◆告発状受理、正式に被疑者に!

広島地検は3月11日までに広島県内の住民が平川理恵・教育長を官製談合防止法違反などの疑いで告発していた告発状を正式に受理しました。これにより、平川氏は広島地検の捜査対象と言う意味で正式に「被疑者」となります。

もちろん、被疑者・被告人は推定無罪です。しかしながら、すでに、平川氏は自らが依頼した外部の弁護士による調査により、京都のご自身のご親友のNPO法人「パンゲア」への業務委託などで、「官製談合防止法違反」「地方自治法違反」があった、と指摘されています。

一方、平川氏は2023年8月に始まった住民裁判で、官製談合による県費の無駄遣い及び、高額なタクシー代、そして高額な弁護士への費用を返還するよう訴えられています。

広島瀬戸内新聞2023年9月号外

法律的に言えば、平川氏は何の処分も受けていません。特別職公務員にはそもそも懲戒という仕組みがない。2023年2月に平川氏が給与の自主返納をしただけです。あとは、知事による罷免しかない。

こうした状況で、任期満了まで教育長を続けられる平川氏には呆れてしまいます。まさに鉄面皮を超えて劣化ウラン※面皮と言う状況です。

(※ウラン鉱石から核燃料を取り出した後に残った劣化ウランは非常に硬い性質を持っている。1991年の湾岸戦争において鉄より硬く、劣化ウランを使用した米軍の戦車が鉄でできていたイラク軍のT72戦車を撃破したことで有名。しかし、飛び散った劣化ウランの粉塵が、周辺の住民や米軍兵士の健康にも悪影響を与えているとされている。)

◆広島・日本の教育を前に進めたのではないか、と自負している?

こうした中、3月22日、平川氏は県民をさらに呆れさせました。平川氏は退任前最後の記者会見で「広島・日本の教育を前に進めたのではないか、と自負している」と言い切ったのです。一方で、告発状受理については「お答えできない」と逃げました

「この中で平川氏は、2期6年の任期中に取り組んだ公立高校の入試改革や不登校対策、それに探求的な学習の導入について「365日24時間、どうやったら広島の教育が良くなるかを考え続けてきた。広島県、あるいは日本の教育を前に進められたのではないかと自負している」と振り返りました。」

平川氏は一生懸命だったのは事実でしょう。しかし、教育を前に進めたというより、脱線させた、というのが事実ではないでしょうか。脱線したまま、あさっての方向に進んでいるというべきでしょう。

◆アメリカン・ポストモダンな腐敗と日本の古臭さの悪いハイブリッド

平川氏は、ただただ、アメリカン・ポストモダニズム的なものに飛びついて、それを取り入れることが進歩だと思い込んでいる。1990年代後半あたりの日本企業の経営者、新自由主義政治家によくあるパターンです。実は、それこそが時代遅れなのではないでしょうか?

そして、正直、平川氏が「私自身が任期中の評価をするのは難しいが、教育というのは今成果が出るものではなく、何十年後かに子どもたちが答えを出してくれるものだと思っている」というのも責任逃れにも見えてしまいます。

例えば、高校入試。2023年の入試から改革が行われました。今までは一般入試と推薦入試で行っていたのですが、推薦入試を廃止。そしてアメリカンな「自己表現」を導入したのです。これまで学力重視の一般入試と、部活などで実績がある生徒向けの推薦入試でバランスを取っていたのが崩れ、生徒や保護者、中学校の先生らにも不評です。そして、「自己表現」とはどうすればいいのか? どう採点すればいいのか? 生徒も保護者も、高校の先生も苦慮したのです。

そもそも、日本の文化とアメリカの文化は違う。その中で、いきなりアメリカンな自己表現とやらを導入するのは無理がある。その上で、アメリカの教育が良いかと言えばまったくそんなことはない。日本の政治の腐敗ぶりは大概ですが、アメリカのポストモダンの政治だって、バイデンVSトランプと言うどうしようもない不毛な大統領選挙ではないですか?アメリカの教育を受けたアメリカの有権者がそういう構図にしたのではないですか?

平川氏の行政手法である、お仲間優遇というのは実は、アメリカ直輸入なのです。平川氏ご親友のNPOや企業とか、赤木かん子さんら平川氏の「意識高い系」のお仲間で物事を決めていく。これはアメリカでは普通のことです。

かつての日本の疑獄事件みたいに賄賂をやり取りするよりも、高級官僚と企業の幹部がいわば回転ドアのように行き来して利益誘導する。従来の日本の天下りどころではありません。そうした中で、戦争国家と言われるアメリカができています。

平川的なことを進めて行けば、アメリカンな腐敗と日本・広島の権威主義をハイブリッドした無茶苦茶なことになりかねません。というか、もうなっています。国土が広く、資源が豊富なアメリカだからまだ政治が腐っていても持ちこたえていますが、日本はそうはいきません。

◆新教育長は「フロント」に徹せよ!

さて、新年度からの教育長には、文部科学省課長の篠田智志さんが県議会に人事案が提案され、2月26日に議会で全会一を以って可決されました。篠田新教育長には以下のことを申し上げたい。

戦前の臣民を育てる教育を止め、戦後は、日本国憲法の下で市民が市民を教育する制度に変わりました。すなわち、アメリカに倣った教育委員会制度が導入されました。当初は、教育委員会は公選制がとられたものの、イデオロギー対立などで混乱したということもあり、任命制に変わりました。その後、安倍政権の下では、事務方のトップである教育長が教育委員会の委員長も兼ねること制度改正。教育長の権限は強大になりました。しかし、あるべき公教育の基本は変わりません。

プロ野球に例えれば市民、県民がオーナーで、生徒が選手、先生がコーチ、校長が監督、そして教育委員会は球団フロントのようなものです。教育長の権限が以前より強大化したとはいえ、所詮は球団社長の立ち位置であり、オーナーでもなければ主役でもない。選手の個々のプレイに口を出したり、監督の采配に口を出したりするのがおかしいのです。カープの新井監督のお名前は広島県民ならだれもが存じています。しかし、球団社長のお名前はすぐには出てきません。それでいいのです。フロント=教育長は現場がやりやすいように支援する黒子で良いのです。

例えば、県内では県教委管轄だけで1000人以上、非正規の先生がおられます。非正規の先生も大変だし、正規の先生も疲弊する。非正規を正規の先生に変えていくことでそういう状況を変えていく。平川教育長は「予算がない」と言っておられたのですが、何十億もかけてグローバルエリート中高「叡智学園」をつくったのだから、お金がないわけがない。使い方の問題です。

◆「万辞に値する」湯崎英彦知事の「任命責任」

さて、安倍政権の制度「改革」自体に問題があるが、それを「悪用」した平川「被疑者」教育長、何より任命した湯崎知事には大きな責任があります。とりわけ、湯崎知事は、2月に平川教育長の続投がないことを決めた際、「法令違反は改革の副作用」と言って、平川教育長を庇ったのです。

そもそも、県は平川教育長にお金を無駄遣いされた「被害者」のはずです。平川教育長を警察・検察に告発したり、平川教育長に無駄遣いしたお金の返金を命じたりするのは知事の仕事ではないでしょうか?

住民が平川「被疑者」教育長を刑事告発したり、返金を求める裁判を起こしたりしなければいけないのが本来おかしいのです。知事が動かないから、住民が自腹を切って動かないといけなくなる。それどころか、県は、平川「被疑者」教育長を庇う立場で住民訴訟に参加しているわけです。

湯崎英彦知事は、ある意味、類は友を呼ぶということで、平川氏を、2018年度に神奈川県の民間校長から一本釣りしたのでしょう。いずれにせよ、湯崎知事の任命責任は、その後に平川氏を罷免するなどしなかったことも含め、「万辞に値する」と言わざるを得ません。

もちろん、今まで、湯崎県政を十分チェックできなかった県議会、そして湯崎知事と平川教育長を持ち上げてきたマスコミの責任も重いと言わざるを得ません。
筆者も平川教育長の逃げ切りを許さない。そして腐敗しきった湯崎知事から広島を取り戻す。その動きを強めていく決意です。

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広島県内の公立学校の先生が盗撮などの不祥事を起こすと、「不祥事のデパート」教育長の名前で懲戒免職される……。そんな「締まらない」状態も、2023年度いっぱいで終止符が打たれます。

広島県の湯崎英彦知事は2月1日、報道各社の取材に応える形で、2024年3月末で二期目の任期が切れる平川理恵・教育長の再任をしない方針を明らかにしました。

◆任期切れでお役御免! 知事の狡猾な責任逃れ 

「もともと2期6年のつもりだった」と湯崎知事は強弁しておられます。しかし、そんなことは、後付けでいくらでも言えます。人間、そう簡単に権力の座は手放したくないものです。再任しない、ということになればご本人も抵抗する可能性も高い。

平川教育長ご自身も一連の不祥事さえなければ、当然、次もやる気満々だったのではないでしょうか? 下手をすれば湯崎知事の後継の知事候補、ということも考えられます。しかし、県民の批判の前に、さすがの知事も庇いきれなかった。罷免はしなかったが、任期切れでお役御免、という形にした、というのが見え見えです。

通常、教育長というのは、その自治体によって違いますが、現場の教員上がりか、当該自治体出身の文部科学省の官僚かというのが「相場」です。それを敢えて打ち破り、リクルートご出身で横浜市の民間登用校長をされていたという平川氏を湯崎知事が一本釣りしてきた、という経過があります。

したがって、知事としては、任期途中で罷免すれば、自分の任命責任が余計問われます。任期切れでお役御免。知事としてはもっとも狡猾な「逃げ方」です。

◆「改革」という名の「身びいき」だった!

