「広島県は産廃フリーパス」それを象徴する三原本郷産廃処分場の惨状

さとうしゅういち

広島県三原市と竹原市の水源地のど真ん中に広島県(湯崎英彦知事)が2020年設置を許可し、2022年秋から稼働が始まってしまった三原本郷産廃処分場(安定型処分場、事業者=JAB協同組合)。

2023年7月に広島地裁は、広島県に対して産廃処分場の設置許可取り消しを命じる判決を出しました。しかし、湯崎英彦知事は控訴。そして、24年1月に始まった控訴審では湯崎県政は業者のJAB協同組合を県側で補助参加させています。本来、県民のために業者を規制すべき立場の県が、業者と一体化して県民と敵対しています。

そうこうするうちにも、汚染水が何度も出て、そのたびに県は「指導」「警告」の行政指導を出して処分場へのゴミの搬入を止めるのですが、しばらくすると「安全が確認できた」として、再開を許してしまう。その繰り返しです。

直近では2024年11月に行政指導が行われ、ごみの搬入は停止されました。しかし、25年4月25日、県は安全が確認されたとして、汚染水の原因も解明されないまま、稼働再開を認めてしまいました。そして5月19日からゴミの搬入が確認されています。

また、福島原発事故で放射能汚染が懸念されている12の都県からのゴミが、広島県内ではこの三原本郷産廃処分場と、黒瀬産廃処分場(東広島市)に入っていることが、原告住民側の情報公開請求で明らかになっています。

こうした中、5月28日、広島瀬戸内新聞取材班は三原本郷産廃処分場許可取り消しを求める住民裁判の原告団の方のご案内で現地を取材しました。

筆者が24年7月に伺った時には、凄まじい汚染水が産廃処分場下流の日名内川を流れており、筆者が採水して舐めたところ、しょっぱい味がしました。原告団の方によると、当時の川底付近の土壌からカリウムやカルシウムなどもかなり入っていたそうです。おそらく、このあたりの物質が他の塩素系の物質と化学反応して塩分を形成していたのでしょう。

5か月間、産廃の搬入を停止したために、そうした状況は改善されている、とのことです。ただ、汚染水の原因がわからないまま、また搬入を再開しているのです。

◆展開検査もせずにバンバン捨てられる恥ずかしい実態

実際、再開された搬入の様子を見て、「だめだこりゃ」と筆者らは早速思わされました。

遠目にも法律で義務つけられている展開検査をせずにトラックからゴミをバンバン捨てている様子が見られました。

廃掃法違反です。しかし広島県には展開検査のマニュアルさえないのです。お隣の山口県も岡山県もきちんとマニュアルを整備し、山口県は抜き打ち検査を県がしているのです。

マスコミがドローンなどで、展開検査なしで捨てている様子を「現行犯」でキャッチして撮影していますが、それでも県は動こうともしないのです。

「広島県は産廃フリーパス」これが広島県の産廃行政の方針なのです。

◆水質検査もお手盛り

日名内川ではとくに24年夏にはすさまじい汚染水が流出。複数のコメ農家が作付けを断念しています。にもかかわらず、産廃処分場内の汚染水を集約して日名内川に放流する調整池の水質は検査しないそうです。

県は場内の4カ所の「井戸」(下の写真左の鉄板の下)の数値だけを定期的に測るのみです。しかも検査は予告ありです。

基準値を上回らないよう中を掃除するように指導がある始末。検査の意味がまったくありません。

こんな産廃に甘い広島を目指して全国から産廃が広島に押し寄せています。特に、福島原発事故の放射能汚染が懸念される12都県から三原本郷と黒瀬に産廃が行っていることが住民側の情報公開請求で明らかになりました。

◆三原停止の間は上安に?! やっぱり舐められている広島

また、同じJAB協同組合がかつて所有して外資系の「エクイス」に売却したものの実務を行っている安佐南区の上安産廃処分場には、このところ、凄まじい量の産廃が殺到。覆土すら行わないいい加減な捨て方で、周辺の道にビニールゴミが飛んでくるなどの惨状が、マスコミなどでも報道されています。

広島市は政令指定都市ですので、上安産廃処分場は広島市の管轄です。この上安産廃処分場についても、県も市も対応をやる気はあまりありません。三原本郷産廃処分場計画が持ち上がった時に、三原の人たちがJAB協同組合とはなんぞや?ということを勉強するために上安を視察し、汚染水に気づいて広島市に通報する始末だったのです。

また、保安林が地番を変更するというセコイ手法で解除され、その上に不適切な盛り土がされ、その上に産廃処分場が拡張されているという危険な状況です。これについては、県が、周りを囲むなどの対応をしていますが、産廃本体については市に丸投げ。そして、その市も、文書で東京のエクイスジャパンに指導するだけです。

そのエクイスジャパンは、一応、上安産廃について対応は始めていますが、6月中旬までかかるとのこと。そんなぬるいことでは、被害が拡大する一方です。三原の原告団の方は「24年11月から半年の間は、三原に搬入できなかった産廃を上安に回していたのではないか?」と推測しています。

◆竹原側にも拡張、残土を宅地開発名目で三原側に捨てる

また、現在は竹原側でも処分場の拡張工事が進んでいます。面積で言えば三原が3割、竹原が7割。本丸は竹原とも言えます。その竹原側で削った土砂を、三原側に運んで、「宅地開発」と称して、盛り土を行っている場所もあります。筆者らが取材している間にも、残土を運ぶトラックがバンバン通過していました。

失礼ながら、こんな場所にわざわざ宅地を買う人はいません。残土捨て場にするために、宅地開発と称しているだけなのです。もはや、やりたい放題です。

◆産廃無策・県民に敵対 湯崎英彦知事は御勇退を!

やはり、広島県知事・湯崎英彦先輩には御勇退いただくしかありません。2025年11月の広島県知事選挙で湯崎英彦知事の首を取り、湯崎知事から広島の水と食べ物を守る庶民革命を断行しなければ広島はゴミの山になってしまいます。
                                     また、国においても、廃棄物処理法を改正して、都道府県で産廃行政に差が出ないよう、きちんと規制を強化すべきです。現地の方は「立憲の宮口治子議員(25年1月離党)、三上えり議員にも現地に来てもらうようお願いしたが反応が鈍い。」「立憲系の県議にも連絡しているが反応が鈍い」とのことです。

目前に迫った参院選。広島県選挙区では自民・立憲の二大政党=湯崎知事の与党が2議席を独占してきました。この湯崎与党に厳しい審判を下せるかどうか?これも問われます。

◆失笑しかない立て看板

さて、三原本郷産廃処分場付近の立て看板には失笑しかありません。

広島県の湯崎英彦知事が許可した産廃処分場ならバンバン捨てていいのですよね?

その結果コメ作りができない農家続出なのですが? 将来的には下流や瀬戸内海にも悪影響が出るのですけど?そんな結果になっても何のおとがめもない。これが広島県なのです。

さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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拝啓 広島県知事 湯崎英彦先輩 大学の後輩、そして県庁での元部下として、御勇退を勧告します

さとうしゅういち

初夏の候、いかがお過ごしでしょうか? 湯崎先輩。私は、先輩のかつての部下でもあり、大学の後輩でもある佐藤周一と申します。

湯崎先輩。いきなり失礼をご承知で申し上げます。2025年11月執行予定の広島県知事選挙への立候補をおやめになるようご忠告申し上げます。

◆最初は感動したけれど……

湯崎先輩。わたしは、最初に先輩が当選された時、もちろん、先輩に一票を入れました。 「演説がうまいとか、プレゼンがうまいとかそういうことではない。子育てをしているお母さん、農業のおじいちゃんおばあちゃん、漁師さん……一人一人の広島県民の声を聞くことが出来る、そういう知事が求められている。」先輩の最終日の演説には感動しましたよ(写真右)。

湯崎先輩。先輩は、私の生まれ故郷である福山市の鞆の浦の埋め立て架橋問題について、極めてうまく捌かれたと思います。今にして思えば、他のこともあの調子で行けばよかったのです。

鞆の浦の通過交通をさばくために、鞆の浦の美しい海を埋め立てる。こんな計画は、当時反対派の福山市民だったわたしには論外に見えました。しかし、賛成派がおっしゃるように、観光客が通る狭い道を通過交通の車がバンバン飛ばすのも危険すぎるのも事実でした。

そこで、先輩は、就任早々、賛成反対両派の対話集会を開催。通過交通をさばく、という一致点を見出して、山側にトンネルを建設する案でまとめました。2025年春、つい先日、鞆未来トンネルとして結実しています。

◆尻すぼみの『こどもを大事にする』社会への価値観転換

しかし、湯崎先輩。他のことでは成果があまり上がっていないようにも見えます。先輩は、2010年には育休を取られ「子どもを育てるということも仕事同様大事にする」という価値観の転換を訴えられました。

ところが、あれから15年を経過。広島県は「子育て・家事は女性がすべき仕事」という考えの県民が全国最多の4割です。それと並行して、広島の人口流出は4年連続ワーストワンです。

人口流出についていろいろと議論はあります。給料が低すぎる。若い女性に人気の仕事が少ない。空港が遠い。いろいろ言われていますが、価値観のアップデートが遅れてしまい、若い人が敬遠するのはもちろん、一定都会で最新の価値観を学んだ人たちもUターンを躊躇されている可能性が高いのではないでしょうか?

