キックボクシング、10月の戦いは誰が知名度アップするか

10月のキックボクシング、今回は主要カードのみをピックアップしています。

グラブス祭り / 10月4日
グラブス祭り / 10月4日

グラブス祭り
10月4日(日)札幌・琴似コンカリーニョ(開場13:00 / 開始13:30)
主催:GRABS祭実行委員会 / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟

小国ジムで活躍した第5代NJKFフライ級チャンピオンの佐藤友則氏が地元札幌で開催するイベント、GRABS祭り。東京進出する弟子たちも多い中、札幌でも定期的にイベント開催。

WMA(Woman Muaythai Association)は女子の世界団体機構で、2025年10月26日にはNANA(エス)がスーパーフライ級で王座奪取しています。

◆メインイベントはWMA女子世界フェザー級タイトルマッチ 5回戦(2分制)
ミネルヴァ・フェザー級1位.谷岡菜穂子(GRABS)
VS
サリンダ・ラッタナナン(タイ)

他、プロ3試合、アマチュア4試合


鐵人シリーズvol.5 / 10月10日
鐵人シリーズvol.5 / 10月10日

鐵人シリーズvol.5
10月10日(土)後楽園ホール17:15~
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

ウェルター級は今年2月21日に王座奪取した、どん冷え貴哉への挑戦権を懸けた戦い。
フェザー級は勇志が返上した第18代王座争奪戦4名による戦い。
そろそろ主役格に躍り出たい香村一吹。ベテラン勢は壁に成って阻めるか。

◆第10試合 NKBウェルター級挑戦者決定戦 5回戦
NKBウェルター級3位.大月慎也(Team arco iris)
        VS 
NKBウェルター級4位.健吾(BIG MOOSE)

◆第9試合 NKBフェザー級王座決定4人トーナメント(準決勝)3回戦
NKBフェザー級2位.矢吹翔太(team BRAVE FIST)
        VS 
NKBフェザー級5位.半澤信也(Team arco iris)

◆第8試合 NKBフェザー級王座決定4人トーナメント(準決勝)3回戦
NKBフェザー級4位.堀井幸輝(ケーアクティブ)
        VS
NKBバンタム級4位.香村一吹(渡邉)

他、プロ7試合、アマチュア4試合。


SAMURAI WARRIORS 7th / 10月11日
SAMURAI WARRIORS 7th / 10月11日

SAMURAI WARRIORS 7th
10月11日(日)後楽園ホール17:20~
主催・認定:全日本キックボクシング協会 / 協力:全日本キック韓国支部、HERO

デビューから2年半の二人、広翔と横尾空の同門ライバルの主役争い。勇生とKAIの成長度。日本における存在感を示せるか、韓国勢は6名出場。
全日本キックボクシング協会の独自の対韓国路線、HERO JAPANは盛り上がれるか。

◆第14試合 56.0kg契約3回戦
全日本バンタム級3位.広翔(稲城)vs李閏宰(イ・ユンジュ/韓国)

◆第13試合 HERO JAPAN スーパーフライ級王座決定戦 5回戦
全日本スーパーフライ級6位.横尾空(稲城)vs同級7位.福僚太(健成會)

◆第12試合 65.0kg契約3回戦
勇生(=野竹勇生/ウルブズスクワッド)vs柳權(リュウ・グオン/韓国)

◆第11試合 58.0kg契約3回戦
KAI×AKG(A-BLAZE×KICK)vs近藤祐一(デポルターレ)

他、10試合。


TITANS NEOS 39 / 10月18日
TITANS NEOS 39 / 10月18日

TITANS NEOS 39
10月18日(日)後楽園ホール17:15~ 
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会 / 協力:NJKF

ここは西田蓮人しか居ない、新日本キックボクシング協会の逸材。
西田蓮人と同門、吏佐も登場。NJKF協力の女子ミネルヴァは6試合。
ベテランのジョニー・オリベイラはまだまだ王座へ意欲を見せる。

◆第14試合 51.0kg契約3回戦
日本フライ級チャンピオン.西田蓮斗(伊原越谷)vs明夢(新興ムエタイ)

◆第13試合 ライト級3回戦
ジョニー・オリベイラ(トーエル/ブラジル)
        VS
NJKFスーパーフェザー級8位.コウキ・バーテックス(VERTEX)

他、12試合、アマチュア1試合。


NJKF 2026 west 4th 庄司理玖斗 / 10月18日
NJKF 2026 west 4th 庄司理玖斗 / 10月18日

NJKF 2026 west 4th
10月18日(日)
堺市産業振興センター(大阪府堺市北区長曾根町183-5/開場12:45 開始 13:00)
主催:誠至会 / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟

NJKF関西も独自路線で活発な展開。

◆第8試合 ISKAムエタイ日本バンタム級王座決定戦 5回戦
Jyosei(前・WBCムエタイ日本スーパーバンタム級Champ/誠至会)
       VS
繁那(前・NJKFスーパーバンタム級Champ/R.S)

新しいベルトを獲得し、世界戦への挑戦を目論む Jyosei と連敗中を状況一変し新たなるベルトを獲得したい繁那。

◆第7試合 NJKFスーパーフェザー級タイトルマッチ 5回戦
チャンピオン初防衛戦.坂本直樹(道場373)
       VS
挑戦者1位.豪(大和)

今年2月15日、王座獲得した坂本直樹。豪とは過去に挑戦者決定戦で対決し、引分け延長戦で坂本が進出している。

◆第6試合 NJKFフェザー級王座決定戦 5回戦
1位.庄司理玖斗(拳之会)vs2位.森田陸斗(誠至会)

昨年 12 月に、S-1 JAPAN フェザー級王座奪取した庄司理玖斗が二つ目の国内王座を狙う。

他、5試合。


NJKF 2026 3rd ウーバーミユ / 10月24日
NJKF 2026 3rd ウーバーミユ / 10月24日

NJKF 2026 3rd
10月24日(土)横浜市保土ヶ谷公会堂11:00~
主催:新興ムエタイジム / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟

まだあった今年のNJKFナンバーシリーズ 3rd。ウーバーミユが世界へ挑む。

◆WMA世界ペーパー級(95LBS)王座決定戦 5回戦(2分制)
ミネルヴァ・ペーパー級チャンピオン.Uver∞miyU(T-KIX)
         VS
WMA世界ペーパー級1位.ポンティップ・カムトムパーノン(タイ)

他のカードは未定。


9月27日のWBC世界バンタム級タイトルマッチは井上拓真が那須川天心を返り討ちしました。

辰吉丈一郎、長谷川穂積、山中慎介ら英雄が君臨したこの檜舞台に、井上拓真は実力的にも順当な地位にあるが、キックボクシングで一世を風靡した那須川天心が立って居るだけでも感慨深いものである。

現キックボクサーが那須川天心の後を追うことは難しいが、キックボクシングでの頂点を目指し世界王座を獲っても、プロボクシング世界主要4団体に敵うタイトルには程遠く、メディア登場もそう多くは無い。

以前、世界王座を5度防衛した渡嘉敷勝男氏はある会合で、タイで英雄となる知名度を上げた藤原敏男氏のムエタイ王座奪取を称えたが、藤原敏男氏は「俺なんかアジアの田舎のタイトルだから!」と謙遜したが、WBA、WBC等と比べたら世間的にはそんな位置付けなのだろう。

10月は、これらの興行の中から誰が目立って来るか。そのスターが那須川天心のように続いて欲しいものである。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

新宿フェイスでのキックボクシング最終興行はKICK Insist.28

堀田春樹

メインイベンター勇成は激しく鬩ぎ合う展開はやや優勢もドロー!
政斗がカッコよく引退テンカウントゴングを聴く!
政斗が返上した王座は細見直生がKOで戴冠!
新宿フェイス支配人、小川愉可さん、リングに御登壇で御挨拶!

◎KICK Insist.28 / 9月20日(日)新宿フェイス17:30~20:13
主催:(株)VICTORY SPIRITS、ビクトリージム / 認定:ジャパンキックボクシング協会

◆第8試合 59.0kg契約3回戦

ジャパン・フェザー級チャンピオン.勇成(=冨岡勇成/Formed/福岡県出身21歳/ 59.0kg)
13戦10勝(7KO)2敗1分
        VS
ペレー・サンライズジム(タイ出身33歳/ 58.9kg)104戦72勝30敗2分
引分け 1-0
主審:椎名利一
副審:勝本29-29. 宮沢29-29. 竜矢29-28

初回、ローキック中心に上下の蹴りと時折のパンチの交錯する様子見は、勇成が圧力掛けて出る展開。第2ラウンドも同じ展開もペレーがヒジ打ち狙って来る。更に首相撲に移るとペレーのヒザ蹴りとムエタイリズムが活きだす。

積極果敢に攻めたのは勇成も結果に繋がらず
積極果敢に攻めたのは勇成も結果に繋がらず

ラストラウンドもより激しい攻防も勇成は前進。ペレーはしっかり蹴り返す。ヒジ打ちの交錯もあり、休まない攻防は勇成のローキックやボディーブローが優ったに見えたが、採点もジャッジ三者が揃うラウンドは無く、いずれも29-29でドローとなった。勇成の右ローキックと左ボディブローは、これで倒せるかという勢いもペレーは全く崩れなかった。

ペレーは要所要所で鋭い蹴りを返した
ペレーは要所要所で鋭い蹴りを返した

試合後の控室でペレー・サンライズジムは仲間内と記念撮影中、「タイ語解る人居ますか?」と尋ねても居なかったので、私の拙いタイ語でペレーに話しかけたところが、日本語で応えるペレー。拙い質問にはしっかり応えてくれました。

「勇成は気持ちが強くて前へ前へ出て攻めて来るので、上手かったし強かったです。でも僕の方が勝ってると思ったけど、勇成も勝っていると思っているだろうから、もう一回やりたいです。」と笑顔で語った。

◆第7試合 ジャパン・ウェルター級王座決定戦 5回戦

1位.細見直生(KICK BOX/1996.11.28京都府出身/ 65.8kg)6戦5勝(2KO)1敗
        VS
3位.正哉(誠真/神奈川県出身23歳/ 66.4kg)14戦7勝(3KO)7敗
勝者:細見直生 / KO 1ラウンド 1分41秒
主審:勝本剛司

両者は2024年3月24日に対戦し、細見直生が初回TKO勝利しているが、今回も初回で更に短い時間で正哉を仕留めた。

蹴りで牽制し合う両者はまず正哉の左フックが軽くヒットも、怯まない細見直生は蹴りで牽制し、右ストレート強烈ヒットでノックダウンを奪った。すでに効いた感はあるが、立ち上がった正哉を更に追い詰めて右ストレートヒットでノックダウンを奪うと正哉は何とか立ち上がるも意識朦朧としており、カウント中にレフェリーがストップした。

細見直生の右ストレートで意識が飛んだ正哉はゆっくりと倒れ込んだ
細見直生の右ストレートで意識が飛んだ正哉はゆっくりと倒れ込んだ

細見直生のチャンピオンとしてのマイクアピールは
「去年敗北して一年間練習して……」に続く“頑張って来ました”が涙で声にならないような語りの後、正哉選手と周囲への感謝を何度も述べて、「チャンピオンとして会場を沸かせて、皆の人生の希望の力になるような試合を見せたいと思います。」と語った。

認定証を笑顔で受取る細見直生。人生最高の瞬間もまだ上がある
認定証を笑顔で受取る細見直生。人生最高の瞬間もまだ上がある
昨年9月の新宿フェイスで政斗に敗れてから1年の努力が実った細見直生の感涙
昨年9月の新宿フェイスで政斗に敗れてから1年の努力が実った細見直生の感涙

リングを下りた細見直生は興行終了後まで応援者に挨拶回りしていた中、「メチャメチャ楽しかったです。」とロビーで喜びを分かち合う中での回答。狙ったパンチで倒し切った充実感が溢れていた。

細見陣営、鴇稔之会長は「細見は打ち合える度胸があるので、上手いというより強いタイプです。試合で“行け”と言ってもすぐ行ける選手は少ない中、細見は攻めて出る良いもの持ってますね。」と語る。

正哉の先輩、大地フォージャーは「作戦通りにやっていたところは凄く良かったです。ただ、パンチで打ち合う時間がほんのちょっと長くて、そこに合わせられましたね。正哉はダウン2回とも覚えていないようですね。」と語った。

