「琉球の風」の頃 ── 2005年「名誉毀損」に名を借りた言論・出版弾圧から4年余り(2009年)、ついに勝機を掴み“第一の奇跡”の後、幾つかの企画に乗り出す!

松岡利康

これから適宜、これまでに私がやってきたことについて書き連ねていきたいと思います。何卒ご笑読ください。

すでに何度も申し述べていますが、2005年の弾圧後、会社は壊滅的打撃を被りました。しかし、読者の皆様方、ライターやデザイナーさん、取引先などのご支援により2009年秋、ついに勝機を掴みブレイク! 2010年には悲願の甲子園復帰を果たし、同時に「西宮ゼミ」を開始します。それを手始めに幾つかの企画に乗り出します。

ここでは、高校の同級生・東濱弘憲君(故人)が、みずからの出自を自覚し始めたライフワーク、島唄野外ライブ「琉球の風~島から島へ」(於・熊本)について述べましょう。

東濱君は父親が沖縄・与那国島出身、戦後ほどなくして熊本に移住し、東濱君は熊本で生まれ育ちます。熊本は沖縄から疎開したり移住されてきた方が多く約30万人ともいわれ「熊本節」という島唄があるほどです。高校の3年生の時に同じクラスでした。

彼は高校卒業後、ファッション業界を志し、桑原デザイン研究所に入りますが中退、その後、職を転々とし、マグロ船にまで乗ったということです。

やがて熊本に戻りブティックを開店、その際にデパート勤務していたのを辞めさせ引っ張ってきたのが、奇縁というか私の中学の同級生だった有田正博君で、有田君はのちに、今や世界的ブランドとなったPaul Smithを初めて日本に持ってきたことで有名です。有田君については以前に少し述べていますので、ここでは省きます。

この店もすぐに頓挫、東濱君はみずからの出自を悟り沖縄料理店を開き、ここでミニライブをやっているうちに大きなイベントをやる夢を持ち、大阪で開催された「琉球フェスティバル」を観て奮起し、ようやく開始したのが「琉球の風」というわけです。彼はこれをライフワークとし、沖縄民謡のレジェンド知名定男先生を総合プロデユーサーとして開始します。詳しくは、この記録『島唄よ、風になれ!~「琉球の風」と東濱弘憲」をご一読ください。

「琉球の風」全景
「琉球の風」全景
鹿砦社の大きな看板が目立ちます
鹿砦社の大きな看板が目立ちます

第1回、2回は大赤字、満を持してBeginや宇崎龍童さんを招いた第3回になってようやく黒字化、しかし財政は安定しません。側で見てひやひやしていました。宇崎さんは、「ギャラを振り込みたいので銀行口座を教えて欲しい」と電話を入れたところ、事情を知った宇崎さんは教えてくれなかったということです。これぞ男宇崎! この話を聞いた私は宇崎さんの人間性を垣間見た気がし感激しました。

宇崎さんとネーネーズのジョイント。こんな場面は「琉球の風」ならでは
宇崎さんとネーネーズのジョイント。こんな場面は「琉球の風」ならでは
宇崎さんと
宇崎さんと

東濱君の志に感銘を受けた私は、会社も再興し資金的余裕が出来たこともあり、一枚噛むことにいたしました。広告宣伝費として毎回300万円を出し、プログラムを入れるため先着1千名に特製エコバッグを提供することにしました。今では到底できませんが、当時は太っ腹でした。

知名先生、かりゆし58の前川真吾さん
知名先生、かりゆし58の前川真吾さん
第1回から参加され続けた宮沢和史さんと
第1回から参加され続けた宮沢和史さんと

しかし東濱君はガンに侵され志途上の2012年4月24日、60歳の若さで亡くなりました。「10年は続けたい」という彼の遺言に従い、その後も続き、第10回を最後に幕を閉じました(第10回は台風のためやむなく屋内でミュージシャンと一部観客で開催)。

こんなイベントは、現実問題、もうできないでしょう。この記録も第5回までで、以後の回のものは出来ていません。残念です。いつかまた、儲け出すことがあれば、ぜひまとめて上梓できれば、と望みます。

『[特別限定保存版]島唄よ、風になれ!』
『[特別限定保存版]島唄よ、風になれ!』

Ж『[特別限定保存版]島唄よ、風になれ!~「琉球の風」と東濱弘憲』はA5判・上製240ページ、DVD付き、定価2640円(税込み)です。ぜひご購読お願いいたします。
https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000356

ЖЖ「琉球の風」の際の画像を数点掲載しておきます。もう一度でいいからまたやりたいです。

「古い船をいま動かせるのは古い水夫じゃないだろう」 ―― 今の心境

松岡利康

すでに鹿砦社の代表交替を公表し、おおむね受け入れられたと思っています。ふと、若い頃に馴染んだ吉田拓郎のアルバムのタイトルを想起いたしました。

「古い船をいま動かせるのは古い水夫じゃないだろう」

これは広島から東京に出て自費出版した吉田拓郎のアルバム(LP)のタイトルです。「古い船」=創業57年になる鹿砦社、「古い水夫」=私松岡です。このアルバムを若き拓郎は自費出版し、次いでこの中から、私も好きな『イメージの詩』をシングルカットします。あまり知られていませんが、若き拓郎のデビュー曲です。拓郎はその後『結婚しようよ』『旅の宿』などがヒットし、これらがデビュー曲のように誤認されますが、そうではありません。

『イメージの歌』は長い曲です。拓郎の前に「フォークの神様」といわれた岡林信康の曲『それで自由になったのかい』も長い曲です。どちらも若い頃から好きな曲です。

『イメージの詩』には、
「闘い続ける人の心を誰もがわかっているのなら、闘い続ける人の心はあんなには燃えないだろう」
という歌詞があり、涙が出る想いです。

ちなみに、『イメージの詩』は拓郎の作詞・作曲ですが、初期の拓郎を支えたのは、レコード大賞受賞曲『襟裳岬』を作詞した作詞家・岡本おさみです。岡本と組んで、『襟裳岬』はじめ数々の楽曲を出します。『旅の宿』『落陽』……。思い出すなあ。

さらに、岡本おさみはネーネーズの『黄金(こがね)の花』『山河、今は遠く』(いずれも作曲は知名定男)も作詞しています。これらも私の好きな曲です。こういう話をすれば止まりません(苦笑)。
「黄金で心を捨てないで 黄金の花はいつか散る」

《零和滑稽新聞創刊01号》パンパンというよりパンバカパ~ン! 嘘つきサーニャの今週のハイライト!

(『紙の爆弾』2026年7月号掲載記事を再編集しました)

【図1】JiB漫画トリオのパンパカパ~ん!今週のハイライト!

5月11日の文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」でゲストのジャーナリスト・適菜収(てきな・おさむ)氏が、高市早苗が政治家としての最初の一歩からウソと駄ボラを重ねてきた過去を暴露した。たとえば彼女は「元アメリカ連邦議会立法調査官」という肩書きでマスコミデビューを果たし、世間に大いに名を売ったわけだが――自著にも(図2)、テレビ出演時にも(図3)そういう肩書きを堂々と掲げてきた――実際にはこの肩書きは虚偽であり、単に米国民主党のパトリシア・シュローダー下院議員の事務所でほんの一年ばかり“研修生(インターン)”をしていたに過ぎなかった。

(この「インターン疑惑」については、その後2か月もたってから、7月6日の国会参議院決算委員会での立憲民主党・羽田次郎議員の追及に対して、高市首相は自分の公式ホームページ等で紹介している米連邦議会の「コングレッショナル・フェロー(CF)」という経歴に「間違いはない。インターンとは全く異なる」と反論した。彼女は、たしかに渡米後の最初の2カ月間は受入先の下院議員事務所で「インターン」の立場であったと認めたが、3カ月目から正式にフェローとしての要件を満たし名刺やデスクが与えられたと釈明したのである。……しかしシュローダー議員はすでに〔米国を生涯をすごし、今はすでに亡きアメリカ人に、こういう古代中国由来で日本に定着している民間信仰用語を使ってよいのかどうかは微妙だけれども……〕「鬼籍」に入って久しい。