確かに広島県の社会は閉鎖的な面が強い、という声は特に広島県から他県や進学・就職された30代くらいの方からよく伺います。そうした、閉鎖性を平川教育長が打破してくれるのでは?2018年の就任当初、そのように、期待した県民も多いし、マスコミも平川教育長を天まで持ち上げました。

しかし、2期目の途中の2022年夏。事態は暗転します。「文春砲」で一連の不祥事が発覚します。

平川教育長ご出身の地・京都のNPO法人「パンゲア」にわざわざ仕事を県費でつくってあげたと解釈されても仕方のない官製談合問題。外部の弁護士の調査で、地方自治法違反、官製談合防止法違反が指摘されました。

ところが、その弁護士への費用も異様に高額なものでした。しかも県費からの支出です。さらに、県教委と取引のある大阪の企業の女性経営者を平川教育長が自宅に泊めていたということも発覚しました。

これとは別に学校図書館のリニューアル事業と称して、赤木かん子さんを顧問に招聘。赤木さんの著書が大量に学校図書館に送り込まれました。

平川氏は常々、「子どもたちのために」とおっしゃいます。しかし、やっていることは、どうみても、完全な身びいきです。官僚や教員上がりと言った既存タイプの人材よりも酷い腐敗を平川氏は招いてしまいました。

◆木に竹を接ぐ「高校入試」改革

また、平川氏は2023年の高校入試から「自己表現」を導入する改革を強行しました。そもそも、広島県の社会(広い意味での政治)は非常に権威主義的です。それなのに、中学生に「自己を表現しなさい」などと言っても、中学生も親も先生も混乱するだけですし、実際に混乱が見受けられました。

結局、この手の入試改革は、そういうことの対策にお金がかけられるお金持ちの家庭の子に有利になるだけです。以前の、学力テスト+部活も含めた内申点で決めるやり方の方が、お金持ちでない家庭の子にもチャンスがあったのではないでしょうか?

権威主義の広島の社会で、中学生にアメリカンな自己表現を課す。木に竹を接ぐとはこのことです。

◆叡智学園には巨費、非正規教師の正規化には後ろ向き

平川氏は、2019年、瀬戸内海に浮かぶ大崎上島にグローバルエリート養成を目的とした中高一貫校「叡智学園」を開学しました。しかし、この学園開学早々いじめ問題が発生。なんと被害者が退学を余儀なくされるという「日本的」な結果に終わりました。

そんな叡智学園には巨額の県費をつぎ込む平川氏。しかし、既存の公立学校では1000人以上も非正規の先生がおられます。その先生方を正規化するよう、保守系の県議が議会で要望すると、「予算がない」と切り捨てたのです。

また、図書館の問題にしても、図書館司書が確保できていないことが問題なのに、図書館司書の確保はせずに、赤木かん子さんの著書を大量に入れて赤木さんを儲けさせただけでした。

◆これで幕引きは許されない

しかし、これで幕引きは許されません。平川氏は、違法に使った県費は返していただきたい。現在、平川氏を相手取って、違法に使用した県費の返還を求める住民訴訟が広島地裁に提起されています。結果が注目されます。

そして、平川氏を一本釣りしてきた湯崎英彦知事の任命責任も重大です。

県議会も県議会です。なぜ、ここまで、平川氏への辞職勧告決議案は出せなかったのか?

他の自治体では辞職勧告決議案を準備した結果、教育長は辞任、というケースも起きています。議会がやる気になればいつでも平川教育長は打倒できたのにしなかったのです。

◆じり貧を恐れて平川任命、ドカ貧を招いた湯崎知事、万辞に値する

たしかに、広島県は3年連続人口流出ワーストワンです。まさに、じり貧の状態にあります。そこで、真新しいことをやろうという知事の気持ちはわからないではありません。平川教育長を関東から一本釣りして教育長に任命したのもその現れかもしれません。

しかし、実際に平川氏が行ったのはさらに事態を悪化させるというドカ貧」を招いた独裁でした。湯崎知事は「万死」ならぬ「万辞に値する」と言わざるを得ません。湯崎知事から広島の政治・行政を県民の手に取りもどす「ヒロシマ庶民革命」。その必要性はいよいよ明らかです。

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広島市長、教育勅語引用の抗議に反論 『使い方とかけ離れた議論』」と1月19日付の朝日新聞の記事を目にした。

見出しだけではさっぱり意味が分からない。まさか「平和都市」を標榜する原爆被爆地の市長が、21世紀に「教育勅語」を真顔で持ち出すことなどはあるまい、とは思ったが時代が時代であるので、真相がわからない。広島市役所に電話をしてことの次第を聞いた。

◆広島市長は「温故知新」の解説例として「教育勅語」を利用した?

広島市の代表番号に電話をかけ、問い合わせ内容を伝えたら、教育委センターに繋がれた。

── お待たせしました。広島市研修センターのキョウゴクと申します。

鹿野 お邪魔します。市長が職員の研修に「教育勅語」を使っていると報道で知りました。事実でしょうか。

── はい。

鹿野 どのように「教育勅語」を使っているか、教えて頂けますか。

── 研修の中でということですかね。

鹿野 はい。

── 市長としましては職員研修の中で、市長が大事にされている考えがありまして、それが「温故知新」という考え方なんですけど。それでまあ、先輩が作り上げたものや良いものはしっかりと受け止めて、後輩に繋ぐことが重要であるということともに、一つの事象の中に「良い点と悪い点」が混在していることもあるので、全体を捉えて「良い」とか「悪い」を判断するのではなく、中身をよく見てから、多面的に物事を捉えることが重要です、ということを説明する中で、その中で、教育に関する一例として「教育勅語」を紹介している、と伺っております。

鹿野 ということは「温故知新」を解説される例として「教育勅語」を利用されているということでしょうか。

── ええ。

鹿野 引用されている「教育勅語」を市長はどのように解釈なされているのでしょうか。

── 解釈をしているというのは……。市長としましては、まず「教育勅語」そのものを評価する、ということではないんですけども。また研修の中ではですね、「教育勅語」自体は国会において排除などが決議されたもの、とは紹介はしているのですが、そういったものであったとしても自ら検証をすること、考えてみることを通じて「温故知新」を極めることに繋がるのではないか、と考えているのが市長の思いの一つではあるんですよ(注:太字は筆者)。

鹿野 「教育勅語」はそれほど長い文章ではありませんが、どの部分を「温故知新」と関係あると考えて引用なさっているのでしょうか。

── どの部分をということですかね? 新人研修で引用している部分ですけども、

「爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ
恭儉己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ學ヲ修メ業ヲ習ヒ
以テ智能ヲ啓發シ德器ヲ成就シ進テ公益ヲ廣メ……」

この部分を載せているという状況です。

鹿野 それは「温故知新」とは関係ない部分です。

── あ、あ、あ、貴重なご意見ありがとうございます。

鹿野 「爾臣民父母」からの部分は、父母に敬意をもって、兄弟仲良くして、という文章です。

── ええ。

鹿野 当該部分の言葉はそれ以外の解釈は出来ません。

── あ、ああ。貴重なご意見ありがとうございます。

鹿野 意見ではありません。日本語ですから。文字通りに理解すれば「温故知新」とはまったく関係がありません。

──  あの「教育勅語」自体を一例として取り上げるために、一部を抜粋してここに載せている、ということだと思うのですけども。

◆「良いものです」とか「悪いものです」と画一的にとらえて判断することではなくて……

鹿野 市長は「温故知新」を大切にしているので、それを説明する資料として「教育勅語」の一部を使っている。

──  いや、あのー、こちらがお伝えしたいのは「温故知新」の考え方が市長にとっては大切だということですけど、その中で一つの事象があった時に、その事象を、たとえば「良いものです」とか「悪いものです」と画一的にとらえて判断することではなくて、中身を自分の目で検証する行為。で、多面的に物事を考えることが重要だということを説明するということで、そういったことを受講者に伝えたいということで、例としてですね、一部抜粋という形ですが、全文を載せるということではなく抜粋して、「教育に関する勅語」を一例として紹介しているということです。

鹿野 市長は正しいかそうでないか「自分で検証しなさい」と研修対象者の方に語っている。

── ええ、そうですね。

鹿野 わたしは市長が語っていること(自分で検証する)を今しているのです。そもそも「温故知新」をどのように理解なさっていますか。

── 以前学んだことですとか過去、昔の事柄をもう一度調べ直したり、考え直すことによって、新しい道理とかそういった知識を深堀したり、とかですね、そういったことかなと思ううんですが。間違ってますでしょうか。

鹿野 「温故知新」四文字です。理解の幅はあるかもしれませんが、文字通り解釈をすれば、「故きを温ねて新しきを知る」との故事と解釈いたします。

── 文字通りの意味ということですね。

鹿野 「温故知新」を大切にしている市長が、先ほど聞いた部分を引用されたうえで、研修をなさっている。

── そうですね。講義をしているということです。

◆「教育勅語」は世界的に民主主義が勃興していている状況を、日本語にして民主主義を謳ったもの?

