対李信恵第2訴訟が大詰めに近づいています。ここにおいて当方は田所敏夫さん(ペンネーム。鹿砦社社員ではなく、下記に述べるようなことから畏敬の念を持って「さん」付けとしました)と私が陳述書を提出しました。

私は2018年9月5日、19年1月7日、2020年5月14日に続いて、去る8月20日、この日は裁判所が長い“休業”明けで久しぶりに期日が入り、4度目の陳述書を提出しました。

この陳述書に於いて私は、田所さんの陳述書と、8月6日付けの本通信での広島原爆被爆二世であるとのみずからの出自を公にカミングアウトされたことに触発され、この訴訟にも密接にリンクする、〈差別〉、そして〈差別と暴力〉について、私の体験や身近の出来事を中心に思う所を申し述べてみました。

そもそもこの対李信恵第2訴訟は、「鹿砦社はクソ」「クソ鹿砦社」と誹謗中傷した訴訟の終盤になって突如「反訴」として提訴(賠償金550万円と出版差止め等)してきたものですが、裁判所にも考えがあってのことで、「反訴」とはならず「別訴」として独立した訴訟として係争中のものです。

尚、元々の訴訟は李信恵の不法行為が認定され〈鹿砦社勝訴─李信恵敗訴〉が確定しています。

以下は、この「第4陳述書」を下敷きにして、訴訟用語を排し一般向けに書き直したものです。2回に分けて分載します。

◆「反差別」は李信恵らの“専売特許”ではありません

そもそも李信恵らが殊更に「反差別」を叫ぶことで、一般的には「反差別」が李信恵らの“専売特許”のように広まっています。特に朝日新聞はじめ大手メディアが李信恵を、リンチ事件に関わったことを隠し、事あるごとに持ち上げることで、李信恵がリンチ事件に関わったことが隠蔽され、闇に葬られつつあることは遺憾なことです。

確かに私たちは実際に反差別の運動や組織に関わっているわけではありません。しかし、だからといって私たちが〈差別〉について考えていないということではありません。私たちなりに考え、悩み、差別解消へみずからの身の回りから努めてきたつもりです。世の中、ほとんどの人々が“もの言わぬ大衆”で、“もの言わぬ大衆”が〈差別〉について考えていないということではありません。

また、私たちが李信恵らの「反差別」運動を批判することをもって、私たちが〈差別〉について考えていないように意図的に喧伝する者がいますが、とんでもありません。私たちはあくまでも李信恵らの“歪曲された反差別運動”を批判しているのであり、だからといって、反差別運動全般を否定しているわけでも“反差別に反対”しているわけでもありません。これまでは「あらゆる差別に反対する」とファジーに述べてきましたが、このたび勇気を持ってみずからの差別体験をカミングアウトした田所敏夫さんらの存在を明らかにすることで、私たちの差別に対するスタンス、これを元に李信恵の「反差別」の言動に対する違和感を示します。

◆広島原爆被爆二世の田所敏夫さんの想いと怒り

今回、田所敏夫さんが、陳述書を書いてくれ、また尋問に出廷することを承諾されました。

彼の〈差別〉に対する想いと怒り、感情と認識は、彼が広島原爆被爆二世という出自に基づいています。私たちは内々に聞いていて、私たちの〈差別〉に対する考え方に大きく影響しています。つい最近、彼は李信恵の提訴の一部になっている「デジタル鹿砦社通信」に於いて、2020年8月6日、広島原爆投下75年の日に公にカミングアウトしました(同通信参照。この文をはじめ田所さんは常々ペンネームの「田所敏夫」を使っていますが、これは、実生活での不利益を最大限防止するためと、大学職員時代の上司〔故人〕の、権威に屈しない精神と遺志を継承するという決意から来ています)。

広島原爆被爆者や、その二世、三世は、戦後75年間ずっと〈差別〉に晒されてきました。「マイノリティ」という、李信恵らが頻繁に使う言葉を借りれば、原爆被爆者や、その二世、三世は日本の人口からすれば「マイノリティ」です。李信恵ら在日コリアンよりも圧倒的に少数です。

田所さんは、多くの病気を罹患され、最近ではがんを罹患されています。そうした症状は、原爆被爆二世(からくる体内被曝)から来ることは容易に推認されることで、容貌にも表われています(田所さんは白内障や顔面皮膚疾患も患っており、よほど親しい間柄でない限り写真の撮影を断っていました)。

こうしたことを顧みず、李信恵を支持し連携する野間易通という者が、田所さんの本名や職歴(大学職員)などと共に顔写真を意気揚々とネットに晒しましたが、田所さん本人や私たちの怒りは相当なものでした。

野間は、李信恵同様「反差別」運動界隈のリーダー的存在ですが、彼には田所さんの人権への配慮はなかったのでしょうか? また、この際に野間と親しい李信恵や彼女の代理人弁護士(神原元、上瀧浩子弁護士)らは叱責し止めさせたのでしょうか? 当時は田所さんが広島原爆被爆二世ということをカミングアウトしないのをいいことに、やんややんやと囃し立てていたんじゃないですか?

こうしたことからしても、李信恵らが語る「反差別」や「人権」が贋物だということが窺えます。「反差別」や「人権」に名を借りたまがい物です。偽物のメッキはいつかは剥がれます。

◆田所さんらから多くを学びました

被差別者である田所さんとの付き合いで、私は多くのことを学び、くだんのリンチ事件に対する認識や関わり方に於いても参考になることも多々ありました。李信恵の言動に対する受け止め方も、彼の違和感や意見に基づいています。

田所さんは、本件リンチ事件の調査・取材に中心になって奔走してくれましたが、彼の動きは私の期待以上でした。それは、生を受けて以来〈差別〉を身を持って体感し、身に付いた〈真に差別に反対する〉という意識が、李信恵らの“歪曲された反差別運動”に対する怒りとなって、これが基になっているのではないか、と私は思っています。

田所さんに加え、私たちの周囲や、取材に協力してくれた方々には、多くの在日二世、三世の方々や被差別部落出身の方々、さらに戦後から差別を受けてきた沖縄の方々や、2011年東日本大震災での原発事故以降避難先で差別を受けている福島の方々がおられます。ほとんどの方が生活に追われ日常的に何らかの差別を受け、しかし多くは実際の運動に関わっているわけではありません。前述したように、いわゆる“もの言わぬ大衆”です。

私たちは、田所さんはじめ、上記の心ある方々に多くの意見やサジェッションをいただき、これらは5冊の出版物に反映させています。

「反差別」は決して李信恵らの“専売特許”ではありません。なにか「自分らは差別されている」と殊更強調し、だからといって、過剰に批判者に対し汚い言葉で個人攻撃したり暴力を振るっていいわけではありません。

この第2訴訟に先立つ元の訴訟では、鹿砦社に対する暴言や誹謗中傷で裁判所は李信恵の不法行為を認定しています。また、リンチ関連本弾5弾『真実と暴力の隠蔽』巻頭グラビア「李信恵という人格の不可思議」には李信恵の暴言の数々(のほんの一部)が掲載されていて驚かされます。さらには、リンチの最中、被害者M君が痛めつけられているのを見ても、李信恵は、“名台詞”として有名になった「まぁ殺されるんやったら店の中入ったらいいんちゃう?」という非人間的で冷酷な言葉を言い放つ──李信恵の非人間性を表わしています。本件リンチ事件を調べていって本当に驚きました。現代の「反差別」運動は、ここまで堕落しているのか、言葉がありませんでした。

李信恵の暴言の一部。これを見て、この人が反差別運動のリーダーにふさわしいと誰が思うのか!?