「死人に口なし」なのである。伊東市の前市長や、小池百合子東京都知事などの学歴詐称疑惑と同様、疑惑の主のご本人が言いたい放題放言にしている言動を、外野がひたすら信じているかぎり、真相はわからない。

容疑者本人の発言を信じるだけで容疑の有無が決まるなら、警察や検察の「捜査」なんてまったく不要なのだから、そんな組織はさっさと解体するしかない……という理屈になる。あるいはまた、容疑者本人の発言だけしか“頼るべき根拠”がないとするなら、「容疑者の口を割らせる」ために拷問も許される、という理屈も成り立つであろう。……とにかく高市首相の米国議会関係の職歴詐称疑惑については、雇い主のシュローダー議員はすでに死去してこの世にいないわけだし、高市本人が巧言令色・美辞麗句でいくら調子のいい釈明をしようとも、明白で客観的な証拠〔エヴィデンス〕が示されぬかぎりは、信用できないのである。……なにしろ自分の嘘つきぶりを、かつては自慢していた政治家なのであるから。)

この日の放送で、適菜氏は、高市早苗ご本人が公言した(それゆえ大宅文庫に“記録”として残されている)資料を、大竹氏に朗読させた――「シュローダー議員へのアプローチは?って聞かれて高市さんは、私を雇ってくれって履歴書とか色々書いたんだけど、私の英語力って大したことなかったから、その頃付き合ってた男がすっごく英語ができる男だったんで、ずいぶん添削してもらった。だいたい私、自分は日本の軍事問題の権威だってウソかいたの」。……まさにウソにウソを重ねてのし上がってきたのが高市早苗のいう政治家なのである。

高市早苗は「元アメリカ連邦議会立法調査官」だと詐称して世間に名を広めた。

【図2】1990年3月ソニーからカセットブックとして発売された『政治ギャル、永田町を叱る:怒れ!納税者!!』
【図2】1990年3月ソニーからカセットブックとして発売された『政治ギャル、永田町を叱る:怒れ!納税者!!』
【図3】マスコミ売りだし時代の高市早苗のテレビ出演
【図3】マスコミ売りだし時代の高市早苗のテレビ出演

パット・シュローダー(生1940~没2023年)は日本で言えば福島瑞穂みたいな立ち位置で「保守」とはほど遠く、「リベラル・フェミニスト」とか「過激なリベラリスト」などと呼ばれてきた政治家だった。だから高市早苗が松下整形塾、もとい、政経塾で学んで「保守政治家」をめざしていたならば、民主党の「(当時としては)極左」議員のもとでの“修業”なんぞあり得ぬ話であって、共和党政権時代だったから当然“研修”先は共和党議員の事務所を選んだはずであるが、共和党は当時は政権党だから(小泉進次郎みたいな“親の七光り”が使えれば別だけど)生半可な知識では採用されまい。だから政治的なド素人が「軍事問題の権威」などと詐称してもそれを見抜けぬほどズサンな、これまたシロウト議員(?)をカモにしたのだとも推測できる。
(この推測に無理があるなら、やはり高市早苗は当時の日本において“リベラル・フェミニストの女性代議士”の立ち位置を狙っていたのであろう。)

高市早苗が「平気でウソをつく」政治家だということは、アベ政権の総務大臣時代にやらかした“放送免許恫喝(どうかつ)”騒動の時からさんざん見せつけられてきたから、そのこと自体はもはや(我ながら情けないけど)慣れっこになっていた。……が、米国の議員事務所での研修採用のときからウソをついて相手を騙(だま)してきたことを知って、さすがに私は驚愕した。(ハッキリいってゾッとした。)

今回の記事のタイトルを「嘘つきサーニャ」としたのは、すぐれた作家・ロシア語通訳者だったがこの5月末に没後20年を迎えた米原万里さんの、代表作『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(2001年)に肖(あやか)ったわけである。本稿の「サーニャ」が誰を指すかは説明不要であろう。

さらに記事タイトルに用いた「パンパカパ~ン!今週のハイライト!」というのは、1960年安保闘争「敗退」直後(同年11月)にデビューした漫才コンビ《漫画トリオ》の“決めネタ”であった。前髪を「J」の字にまとめて広い額にたらしてタコ踊りで笑いを取る横山ノック(のちに国会議員や大阪府知事を歴任した山田勇)がボケて、両端の横山パンチ(上岡隆太郎)と横山フック(轟〔とどろき〕盛次)がツッコミをいれる「ニュース漫才(コント)」で、「今週のハイライト」を話題にしながら時事風刺を行なったのである。《漫画トリオ》はこのネタを演(や)るときには、図1のような(“3人そろって日章旗”のような)ポーズを決めた。

【図1-2】本家、漫画トリオの「ぱんぱかぱ~ん、今週のハイライト!」
【図1-2】本家、漫画トリオの「ぱんぱかぱ~ん、今週のハイライト!」

「パンパン」を差別してきたのは誰か?

大竹まこと氏のラジオ番組のなかで、適菜氏が高市早苗をことを「令和のパンパン」と表現したことから、女性差別であるとか職業蔑視であるとかいう“クレームの嵐”がSNS界隈の“名無しの権兵衛(ケンペー)”たちのあいだで俄(にわ)かに沸(わ)きだして、文化放送の社長が謝罪するなど事態は例によって「言葉狩り」「言論封殺」の方向に動いているが、終戦直後に占領軍のヤンキー将兵にぶらさがらざるを得ず、それをやっかむ敗戦国民の“名無しの権兵衛”たちから「パンパン」と呼ばれて社会的に疎外された女性たちの人生をの悲惨を思えば、安直に「差別語」扱いして封殺するのはセカンドレイプのような虐待であることが容易にわかるはずだ。

当時の「パンパン」女性たちの心情を嘆いた「星の流れに」という歌がある。こんな歌詞だ――

星の流れに身を占って、何処(どこ)をねぐらの今日の宿。
荒(すさ)む心でいるのじゃないが、泣けて涙も涸(か)れ果てた。
こんな女に誰がした?

煙草ふかして口笛ふいて、あてもない夜のさすらいに、
人は見返る、我が身は細る。
町の灯影の侘(わ)びしさよ。こんな女に誰がした?

飢えて今頃、妹はどこに。一目逢いたい、お母さん。
唇紅(ルージュ)哀(かな)しや、唇かめば、
闇の夜風も泣いて吹く。こんな女に誰がした?

(作詞・清水みのる、作曲・利根一郎、歌・菊池章子)

従軍看護婦として満洲(奉天)に赴任していた女性が、戦争が終わって東京に帰ってみると、あたり一面焼け野原で、家族もすべて失われ、まったく寄辺(よるべ)がないので「娼婦」として生きるしかなくなり、その悲しみを手記にまとめた。これを新聞で読んだ清水みのるが“戦争への呪詛(じゅそ)”の歌として徹夜で詞を書き上げ、利根一郎も戦災孤児や「パンパン」が屯(たむろ)する上野駅の地下道や公園などで悲惨な現実を見ながら曲を作ったという。(ちなみにこの歌の原題は「こんな女に誰がした」であったが、GHQから「反米感情を煽(あお)る」とクレームがついて無難(ぶなん)な「星の流れに」に変更したという。占領米軍当局は天皇や帝国陸海軍のボスたちは容易に飼い慣らしたが、容易に懐柔できぬ日本国民には恐怖を抱いていたようだ。)

80年前、終戦直後の国民は、それこそ「パンパン」に“身を落とし”たり、「闇市」で政府いうところの「経済犯罪」となる「ヤミ売買」に頼らなければ生命維持すら困難だったのだ。つまり「パンパン」は大日本帝国の失政の悲惨な「産物」である。しかも8月15日の「玉音放送」の直後に、日本政府は早くも「上陸してくる占領軍から帝国婦女子の貞操を守るため」と称して、国立の性的慰安体制(「特殊慰安施設教会」のちに「RAA(Recreationand Amusaement Association)」と改称)を設置し、若い女性たちを大量に雇い入れて(占領軍の)性的従軍慰安婦として働かせ、ヤンキー将兵の大群に“人身御供”として提供した。それこそ「国定パンパン」「国立パンパン」を、日本政府が率先して“生産”して国家規模の管理売春をしていたのだ(詳しくはドウス昌代著『マッカーサーの二つの帽子(特殊慰安施設RAAをめぐる占領史の側面)』を参照)。

