第4次安倍改造内閣の閣僚が酷すぎる。誰が大臣になっても政治は変わらないというのは一つの真理だが、失政の多くは閣僚個人を通じて行われるものであって、そのツケはすべて国民が背負い込むことになる。どれくらい酷い政治家ばかりなのか。紹介をかねて、その言動をあばいていこう。

◆竹本直一特命担当大臣(78歳)──このIT大臣はパソコン使えるのか?

竹本直一内閣府特命担当大臣(クールジャパン戦略、知的財産戦略、科学技術政策、宇宙政策)

元サイバーセキュリティ担当大臣で「PCを使ったことがない」「オリンピック憲章は知らない」「パラピック(パラリンピックのこと)」と国民を驚かせたのは桜田義孝(五輪担当)だが、所信表明に近い改造後の発言は、その大臣の資質を自己暴露するものだ。今回、IT政策担当大臣に抜擢されたのは、竹本直一氏(78歳)である。78歳と高齢なのは、内閣が派閥均衡(ただし主流派のみで、石破派など反主流派は排除)と順送りの起用の結果だ。竹本氏も政務官や副大臣を歴任し、今回晴れて大臣就任となったわけだ。IT担当相のほか、科学技術政策担当、宇宙政策担当、クールジャパン戦略担当、知財戦略担当の特命担当大臣として初入閣である。

ところが、いやある意味で当然というべきか、早々からトンデモ事態が明かになって物議をかもしている。なんと、自らのホームページがロックされ閲覧できない状態になっているのだ。ご本人は「なぜロックされているのか、原因はわからない」という。その後、竹本氏は自身の公式ツイッターで、「ドメインを管理している会社からロックがかけられた状態になっており、復旧作業を進めている」などと説明している。

そしてもうひとつ、記者会見で突然「行政手続きのデジタル化と書面に押印する日本古来のハンコ文化の両立を目指す」と言い始めたのだ。役所をはじめとする事務手続きでハンコが必要となる煩雑さに関して、これまでにも議論が沸き起こっていたが、デジタル化を推進するはずの大臣がこんなことを言いはじめたのだ。ハンコ文化は中国・朝鮮から渡ってきたもので、それを「日本古来の」と言いなすのも見識が問われるというものだ。そして問題なのは、竹本氏がハンコ議連の会長であることだ。これは業界の利害をのみ突き出した、利益誘導ではないのか。いや、そもそも桜田元大臣といい、竹本大臣といい、高齢でとてもITに向いていない人材を、最先端技術の要職に登用しなければならないところに、安倍政権の末期的な姿がある。

◆北村誠吾地方創生・規制改革担当大臣──職務をわかっていない老害大臣

北村誠吾地方創生・規制改革担当大臣(同氏HPより)

30年以上にわたって、地元住民(建設地の地権者)が反対している石木ダム(長崎県川棚町)について「誰かが犠牲にならなければならない」と、強制収容を匂わせた大臣もいる。大規模ダムなどという昭和の遺物に執着する、まさに老害といういうしかない。

その人物は72歳という高齢で地方創生・規制改革担当大臣に就任した、北村誠吾氏である。ちなみに、地元住民は治水対策としては水道管の漏水など、生活に直結したものを優先してほしいと訴える。

9月7日にはダムに反対する集会に150人ほどが集まり、「土地の強制収用はさせない」とする宣言文を採択した。宣言文は9日に県知事あてに提出する予定。参加者は集会後、のぼりなどを掲げて市街を練り歩き「ダムは要らない。皆で止めよう」と声を上げた。北村氏は就任会見では「大臣の仕事については、これから勉強していきたい」と、準備ができていないところを自己暴露したが、官邸への呼び出しが当日にならないとわからない組閣の常とはいえ、あまりにも安易な順送り起用とはいえないだろうか。

◆衛藤晟一一億総活躍担当大臣──日本会議と現政権の直接の窓口役

衛藤晟一一億総活躍担当大臣(同氏HPより)

改造政権はポンコツであるとともに、トンデモ極右政権でもある。一億総活躍担当相として入閣した衛藤晟一氏(71歳)がその最右翼といわれている。1947年生まれで、学生時代は三派全学連・全共闘の時代とかさなる。衛藤氏は大分大学で「九州学生自治会連絡協議会」(のちに全国組織)を結成し、打倒全学連運動の先頭に立ったという。生長の家の活動家でもあった。大分市議、県議をへて衆議院議員(現在は参議院)と、官僚出身ではなくベタに党人派としてのキャリアを積んできたわけだが、その極右思想は一貫している。日本会議国会議員懇談会の幹事長をつとめ、日本会議と現政権の直接の窓口役となっている。

「日本会議の生みの親」とも呼ばれる村上正邦元参議院幹事長はインタビューでこう発言している。

「もし安倍さんが日本会議の言い分を尊重しようとしているなら、衛藤晟一を大臣にしているはずですよ。だけど、入閣させてないということは、そういうことですよ。日本会議の象徴は、稲田(朋美・防衛相)じゃない。稲田だとみんな言うが、衛藤ですよ」(「週刊ポスト」2016年9月2日号/小学館)。自衛隊の国防軍化、原発賛成、死刑制度賛成、夫婦別姓反対、女系天皇反対と、極右政治家としての基本政策はもちろん、婚外子の差別を是正する「婚外子の相続分規定改正案」に、自民党の党議拘束に反して賛成票を投じなかった筋金入りの超保守なのである。

◆お友だち起用の萩生田光一文科大臣──安倍氏・加計氏と3人でバーベキュー

衛藤氏よりもさらに極右で、しかも安倍総理にベッタリの役どころを演じると思われるのが、文部科学大臣に就任した萩生田光一氏だ。萩生氏の議員会館事務所には、なんと教育勅語が掲げられているという。

文科相としての起用には伏線がある。それは2013年には自民党の「教科書検定の在り方特別部会」の主査に就任していることだ。同部会は「自虐史観に立つなど、多くの教科書に問題となる記述がある」と教科書会社の社長や編集責任者を呼び出し、南京事件や慰安婦問題、竹島などの領土問題、原発稼働の是非などに関する教科書の記述について聞き取りをおこない、圧力をかけたこともある。

2007年には、日本会議の設立10周年大会にメッセージを送り、「行き過ぎたジェンダーフリー教育、過激な性教育」対策では日本会議の識者の先生方の後押しもいただき、党内でも問題を喚起し、ジェンダーの暴走をくい止め、正しい男女共同参画社会へと路線を変更する事ができました」などと自慢げに報告している。それよりも萩生田氏の最大の問題点は、安倍総理の「お友だち利権」であろう。

第一次安倍政権いらい、安倍総理は仲間内を大事にして、いわば上級国民ともいうべき階層を代表する政治運営に奔走してきた。大企業の法人税の軽減による「経済の活性化」という、およそ消費重視の内需拡大の経済発展ではなく、一部の資本家と上層社会が儲かる仕組みをつくってきた。

羽生田氏と安倍・家計

そしてもうひとつが、お友だち優遇の行動である。羽生田氏は選挙に落ちた「浪人時代」に、加計学園系の千葉科学大学の客員教授に就任しているが、2017年に内閣官房副長官として「教授就任前に加計氏とは付き合いはなかった」と国会答弁している。ところが、2013年ごろの写真として安倍氏・加計氏と3人でバーベキューをしている写真が暴露されたのだ。そこから「嘘つき政治家」と称されるようになったのだ。平気で嘘をつくような人物を、お友だちだからといって教育にたずさわる文部科学大臣にしてもいいのか。

反安倍から官邸での結婚報告と、安倍政権へのすり寄りに転じた小泉進次郎の環境相就任。元SPEEDの今井絵里子が当選一回ながら内閣府政務官に就任するなど、話題に事欠かない第4次改造安倍内閣。長くなりそうなので、この記事は続編を期待してほしい。

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
著述業、雑誌編集者。近著に『ガンになりにくい食生活』(鹿砦社ライブラリー)『男組の時代――番長たちが元気だった季節』(明月堂書店)など。

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玲子さん(仮名)はわたしの友人の連れ合いで、同じ年だ。友人もわたしと同学年なので3人とも「同じ年」うまれである。玲子さんは大学卒業後から専門的な職業にフルタイムで勤務し、結婚、出産を経た現在も勤め続けている。友人も悪くない収入を得ているので、お二人をあわせた年収は2000万円近くにはなるだろう。

わたしの友人と玲子さんは、学生時代に知り合い結婚した。その後お子さんが3人生まれた。わたしは友人とは気楽に話ができるが、同学年である玲子さんとは、どうも波長が合いにくい(めったに顔を合わせることもないからかもしれない)。