後述(次回に掲載)する「八鹿高校事件」や「糾弾闘争」から変わっていないじゃないか、と率直に感じました。

そのように、本件リンチ事件についての当該出版物や「デジタル鹿砦社通信」の記事に於いて、バックには、取材に協力してくれた多くの方々という“もの言わぬ大衆”の“声なき声”を取材者が拾い上げ、それが深く反映されているものと思っています。

本来なら、運動家、特にこのリーダー格の人間こそ、“もの言わぬ大衆”の“声なき声”を汲み取り、それを代弁しなくてはいけないわけですが、果たして李信恵にその姿勢があるかどうか、ここ4年余りのリンチ事件に対する取材や被害者支援の活動から大いに疑問を感じています。

リンチ直後の被害者M君の顔写真。この写真を見て平静でいられる人はいるのか?

5軒の飲食店を飲み歩き「日本酒に換算して一升近く飲んだ」と告白した李信恵のツイート。泥酔してリンチがあったのを知らなかったと弁解したつもりだが、「語るに落ちる」とはこのことで、5軒の飲食店を飲み歩き「日本酒に換算して一升近く飲んだ」ことを自己暴露

日頃から夜な夜な飲み遊び、くだんのリンチ事件の日も前日夕方から5軒飲み歩き「日本酒にして一升」を飲んだと豪語し泥酔、日付が変わった深夜、その勢いで集団でリンチに及ぶような者にリーダーとしての品格を見て取ることなどできるでしょうか。いやしくも「反差別」や「人権」運動のリーダーたる者は、日頃からみずからを律し、飲み遊ぶ時間を自己研鑽に当てるべきでしょう。そうではないですか? 私の言っていることは間違っているでしょうか?

私はこれまで、田所さんのことは知っていても、本人がカミングアウトしていないことで内に秘めてきました。このたび期することがあって公にカミングアウトされたことに強く衝撃を受けました。

次回に掲載する〈差別と暴力〉についても、これまで部分的に述べてはいても、まだまだ不十分さが否めませんでした。

私にしても田所さんにしても、〈差別〉や〈差別と暴力〉の問題、つまりそれと密接にリンクするM君に対するリンチ事件についても、薄っぺらい“コメント”や“評論”に終始してこなかったことだけは自信があります。被差別者である田所さんは勿論、私も田所さんらに学び、徹底して取材・調査し、私の能力の限り本質的に迫ろうと努めてきたつもりです。リンチ事件は私自身の問題として関わってきたことだけは申し上げることができます。(本文中、田所さんを除き敬称なし)
                     

《関連過去記事カテゴリー》
 M君リンチ事件 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=62

Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B07CXC368T/
鹿砦社 http://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000541

内輪話で恐縮であるが、本「デジタル鹿砦社通信」が新体制で再始動して、8月18日で丸6周年を迎えた。わたしも6年前の新体制発足以来、拙い文章を綴らせていただいてきた。

思い返せば、新体制発足当時は月に20本ほど寄稿させていただくことも珍しくなかった。わたしの決して「中立」でも「公平」でもない私見を、こんなに許容してくださる媒体は、ほかにないだろう。その意味で6周年を迎えたいま、わたしの狼藉を許容してくださった鹿砦社の松岡社長、編集長、そして嫌々ながらお付き合いいただけた読者の皆さんにあらためて御礼を申し上げる。ありがとうございました。

私的な理由で、3月以来仕事からほぼ離れている。時に読み返すと、赤面の至りで、できることであれば今からでも削除していただきたい、ザル原稿の山である。ただ折に触れ「このままの世界(日本)は続かない」という体感を基本に何度も書いてきた「東京五輪の破綻」は現実のものとなったし「2030年日本はこのままの姿ではないだろう」との予想は、ほぼ的中が確実になった。

この6年間日本はロクでもない方向に暴走してきた。安倍への批判がようやく形を成してきたようにも思えるが、遅すぎたと思う。コロナ後の世界をはやくも論じる書籍が多数出版されているようだが、著者の名前を見ると正直興味を惹かれない。思索が浅いに違ない連中ばかりだ。

これから、明確であるのは「社会的なあらゆる側面が不安定・不確定な時代に突入した」ということぐらいではないだろうか。

6年間ご迷惑をかけてきたわたしは、私的理由で今しばらくお休みさせていただく。このまま消えるつもりはないが、しばしお暇を頂く。お世話になった読者の皆さんのご健勝をお祈りする。またお目にかかる日まで皆さんに幸多からんことを!

▼田所敏夫(たどころ としお)

兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

月刊『紙の爆弾』2020年9月号【特集】新型コロナ 安倍「無策」の理由

『NO NUKES voice』Vol.24 総力特集 原発・コロナ禍 日本の転機

誰もがいくばくの不安や、気持ち悪さを共有しているであろう、珍しい光景。それもこの国だけではなく、ほぼ世界すべての国を覆いつくしているCOVID-19(新型コロナウイルス)。

「緊急事態宣言」と、大仰な「戒厳令」もどきが発せられたとき、報道機関は一色に染まり、この疫病への恐怖と備えを煽り立てたのではなかったか。あれは、たった数か月前の光景だった。為政者の愚は使い物にならないマスクの配布に象徴的であった。安倍が「無能」あるいは「有害」であることを、ようやくひとびとが理解したことだけが、この惨禍の副産物か。

いま、ふたたび(いや、あの頃をはるかに凌ぐ)感染者が日々激増している。「接触する人の数を8割減らしてください」と連呼していた声は、どこからも聞こえない。それどころか、国は感染対策をきょう時点で、まったくといってよいほどおこなっていない。毎日感染者は激増するだろう。そして都市部から順に医療は崩壊する。COVID-19(新型コロナウイルス)による死者は春先に比べて、少ないようではあるが、医療機関内の混乱とひっ迫に変わりはない。

