サミット(summit)の語源は「頂上、頂き、極致、頂点」などを意味する。だから「伊勢志摩サミット」と言えば「伊勢志摩に世界に君臨する国々の指導者が集まる会議」と訳しても過大な誤りではないだろう。

この語感自体に私は嫌悪を感じる。もっともサミットの前身は更に露骨な名称を冠して恥じ入ることがなかった。1975年11月15日から、フランスで行われた会議は「第1回先進国首脳会議」と呼ばれていた。開催国であるフランスのジスカールデスタン大統領が議長を勤め、米国大統領のフォード、英国首相のウィルソン、西ドイツ首相のシュミット、イタリア首相のモロに、日本からは首相三木武夫が参加して3日間の会議が行われた。「先進国」と当たり前の様に呼ぶけれども、これはだって、かなり傲慢な名称ではないか。

翌年からはカナダも加わり、いわゆる「G7体制」による、経済を話題とする「世界支配国」の定期的会合として定着してゆくのであるが、ソビエト連邦の崩壊からロシアへの移行に伴いロシアも参加する形で「G8体制」が定着するかと思われたが、民族紛争への批判などから「伊勢志摩サミット」は「G7」とEU議長が参加して先週行われたのはご存知の通りだ。

サミットは1975年オイルショック後の経済をどう舵取りするかが表向きの話題として開催された出自から、主として政治問題よりは経済問題を重視する傾向にある。だから「帝国主義者どもによる戦争準備会議」との批判は世界中にあり、日本以外の開催国では「反新自由主義」、「反グローバリズム」を訴える市民が毎回相当激しい抗議行動を行うのが、お決まりの風景となっている。

◆誰のために、何のために行われたのか?

さて、先週行われた「伊勢志摩サミット」である。あれは一体誰の為に、そして何の為に行われたのだろうか。その理由を私が簡潔に解説しよう。

議長である安倍がぶち上げた「アベノミクス」という「経済破綻プロジェクト」の破綻隠しがその主目的である。

その一環として消費税引き上げは安倍にとっては、欠くことの出来ないシナリオだった。5%から8%への消費税増税と法人税減税が税収の低下を招くことは自明だった。消費税を導入した1989年と、消費税率3%から5%へ引き上げた1997年の翌年はいずれも税収が減っている(1998-1999年の減収は2.7兆円)。消費税を上げると必ず税収が落ち込むことは過去の統計が明確に示していた。だから私は消費税の引き上げではなく、消費税の撤廃を提言したが、私の戯言などに安倍が耳を貸すはずもない。

それだけでなく8%から10%への引き上げも、既定路線として「公約」とされていたが、「3本の矢」(自滅の愚策)や、「異次元の金融緩和」のいずれも全く効果がない。景気好転の気配はないから当然税収も落ち込む。予定通り来年4月に消費税を10%に引き上げれば、更なる消費の冷え込みと財政悪化必定だ。そこで安倍は3月に「国際金融経済分析会合」を発足させ、米国人はじめ多くの外国人経済学者に議論をさせるポーズを装った。この会合に日本人経済学者は1名しか含まれていなかった。
 
これ程情けなく、自身の「無能ぶり」を晒す猿芝居もないだろう。一国の税制、それも消費税の引き上げに限って、わざわざ外国人経済学者(その中にはノーベル経済学賞受賞者のジョゼフ・スティグリッツも含まれた)の議論により、税制運営を「教示」してもらったわけである。独立直後で行政が体をなさない国でも、形の上では一応の国際機関であるIMFに意見を求めるだろうに、あろうことか欧米経済学者の「威光」を借りて、政策の要としていた「消費税引き上げ」を延期する口実としたのだ。

そして「伊勢志摩サミット」である。政府内でも「いったい誰が言い出したのか」と騒動となる「リーマン・ショック前の状況に似ている」との安倍の大間抜け発言は、現在言い出しっぺの犯人探しで霞が関は大わらわだ。海外主要メディアはそろって、「迷惑な発言」、「経済が困難な状況にあることは間違いないがリーマン・ショックのような危機が近いうちに起こるとは思われない」と一斉に疑問と批判を投げかけている。日本の政府関係者も「実態とかけ離れた議論となり、議長国として恥ずかしい」と正直な感想を述べている。

オバマの随行で一緒に広島に出かけたところで、安倍の無能は変わらない。大手メディア幹部と定例で夕食を共にしているから、辛辣な報道は抑えられるけれども、経済指標の粉飾には限界がある。安倍の退陣は遠くないと予言しておこう。

◆警備会社と広告代理店だけが儲け、権力は〈戒厳〉予行のごとき厳戒態勢を敷く

それにしても、このように全く無益で、国際社会に何の利益ももたらさない会議の為に、わたしたちの日常生活まで、なぜ制限を受けなければならいのだ。27日に京都から大阪へ出かけた際にはJR、私鉄全ての駅でコインロッカーが使用停止になっていて、ゴミ箱も全て封鎖されていた。「テロ対策」とか「サミット開催による特別警戒中」とかあちこちでアナウンスを聞かされたけれども、要はこの国の住民を「テロリスト」の容疑者に見立てているんじゃないか。

