映画「生きし」のアフタートークで中村明監督とお話をさせて頂いた

尾﨑美代子

12月15日月曜日、十三シアターセブンで映画「生きし」のアフタートークで中村明監督とお話をさせて頂いた。数日前、埼玉の障害者団体「虹の会」の佐藤さんから「中村監督はスーパー猛毒ちんどん(佐藤さんら虹の会のスタッフと障害者の人たちで作るバンド、私たちは彼らを10年ほど前釜ヶ崎にお呼びした)の映画も撮ってくれましたよ」と連絡頂き、「あらま」と身近に感じていたところ、なんと前日はなライブに来て下さり、なお身近に感じていたところだった。

「生きし」は93年埼玉で起きた愛犬家連続殺人事件をモチーフにしている。主犯の関根(獄中で病死)と共に殺人、死体損壊などで逮捕され、死刑判決を受けた風間博子さんは現在3度目の再審請求中。その風間さんと娘、母親との関係、支援者との関係などを描いている。

上映後のアフタートークではわたしの方から監督に「なぜこの映画を撮ろうと考えたのか」とそのきっけかなどをお聞きした。監督はテレビ局勤務時、長野智子さんがキャクターを務めた報道番組では、東住吉事件の青木恵子さんの冤罪事件などにも関わってきた。映画「生きし」も冤罪・埼玉愛犬家連続殺人事件の冤罪犠牲者・風間博子さんと面会する中で、構想を練り、今回は外にいる娘さんを焦点に取り上げたという。私は映画の前半に出てくる、ちょっと怪しげな男性(風間さんと獄中結婚し、その後、覚せい剤使用で逮捕され、離婚した男性)についてお聞きした。その男性は実在した方だという。

その後、会場からの質問と続きました。この事件で風間さんは殺害は否定しているが、関根の死体損壊を足をもつなどして手伝った。それは関根に風間さんや連れ子の男の子が酷いDVを受けており、その恐怖から断りきれなかったからだ。

一番前の女性が、「長女さんらがDVを見たと証言したらいかがでしょうか」と聞いてきました。私からは、当時の長女は9歳、前日登壇した和歌山カレー事件林眞須美さんの長男は当時10歳だが、彼が言うことは信用されなかったと答えた。言いわすれたがそれどころか、2審で夫の健治さんが「保険金事件を主導したのは自分だ」と主張したが、それすら信用されなかった。

その後、知り合いの岡田有生さんが、グッドタイミングで再審法の質問をして下さった。私は監督の顔をチラリと見て「ガンガンしゃべってもいいですか?」と言ったつもりで、喋りだした。短い時間だったが、何故再審法が必要か、自民党稲田朋美がめっちゃ説得力あるしゃべりをしていたことなどに触れた。稲田の故郷福井県で39年前に起きた福井女子中学生殺害事件で服役した前川さんに再審無罪判決が下された。その前川さん自身が「立法事実」なのだと稲田はきっぱり訴えた。立法事実、この言葉を私は半年前、はんげんぱつ新聞編集長の末田さんにお聞きした。このことのためにこの法律を作る、あるいは改正しなくてはならないという事実だ。

あと、この数年再審無罪判決がだされ、再審法改正が盛り上がって超党派の議員連盟が作られ、法案を提出してきた。そこに「このままだとヤバイ」とチャチャ入れてきたのが、法務省が進める法制審だ。「それじゃダメ」。稲田もきっぱりそう言ってた。井戸謙一弁護士は「検察、裁判所が冤罪を作ってきた。それを統括する法務省が再審法改正を主導するのはおかしい」と非難していたと話した。それに私は「泥棒が戸締まりに気をつけて」というようなものと、付け加えた。

更に埼玉愛犬殺人事件の再審請求では、事件を主導したのが風間さんではなく、亡くなった関根の方だとそれを証明するある人の調書を出させることが大事だとも、多分早口で喋った。全ての証拠を出させるべきだ。冤罪について話だしたら、止まらなくなる。監督すみません。

中村監督は大阪滞在中、2回もはなに来て下さった。一人で釜ヶ崎のあちこちを散策され、釜ヶ崎にも関心を持ってくださった。またひとつ、つながりができそうだ。

◎「生きし」HP https://ikisi-movie.com/

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

「台湾有事発言」は序章にすぎない 日本を襲う高市リスク

孫崎享(文責・本誌編集部/紙の爆弾2026年1月号掲載)

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。

◆安倍「台湾有事は日本有事」発言との違い

2025年11月7日、衆院予算委員会での、日本が集団的自衛権を行使可能な「存立危機事態」に関する高市早苗首相の国会答弁が、中国の大きな反発を招いています。主要部分をまとめれば、

「中国政府が台湾に対する海上封鎖を戦艦で行なった場合には、封鎖を解くために米軍が来援する、それを防ぐために他の武力行使が行なわれる事態が想定される」
「台湾を中国北京政府の支配下に置くために戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースだ」

これは、いわゆる台湾有事における自衛隊の対応について、従来の政府見解(あいまいに留める方針)を踏み越え、「中国による海上封鎖」という具体例を挙げて、日本の自衛隊が「参戦」する可能性を示唆したものです。質問した立憲民主党の岡田克也衆院議員も指摘している通り、2024年9月の自民党総裁選出馬時にも高市候補は同様の内容を述べています。彼女が師と仰ぐ安倍晋三元首相も、2021年12月1日に台湾で行なわれたシンポジウムにオンラインで出席し、「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」と発言しました。