◆第6試合 58.0kg契約3回戦

ジャパン・フェザー級1位.皆川裕哉(KICK BOX/1997.4.11東京都出身/ 57.8kg)
34戦17勝(4KO)15敗2分
        VS
同級3位.海士(ビクトリー/1988.10.14山形県出身/ 57.9kg)11戦6勝5敗
勝者:皆川裕哉 / 判定3-0
主審:竜矢
副審:椎名29-28. 勝本29-28. 宮沢29-28

皆川裕哉の前進するヒザ蹴りも加えた蹴りのタイミングが良い。第2ラウンドには海士もパンチと蹴りの勢いでジワジワ巻き返す。ラストラウンドも蹴りとパンチの攻防の中、パンチで出る皆川に海士とのヒジが掠めた相打ちは皆川が一瞬のスリップダウンするが、激しい攻防の中、今度は皆川の右ハイキックで海士がノックダウン。激しい攻防は僅差ながら皆川の勝利となった。

皆川裕哉がハイキックで海士からノックダウン奪って判定勝利
皆川裕哉がハイキックで海士からノックダウン奪って判定勝利

鴇稔之会長は技術を分析する語りが上手く、「皆川は攻撃はいいが、立ち位置の問題で攻められ易い点があったので、今回は修復されていて以前より良かったです。」と、細かい部分は省くが、何が出来るか、何がダメでそこをどう直していくかで出来ることが多くなるので、その修正が良かったという。

◆第5試合 ライト級3回戦

ジャパン・ライト級2位.菊地拓人(市原/千葉県市原市出身26歳/ 61.0kg)
12戦8勝(5KO)3敗1分
VS
同級4位.林瑞紀(治政館/1993.4.16鹿児島県出身/ 61.05kg)20戦11勝(4KO)8敗1分
勝者:菊地拓人 / TKO 3ラウンド 1分31秒
主審:宮沢誠

初回は林瑞紀のパンチと蹴りの勢いが優った。菊地拓人は鼻血を流す苦しい展開。第2ラウンドも林瑞紀のペースだったが、菊池が蹴りからパンチ連打で林瑞紀をコーナーに追い込むと流れが逆転。更にパンチで追い込んだ菊池がスタンディングノックダウンを奪った。ラストラウンドも菊地のパンチの勢いで林瑞紀を苦しめ、右ストレートでノックダウンを奪う。立ち上がった林を更にパンチで追い込みローキックから右ストレートフォローで倒し、カウント中のレフェリーストップとなった。

菊地拓人は劣勢を巻き返して林瑞紀を倒した
菊地拓人は劣勢を巻き返して林瑞紀を倒した

◆第4試合 ミドル級3回戦

白井大也(市原/千葉県市原市出身24歳/ 73.4→73.25kg/+680g計量失格)減点1
8戦3勝(1KO)3敗2分
        VS
バス・レンジャージム(タイ・ローイエット県出身36歳/ 72.3kg)100戦越
勝者:バス・レンジャージム / TKO 2ラウンド 2分51秒
主審:竜矢

計量失格した白井大也は減点が科せられる。初回、パワーあるバスの蹴りと追い込むパンチ。白井大也も返すパワーはあったが、バスの勢いに敵わない。

第2ラウンドにバスの首相撲で押さえられた白井がマットに膝を着くとバスのヒザ蹴りを顔面に受け、反則打として白井に回復のインターバルが与えられた。再開後もバスの猛攻で劣勢の白井。更にヒザ蹴りに掴まえると顔面にヒザ蹴り受けた白井はノックダウンし、カウント中のレフェリーストップが掛かった。

バス・レンジャージムは終始圧倒。白井大也を倒す
バス・レンジャージムは終始圧倒。白井大也を倒す

◆第3試合 ウェルター級3回戦

深谷恭介(ラジャサクレックムエタイ/東京都出身31歳/ 67.1→66.3kg)2戦2勝(1KO)
VS
LEO SHOBUKAI (尚武会久喜支部/東京都出身18歳/ 65.0kg)2戦1勝1敗
勝者:深谷恭介 / 判定3-0 (30-27. 29-27. 30-28)

深谷恭介のパワーある蹴りで圧倒し大差判定勝利。

◆第2試合 フェザー級3回戦

優太JSK(治政館/埼玉県出身20歳/ 56.8kg) 2戦1勝1敗
        VS
鹿志村巧(BURNING/千葉県出身19歳/ 57.6→57.15kg)2戦2勝
勝者:鹿志村巧 / 判定0-3 (27-30. 27-29. 27-30)

計量時はリミットまで減量に苦しんだ鹿志村巧だったが、その影響は無く蹴りと組み合ってのヒザ蹴りで終始圧倒し大差判定勝利。優太はコーナーに帰る際もフラフラでセコンド陣営に支えられてリングを下りた。

◆第1試合 ライト級3回戦

木村大夢(KIX/千葉県出身28歳/ 61.2kg)2戦1勝1敗
        VS
光流(Team S.R.K/栃木県出身24歳/ 61.0kg)4戦1勝3敗
勝者:木村大夢 / 判定3-0 (30-28. 29-28. 30-27)

パンチと蹴りの攻防は互角に進んだが、ラストラウンド残り僅かで木村大夢が右ストレートヒットさせ光流がノックダウン。立ち上がるも残り時間は無く終了。木村が判定勝利。

《取材戦記》

第6試合後のセレモニーでは小泉猛代表御挨拶の後、新宿フェイス支配人の小川愉可氏がリングに御登壇。21年間の想いを語られました。

「21年2箇月、キックボクシングの試合も何千試合とここで開催して頂いて来たかと思います。選手に関しては、本当に悔しさと喜びを経験して成長されて来たんじゃないかと思います。試合で興奮したり感動したりというところを見ていると、この会場では格闘技界においても、大変必要な場所だったんじゃないかなと思います。ここは9月30日で終るんですけど、またリングのある会場で皆さんにお会い出来ればと思います。私も選手の試合をまた改めて観させて頂ければと思います。21年間本当に有難うございました。」と御挨拶されました。

新宿フェイス支配人の小川愉可氏より御挨拶
新宿フェイス支配人の小川愉可氏より御挨拶

続いて政斗(=黒澤政斗/治政館/1992.7.17東京都出身)の引退セレモニーに移り、政斗は御挨拶で周囲への感謝の他、
「リングを下りる時って不思議な感覚ですね。自分のリングの人生というのは。」「大学在学中にプロデビューして36戦もやって来ました。3回タイトルマッチやって3回ともダメでした。その度に何回も諦めそうになりました。だけどやっぱり、絶対にチャンピオンベルトを巻いてキックボクシング生活を終わりにしたいと思っていたので、ベルトを巻けて、その時は人生最高の瞬間でした。最後にちょっと、これからリングに上がる選手の方々にメッセージを残して終わりにしたいと思います。歌手の方々は歌を歌って人にインパクトを与えられると思います。画家の人は絵を描いてそれを人になにかを感じて貰いパワーを与えるとか出来ると思います。自分自身も勿論、勝ち負けを拘っていたのですが、やっぱり観ている人の心をどれだけ動かせるかということを拘って自分は試合を続けて来ました。勿論自分の試合の中でも情けない試合もあれば、凄い良い試合もあるし、だけどやっぱり人の心を動かすというところが僕のキックボクシングの中での目標でした。なのでこれからリングに上がる選手の方々、自分自身の生き様をこのリングで魅せて、人の心を動かせるような存在になって欲しいです。この後、このベルトを懸けて二人の選手がタイトルマッチを行ないます。その二人を皆さんの応援で一歩でも背中を押してあげて一歩でも足を前に進ませる応援をして頂ければと思います。本日は本当に有難うございました。今迄応援して頂いた皆様、そして一緒に汗を流して頂いた選手の皆様、応援、スポンサードして頂いた皆様、それを何よりも支えてくれた家族、自分を信じて支えてくれて有難う。今日でリングを下ります。素晴らしい格闘技人生でした。キックボクシング最高!」
と、4分20秒に渡るメッセージをメモ無しでカッコよく語り終えました。

前チャンピオンの政斗は完全燃焼して引退テンカウントを聴く
前チャンピオンの政斗は完全燃焼して引退テンカウントを聴く

政斗は2014年5月デビューし、2016年4月17日、日本ウェルター級タイトルマッチに於いて、チャンピオン渡辺健司(伊原稲城)に挑戦も判定負け。

2018年5月13日、リカルド・ブラボと王座決定戦にヒジで斬られて4ラウンドTKO負け。

ジャパンキックボクシング協会に移って2020年1月5日、モトヤスックと同門対決でジャパン王座を争い、ヒジで斬られて5ラウンドTKO負け。

2024年3月24日、チャンピオン大地フォージャーに2ラウンドで倒して王座初奪取。

2025年9月15日、細見直生の挑戦を判定勝利で初防衛も引退表明。

※  ※  ※  ※

新宿フェイスにおいてのキックボクシング最終興行での小川愉可さんの御挨拶と政斗の引退セレモニーは二つの引退式があったような感覚。どちらも熱い語り掛けがありました。

後楽園ホールも来年修復工事の為、春に2箇月程休館の予定があります。5月より再開されますが、老朽化の会場も多いようです。一方で新しい多目的ホール、格闘技向きの会場なども増えているので、キックボクシングの試合も少しずつ新しい会場が増えていくのでしょう。

次回のジャパンキックボクシング協会KICK Insist.29は11月22日(日)に後楽園ホールに於いて開催されます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

西田光汰と永井雷智が白熱した試合展開で存在感示したNJKF 2026.2nd!

堀田春樹

西田光汰はノックダウン喫するも、ヒジ打ち圧倒勝利で2度目の防衛。
永井雷智は先手の左フックで中島隆徳を倒し、山川敏弘への挑戦権を獲得。
S-1女子は、佐藤”魔王”応紀がノーンレック・クルーダージムに敗れ王座獲得成らず。

◎NJKF 2026.2nd / 9月12日(土)後楽園ホール11:00~13:53
主催:NJKF / 認定:NJKF、S-1

◆第7試合 NJKFフライ級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオンV2戦.西田光汰(西田/2001.2.13愛知県出身/ 50.75kg)18戦11勝6敗1分
        VS
挑戦者1位.悠(=吉仲悠/VALLELY/2003.10.25北海道出身札幌市出身/ 50.7kg)
18戦9勝(4KO)7敗2分
勝者:西田光汰 / TKO 3ラウンド 0:29秒
主審:中山宏美

初回はパンチとローキックの攻防。組み合っても互角の鬩ぎ合い。終盤には悠のパンチ連打の中、左フックで西田光汰はバランス崩したような感じでノックダウン。流れは悠に大きく傾くような初回終了となった。

初回、悠の左フックでノックダウンを喫する西田光汰
初回、悠の左フックでノックダウンを喫する西田光汰

第2ラウンドには悠の勢いを止めに掛かった西田が組み合ってヒザ蹴りからのヒジ打ち連打で悠をロープに追い詰める圧力が増して来た。

第3ラウンドも開始から西田がヒジ打ちで悠の顔面を狙い撃ち。斬るヒジでなく、ガツンと当てる倒しに行くヒジ。その猛攻で悠は鼻血を流してマットに沈むとレフェリーはカウント中にストップを掛けた。

西田光汰は自分の距離を掴んでヒジ打ちの猛攻を掛けた
西田光汰は自分の距離を掴んでヒジ打ちの猛攻を掛けた

西田は2度目の防衛。悠は担架で運ばれたが、控室では椅子に座って落ち着いて会話が出来ている様子で、悠のおじいちゃんおばあちゃんが「心配で帰れない!」と言っているから様子を伝えようというスタッフが覗きに来ていたが、悠は問題無く、しっかり歩いて帰れる様子でした。

悠陣営の米田貴志会長は「ジリジリ攻められた時の脆さが出ましたね。相手のペースに合わせ過ぎで、逆にやってやろうと思っていたところが、先にやられた感じでした。悠はこれでくじける奴ではないので、しっかり休んでまた対策立てて頑張ると思います。」と語った。

西田光汰は「最初貰ったのは左フックかな。ダウン取られた時はスリップだと思ったんですけど、その前のパンチの受け方とかはダウン取られても仕方ないなと切り替えました。パンチ勝負では悠選手の方が何枚も上手なので、首相撲というか自分の距離で入ろうと思って行きました。ヒジの攻めはあれはたまたまで、今日は僕の方が強かっただけですね。5ラウンドやれるスタミナは充分練習して来たので途中で休むとかは無くて攻めて行きました。」と語った。

