勝次が3ノックダウンで1ラウンド早々のノックアウト負け。最近にしてはあっけなく終わってしまった。

重森陽太もいつものパワー感じないノックダウン喫する敗戦、他団体のチャンピオンに敗れる。

リカルド・ブラボと高橋亨汰は安定感見せる圧勝。

瀬川琉は他団体チャンピオンのベテラン前田浩喜にノックダウン奪って判定勝利する成長を見せる。

5戦目の木下竜輔も判定ながら右ストレートのインパクトで快勝。

◎MAGNUM 56 / 7月24日(日)後楽園ホール17:45~20:10
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会

◆第10試合 63.5kg契約3回戦

WKBA世界スーパーライト級チャンピオン.勝次(藤本/63.45kg)
       vs
NJKFライト級1位.羅向(ZERO/ 63.2kg)
勝者:羅向 / KO 1R 2:44
主審:少白竜

開始早々は勝次が右ストレートで突っ掛けるも、その後、間を置いてサウスポーの羅向がパンチ連打で突っ掛ける反撃。対抗してしまった勝次は連打を貰ってノックダウンを喫してしまう。羅向は勢い付き、更に連打を浴びた勝次は2度目のノックダウンで、今度は足に来るダメージ。このラウンド乗り切れればという願い虚しく、ロープに詰まった際の連打を浴びて3度目のノックダウンを喫した勝次。羅向は歓喜の雄叫び。連打ながら決定打はいずれも左ストレートだった。正面に立ち過ぎ、またも悪いパターンとなった勝次。控室に帰っても無念さは晴れなかった。

羅向に打ち抜かれた勝次

三度倒されるあっけない幕切れ、勝次は打ち合いに散る

◆第9試合 62.5kg契約3回戦

WKBA世界ライト級チャンピオン.重森陽太(伊原稲城/62.25kg)
      vs
NJKFスーパーライト級暫定チャンピオン.真吾YAMATO(大和/62.4kg)
勝者:真吾YAMATO / TKO 3R 0:50
主審:椎名利一

いつもの鋭い蹴りが少なかった重森陽太。それでも序盤は蹴り負けない展開で調子を上げていく。第3ラウンドにはヒジ打ちで来る真吾に「ヒジ打ちなら負けない」と意地になったか。真吾のヒジ打ちで脆くもノックダウンを喫した上、頭部と鼻の横っ面に裂傷を負っていた為、ドクターチェックの末、レフェリーに試合を止められてしまった。

向き合ってしまった重森陽太、ヒジで真吾YAMATOと打ち合う

打ち抜かれた重森陽太、この後、裂傷で止められた。真吾AMATOは歓喜

◆第8試合 70.0kg契約3回戦

日本ウェルター級チャンピオン.リカルド・ブラボ(アルゼンチン/伊原/ 69.95kg)
       vs
タイ国ラジャダムナン系スーパーライト級7位.ゴンナパー・シリモンコン(タイ/ 68.8kg)
勝者:リカルド・ブラボ / KO 2R 2:07
主審:宮沢誠

リカルド・ブラボは冷静な試合捌き。体格差でも優るが、蹴りの強さでゴンナパーを圧倒。ロープ際から逃れようとするゴンナパーへハイキックでノックダウンを奪うと、勢い付いてパンチと蹴りで3ノックダウンを奪って快勝。

リカルド・ブラボのヒザ蹴りがゴンナパーの胸板に強烈にヒット

衝撃のスリーショット、ピーター・アーツも祝福にリングに上がった

◆第7試合 62.5kg契約3回戦

日本ライト級チャンピオン.高橋亨汰(伊原/ 62.4kg)    
       vs   
ポッシブルK(K’GROWTH/62.05kg)
勝者:高橋亨汰 / TKO 3R 0:26 / ドクターの勧告を受入れレフェリーストップ
主審:桜井一秀

様子見から高橋亨汰の先手打つパンチと蹴りの展開で上手さを発揮。主導権を奪い、最後はパンチで切る試合ストップとなったが、的確なヒットで試合をコントロールした。

試合運びが上手い高橋亨汰、ポッシブルKの動きを先読みする展開

◆第6試合 58.5kg契約3回戦

NJKFフェザー級チャンピオン.前田浩喜(CORE/ 58.25kg)vs 瀬川琉(伊原稲城/ 58.4kg)
勝者:瀬川琉 / 判定0-3
主審:仲俊光
副審:椎名28-30. 桜井28-29. 宮沢28-29.

開始から間もなく、瀬川琉が左ストレートでノックダウンを奪う。一瞬フラッシュダウンかと見られるも立ち上がりが遅い為、ノックダウンとなって前田浩喜らしくない流れとなった。瀬川は主導権を譲らない展開を守り判定勝利。

瀬川琉は他団体チャンピオンからノックダウン奪って成長を見せた

◆第5試合 フェザー級3回戦

木下竜輔(伊原/ 56.75kg)vs 仁琉丸(富山ウルブズスクワッド/ 57.5→56.95kg)
勝者:木下竜輔 / 判定3-0
主審:少白竜
副審:仲30-28. 桜井30-29. 椎名30-28.

木下は前回ジョニー・オリベイラを右ストレートで一発ノックアウトしたインパクトを持つ。その必殺ストレートは健在も、ノックアウトには成らなかったが主導権を奪い安定した試合展開で勝利を掴んだ。

木下竜輔、5戦目ながら強い右ストレートは健在

◆第4試合 57.0kg契約2回戦

中村哲生(伊原/ 56.75kg)vs GGオサム(E.S.G/ 56.3kg)
勝者:GGオサム / KO 1R 1:56 / 3ノックダウン
主審:宮沢誠

◆第3試合 女子フェザー級3回戦(2分制)

KAEDE(LEGEND/ 59.75→59.65kg)vs 小倉えりか(DAIKEN THREE TREE/ 57.15kg/6oz)
2.5kgオーバーにより減点2、グローブハンデ8oz
勝者:KAEDE / TKO 1R 1:46
主審:椎名利一

KAEDEは5月21日のカルッツ川崎でのDUEL興行で、女子(ミネルヴァ)スーパーバンタム級王座挑戦も、チャンピオン浅井春香と引分けで王座を逃がしている。ウェイトオーバーがどれほど優位に動いたかは分からないが、バックハンドブローは見事に決まってノーカウントのレフェリーストップTKO勝利で存在感を示した。

KAEDEはバックハンドブローで小倉えりかを倒す

◆第2試合 女子ピン級(-45.36kg)契約3回戦(2分制)

島田美咲(SQUARE-UP/ 44.4kg)vs AZU(DANGER/ 44.95kg)
勝者:島田美咲 / 判定3-0 (30-28. 29-28. 30-28)

◆第1試合 女子アマチュア37.0kg契約2回戦(90秒制)

西田永愛(伊原)vs 池田悠愛(MIYABI)
引分け 1-0 (19-19. 20-19. 19-19)

※コロナ感染により2試合が中止

《取材戦記》

勝ったり負けたりの勝次の置かれた立場はより苦しいものとなった。5月28日にはNO KICK NO LIFE興行で橋本悟に5ラウンドTKO勝利し健在ぶりを示したが、日本キック界のトップクラス的存在を見せ付けることは難しい状況が続く。偏見ながら、昔の選手のように長丁場の5回戦制で、打ち合わずに後半勝負に行けば勝ちに繋がった試合は多いかもしれない。

重森陽太も打ち合いに応じてしまったか、重森らしくないノックダウンで負傷による敗戦。衰えや相手を甘く見たといった気の緩みではないだろうが、偏見ながら、今後のファン注目のビッグイベントに起用されれば存在感は復活するだろう。

リカルド・ブラボは、“70kg級”の選手を意識し、RISE、RIZIN出場を希望した。その後に世界を目指すと言った発言はその可能性に期待感が高まる。世界と言えば幾つかある活性化しているワールドタイトルの頂点と、ラジャダムナンスタジアム殿堂王座があるだろう。70kgと言ってしまうところが外国人とはいえ今時の選手だが、ウェルター級からミドル級の、70kgに調整できるトップクラスの選手が今後の対象となるでしょう。

今後、話題を振り撒きそうなのが高橋亨汰と瀬川琉。試合運びが上手く、更なる上位進出が目前にあるところ、瀬川に於いては試合後に「タイトルに挑戦したい」とマイクアピールした。栗芝会長は「まだ駄目だな」と声を漏らすが、デビュー4年で15戦12勝(3KO)3敗となった今、勢いに乗ったまま挑戦もいいだろう。
各々の選手がモチベーション次第で、今後、浮上か衰退かの明暗が分かれるであろう興行でした。

新日本キックボクシング協会次回興行は10月23日(日)に後楽園ホールに於いて「TITANS NEOS.31」が開催予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年8月号

広島市東区の筆者の自宅の近くの地下では、現在、広島高速5号線二葉山トンネル(1.4km)が掘り進められています。

このトンネルは、広島駅の北口から、広島市東区の二葉山の下を通って、東区温品地区へ抜けるものです。高速五号線は、安芸府中道路=高速1号線と広島駅(都心)を直結する延長約4.0㎞の自動車専用道路です。

[左写真]奥がトンネル。広島市東区中山地区の筆者の自宅近くにて撮影。[右写真]広島駅の北口。トンネルはここから広島市東区の二葉山の下を通って、東区温品地区へ抜ける

「広島高速1号線を介して山陽自動車道広島東ICと直結し、広島駅周辺市街地と広島空港との間の高速性・定時性を確保するとともに、広島市北東部地区の交通渋滞の緩和が図られます。」というのが広島県と市が出資する広島高速道路公社の言い分です。これ自体が怪しいのですが、それ以外の部分であまりにも多くの問題が多発しています。

このトンネルは、2018年に工事が始まって以降、工期が二度も延長されながら、2022年7月12日、延長された工期がタイムオーバーとなってしまいました。しかも、1.8kmのうち、0.8kmしか進んでいないというのです。これにより、さらなる費用がかかることになります。今後は、公社と工事を請け負うJVの間で調停となるそうです。

近年、トンネルを含む土木建築技術の発達は目を見張るものがあります。一度着工すれば完成は早い。それが常識でした。ところが、この高速五号線二葉山トンネルはあまりにも多くの問題が多発しています。

◆2008年にいったん休止

広島高速5号線は、全体延長約4.0km(うち、トンネル区間約1.8km)で計画しており、2000年度に事業着手し用地取得等を進めてきました。しかしながら、同じ東区の北部の福田・馬木地区の広島高速1号線福木トンネル工事で地盤沈下が発生。地元の住民の方からトンネル建設に伴う地表面沈下や土砂災害などを危惧して反対運動が盛り上がり、県と市が藤田雄山前知事-秋葉忠利前市長の体制だった2008年度に事業を一旦休止しました。

2009年9月には、広島高速5号線トンネルに係る地域の住民生活等の安全性を確認するため、専門家で構成する「広島高速5号線トンネル安全検討員会」が設置され2012年に報告書がまとめられました。この時には県と市が湯崎英彦知事―松井一実市長の現体制に「政権交代」しています。