◆本当にこどもを大事にしていますか?

もちろん、湯崎先輩ばかりの問題ではございません。しかし、15年以上も知事をされていて、もっとやりようはなかったのでしょうか? そもそも子どもを大事にしようといいながら、子どもを大事にする県政だったでしょうか?子ども医療費への補助は、全国でもワーストレベルで遅れてしまっています。

湯崎先輩。あなたは、子どもたちに人気のマリホ水族館も含むマリーナホップを事実上追い出して、東京の企業によるモビリティーパーク、そして外国人富裕層向け高級ホテルにしようとしています。

マリホ水族館

あなたは本当に、広島に住むこどもたちを大事にしようとしていたのでしょうか?こういう点が疑問に思えるのです。ちなみにマリホ水族館が県民世論の支持を背景にアルパークに復活することになりました。

湯崎先輩。貴方の見通しの誤りをこのことは示しているのではないでしょうか?

◆県民の声もスタッフの声も聴かず「暴走」する病院問題

湯崎先輩。あなたは南区宇品の県病院を潰して、JR広島病院や中電病院と統合した巨大病院をつくり、全国トップレベルの医療!小児救急!中山間地医療!などの美辞麗句を並べ立てておられます。

県立広島病院

だが、それらは本当に実現可能なのでしょうか?既に、病院を運営する法人が資金ショートで、雲行きが怪しくなっています。

さらに、県病院の職員たちは、身分が独立行政法人になることで不安を感じ、退職が相次いでいます。そして、新病院は予算不足で規模縮小となり、患者の憩いの場となる喫茶店もない、先生方の控室には先生一人一人の机もない。患者もスタッフも窮屈な病院になろうとしています。

また、広島の市街地は島で構成されています。南海トラフまで行かずとも芸予地震や直下型の岩国断層帯地震などがおきれば、橋が寸断されるでしょう。こうしたことも視野に入れれば、広島の「各島」に救急対応ができる行政直営の病院があっても贅沢とは言えません。

独立行政法人だと、災害時でもコロナのような危機時にも行政直営のようにはいきません。兵庫県では阪神淡路大震災を教訓に公的病院の再編時には基本的に県立病院に変えてきたそうです。

また、中山間医療というが、エキキタに病院が移転すれば、島しょ部の患者さんにとって不便になります。そもそも、中山間地医療は安佐市民が基本的には担っているのです。

◆当初の志『現場主義』から大きく逸脱

湯崎先輩。先輩は2009年の就任の時、県職員全員に対して以下のようなお言葉を述べられました。「知事ではなく湯崎さんと呼んでください。」「現場が第一。現場のスタッフを局長が支え、局長をわたしが支える。逆ピラミッドの組織に。」 「予算をいくら使ったかではなく、成果をいかにあげたかが大事。これからは予算は使い切るのではなくあまらせたほうがえらい。」

ところが、県病院・新病院の問題ではまったくスタッフの声も聴かず、お金を国の補助金も含めて湯水のように使おうとされていますね。

スタッフの大多数は先輩の案に反対だそうではないですか?ところがスタッフたちは声を上げられる状態ではないそうです。

湯崎先輩。先輩は15年知事をされて最初にご自身が想定したような県庁にできていないのです。これ以上知事を続投される資格はない。

◆公文書偽造・補助金不正受給・公益通報もみ消し……他人事すぎる!

湯崎先輩。西部建設事務所呉支所では、公文書偽造と補助金の不正受給がおきました。それを職員が公益通報したのですが県の人事課はろくに当事者に資料提出も求めないまま「事実は確認できなかった」などと回答し、公益通報を事実上握りつぶしていた。大変な犯罪ではないですか?!

先輩。あなたは「事実なら遺憾」とおっしゃっていましたが、他人事すぎませんか?

湯崎先輩。これとは別に本庁の主査クラスの職員が知事印を適切な上司の決裁も経ずに押印するなど多数の不適切な事務処理をしていた。公文書偽造ですが、先輩は刑事告発をみおくられた。

湯崎先輩。今の広島県はあまりにも腐敗しすぎてこの程度の犯罪を告発していたらエライことになりそうな状態なのかもしれませんね。県庁OBとして恥ずかしいし情けない。

だが、そんな県庁にしたのは15年以上知事をされていた湯崎先輩。あなたです。

◆教育改革どころか崩壊招いた湯崎先輩の肝いり教育長・平川氏

湯崎先輩。あなたが肝いりで連れてきた平川理恵前教育長。結局、高校入試をはじめ、生徒や保護者、先生の負担になるような方向にかき回しただけだった。挙句に、官製談合という名のお友達に県費で仕事をつくってあげる事件を起こしました。

そして、平川前教育長は、給与の一部返納だけで正式な処分は受けず。刑事責任も部下に擦り付けて、2024年3月末限りで東京にまんまと「逃亡」してしまいました。今も、広島で改革を成功させた!と東京でご講演して吹聴して回っておられるとか。こんな教育長を6年間頂いた広島県の教育。学校現場では先生方の不祥事が今年も高止まりで深刻です。それはそうだ。あんなことをした教育長が捕まらないのですから。

これ以外にも、人口が減っているのに、また県立大学をつくって、定員割れ(叡啓大学)など、ちぐはぐさが目立ちます。県民や現場スタッフの声をちゃんと聴いているのですか?

湯崎先輩。先輩は女性副知事の人事でも、結局は大学のご自身の後輩でもある官僚を連れてこられた。いま、広島に必要なのは、もっと、広島で地道に頑張って来られた女性・若手の力を発揮できるようにすることではないのか?島根県では県庁たたき上げ、農業や教育、土木など幅広く経験されてきた高卒の女性職員が副知事になられています。こういうところをもっと広島も見習うべきです。

◆業者とズブズブ、県民に敵対 三原本郷産廃処分場問題

湯崎先輩。あなたにはさらにがっかりしたことがあります。三原本郷産廃処分場問題です。あなたは、水源地のど真ん中に許可したこの処分場の許可取り消しを広島地裁に命じられても、控訴している。そして控訴審では業者と一体となって住民に敵対しています。

2022年秋の稼働後、23年夏からは繰り返し汚染水が流出しています。湯崎先輩。先輩は、そのたびに警告や指導で稼働を止められるが、しばらくすると安全が確認できた、として稼働を再開する。その繰り返しです。

直近でも24年11月にいったん指導を行い停止させたが、その間も、産廃処分場拡張工事は野放し。そして、業者がタンクローリーで真水を撒いて薄めさせた上で県が調査し、「安全です」といって4月25日には稼働を再開させました。

汚染水の原因すらわかっていないのに、再開させるとは何事ですか?!

どうせ、産廃が持ち込まれれば、また、汚染水が出るでしょう。湯崎先輩。いい加減に、きちんと調査をし、また住民の被害の救済要求に応じるべきです。

湯崎先輩。あなたは、広島の食材や料理のアピールを県政の大事な柱としています。それは別に構わないのですが、産廃を野放しにしていて、食材や料理が成り立つのですか?!

◆もはや、勇退しかない

湯崎先輩。最近の先輩はやることなすこと、最初の志と乖離しています。もう、今期でご勇退なさることをご忠告申し上げます。

湯崎先輩。先輩がこれ以上知事を続投されるおつもりなら、わたくしは、後輩として、元部下として、先輩の首を取りに行きます。湯崎先輩の首を取り、県民の手に広島を取り戻す庶民革命。湯崎先輩の県政から、広島県民の命、健康、水、食べ物、教育……を守る庶民革命。その先頭に体を張って立つ覚悟です。

湯崎先輩。先輩は東京系の企業や東京系の知事のお仲間中心の県政で、イエスマンに囲まれ、物事が見えなくなっているのではないでしょうか?

御勇退され、後進に道を譲られることを心からお願い申し上げます。

さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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日本共産党さん、大丈夫ですか? 党員・支持者による筆者への罵倒相次ぐ 「参院広島・仁義なき候補者選考・楾―宮口事件」にもだんまり?

さとうしゅういち

2025年5月1日、筆者は、自身が幹部を務めさせていただいている労組の系列の県労連系の第96回広島県中央メーデーに参加しました。その時のことです。知り合いの日本共産党員A氏と目があったのでご挨拶しました。

ところが、A氏は「れいわ新選組はむちゃくちゃやないか」と罵倒してこられました。「野党共闘には参加しないし、けしからんやないか」とえらい剣幕です。
筆者は、困った顔をして、こう申し上げました。

「すいませんね。わたしはネットで誹謗中傷されていましてね。情報開示請求したのです。そしたら共産党系の活動家の方(B氏)でしてな。和解して、損害賠償はいただいています。ただ、民事はそれでよくても、政治的にはそうはいきませんよ。共闘という話にはならないのではないですかね。」

A氏はさらに「いや、君も大軍拡には反対だろう。そういう大きい点ではできないのか?」とおっしゃるので、「いや、わたしもそりゃあ反対ですけど。市民運動的には個人として一緒にいろいろさせてはもらっていますよ。だけど、ああいう誹謗中傷をされたのでは選挙協力という話に組織的にはならないでしょう」とお話しすると、とぼとぼとわたしから離れて行かれました。

最近、国政ではれいわ新選組を支持する筆者に対して、リアルでもネットでも罵倒してこられる日本共産党員の方が目立つようになっています。衆院選2024でれいわ新選組の得票が日本共産党を上回ったこと。このままだと、県議選や市議選でもしれいわ新選組の候補が出てくれば、共産党議員と入れ替わりになる確率が高いのでピリピリしておられるのかもしれません。

◆「仁義なき候補者選考」立憲民主党には大甘!