たった数か月前の「緊急事態」すら発した人間も、発せられた人間も、あの時のことを忘れてしまったのか。そこまで人間の頭脳は、「記憶」機能を失なったのか。

数か月前を想起できないのであれば、75年前を肉感的な事実として、想像したり、それについて思索を巡らすことなど、望むべくもないのだろうか。

残念ながらわたしの体は、それを許さない。

あの日、広島市内で直撃を受けながら生き永らえ、50歳過ぎに癌で急逝した叔父から聞いた、あまたの逸話。その叔父だけではなく同様にあらかじめ寿命が決まっていたかのように、50過ぎに次々と急逝していった叔父たち。そして高齢とはいえ、100万人に1人の確率でしか発症しない、といわれている珍しい癌に昨年罹患した母。担当医に「被爆との関係が考えられますか?」と聞いたが、「それはわかりません」とのお答えだった。それはそうだろう。お医者さんが簡単に因果関係を断言できるわけではない。

不可思議なのだ。長寿の家系……

ついにその足音はわたし自身に向かっても聞こえてきた。

長寿の家系であったはずの、母方でどうして「癌」が多発するのか。科学的因果関係などこの際関係ないのだ。わたしの記憶には生まれるはるか昔、経験はしていないものの、広島の空に沸き上がった巨大なキノコ雲と、その下で燃え上がった町や、焼かれたたんぱく質の匂いが現実に経験したかのようにように刻み込まれている。

人間はどんどん愚かになってはいないだろうか。記憶や想像力を失ってはいないか。

8月の空は悲しい。

▼田所敏夫(たどころ としお)

兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

月刊『紙の爆弾』2020年8月号【特集第4弾】「新型コロナ危機」と安倍失政

『NO NUKES voice』Vol.24 総力特集 原発・コロナ禍 日本の転機

4名の患者及びその遺族が、滋賀医大附属病院泌尿器科の河内明宏科長と成田充弘医師を相手取り、440万円の支払いを求める損害賠償請求を大津地裁に起こした(事件番号平成30わ第381号)事件の判決言い渡しが、14日大津地裁で15時からおこなわれた。

西岡前裁判長の転勤にともない、裁判長となった堀部亮一裁判長は「主文、原告らの請求をいずれも却下する」と飄々と短時間で判決言い渡しを終えた。退廷しようとする裁判官に向かい傍聴席から「ナンセンス!」の声が飛んだ。

この事件の期日には、これまで「患者会」のメンバーが裁判前に集合し、大津駅前で集会を行ったのち傍聴を埋めるのが常であったが、判決日は折からの「新型コロナウイルス」への配慮から、「患者会」は集会や傍聴の呼びかけをおこなわなかった。したがって本来であれば判決を裁判所の外で待ち受けていたであろう、約100名(毎回裁判期日には100人ほどの人が集まっていた)の姿はなく、静かな法廷のなかで冷酷無比な判決言い渡しの声が響いた。

判決言い渡し後、滋賀弁護士会館で記者会見がおこなわれた。当初は16時開始予定であったが、諸事情で開始が16時半過ぎへとずれこんだ。井戸謙一弁護団長が判決を解説した。

この日の判決を解説する井戸謙一弁護団長

「今回の判決は現実に起こった人権侵害を救済しなかった点で、不当な判決であると考えています。判決を30分ほどで読んだばかりで、弁護団としての見解は定まっていませんが、私の評価を申し上げさせていただきます。この事件は説明義務違反を理由とする損害賠償請求事件で、実際に施術しようとした成田医師が小線源治療の経験がなかった。そして同じ病院内で大ベテランである岡本医師の治療をうけることができる、と説明しなかった。説明義務違反が違法であると、その損害の賠償を求めた事件です。一般的に成田医師が小線源治療をしようとした患者に対して、同じ病院内で別のベテラン医師の治療を受けることができる。ということについて説明する義務があるかどうかということについて、裁判所の判断は『すべての患者に対して、一律に他の選択可能な治療として、岡本医師による小線源治療を説明しなければ、説明義務違反になるとはいえない。あくまで患者の意向、症状、適応などを踏まえ、個別に診療計画上の説明義務の存否を判断する』というのが判断です。一律に説明しなくともよい、個別の事情によっては説明する必要がある、そういう判断です。

なぜそういう判断になったのかについては、かなり細かい事実を認定し、かつああでもない、こうでもないといろんなことを検討しています。その中で『一律に他の選択可能な治療として説明の必要がない』を導いた理由としては、成田医師が行おうとした手術方法。これは成田医師と放射線科の河野医師がペアで行います。成田医師は小線源治療の経験がないとしても前立腺癌についてはベテラン医師である。河野医師は放射線医師として多数の症例を持っているということで、この二人が行おうとした治療は『大学病院での小線源治療の医療水準を満たしている』という判断をしています。彼ら行おうとしていた手術が、医療水準を満たしていたのかどうか、という問題提起を(原告は)していなかったのですが、裁判所は『医療水準を満たしている』と判断しています。

補助参加人として判決を傍聴した岡本圭生医師

一方で岡本医師による岡本メソッドは、『成田医師たちが行おうとしていた治療とは質的に異なる治療である』と述べています。岡本メソッドにについて被告側は、裁判の中でその評価を貶めて、誹謗しようとしてきたわけですが、それについて裁判所は採用していません。河野医師は小線源治療は『放射線医がしっかりしていればいいんだ。泌尿器科医が放射線医の指示通り針を刺すだけでよいので、泌尿器科医の役割は小さなものだ』との趣旨の証言をしましたが、それについても裁判所はその考え方を採用していません。

ただ成田医師が行おうとしていた治療と、岡本医師が実施していた治療は同一病院内の選択可能な治療、という位置づけになっており、ここの理屈がわかりません。『質的に違う』と言っているわけです。

そのあとに4名の原告の方の判断ですが、お二人の方は『岡本医師の治療を受けたい』ということで滋賀医大にかかられたかたです。しかし岡本医師にまわされないで、成田医師が治療をしようとしていたのですが、このお二人については『説明義務はあった』と認めています。ただそれでも請求が棄却されているのは、結果的に岡本医師の治療を受けることができた。これにはいろんな経緯があったわけですけども。結果的に岡本医師の治療を受けることができたのだから、損害はないでしょうという評価のようです。

あとのお二人については『法的な説明義務違反までは認められない』という判断です。ただ『道義的にはともかく』という言葉がついているので、医師の倫理上は説明すべきであったと、暗に裁判所としては言いたいようです。

非常に残念なのは、この判決の『説明義務』のとらえ方が非常に狭いことです。質的に異なる治療方法が同一病院内であるわけですから、説明して患者が選択する機会を与えるべきである。それが患者の自己決定権を保証する医師の責務であると考えます。裁判例でも説明義務の範囲は、どんどん拡張される流れにある中で、説明義務違反の範囲を非常に狭くとらえたのは、大変残念な判決だと思います。

