前編に引き続き、後編は安倍政権の具体的な“犯歴”を列挙するのが目的である。

安倍政権がこれまで進めてきた日本破壊活動を、人体になぞらえて「血栓」(血管内にできる血の塊)と表現している。

第一の血栓を“イデオロギー系”とすれば、第二の血栓は“現世利益系”で、忖度や汚職に関係する分野である。

第一の血栓は、安倍自民党政権の好戦的で全体主義的な体質の起源である尊王攘夷思想。この思想にもとづいて明治国家はつくられ、第二次大戦の敗戦を招いた。そして、戦後も続いていることが、日本にとっての血栓(危険因子)だと前編で指摘した。

第二次大戦で彼らが復活していることは前編で指摘したが、それでも第二次大戦後は新しい憲法ができて、まがりなりにも日本は民主体制への道を歩みだした。

安倍政権とその支持者らにとっては、この日本国憲法体制=戦後レジームはとんでもないもので、少しでもかつての長州レジーム(エセ尊王攘夷体制)を復活させたいと彼らは意識的あるいは無意識的に考えているのではないだろうか。

「戦後レジームからの脱却」などと安倍首相は言い始めた。まさに第一の血栓を象徴する表現だが、実際にやったことを挙げる前に、まずは基本体質を明示する出来事を振り返ってみよう。

安倍退陣を求める大規模デモは何度も起きていた。写真は2018年4月、国会議事堂前

◆体質を表す失言(本音)

「こんな人たちに負けられない」

安倍政権転落の歴史的発言だ。2017年都議選最終日に東京秋葉原で、安倍辞めろコールをする人々に対しムキになって口(本音)を滑らせた。国民を分断させる総理の本質が、ひと言でわかってしまった歴史的発言だ。

「マスコミを懲らしめる」

失言の多さから“魔の自民党二回生”と言われる一群の人たちがいる。大西英男議員もその一人。勉強会「文化芸術懇話会」で、大西英男議員は「マスコミを懲らしめるには、広告料収入がなくなるのが一番」とぶち上げた。あからさまな報道圧力だが、その後も反省する気配はない。

安倍晋三氏は、メディアを恫喝するのが大好きである。2001年10月30日にNHKが放送したETV特集シリーズ「戦争をどう裁くか」の第2夜「問われる戦時性暴力」で、慰安婦問題などを扱う民衆法定について放映した。放映前から、経済産業省・故中川昭一と、当時は副官房長官だった安倍晋三が番組に圧力をかけたとされる事件が有名だ。

「治安維持法は適法に運用された」

共謀罪法案が焦点になっていた17年5月2日の衆院法務委員会で、畑野君枝衆議院議員が治安維持法犠牲者の救済と名誉回復について質問し、金田勝利法相が答弁したもの。安倍自民政権の本質を表している。法手続きもデタラメに運用して国民を弾圧した治安維持法の運用を適法と考える安倍政権が共謀罪を強行成立させたのは悪夢としか言いようがない。

「(自民党候補の応援を)自衛隊としてお願いしたい」

安倍首相の秘蔵っ子、不祥事と失言連発の稲田朋美防衛大臣の発言だ。自民党が歴史的大敗を喫した17年都議会議員選挙の最中、自民党候補を応援する集会で「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としても、お願いしたいと思っているところだ」と訴えた。実力組織である自衛隊を政治利用するもので、ありえない発言。安倍首相は彼女を罷免もしなければ強い叱責もしなかった。

◆“尊攘派”が喜ぶトンデモ法の数々

基本的な「安倍エセ尊攘派政権」の体質を踏まえたところで、具体的に犯した重要案件をピックアップする。

特定秘密保護法

権力者たちが失政や不正を隠すために作った法律である。「秘密は秘密」なので何が秘密か一般人にわからないため、何をしたら逮捕されるのかわからない。特定秘密を洩らせば最高懲役10年という重刑だ。

「記憶にございません」「記録は破棄しました」などという政治家や官僚の答弁を“合法化”した悪法と言えよう。それは特定秘密に指定されています、といえば何で通ってしまう。

しかも、委員会では怒号が飛び交い与野党議員が議長席に詰めかける中、議長の発言も聞き取れず正式な記録も採れず、採決もどきをしただけで本会議に回して強行採決した。まったく非合法にでっちあげたのが特定秘密保護法。この悪しきパターンがこれ以降、国会の日常風景となった。

集団的自衛権の行使容認の閣議決定

他国のために軍事行動をとるのが集団的自衛権だ。歴代自民党政権は、自衛
隊の目的を専守防衛としてきたが、2014年7月1日に集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。本来、憲法を改正しなければならないにも関わらず、20人に満たない閣僚たちによって“無血クーデター”がなされたに等しい。

安保関連法制の強行採決

集団的自衛権の行使とセットになった11本の法律から成り立ち、一つひとつ慎重審議すべき内容なのに、一本にまとめて審議を進める乱暴さだった。世界中どこにでも自衛隊を派遣できることになってしまい、さすがに危ないと思った人たちが国会に押し寄せ、大きな社会運動が起きた。

しかし、またしても強行採決。与野党対決法案を片っ端から強行採決する独裁ぶりを示したといえよう。この安保法制を成立・運用するためには情報を統制し、反対者を排除しなければならない。そのための秘密保護法、盗聴法拡大、共謀罪だ。

沖縄の新基地建設問題

安保関連法や共謀罪法の最先端に立たされているのが沖縄である。工事を強行し、反対者を逮捕。なかでも、沖縄平和運動センターの山城博治議長が抗議活動中に逮捕されて長期間拘束されたことに関し、共謀罪の先取りではないかと批判の声があがった。

このほか、県外からも大量の機動隊員を沖縄に導入し、機動隊員が「土人」発言で問題になった。近隣諸国には居丈高で好戦的対応をし、国民には抑圧的態度、その一方で宗主国に対しては靴底をなめるようなドレイぶり。

これこそまさに江戸時代末期から台頭した“尊攘派”の特徴を示す。

共謀罪、刑訴法&盗聴法改悪

しゃにむに戦争体制準備体制の確立に向かって暴走してきた安倍政権。2016年5月には、「刑事訴訟法等の一部を改正する法律」を成立させた。同法をわかりやすく表現すると、盗聴の対象を大幅に拡大し、司法取引の導入、法定での匿名証人を認めるなど、その後に成立した共謀罪への橋頭保ともいえるものだった。

これに共謀罪法が加わると、将来共謀罪法の対象に全部盗聴できるようにするなどが心配である。そうなったら超監視社会になってしまう。
  
極め付きは、2018年6月の共謀罪法の強行採決だ。委員会での審議も終わらないのに本会議で中間報告という形を悪用して強行採決してしまい、さっそく2018年7月11日から施行されている。

犯罪を実行していないのに逮捕を含む強制捜査をするからたまらない。何よりも、具体的に何をどうすれば共謀(犯罪の計画)にあたるのかほとんどの人がわからないところが危険だ。

一連の治安立法は、権力者の失政と不祥事を隠し、反対者を弾圧するために不可欠のものである。安倍政権にサヨナラした後にまっさきに実行すべきは、共謀罪法などのトンデモ法の一括廃止法案を可決することだろう。

◆第二の「血栓」汚職系

尊王攘夷的発想を土台とする第一の血栓につづいて、第二の血栓だ。これは汚職やデータ改ざんなどに関係する。もっとも、第一と第二は連動しているが。

森友学園問題

安倍昭恵夫人が名誉校長を務めていた森友学園運営の「瑞穂の國記念小学院」開校のために国有地を格安で払い下げ。値引きの理由だった地下に埋まっているゴミがもともとほとんどなかったことが判明した。

昭恵夫人から「安倍晋三からです」と100万円受け取ったと籠池泰典・森友学園前理事長は証言した。同学園は、過去に「安倍晋三記念小学校」の名目で寄付が募られていた。

安倍総理は。「私や妻が関わっているなら総理も国会議員も辞める」と2017年2月17日の衆院予算委員会で、民進党の福島伸享氏への答弁で明らかにした。関与は明らかも総理も議員も辞めず、昭恵夫人の証人喚問も拒否。

この事件をめぐっては、複数の死者が出ている。

加計学園事件

総理の親友である加計孝太郎氏が理事長を務める学校法人・加計学園。その岡山理科大学の獣医学部新設をめぐる事件である。安倍氏の「ご意向」で新学部の設立が認められたというものだ。

一切かかわりないということだったのに、「総理のご意向」なる文書の存在が明らかになり、「文書は間違いなく存在し官邸からの働きかけがあった」と文科省前事務次官の前川喜平氏が証言して大問題に。その後も、関与したとする証拠が出てきているにもかかわらず、責任を認めない。

河合克行・杏里夫妻事件

前法相の河井克行衆院議員と妻・案里参院議員が公職選挙法違反(買収)容疑で逮捕された事件だ。
 
2019年夏の参院選で、河井案里容疑者の陣営に自民党本部から支出された1億5000万円と、買収容疑がポイントである。

もちろん、自民党本部が買収目的で1億5000万円の資金を提供しているのなら、党総裁である安倍晋三氏の刑事責任が問われる可能性が高い。

そもそも自民党内で決して重鎮ではない河合案里氏に1億5000万円もの巨額資金を党本部が拠出したこと自体、普通ではない。

以上、「安倍さんがんばった」というバカコメントに代表されるような一部の風潮に対して、安倍政権が何をしたか前編と後編わけて記録した。

安倍政権とその追随者たちによって、血管のあちこちに血栓ができ、日本は危険な状態である。

いまなすべきは、体中にできた血栓を溶かすための地道で確実な作業ではないだろうか。

▼林 克明(はやし・まさあき)
 
