滋賀医科大学医学部附属病院(以下、滋賀医科大病院)で岡本圭生医師による前立腺癌・小線源治療を受けた患者や治療の順番を待っている患者らでつくる小線源治療患者会(以下、患者会)のメンバー4人が、3月13日、国会議員と根本匠・厚生労働省に対して、それぞれ別個に2万8,189筆の署名と嘆願書を提出した。同病院が告知している岡本医師による小線源治療の中止を撤回させ、継続させる方向で、政界の支援と行政指導を求めた。

患者会が3ヶ月で集めた2万8,189筆の署名

本ウェブサイトで報じてきたように、滋賀医科大病院は、前立腺癌の治療で卓越した成果を上げてきた岡本医師による小線源治療を、今年の6月末で打ち切り、7月からは手術を受けた患者の経過観察だけに切り替える。新規の患者は受け付けない。そして今年一杯で前立腺癌小線源治療学講座そのものを廃止して、岡本医師を解雇する。

そのために岡本医師の治療を強く希望しながらも、順番遵守の原則で手術の予約ができない患者が増え続けている。すでに30名を超えている。手術を受けた患者も経過観察が受けられなくなる。患者会による今回の嘆願は、こうした事態の打開を求めて行われた。

嘆願メンバーの患者会、代表幹事・安江博さんは、次のように現在の異常事態を訴えた。

「一番問題なのは、滋賀医科大病院に対して他の病院から治療の依頼がきているにもかかわらず、治療を断り続けていることです。滋賀医科大病院には治療ができる岡本医師がいるし、施設もあります。治療を希望している患者さんがたくさんいるにもかかわらず治療を拒否しているのです」

紙の爆弾のグラビアを示し説明する安江さん

 

議員への陳情

◆死への秒読みの恐怖にたえる日々

岡本メソッドに最後の希望を託していながら治療予約のできない2人の前立腺癌患者も、みずからの胸中を議員や官僚に訴えた。このうち東京都在住の山口淳さんは、昨年10月に癌の診断を受けた。転移するリスクが極めて高い癌だった。

「医師に5年生存率を尋ねると、70%といわれました。最初、前立腺癌は慌てなくてもいい病気だと思っていましたが、調べていくうちにそうではないことが分かってきました。暗い気持になりました。将来のことを考えると眠れなくなり、食事もすすまなくなりました。体重が7キロ減りました。必死で治療できる医師を捜したところ、高リスクでも再発率が3%程度の治療をする病院があることを知ったのです。それが滋賀医科大病院でした。岡本先生による治療だったのです」

有名で人望に厚い医師なので、はたして初診を受けることができるかどうか山口さんは不安で一杯だった。しかし、メールを送ったところ、すぐに岡本医師から返信があり、11月に初診を受けることが決まった。

「その時は、本当にほっとしました。やっと死から脱出できると安堵したのです。食欲も、体重も戻りました」

ところがその後、2019年の6月以降は岡本医師の治療が廃止になると告げられた。一度は命拾いしたと確信したのに、無惨にも再び絶望の底へ突き落とされたのだ。
山口さんは、現在、別の病院でホルモン治療を受けながら、滋賀医科大病院が方針を見直すのを待っている。が、そのホルモン治療も2年ぐらいが限度だと言われている。死への秒読みが始まっているのである。

 

記者会見風景

◆「きちっと癌を治せる治療を受けさせて」

山口さんと同じく東京在住の木村明(仮名)さんも岡本メソッドを希望しながら手術予約ができない患者のひとりである。昨年の9月、4段階に分類される癌ステージの「2」に該当する中間リスクの癌と診断された。木村さんが言う。

「わたしの場合、高リスクではありませんが、確実に再発しないように癌を治したいという強い希望があり、いろいろインターネットを検索したところ、岡本医師の存在を知りました。岡本先生に直接メールを送り、10月に1回目の診察を受けました」

患者にとって治療後のQOL(生活の質)を度外視することはできない。たとえば前立腺癌の摘出手術を受けた場合、尿もれなどの後遺症が頻繁にみられる。癌そのものは征服できてもQOLのレベルが低くなることがあるのだ。木村さんは、QOLを重視して、岡本メソッドを求めたのだ。ところが予想外の展開になる。

「12月に2回目の診察を受けたときに、『申し訳ないが、自分が治療できるのは6月末までで、木村さんは間に合わなかった』と言われました。わたしだけではなく、ほかに何十人もそういう患者さんがいるとも言われました。初診すら病院側から拒否されている患者さんもいるとのことでした。6月で治療が中止になると、わたしも他の患者さんも困ります。きちっと癌を治せる治療を受けさせてほしいというのが願いです」

◆責任を問われるべきなのは泌尿器科の医師たち

滋賀医科大病院で、起きている異常実態の発端は、泌尿器科の医師による不適切な医療にある。2015年1月、同病院は岡本医師を特任教授とする小線源治療学講座とそれに併設する外来を開いた。ところが同講座を下部組織にすることを目論んだ泌尿器科が、岡本医師を頼ってきた患者の一部を泌尿器科に誘導。独自に小線源治療を計画し、手術の前段で不適切な医療を行ってしまった。医師らは、小線源治療の手術経験のない素人だった。

滋賀医科大の塩田浩平学長は、被害を受けた患者の治療を岡本医師に命じた。しかし、被害を受けた患者らは怒りが収まらずに告発の動きにでた。そこで患者の口を封じるために、病院は小線源治療学講座の終了と岡本医師の追放を計画したのである。本来、両者はまったく別の問題なのだが。

◆寒空の下の署名活動の果実

こうした実態について岡本医師の治療を受けた体験を持つ、原田勝一(仮名)さんは、次のように訴えた。

「本来、病院から排除されるべき人物は、不適切な医療を行った泌尿器科の教授らであって、被害にあつた患者さんを救った岡本先生ではありません。岡本先生こそ滋賀医科大病院に残って患者さんの治療を続けるべきですが、現実にはまったく逆で、泌尿器科の医師らはなんのお咎めも受けていません。患者を助けた岡本先生が逆に排除されようとしています。まったく非常識なことが滋賀医科大で起こっているのです。こうした滋賀医科大病院のやりかたに疑問を持った方がたくさんおられて、それが2万8,000筆を超える署名になったのです」

 

厚労省課長申し入れ

署名は患者が中心になって、寒空の下、3カ月という短期で集められた。駅頭などで街宣活動を繰り返し集めたのである。

署名と嘆願書を受け取った厚生労働省の北波孝・厚生労働省医政局総務課長は、「出来ることと出来ないことがありますが、 こういう嘆願があったことは滋賀医科大病院へ伝えます」と、約束した。

なお、厚生労働省への嘆願に先立って、参議院議員会館で行われた国会議員に対する嘆願では、次の国会議員の秘書が、患者会の4人に対応した。

こやり隆史・参議院議員(自民党)
足立信也・参議院議員(国民民主党)
山下芳生・参議院議員(共産党)
三ツ林裕也・衆議院議員(自民党)
櫻井 周・衆議院議員(立憲民主党)

◎患者会のURL https://siga-kanjakai.syousengen.net/
◎ネット署名へもご協力を! http://ur0.link/OngR

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▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
フリーランスライター。メディア黒書(MEDIA KOKUSYO)の主宰者。「押し紙」問題、電磁波問題などを取材している。

衝撃月刊『紙の爆弾』4月号 前立腺がん患者による“史上初”の仮処分申立て 滋賀医大病院は治療を妨害するな!他

〈原発なき社会〉を目指す雑誌『NO NUKES voice』19号 総力特集〈3・11〉から八年 福島・いのちと放射能の未来

2月14日、滋賀医大附属病院前で、「滋賀医科大学小線源治療患者会」のメンバーが、雪の舞う寒い天候の中、「岡本圭生医師による治療の継続」を訴えて、のぼりや横断幕を掲げるマニフェスト(抗議活動)を敢行した。気温2度という、厳しい寒さの中、朝9時30分頃からメンバーは病院敷地の「外側」に集まり、下記写真のように病院に向けての示威行為を開始した。対象が病院だけに患者さんに迷惑が掛かってはならないので、音声を発することはしなかった。

 

 

 

9時45分頃、マスクをした職員らしき人物が現れた

9時45分頃、マスクをした職員らしき人物が病院の建物内から出てきて、様子を観察しだした。

この人物撮影していると「勝手にわたしの写真を撮らないでください」という。「あなたは国家公務員でしょ」と聞くと「そうですが、それが何か?」というので「職務中の国家公務員に肖像権はない」と伝えると、横にいたガードマンが「病院内での写真撮影は禁止です!」とまくしたてだした。「どこにそんな規則があるんですか。入院患者を見舞った家族や友人が一緒に写真を取ってはいけないのですか?」と切り返す。

