前立腺がんの放射線治療打ち切りを巡り、滋賀医科大学附属病院の医師や治療を望む患者らと、病院側との間で持ち上がった対立に、関係者の証言から迫るドキュメンタリー「映像’19 閉じた病棟~大学病院で何が起きたのか」が6月30日深夜(7月1日午前)0時50分、MBS(大阪市)で放送される。

◎MBSのドキュメンタリー「閉じた病棟~大学病院で何が起きたのか~」
https://www.mbs.jp/eizou/backno/190630.shtml

 

MBSのドキュメンタリー「映像'19 閉じた病棟~大学病院で何が起きたのか」6月30日深夜(7月1日午前)0時50分放送

滋賀医大病院をめぐる問題については、本通信でも継続的に取り上げてきたが、いよいよ在阪キー局であるMBSが1時間のドキュメンタリーを今夜放送する。

MBSはTBS系の大阪にある放送局だ。歴史的にTBSへの対抗心が強く、これまでも優れた報道番組を多数生み出してきている。滋賀医大病院問題とは関係ないが、わたしたちが子供のころから現在まで続く「仮面ライダー」シリーズをテレビ化したのも、MBSだった。

「映像’19 閉じた病棟~大学病院で何が起きたのか」のディレクター、橋本佐与子氏が、取材班とともに問題の現場へ登場されたのは、今年の早い時期だったと思う。滋賀医大病院問題については、わたしが関わる前から、朝日新聞が継続的に報じていたが、テレビメディアで継続的な取材・報道を続ける局はなかなか出てこなかった。患者会の皆さんは昨年の秋以降、短期間で2万8千筆の署名を集めた。「岡本医師の治療継続」を求める声は、厚労省、文科省、国会議員へ届けられた。その場面にも橋本ディレクターはじめ、MBS取材陣の姿があった。

しかし、まさか1時間もの長編ドキュメンタリーを放送することになろうとは、わたしも考えなかった。大手メディアとは異なり、小さな影響力しか持たないわたしのようなフリーライターにとっても、橋本ディレクターとMBSのアクションは、うれしい誤算だった。この問題を取材し、話すと「ああよくある医学界の話ね」と反応する方が少なくない。正直な感想なのであろうが、こういう問題が「よくある」ことであってはならない、とわたしは痛切に感じる。

たとえば、現在滋賀医大のHP「病院からのお知らせ」には、6月11日に「前立腺がん治療に関する情報提供」が掲載されているが、その内容は国立がん研究センター発表の報告を、明らかに改ざんしたものだ(この問題については6月28日、本通信で【[特別寄稿]滋賀医科大病院が国立がんセンターのプレスリリースを改ざん──岡本メソッドに対する印象操作か?】が黒藪哲哉氏により報告されている)。

こういう明らかな改ざんが、病院長の名前で堂々と行われて問題はないのか?
黒藪氏の報告の中に映像が紹介されている。この映像(https://youtu.be/w3rPzAk9G3E)をぜひご覧いただきたい。

質問をする女性に対して事務職員は、明確に「この資料は国立がん研究センターが作成したものです」と語っている(映像では質問者と回答者の名前も確認することができる。不審に思われる読者諸氏は滋賀医大病院の当該職員に直接確認されたい)。

 

滋賀医大小線源患者会HP

さらに、6月25日にも「病院からのお知らせ」に、一部明らかな虚偽が掲載された。

続発する問題の発生源、滋賀医大病院を橋本ディレクターはじめMBS取材陣はどのように描き出すのか? 視聴可能区域にお住まいの方は、是非ご覧いただきたい。拙宅にはテレビがないので、わたしは既に知人のお宅にお邪魔する準備を整えた。なお、滋賀医大病院にかかわる問題の総体は、以下のサイトに詳しく掲載されている。引き続き正当な「解決」を見届けるまで、この問題は追及したい。

◎滋賀医大小線源患者会HP https://siga-kanjakai.syousengen.net/

◎ネット署名へもご協力を! http://ur0.link/OngR

《関連過去記事カテゴリー》
滋賀医科大学附属病院問題 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=68

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

滋賀医科大学医学部附属病院が、国立がん研究センターが公表したプレスリリースを改ざんして、6月11日に、同病院のウェブサイトに掲載していたことが分かった。

この資料は、国立がん研究センターが公表した時点では、1ページに満たない短い資料だった。ところが滋賀医科大は、これに約2ページ分の情報を複数の資料から抜粋して再構成し、3ページに編集した。そして、これら全部が国立がん研究センターによるプレスリリースであるかのように装って掲載したのである。

何が目的でこのような大がかりな改ざん行為に及んだのだろうか。既報したように、滋賀医科大病院は、岡本圭生医師による高度な小線源治療(前立腺癌が対象)を年内で中止して、岡本医師を病院から追放しようとしている。それを正当化するためには岡本メソッドが、他の癌治療と比較して、継続するだけのメリットがないという世論を形成することが必要になる。そこで権威のある国立がん研究センターのロゴが入ったプレスリリースを改ざんして、自分たちの目的に沿った内容に改ざんしたである。

具体的な手口は、次のYouTubeで紹介している。滋賀医科大病院に問い合わせた際の音声も、そのまま収録した。


◎[参考動画]滋賀医科大学のフェイク(安江博 2019/6/26公開)
https://www.youtube.com/watch?v=w3rPzAk9G3E

◆がんセンターの資料は1ページ目だけ

フリーランス記者の田所敏夫さんらが、この改ざんについて、国立がん研究センターへ問い合わせたところ、YouTubeで示されている部分のみが同センターが発表した部分であることが判明した。

国立がん研究センターは、元々のプレスリリースと改ざん部分の区別について、田所さんに対し、次のように文書で回答している。

「お問い合わせにつきまして、担当部署に確認いたしました。
 当センターの情報は、1ページ目の当センターロゴから前立腺がんの表まで、そして、1ページ目の用語の説明のみでございます。以上、ご報告いたします。」

つまり約2ページ分を滋賀医科大病院が我田引水に「編集」して、元々のプレスリリースを含む3ページの資料に編集し、あたかもそれが国立がん研究センターが発表したものであるかのように装って、病院のウェブサイトに掲載したのである。

改ざんされた資料は次のURLでアクセスできる。オリジナル(国立がんセンターのプレスリリース)と比較してほしい。

◎[参考資料]改ざんされたプレスリリース
https://www.shiga-med.ac.jp/hospital/cms/file.php?action_disp&id=1156&fid=2013

 

改ざんされたプレスリリース

◆何が加筆・編集されたのか?
 
滋賀医科大学病院が改ざん・編集により印象操作を企てたのは、前立腺癌に対する4つの治療法における5年後の非再発率である。それによると次のような成績になっている。

・ロボット支援前立腺全摘除術(弘前大学):97.6%
・外照射放射線治療(群馬大):97.6%
・小線源治療(滋賀医大):95.2%
・重粒子線(放射線医学総合研究所病院):不明
・小線源治療(京都府立医大):94.9%

これらのデータを見る限りでは、滋賀医科大学の小線源治療(岡本メソッド)にはまったく優位性がないことになる。それどころかロボット支援前立腺全摘除術か外照射放射線治療を受けた方が、岡本メソッドを受けるよりも5年後の非再発率が高いことになる。当然、岡本メソッドの中止と岡本医師の追放はやむを得ないという世論が形成されかねない。おそらく滋賀医科大の塩田浩平学長は、それが目的でこのような誤解を与える記述の掲載を許可したのである。

◆データのトリック

これらのデータには、専門家でなければ見破れない巧なトリックが隠されている。端的に言えば、基準が異なるものを比較しているのだ。比較するのであれば、比較の基準が同じでなければならない。滋賀医科大病院は、その基本的な学術上のルールすらも無視しているのだ。

周知のように前立腺癌の検診は、血液を調べるPSA検査により行われる。PSAの数値が4.0 ng/mLを超えると前立腺癌の疑いがあり、精密検査で癌を発症しているかどうかを確定する。

