平和記念式典の過剰警備・過剰規制に弁護士会も抗議! 広島市は「全人類と追悼・核廃絶共有」の原点に立ち還れ! さとうしゅういち

2024年8月6日。広島の平和記念式典はまさに過剰警備・過剰規制でした。原爆ドーム前には「関所」ができ、平和公園を囲むように「城壁」ができていました。まるで三国志のゲームか何かの中のような錯覚さえ覚えました。「関所」での持ち物検査ではビラやプラカードを鞄の中に持っているだけで、入場拒否。また、そもそも持ち物検査にも法的根拠はないのですが、それを断ったために、平和公園内で開催される慰霊行事に参加できない人も出る始末でした。

当日、式典に参加した筆者も原爆ドーム前の「関所」(写真)では、年配の女性警備員が「これは何ですか?」とビラやプラカードについて質問されました。筆者は「これは、ただの紙です。ここでは。」と押し通しました。何度か同じ問答を繰り返しましたが「これはただの紙です。ここでは。」でなんとか、「検問」を突破したのを今でも鮮明に覚えています。さらに、平和記念公園内の式典会場の前にも設けられた「関所」では今度は金属検査をされました。

原爆ドーム前の「関所」(写真、式典前日に筆者撮影)

ただ、こうした過剰規制・過剰警備については、8.6以前の市議会で自民から共産に至るまで、ほとんどの議員が賛成した決議で後押してしまったのです。社民党の一人と無所属の一人、いずれも女性の方が決議に反対をしています。また、国民民主党所属の議員も退席をしています。そうしたことを背景に松井一實・広島市長は嵩にかかって過剰規制をしたと言えるでしょう。

これに対して広島弁護士会が過剰規制に反対する声明を2025年1月31日、出しました。

◎広島平和記念式典の規制強化に反対する会長声明https://www.hiroben.or.jp/iken_post/3595/
                    
「こうした規制に対して、私物の検査に応じず、かつ、広島市が許容しない物品を所持したままでは、広島平和記念公園内で慰霊の祈りを行うことができないとする本規制は、信教の自由に対する制約の程度として、必要最小限のものということはできない。

信教の自由は、個人の尊厳に密接に関連する精神的自由権であることから、上記表現の自由への制限と同様、その合憲性は厳格に審査されなければならない。そのため、「参列者の安全確保のため」という目的だけで、何ら法的根拠なく、本規制を行うことは正当化されない。

よって、広島市が行った本規制は、憲法20条に反し、市民の信教の自由を侵害するものとして許されない。」

と声明は指摘しています。

まったくその通りです。確かに、原爆ドーム前で、いわゆる新左翼系と言われる市民団体の演説などが「うるさい」と感じる市民が多かったのは事実です。ただ、2024年8月6日行われた規制は、持ち込み禁止の対象にマイク以外のものもなっていました。どう見てもやりすぎでしょう。

◆憲法擁護・尊重が欠落した広島市役所の体質も反映?

筆者は以前、広島市の職員が新規採用される際の宣誓文書に「日本国憲法を擁護・尊重」するという文言がないことを指摘しました。松井一實市長だけでなく、広島市役所内の憲法軽視の体質も過剰規制の背景にはあるのではないでしょうか?

◆G7広島サミット以来の米国忖度と連動

さて、この過剰警備は、広島市が2023年のG7広島サミットの開催が決定して以降、米国や日本以外のG7(旧白人帝国主義諸国)に過剰な忖度をしていることとも連動しているように思えます。

広島市は2023年のG7広島サミットを前に平和教育の教材からはだしのゲンや第五福竜丸を削除。サミット後には、パールハーバーと姉妹協定をエマニュエル駐日大使との間に議会の事前審議もなしに締結しています。

また、2022年の平和記念式典からは、ウクライナ侵攻の当事者であるロシアと同盟国のベラルーシを呼ばない対応をしています。他方で、2024年の平和記念式典にはイスラエルは招待する一方で、パレスチナは招待しないというどうみてもG7忖度の対応をしています。

◆トランプ2.0で米国も変質 忖度の意味なし

地球上の全人類と原爆犠牲者追悼・核廃絶・世界恒久平和を共有する意味からは、全ての国と地域の代表を呼ぶべきではないでしょうか?

確かに、ロシアの核威嚇発言は許しがたい。だが一方で、広島市に原爆を投下したのに反省も謝罪もない米国政府も招待されているのですよ?あくまで、平和「行政」なのだから、全ての国と地域とともに、原爆死没者追悼・核廃絶・世界恒久平和の思いを共有する、の原則に戻れば良いのではないでしょうか?

米国はトランプ政権下で良いか悪いかは別にして根本的に変わりつつあります。イスラエル首相のネタニヤフ被疑者との首脳会談後の記者会見でトランプは、ガザを米国所有するなどと言う発言をして世界を仰天させました。民主党政権下では、法による支配の守護者のふりをしてあくどいことをしていた感のある米国政府ですが、もはや、法による支配の守護者のふりさえしない。「国徳」が暴落しようがかまわない、と言う姿勢になっています。

そうした、米国に忖度し続けても広島にとってもなにも良いことはありません。そして、トランプ2.0の背景にある「西洋の時代」と言う数百年単位での大きな波の終焉傾向=「西洋の没落」は変わらない。

こうした情勢にも鑑み、広島市は規制の在り方、招待の在り方両面で平和記念式典の在り方を原理原則に還って、また公務員全員が仕事をする上で守るべき日本国憲法の精神に戻って見直すべき時に来ています。

特定の国忖度ではなく全人類と原爆犠牲者追悼・そして核廃絶の思いを共有する原点に還り、Make Hiroshima Great Again! こそ、求められるのではないでしょうか?

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年3月号

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ああ無情!「仁義なき候補者選考」で立憲民主党の宮口参院議員が離党に追い込まれる さとうしゅういち

◆宮口議員、立憲から事実上「お払い箱」

筆者が立候補した2021年4月執行の参院選広島再選挙(河井案里さんの当選無効に伴う)で当選した立憲民主党の宮口治子参院議員が2025年1月20日、離党届を提出しました。ご本人の記者会見などによると立憲民主党に「残っても居場所がない」状態だったということです。

2021年参院選広島再選挙では、立憲民主党は2020年の段階で『檻の中のライオン』で有名な弁護士の楾大樹(はんどう たいき)先生を候補者として内定していました。ところが、同年秋に立憲民主党が旧国民民主党と合併し、森本しんじ参院議員が合流したことで雲行きが怪しくなります。

結局、森本しんじ参院議員の秘書・福田玄さん(2025年衆院選において、国民民主党から立候補し、比例中国ブロックで当選)の妻の宮口治子さんに候補者は差し替えられ、楾大樹先生ははしごを外されることになります。

楾先生がはしごを外された経過については、楾先生の著書『茶番選挙 仁義なき候補者選考』(あけび書房)をご参照ください。

さて、宮口さんは、立憲民主党や国民民主党、共産党などの推薦・支援も得て、自民党の公認候補や筆者らを破って見事に当選されます。だが、広島県選挙区は改選数は2。立憲民主党で2025年参院選改選分の議席を独占することになります。

このままでは、立憲民主党の票が割れれば、共倒れの危険もある。そう判断した同党は2024年12月、宮口議員を下ろして、森本しんじ参院議員に候補を一本化することになりました。宮口議員の今後の処遇については、県連がなんとかする、はずでした。

しかし、宮口議員が記者会見したところでは「代案はなかった」ということで、立憲民主党に残っても比例代表や他選挙区への国替えも含めて選挙に出られない状況に追い込まれたのです。楾先生のはしごを外した立憲民主党が、今度は宮口議員を使い捨てにしたのです。だが、筆者にはこの結果は予想できました。

◆「宮口さんは具体的に政策が分かる人ではないから」と立憲広島

なんどか、ご紹介していますが、重要なことなので繰り返します。2021年4月上旬の前半。すでに再選挙の告示が迫っている時期でした。

筆者は、広島3区市民連合幹部から「どうか、宮口さんとの一本化をしてほしい」と要請を頂いていました。ただ、政策も何もなしに一本化では、これは、自民党を批判できなくなる。そう考え、宮口さんサイドに話し合いをお願いするメールをお送りしました。具体的には「伊方原発の即時廃炉を含む原発ゼロ」でわたしが降りて宮口さんを支援するということを考えていたのです。

そうした趣旨で筆者が宮口さんにメールに対して、宮口陣営幹部だった立憲広島の地方議員にお電話をいただきました。それは「宮口さんは具体的な政策が分かる人ではないから」です。

宮口さんは政策が分かるか人かどうか? 実際のところは本人ではないからわかりません。問題は、そういう認識で当時の立憲広島が宮口さんを楾大樹先生のはしごを外してまで擁立したことです。なお、当時は、筆者は楾先生が候補者に実は内定していたのにはしごを外された、と言う話はうかがっていませんでした。

「ダメだこりゃ。立憲民主党」と筆者は判断し、予定通り立候補し、20848票をいただきました。

もう一度申し上げます。宮口さんに対して「具体的に政策が分かる人ではないから」という認識で選挙をしていた立憲民主党さん。楾大樹先生に対しても失礼ですし、宮口さんに対しても失礼です。

2024年12月に森本真治議員で一本化することが決まった後、そうはいっても何らかの形で宮口さんの処遇を党が考えるとの期待をご本人も持っておられたようなSNS投稿はされていました。

宮口さんの支持者の中にもそれを期待する向きもありました。しかし、立憲広島の幹部の本音が、「宮口さんは具体的に政策が分かる人ではないから」である以上、宮口さんに居場所がなくなるのは時間の問題でした。

女性を軽視するにもほどがあります。広島県出身の石丸伸二さん(前安芸高田市長)が東京で「政策はない」新党を結成し、多くの人から失笑を買いました。筆者も石丸さんは支持しませんが、しかし、「具体的に政策が分かる人ではない」と認識している人を担いできた立憲広島にも石丸さんを批判する資格はありません。

◆「金権腐敗」と並ぶ広島政治のもうひとつの闇「古い政治文化」を一掃しよう!