しかし、これは首相退任後のことで、在任中はむしろ、台湾との接触を控えてきました。内容も異なります。安倍氏は「台湾有事」とは言っても、自衛隊には触れていません。ただ「日本にとっても有事である」との認識を述べたものです(それでも十分に問題ですが)。

高市首相が自衛隊の対応にまで踏み込んだために、これまで中国の外交部門を中心に反論などの対応を行なってきたのが、今回は軍事部門が前面に出てきました。薛剣(シュエチエン)駐大阪総領事のX投稿「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく切り落とす」が話題になったものの、より注目すべき中国側の反応は、11月13日の人民解放軍広報部門による「日本が台湾海峡情勢に武力介入すれば中国は必ず正面から痛撃を加える」や、国防省の「日本が台湾情勢に武力介入すれば、中国軍の鉄の壁の前で必ず血を流すことになる」との警告です。

中華人民共和国の成立過程を見れば明らかなように、中国政府においては軍事部門が外交部門よりも圧倒的に上位です。政府トップである習近平氏の第一の役職は中央軍事委員会主席であり、国家主席は国際的な舞台における肩書にすぎません。つまり、外交部門の発言よりも、軍事部門の発言・行動の方が、中国政府の中心から発せられたメッセージと見るのが正しく、普段はそれほど表立って発言しない軍関係者が今回、先頭に立って反応を示したことが、まさに〝一線を超えた?事態の深刻さを示しています。

これを一過性の「騒動」のように語る政府・メディア・世論を含めた日本側の認識は甘すぎると言わざるをえないのです。実はこのことこそ、「台湾発言」にとどまらない、高市政権がもたらす日本にとってのリスクなのですが、この点については後に詳しく述べます。

◆〝中国の脅威〞の真相 

台湾をめぐる情勢の緊迫度は確かに高まっています。日本では、まるで習近平主席が暴走を始めたように伝えられてきましたが、いくら中国が急激に力をつけたといっても、それだけで緊迫化することはありえません。近年において、実際に事態を大きく動かしたのは、2022年8月2?3日、米国のナンシー・ペロシ下院議長(当時)による台湾訪問です。

米国ナンバー2といえる人物による訪台は、当然ながら中国から見れば、外部勢力による介入の度合いが急激に高まったと判断されます。同月4日正午に人民解放軍が台湾を取り囲む形で「重要軍事演習」を開始。11発の弾道ミサイルが発射され、うち5発が初めて日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下しました。

すなわち、〝中国の脅威〞は中国が圧力を強めたというよりも、米国が介入の動きを意図的に示したことをきっかけに高まったのです。ここで米中関係について振り返ると、日中共同声明の前年である1971年に、ニクソン政権のキッシンジャー大統領補佐官が周恩来総理と計39時間に及ぶ機密会談を行ない、キッシンジャー補佐官は「いずれ台湾は統一されるであろう」と述べました。このように当時の米国の認識は、「台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部である」とする中国の立場をあえて脅かすものではありません。
 しかし、中国が経済的な発展を遂げ、米国を追い抜く可能性が生まれるにつれ、それを阻止する動きが米国内に生まれます。その戦略の一つとして、米国は台湾問題を利用し始めたというのが現在の情勢に対する中国の認識です。米国の台湾への関与のレベルが上がったことが、中国が軍事演習などの行動に出ている理由なのです。

実際、2015年にGDPの購買力平価ベースで中国がアメリカを追い抜き、アメリカにとってナンバーワンの敵になりました。ウクライナ戦争が継続中でも、国民を含め、ロシアではなく中国こそ一番の敵だということが米国内のコンセンサスとなっています。かつての一時期に存在したウィンウィンを目指す考え方を捨て、いかに中国の影響力拡大を抑えるかが、米国の中心政策となりました。

そこで、米国の軍事シンクタンク「ランド研究所」が2015年から16年にかけて、米軍の委託を受けてまとめた報告書では、かつては中国に対して絶対的優位にあった米軍が、空中戦、サイバー戦など9つの作戦行動のうち、現在において明らかな優位性を保つのはわずか3項目だったと述べ、衝撃を与えました。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n1fba48476652

国家でもAIでもなく〝決済〞が言論を殺す クレジットカード帝国の静かな世界支配

昼間たかし(紙の爆弾2025年12月号掲載)

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◆通帳の数字が止まると世界が止まる

誰が世界を支配しているのか? 政府か。軍隊か。GAFAか。それともイルミナティか。

全部違う。正解はクレジットカード会社だ。

2社のアメリカ企業が、世界中の決済インフラの90%を握っている。彼らが「ノー」と言えば、どんな合法的なビジネスも瞬時に殺される。裁判も、法律も、民主主義も必要ない。ただ決済を止めるだけでいい。

2024年、日本のインターネットで異変が起きた。4月3日、マンガ・ゲーム等の同人作品のダウンロード販売で国内最大手の「DLsite」が、VISAとマスターカードのクレジットカード決済を停止した。翌日にはアメリカン・エキスプレスも使えなくなり、残ったのはJCBだけだった。

5月21日、クリエイター支援サービス「Fantia」でも、VISAとマスターカードが停止。6月14日、成人向け大手ECサイト「FANZA」がVISAを停止。8月12日、同人誌販売の老舗「とらのあな」からもVISA・マスターカードが消えた。