鹿野 引用された「教育勅語」が「温故知新」とどのように関連するのですか。

── どの部分が、ということですかね。

鹿野 引用されている箇所は「爾臣民父母ニ孝ニ兄弟……」ですね。

── ええ、ええ。

鹿野 この部分のどこにも「故きを温ねて新しきを知る」部分は見当たらないのではないですか。

── あ、ああ、そういうご理解をされているということですね。

鹿野 いえ、理解ではなく文言だけを読んでです。この部分をどう理解すれば「故きを温ねて新しきを知る」を見いだせるのか分からない。

── 「教育勅語」は戦争が終わった後に、日本人を戦争に持ち込んでいく、という表現が正しいかどうか、あれなんですけども。そういった中で「教育に対する勅語」が戦争が終わった後に、国会において排除等が決議された過去のものということ、を伝えてはいるんですけども。その中で「教育勅語」の言葉の一部を引用しているんですが、抜粋してあるものと、その上に英訳も書いてあるんですよ。実際の資料の中には。市長としましては英訳文とですね、幕末から明治期にかけて世界的に民主主義が勃興していく時代にかけて、「教育勅語」を日本語に訳して漢文調にしたと、説明をしているのですが。(注:太字は筆者)

鹿野 ということは、「教育勅語」は世界的に民主主義が勃興していている状況を日本語にして、民主主義を謳ったものだと、取りあげられていらっしゃるのですか。

── うーん、そういう……どういったらいいでしょうか。

鹿野 あなたのおっしゃったことを復唱しているだけです。

── あの……お伺いしたいいですけれども、よろしいですか?

鹿野 はい。

── あなた様の希望としましては現在「教育に関する勅語」を広島市において新規職員採用研修で一部を引用している、という状況があるのですが、その引用を止めてほしいということですか?

鹿野 いいえ。先ほど来申し上げている通り、お尋ねをしたくて電話しています。まったく意味が理解できない。だからわたしの疑問点をお尋ねしているだけです。

── 疑問を感じているということですか。

鹿野 わたしは、わからないのです。

── は、はあ。それは「教育に関する勅語」を一部引用している箇所が、「温故知新」に合う考え方ではないからわからないと。

鹿野 いいえ。「温故知新」を市長が大切にしていることも電話するまで知りませんでした。

── あ、あ、はい。繰り返しで申し訳ありませんが、あなた様がわからないと言われているのは、「教育勅語」を引用している部分について、なぜこの部分を引用していることが分からない、ということですか。

鹿野 先ほど仰った「教育勅語」は一度国会で排斥された歴史があること、及びわたしは「教育勅語」全文を暗記しております。その経緯を鑑みて「教育勅語」を、どのような意図で引用されどのような目的で研修でお使いになったか、それが知りたいのでお尋ねしています。

── 研修資料にそのように使っているとお伝えしました。

鹿野 はい。ただ市長が「温故知新」を大切にされているから、その資料にだと。

── はは、そこで「教育勅語」とどう繋がっているかが分からい、ということですか。

鹿野 そうです。

── (しばらく無言)

鹿野 いかがでしょうか。

(中略)

── この文(「教育勅語」)からは「温故知新」が読み取れないということですね。

鹿野 引用箇所として教えて頂いた部分に、日本語の解釈上「温故知新」に関わる文言はありません。

── こちらが引用している部分について「温故知新」に関わる部分はない?

鹿野 「こちら」ではなく、市長が引用しているのではないですか。

── ええ、そうです。(無言)

◆「教育勅語」の文章の全ての主語は「朕」ですから

鹿野 再度伺いますが「教育勅語」から引用している箇所に、「温故知新」と結びつく部分はありますか。

── 引用している部分が直接「温故知新」のものかどうかは解釈が、感じ方や捉え方はあると思うんですけど。「教育勅語」自体が過去に国会で排除等の決議がされたものであったとしても、それ自体をも自ら検証して考えるという行為が「温故知新」を極めてゆくことに繋がるんじゃないか、という思いを込めて説明をしていたんですけども(注:太字は筆者)。

ただ、引用箇所についてのご意見を今頂きましたので、それはこちらの職場の中でもでも共有はさせていただきたいと思います。

鹿野 はじめのお答えと違いますね。一度国会で排斥されたものであって、もう一度検証することによって「教育勅語」の正当性があると市長は考えていると。

── 自ら考えてみることが「温故知新」を極めることに繋がっているということで……・

鹿野 天皇の命令により人々を従わせた文言が、敗戦により国会で排斥された。「教育勅語」がです。その中にもう一度価値を見出せ、ということですね。

── いいえ「朕は」という部分は除いた部分で……(注:太字は筆者)。

鹿野 そのような解釈は無理です。この文章の全ての主語は「朕」ですから。

── ご意見ありがとうございます。

鹿野 意見ではありません。もう結構です。

※   ※   ※   ※

勅語(文部省より全国の諸学校に交付されたる教育に関する勅語)

まったく話にならない。「主語」の意味すら理解していない広島市役所の職員は、市長の行為にもかかわらず「教育勅語」を研修で用いることの正当性を、職務上の義務であるかのように、支離滅裂な回答を続けた。

まさか、とは思ったが広島市長は新人職員研修に、なんの躊躇もなく「教育勅語」を利用している。しかも調べてみると松井一実は広島市長に就任した翌年の2012年から昨年まで10年以上「教育勅語」を使い続けている。

わたしの問いに応じた教育センターの「キョウゴク」氏の言葉は、あたかも「教育勅語」の不当性を指摘することが不当であるかのように、不思議。不満気であった。キョウゴク氏の応対は新人職員研修が論理破綻した人間を創り上げることの証左と見るべきか。

「教育勅語」には評価すべき点などまったくない。なぜならば、本文でいくら美談が述べられようとも、この文章全体の主語が「朕(天皇)」だからである。天皇は私人や一般の公人、貴族とも違い、明治憲法上「不可侵」であり「神」扱いされていた存在だから(こんな基礎的な事実は繰り返す必要もないだろうが)天皇の発語は批判を許さない、絶対語だったのだ。

時代錯誤も甚だしい、皇国史観の片鱗(教育勅語)を平然と原爆を落とされた広島市長が使い続けるている。第二次世界大戦敗戦による「戦後」は、広島市においても広島市民みずからのの手(市長選挙)で蹂躙され、時代は既に「戦中」である。呆れてしまうが、呆れている場合か。

広島市長、松井一実が「教育勅語」を10年以上にわたり職員研修に利用している事実は、まず広島市民によって、最大級に指弾されなければならない。

◎[関連記事]これで「平和都市広島」を名乗れるのか? 新人研修に「教育勅語」を11年以上使用してきた松井一實市長にびっくり仰天!(さとうしゅういち)

▼鹿野健一 (しかの・けんいち)
1965年兵庫県西宮市生まれ。複数の企業と大学に勤務の後、現在はフリーライター。国際情勢・政治・教育・冤罪・原発などに関心を持つ。反原発季刊誌『季節』副編集長。単著『大暗黒時代の大学』(鹿砦社)。共著『オイこら!学校』(教育資料出版会)、『1970年端境期の時代』、『抵抗と絶望の狭間/1971年から連合赤軍へ』(鹿砦社)など。

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◆不祥事でボロボロも教育長に居座る劣化ウラン面皮

平川理恵・広島県教育長は、数々の不祥事にもかかわらず、教育長に居座ったまま年を越しそうです。

2022年夏に県教委が平川教育長のご親友のNPO法人パンゲアに発注した事業(合計金額2600万円)を巡る官製談合疑惑が『文春砲』で暴かれました。弁護士による外部調査でも地方自治法違反、官製談合防止法違反が指摘されました。さらに、その弁護士への依頼費用約3000万円は全て県民のお金で賄われています。また、2021年度には100万円、2018年度からの4年では700万円のタクシー代を使っていたことが明らかになりました。

これとは別に、大阪の企業で、平川教育長の別のご親友が社長の『キャリアリンク』との取引は『教育長案件』と職員に認識されていたことが、中国新聞の情報公開で明らかになりました。平川教育長自身は、キャリアリンクに発注したのは『自分の指示ではない』と否定していますが、そんな弁解は誰も信用していないような状況です。

また、平川教育長はさらに別のご親友の児童文学評論家の赤木かん子さんに学校図書館のリニューアルを委託し、旅費など646万円を支払いました。おまけに、図書を入れ替える際に、大量に赤木さんの著書を購入させていました。内部調査では法令違反ではないとされました。しかし、頭ごなしのリニューアルは、図書館の自由に関する宣言に反するものです。

