読売新聞社会部(大阪)が、情報提供を呼び掛けている。インターネット上の「あなたの情報が社会を動かします」というキャッチフレーズに続いて、次のように社会部への内部告発を奨励している。

「不正が行われている」「おかしい」「被害にあっている」こうした情報が、重大な問題を報道するきっかけになります。読売新聞は情報提供や内部告発をもとに取材します。具体的な情報をお持ちの方はお寄せください。情報提供者の秘密は必ず守ります。

この機会に全国の新聞販売店は、「押し紙」の実態を内部告発すべきではないか。読売社会部が「押し紙」を調査して報道する可能性はほとんどないが、同社のジャーナリズムがどの程度のレベルなのかを知るための指標になる。

◆年間932億円の不正販売収入を生み出す「押し紙」

数年前、わたしはNHKに対して「押し紙」に関する資料を提起しようとしたことがある。結論を先に言えば、この時は門前払いされた。NHKの職員は、資料の受け取りを拒否したのである。その理由は、NHKには部署が多いので、たとえ資料を受取っても行方が分からなくなる可能性があるというものだった。(電話での会話)

他の大メディアに「押し紙」の資料を提供しても、取材対象にはならない公算が強い。「押し紙」問題を報道することが、自分たちの小市民としての経済基盤を崩壊させかねない懸念があるからだ。

しかし、「押し紙」問題は、新聞ジャーナリズムを考える上で最も根本的な着目的である。と、いうのも「押し紙」が生み出す不正な販売収入の額が尋常ではないからだ。この汚点に、公正取引委員会や警察などの公権力が着目すれば、「押し紙」の摘発をほのめかすだけで、暗黙裡に新聞の紙面内容に介入することが可能になる。わたしの試算ででは、新聞業界全体で年間932億円の不正な販売収入が発生している。これは過少に試算した数字である。

試算の詳細については、『新聞と公権力の暗部』(鹿砦社)に詳しいが、概要は次の通りである。2021年度の全国の朝刊発行部数は約2590万部だった。このうちの20%にあたる518万部が「押し紙」と仮定する。また、新聞1部の「押し紙」代金を月額1500円をと仮定する。「押し紙」による販売収入は、次の計算式で導きだせる。

518万部×1500円×12カ月=年間932億円

新聞は「朝刊単独版」と「朝夕セット版」の2種類があるが、誇張を避けるために、すべての新聞が価格がより安い「朝刊単独版」として計算した。

それにもかかわらず「押し紙」による販売収入は、932億円になるのだ。この数字がいかに異常かは、たとえば次のデータと比較すると分かりやすい。

(1)統一教会の霊感商法による被害額は、全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、35年間で1237億円である。年間に換算するとたった3億5000万円程度である。

マスコミは、鈴木エイト氏の後追い取材のかたちで、霊感商法の問題を大きく取り上げた。しかし、それよりも被害が深刻なのは、「押し紙」代金の取り立てである。

(2)しんぶん赤旗(2020年9月15日)によると、自民党から電通に支出された広告費は、19年間で100億円超である。年間に換算すると5000万円強である。この広告費は、倫理的な問題を孕んでいるが、不法行為ではない。これに対して「押し紙」による販売収入は、不法行為である。しかし、しんぶん赤旗もこの問題は避けている。暴露した場合の「反共攻撃」が予測されるからではないか。あるいは新聞記者の生活を守ることを優先するからではないか。

「押し紙」が生み出す不正収入が莫大な額であるからこそ、公権力によるメディアコントロールの温床になり得るのだ。公権力の側も、この点を熟知しているから、「押し紙」問題は黙認しているのだ。裁判所は、サラ金の武富士にはメスを入れても、新聞社に対しては、メスを入れない。

実はこのような構図は、戦前・戦中にも存在した。政府が新聞用紙の配給の権限を握ることで、新聞社を大本営の広報部に変質させていった歴史がある。かつては新聞用紙の配給制度がメディアコントロールの装置として機能し、戦後は「押し紙」制度が公権力による世論誘導の装置として定着したのである。この点を認識することなしに、日本の新聞ジャーナリズムの本質を捉えることはできない。

◆新聞ジャーナリズムの衰退を生み出す「押し紙」

新聞ジャーナリズムの衰退について考える時、大別して2つの視点がある。ひとつは精神的なもの(記者魂の欠落や勉強不足)にその原因を求める論法である。もうひとつは物質的なもの(記者クラブ制度、税制の優遇措置、「押し紙」問題など)にその原因を求める論法である。哲学上の言葉を使うと、観念論の論法と唯物論の論法の違いということになる。

前者の典型としては、「望月記者と共に歩む会」である。このグループは、それぞれの記者が東京新聞の望月記者のような積極性を発揮すれば、ジャーナリズムはよくなるという考えのようだ。新聞ジャーナリズムに対する手厳しい批判は、わたしが調べた限りでは、1960年代には始まっているが、現在まで、その評論の大半が観念論に基づいたものである。結果、ほとんど何も変わっていない。

これに対して後者の例としては、既に述べたように、記者クラブ制度、税制の優遇措置、「押し紙」問題などがある。これらの中で最も問題なのは「押し紙」である。と、いうのも「押し紙」問題は、不正な金銭がらみで、しかもその金額が尋常ではないからだ。

◆販売店主の自殺者などを生み出す「押し紙」

新聞社による「押し紙」代金の回収は、販売店主の自殺者などを引き起している。かつてサラリーマン金融や商工ローンの取り立てが大きな問題になったことがあるが、その比ではない。しかも、問題の中心にいるのが、「社会の木鐸」である新聞社であることに、大きな問題がある。

出版社も、そのほとんどが「押し紙」問題を扱わない。新聞の書評欄から、自社の書籍が締め出されると、大きな打撃を受けるからだ。

読売新聞社会部(大阪)は、内部告発を奨励することで、そのジャーナリズム性をPRしているようだが、こうした戦略を読者はどう考えるだろうか?

 

本稿は『メディア黒書』(2024年09月27日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
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黒薮哲哉『新聞と公権力の暗部 「押し紙」問題とメディアコントロール』(鹿砦社)

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◆官僚支配・憲法無視・米国追従「能動的サイバー防御」とは何か
 取材・文◎足立昌勝

 

 

「有識者会議」の有名無実

政府は6月7日、国の重要インフラへのサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御(アクティブ・サイバー・ディフェンス=ACD)」導入に向けた有識者会議(「サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議」)の初会合を首相官邸で開いた。岸田文雄首相(当時。以下同)は「我が国のサイバー対応能力の向上は、ますます急を要する課題だ」と強調し、早期に関連法案を取りまとめるよう河野太郎デジタル相に指示した。

以上が、マスコミが報道した内容である。しかし後述するように、有識者会議では「能動的サイバー防御」という言葉は用いられず、「アクセス・無害化措置」という言葉に置き換えている。マスコミはそのことに触れないが、そこにこそ、政府・官僚の国民をだます姑息な手段を見ることができる。

会議では、次の3つのテーマについての分科会が設置された。①官民連携(官民の情報共有・民間支援)②通信情報の利用③アクセス・無害化措置(攻撃者のサーバー等の無害化)。これらの分科会では、最初に事務局である内閣官房サイバー安全保障体制整備準備室から「御議論いただきたい事項」が提示された。

このことは、非常に重大である。有識者会議は、専門家が各自の知識に基づき実質的な議論をするべき場所だが、実際は建前にすぎず、事務局(官僚)の構想によって動かされているからだ。

そもそも、有識者会議には17名の委員のほかに、政府側からも岸田首相・河野デジタル相・石川昭政デジタル副大臣に加え〝お付きの者?として、大臣と副大臣の官房副長官、国家安全保障局長、3名の内閣官房副長官補と内閣審議官が参加している。また、分科会には事務局であるサイバー安全保障体制整備準備室から室長を含め6名の幹部が出席し、議論をリードしていることがうかがえる。

その第1回会議で政府から提示された資料では、「現行制度上の課題」として、2022年12月に閣議決定された「国家安全保障戦略」に依拠する形で、今後の方向性を次の3点にまとめている。

①官民連携の強化⇒高度な侵入・潜伏能力に対抗するため、政府の司令塔機能、情報収集・提供機能の強化が不可欠。整理が必要な法令の例:サイバーセキュリティ基本法、各種業法

②通信情報の活用⇒悪用が疑われるサーバー等の検知には、「通信の秘密」を最大限に尊重しつつも、通信情報の活用が不可欠。整理が必要な法令の例:憲法21条(通信の秘密)

③アクセス・無害化措置⇒重大なサイバー攻撃の未然防止・拡大防止を図るためには、政府に侵入・無害化の権限を付与することが不可欠。整理が必要な法令の例:不正アクセス禁止法

これら3点を実現・促進するため、強力な情報収集・分析・対処調整機能を有する新たな司令塔組織を設置することが必要だと結論付けた。

ここで注意しなければならない点こそ、「能動的サイバー防御」の言葉が消え、「アクセス・無害化措置」に変更されていることだ。なぜこれらの用語変更をしたのかは、何の説明もないので不明だが、うがった見方をすれば「能動的サイバー防御」という言葉の持つイメージが非常に攻撃的であり、相手方サーバーに積極的に侵入し、攻撃力を消失させるという行為が、専守防衛を国是とする政府の立場から果たして許されるのかについての懸念が各方面から指摘されていたからではないか。
同様の言い換えは、「電話盗聴」を「通信傍受」、「監視カメラ」を「防犯カメラ」に換えて、盗聴や監視という本質を隠蔽し、国民を手なずけようとする官僚の常とう手段である。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n3be6409e9d19