◆ディズニーランドとVサイン

玲子さんは忙しい中、実に活動的に生活をしている。彼女はディズニーランドの年間パスポートを持っている。いつからかは知らないが、毎年年間パスポートは購入している。いったいいくらするのか調べたら(おせっかいだが)ディズニーランドだけ入場可能な年間パスポートが、大人61,000円で、ディズニシーにも入場可能な「2パーク年間パスポート」は、大人89,000円だ。玲子さんの家からディズニーランドまで、日帰りできなくはないが、新幹線を利用しても片道3時間近くはかかるから、ディズニーランドに行くときは、だいたい近くのホテルに宿泊することになる。アトラクションが変わると、必ず出かけるそうだ。そのたびに両手いっぱいのディズニーランドで購入したお土産を買って帰ってくる。

玲子さんに限ったことではないが、わたしたちの世代には、写真や、映像に写るとき手のひらで「Vサイン(ピースサイン)」のポーズをする人が珍しくない。玲子さんは友人によると、確認できる限り慶弔時などを除けば「すべて」の写真で「Vサイン」のポーズをとっているという。それは80年代から今日まで変わらない。夫婦ともにフルタイムで働き3人の子どもを育て上げるのは、さぞかし手もかかり忙しいことだろうと想像するが、友人によれば「それほど大したことではない」という。立派なものだ。


◎[参考動画]東京ディズニーランド 周年 CM(1983-2018)

◆お子さんの不登校と友人たちとのランチ

だけれどもお子さんのうちの一人は数年前から不登校気味である。理由はわからないが親子間の問題が原因ではなさそうだ。だからであろうか。玲子さんは不登校のお子さんのことはあまり気にせず、休日には友人たちと「ランチ」(「ランチ」は「ひるごはん」の意味だと思っていたが、女性が寄る「ランチ」は「ひるごはん」を食べながら、延々何時間もおしゃべりをすることを指す場合もあると近年知った。結果解散は夕刻になる)に出かけたり、海外旅行に行くこともある。

近年出かけた海外旅行は、玲子さんの友人たちとの旅行、2泊3日だったそうだが、そこで玲子さんが納まった写真でも、やはりかならず「Vサイン」がみられる。玲子さんのほかにも結構な頻度で「Vサイン」をしている人の姿もある。何が理由だか記憶にはないが、たしかに中学時代の修学旅行や、大学時代にわたしのまわりでも、男女を問わず写真機を向けられると「Vサイン」をする姿はめずらしくなかった。いまの若者はどうか知らないけれども、わたしたちの世代にとって「写真に映るときは『Vサイン』」は結構浸透していて、染みついている。

1960年代中盤生まれのわたしたちの世代に記憶が定かなのは、大阪万博あたりからであろう。多くの同世代の知人は、大阪万博について断片的であれ何らかの記憶を語ることができる(居住地が大阪に近かったこともあろうが)。途方もない人の波と何時間にもわたるパビリオンへの入場待ちの列。子供ごころに「足痛い。こんなん、もうええわ」と退屈した記憶がある。あの記憶以降、わたしには長蛇の列は、なるべくであれば避ける習性が身についている。一方玲子さんは逆だ。2-3時間待ちはディズニーランドでは常識の範囲らしい。平日は仕事をしているから、週末に出かけることが多いという。当然ディズニーランドは、平日よりも休日のほうが混むだろう。 

◆消えた「不良」

わたしたちの世代には「不良」がいた。「不良」は見た目で識別できた。今日、わたしが知る限り、容姿から「不良」が識別できるのは大阪の南部の限られた地域と沖縄だけである(ほかにも地域はあるかもしれないが直接目にしたことはない)。
「不良」が可視的であった時代には素行もだいたい予想ができた。そしてみずからは「不良」ではないが、なんとなく「不良っぽい」姿や行為に魅力を感じる若者もいた。彼・彼女らは表立っての「悪さ」はしないが、親が出かけた友人の家に集まってタバコを吹かしたり、酒を飲んだり、いまでは「クラブ」と呼ばれる「ディスコ」に高校生(ときに中学生)であっても繰り出したりしていた。


◎[参考動画]中学生暴力白書 black emperor ブラック エンペラー

まだ暴対法や、風営法のない時代。良くも悪くも今ほど「管理」が緩い時代だった。わたしには「不良」経験はないが、玲子さんは少し「不良」っぽい姿や振る舞いをすることを好んでいたそうだ。前述の通りあの時代別に珍しいことではない。その玲子さんは大学を出ると真面目に就職。結婚をして3人の子どもの母となる。仕事ぶりは真面目だろう。同世代のほとんどは、「真面目な」勤労者や、親になっている(わたしはそうなれなかった)。

他方、「ちょっと不良っぽい」ことに憧れた、若い日を過ごした玲子さんからは、いまでも、あの頃の雰囲気がどこかに感じられる。「虚無だった80年代」といえば言い過ぎかもしれないが、表層で「不良」が暴れまわり、「普通」の生徒もちょっと憧れる。「不良」は早々に「体制化」されてゆくことは「暴走族」が訳も分からず、特攻服や日の丸を掲げていたことに象徴的だ。おなじく「ちょっと不良っぽい」に憧れた層は、より安定的に「体制化」されてゆく。「Vサイン」と「ディズニーランドの年間パスポート」は、80年代を中高生で過ごした世代、ある部分の「エキス」ともいえるかもしれない。


◎[参考動画]The Two Beats (Takeshi & Kiyoshi) 1981

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

まずは謝罪文(「週刊ポスト9月13日号掲載の特集について」「2019.09.02 19:00 NEWポストセブン)からご紹介しよう。

週刊ポスト9月13日号掲載の特集『韓国なんて要らない!』は、混迷する日韓関係について様々な観点からシミュレーションしたものですが、多くのご意見、ご批判をいただきました。なかでも、『怒りを抑えられない「韓国人という病理」』記事に関しては、韓国で発表・報道された論文を基にしたものとはいえ、誤解を広めかねず、配慮に欠けておりました。お詫びするとともに、他のご意見と合わせ、真摯に受け止めて参ります。(『週刊ポスト』編集部)

広告で煽った、特集のタイトルは「『嫌韓』ではなく『断韓』だ 厄介な隣人にサヨウナラ 韓国なんて要らない」である。そして記事のサブ見出しには「禁断のシミュレーション」「日韓両国のメリット・デメリットを徹底調査」とある。

つまり国交を断ったさいに顕われるメリットとデメリットを、さまざまな面から調査するというものだ。

具体的には「人や物の行き来が多い国同士では、経済的、文化的な損失も生まれることになる。ただ、そうした損失やリスクは、どれほどのものなのか。誠意を持って韓国と付き合おうとする際につきまとう膨大なコストと、ここで一度、冷静に天秤に掛けて比べてみたい。」(本文リードより)というものだ。

『怒りを抑えられない「韓国人という病理」』と題した記事がつづく。内容は韓国人研究者の論文を紹介しつつ、それに無批判に乗っかることで韓国人は精神病であると断じている。これに対して、小学館で執筆する作家や評論家たちが「断筆宣言」を突きつけることで、上掲の「謝罪文」となったのである。

作家たちの批判を掲げておこう。

「わたし、深沢潮は、週刊ポストにて、作家たちのA to Zという、作家仲間6人でリレーエッセイを執筆しています。しかしながら、このたびの記事が差別扇動であることが見過ごせず、リレーエッセイをお休みすることにしました。すでに原稿を渡してある分については掲載されると思いますが、以降は、深沢潮は、抜けさせていただきます。ほかの執筆陣の皆様には了解を得ています」(深沢潮)。深沢氏は両親が在日韓国人である。

「ポスト見本誌見て唖然とした。持ち回りとはいえ連載持ってるのが恥ずかしい。表紙や新聞広告に酷い見出し踊らせてるけど、日本には韓国人や韓国にルーツある人もいっぱいいるんだよ。子供だっているんだよ。中吊り広告やコンビニでこれ見たらどういう気持ちになると思ってんだよ? ふざけんなよ」「今週の記事は精神疾患当事者への偏見を煽るようなものもあってまじクソオブクソ。てかこれもう立派なヘイトスピーチ、差別扇動だろ」(葉真中顕)。

評論家の内田樹氏は「この雑誌に自分の名前を掲げて文章を寄せた人は、この雑誌が目指す未来の実現に賛同しているとみなされることを覚悟した方がいいです」「というわけで僕は今後小学館の仕事はしないことにしました」とツィートに投稿している。

在日韓国人である作家の柳美里氏も「『週刊ポスト』の『10人に一人は要治療 怒りを抑制できない 韓国人という病理』という見出しは、人種差別と憎悪を煽るヘイトスピーチです。 韓国籍を有するわたし、わたしの家族、親族、10人います。 10人のうち一人は、治療が必要?」「日本で暮らす韓国・朝鮮籍の子どもたち、日本国籍を有しているが朝鮮半島にルーツを持つ人たちが、この新聞広告を目にして何を感じるか、想像してみなかったのだろうか? 想像出来ても、少数だから売れ行きには響かないと考えたのか? 売れれば、いいのか、何をしても」と、怒りを隠さない。