意外に知られていないが、実はこのPSA検査は、前立腺癌の治療を受けた後の経過観察でも行われる。

施術方法のいかんを問わず、治療を受けた患者のPSA値は下降線をたどり、横ばいになるのだが、再発すると再上昇に転じる。この原理を応用して、医師は、PAS値の変化を観察することで、癌が再発したかたどうかを判断するのである。
 
この点を前提にしたうえで、データの改ざんについて説明する前に、前立腺癌の治療法についてもあらかじめ言及しておかなくてはならない。前立腺癌の治療では、ホルモン療法と呼ばれるホルモンを投与する療法により、施術前に癌を委縮させる方法が適用されることがままある。癌を小さくしたうえで、施術するのだ。

ホルモン治療が効力を発揮した場合、PSA値は下降する。そしてホルモン治療が終わった後も、1年から2年ぐらいの期間はその効用が維持されるので、PSAは上昇しない。

滋賀医科大が提示した他の医療機関のデータは、ホルモン治療の効用が持続している期間を含めた非再発率なのである。

とりわけ、弘前大学のデータにいたっては、論文の中でも、経過観察の期間が30カ月であることを明記している。それにもかかわらず都合のよいデータだけを提示して、あたかもロボット支援前立腺全摘除術と岡本メッソドでは、大きな違いがないような印象操作を行っているのである。

◎患者会のURL https://siga-kanjakai.syousengen.net/
◎ネット署名へもご協力を! http://ur0.link/OngR

◎[関連記事]黒薮哲哉[特別寄稿]小線源治療患者会が国会議員と厚生労働省へ嘆願、2万8,189筆の命の署名を提出(2019年3月15日付けデジタル鹿砦社通信)

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
フリーランスライター。メディア黒書(MEDIA KOKUSYO)の主宰者。「押し紙」問題、電磁波問題などを取材している。

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以下は6月17日正午現在、滋賀医大附属病院のホームページである。
http://www.shiga-med.ac.jp/hospital/index.html

「病院からのお知らせ」の冒頭に6月11日付けで、「前立腺がん治療に関する情報提供」が掲載された。この日は通称「モルモット事件」の第5回口頭弁論が行われた日である。

滋賀医大附属病院のホームページより

「前立腺がん治療に関する情報提供」をクリックすると、

滋賀医大附属病院のホームページより

と、病院長名での文章が現れ、「詳しくはこちらをご覧ください」の「こちら」をクリックすると、

滋賀医大附属病院のホームページより

滋賀医大附属病院のホームページより

滋賀医大附属病院のホームページより

が表示される。冒頭に、

滋賀医大附属病院のホームページより

と、注意書きのようなものがあるが、これだけではどの部分が「国立がん研究センター」による発表であるのか、また引用はどの箇所かが判然としない。そこで17日国立がんセンターの広報担当に「このような記載が滋賀医大病院のHPにあるが、国立がんセンターのHPを探しても、一部を除いて同じ記述を見つけることができない。このような発表はあったのでしょうか」と質問をした。17日夕刻同センターから、

《お問い合わせにつきまして、担当部署に確認いたしました。
当センターの情報は、1ページ目の当センターロゴから前立腺がんの表まで、
そして、1ページ目の用語の説明のみでございます。以上、ご報告いたします。》

との回答が返ってきた。え!この文章には1/3、2/3、3/3とページが付されている。「普通の感覚」で読めば、一連の文章と理解しても無理はなかろう。しかも各病院ごとの治療成績なども「国立がん研究センター」が作成した図表だと思う人が多いのではないか。実際に複数の現職医師(脳外科医、診療所勤務医)に読んでもらったところ二人とも「がん研究センター、不思議な資料を作るね」と、やはり誤解していた。現職の医師でも誤解するのだから、一般人はなおのことであろう。

この文章掲示が、ただちに法的な問題だ、というつもりはまったくないが、少なくともまぎらわしく、誤解を与えやすい体裁であることは間違いないだろう。それにしても、どうして滋賀医大病院院長松末氏は、専門が整形外科にもかかわらず、「前立腺がん」にこのようにこだわるのだろうか。同病院には多数の診察科があるのに、「病院からのお知らせ」10件のうち、4件が岡本医師関係の記載とは、不自然ではないだろうか。読者諸氏にも是非ご覧いただきたい。わたしの感覚がおかしいのだろうか? 

◎患者会のURL https://siga-kanjakai.syousengen.net/
◎ネット署名へもご協力を! http://ur0.link/OngR

《関連過去記事カテゴリー》
滋賀医科大学附属病院問題 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=68

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

6月11日13時30分から大津地裁で、滋賀医大附属病院泌尿器科の河内、成田両医師が23名の患者さんに施術の実績がないことを伝えずに手術を行おうとした「説明義務違反」の損害賠償を求める裁判の5回目の弁論が開かれた。

滋賀医大病院をめぐっては、仮処分や裁判が立て続けに起こされている。有印私文書偽造の刑事告訴も大津市警察に行われ(告訴状は未受理)、患者会の皆さんが大津地裁に集まる頻度も上がる一方だ。

裁判期日には、毎回開廷前に大津駅前で集会が行われる。この日は北海道からの参加された患者さんの姿もあった。

学長・病院長・泌尿器科河内教授を批判するプラカード

患者会代表幹事の恵さん

集会では患者会代表幹事の恵さんが、
「5月20日に待機患者の治療を妨害するなとの、仮処分命令が下りましたが、どうしようもない言いがかりをつけて病院は邪魔しようと、異議申し立てをしました。そういう輩なのです。我々は一生懸命闘いますが、あの輩には『情けない人種』だとの気持ちも考慮に入れて。力ずくでは黙り込んだ狸のようなものですので、我々の気持ちが届いているのかいないのかわかりません。熱い気持ちは大事ですが、司法、マスコミの協力を得ながら頭を使ってこれからの闘いに望んでいただきたいと思います」
と、滋賀医大幹部の底抜けのどうしようもなさを指摘し、闘いの方針を提示した。

ついで、代表幹事の小山さんがアピールを行った。小山さんは愛知県在住にもかかわらず、毎週のように滋賀医大前のスタンディングに参加されている。実直なお人柄で社会運動などとは無縁であった方とは思われない日常を昨年以来送っておられる。

毎週愛知県から滋賀医大抗議に訪れる小山さんの訴え

「私たちは滋賀医大病院で前立腺がんの小線源治療を受けた患者とその家族です。滋賀医大病院には高リスクの前立腺がんでも95%以上完治させることができる岡本圭生医師がいます。この岡本医師の卓越した小線源を求めて北海道から沖縄まで、全国から多くの患者が訪れています。ところが滋賀医大病院は今年いっぱいで岡本医師を病院から追い出そうとしています。それはいったいなぜでしょうか。

4年ほど前滋賀医大病院泌尿器科の医師が未経験であるにもかかわらず、それを患者に説明しないまま小線源治療をやろうと計画しました。岡本医師はその危険性を指摘し治療を阻止して23名の患者を救ったのです。

しかしこれをきっかけに滋賀医大病院は、泌尿器科、病院長、学長がそろって岡本医師の排除に向けて動き始めました。200名を超える患者の治療予約を一時的に停止させたり、岡本医師の講座を閉鎖するために学内の規則を変更するなど、患者を無視した嫌がらせのような行動をとってきました。これらは、すべて泌尿器科が行った不当医療行為を、組織ぐるみで隠ぺいするための行動です。

また滋賀医大病院は1年半前、岡本医師による小線源治療は、今年の6月末までとし、その後今年の12月末で岡本医師の治療を終了する、と一方的に宣言しました。しかし、先月20日大津地裁の仮処分決定により、今年の11月まで今まで通り岡本医師の治療を継続することが認められました。

ところが病院側はこの決定を守らず、『泌尿器科も小線源治療を行う』として岡本医師の小線源治療枠を一部横取りして、治療妨害を続けています。そして仮処分決定の取り消しを求める異議申し立てを行いました。新聞報道によると申し立ての理由は、『岡本医師の小線源治療が行われると、治療体制の見直しが必要になること、多くの患者が岡本医師の治療を希望して殺到する可能性が高いこと』を挙げているそうです。

全く信じられないような理由です。多くの患者が希望して、裁判所も継続を認めた治療を行うためですから、治療体制の見直しくらい、なぜできないのか。全く理解できません。やる気がないとしか思えません。2つ目の理由『多くの患者が殺到するから治療継続をやめろ』などということは、まともな病院が言うことでしょうか? 患者の命など全く眼中にないということを示しています。患者の命よりも、内部告発をした岡本医師を追い出して自分たちの地位を守ることが大事なんです。そんな泌尿器科の医師、病院長、学長には即刻退場してもらわねばなりません! 