堂々たるメインイベンターとして二度目の防衛を果たし西田光汰
堂々たるメインイベンターとして二度目の防衛を果たし西田光汰

◆第6試合 NJKFバンタム級挑戦者決定戦3回戦

3位.中島隆徳(GET OVER/2005.4.8愛知県出身/ 53.85→53.75→53.70→53.6→53.52kg)
17戦8勝(1KO)6敗2分1NC
        VS
4位.永井雷智(VALLELY/2008.1.14東京都出身/ 53.45kg)11戦9勝1分1NC
勝者:永井雷智 / TKO 1ラウンド 1分30秒
主審:ノッパデーソン・チューワタナ

開始早々に永井雷智は牽制の飛び蹴りを放つも中島隆徳も素早く身を躱す。ローキックからパンチで距離を計る両者だったが、永井は一瞬を逃さないタイミングで左フックを中島の顔面に打ち込むと中島は脚に来てゆっくりと崩れ落ちた。立ち上がる気力はあるものの、脚がフラ付いてカウント中のレフェリーストップが掛かった。

一瞬を逃さない永井雷智の左フックが中島隆徳を襲う直前
一瞬を逃さない永井雷智の左フックが中島隆徳を襲う直前
ノックダウンを喫した中島隆徳に手応えありと確信の永井雷智
ノックダウンを喫した中島隆徳に手応えありと確信の永井雷智

永井雷智は「1ラウンドで絶対行けるだろうと思ったので予想どおりでした。倒したのは左フックかな。当たった感覚あったので、相手見たら目が飛んでるなと感じたので、これで終わったなと確信しました。」と語った。

前回6月の無効試合で拾い損ねた勝利が、この日に着いてきた結果となった。

挑戦権獲得して抱負を語る永井雷智
挑戦権獲得して抱負を語る永井雷智

◆第5試合 スーパーウェルター級 5回戦

NJKFスーパーウェルター級10位,風成(エス/1997.5.18東京都出身/ 69.5kg)
9戦5勝2敗1分1NC
        VS
金智燮(キム・ジソプ/2001.1.12韓国出身/ 70.2→69.8kg)7戦4勝(3KO)3敗
勝者:金智燮 / 判定0-3
主審:宮沢誠
副審:ノッパデーソン29-30. 児嶋29-30. ランボー28-30

両者、ローキックとミドルキック中心の牽制は金智燮の蹴りパンチが重く鋭い。前蹴りで風成の前進を止める上手さが目立った。風成がパンチで出れば金智燮もパンチで返し、前蹴りも続けてプレッシャーを掛け続けた金智燮。ラストラウンド終盤には風成も意地でパンチやハイキックで出て来たが巻き返すには至らず、僅差判定で敗れた。

勝者となった金智燮は「初めての外国遠征で、最も行きたかった日本の後楽園ホールで勝つことが出来て光栄です。最近の2試合で連勝し、この連勝が途切れないことや、また日本に呼んで貰えるなら、自分自身を証明することが目標です。」と日本語で語った模様。

金智燮の蹴りは鋭く重く風成の突進を挫いた
金智燮の蹴りは鋭く重く風成の突進を挫いた

◆第4試合 S-1女子世界ミニマム級王座決定戦(105LBS) 5回戦(2分制) 

ノーンレック・クルーダージム(タイ国ムエタイ協会女子ミニマム級Champ/タイ出身22歳/ 47.48kg)40戦32勝6敗2分
        VS 
佐藤”魔王”応紀 (女子聖域東北ライトフライ級Chanp/PCK連闘会/1979.1.24宮城県出身/ 47.25kg)28戦14勝(7KO)11敗3分
勝者:ノーンレック・クルーダージム(王座獲得) / 判定3-0
主審:ノッパデーソン・チューワタナ
副審:宮沢50-48. 児嶋49-48. ランボー50-47

アグレッシブな佐藤魔王応紀にムエタイテクニックで優ったノーンレック
アグレッシブな佐藤魔王応紀にムエタイテクニックで優ったノーンレック

初回は互角の蹴り合いも佐藤がやや前進する展開。第2ラウンド以降も佐藤がパンチから蹴りと組み負けない首相撲でプレッシャー掛けて出るが、下がりながらもミドルキックのヒットが目立ったのはノーンレック。初回が互角で、他はジャッジ三者が揃ったラウンドは無かったが、ムエタイ技が目立ったノーンレックが判定勝利し王座獲得となった。

リングを下りれば笑顔が戻ったノーンレック。チャンピオンベルトが引き立つ
リングを下りれば笑顔が戻ったノーンレック。チャンピオンベルトが引き立つ

◆第3試合 女子ミネルヴァ・バンタム級3回戦(2分制)
 
ミネルヴァ・スーパーバンタム級チャンピオン.珠璃(闘神塾/2007.2.2兵庫県出身/ 53.3kg)
11戦9勝(2KO)2分 
        VS 
小澤聡子(第2代KPKB女子バンタム級Champ/K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/1984.3.4静岡県出身/ 60.7kg→当日8時30分条件59.0kgを下回る)46戦12勝30敗4分 
勝者:珠璃 / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:ノッパデーソン30-26. 児嶋30-26. ランボー30-25/小澤に減点2含む

パンチと蹴りでやや前進力ある珠璃だが、小澤聡子も応戦。ウェイト差もあったかもしれない小澤のパワーあるパンチと蹴り。しかしスタミナは珠璃が大きく上回る攻撃力だったが、圧倒出来ず倒すに至らない、もどかしさはあったかもしれない。減点無しでも大差判定勝利ではあったが、珠璃の悔しさが涙となって表れていた。

中止寸前から試合成立。攻防は激しく打ち合った珠璃と小澤聡子
中止寸前から試合成立。攻防は激しく打ち合った珠璃と小澤聡子

◆第2試合 女子ミネルヴァ 55.0kg契約3回戦(2分制)

スーパーフライ級6位.RUI JANJIRA(ジャンジラ/2000.11.5東京都出身/ 54.85kg)
16戦5勝(1KO)8敗3分 
        VS 
スーパーバンタム級8位.朱乃(CORE/1994.5.29埼玉県出身/ 54.75kg)6戦3勝2敗1分
引分け 0-0
主審:宮沢誠      
副審:ノッパデーソン29-29. 児嶋29-29. 中山29-29

長身の朱乃の蹴りがやや上回る展開も、RUIも距離感掴んで蹴りとパンチで応戦。ラストラウンド終盤はRUIが我武者羅に打って出た流れもジャッジ三者揃ったラウンドは無く、引分けとなった。

◆プロ第1試合 女子ミネルヴァ 45.8 kg契約3回戦(2分制)
 
ピン級2位.上真(ROAD MMA/1985.10.16石川県出身/ 45.25kg)22戦6勝14敗2分
        VS
アトム級2位.ほのか(KANAROA/1999.6.26岐阜県出身/ 45.9→45.88→45.8kg)
17戦5勝10敗2分   
勝者:ほのか / 判定0-3
主審:スイット・サエリム・ランボー
副審:ノッパデーソン27-30. 宮沢27-30. 中山27-30

両者のパンチと蹴りが交錯する流れは、ややほのかが打ち勝ち、上真はほのかを上回るヒットが少ない。内容的には大きいダメージを与えるヒットは無いが、終始圧す流れを掴んだほのかがフルマークの大差判定勝利となった。

◆アマチュア2. EXPLOSION U-15 53.0kg契約2回戦(90秒制) 

永井りい(第13・14代EXPLOSION-40kg級王者/2012.1.25東京都出身/VALLELY/ 51.45kg)
        VS
堀口透輝(TAKEDA/2011.11.5埼玉県出身/ 52.9kg) 
勝者:永井りい / 判定3-0 (20-19. 20-19. 20-19)

◆アマチュア1. EXPLOSION U-15 46.0kg契約2回戦(90秒制)

水田勝眞(U-15 小学生高学年45kg以上級王者/新興ムエタイ/2014.6.20神奈川県出身/ 46.0kg)
        VS
渡邉慶(D-BLAZE/2012.9.13東京都出身/ 45.6kg) 
勝者:水田勝眞 / 判定2-0 (19-19. 20-19. 20-19)

《取材戦記》

今回の興行は前日12時の計量時において1回目でのウェイトオーバーが多かった。難なく2回目でパスする者。水分出し切って何度か秤に上がってパスする者。
中島隆徳は出し切っても落ちない中、何度もジャケットを着て走り、2時間の猶予ギリギリでパス。

小澤聡子は60.7k g(公式計量表記載)で7.18kgオーバーの過去に無いような大幅ウェイトオーバーだが、減量を怠った数値ではないことは明確だった。計量前日までの過度の体調不良で診療により点滴を受け、体調回復に務めなければならなかった結果、規定のバンタムウェイトに落とすには至らなかったものである。

とはいえ、プロボクシング的に言えば規定の8パーセント超えで試合は中止だが、ルールが柔軟なキックボクシングで、NJKFでは当日8時30分計量で59.0kg以下の条件が科された。小澤はこの条件をクリアし試合成立となった模様。これまでの条件がどう影響したかは解らないが、中止を回避したかった両者のぶつかりは白熱した展開となっていた。

西田光汰のヒジ打ち猛攻は凄まじかった。チャンピオンに成って防衛重ねることでより風格が増して行く西田である。

西田姓は新日本キックボクシング協会にも西田蓮人が日本フライ級チャンピオンとして存在し、二人の比較も面白くなりそうです。

先週6日のCHALLENGER 14と比べて観衆は少なかったが、メイン格の完封TKO勝利2試合で締め括ったNJKF 2026.2ndもインパクト残す興行となりました。

先週の記事。CHALLENGER興行の主催名と基康を“超合金”と記載しましたが、“超合筋”が正解。金属でなく筋肉でしたね。過去にも文字変換で気が付かないミスがありました。訂正させて頂きます。

11月1日(日)のNJKF CHALLENGER 15は後楽園ホールに於いて、基康のWBC日本タイトル (もしくは上位王座)挑戦と、今回挑戦権を得た永井雷智が、チャンピオン山川敏弘に挑戦するNJKFバンタム級タイトルマッチの主要2試合中心に開催されます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

正々堂々、殴り合ったCHALLENGERたち!

堀田春樹

基康、新天地3戦目で王座獲得。新超合筋の実力発揮。
佐々木勝海、庄司翔依斗、赤土剛琉はチャンピオンの底力見せられず。
優心、中島凜太郎はチャンピオンの意地見せる勝利。
興行MVPは2週間前に足の小指骨折しながら出場し判定勝利した竹田奏音。

◎NJKF CHALLENGER 14 / 9月6日(日)後楽園ホール17:15~21:50
主催:オフィス超合金 / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)
放送:U-NEXT

◆第9試合 第6代 NJKFスーパーウェルター級王座決定戦 5回戦

1位.岩本光太郎(誠至会/2003.1.22大阪府出身/ 69.35kg)13戦8勝(1KO)5敗
        VS
2位.基康(岡本基康/TAKEDA/2001.9.22千葉県出身/猶予時間以内で69.85kg)
32戦22勝(11KO)9敗1分
勝者:基康 / 判定0-3
主審:中山宏美
副審:児島42-50. 宮沢43-50. ノッパデーソン43-50

岩本光太郎はヒジ打ち狙いと蹴りでアグレッシブに攻めるが、よりパワフルにパンチと蹴りで的確に攻めたのは基康。初回からコツコツ当てて来た右ローキックが第4ラウンドにはより強力に狙い定めてヒットが増して行った。

基康が強烈なローキックで岩本光太郎を苦しめた

ラストラウンドには基康の強烈なローキックで岩本も体幹保てずバランス崩すようにノックダウン。更にローキックで縺れ合った中でスリップダウンして立ち上がりが遅い岩本はノックダウン扱いされてしまうが、最後まで攻める姿勢を見せた岩本光太郎。基康の大差判定勝利となったが、熱がこもる5ラウンドだった。

基康のローキックでバランス保てない岩本光太郎

岩本光太郎は試合後、「良いところもダメなところも、見返せばあると思うので、それをもう一回修正していきたいです。次に向けて頑張ります。」と語り、こちらの質問が大雑把なので、応え難かったかもしれないが、まだまだ反省点はありそうでも、次に向けて気持ちを切り替える様子だった。

