◆人口比で東京に先行する広島

アメリカ軍海兵隊岩国基地に隣接した広島県では1月8日にご報告したとおり、オミクロン株主体の新型コロナ感染爆発が続いています。1月8日に新規感染者が100を超えると8日からは5日連続で500を超えるありさまです。9日からは広島都市圏中心にまん延等防止措置が発令されました。さらにここへきて、広島市など都市部だけでなく、安芸高田市など県北部山岳地帯でも感染が広がっています。広島県の人口は東京の約5分の1です。人口比で東京に先行する状況が続いています。

ときおり雪も降る厳寒の中、感染爆発続く広島市内の様子(1月12日筆者撮影)

まずは、広島県内(県内)、岩国市内(岩国)、米軍岩国基地(基地)の感染者数を振り返ってみましょう。

     県内-岩国-基地
12/01~20 00-00-00
12/21   00ー00-01
12/22   02-00-01
12/23   03-01-00
12/24   01-00-00
12/25   05-01-00
12/26   01-01-00
12/27   01-01-08
12/28   01-01-05
12/29   03-07-80
12/30   06-07-27
12/31   23-08-23
01/01   21-14-00
01/02   57-13-00
01/03   40-44-50(岩国基地は3日分をまとめて発表)
01/04   109-62-47
01/05   138-70-182
01/06   273-81-115
01/07   429-61-91
01/08   547-77-71
01/09   619-80-05
01/10   672-45-12
01/11   588-71-71
01/12   652-79-34

岩国基地では依然として、高い水準の感染状況です。アメリカの本土が毎日120万人感染、人口10万あたり1週間ですと2500人強。しかし、岩国基地はなんと4000人近く。岩国市が350人強、広島県は130人強という水準です。

◆広島市民のくらしにも激震

こうした中、激震が広島市民の生活にも走っています。まずは、冬の広島といえばひろしま男子駅伝。昨年2021年に続いて中止となりました。箱根駅伝は、沿道の応援は自粛を前提に開催されましたが、ひろしま駅伝は残念ながら中止です。

さらに原爆資料館は13日から、臨時休館となりました。

そして、まん延等防止措置により、飲食店での酒類の提供の中止が要請されています。多くの飲食店がこれにより、休業となっています。

広島市内の70代の男性飲食店主はカラオケ喫茶を経営。新年は5日から営業でしたが、その矢先の休業です。そのお店は昼間でも営業はしています。しかし、「酒類を提供できないとうちの店は利幅が確保できない。店を開いていても体力を消耗するばかりなので、休業することにした。」と話します。

別の喫茶店の女性店主は「うちは営業を続けるが、がくんとお年寄りの客足が落ちていて儲けにはならない。」とおっしゃいます。

酒屋の60代男性店主は、まん延防止措置について「仕方がない」と気を落とされています。そのかわり、以前は閉じていた日曜日にも開店して個人の宅飲み客にもアクセスしようとされていました。それぞれに、必死に「最適解」を必死で探っておられます。

◆面会は続くもレクレーション中止でお年寄りの衰えも心配

介護福祉士である筆者は、広島市内と安芸郡の介護施設で仕事をしています。広島市内の施設では、2020年の第1波、2021年の第4、第5波で出された緊急事態宣言の際には面会中止が行われました。今回、感染者数は緊急事態宣言の際よりも多いのですが、面会は中止となっていません。いっぽうで、多くのお年寄りが楽しみにしているレクレーションは中止となったのは残念です。

以前と比べれば、お年寄りも、ご家族もワクチンの接種は進んでいます。そのことを勘案すれば、気をつけつつ面会は継続というのはよいと思います。

筆者は、この2年間で、とくに元気だったお年寄りが異常なおとろえかたをするのを拝見して、心を痛めてきました。中には、信じられない衰えかたで亡くなられた方もおられます。やはり、面会中止、そしてレクレーション中止のダブルパンチは大きいのです。人間は刺激がないと衰える。これをまざまざと感じました。

レクレーションについていえば、もうひとつの筆者が勤務する施設では、継続しています。そもそも、こちらの施設では、いまでもお年寄りがホールに出てきてみんなでトランプを楽しむなどしておられます。これはよいことです。

感染対策に留意しつつも、刺激を維持する。そのために、ケースバイケースで知恵を絞る。このことの大切さは強調したいのです。

◆広島県は厳しめの対策

ちなみに、広島県は東京や大阪、あるいは沖縄県などと比べても厳しめの対策はとっているように見受けられます。認証店もふくめて、酒類提供中止というのは、沖縄と比べても厳しいものはあります。

「まん延防止等重点措置」指定に伴う沖縄県対処方針について(沖縄県)

新型コロナウイルス感染症に関する情報(広島県)

検査も手軽に広島駅北口(デッキの上)などで受けられます。

知事の湯崎英彦さんは、前知事同様に、新自由主義を進めて来られた方です。ただ、西日本大水害2018,そして今回のコロナ災害では従来からの路線からは、強いられたものとはいえ、軌道修正している面も見受けられます。この点は引き続き見守っていきますが、言うべきことについては、県民としてガツンと申し上げていきたいものです。緊急時だからこそ、萎縮せずに、きちんと声をあげていくことが大事と考えます。

◆アメリカ軍基地内は依然として、酒類提供

しかし、今回の感染爆発の「震源地」である米軍岩国基地内が問題です。一応、10日から関係者の外出は制限されます。しかし、どこまで守られるかが問題です。過去の不祥事への対応も実効性がなかったことを考えると不安があります。実際に、岩国基地内の飲食店では酒類が提供され、基地外ではされているような感染対策はされていない、という報道がされています。しかし、日米地位協定により、日本の保健所が立ち入り検査して事実を確かめることもできない状況です。これは米軍が悪いというより、そういう地位協定をこれまでだまって維持してきた日本政府の責任は重いということではないでしょうか?

日本政府はきちんと日本の全住民に大水害、大震災などとおなじような支援を行うべきです。それとともに、日米地位協定を破棄するくらいの気迫で、緊急にアメリカ軍に対して日本人並に対策に協力するよう迫るべきではないでしょうか?

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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新年1月7日発売! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年2月号!