本日泌尿器科の不当医療により被害を受けた患者さんが泌尿器科の医師を相手に起こした裁判の5回目の口頭弁論が行われます。今後、学長、病院長、泌尿器科の医師を法廷に呼び出して証人尋問が行われます。裁判で不当医療の事実を明らかにして、滋賀医大病院が真に患者ファーストの病院に生まれ変わるよう、闘っていきます。

私たちは抜群の成績を誇る、岡本医師の治療を将来の前立腺がん患者にも受けてほしい、と願っています。そのために来年以降も、岡本医師の治療が滋賀医大病院で継続されることを求めています。市民の皆さん、どうかこの事件に注目してください。多くのがん患者の命綱が繋がるよう、ご支援をお願いいたします」

小山さんが事件の発端から今日の状態までをわかりやすく、訴えた。

大津地裁(西岡繁泰靖裁判長)は5月20日、岡本医師の申立てを全面的に認める決定を下した。笑顔で完全勝利のメッセージを掲げる鳥居さん(左)と宮内さん(右)

次いで5月20日の仮処分で治療の機会を獲得した、鳥居さんが「仮処分」勝利のうれしさと、今後の闘いへの決意を語った。集会前に鳥居さんにお話を伺ったら「手術日が決まりました!」と本当に明るい表情で笑顔を見せてくださった。やはり20日に勝利を勝ち取った宮内さんも、鳥居さんと同じ日に手術が決まったそうだ。宮内さんも喜びと、病院側が仮処分に異議申し立てを行ったことへの憤りを表明した。

次いで患者会代表幹事の宮野さんが、力強い檄を飛ばし集会の「我々は最後まで頑張るぞ!」と気勢を上げた。

我々は最後まで頑張るぞ!

この日も法廷内撮影があった。満席になった傍聴席と原告被告、裁判官の様子が2分間毎日放送により撮影されたのち、開廷が宣言された。裁判では被告が準備書面5を、補助参考人(岡本医師)が準備書面2を、原告が被告準備書面5への反論を弁論(書類を確認)した。その後被告代理人が成田医師が2例目に診察した患者のカルテの送付嘱託(裁判所からの依頼のよるカルテ開示)を裁判官に申し出た。原告弁護団長の井戸謙一弁護士は「必要性を認めない」と却下を求めたが、合議体(裁判官)は送付嘱託を認めた。

被告弁護人は「まだ出ていない証拠のメールがあれば出してほしい」と原告並びに補助参考人代理人に要請し、西岡裁判官も「弾劾証拠以外の証拠は出しておくように」と原告・補助参考人代理人に要請した。わたしは西岡裁判官のこの物言いは、やや必要性の域を超えるものではないかと素人ながらに感じた。これで実質的な弁論終結となったが、次回期日も書証のやりとりとなり、被告側が遅延戦術に出ているのではないかとの印象を受けた。裁判所にも夏休みがあるため、休み前の期日で調節が試みられたが都合がつかず、次回は8月22日、15:00からと決定した。

ここで閉廷となったが、裁判官が法廷を後にしたとき、傍聴席前列から声が上がった。「被告代理人は送付嘱託なんかしなくても『不正閲覧』をしているのであるから、必要ないんじゃないですか! 職員も泌尿器科の医者も不正閲覧しているんですから、裁判所に依頼する必要ないんじゃないですか! どこに必要があるんでしょうね。素人でも不思議ですね」。被告代理人はこの発言をした男性を睨みつけながら法廷を後にしていった。

井戸弁護士

14時からは社会教育会館に場所を移し、記者会見が始まった。井戸謙一弁護団長がこの日法廷で行われた内容の解説を行った。

「今日は被告側から準備書面5、岡本医師から準備書面2それから原告から準備書面5が陳述されました。その内容をご説明いたします。被告の準備書面5には大きく言うと3つの点が書かれています。準備書面4で被告は23名の方々に対する治療は、岡本医師を指導医とする『医療ユニット』によって行われようとしていた。だから成田医師が未経験であることを説明する義務はなかった、と主張していました。法廷で我々は『医療ユニット』とはなんなのかと。そんな言葉は今までに聞いたことがないし、『医療ユニット』について説明してくれと求めました。それに対する回答がまず書いてあります「医療ユニットというのは被告らの代理人である弁護士が作った言葉だ」というのが結論です。大学内部でそのような言葉が使われていたわけではありません、ということです。

では『医療ユニット』の内実は何なのかですか、となるわけです。1つは理屈の問題です。小線源治療学講座は泌尿器科から独立した存在ではなく、あくまで泌尿器科の一部なんだと。寄付講座の治療は泌尿器科の治療として行われたし、カルテも泌尿器科のカルテとして管理されていたと。寄付講座で行われていたことはすべて泌尿器科の一部なんだ、ということが書かれています。ここでなぜこのようなことをいう必要があるのかといえば、結局泌尿器科の科長は河内医師ですから、河内医師の指示・命令に従って小線源治療も行われる必要がある。そういうことを言いたいのだと思います。

もう一つは、河内教授が本件寄付講座の『責任教授』であるという概念を持ち出しています。辞令上河内教授は併任教授です。『責任教授』などという言葉は書いてないし、私どもが調べた範囲では滋賀医大において『責任教授』という概念は職制上用いられていないと思いますが、『責任教授』であると。河内教授が『責任教授』であると、岡本医師は特任教授ですから、趣旨としては寄付講座内部においても岡本医師よりも上だということを言いたいのだと思います。

この二つを言ったうえで寄付講座が始まる直前に、岡本医師を希望してきた患者には岡本医師が施術するわけですけれども、そうではない患者、病院内で診断しか結果、小線源治療が適当だとなった患者については、成田医師が担当することにして、それを岡本医師が指導するということにしたと。そのことを岡本医師に指示したら、岡本医師は異を唱えることはなかったということだけです。『医療ユニット』の実態はこれだけです。

これについて岡本医師は「確かにそのような話はあったけれども、それなら自分自身に直接診察させてくれ。自分が診察しないのであれば責任は持てないからそういうことはできない」と言ったと述べておられます。そのことには一切ふれていなくて、河内医師が指示をして、岡本医師は異を唱えることはなかったのだから、そういう体制でやることになったのだと。いうだけのことであって、そのあと現実に多くの患者の治療について成田医師と岡本医師の間にどういうやり取りがったのか。『医療ユニット』の実態があったのか、なかったのかについては一切触れていません。これが一つです。

二つ目は成田医師は二人の患者さんのプレプランをしています。一人目の患者さんの時に自分は『未経験だとは説明しなかった』が、二人目の時に『説明をした』と主張しています。カルテには説明したと書かれている。それは後から後から書き加えられたもので、虚偽記載であると岡本医師は主張しておられます。その点についてプレプラン時に伝えたから、そのあとの原告の方々の治療が予定されていたわけですが、『こういうことにならなければちゃんと伝えていたはずである』ということが2点目。

3点目は法律上の問題ですが、万が一被告らに責任があるとしても、被告らは責任を負わない。免責されると、そういう主張をしています。これは国家賠償法という法律があります。普通の人が不法行為をして、人に損害を与えたときは、その損害を賠償する責任があります。会社などであればその使用者にも責任があります(民法715条)。行為者は709条によって責任があり、会社も個人も責任を負担するわけです。ところが公務員が公務を執行するにつき、不法行為を犯したときには国、公共団体が責任を負うんですね。そのときに公務員個人も責任を負うのかということについては、学者の間で議論があります。日本の裁判所は公務員は責任を負わないという考え方に立っています。

