本日の朝日朝刊を見て驚いた。19年前に「名誉毀損」に名を借りて私を逮捕、鹿砦社に壊滅的打撃を与えた岡田和生が、今度は脱税! 

朝日新聞(大阪本社版)2024年7月24日朝刊

実は岡田は以前も脱税で有罪判決を受けている。1981年、当時の金で1億円。

その後、岡田(と、この会社アルゼ=現ユニバーサル)はアメリカに進出しゲーム機の製造、販売を行うに至る。しかし、アメリカでは、有罪判決を受けた者にライセンスは許可しないという法律がある。にもかかわらず、アルゼは、そのことを秘匿しライセンスを得て来ていた。

その公聴会の記録、そして脱税事件の判決文を取得し、われわれは公益目的、公共性のもとに、これらを暴露したのだった。これまでマスコミタブーでメディアはどこも触れなかったのである。

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ライセンスを下し続けてきた米賭博規制局にも通告し、同局の係官は来日、われわれは弁護士立ち合いで面談に応じたのである。

危機感を持った岡田らは、事件を指揮し、のちに逮捕され失職する大坪弘道検事(当時、神戸地検特別刑事部長。のちに大阪地検特捜部長)らと組んでわれわれを嵌めたのだ! 

人を嵌めた者は、いつかは自らも嵌められることを実証した。”立派”な徒輩らに嵌められたものだ。地獄に堕ちろ! 

(松岡利康)

◎関連記事 松岡利康「名誉毀損」に名を借りた出版弾圧から19年 ─── 怒りを込めて振り返れ!(2024年7月12日デジタル鹿砦社通信)

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われわれにとって〈7・12〉という日は、決して忘れることができない屈辱のメモリアル・デーだ。

◆2005年の〈7・12〉に何が起きたのか? 

2005年7月12日、野球開催時以外は閑静な兵庫県西宮市甲子園の住宅街が突然、早朝から大騒ぎとなった。配達されたばかりの朝日新聞を持って母親が血相を変えて階段を上ってきて私を起こし、「あんたが逮捕されるよ」と叫んだ。朝日新聞(大阪本社版)の一面トップ、会社名と私の名は出されてはいないが、「出版社」が鹿砦社で「社長」が私だとすぐ判る。自分の逮捕を新聞報道で知るという奇妙な体験をした。

この日は朝から東京出張の日だった。このことは前週事情聴取の際に検事には言っていたので、これを見越して早朝から検察は動いた。やがて神戸地検の一団がピンポンと呼び鈴を鳴らす。「シャワーぐらい浴びさせろ」と言うほど少しは落ち着いていた。

朝日新聞(大阪本社版)2005年7月12日朝刊。松岡はこれを見てみずからの逮捕を知った。しばらくして神戸地検の一団が家宅捜索─松岡連行にやって来た。

同 夕刊。神戸地検と朝日大阪社会部が連携し周到に準備されたスクープだった。

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松岡逮捕後急遽発行された『紙の爆弾』2005年9月号

自宅の家宅捜索が始まった。すでに多くのマスコミ記者とカメラマンらが自宅、会社を取り囲むように集まってきた。次いで近くの事務所に同行、事務所の家宅捜索が始まった。検察が持ってきた箱が足りなくて事務所にあった宅急便用の袋まで使うほど多くの資料等を押収していった。

1972年の会社設立関係の貴重な資料も押収され、今に至るまで出てこない。家宅捜索の途中で神戸地検に連行され、そこで逮捕を宣告され手錠を掛けられた。手錠を掛けたのは主任検事、宮本健志。地元・西宮東高校から早稲田に進み検事になった男だ。事務所の家宅捜索の最中に会社関係者も駆けつけ、終了のサインをしたのは近くに住む経理の女性だった(今も勤めている)。同じ頃、東京支社にも家宅捜索が入った。

家宅捜索は他の関係先にも及び、さらに事情聴取は大株主(当時)、製本所、倉庫会社にも、そしてトーハン、日販、大阪屋(現楽天)など大手取次3社にも及び、これら3社社は簡単に応じ取引資料を提出している。日頃「言論・出版の自由」を守れと嘯くのなら断固拒絶して欲しかった。

そうして、昼前には神戸拘置所に移送、全裸にされケツの穴まで見られる“身体検査”後に独房に入れられた。今度は、くだんの逮捕劇をラジオ放送で聴いた ── 。この時点では、すぐに釈放されると安易に考え、まさか以後192日間も勾留されるとは思ってもいなかった。

『週刊朝日』2005年7月29日号。スキャンダリズムの大先輩、『噂の眞相』岡留安則編集長が怒りを込めて検察の横暴を弾劾!

山口組の本拠・神戸だが、当時の神戸拘置所にはヤクザの有名人はおらず、私逮捕のニュースは拘置所内に広まったようで、風呂などで私の房を通るクリカラモンモンの入った人に「頑張ってや」と激励されたこともあった。

松岡が勾留された神戸拘置所の在る神戸市北区ひよどりの紹介した朝日新聞2005年10月31日付け記事。偶然にも勾留中に掲載された。

保釈され、神戸拘置所の前に立つ(2006年1月20日夜)

神戸地検と連携して”官製スクープ”を仕組んだ朝日新聞大阪社会部・平賀拓哉記者。逃げ回らずに出てこい!

◆朝日・平賀拓哉記者は逃げずに私と会え!