もう一点は、説明義務違反を認めていながら、結果的に岡本医師の治療をうけることができたから、損害はないだろうという判断です。結果的に岡本医師の治療が受けられたといっても、岡本医師の問題提起があったから岡本医師の治療を受けることができた。それがなければ岡本医師の治療を受けることができなかった可能性が高いわけで、原告の精神的・心理的な苦痛が法的保護に値しない、ということです。しかしそれは、精神的損害のとらえ方を非常に狭く評価するものであって、この判断も承服しがたいものがあります。

判決全体としては、被告が一番力を入れていたのは『治療ユニット論』というもので、成田医師が行おうとしていた治療は、岡本医師をリーダーとするチーム医療、医療ユニットとして計画されていたのだから、成田医師が自分が未経験だと説明する義務はなかった。これが一番被告が力を入れていた主張です。しかし、それについて裁判所は、その主張は採用していません。岡本メソッドの評価を低からしめようとした主張にも、裁判所は乗っていません。ですから主な事実認定についてはこちらの主張が取り入れられています。成田医師が『小線源治療をあまりやる気がない』と発言した事実も取り上げられています。いろんなところでこちらの主張は取り上げられているのですが、結論として説明義務違反のとらえ方が狭く、かつ損害のとらえ方が狭い。請求棄却との判断になった。そのことにより中身的にはこちらの主張を取り入れたにしても、患者の人権救済の役割を果たさなかった。極めて残念です。」

ついで、この日法廷で判決を聞いたAさんが感想を述べた。

法廷で判決を聞いたAさん

「意外な判決だと感じました。この裁判で私は3つ課題があり社会に訴えたいと考えております。一つ目は(成田医師が)未経験であって施術しようとしたこと。私が知らないことをいいことに、モルモット扱いしているという点です。こういうことが許されてよいのか。これが説明義務違反です。医師の育て方に問題があるのではないか。二つ目はその事実を私が知ったのは、岡本先生の内部告発によってです。それによって救われました。しかし日本の社会ではまだ人権が守られない。権力の暴走を止められない。三つめは岡本医師が、職を賭して阻止してくれ、23人の手術をしてくれ、(仮処分勝利により)待機患者50数名の命を救ったことです。敬意と感謝の念に堪えません。ありがとうございました」

その後に、補助参加人としてこの日も判決を傍聴した岡本圭生医師からのコメントがあった。

わたしはこの裁判を提訴から判決まですべて傍聴してきた。この原稿も予定稿では原告勝利を前提としたものを準備していた。

14日大津地裁に早めに到着し、裁判長が変更になっている(転勤はあらかじめ告げられてはいたが)担当表を見て、嫌な予感が浮かんだ。法廷で「原告の請求を原告らの請求をいずれも却下する」との裁判長の声をきいたとき、思わず「えっつ!」と声を出してしまった。

井戸弁護士の解説にある通り原告側の主張が、かなり取り入れられているとはいえ、法廷での証言内容や態度を考えると被告たちには、主文にしか注意を向けないだろう。民事の裁判では法律家には理解できても、一般市民感覚では「訳の分からない」文章や判断が横行する。そういった判決や裁判官に当たるたびに、裁判所や司法への信頼は薄れ、司法への期待も希薄になる。そういった意味では、結果ゼロ回答の判決を出した、この裁判の合議体はわたしにとって、「また司法への信頼を限りなく低減した」裁判官たちであった。判決言い渡し後に法廷に響いた傍聴者の声に、私も同意する。

ナンセンス!

◎カテゴリーリンク《滋賀医科大学附属病院問題》

▼田所敏夫(たどころ としお)

兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

最新刊!月刊『紙の爆弾』2020年5月号 【特集】「新型コロナ危機」安倍失政から日本を守る 新型コロナによる経済被害は安倍首相が原因の人災である(藤井聡・京都大学大学院教授)他

首相・安倍晋三が「福島第一原発事故の汚染水の影響は、完全にコントロールされており、健康への心配は、現在も未来もまったくない」と福島県で被災されている皆さん(あるいは原発事故による様々な疾病に苦しむ方や、事故を苦に自死され方々)を無視・冒涜する許されざる虚構の演説で招致にこぎつけた、「金の亡者の祭典」こと「東京五輪」開催が事実上不可能になった。


◎[参考動画]安倍晋三総理大臣のプレゼンテーション IOC総会(2013/09/08)


◎[参考動画]滝川クリステルさんのプレゼンテーション IOC総会(2013/09/08)

その理由はあらためて述べるまでなく、新型コロナウイルスの感染を、政権の無策で抑えることができず、日本が世界有数の感染拡大国になってしまったことが、直接の理由である。きょう現在五輪実施委員会やIOC、日本政府のいずれもが「東京五輪中止」を宣言してはいないが、国内での大規模イベントは軒並み中止か延期。海外からの渡航客も激減。2019年10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率-6.3%と大幅に落ち込み、特に10月の家計消費は-11.5%とリーマンショック直後の2008年10-12月期を上回る減少と政府発表の統計は示している。

企業は在宅勤務を増加させ、大学の多くは入学式の取りやめを決定し、新年度の授業開始時期すら決まっていない。3・11から10年目に入り、原発再稼働やカジノ解禁、改憲など、よこしまなことばかりを画策していた、極悪政権とマスコミ誘導があるとはいえ、極悪政権に高い支持率を与え続けてきた国民に対する、「2011年3月11日をしっかり想起せよ」との天啓が下ったのだ。

否、それだけではなく、世界を覆いつくした「経済成長至上主義」の責任なき暴走にストップがかけられたと、見ることもできよう。戦々恐々として大マスコミは報じないが、「世界の工場」と呼ばれた中国は大打撃を受け、今年の成長率は実質4%台に落ち込むとの予想も聞かれはじめた。米国をはじめ株高で浮かれていた国々でも、すでに猛烈な暴落、乱高下がはじまっている。パンデミックだけではなく、大恐慌がやってくることは明らかだ。

そんな時世のなかで、客観的な情勢として「五輪」などに時間や人員を割き、楽しんでいる余裕などないことには、さすがに少なくない皆さんが、肌で感じておられることだろう。


◎[参考動画]東京五輪中止なら経済損失7.8兆円 大手証券が試算(2020/03/07)

3月8日東京五輪の選考を兼ねて、名古屋ウイミンズマラソンがおこなわれていた。わたしは「東京五輪反対」ばかりを主張しているが、けっしてスポーツが嫌いなわけではない。むしろマニアックな競技も含めてスポーツ観戦は趣味の域きに入るだろう。一山麻緒選手の激走は感動的だった。22歳で20分台をあのコンデションで出すとは!しかし、アナウンサーが「東京への最後の切符をかけて」と連呼するたびに複雑な気持ちになった。