さて、そんな日本共産党さんですが、立憲民主党に対しては相変わらず「大甘」です。2021年4月25日執行の参院選広島再選挙と2025年の参院選を巡り、立憲民主党は「参院選広島・仁義なき候補者選考・楾―宮口事件」を引き起こしています。これに対して、日本共産党さんや日本共産党の支持者も多い市民連合さんが抗議したという話は寡聞にして知りません。

2020年、河井案里さんの逮捕・失脚が濃厚になった段階で立憲民主党は既に候補者に「檻の中のライオン」で有名な弁護士の楾大樹先生を内定していました。楾先生は仕事をキャンセルし、いつ選挙があっても良いようにスタンバイしていました。

ところが、案里さんが当選無効になった21年2月になっても、楾先生に対して党本部から連絡はなかったのです。立憲広島は突如として、楾先生のはしごを外し、森本真治参院議員の秘書の妻だった宮口治子さんを候補者として擁立。自民党候補や、筆者・さとうしゅういちらを破って宮口さんは当選します。この間の経過については楾大樹著「茶番選挙 仁義なき候補者選考」をご参照ください。

◆宮口さんへの対応分かれた筆者と日本共産党

筆者・さとうしゅういちは、告示直前の21年4月上旬前半、宮口さんとの一本化を申し入れるメールを送っています。趣旨は「伊方原発即時廃炉を含む原発ゼロを宮口さんが飲む代わりに筆者が降りる」というものでした。しかし、立憲広島からは「宮口さんは具体的な政策が分かる人じゃないから」というお話をいただきました。これは女性蔑視でもあると判断した筆者は、交渉をあきらめ、選挙に突入したのです。

一方、この選挙で日本共産党さんは、宮口さんを支援しました。当時の日本共産党さんは、立憲民主党というだけで、自民党よりも新自由主義的な方や権威主義的な方も推薦しまくっておられましたので、驚くべき対応ではなかった。一方で、この選挙の際には、少なくない日本共産党員や支持者の方で、党の指示に反して筆者・さとうしゅういちを個人的に応援してくださった方もおられました。このことには感謝申し上げます。

他方で、筆者が立候補したことを根に持って、当時も筆者を罵倒してこられた共産党員の方もおられました。もちろん、筆者への風当たりは当然ですが立憲民主党の方が酷く、「お前は二度と俺の地域に出入りするな」と脅しの電話をかけてこられた立憲民主党員の方もおられました。

◆宮口議員が離党に追い込まれるも冷たい?日本共産党

時は流れて2024年末。2025年参院選では、改選になる議員は2人とも立憲民主党です。すなわち森本真治さんと宮口治子さん。どちらかが降りることになります。立憲広島は、宮口さんを下ろしました。そして宮口さんは、比例での公認もされず、同党に「居場所がない」と2025年1月20日、離党届を出すに至ります。その後は無所属で活動されています。

こうした中で、日本共産党さんや、市民連合さんは、あれだけ熱心に応援した宮口さんが立憲広島により「首を取られた」にもかかわらず、全くもって、立憲広島に対して、抗議もなにもされていないようです。

さて、その後、れいわ新選組を国政ではあくまで庶民派保守・無所属の立場で支持する筆者・さとうしゅういちに対して「れいわ新選組は無茶苦茶じゃないか」などと罵倒してこられる党員の方(A氏)もおられますし、ネットで誹謗中傷してこられる同党系活動家の方(B氏ら)もおられました。

そういう方々が、きちんと自分たちが応援した宮口さんをぞんざいにした立憲広島に抗議したとは聞いていません。自分たちが応援した人の行く末をきちんとフォローしない。これは無責任ではないかと思います。

昔の日本共産党さんは、割と、責任をもってフォローできない人は最初から応援もしなかったように覚えていますがいかがでしょうか。このあたりも随分変わってしまったなあと嘆息しております。

◆野党が楾先生を立てていれば問題なかった

なお、楾先生が立候補予定者だったことは、筆者・さとうしゅういちは、2023年になって初めてご本人から伺いました。楾先生が候補者なら俺は最初から出ていないよ、と地団駄を踏んだのを覚えています。

「宮口さんは具体的な政策がわかる人じゃないから」という立憲広島の幹部の方のお話が非常に印象に残っています。立憲広島としてはそういう認識だったということでしょう。

これでは、「政策がない」新党を立ち上げた石丸伸二さんのことを立憲民主党はあれこれ言えません。

きちんと立憲広島が楾先生を擁立していれば問題なかった。ただ、「共産党さんも宮口さんをあれだけ押したのに、無関心とは薄情じゃのう」と思っております。まだ、ライバルとして闘った私の方が関心を持っているくらいです。

◆野党共闘の失敗を総括せよ

日本共産党の党員や支持者の皆様。きちんと志位和夫さん、田村智子さんら幹部に対して、野党共闘の失敗をきちんと総括するように意見された方がよろしいかとおもいます。「志位さん・田村さんらの機嫌を損ねたら松竹伸幸さんや紙屋高雪さん、あるいは紙屋さんの不当解雇に抗議した元福岡県議候補の砂川あやねさんや栃木県のかぴぱら堂ご夫妻のように除名・除籍される」とおっしゃるかもしれない。しかし、そんな政党なら、それまでのことではないでしょうか?

いま、自民党はボロボロですが、代わりにウケているのは立憲民主党でもなければ日本共産党でもありません。もちろん、国民民主党やれいわ新選組も伸びてはいる。しかし、危機感を持たなければならないのは石丸伸二さんや斎藤元彦・兵庫県知事らがウケていることではないでしょうか?既存野党のだらしなさ、野党共闘の失敗が、彼らを調子に乗らせているのではないでしょうか?

さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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「広島の森友疑惑」で住民提訴! 市長が不当低価格で市有地売却、市に83億円の損害か

さとうしゅういち

◆「広島の森友疑惑」の構造

「広島の森友疑惑」ともいえる疑惑が今、広島市中心部を舞台に持ち上がっています。「市が市有地を商工会議所に不当に安い値段で売り払ったのではないか?」という疑惑で、とうとう、2025年4月、中区在住の元市議の女性と佐伯区在住の元連合町内会長の男性が松井一實・広島市長含む当時の市幹部3人、商工会議所を提訴しました。

2021年6月、広島市と広島商工会議所は広島市中区基町の広島県庁近くの市営駐車場(広島市所有)と原爆ドームの道路を挟んで北向いの商工会議所をほぼ等価交換。市所有となった商工会議所は引き続き商工会議所が使用。広島市は商工会議所から家賃を受け取る一方で、家賃とほぼ相殺される金額の管理委託費を商工会議所に支払う契約を結びました。

そして、旧市営駐車場は25年4月現在、再開発工事が進んでいます。完成すれば南隣の朝日新聞社広島支局だった建物ともつながる形で瀟洒な商業施設になる予定です。

再開発工事が進んでいる旧市営駐車場

◆県庁直ぐ近くの旧市営駐車場と商工会議所の評価額がほぼ同額という怪

筆者も広島の街がきれいになること自体に反対はしません。問題はその過程で、市民に大きな損失が出ることです。

そもそも、県庁直ぐ近くの旧市営駐車場と商工会議所が同じ価値というのが、素人目に見ても怪しすぎます。

正確に申し上げると、市の鑑定調査では旧市営基町駐車場の評価額は24億5700万円、広島商工会議所ビルは24億9100万円で、差額3400万円が市から商工会議所に支払われています。

しかし馬庭恭子元市議(中区選出、在任2003-2023)らがあらためて鑑定した結果、旧市営基町駐車場の評価額は87億7600万円、広島商工会議所ビルは20億2100万円で67億円余りの差になりました。さらに、広島市が商工会議所からもらっている家賃が低すぎること、市が商工会議所に支払っている委託管理費が高すぎることなども併せて、2025年2月4日に馬庭元市議と、佐伯区で連合町内会長を務めていた木原省治さんが広島市に対して住民監査請求を実施しました。

しかし、住民監査請求は、住民の思う通りにならないことの方が圧倒的に多いのです。今回もご多分に漏れず、監査委員のレスポンスは「却下」。それを受けて今回の裁判への提訴となりました。

木原さんは今回の行動を起こすに際し、連合町内会長を降りられたそうです。

この問題を巡っては、馬庭さんが市議を勇退された直後の2023年5月にも不当に安い賃料と委託料について住民監査請求を実施。却下されたため同年7月28日に、21年度と22年度分の不当に低すぎる賃料や高すぎる委託料につき、提訴していました。

今回は、さらに、土地・建物の取引全体にまで拡大した形で、また、木原さんという地域の住民自治組織の幹部だった方も加わる形で訴訟を提起しています。

現役の市議だった時代の馬庭さんは、無党派市民派で保守系の松井現市長に距離がある会派で活躍されていました。松井市長への厳しい質問は筆者もうならされるものがありました。市議を勇退された今、市民として、市議の経験も活かしながら、市政をただそうとされています。