ジャーナリスト。チェチェン戦争のルポ『カフカスの小さな国』で第3回小学館ノンフィクション賞優秀賞、『ジャーナリストの誕生』で第9回週刊金曜日ルポルタージュ大賞受賞。最近は労働問題、国賠訴訟、新党結成の動きなどを取材している。『秘密保護法 社会はどう変わるのか』(共著、集英社新書)、『ブラック大学早稲田』(同時代社)、『トヨタの闇』(共著、ちくま文庫)、写真集『チェチェン 屈せざる人々』(岩波書店)、『不当逮捕─築地警察交通取締りの罠」(同時代社)ほか。林克明twitter

最新! 月刊『紙の爆弾』2020年10月号【特集】さらば、安倍晋三

8月28日、安倍晋三総理は、職を辞すことを記者会見で述べた。第一次安倍政権を投げ出した持病の潰瘍性大腸炎が再発し、激務に耐えられないというのが、辞意表明の理由である。

テレビはさっそく街頭インタビューを流した。相変わらずお手軽な手法である。

「大事なときなので、もうちょっと頑張ってほしかった」

「まだやりたいことがあったのではないかと? でも病気ならしかたないですね」

安倍さん頑張ってほしかった系のコメントがほとんどで、ネトウヨ以外では、こういう人に安倍政権は支えられてきたのだな、と感慨を新たにした。

記者会見の直後から、ポスト安倍をめぐっての報道が激増している。たしかにそれは大事だが、それよりも安倍政権の”犯歴”を記録し、未来永劫忘れないようにすることのほうがより価値がある。

まずは、安倍政権の土壌を作り上げてきた源泉は何か、ということが問題になる。


◎[参考動画]憲政史上最長 安倍政権の7年8カ月を振り返る(2020年8月28日)

◆日本という身体にはびこる”安倍血栓”

8月に入ってから筆者の体調が悪化し各種検査をしたところ、静脈性血栓症だと判明した。

血栓とは、血管内に形成される凝血塊。これが肺まで移動し、動脈内に血栓が生じると命取りになることもある。

これと同様に、安倍晋三とその仲間がやってきたことは、まさに日本社会に血栓をつくってきたようなもので、内部からの破壊活動に等しい。
 
同じ「血栓」でも、2系統に分かれるだろう。

第1に尊王攘夷派(水戸学)からの伝統による好戦的で全体主義的な「血栓」

第2には比較的単純な汚職系「血栓」だ。

◆日本の生命にかかわる「安倍血栓」

第1の「血栓」について語るには、150年以上前にさかのぼらなければならない。
 
1854年に日米和親条約を結び、1858年に日米修好通商条約による開国を機に、日本は国際社会にデビューした。

この日米修好通商条約は、江戸公儀の外交手腕により、列強間で交わしていた通商条約と同レベルである。関税自主権もあり、関税率は20%で国際水準(列強水準)だった。そのため、開港したとたん日本は貿易を拡大し、大幅な黒字国になっていった。(『日本を開国させた男、松平忠固~近代日本の礎を築いた老中』(関良基著、作品社

同時並行して、紆余曲折を経て問題をはらみながらも立憲主義構想(普通選挙による議会設立など)も浸透し始め、急速な近代化と民主化が期待された。(『赤松小三郎ともう一つの明治維新~テロに葬られた立憲主義の夢』(関良基著、作品社)

このように、議会制を実現し交易を奨励しいけば、早期に近代化を達成し“一等国”になっていた確率は相当高い。

その路線に真っ向から反対したのが“尊攘派”である。外国人に対するテロをエスカレートさせていき諸外国は激怒した。

対日強硬派の筆頭であった大英帝国を中心に日本は圧力をかけられ、1866年には基本20%だった関税を一律5%にさせられたのである。これにより日本は長期間、赤字国に転落し、工業化の原資を失って近代化が大幅に遅れた。

つまり尊王攘夷派は、自らテロをやりまくり自分自身で不平等条約をつくり、議会制民主主義の芽をつぶした。自分たちの不始末と大失敗を「江戸幕府が不平等条約を結ばされ、尊攘の志士たちが封建的な幕府を倒し、不平等条約撤廃のために死に物狂いで闘った」という歴史の捏造を行った。

おそるべきは、2020年の現在も、この明治維新神話が学校で教えられていることではないだろうか。

“尊攘派”は、明治になってからキリスト教徒弾圧、百姓一揆の弾圧、不在地主制度の強化(明治になって強化された)、大逆事件、治安維持法下の弾圧・・と国民に対して暴力を振るってきた。

ちなみに攘夷を唱えて1860年代にテロを頻発させていた人たちが、明治維新後はそっくり弾圧者としての役割を果たしているのは興味深い。

強権によって、水戸学を源とする尊王攘夷思想を国民が強要された末路が、1945年8月15日の敗戦であろう。

尊攘思想・靖国思想・皇国史観を支配の道具とする人々によって日本は壊滅させられたのだ。彼らのことを、まとめてヒゲカッコツキの“尊攘派”と定義しておこう。


◎[参考動画]E-girls☆安倍晋三内閣総理大臣 お疲れさまでした(2020年8月28日)

◆第二次大戦後“尊攘派”が復活 特高国会議員の跋扈

敗戦によって、江戸時代末期に芽生えた、立憲主義と貿易立国の方向へ舵が切られた。長い中世が終わり“ルネッサンス”が日本に起きたともいえるだろう。

だが、第二次大戦後まもなく始まった冷戦が、その流れに冷や水を浴びせた。

本来なら一層されるべき戦犯≒尊攘派が、日本を占領したアメリカ(連合国だが実質アメリカ)により、防共要員として残存させられることになった。

ほんの一部の人間が公職から追放されただけで、本来なら死刑や長期刑になるはずの“尊攘派”(大日本帝国の責任者たち)が、なんのお咎めもなく居座ることになったのである。

その延長線上に安倍政権が誕生し、日本会議に象徴される日本の右翼が存在している。これこそが日本が幸せになる道を阻んでいる。つまり水戸学発信源の尊王攘夷思想が生きている。

イデオロギー的血栓と言えるのではないだろうか。

特筆すべきは、尊攘体制後期を支えてきた特高警察幹部が、逮捕・処罰もされずに、冷戦開始後はつぎつぎに復活したこと。

たとえば小林多喜二を拷問して殺した主犯格の中川成夫は、戦後、東京都北区の教育委員長になっている(『告発 戦後の特高官僚~反動潮流の原泉』柳河瀬 精やながせただし著、日本機関紙出版センター2005年)

歴史的書籍ともいえる同書によると、靖国神社法案やスパイ防止法など、第二次大戦後に問題になった、きな臭さがただよう法案の陰には、“尊攘派”の子孫たる元特高警察官僚が暗躍している。

地位の高い特高官僚の要職にあった者だけで46人も自民党の国会議員になっている。もちろん、知事や地方議会、中央官庁幹部職員にも特高官僚はいる。

こうした基本路線をそっくり踏襲しているのが安倍政権であり、自民党政権なのである。この支配体制とイデオロギーの原泉である“尊攘派”と「明治維新」を全面批判・否定しない限り、どのような新政権が現れようとも、一般人は枕を高くして寝られはしないのだ。

次回は、こうした土台をもつ安倍自民党政権が、日本社会に血栓をつくってきた実態を振り返り記録しておきたい(つづく)


◎[参考動画]安倍政権7年半が問うものは【TBS報道特集】

▼林 克明(はやし・まさあき)
 
ジャーナリスト。チェチェン戦争のルポ『カフカスの小さな国』で第3回小学館ノンフィクション賞優秀賞、『ジャーナリストの誕生』で第9回週刊金曜日ルポルタージュ大賞受賞。最近は労働問題、国賠訴訟、新党結成の動きなどを取材している。『秘密保護法 社会はどう変わるのか』(共著、集英社新書)、『ブラック大学早稲田』(同時代社)、『トヨタの闇』(共著、ちくま文庫)、写真集『チェチェン 屈せざる人々』(岩波書店)、『不当逮捕─築地警察交通取締りの罠」(同時代社)ほか。林克明twitter

月刊『紙の爆弾』2020年9月号【特集】新型コロナ 安倍「無策」の理由

◎目次概要◎https://www.kaminobakudan.com/

◆43年ぶりに蘇った記憶

『ジェーン・ピットマン/ある黒人の生涯』……。

何十年も前に見たテレビ番組のタイトルを突然、思い出した。中学か高校のころNHKで見た記憶があるが、いつだったろう。そのタイトルとラストシーンの衝撃をいまだに忘れない。 

気になってインターネットで調べてみると、1974年にアメリカで制作されたテレビ映画だった。NHKの記録を確認すると、1977年8月30日(土)20時(再)と表示されている。再放送なのだが、おそらく私が観たのは、この日だったろう。

◎[参考動画]Jena Louisiana

 
それにしても、40年以上も前に1回だけ観たテレビ番組のタイトルや、ラストシーンを鮮明に覚えているのは不思議だ。当時高校2年生だった私は、それほど強烈に感情を動かされたのに違いない。

1962年当時、110歳だった黒人女性がインタビューを受け回想するという構成だ。黒人の苦難の歴史と同時代に生きた個人史が交錯するような演出だったと思うのだが、さすがにテレビで一度きり観ただけなのでほとんど覚えていない。ただひとつ鮮明に覚えているのは、ラストシーンである。 

当時のアメリカは、バスなどの交通機関には白人専用席があったし、公共の場所の水飲み場も白人専用のものがあった。黒人が白人専用の水を飲む運動がおこり逮捕者も死者も出るほど緊迫していた。日本の公園にもよくある、石かコンクリートの土台の上についているミニ噴水型の水飲み場である。

