さとうしゅういち
初夏の候、いかがお過ごしでしょうか? 湯崎先輩。私は、先輩のかつての部下でもあり、大学の後輩でもある佐藤周一と申します。
湯崎先輩。いきなり失礼をご承知で申し上げます。2025年11月執行予定の広島県知事選挙への立候補をおやめになるようご忠告申し上げます。
◆最初は感動したけれど……
湯崎先輩。わたしは、最初に先輩が当選された時、もちろん、先輩に一票を入れました。 「演説がうまいとか、プレゼンがうまいとかそういうことではない。子育てをしているお母さん、農業のおじいちゃんおばあちゃん、漁師さん……一人一人の広島県民の声を聞くことが出来る、そういう知事が求められている。」先輩の最終日の演説には感動しましたよ(写真右)。

湯崎先輩。先輩は、私の生まれ故郷である福山市の鞆の浦の埋め立て架橋問題について、極めてうまく捌かれたと思います。今にして思えば、他のこともあの調子で行けばよかったのです。
鞆の浦の通過交通をさばくために、鞆の浦の美しい海を埋め立てる。こんな計画は、当時反対派の福山市民だったわたしには論外に見えました。しかし、賛成派がおっしゃるように、観光客が通る狭い道を通過交通の車がバンバン飛ばすのも危険すぎるのも事実でした。
そこで、先輩は、就任早々、賛成反対両派の対話集会を開催。通過交通をさばく、という一致点を見出して、山側にトンネルを建設する案でまとめました。2025年春、つい先日、鞆未来トンネルとして結実しています。
◆尻すぼみの『こどもを大事にする』社会への価値観転換
しかし、湯崎先輩。他のことでは成果があまり上がっていないようにも見えます。先輩は、2010年には育休を取られ「子どもを育てるということも仕事同様大事にする」という価値観の転換を訴えられました。
ところが、あれから15年を経過。広島県は「子育て・家事は女性がすべき仕事」という考えの県民が全国最多の4割です。それと並行して、広島の人口流出は4年連続ワーストワンです。
人口流出についていろいろと議論はあります。給料が低すぎる。若い女性に人気の仕事が少ない。空港が遠い。いろいろ言われていますが、価値観のアップデートが遅れてしまい、若い人が敬遠するのはもちろん、一定都会で最新の価値観を学んだ人たちもUターンを躊躇されている可能性が高いのではないでしょうか?
◆本当にこどもを大事にしていますか?
もちろん、湯崎先輩ばかりの問題ではございません。しかし、15年以上も知事をされていて、もっとやりようはなかったのでしょうか? そもそも子どもを大事にしようといいながら、子どもを大事にする県政だったでしょうか?子ども医療費への補助は、全国でもワーストレベルで遅れてしまっています。
湯崎先輩。あなたは、子どもたちに人気のマリホ水族館も含むマリーナホップを事実上追い出して、東京の企業によるモビリティーパーク、そして外国人富裕層向け高級ホテルにしようとしています。

あなたは本当に、広島に住むこどもたちを大事にしようとしていたのでしょうか?こういう点が疑問に思えるのです。ちなみにマリホ水族館が県民世論の支持を背景にアルパークに復活することになりました。
湯崎先輩。貴方の見通しの誤りをこのことは示しているのではないでしょうか?
◆県民の声もスタッフの声も聴かず「暴走」する病院問題
湯崎先輩。あなたは南区宇品の県病院を潰して、JR広島病院や中電病院と統合した巨大病院をつくり、全国トップレベルの医療!小児救急!中山間地医療!などの美辞麗句を並べ立てておられます。