2012年12月には、公社は「最も地表面沈下の抑制に優れたシールド工法を採用すること等により、地域の住民生活等の安全性の確保が可能」と判断し、また住民の安心を確保するために、調査・計測管理を行い、工事による影響が発生した場合には「誠実かつ適切に」補償対応を行うなど、「必要な対策を総合的に講ずること」とし、広島高速5号線の事業再開を決定しました。

そして、住民代表が意見を述べる場などが何度か設けられるなどしました。

◆2018年、ようやく着工も早速シールドマシン損傷で中止

こうした経緯をへて、2016年5月31日、公社とJVが200億円でトンネル工事を契約。2018年9月、シールドマシンが広島駅北口方面から掘り進み始めました。ところが、12月、早くもシールドマシンの羽が損傷。工事は5か月に渡って中断しました。

◆いきなり工事予算増額

いっぽう、そのころ、別の問題も持ち上がりました。本工事は、2016年5月31日にJVと総額約200億円で工事契約を締結しましたが、その後、2017年2月にJVから実施設計に基づいて、契約額が増額する内容の見積書が提出されていたのです。これに対して、公社は契約後当初予定していない事柄で合理的な理由がある場合以外は契約額の変更は困難であるとの認識を示していましたが、2018年4月以降、JVから改めて、工事の完成に必要であるが契約に含まれていない費用があるとして、契約額の増額の要請があったそうです。「そうです」というのは、当時は、公社とJVで秘密裏にやりとりが行われていたからです。これを受け、契約に至る経緯等の精査を行った結果、公社は工事費についてJVと協議を行うこととし、2018年10月に公表しました。広島市民、県民にとっては寝耳に水でした。

そして、検証のため、第三者委員会が設けられました。委員会が2019年3月に出した結論は、
・本来必要な部分について、見積もりをしていなかったこと。
・200億円というのがあまりにも低すぎる価格であったこと
ということなどでした。

結局、2019年11月12日、87億円プラスの287億円で契約を結びなおすことになりました。

◆どさくさに紛れて凍結されていた事業も「解凍」

しかし、さらにここで、道路公社はどさくさに紛れて、凍結されていた事業まで再開してしまいます。

この高速五号線と二葉山トンネルは広島駅から北へ向かうものです。それを、広島市から南方にある呉へ向かう道路に無理やりくっつける事業などを「解凍」したのです。南へ向かうのに、いったん北へ向かってはねかえる。常識的に見ても、ガソリン代の無駄です。そんなルートを使う人はよほどの物好きでしょう。ましてやガソリンが高騰しているいまだったらなおさらです。そのために、さらに260億円を投入することになったのです。

ところが、県議会でも、市議会でもそのためにかかる予算を結局は認めてしまったのです。それなりに議論にはなったものの、自民党、公明党はもちろん、立憲民主党系の会派も含めて予算増額に賛成してしまいました。

わたしは、当時、立憲民主党系の議員もそれなりの質問はしておられたので反対を期待していたのに、採決では賛成に回ってしまった。がっかりしたのを覚えています。

◆そして、工事期間タイムオーバー

気が付けば200億円が547億円に。そして、今回、さらに、工事が完了せずに、タイムオーバーになってしまったのです。いったいどうなっているのでしょうか。広島県にも広島市にも呆れてモノが言えません。県当局のチェック体制はどうなっているのでしょうか?そして、それをさらにチェックすべき、県議会や市議会はどうなっているのでしょうか?

特に相対的に県議会はひどすぎます。国政で野党を名乗る政党所属の議員(日本共産党除く)も含めて、知事の湯崎さんが出す議案のイエスマンばかりです。こんな広島県で、広島県議会で大丈夫なのでしょうか?不信は高まるばかりです。

マスコミにも申し上げたい。河井案里さんの事件にみられるような政治と金だけが、政治不信の原因ではないのです。結局、マスコミも河井夫妻を叩けても、知事や市長をガツンと批判する度胸はない。それが今回の事態の背景にあります。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

『紙の爆弾』と『季節』──今こそ鹿砦社の雑誌を定期購読で!

今回取り上げる富士河口湖町女性新聞販売店員殺害事件については、冤罪の疑いがあること以前にそもそも事件の存在自体を知らない人が多いだろう。しかし、この事件の犯人とされている男性は、身に覚えのない罪により無期懲役という重い刑に服しており、まぎれもなく重大な冤罪事件だ。

まず、事件のあらましを説明したうえ、男性の雪冤のために必要と思われる情報を募らせて頂きたい。

◆12年余り前に山梨県の富士河口湖町で起きた事件

田中さんが指名手配された際は大きく報道された(山梨日日新聞2010年2月6日朝刊)

事件は今から12年余り前、山梨県の富士河口湖町で起きた。被害者は、この町の新聞販売店で配達や集金の仕事をしていた平尾恵美子さん(当時61)という女性である。

2010年2月1日、平尾さんは午前0時から店で朝刊の配達準備をする予定になっていたが、店に出勤してこなかった。そこで午前1時30分頃、同僚の男性が平尾さん宅のアパートを訪ねたところ、平尾さんは室内で首にビニールひもを巻きつけられて亡くなっていたという。

司法解剖では、平尾さんの死亡時刻は前日(1月31日)の夜7時から夜11時と推定された。その日は月末だったこともあり、平尾さんは集金した新聞購読代金や給料など多額の現金(裁判の認定では約57万円)を所持していたとみられる状況だったが、わずかな小銭以外は見当たらなくなっていた。こうした状況から犯人は金目当てで犯行に及んだ可能性が疑われた。

そしてほどなく平尾さんの知人である一人の男性が警察の捜査線上に浮上した。田中龍郎さん、当時57歳。甲府市内のマンションで高校生の長男と二人で暮らし、平尾さん宅の近くにあるフィリピンクラブで働いていた男性だ。

◆被害者に借金の返済を迫られていた知人男性が無期懲役の判決を受けたが……

田中さんは常に金に困っている人で、当時も長男の高校の授業料や住んでいたマンションの家賃をはじめ、生活の根幹にかかわる支払いの多くが滞っていた。そのため、周囲の人たちから借金を重ねていたのだが、とくに平尾さんからは多くの借金を重ねており、携帯電話のメールで返済を激しく迫られていた。田中さんが警察に疑われた第一のきっかけは、この平尾さんのメールの履歴だった。

さらに田中さんは事件後、額や頬にひっかき傷を負っていたうえ、警察が平尾さんの爪や着衣から採取したDNA型は田中さんのものと一致した。それに加え、事件後に田中さんが所持していた紙幣からも平尾さんの指紋が検出された。これだけ疑わしい事実が揃っていると、田中さんが警察に疑われたこと自体は仕方がないといえる。

警察はこれらの事実に基づき、田中さんを任意で厳しく取り調べたが、田中さんは頑なに容疑を認めなかった。しかし、任意の取り調べが4日続いたところで、田中さんは警察の呼び出しに応じず、逃走してしまう。警察がこの事態を受け、田中さんを指名手配したことにより、田中さんは平尾さん殺害の被疑者として大々的に報道され、真っ黒なイメージになった。

そして逃走中、知人にかけた電話を逆探知された田中さんは、静岡市内の温泉施設にいたところを強盗殺人の容疑で逮捕された。田中さんは逮捕後も一貫して無実を訴えたが、裁判では2010年8月、一審・甲府地裁の裁判員裁判で無期懲役の判決を宣告され、控訴、上告も棄却され、無期懲役刑に服することになった。

◆意外に乏しい有罪証拠

さて、こうしてみると、田中さんについては、有力な有罪証拠が揃っているような印象を受ける人もいるかもしれない。しかし実際には、田中さんの有罪を裏づける証拠は乏しい。

まず、田中さんが所持していた紙幣から平尾さんの指紋が検出された件について。そもそも、田中さんは平尾さんからお金を借りていたのだから、田中さんの所持していた紙幣から平尾さんの指紋が検出されるのは当然だ。こんなことは、およそ有罪の根拠にはなりえない。

また、田中さんの額と頬のひっかき傷や、平尾さんの爪などから田中さんのDNA型が検出されたことについては、田中さんはこう釈明している。

「事件当日、借金の返済猶予を頼んだところ、怒った平尾さんにメガネを叩き落され、その際に引っかかれる形になったのです」

この釈明にも何ら不自然なところはない。田中さんは平尾さんに借金を重ね、激しく返済を求められていたからだ。返済猶予を求めたら、平尾さんが怒るのも当然だ。

そして任意の取り調べが続く中、逃走した事情については、田中さんは「警察の取り調べが厳しく、死んで潔白を証明しようとした」と説明している。事実関係に照らせば、この説明も辻褄が合っている。田中さんは逃走中、以前住んでいた松本市を訪ね、知人に会ったり、子供が少年野球をしていたグラウンドに足を運んだりしており、死ぬ前に「思い出の地」をもう一度訪ねておきたいという心理が行動に現れているからだ。

このように有罪証拠が乏しい中、裁判で田中さんに極めて不利に評価された証拠が携帯電話の「位置情報」だった。

というのも、田中さんは事件当日、借金の返済猶予を頼むために富士河口湖町の平尾さん宅を訪ねた時間について、「午後4時30分ごろから午後5時ごろだった」と説明しているのだが、この時間帯、交際相手の女性に電話した際、携帯電話が富士河口湖町から20キロ余り離れた甲府市大里町の基地局と接続していた。そのため、裁判でこの田中さんの説明は信用されず、田中さんが平尾さん宅を訪ねたのは犯行時間とされる「午後8時前」と認定されたのだ。

だが、この認定にも疑問を差し挟む余地はある。というのも、田中さんが使っていた携帯電話のキャリアauのホームページでは、携帯電話の基地局に基づく位置情報は、最大で十数キロメートル程度の誤差があることが公表されているからだ。つまり、携帯電話の基地局に基づく位置情報は、信頼性が高い証拠とは認め難いのが現実なのである。

被害者の平尾さん宅

◆犯人を特定するための情報を知っている人が存在するとすれば、被害者のご長男

もっとも、この事件では、田中さんが犯人でなければ一体誰が平尾さんを襲い、金を奪ったのか……という問題が残っている。

というのも、事件現場となった平尾さん宅のアパートは長屋風のつくりで、裕福な人が住んでいるようには到底見えない。月末であれば、平尾さんが集金した新聞購読代金や給料など多額の金を所持することを知っている人も限られる。こうしてみると、見ず知らずの人間が突如、平尾さん宅を訪れ、金目当てに平尾さんを殺害するとは考え難いのだ。

そこで、私は平尾さんの親族に話を聞いてみたいと思った。しかし、平尾さんは出身地の北海道から1994年頃に富士河口湖町に移り住み、ずっと一人暮らしをしていた人で、その詳細な経歴はわからなかった。わかったのは、夫とは死別し、子供は長男が一人いるということくらいだった。

つまり、真犯人を特定するための情報を何か知っている人が存在するとすれば、この長男くらいだ。そこで今回はこの長男に関する情報をこの場で募りたいと思う。

平尾さんのご長男は、角田則幸さんという。1972年3月生まれだから、ご存命であれば現在50歳だ。以前は茨城県で毎日新聞の拡張員として働かれていたという情報もある。

角田則幸さんが現在どこで、何をしておられるかをご存じの方は私のメールアドレス(katakenアットマークable.ocn.ne.jp)までご一報ください。あるいは、角田則幸さんご本人が直接連絡をくださるなら、よりありがたく思います。

よろしくお願いします。

※メールで連絡をくださる人は、アットマークを@に変えてください。
※この事件については、2011年発売の『冤罪File』No.14に詳細な記事を書いているので、関心のある方はご参照頂きたい。

▼片岡健(かたおか けん)
ノンフィクションライター。出版社リミアンドテッド代表。編著『絶望の牢獄から無実を叫ぶ―冤罪死刑囚八人の書画集―』(鹿砦社)の電子書籍版が発売中。

「絶望の牢獄から無実を叫ぶ[改訂版]─冤罪死刑囚八人の書画集─」(片岡健編/鹿砦社)

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年8月号

◆住民投票を求める署名は約20万筆に!