筆者は、2021年2月から3月にかけ、何度も、各野党に統一候補へ向けて公開討論会を開くよう求めました。しかし、全く、それはされなかったことは、痛恨の極みです。なるほど、当時の立憲幹部の皆様にとり、河井事件糾弾という目的のためなら、政策はどうでもよかったのかもしれない。しかし、そのつけがいま噴出しているのではないでしょうか?

公正で透明な候補者選考は、今後も求められます。これが立憲民主党内部でも、野党共闘においてもすべきではないでしょうか? 予備選挙とまでいわずとも公開討論会は開くべきではないのか?

筆者は「金権腐敗政治」と並ぶ広島の政治のもう一つの闇=「古い政治文化」を一掃し、政策議論や政治家の政治姿勢を重視する政治・選挙の在り方にリニューアルしなければならないと改めて再確認しました。

■[資料]参院選2019・再選挙2021・参院選2025関連年表

《2019年》
 7月 参院選広島=改選数2。河井案里さんが当選。

《2020年》
 6月18日 河井案里さんと夫の克行さんが公選法違反・買収容疑で逮捕される。
 本社社主・さとうしゅういち、各地での街頭演説で補選の場合の立候補を表明。


《2021年》
 2月3日 河井案里さんが議員辞職表明(法的には当選無効に)
 2月4日 本社社主・さとうしゅういち、野党各党の県連などを訪問し、推薦願を提出 各野党に公開討論会の開催など求める。
 3月10日 本社社主・さとうしゅういちが記者会見で立候補表明 「広島の政治をリニューアル」
 3月14日 宮口氏が立候補表明。本社社主、あらためて、宮口氏を含む各候補に公開討論会呼びかけも実現せず。
 4月上旬 市民連合幹部から野党系候補者一本化への要請をいただく。それを受け、立憲系無所属(当時)宮口氏陣営にメール。伊方原発廃炉含む原発ゼロでの一本化を申し出るが、宮口陣営幹部の立憲県議は「宮口さんは具体的な政策が分かる人ではないから」と電話で返答。その女性蔑視ぶりにあきれる。一本化を断念する。
 4月8日 参院選広島再選挙告示 
 4月25日 投開票。本社社主・さとうしゅういちは、20848票を獲得。

《2023年》
 4月 本社社主・広島県議選に立候補。楾大樹先生も応援に駆けつけてくださる。
 立憲民主党から楾先生が声を掛けられていたのに、はしごを外されていたことを知る。 
 7月 祇園公民館で檻の中のライオン講演会
 8月 祇園のカラオケ喫茶で檻の中のライオン講演会
 12月 呉で本社主催の檻の中のライオン講演会

《2024年》
 4月 楾先生が『茶番選挙 仁義なき候補者選考』(あけび書房)出版。
    6月から県内各地で出版記念講演会開催
 12月 立憲広島、2025参院選広島で宮口議員を公認申請せず、森本しんじ参院議員に一本化。

《2025年》
 1月20日 宮口議員が立憲民主党に離党届
 2月16日 投票率も人口流出もワーストワン!これでいいのか広島!?
 「檻の中のライオン」楾大樹先生と広島を語り合う会(開催予定)

【告知】投票率も人口流出もワーストワン!これでいいのか広島!?
「檻の中のライオン」楾大樹先生と広島を語り合う会
ところ 広島市東区牛田公民館研修室3
とき 2025年2月16日(日)13時開場 13時半開始 15時45分終了 ※オンライン併用
楾先生からのお話しの後、フリートークなど。
主催 広島瀬戸内新聞
問題提起 楾大樹(はんどう たいき)先生(弁護士、元広島県民) 
聞き手 さとうしゅういち(広島瀬戸内新聞代表)
参加費 2000円(書籍・『茶番選挙 仁義なき候補者選考』代込み)

※本書購入済みの方は会場にご持参の上、700円。オンライン参加の場合も700円。本書をご自身でご購入下さい(右のQRコードから購入できます)。また、広島都市圏内の方はなるべくリアル参加をお勧めします。オンラインはzoomです。ご連絡の上、指定口座までご送金ください。

連絡先:佐藤 090-3171-4437 hiroseto2004@yahoo.co.jp 
 X(旧Twitter):@hiroseto

広島は平和都市として持ち上げられ、現在、広島駅前など、町並みはリニューアルが進行中です。だが、本当の意味で、広島はリニューアルされているのでしょうか?

広島県は、3年連続人口流出全国ワーストワン。特に若い人が広島から出て行かれています。そして、衆院選2024では、投票率も48.4%と全国ワーストワンを記録してしまいました。産業廃棄物への規制も緩く、三原や安佐南区をはじめ県内各地に全国からゴミが押し寄せ、大問題を引き起こしています。

為政者を「ライオン」に、憲法を「檻」にたとえ、為政者を主権者がきちんとチェックしていくことが大事という「檻の中のライオン」を著し、全国各地1100箇所以上で講演され、つい最近、広島からの転出を決意された弁護士・楾大樹先生。実は、参院選広島再選挙2021の某政党の候補者にも内定したものの、はしごを外されるという経験もされています。

24年にはその経験をレポートした『茶番選挙 仁義なき候補者選考』を出版されました。広島の政治の舞台裏を見てしまった楾大樹先生を囲み、郷土・広島が抱える課題について語り合いませんか?

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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広島駅北口巨大「湯崎」病院構想に暗雲 さとうしゅういち

湯崎英彦・広島県知事が広島都市圏の病院を統廃合して2030年度の開院を目指している、広島駅北口の巨大病院構想に暗雲が垂れ込めてきました。

湯崎知事は、広島市南区宇品にある県立広島病院=通称・県病院=、広島市中区にある中電病院、そして広島市東区の広島駅北口のJR広島病院及び広島県立広島がん高精度治療センター(これ自体が、湯崎英彦知事の肝いりで出来ました)の4病院を統合し、独立行政法人の巨大病院を1300~1400億円かけて開設しようとしています。

JR広島病院はまだ新しい建物になって10年も経過していないのですが、新巨大病院の立体駐車場に作り替える計画でした。ところが、このところの建築資材や工賃の高騰で、1300~1400億円とされていた事業費が「大幅に増える」見込みとなったのです。

広島駅北口にあるJR広島病院(広島市東区)

これを受けて、これまでは、このいわゆる「湯崎病院」推進一辺倒に近い論調だった地元マスコミにも変化がみられます。

統合予定JR病院 引き続き医療関連施設とする案が浮上(NHK 広島県のニュース)

解体予定のJR広島病院 整備費高騰で建物活用に変更も 広島県新病院計画

◆若い医師を引き寄せる?!

そもそも、県立広島病院=県病院は、国の公的病院の再編計画の対象外です。現状で何か問題があるわけではないのです。ただ、湯崎知事ら県幹部は、『新病院を東京や大阪と肩を並べる高度医療・人材育成の拠点とする』『最新鋭の機械で若い医師を東京などから引き寄せる』と豪語しておられます。

随分と挑戦的な取り組みです。そもそも、医師に限らず、若者の多くは広島からいったん出て行く。東京でいわば煌びやかなことも経験して、しかし、東京の悪い部分も知って、30代、40代、50代で広島に戻ってくることも多い。身近な例で恐縮ですが、筆者の父親も今年84歳になりますが60歳で東京から福山市内の実家に戻るようになり、現在は東京と広島両方で仕事を続けています。

医師とて一人の若者。若い先生方を引き留めようというのも無理があるでしょう。筆者自身は逆に、大学まで東京ど真ん中を堪能したからこそ、広島での生活が長続きしているのかもしれない、と思っています。ですので、東京や大阪と同じ土俵で競うことは自滅の道でしかないと考えています。最近の広島の問題はむしろ、中堅世代も人口流出に転じている点です。

◆地域医療の現場を支える先生方にこそ報いを

さて、事業規模を見直せば、東京の若手医師を満足させるには余計に不十分なものになるでしょう。また、最新鋭の機械にあこがれて来るような先生方と地域医療のしんどい部分をになう先生方では人物像が異なってくるでしょう。地域医療のしんどい部分を担う先生方を確保するのであれば、東京から一定程度経験を積んだ先生方にUターン、Iターンしていただきやすいような環境整備をすればよいことです。