職員がガードマンに下がるよう指示し、マスクをした職員は「私の写真のデータを消せ」とあたかも警察のような口の利き方をする。「そんな法的義務はない。不当要求には応じられない」と突っぱねるとやがて諦めて病院の建物に帰っていった。

 

10時10分、パトカーがやってきた

10時10分、病院が警察に通報したのであろう。パトカーがやってきた。

パトカーは緊急出動のパトランプは点灯していない。病院玄関前で数名の職員が「プラカードをつけた者がいたり、ああやってのぼりを上げたり妨害行為をしているんです」と警察官に申告している。

パトカーで病院にやってきた2名の警察官がスタンディングをしている「患者会」の皆さんのいる場所へやってきた。

しかし、患者会の誰も全く動じていない。どうしてか? この日の行動を計画したMさんは、「こうなるであろう」ことをあらかじめ予見して、先手を打っていたのだ。Mさんは早い時期に草津警察署に「道路使用許可」を申請し、許可を得ていたのだ。

「患者を患者とも思わぬ滋賀医大附属病院は、病院真近での直接行動を、嫌がるに違いない。スタンディングは何の違法行為でもないが、病院は必ず警察に通報するだろう。その時に道路使用許可を見せれば、警察も文句は言えまい」。

Mさんは市民運動の歴戦の闘士でもなく温厚な紳士だが、この読みは寸分なく的中した。事情を聴きに来た2名の警察官は滋賀医大附属病院最寄りのJR瀬田駅交番の巡査だった。道路許可を見せて納得した警察官は、「どうしてこの先生辞めはるんですか?」と「患者会」のメンバーに質問する。

「辞めるんじゃなくて病院が無理やり辞めさせようとしているから、わしら抗議してますんや。お巡りさんも男性やったら前立腺癌、他人事ちゃいまっせ。ここにおる者は岡本先生に命を救うてもろうた人ばかりです」

さらに警察官が「なんでそんな先生を辞めさそうとするんですか?」と「いい質問」をぶつけるので「さあ、それはわかりませんけど、一層こちらやなくて病院の中を捜査してもらえまへんか」と冗談交じりにお願いするメンバーに「いやちょっとそれは……」と困った表情を浮かべていた。

若い巡査は「いつも瀬田駅前でやってはるやつですよね」とこの問題への関心を口にしたので、メンバーが用意していた『紙の爆弾』3月号のグラビアを提供すると「ありがとうございます」と感謝されていた。

しばらくすると、別のパトカーがやってきた。滋賀医大附属病院は、正門の前が大津市と草津市の堺になっており、先に来た警察は大津市警察からの出動であったが、「患者会」メンバーがスタンディングを行っていた場所は草津市内であるので、草津警察がやってきたのだ。すでに道路使用許可を得ている「患者会」とりわけMさんは、ニコニコしながら「どうもどうも」と使用許可を提示し、穏やかな雰囲気で確認が行われた。わたしが「写真撮影をしてよいですか」と草津署の警察官に尋ねると「構いませんよ」とのことだった。

草津警察所の警察官に余裕の笑顔で警察に応対するMさん

草津警察も引き上げ、寒い中で皆さんひたすら立って抗議を続けていると、参加していた方のお一人が不調を訴えだした。実はこの日の抗議行動には、既に治療が終わった患者さんだけではなく、現在入院中の患者さんも数名参加していたのだ。そのうちのお一人が薄着過ぎたため低体温状態になってしまったのだ。脈をとってみると正常値だ。深刻な状態ではないだろうが、一刻も早く体を温めなければならない。メンバーが患者さんを病室に戻すべく車椅子を病院内にとりに行くと、病院職員がストレッチャーを用意してやってきた。その中の一人はわたしに「写真を撮るな」と迫った職員であったが、体調を悪くした患者さんへの彼の態度は(当たり前ではあるが)丁寧で、親切な対応であったことは記しておく。

入院中の患者さんも厳寒の中参加する病院前での抗議行動など、この国の歴史にあったであろうか。滋賀医大附属病院は、この日大きな衝撃に見舞われたに違いない。「患者会」の皆さんや「入院中の患者さん」までが、治療が受けられないかもしれない「待機患者さん」のために「命がけ」で闘っている。低体温で意識朦朧となりながらも厳寒の中で抗議に参加した「入院患者」さんの姿に直面して、あらためて、心が震える思いをさせられた。願わくば同じ人間として滋賀医大附属病院の皆さんにも「なにか」を感じてほしいものだ。

なお、滋賀医大附属病院問題については、Youtubeにも資料動画があるのでご覧いただきたい。


◎[参考動画]滋賀医大による癌治療の妨害: 岡本医師の妨害阻止に向けた闘い


◎[参考動画]癌患者の滋賀医大病院による治療妨害-阻止に向けて-


◎[参考動画]For Provisional Disposition to save patients(上記動画の英語編集版)


◎[参考動画]滋賀医科大学 倫理規定違反


◎[参考動画]滋賀医大診療予約停止

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▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

衝撃の『紙の爆弾』3月号絶賛発売中!前立腺がん治療めぐり 滋賀医大病院 底なしの倫理欠如

田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

2月7日滋賀医大附属病院で岡本圭生医師による小線源治療を希望する、患者さん7名と岡本医師が大津地裁に「病院による治療妨害の禁止」を求める仮処分の申し立てを行った。「治療しますよ」と意欲を明かしている医師と、「治療をしてくれ」と求める患者を病院が「妨害」すること自体が、聞いたことのない話であるが、相次ぐ要請や行動にも滋賀医大附属病院は、まっとうな反応を示さないことから、ついに関係者は「仮処分」に打って出た。「滋賀医科大学小線源治療患者会」は治療を希望する患者さん(待機患者)を支援すべく、この日13時から大津駅前で集会を行い、申し立ての時間に合わせ、大津地裁正面前まで申し立て患者を先頭に、約100名が行進した。

 

 

弁護団長の井戸謙一弁護士

仮処分の申し立て終了後、滋賀教育会館で記者会見が行われた。冒頭、弁護団長の井戸謙一弁護士が仮処分申し立ての内容について説明と解説を行った。

「1時50分に大津地裁に仮処分申請を申し立て、受理されましたのでご報告させていただきます。『癌治療を受けさせて仮処分事件』というペーパーについて説明いたします。冒頭に『癌治療を受けさせて』というのは、私がこのペーパーを書くときに、なにかひとことで本質を現す言葉がないかなと考え、思いついた言葉です。申し立ての皆さんや他の弁護士の了承を得ているわけではございません。

この事件の申立人は滋賀医大附属病院小線源治療講座において、岡本医師の治療を待機中の難治性高リスク前立腺癌患者7名の方、北海道から広島まで広範囲に広がっております。そして岡本圭生特任教授の8名であります。相手方は国立大学法人滋賀医科大学です。何を求めているか、申し立ての趣旨を読み上げます。

債務者(滋賀医大附属病院)は債権者岡本圭生に対し、2019年7月1日から同年12月31日までの間において、債権者岡本圭生が滋賀医大附属病院において債権者患者7名ほか債権者岡本圭生が前立腺癌小線源治療の適応があると判断し、その同意を得た患者に対し、前立腺癌小線源治療の施術をすることを妨害してはならない。「妨害の禁止」を求めています。これが第一項。第二項は、債務者は、債権者患者7名に対し、2019年7月1日から同年12月31日までの間において、同債権者からが、滋賀医大附属病院において債権者岡本圭生から前立腺癌小線源治療を受けることを妨害してはならない。こちらも「妨害の禁止」を求めています」

その後細部にわたり、申し立ての理由について詳しい説明があった。なかでも、前立腺癌には摘出、外部照射、小線源治療、ホルモン療法などがあるが、その成績(完治率)において、小線源治療及び、小線源治療と外照射ホルモン治療を組み合わせた「トリモダリティー」療法が非常に優れた治療成績を残していることが、国際的にも確認されていることが解説された。そして岡本医師が開発した「岡本メソッド」は術後5年の非再発率が96.5%。ほとんど再発がない実績を上げていることが紹介された。井戸弁護士は、配布資料の中に参考資料が添えられており、その中には、滋賀医大附属病院が作った冊子があり「岡本メソッド」の紹介があることに言及し、「『小線源療法について全国トップクラスの施設として日本中及び海外から患者が訪れるのが小線源治療チームである』と書いています。また『トリモダリティーという方法で治療の有効性を高め、5年経過後のPSAにもとづく非再発率という根治率を恕数値は96.3%にも上がる』と書いてあります。そして『2人(岡本医師と河野医師)の治療を受けた、全国各地の患者さんからは、感謝を伝える声が絶えず届く』と滋賀医大附属病院が、岡本医師、「岡本メソッド」を高く評価して宣伝してきたわけです。ところが小線源講座を12月31日で閉鎖をするという決定を滋賀医大はしており、最後の半年は小線源治療をしてはならないという決定をしております」と病院側の決定的矛盾を具体的に指摘した。そのあと、法的に債権者(患者7名と岡本医師)には法的に「治療を受ける権利がある」ことが解説された。