新時代の超合筋。基康が武田幸三イズムを担う

◆第8試合 64.0kg契約3回戦

NJKFスーパーライト級チャンピオン.佐々木勝海(エス/神奈川県出身27歳/ 63.9kg)
16戦11勝(2KO)3敗2分
VS
SB日本ライト級3位.基山幹太(BELLWOOD FIGHT TEAM/2001.12.24兵庫県出身/ 63.9kg)27戦16勝(2KO)10敗1分
勝者:基山幹太 / 判定0-3
主審:スイット・サエリム・ランボー
副審:児島27-30. 宮沢28-29. 中山27-30

初回、両者のハイキックが目立つ攻防からパンチと蹴りで圧力掛ける基山幹太が距離感、タイミング掴んで攻勢を強め、佐々木勝海をロープ際に追い詰める。

基山幹太が適材適所蹴り込んでいく

佐々木は蹴って出てもヒットは少ない。基山はリズム崩さずラストラウンドもより勢い増して攻め、佐々木はズルズル基山のペースに嵌ってもどかしい展開で大きな見せ場を作れず終了。採点は初回だけ分かれたが、基山が第2,3ラウンドは完全に抑えて判定勝利。

基山幹太が勢い増して行く中での左ハイキック

◆第7試合 フェザー級3回戦

NJKFスーパーバンタム級暫定チャンピオン.中島凛太郎(京都野口/兵庫県出身27歳/ 56.85kg)14戦8勝4敗1分1NC
      VS
安河内秀哉(RIKIX/2003.10.7東京都出身/ 57.1kg)19戦12勝(6KO)6敗1分
勝者:中島凛太郎 / 判定2-1
主審:ノッパデーソン・チューワタナ
副審:児島28-29. ランボー30-27. 宮沢29-28

中島凜太郎は下がりながらも安河内秀哉の出方を窺って、パンチ、蹴りで攻めどころをしっかり見極めていく。組み付けばヒザ蹴りで中島ペースは変わらずも第2ラウンドには攻め倦む安河内秀哉がヒジ打ちを放ったか、中島の右瞼がやや切れていた。

中島凜太郎の首相撲でのヒザ蹴りに足払いを掛けた安河内秀哉

第3ラウンド早々、組み付いてヒザ蹴りに入った中島に足払いを掛けてしまう安河内秀哉。転ばせた後、圧し掛かることで中島は後頭部を打ってしまう。軽い脳震盪を起こした感じでインターバルを与えられたが、最大5分までとされる中、早々に切り上げた中島が攻め優った流れも、安河内も前進して蹴っていたことが評価分かれる採点となったが、内容的には中島が主導権支配した展開で僅差ながら判定勝利した。

中島凜太郎と安河内秀哉の打ち合う攻防。安河内秀哉もよく攻めた

◆第6試合 52.0kg契約3回戦

S-1世界フライ級チャンピオン.優心(京都野口/ 2002.5.28京都府出身/ 51.9kg)
22戦11勝(1KO)8敗3分
        VS
NJKFフライ級6位.愁斗(Bombo Freely/2001.11.24茨城県出身/ 51.95kg)
15戦8勝(3KO)4敗3分
勝者:優心 / 判定3-0
主審:ノッパデーソン・チューワタナ
副審:児島30-26. ランボー30-26. 中山30-26

初回は愁斗がスピーディーにパンチと蹴りで攻めるが、その動きを読んで徐々に巻き返す上手さ目立った優心。第2ラウンドにはロープ際に詰めたところで右のパンチかヒジ打ちでノックダウンを奪い、流れを完全に支配し、ラストラウンド終盤にはまたも右ヒジ打ちで愁斗の額をカット。大差を付けてチャンピオンの風格を見せ付けて判定勝利。

優心の右ハイキックがヒット。愁斗は動きを読まれて為す術が無かった

◆第5試合 フライ級3回戦

S-1世界ミニマム級チャンピオン.庄司翔依斗(拳之会/2007.12.19岡山県出身/ 50.4kg)
8戦7勝(2KO)1敗
      VS
竹田奏音(TAKEDA/埼玉県出身17歳/ 50.5kg)4戦4勝(1KO)
勝者:竹田奏音 / 判定0-3
主審:宮沢誠
副審:ノッパデーソン28-29. ランボー27-30. 中山27-30

初回は両者スピーディーな蹴りや組み合っての攻防も竹田奏音が体勢を上手く使った展開を導いた。庄司翔依斗はリズムを作れず惜敗。

MVP獲得した竹田奏音が庄司翔依斗を抑えて勝利。今後も続くだろう若い戦い

◆第4試合 バンタム級3回戦

スック・ワンキントーン・スーパーフライ級チャンピオン.赤土剛琉(D-BLAZE/2007.3.13東京都出身/ 53.45kg)9戦5勝(2KO)4敗
      VS
神田大翔(TOP GUN/大阪府出身20歳/ 53.0kg)7戦4勝(1KO)3敗
勝者:神田大翔 / 判定0-3
主審:児島真人
副審:ノッパデーソン26-29. 宮沢26-29. 中山26-29

初回、組み合うと赤土剛琉のヒザ蹴りが上手いが、パンチと蹴りは神田大翔が勢い有る攻め。第2ラウンドには打ち合いになると神田の連打で赤土からノックダウンを奪った。打ち合わない方がいい赤土だが、巻き返したい心理か、スリリングな接近戦の展開に移る。第3ラウンドは赤土の攻勢に出るヒザ蹴りとヒジ打ちもあったが、神田がパンチでまたもノックダウンを奪って大差判定で勝利。

パンチで来る神田大翔にヒジ打ち合わせる赤土剛琉。打ち合いでは神田が優った

◆第3試合 58.5kg契約3回戦(EX1)

中島大河(GET OVER/愛知県出身18歳/ 58.5kg)10戦4勝(2KO)3敗3分
        VS
陽平(TAKEDA/埼玉県出身17歳/ 58.5kg)5戦2勝(1KO)3敗
勝者:中島大河 / 判定3-0 (30-26. 29-27. 30-26)

中島大河の前蹴りで陽平のアゴを捉えノックダウン奪うとアゴのカットもして流血し、大差判定勝利。

◆第2試合 女子(ミネルヴァ)ペーパー級(95LBS)3回戦(2分制)

琴弥(TAKEDA/埼玉県出身17歳/ 42.95kg)2戦2勝
        VS
岩切菜々美(POLARGYM MIYAZAKI/宮崎県出身18歳/ 42.9kg)3戦2敗1分
勝者:琴弥 / 判定3-0 (30-27. 30-27. 30-27)

琴弥のシャープな蹴りでリードし、岩切菜々美も劣勢ながら諦めない姿勢で後ろ蹴りも見せたが琴弥が主導権支配し大差判定勝利。倒せないことを悔しがった。

◆第1試合 フェザー級3回戦(EX1)

宰川桂人(安廣道場/東京都出身20歳/ 56.65kg)2戦1勝1敗
        VS
優琉(TAKEDA/福島県出身20歳/ 56.6kg)1戦1敗
勝者: 宰川桂人 / 判定2-0 (29-27. 28-28. 29-27)

宰川桂人がラストラウンドに軽いタイミングながらパンチでノックダウン奪って判定勝利。

※他、中盤に組まれたアマチュア3試合は割愛します。

《取材戦記》

メインイベント、基康vs岩本光太郎戦はラストラウンドの基康の怒涛のローキックはKOするか、岩本が耐え切るかの鬩ぎ合い。富山勝治がサミー・モントゴメリーを追い込んだラストラウンドが頭を過った(解る人には解る話)。岩本はノックダウンを喫したが、心折れたものではなく、脚が麻痺したら意志に関係無く立って居られないもの。岩本にとっては悔しかっただろう。

基康は第6代NJKFスーパーウェルター級チャンピオン。歴代は長島自演乙雄一郎、健太、TOMONORI、YETI達朗、白神武央と続いたが、今回10年ぶりのタイトル戦復活であった。

基康は新世代の“超合金” としてCHALLENGERシリーズを担っていくだろう。“治政館色濃いなあ” という印象は拭えないが、長江国政と武田幸三のキックボクシング遺伝子を持ってNJKFで先輩二人を超えて行って欲しいものである。

中島凜太郎と優心はチャンピオンの風格を見せたが、赤土剛琉、庄司翔依斗、佐々木勝海は劣勢のまま敗退。契約ウェイトとは言え、チャンピオンたる者は負け方にも見せ場を作らねばならない。新妻聡のような、タダでは終わらぬ一発当てる見せ場が欲しかった。

今回のCHALLENGER 14はノックアウト決着は無かったが、激しい攻防続いた興行でした。

NJKF CHALLENGER 15は11月1日(日)に後楽園ホールに於いて開催。基康がWBC日本タイトル挑戦の模様です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

9月のキックボクシング興行予定から何が探れるか

堀田春樹

6日と12日はニュージャパンキックボクシング連盟、主要イベント二つの戦い。
9月末で閉鎖が決定している新宿フェイス。キックボクシングとしてのラストは20日にジャパンキックボクシング協会KICK Insist 28開催。
27日は東京ドーム主催の後楽園ジャンブル初興行。

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

過激なタイトル、基康が中心に来るCHALLENGER 14

CHALLENGER 14 / 9月6日(日)後楽園ホール17:15~
主催:オフィス超合筋/
認定:ニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)

NJKFの主要イベントの一つ、CHALLENGER興行開催。

NJKFは1996年8月の設立時の運営は外部から“ド素人”と揶揄されながらも、今年満30年の年月を経て大きい団体となったものである。関西にNJKF westも存在し、関東ではCHALLENGERシリーズと従来のナンバーシリーズとDUELや絆、女子だけのイベントGODDESSやミネルヴァタイトルの運営も広域に行なわれています。

地道に這い上がって来た中で、4月5日以来となる武田幸三率いるNJKF CHALLENGERシリーズと、6月から復活したナンバーシリーズ(NJKF 1st)から見えるもの。派閥争いではないが、運営方針の違いが感じられます。

試合順未定

◆メインイベント 第6代 NJKFスーパーウェルター級王座決定戦 5回戦
1位.岩本光太郎(誠至会)vs 2位.基康(=岡本基康/TAKEDA)

今年、主戦場をNJKFに移した基康再登場。王座を狙う。

今後、基康が中心に来る“CHALLENGER”となるか

◆64.0kg契約3回戦
NJKFスーパーライト級チャンピオン.佐々木勝海(エス)
        vs
SB日本ライト級3位.基山幹太(BELLWOOD FIGHT TEAM)

佐々木勝海は4月5日に王座獲得してからの初戦。

4月5日、佐々木勝海の涙の戴冠時

◆フェザー級3回戦
NJKFスーパーバンタム級暫定チャンピオン.中島凛太郎(京都野口)
      vs
安河内秀哉(RIKIX)

中島凛太郎は6月14日に認定された暫定的チャンピオン。正規王座を目指し黒星を喫する訳にはいかない。安河内秀哉は6月20日にNKBライト級チャンピオンの山本太一を4ラウンドTKOに下した、チャンピオンを脅かす存在。

◆52.0kg契約3回戦
S-1世界フライ級チャンピオン.優心(京都野口)
        vs
NJKFフライ級6位.愁斗(Bombo Freely)

安定した実力を持つ優心と着実に成長して来た愁斗。優心を脅かす展開に導けるか。

◆フライ級3回戦
S-1世界ミニマム級チャンピオン.庄司翔依斗(拳之会)
      vs
竹田奏音(TAKEDA)

岡山で活躍するNJKF westでチャンスを得た庄司翔依斗。S-1はタイ国発祥の王座ながら世界的には知名度は小さく、まだ通過点として、もう一つ上へ大きな飛躍が期待される。

◆バンタム級3回戦
スック・ワンキントーン・スーパーフライ級チャンピオン.赤土剛琉(D-BLAZE)
      vs
神田大翔(TOP GUN)

赤土剛琉は赤土公彦の御子息二名の次男です。今年2月に下部タイトルながら王座獲得したが、まだ日本の頂点とは言えない。もう一つ上のタイトルまで獲らないと父親に追い付いたとは言えないだろう。

他、3試合。


NJKF 2ndは西田光汰と悠が中心

NJKF 2026.2nd / 9月12日(土)後楽園ホール(開場10:30 / 開始11:00)
主催:NJKF / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟、S-1

9月12日NJKF 2026.2nd昼興行で開催!
寝坊と遅刻厳禁の朝から忙しくなる土曜日。

◆第8試合 NJKFフライ級タイトルマッチ 5回戦
チャンピオンV2戦.西田光汰(西田)
vs
挑戦者1位.悠(=吉仲悠/VALLELY)16戦9勝(4KO)5敗2分