具体的には、第一に収入のアップです。第二に、労働環境の改善です。例えば、今、ペイシェントハラスメント(患者や家族による暴言・暴行など)がようやく注目されてきてはいます。埼玉県ふじみ野市では2022年1月27日、渡辺宏被告人が「母親を生き返らせろ」などと理不尽な要求をした挙句にドクターや介護士を殺傷した事件が起きました。その事件を教訓に『ふじみ野市地域の医療と介護を守る条例』が制定されました。こうした他地域の例も参考にしながら、先生方が働きやすい環境をつくっていけばいいのです。巨大病院をつくる必然性は何処にもない。
 
◆チェックが効きにくい独立行政法人方式

もう一つの問題は、この病院の運営主体は独立行政法人であるということです。県の直営=地方公営企業法全部適用=であれば、議会のチェックが効く。逆に民間企業であれば株主のチェックが効く。ところが独立行政法人はチェックが効きにくい組織形態です。

また、県の直営であれば、大震災や大規模感染症などの非常にも対応しやすい。湯崎知事らは、独立行政法人の方が予算は弾力的に運用しやすいと主張するが、県の直営でも知事が専決処分で補正予算を組めばよいだけです。

実際に、過去の大水害やコロナなどの非常には、専決処分と言う例も各自治体ではあります。専決処分乱発はデモクラシーの観点から問題はありますが、あくまで非常時対応なら、選挙で直接選ばれている首長がかなり自由に予算を動かせます。

◆利便性が低下する島しょ部や安芸郡

また、そもそも、県病院の地元住民や県病院を利用してきた島しょ部のみなさま、あるいは、県病院を救急利用することも多い安芸郡などの住民の納得が得られているとはとてもではありませんが思えません。

一方的に、当局のエライ人がしゃべるようなセミナーは何度か開催されていますが、ガチンコの議論が地域でされたわけではない。

◆ますます栄える広島駅周辺に巨大病院、混雑は大丈夫か?

そもそも、この広島駅周辺は2025年3月の新駅ビルのオープンなどでさらに混雑が予想されます。すでに、新しい駐車場が広島駅北側に完成しています。また、『湯崎』病院に近接してプロバスケチーム『ドラゴンフライズ』本拠地構想も持ち上がっています。

現在でもカープやサンフレッチェ広島の試合時には人や車で混雑する広島駅周辺ですが、激化が予想されます。救急車は入れるのか? 通院患者は無事に到着できるのか? そもそもこんな混雑したところに巨大病院と言うのは相性が悪すぎます。

◆消費税も多額投入

また、この巨大病院構想には、地方消費税や国税の消費税を財源とする補助金が注ぎ込まれます。消費税は社会保障のために使うという建前と裏腹に、むしろ地域医療の利便性を壊しかねない構想に使われることに筆者は反対です。
 
◆兵庫県見習い、広島市各区に非常時に対応しやすい公営病院を

もちろん、もうJR西日本から予定地を購入する債務負担行為を県は起こして議会の議決も経てはいます。ただ、例えば、JR広島病院をそのまま県の直営病院にすると言う手もあります。兵庫県では阪神淡路大震災の教訓から、公的病院の再編に当たっては、再編後の病院は基本的には県立病院としています。

それこそ、JR広島病院をそのまま県立病院にしてしまうという手もある。中電病院についても同様です。例えば、能登半島大震災や阪神淡路大震災のような大震災が広島で起きる可能性は低くありません。その場合は、川の中州で構成されている広島は分断されかねないのです。各区に非常に対応しやすい公営病院があった方がよいと考えます。

◆『湯崎病院』構想は白紙から見直し、県民的議論を踏まえた医療行政を

『湯崎』病院構想は『詰み』つつある。いまこそ、白紙から見直すべきです。その上で、県は、県民的な議論を踏まえ、今後の医療の在り方をつくっていくべきです。

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斎藤元彦・兵庫県知事の「SNS軍師」折田楓社長の広島県事業受託を巡る問題 さとうしゅういち

2024年11月17日執行の出直し兵庫県知事選挙。当初は劣勢を伝えられた斎藤元彦知事による「大逆転裁判」をもたらした『SNS戦略』の『軍師』を務めたのが西宮市内のPR会社、(株)merchuの折田楓社長でした。

大学教授や弁護士らが斎藤知事と折田社長を公職選挙法違反(買収)の容疑で刑事告発。兵庫県警が受理し、現在捜査中です。

さて、その折田社長ですが、広島県や広島市の広報支援事業も受託していました。この度、広島瀬戸内新聞のH記者(広島市在住)が情報公開請求を行い、広島県とmerchuの契約関連書類など一式を1月10日、入手しました。

その書類によると、折田社長は、2022年度から3年連続で、広島県の公式イスタグラムと公式Xの発信を支援視する事業を年間1,305万4,800円(消費税込み)で受託しています。

なぜか、折田社長側の印鑑は黒塗りで公開されています。ちなみに、お名前が西村楓となっているのは、戸籍上のお名前なのでしょう。

さて、問題の仕事の中身ですが、主にはInstagramでは、県民及び、広島県に興味を持つ20-40代女性を主なターゲット。Xは20-50代の県民を主なターゲットとしています。

インスタグラムが広島県の魅力を伝えるのに対して、Xについては、有事の際に緊急情報をリアルタイムで伝えられるようにする、というわけです。

ここまではわかります。ただ、この程度の内容のことが、年間1300万円かけることなのか?はなはだ疑問です。

H記者が、似たような事業を手掛ける県内の類似業者に取材したところ、『月30万円~50万円が相場』ということです。

もちろん、兵庫からわざわざ、折田社長たちに交通費をかけて写真の撮影などに来てもらえば高くつきます。しかし、それなら、最初から、県内の業者にやってもらうか、あるいは、SNS関係に詳しい若手の女性職員などに思い切って任せればよいのではないでしょうか?

湯崎英彦知事(在任2009年~)になって目立つのは、やたら、外部の煌びやかなコンサルタントなどに頼む傾向が強くなっていることです。確かに、昔の藤田雄山前知事の時代には、他都道府県の先進的なものを取り入れる姿勢もみられなかったように記憶しています。それはそれで問題でしたが、湯崎県政は湯崎県政で県庁内部や地元で地道にやってこられた人や企業にとって『面白くない』状態になっているのではないか?

その結果として、県全体の総合力が発揮できていないのではないか?

折田社長には、一年目だけお願いし、あとは若手のやる気のある女性職員にでも引き継いだらよかったのではないか? その方が、広島県庁で地域のために頑張っていこうという人にとってもやる気が出るのではないか?

筆者は、元県庁職員としてそのように考える次第です。そろそろ、広島県政の路線転換が必要だ。

筆者は、この問題について、折田社長が悪く申し上げるつもりはありません。こういう事業をさせたのは湯崎英彦知事ですから。広島県政として、あまりにも外部重視にした結果、地元人材・企業が面白くなく、人口流出にもつながっているのではないか?そのことを問うているのです。

ただ、折田社長は、2024年12月以降、マスコミとも連絡が取れていないという。広島県との委託し要所によると、毎月10日ごろに、県からSNSのアクセス状況の報告を受け、折田社長側が専門家としての見地からそれをブラッシュアップして20日ころまで回答することになっている。それができていないのです。

下手をすると、2024年12月、25年1月、2月、3月の仕事ができていない恐れがある。そうなると、返金も含めた問題の処理が必要になるのではないか?

筆者は今後ともH記者とともに、この問題について取材を続けます。また、広島県、湯崎英彦知事の県政の在り方、すなわち、県内よりも県外企業を向いたあり方を厳しく問うていきます。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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2025年からはじまる世界 冷戦崩壊よりも大きく長く続く〈西洋の没落〉 G7主導の世界をどう転換させるか さとうしゅういち

21世紀も4分の1を過ぎる、2025年がやってきました。広島は被爆80周年を迎えます。世界の大きな課題は、大航海時代を契機に始まり、19世紀半ばには中印やアフリカの植民地化で定着した西洋優位の世界秩序を、破滅を回避しつつどう、転換させるか、ということではないでしょうか?人権侵害や環境破壊、その最悪の形態である内戦を含む戦争を防ぎながら転換するという難しい作業が待っているのです。

2024年末現在、正直、いわゆるG7諸国のデモクラシー=民主制が、どこも〈グダグダ〉になってきています。2024年の各国の国政選挙では与党が惨敗しました。

フランスの議会選挙ではマクロン大統領の与党が惨敗。英国では保守党が惨敗。ドイツでは政権が崩壊。日本でも自民党が歴史的な大敗。そして、最後は、米国民主党が大統領選挙、上下両院選挙で敗北しました。これら一連の流れは、健全なデモクラシーが働いていたと言えます。

だが、各国の情勢を少し詳しく見ると、どこの国でも、一歩間違えると、むしろこれまでよりも悪くなりかねない、下手をすればデモクラシーが終わりかねない。そういう状況があります。

◆〈国徳低下〉へ驀進する欧州諸国、露の選挙介入も加速?

