決定を前に勝利を確信して語る宮内さん

5月20日、滋賀医大小線源講座で岡本圭生医師の治療を希望しながら、病院側の一方的な通告により岡本医師の手術を受けることができない、ハイリスク前立腺がん7名の患者さんと岡本医師が「治療妨害の禁止」を求め、大津地裁に仮処分を申し立てていた事件について、大津地裁(西岡繁泰靖裁判長)は、岡本医師の申立てを全面的に認める決定を下した。

患者さんと岡本医師には、代理人を通じて「(5月)20日に決定を出す」と5月17日に連絡が入っていたそうだ。

決定の発表を控えて申立人の宮内さんは、既に勝利を前提とした心境を明かしていた。

裁判所に入る宮内さんと鳥居さん

「たぶん常識的な判断を裁判所はしてくれると思います。でもこれで終わりじゃないんですよね。文字通り『同病相憐れむ』ではないですが、我々の後に患者になられる方が、ほとんど確実に治る治療を受けたくなるのが当たり前です。そのためには岡本先生に大学に残って頂いて後進を育てていただきたいです。これはまだ一里塚で本当のゴールは『岡本メソッド』が全国どこでも不安なく享受できる姿になるべきだと思います」

これまで滋賀医大問題では行政への申し入れや、街頭活動も当初は朝日新聞を除き大手メディアは一切無視。黒藪哲哉さんが参戦していただいたころからようやくマスコミの注目が集まり始めた。

あの頃を思い返すとわたし自身、妥当な決定を確信していたが、宮内さんよりも内心、最悪のケースへの懸念が抜けなかったのが正直な心境だ。

軽快な足取りで駆け出してくる宮内さんと鳥居さん

13時30分、弁護団と申し立て患者、鳥居さんと宮内さんが大津地裁に入った。

13時36分頃、裁判所内で決定書を受け取った鳥居さんと宮内さんが、裁判所玄関から正門へ向かい駆け出してきた。

二人は朗らかな表情で「待機患者の救済認められる!」のメッセージを裁判所の外で待つ患者会メンバーと、マスコミに掲げた。

「おめでとう!」の声と拍手が沸き起こった。鳥居さんは、決定内容への質問に対して「われわれ7人だけではなく、現在岡本先生の治療を受けて手術を希望している患者の11月までの手術も認められました!」と満面の笑顔で語った。

文字通りの完全勝利であった。

笑顔で勝利のメッセージを掲げる

「裁判所は病院に強い警告を発した」と解説する小原弁護士

16時30分から教育会館で岡本医師も参加し記者会見が開かれた。弁護団の石川賢治弁護士と小原弁護士が決定内容とその意義を解説した。

小原弁護士は、決定について、「岡本医師の申立てははほぼすべて認められた一方で患者側の訴えは却下ですが、内容を拝見しますと、患者も治療を受けられる結果に変わりはありません。したがって我々から見ると、『病院が医師の治療を制限した』措置に対して『そのような制限は許されない』と裁判所が、強い警告を導いたと理解しています。前例のないケースについて画期的な判断をしていただいたと理解しております。今回大津地裁の決定に対して深い敬意を表したいと思います。特に待機患者の方々は高リスクの前立腺がんを抱えた方々です。こうした人々の治療が放置されることに対して、裁判所としても強い警告を発したといっていいのかと思います。患者に寄り添った判断をしていただいたと思います。個人的な感想ですが最近の裁判所は、ともすると大きな組織に対してはその措置を覆すことに、ためらいがちだという印象を持っておりましたが、今回の大津地裁は果敢な判断をしていただき、きちっとした患者の立場に立った判断が行われたと考えております。大学あるいは病院に、是非要請したいことは、裁判所がメッセージとして発した『患者を第一に考える』を強く受け止めていただいて、是非この決定に対しては、異議の申し立て等をせず、すぐさま7月以降治療にとりかかれるよう強く要望したいと思います」と評価した。

決定への感想を述べる岡本医師

続いて岡本医師がコメントを求められた。

「今回私の治療を頼って、全国から来られている患者さんに対して、私の治療を認めるという判断が司法からなされたことで、前立腺癌で私を受診し治療を待望し、今や遅しと待って頂いている方にとって、大変ありがたい判断をしていただいたと思っております。担当医として裁判所の適正な判断に、心から敬意と感謝を表したいと思います。今回の仮処分においてわれわれが提起した問題はなにかということは、そもそも『医療とは誰のものなのか』。『医療とは誰のために行われるものか』という、根本的な問いであります。いうまでもなく医療は患者さんのために存在し、患者さんを救うために行われるべきです。医療を守っていく立場の人間の一人として、今回、医療の秩序を守るべき決定がなされたこと今後社会的にも大変重要な意義を持つのではないかと考えます。やはり医師の使命は『患者ファースト』であり『患者さんの命を救う』ことです。それが阻害される医療環境、あるいは教育機関であっては医療は立ち行かないと思います。これを機に医療の在り方を、メディアの方・社会もしっかり考えていただいて、あるべき姿に戻していただきたい、と強く望む次第です」と岡本医師は断言した。

喜びと覚悟を語る鳥居さん

続いて待機患者の鳥居さんが感想を述べた。

「今回こういう結果になって本当に喜んでおります。弁護士の先生方には深くお礼を申し上げたいです。それ以上に患者会の皆様。『待機患者のために』と本当にいろいろなことをしていただいたことに、頭が下がる思いでございます。ありがとうございました。皆様のおかげでこういう結果を勝ち取れたと思っています。ただ個人としては喜んでいますが、11月26日ということはそれ以降のことは、まだ未定なのでその点では心配しています。というのも非常に多くの方が岡本先生の治療を受けたいという声が上がっているからです。たくさん待っておられる方のことを考えると、これからが勝負のしどころ、と肝に銘じています。治療が終わって完治しましたら、今度は患者会の方々がわたしたちにしていただいた、それ以上の行動をして、前立腺がんで苦しんでいる患者のためにできることをしてゆきたいと思います」と将来への展望も含め感想を語った。

ついで宮内さんも「患者に寄り添った命令を出していただいた裁判所に感謝申し上げます。弁護団の先生方、マスコミの方々にもお力添えを頂き、同僚といったらおかしいですが、患者会の皆さんにも、自らの治療が終わっているにもかかわらず我々患者のために動いていただいたことを心から感謝申し上げます」と感謝の念を述べた。宮内さんは続いて、決定が出る前に伺ったの同様の内容とコメントした。

このニュースは関西地方で同日の夕刻、MBS、ABC、関西テレビ、琵琶湖テレビで放送された。ところがNHKテレビカメラの姿は、裁判所前にも、記者会見の席にもなかった。また、記者会見で京都滋賀に大きな力を持つ新聞の記者は、決定の意味を意図的に薄めようとしているかのような質問を発していた。

滋賀医大がこの決定を不服と判断すれば、法的には「仮処分異議」をおこなうことができる。しかし、その行為はすなはち「司法の判断を受けても、患者に治療をさせない=命の大切さを度外視する」ものであることは理解されよう。この決定が確定し、ごく当たり前に手術を受ける権利を持つ患者さんたちが、安心した健康を取り戻す日を切望せずにはいられない。弁護団、マスメディアの誰もが口にしていたが、歴史的な決定が出た一日であった。

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▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

5月10日、滋賀医大附属病院小線源講座岡本圭生特任教授が、同大学病院泌尿器科の河内明宏教授を相手取り「有印私文書偽造」の刑事告訴を大津市警察に行った。岡本医師は代理人を立て10日14時30分から16時頃まで大津市警察内で担当の係官に情況説明を行った。