しかし、問題は単なるヘイトではない。出版社が版元の週刊誌とはいえ、報道機関が日韓両国の断行を煽っているのだ。「WiLL」や「正論」など右派オピニオン誌がやるのならまだしも、報道性の高い週刊誌がこれをやったところに問題がある。「断韓」とはすなわち、韓国との国家的な関係を断つことにほかならない。もっと言えば、断行は戦争の前提であり、戦争を煽っているということになるのだ。報道機関が間接的とはいえ、戦争を煽ってしまったのだ。

メディアは政治権力を批判し、言論をもって世論を喚起するところに成立根拠がある。その報道の根本理念を忘れて、安倍政権の偏狭な外交政策に迎合し、政治権力の補完物に成り下がりつつある。これはひとり「週刊ポスト」だけではない。何でもいいから、売れればよいという傾向が強まっている。紙媒体の危機が背景にある。

◆紙媒体の低迷が生む、偏狭なポピュリズム

昨年、LGBTをヘイトクライムした「新潮45」が廃刊になった。かつては中瀬ゆかり編集長のもと、中年・壮年の男性層をターゲットに「読ませる雑誌」「納得させる雑誌」として、一世を風靡したこともあった。わたしも愛読者のひとりだった。ところが、中高年男性へのメッセージのテーマを見失って以降は、極右的な内容なら売れるとばかりに、無内容に右旋回してしまったのだ。その挙句が、「正論」や「諸君」(廃刊)の右派論壇誌に連なる極右的な中身になってしまった。それこれも、紙媒体が売れないからである。

週刊誌では“文春砲”と称される「週刊文春」が、往時の70万部から30万部に低減、「週刊新潮」も横並びだという。「週刊ポスト」とともに“ヘアヌード”で部数を競い合ってきた「週刊現代」は、いまや老人雑誌とでもいうべき惨状を呈している。最新号の目次を引いてみよう。

大人気特集第5弾  病院で死ぬのは、こんなに不幸/大事な遺産を親戚に横取りされない遺言書の「書き方」「書かせ方」/ちゃんとした外国人に聞いた 日本と韓国「どっちが正しい、どっちがまとも?」/消費税10%であなたと日本経済に起きること/飲まなきゃよかった、と後悔することになる薬/死んでからわかる、あなたの値打ち/井上陽水『傘がない』を、英語で何と訳しますか/お元気ですか?田村正和さん 財津一郎さんほか/尾野真千子 撮り下ろし
(8月30日号)

とほほ、である。部数減を「おとなの週刊現代」発行で糊塗するありさまだ。数年前に、やはり「週刊ポスト」とともに「死ぬまでセックス特集」を競い合った勢いもすでに褪せ、死に方や遺書の書き方が特集のメインなのである。ライバル誌だけに「週刊ポスト」も似たようなものだ。

週刊ポスト9月13日号
菅が二階と麻生を蹴落とした!「アベノカジノ」3兆円利権争奪戦
[潜入ルポ]アマゾン絶望倉庫/手術は成功したのに体調も気分もすぐれない…… それ、「術後うつ」「退院うつ」かも

9月6日号
死に至る「しこり」と放っておいて大丈夫な「しこり」の見分け方・あなたも老親も「ボケる前」に済ませておく手続き(23)

8月30日号
“老人ホームGメン”が教える「優れた特養[特別養護老人ホーム]」の選び方&入り方

菅官房長官のカジノ暗躍を暴露するなど、骨っぽいところも見せてはいるが、基本的に老人雑誌の記事である。

この「とほほ」状態の誌面を活性化するには、嫌韓から反韓へ、そして断韓へと最後の一線を踏み越えたのが、まさに今号の「謝罪」なのである。紙媒体への広告出稿が激減し、部数も低減するという危機的な状態のなかで、しかしだからこそ政治権力を批判する骨太なオピニオンを送り出す。かつて総合雑誌と週刊誌がメディアの王者だったことを思い起こし、原点に立ち返ってもらいたいものだ。

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
著述業、雑誌編集者。近著に『ガンになりにくい食生活』(鹿砦社ライブラリー)『男組の時代――番長たちが元気だった季節』(明月堂書店)など。

月刊『紙の爆弾』9月号「れいわ躍進」で始まった“次の展開”

安倍晋三までの62人を全網羅!! 総理大臣を知れば日本がわかる!!『歴代内閣総理大臣のお仕事 政権掌握と失墜の97代150年のダイナミズム』

〈就職活動中の学生の内定辞退率予測データを企業に販売した問題で、謝罪するリクルートキャリアの小林大三社長(左)=26日夜、東京都千代田区、就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(東京)の小林大三社長は26日夜、就職活動中の学生の内定辞退率を予測したデータを企業に販売した問題に関して都内で記者会見し、「学生や企業など多くの方々にご迷惑をお掛けし、申し訳ない」と謝罪した。同社はリクナビを利用する学生のうち、7万4878人のデータを使って内定辞退率を算出。7983人については本人の同意を得ずに外部に提供した。〉リクナビ問題、社長が謝罪=内定辞退率を分析-データの合否判定利用なし(2019年08月26日付け時事通信

どこまで大学生や受験生を、食い物にすれば気が済むのだろうか。だが、この会社には設立時から、社会的常識、順法意識、人権感覚などはなかった(なにもリクルートに限ったことではない。日本の「会社」は「社会」を逆にした固有名詞であり、多くの会社で「会社の玄関をくぐれば『日本国憲法』など通用しない。このフレーズと、本当は無視していたはいけなかった悪癖がが定着して、どのくらい経つだろう」)。

リクルートの商売は悪質だ。何回かに分けてこの通信で報告することも不可能ではないが、拙著『大暗黒時代の大学』でリクルートが、大学生をどのように食い物にしているかは、詳述してある。興味をお持ちの方はお読みいただければ幸いだ。

人の人生が「商品」になる。ん?

そういう商売をリクルート(だけではなく同じような業種の企業)は、儲けにしている。「進学情報」、つまり大学や高校の受験倍率や、志願者数、偏差値を公表している分には問題はない(しかし、企業にとっての「利益」も少ない)。そこで、リクルートが手を付けたのが、大学入試前から個々の受験生の個人情報を収集し、それを就職活動にも利用する商法だった。

それだけでも、どうして公正取引委員会が介入しないのか、と不思議であるが、このほど明らかになったのは、「内定辞退率予測データ」の企業への、有償提供(販売)である。

どうして「内定辞退率予想」(実際には内定辞退者名も含まれているだろう)を、リクルートは掌握し、企業に「販売」できたのか。それは「リクルートが就職活動にかかわる学生のほとんどの情報をもって」いなければ不可能なことであろう。どの情報をリクルートはガッチリ確保しているから、こういった「人権無視」の商売が可能になるのだ。

けれども、こういった「個人情報」のやり取りは、わたしたちの知らないところで、既に大々的に繰り広げられている。検索エンジンで何かを検索すると、それに関した広告がしつこいほど表示される経験をお持ちの読者は少なくないであろう。うっかりマイクロソフトやソフトバンクなどに、メールアドレスや住所と一緒にあなたの情報を提供していたら、もうあなたの購買嗜好は、真っ裸にされている、と考えた方がいい。

AIという名の人格を持たない、機械は、人間に近い違法行為を行っても、「人格」がないから、人間のように逮捕されたり刑事罰を食らうことはない。あくまで「機械」なのだから。でも人間よりよほど情報処理能力が優秀で、判断までするこの「人工物」は科学技術の「賜物」のようにチヤホヤされているけれども、AIが犯した罪を被るのは、結局「製造物責任」あるいは「使用責任」のある人間であることを、AI賞賛者の皆さんおわかりであろうか。

AIなどと構えなくても、エアコンの調整機能や、冷蔵庫の節電機能。自動車の電気系統や、目の前のパソコンやスマートフォンなど、集積回路のお化けのような能力に、日々わたしたちの生活は依存している。嫌ならどこか電気の通っていない場所で、生活はじめるほかない。そういう現実は受け入れざるを得ない、にしても「内定辞退率予想」を企業に販売するのは、人間の思い付きだろう。

いつまでたっても、本質的には学生や学校を食い物にしながら、狼藉を改めないリクルートという企業と、その疑似企業にはあきれ返るしかない。騙されるな!受験生、就職活動に直面している諸君!