◆シリーズ日本の冤罪〈52〉プレサンス元社長事件 
「村木事件」と同じ過ちを繰り返した大阪地検特捜部
 取材・文◎尾﨑美代子

 

 

2019年12月16日、大阪地検特捜部は、東証一部上場企業(当時)の総合デベロッパー「株式会社プレサンスコーポレーション」社長だった山岸忍氏を業務上横領容疑で逮捕した。山岸氏は、日本史上最多の保釈条件を付けた6回目の保釈請求が通るまで248日間勾留され、多くの財産と、我が子のように育ててきた会社を奪われた。しかし、その後の刑事裁判で山岸氏には無罪判決が下された(検察が控訴しなかったため無罪が確定)。

大阪地検特捜部(以下、特捜部)は2009年、村木事件で当時の厚生労働省局長・村木厚子氏を逮捕するも、裁判で無罪が確定した。しかもこの件で特捜部は、担当検事や上司らが証拠隠滅罪・犯人隠避罪で逮捕され有罪判決を受けるという一大不祥事を起こしている。

プレサンス事件で再び同じ過ちを犯した特捜部は、今回、特捜検事が特別公務員暴行陵虐罪で刑事裁判にかけられる事態となった。事件の詳細を山岸氏の“最強弁護団”の1人・西愛礼(にし・よしゆき)弁護士に取材した(以下、山岸氏と検察官以外の個人名は仮名)。

 山岸氏はなぜ逮捕されたのか

山岸氏の逮捕は、プレサンスが土地売買を手掛けた学校法人明浄学院(当時。本部・大阪市。以下、学院)の元理事長・佐橋由美子氏が、2019年12月に業務上横領で逮捕されたことがきっかけだった。佐橋氏は、2016年4月の理事長就任以前から学校経営に並々ならぬ関心を持ち、いくつもの学校法人に狙いをつけており、学院はその1つだった。

2015年頃、山岸氏に学院の校地買収の案件が持ち込まれる。同案件を進めたのは山岸氏の部下の小森氏だったが、案件が進展しないなか、校地売却による学院の郊外への移転費用、移転先での新校舎の建設費用、退任する理事長の退職金などまとまった資金を、山岸氏の個人資産から貸し付けてほしいと依頼してきた。

当時のプレサンスは急成長を遂げ、3年先までの土地も確保していたため、無理してまで校地を手に入れる必要はなかった。しかし、貸付先が学校法人であること、部下の小森氏や間に入る不動産会社社長・山本氏への信用などから貸し付けを決めた。

その際、佐橋氏については事前の調査でコンプライアンス上の問題点があったため、山岸氏は理事長が別の人物であることを確認したうえで学院への18億円の貸し付けを決めている。

そして2016年3月、山岸氏は山本氏との間で「金銭消費賃借契約書」を交わし、2回にわたって山本氏の会社に送金した。18億円は、そこから学院に送金される予定だった。しかし、その後、佐橋氏によって、佐橋氏のダミー会社や退任する理事長などの手に渡っていた。佐橋氏が小森氏、山本氏を巧みに騙し、学院の経営権掌握に費やしたのだ。

小森氏と山本氏は、当初の計画の変更を余儀なくされるも、その事実を山岸氏に伝えてしまうと激怒され、案件が潰れてしまうことなどを恐れ報告しなかった。最終的に学院の校地を売却したお金で山岸氏への返済ができればよいと考えていた。

ところが、その後、学院と移転先の自治体との交渉が決裂したため、学院は元の校地の半分をプレサンスに売却し、半分に新校舎を再建することとした。プレサンスは土地購入の手付金として21億円を学院に支払ったが、佐橋氏はそのお金を私的に流用(横領)し、山岸氏に借りた18億円の返済に使った。

こうして山岸氏には18億円が返済されたが、山岸氏は全て学院とのやり取りだと認識しており、まさかそこに佐橋氏が関わっているとは全く知らずにいたのである。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nad61e515d221

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米国植民地からの脱却が東アジアの平和をつくる 
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河野太郎「マイナ保険証」の愚行 米アマゾンに売られる日本の「情報主権」 高野孟
巨大製薬企業は日本人を狙っている! 明らかになった子宮頸がんワクチンの危険性 神山徹
ウクライナ化するフィリピン 米中対立と「アジア有事」の現在地 浜田和幸
日本人が知らされない“極東”の隆盛 ロシア「東方経済フォーラム」で見た世界の現実 木村三浩
自民党総裁選「憲法改正」争点化の姑息 自民憲法改正案は「改憲」とはいえない 足立昌勝
告発者潰しにも維新議員が関与 兵庫パワハラ知事を生んだ維新の無責任と凋落 横田一
「政教分離」をかなぐり捨てる創価学会 公明党・山口那津男代表“一転”退任の真相 大山友樹
総裁選とは何だったのか 衆院解散・総選挙とその後の自民党 山田厚俊
プロボクシングに見た躍進するサウジアラビア 片岡亮
ジャニーズとNHK、そして大阪・関西万博 本誌芸能取材班
統一教会のオカルト洗脳で「脳死」させられたニッポン 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪 53 茨城上申書殺人事件 片岡健

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
【新連載】「ニッポン崩壊」の近現代史:西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

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AfD(「ドイツのための選択肢」)がドイツ州議会の第一党になった。与党三党の合計を上回ったのだ。それで大騒ぎになった。「危機の時代の大躍進」、ナチスの復活だと言うことだ。


◎[参考動画]ドイツ 旧東ドイツの州議会選挙で極右政党AfDが第一党に(TBS NEWS DIG 2024年9月2日)

しかし、本当にナチスの復活なのか。

確かにAfDは、ドイツ民族主義だ。それに、反移民であるのも、ナチスの反ユダヤを彷彿させるところがある。

だが、AfDには、ナチスと決定的に違うところがある。それは、AfDには「覇権」「侵略」がないということだ。

ナチスは、米英覇権に対抗する独覇権を目指した。だから、ナチスが引き起こした第二次大戦は、覇権をめぐる米英との覇権争奪戦だったと言うことができる。

だが、「覇権」「侵略」を目指していないAfDの米英との抗争は、覇権抗争だとは言えない。覇権抗争と言うより、反覇権、脱覇権の闘いだと言えるのではないか。

AfDだけではない。今日、「自国第一主義」を掲げる組織や国を「極右」と言い、ナチス、ファシズムと同一視する傾向がメディア、政界では一般的だが、皆間違っていると思う。

なぜなら、現時代は、覇権の時代ではなく、反覇権、脱覇権の時代だからだ。

反覇権、脱覇権の時代の「自国第一主義」は、「極右」、「ファシズム」ではない。米覇権と闘う反覇権、脱覇権の進歩勢力だ。

米覇権の側にいる世界のメディア、政界が「自国第一主義」を「極右」と言い、「ファシズム」と言って排撃するのは、そのためではないだろうか。

脱覇権の時代である今日、国と民族を掲げ、米覇権と闘う勢力こそがもっとも進歩的で革命的な勢力だと言うことができる。

今日、米欧、そして日本のメディア、政界が「自国第一主義」を「極右」「ファシズム」だと排撃し、大騒ぎしているのは、まさにそのためではないだろうか。


◎[参考動画]「難民・移民を追い返す」ドイツで極右政党躍進の“現実”大越キャスター緊急取材(ANN「報道ステーション」2024年9月24日)

小西隆裕さん

◎ピョンヤンから感じる時代の風 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=105

▼小西隆裕(こにし・たかひろ)さん
1944年7月28日生。東京大学(医)入学。東京大学医学部共闘会議議長。共産同赤軍派。1970年によど号赤軍として渡朝。現在「かりの会」「アジアの内の日本の会」会員。HP「ようこそ、よど号日本人村」で情報発信中。

『抵抗と絶望の狭間 一九七一年から連合赤軍へ』(紙の爆弾 2021年12月号増刊)

『一九七〇年 端境期の時代』

広島県教委の平川理恵前教育長(在任、2018年4月~2024年3月)らによる官製談合事件で、住民らの告発を受けて捜査していた広島地検は8月、平川被疑者を証拠不十分として不起訴処分にする一方、直接事務を担当していた当時の課長を略式起訴し、課長は50万円の罰金を納付しました。

この事件は、平川氏の故郷の京都が本部で平川氏と親交のあった『NPO法人パンゲア』のために平川氏が事実上、県費で仕事を作ってあげた、というものです。2022年8月、「文春砲」ですっぱ抜かれました。

確かに、直接的に平川氏が指示した証拠はないものの、平川氏のために仕事をつくって当たり前、と言う状況が当時の県教委にはありました。

◆市民団体の不服申し立ては当然

当然、10月1日、市民団体「県教委官製談合疑惑をただす市民の会」は、「平川氏が教育長でなければ事件は起きなかった」として、検察審査会に不服申し立てを行いました。検察審査会が二度【起訴相当】の議決を行えば、平川氏は「強制起訴」されます。

