出した核のゴミは、我々の代に処分しなければならない、子孫にツケを回すことなどできない」などといわれ、経産省のある女性職員に、「そんなに私たちをバカにするのなら、賢いあなたが代替案を出してください」といわれたことがあります。

しかし、我々の代が出した核のゴミを我々の代に処分するなどというのは、思い上がりです。我々の代に、核のゴミ処分などできるはずがません。我々の代ができることは、ただちにすべての原発を停止し、これ以上核のゴミを出さないようにすることだけです。

それでも、キングギドラのような形相をした、経産省の怖い女性職員に、地層処分の代替案を出せと強いられました(ひょっとして、自民党富山県連が、僕以上に、無知だの無能だのといって罵ったのかもしれません)。

僕の代替案は、使用済み核燃料棒の1000年保管です。保管する場所は地上です。NUMOでさえ、使用済み核燃料の放射能は1000年後に100分の1になるといっています。地上で使用済み核燃料棒を1000年保管し、その後地層処分すればよい、これが僕の代替案です。

我々は、ふつう、科学者の発見の下で技術者が新しい発明をする、と考えます。しかし、技術者が新しい発明をした後、科学者がその発明の「科学」を事後説明する場合があります。そして、我々は、既存の科学の「壁」を打破して新しい発明をする人間存在を、「天才」と呼んでいるように思います。1000年間のどこかで、「天才」が放射能の半減期を人為的に短縮する方法を発明するかもしれません。

使用済み核燃料棒を地上で1000年保管し、処分を未来の天才に委ねることは、まちがいではないと考えます。仮に天才が登場しなくても、使用済み核燃料棒の放射能は1000年後に100分の1になるのはあきらかです。僕のような凡才にも対処できるでしょう(まあ、僕なら「もう1000年地上で保管しましょう」といいますけど!)。

使用済み核燃料棒の地上での1000年保管に技術上の困難はありません。コンクリートの耐用年数は100年しかないといい、それを根拠にして、地上での使用済み核燃料棒の1000年保管は困難である、という人がいます。ならば石材を使えばよい。世界には、1000年以上存在する石造物(石材建造物)が多数あります。イスタンブール市のソフィア大聖堂は約1500年前に建造された石造物で、西暦557年の大震災にも耐えました。しかも、エジプトのピラミッドとちがい、建造時の記録、建造後の記録がしっかり残っています。

ヴェネツィア市のサン・マルコ大聖堂や、アルセレナーレ(工房)も1000年以上前に建造された石造物です。アルセレナーレでは、2万5000名の労働者が働いていた、といわれてもいます。中世の技術から知見を得て、地上で使用済み核燃料棒を1000年保管することは可能です。

インドのパッタダカル寺院群やアイホーレ寺院群、エローラ石窟群やアジャンター石窟群も1000年以上前に建造された石造物と石窟の遺跡です。とりわけ石窟が参考になりそうです。小笠原諸島の父島列島にある婿島と弟島は無人島で、巨大な岩石ですが、エローラ石窟群やアジャンター石窟群から知見を得て石窟を掘ることは可能でしょう。

◆2.5. おわりに

放射性物質の崩壊熱は、時間に比例して小さくなります。原発敷地内で100~150年以上冷却すれば、使用済み核燃料の表面温度は気温と同程度になると考えられ、コンパクトなキャニスタ入れて、石窟での保管が可能になると思います。
廃炉を断念すれば、使用済み核燃料棒を原発敷地内で冷却することができ、中間貯蔵施設が不要になりますね。僕は、原発の廃炉=解体処分に大反対で、反対する理由を本誌に何度か寄稿しました。機会があれば、また寄稿したいと思います。

最後に、国会議員のみなさんに、お願いがひとつあります。最終処分法を改定していただきたい。最終処分法の改定作業は簡単です。「地下300m以深」という部分を、「地下300m以深の花崗岩層」と書き直すだけです。それだけで、原子力カルト教団と経産省資源エネルギー庁、NUMOの暴走に歯止めをかけることができます。

(僕は、文系の学者さんたちは、とりわけ法的側面で運動に貢献していただきたいと思っています。先日、長谷川公一さんという東北大学名誉教授の講演をビデオで視聴して、文系の学者さんたちを含む多数の学者さんたちの地層処分に対する日本学術会議の提言を知ったのですが、残念なことに、最終処分法への言及がなかったですね)

文系の学者さんたちには、TRU廃棄物や解体した原発=廃炉の炉心等金属類や制御棒の地下70m以深の処分(中深度処分)にも何らかの法的歯止めをかける努力もしていただきたいと思います。無知で無能で、そのくせ傲慢で卑怯者の原子力カルト教団、そして日本原電および経産省資源エネルギー庁とNUMOは、地下70m以深は泥岩層であると考えているでしょう。しかし、日本の礫層の深さはたいがい地下100m以深で、150m以深の場合がおそらく多い。地下70m以深が泥岩層であるとの保障はまったくありません。(おわり)

◎平宮康広 僕が放射性廃棄物の地層処分に反対する理由(全7回連載)
〈1〉日本原燃が再処理工場を新設する可能性
〈2〉ガラス固化体の発熱量は無視できても、地温は無視できない
〈3〉NUMOがいう地下300m以深の「岩盤」は、本当に「天然のバリア」なのか
〈4〉ガラス固化体以外の廃棄物が低レベル放射性廃棄物であるとの考えは、乱暴すぎる
〈5〉地震や豪雨・豪雪で地下水系は大きく変わる
〈6〉寿都町も神恵内村も玄海町も、その岩盤層は地層処分に適さない
〈7〉使用済み核燃料棒は、地上で1000年保管する

▼平宮康広(ひらみや・やすひろ)
1955年生まれ。元技術者。オールドウェーブの一員として原発反対運動に参加している。富山県在住。

 

僕が放射性廃棄物の地層処分に反対する理由〈6〉寿都町も神恵内村も玄海町も、その岩盤層は地層処分に適さない 平宮康広(元技術者)

◆2.3. 寿都温泉(ゆべつの湯)と玄海海上温泉パレア

僕は、すでに述べた地熱の問題、地層の深さや地下水の問題を経産省資源エネルギー庁とNUMOが開催した説明会で何度も指摘したのですが、彼らの無知と不勉強に呆れました。後日、自民党富山県連の政調会長が、「経産省資源エネルギー庁とNUMOはバカと詐欺師の集まりか!」といったと知り、少し安堵しました。高レベル放射性廃棄物=ガラス固化体とTRU廃棄物を富山県内で地層処分する計画は、なくなったかもしれません。

しかし、その後経産省資源エネルギー庁とNUMOは、北海道での地層処分を計画し、寿都町と神恵内村で文献調査をはじめました。さらに佐賀県の玄海町でも文献調査をはじめようとしています。僕には、寿都町も神恵内村も、地層の深さや地下水の問題は富山市と同様であるように思えます。また、玄海町は、地下水の問題もあるでしょうが、岩盤層がかなり高温で、地層処分は無謀であると考えます(僕は、本稿の内容は、地層処分に反対しておられる北海道や佐賀県のみなさんに役立つ内容になっていると自負しています。大いに活用してください)。