6月14日に谷津晴之(新興ムエタイ)との挑戦者決定戦を僅差判定ながら勝利した悠が西田光汰に挑戦する。西田は2024年9月15日に谷津晴之と引分け勝者扱いで第14代チャンピオンとなって、昨年9月28日に明夢(新興ムエタイ)に判定勝利し初防衛。今回が2度目の防衛戦となる。

2年前の2月でまだ9戦目で4勝4敗1分だった悠がジワジワ上昇して来た中で王座挑戦まで辿り着いた。当時、米田貴志会長が「悠はいずれNJKF王座奪取まで行くと思います。」と語っていたが、ここで戴冠となるか。

6月14日に対戦が決定した西田光汰と悠

◆第7試合 NJKFバンタム級挑戦者決定戦3回戦
3位.中島隆徳(GET OVER)vs 4位.永井雷智(VALLELY)

6月14日に無効試合(当初は中島隆徳の反則勝ち)となった試合の再戦。
開始早々数秒という短い中で、組み合った際に後頭部にヒジ打ち打った永井雷智。一旦は続行出来ない中島隆徳の反則勝ちとなったが、その後の協議で無効試合と発表。だがそれが会場に居た観衆にどれだけ伝わっているだろうか。両陣営の言い分を協議した主催者側のホームページでの発表と一部のマスコミ報道だけでは無理があるだろう。

前回、無効試合となった永井雷智と中島隆徳の終了時

◆第6試合 スーパーウェルター級 5回戦
NJKFスーパーウェルター級10位,風成(エス)vs キム・ジンプ(韓国)

◆第5試合 S-1女子世界ミニマム級王座決定戦 5回戦(2分制)
ノーンレック・クルーダージム(タイ国ムエタイ協会女子ミニマム級Champ/タイ)
        vs
佐藤”魔王”応紀 (女子聖域東北ライトフライ級Chanp/PCK連闘会)

◆第4試合 女子ミネルヴァ・バンタム級3回戦(2分制)
ミネルヴァ・スーパーバンタム級チャンピオン.珠璃(闘神塾)
        vs
小澤聡子(第2代KPKB女子バンタム級Champ/K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)

他、女子2試合、アマチュア2試合予定。


KICK Insist 28新宿フェイスの会場名もここまで

KICK Insist.28 / 9月20日(日)新宿フェイス(開場17:00 / 開始17:30)
主催:(株)VICTORY SPIRITS、ビクトリージム /
認定:ジャパンキックボクシング協会

新宿フェイスは小さな会場ながら20年あまりの活動を行なって来た中で、歓楽街の歌舞伎町という立地条件から知名度がありました。この興行後の新宿フェイスは最終30日までプロレス関連が行われる模様です。

第6試合後、前・ジャパン・ウェルター級チャンピオンの政斗(=黒澤政斗/治政館)の引退セレモニーが行われます。

2024年3月24日に大地フォージャーから王座奪取した時は「これからどんどん盛り上げていこうと思っています!」と宣言していたが、やっぱり辞めるのか。

昨年9月の新宿フェイスでメインイベントを務め勝利後、引退宣言してから早くも1年が経過である。引退セレモニーはどれだけ応援関係者が集まるだろうか。そしてチャンピオンベルト返上の後、セミファイナルのウェルター級王座決定戦に移るのだろう。

◆第8試合 59.0kg契約3回戦
ジャパン・フェザー級チャンピオン.勇成(Formed)vs ペレー・サンライズジム(タイ)

勇成は一昨年11月17日皆川裕哉を倒して王座に就き、昨年5月25日、市原興行で初のメインイベント。今回このKICK Insositと9月いっぱいで閉鎖される新宿フェイスでのキックボクシング最終興行のトリを務める。

2024年11月17日に王座戴冠した勇成

◆第7試合 ジャパン・ウェルター級王座決定戦 5回戦
1位.細見直生(KICK BOX)vs 3位.正哉(誠真)

細見直生は旧・目黒ジムを継承するKICK BOXジムに皆川裕哉以来のベルトを持ち帰りたい。正哉は誠真ジムとして大地フォージャー以来のベルトを持ち帰りたい。

◆第6試合 58.0kg契約3回戦
ジャパン・フェザー級1位.皆川裕哉(KICK BOX)vs 同級3位.海士(ビクトリー)

◆第5試合 ライト級3回戦
ジャパン・ライト級2位.菊地拓人(市原)vs 同級4位.林瑞紀(治政館)

他、4試合


後楽園ジャンブルの舵取りはこの小林米仁氏。これからもリング御登壇は増えるだろう

KORAKUEN JAMBULL / 9月27日(日)後楽園ホール(開場15:00 / 開演16:00)
主催:(株)東京ドーム

4月から各団体での10戦以内、王座未満の新人枠で、出場者決定戦が行われて来た(株)東京ドーム主催のイベント。時代は新しい世代によって大きく変わった感じである。

この後楽園ジャンブルは選手達より主任の小林米仁氏に今後の運営の重圧が掛かります。小林氏は13年程前、田中小兵太(=田中信一)に判定勝利している結構実力ある選手である(田中小兵太はプロボクシングで日本バンタム級王座奪取、キックボクシングでMA日本バンタム級王座奪取)。この小林氏がジャンブルの舵取りとなれば、イベント盛り上げるだけで終わることにはならないよう願いたいものです。

◆60.0kg契約3回戦(ヒジ打ち、首相撲禁止)
髙岩拓(Big Bang/TRY HARD)8戦6勝(4KO)1敗1分
        vs
佐々木未夢(シュートボクシング/GONG-GYM坂戸)3戦2勝(1KO)1敗

◆60.0kg契約3回戦(ヒジ打ち、首相撲禁止)
門脇碧泉(RISE/TARGET)8戦6勝(1KO)1敗1NC
        vs
山本龍平(NJKF推薦枠/拳粋会宮越道場)6戦3勝(3KO)3敗

◆60.0kg契約3回戦
リョウヤ・ハリケーン(日本キックボクシング連盟/テツ)7戦5勝(2KO)2分
        vs
神谷斗夢(スックワンキントーン/Team神谷ぶらざーず)6戦5勝1敗

◆60.0kg契約3回戦
富田エレデネ(KNOCK OUT/クロスポイント吉祥寺)5戦4勝(1KO)1敗
        vs
天晴(ジャパンキックボクシング協会/治政館)4戦2勝2敗

◆60.0kg契約3回戦(ヒジ打ち、首相撲禁止)
工藤叶雅(NJKF/VALLELY) 4戦3勝1敗
        vs
神谷晟丸(新日本キックボクシング協会/伊原)3戦1勝2敗

◆第1試合 60.0kg契約3回戦(ヒジ打ち、首相撲禁止)
利根川仁(日本キックボクシング連盟/TOKYO KICK WORKS)
      vs
岩永勝亮(RISE/OISHI)

出場者決定戦では敗れたが、熱い印象を残した選手の特別試合。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

キックボクシング、リングで有利に導くために

堀田春樹

2021年5月23日に「あまり重要視されないリング幅の駆引き!」に続く、リングに纏わるお話です。

※ここではキャンバス=リング表面を覆う布製生地。マット=キャンバスとフェルトを含む柔軟性ある厚み。フェルト=リング床面基盤に敷かれるクッションと表現します。

◆試合前の最後の仕上げ、リングのチェック

ベストコンディションで試合に臨むも、リングとの相性が合わなければ思わぬ苦戦や、実力を発揮出来ず、怪我に繋がる恐れもあるので事前チェックが必要です。後楽園ホールに於いては慣れた感覚も、地方や海外では何が起こるか解りません。

開場前にリングでウォーミングアップする選手は多くいますが、戦略と共にリング全体のの感触も感じているでしょう。

開場前、リング上でウォーミングアップする選手たち(2025年10月5日)

◆マットの硬さとロープの張り具合

投げ技有る競技はマットが柔らかいのが通常です。平成初期頃の真樹ジム主催の格闘技の祭典では、後楽園ホールで通常のボクシングリングが使われたので、プロレスから参戦したザ・グレート・サスケがリングチェックで受け身を試み、「うわっ!硬い!」と言葉を漏らしたことがありました。その他のレスラーも渋い顔だったことが思い出されます。

タイでは以前の二大殿堂のルンピニースタジアムやラジャダムナンスタジアムのリングはキャンバスを指で押してもへこまない土俵のように硬く、他のスタジアムは比較的軟らかいマットが多かったようです(2017年に私が観たラジャダムナンスタジアムでの記憶は曖昧!)。

石井宏樹も戦ったラジャダムナンスタジアムのマットは硬くて蹴り易い(2000年12月)

日本に於いては「リングで爪先立ちし、マットを圧したり擦ったりして、キャンバスが乾いていて滑り易いともの凄く不安になって焦りました。」という元・選手の意見もありました。

マットが柔らかいと蹴りを出す際に踏み込み難く、タイミングがズレて威力がやや落ちてしまうといった意見があるようです。

プロボクサーはリングに上がる際、リングシューズでリング下にあるマツヤニを踏み込んでリングに上がるので滑り具合はあまり気にならないかもしれません。柔らかいマットだとキックボクサー同様にフットワーク使う選手には不利で、更にはロープの張り具合が緩いとロープ際に詰められた際の攻撃を避けるためのボディーワークには影響が出るかもしれないという元・ボクサーの意見がありました。

キックボクシングでは、ボルネオで試合経験がある鴇稔之氏は「ロープ際に押し込まれた際にタックルされて、ロープが緩くてリング下に落とされて頭打ったが10分程インターバル与えられて、そのまま続行しました。」というロープに纏わる経験談から、ロープの張り具合も戦略に入れる必要がありそうです。

◆レフェリーまで滑りまくったリング

今から20年程前、後楽園ホールでの治政館興行で、ビニール製のキャンバスが敷かれたことがありました。すでに嫌な予感はしていました。これより少し前に別会場でのNJKF興行で同じ素材のキャンバスがあった状況からでした。選手らの汗やインターバルで被った水が滴り落ち、キャンバス上は水浸し状態。タイムストップしてレフェリーや役員がキャンバスを拭きまくった状況がありました。通常の布製キャンバスなら水は浸み込みますが、ビニール製では浸み込むことはありません。

選手は蹴ろうとして滑ってバランス崩す。フットワーク使って滑って転ぶ。レフェリーまで立って居るだけで滑って転ぶ。当時メインイベントの武田幸三氏もやり難かったでしょう。こんなキャンバスは常識的には二度と使われないでしょう。

これは大雑把な水撒き。「満遍なく撒いて」とは他のレフェリーより(2026年7月19日)

古い昭和の時代から、リング上で水が撒かれる光景を見たことある観戦者は多いかと思います。照明による熱で乾ききった布製のキャンバスは滑り易く、赤・青コーナーで選手に被せた水でキャンバスがビショビショに濡れた場合、ここでも滑り易くなります。それで水受け皿が用意された時期もありましたが、現在の後楽園ホールでは使用されていません。

キャンバスの下がゴム製の薄いフェルトで、キャンバスが濡れ過ぎると水の行き場が無く、水浸しになるだけです。乾き過ぎると滑る。濡れ過ぎても滑る。適度に湿った状態がベストで、レフェリー等が水を細かく撒いているのはそのためです。

レフェリー竜矢氏のペットボトルを使った噴射するような上手い水撒き(2025年6月20日)

キャンバスは無地がいちばん良いところ、近年のリングキャンバスは問題点が一つありました。広告等が入るペイント部分は水を弾く(吸わない)場合があります。以前それでスリップした長谷川穂積氏、スリップ気味ながらノックダウン扱いされた徳山昌守氏も災難経験者でしょう。それも問題視され、現在は解消されたペイントキャンバスに改善されていますが、全てのキャンバスが改善されているかは不明なので、リングチェックはしておいた方がいいでしょう。キックボクシングの場合、足の裏に滑り止めスプレーを掛けることは会場内のフロアーを汚す恐れから、団体によっては禁止されています。

◆プロレスのリングは使えるか

近年のキックボクシングではボクシングの規定を満たしているリングが多いものの、細かい規定は無いので、過去には「これプロレスのリングだな!」といった三本ロープでキャンバス上が狭い、見た目で解るリングもありました。

ボクシングルール的に言えば、「条件を満たさない場合でも安全管理上支障が無いと判断した時は試合を許可することが出来る」と柔軟解釈しても、リングは魔物が住む、理不尽な展開も起こり得る戦いの場。対戦相手がリング上でウォーミングアップしていると「早く終わらせろよ!」と思いながら遠くで待っていたという選手も居ましたが、後楽園ホールでは昼夜の入れ替え制で、開場までの時間が少ない中、セレモニーのリハーサルも重要ながら、開場前の選手のリングチェック時間はなるべく長く用意してあげて欲しいものです。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

恒例の絆興行はRyuの引退試合で盛り上げた!