「金の亡者」が欲得ずくで行う競技会であっても、選手は出場したいことだろう。

各種競技で「五輪出場選手が決まる」、との報道を目にするにつけ、可哀そうに思えて仕方がない。しかし、彼らとて立派なアスリートであれば、それなりの人格と知性を持ち得るはずだ。何度も繰り返すように「東京五輪」が福島を中心とする原発事故被害の隠蔽のために画策され、それに思慮のない人や「ここでまた一山いけるで!」と計算高い企業群が、欺瞞に満ちたきれいごとをならべ、いまも苦しんでいる人たちの、生活や気持ちを「なきものにしよう」と企み計画されたのが「東京五輪」の本質であることくらい理解できなければ、一流のアスリートではない。

スポーツは素晴らしい。けれども、スポーツをおこなうには、危険のない(健康上・安全上)諸条件と、それを楽しむことができるアスリートと観客が必要だろう。この夏、日本にはその両方の要素がないのだ。

「東京五輪中止」は既に内々では決定されているだろう。だが、誰も発表しないので、わたしが断定的にお伝えする。どう考えてもこの夏東京での五輪開催は不可能だ。IOCや実行委員会は金勘定に頭を悩ましているだろうが、WHOが「気温が上昇したたからといって収束するわけではない」と発表し、日本に渡航を禁止する国が日々増加しているのだ。

そんなことよりも、可及的速やかに混乱を最小化させる手立てに集中するのが政権の仕事だろう(混乱に乗じて憲法に「緊急事態条項」を書き混むなどといった、言語道断の議論を国会でしている場合か)。安倍や自公政権には何も期待しない。唯一の期待は「早く退場してくれ」だけだ。


◎[参考動画]「緊急事態宣言」可能に 法改正(2020/03/05)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

『NO NUKES voice』Vol.23 総力特集〈3・11〉から9年 終わらない福島第一原発事故

『NO NUKES voice』Vol.23
紙の爆弾2020年4月号増刊
2020年3月11日発行
定価680円(本体618円+税)A5判/132ページ

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総力特集 〈3・11〉から9年 終わらない福島第一原発事故
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[グラビア]福島原発被災地・沈黙の重さ(飛田晋秀さん

[インタビュー]菅 直人さん(元内閣総理大臣)
東電福島第一原発事故から九年の今、伝えたいこと

[インタビュー]飛田晋秀さん(福島県三春町在住写真家)
汚染されているから帰れない それが「福島の現実」

[報告]横山茂彦さん(編集者・著述業)
元東電「炉心屋」木村俊雄さんが語る〈福島ドライアウト〉の真相

[報告]尾崎美代子さん(西成「集い処はな」店主)
車両整備士、猪狩忠昭さんの突然死から見えてくる
原発収束作業現場の〈尊厳なき過酷労働〉

[報告]伊達信夫さん(原発事故広域避難者団体役員)
《徹底検証》「原発事故避難」これまでと現在〈7〉
事故発生から九年を迎える今の、事故原発と避難者の状況

[報告]鈴木博喜さん(『民の声新聞』発行人)
奪われ、裏切られ、切り捨てられてきた原発事故被害者の九年間

[対談]四方田犬彦さん(比較文学者・映画史家)×板坂 剛さん(作家・舞踊家)
大衆のための反原発 ──
失われたカウンター・カルチャーをもとめて

[報告]本間 龍さん(著述家)
原発プロパガンダとは何か〈18〉
明らかになる福島リスコミの実態と功罪

[報告]山崎久隆さん(たんぽぽ舎副代表)
「特定重大事故等対処施設」とは何か

[報告]三上 治さん(「経産省前テントひろば」スタッフ)
停滞する運動を超えて行く方向は何処に

[報告]山田悦子さん(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈7〉記憶と忘却の功罪(後編)   

[報告]佐藤雅彦さん(翻訳家)
5G=第5世代の放射線被曝の脅威

[報告]渡辺寿子さん(核開発に反対する会/たんぽぽ舎ボランティア)
「日本核武装」計画 米中対立の水面下で進む〈危険な話〉

[読者投稿]大今 歩さん(農業・高校講師)
原発廃絶に「自然エネ発電」は必要か──吉原毅氏(原自連会長)に反論する  

[報告]再稼働阻止全国ネットワーク
老朽原発を止めよう! 関西電力の原発と東海第二原発・他
「特重」のない原発を即時止めよう! 止めさせよう!

《関電包囲》木原壯林さん(若狭の原発を考える会)
「5・17老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」に総結集し、
老朽原発廃炉を勝ち取り、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会を実現しよう!

《規制委》木村雅英さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
1・24院内ヒアリング集会が示す原子力規制委員会の再稼働推進
女川審査は回答拒否、特重は矛盾だらけ、新検査制度で定期点検期間短縮?

《全国》柳田 真さん(たんぽぽ舎・再稼働阻止全国ネットワーク)
原発の現局面と私たちの課題・方向

《北海道・泊原発》佐藤英行さん(岩内原発問題研究会)
北海道電力泊原子力発電所はトラブル続き

《東北電力・女川原発》笹氣詳子さん(みやぎ脱原発・風の会)
復興に原発はいらない、真の豊かさを求めて
被災した女川原発の再稼働を許さない、宮城の動き

《東電・柏崎刈羽原発》矢部忠夫さん(柏崎刈羽原発反対地元三団体共同代表)
柏崎刈羽原発再稼働は阻止できる

《関電・高浜原発》青山晴江さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
関西のリレーデモに参加して

《四国電力・伊方原発》名出真一さん(伊方から原発をなくす会)
三月二〇日伊方町伊方原発動かすな!現地集会 
レッドウイングパークからデモ行進。その後を行います。圧倒的結集をお願いいたします。

《九州電力・川内原発》けしば誠一さん(反原発自治体議員・市民連盟事務局次長/杉並区議会議員)
原発マネー不正追及、三月~五月川内原発・八月~一〇月高浜原発が停止
二〇二〇年は原発停止→老朽原発廃炉に向かう契機に!

《北陸電力・志賀原発》藤岡彰弘さん(命のネットワーク)
混迷続く「廃炉への道」 志賀原発を巡る近況報告

《読書案内》天野惠一さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
『オリンピックの終わりの始まり』(谷口源太郎・コモンズ)

私たちは唯一の脱原発雑誌『NO NUKES voice』を応援しています!