だいたい、「大阪城を造ったのは誰か?」と問われて「大工さん」と答える人はまずいないでしょう。「豊臣秀吉」と答えるのが普通です。では「パンゲアのために仕事を作ってあげたのは誰か?」と問われれば「平川さん」と答えるのが普通でしょう。その普通が通用しないのが広島県警であり、広島地検です。真面目にやっていただきたい。

◆持ち上げる東京マスコミ、反省のない平川氏

 

2024年9月30日配信『AERA』

一方で、解せないのは、教育長退任後の平川氏を東京のマスコミが持ち上げまくっていることです。

例えば『AERA』は「平川理恵さんが語る広島の「タイムマシンで未来見る」教育改革 米・ビジネスハイスクール視察や不登校支援センター設置も」で、平川氏の自慢話を一方的に垂れ流しています。

官製談合事件についてこの記事の中で平川氏は「見方の問題だと思います。(最終出勤日の)3月29日の前日に250人が送別会を開いてくれました。教育関係者に限るということで、現場の先生や教育委員会の方が来てくれました。いろんな見方があると思います。でも私はこの来てくれた250人の皆さんが答えだと思っています」とまったく反省がありません。

上司の送別会ですから、少々上司が嫌な奴でも参加するのは、当然でしょうに。筆者も県庁時代、嫌な上司がいなかったと言えばうそになります。それでも職場の送別会には参加しました。当たり前のことです。その上司だって、「俺のためにみんな来てくれた」とは思っていないでしょう。

同記事のヤフー版のコメントでは「いろいろな改革に取り組んだのは良いかもしれない。だが、広島の教育で何か良くなったものはあるのだろうか。あまり良い話を聞かない。現場の意見を聞かなすぎたんじゃないか」など『AERA』と平川氏への批判が噴出していますが当然です。

おそらく、一部の東京のマスコミを主導するインテリの方々には以下のようなステレオタイプな考え方があるのではないか?

「腐った田舎者に、東京の進歩的な女性がいじめられている」

実際に、筆者も東京で大学卒業まで過ごしたのでわかるのですが、思想的に左翼だから共産党、社会党に投票していたわけではなく「自民党は田舎臭くてダサいから共産党、社会党」程度の考え方の方も結構おられました。そういう方や、そういう方々をマーケットとするマスコミが、石丸伸二さんとかが出てくると「田舎の老害をぶっ叩く」「田舎の老害にいじめられた若者」イメージで持ち上げてしまい、結果として石丸さんが都知事選挙で160万票も取ってしまう(それも、野党系から票を奪う形で)のはわかる気がします。

しかし、平川氏がやったことは所詮は「広島の公教育の米国化」です。米国の公教育も決して褒められたものではないでしょう。例えば、米国大統領選挙もついこの間まではトランプvsバイデンなどという不毛な対決構図でした。こんなことになるのも、米国の教育がもたらした米国の有権者の意識の問題もかなり大きいのではないか?日本も大概だが、有権者としての教育に米国も失敗していると言わざるを得ません。その米国に倣った教育改革をこれ以上広島でされたらさらにひどいことになりかねなかった。
 
◆任命責任重大な湯崎知事、「法令違反は改革の副作用」と開き直り

そして大問題なのは平川氏を任命した湯崎英彦知事です。広島県内にも女性の校長先生などいらっしゃいます。あるいは教育で全国でも有名な広島大学にも女性の教授は当然おられます。社会教育で活躍している医師や弁護士などいくらでも優秀な人材はいます。「女性教育長」が平川氏である必要はどこにもなかったのです。

そんな平川氏は散々、広島の教育をかき回した挙句、刑事責任は部下に押し付け、東京で好き放題、自慢話。そしてそもそも、こんな方を「一本釣り」で任命した湯崎知事の責任は重大です。その湯崎知事は、2024年2月、「法令違反は改革の副作用」などといって、公然と法令違反を是認しています。こんな知事でいいのでしょうか?!

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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福岡・佐賀押し紙弁護団は、10月1日、毎日新聞の元店主Aさんが大阪地裁へ提起した「押し紙」裁判の訴状(3月20日付け)を公開した。

それによると請求額は、1億3823万円。その内訳は、預託金返還請求金が623万円で、販売店経営譲渡代金が1033万円、それに「押し紙」の仕入れ代金が1億2167万円である。

訴状の全文(P01-P02)

訴状の全文(P03-P04)

訴状の全文(P05-P06)

◎訴状の全文(下記からダウンロード可能)
http://www.kokusyo.jp/wp-content/uploads/2024/10/MDK241001.doc

預託金とは、広義の保証金のことである。身近な例としては、不動産賃貸の敷金の類いである。新聞販売店を開業するに際して、新しい店主は新聞社に預託金を預ける。Aさんの場合は623万円だった。

経営譲渡代金というのは、販売店を廃業して後継者に営業権を譲渡する際に、前任店主が受け取ることが出来る営業譲渡金のことである。新聞部数に連動して金額が異なる。Aさんのケースでは、1033万円だった。

しかし、Aさんは預託金も経営譲渡代金も受け取ることが出来なった。毎日新聞社が「押し紙」によるAさんの未払い金額から、これらの金額を相殺したからである。

今回、提起された「押し紙」裁判のひとつの特徴は、販売店に搬入する新聞の部数の決定方法である。訴状によると、「新聞販売店の注文は、FAXやメール等により行われるのが普通であるが」、Aさんの場合は、担当員の訪店時に部数の増減を報告するだけで、販売店に搬入する新聞の部数は毎日新聞社が決定していた。注文方法そのものが、前近代的なものだった。

ちなみに大半の新聞社は、販売店に送付する新聞代金の請求書に、「新聞部数を注文する際は、購読部数に予備紙等を加えたものを超えないでください」という注意書きを記している。毎日新聞社の場合も例外ではなかった。

しかし、逆説的に見ると、この注意書きは新聞社が俗に言う「積み紙」をも禁止していることを意味する。言葉を替えると、販売店に搬入される新聞の部数のうち、販売店経営に真に必要な部数(実配部数+予備紙)を超えた部数は、違法な部数である。独禁法の新聞特殊指定に抵触する。

メディア黒書は、今後、Aさんの「押し紙」裁判を報じていく。

本稿は『メディア黒書』(2024年10月2日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
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黒薮哲哉『新聞と公権力の暗部 「押し紙」問題とメディアコントロール』(鹿砦社)

“よりまし”で選ばれた石破茂新首相は、それまでの発言をひるがえして10月27日の総選挙を決定。自民党総裁選がメディア全面協力の事前運動であったことを、まったく隠すことはしません。その総裁選では、自民党のトップを決める選挙にすぎないにもかかわらず、明らかに総選挙に向けた政策アピールが繰り広げられました。それだけならまだしも、姑息にも「憲法改正」を紛れ込ませたことに、私たちは最大の警戒を払うべきでしょう。これらの経緯をふまえつつ、総選挙の動向をみなければなりません。

一方で、野田佳彦元首相を新代表に据えた立憲民主党が、議論をあるべき方向に導けるのか。それもまた、大いに疑問といわざるをえません。そこで本誌では、いま本当に問うべき論点を、「農と食」「消費税」「アジアの平和」と大きく3つに分けて解説。それぞれのテーマから、「グローバル企業の日本(人)への侵食」「mRNA・レプリコンワクチン薬害」「格差社会と大企業による中抜き」などへも議論を深めています。

さらに「日航123便事故と日米謀略」をはじめ、「ニッポン崩壊」といえる現在の苦境になぜ至ったのか、そのターニングポイントに迫るシリーズ連載もスタートしました。

こちらも代表が交代した公明党。山口那津男代表の15年間は、アベ・スガ・キシダの二人三脚を見事走りきった形です。昨年に死去した創価学会・池田大作名誉会長が提唱した「核兵器廃絶」「憲法九条の保持」「脱原発」「軍事費削減」などからは、すでに池田氏の存命中から遠く離れ、安保法制、武器輸出三原則のなし崩し、敵基地攻撃能力容認、原発再稼働といった自民党の政策を大いに支えました。今後、石破政権が加速させるであろう憲法改正についても、森友事件で安倍晋三元首相を国交相としてフォローし続けた石井啓一新代表の創価学会が後押しすることは間違いありません。

レバノンでヒズボラのメンバーが持っていた「ポケベル」「トランシーバー」が爆発。イスラエルの諜報機関・モサドが爆弾を仕掛けたとみられ、世界を震撼させました。その経緯はまだ判明していないものの、「やろうと思えばできる」ということだと思っています。あとは、人間がそれをどのように行なうか、というだけ。イスラエルのAIを駆使した戦術について考察した本誌七月号の青柳貞一郎氏のレポートが参考になります。同レポートではAIによる大雑把な攻撃対象の位置特定・選別で、その家族や周囲の民間人が犠牲になることも容認される、と指摘しています。

今月号で川内博史衆院議員の、「台湾有事」を決めるのは政府だとの指摘は重要です。それに向けた準備として、煽動や刷り込みが着々と進められています。経済が全てでなくとも、一水会・木村三浩代表が報告したような「世界の現実」が、落ち着いて物事を考えるきっかけになればと思っています。神山徹氏の「健康はワクチンや薬でつくるものではない」との指摘も同様に、私たちが取り戻すべき“当たり前”といえます。