ラストで主人公のジェーンは、焦点となっていた屋外の水飲み場(裁判所の庭)に水を飲みに行く。

黒人の知人たちが、裁判所敷地と路面の境界あたりでとどまり、ジェーンを見送る。彼女はひとり、杖を突きながら、ヨロヨロ、ふらふらと一歩、また一歩と水飲み場に近づいていく。

建物前では白人たちが大勢その姿を見守り、銃を手にした警察官のような人もいる。

建物の入り口に近い場所にあるWhite Onlyと書かれた水飲み場にたどり着くと、じっと見ている白人を一瞥して、ジェーンはそっと口を近づけて一口水を飲む。

そして踵を返し、来た時と同じように杖をつきながらヨロヨロとゆっくりと去っていく……。
 
いま思い出しても心を揺り動かされる場面だが、43年もの間、頭の中から完全に消え去っていた。ところが、一気に記憶がよみがえる「事件」が起きたのだ。

◆白人専用の「鹿児島県政記者クラブ(清潮会)」

その事件は、7月28日に起きた。

『カメラを止めるな! 7月28日(前編)』(塩田康一鹿児島県知事の就任記者会見をめぐる県政記者クラブ「青潮会」とフリーランスとの戦いをスマホのカメラで撮り続けたドキュメンタリー)


◎[参考動画]カメラを止めるな! 7月28日(前編)

1時間56分ころから、早回しで20~30分が見どころだ。

編集なしの生々しい動画は、記者クラブはジャーナリスト集団というよりも、権力機構・統治機構の一部であることを示している。

この動画を見た私は、日本特有の「記者クラブ制度」が、日本社会を相当ゆがめているとの思いを新たにした。

中央官庁や地方自治体の庁舎や機関には、記者クラブというものがある。新聞社や放送局の記者たちがつくった任意団体であり法人格のある団体ではない。

その記者クラブが、一等地の建物に広いオフィスを無償で開設し、行政からの情報を独占的に得て、権力者が望む内容を報道するのがメインになっている。かつては電話代やファックス代その他もただ(つまり税金使用)だった。

クラブ付きの職員もいるが、それは各クラブが所属する行政の職員であり公務員である。まったく法的根拠のない構成員がちがつくった「内規」により記者クラブは運営されている。このような記者クラブにより”大本営発表”がいま現在も続いているのだ。

法的根拠なく白人(記者クラブ)が牛耳る記者会見からは、有色人種(一般人、SNS等で報道する人、フリーランス)を排除している。言ってみればアパルトヘイト(人種隔離政策)だから、私は『ジェーン・ピットマン/ある黒人の生涯』を思い起こした。

鹿児島県政記者クラブ(清潮会)への参加と質問権を求めてきた中心人物が、フリーランスの有村眞由美氏である。福島原発事故後から、鹿児島県知事の記者会見参加を記者クラブに申請しはじめ、足掛け10年にもわたり記者クラブに働きかけてきた。

そのかいあって、途中で記者会見出席は許されるようになった。

◆源泉徴収票を提出すれば白人専用の水道で水を飲んでもいいetc

とはいっても「オブザーバー参加で質問は禁止」ということであった。そのほか清潮会(鹿児島県政記者クラブ)が規約なるものを作成し、記者会見参加を望む外部の人間に内規を強要してきた。
 
一つ条件をクリアすれば、次の課題を設定する、というやり方である。

・源泉徴収票を提出すれば水飲み場を使える(会見室に入室できる)。
・提出しても源泉徴収票に印鑑がなければ水飲み場使用はできない(普通、源泉徴収票には印鑑はない)
・水道の蛇口をひねって水を出すのは許可するが、飲んではいけない(会見室に入場はできるが質問は禁止)。

なお、今回の記者会見前日、質問可能と記者クラブは連絡してきたが、様々な条件が課せられているという。
 
このような10年間を経て、今年7月の鹿児島県知事選で当選した塩田康一知事の就任記者会見に参加しようと有村氏は鹿児島にとび、冒頭のように会見室前の人間バリケードによって入室を阻まれたのだ。

ジェーン・ピットマンは最後に一口水を飲むことができたが、有森眞由美はまだ渇きをいやせていない。

ちなみに、7月28日は、記者クラブのオープン化ないし廃止を求めるジャーナリスト3人(畠山理仁・寺澤有・三宅勝久)が有村氏に同行した。

◆記者クラブは災害級の被害
 
記者クラブをめぐる新聞社やテレビ局社員とフリーランスの攻防とアメリカの人種差別を描いたテレビ映画を比較するのは、強引だと思う人もいるであろう。

確かに、奴隷として人権を奪われ、解放後も恒常的な暴力・差別・弾圧にさらされている黒人の状況とは違う。記者クラブをめぐって、非クラブ員がリンチで殺されてもいない。

だが、属性の違いによって一部の人たちが権力を握り利益を独占し、それ以外の人々を排除するシステムは共通する。いや、むしろアパルトヘイト(隔離政策)が記者クラブ制度の根幹にあると認識しない限り、問題は解決しない。

今年5月25日、全米どころか全世界を揺り動かした、警察官によるるジャージ・フロイト虐殺事件が起きたときでさへ、私は古いテレビ映画のことをまったく思い出さず、「7・28鹿児島県政記者クラブ人間バリケード事件」を動画で目の当たりにしたとき、43年ぶりに記憶が蘇った。それを素直に文章に書き留めているだけである。

記者クラブは災害レベルであり、日本ピープルにとって「禍」である事実を今こそ認識すべきではないか。

政治・経済・社会など各分野の問題を追及することはもちろん大切だが、様々な問題を伝える土台(報道)が土砂崩れを起こし、災害が起きていることを認識するほうが先決かもしれない。

そこで、10年にわたり記者クラブとの攻防を続けているフリーランスの有森眞由美氏に依頼し、下記の講演会を開催することにした。

7月28日、鹿児島県知事の就任記者会見参加をこばまれた有村眞由美氏(ジャーナリスト寺澤有氏のYouTubeより)

 * * * * * * * * * *

■講演情報
『記者クラブ禍』~記者クラブとフリーランスの10年戦争
講師:有村眞由美氏(フリーランス)

日時:2020年8月22日(土)
13:30開場 14:00開始 16:30終了
場所:文京アカデミー「学習室」(文京シビックセンター地下1階)
東京都文京区春日1丁目16番21号
https://www.city.bunkyo.lg.jp/shisetsu/civiccenter/civic.html
交通:東京メトロ 丸の内線・南北線 後楽園駅 徒歩1分
   都営地下鉄 三田線・大江戸線 春日駅 徒歩1分
   JR総武線 水道橋駅(東口) 徒歩10分
資料代:500円

【申し込み】30名限定
氏名と「8月22日参加」と書いて下記のメールアドレスに送信してください。
kusanomi@notnet.jp
【参加にあたってのお願い】
◎受付で氏名と連絡先を確認してください。
◎会場入りするときは手洗いをお願いします。(消毒ジェルも用意します)
◎参加者はマスク使用をお願いします。
◎発熱している方や体調の悪い方は、今回は参加をご遠慮ください。

 * * * * * * * * * *

▼林 克明(はやし・まさあき)
 
ジャーナリスト。チェチェン戦争のルポ『カフカスの小さな国』で第3回小学館ノンフィクション賞優秀賞、『ジャーナリストの誕生』で第9回週刊金曜日ルポルタージュ大賞受賞。最近は労働問題、国賠訴訟、新党結成の動きなどを取材している。『秘密保護法 社会はどう変わるのか』(共著、集英社新書)、『ブラック大学早稲田』(同時代社)、『トヨタの闇』(共著、ちくま文庫)、写真集『チェチェン 屈せざる人々』(岩波書店)、『不当逮捕─築地警察交通取締りの罠」(同時代社)ほか。林克明twitter

月刊『紙の爆弾』2020年9月号【特集】新型コロナ 安倍「無策」の理由

◎目次概要◎https://www.kaminobakudan.com/

◆東京都医師会の尾崎治夫会長の「法的拘束力もつ休業要請」

新型コロナウイルス感染拡大の中、一般市民からも野党からも「国会を召集しろ」という声が高まっている。

もっともな要求だが、そこには落とし穴もある。

7月30日、東京都医師会の尾崎治夫会長は、法的拘束力のある補償付き休業「要請」が必要だと発表し、話題を呼んでいる。法的拘束力のある要請とは実質「命令」だ。

テレビはこの発言を好意的に取り上げ、賛同する世論もあるが、”コロナファシズム注意報”を発令したい。


◎[参考動画]都医師会 PCR検査1400カ所に「抑える最後のチャンス」(FNNプライムオンライン)

◆自民党憲法草案の緊急事態条項に悪用の恐れ

そもそも、コロナ特措法(新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律)は、今年3月13日に可決し翌14日に施行されたばかり。
 
民主党政権時代に成立したインフルエンザ特措法の一部を変えたものである。具体的には、改正前の「新型インフルエンザ等」の定義の改正。法の対象に新型コロナウイルス感染症を追加した。

最大の問題点は、内閣総理大臣が必要と認めれば、緊急事態宣言することができ、権力の集中、市民の自由と人権が強く制限される危険があることだ。
 
これまでの安倍政権は、憲法を守らず、法律に違反し、国会で虚偽答弁を繰り返し、政権に忖度した役人も公文書を改ざん破棄するなどを繰り返してきた。

したがって、今度の新特措法を破ったり強引に拡大解釈してもなんの不思議もない。過去の事実を見る限り、こちらの可能性の方が高いとみなければならない。

もっとも心配なのは、憲法に緊急事態を盛り込む地ならし、ないし布石にしようと政府・自民党は目論んでいる疑いがあることだ。

2012年、自民党は憲法改正憲草案に「緊急事態条項」を盛り込んだ。これは緊急事態と内閣総理大臣が判断すれば、国会機能を停止し、政府が決める政令が法律と同等の効力を持つ。