これらはすべて合法なコンテンツを扱うサイトだ。児童ポルノでも違法な暴力描写でもない。日本の法律で認められたマンガやイラスト、同人誌を販売しているだけだ。それなのに、ある日突然、決済手段を奪われた。利用者が問い合わせても、事業者は「規約違反です」「コンプライアンスです」としか答えない。何が問題なのか、誰が判断したのか、どうすれば解決するのか。何も説明されない。VISAなのか、マスターカードなのか、決済代行会社なのか、AIの自動判定なのか。誰がボタンを押したのか、誰も知らない。

さらに不可解なのは、成人向けとは無関係なサイトまで巻き込まれていることだ。動画投稿サイト「ニコニコ動画」の一部でマスターカード決済が停止され、2024年12月には婚活支援サイト「アエルネ」までVISAに決済を止められた。婚活サイトである。成人向けコンテンツとは何の関係もない。

これは政府による検閲ではない。法律が変わったわけでも、裁判所が命令を出したわけでもない。議会で議論されたこともない。それなのに、合法的なビジネスが次々と殺されていく。「誰も命じていない検閲」が、静かに進行しているのだ。

◆1995年――〝入場券〞が配られた年

時代の分水嶺は1995年だった。この年、アメリカのネットスケープ・コミュニケーションズが世界で初めてSSL暗号化技術を組み込んだウェブブラウザを発表した。これによって、誰もが安全にクレジットカード番号を入力できるようになった。

同じ年の7月に開業したアマゾンは、当初からクレジットカード決済を前提として設計されていた。それまで、クレジットカードは数ある支払い方法の1つにすぎなかった。現金・小切手・銀行振込・郵便振替。選択肢はいくつもあった。カードを持たなくても生活に支障はなかった。

しかし1995年以降、状況は一変した。オンラインで商売をする事業者は、クレカ決済を導入しなければ顧客を獲得できなくなった。消費者は、クレジットカードを持たなければ最新のインターネットサービスを利用できなくなった。現金も小切手も、オンラインでは全く役に立たなくなったのだ。つまり、クレジットカードは「あると便利なもの」から「なければ参加できないもの」に変わった。

カード会社は意図していたかどうかにかかわらず、インターネット経済全体への入場券を握る立場についた。誰がオンラインでビジネスを行なえるか、誰が新しいサービスを利用できるかを、事実上決定する権力を手にしたのである。

そして彼らは、著しく成長した。VISAは1990年代を通じて拡大を続け、2001年までに発行枚数は10億枚を超えた。現在、VISAとマスターカードは中国以外のすべての決済処理の90%を占める。経済学者たちは、この2社の関係を「機能的二重独占」と呼ぶ。ネットワーク効果によって新規参入が事実上不可能だからだ。

その結果、両社の営業利益率はVISAが67%、マスターカードは57%だ。トヨタの営業利益率が約10%であることを考えれば、この数字の異常さがわかる。両社は世界中の人々がお金を使うたびに手数料を徴収する「通行税」で莫大な利益を上げているのだ。

こうして彼らが得た権力の1つが、金融検閲である。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n91f384c9bf98

高市自維政権からの〝報復〞 公明党連立離脱の全真相

大山友樹(紙の爆弾2025年12月号掲載)

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1999年10月の連立発足以来、民主党政権の3年3カ月の期間を除いて21世紀の日本の政治を事実上、仕切ってきた自公連立政権が、10月10日に突然、公明党が自民党に3行半を突き付ける形で崩壊した。

衆参両院で過半数に満たない少数与党の自民党は、公明党に去られたことで、石破茂首相の辞任表明を受けて行なわれた総裁選で当選した高市早苗氏の総理就任の可能性が揺らいだため、急遽、国民民主党や日本維新の会に接触。最終的に「第2自民党」(馬場伸幸前代表)などと自称していた野党ならぬ“癒党”の維新との連立にこぎつけ、日本初の女性総理を首班とする高市自維連立政権が10月21日に発足した。

一方、自民党と袂を分かった公明党は、野党に軸足を移し政権離脱による存在感の低下をカバーしようと腐心している。だが、自維両党の連立条件に衆院比例区の定数削減が盛り込まれるなどしたことから、今後、衆院比例区に重点を置く公明党は高市政権による厳しい報復にさらされる可能性が高い。

それにしても、日本の政治にドラスティックな変化の季節を招いた今回の公明党の連立離脱。多くのメディアがその理由と背景を分析しているが、宗教団体・創価学会を母体とする公明党は、1970年に引き起こした言論出版妨害事件に対する厳しい社会的・政治的批判を受けて、創価学会との組織的な政教分離宣言を行なったものの、その実態はあくまでも政教一体の宗教政党である。右顧左眄する公明党の動静を分析するには、創価学会の意思・思惑の考察が不可欠で、政治的視座や政局がらみの報道だけでは正確性に欠ける。そこで本稿では、なぜ公明党と創価学会が突然、26年にわたって積み上げてきた自民党との連立から離脱したのか。その理由と背景について、対象の内部にある論理や構造・意味を、対象の立場や主観に寄り添って理解しようとする宗教研究のアプローチ手法である「内在的理解」に基づいて俯瞰してみたい。