問題は国立大学法人で医療事故があった場合に、民法が適用されるのか、国賠法が適用されるのかということです。もし国賠法が適用されるのであれば、国ないし公共団体が責任を負うけれども、医療過誤を犯した医師個人は責任を負わないわけです。

民法が適用されるのであれば、両方(病院・医師)とも責任を負うわけです。今回国賠法が適用される事案であるから、原告の主張通りの事実があったとしても、被告である河内氏、成田氏個人は責任を負わないという主張をしていました。国立大学附属病院における医療過誤事故はたくさんあり裁判例もいくつもあります。両方適用している裁判例もありますが、だいたい民法を適用するのが普通だといわれています。だから民法が適用されれば当然個人も責任を負うとなります。被告は例外的な裁判例を引いてきて、「個人は責任を負わない」そういう主張をしてきました。

それに対して補助参加人と原告からそれぞれ準備書面を出したわけです。原告の準備書面は『医療ユニット』が形成されたと言いながら、具体的な中身は何もないのではないか、ということと『責任教授』とはどのような概念なのか明らかにしろ。それから二人目のプレプランをした患者のカルテは虚偽記載であるということ。本件のようなケースは国賠法ではなく民法が適用されるべきであること。そういう内容の準備書面を提出して陳述したところです。補助参加人の主張については竹下先生どうぞ(略)

著者注:竹下弁護士からは小線源講座は泌尿器科から独立していたこと。小線源講座設置の設置目的を根拠とした被告への反論、『責任教授』についての見解。発足当時は学長も小線源講座の独立を認めていたことなどが解説された)

準備書面の内容は以上の通りですね。そ例外にきょう行われたこととして、被告から送付嘱託の申し出がありました。1例目、2例目のプレプランをした患者ですね。2例目の方には説明をしたということが書かれている。それが虚偽であるということを参加人から証拠として提出してあるのですが、そのカルテの全体について送付嘱託をしてきました。

1例目、2例目の方は本件の原告ではないのでこれらの方々の症状は本件とは関係がないと思うし、いったい何を立証したいのかよくわからないので「必要性がない」と意見をだしましたけど、裁判所は採用された。次回期日までに出てくるだろうと思います。今後の予定については被告側は次回までにに人証の申請をするということでした。被告両名だけではなくて、学長、院長のほかそれ以外の大学の関係者。それから医学的評価についての証人も検討しているということですので、多数の尋問申請があるのかもしれません。裁判所はベストエビデンスに反するのではないかということで、ちょっと牽制をしていましたけど次回までに明らかになると思います。次回には主張のやり取りが終わって人証が決まって次々回以降本人尋問、証人尋問に入るという運びになるものと思います。以上です」

続いてこの問題を積極的に取材している毎日放送の橋本記者から、弾劾証拠や、この日の法廷の感想、仮処分決定が本訴訟に与える影響についての質問があった。ABCの浜田記者は原告大河内さんに感想を求めた。

滋賀医大への危機感を語る原告の大河内さん

大河内さんは、「長年、滋賀医大にお世話になった立場からすると、非常に信頼しておりました。今回のこの件で『こんなことがあるんだ』と。滋賀医大は医師を育てる大学でしょ。それが(患者を)医師が実験台というかモルモットという扱いをしていることに、非常に憤りを覚えました。私も危うく命を落とすところだったかなと思っておりました。こういうことがあっては今後よくないということで、訴訟に踏み切ったわけですけれども、そのあとの対応がもっと酷くなっていますね。患者の皆さんの命をを見捨てるような行動に出ている。姿勢を正してくれればいいかなと、いうつもりで始めたのですが、医大の3人組というか4人組というか、そういう人たちが変な方向に舵を切っていって、命を粗末にするようなふるまいをしている。こちらのほうが非常に危険を感じ、危機感を持っています。是非とも滋賀医大が医の倫理を取り戻せるように、我々も頑張りたいし、皆さんも一緒に頑張って頂きたいと思っております」

大河内さんのコメントの後、会場から拍手が沸き上がった。

滋賀医大に関する、訴訟や仮処分で大津地裁に足を向けるのは何回目になるだろうか。大河内さんが指摘されたように、一部の人間により大学病院全体がますますダッチロールの度合いを増しているように感じられて仕方がない。何度も強調するが、自分の生活を犠牲にしても患者に寄り添う医師や医療関係者が大多数の滋賀医大附属病院にとって、3人組もしくは4人組は、文字通り悪の権化である。

◎患者会のURL https://siga-kanjakai.syousengen.net/
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田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

6月1日、JR草津駅東口の広場を、「岡本圭生医師による前立腺がん小線源治療継続」を求める人々が埋め尽くした。患者会による集会とデモが行われ約150名が参加した。 12時30分から始まった集会では、「滋賀医大小線源講座患者会」の代表幹事の宮野さんが口火を切った。

集会に集まった患者会メンバー

集会・デモの意義を説明する宮野さん

「市民の皆さん、お騒がせしております。私たちは滋賀医科大学附属病院で、前立腺がんの小線源治療を受けた患者と、まだ、治療の予定が立っていない患者と、その家族です。滋賀医科大学附属病院には高リスクの前立腺がんでも95%以上、再発させない治療ができる、岡本圭生医師がおられます。
 ところが、滋賀医附属病院は岡本医師の治療を7月で終わり、12月には病院から追い出そうとしました。まったく患者にはわからない。まさに『白い巨塔』です。岡本医師の治療を望む患者は、裁判所から仮処分決定を頂き、7月からの手術は認められたのですが、病院は12月には『何が何でも岡本医師を追い出そう』と妨害をしてきております。
 しかし、私たちは負けません! 岡本医師に命を救ってほしいと願う患者が、今日もこのデモ行進に全国各地から参加しております。私たちは救われる命が、見捨てられようとする。この現実を断じて許すことができません。市民の皆さん、どうか、岡本医師の小線源治療が12月以降も滋賀医科大学附属病院で継続されますよう、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます」

と力強く集会とデモの趣旨を訴えた。       

鳥居さん

引き続き「仮処分勝利」によって岡本医師の治療の機会を勝ち取った鳥居さんがマイクを握った。

「私は昨年5月に人間ドックを受けた際に、数値に異常が指摘され、再検査の結果8月に前立腺がんに罹患していることが判明しました。それも高リスクの前立腺がん。目の前が真っ暗になりました。そんなときに岡本先生との出会いがありました。非再発率96.3%。『大丈夫。私が必ず治してあげるから』と岡本先生は言ってくださり、妻が帰りに『よろしくお願いします』と挨拶すると、先生は妻の目をしっかりと見ながら『こちらこそよろしくお願いします』と言ってくださいました。
 しかし、岡本先生の治療が今年の6月で終了と知らされました。せっかくつかんだ一縷の望みが消えかかりました。そこから熱い闘いが始まりました。きょうここに集まってくれている心強い仲間たち。既に岡本先生の治療が終わっているにもかかわらず、私たち『待機患者のために』と全国から手弁当で駆けつけてくれる仲間たち。ともに闘いました。
 そして5月20日私たちは11月26日まで、岡本先生の治療を延長しなさいという裁判所からの決定を勝ち取りました。その場にいた仲間たちは自分のことのように涙を浮かべて喜んでくれました。
 しかし、裁判所の決定にもかかわらずいまだ不穏な動きをやめない滋賀医大の病院長。どうしてそうなったかとの説明会見も一切実施しない無責任な対応。滋賀医大の病院長は人道主義を貫いて、患者を守ろうとしている岡本医師の治療の妨害はやめてください。前立腺がんの世界的名医である岡本先生の治療を、私たち以上に待っている待機患者の希望を打ち砕かないでください。私たちは今度は後に待っている待機患者のために、ここにいる患者会の皆とともに闘い抜くことを誓います」