「パンパン」女性たちは身を売った。そして日本を「敗戦」に追い込んだ国陸海軍の高級司令官(天皇を含む)や参謀格は、GHQに媚(こ)びを売って(まさに「國家(くに)」を売って)命乞(いのちご)いを行なった。

731細菌戦部隊の総元締めだった石井四郎軍医中将はアメリカ占領軍の幹部と“ボス交渉”して、アジア地域の各地で展開した生物戦争のノウハウを米軍に提供することで「戦犯」訴追を免(まぬが)れた。参謀たちはGHQに媚びを売り、ネンゴロな説得を続けることで「日本再軍備」を追求しつづけ、朝鮮戦争をきっかけにこの“願望”が果たされて、それでいまの「自衛隊」がある。ついでにいえば昨今の世界をにわかに騒がせているハンタウイルス感染症だって、そもそもは石井731部隊が「朝鮮出血熱」として着目し、兵器化の研究を進めた病原体である。このウイルスの研究データが米軍に渡って以後の詳細な展開は不明だが、近年になってハンタウイルスに(新型コロナウイルスと同様に)遺伝子操作による「機能獲得研究」を施し感染力を格段に強めたウイルス株が作出されたことまでは判(わか)っている。米国が中南米を“実験場”として感染実験を企てた可能性は否定できないし、日本でだって石井四郎の母校で731部隊の“人材の草刈り場”であった京都大学に近すぎず遠すぎもしない大阪で、戦後1960年代まで「梅田奇病」などと呼ばれるハンタウイルス感染症がたびたび発生していたのだ。

敗戦によって国家存亡の危機に追い込まれた日本で、米兵相手に「からだ」を売った女たちがいたからこそ、この国は存続できたのだ……とさえ言える。もしも本土決戦になったり、敗戦直後にあまりの苦しさに堪(た)えられず悲観した女たちが次々と自殺していたなら、この国は今頃は、文字どおり亡びていただろう。

その意味で「パンパン」はまさに「畏(おそ)れ多くも賢い」国民の典型なのであった。彼女たちの「生存への執着」がこの国を救ったのだ。……それに比べて、ウソにウソを重ねて政界を渡り歩いてきた高市早苗はどうだろう? よほど下劣な生き方ではないか?戦後の「平和」と「繁栄」を享受(きょうじゅ)してきた我々は、「パンパン」を讃(たた)えて顕彰(けんしょう)すべきである。彼女たちの多くは、結局、病気などで不本意な一生を終えたにちがいないし、なによりも一般国民の蔑視を浴びながら寂しい生涯を送ったであろう。

「パンパン」を差別してきたのは戦後にのうのうと生きてきた我々自身である。

「紫」の意味をしらぬ“蓮っ葉むすめ”が
皇室を汚して「ポルノクラシー」をやらかす

4月10日に英国のハードロックバンド《ディープパープル》が来日し、東京に着くやただちに首相官邸を訪問した。サナエ総理は中学生時代からの「憧(あこが)れのバンド」と面会して大感激し、「夫とケンカした時は『バーン』を(ドラムで)叩いて呪いをかけています」と冗句を言ってサービスしたそうだ。バンドの公式インスタグラム(deeppurple_official)には面会時の記念写真が載っているが、なんと首相官邸内でサナエ総理もいっしょに日本公演をポスターを広げて宣伝している。首相官邸がこういう宣伝に利用され、家主の総理みづから嬉々(きき)としてチンドン屋の役割を演じているのだから、ロックを聴いて“ギャル発作”を起こすような蓮(ハス)っ葉(パ)な奴がこの先も総理大臣になるのであれば、こういう“表敬訪問”は増えるだろうな。

【図4】ディープパープルの公式インスタグラムに載った首相官邸での記念写真(4月10日)
【図4】ディープパープルの公式インスタグラムに載った首相官邸での記念写真(4月10日)

「バーン(BURN)」(邦題「紫の炎」)はディープパープルが“燃え尽きる”直前の、まさに“風前の灯火”のような楽曲だった。サナエ総理が小学生の頃に買ったというLP『マシンヘッド』収録の「ハイウェイスター」はギターの早弾き奏法をいわば“曲芸”に変えた作品であり、その意味ではロックギターの歴史に画期を成した名作だった。ギタリストのリッチー・ブラックモアはそれまでは「一曲ごとに演奏スタイルを変える」と豪語して極めて独創的な演奏スタイルを追求し続けた稀有のアーティストだったのだが、しかし「ハイウェイスター」の成功でその後は“曲芸弾き”を強いられるようになり、このバンドでの活動に飽きが来たのである。「バーン」のレコードジャケットは、メンバー全員の頭が蝋燭(ろうそく)になって、不気味な炎が灯(とも)っている(日本版の「紫の炎」も同じデザイン)。これは皮肉にも当時のバンドの気分を象徴している。この曲を出してまもなくバンドは空中分解したのだ。

ディープパープル(DeepPurple)の『紫の炎(BURN)』シングル盤レコードの、オリジナル(左)と日本版(右)のカバー写真
ディープパープル(DeepPurple)の『紫の炎(BURN)』シングル盤レコードの、オリジナル(左)と日本版(右)のカバー写真

自民党は五月二一日に《国力研究会》(英名「Japan is Back」、略称JiB)という、発起人たち自身にとっても予想外に大所帯の“(税金)盗賊団(バンド)”を発足させたが、ディープパープルの「紫の炎」に倣(なら)って「JiB」を“聖像(イコン)”に描くなら、図5のような“風前の灯火”の絵になるであろう。(サナエ総理の前髪は“横山ノック”のタコ頭ではなく、ジャパンのJである。)

【図5】《国力研究会》ことサナエ応援団の、風前の灯火の「紫の炎」
【図5】《国力研究会》ことサナエ応援団の、風前の灯火の「紫の炎」

ついでにいえば、ディープパープルは『マシンヘッド』を出した後に「ウーマン・フロム・トーキョー(Woman from Tokyo)」という楽曲を出した。このシングルレコードのジャケットは、梶芽衣子(めいこ)の「女囚さそり」を連想させるような(半世紀前の西洋人の、日本女性に対する、オリエンタリズムが混じった尖(とんが)ったイメージの)女性が写っているのだが、この曲はボーカルのイアン・ギランが来日公演で日本を“体験”して日本女性をたいそう気に入ったことで生まれたという。ディープパープルの「女」そのものをメインテーマに歌った数少ない楽曲で、オリエンタリズムへの過剰な憧(あこが)れが歌われている。

「紫の炎」と同様に、これもオリジナルのレコードジャケットはネットなどでご覧頂きたいが、サナエ・タカイチに関していえば、パット・シュローダー事務所に採用された彼女は、(彼女自身の発言がウソでないのなら)「コンウーマン・フロム・トーキョー(ConWoman from Tokyo)」だったということになる。

「コンウーマン」は「女詐欺師」を指すことばで、「コン(confidence)」すなわち「信頼」を裏切って詐偽を働く奴を「コンアーティスト(con-artist)」といい、男の詐欺師は「コンマン(con-man)」、女の詐欺師は「コンウーマン(con-woman)」という。

【図6】コンウーマン・フロム・トーキョー(左)とオリジナルの『ウーマン・フロム・トーキョー』(右)
【図6】コンウーマン・フロム・トーキョー(左)とオリジナルの『ウーマン・フロム・トーキョー』(右)

ハスッパ娘の癖(くせ)が抜けない“ロックおばさん”には想像もできないことなのだろうが、「ディープパープル(濃紫)」は、日本においては古来、皇室のもっとも高貴な格式を示す色彩であった。首相官邸で「濃紫」と称する“毛唐”の男たちの宣伝を、嬉々(きき)としてやらかす総理などというのは、明治維新期の“尊皇攘夷”勢力がもし今も存在していれば(きっともはや絶滅したであろうが)斬り捨てられるべき対象であったに違いない。