北海道寿都町には、寿都温泉(ゆべつの湯)という町営温泉施設があります。寿都温泉は、小泉元首相が原発に反対する講演をした、記念すべき場所でもあるのですが、ひょっとして、寿都温泉の温泉水は、日本のどの温泉施設よりも良質な温泉水かもしれません。[表4]は、寿都温泉の温泉水の水質です。

[表4]

寿都温泉の温泉水の水質は弱アルカリ性ですが、1リットルあたりの塩素イオンが10550.0mg、ナトリウムイオンが4125.0mgです。そして、硫酸イオンが1195.0mg、カルシウムイオンが2428.1mgです。塩化ナトリウム=塩と硫酸カルシウムが混ざっていることが、「名湯」の条件ですが、これほど多量の塩化ナトリウム=塩と硫酸カルシウムが混ざり合っている温泉水は他にないと思います。寿都温泉の温泉水の水質は弱アルカリ性ですが、アルカリ性温泉水の効用があり、酸性温泉水の効用もあります。

むろん、ここで重視すべきことは寿都町の地層です。[表3]の富山市内の5つの温泉施設のうち、城南温泉病院の礫層下位層に「八尾塁層」、今泉温泉病院の礫層下位層に「シルト混じり砂互層」という記載があります。どちらも火山灰です。すなわち、過去は海で、火山灰が降り注いで陸地になった地域です。寿都町の地層は不明ですが、寿都温泉の温泉水は多量の塩化ナトリウム=塩と硫酸カルシウムを含んでいます。したがって、寿都町も過去は海で、火山灰が降り注いで陸地になったと考えることができます。

[表3]

寿都温泉の温泉井戸の孔底深度は不明ですが、寿都町の岩盤=花崗岩層は、おそらく500~750m以深でしょう。しかしNUMOは、文献調査と称して寿都町の地理を調べたように思いますが、不勉強な彼らが寿都町の岩盤=花崗岩層は500~750m以深であると認識する場面はおそらくないと思います。

ちなみに、神恵内村にも町営の温泉施設があります。温泉水の水質や温泉井戸の孔底深度はわかりませんが、神恵内村の岩盤=花崗岩層もおそらく500~750m以深であると思います。

鈴木直道北海道知事も反対しておられるので、NUMOが、岩盤=花崗岩層が500~750m以深の寿都町や神恵内村で高レベル放射性廃棄物=ガラス固化体とTRU廃棄物を地層処分する場面はないと思います。しかし、NUMOが文献調査をはじめようとしている、佐賀県の玄海町はどうでしょうか。

玄海町には原発があます。山口祥義佐賀県知事は反対していますが、経産省資源エネルギー庁とNUMOは、原発立地地域のほうが地層処分の同意を得やすい、と考えているかもしれません。しかし、原発がなくても、玄海町での地層処分は無謀です。
玄海町に、玄海海上温泉パレアという温泉施設があります。玄海海上温泉パレアの温泉水の水温や水質、温泉井戸の孔底深度はわかりませんでしたが、隣接する唐津市の呼子台場の湯の温泉水はラジウム泉です。ラジウムの融点は696℃です。唐津市の岩盤層はかなりの高温で、玄海町の岩盤層も同様であると考えます。(つづく)

◎平宮康広 僕が放射性廃棄物の地層処分に反対する理由(全7回連載)
〈1〉日本原燃が再処理工場を新設する可能性
〈2〉ガラス固化体の発熱量は無視できても、地温は無視できない
〈3〉NUMOがいう地下300m以深の「岩盤」は、本当に「天然のバリア」なのか
〈4〉ガラス固化体以外の廃棄物が低レベル放射性廃棄物であるとの考えは、乱暴すぎる 
〈5〉地震や豪雨・豪雪で地下水系は大きく変わる
〈6〉寿都町も神恵内村も玄海町も、その岩盤層は地層処分に適さない

▼平宮康広(ひらみや・やすひろ)
1955年生まれ。元技術者。オールドウェーブの一員として原発反対運動に参加している。富山県在住。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)
A5判 148ページ 定価880円(税込み)

《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/

◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000748

龍一郎揮毫

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

僕が放射性廃棄物の地層処分に反対する理由〈5〉地震や豪雨・豪雪で地下水系は大きく変わる 平宮康広(元技術者)

◆2.1. 地下水と化石水の問題 富山市内の5つの温泉施設

経産省資源エネルギー庁とNUMOは、富山県で、地層処分に関する最初の説明会を開催しました。彼らは、高校生をアルバイトで雇い、サクラに仕立てて説明会を盛り上げます。この説明会に出席した多くの富山県民が、経産省資源エネルギー庁とNUMOは、富山県内で高レベル放射性廃棄物=ガラス固化体とTRU廃棄物を地層処分するつもりでいる、と思いました(高校生をアルバイトで雇い、サクラに仕立てる彼らの反社会性にも怒りましたけど!)。

しかし、地層処分はどのようなものなのか、具体像がよくわかりませんでした。そこで、先日亡くなられた原子力資料情報室共同代表の伴英幸さんや、大学で核物理学を教えている教授等を招いて、地層処分を詳しく知るためのセミナーを高岡市で開催しました。その後、僕は僕なりの勉強をはじめたのですが、ガラス固化体とTRU廃棄物の地層処分は、現実を無視した無謀な計画であること、にもかかわらず、不勉強な経産省資源エネルギー庁とNUMOは、専門家のふりをして計画を無理やり推進している、と思うようになりました。

経産省資源エネルギー庁とNUMOは、すでに述べた地熱の問題を深く考えていません。そして、地層の深さや、地下水と化石水の問題をまったく考えていません。[表3]は、文科省地震調査研究推進本部が開示した、富山市内の5つの温泉施設のボーリング調査結果です。

[表3]

温泉水は化石水の一種で、水脈が地上付近にまで上昇している場合もありますが、ふつう、岩盤付近に滞水しています。したがって、岩盤内にガラス固化体とTRU廃棄物を地層処分するのであれば、温泉井戸の深さが建設する地下施設の深さの目安になりますが、富山市の5つの温泉井戸はかなり深いですね。表3の孔底深度は、温泉井戸の深さです。すべて1200m以上あります。

([表3]は、これまで本誌に寄稿した原稿に何度か記載したので、ご存じの読者も多いと思います。僕は。経産省資源エネルギー庁とNUMOが富山県で開催した4回目の説明会で、温泉井戸の孔底深度を指摘して質問しました。経産省資源エネルギー庁とNUMOは、地下1200m以深に地下施設を建設するつもりでいるのか、その場合、坑道の全長は何㎞になるのか、あるいは、300m以深であれば合法であると判断し、泥岩層内で地下施設を建設するつもりでいるのか、その場合でも、「泥岩層も花崗岩層と同様な天然バリアである。ガラス固化体を10万年保管できる」などというつもりなのか、等々の質問をしました。彼らは無言でした。文科省地震調査研究推進本部が開示したデータを元にして質問したので、「文献調査をすればわかることです」などということも、できなかったと思います)

◆2.2. 大惨事

他にも大きな問題があります。富山市の5つの温泉井戸は、もっとも浅い場合でも、礫層深度が150mです。これは、富山平野が扇状平野であるからともいえますが、とはいえ日本の地層は沖積層です。ヨーロッパのような洪積層ではありません。富山平野の礫層だけが、例外的に深いわけではありません。日本の地層の礫層深度は、たいがい100m以上あると考えてよいと思います。そして、礫層内の地下水の流れ(以後、「地下水系」と呼びます)が立体交差している場合があります。しかし、NUMOは、ヨーロッパの廃炉処分等を参照して、礫層の想定深度を30~50mにしているように思います。経産省資源エネルギー庁とNUMOは不勉強、というしかありません。