と喜びと決意を語った。

宮内さん

ついでやはり待機患者の宮内さんが語った。

「私たち患者会は『岡本メソッド』の恩恵を受けたものとして、つまり『中・高リスク』の前立腺がんを患ったにもかかわらず、ほぼ100%完治し、生活に支障をきたすことなく平穏に暮らせるものとして、岡本先生の滋賀医大での勤務継続を勝ち取るべく闘っております。
 世間での誤解について、その真実をお伝えしたいと思います。(略)『しょせん大学の教授間の派閥争いじゃないの』という意見、これは間違いです。一人の医師とそれを支える患者たち。対する大学病院幹部の闘いなのです。この構造を考えていただければ答えはすぐに出ます。
 なぜ、すでに完治した多くの患者が一人の医師支えて闘うのでしょうか。岡本メソッドの素晴らしさを文字通り体験した患者たちが、『その恩恵を未来の患者さんたちにも享受していただきたい』という姿。対してその評判が自分たちの権力欲、名誉欲の邪魔になると考える大学病院の幹部たちとの闘いです。現に大学病院の幹部は違法行為で刑事告訴されております(著者注:告訴状は未受理)。このような方々にはすぐに退いていただきたいのです。
 最後に、『岡本医師は他の病院に行けばいいじゃないの。そんな優秀な先生であれば引く手あまたでしょう』という声。たしかに目の前の患者を救うだけであれば、その意見は一理あります。しかし、我々が求めるのは、人の命をないがしろにする病院の体質改善と、岡本メソッドの全国展開です。そのためには教育機関である 滋賀医科大学に岡本先生が残って頂き、全国の若手医師の指導を継続していただく必要があります。岡本メソッドの全国展開と、早期発見で、日本人の死因から、前立腺がんが消えます。そんな夢のある未来に対して闘っております。ご支援よろしくお願いいたします」

鳥居さんも宮内さんもご自身の治療は、まだであるのにすでに「未来の患者」のために日差しの強いデモ行進への参加を決められた。スピーチには立たれなかったものの、この日の集会・デモにはほかにも5月20日の仮処分により、岡本医師の治療を勝ち取られた方々が遠方からも参加されてていた。東北や沖縄からの参加者もあった。

患者会による草津駅市周辺でのデモ は1月12日に続き2回目だ。1月12日の集会とデモは真冬にしては穏やかな日和だったが、この日は湿度は低いものの、きつい大陽が照り付けた。

先頭が出発してもまだ動き出せない後尾のデモ参加者。3名のコーラーが指示しながら、デモ隊は前回と同じコースを進んだ

本音が……

滋賀医大病院に対しては、本通信でお伝えしている通り、5月20日、大津地裁で「 11月26日まで岡本医師の治療を病院は妨害してはならない」との仮処分決定が命じられている。

この決定を受け、わたしは5月23日滋賀医大に、
(1)仮処分の決定について大学としてどう認識しているか?
(2)岡本医師の新患患者の受付が止まっているが、その点どう対処するか?
(3)滋賀医大の認識・判断が根源的に間違っていた、と裁判所は判断したが松末病院長の責任をどう考えているか? 
を電話で質問した。

が、回答がなく、翌24日にメールで回答があった。内容は「決定理由を踏まえて適切に対処します」だけであった。私の質問への回答になっていないので、「社会的存在の滋賀医大には説明責任があるので記者会見を開いてほしい」旨電話で広報担当者に告げておいた。

長蛇のデモ隊に注目する買い物客たち

患者会関係者によると、個別には岡本医師の治療を希望する、新規患者の受け入れを一部再開しているとの情報もあるが、滋賀医大病院のHPでは6月1日現在そのような告知は確認できない。停止していた新規患者の受け入れを再開したのであればHP告知しなければ、全国で岡本医師の治療を待っている患者さんに、伝わらないのではないか。

この問題は、朝日新聞、毎日放送などが継続的に取材報道を続けている。毎日放送は6月30日になんと1時間のドキュメンタリーを放送する予定だという。鹿砦社も微力ながら引き続き滋賀医大問題を注視し続ける。

デモ終盤になっても熱量は衰えない

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《関連過去記事カテゴリー》滋賀医科大学附属病院問題 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=68

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

決定を前に勝利を確信して語る宮内さん

5月20日、滋賀医大小線源講座で岡本圭生医師の治療を希望しながら、病院側の一方的な通告により岡本医師の手術を受けることができない、ハイリスク前立腺がん7名の患者さんと岡本医師が「治療妨害の禁止」を求め、大津地裁に仮処分を申し立てていた事件について、大津地裁(西岡繁泰靖裁判長)は、岡本医師の申立てを全面的に認める決定を下した。

患者さんと岡本医師には、代理人を通じて「(5月)20日に決定を出す」と5月17日に連絡が入っていたそうだ。

決定の発表を控えて申立人の宮内さんは、既に勝利を前提とした心境を明かしていた。

裁判所に入る宮内さんと鳥居さん

「たぶん常識的な判断を裁判所はしてくれると思います。でもこれで終わりじゃないんですよね。文字通り『同病相憐れむ』ではないですが、我々の後に患者になられる方が、ほとんど確実に治る治療を受けたくなるのが当たり前です。そのためには岡本先生に大学に残って頂いて後進を育てていただきたいです。これはまだ一里塚で本当のゴールは『岡本メソッド』が全国どこでも不安なく享受できる姿になるべきだと思います」

これまで滋賀医大問題では行政への申し入れや、街頭活動も当初は朝日新聞を除き大手メディアは一切無視。黒藪哲哉さんが参戦していただいたころからようやくマスコミの注目が集まり始めた。

あの頃を思い返すとわたし自身、妥当な決定を確信していたが、宮内さんよりも内心、最悪のケースへの懸念が抜けなかったのが正直な心境だ。

軽快な足取りで駆け出してくる宮内さんと鳥居さん

13時30分、弁護団と申し立て患者、鳥居さんと宮内さんが大津地裁に入った。

13時36分頃、裁判所内で決定書を受け取った鳥居さんと宮内さんが、裁判所玄関から正門へ向かい駆け出してきた。

二人は朗らかな表情で「待機患者の救済認められる!」のメッセージを裁判所の外で待つ患者会メンバーと、マスコミに掲げた。

「おめでとう!」の声と拍手が沸き起こった。鳥居さんは、決定内容への質問に対して「われわれ7人だけではなく、現在岡本先生の治療を受けて手術を希望している患者の11月までの手術も認められました!」と満面の笑顔で語った。

文字通りの完全勝利であった。

笑顔で勝利のメッセージを掲げる

「裁判所は病院に強い警告を発した」と解説する小原弁護士

16時30分から教育会館で岡本医師も参加し記者会見が開かれた。弁護団の石川賢治弁護士と小原弁護士が決定内容とその意義を解説した。

小原弁護士は、決定について、「岡本医師の申立てははほぼすべて認められた一方で患者側の訴えは却下ですが、内容を拝見しますと、患者も治療を受けられる結果に変わりはありません。したがって我々から見ると、『病院が医師の治療を制限した』措置に対して『そのような制限は許されない』と裁判所が、強い警告を導いたと理解しています。前例のないケースについて画期的な判断をしていただいたと理解しております。今回大津地裁の決定に対して深い敬意を表したいと思います。特に待機患者の方々は高リスクの前立腺がんを抱えた方々です。こうした人々の治療が放置されることに対して、裁判所としても強い警告を発したといっていいのかと思います。患者に寄り添った判断をしていただいたと思います。個人的な感想ですが最近の裁判所は、ともすると大きな組織に対してはその措置を覆すことに、ためらいがちだという印象を持っておりましたが、今回の大津地裁は果敢な判断をしていただき、きちっとした患者の立場に立った判断が行われたと考えております。大学あるいは病院に、是非要請したいことは、裁判所がメッセージとして発した『患者を第一に考える』を強く受け止めていただいて、是非この決定に対しては、異議の申し立て等をせず、すぐさま7月以降治療にとりかかれるよう強く要望したいと思います」と評価した。