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

月刊『紙の爆弾』9月号「れいわ躍進」で始まった“次の展開”

安倍政権に忖度するマスコミが文在寅(ムンジェイン)政権を批判するなか、ようやく自民党内部から安倍批判が出てきた。例によって、党内非主流派ながら党員に人気の高い石破茂議員である。

朝日新聞のウェブサイト(9月1日付)から引用しよう。

【自民党の石破茂・元幹事長率いる石破派(水月会)は1日、神奈川県小田原市で会合を開いた。石破氏は記者団の取材に応じ、泥沼化する日韓関係の悪化に触れ、安倍政権の対応ぶりを念頭に、「『しばらくこのままでいくしかないね』という考えがずいぶんと広がっている」と指摘。「地域の平和と安定に決して寄与しない」と述べた】

だれもが「出口がない」と感じている日韓関係である。だれも打開の必要を述べていない中で、政治家としては当然の発言であろう。本欄で何度か指摘したとおり、安倍政権の事実上の禁輸措置に始まった日韓関係の泥沼化は、文政権の崩壊を意図したものである。しかるに、米CIAではあるまいし、安倍政権に韓国の政権を倒す工作力があるわけではない。ただひたすら、頑なに対韓外交を硬直化させるばかりだ。

◆韓国叩きに熱中するメディアの危険性

そんな安倍政権の態度を忖度するマスメディアは、文在寅大統領が法相に就けようとするチョ・ググ氏のスキャンダルを報じることに熱中している。このスキャンダル隠しが韓国政府によるGSOMIA(軍事情報包括保護協定)破棄だと断じる報道もある。いまや、一億総嫌韓とでもいうべき報道がなされている。

問題にされているのは歴史問題なのである。いかに韓国の歴史教育が偏向していようと、史実をねじまげて歴史教育がなされているわけではない。大日本帝国による韓国併合という植民地支配の事実を変えられない以上、わが国は永遠に侵略国であり宗主国なのである。そうであればこそ、わが国は香港におけるイギリスのように、宗主国としてのふるまい、すなわち謝罪と誠意をもって両国関係を築かなければならないのだ。台湾に対しては、結果的にそのようになっているではないか。
さらに石橋氏の語るところを聴こう。安倍総理の口からは、けっして聞かれることのない内容だ。

【「これが(解決のための)考えだと言える人はいないと思う。それほど厳しい、複雑な、難しい状況にある」と説明。「日本と朝鮮半島はずっと関係が悪かったわけではない。長い歴史をみたとき、本当に修復不可能だと、努力を放棄していいんだろうか」と強調した。石破氏自身もこの数カ月、日本と朝鮮半島の歴史について勉強しているといい、「(歴史を)知ったうえで相手と相対するのと、知らないで相対するのはまったく違う」と語った】(前出朝日新聞ウェブサイト

◆歴史認識は「教養」である

歴史認識は立場によって、多面的な評価があって当然である。たとえばスポーツに例えてみよう。日本のスポーツの歴史の中で、野球の盛況は他のスポーツの低迷を招いたといえる。テニス関係者は「野球に人材を取られることで、かつての栄光の時代は終わった」と、イギリスから輸入された時期の全盛期を懐かしむ。

かつて、大学ラグビー全盛時代に見向きもされなかったサッカーは、Jリーグの勃興とともにナンバーワンフットボールの地位を築いた。ラグビー人気の柱だった早明両校の低迷とともに、ラグビー関係者は「サッカーに食われた」と、その惨状を嘆いたものだ。視点を変えることで、歴史の評価は多面的となる。したがって、日韓併合が韓国の近代化をうながしたという評価は、その裏側に他民族による支配・植民地化という、韓国・朝鮮にとっては屈辱の歴史を併せ持っているのである。この歴史観のギャップは、何度かの謝罪では済まない歴史の重みとしてのしかかっているのだ。さらに石破氏のいうところを、ブログから紹介しておこう。

【韓国政府によるGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄により、日韓関係は問題解決の見込みの全く立たない状態に陥ってしまいましたが、日本にも、韓国にも、「このままでよいはずがない、何とか解決して、かつての小渕恵三総理・金大中大統領時代のような良好な関係を取り戻したい」と思っている人は少なからずいるはずです。
 防衛庁長官在任中、アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)でシンガポールを訪問し、リ・クアンユー首相(当時)と会談した際、親日家の同首相は日星安全保障協力の重要性について語った後、私に「ところで貴大臣は日本がシンガポールを占領した時のことをどれほど知っているか」と尋ねました。歴史の教科書程度の知識しか持っていなかった私に対し、同首相は少し悲しそうな表情で「更に学んでもらいたい」と述べました。意外に思うとともに、自分の不勉強を恥じたことでした】

ようするに、歴史認識というのは「知識」であり「教養」なのである。政治的な言辞を都合よく使い分ける才にばかり長けた、安倍晋三総理に「知識」と「教養」をもとめるほうが無理というものだが、この男の怖いところはその時の感情で政治を動かしてしまうことだ。いまこの瞬間にも危惧されるのは「間違って戦争を始めてしまう怖れ」である。そんな安倍総理よりもはるかに合理的な改憲派で、軍事オタクでタカ派的とすら見られている石破茂氏の、はるかに常識的な歴史認識こそ、自民党の良心といえるのではないだろうか。


◎[参考動画]軍事マニアと呼ばれても「安全保障」にこだわる(朝日新聞社2018/1/4公開)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
著述業、雑誌編集者。近著に『ガンになりにくい食生活』(鹿砦社ライブラリー)『男組の時代――番長たちが元気だった季節』(明月堂書店)など。

月刊『紙の爆弾』9月号「れいわ躍進」で始まった“次の展開”

安倍晋三までの62人を全網羅!! 総理大臣を知れば日本がわかる!!『歴代内閣総理大臣のお仕事 政権掌握と失墜の97代150年のダイナミズム』

突然、横浜市(林文子市長)がIR(カジノをふくむ統合型リゾート計画)誘致を発表した。林市長は市議会に誘致に関連する約2億6000万円の補正予算案を提出し、2020年代後半の開業を目指す考えだという。IRをめぐっては大阪府、大阪市、和歌山県、長崎県が誘致を進める方針を表明しているが、首都圏では横浜市が初めてだ。

横浜市のIR誘致は、横浜港の山下ふ頭を再開発する計画の中で議論されてきた。そのなかで林文子市長は、この2年あまり一貫して慎重に検討する姿勢を示してきた。知事選挙のときも「カジノは白紙」の公約だった。ところが、ここにきて「積極的に誘致」と、君子豹変したわけだ。その豹変の裏側には何があるのだろうか?

◆港運協会が反対を表明

その日のうちに、横浜港運協会は絶対反対を表明した。藤木幸夫会長は「大きく顔に泥を塗られた。俺一人になっても反対する」「私は命をかけている」「反対のためなら、もうおとなしくはしていない」と記者会見で発言し、絶対反対の意思をしめした。

地元のFMラジオ局の社長や横浜スタジアムの会長を務める藤木氏は、政財界にも顔が広く、“ハマのドン”と呼ばれている人物だ。もともと林市長の後援者でもあり、横浜自民党にも大きな影響力を持っている。その藤木氏が態度を硬化させたことで、林市長が掲げたカジノ構想は早々に大きな壁にぶつかったことになる。市民の間にも治安悪化やギャンブル依存症の増加に対する懸念も根強く、はやくも市民団体が市庁舎に押し掛けるなど、反発が全面化している。

気になるのは日本政府のうごきである。カジノ構想自体は20年以上前から具体的に検討されてきたが、安倍政権になってから本格化した。そしてトランプ政権の登場によって具体化したのだ。そこには、ある人物の暗躍があった。

◆仕掛人は菅官房長官だった

2014年の夏、永田町からほど近いホテル内の日本料理屋で、数人の政界関係者による会合が催されている。その日の座の主役は、2012年12月いらい安倍内閣において官房長官を担い続ける菅義偉氏だった(「週刊新潮」)。

その場にいた政界関係者によれば、雑談の流れの中で「統合型リゾート整備推進法案(カジノ法案)」の話になったという。
「やっぱり、候補地はお台場が有力なんですかね」
という政界関係者の問いに、菅氏は顔色を変えずに応じた。
「お台場はダメだよ。何しろ土地が狭すぎる」
それではどこが適地なのか。沖縄か、大阪か? そんな場の雰囲気を察したように菅氏はこう言ったのだ。
「横浜ならできるんだよ」

この時点において、横浜を候補地としてあげる声がないわけではなかった。しかし、それはごく一部で囁かれているに過ぎず、あくまでダークホースの扱いだった。そんな中で現職の官房長官の口から、自らの地盤でもある「横浜」の二文字が語られたわけだ。