2023年2月21日、平川教育長は一連の『事件』当時課長級だった職員一人を戒告処分としたうえで、自分自身は給料の自主返納という「処分にもならない」幕引きを図ろうとしました。

そして、横浜で民間出身校長だった当時の平川教育長を「一本釣り」してきた湯崎知事も教育長を罷免しようとはしていません。

最近では、赤木かん子さんが図書館のリニューアルから外されるなど、平川教育長の権力低下は著しいものがあるそうです。とはいえ、依然として県教育のトップに居座っておられるのは事実です。

鉄面皮、いや、劣化ウラン面皮とでもいうべき平川教育長に、怒りを通り越して、うっかり尊敬の念さえ抱いてしまいそうになるほどです。劣化ウランは鉄よりも硬いので戦車の装甲や砲弾に使われていますが、平川教育長は、その劣化ウラン並みに打たれ強いと言えます。

◆議会の追及は口先だけ⁈

一方、県議会でも追及は続いています。11月24日の広島県議会決算特別委員会では、日本共産党や保守系で湯崎知事に批判的な会派の議員だけでなく、湯崎知事に近い自民党会派出身の議員からも『中途半端な調査報告のために反省もない対応を、議会として認めることはあってはならないと考えています』との批判が噴出する有様です。

他方で、この決算特別委員会では結局、昨年度の県の決算を賛成多数で認定してしまっています。決算というのは認定されなくても実際には混乱は生じないのですから、平川教育長に対してノーを突き付ける意味で、決算認定をしないという手もあったはずです。しかし、それを県議会の多くの議員が選択しなかったということは、やはり、口先だけと言われても仕方がありません。

他の自治体では教育長に対する辞職勧告決議案も出ています。兵庫県太子町では2022年にセクハラ疑惑を起こした教育長に対して辞職勧告決議を町議会が検討。町議会が始まる1週間前の8月22日にこの教育長は辞任を表明しました。議会がその気になれば教育長を打倒することはたやすいことです。
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202208/0015576441.shtml

◆不祥事で懲戒免職の教員も「平川教育長名」で処分の笑止

さて県内では一連の『事件』発覚後も、教員による不祥事が相次いでいます。広島市を除き、公立学校の教員の処分は県教委、すなわち平川教育長の名前で行われることになります。

2022年12月21日、県立高校の教諭二人が18歳未満の女性にわいせつな行為をしたとして懲戒免職になりました。
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/513384.pdf

当時の広島県教育委員会の松下大海教職員課長は「教育の信頼を損なう事態が発生したことについておわび申し上げます。再発防止に取り組んでいきたい」と話したそうですが、「あなたの上司である教育長が一番教育への信頼を損なっているのでは?」とニュースを報じるテレビ画面に突っ込みを入れてしまったのを覚えています。

2023年3月24日には、コロナ休暇を不正に取得したとして県立学校の主事が停職2か月となりました。
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/524711.pdf

直近では10月13日、18歳未満の女性への買春などの被疑事実で逮捕され、70万円の罰金が確定した廿日市市市立中学校教諭の宮本竜太被疑者(当時35)が懲戒免職になっています。

「教育公務員としての職の信用を著しく損なう重大な非違行為であり、信用失墜行為の禁止を定めた地方公務員法第 33 条の規定に違反する。」というのが処分理由です。
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/552231.pdf

未成年者とのわいせつ行為や買春はとんでもないことです。それはそれとしても、これらの処分を受けた先生方も平川教育長の名前で処分されたくはないでしょう。平川教育長が居座れば居座るほど、教職員のモラルは崩壊していくのは間違いありません。

◆県外のお友達優遇止め、県内にお金を回すべき

平川教育長は県外のご親友ばかりを優遇してきました。そもそも教員の研修など、県教委に指導主事がいるわけです。その人たちを差し置いて県外に発注するのは、県費の無駄遣いではないでしょうか?

それよりも、例えば、『ホーユー事件』で明らかになったような低すぎる給食の単価を引き上げる。そのために入札制度を改革する。非正規の先生だらけの状況を正規への登用で是正していく。

そうしたことが今、必要なことではないでしょうか?

大阪の企業を振興したいなら、それこそ、広島県教育長などさっさとお辞めになって、今春の大阪府知事選挙にでも立候補されれば良かったのです。

◆地方衰退への危機感の勢い余って食い荒らす自称『新しい血』……平川問題の教訓

平川教育長については、マスコミが天まで持ち上げていたことは忘れてはなりません。もともと、広島は保守的な土地柄で、『年配男性中心』の意思決定が根強くありました。そうした中で、全国と比べても様々な面での遅れが目立っていたのは事実で、広島県庁在職中の筆者もそのことは痛感していました。

そうした中で、文科省官僚や教員上がりといった『既存型人材』、あるいは年配男性を中心とした地元の旧来型政治家への不信感、不安感も広がった。そこに、平川教育長は巧妙につけ込んだとも言えます。

そして『旧来型政治家』が多数を占める議会も、結局、平川教育長へのチェック機能は十分に果たしていません。

今後も、衰退する地方ほど、これまでの古臭さへの「焦り」から『女性』とか『若い』というだけで、平川教育長のような人に権力を与えてしまい、却ってドカ貧を招く、という恐れは十分にあります。
 
「年配男性」「天下り官僚」「地元旧来型政治家」といった『旧来型権力者』に対してだけでなく、平川教育長的な「外部の新しい血」を標榜する権力者に対しても、市民・県民が舐められないよう、きちんとチェックしていくべき。このことは大きな教訓です。

筆者と広島瀬戸内新聞では『湯崎知事や平川教育長らから広島を取り戻し、広島とあなたを守るヒロシマ庶民革命』『総理や知事や教育長になめられない広島県民をつくるヒロシマ庶民革命』を呼び掛けています。

2025年11月の広島県知事選挙へ向け、湯崎英彦現知事の打倒と庶民派知事・庶民派県議の誕生を目指しています。

◆住民訴訟、本格化

こうした中、平川教育長による疑惑幕引きを是としない頼もしい県民がおられます。8月29日、平川教育長に対して、県にパンゲアとの取引で生じた2645万円、弁護士費用3000万円、2021年度分のタクシー代100万円の計5745万円を返すようもとめる住民訴訟が広島地裁に提起されました。

第二回口頭弁論は以下の予定です。

県教委「官製談合」をただす住民訴訟
第2回口頭弁論は12月5日(火)13:30~
弁護団は県教委の「答弁書」に反論、詳述する書面を提出予定

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年12月号

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このたび小社では矢谷暢一郎・著『ヤタニ・ケース アメリカに渡ったヴェトナム反戦活動家』を上梓いたしました。

矢谷さんは、尊敬する大学の先輩ですが、学生運動華やかりし時代のリーダーでした。その後、仲間の死、運動の解体、闘病を経、再起を期して夫婦で渡米 ── 70年代も終わりに近づいていました。

しかし、ある日突然に、オランダでの学会からの帰途、ケネディ空港で突然逮捕されます。事件から40年近く経ち、その顛末と総括とは?

矢谷さんは、1年がかりで執筆に取り掛かられました。気持ち溢れ過ぎ、この勢いが筆致に表れています。

ぜひともご一読いただき、忌憚のないご批評、ご意見などお寄せいただければ幸いです。

(松岡利康)

▼著者紹介 矢谷暢一郎(やたに・ちょういちろう)1946年生まれ。島根県隠岐の島出身。1960年代後半、同志社大学在学中、同大学友会委員長、京都府学連委員長としてヴェトナム反戦運動を指揮。1年半の病気療養などのため同大中退。77年渡米、ユタ州立大学で学士号、オレゴン州立大学で修士号、ニューヨーク州立大学で博士号を取得。85年以降、ニューヨーク州立大学等で教鞭を執る。86年、オランダでの学会の帰途、ケネディ空港で突然逮捕、44日間拘留、「ブラック・リスト抹消訴訟」として米国を訴え、いわゆる「ヤタニ・ケース」として全米を人権・反差別の嵐に巻き込んだ。

11月20日発売

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既報の通り、広島市中区の給食会社「ホーユー」が9月初めに経営破綻し、広島県内の高校の寮の給食はもちろん、全国の警察や自衛隊、裁判所などの食堂も停止し大混乱になりました。ホーユーは破産の手続きを開始しています。


◎[参考動画]【給食停止】ホーユー他社と比べて明らかに低価格を提示していた(HOME広島ニュース 2023/09/08)

その後、広島県内では西条農業高校と西城紫水高校の2つの高校については、新しい業者との契約により、給食再開のめどが立ちました(2023年9月27日現在)。

一方で、他の高校については、ホーユーが各校の調理場に残した大型冷蔵庫の撤去のめどが立たず、そのことが給食再開の妨げになっていました。しかし、ホーユーの破産管財人との話し合いで移動のめどはついたそうです。

◆ホーユーの40分の1以下で落札した業者が過去に!