広島県内でも役所や企業が仕事始めだった2022年1月4日、広島県内の新型コロナウイルスの新規感染者数が109人と聞いて、筆者は腰を抜かしました。たった1週間前の2021年12月28日、すなわち役所の仕事納めだった日に1人だった感染者数が、指数関数的に爆発しています。こうした中、1月10日の成人式を広島市や大竹市は延期するなどの対応に追われています。広島県は宿泊療養施設の受け入れを開始しました。

今回の感染爆発の主役はオミクロン株とみられます。南アフリカなどでは死亡率や重症化率は従来型より低いというデータもありますが、反面で感染力が強いために、患者が桁違いに増えて、重症や死亡の「絶対数」は多くなる危険もあります。

◆隣接する岩国市との関連が多い広島県内感染例

そして、広島県の分析では、西隣で、広島市から直線距離でわずか30kmあまりの山口県岩国市との往来が関係する感染例が多いとのことです。

岩国市は広島県に隣接します。広島カープの2軍の本拠地も岩国市の由宇というところにあります。岩国からわたしの事務所がある広島市の安佐南区に通勤してこられる方も多くおられます。大昔、わたしが、岩国の酒場で県外だからと油断して大酒をのんで遊んでいたら、突然、となりの席の方に声をかけられ、「古市橋駅前でよく演説している人でしょう」と声をかけられ、驚愕して酔いが覚める、という不覚を取ったことがあります。また、それなりの有名な雑誌などでも「広島県岩国市」と誤記していたりすることがみられました。

◆拡張強化された岩国基地で先行して感染爆発

そして、その岩国市では一般市民に先行して、米軍岩国基地で感染爆発が起きています。米軍岩国基地は、現在は、軍人、軍属、家族をあわせて10000人以上の方がおられます。昔は、3000人規模だったのが、2013年度ころに空中給油機、さらには2014年度ころに厚木基地の艦載機が移駐して10000人にふくれあがりました。その岩国基地では2022年1月5日にはなんと182人もの新規感染者が出ています。

広島県内(県内)、岩国市内(岩国)、米軍岩国基地(基地)の新規感染者数は以下のように推移しています。

     県内-岩国-基地
12/01~20 0-0-0
12/21   0ー0-1
12/22   2-0-1
12/23   3-1-0
12/24   1-0-0
12/25   5-1-0
12/26   1-1-0
12/27   1-1-8
12/28   1-1-5
12/29   3-7-80
12/30   6-7-27
12/31   23-8-23
01/01   21-14-0
01/02   57-13-0
01/03   40-44-50(岩国基地は3日分をまとめて発表)
01/04   109-62-47
01/05   138-70-182

広島県の人口は280万弱(2021年に280万を割り込んだ)、岩国市が14万人弱、米軍岩国基地が上述のとおり1万人強です。

12月27日に岩国基地で8人の感染を確認すると、2日後には、80人に急増。岩国の一般市民でも1→7人に増えます。31日には、広島県内でも23人感染となりますが、これは県東部の尾道市でのクラスターによるものです。岩国とは関係がない可能性が高いでしょう。しかし、2022年元日。広島県で21人を記録。そして、わずか3日後の4日に109人、5日には138人を記録します。

◆人口あたり感染数、今の岩国基地は2週間後の広島か?

5日時点では、1週間の人口10万人あたりの新規感染者は岩国基地が3000人くらい、岩国市が150人くらい、広島県が14人くらいです。12月30日では、岩国基地が1200人くらい、岩国市が13人くらい、広島県内が6~7人くらい。12月28日では、岩国基地が150人くらい、岩国市が4人くらい。広島県内でも5人くらい。

岩国基地についていえば、毎日100万人が感染しているアメリカ本土と同等であるのはうなずけます。米軍兵士らは、パスポートもなしに、自由に日米を往来できるのです。

その岩国基地に遅れること8日で岩国市が基地と同程度の人口あたり感染数になる。さらにおくれること6日くらいで広島県内が岩国市と同程度になる。こういう関係が読み取れます。いまの岩国基地は2週間後の広島県という予測はできます。

◆変えるなら憲法よりも日米地位協定を変えるべき

広島県知事はすでに、岩国基地に対して、対策の強化を求めています。米軍基地を震源とする感染爆発はすでに沖縄県で起きています。沖縄県知事も米軍に対して激怒し、政府にはまんえん防止措置を求めていますが当然です。

コロナ対策に関連して、自民党など右派勢力からは、緊急事態条項創設を求める声が強まっています。しかし、まずは、米軍基地をなんとかするのが先ではないでしょうか?

米軍兵士らは、パスポートもなしに自由に日米を往復できています。これまでと桁違いの感染状況にある岩国基地からも事実上、自由に出入りできてしまいます。日本人は困窮者急増にみられるように、生活を犠牲にしてまで協力をしている。しかし、米軍にぶっ壊されてはたまったものではありません。

2008年岩国市長選挙の様子。この時、井原勝介前市長が打倒されたことが、14年後にコロナ災害の拡大につながろうとはおもいもよらなかった

日本政府は、コロナを災害指定し、全住民に、大水害や大震災の被災者と同様の生活再建支援をすればいいのです。緊急事態条項などいりません。日本全国を激甚災害に指定すれば、自治体が仕事をしやすいように、国が思い切った補助ができます。

それとともに、日米地位協定を変えるべきです。日本の国内にいる以上、米軍兵士の皆様にも、日本人同様にご協力をいただかなければなりません。今後も、コロナに限らず感染症が世界的な流行をみることは十分に想定できます。

岩国基地の地元の岩国市民は、2006年、いったんは艦載機の移駐を拒否する住民投票結果を出しました。しかし、自民党政府が財政面での執拗な締め上げを行ったのです。それに市議会多数派が屈して、当時の井原勝介市長の市政運営の脚をひっぱりました。

2008年の出直し市長選挙で議会多数派は、自民党代議士だった福田現市長をかついで井原市長を打倒。福田現市長が、交付金と引き換えに米軍基地強化を受け入れた経緯があります。基地の規模は人員ベースで3倍以上になりました。

それ以降、筆者が住む広島市内でも米軍機が我が物顔で飛ぶようになり、爆音が増えるなど被害が増えていました。その矢先の米軍によるコロナ災害拡大です。岩国市民も広島県民もこれ以上、米軍になめられてはいけん。日米地位協定改定を今回のことも教訓に強く求めていきましょう。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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東京オリンピックが招致された数年前から、反対運動は活発だった。本通信も開催反対の論陣を張ってきたが、オリンピックにかかる利権の深さを知るにつれて、何があっても開催が強行されることを確かめないわけにはいかなかった。

やむなく開催時には思いきって開き直り、酷暑のなか現地報告をしたものだ。

そこでは、あまり報じられなかった自衛隊の警備出動が、かなり過剰なものだったと判明した。追いかけ記事で、自衛隊の警備出動を報道したのは、「紙の爆弾」と「週刊金曜日」だけではなかったか。それはともかく、暑かった夏のメモリーを再読していただければと思う。

[関連記事]
《現地報告》猛暑の中で始まった呪われた東京オリンピック・パラリンピック[前編]スポーツを賛美しつつ、戒厳令的交通規制を見学してきた 2021年7月26日