行政の独裁になり、緊急事態の期間延長も可能という。その危険性ゆえにナチスの全権委任法のようだと批判がある。まさに日本を文明国から野蛮国に転落させる憲法草案といえるだろう。

新型コロナウイルスが問題になり始めた1月30日の二階派の会合で、自民党の伊吹文明元衆院議長が、「緊急事態の一つの例。憲法改正の大きな実験台と考えた方がいいかもしれない」と述べた事実は見逃せない。

人々の不安とストレスに乗じて「法的拘束力を持つ休業」を安易に取り入れた特措法の再改正をすれば、強権的抑圧体制が進むおそれがある。

これは上からの抑圧だが、もっと恐ろしいのが下からの圧力ではないか。

◆権力の弾圧と下からのファシズム──サンドイッチ規制

前述した自民党の伊吹文明氏が言う、憲法の緊急事態条項にコロナ危機を連動させる野望は、上からの民衆弾圧の思想だ。

一方、全体主義的な空気を一般人が下から煽り立てる危険も現実にある。

前回、緊急事態宣言が発出された日のテレビ朝日系『羽鳥慎一モーニングショー』を思い出す。その日のうちに緊急事態宣言発出か、という緊張した日の朝だった。

出演していたジャーナリストの青木理氏は、緊急事態宣言を出せ、政府に強力な権限を持たせよ、という空気が一般人の中にあることについて「非常によろしくない、非常によろしくない」と繰り返し警告していた。

それに対し、テレビ朝日社員のコメンテーターである玉川徹氏が、「上からでなく下から声が上がってきたのは非常にいいこと」という趣旨の発言を、青木氏のコメントに対応するかたちで繰り返した。

自粛警察、自粛ポリス、マスク警察などを見れば明らかだろう。

国家権力が直接的な強権を発動するのではなく、下から人権や私権の制限および権力の強化を求める機運が高まった時こそ、全体主義が暴走しやすい。

自由を求める少数の人々は、国家権力と民衆の間に挟まれるサンドイッチの具になる。デモ隊の左右を機動隊んが挟み込む規制を”サンドイッチ規制”と呼ぶ。それを立体的にしたようなイメージである。

国会を召集するのは当然としても、安易に「コロナ特措法」の強化に対しては、最大限の警戒を持つべきだ。

◆プラスマイナスで総合的に判断を

そうはいっても、これ以上感染が拡大したらどうするのか? 爆発的に増えたらどうするのか? という意見もあるだろう。その一方で、自由や人権が奪われ、権力が肥大化する恐れがある。

両者をプラスマイナスで考え、より深刻なマイナスを除去する方向で判断するしかないだろう。つまり、どちらがより日本社会に打撃を与えるかの判断が必要ではないだろうか。

コロナウイルスは必ず終息する(100%ではないが)が、いちど強権的システムを構築してしまえば、抑圧体制を容易に終息させることはできない。コロナ終息後も時の権力や支配者たちは、そのシステムを維持するだろう。

そうなれば、ステイホーム、Go to などの号令に従って尻尾を振る飼い犬のような生活が長期間続くことを覚悟しなければならないのだ。

▼林 克明(はやし・まさあき)
 
ジャーナリスト。チェチェン戦争のルポ『カフカスの小さな国』で第3回小学館ノンフィクション賞優秀賞、『ジャーナリストの誕生』で第9回週刊金曜日ルポルタージュ大賞受賞。最近は労働問題、国賠訴訟、新党結成の動きなどを取材している。『秘密保護法 社会はどう変わるのか』(共著、集英社新書)、『ブラック大学早稲田』(同時代社)、『トヨタの闇』(共著、ちくま文庫)、写真集『チェチェン 屈せざる人々』(岩波書店)、『不当逮捕─築地警察交通取締りの罠」(同時代社)ほか。林克明twitter

月刊『紙の爆弾』2020年9月号【特集】新型コロナ 安倍「無策」の理由

◎目次概要◎https://www.kaminobakudan.com/

◆声をあげ行動し徐々に実現

新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、東京都はネットカフェにも休業を要請した。安定した住居を持たずネットカフェなどで生活する「ネットカフェ難民」は、2018年から2019年にかけての東京都の調べによると約4000人。

文字通り路上生活を余儀なくされている人に加え、24時間営業のファストフード店やネットカフェが休業してしまえば、そこで寝泊まりする人々が路上にたたき出されてしまう恐れがあった。

そこで、ホームレス支援30団体以上が協力して「新型コロナ災害緊急アクション」を結成。東京都に緊急支援を要請してきた。

その結果、施設休業で済む場所を失った人をビジネスホテルに一時滞在できるようになっていった。

従来の収容施設で相部屋や室内に二段ベッドが並ぶ集団生活をせざるを得ない状況だった。

それでは、新型コロナウイルスに感染の恐れがあり、実際に行政を通して宿を得たものの相部屋が恐ろしいと、そこから出てしまった人もいる。

そこで、支援団体が交渉の末、東京都は原則個室のホテルを用意するように方針を定めることになった。

また、当初は都内に居住して6カ月以上という条件をつけていたが、支援者らの粘り強い交渉で、その条件を撤廃した。

5月25日に緊急事態宣言解除が決定されたあとも、東京都は必要ならホテル滞在期間を延長する措置を講じ、各区市に通達している。

ところが、23区と26市の中で唯一、コロナ災害による住居喪失者を一律にホテルから出してしまったところがある。

それが新宿区だ。

◆新宿区が虚偽通知で退去させた

5月29日、新宿区は「緊急事態宣言に伴う東京都の緊急一時宿泊事業としてホテルを利用されている皆様へ」と題する文書で「ホテル利用は5月31日(チェックアウト6月1日朝)まで」と利用者に通知したのだ。

実は、東京都は6月7日チェックアウトまで延長すると5月22日付で通達し、23区26市など東京都下のすべての自治体に伝わっているはずである。

しかも、6月1日付通知で、6月14日チェックアウトまで再延長されていた。それなのに新宿区は87名のホテル利用者を追い出してしまったのだ。

コロナ災害の状況では、就職先が確保されたなどというのは少数で、多くの人は野宿を強いられている可能性がたかい。

手違いや間違いではなく、明らかに虚偽の通知だとして、ホームレス支援団体が6月8日、新宿区役所まで抗議に出向いた。

抗議に訪れたホームレス支援関係者たち(6月8日新宿区役所)

抗議文を手渡す稲葉剛氏(つくろい東京ファンド代表理事)と受け取る関原陽子氏(新宿区福祉部長)

応対したのは、関原陽子・福祉部長と片岡丈人・生活福祉課長。支援団体関係者たちは、まず区としての公式見解と当事者に対する謝罪を求めた。

これに対し区側は、
「案内、説明が至らなかったことは深く反省しています」
「困っている人は相談にきてくださいと伝えている」
などと、何度質問しても、説明の仕方に不備があることを謝罪しても、虚偽事実を利用者に伝えたこととそれに対する謝罪はない。

当日、抗議に訪れていた生活保護問題対策全国会議の田川英信事務局長が説明する。

「これから先を心配するホテルを出された当事者と一緒に新宿区の窓口を訪ねました。すると担当者は、新宿区の決定として延長はできないと明言しました」(趣旨)

当事者と同行したのは、5月29日と6月5日。このときの対応から、窓口での手違いや説明不足などではなく、6月1日から住居喪失者にホテルから退去させると新宿区が方針を決めたことは明らかだろう。

実際、田川氏らが具体的事実を突きつけると、区側の説明はしどろもどろだった。

一方、市民団体が抗議におとずれた当日(6月8日)から、新宿区は、連絡先のわかっている元ホテル滞在者に連絡を取り始めたという。

退去させられて1週間も経っており、その間に電話を止められた人もいることだろう。

◆新宿区長が謝罪、お金を払いホテル滞在延長

話し合いは堂々めぐりでらちがあかず、会合は解散となった。

そして一夜明けた6月9日、吉住健一新宿区長が謝罪文を出した。以下に全文を示す。

———————————————————————-

■ネットカフェの閉鎖によりホテルに宿泊されていた皆様への対応について

新宿区役所

新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言時に、宿泊先を喪失してしまったネットカフェ生活者へのホテル宿泊事業期間が延長されたことを、適切にお伝えしないまま、多くの方に退出していただいてしまっていました。

ご利用者の皆様に対して、寄り添った対応が出来ていなかったことを、率直にお詫び申し上げます。

また、この件につきまして、区民の皆様にも大変ご心配をおかけいたしました。

現在、ご連絡先の把握できている方には福祉事務所より、引き続きホテルを利用できる旨をご案内させていただいていますが、6月1日以降、14日までで宿泊できなかった期間の宿泊料相当(1泊3500円)を、支給させていただくことといたします。

本事業は東京都との連携事業ですが、制度の趣旨を鑑みて、適切に支援事業が執行されるよう、再発防止に取り組んでまいります。

この度は、困窮された方への配慮が至らず、申し訳ありませんでした。

令和2年6月9日
新宿区長 吉住健一

———————————————————————-

以上のように、新宿区は謝罪してそれなりの対応をとった。形としては一見落着となったのだが、あえてここに記録するのは、再発防止を念頭に置いているからである。

新宿区や東京都のみならず厚労省を含めて、コロナ禍の生活困窮者をめぐり、類似する事態を今後も防がなければならない。

なお、6月25日に新宿に問い合わせたところ、ホテル利用者への1日3500円の支給は6月23日に支払われた。対象者は44人である。

新宿区役所正面に掲げられた新宿区民憲章には、「心のふれあう おもいやりのある福祉を考え実行します」と記されている

▼林 克明(はやし・まさあき)
 