大阪府と大阪市が、大阪湾の人工島・夢洲で計画を進めるカジノを含むIR構想を巡って、市民団体「カジノの是非は住民がきめる住民投票を求める会」が3月25日から62日間行ってきた署名活動は、最終的に約21万筆を集め、72市区町村の各選挙管理委員会の審査をへて、認証数は19万2773筆となった。これは、直接請求に必要な府内有権者数の50分の1の14万5609筆を上回っているため、7月21日「求める会」は、大阪府に署名簿を提出し、直接請求の手続きを行った。

7月21日に府庁前で行われた「カジノ住民投票を求める大阪府民アクション」の様子

当日は昼12時から府庁前で「カジノ住民投票を求める大阪府民アクション」が行われた。平日の真昼間にも関わらず,約600名もの市民が集まり、72市区町村府民のミニアピールの後、ヒューマンチェーンで府庁を取り囲んだ。2時より、求める会共同代表の西澤信義神戸大名誉教授、山川義保事務局長らによって署名簿提出と請求手続きが行われた。記者会見後の4時過ぎ、大阪府企画制作部秘書課・総務部法務課・IR推進局に対して「吉村知事との直接面談を求める」要望書と知事への手紙・書簡が手渡された。 なお、その場で、山川事務局長が、吉村知事への伝言を読み上げた。

「吉村知事は、署名が集まってこうして請求をする前から、住民投票は必要ないと思うと発言。それから反対派の意見を聞くということをおっしゃいました。ところが私たちが会を代表して直接面談を求めましたが、テレビでは反対派の声を聞くと言いながら、大阪府として私たちとは直接面談をしないとおっしゃった。こうことがあるから署名運動をしなければならなかったのではないですか、とお伝えいただきたい。」

また「議会において十分な審議がされていない、もしくは、IRカジノ計画の内容が変わったということが880万人の府民に対してしっかりとした住民の納得が得られていない。そういうことを振り返っていただき、1977年以来、45年ぶりに行われた大阪府下での住民投票の重さを知事にわかっていただきたい。21万筆の署名だけでなくもっと多くの府民が住民投票を望んでいる。その民意を無駄にしない、ということを肝に据えて行政に望んでいただきたい。」


◎[参考動画]『署名の重みわかってほしい』約19万筆の“IRの賛否問う住民投票求む署名”を府に提出(MBS NEWS 2022年7月21日)

◆どうして21万筆もの署名が集まったのか?

 

カジノを含むIR構想については、吉村知事、松井市長は、よほど府民に知られたくないのか、府や市の広報紙で周知させることもなく、住民説明会も、コロナを理由に8回しか行わなかった。潮目が変わったのは、昨年12月だ。松井、吉村は、ことあるごとに「カジノに税金は使わない」と公言していたが、夢洲の液状化・土壌汚染対策に、790億円もの税金が投入されることが判明したのだ。しかも、事業者の言いなりで、今後も税金投入は青天井に膨らむと予測される。

「カジノで儲けて福祉に回す」とも公言していた松井だが、コロナで状況は激変し、カジノで経済再建が出来るのかにも疑念が強まった。2月16日、事業者にきまった米国MGMとオリックスの合弁会社「大阪カジノ会社」と、府・市が締結した「基本協定」によれば、初期投資1兆0800億円、経済波及効果は1兆0400億円、年間売り上げは5200億円(うち8割の4200億円がカジノ収益)、更に大阪府には、年740億円の納付金、入場者収入320億円と120億円の税収が入るとの試算が出された。バクチで負けた人の金を、福祉に回すという発想自体がおかしいが、「こんなご時世だから、カジノでも経済が潤うならば……」と考える人もいるだろう。

しかし、この「儲け話」自体が真っ赤な嘘であることが徐々に暴かれてきた。2019年12月の基本構想から、IR施設の延べ床面積は3分の2、展示場は5分の1に削減・縮小した。2018年の参議院本会議で安倍首相(当時)が「国際競争力の高いIR施設でなければ許可しない」と断言したが、到底その基準を満たしてはいない。松井のいう「経済波及効果1兆円」を達成させるには、カジノに年間6兆円の賭け金が必要だが、全国の誰もが利用するセブン・イレブンの国内売り上げが約5兆円、近年、男女問わず気軽に、1000円程度で楽しめるJRA(日本競馬)の掛け金の全国合計3兆円……それよりカジノが儲けられると、誰が考えるだろうか。

コロナでインバウンドが激減したこともあるが、もともと外国の富裕層を日本のカジノに連れてくる「ジャンケット」(カジノ誘客業者)は、日本のカジノでは認められていないため、カジノ来場者のターゲットにされるのは、日本に住む人たちだ。

1兆円の経済波及効果達成のためには、年間1070万人の入場者数を確保しなければならない。そのためには、日本に住む20才以上の10人に1人が、入場料6000円を払って入場し、全員が1日約60万円使う必要がある。(ちなみに子供から大人まで入場して楽しめるユニバーサルジャパンでの年間入場者で1430万人だ)

更に問題なのは、大阪IRは、35年契約のうえ、その後も30年の延長が可能で、実質60年のライセンスという異例の長期契約になっている(マカオのライセンスは、20年から10年と厳しくなったばかりだ)。更に呆れかえるのは、カジノで収益が生じる、つまり黒字に転じるのは、営業開始から54年後、2076年だというのだ。お笑い好きの大阪人なら、ここでずっこけて転んでみせるか、「なんでやねん」「どうも~」で舞台をはけていくだろう。

7月21日、大阪府庁を約600名によるヒューマンチェーン(但し無言で手を繋がずに)取り囲んだ

◆「今だけ、金だけ、自分だけ」の大阪維新

何故、このような「いちかばちか」というより、「負け」が決まっているカジノに大阪維新がなりふりかまわず突き進むのか。答えは簡単で、自分たち及び関連業者が儲かるからだ。私の住む釜ヶ崎のセンター解体、建て替え問題でもそれははっきりしている。

「耐震性に問題がある」と言いながらセンター解体をもくろんだものの計画はとん挫したままだが、解体後どうするかの明確なビジョンもないまま、センターを強制的に閉鎖、維新関連業者に多額の税金をつぎ込み、南海電鉄高架下に作った仮庁舎は、開業まもなく天井から雨漏りするようなずさんな工事がなされている。維新関連業者の南海辰村建設は、どれだけ中抜きし儲けているのか?

「2050年二酸化炭素排出量実質ゼロ」を表明しながら、大気中の二酸化炭素を吸収してくれる樹木を、街路樹でも公園でもばっさばさと伐採、「木を切る改革」に必死になるのも、維新関連の造園業者を儲けさせるためだ。

省エネ推進、節電のご協力を訴えながら、御堂筋や市役所をキラキラの電飾で飾るのも、通天閣を無駄に青や黄色にするのも、安倍元首相の祖父・岸信介と共に旧統一教会を日本にひき入れた笹川良一の子分だった松井一郎の父・良夫氏が、笹川との関係で住之江競艇場の照明・電気設備関係工事を一手に請け負けるため作った株式会社「大通」で儲けるためだ。 「今だけ、金だけ、自分だけ」儲ければいいという維新に、大阪の未来を任せるわけにはいかない。そのためにも維新が必死のパッチのカジノを必ず止めていこう!

現在、IRカジノを所轄する国土交通大臣の斎藤鉄夫氏と、内閣総理大臣・岸田文雄氏に対して、大阪府が申請したカジノの誘致計画を認可しないでくださいという署名が行われている。これは「いしだはじめ」さんがchange.orgで始めたキャンペーンで、大阪府民だけではなく、全国、海外の人々も署名できるようだ。この取り組みは末尾記載の通り、カジノ反対9団体として実施し、ネット署名だけでなく、実署名も行われている。

change.org「大阪カジノ誘致計画を認可しないでください」(※本画像をクリックすると署名サイトに移動します)

◆7月29日、再び大阪府庁へ集まり、「住民投票を行え」の声をあげよう!

署名簿の提出を受けた吉村知事は、7月29日(金)13時から、条例案を審議するため大阪臨時府議会の開会を決めた。求める会は、それまでに、議員らに「住民投票条例案に賛成してください」とFAXを送ったり、直接申し入れを行っている。大阪府議会は、大阪維新の会の議員が過半数を占めるため、まともな審議も行われず即日否決されると予想されている。しかし、それで、カジノを止める闘いが終わったわけではない。審査中の国土交通省などへ「カジノの許認可しないでください」とさらに強く訴えていこう。

◆7月29日金曜日の臨時府議会当日行動について

1)8:00~9:00 朝情宣行動 京阪天満橋駅前交差点→
2)大阪府庁舎前座り込み(南側)10:00~12:30→
3)傍聴行動 12:30頃から→
4)意見陳述(6人で計30分)を予定→
5)記者会見(本会議終了後)


◎[参考動画]【IR計画に“待った”】「人の不幸の上に経済活性化して誰がうれしいねん」(MBS NEWS 2022年5月10日)

▼尾崎美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

『紙の爆弾』と『季節』──今こそ鹿砦社の雑誌を定期購読で!

