DUELから後楽園ジャンブルへ、工藤叶雅が先陣を切る勝利!

堀田春樹

メインイベンター古林けいごは須貝孔喜を一発ヒットで完封TKO。
後楽園ジャンブルへ、注目の新人対決は工藤叶雅が僅差で出場権獲得。

◎DUEL.38 / 4月19日(日)GENスポーツパレス17:30~19:55
主催:VALLELYジム / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟

戦績はプログラムを参照にこの日の結果を加えています。

◆第9試合 63.5㎏契約3回戦

古林けいご殿(龍拳會青葉台支部/ 63.3kg)4戦3勝1敗
        VS
須貝孔喜(VALLELY/ 63.5kg)9戦3勝6敗
勝者:古林けいご殿 / TKO 1ラウンド 2分40秒
主審:スイット・サエリム・ランボー

須貝孔喜はローキックからハイキック、古林は素早くパンチで距離を詰めていく。接近すると首相撲に移るが、古林がヒザ蹴りで攻勢を強め、パンチの攻防に移ると古林のパンチ一発で須貝はノックダウン、立ち上がろうとするが、足元覚束ない状態でレフェリーストップとなった。

古林けいごの右ストレートヒット、先手必勝の戦略で優った

米田貴志会長は、「須貝はタイミングでパンチ貰った感じですけど、ここに向けて一生懸命にやって来た中で、次にどう繋げていけるか、須貝自身がどんな風に反省して改善するかに今後の成長があると思います。」というコメント。

勝者と敗者の明暗。古林けいごは笑顔でツーショット

◆第8試合 スーパーフェザー級3回戦

山本龍平(拳粋会宮越道場/20歳/ 58.75kg)6戦3勝(3KO)3敗
        VS
工藤叶雅(VALLELY/19歳/ 58.65kg)3戦2勝1敗
勝者:工藤叶雅 / 判定0-2
主審:児島真人
副審:中山29-29. ランボー29-30. 宮沢29-30

9月27日(日)の後楽園ジャンブル(KORAKUEN JAMBULL)出場権懸けたこの試合が実質のメインイベントでした。

初回、パンチとローキックで距離を計り詰めに掛かる両者。更に後ろ蹴りで牽制する山本龍平。スピーディーな攻防は互角。

第2ラウンドも山本は後ろ蹴りを加えてプレッシャーを掛けていくが、工藤も冷静に躱す。展開は互角も工藤のヒザ蹴りがやや有効か。ポイントは工藤に流れた模様。

際どい僅差ながら勝利を掴んだ工藤叶雅。運命を分けたのは蹴りのインパクトか

ラストラウンドも多彩に攻めた両者は互角の展開。延長戦も考えたであろう両陣営だったが、微妙な採点は僅差で工藤が制し出場権獲得。

後楽園ジャンブル撮影クルーのインタビューに応える工藤でしたが、わずか3戦目で注目の存在となりました。後楽園ジャンブル初戦で勝てば、より一層の注目度となるでしょう。

小林米仁統括主任より後楽園ジャンブル出場権を授与された工藤叶雅

工藤叶雅はインタビューでは小さい声ながら丁寧に応えていました。坂上顕二氏が工藤と並びインタビューに応えていましたが、VALLELYジムの米田貴志会長も加わるべきと思いました。工藤叶雅を育て、日々の様子を見て多くを知っているのは米田会長だからである。

工藤叶雅は試合については「めちゃめちゃキツかったです。」と言い、
後楽園ジャンブル出場については、「ニュージャパンキックボクシング連盟選手代表として強いところをお見せするつもりです。一番目立つように頑張ります。」と抱負を語りました。

米田貴志会長は、「工藤は3戦目でしたけど、練習どおりの動きが出来たかと思います。最後まで結果は分からなかったし延長戦まで考えましたけど、頑張って勝ってくれました。」とコメント。

インタビューに応える工藤叶雅とNJKF坂上顕二代表

◆第7試合 スーパーフェザー級3回戦

森本直哉(無所属/ 58.7kg)35戦14勝(5KO)20敗1NC
        VS
Ryu(クローバー/ 58.6kg)8戦3勝(2KO)4敗1分
勝者:森本直哉 / 判定3-0
主審:スイット・サエリム・ランボー
副審:中山30-28. 児島29-28. 宮沢30-28

第2ラウンドに森本直哉がパンチから軽く飛んだヒザ蹴りであっさりノックダウンを奪った。ラストラウンドも森本のヒザ蹴りが何度も出したが圧倒には至らない。Ryuも鼻血を流しながら踏ん張って蹴り返すも巻き返し成らず、森本直哉が判定勝利。

森本直哉が試合終了間際に見せたインパクトある胴回し回転蹴り

◆第6試合 スーパーウェルター級3回戦

村木太樹(京都野口/ 69.7kg)9戦1勝7敗1分
        VS
風成(エス/ 69.5kg)7戦4勝1敗1分1NC
勝者:風成 / 判定0-3
主審:宮沢誠
副審:中山27-30. 児島28-30. ランボー27-30

第2ラウンドに風成が村木をコーナーに詰めて右ストレートでノックダウン奪った。村木もパンチや蹴りで反撃を見せたが、風成が圧し返し判定勝利。

風成がパンチで攻勢を維持。KOにはもう一歩

◆第5試合 女子ミネルヴァ 57.0kg契約3回戦(2分制)

小澤聡子(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/ 57.0kg)44戦12勝28敗4分
VS
ミネルヴァ・スーパーバンタム級5位.谷岡菜穂子(GRABS/ 58.2kg)7戦5勝2敗
勝者:谷岡菜穂子 / 判定0-3
主審:中山宏美
副審:宮沢27-30. 児島28-30. ランボー27-30

蹴りとパンチの攻防の中、谷岡菜穂子の前蹴りが小澤聡子の顎をヒットや後ろ蹴りもヒットする攻勢。第2ラウンドも谷岡菜穂子が攻勢を続けるが、小澤も積極的に打ち返す踏ん張りを見せた。主導権支配するテクニック優った谷岡菜穂子が大差判定勝利した。

谷岡菜穂子が前蹴りで小澤聡子の顎をヒット。アグレッシブな攻めを見せた

◆第4試合 スーパーフェザー級3回戦

髙橋優(CORE/ 58.7kg)3戦2勝1敗
        VS
斉藤寛明(MWS/ 58.2kg)2戦1勝(1KO)1敗
勝者:髙橋優 / TKO 3ラウンド 1分4秒
主審:児島真人

初回、高橋が蹴りからパンチで距離感を掴んだ流れ。第2ラウンドもアグレッシブな展開を見せる両者、髙橋の的確なヒットが目立った。ラストラウンドには髙橋をコーナーに追い詰めた齋藤だったが、髙橋優が右ストレートカウンターでノックダウン奪い、斉藤寛明はカウント中にレフェリーストップとなった。

実力差あると言われた髙橋優の攻勢。的確なヒットが目立った

◆第3試合 スーパーライト級3回戦

小原将裕(拳粋会宮越道場/ 63.0kg)1戦1勝
        VS
遠近慎太郎(エス/ 63.1kg)2戦2敗
勝者:小原将裕 / 判定3-0 (29-27. 30-27. 30-27)
主審:スイット・サエリム・ランボー

開始早々から小原将裕の高いガードは遠近慎太郎にとってやり難い印象。蹴り合いと接近戦も互角の攻防が続く中、第3ラウンド終盤に小原がヒザ蹴りでノックダウンを奪って判定勝利。