朝日新聞大阪社会部・平賀拓哉記者は、この前に数度取材に訪れ、資料や本などを持ち帰った。オモテはわれわれの出版活動を「理解」しているかのように振る舞い、ウラでは神戸地検特別刑事部・宮本検事と連携し、いや“結託”と言ってもいいだろう、密に連絡を取り合い官製「スクープ」をものにした。

こういうことを、大阪高検公安部長の要職にあり検察の裏金を告発し逮捕された三井環氏によれば「風を吹かせる」ということだ。その後、平賀記者は中国瀋陽支局勤務となり連絡が取れなくなったが、ある冤罪事件の記事を署名入りで寄稿していたことを見つけ、数年前に大阪に戻ってきたことがわかり、恩讐を越えて何度も面談を申し入れたが、本人からではなく広報部からそっけない拒絶のメールがあった。こちらは人生一変したんだぜ、わかっとんのか!? メディア人として以前に一人の血の通った人間として対応すべきではないのか? 逃げ回らず出てきて話そうぜ!

この事件では、刑事裁判)神戸地裁‐大阪高裁)では懲役1年2月、執行猶予4年が確定、また民事訴訟では約600万円の賠償金が確定した。いずれも最高裁まで争ったが遺憾な結果になった。特に民事訴訟では、一審(東京地裁)300万円が控訴審(東京高裁)では倍額600万円になり最高裁で確定した。

一審判決を報じるテレビ画像

一審判決を傍聴した山口正紀さんのレポート(『週刊金曜日』2006年7月14日号)

言論弾圧は、日本で活動する外国人記者にも衝撃を与え記者会見に招かれた(2007年2月14日。東京有楽町・外国人記者クラブにて)

◆私を嵌めた者らに起きた“不幸”

この事件に蠢いた輩には、のちに「鹿砦社の祟りか、松岡の呪いか」と揶揄されるように相次いで“不幸”が訪れている。

まずは当時のアルゼの雇われ社長の警察キャリア・阿南一成は耐震偽装企業との不適切な関係により辞任に追い込まれている。

私に手錠を掛けた主任検事・宮本健志は、徳島地検次席検事として栄転していたが、深夜泥酔して暴れ降格、懲戒処分されている。

弾圧当時のアルゼ社長・阿南一成が耐震不正企業との不適切関係により辞任(朝日新聞2006年1月19日朝刊)。阿南は元中国管区警察局長→参議院議員を経てアルゼ社長に天下り、公判でも出廷し告発本による「被害」について述べた。

松岡に手錠を掛けた、地元出身の主任検事・宮本健志検事が、昇任にして赴任した徳島で泥酔して暴れ降格懲戒処分になった事件を報じる徳島新聞(2008年3月26日付け)

事件を指揮した、神戸地検特別刑事部長・大坪弘道は、厚労省郵便不正証拠隠滅事件で逮捕・失職している。しばらく浮浪人だったが、今は弁護士として活動している。加入を認めた大阪弁護士会の見識を疑う。

弾圧を指揮した大坪弘道検事逮捕を報じる朝日新聞(2012年10月2日付け朝刊)

カジノ建設を狙うユニバーサル(旧アルゼ)による比高官接待を報じる朝日新聞(2012年12月30日付け)

岡田逮捕を報じるロイター通信電子版(2018年8月6日付け)

そうして、アルゼ(現ユニバーサル)の創業者オーナーだった岡田和生、海外で逮捕され、みずからが作り育てた会社から放逐されている。

一時は高額納税者総合1位だったこともあるパチスロ長者だったが、今は実子らに裏切られ風前の灯だ。

事件の関係者に次々と不幸が訪れながら、事件10周年にはまだ岡田は逮捕も追放もされていなかったが、やはり悪いことはできないな。

フィリピンで政府高官に賄賂を贈ったりしてカジノホテル開業に向け精力的に活動している間に、東京の本社では息子や子飼いの雇われ社長、そして、あろうことか後妻らによってクーデターが画策され岡田は放逐される。

こうしたことから思うに、人を嵌めた者はみずからも嵌められるということだろう。

お天道様は見ている。「因果応報」とはよく言ったものだ。

クーデターによって、みずから育てた会社から放逐され愚痴る岡田(『週刊ポスト』2019年3月22日号)

一方われわれは、このかんは新型コロナで苦闘しているが、彼らが不幸に遭っている間にみなさん方と共に奇跡の復活を遂げた。誰もがもう復活はないとささやいていたそうだが(ひどいぞ! 苦笑)、愚直に本業に取り組んでいれば、必ず浮かぶ瀬がある ── 19年前の弾圧以上の事件は滅多にないだろうから、これを乗り越えたわれわれは、どのような困難をも乗り越えることができると信じている。勾留中は電話一本、メール一本、ファックス一枚もできなかったが、今はそれらは勿論できるし、自由に動き回ることができる。

[左上]弾圧10周年記念集会(2015年7月12日。地元・兵庫県西宮市)。[左下]弾圧10周年集会二次会。西宮冷蔵・水谷洋一社長が手配してくれた。[右]弾圧10周年記念集会に大学の後輩にして書家・龍一郎が贈ってくれた書

◆寄り添っていただいた、ジャーナリスト・山口正紀さん、主任弁護人・中道武美弁護士の死を悼む ──

この事件に対しては多くの方々に支えていただいた。特に、公判のたびに毎回東京から自費で傍聴に来られ秀逸な記事を最高裁決定が出るまで連続して『週刊金曜日』に書かれた山口正紀さん(一審判決後のレポートを先に掲載)、主任弁護人を務めていただいた中道武美弁護士(訃報記事掲載)が、20周年を待たずして相次いで亡くなられた。慎んでご冥福を祈り生前のご厚誼に感謝を申し上げたい。合掌

私も山口さんや中道弁護士が亡くなられた歳を過ぎたり過ぎようとしている。思うところも多い。来年20周年までにバカはバカなりに日々思慮しそれらを書き留めていきたい。(松岡利康)

主任弁護人・中道武美弁護士の訃報記事(『救援』2023年10月10日号)

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《7月のことば》人間 万事塞翁が馬(鹿砦社カレンダー2024より。龍一郎揮毫)

毎年7月は悔しさと怒りが想起される月です。

2005年7月12日早朝、神戸地検特別刑事部の一団が、兵庫県西宮市に在る甲子園球場の近くの私の自宅と、そこから徒歩数分の事務所を急襲しました。

あれからもう19年、来年で20年です。7月12日という日は、私にとっても鹿砦社にとっても屈辱の記念日です。怒りを込めて振り返れ!