 

『NO NUKES voice』Vol.23 総力特集〈3・11〉から9年 終わらない福島第一原発事故

本日『NO NUKES voice』23号が発売される。総力特集は「〈3・11〉から9年 終わらない福島第一原発事故」だ。

奇しくも発売日が3・11と重なった。ことしは政府主催の追悼記念式典が、新型コロナウイルスの感染により中止された。いっぽう常磐線が昨日、福島第一原発至近の、大熊町地域でも運転を再開した。

ただし、「避難指示」が解除されたのは0.3平方キロに過ぎない。常磐線の再開は地域の方々にとって、一部福音かもしれないが、わずか0.3平方キロ四方だけを「避難指示」区域から解除する、という政策を3・11に合わせて行う。行政の決定には科学的な根拠よりも、政治的なプログラム進行を優先させようとする意図が透けて見える。

◆終わらない東京電力福島第一原発事故──菅直人元首相が語る、事故から9年の今、伝えたいこと

本号の巻頭インタビューには事故当時の首相であった菅直人氏にご登場いただいた、菅直人氏は事故当時、なにを考え、どう行動したのか。

そして事故から9年後思うことは何なのであろうか。本誌編集長が直接、濃密にインタビューを敢行した。

 

菅直人元内閣総理大臣が語る「東電福島第一原発事故から9年の今、伝えたいこと」

飛田晋秀さん(福島県三春町在住写真家)、横山茂彦さん(編集者・著述業)、尾崎美代子さん(西成「集い処はな」店主)、伊達信夫さん(原発事故広域避難者団体役員)、鈴木博喜さん(『民の声新聞』発行人)、四方田犬彦さん(比較文学者・映画史家)×板坂剛さん(作家・舞踊家)、本間龍さん(著述家)、山崎久隆さん(たんぽぽ舎副代表)、三上治さん(「経産省前テントひろば」スタッフ)、山田悦子さん(甲山事件冤罪被害者)、佐藤雅彦さん(翻訳家)、渡辺寿子さん(核開発に反対する会/たんぽぽ舎ボランティア)、大今歩さん(農業・高校講師)

多彩な執筆陣が原発問題にとどまらず、核から、サブカルチャー、法哲学の分野にまで論を展開する。『NO NUKES voice』は23号にして、飛行機にたとえれば離陸直後の上昇から、水平飛行へと紙面構成においては一定の方向性を定めることができたのではないとも感じている。

しかし、決定的に足らない要素がある。それは若者が主体的にあげる声の誌面への反映である。編集部はこのことについて、怠惰であったつもりはない。論の通った(あるいは論が未成熟でも)若者の声は積極的にとりあげようと、アンテナをはってきたが、近年残念なことに、その発信自体を掴むことが困難になっている。

目を見張るような個性や、優れた感性がなくなったわけではない。しかし、わずかな例外を除いて、若者の発信がわれわれを揺さぶることは、珍しいといわねばならない。

放射能被害にもっとも敏感であるはずの若者からの、総体としての「無関心」には政府や、教育機関の「洗脳」も理由に挙げられようが、はたして、理由はそれだけであろうか。

北村肇元週刊金曜日編集長(のちに発行人)は、「『週刊金曜日』が生き残るために奇跡を信じたい」(『創』2018年・12月号)を遺稿のように、亡くなってしなった。北村氏も誌面作りで「若者をどう取り込むか」散々苦労なさったことが紹介されている。

本誌は、しかしながら、今後も若者への訴求を努力・研究しながらも、現在の発行方針を維持してゆこうと考える。すなはち「われわれが重要だと評価する情報は、広範に誌面に掲載する。その際読者には媚びない」ということである。内情は青色吐息での赤字出版がつづくが、鹿砦社が経営的に危機を迎えるまで、本誌は発行を止めることができない。

3・11から9年目、『NO NUKES voice』23号発売の日にあたり、あらためて、決意を明らかにしたい。

2019年12月15日の大熊町。ツタに覆われた車(飛田晋秀さん口絵「福島原発被災地・沈黙の重さ」より)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

『NO NUKES voice』Vol.23 総力特集〈3・11〉から9年 終わらない福島第一原発事故

『NO NUKES voice』Vol.23
紙の爆弾2020年4月号増刊
2020年3月11日発行
定価680円(本体618円+税)A5判/132ページ

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総力特集 〈3・11〉から9年 終わらない福島第一原発事故
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[グラビア]福島原発被災地・沈黙の重さ(飛田晋秀さん

[インタビュー]菅 直人さん(元内閣総理大臣)
東電福島第一原発事故から九年の今、伝えたいこと

[インタビュー]飛田晋秀さん(福島県三春町在住写真家)
汚染されているから帰れない それが「福島の現実」

[報告]横山茂彦さん(編集者・著述業)
元東電「炉心屋」木村俊雄さんが語る〈福島ドライアウト〉の真相

[報告]尾崎美代子さん(西成「集い処はな」店主)
車両整備士、猪狩忠昭さんの突然死から見えてくる
原発収束作業現場の〈尊厳なき過酷労働〉

[報告]伊達信夫さん(原発事故広域避難者団体役員)
《徹底検証》「原発事故避難」これまでと現在〈7〉
事故発生から九年を迎える今の、事故原発と避難者の状況

[報告]鈴木博喜さん(『民の声新聞』発行人)
奪われ、裏切られ、切り捨てられてきた原発事故被害者の九年間

[対談]四方田犬彦さん(比較文学者・映画史家)×板坂 剛さん(作家・舞踊家)
大衆のための反原発 ──
失われたカウンター・カルチャーをもとめて

[報告]本間 龍さん(著述家)
原発プロパガンダとは何か〈18〉
明らかになる福島リスコミの実態と功罪

[報告]山崎久隆さん(たんぽぽ舎副代表)
「特定重大事故等対処施設」とは何か

[報告]三上 治さん(「経産省前テントひろば」スタッフ)
停滞する運動を超えて行く方向は何処に

[報告]山田悦子さん(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈7〉記憶と忘却の功罪(後編)   

[報告]佐藤雅彦さん(翻訳家)
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[報告]渡辺寿子さん(核開発に反対する会/たんぽぽ舎ボランティア)
「日本核武装」計画 米中対立の水面下で進む〈危険な話〉

[読者投稿]大今 歩さん(農業・高校講師)
原発廃絶に「自然エネ発電」は必要か──吉原毅氏(原自連会長)に反論する  

[報告]再稼働阻止全国ネットワーク
老朽原発を止めよう! 関西電力の原発と東海第二原発・他
「特重」のない原発を即時止めよう! 止めさせよう!

《関電包囲》木原壯林さん(若狭の原発を考える会)
「5・17老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」に総結集し、
老朽原発廃炉を勝ち取り、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会を実現しよう!

《規制委》木村雅英さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
1・24院内ヒアリング集会が示す原子力規制委員会の再稼働推進
女川審査は回答拒否、特重は矛盾だらけ、新検査制度で定期点検期間短縮?