ほか11月号では、レプリコンワクチンにとどまらない「ワクチン」そのものの問題、米アマゾンに丸投げされた「政府・国民情報」、“兵庫パワハラ知事”を生んだ維新の今後、日本が蚊帳の外に置かれた“極東地域”の発展など、本誌でしか読めない情報が満載です。全国書店で発売中です。ぜひご一読をお願いいたします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年11月号

『紙の爆弾』2024年 11月号
A5判 130ページ 定価700円(税込み)
【特集】いま政治が問うべきこと
鈴木宣弘東大大学院教授が語る「食料安全保障」 日本の農と食を潰す洗脳を解く
国民を騙して導入し、人と国を弱体化させる消費税を廃止せよ 
川内博史・原口一博(立憲民主党衆院議員)
米国植民地からの脱却が東アジアの平和をつくる 
鳩山友紀夫(元首相)・末松義規(立憲民主党衆院議員)

河野太郎「マイナ保険証」の愚行 米アマゾンに売られる日本の「情報主権」 高野孟
巨大製薬企業は日本人を狙っている! 明らかになった子宮頸がんワクチンの危険性 神山徹
ウクライナ化するフィリピン 米中対立と「アジア有事」の現在地 浜田和幸
日本人が知らされない“極東”の隆盛 ロシア「東方経済フォーラム」で見た世界の現実 木村三浩
自民党総裁選「憲法改正」争点化の姑息 自民憲法改正案は「改憲」とはいえない 足立昌勝
告発者潰しにも維新議員が関与 兵庫パワハラ知事を生んだ維新の無責任と凋落 横田一
「政教分離」をかなぐり捨てる創価学会 公明党・山口那津男代表“一転”退任の真相 大山友樹
総裁選とは何だったのか 衆院解散・総選挙とその後の自民党 山田厚俊
プロボクシングに見た躍進するサウジアラビア 片岡亮
ジャニーズとNHK、そして大阪・関西万博 本誌芸能取材班
統一教会のオカルト洗脳で「脳死」させられたニッポン 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪 53 茨城上申書殺人事件 片岡健

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
【新連載】「ニッポン崩壊」の近現代史:西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

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二人の新チャンピオン、初戦の運命は……?
初メインイベンター、西原茉生はわずか24秒で圧勝のインパクト。
セミファイナルの政斗はムエタイの壁に跳ね返される試練の敗戦。

◎KICK Insist.20 / 9月29日(日)新宿FACE17:30~19:37
主催:VICTORY SPIRITS、ビクトリージム / 認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)

◆第8試合 スーパーフライ級3回戦   

JKAフライ級チャンピオン.西原茉生(治政館/2003.6.27埼玉県出身/52.0kg)
14戦9勝(4KO)4敗1分
        VS
WMC日本フライ級チャンピオン.キリョウ・シリラックムエタイ(シリラックムエタイ/茨城県出身/ 52.38→52.35→52.3→52.25kg/90グラムオーバー計量失格)
9戦3勝(2KO)4敗2分
勝者:西原茉生 / TKO 1ラウンド 24秒
主審:小林利典

「やっとメインイベントで試合が出来る。必ず自分がこの興行を盛り上げるという気持ちになりました!」という主催者発表のコメントがあった新チャンピオン西原茉生。

開始早々、両者のわずか1~2発のローキックの交錯から、西原茉生の左の三日月蹴りが的確にキリョウのレバーに突き刺すようにヒットするとわずかな間をおいて蹲って悶絶するキリョウはカウント中にレフェリーに止められる衝撃の幕切れとなった。

言われてみれば確かに肝臓にヒットしている西原茉生の三日月蹴り

わずか24秒のTKO勝利となった西原茉生

盛り上げる前に終わってしまった感があるが、見事な三日月蹴りは完全クリーンヒットでわずか24秒での勝利は見事でした。

西原茉生は勝利のリング上では「僕はまだまだこんなもんじゃないんで、ジャパンキック(協会)のチャンピオンは滅茶苦茶強いんで皆、本当に期待してください。次はもっと強い選手と戦っていくので、僕の応援とチーム治政館の応援を宜しくお願いします。」とマイクアピール。

ファンに囲まれたロビーでの記念撮影の場で話を聞くと、
「メインらしくチャンピオンらしく締められたんじゃないかと思います。」

もうちょっと観たかったという声には「そうですね。でもあれは試合前からすごい狙ってた三日月蹴りで、もう作戦ピッタリ嵌ったなって思います。」

次の目標については「特に何も決まってないですけど、RISEさんに出たいですね。それ以外にもKNOCK OUTとか盛り上がっているんで、いろいろな団体にチャンピオンとして出たいなと思います。」とファンに囲まれ、乗りに乗ったハイテンションで語ってくれました。年間MVPの候補にも上がって来そうな西原茉生は今後もメインイベンターとして登場するか期待が高まります。

西原茉生の勝利を祝うチーム治政館

◆第7試合 67.0kg契約3回戦  

JKAウェルター級チャンピオン.政斗(=黒澤政斗/治政館/1992.7.17東京都出身/ 66.9kg)
34戦18勝(5KO)13敗3分
      VS
ピラポン・ノーナクシン(タイ・サラブリー出身/ 66.35kg)67戦42勝20敗5分
勝者:ピラポン・ノーナクシン / TKO 3ラウンド 2分53秒
主審:宮沢誠

先手を打ってアグレッシブに蹴って出る政斗に対し、落ち着いた表情で鋭く重い蹴りを返して来るピラポン。徐々に距離感が狂わされていく政斗。ピラポンの蹴り易い位置は続き、第2ラウンドにはピラポンの左フックで軽いノックダウンを喫し、第3ラウンド1分過ぎには左ヒジ打ちで額を斬られるが、続行するも更に左ヒジ打ちを受けた様子が窺え、終了間際には流血が酷くなり、すぐさまレフェリーストップが掛かった。

ピラポンのウェイトの乗った左ハイキック、試練の政人

再三のピラポンの左ヒジ打ちで側頭部から流血する政人

試合後、宮沢誠レフェリーは「血がピューッと噴き出ていた!」と言い、即座にストップした様子。

政斗は控室で、「全部のタイミングで相手が上でしたね。僕ももっとタイミングを上手くなるようにと、その自分から出るところとかももうちょっと誤魔化して入れたら、もうちょっと流れが変わったのかもと思います。取り敢えず今回は相手の方が強かったというそれだけです。あとは地道に積み上げてまた勝てるように頑張ります!」
と残念な空気が漂う控室にも元気に滑舌よくハキハキと応えてくれました。

諦めない政人のパンチ、逆側だが、血が噴き出ている

 

山内ユウ、まだ攻勢ではないが、次第に距離感タイミングを掴んだか

◆第6試合 ウェルター級3回戦

JKAウェルター級4位.山内ユウ(ROCK ON/神奈川県出身/ 66.4kg)10戦5勝(3KO)5敗
     VS
後藤啓太(拳心館/新潟県出身/ 66.65kg)5戦4勝(2KO)1敗
 勝者:山内ユウ / TKO 1ラウンド 1分22秒
主審:中山宏美

後藤啓太の重さとスピードある多彩な蹴りが山内ユウをコーナーに追い詰め圧倒しつつある中、ロープ際の接近戦で山内の右フックが炸裂すると、後藤は膝から崩れ仰向けに倒れ込んでしまった。山内の鮮やかな逆転劇だった。

山内ユウはリング上でマイクを持っても泣き顔で直ぐ声には出来ず、
「普通に仕事してるとこんな応援されること無いからマジでメッチャ気持ちいいです。後藤選手マジ警戒心強くて、本当ああいう不器用な試合しか出来ないですけど、これからも一生懸命頑張るんで応援宜しくお願いします。」
と感動の結果でリングを下りた。

後藤啓太側セコンドの木村充利氏は、「後藤啓太の油断でしたね。攻めていたんだけど、これで勝つかって時にパンチ貰っちゃったんで、もう油断の一言で、勝ってる試合を落としてしまったんで勿体無かったですね。」
という残念さを語っていました。

相当嬉しかったか、耐え切れなかった山内ユウの涙

◆第5試合 ウェルター級3回戦

JKAウェルター級5位.我謝真人(E.D.O/神奈川県出身/ 66.6kg)14戦3勝(1KO)9敗2分
     VS
健吾(BIGMOOSE/千葉県出身/ 66.15kg)5戦3勝(1KO)1敗1分
引分け 0-0
主審:児島真人
副審:宮沢28-28. 小林28-28. 中山28-28

蹴りの距離から接近戦、互いに組み合うシーンが増えると健吾のヒジ打ちが繰り出されて行く。第2ラウンドには我謝の右ローキックで健吾から軽いノックダウンを奪うが、今度は健吾のヒジ打ちで我謝が左眼尻を斬られる。最終ラウンドも接近戦で我武者羅の打ち合いが続くが、打ち合いながら健吾のヒジ打ちで我謝は圧され気味に進み、ジャッジ三者とも差が付かない結果に落ち着いた。