2019年5月10日付ABCニュースより

※2019年5月10日付ABCニュース(動画あり)のURLへ

弁護団長の井戸弁護士(2019年4月9日)

同時に小線源治療講座患者であった5名が「FACT-P」(生活状態調査)の「私文書偽造」(改竄)を「被疑者不詳」で同時に大津市警察にやはり代理人を立て告発を行った。患者代理人の井戸謙一弁護士によると、「2件ともまだ正式な受理はされていないが、『上司、県警本部と相談して対応を検討する』という答えだった。2時間以上にわたり詳しく話を聞いてくれた」とのことである。

数々の問題が山積する滋賀医大附属病院問題は、いよいよ民事事件としてだけではなく、「刑事事件」としての歩みを前に進めそうだ。滋賀医大附属病院よ、その大半を占める良識に満ちた医療関係者の皆さん!もう「私は知らない」では許されない。滋賀医大附属病院の将来のために、患者のために、あなた方の奮起がいま求められている。

ちなみに岡本医師や「滋賀医大小線源患者会」には、さらなる追撃材料もあるとの情報もある。

岡本医師に今回の告訴についてのコメントを求めたところ「告訴については事実に基づいて弁護士の先生方にお願いしました。それだけです。私の使命は、目の前の患者さん、私の治療を希望される患者さんの治療を実現するだけだと思っています」とのことであった。


◎[参考動画]滋賀医大による癌治療の妨害 岡本医師の妨害阻止に向けた闘い(安江博2019/2/11)

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田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

タブーなきスキャンダリズム・マガジン『紙の爆弾』5・6月合併号【特集】現代日本の10大事態

4月9日16時30分から大津地裁で患者さん4名が滋賀医大病院附属病院泌尿器科の河内・成田両医師を相手取り「説明義務違反」により損害賠償を請求した民事訴訟と、岡本圭生医師の治療を望む「待機患者」7名と岡本医師が滋賀医大を相手取り「治療妨害の禁止」を求めた仮処分の審尋が大津地裁で同じ日に連続して行われた。

この訴訟と仮処分の日に患者会のメンバーは12時半頃から滋賀医大附属病院前で抗議のスタンディングを行った。患者会は昨年末に「岡本医師の治療継続」を求める署名活動を全国で展開し、短期間に2万8千筆を超える署名が集まった。3月13日署名の現物をもって厚労省、国会議員に嘆願・陳情を行った。それと相前後して病院前での「スタンディング」による抗議活動が始まっていた。冷え込みが強い今年の冬、早朝病院前での「スタンディング」は患者さんにとって、体力的にも厳しいに違いないが、毎回20名を超える参加者が集まり「抗議活動」が続けられてきた。

この日はこれまで最大規模の約35名が病院前に集まり、晴天ながらやや寒い風が吹く中約2時間にわたり、静かに大規模な抗議が展開された。抗議行動に音を上げたのか、病院の事務室ガラス窓は、途中からブラインドが下ろされる。これまでにはなかった病院の狼狽ぶりが観察できた。

約35名が病院前で約2時間にわたり、静かに大規模な抗議を展開した

患者会アドバイザーでフリージャーナリストの山口正紀さん

15時30分からは裁判所にほど近い大津駅前で集会が開かれた。患者会代表の惠さんが「きょうも晴天です。患者会の活動はきっと幸運に見守られているのでしょう」と挨拶をして集会がはじまった。患者会アドバイザーでフリージャーナリスト山口正紀さんが最初のスピーチにたった。

「3月13日厚労省への申し入れも取材しましたが、課長は 『違法行為が確認できないと動けない』というので『違法行為が確認できなくとも、異常なことが起こっていることはわかるだろう』と発言しました。翌日(3月14日)には病院のHPで『新たな小線源治療をはじめる』との告知がありましたが、なんとそれを担当するのは、いま説明義務違反で被告になっている成田医師だそうです。まったく施術の経験がない成田医師。研修を受けた、見学をしたから大丈夫と病院はいっていますが、驚くべきことです。わたしもガンと闘っていますが皆さん共に頑張りましょう」

山口氏はこの日スタンディングから記者会見までの始終を取材されていた。

待機患者の鳥居さん

続いて待機患者の鳥居さんが「わたしには心強い仲間が居ました。ご自身の治療は終わっているのに、手弁当で全国から集まってこられる先輩方の存在です。先日病院前のスタンディングに参加していたら『君は待機患者だろう。体を大切にしなさい。私が変わろう』と言葉をかけて頂きました」と名も知らぬ患者同士の結びつきにより支えられている患者会の運動についての感想を語った。

待機患者の宮内さん

同様に待機患者の宮内さんは「裁判所は常識的に『治療継続』との判断をしてくれると信じています。しかし目的はそれだけではありません。未来の患者にわれわれ同様『岡本メソッド』を受けられるようにする必要があります。そのためには岡本先生が大学に残り、後進の医師を育ててもらう必要があります。皆さん!がんばりましょう!」と元気な訴えを行った。

そのあと、提訴原告の大河内さんと患者会代表幹事で、街頭活動のリーダーが挨拶をし、頑張ろう三唱で集会は結びとなった。到底傍聴席には入りきれない80余名の集会参加者は裁判所前に移動し開廷をまった。

患者会のメンバーが、傍聴できないひとを裁判後、記者会見が行われる教育会館に誘導する。16時20分、傍聴席の扉が開いた。法廷の最後尾にテレビカメラが準備されている。この日の裁判は「冒頭撮影」がおこなわれることがわかった。社会的に注目の高い裁判に限り、テレビ局が裁判所に申請をすれば、代表撮影が2分間許される。

傍聴席には入りきれない80余名の集会参加者が裁判所前に移動し開廷をまった

いよいよ滋賀医大附属病院、泌尿器科を発信源とする問題の数々への注目が、本格的に広がりだしたことを示す証だろう。そういえば、この日病院前のスタンディングから、従来より継続取材と放送を続けているMBS(毎日放送)に加えてABC(朝日放送)の取材陣も新たにカメラを持って現れていた。

16時30分から予定通り「説明義務違反」の裁判が始まり、原告被告双方が準備書面の弁論を行い、参加人である岡本医師の代理人も準備書面を提出した(弁論)。原告側からは、証人として、塩田浩平滋賀医大学長、松末吉隆病院長、原告の申請がおこなわれたが、裁判長は被告に対して、再度の釈明(反論)を求め、被告が5月17日までに書面の提出を行い、次回期日は6月11日13時30分からと決まった。

弁護団長の井戸弁護士

引き続いて仮処分の審尋がおこなわれた。仮処分は非公開なので、傍聴席を埋めた患者会のメンバー取材陣は、記者会見が行われる、教育会館に移動した。仮処分の審尋はせいぜい15分から、長くとも30分程度と考え、記者会見は17時30分開始の予定であったが、記者会見がはじまったのは18時15分であった。

弁護団長の井戸弁護士が会見の遅れた理由などを説明した。井戸弁護士によると仮処分の審尋についての話し合いが長引き、5月中の結論を出せと要請しているが、和解のための期日が4月19日に設けられたとの説明があった。ただし、和解についてはデリケートな内容であり、申立人との確認が必要であることから詳細な説明はなされなかった。仮処分は、早くも決定的な局面を迎えることになった。