この「名誉毀損」に名を借りた出版弾圧によって鹿砦社は壊滅的打撃を被りました。

松岡は逮捕され、以降192日間、神戸拘置所に勾留、いわゆる「人質司法」で何度も保釈請求は却下され、ようやく保釈されたのは年を越した2006年1月20日でした。

保釈されてもすでに本社、東京支社ともに撤去され、なんとか集めた50万円で東京千代田区三崎町に5坪の事務所を、旧友で不動産業のAさん(私が鹿砦社を引き継ぐ時の立会人)が手配し、ひとり中川志大で再出発しました(現在は同じビルの2室ぶち抜きで13坪を借りています)。本社も、倉庫としていたアパートの1室で、見えない明日を目指して歩み出しました。

しばらくは本当に辛い日々でした──。

しかし、生き残っていさえすればチャンスはやって来るものです。事件から4年後の2009年、実験的にわずか1000冊出した、ある本が一気にブレイク、次々とヒットが続きました。奇跡としか言いようがありません。翌年2010年には、もうダメだろうと思っていた甲子園復帰ができたのです。

突然の逮捕事件によって会社は壊滅的打撃を被るという悲劇が、その後の私たちの運命を変えました。そのまま沈んでしまうのではなく、奇跡(自分でもそう思います)の復活を遂げることができたのでした。

逮捕され壊滅的打撃を被った時は、これ以上の悲劇はないと思っていましたが、なんとか生き残り愚直に頑張っていれば必ず勝機は訪れる、ということを思い知りました。

まさに「人間 万事塞翁が馬」です。

その後、好況は続き、私も左団扇で後進に道を譲ろうとしていたところ、くだんの新型コロナ襲来、一気に奈落の底に落ちました。これもまた「塞翁が馬」、人生にはいろんなことがあるものです。

当初甘く構え、しばらくは持ちこたえていましたが、前代未聞の大混乱を惹き起こしました。いったん回復しつつも(昨年は黒字でした)、不安定で、今またもがいています。

思い返せば、けっこういろいろあったな、浮き沈みの激しい人生で、満身創痍、そのたびにみなさん方に助けていただき這い上がってこれました。

人も会社も苦境にあってこそ、その真価が問われます。

その人や会社に、まだ生き残る価値があるのならば、おそらく潰れないでしょう。

さあ、どうなることやら、勝機を掴むため、もうひと頑張りするしかありません。

Tomorrow is another.

(松岡利康)

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《6月のことば》まっすぐ生きろ 胸張って(鹿砦社カレンダー2024より。龍一郎揮毫)

6月に入りました。

速いもので今年もあっというまに5カ月が経ちました。

今夏もこれから猛暑のようですね。

大学の後輩で、魂の書家・龍一郎の書によって鹿砦社カレンダーを制作始めてもう13年になります。

当時、3・11東日本大震災に接し少しでも励まし、共に在るよとの意志表示のためでした。

爾来ずっと続けています。

まずは書店さんに配布、そして『紙の爆弾』や『季節』(前身の『NO NUKES voice』)の定期購読の方々へ配布、そして友人、知人へ配布し続けてきました。特に『季節』の寄稿者、定期購読者や関係者の方々は被災者の方も多く喜んでいただいております。

もちろんタダ!

好評で、「俺も欲しい」「私にも送って」との声があり、今では当初の倍ほどの部数になっています。

開始した頃は会社も好況で負担になりませんでした。

しかし、コロナによって不況になると正直負担になってきました。

「そろそろやめたら」と仰る方も少なくありません。

しかし、実際に、私も含め龍一郎の言葉に励まされるという方も多いです。後輩に励まされるというのも不本意といえば不本意(苦笑)ですが……。

特に今月の言葉のように短くスパッというものが好評ですしダイレクトに琴線に響きます。

おそらくカレンダーを受け取られたた少なからずの方々もそうだと思います。

「まっすぐ生きろ 胸張って」

(松岡利康)

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年6月号

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〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年春号 能登大震災と13年後の福島 地震列島に原発は不適切

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前田和男さんは鹿砦社創業メンバーの一人、現在ただ一人生き残っている方です。当時、創業時の社長・天野洋一(故人)らと『マルクス主義軍事論』などを編纂し、最近では『続全共闘白書』を編纂したことで有名です。

昨年前田さんは、『昭和 街場のはやり歌 ── 戦後日本の希みと躓きと祈りと災いと』を刊行、好評を博しました。このたび、その続編が刊行され届きました。

詳しい内容は省きますが、書店で手に取って、どうぞご購読お願いいたします! または、私への手紙(下記)の末尾に記された前田さんの事務所に直接ご注文ください。

鹿砦社 代表
松岡利康

前田和男『続昭和街場のはやり歌 ── 戦後日本の希(のぞ)みと躓(つまず)きと祈りと災いと』彩流社刊 A5判 240ページ 定価2420円〔税込み〕

前田和男さん(2019年、鹿砦社創業50年インタビューの時のもの)

本に挟まれた前田さんから松岡への手紙 ※書籍のご注文は、〒102-0072 東京都千代田区飯田橋4-10-1 セントラルプラザ507 同文社気付 Tel.03-5228-2140

朝日新聞2023年11月4日付け朝刊読書欄

《5月のことば》五月のやわらかい風とあたたかい緑に……(鹿砦社カレンダー2024より。龍一郎揮毫)