◆第2試合 女子ミネルヴァ・アトム級3回戦(2分制)

坂田実優(FELLOW/ 46.02kg)17戦6勝9敗2分
        VS
豊嶋里美(TEAM OJ/ 45.85kg)14戦3勝9敗2分
勝者:坂田実優 / 判定3-0 (29-28. 29-28. 30-28)
主審:宮沢誠

女子にしては強いヒットが続く激しい攻防を制したのは坂田実優。

坂田実優のヒザ蹴りヒット。パンチも含め激しい攻防を制した

◆第1試合 女子ミネルヴァ・フライ級3回戦(2分制)

鍋倉凛音(習志野/ 50.6kg)5戦2勝(1KO)3敗
        VS
西野由希子(リバーサルジム横浜グランドスラム/ 50.3kg)1戦1敗
勝者:鍋倉凛音 / 判定2-0 (30-27. 30-28. 29-29)
主審:中山宏美

前蹴りが効果的だった鍋倉凛音が判定勝利。

◆オープニングファイト アマチュアEXPLOSION 45.0kg契約2回戦(90秒制)

西田結菜(伊原道場越谷)vs奥田愛來(kyoto SEIKENKAI)
引分け 0-1 (19-19. 19-20. 19-19)

西田蓮人の妹、結菜はアグレッシブな互角の展開で終わるも、あと一歩足らずの引分け。

《取材戦記》

今回のDUEL興行では新人戦の中、注目される試合が山本龍平vs工藤叶雅戦でした。

9月27日に後楽園ホールで行われる(株)東京ドーム主催の「後楽園ジャンブル」には、既存の団体等から選出された60.0kg級(下限は57.0kg)、デビュー10戦以内(現・元タイトル保持者は対象外)を対象に3回戦、ヒジ打ち有り・無し等の2つのルールにて全6試合を予定されている模様。出場選手は各団体・プロモーション興行の予選で決定される中、この日の試合の山本龍平vs工藤叶雅戦はニュージャパンキックボクシング連盟代表を決める試合となりました。9月の後楽園ジャンブル初戦は新人戦。その後は出場者交渉と時期を鑑みて各ランカー、各チャンピオンクラスへ進む模様です。

この日立会人の(株)東京ドーム統括主任の小林米仁氏は、「大会だけじゃなくて、いろいろな取り組みを通して、業界の環境整備をキチンとしていきたいと思っています。どこかの団体が“これやりますから集まってください”と言ってもなかなか集まることは難しいところで、そんな各団体にはそれぞれカラーがあって、そこを押し出していけるような環境整備ですね。」とコメント。

ニュージャパンキックボクシング連盟・坂上顕二代表は、「後楽園ジャンブル出場権争いはこんなに若手選手を盛り上げたかと思うところです。こういうことが励みになって若い子がドンドン伸びて行けばいいですね。」とコメント。

2年前に「東京ドームもキックボクシングに関心を持っています。」というプロボクシング関係者がいました。その流れがここに繋がって来たことになります。

昭和時代に、日本ナックモエ連盟代表(現・NKB代表)の渡邊信久代表が“後楽園ランキング”を提案したり、平成期の某・ジム会長は、「後楽園ホールは会場貸し出しだけでなく、格闘技のメッカと言われる日本の代表的な会場なんだから、キックボクシング団体を纏めることをやればいいのに!」という意見もありましたが、「こっち立てればあっち立たずの纏まらないキックボクシングに、厄介なとばっちり喰らう羽目になることはしないでしょう。」と言っていたところが現在、東京ドームシティーが動き出すとは時代も変わったものである。

90年代のK-1を観て育った世代が今大人になり、企業の中枢に立ち、物言える立場となってスポンサーとなったり、イベントを立ち上げる者が増えた時代になったかと思います。

東京ドームシティーが、タイの一昔前のルンピニースタジアム、ラジャダムナンスタジアム隆盛期のような一極集中するような発展に繋がれば関係者にとって喜ばしい限りでしょう。

と言っても「この顔触れではまた撤退や消滅となりますよ!」という悲観的意見もあって、採算合わなければとっとと去るといった過去の歴史・前例から見て、また3年ほど成り行きを見守る必要はあるでしょう。

期待を掛けるならば、(株)東京ドーム北原義一会長も、沢村忠から観て来た古くからのキックファンで「皆さんは余計なこと考えないで選手を沢山育ててください。こちらが選手を盛り上げますから!」と発表されたようで、任期の間に基礎固めをやらないと、会長交代すると他のスポーツや文化イベントに方針変わるということも有り得るので、ここは業界の総力を結集し、北原義一会長の期待に応える形で発展して欲しいものである。

NJKF以外の他興行ではあと3試合の60.0kg級出場者決定戦3回戦が予定されています(いずれも後楽園ホール)。

スック・ワンキントーン / 5月3日(日)
光流(teamS.R.K/24歳)vs神谷斗夢(SUNRISE/23歳) 

RISE.198 / 5月16日(土)
門脇碧泉(TARGET/22歳)vs岩永勝亮(OISHI/21歳) 

Bigbang.56 / 5月17日(日)
高岩拓(TRY HARD/21歳)vs大江昇成(team MIYABI/23歳) 

ニュージャパンキックボクシング連盟興行は前回予告と同様ですが、6月14日(日)に後楽園ホールに於いて、「CHALLENGER 14」が行われます。4月27日時点でまだカード未定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

3月21日(土)大阪西成 ~差別に抗う~袖すりあうも集い処はなライブ 皆さんどうぞ聴きにきてください!

尾﨑美代子

今週土曜日、3月21日となりました。~差別に抗う~袖すりあうも集い処はなライブ。今回は尼ヶ崎のオヤジ人権バンド元「ドランカーズ」のギター、ボーカル担当の中島(なかしま)敏也、通称とっしゃんと、カオリンズの夢の共演。投げ銭、要オーダーとなります。

「ドランカーズ」と出会ったのは2011年の正月、釜ヶ崎の越冬闘争のステージで演奏したドランカーズが立ち呑み屋難波屋の奥で呑んでました。そこに、私たち「はなと愉快な仲間たち」が飲みに行きました。そこにはなに時折飲みに来ていた部落解放同盟の西岡智さんが居られ、紹介されたのがドランカーズでした。呑んでるうちに意気投合し、今度一緒にライブをしようとなり、決まったのが3月12日。前日、11日もはなで練習してました。テレビでは津波被害の報道が流れてて。心配しながらも、難波屋に行くと、ちょうどテレビからは「◯◯に何百体の遺体が流れつきました」とアナウンスが…。不安なまま迎えたライブでは……

前置きが長くなりました。ドランカーズは部落出身の人と在日の人の混合バンド。中島さんには新井英一さんの「清河への道」を歌って頂く予定です。カオリンズには、4・3事件の記憶について、キム・ヒャンリことかおりちゃんが作詞した「故郷の石ころ」を歌ってもらう予定。2組の曲はぜったいに心に染み入るはず。どうぞ聴きにきてください。

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

NKB鐵人シリーズvol.1開幕 どん冷え貴哉と山本太一が王座戴冠!