岡本医師が会場に現れ参加者に挨拶

記者会見終了後、岡本医師が会場に現れ参加者に挨拶をした。

「本日はお忙しい中、遠方からもお集まりいただきい誠にありがとうございました。私は本日も3名の方の治療を終えて駆け付けた次第であります。私自身、唯一の願いはなんとか待機患者さんを救えるように、また、まだ私の受診すらできず待っておられる患者さんを救いたい。そのことに頑張りたいその一念であります。さて私たちは患者さんの人権や人命を守るために一緒に闘っているわけです。しかし私たちが初めて闘いをしたわけではないことを最近知ることになりました。(中略)私はこの事件を知りとても勇気づけられました。私や私の待機患者さんには既に治療を終わられ、ひたすら利他の気持ちで患者さんを救いたい。なんとかそれに行動したいという多くの方がおられることに大変ありがたく思って居ることと、本当に誇りに思っております。2015年に泌尿器科の不当行為から原告を含める20数名の患者さんを救い出した時から、私の気持ちは一切変わっていません。私はこれまで通り命を懸けて待機されている前立腺がん患者の皆様を救えるように、これからも頑張っていきたいと思いますので、引き続きどうぞご支援のほどよろしくお願いいたします」

岡本医師の挨拶のあと、拍手が鳴りやまなかった。

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▼田所敏夫(たどころ としお)
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タブーなきスキャンダリズム・マガジン『紙の爆弾』5・6月合併号【特集】現代日本の10大事態

田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

滋賀医大小線源患者会(以下「患者会」)のメンバーが、3月27日午前9時30分頃から同病院正面玄関で抗議活動を行った。

同月21日にはMBS(毎日放送)が滋賀医大附属病院の問題を特集で放送した(以下URLで放送内容はご覧いただける)。https://www.mbs.jp/voice/special/archive/20190321/

患者会は放送翌日の22日にも抗議活動を行ったが、同日は病院の通報により駆け付けたパトロールカーが、「病院から迷惑行為だ」との通報が入っていることを患者会に告げ、患者会はその時点で抗議活動を打ち切った。従来、病院前での活動には警察に使用許可を出しており、「もういい加減に病院も、警察への通報はあきらめるだろう」と患者会のメンバーは考えていたが、MBSの放送翌日でもあり、病院側はとくに神経質になっていたようだ。

27日は好天で、あたたかく入れ替わりながら常時約20名のメンバーが抗議活動に参加した。

病院前で展開された抗議活動

抗議活動に参加した待機患者のご伴侶

この日も入院中の患者さんや、診察を受けに病院へやってた患者さんなども含め病院のなかと、出入りする車両に幟で岡本医師の治療継続を訴えた(この問題の詳細は過去の記事をご覧いただきたい)

入院中に抗議活動に参加して、低体温で体調を崩された元入院患者さんも、参加され「Aさん、こんどは熱中症で倒れんとってや」と仲間の患者さんから冗談も飛ぶが、笑顔の中にも真剣さが失われることはない。通常男性の姿が圧倒的に多い「患者会」の活動だが、この日は待機患者さんのご伴侶も抗議活動に参加されていた。

MBSでこの問題が放送され、滋賀県議会でも問題が取り上げられるなど、滋賀医大附属病院に向けられる、視線はますます広がりを見せているが、滋賀医大附属病の執行部と、泌尿器科は「暴走」を止める気配はない。同病院はHPで、

滋賀医大附属病院のHPより

と4月以降に同病院が小線源治療を2名の担当医によって行うと広報しているが、そのうちの1名は、現在患者4名に説明義務違反で訴えられている成田充弘医師(被告)であることを、病院は患者からの問い合わせに答えている。

成田医師は、小線源治療の経験がないにもかかわらず(一度見学したこと、研修会に出たことなどはあったそうだが、自らが手術をしたことはなかった)、そのことを患者に告げず、小線源治療を行おうとしたことにより、現在大津地裁に訴えられ、係争中の人物だ。

成田医師はその「事件」のあと小線源治療の経験を積んだのだろうか? 少なくとも滋賀医大附属病院の中ではその痕跡はない(実態として「ない」)。では他の病院で「執刀」して経験を積んだのだろうか。成田医師は滋賀医大附属病院の専任准教授であるから、常識的に他の病院で「患者に小線源療法を行うことはありえない」と医療関係者は異口同音に語る。

これから滋賀医大附属病院の泌尿器科で、小線源治療を受けようとしている患者さんたちは、同病院の担当医に詳しく説明を求める必要があろう。

それにしても「説明義務違反」で被告のみとなり係争中の人物を、あえて問題の中心に再び据える同病院、泌尿器科の神経がわからない。違法ではないかもしれないが「異常」であることは間違いない。

患者会の皆さんはそのような理不尽を無言ながら行動で、病院前で糾弾しているのである。

病院の中から見た様子

幟のメッセージも以前よりも強いトーンに変化した。

どう考えてもおかしい。病院が自分で暴走にブレーキを掛けられないから、患者さんたちが体をはって、暴走を止めようとしている。癌に苦しみ、あるいは快癒しても、どうして、こんな春の穏やかな日和に、朝から滋賀の田舎で抗議活動を行わなければならないのか。

繰り返すが、このような暴虐は、患者さんをないがしろにするものであると同時に、滋賀医大付属病院で、まじめに患者に向きあう、多くの医師をはじめとする医療関係者への冒涜でもある。絶対に許すことはできない。

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▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

衝撃月刊『紙の爆弾』4月号!

田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

滋賀医科大学医学部附属病院(以下、滋賀医科大病院)で岡本圭生医師による前立腺癌・小線源治療を受けた患者や治療の順番を待っている患者らでつくる小線源治療患者会(以下、患者会)のメンバー4人が、3月13日、国会議員と根本匠・厚生労働省に対して、それぞれ別個に2万8,189筆の署名と嘆願書を提出した。同病院が告知している岡本医師による小線源治療の中止を撤回させ、継続させる方向で、政界の支援と行政指導を求めた。

患者会が3ヶ月で集めた2万8,189筆の署名

本ウェブサイトで報じてきたように、滋賀医科大病院は、前立腺癌の治療で卓越した成果を上げてきた岡本医師による小線源治療を、今年の6月末で打ち切り、7月からは手術を受けた患者の経過観察だけに切り替える。新規の患者は受け付けない。そして今年一杯で前立腺癌小線源治療学講座そのものを廃止して、岡本医師を解雇する。

そのために岡本医師の治療を強く希望しながらも、順番遵守の原則で手術の予約ができない患者が増え続けている。すでに30名を超えている。手術を受けた患者も経過観察が受けられなくなる。患者会による今回の嘆願は、こうした事態の打開を求めて行われた。

嘆願メンバーの患者会、代表幹事・安江博さんは、次のように現在の異常事態を訴えた。

「一番問題なのは、滋賀医科大病院に対して他の病院から治療の依頼がきているにもかかわらず、治療を断り続けていることです。滋賀医科大病院には治療ができる岡本医師がいるし、施設もあります。治療を希望している患者さんがたくさんいるにもかかわらず治療を拒否しているのです」

紙の爆弾のグラビアを示し説明する安江さん

 

議員への陳情

◆死への秒読みの恐怖にたえる日々

岡本メソッドに最後の希望を託していながら治療予約のできない2人の前立腺癌患者も、みずからの胸中を議員や官僚に訴えた。このうち東京都在住の山口淳さんは、昨年10月に癌の診断を受けた。転移するリスクが極めて高い癌だった。