「国力研究会」という名のハレンチ

文化放送の「大竹まことゴールデンラジオ」で「サナエ令和パンパン説」が噴出した10日後に、自民党は、麻生太郎の号令で、来年以降も“サナエ総裁体制”を支え続ける拠点づくりとして、《国力研究会》という“派閥もどき”を発足させた。

「国力」とは何だろうか、と先ずもって疑問に思うわけだが、そういうマジメな疑問はどうやら無意味なようだ。なにしろ《国力研究会》の英語名は、主催者によれば「ジャパン・イズ・バック(Japan is Back)」で、略称もそれをそのまま約(つづ)めた「JiB」なのだそうだ。

「ジャパン・イズ・バック」は中学英語のレベルで訳せば「日本は帰ってきた」となるが、ならば一体いつ、日本は姿を消し、どこに帰ってきたのか? かつて安部晋三は「日本を取り戻(モロ)す!」をスローガンに唱えたが、これは米帝(ベ~て~)支配の「日本が米国に従属する“敗戦国”体制(レヂーム)」からの脱出をハッキリと意味していた。

ならばサナエ総理が唱える「帰ってきた」とは何か? 日本は国連体制に「帰って」きて(1956年12月13日)もうすぐ70年になるし、ほかに“失踪(しっそう)”していたこともない。要するに「ジャパン・イズ・バック」を言挙(ことあ)げしている連中は、無用な劣等感で身を焦(こ)がす“中2病”のガキンチョのようなものだ。

一国の与党の政治家たちが「JiB」などという結社に押しかけたわけだが、ならば「JiB」とは何かと英和辞書を引くと、「jib」の第一義は「【名詞】尻込みする動物(馬など)、【動詞】尻込みする、怯(ひる)んで立ち止まる」であるという。これはまさに自民党の議員たちの憶病(おくびょう)ぶりを示す言葉だ。

しかも「jib」の第二義は「CIAの工作員が用いる替え玉人形(Jack In the Box dummy)」の略称なのだという。これもまさに、米国のスパイ組織であり続けた自民党の本質を喝破(かっぱ)する言葉である。

ところで「こくりょく研究会」を英語でいうと、どういう意味になるのか? 日本語の発音にいちばん近い英単語を探すと、「こくりょく」は「Cock-Lick」になるが、これは「陰茎(コック)を舐め回す(リック)」という意味になる。フェラチオである。『紙の爆弾』5月号でアベ政権の(そしてサナエ政権も)悪弊(あくへい)は「悪友内輪(ワルダチ)政治(フェラクラシー)」(fellaは「友だち(fellow)」の口語表現)であると指摘したが、こんなところで自民党の「おフェラ」が復活するとは思っていなかった……。

ミニシアター不在の西宮にシネマカフェ開業のクラウドファンディングにご支援を!

鹿砦社代表 松岡利康

長年西宮ゼミはじめいろいろなイベントでお世話になって来たカフェ・インティライミ(昨年7・12『紙の爆弾』創刊20周年 鹿砦社反転攻勢の集いでも使わせていただきました)にシネマカフェを併設するということです。

ご支援の方法は「ピッコロエビス」で検索してください。
https://camp-fire.jp/projects/971918/view

クラファンをやるとは聞いていましたが、すでに開始されていて、9月27日が締め切りということです。うっかりしていましたが、何卒1口乗ってください! 私も支援し、いろいろ企画したいと思っています。硬軟織り交ぜ上映したい映画が多数あります。

学生の頃は、太秦にエキストラのバイトにも何度もいきましたし、学館や京一会館(廃館)でさんざん好きな映画を観ました。そんな懐かしい映画上映を企画したいと思っています。私が企画するので、どんな作品か、皆様方には大体想像がつくと思います(苦笑)。

ちなみに、インティライミオーナーの近兼拓史さんは、かつて阪神大震災後、地域FМをやっていて、鹿砦社から『FMラルース999日の奇跡~ボランティアが作ったラジオ局』を刊行、現在は丹波市でヤクザの事務所の跡地に行政の協力を得てミニシアターを営業されています。そのノウハウをインティライミにシネマカフェを併設するというプロジェクトです。

『紙の爆弾』10月号に寄せて

『紙の爆弾』編集長 中川志大

アメリカによるイラン攻撃が再開される中、キューバで経済封鎖により深刻なエネルギー危機が続いていることは、あまり報じられません。長時間の停電は家庭の明かりを奪うだけでなく、給水や交通・食料・医療など市民生活のあらゆる面に影響を及ぼしています。そんなキューバの現状と、危機の中で抵抗する人々について、同国ジャーナリストのセサル・ゴメス・チャコン氏が本誌に寄稿しています。

“当事者”を除き、あらゆる方面から疑問の声が挙がった「国民会議」というネーミング。そして、結局何が話し合われたのか、何のための会議だったのかも、まったく不明。「国民による会議」ではないのはすぐにわかることでも、では誰による何のための会議だったのか?という問いに答えたのが、今月号の植草一秀氏の論考です。その空虚さゆえに、常に“背後”が垣間見えるのが高市政権の特徴といえます。ならば、表面的な事象を批判して終わっては、背後勢力の術中にはまるだけです。

「高市早苗政権はこんなにも大局観を欠いた国家運営しかできないのか」「首相が(飲食料品の消費税率)1%案を断行しようとするのに対して、野党が『結論ありきだ』と批判するのも当然だ」。前者は7月30日付日経新聞社説、後者は31日付読売新聞社説です。本誌巻頭で指摘したとおり、さんざん逆進性が指摘されてきた消費税が、いまや税収合計の3分の1を占める現状をどう捉えるべきか。ちなみに6年連続の最高税収を記録した2025年度、所得税収・法人税収がそれぞれ大きく上がっても、消費税の総収に占める割合は31%です。

世界のコロナ対策をリードしてきた元アメリカ大統領首席医療顧問、アンソニー・ファウチ博士への追及がアメリカで始まっています。着目すべきはKダブシャイン氏指摘のとおり、日誌に表れたファウチ博士のキャラクターで、いかにも利用されやすそうなのは高市首相と共通するところ。芸能人へのリアクションも似ている気がします。コロナ騒動の本質はもとより、それまで“主流”とされていた見解が逆転するのかに、もっとも注目しています。

8月号から前・中・後編でお送りした植草一秀氏“3つの冤罪事件”の真実。それぞれの事件の状況はもちろん、不可解な経緯と、当時の社会状況についても詳しく説明しています。そこから見えてくるのは、「今の日本」です。なぜ日本だけが「失われた35年」にはまり込み、抜け出せないのか。「失われたもの」とはいったい何か。それらが事件の背景から浮かび上がってきます。

ほか10月号では、首相官邸SNSの“高市PR動画”が炎上した「首相の無意味な熊本視察」と2024年地方自治法改正の関係を解説。これは副首都法や緊急事態法制とも関係します。2026年熊本地震をめぐっては、各地で加速する“AI防災”のリスクについてもレポート。ほか25年目となった「9.11」の真相、「SNS年齢規制」の国内議論の的外れぶりや、ひきこもり支援事業における「労働」についてなど、今月号も独自の切り口で真実を追求します。
『紙の爆弾』は全国の書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2026年10月号
A5判 130頁 定価800円(税込み)
2026年9月7日発売

「飲食料品1%」のしょぼい減税でも迷走 財務省が主導する消費税減税反対論 植草一秀
ビル倒壊と瓦礫の謎 行方不明の墜落機体 実行犯にCIAスパイ…9.11 二十五年目の真相 浜田和幸
キューバを襲う米国によるエネルギー危機 経済封鎖という暗闇を武器にしてはならない セサル・ゴメス・チャコン
日本のSNS年齢規制はキエフの大門である 昼間たかし
2026年熊本地震に見た地方自治と緊急事態条項 足立昌勝
“加害者”を隠しきった裁判 優生思想を護持した日弁連とマスコミ 野田正彰
植草一秀インタビュー「冤罪の真実」後編 無罪の証拠を司法は無視 小泉・竹中批判封じ
「憲法より日米安保が最高法規」の現状を変えよ プーチン大統領択捉島訪問の意味 木村三浩
それでも進む完全自動化 イオンモール爆発の“人災”と“AI防災”のリスク 片岡亮
「使用者」はいても「労働者」はいない ひきこもり支援事業の“空白” 川田祐一
暴力的カウンター運動と「リンチ事件」「反差別運動」についての共産党見解への疑念 黒薮哲哉
LGBT問題の現在 「女性スペース法案」の必要性 井上恵子
成年後見制度という宿痾 ある老齢薬剤師の手紙から 鈴木愼哉
サナエ流独裁の奥義 こうして絞め殺される“日本の議会制民主主義” 佐藤雅彦