じつは、横浜IR立候補に反対を表明した藤木会長は、菅官房長官の有力な支持者でもあった。自民党神奈川県連の幹部はこう語る。
「(菅氏が政治家となった横浜市議選で)藤木幸夫さんは、“あいつ(菅氏)を勝たせる”と言って相当応援していた。藤木さんはいろんな会社をもっていて、その下に大勢の従業員がいる。そんな彼らは“藤木軍団”と呼ばれていて、選挙の半年前くらいから動いてくれる。菅の最初の選挙の時は藤木さんの側近が入っていたはず。ただ、藤木軍団は選挙事務所には来ず、独自に動く。それを選挙事務所は把握していないし、報告も受けない」

別動隊として動くというのだ。奥ゆかしいのか、それとも独自の力で議員を支配しているのか。いずれにしても、選挙こそ議員の泣きどころであるのを知っているのだ。その意味では、林市長も藤木会長の怒りには圧力を感じることだろう。

市議に当選した後も、菅氏と藤木氏の関係は続いた。ある横浜市議が語る。
「ある時、藤木さんに会食に誘われた。無所属だった私を自民党に入れようとしたようで、会食の席で藤木さんから“信頼できるヤツ”として菅さんを紹介されたんです」
「国会議員になってからも、菅さんは藤木さんに頭が上がらないようだった。携帯に電話がかかってくると、“会長!”と言っていた」(永田町関係者)という。そしてその藤木会長も、菅の横浜カジノ誘致には積極的だったのだ。菅の横浜誘致構想に藤木が賛意をしめすと、マスコミはこぞって「ハマのドンがカジノ誘致にうごく」と報じたものだ。

その藤木会長が、「おれの顔に泥を塗らせたやつがいる。安倍総理の腰ぎんちゃく(菅官房長官)だ。そして安倍総理は、トランプ大統領の腰ぎんちゃくだ」と、真っ向から反旗をひるがえした、いや堂々と正論を述べたのだ。おもて向きは「ギャンブル依存症を勉強すると、たいへんなことになるのがわかった」「港湾労働者たちが、おカネも食べるものもなく、黙って働いて築いてきた場所を、ゴロゴロ(ギャンブル)の場にするなんて、とんでもない」と、林市長の態度の変化に憤っている。じつは、カジノ資本による横浜占拠への危機感、そしてアメリカの日本買いへの危機感が、藤木会長を動かしたといわれている。

◆安倍政権のトランプ追従政策がその根源だ

今回の横浜市の発表に合わせて、アメリカのギャンブル企業(経営者は強力なトランプ支持者)が大阪構想からの撤退と、横浜誘致計画への参入を表明した(発表は同日であった!)。ここにこそ、今回の事態の本質が顕われているといえよう。カジノは賭博であり違法行為であるとか、眠たいことを言っているのではない。今回の計画はアメリカの横浜買いであり、安倍政権のトランプ追随の副産物なのだ。

藤木会長が言うとおり「ギャンブルは五秒で高額な財産をうしないかねない」危険な遊びである。パチンコのように数百円、千円単位で遊ぶものでもない。いや、パチンコですら、ギャンブル依存として街金から多重債務になる依存症患者が出ている。これらギャンブル依存症によって成立する国家財源を、はたして健全といえるだろうか?

仮に誘致が実現すれば、同市の試算ではインバウンドをふくむ訪問者数は年間2000万人を上まわり、区域内での消費額は4500億円以上。さらに建設時に7500億円、運営時には年間6300億円を超える地域経済への波及効果が見込まれ、最大で1200億円の増収が期待できるという。しかしこれは取らぬ狸の皮算用というほかない。たとえばラスベガスのように、アメリカの富と享楽を代表する都市は、きわめて限られた娯楽都市にすぎない。

筆者もマカオやフィリピンのセブ島などのカジノを体験したことはあるが、貧困地域に世界の金持ちを集めるコロニアリズムの残滓である。ベガスには遠く及ばない。横浜の経済規模でも中途半端なものしか出来ないであろう。韓国ではすでに十カ所の海外客向け、1カ所の国民向けのカジノを持っているが、収益は微々たるものだという。ラスベガス級のものを計画すれば、横浜市全体を享楽都市化するしかないだろう。現在の計画では山下埠頭のみだが、みらい地区や山下公園、元町にも近接している。カネをすり減らしたギャンブル依存者たちが、これらファミリーリゾートやカップルの聖地で犯罪をおかすことも考えられないではないのだ。

なお、の3つの枠を競うのは現在、横浜市、和歌山県、大阪府と市、長崎県の4カ所。このほかにも北海道、東京都、千葉市、愛知県などが誘致を検討しているという。林市長は将来の財源のためにカジノを誘致したいという。しかし国の未来、子供たちの将来を、ギャンブルとアメリカに売り渡す愚策こそ、覆えされなければならない。

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
著述業、雑誌編集者。近著に『ガンになりにくい食生活』(鹿砦社ライブラリー)『男組の時代――番長たちが元気だった季節』(明月堂書店)など。

月刊『紙の爆弾』9月号「れいわ躍進」で始まった“次の展開”

安倍晋三までの62人を全網羅!! 総理大臣を知れば日本がわかる!!『歴代内閣総理大臣のお仕事 政権掌握と失墜の97代150年のダイナミズム』

2020年東京五輪で実施されるマラソンスイミングのテスト大会が11日、東京・お台場海浜公園で行われ、高い水温に加え、水質問題では選手から悪臭に懸念が示された。(時事通信8月11日配信)

2020年東京五輪・パラリンピックのテスト大会を兼ねたパラトライアスロンのワールドカップ(W杯)は17日、会場となる東京・お台場海浜公園のスイムコースの水質が悪化したとして、スイムを中止してランとバイクのデュアスロンに変更された。大会実行委員会によると、16日に実施した水質検査で大腸菌の数値が国際トライアスロン連合(ITU)が定める上限の2倍を超えた。(共同通信8月17日配信)


◎[参考動画]大腸菌が基準値超え…トライアスロンでスイム中止(ANNnewsCH 2019/8/17公開)

◆「復興五輪」?「コンパクトな五輪」?

2019-2020 licensing road map

無謀にも灼熱地獄の中で予定されている東京五輪・パラリンピック。上記報道の通り東京湾の汚染により「海に入れない」状況が生じることが証明された。そうでなくとも(東京在住の方には失礼当たるが)東京湾の汚れ具合は周知の事実で、あんなところで、よく海水浴をするな、としきりに感心していた。東京湾の海底にはヘドロが堆積し、福島原発から垂れ流されるストロンチウムなども漂着しているのではないか。

そうまでして、東京五輪にしゃかり気になるのは、どういう人たちだろうか。その筆頭は、日本政府だ。「復興五輪」(ちょっと考えれば「復興」と「五輪」はまったく関係ないことは誰にでもわかろう。外国人労働者を本格的に差し向けなければ足りないほど、作業員の不足が著しい、福島第一原発事故現場の収束作業に当たることができる人が、五輪のための建築現場などに大幅に吸収されている)。

もうこれ以上アスファルトで埋め尽くす場所はない、といっても過言ではないほど舗装の行き届いた東京。1969年とはわけが違うのに、金の使い方は当時の比にならない。「コンパクトな五輪」を謳っていたいた当初の姿勢は見せかけで、運営費だけでも3兆円かかると大会実行委員会は開き直りだした。最終的にはもっとかかるだろう。実行委員会のある理事は「これほどスポンサーの皆さんとスムースに仕事ができるのは実にありがたい」と述べていた。

そりゃそうだろう。朝日・毎日・読売・産経・日経に加えて北海道新聞までがスポンサーになっている東京五輪に、根源的な批判が向けられるはずがない。。その他のスポンサー数や業種も「よくぞここまで便乗するな」とあきれるほどだ。便乗企業の商品化カタログは180頁にわたる(https://tokyo2020.org/jp/organising-committee/marketing/licensing/)。引出物のカタログでも180頁の商品カタログに、庶民はそうそうお目には書かれまい。

そして、存在自体が反自然の観点からは「犯罪」ですらある、「東京」という町である。大きなポスターだけでも結構威圧感があるのに、最近は広告表示が液晶にかわった。東京駅で新幹線を降りて改札口を抜けると液晶に写される動画広告に、気分が悪くなるので、わたしは下ばかり向いて歩く。

◆「万博」だの「五輪」などは、すべて行き着く先が「政治」である

ところで、この国は、こういう「乱痴気騒ぎ」をやっている場合だろうか。福島をはじめとする東日本大震災の被災者の方だけではなく、広島、熊本、など自然災害の被災地は全国に及び、いまだに仮設住宅で暮らしている方々、あるいは仮設住宅を追い出されて。青色吐息でこの猛暑の中暮らしている方々が何万人もいるではないか。