◆連立離脱の〝前兆〞

唐突な印象を受ける今回の公明党の連立離脱だが、しかしその布石は石破茂首相が辞任を表明した9月7日にはすでに打たれていた。石破辞任表明を受けて記者会見した公明党の斉藤鉄夫代表が、「保守中道路線で、理念に合った方でなければ、連立政権を組むわけにはいかない」と発言。連立維持のための必要条件を示唆していたからだ。

斉藤発言の意図を公明党の元地方議員は、次のように解説する。

「一般に宗教団体には自らの教えを最善のものとする独善性があるが、とりわけ創価学会はその傾向が強い。したがって、もともと神社に対する忌避感があるが、靖国神社は軍国主義の精神的シンボルという性格を持つことから創価学会の忌避感は特に強い。というのも、創価学会の牧口常三郎初代会長と戸田城聖二代会長は、戦前、軍部政府が督戦のため推進した国民精神総動員の一環として配布された伊勢神宮の大麻(神札)に対する不敬罪と、治安維持法違反で逮捕・投獄され、牧口初代会長は獄死している。

牧口会長を獄死させた軍部政府の首脳らA級戦犯を合祀している靖国神社に、高市氏は総理・総裁になっても参拝を強行すると高言する右翼タカ派。それだけに高市氏だけは勘弁してくれというのが創価学会の本音。斉藤発言は、そうした公明党そして創価学会のメッセージだった」

だが自民党は高市氏を新総裁に選出。その結果、自公連立の雲行きはにわかに怪しくなる。

発端は10月4日の高市新総裁と公明党首脳の初顔合わせだった。石破・岸田・菅と、歴代の自公連立政権の首班との初顔合わせの際の公明党首脳らは、にこやかに新総裁を出迎え、最初の党首会談で直ちに連立合意書に署名するのが通例だった。しかし新総裁に選ばれた直後に、公明党本部にあいさつに出向いた高市新総裁を出迎えた斉藤代表らは、祝意もそこそこに、さっそく「私たちや党員、支持者の懸念事項を率直にぶつけた」(公明新聞10月5日付)のである。

ここにある「支持者」とは創価学会を意味する。その創価学会と公明党がぶつけた「懸念事項」とは「1、『政治とカネ』の問題。2、靖国参拝と歴史認識問題。3、外国人との共生」(同前)の3点。このうち「政治とカネ」の問題についての懸念を斉藤代表は、具体的にこう述べている。

「まず『政治とカネ』の問題にきちんとけじめをつけなければならない。与党が選挙で大敗した大きな原因の1つに(自民党の)不記載の問題がある。また、企業・団体献金の規制強化を進めることについても、政策協議の中で明確にしてほしいと申し上げた」(同前)

ここで斉藤代表は、昨年の衆院選、今夏の東京都議選・参院選に大敗した原因として自民党の裏金問題を指摘すると同時に、企業・団体献金の規制強化を求めている。その底意には「政治とカネ」の問題の放置は、選挙敗北の因という次元にとどまらず、公明党そして創価学会の政界進出の基本理念や存在意義の否定につながる深刻な問題だという危機意識が潜んでいる。

周知のように公明党は、創価学会文化部を前身とし、公明政治連盟を経て1964年に政党となるが、その「結党宣言」には次のようにある。

「王仏冥合・仏法民主主義を基本理念として、日本の政界を根本的に浄化し、議会制民主主義の基礎を確立し、深く大衆に根をおろして、大衆福祉の実現を図るものである。こうして、広く地球民族主義の立場から、世界に恒久平和機構を確立することを最大の目標として勇敢に戦うことを、国民の前に固く誓うものである」(『公明党50年の歩み』公明党機関紙委員会編)

「政界浄化」は、公明党そして創価学会の政界進出の原点ということだ。

またここにある「地球民族主義」や「恒久的世界平和」などの理念が、「懸念事項」の「靖国参拝と歴史認識」や「外国人との共生」と通底することは明らかである。その意味で、公明党ならびに創価学会は、政界進出の基本理念と存在意義をかけて高市新総裁との連立の可否に臨んでいたことが看取できる。

◆引き金は「萩生田光一幹事長代行」

しかし自民党なかんずく高市氏の周辺にこうした公明党・創価学会の覚悟を理解する人物はおらず、むしろ公明党が自らの政治理念と対極にある解釈改憲や軍拡を推し進めた小泉・安倍・菅政権などに追随してきたこともあって、しょせん「下駄の雪」である公明党は、なんだかんだいってもついてくると軽視し、タカをくくっていたきらいがある。そうした公明党、そして創価学会を舐め切った態度が表面化したのが、10月7日の党首会談を前に行なわれた自民党の新執行部人事だった。

両者の関係悪化に火に油を注ぐ形となったこの執行部人事が、公明党の連立離脱を決定的なものとしたことは明らかだ。

というのも高市氏は総裁選での論功行賞として、派閥解消に反して唯一存続した麻生派の領袖である麻生太郎元首相を1年ぶりに副総裁に就任させたが、麻生氏は“大の創価学会・公明党嫌い”で知られる人物である。前回の副総裁時代の2023年9月24日に福岡市内で行なわれた講演では、岸田政権が22年の暮れに敵基地攻撃能力の保有を明記した安保関連三文書を閣議決定した際に、公明党が専守防衛の観点から反対したことに言及しつつ、「山口(那津男代表)」「石井(啓一幹事長)」「北側(一雄副代表)」と公明党首脳を呼び捨てにしつつ、公明党と「その裏にいる創価学会」を「ガン」呼ばわりした。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n79cfa0b335a5