「医師に5年生存率を尋ねると、70%といわれました。最初、前立腺癌は慌てなくてもいい病気だと思っていましたが、調べていくうちにそうではないことが分かってきました。暗い気持になりました。将来のことを考えると眠れなくなり、食事もすすまなくなりました。体重が7キロ減りました。必死で治療できる医師を捜したところ、高リスクでも再発率が3%程度の治療をする病院があることを知ったのです。それが滋賀医科大病院でした。岡本先生による治療だったのです」

有名で人望に厚い医師なので、はたして初診を受けることができるかどうか山口さんは不安で一杯だった。しかし、メールを送ったところ、すぐに岡本医師から返信があり、11月に初診を受けることが決まった。

「その時は、本当にほっとしました。やっと死から脱出できると安堵したのです。食欲も、体重も戻りました」

ところがその後、2019年の6月以降は岡本医師の治療が廃止になると告げられた。一度は命拾いしたと確信したのに、無惨にも再び絶望の底へ突き落とされたのだ。
山口さんは、現在、別の病院でホルモン治療を受けながら、滋賀医科大病院が方針を見直すのを待っている。が、そのホルモン治療も2年ぐらいが限度だと言われている。死への秒読みが始まっているのである。

 

記者会見風景

◆「きちっと癌を治せる治療を受けさせて」

山口さんと同じく東京在住の木村明(仮名)さんも岡本メソッドを希望しながら手術予約ができない患者のひとりである。昨年の9月、4段階に分類される癌ステージの「2」に該当する中間リスクの癌と診断された。木村さんが言う。

「わたしの場合、高リスクではありませんが、確実に再発しないように癌を治したいという強い希望があり、いろいろインターネットを検索したところ、岡本医師の存在を知りました。岡本先生に直接メールを送り、10月に1回目の診察を受けました」

患者にとって治療後のQOL(生活の質)を度外視することはできない。たとえば前立腺癌の摘出手術を受けた場合、尿もれなどの後遺症が頻繁にみられる。癌そのものは征服できてもQOLのレベルが低くなることがあるのだ。木村さんは、QOLを重視して、岡本メソッドを求めたのだ。ところが予想外の展開になる。

「12月に2回目の診察を受けたときに、『申し訳ないが、自分が治療できるのは6月末までで、木村さんは間に合わなかった』と言われました。わたしだけではなく、ほかに何十人もそういう患者さんがいるとも言われました。初診すら病院側から拒否されている患者さんもいるとのことでした。6月で治療が中止になると、わたしも他の患者さんも困ります。きちっと癌を治せる治療を受けさせてほしいというのが願いです」

◆責任を問われるべきなのは泌尿器科の医師たち

滋賀医科大病院で、起きている異常実態の発端は、泌尿器科の医師による不適切な医療にある。2015年1月、同病院は岡本医師を特任教授とする小線源治療学講座とそれに併設する外来を開いた。ところが同講座を下部組織にすることを目論んだ泌尿器科が、岡本医師を頼ってきた患者の一部を泌尿器科に誘導。独自に小線源治療を計画し、手術の前段で不適切な医療を行ってしまった。医師らは、小線源治療の手術経験のない素人だった。

滋賀医科大の塩田浩平学長は、被害を受けた患者の治療を岡本医師に命じた。しかし、被害を受けた患者らは怒りが収まらずに告発の動きにでた。そこで患者の口を封じるために、病院は小線源治療学講座の終了と岡本医師の追放を計画したのである。本来、両者はまったく別の問題なのだが。

◆寒空の下の署名活動の果実

こうした実態について岡本医師の治療を受けた体験を持つ、原田勝一(仮名)さんは、次のように訴えた。

「本来、病院から排除されるべき人物は、不適切な医療を行った泌尿器科の教授らであって、被害にあつた患者さんを救った岡本先生ではありません。岡本先生こそ滋賀医科大病院に残って患者さんの治療を続けるべきですが、現実にはまったく逆で、泌尿器科の医師らはなんのお咎めも受けていません。患者を助けた岡本先生が逆に排除されようとしています。まったく非常識なことが滋賀医科大で起こっているのです。こうした滋賀医科大病院のやりかたに疑問を持った方がたくさんおられて、それが2万8,000筆を超える署名になったのです」

 

厚労省課長申し入れ

署名は患者が中心になって、寒空の下、3カ月という短期で集められた。駅頭などで街宣活動を繰り返し集めたのである。

署名と嘆願書を受け取った厚生労働省の北波孝・厚生労働省医政局総務課長は、「出来ることと出来ないことがありますが、 こういう嘆願があったことは滋賀医科大病院へ伝えます」と、約束した。

なお、厚生労働省への嘆願に先立って、参議院議員会館で行われた国会議員に対する嘆願では、次の国会議員の秘書が、患者会の4人に対応した。

こやり隆史・参議院議員(自民党)
足立信也・参議院議員(国民民主党)
山下芳生・参議院議員(共産党)
三ツ林裕也・衆議院議員(自民党)
櫻井 周・衆議院議員(立憲民主党)

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◎岡本医師のがん治療は希望の星! 救われる命が見捨てられる現実を私たちは許さない! 滋賀医大小線源治療患者会による1・12草津駅前集会とデモ行進報告(2019年1月14日)
◎滋賀医科大学 小線源治療患者会、集中行動を敢行!(2018年12月24日)
◎滋賀医大病院の岡本医師“追放”をめぐる『紙の爆弾』山口正紀レポートの衝撃(2018年12月13日)
◎滋賀医科大学医学部附属病院泌尿器科の河内、成田両医師を訴えた裁判、第二回期日は意外な展開に(2018年11月28日)
◎滋賀医科大学に仮処分の申し立てを行った岡本圭生医師の記者会見詳報(2018年11月18日)

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
フリーランスライター。メディア黒書(MEDIA KOKUSYO)の主宰者。「押し紙」問題、電磁波問題などを取材している。

衝撃月刊『紙の爆弾』4月号 前立腺がん患者による“史上初”の仮処分申立て 滋賀医大病院は治療を妨害するな!他

〈原発なき社会〉を目指す雑誌『NO NUKES voice』19号 総力特集〈3・11〉から八年 福島・いのちと放射能の未来

2月14日、滋賀医大附属病院前で、「滋賀医科大学小線源治療患者会」のメンバーが、雪の舞う寒い天候の中、「岡本圭生医師による治療の継続」を訴えて、のぼりや横断幕を掲げるマニフェスト(抗議活動)を敢行した。気温2度という、厳しい寒さの中、朝9時30分頃からメンバーは病院敷地の「外側」に集まり、下記写真のように病院に向けての示威行為を開始した。対象が病院だけに患者さんに迷惑が掛かってはならないので、音声を発することはしなかった。

 

 

 

9時45分頃、マスクをした職員らしき人物が現れた

9時45分頃、マスクをした職員らしき人物が病院の建物内から出てきて、様子を観察しだした。

この人物撮影していると「勝手にわたしの写真を撮らないでください」という。「あなたは国家公務員でしょ」と聞くと「そうですが、それが何か?」というので「職務中の国家公務員に肖像権はない」と伝えると、横にいたガードマンが「病院内での写真撮影は禁止です!」とまくしたてだした。「どこにそんな規則があるんですか。入院患者を見舞った家族や友人が一緒に写真を取ってはいけないのですか?」と切り返す。

職員がガードマンに下がるよう指示し、マスクをした職員は「私の写真のデータを消せ」とあたかも警察のような口の利き方をする。「そんな法的義務はない。不当要求には応じられない」と突っぱねるとやがて諦めて病院の建物に帰っていった。