堀田春樹

カズ・ジャンジラ、引退を控えて王座陥落。
棚橋賢二郎、4度目の挑戦も実らず。
渡邊信久連盟代表、キックボクシング業界歴60周年を役員がサプライズで祝う。

◎鐵人シリーズvol.1 / 2月21日(土)後楽園ホール17:15~20:47
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

戦績はプログラムを参照にこの日の結果を加えています。
当日計量は午前10時よりプロ選手全員一回でパス。

◆第9試合 NKBウェルター級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.カズ・ジャンジラ(=佐々木和也/team JANJIRA/1987.9.2東京都出身/ 66.2kg)
46戦21勝(4KO)18敗7分
          VS
挑戦者3位.どん冷え貴哉(TOKYO KICK WORKS/1988.10.15滋賀県出身/ 66.6kg)
51戦28勝(6KO)21敗2分
勝者:どん冷え貴哉 / 判定0-3
主審:笹谷淳
副審:宮本48-49. PIRIKA47-50. 前田49-50

昨年2月22日の対戦ではノックダウン奪ったカズ・ジャンジラが判定勝利。カズの1勝1分で迎えた今回、初回からどん冷え貴哉の先手打つ蹴りとパンチ。やや出遅れた感のカズ・ジャンジラ。第2ラウンド、カズジャンジラの左ハイキックがどん冷え貴哉の顔面狙いは辛うじてブロックするが、インパクトあるハイキックだった。

油断ならなかったのはカズジャンジラのハイキック。前回はこれでノックダウンを奪っている
どん冷え貴哉が今度は負けないと意気込んで攻めたミドルキック。リズムを掴んで行った

「狙っている気がした」と言う、どん冷え貴哉陣営の竹村哲氏の声。組み合う展開が増えるとヒザ蹴りとウェイトの掛け合い、更にヒジ打ち貰う危険性の中、スタミナの削り合いの苦しい時間が続くが、どん冷え貴哉の組み負けない攻防と蹴りの圧力、試合運びがやや優って圧し切った。どん冷え貴哉は第17代チャンピオン。

ピントは竹村哲氏に当たってしまったが、勝利が告げられた瞬間のどん冷え貴哉と陣営

どん冷え貴哉はリング上で「この一年、ホンマしんどかったです。今後はKNOCK OUTとかNJKFのウェルター級チャンピオンとか上位ランカーとか、外の選手とも戦っていきたいと思います。」と語り、控室では、「昨年2月、一回喧嘩売っといて負けて、その後挑戦者決定トーナメント勝ち進んで、カズさん内心イヤやったやろうと思うんですよ。でも受けて貰ってホンマ有難かったです。」

首相撲の展開については、「ヒジ有りなので油断したら下(ボディー以下)より上(頭部)が怖かったし、相手に有利なポジション取らせんように考えていました。」

カズジャンジラは「貴哉選手が組んで来ると思ってヒジ狙ってたんですけどタイミング合わずでした。」と戦い終わり、カズジャンジラの控室を訪れたどん冷え貴哉と語り合う二人の会話は、戦い終えるまでは語れなかった多くの裏話を語り合い、この1年の苦しさを覆す温かさがあった。

夫婦で勝ち獲ったとも言えるどん冷え貴哉のツーショット。王座奪取で味わえる瞬間二つ目

◆第8試合 第17代NKBライト級王座決定戦 5回戦

1位.棚橋賢二郎(拳心館/1987.11.2新潟県出身/ 61.05kg)26戦12勝(7KO)12敗2分
        VS
3位.山本太一(ケーアクティブ/1995.12.28千葉県出身/ 61.1kg)
22戦8勝(5KO)10敗4分
勝者:山本太一 / TKO 1ラウンド 2分10秒
主審:前田仁

距離を取ってフットワーク速く動き回った山本太一。ローキックやパンチ、自分のタイミングで先手先手と打ち込んでリズムを掴んでいった。棚橋の踏み込んだ前足を払ってバランスを崩させるなど、上手い試合運びからタイミング計って飛びヒザ蹴りで棚橋賢二郎の顔面を打ち抜くとノックダウンに繋げて圧勝。山本太一は、チャンスを見事に掴んで花咲かせた王座奪取となった。棚橋は4度目の挑戦も実らず、タイトルに見放された運命を辿ることになった。

飛び蹴りは3度見せた山本太一だったが、牽制の飛び蹴りと、最後は不意を衝く一瞬の狙った打ち抜く蹴りで鮮やかに倒してしまった。

山本太一は距離感維持して先手を打った戦いだった
いきなり飛ぶから、また画面ズレだが、山本太一の飛びヒザ蹴りで圧倒勝利

「飛びヒザ蹴りは狙っていました!」という山本太一。見せ場を作る「太一やるじゃん!」は王座獲得まで達成してしまった。

リング上では周囲へこれまでの感謝を伝え、今後については、「いやあ最高!強い奴とやりたいんですよ。ベルト獲ったからって、僕まだまだ弱いんで、強さの証明にもなっていないんで、関西のテツジム勇志くん。キミが一番NKBで強いよ。俺は逃げない。絶対やろう。」と語り、2024年に「KNOCK OUT」に出てボコボコにKOされたことで、その時に「チャンピオンに成ってやり返しに来ます。」と言ったことにも触れ、今、名乗り出る立場に立ったことで、フェザー級から59kg域がベストと言い、6月再出場を懇願し「他団体シバきます。」と宣言した。

王座奪取で味わえる瞬間一つ目。これまでの苦悩が晴れた笑顔と今後を語る山本太一

◆第7試合 55.0kg契約3回戦

NKBバンタム4位.香村一吹(渡邉/2007.2.22東京都出身/ 54.15kg)6戦4勝(1KO)2敗
        VS
NJKFバンタム級3位.志賀将大(エス/1993.2.20福島県出身/ 54.55kg)
25戦15勝(4KO)8敗2分
勝者:志賀将大 / 判定0-3
主審:宮本勲
副審:PIRIKA29-30. 笹谷28-30. 前田28-30

初回早々はローキックで勢いあった香村一吹だが、徐々に志賀将大の首相撲からのヒザ蹴り加えたムエタイ技と距離の取り方、攻めのタイミングで優っていき、志賀の蹴りで香村はボディーが真っ赤になっていく。香村の積極的なパンチと蹴りは元・NJKFチャンピオンの志賀を劣勢に追い込むには至らなかったが、密度の濃い試合展開で良い経験となっただろう。志賀は的確なヒットで優り順当に判定勝利。

香村一吹はNJKFの元チャンピオンと貴重な対戦。志賀将大がテクニックで優るが、香村もアグレッシブに攻めた

◆第6試合 74.0kg契約3回戦

TOMO JANJIRA(JANJIRA/1992.1.12京都府出身/ 74.0kg)11戦4勝(3KO)6敗1分
        VS
福舘正(CHEERFUL/1988.10.12岩手県出身/ 72.95kg)13戦7勝(4KO)6敗
勝者:福舘正 / 判定0-3
主審:鈴木義和
副審:前田28-29. 関勝27-29. 宮本28-30

互いに攻めたパンチと蹴り。初回、TOMOは空いたガードに福舘正の右ストレートあっさり貰ってノックダウン。度々福舘のパンチを貰ってしまうTOMOだったが、ややダメージを引き摺ったか、巻き返し狙って多彩に打って出るも逆転成らず。福舘正が判定勝利。

◆第5試合 ライト級3回戦

猪ノ川海(大塚道場/2005.9.30茨城県出身/ 60.85kg)7戦3勝(2KO)3敗1分
        VS
魔娑屋(SLACK/1991.2.4岩手県出身/ 61.1kg)9戦4勝(3KO)5敗
勝者:魔娑屋 / 判定0-3
主審:PIRIKA
副審:笹谷28-30. 前田29-30. 鈴木28-30