帝国主義の延長線上で移民政策をとってきた欧州ではそれに伴う課題が多く起きているのも事実です。一方で、ロシアがそうした状況に乗じて、欧州諸国内の極右勢力を応援し、実際にバカ受けしています。多くの国が極右政権に代われば、1990年代に消えた東側陣営に続き、西側陣営そのものの意味が消える事態も予想されます。

また、アジアにおける西欧型デモクラシー国家だったイスラエルでは完全にネタニヤフによる独裁と化して、これまで以上の侵略や虐殺を加速させています。まるで、ヒトラーが再来したかのようだ。これをまた、日本以外のG7諸国が必死になって庇いました。長崎平和祈念式典にイスラエルを招待しなかった長崎市長に、日本以外のG7が抗議し、大使を出席させませんでした。19世紀の帝国主義列強による恫喝を彷彿とさせる行動でした。ロシアのウクライナ侵攻は批判してもイスラエルには甘い態度を取ったことは、西洋諸国の〈国徳〉を低下させています。

◆冷戦崩壊よりも大きな長期トレンド〈西洋の没落〉

数百年単位で歴史を見ると、正直、19世紀の植民地主義の時代も終わり、20世紀半ばまでに多くの植民地が独立。そして、20世紀末には新興国が台頭する中で、西洋優位が崩れるのは当然の流れです。なお、西洋の中でも、最初はスペイン・ポルトガルが優勢で、その後は、短期間のオランダ優位を経て英仏優位、その後は米国やドイツ、そしてソビエトの台頭という歴史があります。しかし、ソビエトが冷戦で崩壊。そして、欧州もグダグダ。そして、米国もグダグダになってきたのです。

問題は、その〈着地点〉です。一応、欧米、とくに米国民主党や欧州主流派が掲げてきた人権や環境といった価値を守りつつ、どう、国際秩序?を転換していくか? これが大きな課題ではないでしょうか。

フランシス・フクヤマ教授ら、米国のポストモダニストは、1989年の冷戦崩壊を受け、〈歴史は終わった!デモクラシーの勝利だ!〉と舞い上がってしまったのです。だが、あれから、35年。ご覧の有様です。フクヤマ自身も昨年〈敗北宣言〉ととれる著書を出しています。

ひとつは、環境保護やLGBTはじめ多様性尊重などを一見推進しつつ、新自由主義を進めてきた、この30年のデモクラシー国家内の人々の責任も重いでしょう。その反動がトランプさんとか、欧州の極右になっています。なお、日本でも、例えば、多様性尊重を進めつつ新自由主義も進めてきた立憲民主党への反発は強く、衆院選比例票が伸び悩む背景にあったとみられます。

ただ、結局のところ、旧白人帝国主義の没落と言う数百年単位の歴史の流れと冷戦崩壊と言う数十年単位の流れでは、前者の方が大きかったということではないでしょうか?

◆没落、〈経済失策〉がほぼすべての日本

日本の場合は、西洋とアジアの狭間にあると言えます。日本の場合は、ここ30年間の経済失策が大きい。90年代末にデフレに陥ると、総需要不足が問題なのに、構造改革を叫び、総需要を減らす施策を取った小泉純一郎さん、竹中平蔵さんによる改革が00年代に強行された。民主党政権も、時代に合わせて個人へのセーフティーネット充実を掲げたのは間違っていないけれども、東日本大震災での財源調達方法を誤った。公務員カット、増税。これがさらに過剰な円高とデフレで産業を痛めた。安倍晋三さんが政権に復帰した後、円安にしたが、産業が痛んだあとで、総需要喚起の財政政策も、思い切った産業への投資もなかった。それが現状に響いている。

そうした中で国民民主党とれいわ新選組の躍進と言う2024衆院選になりました。だが、ネット上の国民民主党の一部支持者は、積極財政なき減税至上主義ともいえるスタンスで暴走し、リアルにも一定の影響を与えています。彼らの中には、高齢者切り捨て、さらには、教育無償化反対論まで多く、むしろ自民党以上に新自由主義になる危険もある。低所得の人まで社会保険料だけ取られて手取りは増えずおしまい、になりかねません。

◆広島被爆80周年は〈媚米市政〉から〈横の連携重視〉へ修正を

ともかく、下手をすると、世界は、デモクラシーなき新自由主義者同士の群雄割拠の争いになりかねない。

米独英仏伊など旧白人帝国主義国の権威は落ちていく一方。そうしたものに頼らない形で、労働者の人権を守っていく、環境を守っていく。そういう取り組みがますます重要になっていくのは間違いありません。

こうした中で、平和都市としての広島の役目はどうあるべきか?

まず、特に2023年~24年の広島市政は、過剰な米国忖度、厳しく言えば〈媚米主義〉が目立ったと言わざるを得ません。ずばり、G7広島サミットがその要因です。サミット後には、米国のパールハーバーと平和記念公園の間の姉妹協定を、エマニュエル駐日大使と結んでしまい、具体的な事業が2024年度から動いています。また、平和教育の教材からの〈はだしのゲン〉や〈第五福竜丸〉削除なども、来広するバイデン大統領への忖度だったのは明らかです。

さらに、2024年の平和記念式典では、まるで戒厳令のような厳戒態勢を敷き、エマニュエル駐日大使に広島市長が頭を下げる写真が同大使のSNSで自慢されました。同式典ではイスラエルは招待するもロシアは招待せず、パレスチナも筆者らの署名運動にもかかわらず招待されませんでした。

このままでは、米国などの没落に広島も道連れになりかねない。米国政府とは冷静に距離を置くべきだと考えます。一方で、平和首長会議は自治体の横の連携です。米国含む核保有国にもホノルル市始め、加盟都市はたくさんあります。平和首長会議加盟都市との横の連携を進めていく。また、核兵器禁止条約の動きに見られるように国際政治の主体は国家だけでなくNGOも含まれます。G7広島サミットを背景に、外国人の原爆資料館入館者が増えているのは良いことですが、過剰な米国忖度には未来がないことは肝に銘じるべきです。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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参院選2025広島、現職2名の立憲は〈ネオリベ知事べったり〉の男性に候補一本化 ── 女性は〈政策が分からなくても良い〉捨てゴマか?! さとうしゅういち

2025年の参院選広島県選挙区=改選数2名で立憲民主党広島県連は森本しんじ参院議員の公認を本部に申請しました。もうひとりの宮口治子議員は立候補せず、本部に処遇を委任するということですが、参議院議員を辞めるということには変わりありません。

参院は任期が6年で3年ごとに半数改選です。2019年当選─2025年改選のサイクルの議員は2名とも立憲民主党です。一人は2019年に本選挙で当選した森本真治さん。もう一人は2021年の河井案里さんの当選無効に伴う再選挙で当選した宮口治子さんです。立憲広島は自民党に闘わずしてむざむざ1議席を渡すことになりました。

正直、今の自民党に勢いは全くなく、自民党が二人立ててくることも考えにくい。立憲民主党が共倒れと言うことも考えにくいのにもったいないことです。

◆女性は政策が分からなくても良い捨てゴマ扱い?!

もう一つの角度で申し上げれば、結局、女性は捨てゴマ扱いか、と言う疑念です。なぜこんなことを申し上げるのは以下のことがあるからです。宮口さんが当選した2021年の再選挙では私・さとうしゅういちも立候補しました。

わたしは、あの時、4月8日の告示直前まで、野党系候補の一本化をという広島3区市民連合幹部の要望を受けて『伊方原発を含む原発即時ゼロ』を条件として一本化する(私がおりる)ことを宮口陣営にメールで打診した。

すると、立憲広島の県議からお電話をいただきました。立憲広島の県議は『宮口さんは具体的な政策が分かる人ではないから』とおっしゃった。結局、交渉を断念し、わたしも立候補することになり、20,848票をいただきました。

宮口さんが政策を分かる人かどうかは私には何とも言えません。問題は『立憲広島自身が『政策が分かる人じゃない』と認識している人を担いでいる』ことです。有権者をバカにしているし、女性をバカにしています。

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◆立憲に政治を良くする気があるなら森本議員こそ衆院か知事に挑むべき

そして、今回、男性で事実上、立憲広島に君臨されている森本真治さんで一本化したのです。

もし、立憲広島に広島の政治をよくする気があるのであれば、それこそ、森本参院議員を衆院選の時に小選挙区で与党を打倒するように擁立したでしょう。

あるいは、広島県知事選挙で湯崎英彦知事を打倒し、日本一ザルの産廃行政はじめ、疑問だらけになった広島県政の抜本的改革をめざすというのでもわかります。

だが、そういうことはあり得ない。森本議員もまさか参院選2019で応援してもらった湯崎知事に弓を引くことはないからです。そもそも、立憲広島自体が、県政レベルでは、自民党以上に湯崎知事ベッタリだから無理な相談です。

◆筆者を脅す電話で宮口さんの名前を間違える立憲民主党員

ちなみに、立憲広島のある党員の方は、2021年4月3日ごろ、告示直前、わたしに電話を下さり『立候補するならお前とは縁を切る。俺の地域に出入りするな』と脅してこられた。その方は宮口さんの名前を何度も〈平口さん〉と間違えておられた。ご自身も名前も不確かな人の当選を図る目的で筆者を脅してこられたのです。失笑ものです。

ちなみのその方の地域が選挙後に大洪水になりましたが、筆者はボランティアに駆け付けました。立憲民主党は、党員の教育をきちんとしないと、却ってアンチを増やすばかりではないでしょうか?