〈連載〉
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
「絶望ニッポン」の近未来史:西本頑司
芸能界 深層解剖

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/

◎amazon

熱く、暑く、和まされ、励まされ、反原発の思いをさらに強固にした「福島支援ライブ」へのお礼

尾﨑美代子

8月29日、集い処はなでの「福島支援ライブ」、たくさんの方にお集まり頂きました。ありがとうございました。

ライブの投げ銭は、9月2日判決が言い渡される原発賠償関西訴訟原告団にカンパさせて頂きました。カンパ合計は46,000円、出演者のヒデヨヴィッチ上杉さんが自身の物販(Tシャツ、CD)の売上の3割3,000円をカンパに入れて下さいまして、計49,000円、エイッもう一押しとはなままが1000円足して50,000円を関係者の方にお渡ししてきました。

それにしても熱く、暑く、和まされ、励まされ、怒りの声と拳を共にあげ、笑いも涙もゴチャまぜにし(顔クシャクシャの方、多め)、反原発の思いを更に強固にしたひとときでした。私はライブ中もバタバタ動き、写真はほとんど撮れませんでしたが、1枚だけ撮ったのはアカリトバリの曲に一曲目から涙する今野さん、ちなみにその2人後ろでもグズグズ泣く菅野みずえさんが。

カオリンズ、アカリトバリ、ヒデヨヴィッチ上杉さん、HANAMAMA(私)が歌い、そのあと福島から来阪された今野寿美雄さんのトークショーを予定していました。さて、どんな感じにしようか考えてましたが、

朝店で200円料理の準備をしながら、「そうだ!今野さんのトークは菅野さんとの掛け合いでやって貰おう」とひらめき、ムチャ振りしたもの。大成功でしたかね。

最後に今野さんと皆さんで「大空と大地の中で」(松山千春)を合唱しました。この曲は2021年今野さんの浪江町の家が解体された際に撮られた動画「9年目の津波」で歌われた曲です。松山千春さんから使用許可は取得しています。曲のエンディングコーラスを全世界から募集し、多くの方々と歌われた思い出の曲です。

3・11から10年目、カンパが減り財政的に厳しくなったとの理由で反原発活動を休止しますといったある大きな反原発団体がありましたね。凄いですね。金(カンパ)が減ったら活動出来ないのですか。カンパ(資金)は何かをして作るものですよ。釜ヶ崎や山谷で昔から言われたスローガンがあります。「金のある人は金を!知恵のある人は知恵を!そして力のある人は力を!」。歌える人は歌を、料理作れる人は料理を、運べる人は運び、暑い表に立ち続け売ってくれる人、歌に手拍子いれたり、踊ってくれる人、「ここ座って」と席を譲ってくれる人……いろんな人がいて、最終的にカンパが集まり、それが誰かさんたちの活動を助けることに繋がればとやっています。それが大事。まだまだ反原発運動は負けてないで!もっともっと活動しないといけないで!

また集いましょう!!

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

キックボクシング、リングで有利に導くために

堀田春樹

2021年5月23日に「あまり重要視されないリング幅の駆引き!」に続く、リングに纏わるお話です。

※ここではキャンバス=リング表面を覆う布製生地。マット=キャンバスとフェルトを含む柔軟性ある厚み。フェルト=リング床面基盤に敷かれるクッションと表現します。

◆試合前の最後の仕上げ、リングのチェック

ベストコンディションで試合に臨むも、リングとの相性が合わなければ思わぬ苦戦や、実力を発揮出来ず、怪我に繋がる恐れもあるので事前チェックが必要です。後楽園ホールに於いては慣れた感覚も、地方や海外では何が起こるか解りません。

開場前にリングでウォーミングアップする選手は多くいますが、戦略と共にリング全体のの感触も感じているでしょう。

開場前、リング上でウォーミングアップする選手たち(2025年10月5日)

◆マットの硬さとロープの張り具合

投げ技有る競技はマットが柔らかいのが通常です。平成初期頃の真樹ジム主催の格闘技の祭典では、後楽園ホールで通常のボクシングリングが使われたので、プロレスから参戦したザ・グレート・サスケがリングチェックで受け身を試み、「うわっ!硬い!」と言葉を漏らしたことがありました。その他のレスラーも渋い顔だったことが思い出されます。

タイでは以前の二大殿堂のルンピニースタジアムやラジャダムナンスタジアムのリングはキャンバスを指で押してもへこまない土俵のように硬く、他のスタジアムは比較的軟らかいマットが多かったようです(2017年に私が観たラジャダムナンスタジアムでの記憶は曖昧!)。

石井宏樹も戦ったラジャダムナンスタジアムのマットは硬くて蹴り易い(2000年12月)

日本に於いては「リングで爪先立ちし、マットを圧したり擦ったりして、キャンバスが乾いていて滑り易いともの凄く不安になって焦りました。」という元・選手の意見もありました。

マットが柔らかいと蹴りを出す際に踏み込み難く、タイミングがズレて威力がやや落ちてしまうといった意見があるようです。

プロボクサーはリングに上がる際、リングシューズでリング下にあるマツヤニを踏み込んでリングに上がるので滑り具合はあまり気にならないかもしれません。柔らかいマットだとキックボクサー同様にフットワーク使う選手には不利で、更にはロープの張り具合が緩いとロープ際に詰められた際の攻撃を避けるためのボディーワークには影響が出るかもしれないという元・ボクサーの意見がありました。

キックボクシングでは、ボルネオで試合経験がある鴇稔之氏は「ロープ際に押し込まれた際にタックルされて、ロープが緩くてリング下に落とされて頭打ったが10分程インターバル与えられて、そのまま続行しました。」というロープに纏わる経験談から、ロープの張り具合も戦略に入れる必要がありそうです。

◆レフェリーまで滑りまくったリング

今から20年程前、後楽園ホールでの治政館興行で、ビニール製のキャンバスが敷かれたことがありました。すでに嫌な予感はしていました。これより少し前に別会場でのNJKF興行で同じ素材のキャンバスがあった状況からでした。選手らの汗やインターバルで被った水が滴り落ち、キャンバス上は水浸し状態。タイムストップしてレフェリーや役員がキャンバスを拭きまくった状況がありました。通常の布製キャンバスなら水は浸み込みますが、ビニール製では浸み込むことはありません。

選手は蹴ろうとして滑ってバランス崩す。フットワーク使って滑って転ぶ。レフェリーまで立って居るだけで滑って転ぶ。当時メインイベントの武田幸三氏もやり難かったでしょう。こんなキャンバスは常識的には二度と使われないでしょう。

これは大雑把な水撒き。「満遍なく撒いて」とは他のレフェリーより(2026年7月19日)

古い昭和の時代から、リング上で水が撒かれる光景を見たことある観戦者は多いかと思います。照明による熱で乾ききった布製のキャンバスは滑り易く、赤・青コーナーで選手に被せた水でキャンバスがビショビショに濡れた場合、ここでも滑り易くなります。それで水受け皿が用意された時期もありましたが、現在の後楽園ホールでは使用されていません。

キャンバスの下がゴム製の薄いフェルトで、キャンバスが濡れ過ぎると水の行き場が無く、水浸しになるだけです。乾き過ぎると滑る。濡れ過ぎても滑る。適度に湿った状態がベストで、レフェリー等が水を細かく撒いているのはそのためです。

レフェリー竜矢氏のペットボトルを使った噴射するような上手い水撒き(2025年6月20日)