堀田春樹

引退試合として迎えた絆のメインイベント、Ryuは激闘の勝利。
セミファイナル、女子ミネルヴァの戦いはドロー。
知名度はいちばんあった佐藤界聖はバックヒジ打ちで圧倒勝利。

◎絆XVⅡ(17) / 8月2日(日)春日部ふれあいキューブ 16:00~20:54
主催:PITジム / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟

◆第9試合 60.0㎏契約3回戦

Ryu(=酒匂和哉/クローバー/茨城県出身36歳/ 59.7kg)9戦4勝(2KO)4敗1分
        VS
アキト・サンライズジム(サンライズ/大阪府出身24歳/ 59.5kg)3戦1勝2敗
勝者:Ryu / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:ランボー29-28. 児島30-28. 宮沢30-29

様子見といった探り合いも殆ど無く、開始早々からローキックとパンチ中心の交錯。蹴られたら蹴り返す一進一退の攻防はRyuのヒザ蹴りを加えた攻防でより激しくなった。アキトも蹴り返し、会場を大声援で盛り上げた展開は勢い衰えぬ鬩ぎ合いで、前進する圧力でラストラウンドを抑えたRyuが完全燃焼の判定勝利となった。

Ryuの右ミドルキック、一歩でも前へ、一つでも多く蹴った
ヒザ蹴りでアキトを攻めるRyu。勝機を見い出した

美保会長は「第1ラウンドはヒヤッとしましたけど、奥脚蹴るとかヒザ蹴りとか出せるようになってから良い方向に向かったと思います。この“絆”ってRyuがデビューした試合で、彼はここで引退したいと決めていたので、ラストファイトもRyuらしい良い試合だったと思います。クローバージムってなかなかプロが育たないジムなのに、Ryuは諦めずに戦って35歳で引退するつもりのようでしたけど、今36歳と半年なんですけど、“もうちょっと俺が頑張れば後輩が育つかもしれない”と言って残ってくれた奴です。本当に感謝しかないです。」と想いを語った。

試合後、リングを下りてファンに囲まれる中、Ryuは「根性と言うか、ここで一歩でも下がったら相手も気持ち乗って来ちゃうなと思ったので譲れなかったですね。でも絶対打ち負けないと思って出ました。絆の大月会長はじめ、NJKFの皆さんには感謝しかないです。今後はジムに残って指導者として、オジンからプロ、子供まで、しっかり育てていきたいと思います。有難うございました。」と完全燃焼した清々しい表情で語った。

感動と感謝で言葉が出ない美保裕介会長。引退セレモニーも盛り上げた

◆第8試合 女子ミネルヴァ44.0kg契約3回戦(2分制)

ピン級2位.上真(元・ペーパー級Champ/RODA MMA/1985.10.16石川県出身/ 43.95kg)
22戦6勝13敗3分
        VS
ペーパー級2位.ロウ・イツブン(NEXT LEVEL渋谷/1995.5.26中国出身/ 43.95kg)
12戦4勝5敗3分
引分け 三者三様
主審:児島真人
副審:ランボー28-30. 中山30-29. 宮沢29-29

負けは込んでいるが、タイトルマッチを経験する名の知れた両者。蹴りは激しく交錯するが、ロウ・イツヴンは自分の距離感掴みたいところ、上真の前進で蹴り難い印象。組み合ったシーンが増えると、ロウイツヴンの右ヒザ蹴りが上真の顔面を捉え、上真の左瞼から出血が見られた。

顔は隠れたが、上真の瞼が切れたロウ・イツブンのヒザ蹴り

第2ラウンドも蹴りパンチの攻防は互角。ロウ・イツヴンのヒザ蹴りが高く上がるので、この見映えは良いが単発。第3ラウンドもバランス保てない首相撲の縺れ合いが続く。蹴りとパンチも差は無くポイントになり難い展開で、ジャッジ三者が揃ったラウンドは無い三者三様の引分けとなった。

上真とロウ・イツブン、差が出ない展開は引き分けに終わる

◆第7試合 75.0kg契約3回戦

佐藤界聖(PCK連闘会/2001年宮城県出身/ 74.45kg)23戦15勝(7KO)7敗1分
VS
クワン・サンライズジム(元・タイ・イサーン地区ライト級Champ/タイ東北部出身41歳/ 74.9kg)150戦超
勝者:佐藤界聖 / TKO 2ラウンド 1分17秒
主審:宮沢誠

ムエタイのベテランボクサー、クワンは体格こそ崩れていたが、テクニックは健在。

これも佐藤界聖の顔は隠れたが、互いのヒジ合い打ちでクワンを追い込んだ

高い蹴りが出るクワンに対し、まともに貰うことなくしっかり蹴り返し、圧力掛けた佐藤界聖。第2ラウンドも、佐藤が蹴り優る展開でクワンをロープ際に追い詰めた。こういった在日タイ人は勝てないまでも倒されない守りに入ると、倒しに掛かるのは難しくなるが、佐藤はクワンをコーナーに追い詰め、バックヒジ打ちでノックダウンを奪い、ダメージあるクワンはカウント中にレフェリーストップが掛かり、佐藤のTKO勝利となった。

佐藤界聖がローキックから距離を詰めに掛かる

◆第6試合 スーパーバンタム級3回戦

シャークYU斗(新興ムエタイ/兵庫県出身28歳/ 55.34kg)13戦4勝(3KO)8敗1分
        VS
髙嶋隆一(PIT/東京都出身26歳/ 54.7kg)5戦3勝2敗
勝者:髙嶋隆一 / 判定0-2
主審:スイット・サエリム・ランボー
副審:宮沢29-30. 中山29-29. 児島29-30

初回、髙嶋隆一はパンチ連打でやや攻勢維持。第2ラウンドにはシャークYU斗もヒットを見せるが、好戦的な攻防は互角に進み、初回のポイントが活きた高嶋が僅差ながら判定勝利。

高嶋隆一の右ストレート。この試合も一歩も譲らない攻防が続いた

◆第5試合 59.5kg契約3回戦

高橋優(CORE/東京都出身22歳/ 59.5kg)4戦3勝(1KO)1敗
        VS
村上心一(無所属/ 埼玉県出身23歳/ 59.6→59.5kg)4戦2勝3敗
勝者:高橋優 / KO 2ラウンド 2分30秒 / 3ノックダウン
主審:宮沢誠

髙橋優が右ミドルキックでボディーにヒットさせ2度のノックダウンを奪い、右ハイキックで3ノックダウウン目を奪ってKO勝利。

KO決着がついた高橋優のハイキックで3ノックダウン目を奪った瞬間

◆第4試合 63.0kg契約3回戦

翔吾(DANGER/千葉県出身29歳/ 62.75kg)9戦4勝4敗1NC
        VS
涼音(PIT/埼玉県出身25歳/ 62.7kg)5戦3勝2敗
勝者:翔吾 / 判定3-0 (30-27. 30-27. 30-27)
主審:児島真人

翔吾がカーフキックとヒザ蹴りで優勢を維持して、パンチでノックダウンを奪うも仕留めるに至らず、涼音がダメージ回復と共に蹴り返して来るが、翔吾は飛びヒザ蹴りや、パンチとヒザ蹴りで追い込む攻勢でノックダウンの差も大きく大差判定で勝利した。

初回から圧倒、飛びヒザ蹴りも見せる翔吾

◆第3試合 フライ級3回戦

植田琥斗(ESG/埼玉県出身19歳/ 50.35kg)5戦2勝3敗
        VS
椎谷輝(PCK連闘会/宮城県出身19歳/ 50.25kg)4戦1勝3敗
勝者:植田琥斗 / 判定3-0 (30-28. 30-28. 30-279
主審:スイット・サエリム・ランボー

クリーンヒットは無いが、パンチ連打とヒジ打ちハイキックと多彩に攻めた両者。的確差で植田が攻勢を維持して判定勝利。

◆第2試合 63.0kg契約3回戦

しんたろう(エス/神奈川県出身33歳/62.65kg)3戦1勝2敗
        VS
武神(峯心会/群馬県出身19歳/ 60.7kg)1戦1敗
勝者:しんたろう / 判定3-0 (30-27. 30-27. 30-27)
主審:中山宏美

しんたろうの長身を利した上下の蹴り、前蹴りで武神の勢いを止めるなどタイミングが良い。武神はパンチで巻き返したいが、しんたろうの蹴りが優勢に進め、フルマークで判定勝利。

◆プロ第1試合 66.0kg契約3回戦

末木龍(T/山梨県出身35歳/ 65.4kg)4戦4敗
      VS
内田大樹(BELIEF/埼玉県出身34歳/ 65.15kg)1戦1勝(1KO)
勝者:内田大樹 / TKO 2ラウンド 0:16秒 / カウント中のレフェリーストップ
主審:スイット・サエリム・ランボー

内田大樹左右の蹴り、ヒザ蹴りが効果的にヒット、右ストレートヒットで末木龍からノックダウンを奪ってカウント中のレフェリーストップ。

◆アマチュア第3試合 55.0kg契約3回戦(2分制)

金森来蘭(TeamS.R.K/ 54.0kg)vsティファ・サンライズジム(サンライズ/ 54.6kg)
勝者:金森来蘭 / 判定3-0 (30-29. 30-28. 30-28)
主審:中山宏美

◆アマチュア第2試合 フライ級3回戦(2分制)

松本来斗(ZERO/ 49.6kg)vs布施英汰(PCK連闘会/ 50.0kg)
勝者:松本来斗 / 判定2-0 (30-29. 29-29. 30-29)
主審:宮沢誠

◆アマチュア第1試合 男女混合42.0kg契約3回戦(2分制)

SARA(GRIT KICK ONE/ 40.05kg)vsガモン・サンライズジム(サンライズ/ 41.4kg)
勝者:ガモン・サンライズジム / 判定0-3 (27-30. 27-30. 27-30)
主審:児島真人

《取材戦記》

春日部で行なわれている絆興行も17回目となりました。今回のRyuの引退試合は当初予定に無い感じでしたが、新人戦の域を脱していない戦いは、上真vsロウ・イツブン、佐藤界聖の存在の上を行く盛り上がりを見せ、メインイベントを締め括りました。

佐藤界聖は、日本人の壁となるこの程度の在日タイ選手には圧倒しなければならない空気の中、しっかり大技で倒し切りました。聖域タイトルだけでなく、今年2月8日に日本の代表的タイトル(ロードトゥムエタイ・ウェルター級王座決定戦)にも出場している佐藤は更なるステップへ進むでしょう。

PITジム先代会長の松永嘉之氏は今回の興行について「試合カードがちょっと薄かったんで心配していたんですけど、思ってた以上に会場が湧いたので、それは良かったですね。」と語り、2022年4月24日の興行から御子息の大月謙氏が担っていますが、今後については、「まだまだ一回一回の興行が勝負なので、毎回がテーマ、永遠のテーマですね。良いカードと思っても観衆が入らなかったり、試合会場の雰囲気も私がやってた頃には考えられないことやってますから、時代の流れだなと思いますね。とにかく長く続けられるように、これからもドンドン良い方向に一人でも多く観に来てもらえるカード組んでないといけないと思っています。会場についてはここ(ふれあいキューブ)で言えば、フロアーの敷居を一つずつ取ってスペースを広くして、千人の観衆が入るように持って行きたいですね。」と規模拡大へ期待を掛ける感情が込められていました。

来年開催には誰がメインイベンターとなるか。新たなテーマを以って挑む様子です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

キックボクシングにおけるマイクアピールはどう変化したか

堀田春樹

◆マイクによるアピール(パフォーマンス)はいつから始まったか

今から25年程前の2000年前後頃、あるレジャー紙のスポーツ欄で、私(堀田)はキックボクシングの小さなコラムを任された時期がありました。諸々のテーマで苦言を呈していましたが、殆どの格闘技ファンは目に通すことは無かったでしょう。知る人ぞ知るごく少数の方々に読まれる程度でした。そんな時代のあった幾つかのテーマはすでに拾い上げていますが、今回はマイクアピール(パフォーマンス)に触れてみたいと思います。