《現地報告》猛暑の中で始まった呪われた東京オリンピック・パラリンピック[後編]警備費用こそが大会開催費の大部分ではないか 2021年7月27日
 
大きな成果もあった。ぼったくり男爵こと、バッハIOC会長のえげつない態度が、今回のオリンピックを通じて全世界に伝えられたことだ。これはオリンピックの将来に向けて、ひとつの指標になったのではないか。「平和の祭典」は利権と政商のスポーツショーである、と。


◎[参考動画]IOCバッハ会長「ガンバリマショウ」 五輪組織委を表敬訪問(2021年7月13日)


◎[参考動画]バッハ会長歓迎会に波紋 与党幹部「世論がおかしい」(2021年7月19日)

来年の北京オリンピックにむけて、ふたたびバッハ会長の振る舞いが問題視されている。何があっても、オリンピック開催という利権は失いたくない。もはや政商そのものというべきであろう。

すなわち、中国の女子テニスのトッププレーヤー・彭帥(ポン・シュアイ)選手の告白とされる文章がネット上に公開され、そのニュースが連日高い関心を集めている一件だ。

その内容は、「中国の前副首相から性的関係を強要された」というもので、選手の安否や北京オリンピック開催の是非、外交ボイコットをめぐる問題にも発展している。中国共産党の権力闘争と考えられる面もあるが、女性の「MeToo」であることに変わりはない。

激しい批判を前に、バッハ会長が中国当局を擁護するパフォーマンス(彭帥選手とのPC会談)を行なって、批判をかわそうとしたのである。

WTA(女子テニス協会)のスティーブ・サイモンCEOは、適切な調査が行われなければ、中国での大会の開催などを見送ることも辞さないという考えを示し、躊躇わずにそれを断行した。

もともとWTAは、大会賞金の男女格差是正を契機に立ち上げられた団体であり、女子選手の立場を護るのに積極的である。北京大会への影響(女子テニスが行なわれない)が注目されるところだ。

もしもこのまま紛糾して、女子テニスが大会からはずれるようなことがあれば、バッハはとんだピエロということになる。

さて、オリンピックが利権であり批判に値するとはいえ、スポーツそのものを否定するような批判の論調は少々危うい。身体を動かすことが健康を保つのは、狩猟・採取時代から濃厚時代に至っても、それが人類の本源的な行為であるからだ。

自動車が戦車や戦闘機の代替え行為である、という大戦後の消費スタイルとともに、スポーツも戦闘行為の代償として存在してきた。読売球団が「巨人軍」などという戦闘集団の名称を頂くのも、スポーツを戦闘と見做しているからにほかならないのだ。


◎[参考動画]「彭帥さん本人」IOCバッハ会長 別人の可能性否定(2021年12月10日)


◎[参考動画]CNN speaks to WTA chief on decision to pull tournaments from China(CNN 2021年12月2日)

◆国家的育成スポーツが、国民を疎外する

そこで、スポーツの祭典を否定するのではなく、将来の在り方を検討していかなければならない。そこで考えられるのは、近代オリンピックが、そもそも個人およびチーム単位での参加から始まった事実なのである。なるほど国家単位でしか資金は得られなかったし、国別対抗競技であるからこそ、オリンピックは戦争に代わる「戦闘行為」たりえている。

そして、国の代表になるためにはある意味で特別な資格、すなわち強化選手になる必要があるのだ。その強化選手になってこそ、育成が遅れていた日本でも味の素オリンピック強化センターなどの施設に入れるし、スポーツに専念できる育成費も支給される。海外派遣費も支給されるので、自前で海外に行く必要がなくなる。

問題なのは、このスポーツのエリート化である。かつて、ソ連および東欧諸国で行なわれていた、サイボーグ的な国家レベルでの強化策ばかりになってしまうと、国民はスポーツを観る人たち、選手は国家的プロジェクトで育成されたエリートということになる。エリートがいてはダメだ、と言うのではない。観る者と演じる者の断絶、スポーツの底辺が形成されない、国民のスポーツからの乖離がそこに発生するのである。


◎[参考動画]Tokyo 2020’ye hazır(Al Jazeera Turk 2016年8月22日)

[関連記事]
床屋政談的オリンピック改革論 ── 国単位ではなく、チーム・個人参加がよいのではないか? 2021年8月10日

それにしても振り返ってみれば、おびただしいオリンピック利権の数々である。利権に付きものの犠牲者(自殺者)も出ている。政商竹中平蔵、スポーツ界に君臨してきたドン・森喜朗、そして国民をコロナ禍に危機にさらした菅義偉。
オリンピックへの幻想が明白となった、2021年であった。

[関連記事]
嘉納治五郎財団の闇 犠牲者があばく収賄劇 ── 追い詰められた菅義偉の東京オリンピック 2021年6月15日 
東京五輪強行開催で引き起こされる事態 ── 国民の生命危機への責任が菅政権を襲う 2021年7月14日 
やはり竹中平蔵は『政商』である──東京五輪に寄生するパソナのトンデモ中抜き 2021年6月5日 
森喜朗=東京オリ・パラ大会組織委員会会長の辞任劇 何が問われていたのか 2021年2月13日 


◎[参考動画]滝川クリステルさんのプレゼンテーション IOC総会(ANNnewsCH 2013年9月8日)

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年1月号!

〈原発なき社会〉を求めて『NO NUKES voice』vol.30(紙の爆弾 2022年1月号増刊)

パンデミックが始まっていらい、彼女の刻苦奮闘は国民の中にある種の感動を呼んでいた。毎日欠かさず、新たなキャッチ(標語)を考案しつつ、ていねいに都民へのお願いをする。

暗い表情の宰相がつっけんどんに、いかにも素っ気ない「安全、安心」をくり返すのとは好対照であった。

だがそのいっぽうでは、その政治的な野心が、やや強権的な処断によって警戒され、批判も浴びてきた。


◎[参考動画]東京 過去最多5773人感染発表、小池知事「私たちの意思で・・・」(TBS 2021年8月13日放送)

◆都の女帝が仕掛けたこと

思い起こしてみれば、彼女が都知事に転じようとしたとき、自民党のボスたちはまことに古い手法でそれを妨害したのだった。そのいかにも陰険な方法(応援した者を処分する)が、思想信条をこえて女性政治家の健気さにシンパシーを集めた。2016年の小池百合子都知事誕生とは、まさに政治が劇場と化すのをまざまざと見せつけたのである。


◎[参考動画]小池百合子氏が当選 初の女性都知事に」(ANN 2016年7月31日放送)

2017年の「希望の党」の頓挫もまた、劇場的な転落として印象に深い。彼女自身の「排除の論理」で、政権交代の千載一遇の機会は失われたのだった。浮動票のいかに敏感なことか。同情すべき女から、イッキに嫌な女に転落したのだ。彼女に同伴した「民進党のプリンス」は、いまや自民党の同伴者となり果てた。