不覚にもガムを噛みながら外出した私は、自宅を出てから目的地へ到着するまでの2時間余り、味のしなくなったガムを捨てるゴミ箱をついに見つけられなかった。過去に東京サミットが行われた1986年、1993年でもこれほどの厳戒態勢はなかった。三重県は数カ月前からサミットに合わせて国内旅行者の勧誘に力を入れていたけれども、あちこちらが「封鎖」されて、ごく一部の土産物屋や宿泊施設以外は「結局普段より売り上げが落ちていた」と多くの業者が嘆いている。

儲かったのは警備会社と大手広告代理店だけ。もっとも肩透かしを食らったのが三重県だったろう。そして電車やバスに乗れば「ただいまテロ特別警戒中です」のアナウンスは、特に首都圏ではサミットのような国際行事がなくても毎日流れているじゃないか。

毎日「警戒中」が「厳戒中」に変わることにすら、私たちは慣らされ出してはいないだろうか。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

関西大学で共通教養科目の中のチャレンジ科目として開講されている『人間の尊厳のために』の講師として20日に続き、27日松岡社長が教壇に立った。「出版と人権─出版社が守るもの─」の演題で、150人の学生に向かって松岡節が再び披露された。

◆「被逮捕者、勾留経験者」がその実態を学生に語る講義

 

この日は2005年7月12日、神戸地検特別刑事部に松岡社長自身が名誉棄損容疑で逮捕された事件を中心に、「被逮捕者、勾留経験者」がその実態を学生に語るという、大学の講義には珍しく、かつ刺激的な内容となった。

逮捕当日の新聞記事をはじめ、事件の推移を伝える参考資料など、2部、計13枚の資料が学生に配布され、「逮捕されたら全裸にされ尻の穴や性器まで調べられる」こと、「手錠、腰縄でつながれて公の裁判の場に出される」こと、被疑事実を認めない限り保釈されず、接見禁止も長期にわたる「人質司法」が日本では現存していること、などの問題点がレジュメに沿って紹介された。

 

松岡氏はその出版活動歴や、この日話題とされた「事件」の印象から、大柄で押し出しが強く、がらっぱち口調で話をする人物、とのイメージを抱いている方が多い(私も実際に会うまではそのように想像していた)が、小柄で常に背広にネクタイを締め、語り口は普段の会話でも時に聞き取りにくいことがあるほど、どちらかと言えば小さな声で話しをする(激高して熊本弁交じりの怒声を上げた姿を一度だけ目撃したことはあるが)。この人が学生時代に大学の学舎屋上に籠城し、強烈なアジテーションを飛ばしていた姿を想起することは容易ではない(一度は聞いてみたいものである)。

教壇上から学生に語り掛ける口調も、普段のそれと変わりなく、極めて熾烈な内容と体験談を、声を荒げることもなく淡々と語っていた。だからであろうか、テーマの深刻さの割に学生たちの反応に特に強い緊張は感じなかった。

だが事件を紹介した「サンテレビ」のニュース番組のビデオが流されると、教室の雰囲気は一変した。やはり「テレビ」の持つ訴求力は強力だ。今、目前で講義をしている人が11年前には「犯人」とされていた事実が、初めてどのような意味を持つか学生たちに伝わったようだった。

そこから演繹的に松岡社長がその日語った内容、及び20日に語った内容への理解へと繋がっていったのではないだろうか。

◆次週からのグループ討論用資料のためにと「松岡流」のサプライズ

さらにこの日松岡社長による思いがけない計らいがあった。20日の講義で紹介したプリズンコンサートで有名な「Paix2」(ぺぺ)の『逢えたらいいな』、『島唄よ、風になれ!「琉球の風」と東濱弘憲』、さらにこの日の講義のテーマでもあり、名誉棄損逮捕につながった『アルゼ王国はスキャンダルの総合商社』各50冊を「学生の皆さんにプレゼントします!」と言い放ったのだ。

『逢えたらいいな プリズン・コンサート三〇〇回達成への道のり』

『島唄よ、風になれ! 「琉球の風」と東濱弘憲』

『アルゼ王国はスキャンダルの総合商社』

 

大学での講義でまさか書籍をプレゼントされるとは、不意打ちもいいところだ。少々眠そうにしていた学生も、全員が一瞬「え!」という驚きで教壇上の松岡社長に強い注意が向かった。

太っ腹故の大盤振る舞いと言ってしまえばそうだが、このプレゼントには松岡社長なりの配慮もあったようだ。次週にはグループ討論が行われる。その時にあらかじめグループの全員がプレゼントされた書籍を読み終えておき、討論の内容をより深いものとして欲しい。その為ならば1500円(偶然だが3冊とも定価は同じだった)の自社出版物くらいタダで提供しましょうと。これまた「松岡流」の規格外サプライズだ。

30あるグループが相談の上、どの書籍を受け取りたいかを決めて、その意向が集約された。最初は「Paix2」(ぺぺ)の『逢えたらいいな』が準備した部数以上の人気を集めたため、再調整の結果ほぼ均等に配分され、受講学生はこの日いずれかの書籍を手に教室をあとにすることになった。

次週はグループ討論、再来週は全体討論と続くこの講義、まだまだ「松岡流」のサプライズ、隠し玉があるのかもしれない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

1月10日にISKAムエタイ世界バンタム級王座決定戦を制し、チャンピオンとなった志朗がISKAムエタイ・ヨーロッパ同級チャンピオン. ライアン・シェーハンとのノンタイトル戦が行われました。見かけ弱そうな細身のライアンはムエタイ技を身に付けた強豪でした。志朗がボディブローやローキックでペースを掴みつつ、ヒジで切られてからムエタイ技のシェーハンの距離感に苦戦した流れでした。