◆「仁義なき候補者選考」、立共両党に暗い影

一方、立憲広島は実は、上記参院選再選挙で、2020年段階で〈檻の中のライオン〉で有名な弁護士の楾大樹先生を候補者と内定していたのです。ところが、2021年に入ってから、楾先生のはしごを外した。すなわち、選対委員長だった森本議員の秘書の妻である宮口さんに候補者を差し替えた経緯があります。(茶番選挙 仁義なき候補者選考 著者・編者:楾大樹より)

そして、あれから3年半。今度は宮口さんを使い捨てにしたわけです。こういうことが、同党がいまひとつ、伸びない背景にあるのではないでしょうか?

立憲広島は野党第一党であることに胡坐をかいて人を舐めていないか?もうちょっと人を大事にされたらいかがでしょうか?

また、野党統一候補者の選考に当たっては予備選挙や公開討論会を開くなどすべきではないのか? それすらなかったのが参院選広島再選挙2021でした。また、あの時、宮口さんを推してしまった日本共産党さんも党勢を大きく落としています。同党は2021年の衆院選まで、立憲と言うだけで、自民党よりも酷い権威主義者、新自由主義者を推薦・支持しまくっていました。そのことの矛盾も噴出しているのではないか? 立憲、共産の皆様に申し上げたい。〈自民党だけでなく、あなたがた野党も〈庶民革命〉により県民に政治を取り戻される対象物なのですよ〉と。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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「防衛増税」の前提にされた「台湾有事」を21世紀の「白村江の戦い」にするな! 九州王朝倭国の亡国史に学ぶ さとうしゅういち

12月11日、防衛財源を確保するための増税について、政府・与党は、法人税は2026年4月から、所得税は2027年1月から実施するなどとした案をもとに、検討を進めるとの報道がされました。検討案では、それぞれ「防衛特別法人税」、「防衛特別所得税」という名称となっています。

だが、そもそも、防衛増税の前提となる事実についてきちんとした議論が行われているのでしょうか?

とくに「台湾有事」については、日本が巻き込まれる前提で、「それを防ぐために中華人民共和国を攻撃できる武器が必要」という話になっています。それは妥当な議論なのでしょうか?そのこともなしに、増税を前提とした議論が進むことに危惧をおぼえます。筆者は大まかに以下のように考えています。

・防衛増税の前提は「台湾有事」

・しかし、そもそも日米両政府とも中華人民共和国を唯一の中国を代表する政府とみなしている。

・ゆえに日本が台湾問題に軍事介入するのは国際法の根拠がない。

・もちろん、戦闘になれば国際人道法に反する状態が起きるのは必定。中華人民共和国が欲しい半導体工場も壊れてしまう。日中双方にいいことはない。

・かつて、日本は倭国だった時、九州北部に首都があり、旧地である朝鮮半島南部奪還を狙っていた。

・百済滅亡のどさくさに紛れて、斉明帝(実際は皇極帝重祚ではなく、間人皇女即位ではないか?) 百済王を助けると称して白村江の戦をやったが百済王が逃亡し、倭国は大敗した。

・旧領土を取り戻そうという下心が判断を狂わせたのではないか?

・現代においてもその愚を繰り返してはならない。

・台湾は確かに80年前までは日本領だった。だけど、未練は捨てるべき。

・日本自身の経済再建と東アジアの緊張緩和に注力すべき。

◆防衛増税の前提は「台湾有事」

防衛増税の是非の前に議論しておかなければいけない事があります。いわゆる「台湾有事」が、岸田総理以来の軍拡の大義名分になっています。「中華人民共和国が台湾に侵攻する際に米軍が台湾防衛に動き、それを防ぐために中華人民共和国が日本も攻撃してくる。それを抑止するために日本も中華人民共和国本土を攻撃してミサイルを破壊する力を持たないといけない。」おおざっぱに言えば、こうした理屈で防衛増税を正当化するわけです。

◆日米とも「中華人民共和国」が中国を代表する政府と認めている

そもそも、日本国政府も米国政府も、公式には中華人民共和国が中国を代表する唯一の政府だと認めています。従って、「中華人民共和国が台湾へ侵攻」と言う言い方も実は正確ではない。

例えば、1970年、当時、日本を代表する作家であった三島由紀夫が防衛庁に侵入・人質を取って籠城してクーデターを自衛隊員に呼びかけた上、切腹自殺するという事件がありました。極論すれば、中華人民共和国が台湾を軍事力で実効支配しようという行動は、三島事件の時に日本の警察が防衛庁に突入して三島を取り押さえるのと極論すれば法的には大差がないともいえるのです。

百歩譲って日本国が軍事介入するにしても、中華人民共和国への国家承認を取り消して中華民国(台湾を実効支配している勢力)を承認する手続きをしてからです。そうしないと筋が通りません。

なお、米国もいわゆる台湾関係法で台湾支援をするはず、という議論はありますが、あくまで、中華人民共和国への牽制球と言う側面が強いのではないか?特にトランプ次期大統領が本気で台湾を軍事支援するとも思えません。

◆習近平主席にとってもリスクが大きすぎる「武力による台湾実効支配確保」

ただ、大規模な武力行使になった場合には、当然、多大な犠牲が民間人に出ることは必然です。この点について、あくまで国際人道法、人権の観点から、そういうことがあってはいけない、したがって、平和的に問題を中国内部の話し合いとして解決してください、というのがせいぜい、日本が含む外国が取れる態度です。

国際人道法違反を犯せば、ICCによって習近平国家主席に逮捕状が発行され、随分中国の外交は制約される可能性も高い。これはプーチン大統領やネタニヤフ首相に逮捕状が出たことからも明らかです。さらに、戦闘が行われれば中国が欲しい半導体工場も壊れてしまいます。台湾との貿易(国際法上は国内の商取引)にもそれなりに依存している中華人民共和国がそう安易に武力行使すると言うことは考えにくいのです。

◆50年間の台湾領有で「取り戻したい」というバイアスが日本にないか?

もう一点、申し上げたいのは、1895年から50年間、日本は台湾を植民地としていました。そのことが、台湾有事に日本が介入すべし、的な議論のバックにあるのではないでしょうか?かつて、植民地だったからこそ、どこかに介入したい的なバイアスがかかってはいないでしょうか?

◆白村江の戦い ── 旧領回復狙って大惨敗

歴史は繰り返すと申します。日本は7世紀に大きな過ちを犯しています。それは白村江の戦いです。わたしたちが学校で習った日本史では以下の通りです。

倭国の大和朝廷が朝鮮半島に4~6世紀に進出し、百済と結びつつ任那を支配していたが、任那の日本府滅亡で追い出された。そして、百済が唐と新羅に滅ぼされると中大兄皇子=天智帝はこれに対して百済王子余豊璋を支援して出兵するも663年、白村江で大敗した。この原因の一つが、百済王の余豊璋がパワハラ男で、さらに決戦を前に逃げ出したということもあったのです。ともかく、慌てた中大兄皇子は飛鳥から近江の大津に遷都した。そして律令国家の建設を急いだ。

◆実際は九州本拠の倭国

だが、筆者は実際には白村江の戦い時点では、倭国を代表する政権の首都は九州北部にあったと考えています。というのも、敗戦後に「飛鳥から大津に都を移転して脅威に備えた」というのは地理的に見て、合点が行かないのです。

日本書紀にもあくまで「倭京」から「大津」に遷都したとしか書いていない。実際には、九州北部の「倭の都=倭京」にあった政権の一部が、大敗に慌てて現在の滋賀県大津市に逃げたとみるべきでしょう。

既に近畿地方は大海人皇子をトップとする地方政権の支配が確立していたのではないか。大海人皇子の勢力圏に間借りする形で、一応当時は日本列島を代表していた倭国の大友皇子こと大友帝が実は敵前逃亡していた百済王の藤原鎌足とともに執務を取っていたのではないか、と筆者は考えています。

なお、近畿を本拠の中大兄皇子の天智天皇という存在は実在が疑わしいとみています。というのも天智天皇の伝説はむしろ九州地方に多くあるからです。

◆斉明帝が戦死?! 高市帝が捕虜?! になる大惨敗

この白村江の戦いでは、斉明帝が自ら出向くも急死したことになっています。筆者は、実は斉明帝が流れ矢に当たって戦死した可能性を考えています。もうひとつは、斉明帝自体は、敗戦後しばらくして、不満を持った臣下に暗殺された。

他方で、実際に政務をとっていた男性=実質的な王が捕虜になり、政府が機能しなくなった可能性を考えています。その男性は、高市皇子=実際には後年、帝に即位していた=だったと筆者はみています。

その根拠は、柿本人麻呂が高市帝に送った挽歌です。人麻呂が送った挽歌としては最長です。壬申の乱で活躍したことへの挽歌とされるが、悲惨な印象を受ける。悲惨な戦いと言えば白村江の戦いです。

◆壬申の乱から長屋王の変へ 九州王朝倭国完全打倒への道開いた白村江の戦い

その高市皇子が、唐によって解放された。その理由は、近江の大友帝の政権が唐に反抗的だったので、それを転覆する目的だったのではないか? それが壬申の乱ではないか? 