(富山県には、地下水学会の会員が大勢おられます。中学や高校で理科の先生をしておられた方が多いですね。僕は、何名かの方に、地下水学会は礫層内を流れる地下水系を把握しているのですか、と質問したことがあります。みなさん、地下水系の把握は技術的に無理、立体交差している場合は当然あるが、把握なんてできない、とおっしゃいました。礫層内を流れる地下水系の把握は、断層を把握する以上にむずかしいことのようです)

日本の地層は礫層深度が深く、しかも日本の年間降雨水量はヨーロッパの約2倍です。人工バリアで包んだオーバーパックとTRU廃棄物を地層処分する場合、礫層内を流れる地下水系が大きな問題になりそうですが、経産省資源エネルギー庁とNUMOが説明会で配布した資料を読む限り、彼らはまったく無頓着です。「岩盤内に埋設する、岩盤内に埋設する」といいながら、僕が地下水問題を指摘しても、温泉井戸の孔底深度に言及しないで、礫層の地下水を汲み上げる井戸(「ふつう」の井戸)の孔底深度に言及し、方向を見失った発言を繰り返すだけです。

経産省資源エネルギー庁とNUMOの思惑(あるいは希望的観測)がどうあれ、人工バリアで包んだオーバーパックとTRU廃棄物を岩盤内=花崗岩層内に埋設する場合、少なく見積もっても、地下500~750m以深の地層処分になりそうです。他方、50年の工事期間中に礫層内の地下水が浸水し、それまで埋設した人工バリアで包んだオーバーパックとTRU廃棄物が水没する危険を想定して、水没を防ぐ対策を考えなければなりません。

礫層内の地下水系は、年間10~20m移動します。地震が勃発した場合、より大きく移動します。また、豪雨や豪雪後、新しい地下水系が生じる場合があります。そして、地下水系が坑道の壁を突き破り、坑道に水が流れ込む場面があり得ます。NUMOは、そのような場面では、クラッキング工事で対処するというのですが、クラッキング工事は道路のトンネル内で漏水等が生じた場面で施す工事です。しかし、トンネルは「横坑」です。地上施設と地下施設を結ぶ坑道は「立坑」です。地下水系の水流のパワーはかなり強く、クラッキング工事で岩盤水等の浸水を阻止することができても、地下水の流入を阻止することはできません。

すでに述べましたが、礫層内の地下水が流れ込めば、短時間で地下施設と坑道が満水状態になり、地上施設に水が溢れ出ます。そして、人工バリアで包んだオーバーパックとTRU廃棄物が水没します。フランスのビュール県でしたら、水没する前に地上に引き上げることができるかもしれませんが、日本の場合、全長200~300㎞(あるいは500㎞以上)のらせん状の坑道で地上施設と地下施設をつないでいるので、引き上げることができません。その後、人工バリアで包んだオーバーパックとTRU廃棄物に50~75気圧(ひょっとして100気圧以上)の圧力がかかります。

当然、TRU廃棄物を詰め込んだドラム缶は潰れますが、NUMOが、耐用年数1000年と豪語するガラス固化体を格納したオーバーパックも潰れるでしょう。地下施設と坑道内の水が放射能汚染水になり、地上施設に溢れます。そして、地下水系が放射能汚染水系になり、放射能汚染水が海に流出します。

[図7]は、地下水系が坑道の壁を突き破り、水が地下施設に流れ込む場面のイメージです。

[図7]

[図8]は、地下施設に埋設した高レベル放射性廃棄物=ガラス固化体とTRU廃棄物が破損した場面のイメージです。

[図8]

大惨事ですが、経産省資源エネルギー庁とNUMOは憂慮していないですね。だから、彼らは地下水の勉強もしていません。(つづく)

◎平宮康広 僕が放射性廃棄物の地層処分に反対する理由(全7回連載)
〈1〉日本原燃が再処理工場を新設する可能性
〈2〉ガラス固化体の発熱量は無視できても、地温は無視できない
〈3〉NUMOがいう地下300m以深の「岩盤」は、本当に「天然のバリア」なのか
〈4〉ガラス固化体以外の廃棄物が低レベル放射性廃棄物であるとの考えは、乱暴すぎる 
〈5〉地震や豪雨・豪雪で地下水系は大きく変わる

▼平宮康広(ひらみや・やすひろ)
1955年生まれ。元技術者。オールドウェーブの一員として原発反対運動に参加している。富山県在住。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)
A5判 148ページ 定価880円(税込み)

《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/

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僕が放射性廃棄物の地層処分に反対する理由〈4〉ガラス固化体以外の廃棄物が低レベル放射性廃棄物であるとの考えは、乱暴すぎる 平宮康広(元技術者)

◆1.5. TRU廃棄物と中深度処分

NUMOは、高レベル放射性廃棄物=ガラス固化体の他にTRU廃棄物も地下施設で保管する、といっています。TRU廃棄物は再処理工程の作業で生じた放射性廃棄物です。NUMOは、TRU廃棄物を長さ約90cm、直径約60cmのドラム缶に詰め込んだTRU放射性廃棄物と、長さ約40cm、直径約130cmの金属製のキャニスタに詰め込んだTRU放射性廃棄物に分けています。そして、概算で1万9000立方メートルのTRU廃棄物を地下施設で保管する、といっています。

NUMOは、ドラム缶に詰め込んだTRU放射性廃棄物は、セメントで固めて地下施設で保管する、キャニスタに詰め込んだTRU放射性廃棄物は、複数本のキャニスタをまとめて「廃棄体パッケージ」という金属製の箱に入れ、セメントで固めた後、ベントナイトで包み、地下施設で保管する、といっています。

NUMOが開示している資料を読んだのですが、どのような基準でTRU廃棄物をドラム缶に詰め込むTRU放射性廃棄物とキャニスタに詰め込むTRU放射性廃棄物に分けるのかが、よくわかりません。たとえば、再処理工場では使用済み核燃料棒を細かくせん断した後、硝酸で溶かしてウランとプルトニウムを分離し、高レベル放射性廃棄物を抽出してガラス固化しますが、その場面で、放射能を帯びた多量の希ガスが生じます。希ガスは、放射能半減期が非常に長いヨウ素129を含んでいます。そこで、銀製フィルタでヨウ素129を取り除きますが、NUMOは、使用済み銀製フィルタの残渣をドラム缶に詰め込むつもりでいるのか、キャニスタに詰め込むつもりでいるのかがわかりません。

(再処理工場では、ヨウ素129を取り除いた後の希ガスを環境に放出します。その場面で、多量のクリプトン85や他の様々な放射性希ガスを環境に放出します。関心のある方は、核燃料サイクル阻止1万人原告団のサイト、澤井正子さんが学習会で使用したプレゼンテーション・ファイル等を参照してください)