自然災害と人災の被災国日本は、

《日本国憲法第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。》

を享受できていない人たちが、膨大に目の前にいるじゃないか。

「万博」だの「五輪」などは、すべて行き着く先が「政治」である。いま、既成政党で「東京五輪」に明確に「開催反対」を唱える政党があるだろうか。わたしは、日本人のこういった「集団主義」に虫唾が走る。逃げ出したくなるがそうもいかないから、数少ない読者諸氏に訴えるしかない。毎年夏の暑さは「命にかかわる」レベルが当たり前になった。そんな中で意味のない金を使い、広告代理店や、一部大企業を儲けさせる、イベントに“庶民”が何かを期待する「愚」はもうそろそろ終わりにしよう。

この国際化が進んだ時代に、恥ずかしくも隣国への侵略史を直視できない日本が、五輪を開催しても何の意味もない。便乗商法で儲かる企業と、一部のアスリート。そして「踊らされる」庶民が騒ぐ。新聞もテレビも五輪一色。そういう時に、悪政や、儲けにさとい連中は着々と準備を進めるのだ。

いまからでも遅いか、遅くないかは関係なく、無駄と浪費、弱者切り捨ての「東京五輪」に反対の意を再度明らかにする。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

月刊『紙の爆弾』9月号「れいわ躍進」で始まった“次の展開”

創刊5周年〈原発なき社会〉を目指して 『NO NUKES voice』20号【総力特集】福島原発訴訟 新たな闘いへ

田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

ゆるぎない確信があるわけではない。情報源は、マスメディアと知人からの個人筋をもとに、わたしが感覚的に推測するだけだ。歴史の勉強も人並みにしていない知識からの予感が外れる可能性が大きいであろう。だが敢えてわたしの直感を書こうと思う。

不確かな未来予想は好きではない。わたしは、この国が2030年にはおそらくいまの形では残存しない、と考えていることを本通信で何度か明らかにしてきた。そちらの予想にはかなりの自信を持っている。ここでは述べないが数々の根拠があるからである。

◆一周遅れの「統一」へ

韓国とこの国の関係が険悪になっている。中途を飛ばしていきなり結論を述べよう。

《韓国と朝鮮(水面下では米国・中国にも通告。両国の内諾を得、日本は無視)は、具体的な時期は見通せないものの、「統一」に向けて合意をした》

冷戦時代には、国境を接して同じ民族が分断国家にされていた。世界的にその影響が顕著だったのは東・西ドイツだろう。「ベルリンの壁崩壊」により統一をみたドイツと、同様の悲劇がなぜ朝鮮半島では放置されてきたのであろうか。

ソビエト社会主義共和国連邦、最後の最高権力者、ミハエル・ゴルバチョフは、東ドイツの最高権力者、ホーネッカーから相談を受け、実質的な東西ドイツ「統一」を認める許可を出した、と何度も語っている。

冷戦の処理もやはり欧州が優先されたのか。ベルリンの壁崩壊から四半世紀以上が過ぎ、東西ドイツの統一と比較すれば、またしてもアジアの悲劇は後回しにされたのか。との斜めからの分析もこじつけには聞こえない。「歴史は相変わらず欧州優先なのかと」(東西冷戦終了後に欧州で発生したユーゴスラビアなどの内戦から目を離すわけにはいかないが)。アジアは世界の秩序整理のなかで、欧州の問題が片付いた後にしか、気を回してもらえないのか(欧州、アジア格差もさることながら、アフリカにおける実効的な植民地支配が終わらない現実は、さらに悲劇的である)。

◆民主派の系譜

軍政の時代が終わり、民政に移管しても韓国の保守勢力は日本の保守反動勢力と戦前以来の気脈を通じていた。李承晩、朴正熙、李明博、朴槿恵らはその系列の大統領だ。ときに、「反日的」カードを切ることがあっても、日本占領時代からの性癖が抜けず、財閥優先の経済政策と近親者優遇の悪癖が続いており、日韓の保守反動地下水脈の利益の軌道は、つねに表には出なくとも一致を見ていたのである。重要なことは「韓国の保守勢力は心の中では『日本が嫌い』だが、自分の利益のためには、日本の利権と手を繋ぐのに躊躇しない」点である。

他方、文在寅大統領は、金大中、廬武鉉と続く民主派の系譜にある人物だ。10親等までの親戚づきあいを拒否できない、儒教習慣が、いまだに残る韓国では、革新的な指導者であっても、賄賂や近親者優遇から無縁でいることは、日本とは比較にならぬくらいに難しい。廬武鉉氏の自死もそのような件に絡む自責が理由だった。

韓国の民主派勢力は幅が広い。左翼勢力も変動は激しいものの、必ず一定の力を保持している。ローソクデモで朴槿恵を大統領の座から引き摺り下ろした主役には、梨花女子大学の女子学生の力だった。彼女たちは日頃、学生運動の戦士ではない。ファッションには、かなり神経もお金も使う。ボーイフレンド選びにも、熱心である。だが、ここぞというときには反政府行動に身を投じることをいとわない。なぜか。韓国の民族史も理由になろうが、彼女たちは「親の背中」を見て育っているのだ。当然ながら、日本には残念ながら梨花女子大と学風が匹敵する大学はない。

◆世襲議員の「澱」

1965年に不平等条約である「日韓条約」が締結されると、この国の中では大韓民国だけが朝鮮半島における、合法的な主権国家であるとの態度が示される。しかし、それは国際社会の中にあって、圧倒的に異端な規定であった。日本は、国際法上正当と主張する「日韓併合条約」を大韓帝国に締結させているのだ。「日韓併合条約」の強制的締結前、数年の歴史を日本の受験生のほとんどは、知らない。否、受験生だけでなくわたしたちはおしなべて日本が朝鮮半島を侵略した歴史の詳細をほとんど知らない。そして「日韓併合条約」と「日韓条約」の決定的矛盾をこの国の学者、報道は問題にしようとはしない。しかし、「侵略」された側の韓国・朝鮮のひとびとは、苦難の歴史を義務教育から教えられる。

河野太郎が外相に指名されるとは思わなかった。彼の父河野洋平は「河野談話」を残した人物であるし、河野太郎も平議員のときは、福島第一原発事故後、毎日放送の「種蒔きジャーナル」に出演して「僕は確信的な反原発です。自民党の中にもそう思っている人は結構いると思います」と無責任な発言をしていた。

所詮世襲議員とは、「澱」が溜まっていくもので、くそ生意気に河野太郎は「外相専用機が欲しい」だの、今般の韓国との間での関係悪化では、あろうことか駐日韓国大使を呼びつけて「無礼だ!」とまで調子に乗った。

いいか。河野太郎。一度吐いた言葉は戻らないんだよ。

安倍を中心とする、歴史修正主義者と、与野党含め根源的な政権批判すらなくなった「大政翼賛会」状態で、「歴史を知らない」日本人の多くは、やはり「歴史を知らない」マスコミが作り上げる「反韓国」世論に、簡単に便乗させられる。朝日新聞も、読売新聞も、なんとか民主党も、だれもが「韓国批判」が正義であるかのように、羞恥心を失い馬鹿なことばかりを発信する。

わたしは、極めて不愉快だ。そしてひとつだけ「反韓国」の論調を先導する、
あるいはそれに領導される、無知なひとびとに問いたい。

「あなたはこれまでに、いったい、何人の韓国人と腹を割って話をしたことがありますか? そこまでの関係ではなくても、韓国人や朝鮮の人が歴史的に、日本をどう見ているかを知っていますか。そしてそれが事実であることを」

反日有理。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

月刊『紙の爆弾』9月号「れいわ躍進」で始まった“次の展開”

◆安全保障レベルでも手切れの日韓

ついに韓国文政権が、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると宣言した(8月22日)。この措置によって、わが国は対北朝鮮のミサイル情報が得られなくなる可能性がある。日韓は安全保障レベルでも、同盟国・友好国ではなくなったのである。いまや両国の観光産業は疲弊し、民間交流も途絶えがちだ。どうしてこんなことになったのか?

相手が「反日と反共」「容共と反日」の「分断国家」とはいえ、そうであるがゆえに揉めれば泥沼化するのはわかっていたはずだ。張本人は安倍晋三、そのひとである。安倍晋三の脅してみたい「感情」から発した韓国イジメが、いよいよわが国の安全をおびやかすところまでやってきたのだ。この男に国政をまかせたままでいいのだろうか?

もちろん最大の原因は、大統領が代わるたびに前大統領が殺されるか投獄されるという、ひとつの国家のなかに「保守反共」と「容共親北」政権が入れ替わり、反日という国是を統治原理にする韓国に起因するものだ。それはしかし、日帝支配36年の「恨」が生んだ二重の分断国家なのである。いわば大日本帝国の侵略行為がつくった国であり、その国民性なのである。


◎[参考動画]韓国 GSOMIA破棄を発表(ANNnewsCH 2019/8/22公開)

◆「謝罪」をもって、宗主国としての「権威」をしめせ!