《全国》柳田 真さん(たんぽぽ舎・再稼働阻止全国ネットワーク)
原発の現局面と私たちの課題・方向

《北海道・泊原発》佐藤英行さん(岩内原発問題研究会)
北海道電力泊原子力発電所はトラブル続き

《東北電力・女川原発》笹氣詳子さん(みやぎ脱原発・風の会)
復興に原発はいらない、真の豊かさを求めて
被災した女川原発の再稼働を許さない、宮城の動き

《東電・柏崎刈羽原発》矢部忠夫さん(柏崎刈羽原発反対地元三団体共同代表)
柏崎刈羽原発再稼働は阻止できる

《関電・高浜原発》青山晴江さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
関西のリレーデモに参加して

《四国電力・伊方原発》名出真一さん(伊方から原発をなくす会)
三月二〇日伊方町伊方原発動かすな!現地集会 
レッドウイングパークからデモ行進。その後を行います。圧倒的結集をお願いいたします。

《九州電力・川内原発》けしば誠一さん(反原発自治体議員・市民連盟事務局次長/杉並区議会議員)
原発マネー不正追及、三月~五月川内原発・八月~一〇月高浜原発が停止
二〇二〇年は原発停止→老朽原発廃炉に向かう契機に!

《北陸電力・志賀原発》藤岡彰弘さん(命のネットワーク)
混迷続く「廃炉への道」 志賀原発を巡る近況報告

《読書案内》天野惠一さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
『オリンピックの終わりの始まり』(谷口源太郎・コモンズ)

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3月1日に実施された、「東京マラソン」で、大迫傑選手が4位ながら2時間5分29秒(速報値)の日本新記録を打ち立てた。一般参加者から参加費を徴収しておきながら「新型コロナウイルス」のため参加を断り「来年の出場権を約束しますから、返金はしません」と無茶苦茶なぼったくりで、顰蹙を買った大会運営も、さらなる「新型コロナウイルス」に関する騒ぎの拡大と、日本新記録により希釈され、大会実行委員会は留飲を下げていることだろう。


◎[参考動画]3月1日 東京マラソン2020~Tokyo Marathon 2020~兼 マラソングランドチャンピオンシップファイナルチャレンジ ~東京2020オリンピック日本代表選手選考競

日本人の2時間5分台は立派な記録である。けれども、参考記録ながら世界は既に2時間を切るところまでマラソンは高速化している。どのくらい早いかをわかりやすく示してみよう。マラソンは42.195キロだから時速20キロで走っても2時間は切れない。時速20キロは平たんな道で自転車をスムースに漕ぐようなスピードだ。

常日頃トレーニングされているかたは別にして、一度時速20キロの世界を安全な場所で経験されることをお勧めする。とんでもなく早く、これを2時間続けるのは人間業とは思えないことを、体感していただけると思う。

そして、余分な話かもしれないが、大迫選手は日本新記録を出したので、賞金1億円を手にした。それくらいの価値はあるだろう。が、他方わたしのあたまには、まだ、マラソンが純粋なアマチュア競技であった時代の、偉大な選手の声が残っている。宗兄弟は瀬古利彦と同じ時期に活躍した双子のランナーだった。ある取材で宗兄弟のどちらだったか忘れたが「ゴルフがあんなに楽をして何千万円ももらえるんだったら、僕たちは2時間以上苦しんでいるんだから正直1億円位ほしいですよ」と本音を吐露した。

生まれた時代が違えば宗も億万長者になれていたかもしれないなぁ。ちょっとかわいそうに思える。宗兄弟や瀬古、伊藤国光が活躍していた時代、日本の男子マラソンは世界レベルにあった。調整さえ間違わなければ五輪でメダル獲得も夢ではなかった。1984年8月のロス・アンジェルス五輪では二人とも完走し、猛は4位入賞を果たした。瀬古は時差を無視した直前の現地入りにより、調整失敗で活躍できなかった。


◎[参考動画]1984 LA OLYMPIC MARATHON


◎[参考動画]ロサンゼルスオリンピック男子マラソン後インタビュー

大迫選手の奮闘には拍手を送りたいが、残念ながらあと4分近く世界とは差が開いている。

そして、日本新記録樹立に「東京五輪近づく」のクレジットが目に入るが、「東京五輪」強行は、恐るべき惨状と背中合わせであることを、読者諸氏にはご理解いただけるだろう。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

月刊『紙の爆弾』2020年3月号 不祥事連発の安倍政権を倒す野党再建への道筋

『NO NUKES voice』22号 新年総力特集 2020年〈原発なき社会〉を求めて

鹿砦社創業50周年記念出版『一九六九年 混沌と狂騒の時代』

首相安倍晋三が、異例の土曜日に記者会見を行い、新型コロナウイルスに対する見解を述べた。録音を聞いたが、いまさらなにを抽象論に終始しているのか、というのが正直な感想である。

「立法処置を講じる」とか、「休業補償政府が講じる」などといっている以外に具体的な言及はなく、あたかも万全な対策がこれまでも講じられており、これからも講じられる(福島第一原発の『安全デマ』発言をした時のことを思い起こされる)居丈高な姿勢に終始している。


◎[参考動画]首相、一斉休校に理解要請 新型肺炎抑制へ記者会見(KyodoNews)

そして、何より冷静に考えれば不思議なのは、どうして全国の学校に「休止」措置を依頼したのかの根拠が、全く示されていないことだ。例年、冬季にはインフルエンザが流行し、「学級閉鎖」や「学校閉鎖」が伝えられる。わたしも小学生時代に2回「学級閉鎖」の経験がある。不謹慎(そうでもないか?)ながら予想もしない時期に学校が休みになる(これは台風でも同様だったが)に、うれしくて仕方がなかった記憶がある。

でも、冷静に考えよう。実は法的に「学級閉鎖」の基準を明示したものはない。参考程度に、《『学校医・学校保健ハンドブック』によれば「欠席率が20%に達した場合は,学級閉鎖,学年閉鎖および学校閉鎖等の措置をとる場合が多い」》との基準に従い、これまでの感染症に対する「学級閉鎖」や「学校閉鎖」はおこなわれてきたようだ。


◎[参考動画]【報ステ】全国の小中高に休校要請 新型コロナ対策(ANN 2020/02/27)

20%の欠席は40人学級であれば8人、30人学級であれば6人だ。他方3月1日現在、日本全国での新型コロナウイルス感染者数は、クルーズ船に乗船していた方々を除き、全国で239人で、死者は5名だ。239人は総人口1億200万人に対して、0.001%にも及ばない。

であるのに、政府は学校の休みだけではなく、イベントの中止などを求めている。

なぜか。

決定的な対処不全が明白だからではないのか。安倍の記者会見は「もう手の打ちようがありません」と解読するのが正解ではないのか。


◎[参考動画]麻生大臣「つまんないこと聞くねぇ」休校中の費用負担(テレ東NEWS 2020/02/28)

インフルエンザが流行したって、全国の病院がパンクしたという話はわたしが物心ついて以来、聞いたことはない(大昔の「スペイン風邪」などを除く)。統計にもよるが新型コロナウイルスの致死率は低い報告で2%、高い報告で15%程度だ。