精神科医・野田正彰先生の『過ぎし日の映え 続社会と精神のゆらぎから』を刊行

鹿砦社代表 松岡利康

師走も押し迫り寒さも厳しくなり、世情は慌ただしくなってまいりました。皆様、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

さて、このたび小社では、わが国を代表する精神科医・野田正彰先生の『過ぎし日の映え 続 社会と精神のゆらぎから』を刊行いたしました。去る8月に同じく野田先生の『流行精神病の時代』を刊行し各方面から好評を博し、短期間に2冊立て続けての出版となります。

本書は、著者の故郷の地元紙、高知新聞の長期連載「高知が若かったころ」の後半部分にあたり、前半部分は『社会と精神のゆらぎから』というタイトルで講談社から刊行されています。その続編という恰好ですが、前半とは全く異なる構成と内容で独立した書籍となっています。

その多くの文章はペレストロイカ後のロシアやバルト海沿岸諸国などを歩き続けた記録となっており、そこで旅しながら考えた、人間社会への深い考察になっています。

何卒ご一読いただき、ぜひ、紹介、書評などお願い申し上げます。

いよいよ2025年も押し迫ってまいりました。慌ただしいさなかでの出版ですが、著者の深い思索の一端をご理解いただければ幸いに存じます。

『過ぎし日の映え 続 社会と精神のゆらぎから』https://www.amazon.co.jp/dp/4846315959

冤罪を作る検察官は恥を知れ!

尾﨑美代子

再審(裁判のやりなおし)を請求する時には新たな証拠が必要と言われている。それを再審を請求する側が必死で探して、新たな鑑定書を作成したり、そのために再現実験行うだけで大変な時間、経費を要する訳だが、今年7月18日、36年ぶりに再審無罪を勝ち取った前川彰司さんの「福井女子中学生殺害事件では「そんな証拠どこにあったんだい」という証拠が出てきたのだ。

この事件は、事件当日「血のついた前川を見た」などの証言が多数あり、前川さんが逮捕された。複数の関係者の供述をあわせるために使われたのが、当時流行っていたテレビ番組「夜のヒットスタジオ」でアンルイスと吉川晃司が繰り広げた超卑猥なパフォーマンスだった。

「六本木心中」を歌うアンルイスの後ろに吉川晃司が回り腰を激しく打ちつけるというパフォーマンス。20歳そこそこの関係者が刺激を受けて「いやらしいな」と言い合っていたところに先輩から電話がきて、車で先輩の所に行くと、そこに血を付けた前川が来た……というストーリーだった。

弁護団は再審の控訴趣意書で、車のダッシュボードに前川が付けたという血痕は、関係者の証言のように唾で拭いた位で消えない、必ずルミノール反応が出るはずなどの実験を行い、結果を新たな証拠として出していた。私もその趣意書を何度も読んでいた。

ところがだ。再審開始の決定書の冒頭に突然でてきたのが、「夜のヒットスタジオ」やらアンルイスやら吉川晃司だった。おいおいおい……私は慌てたね。何なんだよ、おい! 実は血の付いた前川を見たと証言したキーマンの男性が「いやらしいな」と言ってたパフォーマンスは事件当日の放映ではなく、翌週だったのだ。

その証拠を警察、検察はとっくの昔から知っていた。つまり、再審で無罪を勝ち取るには、検察が持っている全ての証拠を明らかにしなくてはならないのだ。それを必死で隠そうとする検察。こんな連中とその検察を統括する法務省、法制審に再審法を任せていては、冤罪犠牲者は絶対に救済されない。

そもそもだが、冤罪を必死で作る仕事をしてて、あんたら恥ずかしくないか。嫁や子供、親に「オレ、こんな仕事してるんだ。カッコいいだろ」と言えるか??

そういえば、これまで冤罪作ってきて、その後「栄転」したのはいいが、その先でパワハラやらセクハラやら、不祥事やらかしている元検察官を、数人知ってるぞ。埼玉愛犬家連続殺人事件で風間博子さんに死刑判決を下した岩橋義明検事は、電車のドアにわざとカバンを挟み、運行を妨害したとして厳重注意処分を受けた。

千葉県東金女児殺害事件で知的障害を持つ勝木涼君を「金子さん、金子さん」となつかせ、有罪にし、「栄転」先の栃木県では更に今市事件で、当時日本語の不慣れな、台湾出身の勝又拓哉さんに、暴行を振るったりして犯人にした金子達也検事は、その後赴任した福岡で、部下の女性に不適切な発言をして減給の懲戒処分をうけた。

また不祥事ではないが、和歌山カレー事件で、林眞須美さんの夫の健治さんに「眞須美にヒ素を盛られたと証言してくれ」と頼み込んだ大阪地検特捜部の小寺哲夫検事は、なんと関西生コンに対して妨害したり、告発・告訴を続けてきた大阪広域生コン側の弁護人になっている。悪はいつまでも悪のままだ。本当に恥を知れ!!