今年は逸早く夏が訪れた感がします。

おだやかで平和な季節です。

しかし、目を外に向けると、いまだに戦火は収まりません。

ウクライナ、パレスチナ・ガザ……

ところで、さすがに全米を揺るがしたベトナム反戦運動の歴史を持つアメリカでは、学生運動が拡大しつつあります。

その口火を切ったのはコロンビア大学。

われわれの世代には懐かしい大学名です。

そう、映画『いちご白書』の舞台になった大学です。これは1968年の同大学の学生運動をモチーフにした映画です。

映画は1970年6月米国封切り、日本では同年秋に公開されました。懐かしいな
あ。

さほどヒットしなかったとのことで、私は郷里の映画館で観た記憶がありますが、あまり観客は入っていなかった記憶があります。

主題歌は、バフィ・セントメリーの「サークル・ゲーム」ですが、こちらもあまりヒットしませんでした。

私はどちらも当時から知っていましたけどね。

映画も主題歌も、今また視聴したいものです。

日本では、のちに(1975年)旧姓・荒井由実が作りフォークデュオ「バンバン」が歌ってヒットした「『いちご白書』をもう一度」の名を出せば思い出される方も多いかと思います。むしろこちらのほうが有名で、この曲がヒットしたことで映画「いちご白書」も知られるようになったのではないでしょうか。

反戦運動は、コロンビア大学が口火を切り全米に拡がりつつあります。さらにはフランスにも飛び火したとのニュースを目にしました。日本では?

われわれの「いちご白書」を語ろう! 闘争勝利!

(松岡利康)

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去る4月21日午後、『人権と利権』編著者で「紙の爆弾」「デジタル鹿砦社通信」寄稿者の作家・森奈津子さんに対して殺害予告がSNSにてなされました。文中では「564」「始末します」「透明にする」など殺害するという意味の隠語を使っていますが、かえって不気味さを感じさせます。殺害予告は同時に滝本太郎弁護士にもなされています。両氏とも所轄の警察に相談しているとのことです。

当社としては、当然ながら著者を守るという観点から、断固弾劾するものです。

一部証拠をアップしておきますが、いくら意見が異なるからといって、こういう恫喝はいかなる理由があっても許せません。

◎殺害予告 https://twitter.com/ys5120230930433

翌22日は、「カウンター大学院生リンチ事件」(別称「しばき隊リンチ事件」)の主たる暴行犯・エル金こと金良平との期日(東京地裁立川支部。今回は非公開の電話会議。森さんと鹿砦社が被告。相手方代理人は神原元弁護士)、翌々日23日は森さんが共闘する「女性スペースを守る会」関係の訴訟(横浜地裁。森さんは支援者として傍聴。本件も相手方弁護士は神原元弁護士)の弁論が予定されていました。どちらの訴訟とも相手方はカウンター・しばき隊界隈の人物です。

これまでの経緯から推察するに殺害予告をしたのはカウンター・しばき隊に近いLGBT関係者(自称「保守オカマ」)と見なされますが、エル金こと金良平のケースもありますので、あえて公にし警鐘を鳴らす意味で皆様方にお知らせしておきます。大学院生リンチ事件では、加害者らの周辺の者たちによってSNSで激しい罵詈雑言が被害者に浴びられましたが、言葉だけでなく実際に物理的暴力が振るわれましたので、これを見てきた私たちとしては多大な危惧を覚え、事前抑制の意味でも皆様方に警鐘を鳴らすものです。

2件の訴訟の代理人を務める神原弁護士は、この事態をどう考えられるのでしょうか? 誰が見てもやってはいけない行為ですので、厳しく叱責していただきたいものです。こんなことをやっていれば、神原弁護士が往々にして嘯く「正義」が泣こうというものです。

まずは訴訟の当事者、また著者を守るべき出版社として満腔の怒りを込めて抗議しておきます。

以上

2024年4月24日 
株式会社鹿砦社 代表 
松岡利康

森奈津子編『人権と利権 「多様性」と排他性』

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◆ はじめに

今般、「エルネスト金(略称・エル金)」こと金(本田)良平(以下、金良平と記す)が原告になって、鹿砦社と森奈津子さんを「被告」として提訴してきた。

結論から言えば、金良平は自らの「プライバシー権」を主張する前に、金良平らの苛烈な暴行によって一研究者の卵の人生を台無しにしたことに対する真摯な謝罪を行うのが先決ではないのか、ということを、まずもって申し述べたい。そうではないだろうか?

◆[1]「株式会社鹿砦社」について

被告とされた当社株式会社鹿砦社(以下鹿砦社と記す)は1969年(昭和44年)創業、1972年(昭和47年)設立(法人化)され、1988年(昭和63年)に松岡利康(以下松岡と記す)が代表取締役に就任し現在に至っている。当初はロシア史関係の翻訳や社会科学系を中心に出版していたが、この時期にはロシアのノーベル賞受賞作家ボリス・パステルナークの『わが妹人生』も出している。

松岡が代表に就任後、幅広く芸能、サブカルチャーなど出版の領域を拡げていった。現在年間新刊80~90点ほど(2023年は80点)を発行している。これまでの出版総数は3000点余りになるものと思われる。数があまりにも多いので正確な出版総数が数えきれないほどだ。

昨年2023年、ジャニーズ事務所創業者による未成年性虐待を放映した英公共放送BBCのドキュメント映像によって、長年わが国芸能界を支配していたジャニーズ事務所が事実上崩壊したが、鹿砦社は、逸早く30年近く前の1995年以来、同事務所の横暴と創業者ジャニー喜多川による未成年性虐待を告発する出版物を数多く発行してきていた。ジャニーズ問題では鹿砦社にも取材協力要請があり、水面下で協力し高く評価された。

◆[2]金(本田)良平が主要に犯した大学院生集団リンチ事件について

 

リンチ直前の加害者たち(左から李信恵、金良平、伊藤大介)

本件は、単に金良平の過去の犯歴を暴露しただけではなく、金良平や李信恵らが犯した非人間的で残忍な大学院生集団リンチ事件(俗にいう「しばき隊リンチ事件」)と無関係ではありえない。