実際、大津を占領し、近江政権の関係者の処罰をしたのは高市皇子でした。実は現役の帝の大友も含めて処断する権限があったのは高市が九州本拠の倭国の内部闘争に勝ったということではないかと推測しています。ただ、これにより、大きく倭国の権威は低下し、大海人皇子率いる日本国が後に倭国から政権を完全に奪う前段階ができたのでしょう。

ちなみに、完全に倭国から政権を奪ったのは文武帝ではないか? 根拠は諡号に〈武〉がついているということです。すなわち、前王朝を打倒したということです。

ちなみに筆者は、高市帝は暗殺され、首を抜かれて首は蘇我入鹿首塚に、胴体は高松塚古墳に埋葬されたと推測しています。高松塚古墳の被葬者は不明ですが、高市が帝だったとすれば、高市帝の可能性が高い。そして高市帝暗殺事件を、蘇我入鹿が暗殺されたいわゆる大化の改新にすり替えたのではないか? 大化の改新で導入されたとされる「郡」と言う表記も実は、高市帝の時代=新益京=藤原京で出土した木簡では「評」でした(大昔の東大入試にも登場)。

その文武帝も〈文〉がついていることから暗殺された可能性は高い。例えば、文徳帝は暗殺されたから、文が入っているのではないか。〈安〉とか〈文〉とか〈徳〉とか〈仁〉とかついている帝はたいてい、非業の最期を遂げています。文武帝を暗殺したのは母親の元明帝と藤原不比等の可能性も強い。

そして、聖武帝の時、高市帝の息子の長屋親王(歴史の教科書では長屋王とされているが、安倍晋三さん暗殺現場の近くの屋敷から発掘された木簡は長屋親王であり、天皇しか食べることが許されていなかったアイスを食べていたことから一定の権力を残していたとみられる)を打倒し、九州倭国を完全打倒したので、〈武〉がついているのだと推測しています。

ただ、その直後に「奈良時代の新型コロナウイルス」ともいえる天然痘で藤原氏の大物が全滅。恐れた光明皇后が過去に自分たちが滅ぼした権力者を聖徳太子と言う形でひとまとめにして、鎮魂の目的で法隆寺をリニューアルしたのではないか? と筆者は考えています。

さらに言えば、桓武というのも百済系の桓武帝が天武系の前王朝を倒した証拠で、いったんおとなしくなったはずの? 東北で反乱がおきたのは実際には全国各地で王朝交代による動揺があった証拠ではないでしょうか?

◆失地回復戦の白村江

とにかく、白村江の戦は、実は失地回復戦として行われたのです。どさくさに紛れて、本拠地の九州北部と目の鼻の先でついこの間まで一部は領土だった朝鮮半島南部を取り戻してやろうと。それで出兵したとみるのが自然な流れです。唐とまともに戦って勝てるわけない。失地回復を目指すバイアスが当時の斉明帝の判断を狂わせたのではないか?そして、戦の直前、百済王は姿をくらましました。

なお、白村江の戦の前には蘇我倉山田石川麻呂討伐事件、有馬皇子誅殺事件、孝徳帝が難波に置き去りにされて亡くったとされる事件なども起きています。これは、朝鮮半島の失地回復をめざす勢力が、朝鮮半島ではなく、東方への勢力拡大を図る孝徳帝らを暗殺したクーデターと筆者はみています。このころの難波は、倭国の東方拡大用のもう一つの都だったと思われます。

白村江の戦いの直前、斉明帝が亡くなると、中大兄皇子や大海人皇子は飛鳥に帰った、というのが学校で習った歴史ですが、これは、もともと、斉明=実際には間人皇女=が九州の政権の帝だったという事だと筆者は解釈しています。そして、飛鳥以東に勢力を持っていた人たちは九州北部の帝の斉明帝の命令で九州に来ていたが、途中で勝ち目がないのでサボタージュしたということではないのか?こうした中、斉明帝自体が無茶な戦に反対する部下に暗殺された可能性すらあるとみています。また、逃げ出した百済王とは大津に逃げ延びた藤原鎌足ではないかとも思っています。

さて、白村江の戦自体は倭国が惨敗。このことをきっかけに、九州北部から近畿へ日本の中心が移っていった。 日本列島の為政者は朝鮮半島の失地回復ではなく、関東や東北の支配を固めていく方向に転換したのではないでしょうか?

◆経済の再建と緊張緩和こそ現代日本の進むべき王道

さて、現代日本のあるべき失地回復とは何か?それは経済をきちんと立て直すことです。

ところが、台湾と言う旧領土を取り戻そうという下心が、日本国の為政者の判断を狂わせているのではないか?と心配です。それは、朝鮮半島という旧領土を取り戻すという、663年当時の斉明帝の判断の狂いと似ているのではないか? ちなみに、善光寺には皇極帝が地獄で鬼に追い立てられていたという伝説が残っています。
https://www.culture.nagano.jp/special/7329/

「娑婆(しゃば=人間の生きる世界)へ帰ることを許可された善佐は、その途中、鬼に追い立てられて疲れ切っていた女帝・皇極天皇と出会い、善光寺如来に自分ではなく天皇を助けてほしいと懇願します」

実際には白村江の戦のA級戦犯である斉明帝が地獄に落ちた(おそらく暗殺か戦死などの悲劇的末路だった)と言うことではないかと筆者は推測しています。

ただ、不幸中の幸いは、白村江後に唐と新羅が内ゲバを始めたことでした。また当時はミサイルもありませんでした。しかし、現代は違います。それこそ、日本による台湾有事介入は中華人民共和国に対して「日本による侵略に対する反撃」と称した日本攻撃の口実を与え、日本を滅ぼしかねません。

何にせよ、今、日本政府がやるべきことは、ことさらに台湾有事を煽るのを止めることです。もちろん、日本国政府はパスポート代として邦人保護費用を徴収しています。従って、万が一に備えて、危機管理として日本人退避などをシュミレーションするのは当然です。ただ、それはどの国についても同じことです。お隣の韓国でさえ、大統領のユンソンニョル被疑者によるクーデター騒ぎがありましたし、米国だってこれからはわかりません。

筆者が申し上げたいのは、変に「台湾独立」を叫ぶ人を勇気づけ、問題をこじらせることを日本の為政者はすべきではない、ということです。確かに台湾の人たちは親日的と言われてはいる。他方で、台湾を支配する政府も尖閣諸島の領有を主張しています。こうしたことをきちんと正面から議論すべきではないでしょうか?それもなしに雰囲気だけで、防衛増税?冗談ではありません。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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買収? 規正法違反? 斎藤元彦・兵庫県知事に新疑惑 広島県・市でも仕事の社長がネットで「自白」 さとうしゅういち

斎藤元彦・兵庫県知事(写真右のガッツポーズしている男性、折田楓社長NOTEより)。

 

渡瀬元県民局長(2024年7月自死とみられる)による内部告発文書について自ら犯人探しをしてしまうなど、公益通報者保護法の趣旨に反する行動から議会による不信任案可決で失職。しかし、2024年11月17日執行の兵庫県知事選挙で劣勢の下馬評をひっくり返し、〈逆転勝ち〉しました。

10月に入ってSNSでは、#さいとう元知事がんばれ というハッシュタグが流行。また、筆者が斎藤元彦知事の疑惑を追及する動画などを投稿すると、アクセスが殺到し低評価が大量につくという状況がありました。

斎藤知事=既得権益と闘う正義の士=ネットで真実を探し当てた市民vs稲村候補=外国人参政権推進の極左、大半の自民党系市長が推す既得権益=テレビなどオールドメディアという構図が、ネット上で出来上がりました。そもそも、冷静に考えれば、極左と自民党など水と油なのですが、そんな論理矛盾もお構いなしに、事実と異なることがあっという間に広がりました。

◆県の仕事をしている社長がフルコミットした斎藤選挙

選挙後、これは何だろう?と思っていたのですが、その種明かしを、仕掛け人自らがネット上でしてしまいました。その仕掛人とは、株式会社merchuの折田楓社長です(写真のガッツポーズしている女性。)。折田社長は、斎藤陣営の広報全般を仕切っていたことをご自身のノートで報告しました。ホームページなどによると折田社長は1991年生まれ。フランスESSEC大学留学 後 慶応義塾大学をご卒業され、フランス大手金融機関に勤務。きらびやかなご経歴です。その後、母親の会社を手伝いながら、株式会社merchu創業されたとのことです。

 
折田社長のnoteより

斎藤知事が就任された 2021年より兵庫県地方創生戦略委員、2022年より兵庫県eスポーツ検討会委員、2023年より兵庫県空飛ぶクルマ会議検討委員 をされているほか、会社のある西宮市で産業振興審議会委員もされています。兵庫県、広島県、山口県、徳島県、高知県、神戸市、藤沢市、倉敷市、広島市、江田島市、由布市、株式会社リクルートや有馬グランドホテルなど、これまでに150以上の行政・企業・団体の広報・PRを手がけておられるそうです。