我謝真人と健吾の打ち合いの中、健吾のヒジ打ちが我謝を襲う

◆第4試合 フェザー級3回戦

石川智崇(KICK BOX/神奈川県出身/ 56.85kg)6戦3勝2敗1分
      VS
松岡優太(チームタイガーホーク/宮城県出身/ 56.95kg)3戦2勝1分
勝者:松岡優太 / 判定0-3 (28-30. 29-30. 29-30)

蹴り中心の攻防は松岡優太の的確差が優っていく中、セコンドの「もっと蹴れ!」の声にはなかなか蹴って行かない松岡だったが僅差判定勝利となった。ただ、ジャッジ三者が揃ったラウンドは無く、もっと蹴って出れば明確な差となっただろう。

松岡優太の左ハイキックが石川智崇の鼻頭を掠める

◆第3試合 ライト級3回戦

菊地拓人(市原/千葉県出身/ 61.1kg)6戦4勝(2KO)2敗
     VS
石井隆浩(尚武会/東京都出身/ 59.8kg)2戦2敗
勝者:菊地拓人 / KO 1ラウンド 2分56秒

◆第2試合 バンタム級3回戦 

紫希士(Formed/福岡県出身/ 53.3kg)3戦3勝
      VS
九龍悠誠(誠真/神奈川県出身/ 53.55→53.52kg)4戦1勝(1KO)3敗
勝者:紫希士 / 判定3-0 (30-28. 30-29. 30-28)

◆第1試合 ミドル級3回戦

白井大也(市原/千葉県出身/ 72.8→72.75→72.5kg)4戦2勝(1KO)2分
        VS
ソムプラユン・ヒロキ(DANGER/茨城県出身/ 71.85kg)7戦2勝5敗
勝者:白井大也 / 判定3-0 (30-28. 30-28. 30-29)

《取材戦記》

キリョウは前日計量であと90グラムというところで諦めた流れ。すでにフラフラの状態で、プロモーターの八木沼氏も更なる減量は勧めなかった。命が大事。より無理を課すことはせず、体調回復に努めさせました。丸一日あったリカバリーの時間で体調回復はしたものの、弱点となるボディーへの減量の影響は脆くも浮き出てしまった試合でした。

三日月蹴りとは格闘技界では有名な蹴りで、ミドルキックと前蹴りの中間域という意味と、相手の右脇腹にある肝臓に、左足の親指の付け根の中足を当てるというピンポイントを狙った蹴り言われます。

近年はカーフキックという注目され始めた蹴りがあり、ともに蹴りに行く側の足も当たり所が悪いと自らダメージを負う恐れがあるも、ヒットすれば効果的な蹴りとなるようです。

最近、キックボクシングにおいては“回し蹴り”という言い方が少なくなった気がします。ハイキック、ミドルキック、ローキックが主で、空手では上段回し蹴り、中段回し蹴り、下段回し蹴りと言うかと思いますが、元々空手から引用した技をキックボクシング創生期から使って来たのでしょう。時代の流れで踵落とし、カーフキック、三日月蹴りへ移り流行って来ました。

というこの日の興行とは関係無い方向へズレましたが、西原茉生の三日月蹴りから脱線話となりました。

次回ジャパンキックボクシング協会興行は11月17日(日)、後楽園ホールに於いてKICK Insist 21が開催されます。フェザー級王座戴冠した皆川裕哉の初防衛戦が予定されています。目黒の伝統“防衛してこそ真のチャンピオン”を越えて数度防衛を視野に頑張る皆川裕哉の試合捌きに注目です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

月刊『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。記事単位での購入も可能になりましたが、『紙の爆弾』はあくまで紙がメインのメディアです。興味を持っていただけましたら、ぜひ書店でお手にとっていただければ幸いです。定価700円(税込)、年間定期購読7700円(1号分お得です)。ここでは10月号(9月7日刊行)の注目記事2本の一部を紹介します。

◆『さらば日大!』和田秀樹医師が暴く日本大学と「医学部」「医師界」の闇
 構成・文責/編集部

 

 

日本最大の学校組織・日本大学で、林真理子理事長から常務理事として招聘を受けながら、同氏によって今年1月に辞任させられた精神科医の和田秀樹氏が7月、『さらば日大!』(ブックマン社)でその真相を明かした。

日大は2018年にアメフト部の悪質タックル問題が勃発。林理事長となった昨年7月にも同部で大麻事件が発覚した。両事件や田中英壽前理事長の問題については『さらば日大!』でも年表とともに詳述されている。これら「日大問題」があれだけ世論を席巻したにもかかわらず、それをまとめた書籍がこれまで出ていなかったこと自体が〝闇?の深さを象徴しており、同書の大きな存在意義だといえる。

医師として「薬漬け医療」をはじめ、日本の医学が抱える数々の問題を追及してきた和田氏に日大と「大学医学部」「医師界」の内実を聞いた。

 あまりに軽い林理事長のクビ宣告

── 日本大学医学部附属板橋病院(東京都)の建て替え計画を巡る背任事件での逮捕を受けて、田中英壽前理事長(今年1月に死去)が辞任したのが2021年末。翌年7月に作家である林氏が理事長に就任しました。まず、林理事長の常務理事招聘で、和田さんに対して求められていたものとは何だったのでしょうか。

和田 林さんとは20年以上の親交があり、「和田さんのような“異星人”に来てほしい」と言われて日大理事を引き受けました。そこから約1年半で大学を去ることになったわけですが、私には成城学園で理事を務め、国際医療福祉大学では教授として医学部(2017年)の新設に関わってきた経験があります。当然、日大では医学部の改革が私の役割だという認識でしたが、今から振り返ると、林さんが、私のこうした能力に期待していたわけではないのかもしれません。「エンジン01文化戦略会議」という文化人団体で、林さんを継いで、現在の幹事長を私が務めています。そうした関係性から、「使いやすい人間」だと思ったのではないでしょうか。

そもそも私を含めた林体制とは、日大にとって、独裁者として知られ暴力団との“黒い交際”まで発覚した田中英壽理事長からの脱却をアピールするのが一番の目的です。就任前から林さんと打ち合わせを重ねて「不正事案洗い出しのための特別調査委員会」の設置を決め、一部の反発を受けながらも新生日大の象徴となっています。にもかかわらず、林さんは後に否定しますが、私をクビにした理由として、「和田さんがいろいろなことを言うことで学部長たちが怒っている」と口にしました。私は、それは気の毒だと思って辞任を受け入れたものの、あまりに軽い一言でしたね。

── 日大医学部や附属病院(現在、医学部附属板橋病院と日本大学病院)が抱えていた問題とは。

和田 まず、常識から考えて、大学病院で赤字なんて絶対におかしい。病院に患者さんが集まり、学生から人気のある医学部は作れると考えました。国際医療福祉大学では、給料は決して高くなくとも、大学教授の肩書きを与えることで医者を集めることに成功しています。医者の愚かさともいえますが、医学部教授の肩書きはそれほど魅力的なわけです。

それを考えれば、日大はブランド力をどぶに捨てている、真逆の経営です。なにしろ、理工学部約240人に対して、医学部にはおよそ40人しか医学部教授がいないのです。近隣の順天堂大学は220人以上の教授を抱えています。私から見ると日大はとても不思議な組織で、改革の余地と可能性があることは明らかでした。

── 林理事長就任からすでに2年半を経過しても、日大が不祥事のイメージから脱却したようには見えません。

和田 林さんは、言うまでもなく直木賞の選考委員長をはじめ、すでに文壇での地位は高かった。そんな作家の仕事を制限されても、社会的信用を失い、ドン底にあった日大を立て直したいと、自ら手を上げたのは事実でしょう。たとえば法政大学では田中優子前総長がイメージを大幅に改善。明治大学も広報戦略で「女子高生が選ぶナンバー1」となった。彼女も作家としての力で日大のイメージを良くし、特に女子学生の比率を上げることは可能だと考えたのだと思います。ただし、そのためにしたことといえば、たとえば当初の彼女が出した案は、社長と昵懇のマガジンハウスと組んで雑誌型のパンフレットを作るといったもの。少し甘いのではないかという印象はありました。

そんな林さんに対して、老獪な旧勢力は、官僚が政治家を手なづけるようにしていたと思います。その結果が表れたのが大麻事件で、林さんが重要な報告を受けていなかったことが事態の展開に大きく影響しました。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n341f706d3e88

◆岸田首相「核なき世界」約束8日後に退陣表明 広島市の妨害を打破した平和式典「反戦集会」
 取材・文◎浅野健一

 

 

1895年の台湾武力併合以降、アジア太平洋諸国を侵略・強制占領した大日本帝国が無条件降伏した「8・15」の前日である8月14日午前10時半、NHKが「岸田文雄首相が総裁選不出馬を党幹部に伝えた」と速報した。

岸田氏は11時半から官邸で記者会見し、「総裁選で自民党が変わる姿を示すことが重要で、最もわかりやすい最初の一歩は私が身を引くことだ」などと表明。会見は30分前に内閣記者会に通告され、正副の官房副長官が同席しない異例の事態だった。

司会は7月1日に就任した小林麻紀内閣広報官。小林氏は外務報道官だった6月26日の会見で、政府と沖縄県警が米兵による少女強姦被告事件(2023年12月24日)を半年間隠蔽していたことについて、「個別具体的な事案の内容に応じて適切に判断して対応している」と居直った外務官僚だ。