たとえば自由をもとめる動乱を余儀なくされている香港の民衆は、ユニオンジャックを掲げて民主化をもとめている。かくあるべきはずの宗主国の「権威」と「正義」が、朝鮮半島においては「反日」エネルギーとしてしか横溢していないのだ。そんな韓国国民の「反日」と「恨」をも了解の上で、日本の民間人たちは「友好関係」を築こうとしてきた。その多くは中高生であり、民間ボランティアである。そしてビジネスマンたちだった。

ところが、わが安倍総理においては韓国の政権交代の展望も政治工作もないまま、事実上の「禁輸措置」をもって経済戦争に突入してしまったのである。落としどころもない、その意味では無策の経済戦争である。たとえば朴槿恵政権時には、二階幹事長が独自の政治外交をして従軍慰安婦問題への「謝罪」を約するなど、まだしもチャンネルが確保されていた。ところが安倍政権には、まったく何もないのだ。


◎[参考動画]河野大臣が談話「見誤った対応 断固抗議」(ANNnewsCH 2019/8/22公開)

◆韓国はふたつの国家である

ソウル発の時事電によると、韓国の調査機関リアルメーターが8月7日に発表した世論調査では、8月24日に期限を迎える日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について、延長せずに「破棄すべきだ」との回答が47.7%に達し、反対の39.3%を上回っていたという。

調査によると、文在寅大統領を支える革新系の与党「共に民主党」の支持者のうち、破棄賛成が70.8%、反対15.6%。一方、保守系の最大野党「自由韓国党」支持者では賛成14.6%、反対76.5%で、与野党の支持者の間で延長の是非をめぐる意識のずれが鮮明になっていた。このように韓国はふたつの国家なのである。そうであればこそ、安倍総理は文政権を倒すために今回の「禁輸措置」に踏み切ったのであろう。だが、それを担保するものは何なのか?


◎[参考動画][NEWS IN-DEPTH] Korea withdraws from GSOMIA amid trade tensions with Japan(ARIRANG NEWS 2019/8/22公開)

◆何だって報復手段になるのだ

世耕弘成経産相は22日の閣議後の記者会見で、日本が対韓輸出管理を厳格化したことへの事実上の対抗措置として、韓国政府が日本産食品などの放射性物質の検査強化を発表したことについて、「(日本の措置は安全保障上)国際的に認められた措置であり、他の分野に波及させるのは好ましくない」と述べ、韓国側を批判したという。現在の情勢の下では、ほとんど寝言にしか聞こえないコメントだ。

これほど政治をわかっていない人物が、経産大臣を務めているのだ。小学校の学級会ではあるまいし、このかんの徴用工→禁輸措置(ホワイト国除外)→WTO提訴およびGSOMIA破棄、そして放射税物質の検査強化という、一連の流れが読めないのなら政治家失格である。国家と国家が外交戦を展開しているのに、「それは本題とは違うんだ」とか、そもそも成り立つはずがないではないか。そればかりではない。

◆ふたたび文化鎖国への道

韓国のミスコリア運営本部は8月5日、11月に日本で開かれる国際コンテスト「ミス・インターナショナル世界大会」への不参加を発表している。「日本の『経済報復』に対して全国民が不買運動などを行っている時期に、日本で開かれる大会に参加することはできない」という理由だ。

主催する国際文化協会(東京)によると、世界大会は日本企業の協賛で行われ、韓国代表も毎年参加していた。大会期間中に日本国内の観光ツアーや文化体験なども含まれており、韓国のミスコリア運営本部は「日本文化や日本ブランドの広報役を義務的に行うことになる」ことも不参加の理由に挙げたという。つまり韓国は、ふたたびの文化鎖国に踏み切ろうというのだ。軍事的な手段に至っていないとはいえ、(経済)戦争なのだから何でもする。いまや可能な範囲で、総力戦が始まっているのだ。

「日本外し」の動きはスポーツ分野にも及ぶ。ソウル市は10月に予定する「ソウルマラソン大会」の協賛企業から、スポーツ用品大手ミズノの韓国法人の除外を決定したと発表。市は決定理由を「市民感情を考慮した」などとする。市によると、大会ではミズノが提供する大会記念Tシャツが参加者に配布される予定だったという。このうえ韓国が、本気で東京オリンピックをボイコットしたら、安倍晋三の名は外交をわかっていなかった無能宰相として名をとどめるであろう。


◎[参考動画]South Korea-Japan trade war tensions flare(South China Morning Post 2019/08/21公開)

◆戦争と核武装を廃棄させ、南北統一をリードせよ

左派政権であれ右派政権であれ、韓国人の本音は日本を圧倒したいのだ。そうであれば、核熱戦争を回避する南北統一でわが国を圧倒させてやればいいではないか。それが極東戦争の回避につながり、朝鮮半島の非核化を実現するのであれば、宗主国としての度量をしめすことになるはずだ。

すでに文在寅大統領は「北朝鮮との経済協力で平和経済が実現すれば、一気に日本の優位に追い付くことができる」「経済強国として新しい未来を開いていく」と発言している(8月5日)。韓国でも現実離れしているとして真意を疑う見方が強いとはいえ、「日本経済が韓国よりも優位にあるのは経済規模と内需市場だ」「今回のことで平和経済が切実であることを再確認できた」と率直に述べ、いわばわが国を範としながら南北統一を展望しているのだ。宗主国として、手を差し延べればいいではないか。圧倒されればいいではないか。

何の展望もなく、腹立ちまぎれに経済戦争を仕掛けて、その落としどころもわからない。それがわが安倍政権なのだ。この事態を「子どもっぽすぎる」(山本太郎)というのは、至極当然のことである。

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)
著述業、雑誌編集者。近著に『ガンになりにくい食生活』(鹿砦社ライブラリー)『男組の時代――番長たちが元気だった季節』(明月堂書店)など。

月刊『紙の爆弾』9月号「れいわ躍進」で始まった“次の展開”

安倍晋三までの62人を全網羅!! 総理大臣を知れば日本がわかる!!『歴代内閣総理大臣のお仕事 政権掌握と失墜の97代150年のダイナミズム』

8月22日15時30分から大津地裁で、滋賀医大附属病院泌尿器科の河内明宏、成田充弘 両医師が23名の患者さんに施術の実績がないことを伝えずに手術を行おうとした「説明義務違反」の損害賠償を求める裁判の6回目の弁論が開かれた。また前日21日大津地裁から、原告弁護団に「22日に債務者(滋賀医大)が申し立てた『異議』についての審尋結果を報告する」との連絡がはいり、急遽22日の午前中に債権者(岡本圭生医師)の弁護団が大津地裁に結果を受け取りに行ったところ、債務者(滋賀医大)の主張はすべて退けられ、5月20日に下された「決定」が引き続き維持された。