だがしかし、2020年の都知事選挙に、史上2番目の得票数となる366万1371票で再選。希望の党の崩壊にもかかわらず、自身は国政政権と対等な政治的ポジションを維持したのだった。


◎[参考動画]東京都知事選 小池百合子氏再選 投票率は前回下回る(FNN 2020年7月6日)

はたして、第3の劇場が幕をあけるとは、誰も予想しえなかっただろう。わずかに、都議会選挙直前の「入院」がどう作用するのか。おそらく選挙の帰趨は、その一点だった。くり返すが、どのメディアも都民ファーストの大敗を予想していた。

※[関連記事]「小池都知事「入院」の真相と7月4日都議会選挙・混沌の行方」(2021年6月28日) 

◆悲運のヒロインにはならなかった

しかし、結果は戦前の予想をくつがえす、都民ファーストの善戦だった。自民党は2016年の大敗を回復できずに、小池都政は安泰となったのである。それもほんの「一日」のことだった。彼女は最後の一日に出てきたのだ。病院から――。

わずか一日、10カ所あまりの選挙現場を支援しただけで、大敗をまぬがれたばかりか、神がかり的な選挙での強さを再現してみせたのだ。おそるべし、小池百合子、である。

おそらく彼女の「健在」を確かめたのは、12カ所の応援で数百人にも満たなかったであろう。しかしメディアでそれを知ったのは、数百万におよぶであろう。メディア選挙を十分に意識した「入院」→「退院」「選挙応援」→「浮動票の獲得」だったのだ。

2017年の快挙いらい、あまりにも良すぎる政治的なタイミングの見計らい。自民党およびメディアは驚嘆した。都民と国民は、留飲を下げたのではないか。


◎[参考動画]東京都議選 僅差で自民党が第1党に(ANN 2021年7月5日放送)

※[関連記事]「《速報》2021年都議会選挙 都民ファーストの善戦、自民党の復活は不十分に」(2021年7月5日)

※[関連記事]「この秋、政権交代は起きるのか? ── 『紙の爆弾』最新号を参考に、都議選後の政局を俯瞰する」(2021年7月8日) 

かくして、菅政権は風前のともし火となった。

コロナ禍のもとのオリンピック開催という、およそ常軌を逸した既定方針の踏襲。ただひとつオリンピックだけが、他のイベントに優先されるという政治的な決断は、国民に「オリンピック不信」を植え付けた。

IOC会長トーマス・バッハ(Baron Von Ripper-off=ぼったくり男爵)への嫌悪感とともに、国民は菅政権への忌避を隠さなかった。そこで浮上してきたのが、福田康夫政権時いらいの、ひそかな「大連立構想」だった。政権を失いたくない自民党にとって、それは緊急避難にちかい選択肢であっただろう。

※[関連記事]「五輪強行開催後に始まる「ポスト菅」政局 ── 二階俊博が仕掛ける大連立政権」(2021年7月21日) 

さらに菅義偉の自身の地元である、横浜での市長選挙の敗北。これで命脈は尽きていた。もうボロボロである。二階が仕掛けようとした保守大連立は、小池の国政復帰を見越してのことだった。

※[関連記事]「【速報】横浜市長選挙 野党候補が勝つ! 菅総理の命脈が尽きた日」(2021年8月23日)

※[関連記事]「岸田内閣の二階派排除と衆院選の波乱 小池新党は第三極になれるか」(2021年10月6日)

だが政局がいったん無風となった夏季に、小池百合子および都民ファーストは何も準備できなかった。地域政党「都民ファーストの会」の荒木千陽代表が10月3日に都内で会見し、国政新党「ファーストの会」を設立すると発表したものの、ついに彼女らの出馬はなかった。

◆とん挫した政治構想

総選挙後のこと、「やっぱり、我々も候補者を立てていれば……」都民ファーストの会の関係者は悔しげな表情でそう漏らしたという。いうまでもなく、衆院選で日本維新の会が議席を4倍近くに増やした勢いを、肌で感じたからにほかならない。それどころか、都民ファーストは身動きをとれないほどの問題を抱え込んでいた。木下富美子都議(当時)の問題である。

木下元都議は7月の都議選中に無免許運転で当て逃げ事故を起こし、書類送検されていた。2度にわたる都議会の辞職勧告からも、逃げ続けるという醜態を晒している。9日に都議会に現れ説明を求められたが、事実上のゼロ回答だった。この問題児の「生みの親」こそ、ほかならぬ小池知事だったのだ。

「小池さんの環境相時代、木下さんは広告代理店社員として小池さん肝いりの『クールビズ』のキャンペーンを手掛けました。いらい関係性を深め、2017年の都議選で都ファ候補に抜擢。小池知事の『お気に入り』だからこそ都議になれたのです」(広告業界関係者)。
好事魔多しという言葉を、これほど体現する政治家も少ないであろう。政治的な絶頂期に、わずかな言葉づかいで党は失墜し、身内の不祥事で政治構想がとん挫したのである。(つづく)

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

12月11日発売開始!『NO NUKES voice』vol.30(紙の爆弾 2022年1月号増刊)

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年1月号!

2021年の年初は、1日あたり数千人の新型コロナ感染者を出した。後手に回った政府の緊急事態宣言をうながすために、小池東京都知事の動きから始まったのは記憶に新しい。そして感染症下の政治は、従来からの政治のあり方を変えた。

すなわち、生活の外にあると思われていた政治が直接、国民諸個人に向かい合うことになったのである。それはコロナ禍を媒介に、「生政治(せいせいじ Bio-politics)=M・フーコー」として立ち顕われてきたのだといえよう。

政治が国民の生命を左右し、それゆえにかぎりなく身近なものになったのである。


◎[参考動画]小池知事 政府に“緊急事態宣言”要請へ(日テレNEWS 2021年1月2日)

◆自公時代の終わりを思わせた上半期の政治情勢

その結果、上半期の菅自民党政権にたいする批判は厳しいものになった。

北九州市議選挙、山形県知事選挙、千葉県知事選挙で自民党が敗北し、4月25日に行なわれた衆議院北海道第2区、参議院長野県選挙区、同広島県選挙区(広島は再選挙)は、いずれも野党共闘の勝利に終わった。

そして都議選挙はおおかたの予測をくつがえし、都民ファーストの善戦、自民党の復活ならずという結果に終わった。

その流れはオリンピック後の8月に行なわれた横浜市長選挙(立民の推薦候補が圧勝)までつづき、菅義偉総理の「選挙の顔」としてのショボさが、決定的に数字で顕われたのだった。


◎[参考動画]自民党「菅首相では戦えない」 横浜市長選 惨敗で(FNN 2021年8月23日)