安倍晋三さんが7月8日、参院選の応援演説中に山上徹也被疑者に奈良で暗殺された事件を契機に統一教会に焦点が当たっています。

山上被疑者の母親が統一教会(現・家庭連合)の信者で、教団に多額の献金をして山上家は破綻しました。そして、被疑者が教祖を暗殺しようとしたが、未遂に終わり、熱心なシンパと被疑者が考えた安倍晋三さん暗殺に切り替えた、ということが報道されています。

◆統一教会が自民党に取らせている「家庭主義」

統一教会と自民党の癒着に関する問題のひとつは、このような団体を大物政治家が推奨したようなイメージを与えたことはもちろん大きいものがあります。しかし、もうひとつは、統一教会が自民党の政策や政治姿勢に大きな影響を与えていることはもっと注目されるべきです。もっと言ってしまえば、特に日本の庶民、とくに女性の生きづらさの震源地は、統一教会が自民党にとらせている政策や政治姿勢に震源地があるのではないか?ということです。

また、現役の介護福祉士である筆者からすれば、介護、保育を含む労働者の給料が不当に低く抑えられているのも、統一教会のイデオロギー「家庭主義」ないし「家族主義」がひとつの震源地ではないか?ということです。

もちろん、家庭を大事に、といいながら、山上家を含む全国の多くの家庭をぶっ壊した実態は、まさにブラックジョークですが、それはそれとして、同教団のイデオロギーが最大与党の自民党に影響し、それが日本のアップデートを阻んでいるのではないか?と思うのです。

◆「男女平等=共産主義」と決めつける統一教会の方々

筆者は、2011年に河井案里さんと対決するために県議選に立候補して以来、11年以上、広島市を地盤として政治活動を続けています。2013年参院選(予備選挙)、2021年参院選再選挙に立候補しました。こうした中で選挙期間以外には、政治活動としての戸別訪問も行います(選挙期間中の戸別訪問は禁止。)。そういう中で様々な方にお会いします。その中には、統一教会系の方にも結構遭遇します。以下に筆者が遭遇した典型的な人物像を挙げます。

それは、女性なのになぜか、自民党の男尊女卑的な言動で有名な議員を熱烈に応援されている方々(複数人)です。筆者は最初、そうとは知らずに、戸別訪問した先の方から「今度、こういう人たちがあつまるから、来てみないか?」と紹介されました。

筆者も、最初にお会いした時は相手が女性ばかりということもあり、また、筆者の「広島市男女共同参画審議会委員」という肩書も紹介しながら
・家族を介護する方を支援する法律・条例の制定
・介護や保育現場の給料アップ
・非正規労働者への差別廃止
・DV・性暴力被害者支援
などを軸にお話します。

そうすると、相手の顔色がみるみる変わります。

「男女平等なんて共産主義だわ!」
「保育園なんて共産主義よ!」
「仲よくすればDVなんて起きないわよ!被害者支援なんて家庭を崩壊させるだけ。」

まるで、スイッチが入ったようにわたしが掲げている政策を共産主義と決めつけ、マウントをとってくるのです。その上で、「そんなことを言っていたら一票も入らないわよ」というわけです。

噴き出しそうになるのをこらえながら、お話をさらに伺っていると、統一教会系とみられる(あとでネット検索したら確かにそうとわかった)いかにも「怪しげな」イベントに来ないか?と水を向けられるのです。これはやばいとおもって、丁重にお断りはします。こうした方々との会話を思い出すたびに、腹の皮がよじれそうなくらい笑ってしまいます。

◆信者が「一騎当千」の働きで自民党に多大な影響

しかし、実は、こうしたことは笑い事ではない。一つは、彼女らが山上被疑者の母親のようになっていないか心配であるということです。

もうひとつは、こうした方々は、自民党の男尊女卑で有名な議員を選挙の時は、まさに一騎当千の働きで応援されているからこその心配です。

筆者は公明党・創価学会の方で親しい方も少なくはありません。ただ、公明党・創価学会の方々はいわゆるジェンダー解体という点では筆者と考え方は全く一致します。夫婦同姓強制の廃止や脱原発などの考え方で共通する方も特に婦人部では多い。また、一騎当千という感じではなく、数で押してくるイメージがあります。

しかし、統一教会系の方は「少数精鋭」でガンガン自民党の議員の選挙スタッフとして頑張っておられる特に女性が多いように見えます。そして、(女性なのに)「極端な男尊女卑」で「緊縮財政主義」者という点が判を押したように共通しています。日本会議の方もそれなりに存じていますが、日本会議の方はどちらかというと、積極財政主義の方もおられるなど、緩やかな感じがします。

◆自民党改憲案24条・83条にみられる「統一教会」の影

さて、「極端な男尊女卑」で「緊縮財政主義」というのは、実は、自民党の憲法草案に盛り込まれています。

【憲法 第24条(家族、婚姻等に関する基本原則)】
一 婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
二 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

【自民党憲法改正草案第24条】
一 家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。
二 婚姻は、両性の合意に基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
三 家族、扶養、後見、婚姻及び離婚、財産権、相続並びに親族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

【日本国憲法第83条】
国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。

【自民党憲法改正草案第83条】
第1項 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて行使しなければならない。
第2項 財政の健全性は、法律の定めるところにより、確保されなければならない。

◆男尊女卑に直結する家庭主義・家族主義的改憲

自民党は、統一教会の言う通り、個人ではなく家族を単位としているわけです。現代でも、そうはいっても、圧倒的多数の夫婦で女性の方が改姓をしている(筆者の場合、本名は妻の氏で戸籍筆頭者も妻ですが)状況もあります。こうした中で家庭ないし家族を社会政策上の単位としてしまうと、男尊女卑寄りにパワーバランスは傾いてしまうでしょう。自民党案24条のような社会政策の単位を家族とするのは家庭主義ないし家族主義といえますが、それは男尊女卑に直結します。

◆介護・保育を家族に押し込む24条と83条改悪の組み合わせ

さらに言えば、83条の健全性という名の緊縮財政条項と組み合わされば以下のようなことになります。

「育児や介護は国に頼らずに家庭で抱え込め。」

では実際にだれがやるか?

そうはいっても、妻であり、母であり、嫁である女性がやることをそうはいっても現状では期待されることになる。昔と違って今は、専業主婦家庭のほうが珍しくなってきました。

だが、今度は「仕事もして育児も介護もきちんとしろ」ということを女性に要求することになる。これが今はなき安倍晋三さんの「女性活躍」の実態でしょう。

昭和時代よりもハードモードとさえいえる。そして、その背景には「介護や育児など、たいしたことがないから女性にやらせておけ」というイデオロギーがまだ厳然とあります。

「たいしたことなければ男性もやればいいじゃないか?」と突っ込みたくなるのですが、なぜか、彼らは逃げ出すわけです。「何にもしない父親・夫。」これは確かに筆者の同僚の女性から存在は確認できます。

一方で、介護が「家族の女性がやることだから」と軽く見られて、手当てが十分でないからこそ、男性しか介護する家族がいないと、これはこれで追い詰められて悲惨なことが起きやすくなります。筆者も介護福祉士として事例を多く拝見してきましたし、男性介護者による介護殺人は広島県内でもしばしば報道されているところです。そして、最近ではヤングケアラーが深刻化しています。「母、妻、嫁」である女性にケア労働を押し付けてきたつけがいま、いろいろな形で子どもや男性も巻き込んで噴出しています。

もちろん、介護も保育も介護保険や保育園という形で社会化は進んでいます。だが、やはり「女性の仕事だから」ということで、低く見られ、仕事のハードさのわりに給料が低く抑えられています。

「女性差別」というよりは「女性虐待」「女性酷使」といったほうがいいかもしれません。そしてそれとセットで筆者ら男性も含む介護士や保育士の低賃金があるわけです。

一方で、介護保険の全面3割負担、人工透析者へのサービスのカットなども財務省は提案し続けています。

憲法24条、83条が改悪される前から、すでに憲法が改悪されたような状況になっているともいえます。

そして、筆者も含む積極財政派に財務省は緊縮財政の根源と批判されています。しかし、その財務省とて、安倍晋三さんの友人の怪しげな企業や学校法人などへのお金の流れは標的にしません。しかし、介護保険の改悪には張り切って取り組むわけです。財政健全化といっても、安倍さんのお友達には甘く、庶民に厳しく、なのです。

◆生活保護「扶養照会」を温存する統一教会的イデオロギー

また、生活保護受給にあたって、扶養照会という制度があります。三親等以内の親族に扶養できるかどうかを紹介するものです。しかし、そもそも、本人が困って窓口に駆け込んでいるのですから、照会してもほとんど無意味です。公費の無駄でしかない。しかし、照会されることを嫌がって申請をあきらめてしまう人もおられます。従って、厚労省も「扶養照会はしなくていい」という扱いにしています。旧統一教会の影響で「家族は相互に助け合わなければならない」というのを憲法に書いてしまうと、それこそ、この扶養照会が強化・復活することになってしまいます。

◆「高度成長期」の遺物の「家庭主義」

そもそも、家庭主義・家族主義というのも、高度成長期の遺物とも言えます。ざっくりいえば、「世帯主である男性が裕福か大手企業正社員であれば、家族は、住まいも教育も安心。」という仕組みです。それと裏表で「女性が介護や育児、家事などを全面的に担う」というものです。しかし、世帯主の安定が崩れると、家族も悲惨なことになる社会の在り方です。

いまや、日本はいわゆる失敗国家以外では唯一といっていいほど30年間、給料がアップしませんでした。そして、新自由主義・規制緩和のもとで、非正規雇用も増えています。そうした中で、今度は共働きの中で介護や育児などを相変わらず「軽視」したうえで、相変わらず女性に多く負担させることを前提にしています。一方で、低賃金で生活に困っている単身者も増えています。そうした中で、きちんと人々の給料を上げる方向や、学費無償化含めて社会政策の単位を個人にしていく方向で財政出動をしていくことが大事です。

なお、立憲民主党の一部にも統一教会と親しい方がおられるのは、大手企業労組の幹部でも、こういう「家庭主義」の路線の方がいらっしゃるということでしょう。実際に、筆者が「連合」系労組の役員をさせていただいた経験からそれは感じます。

◆人々のくらしの再建と日本のアップデート阻む「統一教会・自民党」からの卒業を

信教の自由は誰にでもあります。安倍晋三さんら政治家が何を信じようが人に迷惑にならない限りにおいて勝手です。しかし、今回、筆者が強調したいのは、宗教が選挙スタッフを送り込むなどの形で政策決定に大きな影響を与えているのではないか?という問題です。

その結果として、すでに「庶民に対する」緊縮財政で人々の暮らしは壊れていることです。そして、特に若い女性にとっていづらい古臭い国になっていることです。
「創価学会・公明党」とよく言われますが、これからは「統一教会・自民党」と呼んだ方がいい。そしてその「統一教会・自民党」のイデオロギーから日本が卒業しないと大変なことになる。いや、もうすでになっている。そのことは声を大にして申し上げたいのです。
 
▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

『紙の爆弾』と『季節』──今こそ鹿砦社の雑誌を定期購読で!