幹事社である日経新聞の秋山裕之記者が「日本外交の顔が見えてくるようになった今、総裁選に出馬して政権を維持する選択肢はなかったのか」と質問した。幹事社の質問内容は常勤幹事社19社の総意で決まる。他の記者からも、特筆すべき質問はなかった。司会の内閣広報官が一方的に閉会を告げるいつものパターンで会見は終了。たった20分で、安倍晋三、菅義偉両氏の退陣会見に比べても異常に短い。一方的な会見終了に記者から抗議の声はなかった。

官邸での首相・官房長官の会見は内閣記者会の主催でも、官邸報道室がすべて仕切っている。これは内閣記者会の規約に違反している。1970年代には、佐藤栄作首相の会見をボイコットすることもあった。米ホワイトハウス記者会(キシャクラブではない)も大統領の会見が無内容で宣伝目的だと判断するとボイコットする。第2次安倍政権以降、内閣記者会はまったく権力監視機能を失った。

この会見で岸田氏は、「憲法改正については、緊急事態条項の条文化の作業や、自衛隊の明記の論点整理を進めている。着実に実行してまいりたい」と意欲を示した。1週間前の8月7日、党本部で憲法改正実現本部の全体会合に出席し、緊急事態条項に加え憲法9条への自衛隊明記をテーマとする国民投票の実施を目指す考えを示していた。また岸田氏は会見で「原発再稼働、新型革新炉の設置など、エネルギー政策を転換した」と強調した。

自由と民主主義を蹂躙し、軍国主義化を進める岸田氏に憲法を語る資格はない。憲法第99条で憲法尊重順守義務を課せられている首相が、憲法に口出しするのは不当だ。

 安倍・菅退陣時と同じキシャクラブメディアの自民協力

岸田氏の不出馬表明後、総裁選(9月12日告示・27日投開票)に最初に名乗りを上げたのは、若手が推すとされる極右・靖国派で統一協会=国際勝共連合まみれの小林鷹之前経済安全保障担当相(衆議院千葉2区)だった。それ以来、メディアは小林氏を持ち上げるが、NHKが19日午後2時の定時ニュース枠を延長する形で、小林氏の出馬会見を衆院議員会館から生中継したのには、さすがに驚いた。

NHKは総合テレビでの甲子園の高校野球中継をEテレに切り替え、何の実績もない財務官僚の小林氏の宣伝をした。小林氏は、自分は「普通のサラリーマン家庭」に生まれ、大学生の時に父親の会社が倒産したなどと自己紹介。まるで政見放送のようだった。

スタジオ出演した政治部記者は「派閥がなくなって初めての総裁選」と解説したが、派閥は森山グループ以外、まだ政治資金規正法の「政治団体」としての解散手続きを終えていない。麻生派は解散しないと決めている。小林氏の父親の泰芳氏は財閥系の「大倉商事」の幹部でグループ会社の社長などを歴任。倒産後も老舗建材メーカーでいきなり貿易事業部長を任されて取締役に出世。決して「普通のサラリーマン」ではない。

私が代表を務める千葉県「戦争のない世界を憲法9条で実現しよう!憲法9条世界へ未来へ連絡会」(9条連)が8月17日に開いた定期総会で、宮川伸元衆院議員(立憲民主党・千葉13区)は「2021年の衆院選前と今はそっくりだ。東京五輪が終わり、菅義偉政権の支持率は20%台と低い中、菅総理は降りた。自民党総裁選の2週間、自民党のメディアジャックで、市民の関心が自民党に向く中で解散して選挙に圧勝した。今回は同じ事態を避けなければならない」と強調した。

自民党が電通や博報堂を動員し、メディアを動かしての巧妙な看板替え作戦が進んでいる。自民党は自ら定めた党綱領、運動方針に違反した犯罪者集団組織である。岸田氏らは、党首が変わることで党が原点に戻り再生するというが、問題を起こした団体がリーダーを替えれば組織が新生するなら、山口組も統一協会もオウム真理教もリーダーを一新すればいいということになる。

 メディアが報じない「要望を聞く会」

岸田氏の政権放棄表明が広島・長崎の原爆記念日と敗戦記念日の間に行なわれたことは深刻だ。オバマ米大統領が2016年に広島を訪問して以降、私はほぼ毎年、8月6日に現地を訪れてきた。そのたび最も暑い時に、無差別に市民を大虐殺した米国の核攻撃への憤りを覚える。言語哲学の父といわれる米国のノーム・チョムスキー氏は私との対談で、日米戦争の時代、日本人は「害虫」扱いだったと教えてくれた。極東のアジア人を狙った人種差別の人体実験だった。

その米国の「拡大抑止」戦略の下、対中戦争を見据えた軍事同盟の強化の中で、今年の広島での式典は開催された。7月28日の日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)会合で、自衛隊が来春までに「統合作戦司令部」を設けるのに合わせ、米国が在日米軍を再編し、統合軍司令部を新設する方針が決まった。また同日から、陸自と米海兵隊の実動訓練「レゾリュート・ドラゴン24」が8月7日まで岩国・九州・沖縄を舞台に過去最大規模で行なわれた。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nc1935794d703

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年10月号

『紙の爆弾』2024年 10月号

『さらば日大!』和田秀樹医師が暴く日本大学と「医学部」「医師界」の闇
旭川女子中学生凍死事件 再調査委員会が隠した社会の病巣 山田寿彦
安倍・岸田軍拡43兆円の無駄遣い 隠蔽主義の「カルト集団」防衛省・自衛隊 清谷信一
日本にも進出する情報統制機関 政府・企業・組織「検閲産業複合体」の脅威 青柳貞一郎
広島市の妨害を民衆が打破 平和記念式典「反戦集会」 浅野健一
“勝ち目”のあるうちに退いた 岸田文雄首相「退陣表明」の裏側 山田厚俊
僚支配・憲法無視・米国追従 「能動的サイバー防御」とは何か 足立昌勝
国民より先に米国に“退職報告”していた岸田首相 
ウクライナの侵攻を「越境攻撃」と呼ぶ欺瞞 木村三浩
兵庫県知事パワハラ疑惑は「維新的」政治家の成れの果て 吉富有治
大屋根リング・会場周辺で“実測” 灼熱の大阪・関西万博 横田一
米大統領選の隠れた争点 日本製鉄のUSスチール買収計画 浜田和幸
子宮頸がんワクチンを打ってはいけない理由 「ワクチン添加物」という“毒” 神山徹
IOCの体質こそ根本原因 パリ五輪ボクシング“染色体問題”の本質 片岡亮
“性加害”補償進まぬウラで 旧ジャニーズと離脱組「TOBE」の明暗
地獄の黙示録1984+40 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪 52 プレサンス元社長事件 尾崎美代子

連載
あの人の家
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「格差」を読む:中川淳一郎
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The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
SDGsという宗教:西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

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立憲民主党代表選挙(9月23日)、そして自民党総裁選挙(9月27日)が終わりました。終わってみれば、立憲民主党は野田佳彦さん、そして自民党は石破茂さんと「旧新進党OB」が二大政党トップとなりました。

石破さんは、自民党では初の他政党所属経験のある首相になります。

◆1993-94年の政治改革でメジャーデビューした石破・高市・野田・枝野氏

野田さんが決選投票で破った枝野幸男さん、石破さんが破った高市早苗さんも含めて、1993年の「政治改革解散」で注目を浴びた「若手・新人」議員です。いずれも現行の小選挙区比例代表並立制を軸とした「政治改革」の元祖・小沢一郎さんが党首だった政党(新進党か旧民主党)に所属経験がある方です。

1993年の状況をおさらいすると、1980年代末から90年代初めの日本の政治を牛耳っていた金丸信(故人)らによる汚職事件が相次ぐ中で政治改革が叫ばれました。

こうした中で「政治に金がかかるのは中選挙区制のせいだ。また、これからは、政策論争中心の政治にしないといけない。そのためには政党本位の選挙制度にしないといけない」という理屈で小選挙区比例代表並立制を、という議論になりました。

さらに、政党交付金制度が導入され、並行して二大政党に所属していないと国会議員に当選するのはおろか立候補も難しい制度設計とされました。1993年6月に政治改革法案の不成立の責任を問うて野党が提出した内閣不信任案に小沢一郎さんやその側近だった石破さんも含む一部自民党議員も賛成し成立。衆院解散総選挙の結果、自民党が過半数を大きく割り込み、細川政権が成立。1994年に上記のような内容の政治改革法案が成立しました。

しかし、今回の二大政党の党首選挙を拝見すると、30年前に行われたこの政治改革自体が制度疲労をおこしているといわざるを得ません。

◆自民党内の多様性可視化される

自民党総裁選挙では、自民党にもいろいろな考えの方がおられるのが可視化されました。このうち、小泉進次郎さんは親父さんの二番煎じの極端な新自由主義&緊縮財政主義です。解雇規制緩和が小泉さんの目玉でしたが、解雇規制が日本は主要国の中で厳しいとは言えない、と高市早苗さんらに反論され「炎上」。失速しました。