決定への感想を述べる岡本医師

続いて岡本医師がコメントを求められた。

「今回私の治療を頼って、全国から来られている患者さんに対して、私の治療を認めるという判断が司法からなされたことで、前立腺癌で私を受診し治療を待望し、今や遅しと待って頂いている方にとって、大変ありがたい判断をしていただいたと思っております。担当医として裁判所の適正な判断に、心から敬意と感謝を表したいと思います。今回の仮処分においてわれわれが提起した問題はなにかということは、そもそも『医療とは誰のものなのか』。『医療とは誰のために行われるものか』という、根本的な問いであります。いうまでもなく医療は患者さんのために存在し、患者さんを救うために行われるべきです。医療を守っていく立場の人間の一人として、今回、医療の秩序を守るべき決定がなされたこと今後社会的にも大変重要な意義を持つのではないかと考えます。やはり医師の使命は『患者ファースト』であり『患者さんの命を救う』ことです。それが阻害される医療環境、あるいは教育機関であっては医療は立ち行かないと思います。これを機に医療の在り方を、メディアの方・社会もしっかり考えていただいて、あるべき姿に戻していただきたい、と強く望む次第です」と岡本医師は断言した。

喜びと覚悟を語る鳥居さん

続いて待機患者の鳥居さんが感想を述べた。

「今回こういう結果になって本当に喜んでおります。弁護士の先生方には深くお礼を申し上げたいです。それ以上に患者会の皆様。『待機患者のために』と本当にいろいろなことをしていただいたことに、頭が下がる思いでございます。ありがとうございました。皆様のおかげでこういう結果を勝ち取れたと思っています。ただ個人としては喜んでいますが、11月26日ということはそれ以降のことは、まだ未定なのでその点では心配しています。というのも非常に多くの方が岡本先生の治療を受けたいという声が上がっているからです。たくさん待っておられる方のことを考えると、これからが勝負のしどころ、と肝に銘じています。治療が終わって完治しましたら、今度は患者会の方々がわたしたちにしていただいた、それ以上の行動をして、前立腺がんで苦しんでいる患者のためにできることをしてゆきたいと思います」と将来への展望も含め感想を語った。

ついで宮内さんも「患者に寄り添った命令を出していただいた裁判所に感謝申し上げます。弁護団の先生方、マスコミの方々にもお力添えを頂き、同僚といったらおかしいですが、患者会の皆さんにも、自らの治療が終わっているにもかかわらず我々患者のために動いていただいたことを心から感謝申し上げます」と感謝の念を述べた。宮内さんは続いて、決定が出る前に伺ったの同様の内容とコメントした。

このニュースは関西地方で同日の夕刻、MBS、ABC、関西テレビ、琵琶湖テレビで放送された。ところがNHKテレビカメラの姿は、裁判所前にも、記者会見の席にもなかった。また、記者会見で京都滋賀に大きな力を持つ新聞の記者は、決定の意味を意図的に薄めようとしているかのような質問を発していた。

滋賀医大がこの決定を不服と判断すれば、法的には「仮処分異議」をおこなうことができる。しかし、その行為はすなはち「司法の判断を受けても、患者に治療をさせない=命の大切さを度外視する」ものであることは理解されよう。この決定が確定し、ごく当たり前に手術を受ける権利を持つ患者さんたちが、安心した健康を取り戻す日を切望せずにはいられない。弁護団、マスメディアの誰もが口にしていたが、歴史的な決定が出た一日であった。

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田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

5月10日、滋賀医大附属病院小線源講座岡本圭生特任教授が、同大学病院泌尿器科の河内明宏教授を相手取り「有印私文書偽造」の刑事告訴を大津市警察に行った。岡本医師は代理人を立て10日14時30分から16時頃まで大津市警察内で担当の係官に情況説明を行った。

2019年5月10日付ABCニュースより

※2019年5月10日付ABCニュース(動画あり)のURLへ

弁護団長の井戸弁護士(2019年4月9日)

同時に小線源治療講座患者であった5名が「FACT-P」(生活状態調査)の「私文書偽造」(改竄)を「被疑者不詳」で同時に大津市警察にやはり代理人を立て告発を行った。患者代理人の井戸謙一弁護士によると、「2件ともまだ正式な受理はされていないが、『上司、県警本部と相談して対応を検討する』という答えだった。2時間以上にわたり詳しく話を聞いてくれた」とのことである。

数々の問題が山積する滋賀医大附属病院問題は、いよいよ民事事件としてだけではなく、「刑事事件」としての歩みを前に進めそうだ。滋賀医大附属病院よ、その大半を占める良識に満ちた医療関係者の皆さん!もう「私は知らない」では許されない。滋賀医大附属病院の将来のために、患者のために、あなた方の奮起がいま求められている。

ちなみに岡本医師や「滋賀医大小線源患者会」には、さらなる追撃材料もあるとの情報もある。

岡本医師に今回の告訴についてのコメントを求めたところ「告訴については事実に基づいて弁護士の先生方にお願いしました。それだけです。私の使命は、目の前の患者さん、私の治療を希望される患者さんの治療を実現するだけだと思っています」とのことであった。


◎[参考動画]滋賀医大による癌治療の妨害 岡本医師の妨害阻止に向けた闘い(安江博2019/2/11)

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田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

タブーなきスキャンダリズム・マガジン『紙の爆弾』5・6月合併号【特集】現代日本の10大事態

4月9日16時30分から大津地裁で患者さん4名が滋賀医大病院附属病院泌尿器科の河内・成田両医師を相手取り「説明義務違反」により損害賠償を請求した民事訴訟と、岡本圭生医師の治療を望む「待機患者」7名と岡本医師が滋賀医大を相手取り「治療妨害の禁止」を求めた仮処分の審尋が大津地裁で同じ日に連続して行われた。

この訴訟と仮処分の日に患者会のメンバーは12時半頃から滋賀医大附属病院前で抗議のスタンディングを行った。患者会は昨年末に「岡本医師の治療継続」を求める署名活動を全国で展開し、短期間に2万8千筆を超える署名が集まった。3月13日署名の現物をもって厚労省、国会議員に嘆願・陳情を行った。それと相前後して病院前での「スタンディング」による抗議活動が始まっていた。冷え込みが強い今年の冬、早朝病院前での「スタンディング」は患者さんにとって、体力的にも厳しいに違いないが、毎回20名を超える参加者が集まり「抗議活動」が続けられてきた。

この日はこれまで最大規模の約35名が病院前に集まり、晴天ながらやや寒い風が吹く中約2時間にわたり、静かに大規模な抗議が展開された。抗議行動に音を上げたのか、病院の事務室ガラス窓は、途中からブラインドが下ろされる。これまでにはなかった病院の狼狽ぶりが観察できた。

約35名が病院前で約2時間にわたり、静かに大規模な抗議を展開した

患者会アドバイザーでフリージャーナリストの山口正紀さん

15時30分からは裁判所にほど近い大津駅前で集会が開かれた。患者会代表の惠さんが「きょうも晴天です。患者会の活動はきっと幸運に見守られているのでしょう」と挨拶をして集会がはじまった。患者会アドバイザーでフリージャーナリスト山口正紀さんが最初のスピーチにたった。

「3月13日厚労省への申し入れも取材しましたが、課長は 『違法行為が確認できないと動けない』というので『違法行為が確認できなくとも、異常なことが起こっていることはわかるだろう』と発言しました。翌日(3月14日)には病院のHPで『新たな小線源治療をはじめる』との告知がありましたが、なんとそれを担当するのは、いま説明義務違反で被告になっている成田医師だそうです。まったく施術の経験がない成田医師。研修を受けた、見学をしたから大丈夫と病院はいっていますが、驚くべきことです。わたしもガンと闘っていますが皆さん共に頑張りましょう」

山口氏はこの日スタンディングから記者会見までの始終を取材されていた。

待機患者の鳥居さん

続いて待機患者の鳥居さんが「わたしには心強い仲間が居ました。ご自身の治療は終わっているのに、手弁当で全国から集まってこられる先輩方の存在です。先日病院前のスタンディングに参加していたら『君は待機患者だろう。体を大切にしなさい。私が変わろう』と言葉をかけて頂きました」と名も知らぬ患者同士の結びつきにより支えられている患者会の運動についての感想を語った。