だが、それらは本当に実現可能なのでしょうか?既に、病院を運営する法人が資金ショートで、雲行きが怪しくなっています。
さらに、県病院の職員たちは、身分が独立行政法人になることで不安を感じ、退職が相次いでいます。そして、新病院は予算不足で規模縮小となり、患者の憩いの場となる喫茶店もない、先生方の控室には先生一人一人の机もない。患者もスタッフも窮屈な病院になろうとしています。
また、広島の市街地は島で構成されています。南海トラフまで行かずとも芸予地震や直下型の岩国断層帯地震などがおきれば、橋が寸断されるでしょう。こうしたことも視野に入れれば、広島の「各島」に救急対応ができる行政直営の病院があっても贅沢とは言えません。
独立行政法人だと、災害時でもコロナのような危機時にも行政直営のようにはいきません。兵庫県では阪神淡路大震災を教訓に公的病院の再編時には基本的に県立病院に変えてきたそうです。
また、中山間医療というが、エキキタに病院が移転すれば、島しょ部の患者さんにとって不便になります。そもそも、中山間地医療は安佐市民が基本的には担っているのです。
◆当初の志『現場主義』から大きく逸脱
湯崎先輩。先輩は2009年の就任の時、県職員全員に対して以下のようなお言葉を述べられました。「知事ではなく湯崎さんと呼んでください。」「現場が第一。現場のスタッフを局長が支え、局長をわたしが支える。逆ピラミッドの組織に。」 「予算をいくら使ったかではなく、成果をいかにあげたかが大事。これからは予算は使い切るのではなくあまらせたほうがえらい。」
ところが、県病院・新病院の問題ではまったくスタッフの声も聴かず、お金を国の補助金も含めて湯水のように使おうとされていますね。
スタッフの大多数は先輩の案に反対だそうではないですか?ところがスタッフたちは声を上げられる状態ではないそうです。
湯崎先輩。先輩は15年知事をされて最初にご自身が想定したような県庁にできていないのです。これ以上知事を続投される資格はない。
◆公文書偽造・補助金不正受給・公益通報もみ消し……他人事すぎる!
湯崎先輩。西部建設事務所呉支所では、公文書偽造と補助金の不正受給がおきました。それを職員が公益通報したのですが県の人事課はろくに当事者に資料提出も求めないまま「事実は確認できなかった」などと回答し、公益通報を事実上握りつぶしていた。大変な犯罪ではないですか?!
先輩。あなたは「事実なら遺憾」とおっしゃっていましたが、他人事すぎませんか?
湯崎先輩。これとは別に本庁の主査クラスの職員が知事印を適切な上司の決裁も経ずに押印するなど多数の不適切な事務処理をしていた。公文書偽造ですが、先輩は刑事告発をみおくられた。
湯崎先輩。今の広島県はあまりにも腐敗しすぎてこの程度の犯罪を告発していたらエライことになりそうな状態なのかもしれませんね。県庁OBとして恥ずかしいし情けない。
だが、そんな県庁にしたのは15年以上知事をされていた湯崎先輩。あなたです。
◆教育改革どころか崩壊招いた湯崎先輩の肝いり教育長・平川氏
湯崎先輩。あなたが肝いりで連れてきた平川理恵前教育長。結局、高校入試をはじめ、生徒や保護者、先生の負担になるような方向にかき回しただけだった。挙句に、官製談合という名のお友達に県費で仕事をつくってあげる事件を起こしました。
そして、平川前教育長は、給与の一部返納だけで正式な処分は受けず。刑事責任も部下に擦り付けて、2024年3月末限りで東京にまんまと「逃亡」してしまいました。今も、広島で改革を成功させた!と東京でご講演して吹聴して回っておられるとか。こんな教育長を6年間頂いた広島県の教育。学校現場では先生方の不祥事が今年も高止まりで深刻です。それはそうだ。あんなことをした教育長が捕まらないのですから。
これ以外にも、人口が減っているのに、また県立大学をつくって、定員割れ(叡啓大学)など、ちぐはぐさが目立ちます。県民や現場スタッフの声をちゃんと聴いているのですか?
湯崎先輩。先輩は女性副知事の人事でも、結局は大学のご自身の後輩でもある官僚を連れてこられた。いま、広島に必要なのは、もっと、広島で地道に頑張って来られた女性・若手の力を発揮できるようにすることではないのか?島根県では県庁たたき上げ、農業や教育、土木など幅広く経験されてきた高卒の女性職員が副知事になられています。こういうところをもっと広島も見習うべきです。
◆業者とズブズブ、県民に敵対 三原本郷産廃処分場問題
湯崎先輩。あなたにはさらにがっかりしたことがあります。三原本郷産廃処分場問題です。あなたは、水源地のど真ん中に許可したこの処分場の許可取り消しを広島地裁に命じられても、控訴している。そして控訴審では業者と一体となって住民に敵対しています。

2022年秋の稼働後、23年夏からは繰り返し汚染水が流出しています。湯崎先輩。先輩は、そのたびに警告や指導で稼働を止められるが、しばらくすると安全が確認できた、として稼働を再開する。その繰り返しです。
直近でも24年11月にいったん指導を行い停止させたが、その間も、産廃処分場拡張工事は野放し。そして、業者がタンクローリーで真水を撒いて薄めさせた上で県が調査し、「安全です」といって4月25日には稼働を再開させました。
汚染水の原因すらわかっていないのに、再開させるとは何事ですか?!
どうせ、産廃が持ち込まれれば、また、汚染水が出るでしょう。湯崎先輩。いい加減に、きちんと調査をし、また住民の被害の救済要求に応じるべきです。
湯崎先輩。あなたは、広島の食材や料理のアピールを県政の大事な柱としています。それは別に構わないのですが、産廃を野放しにしていて、食材や料理が成り立つのですか?!
◆もはや、勇退しかない
湯崎先輩。最近の先輩はやることなすこと、最初の志と乖離しています。もう、今期でご勇退なさることをご忠告申し上げます。

湯崎先輩。先輩がこれ以上知事を続投されるおつもりなら、わたくしは、後輩として、元部下として、先輩の首を取りに行きます。湯崎先輩の首を取り、県民の手に広島を取り戻す庶民革命。湯崎先輩の県政から、広島県民の命、健康、水、食べ物、教育・・を守る庶民革命。その先頭に体を張って立つ覚悟です。
湯崎先輩。先輩は東京系の企業や東京系の知事のお仲間中心の県政で、イエスマンに囲まれ、物事が見えなくなっているのではないでしょうか?御勇退され、後進に道を譲られることを心からお願い申し上げます。
▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎X @hiroseto https://x.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/
★広島瀬戸内新聞公式YouTubeへのご登録もお待ちしております。