ローキックとパンチもよく出した両者。攻めはやや優った魔娑屋。攻勢を維持して判定勝利。

◆第4試合 64.0kg契約3回戦

五井雅輝(TOKYO KICK WORKS/1985.5.2東京都出身/ 63.55kg)1戦1敗
        VS
光基(DANGER/2001.12.28岩手県出身/ 63.45kg)4戦3勝(1KO)1敗
勝者:光基 / KO 2ラウンド 1分43秒
主審:関勝

光基がローキックで3ノックダウン奪ってノックアウト勝利。

◆第3試合 ウェルター級3回戦

ちさとkiss Me!!(安曇野キックの会/1983.1.8長野県出身/ 66.55kg)
45戦7勝(3KO)34敗4分
        VS
星野祐人(ケーアクティブ/1993.7.16千葉県出身/ 66.15kg)4戦2勝2分
勝者:星野祐人 / 判定0-3
主審:鈴木義和
副審:PIRIKA28-30. 笹谷28-30. 関勝28-30

ローキックからパンチの交錯は星野祐人の先手打つ攻勢が目立つ。攻め遅れるが、ちさともパンチ蹴りを返し、首相撲からヒジ打ちヒザ蹴りもしつこく繰り出した。見た目のインパクト小さいちさとは攻め負けてはいないが、蹴りの勢いの印象点優った星野祐人が判定勝利した。

◆第2試合 フェザー級3回戦

ウュグン(渡邊/1998.1.1ウズベキスタン出身/ 56.7kg)1戦1敗
        VS
鳥居大珠(ワイルドシーサー前橋元総社/2009.6.11群馬県出身/ 57.1kg)3戦1勝(1KO)2敗
勝者:鳥居大珠 / KO 3ラウンド 1分18秒

第3ラウンド、右ストレートで3ノックダウン奪った鳥居大珠のノックアウト勝利。

◆プロ第1試合 53.0kg契約3回戦

小林龍弥(SRK/1995.10.28大阪府出身/ 52.55kg)1戦1勝
        VS
青塚来弥(DANGER/2008.8.9茨城県出身/ 52.5kg)2戦2敗
勝者:小林龍弥 / 判定3-0 (30-26. 30-26. 30-26)

第3ラウンド、小林龍弥のパンチ連打で青塚来弥をロープ際に追い込み、スタンディングダウン2度奪って小林が大差判定勝利。

※他、アマチュア(オヤジ・オナゴキック)3試合。

《取材戦記》

渡邊信久代表に元・練習生から贈られたお祝いの言葉が切っ掛けで、ボクシングからキックボクシングに移って60周年を祝福するサプライズのセレモニーが行なわれました。役員が花束や記念品を贈呈。予期しなかった渡邉会長も感無量の表情で御挨拶されました。

「突然リングに上がれと言われて何事かと思ったよ!」と言う渡邊信久代表。選手時代の網膜剥離から波乱万丈な人生だっただけに感慨深い想いが過ったでしょう。

サプライズセレモニーだけにセリフも考えてなかった中で、これまでの御支援御協力に感謝を述べ、「これからも新たに挑戦していきたいと思います。」と宣言。

セレモニー開始と共にバックミュージック、加山雄三の「君といつまでも」が静かに流れた中、良く似合ったセレモニーだった。

ジムでは未だミットを持って指導するという渡邊信久代表。連盟の継続では現存する団体の中でいちばん長い日本キックボクシング連盟。“継続は力なり”は今後も続きます。

拳心館名誉館長・近藤健氏より花束贈呈。感無量の渡邊信久代表

山本太一は“意外”と言っては失礼ながら、飛びヒザ蹴りで豪快な王座奪取。一気に注目選手となり、NKBフェザー級チャンピオンの勇志(テツ)を名指し対戦を迫った。他団体、大手イベントに進出して盛り上げてくれたら面白くなる2026年である。

どん冷え貴哉も他団体選手との対戦を迫った。興行数少なく選手層薄いNKB内よりも他団体の名のある相手と戦いたくなるのは当然だろう。既存の古くからある団体間ならそう難しくはない戦いに期待である。

カズ・ジャンジラは4月18日の鐵人シリーズvol.2で引退試合が行われます。対戦相手はジャパンキックボクシング協会のウェルター級ランカーが予定されています。

ガルーダテツ、小林秀至、渡邊信久、近藤健、武笠則康、NKBを支える各理事

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

『紙の爆弾』3月号の冤罪報告「平野母子殺害事件」 ぜひ一読を!

尾﨑美代子

◆『紙の爆弾』3月号に冤罪「平野母子殺害事件」を寄稿

『紙の爆弾』最新号を徳島刑務所などに服役中の方に送った。今回、ここの日本の冤罪シリーズに「平野母子殺害事件」について書いた。ずっと気になっていた冤罪事件。人間関係が複雑で、被害者は、犯人とされた林さん(仮名)の再婚相手の女性の息子が、のちに結婚した女性と子供。事件当初、被害女性の夫が疑われたが、夫には不倫女性と食事などしてたアリバイがあった。そののち疑われたのが義理の父親の林さん。めっちゃよくある話だが、犯行当日、被害女性のマンション近くに行っていた。しかも同マンション踊り場の灰皿に林さんの吸う煙草の吸殻が1本あり、そこから検出された唾液のDNA型が林さんのそれと一致した。

捜査機関は林がマンションを訪ねた→林が被害女性の部屋に入った→林が被害女性と子供を殺したにもっていった。任意の取り調べで、大阪府警が林に加えた拷問がえぐい。事件当時大阪拘置所の刑務官だった林は、その前に警官も経験していた。いわば「元同僚」からうけたえぐい拷問のせいで入院までした。それでも林は否認し続けた。

一審は無期懲役、二審は「反省してない」として求刑通り死刑判決。が、最高裁は「審理が尽くされていない」として差し戻し、1、2審で無罪判決がくだされた。林を無罪にしたのは、林を犯人にしたてた1本の煙草の吸殻だった。あとは本編を読んでね。

◆井戸謙一弁護士と樋口英明元裁判官の対談本

本を送った2人には、手紙とともに井戸謙一弁護士と樋口英明元裁判官の対談本『司法が原発を止める』の中のある個所をコピーしたものを一緒に送った。対談本でお二人が冤罪に触れている個所がある。樋口さんは、裁判官時代に「私は無実だ」という人はいなかった。「酔っていた」や「殺す気はなかった」という人はいたが、「犯人ではない」と言い切る人はいなかった。「私は犯人ではない」と法廷で言っていた人が、次から次に無罪になるということは、いかに冤罪率が高いかを示していると……。

これに対して井戸弁護士はこう言った。「日本人は結構正直。公判で『自分は本当に無実だ』という人は、かなりの確率で言っていることが本当に正しいとみるべき。しかし、現実の刑事裁判では、それがほとんど通らない。だから次々と冤罪がうまれていく」と。

樋口英明元裁判官との対談本『司法が原発を止める』の共著者、井戸謙一弁護士

そういえば、亡くなった桜井昌司さんが、何十年も無罪を訴え再審、国賠を闘ったが、ある裁判長は「何十年も無罪を主張して悪質だ」と言ったそうだ。無罪だから言い続けるんだよ。それこそ何十年も。

◆5通の手紙をくれた受刑者の事件

暮れから正月にかけて5通の手紙をくれた千葉刑務所の受刑者の事件の概要もまとめなくてはならない。ある弁護士さんがどんな事件か一応みてくれることになったためだ。じつは、そのあとにもう一人の無期懲役の受刑者から手紙が届いた。「日本の冤罪」を読み、両親に頼んで「はな」の住所を調べてもらったといい、手紙にはぜひ僕の事件の判決文などを読んで欲しいと書かれていた。まずは返事をくださいと封筒、切手が入っていた。少なくとも返事は書かねばならない。こういう人は、名前で検索すればどのような事件かわかる。ただ、そこまでで、確かに判決文など読みたいが、果たしてそれ以上のことはできるかどうか?