井戸弁護士は、本申し立てが、「小線源講座閉鎖問題」についての問題にはあえて触れず、仮に講座が閉鎖されるにしても、最低11月まで患者さんには治療を受ける権利、岡本医師には治療の権利がある(12月ではなく11月としたのは経過観察に1月を要するため)ことの確認を求めるものであることが説明された。さらに、岡本医師には滋賀医大との雇用契約上の権利(医師としての自律、独立して診察、治療に当たる権利(プロフェッショナルオートノミー)小線源治療学講座特任教授として、小線源治療の教育研究にあたる権利がある、旨の解説があった。

最後に本件申し立ての特徴として、(1)多くの人の命がかかっているまさに人道上の問題であること(2)緊急性―早期の決定が必要であること(3)このような理不尽な取り扱いが、滋賀県を代表する滋賀医大附属病院でおこっていることを明示した。解説の最後に井戸弁護士は、「実は昨日私の事務所に青森の女性から電話がかかってきました。ご主人が44歳で非常に高いPSA値を宣告された。どうしても岡本先生に治療してほしいと。岡本先生につないで欲しいと、そういう依頼でした。実情をお話しすると、電話の先で、その女性は泣き崩れんばかりでした。高リスクの前立腺癌を宣告された方が、どれだけ不安な思いになるのか。その中で岡本医師の治療に最後の望みを繋ぐのかという思いを電話で直接お聞きして、身の引き締まる思いをしました。『たくさんそういう方がおられるんだ』、ということを胸に刻みながらこの訴えを闘ってゆきたいと思います。報道機関の皆さんにはこの事件の問題を正確に把握していただいて、正確な報道をお願いいたします」と決意を表明した。

 

続いて申し立て患者さんが見解を述べた、全員のコメントをご紹介することはできないので、ここでは岡山の木村さん、北海道の平林さんのお話を詳細する(木村さん、平林さんのコメントは司会の石川賢治弁護士が代読した)。

「私は昨年、倉敷成人病センターで前立腺癌との確定診断を受けました。癌の状況は、ハイリスクであると告知を受けました。そのときに倉敷成人病センターの医師から今後の治療法の提案はありましたが、結局のところ提案された内容で治療したとしても治るかどうかは何とも言えない、それほど癌が進行している状況であると説明されました。私は、がんの可能性があると知ったときからインターネットなどで情報を集めており、ハイリスクの前立腺癌でも治療できる医師が滋賀医科大学の岡本先生であるということを知っていました。そこで私は、藁にもすがる思いで岡本先生をの診察を受けることにしました。初診のとき岡本先生は、「患者を救いたいんだ」、「なんとかしたいんだ、助けたいんだ」、「私ならあなたの癌を治せます」と力強く言って下さりました。私は本当に心を打たれました。倉敷成人病センターの医師に岡本先生への紹介状を書いてもらったとき、「もう知らないから勝手にしなさい」ということを言われました。よって私はもう岡本先生に治療してもらう以外に助かる方法はありません。またいずれにせよ、超高リスクの私の前立腺癌は、岡本先生にしか治せないのです。

私には、病後療養中の妻と障害を持つ長男がいます。このうえ、合併症に苦しんだり、癌の再発におびえる生活を送ることは私には耐えられません。ましてや、本来であれば岡本先生の治療を受ける期間が残されているのに病院側が何の理由もなく治療を打ち切ったことについて全く納得することができません。以上のとおりの状況ですので、私の命が助かるかどうかは今回の仮処分の結果にかかっています。このため、覚悟を決めて仮処分の申立人となることと致しました。何卒よろしくお願いいたします」(岡山県 木村さんのコメント)

「私は、昨年8月に前立腺癌の宣告を受けました。難治性高リスクの前立腺癌でした。北海道の病院では、全摘出手術か外照射の放射線、どちらかの治療を選択してほしいと言われました。いずれも再発する可能性はかなり高く7割以上の確率で再発するかもしれないが、それより残りの3割の確率にかけ治療しましょうと言われました。その言葉を聞いたとき、私の癌は完治が望めないのだな、あと何年生きられるのだろうか、そんな思いが何度も頭をよぎりました。そして、やっとの思いで岡本圭生先生にたどりつきました。岡本先生にしか出来ない治療があること、さらに「転移さえなければ、私が治療すれば治るでしょう、過去同じような病状の方はすべて治っています」と力強く言って頂いた時の、生きる希望と喜びは今も忘れません。しかし、いま、その治療が打ち切られようとしているのです。治療を途中で打ち切られる気持ちは、「死を宣告されたような気持ち」です。「生きる権利を一方的に奪われた気持ち」です。非人道的な病院側の理由で岡本医師の治療を打ち切ろうとする行為は、患者の命を切り捨てることであり、許されてはならないと思います。このようなことが断じてあって良いわけがありません。

どうか、私たち患者の命を奪うようなことをしないで頂きたい。滋賀医大にはこのことを強く言いたいと思いますし、メディアの皆様がたもしっかりと滋賀医大を監視していただくようお願いします」(北海道 北林さんのコメント)

 

岡本圭生医師

次いで岡本圭生医師が次のように語った。

「滋賀医科大学前立腺癌小線源治療学講座 特任教授の岡本圭生と申します。私自身は、これまで14年間にわたり、滋賀県だけでなく、全国から私を頼って来院してくださった1100例を超える前立腺癌患者の方々に対して小線源治療という特殊な放射線治療をおこなってまいりました。今回の滋賀医大附属病院と、その院長が強行しようとしている平成31年7月以降の私の小線源施術を禁止する行為は、ここにおられる7名方々の生命をも脅かし、患者の最善の利益に反するものであります。また同時に患者を診察し、治療する立場である私の医師としての権利を侵害するものです。医師には、その職業倫理を実践し、すべての患者と人々に質の高い医療を提供し、自らの専門的判断を自由に行使できる地位が保障されることが不可欠でであると思います。私と同じ医師であり医師の集まりであり、医療機関である滋賀医大附属病院とその院長が、私の医師とし職業倫理と使命に対する侵害行為を行っていることは、絶対に許されないことだと考えます。今回、私の治療を待つ患者の方々の要請と、弁護団の要請により申し立て人に名前を連ねることを決意しました。その理由は、人道主義の立場から申し立てをおこした患者の方々の命を何としても守らねばならないと考えるからです。私はこれまで自らの職や命をなげうってでも患者の人権と人命を尊重し守ることを実践してまいりました。すなはち、患者の方々への人道主義を最優先してきたつもりです。今後もこれまで同様不退転の気持ちで医道を追及する所存です。是非、裁判所、メディアの皆様におかれても適切なご判断をお願いするしだいです。ありがとうございました」

次いで質疑に移った。

テレビ局、新聞社、通信社からの質問が相次いだ。質疑は多岐にわたったので割愛するがある記者の質問を最後に紹介しておく。
「資料によると『岡本メソッド』に比類する術式が日本に存在しないことはわかったが、世界的に同様の術式はあるのか」

これに対する岡本医師の回答は、「ない」であった。つまり世界に比類ない「前立腺癌制圧術」と呼んでも過言ではない、術式がどういうわけか「無きもの」にされようとしている。この状態を目の当たりにして、何も感じないのであれば、医師やジャーナリストは即刻仕事を辞めるべきであろう。

 

◎患者会のURL https://siga-kanjakai.syousengen.net/
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▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

『紙の爆弾』3月号絶賛発売中!「前立腺がん治療めぐり滋賀医大病院 底なしの倫理欠如」他

田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

参加者はメッセージや訴えの方法を工夫していた(2019年1月12日草津駅前集会)

 

滋賀医大小線源治療患者会による草津駅前集会とデモ行進は長蛇の列に(2019年1月12日)

本コラムでたびたびお伝えしてきた、滋賀医大附属病院問題で、近く大きな動きがある。消息筋によると岡本医師による治療を希望する、高リスク前立腺がんに罹患した患者数名と岡本医師がともに、滋賀地裁に「滋賀医大附属病院による『治療妨害』」の撤回をもとめ2月7日仮処分の申し立てを行う。

滋賀医大附属病院は、6月末で岡本医師の治療停止、12月には実質上の追放を宣言しているが、「岡本メソッド」と呼ばれる岡本医師の前立腺がん治療は高リスク前立腺癌でも再発率が5%以下という卓越した結果を残していることから、いまでも全国から岡本医師の治療を希望する患者さんが滋賀医大附属病院には「診察の申し込み」を行っているが、そのほとんどは窓口で門前払いされているという。また現在岡本医師の診察を受けていても、6月末までに手術の予定が間に合わない患者さんもいる。患者の一人は「岡本先生でしか私の前立腺癌の治療はできないと思います。その機会を奪われることは私の命が奪われることと同じです」と訴えている。