◎[参考記事]冤罪被害者の救済、遠のく? 元裁判官63人・学者135人が危機感(2025年12月7日付け朝日新聞)

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

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政治献金のグレーゾーンとマスコミ癒着 高市早苗首相のマネーロンダリング疑惑

黒薮哲哉(紙の爆弾2025年12月号掲載)

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。

◆300万円の〝還付金〞

議席の数合わせの論理に翻弄された末、日本初の女性首相の座を射止めた高市早苗衆院議員。公明党の斉藤鉄夫代表が、政治資金収支報告書の記載漏れなど「政治と金」の問題を突きつけて自民党と決別したことを発端として、政争が拡大した。高市氏の傲慢な態度に業を煮やした斉藤代表は、高市政権ではこの問題に正面から切り込めないと判断し、26年にわたる連立を解消したとされる。

ところがワイドショーをはじめとする日本のメディアは、「政治と金」の問題よりも、むしろ政界再編をめぐる政党や派閥のかけひきをクローズアップした。

「政治と金」のグレーゾーンとは何か? 高市首相の政治資金問題を知り尽くす人物が東京都江東区にいる。『最高裁の暗い闇』(鹿砦社)などの著書を持つ志岐武彦氏である。志岐氏は2017年2月、高市氏が政治資金を巧みに動かして「資金洗浄」すなわちマネーロンダリングを行なったとして刑事告発した。

当時、彼女は第三次安倍晋三内閣の下で総務大臣を務めており、「総務大臣によるマネロン」に筆者は好奇心を刺激され、取材目的もあって告発人に名を連ねた。志岐氏が疑問視したのは、政治献金の還付金制度を利用して金銭を捻出する手口である。

有権者が政治献金を行なった場合、確定申告の際に税務署で所定の手続きを踏めば、一定割合の金銭が還付される。還付の割合は献金額のおおよそ30%(厳密には、寄附額から2000円を差し引いた金額の30%)で、積極的に政治献金をすることで政治参加の意識を促すことを狙いとしたのが、この優遇措置だ。

ただし、これは誰に対しても無条件に適用されるわけではなく、除外されるケースもある。租税特別措置法41条18・1は「寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められる」場合、優遇措置の対象外とすると定めている。志岐氏はこの点に着目し、高市氏の行為が還付金を受けるための要件を満たさないと判断して刑事告発に踏み切ったのである。

2017年2月4日、志岐氏と筆者は連名で告発状を奈良地方検察庁に提出した。告発状では、高市議員が2012年12月25日、自らが代表を務める自民党奈良県第2選挙支部(以下、第2支部)に1000万円を寄付し、その後、確定申告の際に税務署で「寄付金(税額)控除のための書類」(タイトル写真)を作成し、約300万円の還付を受けたことを指摘した。

形式上、この1000万円は高市氏が自ら調達した資金とされている。しかし、政治資金収支報告書を精査すると、その寄付行為の約1カ月前にあたる11月20日に、第2支部が高市氏個人に対して「寄付金」と称して1000万円を支出していたことが判明する。

つまり、①第2支部が高市議員に1000万円を寄付し、今度は逆に②高市議員個人が同じ額の金を再び第2支部へ戻し、同時に寄付者・高市早苗として③約300万円の還付金を受け取った構図が浮かび上がる。

資金を循環させるだけで、庶民の手取り年収に匹敵する額の還付金を得ていたのだ。この1000万円の“源流”をさかのぼるとさらに興味深い事実が見える。第2支部が高市氏に1000万円を寄付した同じ日、自民党本部が第2支部へ「選挙費用」として1300万円を送付していたのだ。

これら一連の金の流れは、第2支部が作成した2012年度の政治資金収支報告書で確認できる。ただし、自民党本部から第2支部へあてた1300万円と、第2支部から高市氏が受け取った1000万円が同一の金である確証はない。重要なのは、高市氏が資金を循環させることで約300万円の還付金を生み出した事実である。これは租税特別措置法41条18・1が禁じる「寄附をした者に特別の利益が及ぶ」ケースに該当する可能性がある。志岐氏はこの点に着目して告発に踏み切ったのだ。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n80aa03ce4915

米国政府系の反共謀略組織・NEDからラテンアメリカ諸国の市民団体やメディアに63億円

黒薮哲哉

全米民主主義基金(National Endowment for Democracy=NED)から、2024年度、4,100万ドル(約63億~65億円)の資金がラテンアメリカ諸国の親米勢力(市民運動体やメディア)に支払われていることが分かった。支援対象となったプロジェクトの数は262。対象国は16カ国である。

NEDのウェブサイトは、支援の理由について次のように述べている。

ラテンアメリカとカリブ地域では、権威主義が広がりつつあり、指導者たちは民主的な制度を弱めて権力を固めている。

NEDは、キューバ、ニカラグア、ベネズエラのように強い権威主義体制が続く国々に特に注目している。

こうした国々でNEDは、現地の団体と協力し、政権の独裁的な性質についての理解を深め、市民が独立した情報を得られるよう支援し、反民主的なプロパガンダに対抗する。

厳しい弾圧がある中でも、活動家たちは平和的で民主的な改革を進めるという強い意志を持ち続けている。

NEDは、米国政府系の反共謀略組織で、他国の「民主化」を支援するための組織である。今年、ノーベル平和賞を受賞したベネズエラの反政府活動家で、同国への軍事介入を米国に要請しているマリア・マチャドも、NEDに深く連座してきたことが判明している。