実際、米国は別として日本より解雇規制が緩いとされる北欧などはそのかわり行き届いた福祉や教育=大きな政府があるわけです。今の日本でそこまでの大きな政府を実現する土壌はないし、小泉さん自体が財務省寄りで緊縮財政です。労働者を路頭に放り出した挙句、福祉や教育への予算も不十分なら、大混乱になる。高市さんらの反論は当然です。

高市早苗さんは激しく追い上げた。積極財政であることは筆者も注目しました。この点は小泉進次郎さんよりは評価できる。しかし、高市さんが露骨に靖国参拝を掲げたことは、党内選挙とは言え、「韓国、ひいては米国との関係を悪化させ、日本を孤立させかねない」という不安が自民党員の方の中でも広がったのだろうと推測されます。このために、あと一歩、石破さんに及ばなかったのでしょう。

さて、石破さんが金融所得課税などを主張していたために、石破当選で株価が下がったと言われています。ただ、日本の場合、超大金持ちへの課税は米国さえより甘い実態がある。金融所得課税はどこかでやらないといけません。むろん、その場合でも、米国の利下げなどの動向を見ながら、利上げには当面慎重にするなどの手綱さばきは必要でしょう。慌てて利上げを日本がしなくても米国が下げれば金利差は縮小し、過度な円安→これ以上の物価上昇には歯止めがかかると思われます。

また、石破さんの政策では「気象庁の予算拡充」も注目されます。また、鉄道オタクであることから、芸備線を含む地方交通政策についても注目したい。他方で、消費税増税論者でもあり、この点が野田さんに近い。下手をすると大政翼賛会的な消費増税の危険もあります。

一方、立憲民主党代表になった野田佳彦さん。元総理の今も駅前で1人ででも立ってビラを配っておられるのは正直、頭が下がる。ご自身の選挙は強いと思います。
しかし、彼が野党全体への支持を高められるかといえば、疑問が大きいのです。やはり、2012年に当時の野党だった自公と合意した消費税増税と、セットでの緊縮財政のイメージが強すぎるのです。大震災の復興財源のために現場公務員の給料を減らしたり正規公務員数を減らしたりしたのはまずかった。その後相次いだ災害や感染症への対応で現場が苦労することになりましたし、住民サービスの持続性にも暗雲を投げかけています。野田さんには、ご自身がやったことの反省と総括を最低限お願いしたい。

◆切り捨てられる民意・抑圧される党内民主主義

ともかく、現代にはいろいろな政策課題があり、立憲の支持者も自民の支持者も価値観も多様化しています。いまの小選挙区比例代表制度かつ、政党幹部が財布のひもや公認権を事実上独裁的に握る制度での二大政党が本当に人々のニーズに合致するのでしょうか? 事実上大きな影響を持つ政党が二つでは、やはり、切り捨てられてしまう民意が大きくなってしまいます。

また、広島県内でも、河井案里さん失職に伴う参院選広島再選挙2021の立憲の候補者に内定していた楾大樹先生が、はしごを外されるという事件も発生しています(茶番選挙―仁義なき候補者選考)より。その後も、衆院選2021で一回敗けただけの広島都市圏の立憲候補3人が、事実上クビになっています。これは、政党幹部の独裁を可能とする現行の選挙制度の欠陥ではないでしょうか?

さらに、同じ野党の日本共産党でも本やネットで田村智子さん、志位和夫さんと違う意見を言っただけで、除名・除籍される事件が続発しています。最近では「ごはん論法」考案で有名な紙屋高雪さんが、同党から除籍され、福岡市議団スタッフからもいきなりクビになっています。

また、大阪など関西では「維新」の公認や推薦というだけで、候補者個人の政策や人柄があまり吟味されないまま、爆発的に支持されてしまう現象が最近までありました。斉藤元彦・兵庫県知事による数々のご乱行を巡る混乱も招いています。

それなりの数の政党が存在し、なおかつ枠に入りきらないような無所属の候補も当選できるような選挙制度の設計がやはり望ましいと考えます。政策テーマごとに、政党の組み合わせが違ってもいいのです。

◆選管主催でガチバトルの公開討論会実施を

なお、自民党総裁選挙のガチバトルの公開討論会は自民党を支持しない筆者が見てもそれなりに面白かったです。これを国政・地方選挙で選管主催やったらどうかと思います。そうすれば金を持っている人が有利とかそういうこともなくなるでしょう。

というか、「政治改革」の前は、選管主催で合同立会演説会を公会堂とかでやっていました。政治の面白さが後退しているのです。今後、選挙管理委員会の前候補参加の主催討論会を各公民館で実施、ネットでも配信するなどしていけばいいでしょう。都知事選で悪用され、物議をかもしたポスター公営掲示板よりもよほど有権者に判断材料を提供することになるでしょう。

繰り返します。石破茂さん、高市早苗さん、野田佳彦さんらが注目された1993年総選挙後に行われた政治改革1994。裏金も含めて、本当の改革になっていたのか? そのことを与野党ともに検証すべきときではないのか? 30年たって、むしろ政治が劣化しているとすれば、制度を疑うことも必要ではないでしょうか?

広島瀬戸内新聞とさとうしゅういちは「あなたの手に広島を取り戻し広島とあなたを守るヒロシマ庶民革命」を呼び掛けています。「我こそは庶民派の政治家に!」(首長、地方議員、国会議員)、また庶民派の政治家とともに広島を取り戻したいというあなたからのご連絡や記事のご投稿をお待ちしております。

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▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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◆大地震を目の当たりにしようと、使用済み核燃料の行き場がなかろうと、核燃料サイクルが破綻しようと、「原発依存社会」に向かって暴走する政府と電力会社

本年元日の能登半島地震は、原発は地震に脆く、地震に伴って過酷事故が起これば、避難も屋内退避も困難を極めることを再認識させました。地震は「いつ、どこで、どの規模で発生するか」予知できません。8月8日の日向灘地震以降、南海トラフ巨大地震発生の可能性が高まったとされています。地震多発の日本に、原発はあってはなりません。

それでも、「原発依存社会」へ暴走する自公政権は、昨年5月末に成立させた原発推進法(「GX束ね法」)の実態化のために、「原発の最大限活用」を目指す第7次エネルギー基本計画の策定を進めています。既存原発の再稼働、40年超え運転をさらに進め、60年超え運転も拡大し、原発建て替え、新設も俎上に上らせようとしています。

一方、老朽原発依存経営の泥沼にのめりこむ関電は、原子力規制委員会から高浜3、4号機の20年間運転延長の認可を得ました(本年5月)。ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使用する原発の40年超え運転は初めてです。これで、来年には、関電の稼働可能な原発7基の内の5基が40年超え運転となります。老朽原発では、交換不可能な圧力容器の脆化が進み、点検や交換が難しい配管、送電ケーブルの損傷も進んでいます。

ところで、原発を動かすと使用済み核燃料が発生しますが、発生直後の使用済み核燃料は、膨大な放射線と熱を発しますから、燃料プールで水冷保管しなければなりません。そのプールが今、満杯になろうとしています。満杯になれば原発を運転できなくなるため、電力会社や政府は、放射線量と発熱量が減少した使用済み核燃料を乾式貯蔵に移して、プールに空きを作ることに躍起です。

ところが、乾式貯蔵には2つの問題があります。一つは、乾式貯蔵に移すことによって出来た燃料プールの空間に、高放射線、高発熱の新しい使用済み核燃料を入れた場合、その燃料プールが崩壊すれば、大惨事に至ることです。

もう一つは、乾式貯蔵に移した使用済み核燃料の行き場がないことです。関電や政府は、行き場として青森県の核燃料再処理工場の稼働を願望していましたが、8月23日、日本原燃は27回目の目の再処理工場完成延期を発表しました。再処理工場が完成する見通しはありませんから、使用済み核燃料は行き場を失ったことになります。危険極まりなく、行き場もない使用済み核燃料の発生源・原発は全廃しなければなりません。

◆9.23「老朽原発うごかすな! 高浜全国集会-地震も事故もまったなし-」(以下「高浜全国集会」)にご参加、ご支援を頂き、ありがとうございました

 

2024年9月24日付け日刊県民福井、中日新聞

9月23日、高浜町文化会館で開催された「高浜全国集会」(主催:老朽原発うごかすな!実行委員会)には、関西、福井、石川、富山、愛知、岐阜、首都圏、四国など全国から約360人のご参集を頂き、原発現地で「老朽原発うごかすな!」の大きな声を挙げることができました。拍手の多い、活気溢れる集会でした。 

なお、高浜原発北ゲート前での前段行動には、180人のご参加をいただき、断固としたシュプレヒコールと申し入れによって「老朽原発」にしがみ付く関電を糾弾しました。

皆様のご参加、ご助力に心より感謝申し上げます。「高浜全国集会」は、13時より、小浜市議会議員の世戸玉枝さんの司会により開会しました。

主催者挨拶で中嶌哲演さんは、「今や福井県議会の自民党会派の県議すらも、3基の老朽原発の即時停止を関電に要求している。杜撰なロードマップが破綻したにも拘らず、関電は老朽炉を停止するという約束を履行しないから」と指摘し、「来る総選挙で、原発依存・回帰の保守政権を退場させよう」と結びました。

 