ムエタイが世界に普及した現在、いろいろなタイプの選手が世界に散らばっている中で、特にヨーロッパ勢は昔から柔道でも学習能力が高く、また地続きの近隣の国々と交流が盛んになるので、競技人口も高く、成長度が高いと言われます。ムエタイ殿堂王座が世界最高峰であっても、強いのはタイだけではない、いろいろな国柄のタイプが拡散した方々の選手と対戦することが重要な時代かもしれません。今後、志朗は日本人選手とも対戦して欲しいところ、そこにファンの支持と評価が高まります。

日本バンタム級チャンピオン.瀧澤博人(ビクトリー)が長身を活かした右ジャブを有効に使い、2度の飛び膝蹴りで勝岡健(伊原稲城)を豪快にKO、2度目の防衛に成功と共に今興行ベストファイトとなる武田幸三賞を受賞。また、「ルンピニー王座を狙う」というマイクアピールに、挑戦への新たなルート展開を見せるのか、気になる宣言でありました。

2010年に石井宏樹を小腸断絶で病院送りにしたパッカオ・ダボンヌンガヌウン(タイ)を緑川創(藤本)がブッ倒し、敵討ち成功。ラジャダムナンランカーを倒したことで、緑川のランク入りも確実で、いよいよ殿堂王座挑戦が近づいて来たかの期待を持たせる印象。ヒジでパッカオの頬を腫れさせ、2R後半からパッカオの反撃激しく骨を砕くような打ち合いが続く中、緑川が左右パンチでダウンを奪い、最後はコーナーに詰め、ボディと顔面パンチで仕留める豪快にKO。激しさが長く続いた互いのぶつかり合いでは、瀧澤博人の試合を上回っていた印象があります。

麗也(20歳/治政館)と山田航輝(17歳/キングムエ)の、幼少期からアマチュアでムエタイ・キック系競技の経験を積んできたベテランの試合は、攻防の展開が速く、スタミナ切れない展開に会場が沸き、ムエタイ経験は山田航輝が上回る中、麗也のキックリズムの攻撃力が上回ったか、僅差の結果ながら麗也の勝利。これで対戦が遠退くのでなく、また再戦に向かって欲しい幼少期開始世代の対決でした。

主要クラス3試合の記者会見。左から麗也、緑川創、志朗、ライアン、パッカオ、山田航輝

◎WINNERS 2016 2nd / 2016.5.15後楽園ホール17:00~21:30
主催:治政館ジム / 認定:新日本キックボクシング協会
前日計量:14日.ホテル東京ガーデンパレス(御茶ノ水)15:00~16:00

◆日本 vs アイルランド国際戦 56.0kg契約3回戦

蹴りの応酬だけでは負けないが、調子付かせたライアン(左)の蹴りが強い

パンチで弱そうなライアン(右)へのボディ打ちは効果はあるが、すぐ首相撲へ引き込む巧みさ

瀧澤博人の飛び膝蹴りが2度とも見事にヒット

ISKAムエタイ世界バンタム級チャンピオン.志朗(治政館/55.8kg)
vs
欧州ムエタイ・バンタム級チャンピオン.“アベンジャー”ライアン・シェーハン(アイルランド/55.7kg)
引分け / 1-0 (主審 椎名利一 / 少白竜 29-29. 桜井 29-29. 宮沢 30-28)

◆日本バンタム級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.瀧澤博人(ビクトリー/53.5kg) vs 1位.勝岡健(伊原稲城/53.25kg)
勝者:瀧澤博人 / TKO 2R 2:45 / カウント中のレフェリーストップ / 主審 仲俊光

◆70.0kg契約 5回戦

緑川創(藤本/69.9kg) vs ラジャダムナン・スーパーウェルター級8位.パッカオ・ダポンヌンガヌウン(タイ/69.5kg)
勝者:緑川創 / KO 4R 2:32 / カウント中のタオル投入 / 主審 少白竜

パンチの距離で勝機を見出す緑川創(左)

◆52.5kg契約 5回戦

麗也(前・日本フライ級C/治政館/52.4kg) vs 山田航輝(キングムエ/52.2kg)
勝者:麗也 / 2-0 (48-48. 49-48. 49-48)

◆73.5kg契約 5回戦

日本ミドル級チャンピオン.斗吾(伊原/73.5kg) vs イ・ジフン(韓国/72.25kg)
勝者:斗吾 / 3-0 (30-26. 30-26. 30-26)

◆59.0kg契約3回戦

内田雅之(前・日本Fe級C/藤本/58.7kg) vs デンサヤーム・ウィラサクレック(元ルンピニー・B級C/タイ/58.5kg)
勝者:デンサヤーム / TKO 2R 3:05(場内アナウンス) / レフェリーストップ

反撃の麗也(左)も譲らない攻勢

◆ライト級3回戦

日本ライト級1位.永澤サムエル聖光(ビクトリー/61.0kg) vs 日本ライト級2位.直闘(治政館/61.23kg)
引分け / 三者三様(29-28. 29-30. 29-29)