このリンチ事件は2014年師走に関西屈指の歓楽街、大阪北新地で金良平らによって起こされた。しかし、金良平ら周辺の者たち、あるいは彼につながる者らによって隠蔽され、一般に知られることはなかった。マスメディアも報じなかった。加害者の中に、「反差別」の旗手のようにマスメディアに持て囃されてきた者(李信恵)がおり、こうした者が集団リンチ事件に連座していたことが明るみになれば不都合だからだと推認される。

しかし、事件から1年有余後の2016年はじめに、鹿砦社が5年に渡り地元・兵庫県西宮市で市民向けに開催していたゼミナールの参加者から金良平らによる、大学院生(当時)M君に対する集団リンチ事件の情報を聞き、孤立無援なので支援を要請され、提示されたリンチ直後の写真に大変ショックを受けた。その後しばらくして、本リンチ事件を憂う在日コリアンのSNS記事においてリンチの前と後のМ君の顔写真を発信されたが、リンチの前と後の、あまりもの違いに驚いた。

さらに、М君が必死に録音した音声データに驚いた。リンチ関連書籍第4弾『カウンターと暴力の病理』にCDを付けているので、ぜひ、ご視聴いただきたい。その余りもの非人間的、非人道的、反人権的様に驚愕した。血の通った人間ならば、おそらく驚くだろう。このリンチ事件において主要に暴行を働いたのが金良平なのだ。

私たちは、かつての学生運動や社会運動内における、いわゆる暴力的な「内ゲバ」で、時に死者を出し、運動の解体に至ったという痛苦な体験と反省から、この国の社会運動にあって暴力は排除されたと認識していた。松岡は学生時代、のちにノーベル賞を受賞するに至る作家の甥っ子で同じ学部の先輩が師走の早朝、反対派に襲撃され、激しい暴行を受け一時は医者も見放す重傷を負うという経験を有している(幸い奇跡的に回復した)。また、その後、松岡自身も襲撃され重傷を負い入院した。さらに、これらを前後して2人の先輩活動家が監禁、リンチされ亡くなっている。集団暴力の被害者として、こうしたことが過った。私が徹底して社会運動内部における「内ゲバ」や暴力を嫌悪するのは、こうした直接的体験に基づいている。

本件リンチ事件について当初、半信半疑であったところ、もし虚偽であれば即撤退するつもりだったが、調査と取材を進めるうちに厳とした事実だと判明し、支援を決め、また更なる調査と取材を進めた。金良平の代理人・神原元弁護士は、従来から本リンチ事件を「でっち上げ」と喧伝するが、「でっち上げ」でも「街角の小さな喧嘩」(訴状4ページ)でもないのである。

マスメディアが意図的に報じなかったり、金良平ら加害者につながる者らの隠蔽活動により「社会的事件として話題になることは」(同)なかったかもしれないが、加害者の中に、いわゆる「反差別」運動の旗手とされ、多数のメディアで持て囃されてきた者(李信恵)がいて、多くの政治家、ジャーナリスト、作家らによって隠蔽されながらも、真実は極めて公共性、公益性そして社会性のある事件だったし、だからこそ、こぞって隠蔽を図り、被害者を村八分にしたりネットリンチにかけたりし、リンチ被害者М君を精神的に追い込んでいったのだ。ぜひ、私たちが地を這うような調査・取材の元に編纂し発行した出版物をしっかりと読んでいただきたく願う。たかが「街角の小さな喧嘩」に50有余年の歴史を持つ出版社が6冊も出版物を編纂・発行するわけがない。

リンチ事件でほとんどの暴力を働いた張本人・金良平によって提訴された本件訴訟で私たちがまずもって主張したいのは、この集団リンチによって、被害者のМ君は肉体的にも精神的にも多大な痛手を被り(M君を診断した著名な精神科医・野田正彰医師による「精神鑑定書」に簡潔に記されている)、事実上研究者の道を断念せざるを得なかったことだ。つまり、金良平や李信恵らによる集団リンチによって若き研究者の人生を狂わせられたのだ。金良平や李信恵が日頃叫ぶ「人権」とは何だ?

私たちは、法的問題、あるいは金良平の「プライバシー権」云々よりも、金良平ら加害者の激しい暴力によって、一人の若き研究者の人生を狂わせたことを、金良平は今、どう考えているのか問い質したい。今回の金良平による提訴によって被告とされた私たちが最も憤慨したのはこのことなのだ。いくら法的に「解決」した、賠償金を支払ったからといって、金良平が主要になした暴行・暴力・傷害行為によって与えられた肉体的、精神的被害は、精神科医・野田正彰医師が「精神鑑定書」で指摘しているように、金良平ら集団リンチの加害者たちの誠実な謝罪なしにはなんら解決しないのである。ましてや、金良平は、М君に「謝罪文」を送り、暴力的な「反差別」運動を「自粛」することを約束したが、これを一方的に反故にし、いまだに相変わらず「反差別」運動の現場に出て相手方を威嚇する活動を継続している。

M君は、私たちの叱咤激励により、博士課程はなんとか修了したものの、博士論文は遂に書けなかった。書ける精神状態でもなかった。ある大学からの求人があり、この条件が博士論文だったのだが、遂に書けず就職を断念せざるをえなかった。

「釈迦に説法」かもしれないが、法というものが生身の人間の利益に則るためにあるのならば、端た金で済む話ではなく(M君に与えられた賠償金は、常識的に見て不当に低額だった)、真摯な反省と謝罪を基本にしたものでなければならないということは言うまでもない。しかし、金良平にそれを垣間見ることはできない。真摯な反省と謝罪の念があるのなら、「謝罪文」を反故にしたりはしないだろう。

私たちは、М君が金良平や李信恵らを訴えた訴訟の経過と結果などを含め、これらの内容を6冊のムック本として世に報告した。さらに逸早く本リンチ事件に言及していた田中宏和の著書も刊行した。