ジャーナリスト。チェチェン戦争のルポ『カフカスの小さな国』で第3回小学館ノンフィクション賞優秀賞、『ジャーナリストの誕生』で第9回週刊金曜日ルポルタージュ大賞受賞。最近は労働問題、国賠訴訟、新党結成の動きなどを取材している。『秘密保護法 社会はどう変わるのか』(共著、集英社新書)、『ブラック大学早稲田』(同時代社)、『トヨタの闇』(共著、ちくま文庫)、写真集『チェチェン 屈せざる人々』(岩波書店)、『不当逮捕─築地警察交通取締りの罠」(同時代社)ほか。林克明twitter

月刊『紙の爆弾』2020年7月号【特集第3弾】「新型コロナ危機」と安倍失政

〈原発なき社会〉をもとめて 『NO NUKES voice』Vol.24 総力特集 原発・コロナ禍 日本の転機

◆コロナ対策はゆっくり、コロナファシズムは急展開

「自粛自粛はお金が足らぬ」大日本自粛連盟(5月5日高円寺)

コロナ感染拡大防止のため、政府は4月7日から非常事態宣言を出し、5月4日には5月31日までの延長を決めた。
 
新型コロナウイルスに関する情報が膨大に流れ始めた2月中旬、社会の流れる見るポイントを、筆者は3つ決めた。

(1)医学的科学的な対処法
(2)外出自粛などによる経済恐慌と生活破壊
(3)パンデミックによる全体主義への兆候

どれも大切でそれぞれが複雑に連動しているのは言うまでもない。そして、それぞれの項目に問題が続出している。

医学的な見地では、PCR検査をめぐって様々な情報や意見が飛び交い、非常事態宣言や外出自粛要請の根拠となる専門家委員会のシミュレーションに重大な疑問が沸き上がっている。

経済と生活の問題では、自粛強制による休業で経済破綻する人が続出している。政府は休業要請する一方で、かたくなに補償を拒んでいる。そのため、経済苦境に陥る人が激増している。

もっとも懸念されるのは、度を越した同調圧力でファシズム的雰囲気がパンデミックのように広がっていることである。

そのような風潮の中で、政府の要請(命令)に従うことを絶対視し、自分の小さな正義感を満足させるために「自粛警察」「自粛ポリス」などという人たちが現れ、従わない人々を「罰する」ようになった。

一般人ならともかく、政治家にも「自粛警察」はいる。筆頭は、休業要請に従わないパチンコ店を公表して大衆の攻撃の的に誘導した吉村洋文・大阪府知事。ナンバー2は、同じことをした小池百合子・東京都知事である。

休業を要請するだけで補償をしない政府に批判の矛先を向けるべきだろう。ところが、もっと厳しく規制しろ! 私権を制限しろ! 緊急事態宣言を早く出せ! とテレビと一般庶民が下から突き上げてきたのが現状である。

このようなファシズム的な空気の中で、ストレートに政府に批判を向ける人々がいる。それが、「要請するなら補償しろ」とスローガンをかかげて街頭デモを行なっている人たちだ。

「要請するならもっともっと毎月補償しろ!」(5月5日高円寺)

◆補償がなければ外出して働くしかない

4月中旬、生活苦に陥った人たちが「要請するなら補償しろ」と東京渋谷駅周辺でデモを開催したニュースをインターネット上で知った。

デモの第一弾は、4月12日。渋谷ハチ公前広場に集まり、安倍晋三首相の私邸がある富ヶ谷、麻生太郎蔵相の私邸がある神山町などの高級住宅街を練り歩いた。

デモ第二弾が4月26日にも同じ渋谷であると聞き、取材に行ってみた。呼び掛けたのは、休業でキャバクラでの仕事を4月上旬に失ったヒミコさんだ。

「私自身も生活苦のなかで精神的にとても苦しいです。もともとアルバイトで月収が10万円を切ることもあり苦しかったです。今度のコロナでその仕事も失いました。マスク2枚じゃ食えねえぞと思っている人はいっぱいいます。安倍さんや麻生さんに、月10万円で暮らせるか聞いてみたい」

デモを呼び掛けたヒミコさん。彼女は4月上旬に職を失った(5月5日高円寺)

ちょうど、すべての住民一人当たり10万円を給付するとの決定が発表されて間もない時期だった。その決定から約1カ月経過した今も、ほとんどの人は給付されていない。

デモをやり始めると、外出要請を破ってデモのために人が集まることに対し、コロナテロリスト! 乞食! などとインターネット上で罵声を浴びせる「コロナ警察」「自粛警察」も多かったが、賛同する声も多かった。

ヒミコさんは「非難があるけれど、デモやるべきだと思った」と言っている。2回のデモは、一般庶民を苦しめる側の安倍首相や麻生財務大臣らが住む地区で実施したが、今度は、デモに参加する人に、より近い存在の杉並区高円寺を選んだ。

デモを監視しメモする警察(5月5日高円寺)

◆「絶対に生き続けてしゃべり続けたい!」

5月5日夕方、中央線高円寺北口駅前広場に110人ほどが集まった。安定した給料と補償がある公安警察も多数「参加」し、こまごまとメモをとっていた。

いろいろな人がマイクを手に取り、思いを語った。

参加した男子学生は言った。

「夜に飲食をするなというのは、水商売とかそういう仕事をしている人への差別を感じる。そうじゃなくて休ませるなら補償しろと訴えたい」

自ら右派系と称する男性も広場に駆け付けた。

「私は、弱い人にやさしい『美しい国を取り戻そう』と主張するためにここにやってきました」

「弱者と困窮者に優しい『美しい国』日本を取り戻せ」(5月5日高円寺)

「要請は補償とセット」(5月5日高円寺)

前日に、デモが東京であることを知って京都からやってきた20代に見える女性は、こう話した。

「政府のひとたちは、私みたいな人間が一人でも死んでくれればいいと思っている。今まで税金を払ってきたけれど、今のような事態のときにこそ、その税金が私たちの家賃や給料になるべきじゃないですか!? ここで警察が監視してますが、私たちが納めた税金が警察ども給料になっている。みんな大変だと思うけど、絶対に生き続けしゃべり続けたい! いまの政府の奴らを許さない!」

まったくそのとおりで、たかだが110人のデモに制服警官や相当数の公安警察を導入しているのは、どうみても税金の無駄遣いであり、その分をコロナ被害者の補償につかうべきだ。

◆諮問委員会のメンバーを見ると補償は絶望的?

だが、休業だけ要請し、従わない(あるいは従えない)人々を追い詰める政府による虐待行為は、これからも続く可能性がある。

その兆候は、コロナウイルス対策のために政府が設置した「基本的対処方針等諮問委員会」に、緊縮財政派の専門家を新たに加えたことに現れている。

諮問委員会に4人の経済専門家を加えたのだが、そのひとり小林慶一郎・東京財団政策研究所研究主幹について、京都大学レジリエンス研究ユニット長の藤井聡教授が次のようにツイートしている。

〈「経済」専門家会議に入った小林慶一郎教授。この方は、「財政再建が経済成長率を高める」と完璧な嘘話をさも正しきモノのように大学教授の名を借りて語る人物。政府がこの人物を選んだ時点で「補償も給付もやらねぇよ!」と断定した事になります(5月13日付ツイート)〉

検察庁法の改正で、政権に都合のいい人物の定年延長を図ることは、非常に迅速に進め、経済危機にあえぐ人々にへの補償は、極端に遅い。

とくに、かたくななまでに補償しない政府の方針は、世界各国と比較して病的ともいえる。となれば、声を上げ続けることと、政権を倒す以外に道はない。

「永年の低賃金でコロナの前から非正規労働者は生活困窮しているんだ!!」(5月5日高円寺)

▼林 克明(はやし・まさあき)

ジャーナリスト。チェチェン戦争のルポ『カフカスの小さな国』で第3回小学館ノンフィクション賞優秀賞、『ジャーナリストの誕生』で第9回週刊金曜日ルポルタージュ大賞受賞。最近は労働問題、国賠訴訟、新党結成の動きなどを取材している。『秘密保護法 社会はどう変わるのか』(共著、集英社新書)、『ブラック大学早稲田』(同時代社)、『トヨタの闇』(共著、ちくま文庫)、写真集『チェチェン 屈せざる人々』(岩波書店)、『不当逮捕─築地警察交通取締りの罠」(同時代社)ほか。林克明twitter

月刊『紙の爆弾』2020年6月号 【特集】続「新型コロナ危機」安倍失政から日本を守る

◆野党共闘の枠組みから飛び出る

4月1日、山本太郎参議院議員(自由党共同代表)が新たな政治団体「れいわ新選組」を届け出、10日の記者会見で発表した。

最大のポイントは、アベノミクスに対抗して「反緊縮」の経済政策を前面に押し出したことにある。

その目玉は、消費税廃止。現職の国会議員を要する政治団体が初めて消費税の制度そのものを廃止する公約を掲げた。4月15日現在、消費税廃止を主張する政党は他にない。

いまのところ現職の国会議員の参加は山本議員ひとりであり、政党要件を満たしていないので「政治団体」だが、実質「新党」結成と表現していいだろう。

2015年夏の安保関連法制反対運動の挫折から、共産党からの呼びかけもあり安倍政権を打倒するために「野党共闘」が叫ばれてきた。

統一地方選前半戦の結果を見ても、野党共闘しても自民・公明に勝つのは難しいことを改めて示した。

たとえば、北海道知事選挙。自民・公明・大地から推薦を受けた鈴木直道氏が約162万票、立民・国民・共産・自由・社民から推薦を受けた石川知裕氏は約96万票。与党系候補が圧勝したのは象徴的だ。