核燃料ペレットをジルコニウムの被覆管=鞘に入れ、被覆管の両端を金属製のエンドピース=蓋で閉じたものが核燃料棒です。再処理後、ジルコニウムの被覆管の断片と、金属製のエンドピースが放射能を帯びた残渣として残ります。放射能を帯びたジルコニウムの残渣を「ハル」と呼んでいますが、NUMOは、このハルとエンドピースはキャニスタに詰め込むTRU放射性廃棄物である、といっています。しかし、ハルには放射能を帯びた硝酸等放射性廃液が付着しています。NUMOは、放射性廃液はドラム缶に詰め込むといっていますが、付着した放射性廃液をハルから取り除くことは、おそらくできません。NUMOが、放射性廃液とハルをどう仕分けているのか、よくわかりません。

より大きな問題が別にあります。原子力カルト教団と経産省資源エネルギー庁、NUMOは、ガラス固化体だけが高レベル放射性廃棄物であるといい、他はすべて低レベル放射性廃棄物である、といっています。彼らの考えにしたがえば、TRU廃棄物も「低レベル放射性廃棄物」になります。

(ちなみに、原子力カルト教団と経産省資源エネルギー庁、NUMOは、TRU廃棄物の中深度処分も考えているようです。日本原電は、解体した原発=廃炉の制御棒や炉心等金属類を地下70m以深に埋設するつもりでいます。日本原電、および経産省資源エネルギー庁とNUMOは、これを「中深度処分」と呼んでいます。彼らは、中深度処分は、礫層下位の泥岩層に放射性廃棄物を埋設する地層処分なので、地表のピット処分等より安全性が高い、と考えているようです。しかし、地下70mが必ず泥岩層であるとの保障がありません。それについては後述しますが、彼らは、おそらくヨーロッパの地層処分等を参照して、礫層の深度は30~50mである、と決めつけているように思います)

原子力カルト教団と経産省資源エネルギー庁、NUMOの、ガラス固化体以外はすべて低レベル放射性廃棄物であるとの考えは、乱暴すぎます。放射性廃棄物は、少なくとも高レベル放射性廃棄物と準高レベル放射性廃棄物、低レベル放射性廃棄物と準低レベル放射性廃棄物の、4つのクラスの放射性廃棄物に仕分けるべきです。[表2]は、僕が考える、4つのクラスの放射性廃棄物です。

[表2]

[表2]の右列に、各クラスの放射性廃棄物の例を書きましたが、他にも例を書くことができます。たとえば、使用済み核燃料はクラス3放射性廃棄物です。廃炉の金属類等はクラス2放射性廃棄物で、廃炉の放射性コンクリート等はクラス1放射性廃棄物です。

僕には、この4つのクラス分けが妥当なクラス分けであるか否かはわかりませんが、とはいえ放射性廃棄物のクラス分けは必要です。次節から本論に入りますが、放射能については、この4つのクラスの下で論じたいと思います。

(中間貯蔵についても、意見を少し述べさせてください。僕は、中間貯蔵施設の建設に反対です(大反対です!)。しかし、電力資本は、ドライキャスク=乾キャスクに使用済み核燃料棒を格納して中間貯蔵するつもりでいます。原発に反対する人たちの中にも、乾キャスクを推奨する人がいます。たとえば、原発に反対しておられる某公立大学工学部の某名誉教授は、地震対策上、使用済み核燃料棒は乾キャスクに格納して保管するほうがよい、といっています。しかし、乾キャスクは一次的に中性子線を遮断し、二次的にガンマ線を遮断する仕組みのキャスクです。そのため、乾キャスクで使用する鉛の中に多量の放射性鉛が生じます。鉛205の放射能半減期は1.53x107です。鉛204は、アルファ崩壊型放射性核種で、放射能半減期は1.4x1017です。(107=1000万、1017=10京です。鉛204の放射能半減期は、宇宙の寿命より長そうですね)。従来のキャスク=湿キャスクは、一次的にガンマ線を遮断し、二次的に中性子線を遮断する仕組みでできています。そのため、生成する放射性鉛の量は少ないように思います。使用済み核燃料棒は、湿キャスクに格納し、原発建屋内の燃料プールではなく、原発敷地内に堅牢で大きいなプールをつくり、そこに保管すべきでしょう。その場合、放射性鉛の生成量が減少し、また中間貯蔵施設が不要になります。原発は、停止して石棺化し、発電機でなく、使用済み核燃料棒の冷却装置として再活用すべきです)(つづく)

◎平宮康広 僕が放射性廃棄物の地層処分に反対する理由(全7回連載)
〈1〉日本原燃が再処理工場を新設する可能性
〈2〉ガラス固化体の発熱量は無視できても、地温は無視できない
〈3〉NUMOがいう地下300m以深の「岩盤」は、本当に「天然のバリア」なのか
〈4〉ガラス固化体以外の廃棄物が低レベル放射性廃棄物であるとの考えは、乱暴すぎる 

▼平宮康広(ひらみや・やすひろ)
1955年生まれ。元技術者。オールドウェーブの一員として原発反対運動に参加している。富山県在住。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)
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《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
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《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
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※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
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 混乱とチャンス  

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 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

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《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
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 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
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《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
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 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

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 私たちは歩み続ける

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《反原発川柳》乱鬼龍

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第7次エネルギー基本計画のここが問題 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

◆〔1〕実現性のない電力供給計画

第6次エネルギー基本計画(エネ基)は2021年に策定された。内容は2030年に再生可能エネルギー36~38%、原子力20~22%、火力40%(天然ガス20%、石炭19%、水素・アンモニア1%程度)としている。

今から5年余り先の見通しだが、これが実現できる可能性は全くない。

原発が20~22%占めるためには、概ね27~30基程度が稼働していなければならない。その出力は2700万kw程度。しかし現在再稼働しているのは12基、約1100万kw。

新規制基準適合性審査を通過した原発全てが動いたとしてもプラス5基で17基。1700万kw余り、全電力の15%程度に過ぎない。あと5年で再稼働できる原発は他に存在しないから、現段階で、目標値はもはや成り立たない目標であることは明白だ。

第7次エネルギー基本計画(第7次エネ基)では、これがどのような数値になるのか未だ不明だが、原子力の利活用という方針に大転換すると見られるので、2030年ではなく2035年に原発が36~38%占めるという計画になるのだと思われる。

しかし結局これも実現することはない。仮に36基とした場合、新規制基準適合性審査を通過した17基に加えて19基ほど必要になるが、現在審査中のものは7基、合計で2300万kw程度だ。建設中の大間と島根3号が稼働しても26基、2500万kw程度だが、それでも圧倒的に足りない。

加えて再稼働原発は全て60年超の老朽炉になる(*)から、これが進んだとしても新増設をしない限りいつかは脱原発になる。経産省や原子力ムラにとって絶対に避けねばならない事態だ。

*例えば高浜1号は10月16日に50年の「長期管理計画」が規制委により認可されたが、GX法により最大限延長したとしても2050年までには廃炉になる。これは高浜2、3号、美浜3号、川内1号も同じだ。

◆〔2〕経産省は原発依存を「可能な限り低減」させる具体的な計画を策定するべきなのにしなかった

政府は福島第一原発事故の教訓から、2014年の第4次エネ基から現在の第6次エネ基まで原発依存を「可能な限り低減」するとしてきた。

このような表現の下でも原子力は常に推進されてきた。特に核燃料サイクル政策は六ヶ所再処理工場の建設が大幅に遅れ、実現可能性さえ危ぶまれているのに一切見直しの気配すらない。