残念ながら大阪簡易裁判所・地方裁判所・高等裁判所は、この集団リンチ事件に対して被害者の肉体的、精神的な被害について本質的に理解せず、「一般人の感受性を基準にして」も常識外の雀の涙の低額の罰金(賠償金)を課したにすぎなかった。事件の概略としては、野田医師の上記「精神鑑定書」が分かりやすいが、М君や関係者のプライバシーに触れる部分も多く全文を転載することはできない(一部を3月15日付け本通信に引用した)。

今般、裁判所には、こうした経緯を理解された上で、本件訴訟を審理されることを心より望む。

◆[3]金良平の「前科情報の公開」について

 

金良平による恫喝ツイート

一般に「前科情報の公開」はみだりになされるべきでないことは私たちも出版人として十分に認識している。しかし、金良平も引用しているように(訴状4ページ、最高裁判所第3小法廷平成6年2月8日判決)、「その公表が許されるべき場合もある」のだ。

また、金良平の事件「後の生活状況」はいかなるものであったのだろうか。定職に就いて、罰金や賠償金の支払いのために作ったと思われる借金を計画的に返済してきているのか。本件訴訟の住所は神原弁護士の事務所が記されているが、かつて訴訟に記した住所が駐車場だったこともある。その後、きちんとした居住地を定め、そこで「新たな生活環境を形成していた事実」とはいかなるものなのか。私たちが聞くところでは、あまり芳しくないものである。もっとも、きちんとした「生活環境を形成していた」のであれば、女性で、身障者の夫を持つ森奈津子さんに対する心無い悪罵、誹謗中傷、脅しなど行わないだろう。

さらに、金良平、および金良平代理人・神原元弁護士らは、将来ある学徒の人生を狂わせた集団リンチを「街角の小さな喧嘩にすぎない」などと嘯く。「街角の小さな喧嘩」に、いやしくも創業50年有余の出版社が関連出版物6点も発行するわけがない。

特に、集団リンチ事件が、マスメディアで頻繁に登場したり好意的に紹介されたりする、「反差別」「人権」を標榜する「カウンター」と称する運動のリーダーや中心的活動家によって起こされ、さらにこの運動には多くの著名人が関わっていることを顧みれば、決して「街角の小さな喧嘩」などではなく、極めて公共性、公益性、社会性のある問題であることは言うまでもない。

大学院生М君に対する集団リンチ事件を、なぜかマスメディアは、それこそ庶民の「街角の小さな喧嘩」や暴力団のささいな犯罪などどんどん報じるのに、ついこの前までのジャニーズの問題同様、なにか都合が悪いのか、頑なまでに報じることはなかった。ようやく、鹿砦社が、きちんとした紙の出版物で報じ始め、ネットで影響力を持っていた森奈津子さんも続きSNSで報じ始め、一定知られることとなった。紙の媒体は鹿砦社以外にはなかったが、ネットでは他にも語られ始め、これに対しては金良平やこの代理人・神原元弁護士ら、彼らにつながる者らによって、暴力・暴言を用い執拗に威嚇したりネットリンチを行ったりして潰していったのだ。

 

街頭で凄む金良平

ほとんどの市民は弱い。そうした暴力・暴言によって、多くの人たちは黙ったり社会運動から去っていった。

しかしながら、私たちの言論活動は、少ないながらも心ある人たちに共感を持って受け入れられていき支持されていった。

このようにして金良平らによる集団リンチという蛮行が〈公知の事実〉として知られるようになった。また、金良平の通称「エル金」も暴力の権化として社会運動、市民運動内に広く知られ、これも〈公知の事実〉なのだ。

そうして、たとえ金良平らが不当に過小な罰金・賠償金を支払ったからといって、人ひとり、若い研究者の卵の一学徒の人生を狂わせておきながら、「プライバシー権の侵害」を声高に主張することに対しては違和感を覚えざるをえない。法というものは、市民や社会の利益に則ったものであるべきだ。いや、そうでなければならない。裁判所は、そうしたことを重々に考慮すべきだ。

かつて「エル金は友達」と言って、金良平を激励し、リンチ被害者М君を村八分にした、貴重な証拠。これに名を連ねた者たちは今、くだんのM君リンチ事件をどう考えるのか問い質したい。村八分は差別だ!

同上

◆[4]森奈津子さんについて

前記したように鹿砦社がМ君に対する、金良平らによる集団リンチ事件の被害者支援に関わり始めたのは2016年はじめだった。これに続き森奈津子さんも2017年頃に、このリンチ事件を批判するようになり、これを良く思わない者ら(つまり金良平につながる者ら)によって激しいネットリンチを加えられた。

マスメディアを味方にした金良平らにつらなる者らのほうが圧倒的に多勢で、私たちは少数派(マイノリティ)だった。

そういうこともあって、鹿砦社はホームページ上で日々発信している「デジタル鹿砦社通信」において森さんにインタビューし「今まさに!『しばき隊』から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さん」と題し6回連載した。ここから鹿砦社と森さんとの関係が出来、やはり本件に連座した一人、伊藤大介による別件暴行傷害事件直後に発行した『暴力・暴言型社会運動の終焉』にも森さんは寄稿された。考え方や思想は異なるが、社会運動(反差別、LGBTなど)内における暴力の排除ということでは一致している。

そうして、金良平による、森さんに対する暴言や攻撃が始まった。M君に対して、激しい暴力を加えた金良平の性格、熱しやすく何をするかわからない性格を顧みると、森さんに対し非常な危機感を覚えた。

私たちも面識のある小菅信子山梨学院大学教授は、金良平や代理人・神原元弁護士につながる者らによって激しいネットリンチを加えられ、その頃愛猫を殺された。また、作家・室井佑月さんは、やはり神原弁護士と懇意の者らとの議論、対立が過熱し、その頃自宅前に汚物が撒かれた。どちらも犯人は不明だが、偶然の一致というには不思議なことだ。