キャンバスは無地がいちばん良いところ、近年のリングキャンバスは問題点が一つありました。広告等が入るペイント部分は水を弾く(吸わない)場合があります。以前それでスリップした長谷川穂積氏、スリップ気味ながらノックダウン扱いされた徳山昌守氏も災難経験者でしょう。それも問題視され、現在は解消されたペイントキャンバスに改善されていますが、全てのキャンバスが改善されているかは不明なので、リングチェックはしておいた方がいいでしょう。キックボクシングの場合、足の裏に滑り止めスプレーを掛けることは会場内のフロアーを汚す恐れから、団体によっては禁止されています。

◆プロレスのリングは使えるか

近年のキックボクシングではボクシングの規定を満たしているリングが多いものの、細かい規定は無いので、過去には「これプロレスのリングだな!」といった三本ロープでキャンバス上が狭い、見た目で解るリングもありました。

ボクシングルール的に言えば、「条件を満たさない場合でも安全管理上支障が無いと判断した時は試合を許可することが出来る」と柔軟解釈しても、リングは魔物が住む、理不尽な展開も起こり得る戦いの場。対戦相手がリング上でウォーミングアップしていると「早く終わらせろよ!」と思いながら遠くで待っていたという選手も居ましたが、後楽園ホールでは昼夜の入れ替え制で、開場までの時間が少ない中、セレモニーのリハーサルも重要ながら、開場前の選手のリングチェック時間はなるべく長く用意してあげて欲しいものです。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

8月29日今野寿美雄さんを取り囲んでの「福島支援ライブ!」

尾﨑美代子

8月のイベントの告知です。もう、何かしてないと死んでしまうんじゃないかと思うくらい不安だから、次の予定を告知しておきます。

8月29日、福島県から来阪する今野寿美雄さんを取り囲んでの「福島支援ライブ!」投げ銭カンパは、その4日後に大阪地裁で判決が言い渡される原発賠償関西訴訟の原告団にカンパさせて頂きます。

出演者はヒデヨヴィチ・上杉、アカリトバリ、カオリンズ、そしてHANAMAMA&今野寿美雄です。

関西訴訟はじめ避難者の訴訟はどれも長く長く続いています。事故から15年ですものね、「どうなったのかな?」とつい忘れてしまった方もおられるかと思います。
判決日を前にみなさんと共にこの闘いがどういう意味を持つのか、考えていければと思います。

宜しくお願い致します。

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0GZZQWL9T/

鹿砦社の反原発誌『季節』の定期購読をお願い致します!

尾﨑美代子

お願いがあります。鹿砦社の反原発誌『季節』の定期購読をお願い致します!

『季節』2026年夏号が発売となり、執筆者や関係者様に届いていることと思います。さて、私はこの『季節』の編集委員をさせて戴いております。『季節』が発刊以来ずっと赤字であることは、鹿砦社代表の松岡氏がなんども訴えています。

「何故、赤字続きなのか?」と私なりに考えてみました。もちろん内容の問題もあるかもしれません。本書は発行が3ケ月に一度ですが、毎号編集会議では、なるべくその期間内でタイムリーな内容、あるいは小さな事件だはどうしても見逃せない問題、全体的には原発問題に関して多面的な内容を提供したいと考え、意見を出し合い、制限された紙面の中で、それをどう伝えていくかと必死で討議しています。

そんななか、赤字の原因として、私が考えることが1点あります。それは「定期購読者」の不足、逆にいえば「献本数」が非常に多いのではないかということです。それはひとえに鹿砦社代表の松岡氏と、『季節』編集長の小島氏の「人の良さ」(決して褒めてない)ではないかと、編集委員の一人として考えています。というのも、執筆者には当然「献本」させていただきますが、松岡氏にお聞きしたところ、それだけではなく、過去の執筆者、あるいは別件で知り合った方々の多くにも献本させて頂いているとのことでした。さらに松岡氏が言うには「とくに福島の人にはずっと読んで欲しいと思ってね」とのこと。その気持ちは私も同じです。しかし、そうした献本が増えたまま、一方で定期購読あるいは購入部数が増えないことには、赤字は一向に解消できず、そのうち『季節』は廃刊になるかもしれません。

じつは私は編集委員としての報酬は十分には頂いておりません。「それはあんたの勝手だろう」とお叱りを受けるかもしれませんが、でも少しだけその訳を聞いてください。私は、『季節』発行まで、取材、リライト、構成、編集、校正などの作業をこなしてますが、受け取るのは最低限の取材にかかる交通費のみで、ほかの報酬は辞退しております。時には本来の仕事を休んで取材に行くこともあります。もちろん鹿砦社・松岡氏、『季節』編集長小島氏は「報酬を受け取って」といいますが、私が得た報酬分がさらに赤字を増やすことになるから、それは私にはできません。私はなによりこの『季節』の発行を継続させたいのです。毎回『季節』を編集する際、「ああ。この本を一人でも多くの人に読んで欲しい。日本から原発を一刻も早くとめないと大変なことになる。だから、どんな活動でもいい、反(脱)原発の闘いに関わる人たちにとって、この『季節』をそのきっかけ、一助にして欲しい」とそう願って頑張っております。また、次の号の編集会議では、「今、何を人々に伝えていくべきか」と、編集委員で喧々諤々の討議を何度も重ねております。

どうぞ、一人でも多くの皆様にお伝えしたい。『季節』は次号より定価が880円となります。それでも発行は3ケ月に一度です。ひと月に換算したら、月300円です。どうぞ、月300円を『季節』購入費に充ててください。 赤字が解消されましたら、私はもちろん報酬を頂きます。そしてもっともっと多くの方々に読んでいただける紙面作りのために使っていきます。将来、日本の原発が全て止まる日が来た際には、「ああ、この日のために、『季節』にはずいぶん世話になったな」と思われたい。それが私の命を掛けた夢。 

この件について、松岡氏にはかなり前から進言させて頂いております。今回聞いたところ、これまでの献本していた方の何人かは献本を取りやめたとのこと。これまで献本が届いていたが止まってしまった方、どうぞこの投稿を読まれまして、新たに購入をお願いしたく存じます。

最後のお願いになります。どうぞ、みなさま、『季節』の定期購読にご協力を宜しくお願いいたします。

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

季節2026年夏号
『NO NUKES voice』改題 通巻46号
紙の爆弾2026年7月増刊

2026年6月11日発行
A5判 132ページ 定価770円(税込み)

《グラビア》原発事故〈収束〉と被災地〈復興〉という欺瞞(北村敏泰)

樋口英明(元福井地裁裁判長)
《報告》なぜか、裁判官が辞めていく 

小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
《インタビュー》柏崎刈羽原発再稼働の不安 老朽原発は事故を起こす

木村英昭(ジャーナリスト)
《報告》原発を巡る三年間の動向 ── 時系列が可視化する統治の変化

高橋博子(奈良大学教授)
《報告》日米両政府の核兵器観 放射性降下物・残留放射線・内部被ばく

後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
《報告》脱原発の思想 日本はなぜ脱原発に向かわないのか

山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
《報告》東京電力「原子力中核企業化」戦略の内実

菅野みずえ(「ALPS処理水を海に流すな」裁判原告)
《インタビュー》私の15年、3・11はまだ続く

北村敏泰(ジャーナリスト)
《報告》まやかしだらけの「復興」
 十六年目も終わりはない東北三県の被災地から

和田央子(イノベーション・コースト構想を監視する会)
《報告》高市軍拡政権と福島イノベーション・コースト構想

末田一秀(関電株主代表訴訟原告/はんげんぱつしんぶん編集長)
《報告》関電株主代表訴訟の闘い
 原発地元への不正な金の流れを断ち切るために

守田敏也(フリーライター)
《報告》浜岡原発基準地震動捏造問題が示すもの
 原発再稼働は六層の点で認められない

中道雅史(核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会事務局長)
《報告》《徹底解説》核と軍の拠点・青森県《後編》

森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
《報告》「『原発被害』って何だろう?」を共有する
 近畿三訴訟団「近畿訴訟団交流会」