この裁判報告も6回目の期日を迎え、毎回似たような記事構成になり、読者の皆さんにも退屈される恐れがあるので、今回は同日のイベントを時系列とは逆にご報告する。

16時から弁護士会館で記者会見が行われた。

期日の説明を行う井戸弁護団長

井戸弁護団長がこの日法廷でのやり取りと、仮処分に関する説明を行った。

「午前中に保全異議についての決定が出ましたので、これについてご報告いたします。記者の方のお手元には決定の写しがあると思います。主文だけ見るとちょっとややこしい。いったいどうなっているのか、と印象を受けられたかもしれません。主文の1に書いてあることは、『7月1日から7月17日までの取り消しを求める部分を却下する』。(大学が)異議の申し立てをしたのが7月18日だったので、17日までの妨害禁止、もう過ぎたことについては、『異議の申し立てができません』そういう話です。そして第2項の7月18日から11月26日までの妨害禁止を命ずる部分を認可する』これは5月20日の大津地裁決定が、相当であるからそれを認める。滋賀医大側の異議の申し立ては認めない。そういう内容の決定です。
 理由については基本的に5月20日の決定と同じ考えに立っています。(この審尋を)構成した裁判官は仮処分決定のときと違います。いずれも大津地裁民事部の裁判官ですが、合議体は違う裁判官が構成しています。したがって大津地裁の6人の裁判官が、この仮処分を認めたと受け取って頂いてよいと思います。
 異議段階で新たに出た滋賀医大の主張に対しては、判断を示しています。1つは『岡本医師の被保全権利が特定されていない』。妨害禁止と言われても、滋賀医大としていったい何をしていいのか。何をしてはいけないのかということがわからないから、裁判所が『どこまで許されて、どこから許されないかわからないような明確ではない決定をすべきではない』という趣旨の主張です。これについては『6月まで岡本医師がしていたことを、同じ体制でやれ』と言っているだけで、特定されていないということはない。特定されている。問題ないんだという判断です。医療ユニットの内実は何なのかですか、となるわけです。
 1つは理屈の問題です。それから保全の必要性について、『7月1日以降、小線源治療はできないにしても、いままでの治療実績をまとめたり、研究活動はできるわけであって、6月間治療ができないにしても、岡本医師の教育研究活動をする権利を、制限するものではない』というのが滋賀医大の主張でしたが、小線源講座の特任教授として、どういう治療・研究活動をするのかは、岡本医師の広範な裁量に委ねられているのであり、6カ月治療をさせないでもよい、という理由は成り立たない、と明確に述べています。
 岡本医師側の主張を全面的に認めた決定である、とご理解いただいていいと思います。これに対して滋賀医大側がどうしてくるかですが、保全抗告の申し立てをしてくるか、これで断念して受け入れるか、どちらかです。しかし、大津地裁の6人の裁判官が同じ判断をしたということ。しかも5月20日付けの決定を踏まえた主張も、ことごとく退けられているわけですから、滋賀医大としてはこれを受け入れ、保全抗告をしないで今後11月26日まで、期限は切られていますが、小線源治療の実施に協力すべきであると思います。
 現在毎月の第一火曜日の小線源治療の治療枠については、岡本医師にさせないという態度をとっていますが、それも撤回して11月26日までは全面的に岡本医師の小線源治療に協力する。そういう姿勢を取るべきだと改めて強調したいと思います。
 それから本日の訴訟口頭弁論の結果を御報告いたします。準備書面は今回被告側から準備書面6が出てきました。あまり大した内容はないのですが、前回被告が使っていた「責任教授」という概念、小線源講座における責任教授が河内医師である。岡本医師は特任教授であり河内医師が責任教授であると主張していたので、『責任教授とは、なにに基づく概念なのか』とこちらが説明を求めました。それに対して『規則上定められた概念ではない。診療科や講座について、運営の責任を負う教授を指す事実上の表現である』と、なんら根拠のある概念ではないと説明をしてきました。
 そして被告側から証人尋問、本人尋問の申請がありました。従前原告側からは原告4名の本人尋問、岡本医師の証人尋問、それから塩田学長と松末病院長の証人尋問の申請をしておりました。今回被告側は被告河内・成田医師の本人尋問の申請、証人としては塩田学長、松末病院長、それから放射線科の河野医師、トミオカ氏(事務職員)、オカダユウサク(以前泌尿器科の教授)の申請をしてきました。裁判所はトミオカ、オカダ証人については必要がないと却下されました。その結果尋問をするのは、原告4人と被告の河内・成田医師、補助参加人である岡本医師。それ以外に河野、塩田、松末。10人の尋問をすることになりました。
 次回期日は10月8日11時30分に決まりましたが、次々回と次々々回が尋問の期日で、きょう証人の予定者の都合がわからないということで、正式には決まりませんでした。11月、12月、一番遅くても1月14日までに2期日取って、10人の尋問をすることが決まりました。ずいぶん先になるなと印象を受けられた方もおられるかもしれませんが、裁判所の実情からすれば、かなり熱心に前向きに、早く尋問をしようと臨まれたと思います。西岡裁判長は来年3月に転勤が決まっているそうですが3月までに判決を書くと法廷に名言されました。この事件に積極的に臨まれていると評価していいのではないか、と思います」

次いで岡本医師が見解を述べた。

厳しい表情で滋賀医大の不正を弾劾する岡本医師

「私が本学に抱いている基本的な不信感は、なにを目的に異議申し立てをおこなったかです。裁判所の時間を使い、エネルギーを使ってなにを求めているのか全く理解できません。お手元の資料にありますが6月25日に『本院における泌尿器科の小線源手術を7月から開始します』と書いてあります。ところが(泌尿器科による小線源手術は)行われていないのです。非常に由々しき問題です。
 このコメントの中には、私が治療継続していることも、一切触れられていない。つまり泌尿器科が7月から小線源治療を行うことは、1年半前からずっと言ってきたことです。仮処分に関係なくやろうとしていたのですが、実際患者さんは一人もいない。何人かそこにトラップされた患者さんたちは、私のところへ逃げてきています。話を聞くと私が並行して手術をしていることを全く説明されていない。国立病院がやれもしない、患者さんのいない計画を、いまでも世間に向けてはやっていることになっているわけです。
 もう一つは、もし我々が仮処分を打たなければ、何が起こっていたか。7月も8月も9月も患者がいないわけですから、小線源治療手術室、スタッフなにも使われないわけです。ただ手術室を空室にして、病院としての役割を果たさずに、ここにおられる仮処分後に治療を受けられた方々に、治療をさせない。これが病院にとって合理的である、管理の権利であるなどと主張していますが、言語道断です。
 このようなことを認めていたら国立病院は成り立たない。泌尿器科に患者がいて、私の治療とバッティングして手術ができない、そういう主張であれば理解できますが、実際に患者はいない。この状況で1週目の治療枠を(泌尿器科が)とって、9月に至っても手術室を使わずに患者さんの治療機会を流す(失わせる)。このようなことを院長がやっていること自体を社会は許してはいけないと思います。まったく合理性がないどころか、反社会的行為としか言いようがない。
 それから私に対するバッシングをいろいろな形でやっています。資料にある6月11日、前回の口頭弁論の期日です。この日に病院長名で『前立腺がんについて』がホームページに掲載されました。これを見ると国立がんセンターのロゴが出てきます(※この部分説明が詳細に及ぶので割愛。なお、本問題については6月28日付、黒藪哲也氏の報告を参照されたい)。「岡本の治療に来なくても他へ行ってもいい」といいたいのかもしれませんが、このような情報操作のようなものを、平気で書き出してきて病院のHPにわざわざ書く。なにを狙っているかと言えば、明らかに岡本メソッドの誹謗中傷だと思います。問題は、このような情報は患者さんの判断を混乱させることです。やっていることが幼稚・稚拙でこのようなことを国立大学病院の院長が旗を振ってやっててもいいのだろうか。倫理も教育も成立しないのではないかと危惧します」

と、滋賀医大による行為の不適切性と、理不尽さに対する強い弾劾が語られた。

そのあとに仮処分申し立て人のお二人と裁判原告のお一人が、感想を述べた。

昨年8月1日にはじまった、本裁判も1年を経過した。私は提訴時の記者会見に出席して以来、本問題を追いかけている。当初はメディアの関心が高くはなかったが、MBSが1時間ものドキュメンタリー番組を放送したり、この日もMBS、ABC、関西テレビなどのほかに10社以上の新聞記者が詰めかけていた。メディアの関心は確実に高まっている。一方滋賀医大病院の厚顔無恥ぶりは度合いを増すばかりだ。どのメディアがどんな質問をぶつけようが、滋賀医大は内容のある回答を返さない。私も数度にわたり滋賀医大の広報担当に質問をしたが、回答にならない答えばかりであった。

岡本医師の治療継続を求める、多くの患者さんの行動は、仮処分の勝利という史上初の画期的勝利を得た。私見ではあるが、本訴訟も初回からすべてを傍聴してきた感触から、原告勝利は動かないように予想する。しかし岡本医師が執刀できるタイムリミットが迫ってきているのは冷厳な事実である。滋賀医大の狙いはズバリ、時間切れによる逃げ切りだ。その証拠にこの日の法廷で証人尋問の日程調整を裁判長が提案した際、被告弁護士は、早い期日の候補日には「証人の都合がわからないので」と回答しながら、遅い期日の候補日を耳にするや「その日は大丈夫です」と口にしていた。

裁判前の集会

開廷前には恒例となった、大津駅前での患者会の集会には蒸し暑い中、約80名の方々が集まり力強い声を上げた。55席しかない傍聴席には当然入りきることができない人数だが、これも毎回のことである。22日も法廷撮影があった。MBSが法廷撮影を行うのは、これが3回目である。証人尋問の期日は未定であるが、2期日で10人をこなすため、11月後半から1月中盤までの3期日の候補を持ち帰り、調整することとなった。証人尋問まで日があくが、いよいよこの裁判は大詰めを迎える。

歴史的な仮処分勝利を得ながら、岡本医師の治療継続をどのように実現するのか。非常に困難であるが、患者会の皆さんの真剣な取り組みと、無私の行為に対して社会はいずれ「賞賛」の評価を下し、現在の滋賀医大執行部や不正に加担した人物には「歴史が有罪を宣告するだろう」。その「歴史」は思いのほか早いかもしれない。
 

大津地裁へ向かう患者会の皆さん

◎患者会のURL https://siga-kanjakai.syousengen.net/
◎ネット署名へもご協力を! http://ur0.link/OngR

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▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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