鹿砦社は一時、反原発運動で金良平らにつながる者らと共闘したり金銭的支援も行ってきたが、母子で韓国から研究に来ていた研究者、鄭玹汀(チョン・ヒョンジョン)さんという京都大学研修生(当時。現在は中国の大学で講師を務める)に対する苛烈なバッシング、過熱化したネットリンチ、更にはキャンパス内で威嚇もされたりしたことで完全決別した。偶然かもしれないが、3人共、金良平や彼の代理人・神原元弁護士につながりのある者らとの対立が背後にあるようだ。

森さんは、夫が重篤な障がい者で24時間看護している。昨年末から一時危篤状態にあった。

これまで、森さんと別件の訴訟で争った者(控訴審の相手方代理人は神原元弁護士)や仲間に無断で自宅周辺をうろつかれたことがあった。私は、そうしたことを見知っていることで、金良平によるネット攻撃を見た時に森さんの身辺に危険を覚えた。

ともかく金良平による森さんへの攻撃を止めさせねばならない。その一助として金良平の「略式命令書」を森さんに送ったのだ。

森さんはこれを公表した。以後、金良平による森さんへの攻撃はピタッとやんだ。裁判所にあっては、こうした深刻な事情を考慮すべきである。

◆ 終わりに

本件提訴は、非人間的な大学院生М君リンチ事件の主要暴行犯の金良平が、「プライバシー権の侵害」に名を借りた開き直りと断ぜざるをえないものだ。

私たちは、森さんの身の危険を避けるために、その一助として「略式命令書」を公開した。身障者の夫を持つ女性の身の安全を守ることが大事か、反省もなく相変わらず暴言や威嚇行為を続ける者の「プライバシー権の侵害」が大事か、答えは明瞭だろう。

上記の理由から、М君リンチ事件の主要暴行実行犯・金良平による「プライバシー権の侵害」に名を借りた本件提訴は直ちに棄却されるべきだ。

以上

■本件訴訟の係属裁判所は、これまではずっと大阪でしたが、東京地裁立川支部です。

原告(金良平)代理人は、‟しばき隊の守護神”神原元弁護士(神奈川弁護士会)、被告(鹿砦社、森奈津子)代理人は内藤隆弁護士(東京弁護士会)です。神原弁護士はみなさんご存知の通りですが、М君リンチ事件関係訴訟以来、まさに因縁の関係です。一方、わが方の代理人・内藤隆弁護士について少し紹介しておきます。

内藤弁護士は、かの『噂の眞相』弁護団、動労千葉弁護団などに関わり、鹿砦社としては、1996年、日本相撲協会から書籍『八百長』出版に対して東京地検特捜部に刑事告訴(不起訴)された際の弁護人を受任していただいて以来、対アルゼ民事訴訟などを受任いただいています。デモでの機動隊の暴虐を監視していた際に、あまりもの不当な弾圧に抗議し逮捕され日弁連が抗議声明を出すということもある、極めて正義感の強い先生です。

※上記記事は、被告とされた鹿砦社代表・松岡の陳述書(すでに提出済み)の草稿に加筆したものです。本文中、一部を除き敬称は略しています。

※※本件訴訟について、大学院生リンチ事件関係書、その他の鹿砦社発行書籍、『紙の爆弾』などのご購読によってご支援ください。フリーのカンパは停止します(フリーのカンパを望む方は森さんへどうぞ)。

郵便振替(01100-9-48334 口座名:株式会社鹿砦社)にて書名明記のうえご注文ください。送料はサービスです。

(松岡利康)

《関連過去記事カテゴリー》
 M君リンチ事件 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=62

Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B07CXC368T/
鹿砦社 http://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000541

竹中労の『タレント帝国』(1968年)は、わが国芸能界の暗部を抉ったとして伝説の書です。

しかし、長らく絶版状態でした。昨年ジャニーズ問題が起きたことで、臭覚の強い編集者が関心を持ち、このたび復刻出版を行いました。私がやりたかったぐらいです。うっかりしてました。

これを見ると、初代ジャニーズが渡辺プロに所属していたことが記載され(知らなかったです。以前に読んだ際に読み飛ばし記憶していませんでした)、本書旧版が出された頃にすでに未成年性虐待問題が起きています。

竹中労の著書としては『芸能人別帳』『ルポライター事始』(竹中労の著書は現在、ほとんど入手困難ですが、これら2書はなんとか入手できます)などと共に必読の書です。

故・竹中さんの著作権を引き継いでいらっしゃる夢幻工房の会が本書に寄せた解題を転載いたします。(松岡利康)

◇     ◇     ◇      ◇     ◇     ◇      ◇

50年以上の年月を経ても変わらない「芸能の論理」から現代を考える

 

竹中 労(たけなか ろう)1930年生まれ。91年死去。フリーのルポライターとして活躍。政治から芸能まで広い分野をテーマに、権威とは無縁な時代の心性を掘り起こす文章は、竹中節として多くの読者を魅了した。父親は画家の竹中英太郎。主な著書に『黒旗水滸伝』『山谷・都市反乱の原点』『琉球共和国』『世界赤軍』『ビートルズ・レポート』『にっぽん情哥行』等多数(写真は紙の爆弾2019年11月号増刊『一九六九年 混沌と狂騒の時代』より)

本書は1968年(昭和43年)に刊行され、復刻の要望も多かったものの、なかなか実現しませんでした。

その原因として、具体的な芸能プロの内幕やタレントのギャラについて、こと細かに書かれている点があります。

それについて、実に下世話な内容だと思う方もいるかも知れません。

ただ当時は、皆がこうした芸能プロの仕組みを知らず、ここまでデータを明らかにしなくては、当時の渡辺プロダクションおよびその関連企業の実情を理解しにくいと考えたことがあるのではと思われます。「今回の復刻にあたりましては、刊行時から相当時間が経過していることもあり、あくまで当時のデータとして、当時のことを知っている方は懐かしく、知らない方は当時の状況に思いを馳せながら読み進めていただければと思っております。