この数字を前にして、首相官邸も厚労省も「コントロールできない」と正直、対処をあきらめているのではないか。普段いい加減な発言ばかりしている某東海地方の大学教授ですらが「私の人生でこんなことは初めて。中国、韓国よりもひどい。もうこうなったら自衛するしかない」と発信している。

政治に防ぐ力を期待しても無理だろう。可能な限り免疫力を高めておくくらいしか、自衛策はあるまい。

◎[参考資料]2020年2月29日安倍首相記者会見の発言書き起こし(首相官邸)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

月刊『紙の爆弾』2020年3月号 不祥事連発の安倍政権を倒す野党再建への道筋

『NO NUKES voice』22号 新年総力特集 2020年〈原発なき社会〉を求めて

鹿砦社創業50周年記念出版『一九六九年 混沌と狂騒の時代』

感染拡大が確実なのに、日本政府の対策が定まらない。いわずと知れた新型コロナウイルス(COVID-19)についてである。「専門家会議」なる団体は「罹患の恐れのある人は自宅で留まる」ようにと、責任放棄ともいえる暴論をはきだした。


◎[参考動画]「1、2週間が瀬戸際」 政府の専門家会議が見解(ANN 2020/02/25)

新型コロナウイルスに罹患しているかどうかをチェックするキットは、すでに開発されているのだから、軽度のうちに罹患者を発見し、家族や周辺の人から罹患者を隔離するのが、予防原則だと思うが、厚労省にはそういう考えがないらしい。

大規模イベント主催者の対応には、苦悩が見られる。無観客試合を計画したり、コンサート場などは中止も珍しくなくなってきた。そのなかで、最後の最後まで「連中」が放棄しないのは、利権の祭典「東京五輪」だ。しかし、わたしに限っても、これまで何回も批判してきた偽りの「復興の祭典」は、文字通り赤信号がともりだした。日本を対象として「渡航禁止」を出す国が増加しはじめた。各地の観光地も閑散とした状態で、ついに愛知県では旅館の倒産も発生した。

朝日新聞紙上は矛盾に満ちている。「東京五輪」称揚と、新型コロナウイルスにに対する警鐘。優先順位をスポンサーである立場が誤認させているのか。なにを優先すべきかがまったく伝わらない。


◎[参考動画]IOC委員 東京五輪中止も検討 判断は5月下旬まで(FNN 2020/02/26)

ある程度は仕方ない面もあろうが、クルーズ船内では、かえって罹患者を増加させてしまう始末。神戸大学の岩田健太郎教授がその対応の杜撰ぶりを徹底的に糾弾した。あれと同程度に無責任な体制が「東京五輪」を背景に抱えることにより、深刻化している。「重症者」になってから対応したのでは、感染症は遅い。この簡単な原理原則が通じない、この国では、残念ながら爆発的感染が近く訪れるだろう。


◎[参考動画]Japan ends ‘failed’ coronavirus quarantine on cruise ship(DW 2020/02/19)

わたしは、おもしろがっているのではない。わたし自身が癌患者を家族に持つものとして、医療機関で検査を進めているが、感染症の爆発的広がり(パンデミック)は、感染症以外の疾病患者への対応を遅らせることにより、副次的に犠牲者を増やしてしまう。

こういった大規模な感染症にどのように対応するかどうかで、その国や地域が国民の命をどう考えているかが鮮明に浮き上がる。嘘ばかりついて、責任を取らない最高権力者をこれほど長く頂いていると、結局被害にあうのは国民だということを、痛みをもって(場合によっては「取り返しのつかぬ」かたちで)知るしか手段はないものなのか。残念至極である。


◎[参考動画]【報ステ】“コロナショック”株価急落 経営破綻も(ANN 2020/02/25)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

月刊『紙の爆弾』2020年3月号 不祥事連発の安倍政権を倒す野党再建への道筋

『NO NUKES voice』22号 新年総力特集 2020年〈原発なき社会〉を求めて

鹿砦社創業50周年記念出版『一九六九年 混沌と狂騒の時代』

菅義偉官房長官は2月18日の記者会見で、新型コロナウイルス(COVID-19)による肺炎の治療薬剤開発に関し、国立国際医療研究センター(東京都新宿区)を中心に抗エイズウイルス(HIV)薬剤の臨床試験の早期開始に向けて準備を進めていると説明した。


◎[参考動画]2020年2月18日(火)午前-内閣官房長官 記者会見

いまのところ対処療法しかない新型コロナウイルス(COVID-19)に対して、一部の抗ウイルスHIV薬剤の有効性が伝えられていた。HIV対策にはウイルスに感染した人に対する薬剤と、ウイルスの侵入を防ぐ薬剤など様々な薬剤が開発されている。今回新型コロナウイルスに有効であろうと見込まれているのは、現在VIIVという英国の製薬剤会社だけが、特許を保有する「ウイルスの侵入」を防止する薬剤である。


◎[参考動画]Living with HIV? Today, it’s just living.(ViiV Healthcare)

2月14日、本通信で報告した通り、新型コロナウイルスは「4つのインサートすべてのアミノ酸残基の配列は、HIV1 gp120またはHIV-1 Gagのアミノ酸残基のそれと同一または類似しています」との研究結果が示唆する挙動を見せていることが、ここ数日でも複数の研究者から明らかになった。

そこで、日本政府も同様の薬剤の臨床試験を行う姿勢を見せたということである。しかし、現在同様の薬剤剤は世界でVIIV社しか製造していないことから、特許や販売許可への障壁も考えられる(VIIV社には塩野義製薬も出資している)

「The Lancet」が非常に権威のある科学雑誌であることは、前回本通信でご紹介したが、通常有料でしか購読できない同誌が、新型コロナウイルス(COVID-19)に対しては、その緊急性と重要性を認識したためか、無料購読の許可を続けている。一般には「一年以上かかるだろう」といわれている対策薬剤の製造が、VIIVが保有しているHIV対策ウイルスの援用により、早まることが期待される。


◎[参考動画]ワクチン準備に18カ月(2020/02/12)

巷では、紙のマスクが店頭から姿を消している。けれども、罹患者が他者への伝染を防ぐ効果は紙マスクには期待できるが、ウイルスは極小さな粒子であるので、紙マスクをしているからといって「予防」にはあまり役に立たないことは、冷静に知られるべきだろう。紙マスクを利用すればわかるが、鼻と肌のあいだに、まったくマスクが覆わない部分が、よほど注意しないと生じるし、そもそもウイルスの粒子の大きさは、一般的(特殊に繊維の細かいものを除く)な紙マスクであれば、通り抜けてしまう。

売り切れた紙マスクが手に入らず、途方に暮れる方々は、綿の布を水に浸してその上からタオルを巻く(見かけは悪いが)などの手段をとる方が、簡単で有効だ。

(本稿は医学に造詣の深い複数のかたのアドバイスをいただき構成した)

▼田所敏夫(たどころ としお)
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