 

岡本圭生医師

岡本医師は「目の前にいる私に治療できる患者さんを治療しないことは、人道的に許されません。私が希望するのは『患者さんを治療させよ』ということだけです」と語る。

滋賀医大附属病院をめぐっては、昨年の8月1日に、岡本医師の治療を受けられると思っていたら、泌尿器科の医師による手術が画策されていたことがのちにわかり、心身の損害賠償を求め、4名の患者さんが原告となり民事訴訟が提起されているほか、昨年11月16日には病院のホームページや院内の掲示物に書かれた内容に事実と異なる点がある、として岡本医師が仮処分を申し立てた。

さらに、今年に入って岡本医師の手術を受けた患者さんに対するQOL調査に、本来あってはならない氏名欄が設けられていただけではなく、氏名が当該患者さんではない何者かによって記入されたり、質問への回答が改竄されていた事実が判明。次いで実に1000名に上る患者さんのカルテが不正に閲覧されていたことなどが、次々に明るみになっている(この不正閲覧には院長、泌尿器科医師のほとんど、事務職員もかかわっている)。これら連続する不祥事に対して滋賀医大附属病院は1月31日になり、同病院のホームページに、

との見解を発表したが、当の松末吉隆院長が「不正閲覧」を行っていた本人であるので、このように何の証拠も、検証もされていない文章では説得力がない。

泌尿器科外来で診察を待つ患者さんに聞いたところ「問題があるのは知っていますよ。でもいまさら滋賀でほかの病院に行けないからねぇ。滋賀県の病院は滋賀医大の先生が多いから転院しようにもねぇ」と困った表情で本音を語っていた。

仮処分申し立ての詳細はまだ不明であるが、患者と医師が「治療をさせろ」と裁判所に判断を仰ぐのは、極めて稀な事態であることは間違いないだろう。医師や病院は患者さんがそのような属性の人であれ、目の前の患者に対して(物理的に治療が無理な場合などを除けば)「治療拒否」はできないはずだ。そもそも治療希望者を追い返す国立病院など存在が許されるのであろうか。仮処分の詳細は明らかになり次第、本コラムで引き続きご紹介する。

滋賀医大小線源治療患者会による草津駅前集会(2019年1月12日)

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◎滋賀医科大学に仮処分の申し立てを行った岡本圭生医師の記者会見詳報(2018年11月18日)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

月刊『紙の爆弾』2019年2月号 [特集]〈ポスト平成〉に何を変えるか

滋賀医大小線源治療患者会のメンバーが1月16日、厚生労働省を訪れ、滋賀医大附属病院泌尿器科の医師らが中心となり、約1000名にのぼる患者カルテの不正閲覧が行われていた‟事件“についての対応を申し入れた。

松末吉隆=滋賀医大附属病院院長(同病院のホームページより)

患者会が厚労省へ提出した文章には、
《先日、滋賀医大附属病院での、泌尿器科 河内明宏教授の指示のもとに施行されたFACT-P と呼ばれるQOL調査に関してさまざまな不正について貴省に調査を要請したところです。
その後、FACT-P問題とは別に、滋賀医大附属病院院長をはじめ、多数の泌尿器科医師、そして事務職員による、約1000名に上る患者カルテの不正閲覧があった、との情報をわれわれの担当医である岡本圭生医師から通報を受けました。(注:太文字筆者)(中略)法律にも抵触する行為であり、早急に、調査を頂き、その結果をご回答頂きたいと思います。》
と記述されている。

厚労省記者クラブで開かれた記者会見では、滋賀医大附属病院の院長、10名の泌尿器科医師、さらには事務職員までが、カルテの不正閲覧を行っていた事実がの詳細が、患者会メンバーから明らかにされた。

患者会からは、担当医である岡本圭生医師が、2018年11月29日に患者とは無関係な者による「カルテ不正閲覧」の事実を同病院の公益通報窓口に通報したが、同日から泌尿器科医師らによる「不正閲覧」が確認できる範囲で止まっている「不思議な現象」も報告された。公益通報がなされた日を境に「不正カルテ閲覧」が「突如行われなくなった」のは偶然であろうか。院長から事務職員までが手を染めた「カルテ不正閲覧」は、組織ぐるみで隠ぺいを図ろうとされている可能性が排除できないだろ。このような組織的な、カルテ不正閲覧は極めて悪質であるばかりか、懲役を含む刑罰の対象になる場合さえある。

記者会見での患者会のメンバー

安江博さん

消費者庁のガイドラインで、公益通報には基本20日に、通報者への対応が明記されている。しかし、11月29日の公益通報から20日経過しても、通報者(岡本医師)へ公益通報窓口からの回答はなかったことから、岡本医師は厚労省へ公益通報を行い、被害者である患者会へも「カルテ不正閲覧」の事実を伝達したという。

会見の席で安江博さんは「問題が起きているわけでもないのに、顔を見たこともない、まったく関係のない院長がカルテを不正閲覧しているのは、『人権侵害』以外の何物でもない。とんでもない行為だ。個人的意見だが、滋賀医大附属病院の対応如何では、将来的に刑事告訴も検討することになるかもしれない」と、強い怒りをあらわにした。

石井裕通(ひろみち)さん

石井さんは「業務に関係ない人が私のカルテを見たということを聞いております。非常に憤って、とんでもないことだと思っています。滋賀医大附属病院は経営理念の中に『患者との信頼関係を大切にする』と謳っていますが、現実には全く逆の患者を裏切る行為を続けている。なぜこういった不正が行われるのか。その背景も含め厚労省には調査をお願いしたいと切に思います」と述べた。

「岡本先生の小線源の治療を受けた約1000人の患者、ほとんどすべての人が閲覧されています。病院側の意図を感じます。医局(泌尿器科)12人のうち10人が、手分けをして見たような印象がある。FACTのこともそうだし、今回のこともそうですが、われわれ患者は『丸太棒』と同じなんです。(注:太文字筆者)無機質な『丸太棒』のように、人権を認めていない。だからこういうことをする。我々を軽視しています。患者会が病院に質問などをしても、ほとんど回答されません。無視です」と牧野さんは語った。

牧野一浡(かずおき)さん

会見後牧野さんに質問したところ「滋賀医大附属病院のホームページには『患者らによる』という言葉があります。あれがすべてを物語っていますね。人権無視です」と言われていた。

QOL調査の改竄についで、1000名に上る患者カルテの不正閲覧。しかも院長を含む組織的な「不正閲覧」は、法律上も倫理上も決して許されるものではない。
ここまで不正行為を重ねている滋賀医大附属病院は、厚労省の指導を待つことなく、しかるべきアクションを速やかに行うべきことは言を俟たないが、果たして自浄作用は期待できるであろうか。

自身も不正閲覧を行った松末吉隆院長の責任が強く問われる。

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▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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月刊『紙の爆弾』2019年2月号 [特集]〈ポスト平成〉に何を変えるか

集会前様子

人があふれる集会

1月12日滋賀医大小線源治療患者会による「岡本圭生医師の治療継続と待機患者から治療の機会を奪うな」を訴える集会とデモ行進がJR草津駅周辺で行われた。12時30分、駅東口広場で集会がはじまった。

司会の宮野さんが、集会とデモ行進の趣旨を説明した。
「私たちは滋賀医科大学附属病院で、前立腺がんの小線源治療を受けた患者と、未だ治療の予定すら立っていない患者とその家族です。滋賀医科大学附属病院には高リスクの前立腺がんでも 95%以上完治させることができる、岡本圭生医師がおられます。岡本医師に命を救ってほしいと願う患者が今日もこのデモ行進に東北は山形、北陸は石川、中国は山口、四国は高知、全国各地から参加しています。ところが滋賀医大附属病院は今年の 6月で岡本医師の治療を止め、12月には病院から追い出そうとしています。

山形県からご家族4名での参加者

みなさん! この「命に直結する問題」に是非、注目してください。私たちは救われる命が、見捨てられるこの現実を 断じて許しません。 市民の皆さん。どうかご支援のほどよろしくお願い申し上げます」

そのあと、岡本医師の治療を希望しながら、大学側によりその機会が奪われるかもしれない2名の待機患者さんが訴えを行った。

その後デモ行進に移った。草津市は人口約13万人の地方都市であるが、草津駅周辺には商店街やショッピングモールが集中する。デモ行進は2列縦隊で目測200mほどの長さに及ぶ。

組織動員もない中、しかも自分の要求や利益を求めるのではなく、既に治療を終えた患者さんたちが中心となり、「救える命を救え」との主張で集会、デモが行なわれたことが、この国の歴史上あったであろうか。