2024年9月24日付け福井新聞

次いで、前日の豪雨を押して珠洲市から駆け付けられた志賀原発廃炉訴訟原告団長の北野進さんが「能登半島地震を教訓に原発全廃を!」と題した講演で、かつての原発建設予定地で国内最大級の内陸地殻内地震が発生し、世界にも例を見ない規模で地盤が隆起したことを指摘し、聞く者をして「地震大国日本に原発はあってはならない」こと、「珠洲原発の建設を阻止した運動が大惨事を回避させた」ことを再認識させました。

福井地裁で「原発は地震に耐えられない」として原発を止めた裁判官・樋口英明さんは、原発の本質を、極めて簡潔に、①人が管理し続けないと暴走する、②暴走したときの被害は想像を絶するほど大きい装置であるとし、このような装置は、原発以外にないことを理解することの大切さを強調された。

核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会事務局長の中道雅史さんは、青森からビデオメッセージを寄せられ、むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設が稼働すれば、原発の再稼働、新設につながるとし、使用済み核燃料の青森への搬入を許さない決意を述べられました。

原子力発電に反対する福井県民会議事務局長の石地優さんは、使用済み核燃料乾式貯蔵の問題点を述べ、乾式貯蔵は、県内永久貯蔵、原発延命につながることを指摘しました。

なお、使用済み核燃料問題について、本集会主催者が、後日、高浜町への申し入れを行うことが提案され、承認されました。続いて、原発再稼働の攻撃に曝されている全国の原発現地より寄せられた3件のビデオメッセージが上映されました。女川原発現地からは、さよなら原発みやぎ実行委員会の多々良哲さんが、東日本大震災で被災した原発の再稼働の無謀を訴え、活発な反対運動を紹介しました。

柏崎刈羽原発現地からは、規制庁・規制委員会を監視する新潟の会の桑原三恵さんが、2007年の中越沖地震で被災し、東日本大地震以降、長期停止していた原発、使用済み核燃料を増やし続ける原発のの再稼働阻止を訴えました。

一方、島根原発現地からは島根原発3号機訴訟の会の芦原康江さんが、12月予定の再稼働絶対阻止を訴えました。

老朽原発うごかすな!実行委員会の橋田秀美さんは、カンパのお願いをし、12年間続けた若狭でのチラシの各戸配布(愛称「アメーバデモ」)の中で感じた若狭の人々の反応の変化を紹介しました、参加者の心に響くものでした。

プラカードアクションに続いて、原発住民運動福井・嶺南センター事務局長の山本雅彦さんが「敦賀原発2号機の廃炉を求める」と題する特別報告を行いました。

ふるさとを守る高浜・おおいの会の宮崎宗真さんは、おおい町では「国防婦人会」張りの団体が、原発推進の立場を教育現場にまで持ち込んでいる現状を紹介しました。

大型バスで駆け付けた名古屋からは、老朽原発40年廃炉訴訟市民の会の草地妙子さんが、名古屋地裁で2016年から続け、本年7月に結審した「老朽原発の運転認可取り消しを規制委に求める訴訟」に関して「公正な判決を求めよう!」と訴えました。

若狭の原発から30km圏内にある若狭湾沿岸、京都府北部の住民のみなさんを代表して、国内最古の原発の立地・高浜町の東山幸弘さんは、使用済み核燃料搬出に関して昨年10月に関電が示した「ロードマップ」が破綻した今、「原発を止めて、核のゴミを増やすな!」とし、舞鶴市市会議員の小西洋一さんは、「若狭湾の老朽原発の稼働は、8万舞鶴市民の問題。老朽原発全てを廃炉!」を強調しました。京都地方労働組合総評議会議長の梶川憲さんは、「京都は、原発の電気の消費地でもあるが、被害地にもなる。福井、京都、近畿の働く仲間の団結で、原発を全廃しよう!」の決意を述べられました。

次いで、本集会には全国23の団体、個人から連帯メッセージが寄せられたことが、司会から紹介されました(プログラム・メッセージ冊子として配布)。

最後に、集会宣言(後述)が提案され、満場の拍手で採択されました。

力強いシュプレヒコールによって締めくくられた集会の後、参加者は、約1時間の町内デモに出発しました。あたかもフランスデモの様相を呈した町内デモには、多数の町民からのご声援を頂きました。声援の数は、集会を行うごとに増えています。

高浜原発北ゲートに向かうデモと前段集会9.23高浜全国集会高浜町内デモ

高浜全国集会集会、前段行動、町内デモの詳細は、STOP原子力★関電包囲行動のたぬき御膳さんがYouTubeにUP下さっています。是非ご覧ください。
(集会)https://youtu.be/qZN0W_4cASY?si=sMyLfDGia1FQs-bU
(デモ)https://youtu.be/drAgTAeZBos?si=yoimXvaJK0TtH7F3

※          ※          ※

◆2024年9月26日 老朽原発うごかすな!実行委員会
「老朽原発うごかすな!高浜全国集会-地震も事故もまったなし-」集会宣言

福島第一原発事故の現地は、未だに「原子力緊急事態宣言」下にあり、復旧とは程遠い状況にあります。また、本年元日の能登半島地震は、原発は地震に脆く、地震に伴って過酷事故が起これば、避難も屋内退避も困難を極めることを再認識させました。地震は「いつ、どこで、どの規模で発生するか」予知できません。8月8日の日向灘地震以降、南海トラフ巨大地震発生の可能性が高まったとされています。南海トラフ巨大地震が起これば、連動して、各地の断層が動くとも考えられます。地震多発の日本に、原発はあってはなりません。

なお、原発を推進してきた原子力規制委員会でさえ、去る8月28日、活断層の真上(まうえ)にたつ敦賀原発2号機の再稼働審査で、「不合格」案を了承しています。

それでも、「原発依存社会」へ暴走する自公政権は、昨年5月末に成立させた原発推進法(「GX束ね法」)の実体化のために、「原発・再エネの最大限活用」を進めるとする第7次エネルギー基本計画の策定を進めています。既存原発の再稼働、40年超え運転をさらに拡大し、60年超え運転、原発建替え、新設も俎上に上らせようとしています。

脱原発に向かう世界の流れへの逆行です。

一方、老朽原発依存経営にのめりこむ関西電力(関電)は、本年5月、原子力規制委員会から高浜3、4号機の40年超え運転の認可を得ました。MOX燃料を使用する原発の40年超え運転は初めてです。これで、来年には、関電の稼働可能な原発7基の内の5基が40年超え運転となります。高浜1、2号機、美浜3号機は、もうすぐ50年超えの超老朽原発です。老朽原発では、交換不可能な圧力容器の脆化が進み、点検や交換が難しい配管、送電ケーブルの損傷も進んでいます。老朽原発運転の暴挙を許してはなりません。

ところで、原発を動かせば、使用済み核燃料が発生しますが、発生直後の使用済み核燃料は、膨大な放射線と熱を発しますから、燃料プールで水冷保管しなければなりません。そのプールが、今、満杯になろうとしています。満杯になれば原発を運転できなくなるため、関電や政府は、放射線量と発熱量が減少した使用済み核燃料を乾式貯蔵に移して、プールに空きを作ることに躍起です。

出来た空間に新しい使用済み核燃料を入れた燃料プールが崩壊すれば、大惨事に至ります。

乾式貯蔵に移した使用済み核燃料の行き場はありません。関電や政府は、使用済み核燃料の搬出先として、青森県の核燃料再処理工場の稼働を願望していますが、日本原燃は、8月23日、27回目の再処理工場の完成延期を発表し、完成の見込みはありません。

関電に、「使用済み核燃料の中間貯蔵地を2023年末までに福井県外に探す。探せなければ老朽原発を停止する」とした2021年の福井県知事との約束の完全履行を求め、老朽原発の即時停止を実行させ、使用済み核燃料の発生源・原発を全廃しましょう!

今、世界は原発縮小、自然エネルギーへ向かっています。自然エネルギーのみを利用すれば、燃料費はほぼゼロですから、コストは原発に比較して圧倒的に安いのは当然で、地球環境の保全にも有効です。また、自然エネルギーは、供給が国際情勢の影響を受け難い自前のエネルギーです。大地震が発生しても過酷事故に至ることもありません。このような視点からも、原発依存の理不尽は明らかです。

本日、高浜町に結集した私たちは、目先の経済的利益のために奔走し、能登半島地震を目の当たりにしても「原発依存社会への暴走」「原発推進経営」を止めようとしない政府や関電を断固として糾弾し、原発全廃の大きなうねりを出現させ、自然エネルギーのみの利用で成り立ち、人が人間らしく生きていける社会の構築に向けて力強く前進することを宣言します。

2024年9月23日
9.23「老朽原発うごかすな!高浜全国集会-地震も事故もまったなし-」参加者一同

※          ※          ※

▼木原壯林(きはら・そうりん)
老朽原発うごかすな! 実行委員会。1967年京都大学理学部化学科卒。理学博士。専門は分析化学、電気化学、溶液化学。熊本大学、京都工芸繊維大学名誉教授等を歴任。京都悠悠化学研究所主宰。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)
A5判 148ページ(本文144ページ+巻頭カラー4ページ) 定価880円(税込み)
お陰様で10周年を迎えました!
《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

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龍一郎揮毫

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