◆他の6試合

昔から、試合へ向けた記者会見というのはビッグマッチの際にありましたが、ここ数年、それほど大きくない興行でも、記者会見は増えてきた様子はあります。特に公開計量というのは、毎度やって欲しい気がします。各社記者さんにとっては記者会見の方が重要と思われるでしょうが、計量や試合結果記録などは公式に開示して欲しいものなのです。

蘇我英樹(市原)が後楽園ホールでも引退式を披露。先月、市原臨海体育館で大月晴明とラストファイトを行ない、壮絶KO負けを喫した蘇我英樹はその試合後、ダメージ引きずる中、引退式を行ないましたが、改めて後楽園ホールの殿堂で、市原だけでない多くのファンが集まる中、引退式を行ないました。市原では報道陣もほとんど居なかったので、仕方ないところ、後楽園ホールでの開催を1本に、豪華にやった方がよかったように思います。しかしいずれも「長き激闘にお疲れ様でした」という声が多い引退式でした。

3月にキックボクシング創始者・野口修氏が逝去されました。近親者のみの密葬の形で見送られたようで、4月に入っても報道はされていなかったようです。これで良くも悪くも長き時代のひと区切りが終わったという印象ですが、野口修氏の影響で個々のキック人生が続いている多くの業界人が今後もキックボクシングを引率していくことでしょう。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

5月21日(土)から広島市安佐南区の「カフェ・テアトロ・アビエルト」で開催されている「冤罪を叫び続ける死刑囚の絵展」が好評を博している。

これまで店内で様々な個性的イベントを開催してきた同店。死刑囚が獄中で描いた絵の展覧会は、数年前から全国各地で開かれるようになっているが、その先駆けといえる存在でもある。

独特の存在感を放つ林氏の作品

◆ブームの火付け役にも刺激

同店が初めて「死刑囚の絵展」を開催したのは2012年の秋だった。死刑囚・大道寺将司氏(1948年~)の亡母・幸子氏が遺した預金で創設された基金によって毎年開催される死刑囚の作品展に寄せられた20数名の約50点の絵を展示した。同店のオーナー・中山幸雄氏がその作品展の主催者らと親交があった縁で実現したとのことだった。

そして翌年、この展覧会に刺激を受けた福山市の「鞆の津ミュージアム」のアートディレクター・櫛野展正氏が死刑囚37人の約300点の絵を集めた展覧会「極限芸術 ~死刑囚の表現~」を開催。これが全国各地から観客が殺到する大ブレイクとなり、死刑囚が手がけた芸術に広く注目が集まるようになった。

実を言うと、筆者が今年2月、冤罪死刑囚たちの書画を集めて制作した編著「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」も元々、アビエルトが開催した2012年の「死刑囚の絵展」に足を運び、感銘をうけたことから着想したものだった。

司法に対する強い憤りを表現した高橋氏の作品

◆7人の冤罪死刑囚の絵を展示

今回、同店が開催した展覧会は、冤罪を主張する死刑囚の絵を特集したもの。林眞須美氏、藤井政安氏、何力(フウ・リー)氏、松本健次氏、風間博子氏、金川一氏、高橋和利氏という7人の冤罪主張死刑囚の絵を展示している。

毎度なんともいえない情念を感じさせる林氏の絵は今回も会場で独特の存在感を放っていたが、他の6人の作品もそれぞれ独特の味わいがある力作ぞろい。画力の高さには定評がある風間氏と高橋氏は前掲「絶望の牢獄から無実を叫ぶ」にも書き下ろし手記を寄稿してくれているが、この展覧会でも自らの潔白を訴えかけてくるようなメッセージ性の強い作品を提供していた。今回も一見の価値がある展覧会になっていると思う。

なお、風間氏については、蜷川泰司氏の小説「迷宮の飛翔」に提供した挿し絵の原画も同時に展示。会の開催は6月5日(日)まで。同4日(土)には、蜷川氏によるトークイベントも開かれる。

風間氏の抽象画。開いた扉からあふれる光は「無実の希望」か

(1)「冤罪を叫び続ける死刑囚の絵展」の詳細は「カフェ・テアトロ・アビエルト」のHPにて。
(2)上記の櫛野氏が福山市につくったアートスペース「クシノテラス」でも「極限芸術2 ~死刑囚は描く~」が8月29日まで開催中。5月29日には都築響一氏、7月4日には茂木健一郎氏のトークイベントがある。

▼片岡健(かたおか けん)
1971年、広島市生まれ。早稲田大学商学部卒業後、フリーのライターに。新旧様々な事件の知られざる事実や冤罪、捜査機関の不正を独自取材で発掘している。広島市在住。

片岡健編『絶望の牢獄から無実を叫ぶ――冤罪死刑囚八人の書画集』(鹿砦社2016年2月)

「世に倦む日日」田中宏和『SEALDsの真実――SEALDsとしばき隊の分析と解剖』

高橋源一郎、山口二郎、小林節、小熊英二、内田樹、上野千鶴子をはじめとする「シールズ」応援団の現・元大学教員に聞きたい。
あなたたちは人生の中で、とりわけ学究活動に身を置くようになり、何を学び何を経験し、何を学生に教壇から講義してきたのかと。

「シールズ」は20世紀の最終盤に産れた世代の学生が構成していた。だから彼らには60年安保、70年安保の実体験は当然ない。私自身だって60年安保、70年安保を自身の体験として経験している訳ではない。経験はないが書物や各種の情報、そして何よりも私自身がそれらを、決して軽視できない問題だと感じたから、断片的ながら調べることはしたし、私が生まれるより前に惨殺された、樺美智子の名前は、小林多喜二同様、頭から離れることがない。