※[関連記事]「選挙0勝4敗の菅自民党 政権交代の危機に、菅おろしが始まるぞ」(2021年4月26日)
※[関連記事]「先走って頓死か、引き延ばしてジリ貧解散か? 解散に踏み切れない自民党」(2021年4月5日) 

思い起こしてみれば、日本学術会議の任用問題で、政治と学問の独自性を理解できず、世論の猛批判をあびた菅政権は、その出発点から菅義偉個人の政治家としての資質に疑いが生じるものだった。

菅政権の成果といえるものがあるとすれば、携帯電話の料金低減ぐらいではないか。デジタル化も国民マイナンバーも、いまだ掛け声にすぎない。いやむしろ、日本がアナログ的な非効率で健全な社会であることを立証している。

無理撃ちで、内容がよくわからない「安全・安心なオリンピック」強行も、国民の分断を顕わにするものだった。

さて、人間は歳を重ねるごとに、自分の振る舞いばかりか顔にも責任を持たなければならないという。古い言葉では「男子たるもの、30になったら顔に責任を持て」などという。

けっして、生まれついての容貌を言っているのではない。いやしくも政治家たるもの、一国を導くにふさわしいパフォーマンスが必要なのだ。そこであえて、ルッキズムに踏み込まざるをえなかったものだ。


◎[参考動画]菅首相「安全安心な大会」呼びかけ 五輪開幕まであと3日(TBS 2021年7月20日)

◆政治家の風貌ではなかった菅義偉

背が低い、髪が薄い、印象が地味。などというネガティブな要素も、たとえば麻生太郎はそれを感じさせない堂々たるふてぶてしさを持っているではないか。安倍晋三は植毛とヘアマニュキアで、豊かな黒髪を見せつけているではないか。

少なくとも、菅義偉のあの死んだような目、見る人を暗くするような表情のなさ、そして自信のない者にかぎってする、内容のない激昂。たんなる美醜ではない、いずれも一国の宰相にふさわしいものではなかった。政治家らしいパフォーマンスがないのである。

それもあってか、強権的なふるまいが目立った。自分の力量に自信のない者、その責任ある立場に慣れていない者にありがちな、無法と強権である。

※[関連記事]「無法と強権の末期政権 ── 菅義偉という政治家は、もはや憐れむべき惨状なのではないか」(2021年7月16日)

このあまりにもトホホな総理の存在ゆえに、春の段階では、もはや政権交代の可能性が云々されるまでになっていた。

小沢一郎と山本太郎の動きに、その現実性が高まっていた。その意味では、安倍が菅に政権を譲った(総裁選はあったが、派閥論理で終始した)段階で、自民党も政権を奪われる可能性を感じていたにちがいない。

もはや、コロナ禍にあえて宰相となった立場に、同情すら感じられたものだ。政権批判者に「憐憫」を語らせるほど、菅政権は地に堕ちていたといえよう。

※[関連記事]「三度目の政権交代はあるのか? 小沢一郎と山本太郎の動向にみる菅政権の危機」(2021年3月9日)

わが『紙の爆弾』も政権交代の可能性を展望していた。しかるに、メディア露出戦略で、いわば政策と国民向け発信の主導権をにぎっていた小池百合子都知事への、雪崩をうった批判が生じてきた。

小池百合子を批判したのが悪いのではない。並みいる評者たちが批判の矛先を誤るほど、選挙情勢と政局は混とんとしていたのである。

※[関連記事]「《書評》『紙の爆弾』4月号 政権交代へ 山は動くのか?」(2021年3月14日)

そして政治が筋書きの見えない劇場であることを国民が知るのは、都議会選挙を待たなければならなかった。けっして筋書きがないのではない。見えないだけなのである。(つづく)

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

7日発売! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年1月号!

《12月のことば》縁 出会いは人生を豊かにする 別れは人生を深くする (鹿砦社カレンダー2021より/龍一郎・揮毫)

2021年のカレンダーも最後の1枚になりました。

本当に1年経つのは速いものですね。

今年は当社もコロナの影響をもろに受けました。

顕在化しなかっただけで、危機は昨年から水面下で進行していたようです。そりゃそうでしょう、コロナが何波も襲来し、そのたびに書店さんがクローズを余儀なくされ売上ゼロになった月もあったりで、のちのち出版社に逆流することは判り切ったことです。

出版は取次会社の精算が遅いので、気づくのも遅れてしまいました。

昨年はまだなんとか売上微減でしたが、今年は急激に落ち込み青息吐息です。

しかし、私たちはこれまで何度も危機を乗り越えてきましたので、ここはなんとしても乗り越える決意です。

◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

11月29日に『抵抗と絶望の狭間 一九七一年から連合赤軍へ』を発行いたしました。

1971年は、私がちょうど19歳から20歳になる頃で、一所懸命に闘った年でした。50年前の出来事、そうして、なにがしかの〈縁〉があって出会った人たち、別れた人たち……出会いと別れを繰り返しつつ齢を重ねてきました。走馬灯のように過ぎります。

この本には、そうした思い入れもあって目の疾患で難儀しつつも(ゲラを拡大コピーしたり、さらにルーペを使ったりして)多くの方々の寄稿と協力を得て心血を注ぎました。

ちょっとスケジュールをゆったりめに取って編集に当たりました。特に詳細に記された年表には苦労しましたが、こういう仕事も残しておくこともけっして無意味ではないでしょう。

1971年は地味な年で、あまり論じられることもありませんが、政治、文化、多くの面で転換期にありました。

政治的には、「返還」前の沖縄問題、開港前の三里塚問題を中心に、今とは比較にならないほど、まだ抵抗運動は続いていました。しかし、それも翌年早々起きた連合赤軍事件が私たちを絶望のどん底に落としました。

文化面では、そのインパクトでこの通信でも悪評でしたが、映画が、カラーテレビの登場等で斜陽を迎えます。

これを東映、日活はポルノ路線で乗り切りました。これには驚きましたが、経営陣の、この判断は、多くの批判が浴びせられながらも、生き延びるために賢明だったと思います。一方、ポルノ路線に乗らなかった大映は倒産してしまいました。

この問題を板坂剛さんと高部務さんが採り上げました。

板坂さんは日大全共闘(芸闘委)、高部さんも一時赤軍派で活動されていて、けっして軟派な方ではなく、むしろ硬派な方です。

詰まるところ、エロも革命も〈等価〉で、同じ位相で見ないといけないということでしょう。

◎「鹿砦社カレンダー2022」が完成いたしました! 12月7日発売の『紙の爆弾』1月号、同11日発売の『NO NUKES voice』30号の定期購読の方々に雑誌と一緒に発送いたします。好評で毎年不足しますので、今年は1700部(昨年は1500部、10年前に開始した時は1000部)と少し増やしました。それでもギリギリかと思います。これを機会に両誌の定期購読をお願いいたします!(松岡利康)