待機患者さんの訴え「完治の望みを岡本先生に託したい」のメッセージ

「滋賀医科大学附属病院は岡本医師の治療を継続せよ!」
「待機患者から治療の機会を奪うな!」
「滋賀医科大学附属病院は良心を取り戻せ!」
「滋賀医科大学附属病院の理不尽な対応は許さないぞ!」
「滋賀医科大学附属病院は岡本医師の受診受付を拒否するな!」
「待機患者の治療を受ける権利を奪うな!」
「待機患者に岡本医師の手術をうけさせろ!」
「がん患者の生きる権利を奪うな!」

デモ隊は長蛇の列に

東京の都心や大阪のように、無数の人が行き交うわけではないが(だからこそ余計に)シュプレヒコールの声が周辺のビルやマンションに文字通り「こだま」する

デモが終盤に入ると、コールの内容もさらに、強い意志を感じさせるものに変わる。

「滋賀医科大学附属病院は待機患者を見捨てるな!」
「滋賀医科大学附属病院は岡本医師の治療を継続せよ!」
「命を軽視する病院は許さないぞ!」
「われわれは闘うぞ!」
「勝利するまで闘うぞ!」
「われわれは待機患者を見捨てないぞ!」

約1時間半に及びデモ行進は草津駅西口で終了した。 

その後南草津駅前の市民プラザに場所を移して、患者会が開催された。患者会の立ち上げに尽力し、現在はご自身も肺がんと闘病中の患者会アドバイザーである、山口正紀さんからの挨拶があった。

参加者はメッセージや訴えの方法を工夫していた

ご自身も肺がんの治療中にもかかわらず東京から駆け付けたジャーナリストの山口正紀さん

「きょうは寒い中に皆さん本当にお疲れさまでした。私は沿道から取材していて『こんなデモは初めてだな』と思いました。運動に慣れた方のデモはたくさん取材してきましたが、きょうのように一つ一つのシュプレヒコールが『心の叫び』としか言いようがない訴えを1時間半近くにわたって皆さんが続けられた姿を、ずっとそばで拝見していて、私自身も肺がんを宣告されて治療していますが大変勇気を与えられ、感銘しました」と感想を語った。続いて本事件の本質と経緯に、さらに今後の課題や展望について分かり易く解説を行った。

その後この日のデモについての反省点や課題、さらには患者会の活動全体への活発な議論が交わされた。

約2時間にわたる会合の最後に司会の小山さんが「それでは最後にシュプレヒコールで締めくくりましょう」と発言したので驚いた。というのは、終了間際にわたしは参加者に全員に「きょう初めてデモ行進に参加した人挙手してください」と尋ねたところ、数えきれない手が上がり数えきれなかったので、質問を変えた。「これまでデモ行進に参加した経験のある人は挙手してください」と聞いたところ挙手した人は10名であった(集会参加者の10分の1に満たない)からだ。

小山さんの「頑張ろう!」に呼応して、参加者は多くの声をあげた

患者会によると、この日のデモ参加予定人数は130名であったそうだが、最終的に参加した人数は181名だった。患者会にとってデモ行進は初体験であったが、参加者の上げ続けたシュプレヒコールは、反響に反響を重ね、噂が噂をよび、距離的にも遠くない滋賀医大附属病院へも伝わることだろう。

最後に記しておかなければならない。この日のデモは事前に滋賀県政記者クラブに詳細を伝達していたにもかかわらず、マスコミの取材は、某全国紙1紙を除き皆無であった。

「命の問題」よりも、時間を割かなければならない問題が滋賀県のマスメディア関係者には山積しているようである。どこかが、完全に歪んではいないか。

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田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

月刊『紙の爆弾』2019年2月号 [特集]〈ポスト平成〉に何を変えるか

1月9日、滋賀医科大学小線源治療患者会の皆さんが文科省と、厚生労働省を訪れ、“FACT-P(Functional Assessment of Cancer Therapy – Prostate)”と呼ばれるQOL(Quality of life=術後の生活の質)調査が、滋賀医科大学附属病院により不適切に実施された問題についての申し入れを行った。申し入れ文書は、下記に掲載した通りである。

FACT-P案件申し入れ文書(1~2頁)

FACT-P案件申し入れ文書(3~4頁)

午前11時から行われた文科省への申し入れでは、高等教育局医学教育課大学病院支援室長補佐の早川慶氏が申し入れに応じ、患者会の説明を聞いた後「諸法令、関係省と協議しながら対応する」と述べた。

午後2時からは厚労省医政局総務課企画法令係長、松下有宇(ゆう)氏と医政局総務課課長補佐渡邊周介氏が患者会の申し入れに対応した。

患者会のメンバーは、
・カルテが担当医師ではなく、事務職員のにより削除されていること
・“FACT-P”は国際的なQOL調査で実施の際には、患者への説明と同意が義務付けられているが、それらがなかったこと
・本来調査票にはあってはならない「氏名」記入欄が設けられていたこと
・氏名記入欄があるだけでも問題だが、少なくとも23名の患者さんの調査票に、本人以外が氏名を書き込まれていること
・FACT調査の版権を持っている米国のFACT機構に患者会が質問をしたところ、「FACT機構の考えを回答する。滋賀医大附属病院は確かにFACT調査利用の認証を受けているが、FACT調査はこの調査表使用の前提条件として説明と同意を得ることを前提としている。このことは全世界共通としている。患者への説明と同意を取らず、氏名を特定できる方法で調査を実施していたことは機構としては想定外のことである」と回答があったこと
・滋賀医大附属病院の本件への対応が極めて、不適切であること
などを説明した。

申し入れ内容を説明する奥村謙一郎さん

患者会メンバーが最後に「本件については具体的にどのような対応をしていただけるか」と質問したところ、渡邊氏は「医療法は非常に難しい面もあるので、細かく精査したうえでどのように対応するかきめる」と答えた。「対応の内容が決まったら教えてほしい」との要請を渡邊氏は拒否しなかった。

続いて15時30分から厚労省記者クラブで記者会見が開かれた。厚労省担当者に行ったのと同内容の説明の後、質疑に移ると、「カルテの改竄は刑事事件に相当するが、刑事告発の意思はないか」、「患者会が望むのは賠償か」、「その後病院との間でやりとりはあるか」など質問が相次いだ。

とくに、参加した患者さんの1名がご自身のカルテを持参しており、氏名記入欄に誰の目にも明らかな筆跡の違う名前が書きこまれていることを示すと、テレビ局の記者は驚いた様子であった。

1月9日の記者会見には、約15社が参加していたが、同日のうちに共同通信が、記事を配信。その後ネットニュースやテレビ番組でも記者会見の模様は取り上げられた。

病院の姿勢を強く糾弾する安江博さん

裏とり(証拠固め)をしなければ、デリケートな問題は報道しないマスコミも、ここまでの証拠を見せつけられたら報道に踏み切らざるを得なかったということであろう。報道によれば滋賀医科大学附属病院は「記者会見の内容を承知しておらず、コメントは控える」と回答しているそうだ。

コメントはできないだろう。明らかな不正行為なのだから。

滋賀医科大附属病院の院長並びに、経営陣はもうそろそろ、世間では筋の通らない屁理屈をこねまわすことはやめるべきだ。同病院でこのようないい加減なことをする医師や職員は少数だ。泌尿器科が発生源の数々のトラブルは、滋賀医科大附属病院に勤務する、優秀かつ親切な多くの医師や医療関係者にとっての侮辱ではないか。

さらに、消息筋から滋賀医科大附属病院については、「FACT-P調査の問題をはるかに凌駕する大スキャンダルが発生している」との情報もある。ここしばらく滋賀医科大附属病院から目が離せない。

このように滋賀医科大附属病院泌尿器科の不祥事が続く中、患者会は明日1月12日(土)小線源講座の岡本医師の治療継続と、待機患者の治療の機会を守ることを訴えるデモをJR草津駅で13時から予定している。患者会によれば近畿はもとより、東京、四国、山形、新潟など全国から患者さんや待機患者さんが集結するという。

記者会見に臨んだ患者会のメンバー

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月刊『紙の爆弾』2019年2月号 [特集]〈ポスト平成〉に何を変えるか

治療継続を訴えるメッセージ

もし、あなたが、いずれかのがんと診断されていて、その部位の「がん治療に抜群の実績を上げている先生がいる」と聞いたら、どうなさるであろうか。「一度診てもらおう」と考えるのは、ごく自然だろう。だが、遠路はるばるその病院を訪ねたのに、肝心の担当医が、定年退職でもないのに「辞めさせられる」と聞かされたら、あなたはどう感じるであろうか。

そんな苦悩に直面している患者さんたちがいる。本通信で何度か紹介してきた「滋賀医大病院小線源治療講座」の閉鎖も問題である。患者会のメンバーは自主的に、あるいは患者会として全国各地でチラシ配り、署名活動を展開してきたが、12月23日(日)、24日(月)の両日は滋賀医大附属病院に近い、JR草津駅前で広報・署名活動が展開される。23日午前草津駅前に患者会のメンバー31名が集まり、11時から待機患者さんが窮状を訴えた。