数十万人の激しいデモに身を置いた経験もなければ、国会周辺を取り巻く「怒り」の一員になった経験もない。だけれども「どのようなことが起こったのか」、「人々の怒りはどう現されたのか」についての私の想像は、それほど的外れなものではないように思う。

ひるがえって、昨年の「戦争推進法案審議」の際に国会周辺で繰り広げられた「シールズ」による行動には、当初から極めて強い違和感があった。「本当に止める」と書かれたプラカードの文字は真逆の意味にしか受け取れなかったし、「とりま廃案」の「とりま」の意味は知り合いの若者に聞くまで解らなかった。シャボン玉よりも軽そうな、そしてシャボン玉ほどの瞬時の輝きすら持たないこれらの言葉は、本来自然に高まっていく「怒り」に穴をあけて、茶番劇が茶番劇を認める役割だけを果たした。

「シールズ」も大学生なのだから、言論については批判や責めを負う責任はあろうが、もっと指弾されるべきは、彼らの「無知」振りに「違う、そうではない」と豊かな経験と知識から諌めるべき学者や、教員があろうことかもろ手を挙げて、あの空疎な乱痴気騒ぎを称賛したことだ。全共闘運動の何たるか、何であったかを賛否はともかく経験しているであろうはずの、高橋、山口、小林、上野らが吐いた「ことば」がどれほど軽率なものであったことか。

しかし、よくよくこの面々の名前を見直すと実は共通項がある。彼らはいつの時代も根源的な正義ではなく、その時代に受け入れられやすいトピックに必ずと言ってよいほど顔を出す連中だ。上野は京大時代には学生運動の中でも相当に過激な運動を牽引する指導的学生と近しい関係にあったと聞いている。その経験と昨年のシャボン玉ほどの重さもない空疎なイベントを自身の中で学者として真摯に比較し、無知の過ぎる学生たちに彼女自身の経験(それが成功にせよ苦い経験にせよ)を何故語らなかったのだ。本気であのイベントが「新しい運動」だと考えていたのか。そうではあるまい。彼女の打算高さを考えれば別の計算が働いていたはずだ。

山口二郎は法政大学の教員として、なぜ足もとの法大キャンパスで起こっている、異常事態を問題にしないのだ。「ついに国民の怒りが爆発しましたね」などと、的外れなコメントする前に、学内でビラ配りも出来ない、立て看板も立てられない、公安警察が常駐する異常事態を何故問題にしないのだ。彼自身が積極的に動いた「小選挙区制」を導入すれば、今日のような政治的閉塞状態、多様性のある政党が存在できなくなることは自明であったにもかかわらず、それを積極的に推進した責任をどう考えるのだ。

「世に倦む日日」主宰の田中宏和さん

つまるところ、「シールズ」応援学者は、私の見るところ、インチキばかりだ。

このような粗雑な感想ではなく、社会科学的手法を用いて「シールズ現象」を読み解いた『SEALDsの真実』が発刊された。著者である田中宏和氏は、人気ブログとツイッター「世に倦む日日」で積極的な発信を行っている在野の研究者である。『SEALDsの真実』では、鹿砦社の本コラムや『NO NUKES voice』以外、一部の右派を除いては批判が皆無に近かった「シールズ」にメスが入る。

「忖度」や「自己規制」という言葉をメディア関係者からしきりに耳にするようになった。そんなものは不要だ。本書は「事実を直視することの大切さ」と「知識・学識への態度」について我々に多くの示唆を与えてくれる。

◎田中宏和さんのブログ「世に倦む日日」
◎「世に倦む日日」ツイッター 

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

2016年5月14日土曜日。水道橋に所在する〈たんぽぽ舎〉にて催された講演会「地震列島日本の今・そしてこれからは?」(「地震と原発」連続講座第1回)に参加してきた。地震と原発に関する連続講座の第1回として展開された今回の講演会。ゲストとして招かれたのは、地震学者・地球物理学者・評論家として活躍する島村英紀氏だ。1941年、結核の権威である島村喜久治を父として生まれ、東京大学理学部物理学科を卒業。同大学院地球物理学博士課程修了。北海道大学助教授、北海道大学地震火山研究観測センター長を経て、現在は国立極地研究所所長、武蔵野学院大学特任教授として学問に従事している。

2016年4月14日以降、熊本県や大分県を中心に大きな地震が相次いで発生していることを受け、地震に対する世間の関心はいっそうの高まりをみせている。ここでは、島村英紀氏による2時間の講義の内容をより平易に再構成しようと思う。この知識が皆様の生活の一助となるよう尽力する。

◆海溝型地震と内陸直下型地震
──プレートの動く速さは「爪が伸びるスピードよりも速く、髪の毛のそれよりも遅い」

地震学の泰斗、島村英紀さん

日本で起きる地震には〈海溝型地震〉と〈内陸直下型地震〉の2種類がある。〈海溝型地震〉はプレートとプレートの境で起きるもので、2011年に発生した東日本大震災はこれにあたる。プレートの境というのは海底に存在するため、津波を生むことが多いのも特徴だ。