新聞社と警察の連携は、ジャーナリズムの常識では考えられないことである。「異常」と評価するのが、国際的な感覚である。本来、ジャーナリズムは公権力を監視する役割を担っているからだ。

読者は、全国読売防犯協力会という組織をご存じだろうか。「Y防協」とも呼ばれている。これは警察とYC(読売新聞販売店)が連携して防犯活動を展開するための母体で、読売新聞東京本社に本部を設けている。こうして警察と新聞社が公然と協力関係を構築しているだ。他にも読売新聞社は、内閣府や警視庁の後援を得て、「わたしのまちのおまわりさん」と題する作文コンクールを共催するなど、警察関係者と協働歩調を取っている。

これらの活動のうち、住民にとって直接影響があるのは、Y防協の活動である。
その理由はYCの販売網が、全国津浦々、街の隅々にまで張り巡らされているからだ。それは住民を組織的に監視する体制が敷かれていることを意味する。

全国読売防犯協力会(Y防協)のウエブサイト、福知山の「青色防犯パトロール」を紹介した記事

「防犯活動」について、Y防協の清水和之会長は次のように述べている。

わたしたちの防犯活動の基本は「見ること」と「見せること」です。街をくまなく回って犯罪の予兆に目を配ります。そして、防犯パトロールの姿を犯罪者に見せつけ、「この街は犯罪をやりにくい」と思わせることも狙っています。さらに、新聞のお家芸である情報発信なども含め、活動の目標は次の4点に集約できると思います。

・配達・集金時に街の様子に目を配り、不審人物などを積極的に通報する

・警察署・交番と連携し、折り込みチラシやミニコミ紙などで防犯情報を発信する

・「こども110番の家」に登録、独居高齢者を見守るなど弱者の安全確保に努める

・警察、行政、自治会などとのつながりを深め、地域に防犯活動の輪を広げる

日ごろから地域のみなさんのお世話になっているYCスタッフたちは、少しでも地元のお役に立ちたいと思っております。街で見かけたときは、気軽に声をかけていただければ幸いです。

※出典 https://www.bouhan-nippon.jp/about/greeting.html

Y防協は、セイフティーネットとして機能する半面、「防犯」の定義が不明で、拡大解釈によっては、根拠のないことで住民が警察へ密告されるリスクもある。たとえば集金員が訪問した民家で、人々が集まって議論してる光景に遭遇して、不審者と思い込み、警察に通報する可能性もあるかも知れない。

新聞販売店やセールス団のスタッフがなにを基準に「不審人物」と判断するのかも分からない。路上での押し売り、不法投棄、恫喝、暴力などは通報対象になっても、市民のプライバシーに関することが保護されるとは限らない。

◆北海道のローカル紙が読者の個人情報を収集

もう10年以上も前になるが、北海道のあるローカル紙の販売店を取材したことがある。驚いたことに、販売店のコンピューターには、読者の個人情報を入力するフォーマットがあり、そこには読者の宗教や組合活動の有無に関する情報を記入する欄もあった。記入欄は細かく分類されていた。名目上は、営業のための資料ということになっていたが、この新聞社の場合は、コンピューターがオンラインで発行本社とつながっていた。読者の個人情報が新聞社に筒抜けになっていたのだ。

読者の個人情報が新聞社に入った後、どのように処理されているのかはまったく分からななかった。おそらく読者も自分の個人情報がどのように扱われているのかは把握していない。

Y防協が集めた情報につても、警察に入った後の扱いはよく分からない。本人が知らないうちに記録・保存されている可能性もある。「通報」は、あくまでも通報者の主観に基づいた一方的な行為で、情報の評価は警察の手に委ねられているからだ。

◆Y防協と連携している都道府県警察

現時点で全国読売防犯協力会は、新潟県を除く46の都道府県の警察と覚書を交わしている。2005年11月の高知県警を皮切りに、締結の順番は次の通りである。

高知県警:2005年11月2日
福井県警:2005年11月9日
香川県警:2005年12月9日
岡山県警:2005年12月14日
警視庁 :2005年12月26日
鳥取県警:2005年12月28日
愛媛県警:2006年1月16日
徳島県警:2006年1月31日
群馬県警:2006年2月14日
島根県警:2006年2月21日
宮城県警:2006年2月27日
静岡県警:2006年3月3日
広島県警:2006年3月13日
兵庫県警:2006年3月15日
栃木県警:2006年3月23日
和歌山県警:2006年5月1日
滋賀県警:2006年6月7日
福岡県警:2006年6月7日
山口県警:2006年6月12日
長崎県警:2006年6月13日
茨城県警:2006年6月14日
宮崎県警:2006年6月19日
熊本県警:2006年6月29日
京都府警:2006年6月30日
鹿児島県警:2006年7月6日
千葉県警:2006年7月12日
山梨県警:2006年7月12日
大分県警:2006年7月18日
長野県警:2006年7月31日
福島県警:2006年8月1日
佐賀県警:2006年8月1日
大阪府警:2006年8月4日
青森県警:2006年8月11日
秋田県警:2006年8月31日
神奈川県警:2006年9月1日
埼玉県警:2006年9月14日
山形県警:2006年9月27日
富山県警:2006年9月29日
岩手県警:2006年10月2日
石川県警:2006年10月10日
三重県警:2006年10月10日
愛知県警:2006年10月16日
岐阜県警:2006年10月17日
奈良県警:2006年10月17日
北海道警:2006年10月19日
沖縄県警:2008年6月12日

全国読売防犯協力会(Y防協)のウエブサイト、都道府県警察との覚書締結のリスト

◆読売内部から疑問はあがらない

改めて言うまでもなく、新聞社は言論機関である。少なくとも表向きは、独立したジャーナリズム企業である。

わたしが不思議に思うのは、読売新聞社の内部から警察との県警を断ち切ろうという声が上がらないことである。少なくともわたしはそのような声を聞いたことがない。新聞社は公権力と連携してはいけない。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年8月号

黒薮哲哉『禁煙ファシズム-横浜副流煙事件の記録』

安倍晋三元総理が銃殺されて以来、メディアと論壇は混迷の様相を呈している。テロ事件(政治暴力)とみるべきか、それとも統一教会への怨恨の延長、すなわち法的には自然犯罪であるのか、と。

典型的な議論は、自民党が統一教会(現・世界平和統一家庭連合)とズブズブの関係にあったから、安倍元総理が殺されたのだ(自業自得)という解釈に対し、それ(自民党と統一教会の関係)とは関係なく、政治テロ自体を批判するべきだという相克がある。

◆福島瑞穂の発言をめぐって

たとえば7月10日のニコニコ選挙特番で、社民党の福島瑞穂が統一教会に触れたところ、出演者の東浩紀氏らが激怒した。

問題となったのは安倍元総理の銃撃事件などの質問を受けた場面で、福島瑞穂が「まだ詳細は分かっておりませんが統一教会との関係も言われています。詳細が明らかになると同時に、もし自民党が統一教会を応援していることが問題とされたのであれば、まさに自民党が統一教会によって大きく影響を受けていることも日本の政治の中で問題になりうると思っています」とコメントした件だ。

この発言を聞いたコメンテーターの三浦瑠麗(国際政治学者)は、やや動揺気味に「現時点で完全な裏取りができていない上に、ましてや統一教会と安倍さん、あるいはファミリーがどういう関係にあるかは何の証拠もない状況なんですよね」と述べ、福島に対して発言を自重するように求めた。

その後、福島瑞穂が居なくなると同時に東浩紀氏が怒り気味に「あのこれさ、自民党は統一教会と関係しているからこのようなテロを招いたということを言った? もしかしたら」というようなコメントをしたところ、主演していた石戸諭や夏野剛らも福島の発言を批判するコメントを連発したのだ。

大変な問題発言だとして、ニュース(放送事故)になるレベルの信じがたい発言だと繰り返した。東らの深読みは否めない。

一連のやり取りはネット上で話題となり、その書き起こしがツイッターで1000回以上リツートされるなど注目を集めたという。

おもに、こういう反応である。

福島瑞穂氏が生放送中に統一教会を語りだす⇒出演者らが大激怒! 三浦瑠麗&東浩紀「裏取りができていない」「テロを許容するって話」。「いや、福島瑞穂は自民党と統一教会の公然たる蜜月関係が、自民党の政策に反映されている、と言っただけ」などと。

三浦瑠璃は、フジテレビの情報番組めざまし8で「彼(容疑者)の妄想に加担してはいけない」と発言。つまり、山上容疑者は安部晋三元総理と統一教会の関係を「妄想」しているのであって、その動機に正当性はないというものであろう。正当性はないが、動機は「妄想」させた事実関係にあるはずだ。

福島発言に激昂した感のある東浩紀は、SNSでこう振り返っている。東には「統一教会を擁護している」との批判が出たので、それへの弁明でもある。

「当該番組を見ていただければわかりますが、ぼく、東浩紀は、統一教会(現在は『世界平和統一家庭連合』ですが、こちらの名称のほうが知られているのでこちらで記します)を擁護しておりません。また安倍元首相銃撃事件犯人の動機が統一教会と関係がないとも発言しておりません。」

「ぼくが当該番組で表明したのは、福島瑞穂・社民党党首という公人が、多くの視聴者が見ている番組で、ほとんど文脈もなく、そのような誤解を生みかねない発言をしたことに対する驚きです。同じ驚きは、番組中、他の共演者にも、また視聴者のコメントでも共有されていました。ぜひ番組をご覧ください。」


◎[参考動画]【参院選2022】開票特番|三浦瑠麗、東浩紀、石戸諭、夏野剛と見守ろう(ニコニコ選挙特番7月10日放送 動画3:01~)

◆自民党の統一教会癒着と暗殺は別問題

それにしても、自民党と統一教会の関係を知らぬ者は少ないであろう。マスコミが意識的に報じて来なかったのも、自民党に忖度したからにほかならない。

「日刊ゲンダイ」が7月18日付で、ジャーナリスト鈴木エイトの調査に基づいて、教団と関係のある国会議員リストを報じた。100人超のリストから、過去に教団側とカネのやりとりがあった議員をピックアップしている。

「旧統一教会に関係する個人や団体から、関連政治団体が献金を受け取っていた国会議員は〈別表〉の計5人。特に下村博文元文科相の場合、代表を務める政党支部が「授受」の双方に関わっていた。12年には旧統一教会の関連団体「世界女性平和連合」に会費として1万5000円を支出。逆に16年は教団の機関紙を発行する「世界日報社」から6万円の献金を受け取った。下村氏本人は13、14年に世界日報のインタビュー記事に登場していた。」

「自民党の閣僚級では萩生田光一経産相、井上信治前万博担当相、加藤勝信前官房長官が、ほかにも小田原潔氏、大岡敏孝氏、高木啓氏、高鳥修一氏、奥野信亮氏の各衆院議員と上野通子氏。」と。

だから「自民党の政治家は殺られても仕方がないのだ」とはしかし、けっして言えない。ロシアのウクライナ侵略の背景に、NATO(アメリカ)の徴発や謀略があったからといって、プーチンの開戦責任を免責できないのと同じである。