待機患者の月原さん

◆待機患者・月原さんの訴え

「私は奈良県在住の月原と申します。私は今から16年前に父を亡くしました。前立腺がんが骨に転移ししたことが原因で約6年半の闘病生活を経ての死です。そのため私自身前立腺がんについては、常に意識して、早め早めの取り組みをすべく定期的なPSA検査を受けておりました。今年になりPSAの数値が上昇したので、8月に生検(細胞検査)を受けた結果、前立腺がんが見つかりました。その時のショックは今もよく記憶しております。すぐに治療方法について医師から説明がありましたが、いずれも再発に不安を覚えました。そこで家内と、再発のない治療方法をインターネットなどで探した結果、滋賀医大岡本圭生先生の小線源治療にたどり着きました。早速岡本先生にメールしたら、すぐに返事がきました。『紹介書や手術時のデータを揃えなさい』。すべてそろえた日に先生に連絡したら『10月11日に会いましょう』と、これまた即返信が来たのです。

とてもお忙しい方のはずなのに、このクイックアクション。なんと患者思いの温かい先生なのかと感動しました。無事岡本先生に会え次回は12月末に具体的な治療計画を相談することになっており、『よし、これで治療してもらえるぞ』と安堵していた矢先、『入院が来年7月以降になるので確約できない』という連絡が来ました。最初何を言われているのか、意味が分からなかったのですが、滋賀医大が来年12月で岡本先生の講座を閉鎖。それに先立ち7月以降の治療を停止する、ということを知らされ、『なぜ多くの待機患者が実在するのにどうして切り捨てるような措置ができるのか。国民の税金で経営されている、国立大学附属病院にそんな勝手が許されるのか。私は一気に奈落の底に突き落とされました。

署名に応じる方々

岡本先生と寄付講座の運営会社は7月以降の治療停止は、人道上・公益上反対されていると聞いています。岡本先生が病院におられ、治療希望患者がたくさんいるのにさせない。こんなこと国立大学附属病院としてありえないことではないでしょか。また病院側は不当かつ未経験の治療を行おうとした成田医師が「後任」と宣言しています。我々患者の命をどこまで軽視するのか、憤りを感じずにはおられません。

私は岡本先生の治療を受けたい。真の健康を取り戻したい。そして同じ病気で苦しむ方々に、同じ喜びを味わってほしいと強く思います。滋賀医大の関係者の方々、何が正しいのかを胸に手を当てて考えていただきたい。患者軽視の滋賀医大ではなく、患者ファーストの岡本先生が正しいことは誰の目にも明らかです。どうか私ども全国の待機患者に新たな希望を与えてください。切にお願い申し上げます」(待機患者の月原さん)

待機患者の横田さん

◆待機患者・横田さんの訴え

「彦根の横田と申しますよろしくお願いします。私の場合ことの発端は本年10月5日に大津の医療機関で前立腺肥大の状況がわかり、血液検査の腫瘍マーカー検査の結果98.0の異常値を通知されました。至急に総合病院泌尿器科で検査治療を行うことを指示されました。その後約1月にわたり彦根の医療機関で辛い検査の日々で、MRI、CT、骨シンチの検査と続き11月2日に担当医師から検査結果を通知されました。結果は悪性度も進行度も高い、高リスクの前立腺がんの確定診断であり、膀胱へ浸潤している可能性もあり、その場合は根治の期待はできない、というものでした。検査前から私の娘からの情報を得て、岡本医師の小線源療法を希望していましたが、私の症例からは、受けてもらえるかどうかは岡本医師の判断による、とのことで、祈る思いで滋賀医大を受診しました。

11月5日診察当日岡本医師からは治療に関しては正面から受けていただきました。しかし残念なことに現医療体制に期限が決められている掲示を見て驚き、岡本医師からは「掲示してあるとおりです」というようなことを言われたのみです。治療の方針はトリモダリティー。トリモダリティーとは高リスクの場合に行われている治療法で、ホルモン治療、放射線内照射、放射線外照射を併用するもの、の明言があり当日からホルモン治療を開始していただきました。その日前までは骨への転移の恐怖感から仕事中も含め、起きている間は「死への不安」で押し潰されそうな毎日を過ごしていましたが、その日からは転移の可能性が低減されたことや、何よりも先生から『私であれば治すことができる』と言っていただきましたので心の状態は病気発覚前の状態に戻り、10月は発熱などで仕事も休みがちでしたが、それも解消しました。岡本先生を信頼し、根治の希望を託し任せるしかないと思いました。次回受診日は2月ですがその後の治療計画は白紙ですし、確実なものは何もありません。こんな状況で、現治療体制の継続を切望し、自分にできることを開始しようと患者会の署名活動を行ってきています。職場や地域の方から200人ほどの賛同署名を頂いております。どのような状況になろうとも、岡本先生に最後まで治療を受けることを望んでいます」(待機患者の横田さん)

待機患者の訴えの後、メンバーは5グループに分かれ、チラシ配り、署名活動を開始した。午前中は穏やかな天候に恵まれ、総計1216枚のチラシを配布し、419筆の署名が集まった。この日の活動には東京、名古屋、四国などからも患者会のメンバー31人が参加した。

署名する親子

◆利他で貫かれた「患者会」の活動

一方、患者会メンバーの中には、街頭活動には参加できないが、裁判などに使われる情報の整理や加工、運動方針の議論、待機患者さんとの相談窓口など、個々人の個性を活かした活動が展開されている。患者会メンバーには医師、エンジニア、元官僚や現役の大学教員、自営業とバックボーンはそれぞれだ。

しかし、治療を受けて前立腺がんを克服した患者さんたちが、待機患者さんにも治療の機会を確保しよう、自分が享受した、前立腺がん完治の喜びを「知らない誰かとも」共有したい。まったく私利がなく、利他に貫かれているのが「患者会」の特徴だろう。無私の活動に頭の下がる思いだ。

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集合した患者会メンバー

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◎滋賀医科大学医学部附属病院泌尿器科の河内、成田両医師を訴えた裁判、第二回期日は意外な展開に(2018年11月28日)
◎滋賀医科大学に仮処分の申し立てを行った岡本圭生医師の記者会見詳報(2018年11月18日)
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◎滋賀医科大学附属病院泌尿器科2名の医師を提訴した「説明義務違反事件」第1回弁論開かれる(2018年10月12日)
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◎滋賀医大病院の岡本医師“追放”をめぐる『紙の爆弾』山口正紀レポートの衝撃(2018年12月13日)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

月刊『紙の爆弾』2019年1月号!がん患者の“命綱”を断ち切る暴挙 滋賀医大病院 前立腺がん「小線源講座」廃止工作

『NO NUKES voice』Vol.18 特集 2019年 日本〈脱原発〉の条件

現在発売中の『紙の爆弾』1月号の中に、ジャーナリスト山口正紀氏による、〈がん患者の“命綱”を断ち切る暴挙 滋賀医大病院 前立腺がん「小線源講座」廃止工作〉が掲載されている。滋賀医大では前立腺がんの患者に、小線源治療を用いて治療する岡本圭成医師が、ハイリスクの前立腺患者にも、もともとがんの転移がなければ、施術後ほとん再発をしない、極めて卓越した実績を上げる治療を行っている。

ところが、滋賀医大は岡本医師の治療を来年(2019年)6月で打ち切り、12月には岡本医師を滋賀医大から“追放”することを宣言している。どうして、極めて卓越した治療実績を持つ岡本医師を“追放”しようとしているのか? その理由と背景は『紙の爆弾』1月号の山口氏のレポートを是非お読みいただきい。

チラシ配り、著名活動に立ち上がった患者会のメンバー

他方、既に岡本医師の治療を受けた患者さんたちで構成される「滋賀医科大学 小線源治療患者会」のメンバーは滋賀医大の地元や東京、名古屋、京都、大阪、奈良など全国各地で「岡本医師による治療の継続」を求めるチラシ配りや署名活動に、自主的に立ち上がった。

というのは、岡本医師に治療を受けた患者さんたちは全国から滋賀医大にやってきており、北海道から沖縄にまで患者さんが散らばっているからだ。現在岡本医師の診断を受けている患者さんの7割以上は県外からの患者さんだという。

患者のAさんは兵庫県在住だが、これまで何度も滋賀医大最寄り駅であるJR瀬田駅にチラシ配りに出向いている。わざわざ瀬田駅でのチラシ配り、署名活動に参加するために長野県から駆け付ける患者さんもいる。名古屋でチラシ配り、署名活動を行っているBさんは「治療実績が優秀な岡本先生の治療を、多くの方に受けて頂きたいと思います。名古屋にも患者さんはたくさんおり、来年の6月以降治療が受けられるかどうかわからない方もいます。『人の命』がかかっているのに、それを切り捨てようとする滋賀医大の姿勢は許せません」と語る。