 

10時10分、パトカーがやってきた

10時10分、病院が警察に通報したのであろう。パトカーがやってきた。

パトカーは緊急出動のパトランプは点灯していない。病院玄関前で数名の職員が「プラカードをつけた者がいたり、ああやってのぼりを上げたり妨害行為をしているんです」と警察官に申告している。

パトカーで病院にやってきた2名の警察官がスタンディングをしている「患者会」の皆さんのいる場所へやってきた。

しかし、患者会の誰も全く動じていない。どうしてか? この日の行動を計画したMさんは、「こうなるであろう」ことをあらかじめ予見して、先手を打っていたのだ。Mさんは早い時期に草津警察署に「道路使用許可」を申請し、許可を得ていたのだ。

「患者を患者とも思わぬ滋賀医大附属病院は、病院真近での直接行動を、嫌がるに違いない。スタンディングは何の違法行為でもないが、病院は必ず警察に通報するだろう。その時に道路使用許可を見せれば、警察も文句は言えまい」。

Mさんは市民運動の歴戦の闘士でもなく温厚な紳士だが、この読みは寸分なく的中した。事情を聴きに来た2名の警察官は滋賀医大附属病院最寄りのJR瀬田駅交番の巡査だった。道路許可を見せて納得した警察官は、「どうしてこの先生辞めはるんですか?」と「患者会」のメンバーに質問する。

「辞めるんじゃなくて病院が無理やり辞めさせようとしているから、わしら抗議してますんや。お巡りさんも男性やったら前立腺癌、他人事ちゃいまっせ。ここにおる者は岡本先生に命を救うてもろうた人ばかりです」

さらに警察官が「なんでそんな先生を辞めさそうとするんですか?」と「いい質問」をぶつけるので「さあ、それはわかりませんけど、一層こちらやなくて病院の中を捜査してもらえまへんか」と冗談交じりにお願いするメンバーに「いやちょっとそれは……」と困った表情を浮かべていた。

若い巡査は「いつも瀬田駅前でやってはるやつですよね」とこの問題への関心を口にしたので、メンバーが用意していた『紙の爆弾』3月号のグラビアを提供すると「ありがとうございます」と感謝されていた。

しばらくすると、別のパトカーがやってきた。滋賀医大附属病院は、正門の前が大津市と草津市の堺になっており、先に来た警察は大津市警察からの出動であったが、「患者会」メンバーがスタンディングを行っていた場所は草津市内であるので、草津警察がやってきたのだ。すでに道路使用許可を得ている「患者会」とりわけMさんは、ニコニコしながら「どうもどうも」と使用許可を提示し、穏やかな雰囲気で確認が行われた。わたしが「写真撮影をしてよいですか」と草津署の警察官に尋ねると「構いませんよ」とのことだった。

草津警察所の警察官に余裕の笑顔で警察に応対するMさん

草津警察も引き上げ、寒い中で皆さんひたすら立って抗議を続けていると、参加していた方のお一人が不調を訴えだした。実はこの日の抗議行動には、既に治療が終わった患者さんだけではなく、現在入院中の患者さんも数名参加していたのだ。そのうちのお一人が薄着過ぎたため低体温状態になってしまったのだ。脈をとってみると正常値だ。深刻な状態ではないだろうが、一刻も早く体を温めなければならない。メンバーが患者さんを病室に戻すべく車椅子を病院内にとりに行くと、病院職員がストレッチャーを用意してやってきた。その中の一人はわたしに「写真を撮るな」と迫った職員であったが、体調を悪くした患者さんへの彼の態度は(当たり前ではあるが)丁寧で、親切な対応であったことは記しておく。

入院中の患者さんも厳寒の中参加する病院前での抗議行動など、この国の歴史にあったであろうか。滋賀医大附属病院は、この日大きな衝撃に見舞われたに違いない。「患者会」の皆さんや「入院中の患者さん」までが、治療が受けられないかもしれない「待機患者さん」のために「命がけ」で闘っている。低体温で意識朦朧となりながらも厳寒の中で抗議に参加した「入院患者」さんの姿に直面して、あらためて、心が震える思いをさせられた。願わくば同じ人間として滋賀医大附属病院の皆さんにも「なにか」を感じてほしいものだ。

なお、滋賀医大附属病院問題については、Youtubeにも資料動画があるのでご覧いただきたい。


◎[参考動画]滋賀医大による癌治療の妨害: 岡本医師の妨害阻止に向けた闘い


◎[参考動画]癌患者の滋賀医大病院による治療妨害-阻止に向けて-


◎[参考動画]For Provisional Disposition to save patients(上記動画の英語編集版)


◎[参考動画]滋賀医科大学 倫理規定違反


◎[参考動画]滋賀医大診療予約停止

◎患者会のURL https://siga-kanjakai.syousengen.net/
◎ネット署名へもご協力を! http://ur0.link/OngR

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▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

衝撃の『紙の爆弾』3月号絶賛発売中!前立腺がん治療めぐり 滋賀医大病院 底なしの倫理欠如

田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

2月7日滋賀医大附属病院で岡本圭生医師による小線源治療を希望する、患者さん7名と岡本医師が大津地裁に「病院による治療妨害の禁止」を求める仮処分の申し立てを行った。「治療しますよ」と意欲を明かしている医師と、「治療をしてくれ」と求める患者を病院が「妨害」すること自体が、聞いたことのない話であるが、相次ぐ要請や行動にも滋賀医大附属病院は、まっとうな反応を示さないことから、ついに関係者は「仮処分」に打って出た。「滋賀医科大学小線源治療患者会」は治療を希望する患者さん(待機患者)を支援すべく、この日13時から大津駅前で集会を行い、申し立ての時間に合わせ、大津地裁正面前まで申し立て患者を先頭に、約100名が行進した。

 

 

弁護団長の井戸謙一弁護士

仮処分の申し立て終了後、滋賀教育会館で記者会見が行われた。冒頭、弁護団長の井戸謙一弁護士が仮処分申し立ての内容について説明と解説を行った。

「1時50分に大津地裁に仮処分申請を申し立て、受理されましたのでご報告させていただきます。『癌治療を受けさせて仮処分事件』というペーパーについて説明いたします。冒頭に『癌治療を受けさせて』というのは、私がこのペーパーを書くときに、なにかひとことで本質を現す言葉がないかなと考え、思いついた言葉です。申し立ての皆さんや他の弁護士の了承を得ているわけではございません。

この事件の申立人は滋賀医大附属病院小線源治療講座において、岡本医師の治療を待機中の難治性高リスク前立腺癌患者7名の方、北海道から広島まで広範囲に広がっております。そして岡本圭生特任教授の8名であります。相手方は国立大学法人滋賀医科大学です。何を求めているか、申し立ての趣旨を読み上げます。

債務者(滋賀医大附属病院)は債権者岡本圭生に対し、2019年7月1日から同年12月31日までの間において、債権者岡本圭生が滋賀医大附属病院において債権者患者7名ほか債権者岡本圭生が前立腺癌小線源治療の適応があると判断し、その同意を得た患者に対し、前立腺癌小線源治療の施術をすることを妨害してはならない。「妨害の禁止」を求めています。これが第一項。第二項は、債務者は、債権者患者7名に対し、2019年7月1日から同年12月31日までの間において、同債権者からが、滋賀医大附属病院において債権者岡本圭生から前立腺癌小線源治療を受けることを妨害してはならない。こちらも「妨害の禁止」を求めています」