そしてこれは、暴力反対を一般的に言っているのでもない。たとえば権力の暴力に対して、人民(市民)が暴力で対抗することも歴史的にはあった。遠い昔の話ではなく、つい数十年前の日大闘争や三里塚闘争がそうであった。右翼や機動隊の殺人を厭わない暴力に対して、暴力をもって反撃する権利が人民にある。だが今回、山上容疑者は選挙中の、言論で行なうべき闘いを銃の暴力に置き換えてしまったのである。

◆報道する側の基本的なスタンスとは

事件を報じる原則に立ち返ってみよう。

MBSの西靖アナウンサーは、報道の基本スタンスをこう述べている。

「容疑者の中での妄想的な殺害に至る思考回路と、安倍さんと旧統一教会とのつながり、統一教会の歴史、そのカルト的な側面というのは、一つずつ切り分けて考えなくてはいけない」と。

「それぞれを、ちゃんと事実を見て、統一教会が過去に話題になった時から今に至るまで、体質として、その体質が残ったまま続いていたことを我々見逃していたというか、ちゃんとクローズアップしていなかったところはメディアも含めて反省だと思う」と自戒の念を込めて語る。

その上で「(統一教会が)その性質を残したまま、自民党なり安倍さんとのつながりがどの程度のものだったのか。それが何かしら影響があったのかなかったのか。そうしたところを丁寧に見ていくということは、彼の犯行が許されないということとは別に、ちゃんと見なきゃいけないところだと思います」と。事件の本質はテロ(選挙の自由妨害)だが、その背景はまた別に論じるべきなのである。

CBC特別解説委員の石塚元章のコメントにも、報道人としての基本が述べられているので、挙げておこう。

山上徹也容疑者が動機について「母親が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に多額の寄付をして家庭が崩壊した」と供述していることについて、石塚は「だから安倍総理を襲撃していいのか、というのは全く別の話、これは大前提です」と前置きした上で、「ただ、あえて言うと、旧統一教会はかなり問題をはらんでいる団体であることは間違いないので、それを安倍元総理がご存じなかったはずはないと思うんです。有名な話ですから」と指摘する。「じゃあ、なぜそこの広告塔を、安倍元総理はおやりになってしまったのか」と。

石塚は芸能界を例に「ちょっと違うかもしれませんけど、詐欺グループの会社の宣伝にタレントさんが出てたってなると、問題になってタレントさんがしばらく番組に出られないとか自粛するとか、そういうこともいっぱいあるわけでしょ。それで言ったら、こういう“褒められたことをやってないよね”っていう組織の広告塔をやってしまったという事実は間違いなくあるんじゃないか」と云う。政治家が芸能人よりもはるかに、公的な存在であるのは言うまでもない。

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年8月号

一つ一つの試合にテーマがあり、次へ繋げる目標持った選手の頑張りが見られた幾つもの試合。

応援してくれたステージ側の仲間へ感謝を述べた永澤サムエル聖光

永澤サムエル聖光が終始圧力を掛けWMOインターナショナル・ライト級王座獲得。

モトヤスックは僅差ながら小原俊之に判定勝利。持ち味出した両者の攻防。

藤原乃愛がヒジ打ち有効ルールで女子ムエタイ戦士を迎え撃っての圧勝。

瀧澤博人は11月の興行に向け自己アピール目指すも、判定勝利でマイクは控えめ。

光成は6月12日に市原臨海体育館でチャンピオンの今野顕彰に挑戦予定だったが、今野の怪我による引退の為、ボーイとの査定試合にKO勝利でこの協会ミドル級王座に昇格認定。

◎KICK Insist.13 / 7月17日(日)新宿フェース
主催:(株)VICTORY SPIRITS
認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)、World Muaythai Organization(WMO)

第1部(14:00~16:15)

◆第6試合 57.5kg契約5回戦

瀧澤博人(ビクトリー/57.5kg)
      VS
ガイヤシット・ヒカリマチジム(タイ/56.7kg)
勝者:瀧澤博人/判定3-0
主審:椎名利一
副審:仲50-47.宮沢49-48.桜井50-47.

(瀧澤博人は現・WMOインターナショナル・フェザー級チャンピオン)
(ガイヤシットは元・ラジャダムナン系バンタム級チャンピオン)

初回から瀧澤博人が左ジャブと右ローキックでけん制しながら距離を図り、ラウンド毎に的確差増していく。様子見が長い感じではあったが、5回戦の長丁場と成れば戦略的に後半勝負でもいいだろう。ローキックは結構ヒットし、倒せるかという流れを作ったが、倒し切れないもどかしさは残った。

「次に繋げる結果を残せてまずは良かった。」試合前に宣言していた11月興行でやりたい試合をアピール。世界と冠が付くタイトルに挑戦したいこと。「今の自分なら出来ます」と宣言。

次第に距離を詰め、ヒジ打ちヒットさせた瀧澤博人

◆第5試合 ミドル級5回戦

JKAミドル級1位.光成(ROCKON/72.1kg)
       VS
ボーイ・オズジム(タイ・クラビー県出身/30歳/73.0→72.57kg)
勝者:光成/TKO3R1:43/カウント中のレフェリーストップ
主審:宮沢誠

ボーイは在日タイボクサーで昨年11月21日には、同・協会ミドル級チャンピオンの今野顕彰に3ラウンド判定勝利している。

身体は丸くなった体型だが、ベテランの体幹は侮れない。倒す気満々のボーイは光成に強打を振るい、重い蹴りをヒットさせた。光成も、今野に勝っているボーイを倒して勝ちたい気合い満々で、次第にスタミナ切れが伺えるボーイにボディーブローをヒットさせるとボーイは堪らずノックダウン。立ち上がる姿勢を見せるも諦めたか、カウント9でファイティングポーズとれず、レフェリーストップの裁定を受けた。

ボーイのスタミナを削る攻勢からボディーブローで仕留めた光成

◆51.5kg契約3回戦 試合中止 

響貴PKセンチャイムエタイジム(53.4kg)vs西原茉生(治政館/51.35kg)

前日計量で響貴が1.9kgオーバー。グローブハンデや減点の対応策も議論されていたが、協議成立成らず、試合そのものが中止となった。

◆第4試合 54.5kg契約3回戦

JKAバンタム級3位.阿部泰彦(JMN/54.0kg)
       VS
NJKFバンタム級3位.誓(=飯村誓/ZERO/54.5kg)
勝者:誓/判定0-3
主審:仲俊光
副審:椎名27-30.宮沢27-30.桜井27-30

誓のスピードで先手を打つ攻め。パンチとローキック、ボディブロー、接近戦ではヒザ蹴りと多彩に攻めた誓。耐える阿部泰彦だが蹴り返し、決定的ダメージを負わないのがベテランの技。若い勢いの誓がフルマークの判定勝利。

21歳の誓が44歳の阿部泰彦を圧倒した展開

◆第3試合 57.0kg契約3回戦

JKAフェザー級2位.皆川裕哉(KICKBOX/56.8kg)
      VS
JKAバンタム級2位.義由亜JSK(治政館/56.9kg)
引分け0-0
主審:桜井一秀
副審:仲俊光29-29.宮沢29-29.椎名29-29

義由亜の長身からくる手足の伸び有る蹴りが目立つが、皆川のアグレッシブなパンチと蹴りが噛み合う展開。やや義由亜が優勢な終盤、皆川が終盤に義由亜をロープに詰めてパンチ連打する展開を見せて、引分けに持ち込んだ流れとなった。

皆川裕哉と義由亜JSKのスピーディーな攻防は勝利を導くに至らなかった両者

◆第2試合 62.0kg契約3回戦

岡田明宏(ラジャサクレック/61.6kg)vs河崎鎧輝(真樹オキナワ/62.0kg)
勝者:河崎鎧輝/判定0-3(27-30.27-29.27-30)

◆第1試合 バンタム級3回戦

小野拳大(KICKBOX/53.0kg)vs甲斐喜羅(ビクトリー/52.1kg)
勝者:甲斐喜羅/判定0-3(27-30.27-30.28-30)

第2部(18:00~20:47)

◆第7試合 WMOインターナショナル・ライト級王座決定戦5回戦

WBCムエタイ日本ライト級チャンピオン.永澤サムエル聖光(ビクトリー/61.0kg)
      VS
コンデート・ポー・パジャンシー(タイ・ペッチャブーン県出身/60.65kg)
勝者:永澤サムエル聖光/判定3-0
主審:ノッパデーソン・チューワタナ
副審:椎名利一49-48.シンカーオ49-47.アラビアン長谷川49-48
(コンデートはタイ国ジーパラワットスタジアムで60kg級トーナメント制覇経験有)

永澤サムエル聖光が初回からローキックで圧力掛けていく。下がるコンデートを追う形が続いたが、第1ラウンド終盤には永澤をヒジ打ちで迎え撃ち左眉をカットする侮れない技。下がって左へ回り続けるコンデートは首相撲もヒザ蹴りも見せないが、時折見せるミドルキックでやや反撃に出る。倒しに行く姿勢でコンデートを追い続けた永澤が主導権支配し内容的には大差と見える展開で終了。インターナショナル王座獲得となった。

ヒジ打ち貰う不覚も流血しながら終始コンデートを追い続けた永澤サムエル聖光

◆第6試合 69.0kg契約3回戦

JKAウェルター級チャンピオン.モトヤスック(=岡本基康/治政館/69.0kg)
       VS
小原俊之(キングムエ/69.0kg)
勝者:モトヤスック/判定2-0
主審:宮沢誠
副審:仲30-29.桜井29-28.椎名29-29.

小原俊之が蹴りの圧力で出るが、モトヤスックも的確な蹴りとパンチで応戦。下がらない展開は見応えある攻防となったが、どちらが主導権奪ったか難しい見極めもモトヤスックが僅差の判定勝利。

モトヤスックが小原俊之に右ハイキック、両者の力強いヒットが目立った

◆第5試合 女子45.5kg契約3回戦

女子(ミネルヴァ)ピン級チャンピオン.藤原乃愛(ROCKON/45.15kg)
      VS
ペッテァー・ソー・ソピット(タイ/43.55kg)
勝者:藤原乃愛/TKO3R0:21/レフェリーストップ
主審:椎名利一

初のタイ選手、初のヒジ打ち有効試合となった藤原乃愛。これが希望だったと言うとおり、しっかりヒジ打ちも見せ、前蹴りとミドルキックでペッテァーを吹っ飛ばす勢いの藤原。第2ラウンドにはミドルキックでノックダウンを奪い、第3ラウンドには圧倒的流れが続く中、藤原のミドルキックで崩れたペッテァーにレフェリーが試合をストップし、藤原の圧勝TKOとなった。藤原乃愛はこれで7戦6勝(1KO)1分。

シャープな蹴りは毎度の藤原乃愛。ヒジ打ちヒザ蹴り使いこなし圧倒した

頑丈なガン・エスジムに圧倒された睦雅

◆第4試合 ライト級3回戦

JKAライト級1位.睦雅(ビクトリー/61.1kg)
       VS
ガン・エスジム(元・ラジャダムナン系フェザー級7位/タイ/61.0kg)
勝者:ガン・エスジム/判定0-3
主審:桜井一秀
副審:宮沢29-30.仲29-30.椎名28-29.