そんな中、2023年になってイギリスBBCのドキュメンタリー放送をきっかけとして、ジャニー喜多川氏の所属タレントに対しての行動が問題視され、思わぬところから当時の「ジャニーズ」に対する彼の行為を記録したこの本が注目されることになりました。

その内容は当時の記録として貴重ですが、本来この本で著者が訴えたかったことは「芸能における搾取の実態」と「スターという虚像の本質」が何であるか? ということにあることも、忘れないでいただきたいと思います。

この本が世に出てから55年という歳月が経過しているわけですが、今でも個人タレントの力が弱いという現状はそのままです。さらには、大手所属のタレントが不祥事を起こしてもマスコミは一切報じないとか、大手事務所がテレビ局に自前のタレントをねじ込み、他社所属タレントのキャスティングに文句を付け、それに反発すると、反発した人や対抗するタレント自体にも圧力をかけるような事例は、今でもあまり変わっていません。

本来、タレントとは才能ある人のことであり、そうした才能を持つ人が脚光を浴びるようになることがショービジネスの世界で当たり前でなくては、見る側も最高のエンターテイメントを楽しむことができなくなります。

イギリスでは有名なオーディション番組において、ポール・ポッツ氏やスーザン・ボイル氏が世界的な話題となりましたが、日本では同じフォーマットを使っても彼らのような才能を世に送り出すことは難しいのではないでしょうか。

明らかに才能を持っていてもそんな人を世に埋もれさせてしまうことなく、きちんと世の中に出してあげるためにはどうすればいいのか。イギリスと日本との「差」はどこにあるのか、本書を読んだ方ならきっと十分に理解していただけるのではないでしょうか。

また、本書の内容は、芸能の世界だけにとどまるものではありません。芸能人も私たちも同じように働き、賃金を得ているわけですが、それが中抜きされたり、きちんと払われなかったりした場合は同じように異議申し立てをする権利があります。それは一般の社会と変わることはありません。

さらに言うと、昔も今も政治家の力を利用して各方面に圧力を掛けてくるのは芸能プロだけではありません。当時の芸能マスコミを含め、関わった人たちが未だ口をつぐんでいる現状について、今も竹中労さんの問いかけが続いているからこそ、当時と同じような理不尽なことがあちこちで起こり続けているのではないでしょうか。
目の前の不正にどう対処するか、一人ひとりの考えが問われているのが今の時代ではないかと思うのです。

著者の竹中労さんはアナキストと称し、左翼として発言してきました。

今ではこうした「左」という言葉自体に反発を覚える方もいるかも知れませんが、才能のある人を世に出したり、労働者が法に則った賃金を要求することは思想とは関係なく、至極まっとうな話であることに異論を挟む余地はないはずです。

本書には言葉遣いなど、現代の判断において時代的に合わない部分もあるかと思いますが、著者がこの本で何を言いたかったのかを考えながら読んでいただければ幸いです。

夢幻工房の会

竹中労『復刻版 タレント帝国 芸能プロの内幕』(あけび書房)

復刻版 タレント帝国 芸能プロの内幕
著者・編者:竹中労

ジャニーズ性加害事件をいち早く告発した幻の作品。
政界とメディアと癒着した「芸能における搾取の実態」と
「スターという虚像の本質」へ迫る筆致は今もなお色あせない筆致で、56年ぶりに復刊。

発売日 2024年4月3日 四六判 248ページ
定価1980円(税込み) 版元 あけび書房

目次
芸能プロとは何か
ナベ・プロの戦後史
芸能界の「聖域」
繁栄の裏側
虚像を斬る
〈解題〉50年以上の年月を経ても変わらない「芸能の論理」から現代を考える

あけび書房 https://akebishobo.com/products/talent
amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4871542629

◇     ◇     ◇      ◇     ◇     ◇      ◇

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年5月号

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0CHF1Y6S1/

『サイゾー』2024年5月号(3月24日発売)で、ジャニーズ問題について作家の本橋信宏さんと対談を行いました。

3月20日付の本通信でその旨お知らせした際は、発売したばかりだったので一部掲載にとどめましたが、月が変わりましたので、全文掲載します。

また、本号の興味深い記事としては、大阪万博をめぐり、大﨑洋吉本興業前会長と作家の本間龍さんが、賛成・反対双方の立場から対談されています。賛成、あるいは反対だけの記事は万とありますが、直接両論戦わす対談記事は、ほとんど見たことがありません。貴重です。定価980円(税込み) 

(松岡利康)

[対談]元祖・ジャニーズに喧嘩を売った男たち ―― 本橋信宏×松岡利康

[対談]元祖・ジャニーズに喧嘩を売った男たち ―― 本橋信宏×松岡利康

サイゾー2024年5月号

鹿砦社編集部編『ジャニーズ帝国 60年の興亡』A5判 320ページ 定価1980円(税込み)

【主な内容】
Ⅰ 苦境に立たされるジャニーズ
  2023年はジャニーズ帝国崩壊の歴史的一年となった!
  文春以前(1990年代後半)の鹿砦社のジャニーズ告発出版
  文春vsジャニーズ裁判の記録(当時の記事復刻)
 [資料 国会議事録]国会で論議されたジャニーズの児童虐待

Ⅱ ジャニーズ60年史 その誕生、栄華、そして……
1 ジャニーズ・フォーリーブス時代 1958-1978
2 たのきん・少年隊・光GENJI時代 1979-1992
3 SMAP時代前期 1993-2003
4 SMAP時代後期 2004-2008
5 嵐・SMAPツートップ時代 2009-2014
6 世代交代、そしてジュリー時代へ 2015-2019
7 揺らぎ始めたジャニーズ 2020-2023

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315290/

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