こうした中、新たな事実が発覚しました。ホーユーが2022年度から3年間1500万円で給食事業を受託していた西条農業高校。わたしの義父の出身校でもあるのですが、同校の給食を別の会社が2019年度から2021年度の3年間、なんとたった36万円で受託していたというのです。ホーユーの40分の1以下という目の玉が飛び出るような安い価格でした。

ちなみに、ホーユーは三次高校など4校をまとめて1800万円で受託しています。4校に一人づつ調理員を置いたとして、一校あたり3年間で450万円。一年間で150万円。これも朝昼晩の食事を提供するには安すぎます。朝昼晩、おそらく合計で6時間くらいは労働する調理員。長期休暇を除いて300日稼働としても、1800時間。これでは、最低賃金を割ってしまいます。しかも、経費は給料以外にも光熱水費もかかわるわけです。とんでもない低価格だったのは事実です。

しかし、この三次高校など4校におけるホーユーとくらべても12分の1以下という安さです。報道によると同社は広島県内での実績作りのため落札し、赤字は他の事業で穴埋めした。また、予定価格を大幅に下回るような価格で入札した場合、広島県の制度がどう機能するか、すなわち広島県・県教委がどういう反応をするかを試したかったという趣旨のコメントをされているようです。広島県も舐められたものです。

◆県は被害者面できるのか?!

「給食停止騒動」の発端となった三次高校など4校の場合について、平川理恵教育長や知事与党の県議らは「ホーユーが悪い。県(県教委)も被害者」というニュアンスで発言をしておられました。

とある知事与党の県議は「ホーユーが『べらぼうに安い』価格で落札したのがいけない」と筆者に繰り返しておられました。

「しかし、そんな安い値段で契約したのは県(実務的には県教委、各高校)ですよね?」と筆者が食い下がっても、県には責任がない、という趣旨のことを繰り返されるばかりで取り付く島もありませんでした。

しかし、県は、それこそホーユーより『べらぼうに安い』価格で西条農業高校においては、ホーユーとは別の会社と契約をしていたのです。そして、県議会もそういう状況を是として毎年、湯崎英彦知事が提案した予算案を可決し、決算を認定してきたわけです。

それでよく被害者面ができるな、と筆者は呆れてモノも言えません。

直接的に生徒に迷惑をかけたのはホーユーであるのは事実です。労働者にも給料が行き渡っているという状況でもない。対労働者という意味でもホーユーは加害者だ。しかし、県(湯崎英彦知事、平川教育長、そして議会)もホーユーや、ホーユーよりはるかに安い価格で入札した業者と契約しているのだから、言葉は悪いですが、共同共謀正犯の加害者ではないですか? そう申し上げたいのです。県内の70代の自営業者も『あれはどうみても業者が気の毒だった』とおっしゃいます。

◆やはり最低制限価格制度でないとだめだ

なお、2019年度―2021年度の西条農業高校の給食が36万円で落札された「事件」の際には一応、問題がないかどうか調査はしたそうです。三次など4高校の給食をホーユーが1800万円で落札した時も同様に調査しました。広島県の場合、予定価格の70%を割った場合には調査を行う『低価格入札調査制度』を取っています。しかし、問題なし、ということで、契約をしてしまったのです。調査に当たった県職員=筆者の元同僚の諸君には「君たちの目は節穴か?!」と一喝したい。しかし、西条農業高校の36万円「事件」のあと、一応、同校では価格以外の要素も入札に加味する総合評価落札方式を導入しました。やはり「36万円」は余りに安すぎるということはわかっていたからです。

しかし、それでも不十分でした。一定価格を下回ったら失格にする。そうした「最低制限価格制度」にしないと、結局、ホーユーや、ホーユーの前に西条農業高校で36万円で入札した業者のようなことが起きる。最低制限価格制度にしないということは、県がホーユーのようなことが起きてもかまわないと考えているということです。

筆者が仮に広島県知事であれば最低制限価格制度の導入、さらには公契約条例を断行したいと考えています。また、そもそも、給食調理を外部委託し、さらにそのコストを引き下げてきたことを問題としなければなりません。今回の事件は公共の縮小が招いたのです。財源など、それこそ、この間、問題となってきた平川理恵・県教育長による県外のお友達のNPO法人・企業や赤木かん子氏への異常な優遇を止めれば良いのです。


◎[参考動画]【リストを調査】公立小図書館の「必備図書」にある著書が1割を占める 専門家は「特定の著者に偏ることには疑問がある」(2023/03/14 HOME広島ニュース)

◆もっと「食」に重きを置く日本、広島へ議論深めよ

岸田総理におかれても、ホーユー破産で自衛隊の食堂が止まったことに危機感を感じていただきたい。高いミサイルばかり買ってメシがない、など全くシャレになっていません。犠牲者の多くが戦病死という名の餓死者だった第二次世界大戦の教訓も全く生きていないと言わざるを得ません。

また、一方で、食材費の値上がりというホーユー倒産の引き金については、これは日本の30%台、広島の21%という異常な食料自給率の低さも背景にあります。コスト削減のあまり食を軽視してきた日本、そして広島の政治の在り方。このことも国民的、県民的に議論を深めていかなければならないのではないでしょうか?


◎[参考動画]広島瀬戸内新聞ニュース号外9月27日号 ホーユーの40分の1以下で給食を落札した業者がいた!(2023/09/27 さとうしゅういち)

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年10月号

広島県知事の湯崎英彦さん。平和記念式典での挨拶はそれなりに素晴らしい。県政については詳しく事情をご存じ一部の左翼の方でもすっかり湯崎さんに心酔しておられた方もいらっしゃいます。だが、特に4期目に入り、暴走ぶりは目に余るものがあります。

そして、その弊害がいま、噴出しています。知事が独断で決めたような肝いり事業、そして、肝いり人事の失敗は明らかになりつつあります。そして、それにもかかわらず、ストップがかからない。ここが問題です。特に、「教育」ではそれが目に余ります。米山隆一元新潟県知事の言葉をお借りすれば「万辞に値する」状況です。

◆知事肝いり、平川教育長の醜態

何度もお伝えしていますが、平川理恵・教育長は湯崎知事が2018年に一本釣りしてきた方です。当初は、マスコミも平川教育長を改革者として天まで持ち上げていました。

しかし、現実には、人員不足で苦しんでいる現場をさらに振り回した挙句、京都や大阪の企業・NPO、東京の作家など、お友達のお金儲けのための事業をわざわざつくる(官製談合事件)など、お粗末なものでした。挙句の果てに、ご自身の疑惑調査のために県費で弁護士に大金を支払う始末です。

そもそも、人脈をお金儲けのために使うのは当然である経済界の思考のままのリクルート出身の平川氏を教育長に任命し、数々の不祥事が明らかになった今も罷免しない湯崎知事の責任は重大です。ここまでくると罷免できないのはなにか後ろ暗い理由が知事にあるのではないか?と疑ってしまうほどです。

 

公立大学法人 叡啓大学(日の丸が前に立っているビル)

◆叡啓大学定員割れ

知事肝いり事業の一つが、公立大学法人叡啓大学です。広島駅近くに2021年度に開設されました。同大学は廃校になった私立大学を「居抜き」する形で「22世紀型大学」としてスタートしました。しかし、2023年、設置3年目で入学希望者が定員を割ってしまいました。また、留学生も伸びず、予 定に届きませんでした。

広島県は全国でも最悪クラスの人口流出県です。そもそも、私立大学が廃校になるような状況で、新たに大学をつくっても、その轍を踏むのは目に見えていました。

留学生受け入れと言っても、いまや、世界中に競争相手の大学が多くあります。日本で一定程度、世界の中で地位が確立しているのは東大と京大くらいです。しかも、ご承知の通り、東大も京大も昔に比べればずいぶんとランクは落ちています。そんな状況で留学生を目当てにしても成功しないのは当たり前です。

こうした中、兵庫県が既存の県立大学に 3 年以上住んでいる兵庫県民を対象に大学院まで所得制限なしで完全 無償化をすると発表しました。もちろん、兵庫県の斉藤知事は維新の吉村大阪府知事の元腹心で、新自由主義的な方です。それでも、広島県のように新しい大学をわざわざつくるよりはマシです。

◆中高一貫・叡智学園、いじめ被害者が転校

瀬戸内海に浮かぶ大崎上島には、やはり知事と平川教育長の肝いりで、中高一貫の叡智学園が2019年度から開校しました。グローバルな人材を育てる!という触れ込みでした。

ところが、開口早々、いじめ事件が発生しました。新品の下着を被せられるというひどい事件です。そして、なんと、被害者の方が転校に追い込まれたというのです。

平川教育長は、ハラスメントを許さないということを就任当初おっしゃっていたのにこの有様。しかも、転校したのは被害者。グローバルどころか、日本的な結末です。

そもそも、グローバルな人材育成を公立学校でやるのが妥当なのか? 理念自体は立派だが、それは私立学校か、あるいは国策として国立でやるべき範疇ではないのか?そもそも、グローバルな人材を育成したら、県費で育成した人材が広島から出て行ってしまいますけど、それでいいのでしょうか?

様々な疑問点があったのですが、当時も今も知事に批判的な県議もほとんどいない中、ほぼフリーパスで通ってしまいました。

こんな学校をつくるくらいなら、広島県内では全国同様、正規の先生が足りずに困っているのだから、正規の先生を増やすなどすべきではなかったでしょうか?