一方の〈内陸直下型地震〉は、ゆっくりと押し進められてくるプレートによって日本列島が歪んだりねじれたりすることに原因がある。その歪みやねじれが溜まり、岩が我慢できる限界を超えてしまったときに地震が発生する。地震の規模としては一般に〈海溝型地震〉よりも小さいが、人の住む陸地の直下で起きるため、被害が大きくなる。阪神淡路大震災はこちらのタイプであった。

日本列島は、〈ユーラシアプレート〉〈北アメリカプレート〉〈フィリピン海プレート〉〈太平洋プレート〉という4つのプレートが交わる地点であり、その分地震が多発する。プレートが交わる地域は地球上でも限られている。4つものプレートが関係する日本は、それだけでもかなり特異な特徴を有しているといえる。ちなみに、プレートの動く速さは「私たちの爪が伸びるスピードよりも速く、髪の毛のそれよりも遅い」という。

◆中央構造線
──この活断層群が地震を起こし、その被害を実際に“目にした”のは今回がはじめてだった

中央構造線の活断層群が地震を起こし、その被害を実際に“目にした”のは熊本大地震がはじめてだった

今回の熊本地震は典型的な内陸直下型地震だが、もうひとつの特徴がある。それは、日本最長の断層帯である〈中央構造線〉が起こした地震だということだ。〈中央構造線〉は長野県に始まって名古屋の南を通り、紀伊半島を横断し、四国の北部をかすめ、九州、東シナ海へと横断する活断層群で、長さは1000kmを超える。

地質学的な研究から〈中央構造線〉が過去に数百回以上の地震を起こしたことが分かっているが、この活断層群が地震を起こし、その被害を実際に“目にした”のは今回がはじめてだ。日本人がこの列島に住み着いたのは約10000年前、記録を残しているのはせいぜい直近2000年ほどなので、この大断層が地震を繰り返してきた時間の長さに比べて、あまりに短い間でしかないのだ。

◆活断層とはなにか?
──地震が起きてみないと断層を確認できない場合は多い

活断層は一般に枝分かれしていたり、途切れたりしているため、活断層の長さをどのように認定するか、というのは学者によってその方法が異なる。原子力発電所を作る前に“活断層の長さ”を決めてから“その場所で起きる地震の最大震度”を求めているが、“活断層の長さ”は学者による任意性が大きいためこの手法には強い疑問が出されている。

また、活断層はその定義が“地震を起こす断層のうち、地表に見えているもの”であるから、首都圏や大阪、名古屋など、川が土砂を運んできたり、海の近くだったりして堆積層が暑いところでは断層が見えないため、“活断層は存在しない”ということになってしまう。阿蘇山の近くのように厚い火山噴出物をかぶっているところでも、やはり断層は見えない。今回の地震では、事後、初めて活断層が確認された。国内の他所においても、実際に地震が起きてみないと断層を確認することができない場合が多い。

◆地震の連鎖について
──東への連鎖が続けば愛媛県沖、西南への連鎖が広がれば鹿児島へ

熊本での地震によって、その部分の地震エネルギーは解放された。しかし、それは隣の〈地震候補〉との間の留め金が外れたことをも意味するものだ。もし隣の〈地震候補〉が、いまにも地震を起こすだけのエネルギーを蓄えていれば、支えを失って連鎖的に地震が発生する可能性がある。

こうして、熊本に続き阿蘇山の下で、さらに大分でと地震が続いた。東へ連鎖が続けば愛媛県沖の瀬戸内海、西南へ連鎖が広がれば鹿児島に入る。ともに原発が所在する地点だ。この連鎖が連続するかどうかというのは、隣の〈地震候補〉にどのくらいのエネルギーが蓄えられているかによる。しかし、現在の科学ではその量を確認することができない。

◆原子力発電所の安全基準値
──益城町で1580ガル、原発設計基準は最大500~700ガル

益城町で1580ガル、原発設計基準は最大500~700ガル

内陸直下型地震の特徴として、地面の〈加速度〉が大きいことを挙げなければならない。地震が発生した際建物にかかる力は、そのものの重さに〈加速度〉をかけることで算出することができる。加速度が大きいほど、そのものに大きな力がかかり、場合によっては倒壊したり破損したりする。

今回の地震では、益城町で1580ガル(ガルは加速度を表す単位。詳細な説明は割愛する)という加速度を記録した。かつては“980ガルを超える地震動はあり得ない”とされていたが、阪神淡路大震災以後、多くの観測機が設置されたことにより今まで見落とされていた大きな値が記録されるようになった。

各地の原子力発電所は、ここまで大きな加速度を想定していない。いままでの設計基準では、せいぜい500~700ガルを最大として想定しているため、それを超える地震動を受けたときに発電所がどうなるかということは分からない。

※   ※   ※

以上、配布されたレジュメをベースに講義の内容をまとめてみた。生活を支える知識として役立てていただければ幸いだ。論調が個人的情緒に拠ったものであると、趣旨が見失われてしまう。こうした態度を反省させるような島村氏の淡々とした語り口(あまりに淡々としているために聴講者の笑いを誘うこともしばしば)に、非常な説得力を感じたものである。

▼大宮浩平[撮影・文]
1986年東京生まれ。写真家。
Facebook : https://m.facebook.com/omiyakohei
twitter : https://twitter.com/OMIYA_KOHEI
Instagram : http://instagram.com/omiya_kohei

たんぽぽ舎「地震と原発」連続講座第2回目の講師は広瀬隆さん。本日5月26日19時開演です!