また、次に書きたいと考えてる「恵庭OL殺人事件」についての資料集めもはじめないと。弁護人だった伊東秀子さんの本は明日届く予定。昔一度読んだが手元にないので再度注文した。そう、この事件、かなり前から気になっていた。いろんな状況証拠から、真犯人(たち)は明らかに当時彼女と被害女性が勤務していた会社の関係者だ。つまり、冤罪が作られたせいで、真犯人(たち)は野放し状態。ほかの事件でも思うが、逮捕されない真犯人はどんな心境なのだろうか?

◆2月28日大東市で冤罪のお話をします!

昨日の選挙でこちら側は惨敗したので、再審法問題はどうなるのか心配だが、原発問題、日米安保問題、パレスチナ問題、スパイ防止法、大阪でいうたら三度目の都構想もカジノも……お先は真っ暗だ。ここまで真っ暗になったら、もうため息もでない。目の前のやることを1つ1つこなしていくだけだ。

2月28日、大東市で呼ばれた「冤罪はこうして作られる」の講演会のレジュメとパワーポイントも作らねば……。パワポ、京都の部落解放同盟の方に呼ばれた時のパワポは、初めて作ったのと、レジュメとパワポをどう使いこなすか、うまく出来てなくて、猛省してます。今回は、なるべくわかりやすく、そして変な言い方だが、面白く興味深い話にしたいと考えてます。終了後に近くの「バナナハウス」で食事会(700円)もあるそうです。一人でも多くの方に参加して欲しい。

尾﨑美代子(おざき みよこ
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

『紙の爆弾』2月号に寄せて

中川志大 『紙の爆弾』編集長

あけましておめでとうございます。

今月号では昨年12月号に続き、元外交官の東郷和彦氏が、高市早苗首相の「台湾有事発言」と、12月に発表されたアメリカの新国家安全保障戦略をもとに、変動する米中日関係を解説しました。まず、「台湾有事発言」より前に、中国側が高市首相に対し“念押し”をしていた事実に注目。この発言に前段があったことがわかります。一方、アメリカは新戦略文書でバイデン政権時代の「価値観外交」からの転換を表明すると同時に、安全保障の中心を“西半球”に据えると明言しました。詳細は本誌記事をご参照いただくとして、日本にとって問題は、高市氏の外交が今の世界をどう捉えているのかが不明であることです。本誌記事がわかりやすく、事態を読み解きます。

1991年のバブル崩壊を起点とすれば、2026年は「失われた35年」を数えます。経済学者の中尾茂夫氏が前号で指摘したよう、1968年から約40年間、GDP世界2位を保った日本は、2010年に中国に抜かれ3位に、2023年にはドイツに抜かれ世界4位に転落。IMFの予測では、2025年にインド、2030年にイギリスにも抜かれて6位への後退が見込まれています。かつての「中流」が「下流」に押し流される形で、貧困というより格差が拡大。日本全体の国民総生産も転落を辿っていることは、この国の進むべき方向が誤っていることの証左といえます。そのような中で、「日米同盟が日本外交の基軸」「原発は必要で排除すべきは二酸化炭素」「日本人は戦争被害者」「健康は病院と薬がつくる」といった多種多様な“神話”がはびこり、論理的・科学的・歴史的・経験的な事実をやすやすと駆逐し続けてきたのが日本の近現代史です。真実に立ち返り、これら神話をひとつひとつ打破していくことは、本誌の役割といえます。

第2次安倍政権の大スキャンダル「森友事件」の現場である大阪府豊中市の旧森友学園用地は、すでに学園から返却され、国交省=国の所有地となっていますが、国交省はなぜか3度目の調査を行ない、昨年10月3日に「5000トンの埋設ごみが見つかり、撤去費は6億3000万円」と発表。マスメディアがこれを「約2万トンとされた従来の推計量の4分の1に減った」と報道しました。しかし、事件の経緯を追えば、森友学園への「8億円値引き」の根拠とされた埋設ごみが「存在しない」のはすでに明らかであり、ならば今回の「5000トン」は、地中から湧き出るように現れたことになります。これを放置すれば、次の売却においても「不当値引き」が行なわれかねません。森友事件の核心である「埋設ごみ」はどのように偽装されてきたのか。「数字」を追いつつ、真実に迫ります。

ほか2月号では、山上徹也裁判で飛び出した安倍晋三元首相の「潰瘍性大腸炎」詐病証言の真相、アメリカの巨大メディア再編がもたらす日本への影響、「親の虐待」にばかり注目が集まる裏で根深い児童相談所の闇、「文化を守れ」では太刀打ちできない国際金融の表現規制など、2026年も本誌だけの情報と問題提起を発信していきます。

『紙の爆弾』は全国の書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2026年2月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2026年1月7日発売

高市政権と米国新国家安全保障戦略 米中日の新局面 東郷和彦
高市首相の大いなる勘違い 台湾有事は存立危機事態ではない 足立昌勝
デマゴーグが闊歩する風土(下)「ニチベイ」と脱亜 中尾茂夫
安倍晋三「詐病」証言から考える 山上徹也の理性と社会の狂気 野田正彰
「旧森友学園用地」で国交省「新埋設ごみ5000トン」発表 国有地から湧き出るごみは背任の証 青木泰
米メディア買収・再編 日本の報道・エンタメはアメリカ企業に乗っ取られる 片岡亮
最高裁が仕組んだ原発八百長裁判の全貌 偽装された社会の本質を見抜こう
“文化論”では闘えない 国際金融が変えた「表現規制」の地形図 昼間たかし
日本の“行政拘束”を考える 児童相談所「子どもの一時保護」の闇 たかさん
「再エネ」と「移民」世界を荒らす怪獣はどこから来たのか 広瀬隆
対米追従一辺倒に戦略はあるのか 多極化する世界に高市外交を問う 木村三浩
LGBT問題の現在「性別変更」をめぐる日本のいま 井上恵子
高市早苗が蘇らせた連合国「日本包囲網」藤原肇
米国マスコミが自主検閲で隠してきた2025年の重大ニュースTop12 佐藤雅彦

連載

例の現場
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
「絶望ニッポン」の近未来史:西本頑司
芸能界 深層解剖

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《1月のことば》夢に生きろ 愛に燃えろ

鹿砦社代表 松岡利康

《1月のことば》夢に生きろ 愛に燃えろ(鹿砦社カレンダー2026より。龍一郎揮毫)

新しい年2026年になりました。

まだ苦境に在り心の底から「あけましておめでとう」とは言えませんが、皆様方のご支持・ご支援により何とか年を越し2026年につなげることができたことを共に喜びたいと思います。