「叡智学園や叡啓大学を廃校にし、談合や浪費に明け暮れる平川教育長をクビにして浮いたお金を一般校や小規模校のためにまわすべし」(60代女性)というご意見は正論です。

◆ショボすぎる給食業者支援策

一方、こうした中、既報の通り、給食会社「ホーユー」破綻で広島県立・広島市立高校でも給食が停止し、大混乱となっています。

同社社長の複数のマスコミへのコメントが事実とすれば、広島では給食の落札価格は全国相場の半分だった、とのことです。同社は県などに単価の引き上げを求めたそうですが、けんもほろろな対応だったそうです。

なお、「物価高騰に伴う支援制度を利用すればよかったではないか?」という指摘もありますが県の支援制度を紹介されたそうですが、これは使い物になりません。一食当たり30円の補助です。卵価格を筆頭に原材料がまさに暴騰し、労働者の賃金も引き上げなければならない中で、30円くらい補助されても雀の涙です。従業員に係る負担が増えるだけです。

抜本的に単価を引き上げるとともに、労働者も生活できるような賃金を保障するなど入札制度改革(公契約条例も含めて)をすべきです。そもそも、なんでもかんでも民間委託が正しかったのか?そこの検証が必要です。

◆あきらめず、現知事・無投票県議への対抗馬を ── ヒロシマ庶民革命をいまこそ

こうした 暴走する湯崎知事(と平川教育長)の特に教育行政。県議会もチェック機能を失っている中でどうすればいいのか?

すでに、平川教育長については住民有志が訴訟で無駄遣いをしたお金を県に返すよう求めています。

また、給食停止騒ぎは県議会も直撃しました。なんと県議会も「ホーユー」の運営だったそうです。「ホーユー事件」で自分たちの昼食が消えたことで、議員たちの目も覚めれば、と思います。ガツンと声を上げていくしかない。

その上で、今の湯崎知事の県政を根本から変えることです。知事への庶民派の対抗馬をつくること。そして、県議選でも無投票の選挙区に現職への庶民派の対抗馬を出すことです。

筆者は2025年11月の広島県知事選挙へ向け、「あなたの手に政治を取り戻し、広島の水と食べ物、福祉・介護・医療、教育、住まい、交通、そして働くあなたを守る「ヒロシマ庶民革命」」を呼び掛けています。県民や現場で苦しむ人々を苦しめる湯崎英彦知事と平川理恵教育長から、広島県政を取り戻す。そのために、広島県知事選に手を上げたい方、また広島県議選に手を上げたい方は筆者までご連絡いただければ幸いです。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年10月号

食料危機と言えば、つい最近までは、戦前の「娘身売り」とか、戦中~戦後すぐの戦況悪化・敗戦に伴うもの、くらいのイメージを持たれていた方も多いのではないでしょうか?

筆者の父親(広島県福山市生まれ)はぎりぎり戦前(対米英戦争開戦前)生まれで、小学生時代くらいまで、結構厳しかったようなことは聞いています。母親(福島県出身)は団塊の世代末期で、そこまで厳しい状況は聞いていませんが、同級生の中にそれなりの割合で厳しい暮らしの家庭もあったと聞いています。

ただ、今の60歳以下の人の圧倒的多数はそうはいっても、日本が栄えていた時代しか経験していないわけです。

食うに困ると言っても、例えばシングルマザーのご家庭、またお父さんの会社がつぶれたとか、「運が悪い人」に限定されていたイメージがあります。いわゆる企業内福祉の恩恵が健在でした。もちろん、当時の仕組みと表裏一体の男尊女卑、性別役割分業固定化の問題は現在にも悪影響を及ぼしており、もちろん決して軽視できませんが、そのころはそれでも「一億総中流」と言われたことをご記憶の方も多いでしょう。

◆1990年代後半から貧困進むもまだ物価低く

雲行きが怪しくなったのは、1990年代半ばくらいからです。まず、1994年頃から女子から就職難に直面したのを筆者も記憶しています。東大さえも、女子の先輩が就職に苦戦する状況を目の当たりにし筆者は「このままでは21世紀には大変なことになる。」と直感したのを記憶しています。

就職氷河期世代が社会人になった1990年代後半、さらには小泉純一郎さんや当時の広島県知事が正規労働者を公務・民間問わず減らしまくった2000年代になると、非正規で生活が苦しいという人たちが筆者の同世代でも多くあらわれるようになりました。それでも、00年代は、物価が非常に安かった上、親がまだそれなりに豊かな人も多く、親に援助してもらいながら、低価格の食料品・消耗品で食いつなぐ、という人も結構おられました。しかし、そうした縁を持たない人の中から「おにぎりが食べたい」と餓死した男性など、貧困問題が深刻化していました。

民主党政権は、貧困の広がりに危機感を持った多くの有権者に支えられ、2007年参院選、2009年衆院選と圧勝し、政権交代を実現しました。ところが、ご承知の通り、すぐに失望を招き、安倍晋三さんに政権を奪還されてしまいます。安倍時代、金融緩和は行われたものの、非正規労働者ばかりを増やす流れにはストップがかからず、また人々の懐を潤す形での財政出動もなかった(ロシアやアメリカ、お友達にはばらまいたが)ため、多くの労働者の賃金は改善しませんでした。

◆低賃金と物価高の併存で危機が一挙に中間層まで

そうこうするうちに、日本経済は、国際的な比較で地盤沈下が進行。このことを背景に円安が進み(短期的には金利差が理由ですが、中長期には日本の地盤沈下が円安を固定化)し、ロシアのウクライナ侵攻も背景に物価上昇は留まるところを知らないのはご承知の通りです。

また、1980年代後半から1990年代前半の円高を背景に「日本は、食料は海外から買えばいい」という甘い考えが広がっていました。食料安全保障が全く顧みられてきませんでした。歴代政権の緊縮財政もその傾向に拍車をかけました。このため、輸入食料価格が上昇したからといって、国内供給がすぐには増えない状況に現在あります。

そして、コロナ禍による多くの御家庭での減収がこの3年ほど深刻になりました。その後も、いわゆる中間層のご家庭でも、収入が伸びていません。正社員でも物価高で実質的な可処分所得が減少する。住宅ローンはそうはいっても固定で払わないといけない。そういう中で、子どもの食事にしわ寄せが行く状況が生じています。

広島市はまだですが、全国の各自治体では給食の無料化がようやく進みつつあります。しかし、夏休みは給食がありません。そこで、子どもたちにとっての食料危機が深刻化しています。もちろん、自治体によっては、学童保育でも宅配弁当を活用するなどして、昼食を提供する動きも出ています。ただし、広島市はまだです。

◆子ども食堂がいよいよ地元でもスタート

1960年代以降ではおそらく最悪ともいえる状況の中、広島市・安佐南区祇園でも「子ども食堂」が7月2日、いよいよスタートしました。

子ども食堂は、2012年頃から広がり始めました。現在では、子どもはもちろん、大人も含む地域の住民に栄養バランスの取れた食事はもちろん、居場所を提供するものとして、いまや全国に広がっています。2022年秋現在で、7731か所あるとされています。

今回スタートしたのは「子ども食堂 キッズ☆庵」。

「シェアリンク広島」が協力し、鉄板焼き居酒屋・じゅげむ(広島市安佐南区祇園2-2-2)で行われました。

シェアリンク広島 https://sites.google.com/view/share-link

次回は8月5日(土)12時~14時ですが、以降は第一日曜日の12時に開催される予定です。連絡先はシェアリンク広島代表の井原さん(080-4553-4454)。

メニューはお好み焼きです。料金は小学生100円、中・高校生 200円、大人 300円です。

また、シェアリンク広島が毎月第四日曜日に西区大芝集会所で行っている物資提供会とも共通した取り組みも行っています。具体的には、パンやお好み焼きソース、もみじ饅頭の配布なども行っています。子ども向けのゲームコーナーやカラオケ、生活お困り相談コーナーも開設しました。

この日は、シェアリンク広島だけでなく、「じゅげむ」の普段からのお客様もボランティアとして参加されました。正直、宣伝が十分はできていませんでした。それでも、大人も含めて10人以上の方が2時間余りの開催時間中にお見えになりました。カラオケのマイクを握って楽しんでおられるお子さんもおられました。生活お困り相談については本社社主・さとうしゅういちが担当させていただきました。

コロナで閉じこもりがちになった高齢者のことなど、ご相談をいただきました。一人で抱え込まずに、ご相談いただければ、少しでも考えるヒントはご提供できるかもしれません。お気軽にご相談ください。

「じゅげむ」店主の池脇律子さんは「今後、課題も多くある中、ゆっくりとしたペースで、少しでも多くの子供さんを始め、皆さんにお集まり頂ける場としての「きっず庵」を目指して頑張ります」と意気込みを語っておられました。ただし、8月は5日(土)に開催します。


子ども食堂 きっず☆庵
8月5日(土) 12時~14時
場所 鉄板居酒屋 じゅげむ
広島市安佐南区祇園2-2-2(古市橋駅から南へ徒歩5分)
メニュー ミニお好み焼き弁当
小学生 100円 中高校生 200円 大人 300円

駐車場はないので、クルマでご来場の場合はコインパーキングなどをご利用ください。
この他、カラオケ、お困りごと相談があります。お気軽にお立ち寄りください。

また、広島市北部ではフードバンクあいあいねっと様が、食料配布を月二回程度行っております。
こちらでも食料配布と同時にお困りごと相談などをされています。
https://aiainet.org/

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年8月号

『紙の爆弾』と『季節』──今こそ鹿砦社の雑誌を定期購読で!