スペースたんぽぽ(ダイナミックビル4F)5月末の予定

◎5/26(木)「地震と原発」連続講座(第2回) 広瀬 隆さん 
「熊本大地震と原発…九州電力川内原発大丈夫?」
日時:5月26日(木)18:30開場、19時より21時 会場:「スペースたんぽぽ」(ダイナミックビル4F) 
問い合わせ:たんぽぽ舎 TEL 03-3238-9035  参加費:800円

◎5/28(土)槌田ゼミ第18回原発基本講座 槌田 敦さん
「4/25四国電力との公開ヒアリングの報告と今後の方針」
日時:5月28日(土)14時より16時 会場:「スペースたんぽぽ」(ダイナミックビル4F) 参加費:800円

◎5/29(日)学習会 浅野健一さん(元共同通信記者)
 「日本でえん罪がなぜ多発するか
日本の司法には正義を実現する構えがない、日本には三権分立がない、裁判官・弁護士・検察官は三位一体」
日時:5月29日(日)14時より16時  会場:「スペースたんぽぽ」(ダイナミックビル4F) 参加費:800円
  
  

福島〈反原発〉のローザ・ルクセンブルク、佐藤幸子さん(撮影=大宮浩平)

NNV08号表紙の人は〈脱原発〉大熊町議の木幡ますみさん(撮影=大宮浩平)

『NO NUKES voice』第8号がいよいよ本日25日発売となった。熊本を襲った前例のない長期間にわたる地震の被害は読者の皆さんも心を痛められていることだろう。阪神大震災の時もそうだった。関東、東海地方には大地震の到来が予想されていたが、まさか神戸を中心に壊滅的な大地震が来ると予想できた市民は皆無に近かったし、熊本の人びともそうだろう。気象庁はついに今後の予想について「わかりません」と発言するに至っている。

しかし、不幸ではあるが、もし川内原発が熊本の地震の影響で過酷事故を起こしていたら、被災者の方々の生活はさらに語り尽せない悲劇に覆われていたのではないか。5年前の福島では、防護服を着た人間がマスクもつけない子供達の被曝線量を測っていたおぞましい姿が蘇る。

〈メディアの危機〉の前線で抗い続けるTBS「報道特集」キャスターの金平茂紀さん

◆【特集】分断される福島――権利のための闘争

今号も本誌は福島に足を運び、現地の人びとの声を頂いた。【特集】分断される福島──権利のための闘争では大熊町議会議員に当選された木幡ますみさん。政府のあやふやな説明、官僚の逃げ腰を許さずに最前線で怒りをぶつける姿が印象的な佐藤幸子さん。ご自身国政選挙に出馬することにより被災地の問題を全国に問いかけた木田節子さん。南相馬市の汚染地帯に住みながらも新しい運動の模索を続ける國分富夫さん。どなたからも悲惨な現実と格闘する穏やかながらのっぴきならない、現実に直面する人の凄みが伝わってくる。諦めと忘却を「時間」という武器を用いて待ち受ける政府や東電に対する揺るぎのない闘いの意思は健在だ。

〈学〉の世界で闘い続ける京大「熊取六人衆」の今中哲二さん

◆金平茂紀さん、今中哲二さん、中嶌哲演さん──必読の3大インタビュー

TBSテレビ報道特集でおなじみの金平茂紀さんはテレビ人の中では原発問題に詳しい屈指の人だろう。金平氏が語るテレビ報道の現状はいかなるものか。本誌だけへの告白が注目だ。

今中哲二(元京都大学原子炉実験所・助教)さんからは事故が起きてしまった今日の闘う戦術について原子力の専門家の立場から語って頂いた。

中嶌哲演さんは名刹、明通寺の住職でありながら福井県の反原発運動の先頭で闘い続ける哲学を仏教者の立場から伺った。

いずれも反原発の世界では欠くことの出来ない個性と知性が織りなす3大インタビューは誇張なく全国民必読だ。

◆爆弾対談! 『世に倦む日日』田中宏和さん×松岡利康本誌発行人

そして、『NO NUKES voice』は広範な多様性を認めあう運動や思想を指向する。その結果として現在避けて通れない問題が所謂「反原連」による一方的な断絶宣言から生じた問題である。

反原連の中心人物はその後「反差別」運動へとウイングを広げるが、ここでもやはり「排除の論理」を横行させ数々の問題を引き越こしている。昨年あたかも何か新しい学生の運動のように登場した「シールズ」は彼らがお膳立てした学生のタレント部隊に過ぎないこと、そして彼らの主張が実は「憲法9条2項」改憲であることは重大な問題であるにもかかわらず、これまでのところ主要メディアでは一切報じられていない。

その問題性を人気ブログ『世に倦む日日』を主宰する田中宏和さんと本誌発行人の松岡利康とが激論! 文字通り内容は「爆弾対談」となった。反原連―しばき隊―シールズに通底する暗部を余すところなく暴き出す。

「しばき隊は黒百人組!」と喝破した松岡利康本誌発行人

顔出しOKで爆弾対談に臨んでくれた「世に倦む日日」主宰の田中宏和さん

「爆弾対談」に加えて松岡論考「再び反原連への異議申し立て!―人の思いや好意には真摯に答えよ!異論を排除しない自由な運動への願い」。この題名はやや無いものねだりの感もぬぐえないが、果たして松岡氏の意図は如何に。

◆執念のおっかけ直撃取材は〈シニア右翼の女神〉櫻井よしこ氏!