◆長期政権は必ず腐る

松井一實市長は2011年に初当選後は当選連続4回。やはり、権力は腐るものです。新人同士だった2011年の選挙を除き、2015年、2019年、2023年と、圧勝してきています。そのことが驕りにつながっている感は否めません。河井事件で河井夫妻からお金をもらったとして有罪・失職・辞職した議員の多くが松井市長と距離がある自民党議員だったことも大きい。市長のブレーキ役の議員が激減してしまったのです。

「市長本人は次回も立候補する気満々らしい」との観測が有力です。その場合は「連合広島や立憲なども松井氏を推すだろう」とのことです。しかし、このまま、松井さんを勝たせてしまってよいのですか? このことを何度でも筆者は市民の皆様に問いかけます。

さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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パレスチナ・ウクライナ・アフガニスタン・イラク…… 広島と筆者の25年を振り返る〈1〉

さとうしゅういち

筆者は、2000年4月、広島県庁に入庁するため、東京から広島県内にUターンしました。

筆者は、1975年、カープ初優勝の年に広島県福山市に生まれ、東京育ち。1984年のカープの最後の日本一の年に、広陵高校出身で被爆者の先生に担任をしていただきました。この時、カープと先生の被爆体験・平和についてはしっかり叩き込まれたのを鮮明に記憶しています。

高校時代には、故郷・福山の大先輩の井伏鱒二の小説『黒い雨』に涙し、1995年に大学進学後は、広島県内の大学の先生や小学校の先生と当時ようやく普及しだしたインターネットで交流を深めました。この大学時代の1996年4月に、「地域・平和・環境・人権」をテーマに「広島瀬戸内新聞」を創刊しました。そして、将来は、広島市長か広島県知事か広島県選出の国会議員として平和な世界をつくる政治家に、と決意をしました。

そして、広島にUターンしてから25年。2011年までは県庁職員として県内各地で労働や医療や福祉などの行政に携わり、2014年までは、医療法人の事務職、そして現在は介護福祉士として介護現場で働きながら、一貫して平和活動にも取り組んできました。当然、その時その時の世界情勢に対応してきました。

筆者も今年50歳です。人生の半分である25年が経過する今、そして、カープ初優勝50年であり、被爆80周年でもある今、この四半世紀を振り返ります。

◆米国が最も「調子に乗っていた時代」

2000年代初頭は、ある意味、米国が一番調子に乗っていた時代でした。冷戦構造が崩壊し、「向かうところ敵なし」状態でした。当時はまだ中国もそこまで発展していませんでした。ロシアは、エリツィンのもと、民主化したのはいいけれど、秩序が失われ、「強盗資本主義」とでも言うべき状況で大混乱。プーチンが就任して、混乱を収めようか、というところでした。

他方で、80年代末に経済的には米国の脅威とみなされていた日本も、自滅しつつある時期でした。

米国が政治的にも経済的にも「無双状態」で「世界にリベラルデモクラシーを広げるのだ!」良くも悪くもそういう覇気に満ちていた時代でした。それを背景に、当時、本格的にグローバルに連携しだした市民に譲歩する形を取って気候変動対策とか、2000年のNPT再検討会議における核兵器廃絶への明確な約束などがされていました。ある種、米国に余裕も感じた時代でした。

他方で、民主党のビル・クリントン(任1993-2001)にせよ、共和党のジョージ・ブッシュ(息子)(任:2001-2009)にせよ、新自由主義グローバリズムを押し付け、世界各国でその矛盾が出始めた時期でした。日本でも、米国型の新自由主義二大政党へ収斂していくかに見えた。労働の規制緩和や公務員削減も含む新自由主義を競い合う状況でした。

◆911テロとアフガン戦争

しかし、2001年9月11日。米国で同時多発テロ事件が発生。これに乗じて米国は報復と称して、アフガニスタンへの侵攻を開始。タリバン政権を打倒しました。アフガニスタンは、1980年代にはソビエトの勢力圏で共産政権でした。それに対して米国が支援するイスラム原理主義者が対抗し、冷戦崩壊後には共産党政権は崩壊。結局、タリバンが覇権を握りました。

皮肉にもこれにより女子教育が後退するなど、人権が後退する結果となったのです。冷戦時代には米国は「人権」を掲げながらも「反共」のためには「人権」を犠牲にするというダブルスタンダードも平気でやってきました。その矛盾が噴出した形でもありました。

このアフガン戦争に日本の小泉純一郎政権も後方支援とは言え、自衛隊を県内の呉からもインド洋に派遣しました。〈国連PKO以外〉での自衛隊の海外派兵が恒常化するきっかけとなりました。広島瀬戸内新聞と筆者も一貫して米国によるアフガン空爆や海外派兵に反対する立場で論陣を張りました。

ただ、米国も一度は、タリバンを打倒したものの、結局泥沼化。トランプ1.0政権(任2017-2021)で撤退を決め、バイデン政権の2021年8月15日、皮肉にも大日本帝国の敗戦記念日と同じ日に米国の敗戦が決定。その後、タリバン政権になったものの、女子教育が抑圧されるなどの状況は報道されている通りです。

一体、米国は何をしたかったのか? 結果としていえば、罪なき人々が殺され、女性の人権が介入前より後退しただけではないか?そう思わざるを得ません。故・中村哲先生のように、貧困を撲滅する取り組みをまず先行させて、安定させた方がよかったのではないか?

◆ブッシュの暴走……イラク戦争と日本の追随

ブッシュは、2002年の〈国家安全保障戦略〉及び〈核態勢〉見直しで〈イラン、イラク、朝鮮〉の〈悪の枢軸〉を〈核も含む予防的先制攻撃〉で打倒する。それにより、リベラルデモクラシーと市場経済(実際は新自由主義)を広げる。そういう方向へ突き進みました。

そして、大量破壊兵器をイラクが持っていると決めつけ、2003年3月20日、英国とともにサダム・フセイン政権のイラクへの攻撃を開始しました。(実は、イラクも、元々は反イランと言うことで1980年代に米国が武器を大量に売りつけていたのです。)。しかし、大量破壊兵器は見つかりませんでした。米国こそが、劣化ウラン弾、バンカーバスターなどの大量破壊兵器を使用し、罪のない人を殺戮。今に至るまで謝罪も補償もしていません。

2003年3月28日、イラク攻撃に抗議する街頭宣伝。戸村良人さん撮影

日本も小泉純一郎政権が米英によるイラク侵略を支持してしまいました。そして、後方支援とはいえ、陸上自衛隊や航空自衛隊もイラクに派兵しました。とくに、空自は米軍の輸送にかなり〈貢献〉していました。しかし、イラクでの戦争も泥沼化。結局、オバマ政権(2009~2017)で、撤退を余儀なくされます。また、イラク、そして隣国シリアの混乱の中からISも誕生し、世界を震撼させます。

また、朝鮮(金正日氏→金正恩氏)も「イラクが核兵器を持っていないから米国にやられた」と判断。ご承知のように核武装を加速させて現在に至っています。大量破壊兵器廃棄どころか、拡散をさせてしまいました。

◆ウラン兵器禁止運動

イラク戦争に反対する中で、劣化ウラン弾=ウラン兵器禁止運動が大きくなりました。米国は、実は1991年の湾岸戦争の時にも劣化ウラン弾を使用しました。その威力は絶大で、劣化ウランの装甲をした米軍の戦車が放つ劣化ウラン弾が、鋼鉄走行のイラク軍戦車を次々と撃破。しかし、戦後、イラクでは子どもたちに白血病などが増えていました。こうしたことから、2003年3月2日、イラク戦争開戦直前に、広島市の中央公園に6000人が集まり、NO WAR NO DUの人文字をつくりました。

豊田直巳さん撮影

その後、有志で、劣化ウラン弾禁止を求める市民団体を立ち上げました。筆者も2004年にベルギーの首都・ブリュッセルで開催された国際会議に参加したほか、2006年の劣化ウラン兵器禁止を求める国際会議で事務局を担わせていただきました。

その劣化ウラン兵器ですが、2022年からのロシアによるウクライナ侵攻において、防衛側とはいえ、ウクライナが劣化ウラン兵器を使用してしまっています。もちろん、戦争総体としてみれば、先に手を出したロシアが悪いのですが、自国の国土を放射能汚染させてしまうウクライナによるウラン兵器使用には断腸の思いです。

◆憲法調査会広島公聴会……25条を軸に憲法活かせと大物国会議員らと討論

イラク戦争が泥沼化していた2004年3月15日。広島でも憲法調査会広島公聴会が開催され、筆者も公述人として意見を陳述させていただきました。https://go2senkyo.com/seijika/75891/posts/1069883

戸村良人さん撮影

中山太郎さん、故・土井たか子元社会党委員長(当時も既に社民党に改称)、公明党の斎藤鉄夫代表ら、現立憲民主党の山花郁夫議員ら、錚々たる皆様と討論をさせて頂きました。

当時は、まさに、〈国際協力〉の名のもとに、米国の戦争に参加する文脈で、強弱はともかくとして、自民党はもちろん、枝野幸男さんらいま〈立憲民主党〉の中枢におられる皆様も、憲法〈改正〉に前のめりでした。2020年代には、明文改憲そのものは後退しましたが、安倍晋三さんや岸田文雄さんらが閣議決定でなんでも決めてしまう状況があります。