NEDの手口は共通している。メディアを使って「親米」と「反共」で世論を誘導し、一種の混乱状態をつくった後にクーデターを試みる手口である。

しかし、ニカラグアでもベネズエラでも失敗している。日本にもNEDから資金援助を受けている人物がいるという情報もあるが、詳細については分からない。

《関連記事》
トランプ政権がUSAIA傘下の全米民主主義基金(NED)への資金提供を再開(2025.05.14)
USAID傘下の全米民主主義基金(NED)が、3月5日、行政機関と政府高官を相手に提訴、「予算を違法に保留している」(2025.03.12)
国境なき記者団の「報道の自由度ランキング」のでたらめ、スポンサーは米国政府系の基金NED(2024.06.07)

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2025年12月01日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

12月13日~19日、大阪十三「シアターセブン」で中村明監督の映画「生きし」の上映が開催されます!

尾﨑美代子

12月13日から十三の「シアターセブン」で中村明監督の映画「生きし」の連続上映がはじまります。毎日監督とどなたかのアフタートークがありますが、12月15日(月)中村監督とのアフタートークで、私も一緒にお話させて頂きます。映画を見にきてください。

1993年におきた「埼玉愛犬家連続殺人事件」をモチーフに、当時報道番組のデイレクターをしていた中村明さんが作った映画です。

「愛犬家」の周辺で次々と関係者が行方不明になる、しかし殺害の証拠がない。のちに殺人で逮捕されたブリーダーの関根元(元死刑囚、2017年東京拘置所で病死、享年75歳)が「ボディを透明にする」と、徹底的に遺体を損壊し、サイコロステーキ状に切り刻み、燃やしたり、川などに捨てたからだ。

事件が何をきっかけに発覚したか?実は遺体を運んだりして事件を手伝わされた部下の男Aが、別件で逮捕された自身の妻を救出したいがために、警察、検察に告白したことからわかりました。その後Aも逮捕されますが、留置場で、妻や元妻に合わせてもらい、2人きりの密室でなんと性行為を行ったなどと裁判で証言して話題になりました。Aは出所後事件の全貌を書いた本を出版しました。私もすぐに買って読みましたが、その後誰かにあげました。まさか、今その本が10倍ほどの値段がついているとは……。(その時点では凄い内容だと信じていましたが、その後虚偽の部分があることが明らかになっています)

映画「生きし」は、事件そのものを追うのではなく、あくまでもその事件をモチーフとした内容です。関根と一緒に逮捕され、関根同様に死刑囚となった元妻・風間博子さんと、実の母親、そして娘の関係、無実を訴える風間さんと支援者らの交流などを描いています。

私が、風間さんが冤罪を主張し、現在3度目の再審(裁判のやり直し)を請求していることを知ったのは約1年前です。当初「風間も共犯だ」と訴えたAは、裁判で「風間さんは殺害に関わってない」「なぜ死刑囚になるんだ」と証言しています。

また風間さんを支援する田口佐智子さんが、別の記事でこんなコメントを寄せてらっしゃいます。「モデルの風間博子さんの交通許可を得て文通しています。事件の立件に問題があり、何の物的証拠もない死刑判決です。再審請求中。」

死刑囚となったら、親族以外なかなか面会が叶わないなか、田口さんのような支援者がおられ、大変心強いことです。しかし、この事件、私も三度目の再審請求が行われていることを知りませんでした。これをきっかけに、この冤罪事件自体へも関心を持っていただけたら幸いです。

再審法改正問題がいよいよ正念場を迎えようとしている昨今、私は、この事件と様々な点で非常に似ている和歌山カレー事件との類似点、そして再審がどのように難しいかなどについて、お話させてもらいたいと考えております。

アフタートークでは毎日違う方が登場致します。詳細や時間などはホームページでご確認ください。

みなさま、劇場でお会いしましょう!

◎「生きし」HP https://ikisi-movie.com/

◎「シアターセブン」HP https://nanageitheater7.sboticket.net/top?type=title

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

総力で年末危機を突破し、唯一の脱(反)原発雑誌『季節』の発行継続、鹿砦社の言論・出版活動継続に圧倒的なご支援を!

 私たちは『季節』の旗を守りたい! 
『季節』を脱(反)原発言論の強固な拠点にしたい! 

『季節』編集長 小島卓 鹿砦社代表 松岡利康

『季節』を愛し、また鹿砦社の言論・出版活動を支持される皆様!

『季節』2025冬号をお届けいたします。実際に寄稿や取材にご協力賜った皆様方、熱心な読者の皆様方、本誌『季節』は創刊10年(いわば“親誌”の『紙の爆弾』は20年)を経過し、発行継続困難な情況に直面しています。今号も発行が危ぶまれましたが、何とか発行に漕ぎ着けました。コロナ禍以降は、毎号発行が困難な中で、『紙の爆弾』もそうですが、心ある方々のご支援を仰ぎ資金を工面しつつ一号一号発行してきました。

私たち鹿砦社は、時代の転換点・1969年の創業以来半世紀余り、当初は時代を反映し裏切られたロシア革命史、また知られざる革命運動史(左翼エスエル、クロンシュタット叛乱、マフの運動など)、社会運動史の発掘に努め、80年代後半、松岡が経営を引き継いでからは社会問題全般、ジャニーズ問題(一昨年の英国BBCによるジャニー喜多川告発には、数年前から水面下で秘密裡に協力)などの芸能関係にまでウイングを拡げ(このことで前経営者からは「俺の顔にクソを塗った」と非難されました)、さらには2005年の親誌『紙の爆弾』創刊以来20年間、「名誉毀損」に名を借りた言論・出版弾圧(実際に松岡が逮捕、長期勾留されています)にも屈することなく、〈タブーなき言論〉の旗を掲げ続けてきました。

そうして、『紙の爆弾』が軌道に乗り経営が安定した2014年、本誌前身の『NO NUKES voice』(31号より『季節』に改題)を創刊し、常に一号一号3・11で被災、原発事故で被ばくされた方々に寄り添い発行を続け、この継続を図るために苦闘してきました。この年末がノルかソルかの正念場です!