原発の利用を低減するのならば再処理は最初に中止するべきものだ。

しかし核燃料サイクル事業は中止されなかった。原子力政策は見せかけの「原発依存の低減」のもとで「推進」されてきたのである。

その中でも特徴的なのは一貫して原発を推進してきた経産省だ。責任官庁として「可能な限り低減」させる具体的な計画を策定するべきなのにしなかった。むしろ計画的かつ段階的に原発を復活させ推進してきた。

これに呼応する原子力規制委も、40年の運転期間制限を炉規法で定めていながら、「極めて例外的」(当時の田中俊一委員長)といいつつ20年延長を認める規定のもとで60年運転を既成事実化した。

さらに2023年、脱炭素電源法(GX電源法)で運転期間の規定を規制委所管の原子炉等規制法から経産省所管の電気事業法に移したことで、ついに微かな歯止めさえなくなり、全ての再稼働原発が事実上60年運転許可を得ることになる法律改訂が強行された。

この「GX」が、そもそも欺瞞と詐欺の温床である。GX(グリーン・トランスフォーメーション)という名目の「脱炭素」方針を利用して、発電時に二酸化炭素を出さないという点だけを取り上げて「ゼロエミッション電源」などと原発を規定している。

ゼロエミッションとは「廃棄物を出さない」という意味だが、放射性廃棄物を大量に発生させる原発に使っているということだけで、その意味のすり替えぶりが分かる。

カーボンニュートラルという言葉も飛び交うが、化石燃料を燃やすタイミングを殊更問題視するために使っている用語であり、原発が極めて大きな環境汚染源であることを見えなくさせる言葉遣いだ。

本気で達成するための議論ではなく、原子力推進体制を再構築することを目的に「あらゆる政策を動員する」ために用いられるのが「脱炭素」だ。

グリーントランスフォーメーション(GX)とは、化石燃料中心の産業や社会構造を、クリーンエネルギー中心の構造に転換していく取り組みのこと。地球温暖化による環境課題を解決し、持続可能な社会を作ることを目的とする、という名目だ。

しかし原子力開発の暗部を知らなかった時代に「無限に安定的に供給でき廃棄物も少ないバラ色のエネルギー」として原子力を想像していた時代ならばいざ知らず、度重なる原発事故と開発による放射能汚染の現実を知った今、「クリーンエネルギー」と言った時点で、完全に破綻した理念である。

原発が二酸化炭素を出さないことなどあり得ない。

核分裂時に出ないことを殊更強調しているだけだ。ライフサイクルにおける原発の排出原単位は極めて大きいと考えられ、キロワット当たり180~288グラムという研究もある。なお国は19~20グラムとしている。

LNG火力は470グラムで、原発との差は2倍程度というのが実相。とりわけ三分の二の原発が止まっている日本の場合、それらは単に二酸化炭素を出すだけの存在になっている。

◆〔3〕徹底した省エネルギーこそが最大の政策だ

「第7次エネ基」において、政府・経産省は、原発の再稼働と新増設を含むGX法の完全反映を目指す。

「エネ基」を議論している資源エネルギー庁の「基本政策分科会」では原発推進意見のオンパレード。その前提としての電力需要増の議論が席巻している。

これに対して実行可能で最も確実な政策は、徹底した省エネ・節電をおこなうことである。

第6次エネ基では年間の電力消費量について2050年では30~50%も増えるのに2030年までは10%以上減るという、呆れるほど矛盾した見通しを出している。

電気自動車、データストレージ(データセンター)、AI(人工知能の活用)など、新たな電力多消費産業の開発により電力消費量は増加するというのが政府の基本的認識のはずだが、2030年の再生可能エネルギー電源比率および原子力発電比率を極めて高く設定するトリックとして、電力消費量の分母を小さくする偽装を用いたためだ。

「第7次エネ基」では、もはや「偽装」ではなく現実問題として2035年および50年の「電力消費量見通し」を引き下げなければ、いわゆる「目標値」を達成できないことになる。

分母を減らすということは消費電力量の大幅な削減、すなわち省エネしか方法はない。

再エネの導入規模も大幅な上方修正が迫られることになる。この場合、大量の再エネを安定供給するため、2つの施策が必須となる。

1つは広域連系の拡大、もう一つは電力貯蔵システムの構築だ。また、将来は再エネの拡大しか道はないことは明らかだ。

再エネはどうしても出力変動を免れない。そのため貯蔵システムの構築以外にも電力のバックアップシステムが必須となる。

まだ火力発電の役割があるとしたら、この点である。

また、バックアップを従来の蓄電池に依存するのは不安定要因がつきまとう。価格の面や供給力にはまだ限界があり、さらにレアメタル資源の偏在、国際情勢に大きく左右されること、今後蓄電池市場が高騰することも考慮しなければならない。

当面は火力発電によるバックアップが不可欠になるのである。

その火力はガス火力発電。

エネルギー効率を85%以上に高め、温排水や二酸化炭素排出を極限まで減少させる技術が必須になる。

廃熱も回収し使い尽くすシステムだ。この技術は世界中で必須になる。

日本が海外に売り込める技術になるだろう。

◎初出:2024年10月18日たんぽぽ舎発行「金曜ビラ」494号

▼山崎久隆(やまざき・ひさたか)
たんぽぽ舎共同代表。脱原発東電株主運動、東電株主代表訴訟に参加。共著に『核時代の神話と虚像』(2015年、明石書店)ほか多数。

◎たんぽぽ舎 https://www.tanpoposya.com/
◎たんぽぽ舎メルマガ:「地震と原発情報」 メルマガ申込み(無料)

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)
A5判 148ページ 定価880円(税込み)

《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/

◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000748

龍一郎揮毫

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

僕が放射性廃棄物の地層処分に反対する理由〈3〉NUMOがいう地下300m以深の「岩盤」は、本当に「天然のバリア」なのか 平宮康広(元技術者)

◆1.4. 花崗岩層と泥岩層、礫層

経産省資源エネルギー庁とNUMOが開催した説明会では、説明員がやたら「岩盤、岩盤」といい、最終処分法にしたがい、ガラス固化体を格納したオーバーパック4万体を人工バリアで包み、50年かけて地下300m以深の「岩盤」に埋設する、といいます。NUMOの説明員がいう「岩盤」とは、何のことでしょうか(ちなみに、最終処分法に「岩盤」という言葉は記載されていません)。

地表には、生物の死骸や糞尿等が積み重なってできた土壌があります。土壌の下に礫層があり、地下水が流れています。礫層の下に泥岩層があり、化石水が滞水しています。そして、泥岩層の下に花崗岩層があり、岩盤水が滞水している場合があります。

NUMOが「岩盤」と呼んでいるものは、花崗岩層です。[図5]は、経産省資源エネルギー庁やNUMOが考える、地層のイメージです。NUMOは、岩盤=花崗岩層内に広さ6~10平方㎞の地下施設をつくり、ガラス固化体を格納したオーバーパックを人工バリアで包み、埋設するつもりでいます。

[図5]

NUMOは、岩盤=花崗岩層を「天然バリア」と呼んでいます。天然バリアは花崗岩なので、1万年後に人工バリアが壊れても、埋設したガラス固化体=高レベル放射性廃棄物を10万年保管できるというのがNUMOの考えです。しかし、地下300~400mが必ず花崗岩層であるとの保障がありません。説明は後述しますが、日本の場合、花崗岩層でない場合が多いとさえいえます。