木村三浩(一水会代表)×板坂 剛(作家/舞踊家)
《対談》民族派と左翼の融合は可能か《後編》

淀川乱歩(SF作家)
《奇想科学小説》マロ博士の島

平宮康広(元技術者)
《報告》石炭火力発電vs原発および再エネ発電〈1〉

再稼働阻止全国ネットワーク
司法は再稼働を推進するな! 市民運動と原発訴訟
《北海道》小野有五(北大名誉教授、行動する市民科学者の会・北海道)
泊原発の再稼働をめぐって
《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
特重施設の猶予延長を許すな
《柏崎刈羽》小木曽茂子(再稼働を考える県民ネットワーク事務局)
新潟はあきらめない!
《東海第二》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
原電は水戸地裁判決に従い、東海第二原発の再稼働を断念せよ
《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
静岡地裁は原告の不正主張を看過し、浜岡原発訴訟を強行に終結
《志賀原発》藤岡彰弘(廃原発watchers能登・富山)
矜持の見られない二つの判決、審理進行にめげない!
《関西電力》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
「嘘・騙し」「データねつ造」「トラブル隠ぺい」「約束反故」なしには動かせない原発と決別し、自然エネルギーのみで成り立つ社会を!
《島根》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
住民の安全を脅かす島根原発2号機の再稼働 安全神話を復活させる国と思考停止する司法を許さない!
《四国》小倉正(原発さよなら四国ネットワーク)
伊方原発をめぐる四県の仮処分/本訴の闘いと市民運動
《佐賀》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会代表)
裁判に至るまでの道のりは突然ではなかった
《鹿児島》向原祥隆(ストップ川内原発!3・11鹿児島実行委員会共同代表)
敷地内乾式貯蔵を阻止して停止に追い込む
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
空しい規制委への異議申立・長引いて良かったテント裁判
《本の発掘④》天野恵一(再稼働阻止全国ネットワーク)
『3・11と憲法』(森英樹・白藤博行・愛敬浩二編 日本評論社)

反原発川柳(乱鬼龍 選)

◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?group=new
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TITANS NEOS.38、新時代の主役はマルコと西田蓮人!

堀田春樹

王座戴冠後初戦のマルコはしぶといコリアンファイターに判定勝利。
NJKFの前田浩喜はローキックで圧倒のTKO勝利。タイトル挑戦をアピール。
西田蓮人はヒジ打ち躱してパンチで仕留める圧倒勝利。
後楽園ジャンブル出場権獲得は神谷晟丸。

◎TITANS NEOS.38 / 5月10日(日)後楽園ホール17:15~20:34
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会

戦績はプログラムと過去データを参照にこの日の結果を加えています。

◆第15試合 76.3kg契約3回戦

日本スーパーミドル級チャンピオン.マルコ(伊原/イタリア出身35歳/ 76.1kg)
16戦10勝(3KO)3敗3分
VS
KTKスーパーミドル級2位.ファン・デゴン(韓国出身28歳/75.75kg)17戦12勝(12KO)5敗
勝者:マルコ / 判定2-0
主審:ノッパデーソン・チューワタナ
副審:中山30-29. ランボー29-29. 宮沢30-29

アグレッシブなファンデゴンの蹴りからパンチ。マルコはファンデゴンを上回るローキックや右ストレートで対抗。初回の採点は互角だが、マルコのパワーと的確差が優った。

第2ラウンド、ファンデゴンの蹴りと右フックをガードの上からでも被せて来るしつこい攻め。マルコの首相撲からのヒザ蹴りは効果的ながら掴まえきれないが、パワーが優る蹴りで優勢維持。

マルコの左ミドルキックも強いがファン・デゴンのアグレッシブな攻めも目立った

ラストラウンド、ファンデゴンは攻める勢いが衰えない。マルコはやや疲れが見えるも、まともには貰わないディフェンスで凌ぐがロープに詰められるのはマイナスイメージ。蹴りで優るが、ファンデゴンの勢いを止めることは出来なかった。

勝利を引き寄せたのはマルコのヒザ蹴り

控室に戻ったファン・デゴンはマルコに「勉強になりました!」と感謝を述べ、マルコはファン・デゴンに「蹴りは強くて上手でした!」と褒めていた。

◆第14試合 フェザー級3回戦

前田浩喜(元・NJKFフェザー級Champ/CORE/東京都出身45歳/ 56.95kg)
55戦32勝(20KO)20敗3分
VS
森本直哉(無所属/34歳/ 57.0kg)36戦14勝(5KO)21敗1NC
勝者:前田浩喜 / TKO 1ラウンド 2分0秒
主審:椎名利一

前田浩喜が左ローキックで攻める。下に行くと見せて左ハイキック。更に左ミドルキック。森本直哉もローキックを返すが、前田の威力に敵わない。殆ど左の上下の蹴りで圧倒していく前田浩喜。ローキックで森本はかなり効いて、下がる一方となった。前田のローキックで脚を引き摺りだしたところでスタンディングダウンが取られた。続行するが、更に左ローキック受けた森本は完全に効いてノックダウンを喫するとノーカウントのレフェリーストップが掛かった。

前田浩喜のローキックからハイキックへ繋げて森本直哉を苦しめた
ノックアウトに繋げた前田浩喜の最後のローキック、為す術無かった森本は倒れ込んだ

◆第13試合 フライ級3回戦

西田蓮斗(伊原越谷/2009.12.6埼玉県出身/ 50.55kg)7戦7勝(3KO)   VS
トートー・キャットワナラム(タイ/18歳/ 50.65kg) 51戦45勝6敗(推定)
勝者:西田蓮斗 / TKO 1ラウンド 2分40秒
主審:スイット・サエリム・ランボー

この日最も見どころあるカード。ヒジ打ちのKO率が高いと言われるトートーに対し、西田蓮斗は左ローキックから左ハイキック。トートーも慌てることなくガードを固め蹴り返し。更にヒジを狙っている体勢に入ったか、トートーは距離を詰めてロープ際でヒジを振るう。更に距離を詰めようと出て来る。トートーは左ハイキックを何度か繰り出すがなかなか強い蹴り。詰めて来るトートーにストレートパンチで対抗。距離感が計れたか、パンチで追うとロープに詰め、連打で攻めたところでトートーが右ヒジ打ちを放ったが、これは危なかった。間一髪躱してパンチの距離で打ち込む西田。ヒジ打ち狙うトートーに左ストレートヒットさせた西田。トートーは崩れ落ち、仰向けに倒れ込むとレフェリーストップがカウント中にストップした。

西田蓮人が追い込んだ中でのトートーのヒジ打ち。危ないカウンターだった
距離感掴んだ西田蓮人が仕留めに掛かるジャブで牽制
最後は左ストレートヒットさせてトートーは倒れ込む

◆第12試合 58.5kg契約3回戦

東野巧(yz’d/大阪府出身29歳/ 58.15kg)11戦3勝6敗2分
        VS
谷岡雄生(GRABS/32歳/ 58.05kg)3戦3勝(2KO)
勝者:谷岡雄生 / TKO 3ラウンド 14秒
主審:中山宏美

両者ともパンチと蹴りの攻防は強いヒット無いが、徐々に谷岡雄生が前進、攻勢を維持していく。第2ラウンドには谷岡が左ストレートヒットで東野巧からノックダウンを奪い、再開後も谷岡がパンチ連打でノックダウンを奪って圧倒。第3ラストラウンド早々にも距離を計ってタイミングよく左ストレートヒットでノックダウンを奪うとダメージある東野はカウント中にレフェリーストップが掛かった。

◆第11試合 68.0kg契約2回戦

田中稜(トーエル/22歳/ 67.9kg)2戦2勝
        VS
李旻炯(イ・ミンヒョン/韓国出身21歳/ 66.7kg)1戦1敗
勝者:田中稜 / 判定3-0
主審:宮沢誠    
副審:椎名20-19. 中山20-18. ランボー20-18

李旻炯がローキック中心に攻めるが、田中稜が距離感掴んで上下の蹴りで優っていく流れ。李旻炯の動きを見極め、ヒザ蹴りもヒットさせていく。李旻炯は蹴られパンチを浴びても諦めない踏ん張りを見せたが、田中稜が大差の内容で判定勝利。

李旻炯は「私にとって夢だった後楽園ホールでの試合を現実にしてくださった新日本キックボクシング協会の方々には感謝しています。またどんな相手でも戦って骨が折れても構いませんので、熱い試合しますので、いつでも呼んでください。」という談話だった。