その折田社長のもとを斎藤知事自ら訪れ、会議を行われたそうです。プロフィール写真撮影、コピー・メインビジュアルの一新、斎藤知事を応援するSNSアカウント立ち上げ、「#さいとう元知事がんばれ」ハッシュタグをはやらせること、などを立案・実行。

選挙期間中には折田社長が「私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げ、プロフィール作成、コンテンツ企画、文章フォーマット設計、情報選定、校正・推敲フローの確立、ファクトチェック体制の強化、プライバシーへの配慮などを責任を持って行い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用」されたそうです。

◆事実なら買収罪か規制法違反が成立 「詰み」の状態 

とにかく、委員会の委員など県の仕事をされている社長が斎藤元知事(当時)の選挙運動を必死でされたわけです。それも広報全般を請け負ったということです。SNSの広報は、これは、代価を受け取った場合は、公選法違反になります。車上運動員、運転手、事務員以外の給料=報酬が発生すればアウトです。他方で、折田社長がやった仕事は、どうみても、社員を一か月半動員しています。無償でやった場合は、労務の提供になる。おそらく、1000万円くらいの仕事になるだろう。個人が政治家にできる寄付の上限は150万円です。政治資金規正法でアウトになります。

また、委員など県の仕事を継続できることと選挙運動が引き換えだった場合も公選法上の買収罪が成立しかねません。いずれにせよ、斎藤知事も折田社長も将棋で言えば「詰み」です。

斎藤知事は、現時点では「法に触れることはしていない」としておられます。しかしそうなると、折田社長の公表した記事とどう見ても矛盾してきます。折田社長と斎藤知事。どちらが正しいのでしょうか?あるいは、どちらがどの程度嘘を言っているのか。特に公職にある斎藤知事には説明責任が求められます。

◆前提「斎藤=既得権益と闘う正義の士」は本当か?

ネット上では斎藤知事の支持者により、折田社長に対する困惑のコメントも相次いでいます。既得権益と闘う正義の士・斎藤知事の足を引っ張るな、と言う趣旨です。しかし、そもそも、斎藤知事の支持者の皆様の既得権益のイメージが古すぎるのではないでしょうか?

既得権益と言うと、一定年齢以上の方は、土建屋さんとか公務員とか、そんなイメージの方が多いかもしれません。それは、自民党よりも、どちらかというと、いわゆる野党やマスコミによって煽られていた面もあります。

しかし、今は、原材料費の高騰や賃金の高騰などで、土建屋さんも大変です。公務員も、昔のような(給料が安い代わりに)楽な仕事でもない。

この10年くらいで随分と地方行政における意思決定過程も変わっています。米国など外資系の企業に近い首長(広島県の湯崎英彦知事もその典型例)とか、広島で言えば、平川理恵・県前教育長や今回登校する折田社長のように、きらびやかな海外経歴の女性・若手の「躍進」が目立ちます。言い換えれば、政治・行政の米国化が進んでいます。

むろん、まだまだ、昔風の特に年配男性のエライ人も健在ではある。そういう中で、実際には、地元で地道に頑張っていたようなタイプの中堅・若手、すなわち、多数派を占める人たちが意外と割を食っている感じがします。そうした中で、割を食った中堅・若手がアホらしくなって県外へ流出する、そういう構造が広島でも起きています。広島の教育現場でも現場の先生が平川氏の「改革」に振り回された後遺症に悩まされています。

そうした構造を把握した上で、行政・政治を批判していかないと、あるべき方向と明後日の方向に兵庫も広島も日本も向かいかねません。ちなみに、折田社長は、広島県や広島市でも仕事をしておられます。折田社長的な人たちに県や市の仕事をしていただいていて、本当に広島のためになっているのだろうか? 広島市民・県民、また市議や県議の皆様にも改めて注意を喚起する次第です。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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兵庫出直し選挙 斎藤元彦知事「逆転勝ち」 後味悪い「公務員の既得権益」叩きとNHKではなくデモクラシーをぶっ壊す「立花旋風」 さとうしゅういち

斎藤元彦知事の不信任決議・失職に伴う兵庫県の出直し知事選挙は11月17日執行され、斎藤知事が返り咲きました。序盤では、立憲民主党や国民民主党、連合兵庫、県内の多くの市町長に推された前尼崎市長の稲村和美さんに大きくリードされていましたが、猛追、そして劇的な逆転勝ちとなりました。

当選 斎藤元彦 無所属前  1,113,911
   稲村和美 無所属新   976,637
   清水貴之 無所属新   258,388
   大沢芳清 無所属新    73,862
   立花孝志 無所属新    19,180
   福本しげゆき 無所属新  12,721
   木島ひろつぐ 無所属新  9,114

斎藤元彦さんは1977年神戸市須磨区生まれ。東京大学経済学部ご卒業後総務省を経て、大阪府の財政課長などを歴任。2021年の知事選挙で当時の上司だった吉村洋文大阪府知事=大阪維新の会代表=に命じられる形で立候補し、自民党(現在は裏金問題で離党・無所属)西村康稔元経産相ら自民代議士にも応援され、元副知事や共産党推薦候補を下して初当選しました。現在手掛けている目玉政策としては、県立大学の県民向け完全無償化が挙げられます。

しかし、2024年3月、渡瀬元県民局長(当時)が斎藤知事によるパワハラや、物品の「おねだり」疑惑、片山安孝副知事らが中心となった信用金庫への補助金をタイガース・バファローズ優勝パレードにキックバックさせた疑惑など県政私物化を告発する文書を県議やマスコミに送付。これに対して斎藤知事らは、公益通報者保護法に基づいて第三者に任せることをせずに、自分たちで「犯人捜し」をしてしまいました。そして、すでに再就職先も決まっていた渡瀬元局長の退職を取り消したうえに、内部調査だけで「懲戒処分」にしてしまいました。こうした中で、パレード担当課長が自死。さらに、百条委員会で証人尋問される前に渡瀬元局長自身も自死したとされています。

その後、9月に県議会は斎藤知事の不信任案を86対0の全会一致で可決。斎藤知事は、9月30日、失職し、出直し選挙となりました。こうした中で、前尼崎市長の稲村和美さんや、維新の参院議員だった清水貴之さん、共産党系の医師の大沢芳清さんらが対抗馬として手を上げましたが、稲村さんが優勢と言われる状況が10月中旬にはありました。

しかし、ネット上ではいつの間にか「斎藤知事は公務員の既得権益に切り込もうとしてクーデターを起こされて引きずりおろされた」という「神話」が広がっていきました。これを選挙の終盤には旧統一協会が機関紙「世界日報」で取り上げるなどし、斎藤候補を援護射撃しました。

兵庫県知事選 「告発はクーデター」説バズり“パワハラ知事”斎藤元彦氏、逆転か

◆NHKではなくデモクラシーをぶっ壊す「立花孝志」さん

特に、知事選挙の候補者の一人・立花孝志さん(無所属ですが、NHK党党首)は、渡瀬元県民局長が「10人の女性職員と不倫をしていた」さらには「10人と不同意性交していた」などと、後でご自身も根拠薄弱と認めるデマを堂々と政見放送やポスターなどで拡散していました。さらに、百条委員会の奥谷委員長の自宅兼事務所にも選挙演説と称して大勢で押しかけ、奥谷委員長は母親を避難させる事態になっています。また、立花候補が煽った誹謗中傷を背景に、同じく百条委員会で活躍していた竹内英明県議が辞職に追い込まれるという異常事態が起きています。

口から出まかせのようなことを繰り返し、注目を浴びた立花候補。斎藤候補は、自らの手を汚すことなく、対抗馬を引きずり落とすことができました。両者の間に面識はない、ということですが、両者をつなぐ大物がいた可能性もあります。

ともかく、立花候補が「NHK党で10人候補を出す」などと大ぼらを吹いたおかげで、兵庫県選管は公営掲示板を急遽増設し、空振りに終わりました。これだけでも、県費と労働力(ただでさえ人手不足なのに)、木材の無駄遣いで、大迷惑です。

また、今後、立花候補のようなことをするものが出ないよう、公選法による規制が厳しくなる恐れもある。結果として行政の選挙運動への介入も強まりかねない。立花候補はNHKをぶっ壊すどころか「デモクラシーをぶっ壊す」男です。

◆稲村陣営も『反斎藤』まとめられず失速

一方、対抗馬の稲村さんも、急激に失速した感は否めません。今回の選挙の大義名分は、「自分についての告発文書が出たら第三者機関に任せずに自分で犯人捜しをしてしまう組織のトップは失格」ということです。政策うんぬんではないのです。そこを押さえておく必要がある。稲村さんは、「斎藤候補は組織のトップ失格」だという人の票をまとめる必要があった。その点が、今回は弱かったように思えます。その結果、求心力が低下していった。

保守の方の中には『稲村さんは外国人参政権を推進していた左翼だから支持できない』という人が現れました。他方でいわゆる左派やリベラルの中には『稲村さんは維新でもやらなかったような保育園廃止をガンガンやるなど新自由主義者だ』という声も強くなってきました。