山本太郎参議院議員

◆党名の裏にひそむ150年ぶりの政権交代の夢

「れいわ新選組」という党名が発表されてから、党名に対して賛否両論があり、違和感や疑問を呈する意見もインターネットなどに出ている。

筆者も、最初に党名を聴いたとき違和感を覚えた。しかも記者会見の前日4月9日のテレビ朝日の報道によれば、表記する文字が「新撰組」と表記されていた。

新選組は、江戸末期の江戸公儀(徳川政府)の武装警察組織として尊王攘夷派などを取り締まった。とりわけ尊王攘夷派の中心になった長州藩士らを弾圧した。

4月10日の記者会見で、新撰組は権力側についたのではないかとの質問に山本代表は、「新『選』組は、あたらしい令和という時代に選ばれれる人々。そして今の権力とは主権者・国民です」と答えている。

つまり、国民を守る意味だということだ。さらに、「党名にはアイロニーが込められており、解釈は各人の自由です」という趣旨の発言もしている。

アイロニーとは、表面の意味と逆の意味を込めた表現であり、、皮肉であり風刺でもある。新元号の令和を私物化するかのようにパフォーマンスを演じた安倍首相への痛烈な皮肉という見方もできる。

筆者の解釈はこうだ。

戊辰戦争の勝利により、尊王攘夷派が明治国家をつくった。間もなく尊王攘夷派内の長州が実権を握り、手を変え品を変えて、第二次大戦敗北後はおろか、現在まで”長州尊王攘夷派”的なレジーム(思想・政治・体制)が続いている。

現在の安倍政権は当然、長州の流れである。「新撰組」の最大の敵は長州尊王攘夷派だった。

つまり、新選組ならぬ「れいわ新選組」を結成したということは、1868年に長州らにお奪われた政権を、奪還すること。言い換えれば約150年ぶりの政権交代を実現しようという意味合いが党名に秘められているのではないか。

◆新政府八策とは?

旗上げ記者会見では、「政権を奪ったらすぐ実行します」と8つの政策を発表した。

(1)消費税廃止
(2)最低賃金全国一律1500円(政府が補償)
(3)奨学金徳政令(奨学金返済チャラ)
(4)公務員を増やす
(5)一次産業個別所得補償
(6)トンデモ法の一括見直し・廃止
(7)辺野古新基地建設中止
(8)原発即時禁止

「れいわ新選組」の公約「新政府八策」

ひとことで言って反緊縮財政の推進だ。前述したように、国会議員を擁する政治団体としては唯一消費税廃止を政策のトップにかかげている。

厚生労働省の国民生活基礎調査(2018年)で56.5%が「生活が苦しい」と答えている。また、一人暮らし女性の3人に1人が貧困であり、貧困と格差は拡大している。このような人々を救うための政策だ。

山本代表は、「国債を発行して財政を出動させる」と表明している。国の借金が増えて破綻するなどとありえないことを喧伝する一部の人がいるもが、自国通貨・円建ての借金だから破綻はしない。

破綻といえば、ギリシャを思い起こすかもしれないが、ユーロという”外国通貨”を借りて返せなくなったギリシャとは、まるで違うのだ。

消費税に代わる税収としては「とれるところから取る」(山本議員)という。消費税がなくても不公平税制を正せば38兆円の財源が生まれるとの試算もある。(「不公平な税制をただす会2018年度試算)。

◆10億円で衆参ダブル選、3億円で参議院10人候補者

今年夏の参院選挙、場合によっては衆参ダブル選挙もあり得る。当然、選挙資金が必要となるが、それは個人からの寄付に頼る。集まった金額によって戦略戦術を立てていくという。

〇衆参ダブル選で挑戦する場合、10億円が必要。

〇参院選で最大限の挑戦をする場合、5億円が必要。

〇参院選で10人の候補者を擁立する場合、3億円が必要。

無謀な挑戦にならないように、5月31日までに1億円集めることを第一目標にし、1億円集まらなければ、山本太郎議員のみが東京選挙区から立候補する。
 
◆消費税5%減税で窮地におちいるか?

ここ3年以上、野党共闘が叫ばれてきた中での新党結成になるが「別の角度からの野党共闘」(山本議員)という考えで、新党の旗を降ろす場合もありえることも明らかにした。

政策で野党が歩みよれば旗を降ろすというのだが、山本議員は、廃止までは行かなくとも消費税5%減税で野党がまとまったような場合だという。

もしそれを実行すれば、新党はおろか野党勢力・市民勢力が壊滅する可能性もある。

すでに、安倍総理は「消費減税」を訴えて衆院を解散し、衆参ダブル選挙を仕掛けてくる可能性があるという話も流れ始めているからだ。

そうなれば、5%減税などと主張していては、壊滅的な敗北になるだろう。仮に与党が消費税減税を主張しなくても、消費税存続か廃止かの二者択一を有権者にせまるほうが勝利の可能性は高まるだろう。

今回の新党結成はトレンド転換の起点となるか。5月末から6月初旬には、ある程度先が見えてくるかもしれない。

◎れいわ新選組ホームページ https://www.reiwa-shinsengumi.com/index.html


◎[参考動画]山本太郎参院議員、自由離党で新党結成へ 午後6時から記者会見(2019年4月10日)

▼林 克明(はやし・まさあき)
ジャーナリスト。チェチェン戦争のルポ『カフカスの小さな国』で第3回小学館ノンフィクション賞優秀賞、『ジャーナリストの誕生』で第9回週刊金曜日ルポルタージュ大賞受賞。最近は労働問題、国賠訴訟、新党結成の動きなどを取材している。『秘密保護法 社会はどう変わるのか』(共著、集英社新書)、『ブラック大学早稲田』(同時代社)、『トヨタの闇』(共著、ちくま文庫)、写真集『チェチェン 屈せざる人々』(岩波書店)、『不当逮捕─築地警察交通取締りの罠」(同時代社)ほか。林克明twitter

創業50周年!タブーなき言論を!『紙の爆弾』5・6月合併号【特集】現代日本の10大事態

〈原発なき社会〉を目指す雑誌『NO NUKES voice』19号 特集〈3・11〉から八年 福島・いのちと放射能の未来

◆消費税は、差別する「凶器」

差別といえば、宗教や人種、性的マイノリティー差別のことが叫ばれるが、それだけではない。大金持ちと巨大企業を優遇し、貧乏人から搾り取る税制も差別そのものだ。

そのシンボルが消費税であり、これを廃止して公正な世の中にして日本を蘇らせようという講演会が、4月20日(土)午後2時から東京都豊島区の巣鴨地域文化創造館第1会議室で行なわれる。

不公平な税制をただす会の荒川俊之事務局長による「成功体験に学ぶ消費税廃止
~法人税・所得税・住民税の大改革を提言~」という講演会だ。

1989年に消費税が日本に導入されてから、3%、5%、8%と増税したのに、30年間も税収は変わらない。

それは、巨大企業と大資産家・超高所得者を大幅減税し、その穴埋めに庶民が支払った消費税を、そっくりそのまま充当しているからである。

その一方で、「日本の法人税は高い」というデマがはびこるが、実際は中小零細企業より巨大企業の税金は安い。所得が1億円を超えると税が安くなる驚くべき事実もある。

まさに「消費税は差別のための凶器」なのだが、この消費税を廃止する公約を第一に掲げた新党「れいわ新選組」(山本太郎代表)が生まれた意義は大きい。

◆日本転落の元凶=消費税
 
消費税が私たちの暮らしに決定的なマイナスをもたらしたのは、1997年4月1日に3%から5%に増税したことだ。

このときからデフレが起き、実質賃金が下がり始め、生活水準がじわり、じわりと下がり、中小零細行差の困窮が始まった。まさに日本転落が始まったのである。
 
まずしい人も大金持ちも同じ比率で支払う消費税は、所得の低い人ほど負担が重くなる逆進性の最たるものだ。このような“年貢”の取り立てに対し、納税者一揆が起きてもおかしくない。

◆輸出戻し税、受取配当利益不算入など大企業優遇のオンパレード

優遇されているのは二つ。大企業と大資産家・超高額所得者だ。まず、法人税法のほかに、本来なら時限立法として企業への「租税特別措置」を大量につくり、それが恒久法化しているのだ。

そのひとつが輸出還付金(輸出戻し税)で、輸出大企業は消費税を税務署に納めないどころか、巨額の還付金をもらい続けている。

そのため、トヨタのお膝元、愛知県の豊田税務署は大赤字。ほかの中小企業などが納めた税金が、輸出還付金としてトヨタに渡されている信じがた状況である。。

『消費税を上げずに社会保障財源38兆円を生む税制』(不公平な税制をただす会=編/2018年1月大月書店)

今回の講演者である荒川俊之氏が事務局長を務める「不公平な税制をただす会」編集による『消費税を上げずに社会保障財源38兆円を生む税制』(大月書店)は、納税者必読本だろう。

この本には、具体的な数字や事実、改革した場合のシミュレーションが豊富に掲載されている。

たとえば、いま例を挙げた輸出戻し税は、トヨタ自動車一社だけで税務署からもらう還付金は3,231億円。以下、日産自動車、マツダなど輸出が多い自動車メーカーが続く。その合計は8,311億円。

自分が納めた税金の全額もしくは一部を還付してもらうのではなく、下請けや仕入れ先が税務署に納めた税金から還付される。

その結果、管内に輸出大企業を抱える8つの税務署が赤字というマンガのような事態になっている。

ワーストスリーは、豊田税務署3,043億円(トヨタ)、神奈川税務署788億円(日産)、広島・海田税務署533億円(マツダ)。数字は赤字額。

これはほんの一例だが、このような企業優遇税制がまかり通っている。

◆大企業はまともに税金をはらっていない

にもかかわらず、「日本の法人税は高い」などというデマもしくは”都市伝説”がはびこり、消費税が必要かのように喧伝されている。

日本の法人税は、零細企業から超巨大企業まで一律に23.2%なのだ。(あくまでも特例措置として零細企業の法人税をを低くする措置はある)。これだけでも驚くべき差別だが、その約23%の税金さえ支払っていない有名大企業がずらりとならぶ。