◆第10試合アマチュア ウェルター級2回戦

潤(伊原/32歳/ 66.25kg)vs本橋健人(拳粋会宮越道場/埼玉県出身33歳/ 66.0kg)
勝者:本橋健人 / 判定0-3 (18-20. 19-20. 18-20)

蹴りの攻防からパンチ中心に移って打ち合う展開は本橋健人が優勢に進め判定勝利。

◆第9試合 女子ミネルヴァ44.0kg契約3回戦(2分制)

ミネルヴァ・ピン級3位.町屋杏(AX/ 44.0kg)10戦4勝(2KO)5敗1分
        VS
ミネルヴァ・ペーパー級6位.港町なぎさ(ワイルドシーサー前橋元総社/ 43.4kg)
7戦3勝3敗1分
引分け 三者三様
主審:椎名利一
副審:中山29-30. ノッパデーソン29-29. 宮沢30-29

アグレッシブな展開も、ジャッジ三者が揃うラウンドは無い差が付き難い攻防で引分けとなった。

◆第8試合 女子ミネルヴァ・スーパーフライ級3回戦(2分制)

ミネルヴァ・スーパーフライ級5位.MIKU(K-CRONY/茨城県出身24歳/ 51.85kg)
10戦4勝5敗1分
VS
ミネルヴァ・スーパーフライ級6位. 紗耶香(格闘技スタジオBLOOM/ 51.75kg)
21戦9勝(1KO)11敗1分
勝者:紗耶香 / 判定0-3
主審:スイット・サエリム・ランボー
副審:椎名28-30. ノッパデーソン28-30. 宮沢27-30

初回はMIKUが蹴りでリズム掴みかけたが、紗耶香は蹴りから首相撲に持ち込む距離を保ってパンチも優った。離れても組み合っても攻勢を維持した紗耶香が内容的にも大差で判定勝利した。

◆第7試合 女子ミネルヴァ46.0kg契約3回戦(2分制)

鈴木萌(クロスポイント吉祥寺/東京都出身21歳/ 45.75kg)6戦3勝3分
        VS
田中真尋(クボ/香川県出身27歳/ 45.8kg)6戦2勝(1KO)2敗2分
引分け 三者三様
主審:中山宏美
副審:椎名28-30. ノッパデーソン29-29. ランボー29-28

パンチの攻防が多く互いに顔面ヒットするシーン多い展開も、各ラウンドも三者三様になりがちの見極め難しい引分けとなった。

◆第6試合 女子ミネルヴァ48.0kg契約3回戦(2分制)

KANA(Bombo Freely/茨城県出身43歳/ 47.2kg)6戦2勝4敗
VS
実穂(クロスポイント大泉/静岡県出身41歳/ 47.6kg)4戦3勝(1KO)1敗
勝者:実穂 / 判定0-3
主審:宮沢誠
副審:椎名27-30. 中山27-30. ランボー28-30

実穂がパンチと首相撲からのヒザ蹴りで攻勢を維持して判定勝利。

◆第5試合 KOURAKUEN JAMBULL出場者決定戦59.0kg契約2回戦

神谷晟丸(伊原/京都府出身16歳/ 58.85kg)2戦1勝1敗
        VS
金旻材(キム・ミンジェ/韓国出身17歳/ 58.05kg)1戦1敗
勝者:神谷晟丸 / 判定2-0
主審:ノッパデーソン・チューワタナ
副審:宮沢19-19. 中山20-19. ランボー20-19 

神谷晟丸がやや攻勢を維持した展開が続くも、金旻材は強い技は無いが諦めずに蹴って出る姿勢は神谷を下がらせるシーンもあった。飛びヒザ蹴りや蹴りのヒットは神谷が優ったが、ただひたすら蹴り返す頑張りは金旻材にあり。僅差で神谷が判定勝利。後楽園ジャンブルの出場権を獲得した。

金旻材は「初めてのプロ試合、初めての海外遠征で結果は敗れましたが、私の闘志はまだ消えず今もなお燃え続けています。今でもリングの上で相手と向かい合っているように胸が高鳴っています。もし再び新日本キックボクシング協会のリングで戦えるなら更に鋭く、相手に食らい付いて離さない、より粘り強い姿で戻って来ます。」という談話がありました。

後楽園ジャンブル出場権懸けた新人戦は神谷晟丸が掴んだ
後楽園ジャンブルプロデューサー小林米仁氏から出場権授与された神谷晟丸

◆第4試合プロ 50.5kg契約2回戦

ツカサ(伊原道場越谷/15歳/ 50.35kg)1戦1勝
        VS
RIKIYA T-KIX(T-KIX/静岡県出身28歳/ 50.35kg)4戦3敗1分
勝者:ツカサ / 判定3-0 (20-19. 20-19. 20-19)
主審:椎名利一

◆第3試合 アマチュア 女子45.0kg級エキシビジョンマッチ2回戦(2分制)

西田永愛(伊原越谷/15歳)EX西田結菜(伊原越谷/13歳)

西田姉妹の技披露。長男・蓮人に続く戦力発揮。

◆第2試合 アマチュア 女子52.0kg契約2回戦(2分制)

松井笑(高本道場/28歳/ 51.75kg)
VS
長崎花菜江(アンカレッジ博多カナエ/20歳/ 51.6kg)
勝者:松井笑 / 判定3-0 (20-18. 20-18. 20-19)

◆第1試合 アマチュア女子49.0kg契約2回戦(2分制)

三橋暖愛(士道館ひばりヶ丘道場/13歳/ 48.5kg)
        VS
MOKA・SHOBUKAI(尚武会/13歳/ 48.1kg)
勝者:MOKA / 判定1-2 (18-20. 18-20. 20-19)

《取材戦記》

今興行のサブタイトル“聖地にこだまする新時代の足音” に相応しい注目株、西田蓮人は勝利後のマイクアピールで、「まだまだ終わらないので、7月もまた頑張るので応援をお願いします。今年中にチャンピオンになりますので応援お願いします!」と宣言。チャンピオンとはこの協会の日本王座となるだろうが、これはほぼ順当に奪取へ向かうだろう。現在もタイ南部の王座、三冠と言われるスタジアム等の王座を持っているが、更にバンコクの複数あるスタジアムやメインの二大殿堂のランキング入りへ挑戦し続ける模様。現在はイベントが沢山存在し、今後の話題も尽きない存在である。

伊原越谷ジム西田義和会長は今日の試合について、「トートーのヒジ打ちは警戒していましたが、やっぱり思いっ切り振って来たタイミングが紙一重で危なかったですけど、“カーフと三日月蹴れ”と言ったら蹴ってその後パンチも当たったので、練習通りには出来たかなと思います。トートーは思った以上に蹴りが伸びて、ヒジと蹴りは相当強いですね。蓮人はもうちょっと前蹴り出してとか、蹴って落ち着いてくれれば良かったんですけど、まだまだ練習ですね。」と語られました。

まだまだ終わらない、今後の抱負を語った西田蓮人。どの道進むにしても注目株である

NJKFからやって来た前田浩喜も試合後のマイクアピールで、「新日本キックをずっと見て来たので、ここのベルトも狙えるなら狙いたいです!」と語ったが、新時代に向けて、他団体交流戦も重要な戦力の新日本キックボクシング協会にとっては、過去の例から見てもチャンスを与えることは可能でしょう。

(株)東京ドームが主催する9月27日(日)後楽園ホールでの「後楽園ジャンブル」の新人戦60㎏級出場権を懸けた試合は4月19日のDUEL.38に続いて、5月3日(日)にはスックワンキントーン興行にて、神谷斗夢(SUNRISE)が光流(teamS.R.K)に判定3-0勝利し出場権獲得しています。

この日の新日本キックボクシング協会では3カード目となり、神谷晟丸が僅差判定で金旻材に勝利し、イベントプロデューサーの小林米仁氏から出場権が渡されました。

新日本キックボクシング協会の次回興行は7月19日(日)に後楽園ホールに於いてMAGNUM.68が開催予定です。西田蓮人が言うとおりの連続出場の予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」