度々ご報告している通り、広島県教育長は腐りきっていますが、広島市教育委員会も暴走が止まりません。

ひとつは、「はだしのゲン」を小学生の平和教育の教材から削除するということです。

もうひとつは、同じように中学生の平和教育の教材から「第五福竜丸」を削除するということです。

 

故・中沢啓治さん(写真右、2011年8月6日撮影)

◆はだしのゲン削除強行

はだしのゲンは故・中沢啓治さんの不朽の名作です。現状では、広島市では小学校三年生の平和教材として使われています。これに対して、広島市教委は削除をすることを決定してしまいました。これに対して、被爆者団体からは相次いで削除に対して抗議の声が上がりました。

広島市教委も、結局、被爆者団体に対して、子どもたちがいつでも読めるようにするという趣旨の回答をせざるを得ない状況に追い込まれました。しかし、平和教材から削除されたのは残念です。

他人の池の鯉を盗むシーンについても、戦争というものが人々の暮らしを壊してしまうということをよく伝えていると思います。そのあたりは、きちんと先生が説明すれば、子どもたちが誤解するということはないと思います。

◆「はだしのゲン」削除は、教育委員会の暴走だった

平和教材の変更は、有識者による改訂会議を経てされた、とされています。しかし、真相は違うようです。日本共産党の近松議員は「有識者の改訂会議の議事録を読んだだけでは、はだしのゲンを削除する理由はみあたらない」と質問(13:21から)。しかし、13:50からの当局は、「教育委員会職務権限で決めた」と答弁しています。有識者の議論ではなく、当局が一方的に提案し、一方的に決めたのです。

◆第五福竜丸抜きには反核平和運動の歴史は語れぬ

1954年3月1日にアメリカが太平洋のビキニ環礁で行った水爆実験で多数の船舶や地元住民がヒバク。特に第五福竜丸の乗組員の久保山愛吉さんが亡くなったことで当時の日本人に衝撃を与えました。杉並区の主婦らの運動を契機に原水爆禁止運動が盛り上がり、1955年8月6日の第一回原水爆禁世界大会につながっていきます。

もちろん、ヒバクしたのは第五福竜丸だけではなく、高知県など多くの漁船がヒバクしました。そして、地元住民も多数ヒバクしました。従って、この水爆実験を第五福竜丸事件と呼んでしまうのは筆者にはためらわれますし、反核平和運動でも「ビキニデー」という言い方をします。だが、だからといって、第五福竜丸を削除してしまっては、反核平和運動の歴史の流れが意味不明になってしまいます。たとえは不適切かもしれませんが徳川家康の名前を知らないで江戸時代の歴史を学ぶのと同じような話です。

◆第五福竜丸も有識者会議とは全く相容れぬ

筆者の友人が入手した「第2回平和教育プログラム改訂会議 構成員発言内容概要」(2021年2月19日)の会議録には、次のような発言が載っています。この発言内容と、「削除」は、まったく相容れないのではないでしょうか。

▼中学校長の発言
「第五福竜丸の部分なのですが、単に被爆したということだけが載っています。さらに、指導案の方にも、被爆した、としか書かれていません。生徒にとっては、そんなことがあったのかということがピンとくるのか、こないのか、よくわからないところがあります。そこで、当時の船の記録が残っていると思うのですが、指導案の方にも、そういった資料を少しでも載せておけば、授業される先生方にとってよいのかなと思います。もちろん、本文に入ればよいのですが、難しいのであれば、補助資料として指導資料の方に載せておいてほしいと思います」

▼事務局説明(中学校)
「ありがとうございます。検討します」

▼(名前・肩書は黒塗り)
「第五福竜丸のことは歴史的に見ると他のいろいろなことに影響を及ばしたことなので、そういったことも入れながら、ということも検討していただきたいと思います」

このようなやりとりの結果が、なぜ「削除」という結論になるのでしょうか。さっぱりわかりません。

◆対米従属で暴走・迷走する総理への忖度か?

筆者は、市教委はどうも、地元選出の岸田総理に忖度しているのではないか?と思ってしまいます。実際に、知事の湯崎さんも市長の松井さんも地元選出の総理には忖度しまくりの雰囲気がビンビンに伝わってくるからです。

いま、地元選出の岸田総理の暴走・迷走が全国の皆様にご迷惑をおかけしています。このことを心からお詫び申し上げます。ロシアのウクライナ侵略に悪乗りした軍事費倍増・そのための大増税への暴走。そして、安全保障環境が危ないと言いながら有事に標的になりかねない原発は増やすという。低すぎる食料自給率にもほとんど無策。そんな迷走。

地元・広島でのG7サミットを目前に控えた岸田総理。アメリカの下請けをすることで、いわば「名誉白人」扱いしてもらっていい気になっているだけのようにも思えます。この点では、イランなどとの外交もそれなりに重視していた安倍晋三さんよりも酷いのです。

増やした軍事費で買った武器も実際には、アメリカに指揮権が実質的にはあるという有様。こうした中で、広島湾では、初めて、アメリカ軍の大型艦を使った大規模な米日共同軍事演習が行われました。

そのタイミングでの「はだしのゲン」「第五福竜丸」削除です。アメリカに都合が悪いことを削ろうというのではないか?

しかし、もし、筆者の危惧するような忖度だとしたら、逆に、その意図とは逆に、「はだしのゲン」や「第五福竜丸」に注目を集めてしまったのではないかとも思うのです。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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国際化の波が日本にも押し寄せている。ビジネスの世界でも政治の世界でも、国境の感覚が薄れ始めている。その中で浮上しているのが、コミュニケーションの問題である。世界の人口80億人のうち、日本語を話す人口はわずかに1億3000万人程度である。日本語は、グローバル化の中で生き残ることできるのか。

語学教育はどうあるべきなのか。国際化にどう対処すべきなのか。海外で長年にわたって日本語教育に取り組み、牧師でもある江原有輝子氏に、異文化とコミュニケーションの体験について話をうかがった。[聞き手・構成=黒薮哲哉]

◆世界の5か国で日本語を指導

── 海外で日本語を教えるようになるまでの経歴を教えてください。

 

江原有輝子(えはら・ゆきこ)氏

江原 わたしは早稲田大学の文学部を卒業した後、福武書店に入社して教育教材などの編集の仕事に就きました。しかし当時は、女性は結婚したら退職は当然というような社風があり、「この会社には長くはいられない」と思いました。そこで転職を考え、当時、国際交流基金と日本語教育学会がタイアップして設置していた日本語教師養成講座を受講するようになりました。1年目は日本語教育の基礎を学び、2年目には大使館の外国人職員などを対象とした教育実習を行いました。そして1988年に国際交流基金から派遣されて、メキシコシティーへ行きました。

希望する渡航先をきかれ、わたしは「どの国でもいい」と答えました。するとメキシコシティーへ行くように言われたのです。同市にある日墨文化学院(Instituto Cultural Mexicano Japones)で1991年まで日本語教育に従事し、いろいろなレベルのクラスを教えました。これが日本語教師としてのキャリアの始まりです。

── メキシコはスペイン語圏ですが、スペイン語は話せたのでしょうか。

江原 話せませんでした。最初は、午前中はメキシコ国立自治大学(Universidad Nacional Autonoma de Mexico)にある外国人のためのスペイン語講座に通い、午後から夜の9時まで日墨文化学院で仕事をしました。ハードな日程が裏目にでて途中で体調を崩したりもしました。

── 91年にメキシコから日本に帰国された後はどうされましたか?

 

メキシコ大学院大学(出典:ウィキペディア)

江原 お茶の水女子大学の修士課程(日本言語文化専攻)に入学しました。そこで第二言語習得の観点から日本語教育を学びました。在学中にメキシコ外務省の奨学金を得て、1年間メキシコシティーにあるメキシコ大学院大学(El Colegio de Mexico)に留学しました。この大学院で、自分が研究対象にしていたメキシコ人による日本語に関するデータを収集しました。たとえばどのようなレベルの日本語学習者がどのような語学上の誤りを犯す傾向があるかといったことを調べるために、外国人が書いた日本語の作文などを資料として収集しました。

日本語も教えました。日本研究をしている大学院生が7、8人いて、そのうちのひとりはコロンビアの人でした。もうひとりは確かキューバの人だったと思います。ラテンアメリカで修士レベルの日本研究ができるのは、おそらくメキシコ大学院大学だけでした。

── メキシコの次はどの国で日本語を教えましたか?