待機患者の宮内さん

同様に待機患者の宮内さんは「裁判所は常識的に『治療継続』との判断をしてくれると信じています。しかし目的はそれだけではありません。未来の患者にわれわれ同様『岡本メソッド』を受けられるようにする必要があります。そのためには岡本先生が大学に残り、後進の医師を育ててもらう必要があります。皆さん!がんばりましょう!」と元気な訴えを行った。

そのあと、提訴原告の大河内さんと患者会代表幹事で、街頭活動のリーダーが挨拶をし、頑張ろう三唱で集会は結びとなった。到底傍聴席には入りきれない80余名の集会参加者は裁判所前に移動し開廷をまった。

患者会のメンバーが、傍聴できないひとを裁判後、記者会見が行われる教育会館に誘導する。16時20分、傍聴席の扉が開いた。法廷の最後尾にテレビカメラが準備されている。この日の裁判は「冒頭撮影」がおこなわれることがわかった。社会的に注目の高い裁判に限り、テレビ局が裁判所に申請をすれば、代表撮影が2分間許される。

傍聴席には入りきれない80余名の集会参加者が裁判所前に移動し開廷をまった

いよいよ滋賀医大附属病院、泌尿器科を発信源とする問題の数々への注目が、本格的に広がりだしたことを示す証だろう。そういえば、この日病院前のスタンディングから、従来より継続取材と放送を続けているMBS(毎日放送)に加えてABC(朝日放送)の取材陣も新たにカメラを持って現れていた。

16時30分から予定通り「説明義務違反」の裁判が始まり、原告被告双方が準備書面の弁論を行い、参加人である岡本医師の代理人も準備書面を提出した(弁論)。原告側からは、証人として、塩田浩平滋賀医大学長、松末吉隆病院長、原告の申請がおこなわれたが、裁判長は被告に対して、再度の釈明(反論)を求め、被告が5月17日までに書面の提出を行い、次回期日は6月11日13時30分からと決まった。

弁護団長の井戸弁護士

引き続いて仮処分の審尋がおこなわれた。仮処分は非公開なので、傍聴席を埋めた患者会のメンバー取材陣は、記者会見が行われる、教育会館に移動した。仮処分の審尋はせいぜい15分から、長くとも30分程度と考え、記者会見は17時30分開始の予定であったが、記者会見がはじまったのは18時15分であった。

弁護団長の井戸弁護士が会見の遅れた理由などを説明した。井戸弁護士によると仮処分の審尋についての話し合いが長引き、5月中の結論を出せと要請しているが、和解のための期日が4月19日に設けられたとの説明があった。ただし、和解についてはデリケートな内容であり、申立人との確認が必要であることから詳細な説明はなされなかった。仮処分は、早くも決定的な局面を迎えることになった。

岡本医師が会場に現れ参加者に挨拶

記者会見終了後、岡本医師が会場に現れ参加者に挨拶をした。

「本日はお忙しい中、遠方からもお集まりいただきい誠にありがとうございました。私は本日も3名の方の治療を終えて駆け付けた次第であります。私自身、唯一の願いはなんとか待機患者さんを救えるように、また、まだ私の受診すらできず待っておられる患者さんを救いたい。そのことに頑張りたいその一念であります。さて私たちは患者さんの人権や人命を守るために一緒に闘っているわけです。しかし私たちが初めて闘いをしたわけではないことを最近知ることになりました。(中略)私はこの事件を知りとても勇気づけられました。私や私の待機患者さんには既に治療を終わられ、ひたすら利他の気持ちで患者さんを救いたい。なんとかそれに行動したいという多くの方がおられることに大変ありがたく思って居ることと、本当に誇りに思っております。2015年に泌尿器科の不当行為から原告を含める20数名の患者さんを救い出した時から、私の気持ちは一切変わっていません。私はこれまで通り命を懸けて待機されている前立腺がん患者の皆様を救えるように、これからも頑張っていきたいと思いますので、引き続きどうぞご支援のほどよろしくお願いいたします」

岡本医師の挨拶のあと、拍手が鳴りやまなかった。

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▼田所敏夫(たどころ としお)
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タブーなきスキャンダリズム・マガジン『紙の爆弾』5・6月合併号【特集】現代日本の10大事態

田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

滋賀医大小線源患者会(以下「患者会」)のメンバーが、3月27日午前9時30分頃から同病院正面玄関で抗議活動を行った。

同月21日にはMBS(毎日放送)が滋賀医大附属病院の問題を特集で放送した(以下URLで放送内容はご覧いただける)。https://www.mbs.jp/voice/special/archive/20190321/

患者会は放送翌日の22日にも抗議活動を行ったが、同日は病院の通報により駆け付けたパトロールカーが、「病院から迷惑行為だ」との通報が入っていることを患者会に告げ、患者会はその時点で抗議活動を打ち切った。従来、病院前での活動には警察に使用許可を出しており、「もういい加減に病院も、警察への通報はあきらめるだろう」と患者会のメンバーは考えていたが、MBSの放送翌日でもあり、病院側はとくに神経質になっていたようだ。

27日は好天で、あたたかく入れ替わりながら常時約20名のメンバーが抗議活動に参加した。

病院前で展開された抗議活動

抗議活動に参加した待機患者のご伴侶

この日も入院中の患者さんや、診察を受けに病院へやってた患者さんなども含め病院のなかと、出入りする車両に幟で岡本医師の治療継続を訴えた(この問題の詳細は過去の記事をご覧いただきたい)

入院中に抗議活動に参加して、低体温で体調を崩された元入院患者さんも、参加され「Aさん、こんどは熱中症で倒れんとってや」と仲間の患者さんから冗談も飛ぶが、笑顔の中にも真剣さが失われることはない。通常男性の姿が圧倒的に多い「患者会」の活動だが、この日は待機患者さんのご伴侶も抗議活動に参加されていた。

MBSでこの問題が放送され、滋賀県議会でも問題が取り上げられるなど、滋賀医大附属病院に向けられる、視線はますます広がりを見せているが、滋賀医大附属病の執行部と、泌尿器科は「暴走」を止める気配はない。同病院はHPで、

滋賀医大附属病院のHPより

と4月以降に同病院が小線源治療を2名の担当医によって行うと広報しているが、そのうちの1名は、現在患者4名に説明義務違反で訴えられている成田充弘医師(被告)であることを、病院は患者からの問い合わせに答えている。

成田医師は、小線源治療の経験がないにもかかわらず(一度見学したこと、研修会に出たことなどはあったそうだが、自らが手術をしたことはなかった)、そのことを患者に告げず、小線源治療を行おうとしたことにより、現在大津地裁に訴えられ、係争中の人物だ。

成田医師はその「事件」のあと小線源治療の経験を積んだのだろうか? 少なくとも滋賀医大附属病院の中ではその痕跡はない(実態として「ない」)。では他の病院で「執刀」して経験を積んだのだろうか。成田医師は滋賀医大附属病院の専任准教授であるから、常識的に他の病院で「患者に小線源療法を行うことはありえない」と医療関係者は異口同音に語る。

これから滋賀医大附属病院の泌尿器科で、小線源治療を受けようとしている患者さんたちは、同病院の担当医に詳しく説明を求める必要があろう。

それにしても「説明義務違反」で被告のみとなり係争中の人物を、あえて問題の中心に再び据える同病院、泌尿器科の神経がわからない。違法ではないかもしれないが「異常」であることは間違いない。

患者会の皆さんはそのような理不尽を無言ながら行動で、病院前で糾弾しているのである。

病院の中から見た様子

幟のメッセージも以前よりも強いトーンに変化した。

どう考えてもおかしい。病院が自分で暴走にブレーキを掛けられないから、患者さんたちが体をはって、暴走を止めようとしている。癌に苦しみ、あるいは快癒しても、どうして、こんな春の穏やかな日和に、朝から滋賀の田舎で抗議活動を行わなければならないのか。

繰り返すが、このような暴虐は、患者さんをないがしろにするものであると同時に、滋賀医大付属病院で、まじめに患者に向きあう、多くの医師をはじめとする医療関係者への冒涜でもある。絶対に許すことはできない。

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◎岡本医師の治療を求める患者7名と岡本医師が、滋賀医大附属病院を相手取り、異例の仮処分申し立てへ!(2019年2月9日)
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◎滋賀医科大学 小線源治療患者会、集中行動を敢行!(2018年12月24日)
◎滋賀医大病院の岡本医師“追放”をめぐる『紙の爆弾』山口正紀レポートの衝撃(2018年12月13日)
◎滋賀医科大学医学部附属病院泌尿器科の河内、成田両医師を訴えた裁判、第二回期日は意外な展開に(2018年11月28日)
◎滋賀医科大学に仮処分の申し立てを行った岡本圭生医師の記者会見詳報(2018年11月18日)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

衝撃月刊『紙の爆弾』4月号!