以下が、同公聴会での筆者の議論の概要です。

▼現在、失業率は 5%前後となっていることを始めとして若者も中高年も失業問題は深刻であり、27 条や 25 条に反する状況である。かつて、生活保護を巡る裁判で「憲法は努力目標」という判断を裁判所が出した例もあるが、当時の経済状況であればそうした弁明の余地があり得たかもしれないが、今の日本の経済規模からすると、もはやそのような弁明はできないはずである。

▼政府は、巨額の資金を投入してドルを買い支えながら、国民のために使う金を惜しんでいる。このような歪みを正し、雇用保険の失業等給付の給付期間の延長や医療費の負担増回避などの施策により、個人消費も回復し、景気全体も回復する。「改革なくして成長なし」ではなく、「人権なくして成長なし」ではないか。

▼現在、憲法を改定しようとする動きが強まっているが、まず、その前に、政府に憲法を守らせること、そのことを通じて人権を侵害させないようにするのが国会の役目である。 ・基本的人権が保障されるためには、戦争がないことが絶対条件であり、9 条こそ今後の世界の指針であり、9 条は絶対に変えてはならない。

▼地方公聴会の開催の在り方については、もっと多くの主権者が意見を発表できるよう再考すべきである。

当時は、れいわ新選組なども存在せず、共産党や社民党が一方的に後退。米国型二大政党制が進む中で、他の護憲派の方が9条に力点を置かれることを見越し、敢えて、憲法25条の生存権に力点を置いて発言させていただきました。

◆〈忘れられがち〉だったネタニヤフ被疑者らのパレスチナ侵略

一方、この時期に、長きにわたり、平和運動の主流からも忘れ去られてしまったのはパレスチナでした。

あまりにもネタニヤフ被疑者らによる侵略が〈日常化〉してしまったのはあるでしょう。

それでも、広島瀬戸内新聞では、大阪まで出張して抗議活動を取材することもありました。

2009年1月、京都大学時代の岡真理先生。大阪にて筆者撮影

1993年にいわゆるオスロ合意で〈二国家共存〉が合意されました。だが、イスラエルでは、ネタニヤフ被疑者ら極右的な人たちの権勢が強まり、ヨルダン川西岸への〈入植〉という名の侵略を続けます。国連でも米国を除きイスラエルを非難する決議は毎回採択されるのですが、イスラエルはガン無視。ドイツを筆頭にEU諸国も口先だけは批判するが、実際には、イスラエルに武器を売るなどして同国の虐殺や侵略を支えてきました。

こうした中で、パレスチナの総選挙ではハマスが圧勝しました(2006年)。イスラエルが約束を守らないのだから、こうなるのも当然の流れです。ガザ地区では、ハマスが政権を握って現在に至っています。

イスラエル側は、引き続き〈入植〉を強化し、ガザ地区を封鎖するなど、パレスチナへの抑圧、空爆含む虐殺、入植と言う名の侵略をさらに激化させています。そして2023年の〈10.7前夜に〉至ります。

さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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広島8・6平和記念式典 パレスチナ国含む全ての国・地域『案内』へ 市長は米国忖度路線の修正加速を!

さとうしゅういち

広島市は、2025年から8月6日の平和記念式典について一部の国を「招待」するのではなく、すべての国と地域を「案内」する方針に変更しました。

松井市長は4月11日の定例記者会見で「式典の原点に立ち返ろうと考えた。式典への参列は当然、被爆者への慰霊があるが、同時にヒロシマの心への理解を深めるという視点もありこれをより明確にするべく見直しをしている」と述べました。そのうえで「紛争をしている国のどっちを呼ぶ、呼ばないというような次元ではないと伝えたい。そういうことを超えて、理想的な世界のために式典や被爆の実相を見ていただくことに尽きる」としました。

広島市は2022年以降の式典にはロシアとベラルーシを招待しませんでした。『10.7』後の2024年にはイスラエルは招待するのにパレスチナ国は招待しない式典の在り方に市内外から疑問の声が出ました。

また、2023年のG7広島サミットを前に『はだしのゲン』や『第五福竜丸』が平和教材から削除される事件も発生。さらに、原爆について米国政府が謝罪も反省もないまま、平和記念公園とパールハーバーの姉妹協定が締結されました。広島瀬戸内新聞と筆者は『米国・バイデン大統領への忖度ではないか』と疑問を呈してきました。

24年の式典は入場に当たって関所を2か所もクリアしなければなりませんでした。これについて、広島瀬戸内新聞と筆者は過剰警備・過剰規制ではないかと指摘もしました。

また、実際に行政を動かすためにネットで署名運動を提起。2024年7月30日に広島市に対して「パレスチナ国を含む全ての国を平和記念式典に招待してください」という趣旨の署名1万1524人分を広島市に提出。同年9月の広島市議会には同様の趣旨の陳情を提出しました。皆様のご署名も、広島市長を動かす背景になりました。

2024年7月30日に広島市に対して「パレスチナ国を含む全ての国を平和記念式典に招待してください」という趣旨の署名1万1524人分を広島市に提出

地方自治体としての広島市が主催する平和記念式典は、(国家の政治的意図とは一線を画し)やはり、世界中の人々と原爆犠牲者への追悼とともに核兵器廃絶・世界恒久平和への思いを共有する場である。松井市長の今回の方針転換は、その原点に戻る一歩です。改めて、署名活動にご協力をいただいた市民の皆様に深くお礼申し上げます。

被爆80周年でもある2025年。広島瀬戸内新聞は、世界最初の戦争被爆地・広島の庶民派メディアとして、核兵器廃絶、そして、ウクライナ・パレスチナを含むすべての戦争の終結と平和構築へ、皆様とともに先頭に立って参ります。

◆米国、ロシア、イスラエル、ハンガリー、朝鮮の『権威主義の五角形』、米国忖度の前提すら崩壊

筆者は、平和記念式典はあくまで地方自治体の開く行事であり、日本政府とは一線を画すべきと考えています。ただ、いまや、米国に忖度する前提も崩れているのではないでしょうか?

まず、米国こそがいま、ロシアのプーチン大統領(ICC=国際刑事裁判所が逮捕状を発行)にすり寄っています。そして、ウクライナの領土はロシアに、鉱物資源は米国にという分割を行おうとしています。

また、4月中旬にロシアのミサイルでウクライナ市民34人が死亡したとされる事件ではトランプさんは「ロシアのミスがあったと聞いている」としてロシアを擁護しています。

また、プーチン政権を批判したロシアの女性研究者の米国への再入国が米当局により拒否されるという事件も起きています。トランプさんの差し金で、プーチンさんに忖度したとみられてもおかしくはない。

既報の通り、こうした中でロシア軍の撤退を求める国連総会決議にはロシア、ベラルーシだけでなく、イスラエル、米国、ハンガリー、朝鮮(金正恩さん)も反対しました。ロシア肩入れという意味でこれら米露イスラエルハンガリー朝鮮という五角形の連携ができつつあります。こうした中で日本政府も米国忖度の大義名分を失いつつあります。一方、中国やインドはウクライナ問題に関する決議ではロシアに配慮はしているものの、欧州やウクライナが出した決議には反対もせず、棄権としています。米国こそ、親イスラエルに加え、最大の親露国家となっています。

なお、ウクライナのゼレンスキー氏は、10.7当初はネタニヤフ被疑者を全面支持していましたが、ネタニヤフ被疑者に完全にはしごを外された形です。ともかく、米国に忖度してロシアを除外、という大義名分は失われました。

◆欧州のイスラエル寄り姿勢に変化

一方、イスラエルは、2023年10月7日のハマス政権による攻撃に対する反撃すると称してガザで5万人以上の子どもを含む市民を虐殺。ただし、イスラエルは10月7日以前も、毎日のように、どこかでパレスチナ人の家を燃やし、畑を奪い、車を壊す。そんな暴挙を続けていたのです。

そして、2025年1月にはいったん停戦合意がされたものの、イスラエル側は3月には侵略・虐殺を再開し、停戦合意を崩壊させました。また、イスラエルはシリアやレバノンにも攻撃を繰り返しています。

イスラエル首相のネタニヤフ被疑者は、国際刑事裁判所から逮捕状が出ています。こうした中で、バイデン時代にすでにイスラエルの侵略反対のデモをしていた学生への弾圧は始まっていましたが、トランプさんがそれをさらに強化しています。

4月15日現在、米国永住権獲得済みの留学生や研究者がイスラエルを批判しただけで拘束されたり国外追放になったりしています(当事者が裁判で反撃中)。こうした中、以前は、イスラエル寄りだった欧州が次々とパレスチナを国家承認する動きを見せています。2024年のアイルランド、ノルウェー、スペインに続き、2025年6月にもフランスがパレスチナ国を承認する予定です。

◆トランプ関税で広島も『被害』

また、対中輸入に対する125%に加え、日墨加が主の自動車もトランプ追加関税の対象です。台湾が主な米国にとっての輸入先である半導体もトランプさんから『台湾の工場を米国に移せ』と要求される始末です。

トランプ氏は安全保障を盾に、日本や台湾に無茶な要求をする可能性は今後も高い。日本に対しては米国製の武器をもっと買え、というのがメインになるでしょう。ただ、日本や台湾、あるいは韓国もビビってはいけません。かつて、1980年代から90年代にかけて、日本は自動車や半導体などで米国に大幅譲歩しました。しかし、米国が『コラえて』くれたでしょうか?答えはノーです。エスカレートするだけでした。

そもそも、日本や韓国が米国製の武器をたくさん買っても中国と本気で軍拡競争になったら勝てるでしょうか?冷静に考えて答えはノーでしょう。また、台湾についても、半導体産業が台湾に集積している限り、それを破壊するような武力侵攻など愚かな真似はしないでしょう。

そもそも、長期的な西洋の没落の流れがあるのに、特に地元の岸田総理の時代、G7広島サミット開催があったにしても、米国に忖度しすぎていました。『米国忖度路線』が変化することを期待するとともに、過剰警備・規制など式典の在り方やパールハーバーとの姉妹協定関連事業についても、引き続き注視します。

さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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マツダ車にも25%のトランプ関税! 広島はG7サミット以来の「米国忖度都市」から引き返そう!