◆クラスター発生

タイでの新型コロナウィルス感染問題の始まりは、すでに大雑把には述べてきましたが、昨年(2020年)3月6日にムエタイの殿堂、ルンピニースタジアムで開催されたビッグイベント後に、進行リングアナウンサーを務めたタイの有名俳優マティウ・ディーン氏のコロナ感染が発覚すると同時に、同スタジアムで賭けに昂じていたギャンブラーら100名以上の感染者、スタジアムを管理・運営するタイ陸軍のスタジアム支配人(当時)までもが感染するクラスターが発生し、大きなニュースになってからでした。

タイで大規模なクラスターが発生したのは、このルンピニースタジアムが初であり、多くのタイ国民に「ムエタイスタジアム=コロナのクラスター」というイメージを植え付けてしまい、ムエタイ業界は長期に渡り興行開催禁止に至りました。

現ルンピニースタジアムのコロナ前のビッグマッチ興行風景

旧ルンピニースタジアムのギャンブラーたち。今見れば恐ろしいほどの密集である

いつもは渋滞、夜間外出禁止令中のスクンビット通り(許可された緊急移動中)(2021年8月5日)

◆厳戒態勢に入ったタイ国

そこからはムエタイ業界のみではなく、タイ政府の感染拡大防止策で、人の生活に不可欠なスーパーマーケットなどの食料品店や、飲食店、薬局、病院、運搬業などを除いて殆どの業種が市場を停止された状況下に置かれ、時間帯や年齢、条件を設けた外出禁止令と在宅ワークの推奨で感染拡大を阻止する対策を行なってきました。

こういう緊急事態には統制がとれるタイ国、その軍事的厳戒態勢で感染者激減はしたものの、クラスターの口火を切ってしまったムエタイ業界に優遇処置は取られませんでした。

そこでタイ国ムエスポーツ協会やプロモーターらは、このままムエタイ興行を開催しなければ各ジムや選手たちが廃業に追い込まれる現状をスポーツ省大臣に訴え、興行再開を陳情。

クラスター発生から4ヶ月程経過した、7月4日には無観客試合で一時的に開催許可され、オムノーイスタジアム、7月15日からはラジャダムナンスタジアムに於いて以前より開催日数と試合数を縮小し、興行が再開(クラスター発生地、ルンピニースタジアムは不可)。

その後も感染者低水準が続き、平常に戻りつつあったタイでしたが、これで気が緩んだか、12月20日頃にはサムットサコーン県の海産物市場でのクラスター発生からコロナ感染者数急拡大。ミャンマーからの出稼ぎ労働者が大半と言われ、近隣国からの入国は起こるべくして起こった事態に、政府は再び厳戒態勢を敷き、ムエタイ興行も当然の開催禁止に至りました。

県境を封鎖してもタイ国内は変異株の蔓延もあって以前のような減少には至らず、厳戒体制が延々続きました。ムエタイジム、スポーツ施設も一般の経営店舗と同様の扱いでトレーニングが出来ない日々が続き、試合が無ければファイトマネーを得られない選手やジム経営者らはどんどん追い込まれる一方。選手らは田舎に帰り、家業の農業を手伝ったり、全く違う一般職種への転職が増えました。

ムエタイ界は何とか興行再開を目論み、まだ規制の緩い地方都市での開催など苦肉の策を講じるものの、先の見えない状況下で直前になって興行中止など事態は好転しないまま長期化に至りました。

◆ルンピニースタジアムなんとか再開

ルンピニースタジアム屋外特設会場(2021年9月15日)(C)MUAYSIAM

今年(2021年)8月中旬にはタイ国内で一日23000人を超える最多のコロナ感染拡大と死亡率急増した中でも、夜間外出禁止令等の感染拡大防止策の成果と、抗ワクチン接種の効果も表れ始め、感染急拡大が下降に転じ峠を越したとみられたことから、9月1日からのタイ政府の規制緩和では、屋外のスポーツ施設を一部開放(公園や競技場等)されました。

「規制緩和は早過ぎるのでは?」という声もありながら歓迎の声も多く、ルンピニースタジアムや、テレビ局のチャンネル7などでは屋外の駐車場スペースで無観客試合としての興行開催を発表。

9月15日にはルンピニースタジアムは、屋外駐車場棟特設会場での開催で再開初日を迎えることが出来ました。当然ながら選手の他、入場関係者全員に3日前と当日のPCR検査を実施するなど徹底した感染対策を取った上での開催を実施。

ルンピニースタジアム後方駐車場棟の最上階での開催となった(2021年9月15日)

しかしこの日、思いもよらない事態が発生。17時開始の全6試合の内、セミファイナルとメインイベントを残したまま時間切れにより急遽中止。ライブ配信のシステムで不具合が発生して進行が遅れ、出場するはずだった選手らはグローブを装着し、リングに向かえる状態で試合中止を通達されてしまった模様。

夜間外出禁止令(21:00~4:00)が発令された状況下での開催であり、各店舗や会社の営業時間は20時まで。従業員などは20時から21時の間に極力帰宅しなければなりません(交通網の遅れはやや容認)。このイベントも同様で、早く撤収しなければなりませんでした。

急遽試合が無くなった2試合の4選手は翌週以降に延期や、対戦相手を変更された形で開催予定(メインイベント出場予定だった、サオエーク・シットシェフブンタムは、2019年11月に日本で小笠原瑛作にKO勝利)。

興行再開初日にトラブル発生は、今後のムエタイの先行きが思いやられる出来事でしたが、主催者と興行関係者は出来得る限りの努力をしていたことでしょう。

ルンピニースタジアム屋外特設会場での試合(2021年9月15日)(C)MUAYSIAM

◆今後の期待

9月18日にはチョンブリ県のフォンチャーンチョンブリスタジアムから昼興行でのテレビ放映(TV3ch)と、ルンピニースタジアムでは初となる、女子選手の出場試合(WBCムエタイ女子世界ミニフライ級王座決定戦)があり、9月25日にもルンピニースタジアム屋外会場で興行開催。その他のスタジアムも徐々に興行再開を目論み、再びコロナ感染者数が拡大しなければ10月以降も各地で興行再開し、ルンピニースタジアムも本来のメイン会場での開催と、現在は情勢を伺っているラジャダムナンスタジアムと共に、ムエタイ業界も徐々に活気が戻って来ることでしょう。

日本で試合が予定されたタイ選手はビザが下りず中止となったカードも多く、「渡航解禁は11月から」というタイの政府発表は、そのまま信じる訳にはいかない中でも、可能性を信じて待機するプロモータや選手も多いようです。

世界的なコロナ感染のすぐの終息は難しくとも、重症化しない為のワクチン接種効果からの感染激減を祈る多くの国や人々でしょう。

タイのTV7chもスタジオ横の屋外駐車場で特設リングを組んで開催準備中(2021年9月)