草津駅前での署名活動

ちなみにBさんはこれまでチラシ配りや署名活動の経験は一切ないそうだ。「患者会」のメンバーは滋賀医大で起こっていることの本質を少しでも伝えたいと、全力で奮闘しているが朝日新聞など一部を除いてマスメディアの扱いは決して大きくない。

そして、ついに滋賀医大で、「さらに深刻な事態が発生した」、と患者会のメンバーから連絡が入った。法廷で係争中の案件につき、ここではこれ以上詳しく触れないが、「人の命」にかかわる深刻な問題が滋賀医大では、さらに進行している。

あまり知られていないが前立腺がんは、男性であれば肺がんや胃がんと同様の確率で発症する病だ。誰にとっても他人事ではない。しかし治療の方法がある。治療できる医師がいる。そうであればどうして患者を救うために、その術式の普及を促進しないのだろうか。逆に難治性の患者でもほとんど再発させない、実績を持つ岡本医師をどうして排除しようとするのか?滋賀医大は「命」にかかわるこの問題に、正面から回答する義務があろう。

◎患者会のURL https://siga-kanjakai.syousengen.net/
◎ネット署名へもご協力を! http://ur0.link/OngR

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▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

月刊『紙の爆弾』2019年1月号!がん患者の“命綱”を断ち切る暴挙 滋賀医大病院 前立腺がん「小線源講座」廃止工作

患者さんの訴え

◆集会には120名超が集結

11月27日13:10から大津地裁で、4名の原告が滋賀医科大学医学部附属病院、泌尿器科の河内明宏科長と成田充弘医師を訴えた裁判(事件番号平成30わ第381号)の第二回期日が開かれた。この裁判についてはこれまでも2回報告しているので、背景にお詳しくない方は、そちらをご覧いただきたい。

正午から大津駅前で、患者会による集会が開かれた。患者会員数は、既に900名を超えているが、この日は120名以上のひとびとが大津駅前を埋めた。司会者は既に治療を終えらた患者さんであるが、この日の集会では、患者会のアドバイザーとして活躍していながら、ご自身も8月に癌が見つかり、現在闘病中の山口正紀さんから寄せられたメッセージを司会の方が読み上げた。やや長文になるが、初めてこの事件に接する方には参考になるので山口さんからのメッセージ全文をご紹介する。

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◆山口正紀さんからのメッセージ

滋賀医大病院による人権侵害の責任を問い、患者切り捨てと闘う裁判の第2回口頭弁論報告集会に各地から参加された皆様、患者会アドバイザーとして皆さんの闘いに参加させていただいているジャーナリストの山口正紀です。10月9日の第1回弁論の集会で少しお話させていただきましたが、9月初めに「ステージⅣの肺がん」が見つかって治療に専念せざるを得なくなり、本日の弁論、集会に参加できず、ほんとうに残念に思っています。

患者会は、発足からわずか半年で900人を超える大きな集まりになったとのこと。どれほど多くの前立腺がん患者が、岡本圭生先生の小線源治療に生きる希望を見出し、その講座継続を願っているかを物語る数字だと思います。しかし、滋賀医大病院泌尿器科の河内医師や松末院長たちは、そんな患者の皆さんの切実な思いなどまったく想像もできないのでしょう。この裁判でも、不必要・不適切な、治療とも呼べない人権侵害行為で原告の方々、多くの患者さんに重大な被害を与えたことを謝罪もせず、それどころか、患者さんを救った岡本先生を病院から追放しようと躍起になっています。
昨年末、病院のホームページに掲載された「講座閉鎖」の告知を読んで、本当にびっくりし、あきれ果てました。「小線源外来の終了後は、泌尿器科において、標準的な小線源治療の開始を予定している」と言うのです。

しかし、この「標準的治療」とは、いったいどんな治療なのでしょうか。小線源治療には高度な知識と熟練した技術を要しますが、それを一度もやったことがない成田医師らが、そのことを患者には黙ったまま、手術をする。そういう患者を無視した行為を「標準的な治療」と言っているのです。これは、まさに岡本先生が医師の良心にかけ、勇気をもって未然に防いだ患者のモルモット化を、今度は病院公認でおおっぴらにやろうとするものです。しかも病院の告知は、岡本先生の外来を閉鎖した後、「患者さんのご希望に沿って本院泌尿器科で経過観察する」と言っています。どこまで患者をバカにすれば済むのでしょうか。患者を実験台にしようと企み、それがばれても被害者に謝罪もせず、それどころかその悪事を未然に防いだ岡本先生を追放する。そんな医師にあるまじき連中に「経過観察」を任せるような患者がいる、とでも思っているのでしょうか。心底、患者をバカにした告知ではありませんか。

これまで、大学病院当局のパワーハラスメントの中で、がまんを余儀なくされてきた岡本先生が11月16日、ついに堪忍袋の緒が切れて、病院による名誉毀損と闘う仮処分を申し立てられました。その記者会見の様子が、デジタル鹿砦社通信に載っています。待機患者として参加された東京の山口淳さんの話には、ほんとうに心を打たれます。〈がん告知後の悪夢の中で、ようやくたどりついた岡本先生の外来が閉鎖されようとしている。不安いっぱいの中で送ったメールに岡本先生からメールが返ってきて、先生の診察を受けることができた。けれども来年、ほんとうに手術を受けることができるかどうか。もしかしたら、また死を覚悟しなければいけない状態に舞い戻るかもしれない。もし、岡本先生の講座を廃止する非情な措置が取られたら、我々の生きようとする希望が失われてしまう〉山口淳さんはこう訴えられました。

いま、ステージⅣの肺がん治療に取り組み始めたばかりの私にとっても、この訴えは100%、切実に共有できます。私もこの間、生き延びるための治療を求めて不安な日々を送ってきました。こんな患者の皆さんの痛切な思いを、滋賀医大病院泌尿器科の医師や病院長、学長は、なぜわからないのでしょうか。わかろうとしないのでしょうか。先日、地元の滋賀県をはじめ、名古屋や東京など全国各地で患者会の皆さんによる街頭での訴えや署名活動が始まった、とのことです。いま滋賀医大病院で起きている患者切り捨て、暴力的な「岡本医師追放工作」の実態を一人でも多くの市民に知らせる。それが、大学と病院当局に反省を迫り、小線源講座の継続を実現するための最も近道だと思います。この裁判もその重要な一環です。

私も引き続き、皆さんの闘いに参加したい、そんな思いから、鹿砦社から出ている『紙の爆弾』という月刊誌の2019年1月号に、「がん患者の命綱を断ち切る暴挙」という8ページの記事を書きました。この問題の背景と本質、患者会と岡本先生の闘いの意義について、わかりやすく書いたつもりです。12月7日ごろには、書店に並ぶと思います。定価600円です。ぜひ書店でお買い求めいただき、今後の地域や街頭での訴え、署名活動などでこの問題を市民に説明する際の参考に使っていただければ、と思います。また皆さんと一緒に、口頭弁論当日の大津駅前集会や、裁判報告集会に参加できる日が来るよう、頑張って治療に励みます。皆さんは、闘う相手が病気だけでなくてたいへんだと思いますが、滋賀医大病院の悪事と闘いながら、お体にも十分気をつけてください。「裁判勝利・小線源講座継続」に向けて、ともにがんばりましょう。

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山形県から駆け付けた患者の家族

◆山形県から駆け付けた参加者も

続いて、岡本圭生医師の治療を待つ「待機患者」さんと、原告の方からそれぞれスピーチがあった。既に治療を終えた患者の中には「これからは待機患者さんを救うのが一番の目標です」と語った方がおられ、多くの方が同意されていた。前回もこの集会を取材したが、今回は女性の姿も目立った。患者をご家族に持つ方々だ。その中には、山形県から駆け付けたご家族の姿もあった。

◆弁論進行の様子

13時近くになり、患者会のメンバーは大津地裁に集合した。法廷の傍聴席は55席しかない。多くの方が傍聴することができず、閉廷後に開かれる記者会見会場に移動した。傍聴席が満席になり、原告側には原告二人と弁護団、被告席には被告側弁護士2名がそろい、西岡繁靖裁判長が開廷を告げた。

西岡裁判長は被告側から提出された準備書面1を確認し、甲号証(原告側証拠)の取り調べ(確認)を行った。被告側から「文書送付嘱託の申し出」が法廷に提出されたので、西岡裁判長は「その必要性等、あるいはどういう文章か概略ご説明頂けますか」と被告代理人に問うたところ、岡田弁護士は「本日遅れまして申し訳ございません。文書送付嘱託の申し出をさせていただきました。診療録の送付嘱託の申し立てでございます。既に甲号証で正本として出されてはいますが、本件につきましては訴状でもかなり詳しく診療経過等について、説明をされていますので、診療経過を全部確認するという意味において、診療録の送付嘱託をお願いしたい次第であります」と述べた。