ここではリング上でのアナウンサー等による質疑でマイクを向けられる場合はインタビューとして、選手自らマイクを要求する行為はマイクアピールまたはマイクパフォーマンスと捉えることとします。

昔はマイクパフォーマンスなどプロレスの影響があるものは賛否両論ありましたが、あまり好まれていない傾向がありました。実際に「俺は試合で魅せる。マイクなど要らない。」と言う選手も居たものです。

キックボクシングにおいて、厳密には誰が最初にマイクアピールしたかは解りません。昭和40年代から50年代半ば頃(1982年)までにおいてはリング上におけるインタビューは沢山あったと思いますが、選手自らマイクを要求する行為は殆ど無かったのではないかと思います。

後に藤原敏男氏が勝利後の引退宣言や、伊原信一氏がメインイベンターたる締めの御挨拶を残した姿はありましたが、他の選手らが自らマイクを要求しなかったのは「大御所を差し置いて自分がマイクアピールする立場には無い!」といった謙虚さや「キックボクサーは試合で魅せるもの、チャラチャラ喋るものではない!」といったプライドもあったかもしれません。

武田幸三氏と高橋幸光選手の掛け合いトーク、これはパフォーマンスの域

◆新時代での変化

そういった昭和の難さも過ぎ去った平成期に入り、若かった立嶋篤史がマイクで語り掛けるアピールは観客を惹き付ける魅力がありました。この時代は自らマイクを要求するものではなく、リングアナウンサーから“マイクを渡された”という流れでもありました。

その次にマイクアピールすること目立ったのは土屋ジョーだったでしょう。“喋り過ぎ、長過ぎ”の印象がありました。他競技も含めて、マイクアピールという自己主張はこの平成初期から増えていったように思います。

総合系競技においては敗者が悔しさからか5分以上も喋り続ける姿もありました。傍らで勝者がただ待つだけの姿には「どっちが勝者だ!」といった異様な空気感が漂っていました。

敗者がマイクアピールする場合は、名チャンピオンの引退試合など特別な場合に限られるでしょう。

プロボクシングにおいて近年のプロボクシング(2005年以降)は殆ど現場取材に行っていないので確信は持てませんが、2000年前半まではテレビインタビュー中心にアナウンサーがマイクを選手に渡す流れはあっても、選手自らマイクを要求することは殆ど無かったでしょう。そんな過去でも勝者が調子に乗ってマイクアピールしようとリングアナウンサーのマイクを奪うも、「何するんだ!」と怒られマイクを取り返されたというエピソードもあったようでした。コミッション管理下で進行されるプロボクシング興行ではリングアナウンサーがマイクを扱う責任が伴い、選手のパフォーマンスは支持されない傾向にあったかと思います。

テレビインタビューの延長、カメラに向かってアピールする那須川天心

◆喋りたい選手の意識

近年は選手の主張は当たり前。勝者の中には自分の主張より、鍛え上げ勝利に導いてくれた会長やトレーナー、後援会に感謝を述べる傾向は多くあるようです。

現在は大手イベントを除いて地上波テレビ放映は殆ど無いものの、動画収録、ネット配信が中心で、テレビカメラに気付かず背を向け、向正面側後援会等が居る方向に向かって語り掛ける選手がいますが、その後に拡散される動画での誰が観るか解らない世界広域の視聴者とその場の観衆に向けて、正面(テレビカメラ側)に向かって語り掛ける主役となっているその姿を応援団に観て貰い、その後で応援団、仲間内に語り掛ける配慮を考えた方がいいでしょう。

パフォーマンスとしてはライバルを罵ったり、掴みかかったり等の過激な行為は永遠に映像に残るので、その時はカッコよく振舞ったつもりでも、30年後の自分が振り返ればどう思うか考え、年配指導者が躾けておく必要もあるでしょう。

まだ新鋭ながら王座も近い西田蓮人のアピールは謙虚にあどけなさが残る

◆伝統と格式は向上するか

大相撲は土俵の上で笑ってはいけない。ガッツポーズなど相手を見下すアクションを起こしてはならないなどの仕来りがあります。

プロボクシングでは上記のようにテレビが主体のインタビュー形式は現在も行なわれていますが、選手自身が要求するマイクアピールは禁止事項でなくても、“やれる雰囲気に無い”状況は今もあるので、長い歴史の格式の高さは感じるところです。

キックボクシングにおいては“マイクアピールの習慣が無かった”という時代から“勝者は喋る権利を与えられたもの”と時代が変わった感があります。大相撲やプロボクシングからも学び、今後はこのキックボクシングの権威向上や品位格式を重んじた言葉が出て来るか注目したいものです。

リングアナウンサーによるインタビューに応える広翔

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

聖地を揺るがす西田蓮人の飛躍、7年ぶりの日本フライ級チャンピオン誕生!

堀田春樹

◎MAGNUM.64 / 7月19日(日)後楽園ホール17:15~20:54
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会
協力:NJKF、ミネルヴァ実行委員会

◆第14試合 76.3kg契約3回戦

日本スーパーミドル級チャンピオン.マルコ(伊原/イタリア出身37歳/ 75.65kg)
17戦10勝(3KO)4敗3分
VS
幸輝(インター/1992.6.14鹿児島県出身/ 75.95kg)23戦15勝(8KO)8敗

勝者:幸輝 / 判定0-2
主審:スイット・サエリム・ランボー
副審:宮沢29-29. 児島28-29. 中山28-29

パンチの交錯は互角。マルコは組んでのヒザ蹴りが効果的も圧倒に至らない。幸輝はハイキックからボディブローが効果的。ラストラウンドは幸輝の勢いを増したパンチ連打がマルコを下がらせた。マルコも打ち返しローキックで蹴り返すが勢いは幸輝が優ったまま終了。

初代九州プロキックボクシング・スーパーウエルター級覇者の幸輝が僅差ながら判定勝利を飾った。

マルコは「ボディーは鍛えているから強いけど、幸輝のボディブローはちょっと効いた。でも倒されることはないと自信あった!」と応えられました。

幸輝のボディブローが効果的にマルコを下した

◆第13試合 ライト級3回戦

ジョニー・オリベイラ(トーエル/ブラジル出身48歳/ 61.15kg)
68戦16勝(1KO)33敗19分
        VS
NJKFライト級2位.岩橋伸太郎(エス/1987.6.4神奈川県出身/ 60.9kg)28戦10勝15敗3分

勝者:岩橋伸太郎 / 判定0-3
主審:ノッパデーソン・チューワタナ
副審:宮沢29-30. 児島29-30. 中山29-30

昨年7月27日に引分けている両者の再戦は、手の内を知る中で様子見は少なく、蹴り中心の攻防は岩橋伸太郎が勢いを増して行き、ジョニー・オリベイラの蹴り返しを受けながらも主導権を奪った展開は変わらず。ジョニー・オリベイラはしぶとい蹴りを見せながらも流れを変えることは出来ず、僅差ながら岩橋伸太郎が判定勝利。

再戦となって岩橋伸太郎がアグレッシブな攻めを見せて勝利を導いた

◆第12試合 第10代日本フライ級王座決定戦 5回戦

西田蓮斗(伊原/2009.12.6埼玉県出身/タイ国南部3タイトル保持者/ 50.7kg)
8戦8勝(3KO)
        VS
NJKFフライ級8位.手塚瑠唯(VERTEX/栃木県出身19歳/ 50.65kg)10戦7勝(3KO)3敗

勝者:西田蓮斗 / 判定2-0
主審:スイット・サエリム・ランボー
副審:宮沢49-47. 児島49-47. 中山48-48

距離の探り合いのパンチの交錯は手塚瑠偉がやや圧し、ローキックで西田蓮人のバランスを崩す流れもあって、ヒットのタイミング掴んだ手塚の表情はやや余裕か。

打ち合いからタイミング掴んで、ヒジ打ち効果的にヒットさせた西田蓮人

第3ラウンドには西田もタイミング掴んでバランス崩される見映えの悪さも無くなり、第4ラウンドは西田がローキックやミドルキックとヒザ蹴りもタイミング良く、最も苦しいこのラウンドを支配する流れに変わった。インターバル中の手塚は余裕の無い表情。

西田蓮人の前蹴り(三日月)ヒット、終盤は攻勢を維持した

ラストラウンドも手塚も勝ちに行く蹴りを見せるが、焦りとスタミナ切れの様相。西田は後半に移って調子を上げ、5回戦慣れしている印象で主導権を奪って終了。

僅差ながら判定勝利で王座獲得となった。2019年春に分裂が起きた際に、石川直樹が王座返上して以来のチャンピオン在位となった。

西田蓮人は「2ラウンド終了時点でポイントはあちらに行っててちょっと焦りましたけど、3~4ラウンドでヒジ打ち合わせるように立て直して行きました」と語った。

父親の西田義和氏は「もっと早く倒せるかと思いましたけど、手塚選手も凄く頑張ってくれて凄く良い試合になって良かったですね。蓮人も正直危なかったですね。蓮人もスタミナあるし判定になれば絶対勝つと思いましたけど、結構いいタイミングで打たれていたので打ち合わずにタイミング合わせてヒジ打ちや蹴りに行けと指示しました。タイで5ラウンドの試合はやっているのでその経験値はあったと思います。また再戦やってもいいと思います。強い選手はいっぱい居るので、これからがチャンピオンとしてのスタートです」と語った。

生島翔氏が西田蓮人への認定証を読み上げる

◆第11試合 女子46.0kg契約3回戦(2分制)

ミネルヴァ・ピン級選手権者.杉田風夏(谷山ジム・小田原/1996.8.15神奈川県出身/ 45.8kg)
9戦6勝(1KO)2敗1分
        VS
ミッシェル・ソー・デェーダムロン(タイ/19歳/ 46.15kgコスチューム250g→45.9kg)
21戦12勝7敗2分

勝者:杉田風夏 / 判定3-0
主審:ノッパデーソン・チューワタナ
副審:宮沢30-28. 児島30-28. ランボー30-29

杉田風夏が蹴りのパワー、的確差で優っていく。第2ラウンドにはパンチや首相撲の展開でも打ち優り、連打で追い詰める場面も見られた。ミッシェルは劣勢ながらも突破口を開こうとする気の強さが感じられたが、終始、杉田が攻勢を維持して判定勝利。

杉田風夏の前蹴りヒット。多彩に攻め、攻勢を維持して勝利した

◆第10試合 女子ミネルヴァ・ペーパー級(95LBS)タイトルマッチ3回戦 

チャンピオンV2戦.Uver∞miyU(=高橋美結/T-KIX/1999.12.7静岡県出身/ 42.8kg)
23戦8勝12敗3分
        VS
同級3位.松本徐倫(ボス/1990.9.12広島県出身/ 42.9kg)17戦9勝(2KO)7敗1分
引分け 0-1
主審:中山宏美
副審:宮沢29-29. ノッパデーソン29-29. ランボー28-30

松本徐倫は前日計量で秤に乗るのもフラフラ状態で、腕を支えられながら何とか秤に乗った際は必死の笑顔でガッツポーズを見せたが、そんな姿に勝機は遠いと感じつつも、試合までには上手く調整した模様。

ウーバーミユは蹴りで探りを入れるが、松本徐倫はパンチを合わせて出てヒットを見せた。主導権は松本徐倫が握った流れも第2ラウンドにはウーバーミユも蹴りから首相撲に持ち込む展開で巻き返しに出た。松本も距離感狂って出難くなったか。それでもパンチを打ちに出て、首相撲の展開になってもヒザで対抗する積極さがあった松本。ウーバーミユはポイントになり難い中でも自分のリズム取り戻す積極性を見せ何とか引分けに持ち込む、苦戦の中でも勝ちに行く姿勢が見られた攻防だった。ウーバーミユは2度目の防衛。

ウーバーミユは苦戦の防衛。松本徐倫はあと一歩インパクトが欲しかった

◆第9試合 女子ミネルヴァ・スーパーフライ級 3回戦(2分制)

ミネルヴァ・スーパーフライ級1位.Yuka☆(SHINE沖縄/1984.7.3沖縄県出身/ 51.8kg)
21戦8勝8敗4分1NC
        VS
同級3位.紗耶香(=武内紗耶香/BLOOM上板橋/ 51.8kg)22戦9勝(1KO)12敗1分

勝者:Yuka☆ / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:宮沢30-28. ノッパデーソン30-28. ランボー30-28