ローキックで様子見の序盤。ガン・エスジムは頑丈な体格と重い蹴りで前進。睦雅は蹴っても下がらないガンに攻め倦むが、圧された展開でも落ち着いた表情でパンチと蹴りで攻めた睦雅。僅差ではあったが、ガン・エスジムの牙城を崩せない展開で終わった。

◆第3試合 フェザー級3回戦

JKAフェザー級1位.櫓木淳平(ビクトリー/56.8kg)
      VS
TAKAYUKI(=金子貴幸/REV/57.0kg)
勝者:TAKAYUKI/TKO3R2:56/ヒジ打ちによる顔面カット、ドクターの勧告を受入れレフェリーストップ
主審:仲俊光

初回にTAKAYUKIの右ストレートで櫓木があっけなくノックダウンも第2ラウンドには櫓木のヒジ打ちか、TAKAYUKIが右眉上辺りをカット。勢い付いていたTAKAYUKIは怯まず攻勢を続け、第3ラウンドには右ハイキックを見せ、これが櫓木の額を切ったか、流血が激しくなり、ドクターチェックの末、レフェリーが試合をストップした。

櫓木淳平からノックダウンを奪い、勢い有る攻勢を続けた金子貴幸

◆第2試合 ウェルター級3回戦

JKAウェルター級2位.ダイチ(誠真/66.3kg)vs鈴木凱斗(KICKBOX/66.5kg)
勝者:ダイチ/TKO2R1:48/カウント中のレフェリーストップ

◆第1試合 58.0kg契約3回戦

勇成E.D.O(E.D.O/57.7kg)vs熊谷大輔(GT/57.75kg)
勝者:勇成E.D.O/判定3-0(30-28.30-26.30-28)第2Rに熊谷に減点1

《取材戦記》

瀧澤博人が挑みたいのは、世界という冠が付くタイトル。更にはラジャダムナンスタジアム等の殿堂王座挑戦だろう。

「今日の内容では認めて貰えないと思いますが、でも目標は高く持ってチャンピオンベルトの懸かったタイのトップとやりたいです。今日の結果は何とも言えないので、また11月のビクトリージム興行で強い相手に挑みたいです。」と応えた滝沢博人。

世界の冠が付いたタイトルは幾つも存在し、WMOでも、許されるなら国内でも度々行われるWBCやIBFムエタイというタイトルもあるが、団体の壁が障害にならなければ、勢いに乗っているうちに出来ることから挑戦させてやりたいものである。

永澤サムエル聖光が前回3月の前哨戦に於いて5回戦を戦い抜く勝利と研究を持って今回の挑戦で王座獲得。11月興行ではタイトルが懸かるか未定だが、瀧澤博人と共にタイの名の有る強豪が予定されている模様。

モトヤスックは6月19日の「THE MATCH」に、知人に連れて行って貰って勉強になったことは多いと言うが、そこでの複雑な気持ちがマイクアピールで言うように、「俺が大きなイベントに出場してビッグカードを戦うこと。そこに皆を連れて行かねばならない。」と語ったことにも、まずビッグイベントに呼ばれる存在とならねばならないという次なる目標があるだろう。

5月21日に女子のミネルヴァ・ピン級王座奪取した藤原乃愛も高校生のうちに世界タイトルを獲りたいとアピールした。現在高校3年生でまだ時間はあるが、来春までに挑戦権を得られるか。

次回ジャパンキックボクシング協会興行は9月18日(日)に於いて、おそらく武田幸三さんのChallenger.6が開催。11月20日(日)にはKICKInsist.14が開催予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

◆凶弾に斃れたからといって検証の手を緩めてはいけない

西日本大水害2018から4年がたった2022年7月10日執行の参院選。その終盤でとんでもないことが起きました。

7月8日、奈良市内で自民党候補の応援演説中だった水害当時の総理・安倍晋三さんが、凶弾に斃れました。このことについては、お悔やみ申し上げます。しかし、亡くなったことで故人を神格化するかのような論調には違和感を覚えます。神格化することで、故人の事績の分析が適切に行われないと、とくに安倍さんのような大物政治家に関する場合は、危機管理の改善が行われずに、人命に関わることも考えられるからです。とくに、西日本大水害2018の場合は、後世に教訓とするためにも、きちんと当時の安倍晋三さんの総理としての災害への向き合い方・安倍内閣の危機管理能力を検証する必要があります。14日、安倍さんの国葬を法的根拠もないまま岸田総理が独断で決めてしまいました。これを批判するとともに「今後の危機管理」のためにも、故人を神格化しないことを呼びかけます。

◆7月10日 被災地の混乱よそに、カジノ法案審議に突入

 

さて、2018年に時を戻します。7月8日(日)朝8時の閣議で、安倍晋三さんは非常災害対策本部を立ち上げました。しかし、その時には大災害があちこちで起きていたのです。その後も安倍さんの「ヌルさ」は続きます。なんと、予定していた外遊を取り消したのが7月9日(月)だったのです。

7月10日、参院内閣委員会でカジノ法案の審議がはじまりました。ちなみに、この日は筆者が、広島市安佐北区口田の被災地入りしています。被災地は、右上の写真のようなありさまでした。1時間半、土砂除去作業に従事しただけで、マスクも手袋も泥まみれでした。ちなみに、いまは、コロナ対策でマスクがデフォルトになってしまっていますが、このときはもちろんそうではない。しかし、マスクがないと泥を吸い込んで大変なことになります。

また、この日は、広島県安芸郡府中町で上流に災害でできた「ダム」が崩れ、大雨から3日たってから市街地に洪水が押し寄せたのです。

そんな被災地の混乱をよそに、この日からカジノ法案の審議でした。この時、安倍総理は出席しませんでした。国土交通大臣らが答弁をしました。実は、石井国交大臣は、府中町の洪水については、「ニュースで知った」と答弁する始末でした。本当に浮足立っていたのです。

◆安倍政府のヌルさをただした野党議員

この日、自由党参院議員だった山本太郎が質問にたち、安倍内閣の危機管理のヌルさを指摘するとともに、具体的な提言をおこなっています。

山本太郎は「気象庁が警鐘鳴らして、実際に規模の大きい避難勧告が出た日から非常災害対策本部が設置されるまでは3日間、3日間掛かった。」と指摘しています。

そして、熊本大震災2016については「震災発生から非常災害対策本部立ち上げまでは約1時間。今回は、気象庁が警鐘を鳴らし、実際に規模の大きい避難勧告が出た日から非常災害対策本部が設置されるまでは3日間。」

九州北部豪雨2017については「昨年7月に起こりました平成29年7月九州北部豪雨、このときには、実際に豪雨が降る前から予測して対応していたんですよ。たまにはいいことするんですね。」

と実例を挙げて、今回の政府の対応のヌルさを明らかにしました。

また、この非常時に防災を担当する国土交通省幹部が国会に多数出席しておられることを憂いて「その上、本日、ばくちの解禁法案審議スタートですか。多くの野党が求めているのはカジノではないですよ。災害対応ですよ、今国会でやるべきは。カジノの審議が遅れて誰か人死にますか。国民生活、誰か困りますか。困るの利害関係者だけじゃないですか、遅れたらどうするんだよみたいなことで。」とせまっています。

そして、九州北部豪雨2017と比べても20倍近い自治体に災害救助法が適用されているという答弁を引き出し、安倍政権に覚醒を促しました。

その上で、「災害派遣等従事車両の証明書の発行の簡素化」を提案しました。ボランティアが高速料金を払わずに広島など現地に行けるようにするためのものです。これは、「水害は2週間が勝負。」であり、それまでに多くの人が現地入りできるようにしなければならないからです。土砂や洪水にまみれた家を二週間以上放置すれば腐ったりカビが生えたりするなどして、衛生上よくないからです。たとえ床下浸水でも、土砂を除去して消毒をしないといけないのです。筆者も実際に、県内の被災地でボランティアに従事し、被災から二週間以上経った土砂の匂いやカビなどには閉口したのを記憶しています。

山本太郎のこの提案に対して石井国土交通大臣も「ボランティアが現地に入るのになるべく手続を簡素化してほしいという御要請かと思います。私、直接の所掌ではありませんけれども、委員の御指摘、非常に重要なことかと存じますので、閣僚懇談会を待ちますと今度の金曜日になりますから、それを待たずになるべく早く伝えるようにしたいと思います。」と答弁。この提案は実現しました。おかげで、神奈川や大阪など遠方からも応援が広島県内の被災地に多く来られるようになりました。

また、被災地に入りやすい重機の充実整備、そして、民有地の土砂の除去を自衛隊もしてほしいということも要望し、前向きな答弁を得ています。

山本太郎以外にも活躍した野党議員はいます。弁護士でもある日本共産党の仁比聡平議員です。仁比議員は地盤である広島など各地を回っておられる姿をわたしも拝見しました。仁比議員は民有地の土砂を除去する場合に公費負担をという趣旨の質問を行い、実現しました。

◆関東の高学歴安倍支持者「西日本の物流なんて崩壊すればいい」

さて、7月11日には、関東地方の安倍内閣支持者を名乗る人物、それも高学歴でそれなりの社会的な地位のある人物が、わたしのSNSサイトに「西日本の物流なんて崩壊すればいい」という趣旨の書き込みをされるという事件がありました。ボランティア活動で疲れ切っているときに、イライラさせられたのを覚えています。呆れましたが、実は驚きはしませんでした。

実を言えば、関東のブルジョア・インテリで、「東京と神奈川東部・千葉北西部以外日本じゃない」ような感覚の方も多いのは、筆者自身、東京で過ごした中高、大学時代の同級生の言動でよく存じています。

あえて暴言と言われるのを承知で申し上げれば、「関東南部生まれで東京のいわゆる難関中高から東大卒でたいした苦労もしてない」方々ほど、そういう世界観になりやすい傾向がある、というのは現実あると思います。

そういう方々が2011年頃は東北の被災者に冷たく、2018年には西日本の崩壊を事実上喜んでおられるのも不自然ではない現象です。安倍総理の取り巻き高給官僚とかブルジョア知識人などもそういう方が多いのかもしれません。だから誰も総理に「こんなときに酒盛りをやっていたら不味いですよ」などと注意しなかったのでしょう。

◆7月12日 被災地の泥、水が抜けてだんだん固まる 国交大臣「退席して災害に専念を」の諫言に耳貸さず

7月12日、筆者は、再び同じ安佐北区の被災地を訪れました。

だんだんに水分が泥から抜けていました。しかし、これにより、泥が固まり、泥を掘り崩す(というのが一番正確な感じ)のも苦労が多くなってきます。発災から6日。二週間のタイムリミットが迫ってきます。この日は日本共産党の大門みきし参院議員が、国交大臣に「退席して災害対策に専念していいですよ」と勧めたのですが、大臣は耳を貸しませんでした。