[図6]は、経産省資源エネルギー庁とNUMOが考える、地下施設のイメージです。地下施設の広さは6~10平方㎞です。[図6]では、まっすぐな立坑が地上施設と地下施設をつないでいますが、NUMOは、らせん状の坑道で地上施設と地下施設をつなぐつもりでいます。坑道の長さは200~300㎞になるとのことです。

[図6]

フランスは、ビュール県に地層処分施設を建設しました。フランスの人工バリア(当然、内部にガラス固化体を含んでいます)の重量は10トン未満です。10トン未満の重量物は、大型のクレーンで上げ下げできます。したがって、ビュール県の地層処分施設はまっすぐな立坑で地上施設と地下施設をつないでいます。しかし、日本の人工バリアの重量は17.5トンです。現状、10トン以上の重量物を上げ下げできるクレーンはありません。NUMOが全長200~300㎞のらせん状の坑道で地上施設と地下施設をつなぐことにしたのは、そのような理由によると考えます。

日本の地層処分施設では、ガラス固化体を格納したオーバーパックを人工バリアで包み、その人工バリアを搭載した無人搬送車がらせん状の坑道をゆっくり走り、地上施設から地下施設に下降します。地下施設内では、ロボットのような機械が人工バリアを埋設します。

NUMOは、このような方法で、50年かけてガラス固化体を格納したオーバーパック4万体を地層処分するつもりでいますが、その50年間に、大きな事故が生じた場合どう対処するか、まともな説明しません。たとえば、地下水が地下施設に流入した場合、クラッキング工事で塞ぐといい、岐阜県瑞浪市の地下研究所での漏水で効果を実証した、などといいますが、瑞浪市の地下研究所で漏水した水は地下水ではありません。化石水あるいは岩盤水です。化石水や岩盤水は泥炭層や花崗岩層に帯水している水です。しかし、地下水は礫層の中を流れる水です。つまり、地下水系は地下を流れる「川」です。地下水系の高低差は1000~2000m以上あると考えられ、水流のパワーはかなり強く、クラッキング工事等で浸水を阻止することはできません。

礫層内の地下水系が坑道の壁を突き破り、水が流れ込めば、短時間で地下施設と坑道が満水状態になり、地上施設に水が溢れ出ます。そして、人工バリアで包んだオーバーパックとTRU廃棄物が水没します。ビュール県の地層処分施設でしたら、水没する前に地上に引き上げることができるかもしれませんが、日本の場合、全長200~300㎞のらせん状の坑道で地上施設と地下施設をつないでいるので、引き上げることができません。そして、「大惨事」が勃発しますが、大惨事の説明をする前に、TRU廃棄物と中深度処分を説明させてください。(つづく)

◎平宮康広 僕が放射性廃棄物の地層処分に反対する理由(全7回連載)
〈1〉日本原燃が再処理工場を新設する可能性
〈2〉ガラス固化体の発熱量は無視できても、地温は無視できない
〈3〉NUMOがいう地下300m以深の「岩盤」は、本当に「天然のバリア」なのか

▼平宮康広(ひらみや・やすひろ)
1955年生まれ。元技術者。オールドウェーブの一員として原発反対運動に参加している。富山県在住。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

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『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)
A5判 148ページ 定価880円(税込み)

《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

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《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

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 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

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 課題は放置されたまま

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 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

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 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

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《声明》衆院選の結果を受けて 今こそ「原発依存社会」への暴走を止める市民運動の大高揚を! 木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)

◆自民も立憲も原発容認・推進に向かって雪崩を打った

立憲民主党の代表選(9月23日)、自民党の総裁選(9月27日)から衆院選(10月27日)にかけての「原発に関する主張」からは、両党とも、雪崩を打って原発容認、推進に向かって変節したと言えます。

立憲民主党は綱領で「原発ゼロ」を掲げていますが、4人の代表候補者は、積極的な脱原発の主張を避けました。何れもが「避難計画の不備」などを指摘したものの、当面の原発稼働を容認しています。国民民主党に配慮したためとの報道もあります。

自民党の総裁候補者の内、総裁・首相に選出された石破氏は、8月28日の総裁選出馬時には、「原発をゼロに近付けていく」と表明しながら、首相になってからは、ほぼ岸田政権のエネルギー政策を踏襲して、「原発依存社会」に向かおうとしています。経団連や経済同友会の主張に迎合・屈服しようとしています。人の命や生活の犠牲の上に、電力会社、原発産業、ゼネコンなどの大企業に税金と電力料金を垂れ流すための政策です。河野、小泉両氏は、つい最近まで、原発に関しては慎重派でしたが、総裁選では、これを放棄しました。自らの立場の擁護のために平気で主張を翻すことは、人間として失格です。

◆国民民主党は原発推進の最先鋒

日本維新の会、国民民主党は、元来原発推進です。維新は「次世代原発、とくに核融合発電を推進する」としています。労使協調路線の全国電力関連産業労働組合総連合(電力総連)を支持母体とする国民民主党は「原発の建て替え・新増設により、輸入に頼らない安定的なエネルギーを確保する」とする原発推進の最先鋒です。

このように、立民、自民の変貌、維新、国民民主の原発推進は目に余りますが、彼らがいかに変貌し、何を願望しようとも、選挙の都合、政治的思惑、経済的利益で原発の老朽化を防ぐ技術、安全性を高める技術、使用済み核燃料の処理・処分技術が急に向上することはありません。彼らが原発推進に暴走すればするほど、原発過酷事故の確率は拡大します。許してはなりません。

◆失敗を取り繕うための「原発依存社会」への暴走

そもそも、政府や電力会社の「原発依存社会」への暴走は、脱原発の流れに乗り遅れた失敗を取り繕うためです(その裏には、潜在的な核武装推進への願望も見え隠れします)。

もし、福島原発事故以降の政権や電力会社が事故の教訓を生かして、原発ときっぱり決別し、自然エネルギーに切り替える政策をとっていたなら、今頃、化石燃料発電や、原発に依存することなく、電気を供給し、世界の自然エネルギーへの流れをリードできていたでしょう。彼らは、資本主義経済の視点からも失敗したのです。自らの失敗を反省せず、更なる原発推進へと暴走する政府と電力会社を厳しく糾弾し、自然エネルギーへの政策転換を求めましょう!