さとうしゅういち

日本時間の2025年4月3日、米国のトランプ大統領は、米国製以外のすべての自動車に25%の関税をかける、と発表しました。また、日本など(米国にとっての)諸外国は「非関税障壁」で米国からの輸入を妨害していると決めつけ、「相互関税」と称して自動車以外についての完全を一方的に決定しました。対中華人民共和国が34%、対台湾34%、対日本24%、対EU20%、対イスラエル17%などです。

広島でも例えば、米国に日本から輸出されるマツダ車にもマツダの米国工場が日本から輸入する部品にも関税がかかることになります。

◆米国自身が最終的には打撃を受ける

ただ、そもそも、米国はIT関係や宇宙関係、農業や金融は別として、多くの産業が空洞化しています。いまさら、輸入品に関税をかけたとしても、米国産業が復活するとは思えません。そもそも関税は米国に輸出する日本企業が払うものではなく、米国の輸入企業が払い、最終的には米国の消費者が負担するものです。

米国政府の税収は増えるでしょうが、凄まじい物価高騰で米国の消費者が打撃を受けるだけです。

◆トランプ体制永続化へ、関税でパフォーマンス?

1980年代末の冷戦構造崩壊後、米国は、ブッシュ父─クリントン─ブッシュ息子の歴代大統領が約20年にわたり、自由貿易を金科玉条としたグローバリズムを進めてきました。それによって、一部の米国の大金持ちが儲かったのも事実ですが、多くの庶民が格差拡大で取り残されてしまいました。それに対する不満が強まったのが、2008年のリーマンショックで、民主党のオバマ大統領は格差是正を掲げて当選。ところが、十分な成果が上がらず、2016年の大統領選挙でトランプさんがいわゆるラストベルトの労働者層の支持も集めて当選。

ただし、一期目のトランプさんが思ったほどの成果がなく、2020年の大統領選挙では民主党のバイデンさんに大統領の座を奪われてしまいました。しかし、2024年大統領選では、バイデンさんの途中リタイヤという民主党側のアクシデントにも漬け込む形でトランプさんが復活。効果が本当にあるかどうかは別として「グローバリズムに対抗しているパフォーマンス」として関税があるのではないでしょうか?

ただ、合衆国憲法上、トランプさんは三期目の大統領にはなれません。だからパフォーマンスの意味はないように見えます。しかし、次はトランプさんが副大統領として立候補し、大統領には当選後すぐにやめてもらい、トランプさんが昇格という抜け穴を使うのでは?という説もあります。トランプさんは、イスラエルのガザでのパレスチナ人虐殺を批判した外国人学生への弾圧も強めています。令状なしでいきなり拘束された外国人研究者もおり、事実とすれば中国等よりも酷いと思われる状況が一部で生じています。こうした『独裁』はいずれ、『トランプさんたちが気に入らない』米国人に対しても向かうでしょう。そうした独裁体制を続けるためにも、関税で求心力を高めることは必須なのかもしれません。

◆G7広島サミットで「忖度」も米国に完全にコケにされた広島

広島市では地元選出の岸田文雄総理(当時、爆心地の広島1区が選挙区)が主導して2023年にG7広島サミットが開催されました。このころから、広島の米国への忖度が加速しているように思えます。具体的には、2023年度から平和教育の教材から「はだしのゲン」や「第五福竜丸」が削除されています。

サミットで採択された「広島ビジョン」は西側のみの核兵器保有を正当化し、核兵器の先制不使用にすら踏み込まない、西側、特に米国のご機嫌取りの文書でした。

また、サミット後には当時のエマニュエル駐日大使が主導する形で広島市=平和記念公園と米国政府=パールハーバーの姉妹協定が結ばれてしまいました。米国はいまだに、原爆投下への反省も謝罪もありません。しかし、この姉妹協定で『米国は広島に原爆投下を許してもらった』というイメージを広げてしまっています。

2024年8月6日、平和記念式典でエマニュエル駐日大使に頭を下げる松井一實広島市長。同大使SNSより

さらに、広島市は2022年2月のロシアのウクライナ侵攻開始以降、8.6の平和記念式典にロシアとベラルーシを招待していません。原爆を投下しても謝罪も反省もない米国や、2023年の〈10.7〉以降、パレスチナ人の虐殺を加速させているイスラエル、日本とは正式な国交のない朝鮮(金正恩氏)は招待しているのと比べても奇異に映ります。パレスチナ国を招待していないことと併せ、米国忖度と言われても申し開きは出来ますまい。2024年の8.9平和祈念式典にイスラエル招待は見送り、パレスチナは招待した長崎市と比べても、異常です。

だが、これらの『忖度』にもかかわらず、2024年5月には、当時のバイデン政権が臨界前核実験をしていたことを公表。そして、トランプ政権に交代してからは、マツダ車に25%の関税をかけられてしまいました。まさに、踏んだり蹴ったりです。

◆ロシア・イスラエル・ハンガリー・朝鮮との「権威主義の枢軸」へ突き進む米国

既報の通り、ウクライナ和平では、トランプさんはロシアのプーチン大統領の肩を持っています。そして、欧州やウクライナが提出しているロシア軍の撤退を求める国連総会決議案にロシア、米国、イスラエル、ハンガリー、朝鮮が反対をしました(欧州や日本は賛成、インドや中国、アラブ諸国の多くは棄権)。独裁的な体制のことを「権威主義」とも言いますが、まさに、米国はロシアやイスラエルやハンガリー、朝鮮など「権威主義」の国とお仲間になったのです。もはや、建前であっても自由や人権の側に立つ米国政府は存在しません。

◆広島は米国忖度路線から脱却を、日本政府は冷静に対策を

広島市や広島県は、今回のトランプ関税を契機にサミット以来の米国に忖度する路線を卒業するときです。米国は、甘い顔をすればするほど、結局増長するだけ、ということは皆様もお分かりになったと思います。核兵器廃絶については、ここ2、3年のような米国政府に忖度する姿勢は捨て、平和首長会議加盟の世界の自治体やNGOなどとの「横のつながり」を重視しようではありませんか。

他方で、筆者は米国に報復を!という論調に対しても慎重です。米国についてはなるべくスルーし、その間に、日本自身の立て直しに全力を尽くすべきです。

まず、第一に、日本政府は財政出動により、日本国内産業への打撃を押さえるべきです。また、減らしすぎた大学予算を見直しなどして研究開発を活性化していくべきです。日本政府自体、非正規雇用増加など、この30年ほど、企業が労働者の給料を減らすことに依存するようになる政策をずっと続けてきました(1995年の日経連の「新時代の日本的経営」)。今回の関税騒ぎを契機に、改めていくべきです。

第二に、日本としては、行き過ぎた自由貿易至上主義、あるいはグローバリズムがトランプ政権という化け物を生んでしまったことの反省に立ちつつ、トランプ政権とは違い、公正な話し合いでグローバリズムからの転換する方向性を提案すべきです。

第三に、中国・インドやいわゆるグローバルサウス諸国との関係強化です。米国がロシアや朝鮮と「お仲間」になりつつある中、どこもかしこも「敵」に回してしまえば日本は「詰み」です。その状態では、日本がいくら軍拡をしようとも追いつきません。そもそも、米国自体が中華経済圏全体(大陸・台湾双方)に高関税をかけているのです。米国に頼らない国際経済体制作りというところでは一致点が見いだせるのではないでしょうか。

さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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低賃金で人手不足、過重労働の悪循環の介護現場 筆者も肩に激痛! さとうしゅういち

3月29日朝、筆者は右肩の激痛を含む広範囲の痛みで体が動かなくなりました。急遽、勤務先に電話をし、夜勤明けの上司に報告して、休ませてほしいと伝えました。たとえ、タクシーで職場までたどり着いたとしても、とてもではないが仕事になる状況ではないからです。

少し痛みが治まった段階で土曜日の午前中の診療時間ギリギリに近所の病院へたどり着き、レントゲンを撮影してもらったところ、肩の骨が真っ白になっていました。いわゆる「関節炎」ですが、激しく腫れていたのです。

4月1日には筆者も仕事に再び出ましたが、肩が痛い状態は予断を許しません。

広島瀬戸内新聞ニュース3月29日号で苦痛に顔面を歪める筆者

◆動けなくても「見守りだけでも」という状態

弊社でも、世間の介護事業所のご多分に漏れず、このところ退職者が相次ぎ、人手が不足している状況です。日中は本来3人ですべき仕事を2人でなんとか繰り回している状況です。こうしたことも筆者の疲労蓄積の背景にありました。