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

ご承知のとおり、2021年8月11日から14日頃にかけて、九州地方と広島県内では一時は大雨特別警報が発令されるほどの大雨となりました。広島県内では、広島市安佐南区の祇園山本という場所で総雨量が700ミリを突破。観測点近隣の安佐南区や西区では大規模な土砂災害が広島土砂災害2014(2014年8月20日)や西日本大水害2018(2018年7月6日)に続いて発生しました。周辺自治体でも、安芸高田市や北広島町、竹原市などで浸水などの被害が相次ぎました。

わたしは、8月29日、土砂の除去作業などのボランティアに政治活動上の事務所もある地元の安佐南区の被災現場に入りました。広島は8月に入って全国同様に新型コロナウイルス感染者が爆発的に増加、27日には緊急事態宣言が出されるありさまでした。今回は「コロナ」と「水害」のダブルパンチ状態の現場から報告・提言します。

◆2度の大水害による危機感で、人的被害は最小限に

2014年水害の安佐南区八木(筆者撮影)

今回の水害でも、田んぼの様子を見に行くなどして流されて亡くなられたり、行方不明になられたりした方はおられました。ただし、今回は2014年、2018年のような、大規模な土砂災害により多数の犠牲者が出る、という最悪はさけられたのは、不幸中の幸いです。

2014年の土砂災害は、広島市安佐南区東部の山沿いからJR可部線・国道54号線に沿うように、安佐北区の可部地区、さらには安芸高田市の一部に異常に強い雨雲がかかり、短時間に猛烈な雨が降ったことでもたらされ、関連死ふくめ77人が犠牲になりました。

2018年の西日本大水害は、広島、岡山、愛媛を中心に広い範囲で3日間の総雨量が400ミリ程度に達するという形でもたらされました。平野部に大きな川が流れる岡山(64人が死亡・不明)では洪水による犠牲者、山間部に住宅地があり、多くの人が住んでいる広島(114人が死亡・不明)では土砂災害による犠牲者が広範囲で顕著でした。

今回は広島の総雨量はおおかったものの、猛烈な雨が降る時間帯がほとんどありませんでした。わたしがボランティア活動で伺った場所でも、2018年や2014年のような「土砂が1m近くつもっている」という状況ではありませんでした。水分を含んで重いのには閉口しましたが、土砂の厚みは10数センチというところでした。

それでも、多くの砂防ダムが土砂で満杯となっていましたし、実際に物理的な土砂災害、浸水被害も多く出ており、犠牲者が出てもおかしくはありませんでした。

やはり、今回は2014年、そして2018年の大災害の教訓が生かされたといえるでしょう。

2018年水害南区似島の土砂(筆者撮影)

2014年の広島土砂災害の後も、被災地以外の県民や地方議員の間には「他人事」のような空気が感じられました。もちろん、多くの県民が、あの時はボランティアにかけつけました。ただ、まさか、自分のところでおきるということまでは具体的にイメージされていた方は少なかったようです。しかし、2018年の大水害では、2014年に被害がなかった安芸区、南区や東区でも大きな被害が出ました。

「2014年の災害の後、砂防ダムができて大丈夫と思っていた。だが、他方でそうはいっても、想定外の災害が続いているので、怖いから早めに避難した。」(今回うかがった被災地在住の30代男性)などの声を多くうかがいました。危機感の高揚が多くの命を救ったのはたしかです。

◆国・自治体の対応は改善も、引き続きチェックが不可欠

今回の水害にあたっては、以前よりは行政も迅速な支援をしています。広島市は、前回2018年の水害に続いて、民有地の土砂の撤去を市で行う、業者に頼んだ場合にはその費用を市が後払いすることを決めました。また、罹災証明書の発行手数料を無料にするなどしています。

国も激甚災害指定をいち早く表明しました。これには、主な被災地である広島3区の与党候補が国土交通大臣を擁する公明党大物であるという背景はあるでしょう。本来は選挙の思惑とは関係なく復旧支援はするのが筋ですが、前回の安倍晋三さんの「宴会三昧」よりは進歩です。

ただ、2度の水害がおきる前は、広島県もまるで「災害が起きない」ことを前提としたかのような新自由主義路線だったことは忘れてはいけません。そして、それが今回の大水害でも、そして今後起き得る災害でも不安材料です。広島県は河井案里さんと不倶戴天の政敵だった前知事のもと、86あった市町村を23に合併させました。そして、県職員は採用の異常な抑制などで削減して、県の仕事は市町村に渡したのです。

しかし、受け皿となる市町村も、合併後に地方交付税を減らされ、現場公務員を総体として減らさざるをえなかったのです。とくに、合併された側の旧市町村への公務員の配置が手薄になりました。その結果として、2018年の大水害からの復旧はすすんでいません。「予算がついても職員を減らしすぎて事業を回せない」(広島市内の県議)のが実態です。

2021年の参院選広島再選挙でわたしが回った際もいまだにブルーシートがかかったままの被災箇所がありました。また、ある2018年最大の被災地では「ここに来てくれた候補者はあなただけだ。あなたに投票する」というお言葉を頂きました。だが、そもそも二大政党の候補者が広島都市圏とは縁が浅い落下傘気味の方だったとはいえ、被災地に無関心だったのは大問題です。

引き続き、県民の皆様による、自治体や国政政党へのチェックは不可欠です。

[写真左]2021年水害の土嚢と土砂の跡、[写真右]2021年4月でも2018年西日本大水害のブルーシートが土砂崩れの山肌を隠すようにまだ残る(筆者撮影)

◆コロナで「ボランティア頼み」に限界――現場公務員補充・サンダーバード創設を

今回の水害の復旧にあたって、新型コロナウイルス感染爆発の中、県内各自治体とも、他の自治体からのボランティア受け入れはしない方針です。善意が感染爆発を加速させたら元も子もないので、仕方がないことです。わたし自身も、今回、安佐南区よりも被害が大きいと報道されている西区田方地区や、安芸高田市、北広島町に入りたい気持ちはありました。西日本大水害2018でもわたし自身、安佐北区口田南や南区似島、安芸区矢野地区、坂町小屋浦地区などにはいっています。しかし、今回は自重して事務所のある安佐南区限定の活動をさせていただきました。

とはいえ、もし、災害の規模が西日本大水害2018並みであった場合にはどうだったでしょうか? 考えるだけでぞっとします。土砂の除去作業なども進まず、衛生状態もさらに悪化するなど、悲惨な事態になったかもしれません。

1995年の阪神淡路大震災、そして2011年の東日本大震災。そして、西日本大水害2018などで、ボランティアの活躍が注目されました。

たしかに、ボランティア精神は素晴らしい。行政ではやりにくい、きめ細かなことを機動的におこなうなど、ボランティアは「自発的」(※本来、無償とは限らない)であるがゆえの優位性はあります。

しかし、とくにこの20数年間、行政の側が「ボランティア精神」にただのりして、本来付けるべき予算をつけなかったりしていたのではないでしょうか? とくに、西日本大水害2018の際に当時の安倍晋三総理が連日のように宴会やゴルフに興じて、被災地を軽視してきたのは、「ボランティアがなんとかしてくれるからそれにただのりしている」面もあったのではないでしょうか?