ところで、10月27日投開票の衆院選では、自公・石破政権が大幅後退し、立民、国民民主、れいわ新選組などが躍進しました。

衆院選での自公両党の大幅減は悦ばしいことながら、この選挙での大きな争点が「裏金問題」であり、その裏で進められる物価高騰、インフレ、弱者切り捨て、格差拡大、軍拡、原発依存などの政策がほとんど議論の対象にならなかったことに政治の貧困を覚えます。

原発問題でも、大勝した立民が、政権獲得のために、議席を伸ばした国民民主に忖度して、原発政策を「原発容認」に大きくシフトさせる可能性があります。また、「原発(とくに核融合)推進」を掲げる維新は議席を減らしたものの、それでも政権の行方の狭間にあり、自公、立民の何れもが、これに擦り寄ると思われます。

原発推進政党を抱きこむことによって、当面の政権を維持すると予想される石破自民党が、「原発推進」にさらに暴走する可能性は大です。とくに、政権の行方にキャスティングボートを握る国民民主は、自公政権との「部分連合」を通して、原発推進を先導するものと考えられます。

なお、「原発即時廃止、地方分散型再エネ普及」を掲げるれいわは躍進したものの、「原発はすみやかににゼロ」「30年度に石炭火力ゼロ」とした共産党は減少しています。社会の右傾化が危ぶまれます。

今回の衆院選の争点は「金権問題」でしたが、それを「裏金」だけに矮小化させてはなりません。

もっと大きな「金権」は、人々から吸い上げた税金や電力料金を、軍需産業や原発産業(旧財閥、電力会社、ゼネコン、自動車産業など)に垂れ流し、軍備拡大、原発推進に暴走する政府の「権力」です。現政府は、人々の命と生活を守るために使用されるべき税金を大企業に垂れ流す「トンネル機関」といっても過言ではありません。

このような理不尽がまかり通り、閉塞感漂う状態の打開のために、いま最も求められているのは「目に見え、耳に聞こえる市民の行動」の高揚です。

12.8「とめよう!原発依存社会への暴走関電包囲大集会」の大成功を勝ち取り、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会に向かって前進しましょう!

2024年10月31日
木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)

12.8 とめよう!原発依存社会への暴走 関電包囲大集会

とめよう!原発依存社会への暴走 関電包囲大集会
原発やめて自然エネルギーへ
使用済み核燃料ふやすな

日 時:2024年12月8日(日)13:00~ ※集会後、大阪駅前までデモ

場 所:関西電力本店前
〒530-8270 大阪市北区中之島3-6-16
地下鉄「肥後橋駅」徒歩約5分 京阪「渡辺橋駅」徒歩約4分
地図 https://x.gd/DsbEz
内 容
・13:00 集会開始
 原発の風下・米原市の平尾道雄市長がアピール
 集会後大阪駅前までデモ
・16:00すぎ 解散

主 催:老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先:090-1965-7102
チラシ https://x.gd/hHdCY 

▼木原壯林(きはら・そうりん)
老朽原発うごかすな! 実行委員会。1967年京都大学理学部化学科卒。理学博士。専門は分析化学、電気化学、溶液化学。熊本大学、京都工芸繊維大学名誉教授等を歴任。京都悠悠化学研究所主宰。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)
A5判 148ページ(本文144ページ+巻頭カラー4ページ) 定価880円(税込み)
お陰様で10周年を迎えました!
《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/

◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000748

龍一郎揮毫

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

日本原電敦賀原発2号機 新規制基準「不合格」をめぐる7つの問題点〈後編〉 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

◆〔4〕本審査結果……『この原発が今後適合することはない』の恒久性について
 さらに審査を求める行為を拒否することも審査書に明記すべき

規制委員会はK断層は後期更新世以降の活動が否定できないこと及びK断層は2号炉原子炉建屋直下を通過する破砕帯との連続性が否定できないことから、設置許可基準規則第3条第3項に適合しているとは認められないと判断した。

したがって、本申請は、原子炉等規制法第43条の3の8第2項において準用する原子炉等規制法第43条の3の6第1項第4号に適合しているものとは認められないとの結論である。

上記結論に達した以上、『この原発が今後適合することはない』と考えるべきだ。
巨額の投資をしているからとか、新たな知見が見つかったなどとして審査を求めることは、大きな費用を追加投入することになるので厳しく批判されなければならない。

敦賀原発2号機については、この状況においてはさらに審査を求める行為を拒否することも合わせて審査書に明記すべきである。

◆〔5〕経理的基礎の不存在について
 敦賀2号機の再稼働を前提とした維持管理費を電力3社(関西、中部、北陸)から調達できない

原電については、既に東海第二原発の再稼働を巡り「経理的基礎」についての審査が一度行われている。

その中で、原電に経理的基礎がある根拠としているのは原電が建設している(審査段階では建設予定である)のは2014年5月20日付けの原電による申請に対する審査で、安全対策工事のうち防潮堤に関しての資金である1740億円についてのみである。

この安全対策工事にかかる資金を原電が調達できる見込みがあるかどうかを確認しているにすぎない。

これは、それ以外の経営上必要な費用については、東海第二と敦賀2号機の「維持管理費用」として調達できるからであり、これが土台になっていることが前提だった。
 
ところが今回、審査結果として敦賀2号機の運転が不可能となることで、この土台が失われることが確定的になった。

現時点では日本原電は、依然として敦賀2号機の再稼働を前提とした維持管理費を電力3社(関西、中部、北陸)から調達できるかの前提で経理的基礎はあると主張するのだろうが、それは虚飾と言うほかはなく、三電力の株主及び消費者にとっては、無駄な資金提供を原電に続けることとなる。

このような不当な状況を回避するために、再び経理的基礎を有するかの審査が必要だ。

◆〔6〕東海第二原発の欠陥防潮堤
 日本原電の会社としての運営が危機的状況になっている

これに加えて、原電は現在、東海第二の防潮堤工事を進めているところだが、この工事に重大な欠陥があり防潮堤が完成できない状況にある。そのため1740億円をはるかに超える費用がかかることは間違いなく、先の経理的基礎が失われていると考えられる。

敦賀2号機の運転ができない状況となったことから、将来的には東海第二の再稼働どころか、日本原電の会社としての運営が危機的状況になっている。

そのことは東海第二の安全対策工事にも影響を及ぼすこととなるので、規制委は改めて東海第二の安全対策工事や防潮堤工事について、本当に竣工可能なのか、経理的基礎を改めて審査するべきだ。

◆〔7〕日本原電の電気料金収入の問題
 使えない設備の維持のために強制的に費用を負担させるのは不当であり、不正である

経理的基礎の喪失と同時に、原電の収入には大きな問題がある。

2011年度以降2023年度までの電力収入は累計1兆5658億490万円に達している。これは発電など全くしていない2基の原発のために5電力会社が支出した金額だ。

この資金は全て電力会社の電気代つまり消費者から集めた資金である。この資金は、原電の2基の原発を再稼働することでまかなうはずだった。

そのうち敦賀原発2号機の再稼働ができなくなったことについて、原電はいかなる責任を負うのか、規制庁はヒアリングを行い、こうした問題について解明するべきである。

特に、敦賀原発2号機の審査を更に継続しようとする計画であることを原電自らが主張し、さらに電力3社や経団連がそれを支援するなどとしているが、そのために更に巨額の維持管理費用を各電力会社の顧客は負担しなければならない。

原発に拘泥し、使えない設備の維持のために強制的に費用を負担させるのは不当であり、不正であることを規制委は明確にするべきである。(了)

◎山崎久隆 日本原電敦賀原発2号機 新規制基準「不合格」をめぐる7つの問題点
〈前編〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=51517
〈後編〉 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=51523

◎初出:「月刊たんぽぽニュース」2024年10月号

▼山崎久隆(やまざき・ひさたか)
たんぽぽ舎共同代表。脱原発東電株主運動、東電株主代表訴訟に参加。共著に『核時代の神話と虚像』(2015年、明石書店)ほか多数。

◎たんぽぽ舎 https://www.tanpoposya.com/
◎たんぽぽ舎メルマガ:「地震と原発情報」 メルマガ申込み(無料)

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

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「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
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《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/

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僕が放射性廃棄物の地層処分に反対する理由〈2〉ガラス固化体の発熱量は無視できても、地温は無視できない 平宮康広(元技術者)