ただ、こうした状況で誰かが休めば大変なことになります。筆者が休んだために、11連勤になってしまった人がおり、恐縮です。筆者も上司からは「先日は仕方がなかったが、今後は、たとえ仕事ができなくても、見守りだけでも来ることも検討してほしい」と言われました。

◆執行体制確保に責任を果たさない政府

とはいえ、そもそも、こうならないように余裕を持った業務執行体制を組む責任は経営者にあります。さらに言えば、介護保険制度は、日本国政府が法律で定め、それに基づいて市町=地方政府が保険者として執行する制度です。きちんとした執行体制を経営者が組めるように政府が制度を設計し、予算措置すべきです。市町も運営主体の保険者として努力すべきです。

都道府県は、市町が足りない部分で、国がなかなか腰を上げない部分については、市町を支援しつつ国を突き上げていくべきです。だが、現実には、そうなっていない。だから、こういうことになるのです。

◆世間の物価上昇・賃上げに追いつかず

岸田文雄前総理は、2021年の自民党総裁選および衆院選において、「賃上げ」を一丁目一番地とし、特に介護や保育などのケア労働者の給料アップに力を入れると公約。2022年は、期待ほどではないが一定程度それを守ってくれはしました。しかし、物価上昇も、また他業種の賃上げもはっきりしてきた2023年は、さらなる追加の手立てがありませんでした。

2024年は3年に一度の介護報酬改定の年であり、一定の対応がされました。しかし、平均2%、月6000円のアップではあまりにもショボすぎた。しかも、これはあくまで平均であり、中央値で見ればそんなにもらっている人はいない。さらにこの2024年度の介護保険法改定では訪問介護については、介護報酬本体の一律カットが強行されました。これにより、賃上げなど難しい状況になった事業所も多くあります。若い人がそんな希望のないところに来るはずもなく、訪問介護の従事者の高齢化はさらに進みました。

この年、全産業平均では5.33%という賃上げが行われるも、介護はそれに取り残されてしまいました。岸田政権一年目でせっかく縮小しかかった全産業平均との差が拡大。現場での退職が急増しています。

しかも、近年では、「金を払っているのだから」と、何でもかんでも事業所側に押し付けてこられるご利用者のご家族も少なくはありません。いわゆるペイハラ、カスハラです。職員たちも「そんなにおっしゃるならご自分で見られたらいかがですか?」と言い返したくなるのを押さえています。

また、最低賃金が引き上げられる中で、基本給が最低賃金に満たず、国からの処遇改善をあわせようやく最低賃金超えという事業所も多いのです。そういう事業所から最低賃金引き上げに応じて賃上げした事業所にどんどん職員が移動していく状況もあります。

介護職員が辞める時は「家庭の事情」などを理由にするのが定番です。だが、周囲もそんな理由を本気にする人はいません。「賃金が低すぎるから他所へ」というのが本当のところだし、そのことで、退職した人を責められません。

この状況をこれ以上、放置すれば、まさに介護「戦線」の完全崩壊となります。そうなれば、現役世代にも悪影響が及びます。いわゆるヤングケアラー、若者ケアラー、ダブルケアラー(子育てと介護)そしてビジネスケアラー(仕事をしながら介護)の問題が深刻化します。

◆ショボすぎる石破政権

石破政権は今通常国会で正規の介護職員平均で5.4万円の給付をする補正予算を成立させています。他方で野党第1党の立憲民主党は1万円の賃金アップ法案を出しています。

だが、どちらも「ショボすぎ」ます。せめて、ここ2,3年の全産業平均の賃金アップの遅れ分を補償するくらいの勢いがなければ、生活が成り立たずに辞めていく職員が増える一方です。れいわ新選組の「10万円アップ」を暴論とされる方も少なくはないですが、そこを最終的に目指すくらいの勢いで取り組まないと、大変なことになります。もう限界です。

広島県知事の湯崎英彦さんにも申し上げたい。県内の介護保険の保険者=市町で介護崩壊が食い止められないのなら、県が国の制度改正までのつなぎとして、バックアップをすべきではないか?

だが、湯崎知事は、大型箱物や啓発イベントなどには熱心ですが、現場が潤うような支援には後ろ向きです。湯崎英彦知事よ。あなたは、巨大病院建設にご執心のようですが、それよりまえに、介護の現場で働く職員に直接行き届く支援をすべきではないですか?

筆者は、広島県庁職員時代(2000-2011年)に、主には山間部や島しょ部の医療や介護事業所の指導をさせていただいた時期が長くありました。介護職員の皆様のお給料を見せていただき、「若造の公務員の俺より、現場の皆さんのお給料がこんなに低くて、これでいいのか?」「日本は将来大丈夫なのか?!」と衝撃を受けるとともに憤りを覚えました。

筆者は、今後、広島県知事としてであろうが広島市長としてであろうが、広島地盤の参院議員としてであろうが、県庁職員時代の憤りと、介護福祉士として体験したことを絶対に忘れず、高齢者・障がい者もご家族も安心して過ごせる、そしてサービス提供者も安心して働ける広島・日本へ体を張って取り組んで参ります。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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選挙ポスター規制法成立、NHKではなく日本のデモクラシーをぶっ壊す立花孝志さん さとうしゅういち

3月26日、公職選挙法改正案=選挙ポスター規制法案が賛成多数(反対はれいわ新選組とNHK党のみ)成立しました。この法案は「品位を損なう内容を記載してはならない」とする品位保持規定を新設し、特定商品などの営業を記載した場合は100万円以下の罰金とする、としています。

とりあえず、ポスター規制法で今夏の都議選や参院選の様子を見て、いわゆる「二馬力選挙」(後述)やSNS規制などについても議論していくことになります。

◆東京と兵庫の知事選挙で〈暴走〉する立花さん

この法案は、言うまでもなくNHK党党首で元参院議員の立花孝志さんによる東京都知事選挙2024や兵庫県知事選挙2024での「暴走」が背景にあります。

東京都知事選挙では、立花孝志さん率いるNHK党は有力女性格闘家らに対してポスターの掲示枠を「販売」したり、元同志の誹謗中傷とみられる内容をポスターに掲載したりしました。

また、兵庫県知事選挙2024では、立花さんが県議会の不信任決議で失職した斎藤元彦・兵庫県知事を援護すると称して立候補(いわゆる二馬力選挙)。2024年3月に斎藤知事によるパワハラなどを内部告発した後、7月に渡瀬元県民局長を誹謗中傷する内容の選挙ポスターを公営掲示板に掲示しました。

広島瀬戸内新聞関西支局の鈴木記者撮影

さらに立花さんは、兵庫県議会の百条委員会の奥谷委員長や丸尾牧議員、竹内英明議員らをSNS上で攻撃。これに影響された人々がこうした議員を誹謗中傷する投稿をしたり、奥谷委員長の自宅前に押し掛けたりしました。

その後、竹内議員が誹謗中傷に耐えかねて議員を辞職しても、立花さんらによる攻撃は続き、2025年1月18日に竹内さんは亡くなりました。そうすると、立花さんは「竹内元議員は逮捕予定だったことを苦に自死した」などとSNS上で発言。村井兵庫県県警本部長は県議会で「竹内議員を被疑者として事情聴取する予定もなければましてや逮捕の予定などもない」と立花さんの発言を否定する異例の事態となりました。

立花さんはその後も、泉大津市長選挙や千葉県知事選挙2025にも立候補。千葉県知事候補なのに兵庫県で兵庫のことを演説したり、財務省前で演説したり、暴走を続けています。こうした中で、立花さんが襲撃される事件も発生しました。
 
◆規制を支持する世論は理解できるが……

立花さんのこれだけの〈暴走〉を見ると、規制やむなしと言う世論は理解できます。

筆者も実は、竹内元議員とは2003年夏に名刺交換をさせていただいています。当時、姫路市議だった竹内さんが、筆者が参加する環境団体の勉強会に参加された際のことです。

瀬戸内海の環境問題についての講義を熱心に聴いておられる様子が、印象に残っています。竹内さんは立憲民主党系会派の方、筆者はどちらかと言えば立憲民主党は好きではない人間ですが、それでも、筆者は竹内さんについては、個人的にはリスペクしています。そんな真面目な竹内さんを追い込んだ立花さんやその支持者の皆さんによる誹謗中傷は許せないという思いは少なくとも広島県内では誰よりも強いと思っています。こういうことを防ぐための手立ては必要だという思いは強くあります。
 
◆規制強化には忸怩たる思い

ただ、国政選挙も含めて立候補経験のある筆者は、規制強化には忸怩たる思いがあります。なぜか?