蹴りからパンチと首相撲に移る展開はYukaがやや攻勢も、紗耶香の首相撲からのヒザ蹴りも互角ながらやや盛り返したが、蹴りのヒットが目立ったYukaが僅差ながら判定勝利。ジャッジ三者が揃った初回以外は見極め難い攻防が続いていた。

◆第8試合 68.0kg契約3回戦

風成(エス/29歳/ 67.9kg)8戦5勝1敗1分1NC
        VS
田中稜(トーエル/22歳/ 67.4kg)3戦1勝2敗

勝者:風成 / 判定3-0
主審:児島真人
副審:宮沢30-29. ノッパデーソン30-29. 中山30-29

初回はローキックの牽制から田中稜が足払いで風成を転ばすが、攻防は互角の展開で終る。第2ラウンドには風成の股間ローブローで田中稜にインターバルが与えられたが、ローキックからパンチの交錯に移ると、風成が攻勢を掛けポイントに繋げた。ラストラウンドは田中も打ち合いに出て互角の展開を見せたが、風成はこの試合二度飛び膝蹴りも見せ、インパクトを残して僅差ながら判定勝利。

◆第7試合 フライ級3回戦

吏佐(=つかさ/タイ・ソンクラー県軽量級タイトル保持者/伊原/群馬県出身15歳/ 50.75kg)
5戦4勝(1KO)1敗
        VS
高橋大輝(エス/30歳/ 50.45kg)9戦3勝(1KO)5敗1分

勝者:史佐 / TKO 1ラウンド 1分35秒
主審:スイット・サエリム・ランボー

開始から様子見も間もなく、高橋大輝がやや圧力掛けて出るが、吏佐はカウンター気味のパンチやハイキックでヒットを見せた。接近戦では素早い右ヒジ打ちで髙橋を後退させ、ロープ際に追い込むと更にヒジ打ちで側頭部にヒットさせるとフラ付く高橋はスタンディングダウンを取られ、足下覚束ないままレフェリーストップが掛かって吏佐がテクニックを見せ付けるTKO勝利となった。「まだやれる!」とアピールした高橋大輝だったが、止められても仕方ない状況だった。

吏佐がテクニックで優って圧倒勝利。西田蓮人と共に上昇するか

◆第6試合 女子ミネルヴァ・スーパーフライ級3回戦(2分制)

ミネルヴァ・スーパーフライ級7位.松藤麻衣(クロスポイント吉祥寺/ 51.8kg)11戦5勝6敗
        VS
二ノ峰かなこ(KFG・URAWA/ 52.0kg)6戦2勝(2KO)4敗
勝者:松藤麻衣 / 判定2-0
主審:中山宏美
副審:宮沢29-29. 児島30-29. ランボー30-28

初回から多彩に攻め合う両者は第2ラウンドには松藤麻衣が蹴りで優る展開。ラストラウンドは二ノ峰かなこがパンチで追い上げるも松藤を下がらせるには至らない。ジャッジ三者が揃ったのは第2ラウンドの松藤が攻勢のポイントで僅差の攻防が続いた展開だった。

◆第5試合 43.0kg契約3回戦(2分制)

永愛(=西田永愛/タイ南部2タイトル保持者/伊原/15歳/ 42.7kg)1戦1勝(1KO)
        VS
パヤーペン・ソー・ナッシングファーム(タイ出身18歳/43.45kgコスチューム550g→42.9kg)8戦4勝4敗
勝者:永愛 / TKO 2ラウンド 1分35秒
主審:ノッパデーソン・チューワタナ

永愛は西田蓮人の妹で、タイ南部タイトルを保持しているパンチ強いテクニシャン。国内プロデビュー戦を迎えての年上タイ選手と対戦。攻防は互角の流れから永愛がムエタイ技でも優る展開で、第2ラウンドに後ろ蹴りでボディブローヒットさせてスタンディングダウンを奪った。再開後もヒザ蹴りからパンチ連打でレフェリーストップに追い込みTKO勝利した。

西田兄妹の永愛。最軽量級ながら強いパンチを持つテクニシャン

◆第4試合 アマチュア・ウエルター級2回戦(2分制) 

潤(伊原)欠場、代打出場 / 永堀良汰(VERTEX/ 65.5kg)
        VS
千葉龍樹(文星芸術大学付属高校空手部/千葉県出身/ 65.4kg)
勝者:千葉龍樹 / 判定0-3 (19-20. 18-20. 18-20)

◆第3試合 セミプロ 45.0kg契約2回戦(2分制)

YUYUNA(=西田結菜/伊原/タイ南部5タイトル保持者/埼玉県出身13歳/ 44.9kg)
        VS
奥田愛來(KYOTO RAMPAGE/京都府出身16歳/ 45.0kg)
勝者:YUYUNA / 判定3-0 (20-18. 20-19. 20-19)

◆第2試合 アマチュア女子49.0kg契約2回戦(2分制)

ラ・メトラジェッタ(スペイン/ 48.85kg)
        VS
武井梨子(EXPLOSION-52kg、-55k王者/CYCLONE/東京都出身17歳/ 47.95kg)
勝者:ラ・メトラジェッタ / 判定2-1 (19-20. 20-19. 20-19)

◆第1試合 アマチュアEXPLOSION女子 55.0kg契約2回戦(90秒制)

横山優美(LEO/東京都出身32歳/ 52.5kg)
        VS
みゃんちゅぅ(ツルザップ/福岡県出身35歳/ 53.3kg)
勝者:みゃんちゅぅ / 判定0-3 (19-20. 19-20. 19-20)

《取材戦記》

西田蓮人と手塚瑠偉の日本フライ級王座決定戦は激しい攻防で盛り上げ、実質メインイベントの存在感を見せ付けた。西田蓮人がチャンピオンと成るのは想定内だったが、手塚瑠偉は油断ならない強敵だった。十代の2~3歳差は大きく、第3ラウンドまでは手塚瑠偉の人生の経験値が優ったような流れ。第4~5ラウンドは西田蓮人の5回戦の経験値が優った流れだった。タイでは5回戦制で戦っており、その戦略が優っていた。また再戦も有り得る今後である。「チャンピオンとしてスタート!」と言うとおり、チャンピオンロードとしての試練はこれからである。今後の新日本キックボクシング協会を支えるのは西田蓮人だろう。

更には同門のインパクトある吏佐のTKO勝利。パンチが強く3連続KO勝利という西田永愛の国内デビュー戦の飛躍も大きかった。

タイトルの名称については、団体名は“新日本キックボクシング協会”ではあるが、タイトルは昭和からの従来どおり“日本タイトル”で良いということであります。

興行進行スタッフ(サブアナウンス)には元・日本キックボクシング協会系レフェリーの村上桂さんが2025年10月から協力されています。今回は村上氏の次のラウンドを告げる「3回目~、ラストラ~ウンド!」のような、「ラウンドファイブ!」等ではなく「5回目~!」等、誰も意識しなかったであろうTBSキック時代の名残りもありました。

また、リングアナウンサーの生島翔さんが、新チャンピオン西田蓮人へ認定証読み上げはなかなか滑舌良くカッコ良かった。代読となったのは仕方無い事情もありますが、メインリングアナウンサーの存在感も表れていました。

次回、新日本キックボクシング協会興行は10月18日(日)に後楽園ホールに於いて、「TITANS NEOS 39」が開催されます。まだ確定していませんが、西田蓮人は出場の予定ということでした。

日本フライ級新チャンピオン、西田蓮人の次なるベルトは何か

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

昭和の古きキックボクシングジムは失くしてはならない

堀田春樹

◆貴方はどんなジムが好きですか

2020年6月28日掲載の「キックボクシングジム開設での物件探しの苦悩!」に続くジムの興味深い在り方について取り上げてみました。

昨年末に足立秀夫(格闘群雄伝No.35)さんから電話があって「俺ももうすぐ70歳だよ!」と言った語りから、「ジムは続けている。昔ながらの古めかしいジムだから一度撮りに来て欲しい!」という希望も仰られました。練習生は3名程。昔のような厳しい指導はしていないという。

足立氏は引退後、静岡県袋井市で東大門ジムを開いたのが2000年頃。これは行って見るのも面白い。いや、東大門ジムだけでない、地方のジムは都心には無い、昭和初期や終戦後に建てられたような、昔ながらのバラック小屋のジムがあるものです。2022年6月に閉鎖され、翌月には解体された千葉ジムもジム建屋としては51年継続した伝統のジムでしたが、あのトタン屋根のジムが今もあれば買い取ってキックボクシング界の世界遺産にしたいものです。

千葉ジム外観。多くの名選手を生み出した名門である
千葉ジムは鉄骨剥き出し、トタン屋根の古めかしいジムだった

タイでも同様で古めかしい昔ながらのバラック小屋は少なくなり、近代的ジムが増えています。

タイでもこんな古めかしいジムは少なくなった

◆都心と過疎地

都心の街角を歩くと、ビルの一角に極真空手道場を見付けたことがありました。ボクシングジムにしてもキックボクシングにしても、何とか見付けた物件に正規のリングを入れたら他のスペースが無くなるような空間を工夫して練習スペースを構えていると窺えます。

近年の都心のジムは雑居ビルの一室であっても内装はキレイで明るい。女性会員の更衣室もシャワー室も完備しています。

都心から離れるとやや広い物件を借りたり、所有する土地にプレハブ小屋を建てたり、倉庫を改造して、リングを構えてもまだ広い空間にいろいろなトレーニング機器を取り揃える理想的な造りでありながら、駅から遠い辺鄙な立地だったりで練習生は集まり難い不便さもあったりします。

NKBで活躍中の棚橋賢二郎が所属する新潟県の拳心館は空手道場として1954年(昭和29年)に創設され、現在のジム建屋は1970年に建てられた広い空間で冬は寒く夏は暑い。昔は水も飲ませて貰えず、厳しさ滲み出る古き良き雰囲気だが、現在は女性会員も居て指導は昔よりは柔らかくなったとか。

拳心館はなかなかキレイなジムだが夏暑く冬寒い。ストーブが似合う(撮影:木村充利)

◆入門生多いジムと少ないジムの違い

都心と地方の条件だけでなく、現在も昔ながらの厳しい指導のジムは入門希望者が寄り付かない傾向にあるようです。

昭和時代、旧国鉄新小岩の駅前で帰宅ラッシュの通行人が大勢通る中で、選手に罵声を浴びせながらミット蹴り指導したという当時の凄く怖い某ジム会長のエピソードもありました(因みに渡邉ジムではありません。現在なら道路交通法や迷惑防止条例ですぐ退去させられるでしょう。昔は規制が緩かった)。

ドスの利いた声で「ウチが一番厳しいんだぞ!」と、そんな圧力受けた私(堀田)でしたが、こんなジムが現在にあったら一般の大多数は寄り付き難いでしょう。

現在、元・全日本ライト級チャンピオンの金沢久幸氏がSNSで「実績ゼロのジムに“人が集まる残酷な理由”」と題したコメントを配信していましたが、「繁盛しているジムは“格闘技”を売っているのではなく、“スマホの向こう側にいる人の悩み”を解決しているからです。」と根性論で人を集める時代はもう終わったという中で、「多くのベテラン指導者は指導力(Instruction)を磨き、若手経営者は入口(Marketing)を磨いています。若手たちはSNSを駆使して“今、この瞬間に悩んでる人が欲しい言葉”を24時間自動で届けています。何十年も指導して来たベテランが、ジムの客足が遠のいている現状で、若手に負けているのは“腕”ではなく、伝え方のルールを知らないだけです(配信から一部引用)。」

これはジム経営だけではない、SNSは現代のあらゆるビジネスの営業戦略となっているだろう。

◆優しい丹下段平ジムは出来るか

そうは言っても昔ながらのバラック小屋のジムは好きな者には好まれる渋い味があります。

一見流行らなさそうな、潰れそうな雰囲気を醸し出しながら、ここで若い経営者が今、悩んでる人が欲しい言葉に応えるジムであったなら、令和の時代に活きるギャップあるジムとなって注目を浴びそうである。

見た目は、あしたのジョーの丹下段平ジム。中身は「運動不足で自信が無い自分を変えたい」「仕事帰りにストレスを捨てたい会社員」「子供に礼儀や自信を持たせたい親」といったこの場所に期待を持った人が集まる場所。

いずれ足立秀夫さんのジムを覗いてから、可能であれば人が集まる方向に導いてみたいものである。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」