この日はわたしは、熱中症でぶっ倒れてしまいました。ボランティアセンターを主導された伊藤昭善広島市議に手厚い救護をいただいたことを感謝しています。

 

◆7月14日 水道民営化法案、ようやく審議見送り 総理は五十股で来広中止

この日、水道民営化法案が審議見送りという報道がされました。当然です。災害で水道が壊れまくっているのですから、そちらの復旧が当たり前です。
一方で、総理はこの日、来広予定だったそうですが、五十股にかかられ、中止になりました。

このことについて、年配のボランティア男性は「天皇陛下は来てくれたらうれしいけど、総理とか政治家は警備で作業の邪魔になるだけだ」という本音を漏らされました。

◆7月15日 被災者生活再建支援法改正成立を野党が日曜討論で提起も

阪神淡路大震災を契機に成立した被災者生活再建支援法。立憲、共産、自由、社民など野党は、共同で全壊世帯の支援金を300万円から500万円に引き上げる改正案をすでに3月に提出していました。これをのこり6日の国会会期で成立させよう、と野党側はこの日の日曜討論で提起しました。

しかし、与党側はけんもほろろな対応でした。

◆7月17日 猛暑続き作業と休憩半々

筆者は安佐北区口田の被災地入りしました。猛暑でもう、作業と休憩時間を半々でもいいくらいの感じでした。道路の復旧は進んでいますが、泥が固くなって作業に手間取るようになってきました。

その前後に、広島市安佐南区内で街頭演説を実施し、現場の状況の報告や、ボランティア参加にあたっての注意点、そして、政府や自治体への提言を行いました。

まず、現場については「土砂が乾燥してサウジアラビアかイラクかと思われるような状態になっている。や鼻をガードしてほしい。マスクは必須だし、目が弱い人はゴーグルを」と注意を喚起。

「人手は足りていない。土砂がまだ多く残っている。しかし、この猛暑だ。作業時間と休憩時間半半でも良いくらいの暑さだ。体力温存重視で参加してほしい。」と訴えました。

そのうえで「総理や石井国土交通大臣からは言い訳ばかりでやる気が今一つ伝わってこない。本気で災害対策に取り組むなら、水道民営化や国民投票法案だけでなくカジノ法案も取り下げよ。そして野党が提案している被災者への支援を300万円から500万円に引き上げる法案を、たまには与党も野党案に賛成して成立させたら(与党も株が上がるのでは)?」と提案。

 

さらに「これだけ災害が続発する一方、朝鮮半島は緊張緩和だ。今後は、自衛隊を分割し、サンダーバードのように、地球上どこでも災害や事故に対応する救助隊を設置したらいい国際貢献になる。戦争のための海外派兵(のための改憲)よりサンダーバードを。」と訴えました。

さらに「災害のたびに住む場所に困る人が出る。普段から住宅政策が貧困なことも背景にある。例えば、安全な場所の空き家を県や市が借り上げて公営住宅として貸し出す仕組みをつくっておけば、災害の時にも役に立つのではないか? 平時でも、若い時に買ったマイホームが山岳地帯にあって日常生活に困っているお年寄りの住み替えをスムーズに進めるのに役立つのではないか?」と借り上げ公営住宅の推進を訴えました。


◎[参考動画]西日本大水害 ボランティアは体力温存優先で 政府幹部は災害対策にもっと本気に

◆改憲で緊急事態条項導入ならむしろ危機管理は後退!

筆者は、この西日本大水害2018を振り返り、もし、憲法改悪がされ緊急事態条項が導入されていたらどうだったかとおもうと、背筋が凍ります。緊急事態条項は、緊急時に、総理大臣に独裁的な権力を与えるものです。国会を開かない、といったこともできます。

しかし、安倍晋三さんや石井国土交通大臣の当時の対応を拝見するかぎり、もし、国会が開かれなければ、山本太郎や仁比聡平ら野党議員の提言も届かず、「ゆるゆるの災害対応」で進み、さらに多くの人が困ったり、命を落としたりしたことでしょう。あるいは、政府の災害対応に街頭演説やビラで注文をつけたわたしのような市民も取り締まられたかもしれません。

くどいようですが、安倍晋三さんが、凶弾に斃れられたこと。そのことについてはお悔やみ申し上げたい。

しかし、一方で、安倍晋三内閣の緩慢すぎる危機管理についてきちんと検証しなければ、「危機管理のための緊急事態条項改憲」が進み、その結果、危機管理は後退する上に市民は弾圧されるという最悪な結末が想定されるのではないでしょうか?
今後も、筆者は西日本大水害当時の安倍晋三内閣の危機管理について検証をしていきます。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

『紙の爆弾』と『季節』──今こそ鹿砦社の雑誌を定期購読で!

2005年12月、栃木県今市市(現在は日光市)で小1の女の子・吉田有希ちゃん(当時7)が下校中に失踪し、茨城県常陸大宮市の林道脇のヒノキ林で刺殺体で見つかった「今市事件」は、無期懲役判決が確定した元台湾人の男性・勝又拓哉氏(40)について、裁判中から冤罪を疑う声が多く聞かれた。

それも当然と言えば当然だ。この事件では、勝又氏を有罪とする証拠は事実上、捜査段階の自白だけだ。しかも、その唯一の有罪証拠である捜査段階の自白についても、確定判決である東京高裁(藤井敏明裁判長)判決が次のように述べているほど極めて曖昧なものなのである。

〈本件自白供述のうち、殺害犯人であることを自認する部分を超えて、本件殺人の一連の経過や殺害の態様、場所、時間等に関する部分にまで信用性を認めた原判決の判断は是認することができない〉

要するに、裁判官は唯一の有罪証拠である勝又氏の自白もその内容の大半が信用できないことを認めざるをえなかった。それにもかかわらず、自白のうち、有希ちゃんを殺害した犯人だと認めている部分のみは信用できるとして、勝又氏を有罪としたのだ。無理がある感は否めない。

加えて、この事件には勝又氏とは別の真犯人が存在することを示す事実も存在する。たとえば、有希ちゃんの遺体からは勝又氏のDNA型が一切検出されていない一方で、別の第三者のDNA型が検出されていることなどである。これで冤罪の疑いが指摘されなかったらむしろおかしいとさえ言える。

ここでは、勝又氏とは別の真犯人が存在する可能性を示す証拠について、警察、検察が隠している疑いを示す事実を紹介し、情報提供を求めたいと思う。

◆裁判で検証されなかった「白いワゴン車」が犯人の可能性

警察も勝又氏を逮捕する以前は、「白いワゴン車」の情報を募っていた

この事件は2005年12月の発生以来、長く被疑者が検挙されない状態が続いた。事件発生から8年半が経過した2014年6月、勝又氏がこの事件の容疑で逮捕されるまでは「全国の重大未解決事件の1つ」としてメディアで取り上げられることも多かった。そしてこの間、栃木、茨城両県警の合同捜査本部は町中のあちこちに事件の情報提供を募るポスターを張り出していたが、実はこのポスターこそが勝又氏とは別の真犯人が存在する可能性を示す証拠なのである。

ここにそれを掲載したので、見て頂きたい。〈現場付近で目撃された不審車両です〉として、「白いワゴン車」と「白いセダン車」のイラストが掲載されている。そして現時点では、この事件の犯人は当時「白いセダン車」に乗っていた勝又氏ということにされているのだが、実は勝又氏の裁判において、実際には「白いワゴン車」のほうこそが真犯人の車である可能性は何ら検証されていないのだ。

しかも、事件発生当初の新聞報道を見ると、他ならぬ警察も当時は「白いセダン車」より「白いワゴン車」のほうを強く疑っていたことを示す情報が散見される。その中でもとくに注目すべきは、事件発生の5日後の2005年12月5日、読売新聞の東京本社版が朝刊1面に載せた〈女児乗せた白いワゴン〉という見出しのスクープ記事だ。

この記事によると、有希ちゃんが下校中に行方不明になった後、現場近くにある有料道路「日光宇都宮道路」の大沢インターチェンジ入口の料金所のビデオカメラに、有希ちゃんとみられる女児と男の乗った白いワゴン車が映っていたという。

さらに読売新聞はその後も、〈日光堂ICの白いワゴン 午後3~5時通過〉(同12月6日朝刊1面)、〈「白い箱型の車見た」 一緒に下校の女児 別れた直後に〉(同12月20日朝刊39面)などと、白いワゴン車が犯人のものであることを示す情報を次々に報道。また、朝日新聞も同12月11日の東京本社版39面で「『栃木』ナンバーの白いワゴンを2日朝に(遺体遺棄)現場付近で見た」という内容の目撃証言が捜査本部に寄せられたことを報じている。

当初は“白色ワゴン車”が疑われていた(読売新聞東京本社版2005年12月5日朝刊1面)

これらの報道が事実であれば、「有希ちゃんが失踪した現場」と「有希ちゃんの遺体が遺棄された現場」の両方で、勝又氏とは別の真犯人の車である可能性がある「白いワゴン車」が事件発生と近接する時間帯に目撃されるなどした証拠が存在し、警察、検察はそのような証拠を収集していながら隠している可能性があるわけだ。

◆警察が「白いワゴン車」が犯人のものである可能性を示す証拠を入手しているのは確実

一般論を言えば、マスコミの事件報道には間違いも多い。しかし、この「白いワゴン車」の情報については、他ならぬ警察が情報提供を広く求めているわけだから、少なくとも警察が「白いワゴン車」が犯人のものである可能性を示す証拠を入手していることは確実だ。したがって、そのような情報をこの場で募りたいと思う。

2005年12月初旬ごろ、「栃木県今市市やその周辺」あるいは「茨城県常陸大宮市やその周辺」で今市事件との関係が疑われる「白いワゴン車」を目撃した情報や、そのような車が映っている防犯カメラの映像などの客観証拠を警察に提供した人、あるいはそのような人を知っている人がいれば、私のメールアドレス(katakenアットマークable.ocn.ne.jp)までご一報ください。

あなたがお持ちの情報は、無実の罪で無期懲役刑に服している男性が雪冤を果たす一助になる可能性があります。どうかよろしくお願いします。

※メールで連絡をくださる人は、アットマークを@に変えてください。
※私は、過去に冤罪File第22号、第24号、第25号、第29号などにもこの事件に関する詳細な記事を寄せています。これらのバックナンバーも冤罪Fileの公式ホームページから購入可能なので、関心のある人は参照して頂けたら幸いです。

▼片岡健(かたおか けん)
ノンフィクションライター。stand.fmの音声番組『私が会った死刑囚』に出演中。編著に電子書籍版『絶望の牢獄から無実を叫ぶ─冤罪死刑囚八人の書画集─』(鹿砦社)。

7日発売!タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年8月号

「絶望の牢獄から無実を叫ぶ[改訂版]─冤罪死刑囚八人の書画集─」(片岡健編/鹿砦社)

前の記事を読む »