田所敏夫『大暗黒時代の大学──消える大学自治と学問の自由』(鹿砦社LIBRARY 007)

滋賀医科大学医学部附属病院(以下、滋賀医科大病院)で岡本圭生医師による前立腺癌・小線源治療を受けた患者や治療の順番を待っている患者らでつくる小線源治療患者会(以下、患者会)のメンバー4人が、3月13日、国会議員と根本匠・厚生労働省に対して、それぞれ別個に2万8,189筆の署名と嘆願書を提出した。同病院が告知している岡本医師による小線源治療の中止を撤回させ、継続させる方向で、政界の支援と行政指導を求めた。

患者会が3ヶ月で集めた2万8,189筆の署名

本ウェブサイトで報じてきたように、滋賀医科大病院は、前立腺癌の治療で卓越した成果を上げてきた岡本医師による小線源治療を、今年の6月末で打ち切り、7月からは手術を受けた患者の経過観察だけに切り替える。新規の患者は受け付けない。そして今年一杯で前立腺癌小線源治療学講座そのものを廃止して、岡本医師を解雇する。

そのために岡本医師の治療を強く希望しながらも、順番遵守の原則で手術の予約ができない患者が増え続けている。すでに30名を超えている。手術を受けた患者も経過観察が受けられなくなる。患者会による今回の嘆願は、こうした事態の打開を求めて行われた。

嘆願メンバーの患者会、代表幹事・安江博さんは、次のように現在の異常事態を訴えた。

「一番問題なのは、滋賀医科大病院に対して他の病院から治療の依頼がきているにもかかわらず、治療を断り続けていることです。滋賀医科大病院には治療ができる岡本医師がいるし、施設もあります。治療を希望している患者さんがたくさんいるにもかかわらず治療を拒否しているのです」

紙の爆弾のグラビアを示し説明する安江さん

 

議員への陳情

◆死への秒読みの恐怖にたえる日々

岡本メソッドに最後の希望を託していながら治療予約のできない2人の前立腺癌患者も、みずからの胸中を議員や官僚に訴えた。このうち東京都在住の山口淳さんは、昨年10月に癌の診断を受けた。転移するリスクが極めて高い癌だった。

「医師に5年生存率を尋ねると、70%といわれました。最初、前立腺癌は慌てなくてもいい病気だと思っていましたが、調べていくうちにそうではないことが分かってきました。暗い気持になりました。将来のことを考えると眠れなくなり、食事もすすまなくなりました。体重が7キロ減りました。必死で治療できる医師を捜したところ、高リスクでも再発率が3%程度の治療をする病院があることを知ったのです。それが滋賀医科大病院でした。岡本先生による治療だったのです」

有名で人望に厚い医師なので、はたして初診を受けることができるかどうか山口さんは不安で一杯だった。しかし、メールを送ったところ、すぐに岡本医師から返信があり、11月に初診を受けることが決まった。

「その時は、本当にほっとしました。やっと死から脱出できると安堵したのです。食欲も、体重も戻りました」

ところがその後、2019年の6月以降は岡本医師の治療が廃止になると告げられた。一度は命拾いしたと確信したのに、無惨にも再び絶望の底へ突き落とされたのだ。
山口さんは、現在、別の病院でホルモン治療を受けながら、滋賀医科大病院が方針を見直すのを待っている。が、そのホルモン治療も2年ぐらいが限度だと言われている。死への秒読みが始まっているのである。

 

記者会見風景

◆「きちっと癌を治せる治療を受けさせて」

山口さんと同じく東京在住の木村明(仮名)さんも岡本メソッドを希望しながら手術予約ができない患者のひとりである。昨年の9月、4段階に分類される癌ステージの「2」に該当する中間リスクの癌と診断された。木村さんが言う。

「わたしの場合、高リスクではありませんが、確実に再発しないように癌を治したいという強い希望があり、いろいろインターネットを検索したところ、岡本医師の存在を知りました。岡本先生に直接メールを送り、10月に1回目の診察を受けました」

患者にとって治療後のQOL(生活の質)を度外視することはできない。たとえば前立腺癌の摘出手術を受けた場合、尿もれなどの後遺症が頻繁にみられる。癌そのものは征服できてもQOLのレベルが低くなることがあるのだ。木村さんは、QOLを重視して、岡本メソッドを求めたのだ。ところが予想外の展開になる。

「12月に2回目の診察を受けたときに、『申し訳ないが、自分が治療できるのは6月末までで、木村さんは間に合わなかった』と言われました。わたしだけではなく、ほかに何十人もそういう患者さんがいるとも言われました。初診すら病院側から拒否されている患者さんもいるとのことでした。6月で治療が中止になると、わたしも他の患者さんも困ります。きちっと癌を治せる治療を受けさせてほしいというのが願いです」

◆責任を問われるべきなのは泌尿器科の医師たち

滋賀医科大病院で、起きている異常実態の発端は、泌尿器科の医師による不適切な医療にある。2015年1月、同病院は岡本医師を特任教授とする小線源治療学講座とそれに併設する外来を開いた。ところが同講座を下部組織にすることを目論んだ泌尿器科が、岡本医師を頼ってきた患者の一部を泌尿器科に誘導。独自に小線源治療を計画し、手術の前段で不適切な医療を行ってしまった。医師らは、小線源治療の手術経験のない素人だった。

滋賀医科大の塩田浩平学長は、被害を受けた患者の治療を岡本医師に命じた。しかし、被害を受けた患者らは怒りが収まらずに告発の動きにでた。そこで患者の口を封じるために、病院は小線源治療学講座の終了と岡本医師の追放を計画したのである。本来、両者はまったく別の問題なのだが。

◆寒空の下の署名活動の果実

こうした実態について岡本医師の治療を受けた体験を持つ、原田勝一(仮名)さんは、次のように訴えた。

「本来、病院から排除されるべき人物は、不適切な医療を行った泌尿器科の教授らであって、被害にあつた患者さんを救った岡本先生ではありません。岡本先生こそ滋賀医科大病院に残って患者さんの治療を続けるべきですが、現実にはまったく逆で、泌尿器科の医師らはなんのお咎めも受けていません。患者を助けた岡本先生が逆に排除されようとしています。まったく非常識なことが滋賀医科大で起こっているのです。こうした滋賀医科大病院のやりかたに疑問を持った方がたくさんおられて、それが2万8,000筆を超える署名になったのです」

 

厚労省課長申し入れ

署名は患者が中心になって、寒空の下、3カ月という短期で集められた。駅頭などで街宣活動を繰り返し集めたのである。

署名と嘆願書を受け取った厚生労働省の北波孝・厚生労働省医政局総務課長は、「出来ることと出来ないことがありますが、 こういう嘆願があったことは滋賀医科大病院へ伝えます」と、約束した。

なお、厚生労働省への嘆願に先立って、参議院議員会館で行われた国会議員に対する嘆願では、次の国会議員の秘書が、患者会の4人に対応した。

こやり隆史・参議院議員(自民党)
足立信也・参議院議員(国民民主党)
山下芳生・参議院議員(共産党)
三ツ林裕也・衆議院議員(自民党)
櫻井 周・衆議院議員(立憲民主党)

◎患者会のURL https://siga-kanjakai.syousengen.net/
◎ネット署名へもご協力を! http://ur0.link/OngR

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▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
フリーランスライター。メディア黒書(MEDIA KOKUSYO)の主宰者。「押し紙」問題、電磁波問題などを取材している。

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