江原 お茶の水女子大学の修士課程を終えた後、国際交流基金の派遣で今度はドイツへ行きました。さらにその後、ニュージーランドとオーストラリアへ赴任し、政府機関で日本語アドバイザーとして働きました。さらに2019年5月からパラグアイへ行きました。これは国際交流基金の派遣ではなく、日本基督教団の宣教師として派遣されました。ピラポという日本人移住地にある教会の牧師として赴任したのです。日本語は、1年間だけピラポ日本語学校で教えました。

◆言語の違いと異文化

── 江原さんは外国語でコミュニケーションをされてきた期間が長いわけですが、それが自分の日本語力にどのような影響を及ぼしましたか?

江原 わたしの場合、メキシコへ行って初めてスペイン語を学んだわけです。その後、日本に帰ってきた時に、友人たちから以前に比べて話し方が分かりやすくなったと言われました。メキシコへ行く前、日本語でコミュニケーションしているときは、はっきりと要件や主張を伝えなくても分かってもらえる部分がありました。このあたりまで伝えれば相手は、わたしが言いたいことを察してくれると。

しかし、スペイン語はわたしにとっては外国語ですから、限られた語彙や表現で、相手に自分の意図を正確に伝える必要性が生じました。たとえば、水道屋さんに「水が漏れているから修理してほしい」という意思を伝える場合、はっきりと要件を言って、自分が相手に希望することが実現するように、説明しなければなりません。限られたボキャブラリーで、どう言えば相手が分かってくれるかということをいつも考えながら、話していました。その結果、日本語で話すときも、「こういったら分かってくれる」とか、「こういう言い方をした方がいいかも知れない」ということを常に考えながら話すようになりました。

外国人に日本語を教えるときも、限られた語彙で、どう表現すれば相手を理解させることができるかを考えなければなりません。普通の日本人を相手にするように話しても通じません。どういう言い方をすれば、相手は理解できるかを常に考えました。

◆幼児に対する外国語教育、指導者側の問題

── 早期からの外国語教育についてどう思いますか? 幼児期から英語を教えるべきだという考えと、まずは国語を十分に勉強すべきだという考えがありますが。

 

早期英語教育をPRするウェブサイト

江原 中途半端に英語を勉強した日本人の先生が、小学校で英語を教えるのはやめたほうがいいと思います。本当に子どもをバイリンガルにしたいのであれば、外国にいるような環境を準備する必要があります。日常生活の半分ぐらいを英語にする必要があります。それができるのであれば、幼時から子供を英語の環境に置いたほうがいいと思います。

日本語は特殊な言語なので、英語をちゃんと身に着けておくことは大切ですが、だからといって小学生を相手に不正確な発音で、「one, two, threeとか、red, white, yellow」などとやるぐらいなら、むしろなにもしない方がいいと思います。誤った発音を覚えてしまうと、矯正するのにかえって時間と苦労が必要になるからです。

この問題は日本以外の国にもあります。たとえばニュージーランドは、日本と違って小学校とセカンダリー(中学+高校)の教育制度になっており、セカンダリーでは外国語を教えるのが普通です。わたしが2000年にウェリントンに赴任したころは、生徒には5つの外国語の選択肢がありました。日本語、中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語です。ひとつの学校で全部を教えることはできないので、学校によって教える外国語が異なります。生徒も、自分が選択を希望する外国語のクラスがあるセカンダリーに進学します。

当時、ニュージーランドでは、教育省が小学校からの外国語教育を奨励していました。しかし、特に日本語の場合は教師の資質の問題がありました。フランス語とドイツ語はもともと学校で教えていた言語なので、ある程度、レベルの高い先生がいます。日本語がブームになってきたので、教育省は教える方針を打ち出しましたが、学生時代に日本語を勉強した教師はいませんでした。そこで、「日本語なんか分からなくても教えられるわよ」というような考えの人が、小学校教師を対象とした教え方の教材を制作したのです。

その教材は、「ひらがな」は難しいので、教えなくてもいいことになっていました。ローマ字で代用すればいいとされていました。それが教育省の方針だったのです。そこでわたしと、もう一人の日本人アドバイザーが、「こういうやり方ではだめです」とアドバイスしました。

限りなく日本語の知識がゼロに近い先生が、学校で「イチ、ニイ、サン」とか、「ワタシノ ナマエハ……」といったことをやるわけです。これは日本でよくある幼児を対象にした英語教室とよく似ています。

小学校でこうした教え方をしていると、「変な発音」や「変な表現」が身についてしまうので、本格的に言語の習得を始めたとき、それを矯正するのが大変です。その役割を担うセカンダリーの日本語教師にとっては迷惑なことです。

こうした観点から考えると、日本の小学校で中途半端に英語を教えるのはよくないと思います。不正確な発音や自己流の表現で、たとえばゲームをやるとそれが身についてしまい却ってマイナスになる。後年、矯正するのに大変な手間がかかります。

── 外国語を学ぶときは、最初が肝心だということでしょうか?

江原 はい。わたしはメキシコへ行くまでは、スペイン語をまったく勉強したことがありませんでした。ゼロだったわけです。そしてゼロからメキシコ人にスペイン語を習った。そうするとある時から、同じスペイン語でも、メキシコ人が話すスペイン語と、それ以外のスペイン語国圏の人が話すスペイン語との違いがはっきりと分かるようになりました。

ところが、英語に関しては、わたしは英語圏で7、8年生活しましたが、最初は米語と英語の違いを聞き分けられなかった。その原因は、日本の学校で受けた英語教育により、わたしの耳が「つぶれていた」からだと思うのです。間違った発音を身に付けていたからだと思います。

◆言語の背景にある文化的な土台の衰弱

── パラグアイの日系2世、3世の日本語はどんなレベルなのでしょうか?

江原 パラグアイのピラポへの移住は約60年前に始まりました。1世は今70代から80代です。1世は日本語しか話しません。家の中では、孫とも日本語だけで話します。ですから2世、3世の日本語力は、非常に高いレベルの人が多いです。わたしはそこで1年間、日本語を教えましたが、3分の2ぐらいの生徒は日本の義務教育で使われている国語の教科書をそれぞれの学年で教えることができるレベルでした。

子供たちは、月曜日から金曜日までは、現地の学校へ通学してスペイン語で学び、土曜日には日本語学校にきて日本語を勉強します。日本語学校では、当然、すべての場で日本語を使います。職員会議も日本語でやる。先生は2世と3世の日系人で、日本人はわたしだけでした。

多くの日系人がかなり高いレベルの日本語を使うことができます。しかし、日本文化についての知識は十分ではありません。たとえば森鴎外や夏目漱石は知っているが、太宰治などは名前すら知らない。日本文化のある部分が欠落しているのです。もちろん古文などは読んでいません。そこに何か欠落したものを感じました。教科書を使って問題なく日本語を教えることはできますが、言葉の背景となっている部分の知識が浅くなっているように感じました。

これに対して、日本で育った日本人は、日本についての十分な知識があり、その土台の上に言語が乗っています。ピラポでは、その土台の部分が浅くなっているのではないかと思います。2世、3世の方々ですから当然といえば当然ですが、世代を重ねるごとに土台の部分がさらに脆弱になり、日本語力も徐々に落ちていくのではないかと推測します。そして最後には、現地の公用語であるスペイン語だけになるのだと思います。日本語は消えるわけです。それが他国の日系人に起こったことです。隣国ブラジルには150万人の日系人がいると言われていますが、日本語を話す人はほとんどいません。

◆国際言語ではない日本語

── 日本語の普及は必要だと思いますか?

江原 わたしは、日本語はあまり役に立たない言語だと感じています。日本語を教える仕事は楽しいですが、もしわたしが日本人でなかったら、日本語を勉強しなかったと思います。第一に漢字の習得が大変です。数が多い上に、読み方がたくさんある。音読みと訓読みがあり、それを組み合わせると読み方も変化します。こうしたことを全部覚えて、本を読むのは大変なことです。日本語は、話すことに関してはそれほど難しくはありませんが、読み書きで日本人並みのレベルになるのはとても大変です。学習する外国語としては、非常にハードルが高いのが実態です。趣味でできるような言語ではありません。

これに対して、たとえば英語やスペイン語は、熱心に勉強すれば1年ぐらいで新聞が読めるようになります。頑張れば大学へも入学できます。少なくとも一定のレベルまでは到達できます。しかし、英語を母語とする人が、日本語の授業を聞いてノートを取り、日本語の参考文献を読むのは大変なことです。

── 海外へ出るとすれば、どの国を勧めますか?

江原 あえて言えばメキシコを勧めます。わたしは、自分が最初にメキシコへ行ったことは、非常に幸運だったと思っています。メキシコには、自分の想像とは異なった世界がありました。メキシコでは休日になると、かならず親族が集まってきて、一緒に時間を過ごします。日本にいる時には、「外国では大きくなると独立して親と別居する」と教えられましたが、「外国」と言っても、ラテンアメリカではそれは当てはまりません。

日本との文化の落差が大きな国へ行くと目が開かれて、学びが多いと思います。人生が大きく変わります。実際、わたしの人生はメキシコで変わりました。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

黒薮哲哉『禁煙ファシズム-横浜副流煙事件の記録』

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