だが、コロナのもとで、それは通用しなくなりました。それぞれの自治体で現場公務員を補充するべきは補充していく必要があります。

そして、もうひとつは、気候変動の中で、こうした大規模災害は国内外とわずして増えています。これからも増えるのは避けられません。日本は災害超大国であり、災害に対応するノウハウはそれだけに蓄積されています。それをいかして国内外の災害に対応する災害救助隊=サンダーバードを創設することを改めて提案します。それこそが、日本がすべき国際貢献のひとつです。世界最初の戦争被爆地であり、この7年間で3度も激甚災害クラスの災害に見舞われた広島から訴えるものです。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/29547261/

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菅が政権を放り投げ、皇室のどなたかが結婚をするという。たぶんテレビは大いに取り上げ、知ったかぶりの出たがりに、いいたい放題いわせているのだろう。自称評論家やタレント、コメンテーターからどうでもいい人までが、なにか一大事でも起きたように大騒ぎしている姿が目に浮かぶ。

◆すべて限りなく希薄で非本質的な言説である

そういう雰囲気に水をかけるようで申し訳ないが、わたしは自民党の総裁が誰であろうがまったく、皆目、関心はない。天皇制に「無条件」で反対するわたしは、皇室内の出来事にも興味はない。結婚でも離婚でも好きになさればよい。好きになさればよいが、何をなさってもわたしは制度としての天皇制には賛成できないので、興味はない。差別に反対する立場から、天皇制は廃止されるべきだと考える。

この二つの出来事において象徴的なように、ほとんどのニュースは非本質的であり、報道することで非報道当事者が属する組織や制度が補完される作用を持つ、これが今日メディアの特性ではないかと思う。

だからわたしは、従前から開催に反対してきた、東京五輪がはじまる前に「東京五輪については一切発信しない」と自分としてはごく自然に判断し、実際東京五輪をまったく目にもしなかった。だから感想もない。あんな馬鹿げたことは、大会期間中にどんなドラマが生まれようが、誰がメダルを取ろうが、やるべきではなかったのだ。それについて、あれこれ枝葉末節な議論があるようだが、それらはすべて限りなく希薄で非本質的な言説である。

◆東京五輪強行開催という罪深い所業

東京だけではなく全国に広まった「自宅療養」と言い換えられた「医療から見捨てられた」ひとびとの惨状はどうだ。この地獄図絵は決して医療関係者の判断ミスや、非協力によって引き起こされた事態ではない。逆だ。政府が片一方では「学校の運動会の自粛」を求めながら、「世界的大運動会を開く」という、大矛盾を演じた結果に他ならない。「県をまたぐ移動の自粛」を求めながら海外から10万ともいわれる数のひとびとがやってきた。

日本初の「ラムダ株」が持ち込まれたのは海外からやってきた五輪関係者によってであったが、それが報道されたのは東京五輪終了後のことだ。実に罪深い所業ではないか。

こういった事態が発生することは、容易に想像ができた。たとえば他府県の警察からの警備要員として東京に派遣された警察官の中では、複数のクラスターが発生した。偶然にもわたしが目にした兵庫県警の機動隊車両に乗車して東京に向かった兵庫県警の警察官の中でもクラスターがあったようだ。

こういう馬鹿なことを強行した責任者である日本政府ならびにその最高権者である首相は、どう考えても、ただ批判の対象であり、それ以上でも以下でもない。

◆災害、貧困、コロナ禍という生活に密着した課題をどうするか

自民党の総裁選の前にはいつだって「派閥がどうの」、「誰々が引っ付いた」、「誰かが切られた」と各メディアは競い合って報じる。でも自民党総裁選挙は、自民党員以外には選挙権がないのだから、ほとんどの国民には関係ない。

あたかも国民に選挙権があるかのごとき、まったく失当な情報流布が昔からなされてきたし、いまも続いているのだろう。国政選挙で政党を選ぶための情報提供であれば、各種の細かな情報にも有権者のために意義はあるのかもしれないが、自民党の代表は、わたしたちが投票で選ぶものではないじゃないか。

そして、こういう物言いをすると「そんなこと言ってると政治が好き勝手するよ」と言われるかもしれないが、自民党総裁など、誰がやっても同じなのだと最近は切に感じる。違いがあるとすれば菅のように裏では相当ひどいことができても、人前では一人前に主語述語がかみ合った演説をすることができるかできないか(演技力)と、自民党内の力学をうまく調整する力があるかないか程度(党内政治力学)の違いだろう。

演技がうまいと国民は騙されやすい。今世紀に入ってからでは、小泉純一郎がその筆頭だろう。党内力学に長けていた官房長官時代の菅は、自民党全国の選挙資金を握り、選挙の際、安倍以上に自民党議員の操作には力を持っていたそうだ。

そんなことわたしたちの生活に関係あるだろうか。毎年襲ってくる水害への備えや、生理用品も買えないほどの貧困問題、そして命にかかわるコロナ対策をはじめとした医療問題こそわたしたちが直面していて、注視すべき生活密着の課題ではないだろうか。いずれも皇室の方々とは無縁なはなしばかりであるが。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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《9月のことば》満月に 君を想う(鹿砦社カレンダー2021より/龍一郎・揮毫)

9月になりました──。

私事ながら、今月私は70歳になります。すでに黄泉の国に旅立った友人や、若い頃に出会い、今はどうしているか気になる人も少なからずいます。

あいつ、こいつ、あの人、この人……想い出とともに懐かしい顔が過(よ)ぎります。

いろいろな人たちに迷惑をかけて私は生きてきました。これから老い支度に入ります。後先さほど長くはありません。同世代ですでに亡くなった人もいるのに、これまで生き長らえてきたのが不思議です。

コロナ禍で思ったように身動きできず、故郷の友人はじめ会いたい人にも会いに行けず満月に想いをいたすしかありませんが。残りわずかとなったわが人生、これからもダメなことはダメと言い続ける、恥じない生き方をしたいと思っています。(松岡利康)

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9月よりこの「デジタル鹿砦社通信」も新たな寄稿者を迎え、これまで以上に読み応えのあるものになると思います。新たな寄稿者は、森奈津子、黒薮哲哉、さとうしゅういち各氏です。ご期待ください!

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