その後細部にわたり、申し立ての理由について詳しい説明があった。なかでも、前立腺癌には摘出、外部照射、小線源治療、ホルモン療法などがあるが、その成績(完治率)において、小線源治療及び、小線源治療と外照射ホルモン治療を組み合わせた「トリモダリティー」療法が非常に優れた治療成績を残していることが、国際的にも確認されていることが解説された。そして岡本医師が開発した「岡本メソッド」は術後5年の非再発率が96.5%。ほとんど再発がない実績を上げていることが紹介された。井戸弁護士は、配布資料の中に参考資料が添えられており、その中には、滋賀医大附属病院が作った冊子があり「岡本メソッド」の紹介があることに言及し、「『小線源療法について全国トップクラスの施設として日本中及び海外から患者が訪れるのが小線源治療チームである』と書いています。また『トリモダリティーという方法で治療の有効性を高め、5年経過後のPSAにもとづく非再発率という根治率を恕数値は96.3%にも上がる』と書いてあります。そして『2人(岡本医師と河野医師)の治療を受けた、全国各地の患者さんからは、感謝を伝える声が絶えず届く』と滋賀医大附属病院が、岡本医師、「岡本メソッド」を高く評価して宣伝してきたわけです。ところが小線源講座を12月31日で閉鎖をするという決定を滋賀医大はしており、最後の半年は小線源治療をしてはならないという決定をしております」と病院側の決定的矛盾を具体的に指摘した。そのあと、法的に債権者(患者7名と岡本医師)には法的に「治療を受ける権利がある」ことが解説された。

井戸弁護士は、本申し立てが、「小線源講座閉鎖問題」についての問題にはあえて触れず、仮に講座が閉鎖されるにしても、最低11月まで患者さんには治療を受ける権利、岡本医師には治療の権利がある(12月ではなく11月としたのは経過観察に1月を要するため)ことの確認を求めるものであることが説明された。さらに、岡本医師には滋賀医大との雇用契約上の権利(医師としての自律、独立して診察、治療に当たる権利(プロフェッショナルオートノミー)小線源治療学講座特任教授として、小線源治療の教育研究にあたる権利がある、旨の解説があった。

最後に本件申し立ての特徴として、(1)多くの人の命がかかっているまさに人道上の問題であること(2)緊急性―早期の決定が必要であること(3)このような理不尽な取り扱いが、滋賀県を代表する滋賀医大附属病院でおこっていることを明示した。解説の最後に井戸弁護士は、「実は昨日私の事務所に青森の女性から電話がかかってきました。ご主人が44歳で非常に高いPSA値を宣告された。どうしても岡本先生に治療してほしいと。岡本先生につないで欲しいと、そういう依頼でした。実情をお話しすると、電話の先で、その女性は泣き崩れんばかりでした。高リスクの前立腺癌を宣告された方が、どれだけ不安な思いになるのか。その中で岡本医師の治療に最後の望みを繋ぐのかという思いを電話で直接お聞きして、身の引き締まる思いをしました。『たくさんそういう方がおられるんだ』、ということを胸に刻みながらこの訴えを闘ってゆきたいと思います。報道機関の皆さんにはこの事件の問題を正確に把握していただいて、正確な報道をお願いいたします」と決意を表明した。

 

続いて申し立て患者さんが見解を述べた、全員のコメントをご紹介することはできないので、ここでは岡山の木村さん、北海道の平林さんのお話を詳細する(木村さん、平林さんのコメントは司会の石川賢治弁護士が代読した)。

「私は昨年、倉敷成人病センターで前立腺癌との確定診断を受けました。癌の状況は、ハイリスクであると告知を受けました。そのときに倉敷成人病センターの医師から今後の治療法の提案はありましたが、結局のところ提案された内容で治療したとしても治るかどうかは何とも言えない、それほど癌が進行している状況であると説明されました。私は、がんの可能性があると知ったときからインターネットなどで情報を集めており、ハイリスクの前立腺癌でも治療できる医師が滋賀医科大学の岡本先生であるということを知っていました。そこで私は、藁にもすがる思いで岡本先生をの診察を受けることにしました。初診のとき岡本先生は、「患者を救いたいんだ」、「なんとかしたいんだ、助けたいんだ」、「私ならあなたの癌を治せます」と力強く言って下さりました。私は本当に心を打たれました。倉敷成人病センターの医師に岡本先生への紹介状を書いてもらったとき、「もう知らないから勝手にしなさい」ということを言われました。よって私はもう岡本先生に治療してもらう以外に助かる方法はありません。またいずれにせよ、超高リスクの私の前立腺癌は、岡本先生にしか治せないのです。

私には、病後療養中の妻と障害を持つ長男がいます。このうえ、合併症に苦しんだり、癌の再発におびえる生活を送ることは私には耐えられません。ましてや、本来であれば岡本先生の治療を受ける期間が残されているのに病院側が何の理由もなく治療を打ち切ったことについて全く納得することができません。以上のとおりの状況ですので、私の命が助かるかどうかは今回の仮処分の結果にかかっています。このため、覚悟を決めて仮処分の申立人となることと致しました。何卒よろしくお願いいたします」(岡山県 木村さんのコメント)

「私は、昨年8月に前立腺癌の宣告を受けました。難治性高リスクの前立腺癌でした。北海道の病院では、全摘出手術か外照射の放射線、どちらかの治療を選択してほしいと言われました。いずれも再発する可能性はかなり高く7割以上の確率で再発するかもしれないが、それより残りの3割の確率にかけ治療しましょうと言われました。その言葉を聞いたとき、私の癌は完治が望めないのだな、あと何年生きられるのだろうか、そんな思いが何度も頭をよぎりました。そして、やっとの思いで岡本圭生先生にたどりつきました。岡本先生にしか出来ない治療があること、さらに「転移さえなければ、私が治療すれば治るでしょう、過去同じような病状の方はすべて治っています」と力強く言って頂いた時の、生きる希望と喜びは今も忘れません。しかし、いま、その治療が打ち切られようとしているのです。治療を途中で打ち切られる気持ちは、「死を宣告されたような気持ち」です。「生きる権利を一方的に奪われた気持ち」です。非人道的な病院側の理由で岡本医師の治療を打ち切ろうとする行為は、患者の命を切り捨てることであり、許されてはならないと思います。このようなことが断じてあって良いわけがありません。

どうか、私たち患者の命を奪うようなことをしないで頂きたい。滋賀医大にはこのことを強く言いたいと思いますし、メディアの皆様がたもしっかりと滋賀医大を監視していただくようお願いします」(北海道 北林さんのコメント)

 

岡本圭生医師

次いで岡本圭生医師が次のように語った。

「滋賀医科大学前立腺癌小線源治療学講座 特任教授の岡本圭生と申します。私自身は、これまで14年間にわたり、滋賀県だけでなく、全国から私を頼って来院してくださった1100例を超える前立腺癌患者の方々に対して小線源治療という特殊な放射線治療をおこなってまいりました。今回の滋賀医大附属病院と、その院長が強行しようとしている平成31年7月以降の私の小線源施術を禁止する行為は、ここにおられる7名方々の生命をも脅かし、患者の最善の利益に反するものであります。また同時に患者を診察し、治療する立場である私の医師としての権利を侵害するものです。医師には、その職業倫理を実践し、すべての患者と人々に質の高い医療を提供し、自らの専門的判断を自由に行使できる地位が保障されることが不可欠でであると思います。私と同じ医師であり医師の集まりであり、医療機関である滋賀医大附属病院とその院長が、私の医師とし職業倫理と使命に対する侵害行為を行っていることは、絶対に許されないことだと考えます。今回、私の治療を待つ患者の方々の要請と、弁護団の要請により申し立て人に名前を連ねることを決意しました。その理由は、人道主義の立場から申し立てをおこした患者の方々の命を何としても守らねばならないと考えるからです。私はこれまで自らの職や命をなげうってでも患者の人権と人命を尊重し守ることを実践してまいりました。すなはち、患者の方々への人道主義を最優先してきたつもりです。今後もこれまで同様不退転の気持ちで医道を追及する所存です。是非、裁判所、メディアの皆様におかれても適切なご判断をお願いするしだいです。ありがとうございました」