出口調査では、れいわ支持層の半数も斎藤候補に流れました。これは、稲村さんの新自由主義的な部分を嫌った可能性がある。アンチ新自由主義が一番の判断基準の人が多いから、維新の清水さんもダメ、最近れいわ攻撃を強めている共産党の大沢さんにもいれたくない。消去法で斎藤君と言う人も多かったのかもしれません。それが正しい選択だったかは別として、です。むろん、『さとうしゅういち後援会』の兵庫県内の会員は稲村さん支持で、選挙を手伝うなどさせていただきました。ただ、れいわ支持者全体の動きにはなりませんでした。

とにかく、呉越同舟で反斎藤ということでまとまる絵柄を出せればよかったのだが、それがなかった時点で斎藤候補に付け入るスキができました。

筆者の個人的な稲村さんについての政策的な評価は、小池百合子氏と蓮舫氏を足して二で割った感じです。だから保守からは左に見えるし、リベラルからはネオリベに見える。戦略を間違うと意外と票がのびなくなるのです。  

なお、東京の場合は、一定年齢以下のインテリの共働き夫婦が小池岩盤支持層で、石丸氏(大金持ち及び若いシングル男性が支持基盤)もそこは食い込めず勝てなかったのです。この層は国政では立憲、都政は小池ファースト、経済政策はネオリベだけど子育て支援は推進で選択的夫婦別姓やLGBT関係は推進という感じの方が多いような印象があります。原発問題についてはまあまあ脱原発寄りで環境重視。しかし、その層は兵庫県内では薄かった。そのことも、『兵庫の石丸』ともいえる斎藤候補に有利に働いたとみられます。

とにかく、告発文書が出た時点で、自分で犯人探しをしてしまう人は首長としてアウト。この一点での選挙にできなかったのが稲村さん陣営の最大の敗因です。あとは横綱相撲を取りすぎた、言い方を変えれば、戦術レベルでガバガバ過ぎたという情報が入っています。男子大学生にマイク納めのマイクを握らせているのを動画中継で拝見し、コロナ感染の後遺症でふらふらしていた筆者は椅子から崩れ落ちました。もともと、稲村さんは、市民派の白井文市長(どちらかといえば日本共産党に近かった)が二期連続務めた後、後継者としてわりと楽な選挙で3回当選しています。周囲にも油断があったかもしれません。

◆そもそも「公務員の既得権益」とは何ですか?

今回、斎藤知事は「公務員の既得権益を打倒する正義の味方」として持ち上げられました。しかし、そもそも「公務員の既得権益」とは何か?

近頃の公務員は、労働条件で言っても昔と比べてもキツイ面も多いのです。例えば、モンスターカスタマー(住民)も多い。例えば、名札を名字だけに等の対応もせざるをえない状況が広島市役所でも起きています

実は、公務員の労働環境がきつい状況は10年くらい前からありました。

2011年、筆者は広島県庁を退職しましたが、その後、後輩たちの状況は急速に悪化していたのです。2014年の広島土砂災害の直後、あるイベントの場で『私たち公務員だって大変ですよ!』と、後輩の女性正規職員からガツンと指摘されました。後輩諸君の労働条件がそんなに厳しいのか、と驚いたのをおぼえています。その後も、最近、広島県でも、他の都道府県でも、20代、30代の職員の退職が増えています

そもそも、公務労働者とは労働基本権が制限される代わりに、人事院勧告で給料・労働条件が決まるものです。

人事院が民間企業の労働条件を調査し、それをもとに決めるのです。そして、各都道府県にも国からそれを通知し、各自治体もそれをもとに人事委員会勧告を出し、議会の議決を経て決まるのです。従って、高すぎもしなければ低すぎもしない、と言えます。政治家は、こういう仕組みをきちんと市民に知らせるのも仕事です。

公務労働者が労働基本権を制限されたり、政治活動を制限されたりしていることをいいことに、叩きまくるのは禁じ手です。これは、別に斎藤候補だけでなく、尼崎市長時代に職員のボーナスを削りまくった稲村候補、あるいは「元祖・公務員叩き」の維新の参院議員だった清水候補にも申し上げたいことです。

公務労働者が安心して働けなければ、防災や教育、福祉と言った住民の暮らしに不可欠なサービスが成り立ちません。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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水質汚染で6割の田んぼで作付け断念! 穴だらけどころか〈穴だけ〉 広島県の産廃行政に住民の怒り爆発 さとうしゅういち

広島県の産廃行政は〈穴だらけ〉どころか〈穴だけ〉ではないでしょうか?

 
11月15日に行われた控訴審の口頭弁論。原告団のSNSより

11月11日、広島県は、三原市と竹原市の水源地のど真ん中に許可している〈三原本郷産廃処分場=JAB協同組合=〉から基準値の7.5倍のBOD(Biochemical Oxygen Demand=生物化学的酸素要求量)が検出されたとして、同協同組合に警告の行政処分を行いました。

一応、同組合は、操業を一旦停止して対策を立てるとのことです。しかし、これまでも同組合は2023年夏以降、何度も県から〈警告〉や〈指導〉を受けていました。業者がその場しのぎの対策にもなっていない対策を行い、県も〈それでよし〉とし、また汚染水が流出する。その繰り返しです。こうした中、産廃処分場許可取り消しを求める住民裁判の第4回口頭弁論が11月15日、行われました。

◆県が裁判を引き延ばす間に汚染が広がる

そもそも、2023年7月には、住民が県を相手取って、産廃処分場の許可取り消しを求める裁判で県は敗訴しました。産廃処分場の許可取り消しを命じられています。普通なら、ここで判決を受け入れるものですが、湯崎英彦県知事はこれを控訴。さらに、広島高裁での控訴審では県は、業者を裁判に県側で補助参加させ、県が業者と一体となって、県民に敵対しています。県が裁判を引き延ばしている間に、汚染がどんどん広がる。これが実態です。

 

◆6割の田んぼで作付け断念!

すでに、周辺の農業への影響は深刻です。日名内上地区の田は2024年春、250アールのうち157アール稲作付けを断念しました。ほぼ毎日農業用水の参考基準値のCOD(Chemical Oxygen Demand =化学的酸素要求量)が6mmg/リットルを超えています。6月からは100~300という数値が毎朝夕検出されています。三原市は川の上流の水を流す管をつけましたが、それは上部の少しの田にしか届きません。また、10月には三原側だけでなく、竹原側の川でも泡水が出ました。三原市、竹原市の農業はもちろん、パン作りやお酒造り、さらには漁業にも大きな影響が出かねません。湯崎英彦知事は、2024年度の県政の大きな柱として「広島の食材・料理のPR」を掲げています。しかし、穴だらけというより穴しかないような産廃行政をそのままにして、有効な施策になるのでしょうか?

これまでの主な流れは以下です。

2020年4月  広島県が三原本郷産廃処分場の設置を許可
      住民側、県に許可取り消しを求める住民訴訟、業者に操業しないよう求める仮処分

2022年秋  処分場操業開始

2023年初夏 処分場から汚染水流出発覚
   7月  広島地裁、県に許可取り消しを命じる判決。湯崎英彦知事は控訴。
          汚染水流出で県が業者を指導。業者は無視。
          業者による無視に対して「警告」
   8月  業者、井戸を真水で洗浄し検査に〈合格〉。警告解除。

2024年6月 三原市議会、水源の保全に関する条例を県内で初めて可決。
      不十分ながらも立ち入り調査や氏名公表などの権限が市に。 
  7月頃 汚染水がさらに激化(写真、筆者撮影)。
   8月 県、鉛が検出されたとして業者を〈指導〉
   9月 指導を解除
   10月 三原側だけでなく竹原側でも泡の立った水。
11月11日 BOD超過として県が業者を〈警告〉。
11月12日、住民が県に対して業者への厳しい行政処分を陳情。
11月15日 控訴審第四回口頭弁論。次回口頭弁論は1月17日(金)13時10分、その次は3月14日で調整中。

11月15日の裁判では県や業者からは特に新しい主張もなかったそうです。住民たちは病院や仕事、家族の介護などの算段をして裁判に臨んでいます。そして、裁判がのびればのびるほど、ゴミは流入してきます。最近ではフクシマの原発事故で汚染されたゴミも規制の甘い広島を目指している状況もあります。高裁の裁判官は、十分にまだ状況を把握されていない、というお話も弁護士からはうかがいましたが、しっかり把握した上で結論を出していただきたい。

また、業者はゴミに対して、即日覆土していません。立木を勝手に伐採し、埋めかけている。一トン土のうのようなフレコンバックをダンプからおろし、展開検査をせずにすぐ埋め立てている状況があります。現行法すら、全く守っていません。三原市には今夏作った条例により立ち入り調査を実施し、同時に排水口で水質検査をしていただきたいものです。

何度も繰り返す通り、広島県はとびぬけて産廃規制が全国でも緩い。こんな広島県が自主的に動くのを待っていては手遅れになりかねません。国の廃棄物処理法を改正し、全国一律で厳しく規制(要は甘すぎる広島以外に合わせる)ことも、参院選など次期国政選挙を前に議論していくべきです。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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