西岡裁判長は原告弁護団に意向を確認した。井戸弁護士は「裁判所が送付嘱託の判断をされることは、『然るべく』、ですけれども、病院がそれに応じるとなれば、ご本人の同意を求めてこられる。それについてはご本人たちが同意するか、しないかは、『然るべく』と。代理人としてはそれに関与しない」と判断を述べた。

西岡裁判長は「ご本人の同意はご本人が判断されることなので、裁判所も関与できる話でもありませんし、被告代理人も関与できない、というお話でした。『然るべく』ということなので、裁判所としては採用いたします」と述べた。さらに「今回の被告の主張を大雑把に要約すると、平成27年以降、岡本医師の指導の下で、被告らが診療にあたる。要するにチーム医療としてやる、という体制でやっていたけれども、平成27年12月に、今回のご主張によると、岡本医師が被告の指導を実施しないという懸念が生じたと、いうところでその体制を見直しをして、岡本医師に患者さんを担当してもらうようになった。そういうご主張なんですね」と被告側に確認し、被告代理人は頷いた。そして「裁判所としては進行協議でご相談できればと思っております。双方お願いしていいですか」と原告被告双方の弁護団に尋ねた。

双方が合意し、別室での「進行協議」が行われることになり、この日の弁論は終結しそうになったところ、井戸弁護士発言を求めた。「準備書面1を出されて、証拠は出されていないのですが。例えば4ページの下から5、6行目。私もまったく知らなかったのですが、『外科系学会社会保険連合においては、小線源治療は』、云々と書かれていますね。こういうものは裏付け資料が出せるのであればと思うのですが、無いのでしょうか」と被告弁護団に尋ねた。被告側は「その点は出したいと思います」と回答した。

井戸弁護士の質問を補強する形で西岡裁判長は「いまのご質問は一例ということで、今回被告のご主張を精査していただいて、取り寄せで確認しなければいけない物は、取り寄せしていただいたらと思いますが、被告側の手元にあるものは、早いうちに出してもらえますか」と注文をつけた。被告側は「了解です」答えた。

ここでこの日の弁論は終了し、傍聴者は記者会見が行われる別会場に移動し、原告被告双方の弁護団は、別室で「進行協議」に移った。数十分後記者会見会場に弁護団が到着し、井戸弁護団長が、この日弁論ならびに進行協議について以下の通り解説した。

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裁判の解説をする井戸弁護士

◆井戸弁護団長による解説

「11月21日付けで被告から準備書面1が提出されました。こちらの訴状への反論です。何を認めて何を認めないのか。そして被告としてどういう主張をするかが書かれたものです。今後これに対して原告側が再反論をしてゆきますが、どういう内容のものなのかを報告させていただきます。特徴を述べると、『小線源治療・岡本メッソドに対する誹謗』、それから『事実のごまかし』そして『開き直り、責任転嫁』そう評価できると思います。

小線源治療については、合併症の問題、完治率など含めて優れた治療方法であると、我々は主張してたわけですが、それを否定してきています。『治療成績が他のものと変わらない』、『周囲への被ばくとか排尿障害などでメリットがある』、『外照射療法に比べて、小線源療法は体に傷をつける問題もある。近年は小線源療法は減少傾向にある』ということを主張しています。その中でも岡本メッソドについては、標準的な小線源療法よりも、高い線量を加えるのですけども、『線量を上げれば合併症のリスクが増すんだ。岡本メッソドの評価については様々な意見がある』と書いています。これが岡本メッソドに対する『誹謗』ですね。

それから事実関係としては、『ごまかし』があると思います。成田医師が自分が小線源療をしようということで、23人の患者さんを抱えていたわけですが、23人の患者さんについても、『成田医師が術者として確定していたわけではない』、『実際に小線源療をするのは確定していなかったんだ』、『岡本先生とチームとしてやろうとしていたので、ひょっとしたら岡本先生がやったかもしれない』と。これは『事実のごまかし』だと思います。

そして『成田医師が施術をしていたとしても、危険性はなかったんだ』という主張をしています。これは『開き直り』だと思います。たしかに小線源治療は未経験だったけれども、4人の原告の皆さんは1番目にする予定の患者さんじゃなかったわけです。だから『原告の皆さんにする時には精通を経ていた。初めてではない』ということを言っています(笑)。

法廷でも私が質問したことですが、「外科系学会社会保険連合においては、小線源治療は云々」という主張をされています。これには何の根拠も示されていないので、『根拠の証拠を出せ』と言ったわけです。また『成田医師は前立腺癌治療については豊富な経験を有していた。それから岡本医師の治療に麻酔担当として5件以上関与して教育を受けていた』この辺りは岡本先生の説明と違うのではないかと思います。

そして『少なくとも数例は岡本先生に立ち会ってもらい指導を受ける予定であった』、これが極めつけだと思うんですが『小線源治療は前立腺の生検(細胞採取検査)と同じようなものだ』と(会場から「えー」の声)。『成田は生検の豊富な経験がある』。組織をちょっと採る『生検』と、シードを綿密に埋め込む小線源治療が同じようなものだという主張をしています。

23人の方の治療が中止になったのは、岡本先生と協働してチームでやる予定だったのに、2015年12月の末に岡本先生が『成田医師を指導しない懸念が生じたので、成田医師を術者とする小線源治療は中止になったんだ』という説明で、説明を岡本先生に転嫁する内容です。『実際には適切な時期に説明していたと考えられる』と主張しています。『現実に1例目の患者には説明しました』と言っていますが、これは成田医師が説明したわけではなく、放射線科の医師が説明したと聞いています。

河内医師については、『岡本先生に指導させて成田医師に小線源治療の経験を積ませようとしただけだ』、『成田医師が未経験の医師だと説明しないように、成田医師と謀議することはしていない。だから河内医師にも責任はない』そういう内容です。

そういう『誹謗』『ごまかし』『責任転嫁』という特徴がありますので、これに対する反論については、根拠なしに主張している部分には、こちらからまず質問しようと思っています。専門用語で求釈明(釈明を求める)といいますが、それに対する回答を得て、それを踏まえて全面的な反論をしようと考えています。

次回期日は2月26日11:00からです。その間12月7日までに質問事項、求釈明事項を私どもは提出します。それに対する回答が1月末です。それを踏まえて次回期日前に全面的な再反論をする予定です。

そのあとの進行協議で裁判所は「この事件は岡本先生がキーマンだと」。滋賀医大泌尿器科において、どのような体制で成田医師を術者とする小線源治療をしていたのかが、この事件のポイントになるので、被告側はご本人ですからわかりますが、原告側は患者ですから内部のことはわからない。

したがって、岡本医師がどうしてもキーマンになるので、「岡本医師抜きでこの訴訟を遂行していくのは、困難なのではないか」というのが裁判所からの意向でした。岡本医師を原告でもなく、被告でもないんですが、準当事者のような立場でこの訴訟に入って来てもらえないか。そのための法律的な方策を考えたい、とうのが裁判所の意向でした。

訴訟告知補助参加という形で、原告、被告ではないのですが、この訴訟に岡本先生も利害があるから、『参加人』としてこの訴訟に来てもらって、岡本先生(あるいは代理人)の主張を法廷でしていただく、あるいは岡本先生から証拠を出していただく。そういう形で進められないかという話でした。我々も考えていなかったし、被告側の弁護団も考えていなくて、びっくりしたんですけれど、裁判所が積極的に出てきてこの事件の真実を早期に掴みたいという、非常に積極的な姿勢の表れだと、我々は評価しました。ただ法律的な問題もありますので、被告側が賛成するのかしないのかを早期に回答を頂き、さらに検討する形になりました。法律的なテクニカルな問題があり、法廷では相談しにくかったので、別の場を設けたということでした。裁判所の問題意識は正当だと思いますし、原告側としてはその方向で前向きに対応していきたいと思っています」

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その後、原告の2人と、治療を待つ患者さんご本人と、待機患者さんから寄せられたメッセージが代読された。

被告側が提出した準備書面1は、井戸弁護士が強調した通り、「誹謗」・「ごまかし」・「責任転嫁」に満ちていると、原告弁護団は評価している。一方予想外の展開で裁判所(裁判官)が岡本医師を「参加人」として訴訟に入ることを求めてきたのは、弁護団が作成した精緻な訴状と、被告側弁護団の提出した、粗雑な内容の準備書面1の格差が主たる原因であろう。しかしチラシ配り・署名活動などにも力を入れ、また毎回期日のたびに、多数の人が集会を開き、傍聴席を毎回埋め尽くしてきた「患者会」の方々の活動・熱意が裁判所を動かしだした、と考えても不思議ではないだろう。

※なお、下記URLに患者会関連記事が掲載されている。
https://www.asahi.com/articles/ASLCV7SR3LCVUBQU01F.html

集会風景

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