2021年参院選広島における筆者とポスター

例えば、今回の規制が、今後は権力者に都合が悪い内容、例えば現職の政策への批判や対案まで誹謗中傷=品位を損なう=として規制される道も開きかねないからです。

実際、筆者は、普通に街頭演説で政策を訴えただけなのに「現職の先生に文句があるのか?!」などと、有権者にすごまれたこともあります。普通に政策を訴えることも、誹謗中傷と同じだと受け止めてしまう人もおられるし、そういう人が、権力側から権力に批判的な政治家を潰すために、ポスター規制法や、今後出て来るであろうSNS規制法案なども悪用するのではないか?と危惧しています。

◆治安維持法とセットだった公選法

そもそも日本の公選法は1925年、ちょうど100年前に男性普通選挙導入時に戦前の治安維持法とセットで出来たものです。おおざっぱに申し上げれば、高すぎる供託金制度やその難解さも含め、「庶民がえらい人に刃向かえない」ように設計されているのです。

1945年の第二次世界大戦敗戦に伴い、治安維持法は廃止されましたが、公選法はほぼそのままになっています。

それどころか、約30年前には選挙管理委員会主催の公開討論会がなくなるなど運用が改悪さえされています。

本来は、こうした難解な公選法をむしろ簡素化して、庶民の政治参加へのハードルを下げるのが筋と言うものでしょう。例えば、供託金の引き下げは、カネがかからない政治にするためにも必須です。被選挙権年齢の引き下げは結構ですが、それなら供託金を引き下げるなどしないと、政治に若者は参加しにくいのには変わりがないでしょう。

◆規制強化を招いた立花さんの大罪

しかし、立花孝志さんの「暴走」により、「規制強化」の世論も高まってきます。今後も立花さんが暴走すればするほど、例えば、斎藤元彦・兵庫県知事のファンの方は大喜びするでしょうが、大多数の国民は、規制強化やむなし、へ向かうのではないか?

だが規制強化は、デモクラシーのいわば、自殺にもつながりかねません。

立花孝志さんや立花孝志さんの尻馬に乗ってデマを振りまいた方々の罪は誠に重いといわざるをえません

◆警察やマスコミも立花さんを甘やかすな!

これ以上、警察もマスコミも立花孝志さんに甘い顔をしてはいけない。選挙期間中であっても、例えば、立花さんが嘘の情報で警察の業務を妨害したなら躊躇せずきちんと立件すべきでしょう。「竹内元県議が逮捕予定を苦に自死」?! こんなデマを訂正したのは良いのですが、これこそ、きちんと偽計業務妨害罪で立件すべきでしょう。

警察は、かつて、鹿砦社の松岡社長の不当逮捕や関西生コン労組の不当逮捕などを繰り返してきました。それらにくらべれば「立花逮捕」は、「無量大数」倍、正当ではないでしょうか?証拠隠滅の恐れはないにせよ、東谷義和=ガーシー氏のように海外へ高飛びした先例はあります。逃亡の恐れはないとは言えない。

またマスコミも立花孝志さんや支持者の手口の問題点を臆することなく報道すべきです。

よく、立花さん=ニューメディア VS オールドメディアと言われていますが、いわゆるオールドメディアだって、立花さん=NHK党を甘やかしてきたのです。

筆者自身の経験ですが、参院選広島再選挙2021では、筆者の方がNHK党の候補より得票が多かった。にもかかわらず、某地元メディアは、選挙後の報道で、NHK党の候補の名前を先に報じたことがありました。普通は得票順なのに。無所属ですがきちんと県内で選挙活動した筆者よりも、政党要件がある政党の候補だからとそれだけでNHK党や立花さんを優遇したのです。いわゆる立花信者の方はえらくマスコミに批判的ですが、あなたがたは十分、マスコミに優遇されてきたよ、と申し上げたい。逆にマスコミの皆様は猛省してほしい。

「自民党をぶっ壊す」と言ってきた小泉純一郎さんが日本をぶっ壊したように、立花氏は日本のデモクラシーをぶっ壊しつつある。

また、たかが立花、とまだ軽視しておられる方も少なくないかもしれません。だが、立花氏の発信が斎藤陣営の「軍師」折田楓社長と相まって、大きく兵庫県知事選挙の情勢を動かしたのは間違いない。いまだに立花氏の言うことを信じ込んでいる人が、多くおられる。外国の例で言えば、ヒトラーなど最初は誰も相手にしていなかった。米国で言えばトランプさんなんて誰も相手にしていなかった。だけど、今や大統領になって連日のように世界を振り回しています。

気が付いたら取り返しのつかないような事態にならないよう、立花氏については注意を喚起する一方で、規制強化についても忸怩たる思いがあることをここに表明します。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
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暴走する湯崎県政! 跡地利用はコンセプトがブレブレ!「マリーナホップ」は存続で良かった疑惑が深まる さとうしゅういち

広島県の湯崎英彦知事は、広島市内で唯一の水族館だったマリホ水族館や同じくし内唯一の観覧車を含むショッピングモール「マリーナホップ」(広島市西区観音新町地区)との県有地契約を2024年度限りで打ち切り、後継の施設を東京の自動車用品会社「トムス」に造らせようとしています。

◆波乱続いたモビリティーパーク案

そのトムスの案ですが、モビリティーパークといって、車やバイクなどの乗り物をテーマとした施設にする予定でした。ところが、この案については、当初から波乱続きです。マツダやトヨペットなど地元の大手企業がメインから引いています。なぜ、大手が引くのか?それは、「見通しが不透明」だからではないのか?

また、中国新聞社がこの問題について情報公開請求したところ、「企業秘密に当たる」などという理由で黒塗り文書が公開されるなど、不透明な湯崎県政の対応が続いてきました。

◆温浴施設に外国人富裕層ターゲットのホテル?

そして、このほど、2025年2月定例県議会において、県当局は、修正案を議会側に提示してきました。それは、モビリティーパークに加えて温浴施設、そして主には外国人富裕層をターゲットとしたホテルを加えるというものです。

しかし、冷静に考えると、西区観音新町地区から例えば原爆ドームを含む平和記念公園からは少々遠いのです。純粋に商売だけを考えれば、世界遺産である宮島や、中区の平和記念公園、あるいは広島駅周辺なら外国人富裕層向けのホテルは成り立つでしょう。それ以外の成功例で言えば、いま「時の人」となっているウクライナのゼレンスキー大統領たちがG7広島サミットで利用した南区元宇品のグランドプリンスホテル広島があります。しかし、グランドプリンスホテル広島の場合は、原生林に囲まれ、海に面した窓からの景色も極めて良好です。工業地帯だったマリーナホップ跡地とはくらべものにもなりません。

◆コンセプトがブレブレ

そもそも、コンセプトが異なる色々なものをぶち込んでも、上手くいかない。車やバイクに興味が薄い層も取り込む、というが、逆に、ピンボケしかねないのではないでしょうか? 近年では商売でも選挙でも、良いか悪いかは別にして「ハッキリした」会社や政党・政治家が(購入先・投票先としても就職先としても)ウケる傾向が顕著にみられます。

◆これなら、マリーナホップ存続で良かった

はっきり申し上げます。こんなことなら、マリホ水族館や観覧車を中心にマリーナホップを存続させた方が、広島県民のためには「より少なく悪い」選択肢だったのではないでしょうか? 確かに、広島市内にショッピングモールが他にも増えた中で、苦戦はしていた。しかし、マリホ水族館は、広島市内では唯一の水族館でした。観覧車も含めて、子どもと一緒に安心して遊びに行ける場所でした。筆者には子どもはいませんけれども、広島市内には意外と子ども・若者が安心して遊べる場所は少ないのです。そういうことと、子ども医療費の助成が全国と比べても遅れている。このあたり「も」人口流出の背景の一つになっているのではないでしょうか?

マリホ水族館(筆者撮影)

◆インバウンド重視の暴走は広島の水・食べ物を台無しに

今、広島県内も広島市や廿日市市を中心にインバウンドブームに沸いてはいます。廿日市市の本土側では大規模なリゾート開発工事が進んでいます。しかし、その現場から大量の土砂が流出。今年は恒例のカキ祭りが中止になるほどカキが不作でした。因果関係は不明ですが、きちんと調べる必要があるのではないか?一方、廿日市市の宮島側でも包ヶ浦自然公園に富裕層向けのホテル誘致が計画されています。そして、住民から懸念の声が亜上がっています。

※宮島包ヶ浦自然公園のホテル誘致計画を白紙撤回してください
https://voice.charity/events/2476

こうした声を無視して市は開発を推進し、県はそれを許可して良いのでしょうか?カキの養殖に悪影響が出れば、広島県が進めてきた広島食材や料理のPRも根底から崩れます。立ち止まることが必要です。

◆「東京・関東の煌びやかさ」ばかり重んじる湯崎県政の限界

湯崎英彦・広島県知事は2025年、4期16年目の最後の年を迎えています。湯崎さんは就任当初は、不十分だった情報公開などに積極的だったし、筆者も期待して湯崎さんに一票を入れました。

しかし、3選を果たされたあたりから、どうも、東京の企業とか、中央官僚とか、平川教育長ら関東の煌びやかな経歴な方ばかりを優遇する県政、地元で地道に頑張って来られている若手・中堅や企業を疎んじる県政へと暴走を加速しているように思えます。

もちろん、広島県はいわゆる封建的な風土も健在です。それも、いわゆる国政野党に顕著です(詳しくは「茶番選挙 仁義なき候補者選考」楾大樹著などご参照ください)。

こうした中で、地元で地道に頑張って来られている若手・中堅や企業は挟み撃ちにあって「面白くない」状態なのではないでしょうか?

湯崎県政をリセットし、県民に広島を取り戻し、知事から広島の水・食べ物を守る庶民革命。11月に県知事選挙が予定されている今年こそ、正念場です。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
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