昨年は苦境のさなか、『紙の爆弾』創刊20周年、前年に創刊10周年を達成した『季節』と併せ、単に長く発行してきたことを祝うのではなく、低迷を脱しV字回復を目指して「反転攻勢の集い」を東京と関西にて開催することができ、多くの皆様方にご参集いただき、あたたかい叱咤激励も賜りました。また、ご参加できない方々からは支援金やご祝儀をお寄せいただきました。

しかしながら、意図に反し、なかなか業績が回復せず、歴史的ともいえる猛暑に耐え、年末危機も青色吐息で乗り越え年を越し今に至っています。

これまで私たちは幾多の困難を皆様方のご支援にて乗り越えてまいりました。『紙の爆弾』創刊直後には「名誉毀損」に名を借りて松岡逮捕→長期勾留→有罪判決で会社は壊滅的打撃を被ったこともありました。それでも復活することができました。これに比すれば、まだイケると信じています。

このかん多くの読者の皆様方に物心両面にわたり多大なご支援を賜り、なんとか生き長らえていますが、これもここらで打ち止めにし、まさに反転攻勢に打って出て恩返しをしなければなりません。このままでは終われない。

個人的には、私は今年齢75となり、いわゆる後期高齢者となります。本来なら後継者に道を禅譲すべき歳ですが、何としても現況を脱しない限り、これはできません。私を信じて手を差し伸べてくださった方々の想いを裏切るからです。

私のすぐ上の世代、あるいは私と同世代の方々の訃報が続いています。鹿砦社の裁判闘争を支えてくださった中道武美(くだんの「名誉毀損」事件の刑事案件担当)、内藤隆(同民事案件担当)両弁護士、つい最近では出版界の先輩、社会評論社・松田健二さんらです。みなさん方、名実共にそれ相当の業績を成し亡くなられましたが、私には後世に遺す業績といったものはありません。何としても、ここ数年で将来に遺す本を一冊でも二冊でも出したいと願っています。

ともあれ、新しい年2026年になりました。40年余り前に抱いた「夢に生き」、社是でもある、〈日々決戦、一日一生〉の精神で奮闘することを誓います!

《表紙》『原子力明るい未来のエネルギー』 紆余曲折を経て 今は文字盤だけが倉庫に眠る(絵=鈴木邦弘)

https://www.rokusaisha.com

映画「生きし」のアフタートークで中村明監督とお話をさせて頂いた

尾﨑美代子

12月15日月曜日、十三シアターセブンで映画「生きし」のアフタートークで中村明監督とお話をさせて頂いた。数日前、埼玉の障害者団体「虹の会」の佐藤さんから「中村監督はスーパー猛毒ちんどん(佐藤さんら虹の会のスタッフと障害者の人たちで作るバンド、私たちは彼らを10年ほど前釜ヶ崎にお呼びした)の映画も撮ってくれましたよ」と連絡頂き、「あらま」と身近に感じていたところ、なんと前日はなライブに来て下さり、なお身近に感じていたところだった。

「生きし」は93年埼玉で起きた愛犬家連続殺人事件をモチーフにしている。主犯の関根(獄中で病死)と共に殺人、死体損壊などで逮捕され、死刑判決を受けた風間博子さんは現在3度目の再審請求中。その風間さんと娘、母親との関係、支援者との関係などを描いている。

上映後のアフタートークではわたしの方から監督に「なぜこの映画を撮ろうと考えたのか」とそのきっけかなどをお聞きした。監督はテレビ局勤務時、長野智子さんがキャクターを務めた報道番組では、東住吉事件の青木恵子さんの冤罪事件などにも関わってきた。映画「生きし」も冤罪・埼玉愛犬家連続殺人事件の冤罪犠牲者・風間博子さんと面会する中で、構想を練り、今回は外にいる娘さんを焦点に取り上げたという。私は映画の前半に出てくる、ちょっと怪しげな男性(風間さんと獄中結婚し、その後、覚せい剤使用で逮捕され、離婚した男性)についてお聞きした。その男性は実在した方だという。

その後、会場からの質問と続きました。この事件で風間さんは殺害は否定しているが、関根の死体損壊を足をもつなどして手伝った。それは関根に風間さんや連れ子の男の子が酷いDVを受けており、その恐怖から断りきれなかったからだ。

一番前の女性が、「長女さんらがDVを見たと証言したらいかがでしょうか」と聞いてきました。私からは、当時の長女は9歳、前日登壇した和歌山カレー事件林眞須美さんの長男は当時10歳だが、彼が言うことは信用されなかったと答えた。言いわすれたがそれどころか、2審で夫の健治さんが「保険金事件を主導したのは自分だ」と主張したが、それすら信用されなかった。

その後、知り合いの岡田有生さんが、グッドタイミングで再審法の質問をして下さった。私は監督の顔をチラリと見て「ガンガンしゃべってもいいですか?」と言ったつもりで、喋りだした。短い時間だったが、何故再審法が必要か、自民党稲田朋美がめっちゃ説得力あるしゃべりをしていたことなどに触れた。稲田の故郷福井県で39年前に起きた福井女子中学生殺害事件で服役した前川さんに再審無罪判決が下された。その前川さん自身が「立法事実」なのだと稲田はきっぱり訴えた。立法事実、この言葉を私は半年前、はんげんぱつ新聞編集長の末田さんにお聞きした。このことのためにこの法律を作る、あるいは改正しなくてはならないという事実だ。

あと、この数年再審無罪判決がだされ、再審法改正が盛り上がって超党派の議員連盟が作られ、法案を提出してきた。そこに「このままだとヤバイ」とチャチャ入れてきたのが、法務省が進める法制審だ。「それじゃダメ」。稲田もきっぱりそう言ってた。井戸謙一弁護士は「検察、裁判所が冤罪を作ってきた。それを統括する法務省が再審法改正を主導するのはおかしい」と非難していたと話した。それに私は「泥棒が戸締まりに気をつけて」というようなものと、付け加えた。

更に埼玉愛犬殺人事件の再審請求では、事件を主導したのが風間さんではなく、亡くなった関根の方だとそれを証明するある人の調書を出させることが大事だとも、多分早口で喋った。全ての証拠を出させるべきだ。冤罪について話だしたら、止まらなくなる。監督すみません。

中村監督は大阪滞在中、2回もはなに来て下さった。一人で釜ヶ崎のあちこちを散策され、釜ヶ崎にも関心を持ってくださった。またひとつ、つながりができそうだ。

◎「生きし」HP https://ikisi-movie.com/

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

『紙の爆弾』12月号に寄せて

中川志大 『紙の爆弾』編集長

日本初の女性首相として10月21日に始まった高市早苗内閣は、自維連立の経緯からして民意を無視したものですが、スタート時の支持率は68%(朝日新聞同月25~26日調査)。昨年の衆院選、今年の参院選で自民党が惨敗を喫した主因であり、公明党離脱のきっかけにもなった企業・団体献金の規制(廃止ではない)を拒否し、一方の日本維新の会も、廃止の主張を棚上げにして成立した高市政権に対してこの高支持率。トランプ米大統領来日時の従米姿勢すら大手メディアがほとんどまともに批判しない中で、本誌今月号では「責任ある積極財政」の中身など、詳細な分析を行ないました。そもそも、高市氏といえば、総務相時代の「電波停止」発言から、メディアと対立してきたように思われていますが、その一方で新聞業界から献金を受ける、新聞社の既得権益の擁護者でもあります。本誌記事「高市早苗首相のマネーロンダリング疑惑」は、そうした内実も明らかにしています。