次いで質疑に移った。

テレビ局、新聞社、通信社からの質問が相次いだ。質疑は多岐にわたったので割愛するがある記者の質問を最後に紹介しておく。
「資料によると『岡本メソッド』に比類する術式が日本に存在しないことはわかったが、世界的に同様の術式はあるのか」

これに対する岡本医師の回答は、「ない」であった。つまり世界に比類ない「前立腺癌制圧術」と呼んでも過言ではない、術式がどういうわけか「無きもの」にされようとしている。この状態を目の当たりにして、何も感じないのであれば、医師やジャーナリストは即刻仕事を辞めるべきであろう。

 

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田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

参加者はメッセージや訴えの方法を工夫していた(2019年1月12日草津駅前集会)

 

滋賀医大小線源治療患者会による草津駅前集会とデモ行進は長蛇の列に(2019年1月12日)

本コラムでたびたびお伝えしてきた、滋賀医大附属病院問題で、近く大きな動きがある。消息筋によると岡本医師による治療を希望する、高リスク前立腺がんに罹患した患者数名と岡本医師がともに、滋賀地裁に「滋賀医大附属病院による『治療妨害』」の撤回をもとめ2月7日仮処分の申し立てを行う。

滋賀医大附属病院は、6月末で岡本医師の治療停止、12月には実質上の追放を宣言しているが、「岡本メソッド」と呼ばれる岡本医師の前立腺がん治療は高リスク前立腺癌でも再発率が5%以下という卓越した結果を残していることから、いまでも全国から岡本医師の治療を希望する患者さんが滋賀医大附属病院には「診察の申し込み」を行っているが、そのほとんどは窓口で門前払いされているという。また現在岡本医師の診察を受けていても、6月末までに手術の予定が間に合わない患者さんもいる。患者の一人は「岡本先生でしか私の前立腺癌の治療はできないと思います。その機会を奪われることは私の命が奪われることと同じです」と訴えている。

 

岡本圭生医師

岡本医師は「目の前にいる私に治療できる患者さんを治療しないことは、人道的に許されません。私が希望するのは『患者さんを治療させよ』ということだけです」と語る。

滋賀医大附属病院をめぐっては、昨年の8月1日に、岡本医師の治療を受けられると思っていたら、泌尿器科の医師による手術が画策されていたことがのちにわかり、心身の損害賠償を求め、4名の患者さんが原告となり民事訴訟が提起されているほか、昨年11月16日には病院のホームページや院内の掲示物に書かれた内容に事実と異なる点がある、として岡本医師が仮処分を申し立てた。

さらに、今年に入って岡本医師の手術を受けた患者さんに対するQOL調査に、本来あってはならない氏名欄が設けられていただけではなく、氏名が当該患者さんではない何者かによって記入されたり、質問への回答が改竄されていた事実が判明。次いで実に1000名に上る患者さんのカルテが不正に閲覧されていたことなどが、次々に明るみになっている(この不正閲覧には院長、泌尿器科医師のほとんど、事務職員もかかわっている)。これら連続する不祥事に対して滋賀医大附属病院は1月31日になり、同病院のホームページに、

との見解を発表したが、当の松末吉隆院長が「不正閲覧」を行っていた本人であるので、このように何の証拠も、検証もされていない文章では説得力がない。

泌尿器科外来で診察を待つ患者さんに聞いたところ「問題があるのは知っていますよ。でもいまさら滋賀でほかの病院に行けないからねぇ。滋賀県の病院は滋賀医大の先生が多いから転院しようにもねぇ」と困った表情で本音を語っていた。

仮処分申し立ての詳細はまだ不明であるが、患者と医師が「治療をさせろ」と裁判所に判断を仰ぐのは、極めて稀な事態であることは間違いないだろう。医師や病院は患者さんがそのような属性の人であれ、目の前の患者に対して(物理的に治療が無理な場合などを除けば)「治療拒否」はできないはずだ。そもそも治療希望者を追い返す国立病院など存在が許されるのであろうか。仮処分の詳細は明らかになり次第、本コラムで引き続きご紹介する。

滋賀医大小線源治療患者会による草津駅前集会(2019年1月12日)

◎患者会のURL https://siga-kanjakai.syousengen.net/
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田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

月刊『紙の爆弾』2019年2月号 [特集]〈ポスト平成〉に何を変えるか

滋賀医大小線源治療患者会のメンバーが1月16日、厚生労働省を訪れ、滋賀医大附属病院泌尿器科の医師らが中心となり、約1000名にのぼる患者カルテの不正閲覧が行われていた‟事件“についての対応を申し入れた。

松末吉隆=滋賀医大附属病院院長(同病院のホームページより)

患者会が厚労省へ提出した文章には、
《先日、滋賀医大附属病院での、泌尿器科 河内明宏教授の指示のもとに施行されたFACT-P と呼ばれるQOL調査に関してさまざまな不正について貴省に調査を要請したところです。
その後、FACT-P問題とは別に、滋賀医大附属病院院長をはじめ、多数の泌尿器科医師、そして事務職員による、約1000名に上る患者カルテの不正閲覧があった、との情報をわれわれの担当医である岡本圭生医師から通報を受けました。(注:太文字筆者)(中略)法律にも抵触する行為であり、早急に、調査を頂き、その結果をご回答頂きたいと思います。》
と記述されている。

厚労省記者クラブで開かれた記者会見では、滋賀医大附属病院の院長、10名の泌尿器科医師、さらには事務職員までが、カルテの不正閲覧を行っていた事実がの詳細が、患者会メンバーから明らかにされた。

患者会からは、担当医である岡本圭生医師が、2018年11月29日に患者とは無関係な者による「カルテ不正閲覧」の事実を同病院の公益通報窓口に通報したが、同日から泌尿器科医師らによる「不正閲覧」が確認できる範囲で止まっている「不思議な現象」も報告された。公益通報がなされた日を境に「不正カルテ閲覧」が「突如行われなくなった」のは偶然であろうか。院長から事務職員までが手を染めた「カルテ不正閲覧」は、組織ぐるみで隠ぺいを図ろうとされている可能性が排除できないだろ。このような組織的な、カルテ不正閲覧は極めて悪質であるばかりか、懲役を含む刑罰の対象になる場合さえある。

記者会見での患者会のメンバー

安江博さん

消費者庁のガイドラインで、公益通報には基本20日に、通報者への対応が明記されている。しかし、11月29日の公益通報から20日経過しても、通報者(岡本医師)へ公益通報窓口からの回答はなかったことから、岡本医師は厚労省へ公益通報を行い、被害者である患者会へも「カルテ不正閲覧」の事実を伝達したという。

会見の席で安江博さんは「問題が起きているわけでもないのに、顔を見たこともない、まったく関係のない院長がカルテを不正閲覧しているのは、『人権侵害』以外の何物でもない。とんでもない行為だ。個人的意見だが、滋賀医大附属病院の対応如何では、将来的に刑事告訴も検討することになるかもしれない」と、強い怒りをあらわにした。