本誌のみならず『紙の爆弾』も、あるいは当社の出版物全般もそうですが、コロナ禍を大きな契機として出版業界の情況が大きく変わり、これまでのやり方ではやって行けないことを実感させられました。しかし、いくつか新たな試行錯誤をしながらも、私たちがいまだに苦境から抜け出せずにいるのは、その本質と、想像以上の深度に気づくことができず、よって方途を見失い、具体的な出版企画に結びつけることができないからだと認識はしています。この5年間、突破口を探し模索と試行錯誤を続けています。皆様方に妙案があれば、ぜひお寄せください。

本誌『季節』も、『紙の爆弾』も、幾多の苦難(この最たるものは「名誉毀損」に名を借りた言論・出版弾圧)を乗り越え本誌は昨年10周年、『紙の爆弾』は本年4月で20周年に至り、多くの皆様方に祝っていただき、また厳しい叱咤激励も受けました。多くの雑誌が権力のポチと化し、『季節』や『紙爆』のようにタブーを恐れない雑誌がなくなったからでしょう。以後私たちは、次の10年に向けて歩み始めていますが、遺憾ながらなかなか苦境を打開できずにいます。

そうは言っても、師走に入り、ノルかソルかの勝負所、ここを断固突破しなくてはなりません! 先に発行し送付した『紙の爆弾』の定期購読者、会員の皆様方らにも申し上げましたが、断固突破する決意ですので、ぜひ皆様方のご支援をお願い申し上げます。そして、年を越し、東日本大震災から15年の来年3・11には新たな『季節』を発行し共に迎えようではありませんか!

《表紙》『原子力明るい未来のエネルギー』 紆余曲折を経て 今は文字盤だけが倉庫に眠る(絵=鈴木邦弘)

季節2025年冬号
『NO NUKES voice』改題 通巻44号
紙の爆弾2026年1月増刊
2025年12月11日発行
定価770円(税込み)

《グラビア》キオクとキロク(鈴木邦弘

小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
《報告》生命体の世界と原子核の世界

樋口英明(元福井地裁裁判長)
《報告》未来の人々から裁かれないために

井戸謙一(311子ども甲状腺がん裁判弁護団長)
《報告》311子ども甲状腺がん裁判にご支援を

《特集》福島の汚染土と汚染水の行方

山川剛史(東京新聞編集委員)
《報告》被災地の現実はどれほど報道と違うのか

鈴木邦弘(絵本作家/イラストレーター)
《報告》キオクとキロク

まさのあつこ(ジャーナリスト)
《報告》汚染土政策の変遷 「最終処分」から「復興再生利用」

和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
《報告》放射能汚染土の核心的問題

平井 玄(新宿御苑への放射能汚染土持ち込みに反対する会)
《報告》放射能のない新宿「御苑」をコモンズに
 
門馬好春(「三〇年中間貯蔵施設地権者会」会長)
《報告》中間貯蔵施設の汚染土の行方

菅野みずえ(「ALPS処理汚染水差止訴訟」原告)
《報告》ALPS処理汚染水を海に流すな

吉澤正巳(「希望の牧場・よしざわ」代表)
《インタビュー》原発事故の暴虐に「いのち」を対峙
 被爆した牛たちを飼い続けて闘う

水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
《インタビュー》『3・11の彼方から』を読む

村田三郎(医師)
《インタビュー》弱者の側に立ち、反核・反原発を闘う《後編》

末田一秀(『はんげんぱつ新聞』編集長)
《講演》エネルギー基本計画 暮らしへの影響

山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
《報告》柏崎刈羽原発の再稼働に異議あり!!

後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
《報告》原発の技術的特性と裁判の論理〔2〕

古居みずえ(映画監督)
《報告》パレスチナと福島に通い続けて
             
森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
《報告》福島から広島へ 「核被害者の権利宣言2025」が灯した希望と連帯

木村三浩(一水会代表)×板坂 剛(作家/舞踊家)
《対談》民族派と左翼の融合は可能か《前編》

三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
《報告》今、我々の置かれた場所から

原田弘三(翻訳者)
《報告》「脱炭素」の不都合な真実

再稼働阻止全国ネットワーク
《報告》危険な東海第二原発を阻止!
 「原発依存社会」へと暴走する高市政権を批判する!
 瀬尾英幸(北海道泊村在住)
 志田文広(とめよう!東海第二原発首都圏連絡会世話人)
 けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 藤岡彰弘(廃原発watchers能登・富山)
 木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 天野恵一(再稼働阻止全国ネットワーク)

《反原発川柳》乱鬼龍

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