自民党内に同居する極右・新自由主義・保守中道の3つのグループの中で、比較的財務省と距離を置いているように思われていたのが高市早苗氏でしたが、総裁に就任すると執行部人事で財務省路線(と統一教会癒着)を明確にしました。他方、総裁選後にみられた野党連携で首班指名選挙の対抗馬となったのは、元財務官僚であり、昨年衆院選で打ち出された消費税減税の流れを潰した玉木雄一郎・国民民主党代表で、どっちに転んでも財務省。さらに公明党の連立離脱は、政治経済学者の植草一秀氏が指摘してきた「2大従米保守グループの交代制」の構図が見え、対米自立リベラル勢力は消滅の危機にあります。

一方で公明党については、自民党との攻防とその後の「下駄の雪」路線を事実上主導してきた支持母体・創価学会の池田大作三代会長が2年前に死去したことから、今さらの方針転換は難しいものと認識していました。連立離脱が斉藤鉄夫代表の言う「自民党の不祥事を説明して歩かなきゃいけない」ことへの学会員の不満を背景にしているのであれば、高市自維政権よりよほど「民意」に基づいた結果といえます。

維新については前号でジャーナリストの吉富有治氏が、同党内で自民党との連立に対して考え方が二分していることを指摘。これを原因として9月に起きたのが維新議員の離党だったと分析しており、その後の展開を先読みする形となりました。その維新は自民党の補完勢力の役割を全うするとともに、大阪での自民との差別化もあいまいになって存在意義を失いつつあるものの、カジノ利権が引っ張れれば、あとはどうでもいいのかもしれません。

さらに今月号では、ロシア・ウクライナ戦争をめぐる詳細な分析を元外交官の東郷和彦氏が行ない、これは「反戦」を考えるうえで必読の内容です。またエマニュエル・パストリッチ博士が5カ国電子スパイ同盟ともいわれる「ファイブ・アイズ」の戦略を解説。いずれも他誌には読めないレポートです。『紙の爆弾』は全国書店で発売中です。

本誌執筆者で元TBS記者・田中塾塾長の田中良紹氏が病気のため10月7日に亡くなられました。直近では8・9月合併号「日本に野党はあるのか?」が、日本の「野党」の本質をえぐり、本誌のレベルを一段上げるレポートでした。今後も新たな視点を提供していただけることを期待していただけに、本当に残念に思っています。ご冥福をお祈りします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2025年12月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年11月7日発売

「政治とカネ」を闇に葬る最悪連立 自維金権腐敗政権 植草一秀
政治献金のグレーゾーンとマスコミ癒着 高市早苗首相のマネーロンダリング疑惑 黒薮哲哉
「万博」「都構想」「身を切る改革」そして…維新と吉村洋文は何度でもウソをつく 西谷文和
高市自維政権からの“報復”公明党連立離脱の全真相 大山友樹
「プーチンとの戦い」に前のめりなヨーロッパ ロシア欧州戦争の可能性 東郷和彦
戦争のできる国へ突き進む安保法制十年の軍事拡張 足立昌勝
漏洩された秘密文献から判明「ファイブ・アイズ」の対中国戦争計画 エマニュエル・パストリッチ
国家でもAIでもなく“決済”が言論を殺す クレジットカード帝国の静かな世界支配 昼間たかし
高市首相にあえて「保守」の姿勢を問う 木村三浩
日本社会を崩壊させる「SNS乗っ取り」と「ディープフェイク」の実態 片岡亮
BSL4施設の目的とは エボラウイルス研究所新宿移転の闇 早見慶子
公取委に訴えられた沼津市ほか「官製談合」疑惑 青木泰
エコロジストたちの大きな過ち メガソーラーが農業経営を圧迫する 平宮康弘
“芸能界のドン”引退でも再び利権化する「日本レコード大賞」 本誌芸能取材班
自罠党は二度死ぬ 佐藤雅彦

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER Kダブシャイン
ニッポン崩壊の近未来史 西本頑司

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0FYM3NXYJ/

戦争が‟対岸の火事“ではなくなった2025年8月──今こそ〈反戦〉の意味を考える〈2〉

鹿砦社代表 松岡利康(龍一郎 揮毫)

ここ甲子園では、今年も夏の高校野球が始まりました。私は毎日甲子園球場の周りを散歩していますが、日本中から多くの人たちが駆け付け賑わっています。ウクライナやガザでは日々人々が亡くなり悲惨な状況だというのに、地球の遙か遠くの戦火がまるで嘘のような平和な風景です。

一昨年、古くからの知人で児童文学・子どもの生活文化研究家の梓加依さんの著書『広島の追憶 ―― 原爆投下後、子どもたちのそれからの物語』を出版いたしました。梓さんとは不思議な因縁で1992年、『豊かさの扉の向こう側』(長崎青海名義)を出版して以来、一時期娘さんが当社で働いたり、細く長い付き合いです。1992年と言いますから、実に30年余り経っていますが、これもまた何かの縁です。

先の『豊かさの扉の向こう側』を偶然に教育委員会の方が読まれ県下の図書館に置きたいということであるだけ持って行ったり、また、ある国立大学の非常勤講師の話があったりし、もともと勤勉な方で、近畿大学の夜間課程に入学、さらには神戸大学の大学院修士を修了されました。

梓さんは終戦前年の長崎生まれ、その後広島に移住、高校を卒業するまで住まわれていました。戦後の長崎、広島の悲惨な風景に日々接していたはずです。

そうしたことを自著の中で述べてこられました。当社が昨年出した『広島の追憶』は、その体験に基づいたノンフィクション・ノベルで、ぜひご一読いただきたい一冊です。

そして梓さんは、この最後に、
「……そして、戦後八十年に届く日が過ぎた。でも、地球から核の脅威はなくならない。戦争もなくならない。風よ、届けてほしい。被爆地ヒロシマから世界中の子どもたちへ。この八十年の物語が、子どもたちの未来、いいえ、近い将来の物語にならないように……。」
と書き記しておられます。

一見平和な今の甲子園周辺の風景 ―― これはいつまで続くのか? いまや年老いた多くの先達たちが、時に血を流し闘いながら守って来た〈平和〉、ここで挫けることがあってはなりません。改憲の蠢動は断固粉砕しなくてはなりません。

8月6日に続き、再び〈反戦歌〉2曲、加筆し再掲載させていただきます。これらに表現された平和への想いを感じ取って欲しい。

◆ザ・フォーク・クルセダーズ『戦争は知らない』

よく『戦争を知らない子供たち』と間違えられますが、違います。『戦争は知らない』は、それよりも先にベトナム戦争真っ盛りの1967年にシングルカットされ、発売されています。作詞は、演劇の世界に新たな境地を開拓した劇団『天井桟敷』主宰の寺山修司、歌は『たそがれの御堂筋』で有名な坂本スミ子。意外な組み合わせです。

寺山修司は、いわゆるアングラ演劇の教祖ともされる人物ですが、彼がこのように純な歌詞を書いたのも意外ですし、また坂本スミ子に歌わせたのも意外、歌謡曲として売り出そうとしたのでしょうか。

その後、ザ・フォーク・クルセダーズ(略称フォークル)が歌いますが、こちらがポピュラーです。いわば「反戦フォーク」として知られています。私は坂本スミ子が歌ったのを知りませんでしたが、フォークルのメンバーだった端田宣彦(はしだのりひこ。故人)さんに生前インタビューする機会があり(かつて私が編集した『この人に聞きたい青春時代〈2〉』)この際に端田さんから直接お聞きしました。