◆1.2. ガラス固化体の発熱量

NUMOは、30~50年冷却したガラス固化体を再処理工場内でオーバーパックに格納し、20~28本のオーバーパックを専用キャスク(専用の容器)に入れて地層処分施設に搬送する、といっています。キャスクの重量は約100トンになりますが、約100トンの重量物を搭載した運搬車は公道を走ることができません。そこで、地層処分施設に近い沿岸に専用港を建設し、専用の運搬船にオーバーパックを入れた専用キャスクを載せ、専用港まで輸送します。そして、専用港から地層処分施設までの間を専用道路でつなぎ、専用の運搬車が地層処分施設まで搬送します。

地層処分施設は、地上施設と地下施設に分かれています。地上施設は、敷地が1~2平方㎞の「工場」です。専用運搬車は、[図3]のように、時速10㎞前後の速度で地上施設に向かいます(専用運搬車の速度は、時速10㎞前後が限度でしょう。約100トンの重量物を搭載しているので、時速20㎞以上の速度を出すと運転手がブレーキを踏んでも止まらないと思います)。

[図3]

専用運搬車が専用キャスクを搬送した後、地上施設内で専用キャスクからオーバーパックを取り出し、緩衝材で包みます。緩衝材は砂状の粘土で、「ベントナイト」と呼んでいます。

ベントナイトは水を吸収すると固まります。NUMOは、ベントナイトをつくる緩衝材を「人工バリア」と呼んでいます。人工バリアは長さ約310cm、直径約220cm、重量約17.5トンの円筒で、NUMOは、人工バリアの耐用年数は1万年であると豪語しています。

[図4]は、ガラス固化体とオーバーパック、人工バリアのイメージです。NUMOは、ガラス固化体の放射能は8000年後に天然ウランと同程度なる、人工バリアの耐用年数は1万年なので、ガラス固化体の地層処分は安全である、といっています。

[図4]

ところで、ストロンチウム90の放射能半減期は約30年で、発熱量は1kgあたり460ワットです(この値は実測値です。セシウム137の崩壊熱はストロンチウム90の約2倍ですが、発熱量の実測値はわかりません)。

NUMOは、製造直後のガラス固化体の発熱量は1体あたり約2300ワットで、30~50年後に350ワット以下になるといっています。しかし、ガラス固化体1体あたりのストロンチウム90の量は、1kgくらいあるかもしれません。その場合、30年後のガラス固化体の発熱量は、ストロンチウム90だけで1体あたり約230ワットになります。つまり、30年後や50年後のガラス固化体の発熱量の約半分が、ストロンチウム90の発熱量になってしまいます。

(セシウム137の崩壊熱はストロンチウム90の約2倍です。30~50年後のガラス固化体の発熱量が1体あたり350ワット以下になるとは考えにくいですね。NUMOは、意図的に、ガラス固化体が含むストロンチウム90とセシウム137の量=推定値を減らしているように思います。余談ですが、プルトニウム238の放射能半減期は約88年で、発熱量の実測値は1kgあたり540ワットです。NUMOは、ガラス固化体はプルトニウム238を含んでいない、含んでいるとしてもわずかであると述べていますが、プルトニウム238を0.1kg含んでいるだけでも、30~50年後のガラス固化体の発熱量は、1体あたり350ワット以下にならないでしょう)

僕は、経産省資源エネルギー庁とNUMOが開催した説明会で、「ベントナイトは、水を吸収すると固まりますが、水を失うと砂に戻りますね。30~50年後のガラス固化体の発熱量が350ワット以下になるとは考えにくいので、ベントナイトは、ガラス固化体の発熱で水分を失うかもしれません。ベントナイトは、1年以内に砂に戻ってしまうのではありませんか。つまり、人工バリアの耐用年数は、推定1万年ではなく、推定1年です」といいました。

NUMOの職員らしき説明員が、血相を変えて、「ガラス固化体は、発熱量が350ワット以下になってからオーバーパックに入れます。人工バリアが1年で壊れることはありません」といいました。

そこで僕は、「ガラス固化体の発熱が無視できるくらい小さいとしても、地温を無視できないですね。経産省資源エネルギー庁とNUMOが考える地温の上限は45℃ですか?」と質問しました。説明員は、「地温の上限は60℃です」と答えました。

◆1.3. 地温問題と黒部川第三発電所

地下の温度=地温は、地下の深さに比例して上昇します。地下100mあたりの地温上昇を地温勾配と呼んでいますが、NUMOは、地温勾配の想定値を15℃にしています(ふつう、地温勾配の想定値は17~18℃ですけど!)。

国会が制定した「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(以後、「最終処分法」と呼びます)」にしたがえば、ガラス固化体は300m以深の地下に埋設しなければなりません。僕が、「地温の上限は45℃ですか?」と質問したのは、地温勾配の想定値が15℃の場合、地下300mの地温が45℃になるからです。説明員が「60℃です」と答えたのは、ガラス固化体を地下300~400mに埋設するつもりでいるからでしょう。

疑問がいくつか浮かびます。まず、ベントナイトは、地温が60℃以下であれば、砂に戻ることはないのか、という疑問です。次に、地下300~400mの地温は、本当に60℃以下なのか、という疑問です。

戦前の日本は、国家総動員法の下で黒部川第三発電所の施工を強行しました。ダムを建設するための資材を運ぶためのトンネルを、山の中腹に掘る必要が生じました。当初、山の中腹の岩盤温は約65℃でしたが、掘削を開始してから約10か月後に100℃を超え、166℃になります。そして、トンネルの掘削で使用するダイナマイトが自然発火します。黒部川第三発電所の施工期間は1936~1940年で、約300名の尊い人命を事故で失いました。

(堀内節子さんが、「黒三ダムと朝鮮人労働者(桂書房)」で、当時の様子を詳しく書いておられます。関心のある方は、堀内さんの著書を一読してください。ちなみに、黒部川流域(富山県東部)の温泉水の水温は98℃以上、黒部峡谷から遠く離れている庄川流域(富山県西部)の温泉水の水温は57℃以上です)

黒部川第三発電所の経験から、地下300~400mであれば地温が60℃以下になるなどということは、断言できません。富山県のような地域では、ガラス固化体を格納したオーバーパックを覆うベントナイトは、乾燥して崩れ、地震や火山が勃発した場面で破損し、高レベル放射性廃棄物が外部に流出するでしょう。

その後NUMOは、地温勾配が2~3℃の地域を探し出して地層処分するなどといいはじめ、説明会で配布する資料(「科学的特性マップ」の説明資料)に、「例えば処分深度が500mの場合の地温勾配の基準は約9℃/100mとなる」などと記載したりします。NUMOのご都合に応じて、地球が地温勾配を約9℃に下げてくれるのでしょうか。僕は論争を試みましたが、「文献調査をすればわかることです」などといわれ、はぐらかされてしまいました。(つづく)

◎平宮康広 僕が放射性廃棄物の地層処分に反対する理由(全7回連載)
〈1〉日本原燃が再処理工場を新設する可能性
〈2〉ガラス固化体の発熱量は無視できても、地温は無視できない

▼平宮康広(ひらみや・やすひろ)
1955年生まれ。元技術者。オールドウェーブの一員として原発反対運動に参加している。富山県在住。

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《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

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《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/

◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000748

龍一郎揮毫

私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!