石井裕通(ひろみち)さん

石井さんは「業務に関係ない人が私のカルテを見たということを聞いております。非常に憤って、とんでもないことだと思っています。滋賀医大附属病院は経営理念の中に『患者との信頼関係を大切にする』と謳っていますが、現実には全く逆の患者を裏切る行為を続けている。なぜこういった不正が行われるのか。その背景も含め厚労省には調査をお願いしたいと切に思います」と述べた。

「岡本先生の小線源の治療を受けた約1000人の患者、ほとんどすべての人が閲覧されています。病院側の意図を感じます。医局(泌尿器科)12人のうち10人が、手分けをして見たような印象がある。FACTのこともそうだし、今回のこともそうですが、われわれ患者は『丸太棒』と同じなんです。(注:太文字筆者)無機質な『丸太棒』のように、人権を認めていない。だからこういうことをする。我々を軽視しています。患者会が病院に質問などをしても、ほとんど回答されません。無視です」と牧野さんは語った。

牧野一浡(かずおき)さん

会見後牧野さんに質問したところ「滋賀医大附属病院のホームページには『患者らによる』という言葉があります。あれがすべてを物語っていますね。人権無視です」と言われていた。

QOL調査の改竄についで、1000名に上る患者カルテの不正閲覧。しかも院長を含む組織的な「不正閲覧」は、法律上も倫理上も決して許されるものではない。
ここまで不正行為を重ねている滋賀医大附属病院は、厚労省の指導を待つことなく、しかるべきアクションを速やかに行うべきことは言を俟たないが、果たして自浄作用は期待できるであろうか。

自身も不正閲覧を行った松末吉隆院長の責任が強く問われる。

◎患者会のURL https://siga-kanjakai.syousengen.net/
◎ネット署名へもご協力を! http://ur0.link/OngR

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▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

月刊『紙の爆弾』2019年2月号 [特集]〈ポスト平成〉に何を変えるか

集会前様子

人があふれる集会

1月12日滋賀医大小線源治療患者会による「岡本圭生医師の治療継続と待機患者から治療の機会を奪うな」を訴える集会とデモ行進がJR草津駅周辺で行われた。12時30分、駅東口広場で集会がはじまった。

司会の宮野さんが、集会とデモ行進の趣旨を説明した。
「私たちは滋賀医科大学附属病院で、前立腺がんの小線源治療を受けた患者と、未だ治療の予定すら立っていない患者とその家族です。滋賀医科大学附属病院には高リスクの前立腺がんでも 95%以上完治させることができる、岡本圭生医師がおられます。岡本医師に命を救ってほしいと願う患者が今日もこのデモ行進に東北は山形、北陸は石川、中国は山口、四国は高知、全国各地から参加しています。ところが滋賀医大附属病院は今年の 6月で岡本医師の治療を止め、12月には病院から追い出そうとしています。

山形県からご家族4名での参加者

みなさん! この「命に直結する問題」に是非、注目してください。私たちは救われる命が、見捨てられるこの現実を 断じて許しません。 市民の皆さん。どうかご支援のほどよろしくお願い申し上げます」

そのあと、岡本医師の治療を希望しながら、大学側によりその機会が奪われるかもしれない2名の待機患者さんが訴えを行った。

その後デモ行進に移った。草津市は人口約13万人の地方都市であるが、草津駅周辺には商店街やショッピングモールが集中する。デモ行進は2列縦隊で目測200mほどの長さに及ぶ。

組織動員もない中、しかも自分の要求や利益を求めるのではなく、既に治療を終えた患者さんたちが中心となり、「救える命を救え」との主張で集会、デモが行なわれたことが、この国の歴史上あったであろうか。

待機患者さんの訴え「完治の望みを岡本先生に託したい」のメッセージ

「滋賀医科大学附属病院は岡本医師の治療を継続せよ!」
「待機患者から治療の機会を奪うな!」
「滋賀医科大学附属病院は良心を取り戻せ!」
「滋賀医科大学附属病院の理不尽な対応は許さないぞ!」
「滋賀医科大学附属病院は岡本医師の受診受付を拒否するな!」
「待機患者の治療を受ける権利を奪うな!」
「待機患者に岡本医師の手術をうけさせろ!」
「がん患者の生きる権利を奪うな!」

デモ隊は長蛇の列に

東京の都心や大阪のように、無数の人が行き交うわけではないが(だからこそ余計に)シュプレヒコールの声が周辺のビルやマンションに文字通り「こだま」する

デモが終盤に入ると、コールの内容もさらに、強い意志を感じさせるものに変わる。

「滋賀医科大学附属病院は待機患者を見捨てるな!」
「滋賀医科大学附属病院は岡本医師の治療を継続せよ!」
「命を軽視する病院は許さないぞ!」
「われわれは闘うぞ!」
「勝利するまで闘うぞ!」
「われわれは待機患者を見捨てないぞ!」

約1時間半に及びデモ行進は草津駅西口で終了した。 

その後南草津駅前の市民プラザに場所を移して、患者会が開催された。患者会の立ち上げに尽力し、現在はご自身も肺がんと闘病中の患者会アドバイザーである、山口正紀さんからの挨拶があった。

参加者はメッセージや訴えの方法を工夫していた

ご自身も肺がんの治療中にもかかわらず東京から駆け付けたジャーナリストの山口正紀さん

「きょうは寒い中に皆さん本当にお疲れさまでした。私は沿道から取材していて『こんなデモは初めてだな』と思いました。運動に慣れた方のデモはたくさん取材してきましたが、きょうのように一つ一つのシュプレヒコールが『心の叫び』としか言いようがない訴えを1時間半近くにわたって皆さんが続けられた姿を、ずっとそばで拝見していて、私自身も肺がんを宣告されて治療していますが大変勇気を与えられ、感銘しました」と感想を語った。続いて本事件の本質と経緯に、さらに今後の課題や展望について分かり易く解説を行った。

その後この日のデモについての反省点や課題、さらには患者会の活動全体への活発な議論が交わされた。

約2時間にわたる会合の最後に司会の小山さんが「それでは最後にシュプレヒコールで締めくくりましょう」と発言したので驚いた。というのは、終了間際にわたしは参加者に全員に「きょう初めてデモ行進に参加した人挙手してください」と尋ねたところ、数えきれない手が上がり数えきれなかったので、質問を変えた。「これまでデモ行進に参加した経験のある人は挙手してください」と聞いたところ挙手した人は10名であった(集会参加者の10分の1に満たない)からだ。

小山さんの「頑張ろう!」に呼応して、参加者は多くの声をあげた

患者会によると、この日のデモ参加予定人数は130名であったそうだが、最終的に参加した人数は181名だった。患者会にとってデモ行進は初体験であったが、参加者の上げ続けたシュプレヒコールは、反響に反響を重ね、噂が噂をよび、距離的にも遠くない滋賀医大附属病院へも伝わることだろう。

最後に記しておかなければならない。この日のデモは事前に滋賀県政記者クラブに詳細を伝達していたにもかかわらず、マスコミの取材は、某全国紙1紙を除き皆無であった。

「命の問題」よりも、時間を割かなければならない問題が滋賀県のマスメディア関係者には山積しているようである。どこかが、完全に歪んではいないか。

◎患者会のURL https://siga-kanjakai.syousengen.net/
◎ネット署名へもご協力を! http://ur0.link/OngR

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▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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