誰にも口ずさめる歌ですので、みなで歌うことがあれば、ぜひ歌ってください。私たちも先日、コロナの感染で長らくイベントを休んでいましたが、20年余り全国の刑務所・少年院を回り獄内ライブ(プリズン・コンサート)を行っている女性デュオ「Paix2(ペペ)」のライブを行いました。そこでもみなで歌いましたPaix2のPaixとはフランス語で「平和」という意味で、これが2人なのでPaix2ということです。

だったら、今こそ、この曲を歌って欲しいという願いからでした。

◎[参考動画]ザ・フォーク・クルセダーズ 戦争は知らない (1968年11月10日発売/東芝Capitol CP-1035)作詞:寺山修司/作曲:加藤ヒロシ/編曲:青木望

♪野に咲く花の 名前は知らない 

だけど 野に咲く花が好き

帽子にいっぱい 摘みゆけば 

なぜか涙が 涙が出るの

戦争の日を 何も知らない 

だけど私に 父はいない

父を想えば あゝ荒野に 

赤い夕陽が 夕陽が沈む

戦さで死んだ 悲しい父さん 

私は あなたの娘です

20年後の この故郷で 

明日お嫁に お嫁に行くの

見ていてください 遙かな父さん 

いわし雲飛ぶ 空の下 

戦さ知らずに 20歳になって 

嫁いで母に 母になるの

野に咲く花の 名前は知らない 

だけど 野に咲く花が好き

帽子にいっぱい 摘みゆけば 

なぜか涙が 涙が出るの

◆ネーネーズ『平和の流歌』

先に反戦歌として『戦争は知らない』について記述したところ予想以上の反響がありました。私たちの世代は若い頃、日常的に反戦歌に触れてきました。なので反戦歌といってもべつに違和感はありません。最近の若い人たちにとっては、なにかしら説教くさいように感じられるかもしれませんが……。

今回は、この記事を書いた年が沖縄返還(併合)50年ということで、沖縄についての反戦歌を採り上げてみました。

沖縄が、先の大戦の最終決戦の場で、大きな犠牲を強いられたこともあるからか、戦後、沖縄戦の真相や、戦後も続くアメリカ支配は歴然で、それを真剣に学んだ、主に「本土」のミュージシャンによって反戦・非戦の想いを込めた名曲が多く作られました。すぐに思い出すだけでも、宮沢和史『島唄』、森山良子『さとうきび畑』、森山が作詞した『涙そうそう』、阿木耀子作詞・宇崎竜童作曲『沖縄ベイ・ブルース』『余所(よそ)の人』……。

森山良子など、デビューの頃は「日本のジョーン・バエズ」などと言われながら、当時は、レコード会社の営業策もあったのか、いわゆる「カレッジ・フォーク」で、反戦歌などは歌っていなかった印象が強いです(が、前記の『さとうきび畑』を1969年発売のアルバムに収録していますが、当時は知りませんでした)。

『沖縄ベイ・ブルース』『余所の人』はネーネーズが歌っていますが、ネーネーズの師匠である知名定男先生と宇崎竜童さんとの交友から楽曲の提供を受けたものと(私なりに)推察しています。知名先生に再会する機会があれば聞いてみたいと思います。

それは以前、高校の同級生・東濱弘憲君(出生と育ちは熊本ですが親御さんは与那国島出身)がライフワークとして熊本で始めた島唄野外ライブ「琉球の風~島から島へ」に宇崎さんは知名先生の電話一本で快く何度も来演いただいたことからもわかります。熊本は沖縄との繋がりが強く『熊本節』という島歌があるほどです。一時は30万人余りの沖縄人が熊本にいたとも聞きました。それにしても、沖縄民謡の大家・知名先生とロック界の大御所・宇崎さんとの意外な関係、人と人の縁とは不思議なものです。

ところで、ネーネーズが歌っている楽曲に『平和の琉歌』があります。これは、なんとサザンオールスターズの桑田佳祐が作詞・作曲しています(1996年)。前出の『戦争は知らない』の作詞がアングラ演劇の嚆矢・寺山修司で、これを最初に歌ったのが『たそがれの御堂筋』という歌謡曲で有名な坂本スミ子だったのと同様に意外です。しかし桑田の父親は満州戦線で戦い帰還、日頃からその体験を桑田に語っていたそうで、桑田の非戦意識はそこで培われたのかもしれません。

この曲は、在りし日の筑紫哲也の『NEWS23』のエンディングソングとして流されていたものです。筑紫哲也は沖縄フリークとして知られ、他にもネーネーズの代表作『黄金(こがね)の花』(岡本おさみ作詞、知名定男作曲)も流しています。

岡本おさみは、森進一が歌いレコード大賞を獲った『襟裳岬』も作詞しデビュー間もない頃の吉田拓郎に多く詞を提供しています。岡本おさみは他にも『山河、今は遠く』という曲もネーネーズに提供しており、これも知名先生が作曲し知名先生は「団塊世代への応援歌」と仰っています。いい歌です。ネーネーズには、そうしたいい歌が多いのに、一般にはさほど評価されていないことは残念です。

さらに意外なことに、一番、二番は桑田が作詞していますが、三番を知名先生が作詞されています。

サザンは、最初に歌ったイベントの映像と共にアルバムに収録し、シングルカットもしているそうですが、全く記憶にないので、さほどヒットはしていないと思われます。サザン版では一番、二番のみで三番はありません。ここでは一番~三番までをフルで掲載しておきます。

【画像のメンバーは現在、上原渚以外は入れ替わっています。現在のメンバーでの『平和の琉歌』は未見です。】

◎[参考動画]『平和への琉歌』 ネーネーズ『Live in TOKYO~月に歌う』ライブDigest

一 

この国が平和だとだれが決めたの

人の涙も渇かぬうちに

アメリカの傘の下 

夢も見ました民を見捨てた戦争(いくさ)の果てに

蒼いお月様が泣いております

忘れられないこともあります

愛を植えましょう この島へ

傷の癒えない人々へ

語り継がれていくために

二 

この国が平和だと誰が決めたの

汚れ我が身の罪ほろぼしに

人として生きるのを何故にこばむの

隣り合わせの軍人さんよ

蒼いお月様が泣いております

未だ終わらぬ過去があります

愛を植えましょう この島へ

歌を忘れぬ人々へ

いつか花咲くその日まで

三 

御月前たり泣ちや呉みそな

やがて笑ゆる節んあいびさ

情け知らさな この島の

歌やこの島の暮らしさみ

いつか咲かする愛の花

[読み方]うちちょーめーたりなちやくぃみそな やがてぃわらゆるしちんあいびさ なさきしらさなくぬしまぬ  うたやくぬしまぬくらしさみ ‘いちかさかする あいぬはな

ネーネーズの熱いファンと思われる長澤靖浩さんという方は次のように「大和ことば」に訳されています。

「お月様よ もしもし 泣くのはやめてください やがて笑える季節がきっとありますよ 情けをしらせたいものだ この島の 歌こそこの島の暮らしなのだ いつか咲かせよう 愛の花を」

(松岡利康)

※昨年同日に掲載のものを一部修正。

◎[リンク]今こそ反戦歌を! http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=103

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315258/

2025年8月4日付け神戸新聞