トヨタ自動車は、08年度から5年間、トヨタは法人税を1円も払っていなかった。零細事業者や低所得の派遣労働者らが血税を払っているのに、である。

消費税を上げろと主張する人たちが「日本の法人税は高い」と言っているのを耳にしたことがあるだろう。実は、明らかなデマであり、騙しのテクニックが存在する。

報道における「法人税率」とは「法人実効税率」のこと。「実効」というと実際に支払うことのように感じるが、法人税・法人事業税・法人住民税の合計を指す。

実際は大企業が優遇されて、法人実効税率32.11%だった11年から5年間、トヨタは21.0%、日産自動車7.6%、伊藤忠商事3.0%、三菱電機1.0%などが実際の負担率だった。

資本主義の権化アメリカでさえ、法人税は、15%、25%、34%、38%、39%の6段階の累進課税である(16年度)。

日本の法人税を5%、15%、25%、35%、45%の5段階の累進性にすると、約19兆円の増収になり、これだけで消費税はいらなくなる。

◆大企業優遇をやめると23兆円の税収アップ

受取配当金益金不算入もある。企業が持つ他社の株の受取配当金を利益に組み入れなくてもいい制度、国内の子会社や関連会社の株配当金は100%除外できる。

それ以外の企業の株配当も、50%を利益に入れなくていい。さらに、あれだけ稼いでいるトヨタの税金支払いが極少額なのは、海外からの配当のうち95%が非課税だから。

海外からの配当が100万円とすると95万円非課税で、5万円分だけ法人税をかけるのと同じことである。

「ただす会」によると、大企業に対する減税は総額23兆円を超えており、企業優遇税制を変えるだけで、その分がまるまる税収増になり、消費税などまったく必要ない。

そして「ただす会」の18年度の試算では、不公平税制をただすと、国税と地方税あわせて37兆3104億円の財源が生まれる。

高額所得者や大資産家への課税も必要だ。所得約1億円を超えると税負担率がどんどん下がっていくありえない事実もある。

高額所得者ほど株譲渡や配当金の占める割合が高くなり、金融所得は5,000万円でも3億円でも100億円でも、税率は一律に20.42%のまま。

給与や事業と分けて計算する分離課税だ。入ってくるものをすべて合計して税率を計算する総合課税にすべきだろう。あるいは、金融所得に累進性を採用してもいい。

当日は、あきれた差別税制の実態と、どこをどう改善すればよくなるか具体的に指摘される予定だ。

消費税廃止を第一公約にかかげる新党「れいわ新選組」も結成されたし、消費税廃止の是非は、国政選挙の最大の争点になるかもしれない

————————————————————–
《講演情報》
第114回 草の実アカデミー
過去の成功体験に学ぶ消費税廃止
~法人税・所得税・住民税の大改革を提言~

講師:荒川俊之氏(税理士・不公平な税制をただす会事務局長)
期日:2019年4月20日(土)13:30開場、14:00開始、16:45終了
場所:巣鴨地域文化創造館第1会議室(東京都豊島区巣鴨4丁目15)

交通:JR山手線・都営三田線 巣鴨駅徒歩15分 巣鴨商店街
資料代:500円
主催:草の実アカデミー
http://kusanomi.cocolog-nifty.com/blog/
————————————————————–

▼林 克明(はやし・まさあき)
ジャーナリスト。チェチェン戦争のルポ『カフカスの小さな国』で第3回小学館ノンフィクション賞優秀賞、『ジャーナリストの誕生』で第9回週刊金曜日ルポルタージュ大賞受賞。最近は労働問題、国賠訴訟、新党結成の動きなどを取材している。『秘密保護法 社会はどう変わるのか』(共著、集英社新書)、『ブラック大学早稲田』(同時代社)、『トヨタの闇』(共著、ちくま文庫)、写真集『チェチェン 屈せざる人々』(岩波書店)、『不当逮捕─築地警察交通取締りの罠」(同時代社)ほか。林克明twitter

創業50周年!タブーなき言論を!『紙の爆弾』5・6月合併号【特集】現代日本の10大事態

〈原発なき社会〉を目指す雑誌『NO NUKES voice』19号 特集〈3・11〉から八年 福島・いのちと放射能の未来

◆疑惑の4点がすべて載った衝撃記事

 

本日発売の月刊『紙の爆弾』10月号より

本日9月7日発売の月刊『紙の爆弾』(2018年10月号)に掲載されている記事「安倍晋三『下関暴力団スキャンダル』の全貌を暴く」は、安倍首相や自民党にとって「不都合な事実」が満載だ。

いまインターネット上で話題の#ケチって火炎瓶 #安倍とヤクザと火炎瓶 の事件を紹介。そのうえで執筆者のタカノシゲル氏が過去の取材にさかのぼって具体的な人名をあげ、背後にある全体の構造を示しているからだ。

キーワードは4つ。①安倍晋三、②工藤會(を含む暴力団)、③自民党(および同党大物政治家)、④警察、である。

◆#ケチって火炎瓶 “安倍とヤクザと火炎瓶

あらためて安倍首相をめぐる暴力団がらみの事件を整理しよう。1999年4月の下関市長選で、安倍陣営の江島潔候補(現参院議員)を応援するため、建設会社会長の小山佐市氏が、対立候補の古賀敬章氏に対する誹謗中傷ビラを撒いた。選挙妨害である。

そもそもが当時安倍首相の佐伯伸之秘書(故人)から中傷ビラ配布を頼まれたというのが小山氏の主張だ。

佐伯秘書は古賀候補の女性スキャンダルを扱った週刊誌記事を小山氏に見せ、「それで、僕は『こんな記事が出るヤツは国会議員の資格がない』と 小山に言うた」と、スキャンダル記事は見せたが、中傷ビラをまけとは言っていないとインタビューに答えている。

 

続きは本日発売の月刊『紙の爆弾』10月号で!

そして佐伯秘書は絵画購入の代金として300万円を小山氏に支払ったが、それが恐喝だとして小山氏は逮捕。しかし不起訴となる。

このあと、選挙で対立候補を「当選させないための活動」をしたにもかかわらず、見返りがなかった。そのため安倍首相らとも交渉して念書の類の書面を交わした。(この念書が出てきたことで、今回の事件に火がついた)

ところが思い通りに行かなかったため小山氏は、指定暴力団「工藤會」系の高野組・高野基組長に依頼して、2000年6月から8月にかけて、安倍晋三氏宅ら4軒(間違えて攻撃した場所を含めれば5軒)に火炎瓶を投げさせた。

国会議員の自宅や後援会事務所など4か所に火炎瓶が投げられたのだから当然、大騒ぎになり大々的な捜査が行われるはずだ。

しかし報道もされず、当初はだれも逮捕されなかったのである。これは考えられないことだ。安倍氏の筆頭秘書・竹田力氏(故人)は、山口県警刑事部捜査第一課次長(警視)だ。

こうした警察につながる人物が安倍氏の筆頭秘書をつとめていたが、前述の300万円恐喝で逮捕されたが小山氏はすぐに釈放され起訴もされていない。そして連続火炎瓶事件でも、山口県警は大々的に動かなかったという。

事件から3年経った2003年11月、小山氏、高野組長ら複数名が火炎瓶事件で逮捕起訴され、小山氏懲役13年、高野組長懲役20年(服役中)の判決が下ったのだ。

事態が急変したのは、服役していた小山佐市氏が今年2月に出所し、逮捕直後から事件を追っていたフリージャーナリストの山岡俊介氏(アクセスジャーナル主宰、事件の連載記事執筆)と、火炎瓶事件の電子書籍「安倍晋三秘書が放火未遂犯とかわした疑惑の『確認書』」の著者、寺澤有氏に連絡してきたことだ。

2人は急遽下関に飛び、5月13日に5時間にわたり小山氏をインタビューし動画撮影を行った。決定的なのは、それまでに存在はわかっていたが現物が出てこなかった、安倍事務所と小山氏が交わした文書3通の現物を2人が目撃し、動画撮影したことである。

選挙妨害後のトラブル処理のために1999年6月から7月にかけて署名捺印された2通の確認書と1通の願書だ。

それによると1999年7月3日に、安倍首相と小山氏は一対一で面談しているのである。なお、2014年8月にも山岡氏と寺澤氏が筆頭秘書の竹田力氏を取材したさい、竹田氏は、小山氏と安倍首相が1対一で会ったことを認めている。それが、今回文書でも確認されたのだ。

現在、総理大臣を務めている人ぶるが、民主主義の根幹にかかわる選挙妨害に関与し、指定暴力団とつながりの深い人物と直接接触していた事実は重い。

しかも、当初から追及してきた山岡俊介氏が新宿の階段から転落する事故も起きている。過去に山岡氏は、取材執筆活動が引き金となって自宅を放火されたり、脅迫状やカッターナイフを送りつけられた事実があるだけに、私は事故直後に彼のインタビュー記事を書いている。

◆安倍首相の国会答弁「一切の関わりを断ってきた」の重大な意味

本件に関してマスコミは報道を避け、野党も本格的な追及をしない中で、ただ一人山本太郎参議院議員が7月17日の参院内閣委員会で安倍首相に質問した。この中で注目すべきは、安倍首相の次の答弁だ。

「一切の関りを断ってきた中において、発生した事件であるわけでございます」

筆頭秘書である故竹田氏の証言(もちろん音声録音している)に加え、今回現物が明らかになった書面により、安倍首相と小山氏が直接接触していたことは明らかだろう。したがって「一切の関りを断ってきた」というのはまったく通用しない。

だが、「紙の爆弾」10月号のタケナカシゲル氏の記事が衝撃的なのは、さらに深く、安倍首相の「一切の関りを断って」の意味に斬り込んでいるからだ。

《「断ってきた」という言葉に、自民党と工藤會の蜜月が表現されているのだといえよう。たとえば2001年の参院選挙において、福岡選挙区から当選した松山政司議員(現在三期目)は、出陣式を工藤會館(現在、暴対法で閉鎖中で行おうかと溝下秀男工藤會総裁(故人)に冗談を言って、逆にたしなめられていた。これは同じ選挙に比例区として出馬した作家・宮崎学氏の選挙準備の際に、筆者が溝下氏から直接聴いた話である》(記事より)

ここの引用した以外にも、自民党の選挙と工藤会の関係が実名を含めて照会されている。

そしてもうひとつ、警察と暴力団との関りについて。福岡の博多の違法カジノバーの手入れ情報を流して報酬を得た警察官ら10名が逮捕された2000年の事件に触れていることも興味深い。

その違法カジノの経営者は、工藤會の最高幹部だった。

こうしてみると、安倍晋三・自民党・工藤会(ほかの暴力団も)・警察 による枠組みの中で、いま話題とされている#ケチって火炎瓶事件が位置付けられる。
 
このような人物が自民党の総裁選に出馬することは論外だし、総理辞任、議員辞職は当然だ。

▼林 克明(はやし・まさあき)
ジャーナリスト。チェチェン戦争のルポ『カフカスの小さな国』で第3回小学館ノンフィクション賞優秀賞、『ジャーナリストの誕生』で第9回週刊金曜日ルポルタージュ大賞受賞。最近は労働問題、国賠訴訟、新党結成の動きなどを取材している。『秘密保護法 社会はどう変わるのか』(共著、集英社新書)、『ブラック大学早稲田』(同時代社)、『トヨタの闇』(共著、ちくま文庫)、写真集『チェチェン 屈せざる人々』(岩波書店)、『不当逮捕─築地警察交通取締りの罠」(同時代社)ほか。林克明twitter

7日発売!月刊紙の爆弾10月号

◆明治維新の過ちが混迷の原点

安倍政権に牛耳られた日本は、断末魔の様相を呈している。国会内でくりひろげられるウソ、はぐらかし、傲慢な態度。

役人は忖度し、公文書を改ざん=歴史偽造を実行しても甘い処分しか受けていない。一部の金持ちはどんどん肥え太り、貧しい人はより貧しくなる。そのうえ生活保護の削減で、関連する行政サービス(40以上)が低下し、保護受給世帯ばかりかほかの人々の生活も苦しくなる。

完全に日本は分断されている。いったい誰のせいか?
それは「安倍のせいだ」という人が多い。

確かにその通りで、貧困を拡大させ、国の基本法である憲法に明らかに違反する法律(安保法制、秘密保護法、共謀罪など)を次々と制定施行してきたのが安倍政権である。

「個別の問題に取り組むのではなく、安倍政権そのものを打倒しなければならない」

保守的な人まで含めて、この共通認識が定着したのは、安保法制反対運動が起きていた2015年夏頃だろう。

だが、もっと深いところに現在の日本の混迷と危機があるのではないか。それは、明治維新そのものが今日の安倍政権の暴走にみられる日本の危機をもたらせている、ということだ。

 

関良基『赤松小三郎ともう一つの明治維新──テロに葬られた立憲主義の夢』(作品社2016年)

そのことを明示してくれたのが、歴史的名著『赤松小三郎ともう一つの明治維新~テロに葬られた立憲主義の夢』(関良基著・作品社刊)である。

この本が提示することをひと事で言い表すと、こうである。

《江戸時代末期に芽生えた立憲主義・議会制民主主義の夢をテロリストたちがつぶし、彼らが権力を握った。そして維新後に専制政治を打ち立て、第二次大戦の敗戦をも生き延び現在に至り、暴走している》

これを著者は「長州レジーム」と名付ける。つまり、この長州レジームをつぶさないかぎり、国民・住民・市民は安心して寝られない、と筆者は思う。

◆150年ぶりの大チャンス

筆者は、かなり長い期間にわたり、現在の日本社会の問題は、敗戦後の改革が徹底しなかったことに原因があると考えていた。

だから、日本をよりよい方向に改革するには、1945年までさかのぼらなければならない、と。

ところが昨年(2017年)3月、共謀罪に反対する集会の会場で、ある人に出会ったときにハットしたのである。

「もう一回、1945年に立ち返って日本を抜本的に改革しないとダメですよね。72年ぶりの真の政権交代が必要です!」
 
と私がいうと、こんな言葉が返ってきた。

「いや、150年ぶりですよ。政権交代どころか150年ぶりに市民革命の大チャンスがやってきた。世界情勢をみても日本国内を見ても・・。アメリカの支配層も割れている」
 
この「150」という数字を聞いた瞬間、私の頭の中でパチっとスイッチが切り替わったような感覚に襲われた。150年前といえば、明治維新である。

以来、それまで見えなかったものが見え、聞えなかった声が聞こえ、新しい視点や人物、情報などが筆者の視野に入ってきた。

◆歴史から消された巨人・赤松小三郎とは?

その中で出会ったのが、歴史的名著『赤松小三郎ともう一つの明治維新──テロに葬られた立憲主義の夢』(関良基著、作品社刊)に他ならない。

一読した筆者は、声も上げられないほどの衝撃を覚えた。

明治維新150年を目前にして数年前から、明治維新を批判的に分析・批評する本が相次いで出版され、「明治維新イコール善という神話」に強い疑念の声が増しているのは事実だろう。

しかし、この本が突出しているのは、全国民(国中之人民)を対象とした普通選挙で選ばれた議員が構成する議会を国権の最高機関と位置付ける構想を著した人物に光を当てたこと。

その人物とは、信州上田藩の藩士・赤松小三郎であり、彼の思想と生涯を丁寧に追い、現代の日本と照らし合わせたのが、この本なのだ。

赤松の建白書類では、明文化はされていないものの、女子の参政権も認めていると考えられる。江戸時代のことだから、世界最先端の思想と言ってまちがいない。

赤松の構想では、国軍(陸軍2万8000人、海軍3000人)を創設する。最初は武士がその任にあたるが、有能な者を育てたうえ志願制度に切り替え、軍人に占める士族出身者の比率を減らしていく。

国軍とは別に民兵制度も提唱しているのが特筆に値する。一般国民はふだんは各自の仕事を行い、居住地域で教官により定期的に軍事訓練を受ける。訓練は男女平等に課せられる。

著者の関氏は「小三郎が女性参政権を認める立場だったと推定する根拠はここにある」と述べている。

◆「維新の志士たち」がテロでつぶした立憲主義の夢

驚くのは、赤松小三郎の先進的な構想を認める人たちがたくさんいたことだ。つまり、道理をわきまえた改革者たちの間では、立憲主義は常識になっていた事実は「重い」。明治維新前の慶応年間に!

こうした動きをテロで葬ったのが、まさに長州テロリストたち。彼らによる「長州レジーム」が2018年の現在も続いていることが日本の最大の危機ではないか。

維新で権力を握った彼らが、どのように専制支配体制を固め、現在の安倍政権に至ったのか。近代日本の出発点とされる明治維新そのものに誤りがあったと思わざるを得ない。

そして現在、安倍政権は、長州レジームを暴力的に強化しようとしている。長州テロリストの末裔たちが安保関連法制、秘密保護法、共謀罪、刑訴法改悪・・・と違憲立法を強行し、最終的には憲法改正で大日本帝国を復活させようともがいている。

いま、道理のある人間、心ある人間がやるべきことは、長州レジームを終わらせることである。

かなり危険なところに日本は追いやられているが、一発逆転するチャンスが来ている。

なぜなら、多くの人々が「おかしい」と心の底、奥深いところで気づき始めているからだ。

こんなことを思わせる本だ。最後に著者の関良基氏の言をひいておこう。

《近代日本の原点は明治維新にあるのではない。
江戸末期に提起された立憲主義にある》

長州レジームから日本を取り戻すための必読書である。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

本書の著者、関良基氏の講演案内

■8月18日(土)第107回草の実アカデミー■
 
長州レジームからの脱却
2018年のいま、
テロリストたちに葬られた立憲主義を実現させる
 
講師 関良基氏(拓殖大学教授)
日時 2018年8月18日(土)
   13:30開場、14:00開演 16:40終了
場所 雑司ヶ谷地域文化創造館 第2会議室
http://www.toshima-mirai.jp/center/e_zoshigaya/
交通 JR山手線徒歩10分 地下鉄副都心線「雑司ヶ谷駅」2番出口直結
資料代 500円
主催 草の実アカデミー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼林 克明(はやし・まさあき)
ジャーナリスト。チェチェン戦争のルポ『カフカスの小さな国』で第3回小学館ノンフィクション賞優秀賞、『ジャーナリストの誕生』で第9回週刊金曜日ルポルタージュ大賞受賞。最近は労働問題、国賠訴訟、新党結成の動きなどを取材している。『秘密保護法 社会はどう変わるのか』(共著、集英社新書)、『ブラック大学早稲田』(同時代社)、『トヨタの闇』(共著、ちくま文庫)、写真集『チェチェン 屈せざる人々』(岩波書店)、『不当逮捕─築地警察交通取締りの罠」(同時代社)ほか。林克明twitter

『NO NUKES voice Vol.16』総力特集 明治一五〇年と東京五輪が〈福島〉を殺す

『紙の爆弾』9月号

前の記事を読む »