そして、暫く鳴りを潜めていた「鹿砦社名物」直撃取材、今回は「あの」櫻井よしこ氏を自宅前で取材に成功!しかも櫻井氏は質問にも答え始めたため予想外の展開となった。逮捕一歩手前で敢行された取材班の成果にもご注目を!

執念で実現した〈シニア右翼の女神〉櫻井よしこ氏の自宅前直撃取材!

岩波新書『原発プロパガンダ』が話題の本間龍さんによる連載報告も衝撃的!

その他全国からの運動報告も満載だが、すべてを紹介することが出来ない。少なくとも前号『NO NUKES voice』7号発刊後からこの間、高浜原発再稼働時の事故による緊急停止、大津地裁における運転差し止めの仮処分決定。再度の言及になるが、熊本を中心とする例のない長期間に及ぶ大地震、そして5月17日には関東地方でも震度5弱の地震と、文字通り日本列島は激震常態が続いている。

地震の制御が出来ない以上、人災を最小限に食い止める=原発全機即廃炉しか日本列島住民に未来はないことを私たちは何度でも訴える。抗うことなしに花など咲きはしない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。
    
   
   

2016年3月12日、3・11甲状腺がん家族の会が設立された。設立時の正会員は5家族7人、これまでほとんどタブー視されてきた福島での被曝被害の核心を伝える貴重な設立会見を7回に分けて詳報する。今回は千葉親子(ちかこ)さんの会見談話。

◆被曝者になってしまったという切ない思い

代表世話人の千葉親子さん(元・会津坂下町議会議員)

東日本大震災と、それに伴う原発過酷事故が起きてから昨日で5年になりました。この間、国内外の多くの方々に励ましをいただいたことに感謝申し上げます。今、私たちは福島県の現状に向き合いながら、悩み、苦しみ、励ましあいながら、傷つきながらも頑張っています。

時間の経過とともに諸課題も多岐にわたり、個人の力ではどうにもならないことがたくさん聞こえてきます。甲状腺がん問題もその一つです。小さなお子さんからお年寄りまで二百万人の県民が、原発事故により放射能の降り注ぐ下で生活をしていた事実は、けして忘れてはならないことと思います。

事故後、甲状腺検査が始まりました。甲状腺がんの発見が相次ぎました。原発事故が起きるまでは、甲状腺がんという言葉などはあまり耳にしない病気でした。一巡目の先行調査から二巡目と検査が進む中、甲状腺がんと宣告されたご家族の方々の悩みや苦しみに私たちは出会いました。過酷な原発事故や放射能のことなど交錯する情報の中で、保養の手立ても無く過ごす中、子供のことを思い、親御さんたちは、「あの時、外出させなければよかった」「あの時、避難しておけばよかったのではないか」「無用な被曝をさせたのではないか」とご自分のことを責め続けておられます。3・11以降、甲状腺検査を受け、被曝者になってしまったという切ない思いを抱えながら誰にも相談できない状態に置かれているのです。

◆今、起きていることの事実に触れ、悲しい怒りがこみ上げた

福島県健康調査検討委員会では「放射能の影響とは考えにくい」と説明を繰り返すばかりです。専門家の間でさえも、原発に由来する・由来しないと意見が分かれました。そんな曖昧な中、がんと診断された方も、被曝をした多くの県民も不安を抱えた5年となりました。

私たちは昨年、ご家族の方々と集いました。その日の私は初めての出会いでとても緊張していました。きっと、ご家族の方たちも家族同士が出会えることの期待と、どんな集まりなのか、どんな人が来ているのか、と不安があったろうと思います。

懇談が始まってからは、話す家族も、聞く私たちも涙でした。今まで色々な所で聞いていた不条理な出来事が目の前で話すご家族の方に、今、起きていることの事実。そのことに触れ、私も悲しい怒りがこみ上げました。ご家族同士の意見交換では、医師への不信感や診療の制約、情報不足が話題になりました。「病気の症状がこれからどうなっていくのだろう」「毎日のとまどいを誰には話したらいいのだろう」「誰に相談したらいいのだろう」という生の声を聞き、ご家族の孤独感を知りました。

懇談が始まる前の緊張していた雰囲気も、お茶会のころには、皆で持ち寄ったお茶菓子を分け合って、とても和やかな雰囲気になり「来てよかった」「同じ思いで話すことができた」と明るいお顔になられたように感じました。

◆同じ悩みや痛みを抱えている方同士が話し合うことで癒される

子供たちは、原発事故の後、理不尽な形で甲状腺がんと診断され、心に傷がつき、手術で体にも傷を残すことになってしまいました。私たちは、日頃から情報交換や情報提供が出来て、気軽に話し合い、支え合えあうことのできる関係と気軽に相談できる場所が必要だと思いました。同じ悩みや痛みを抱えている方同士が話し合うことが、どれだけ癒されるのか、どんな力にも勝ることだと思いました。

一人で悩まないで下さい。多くの患者の家族の皆さんと手をつなぎ、語り合う場所を持ちましょう。情報を共有し、課題を共有しながらそこから希望を掴みましょう。患者家族の皆さまには、気軽にお声をかけていただきたいと思います。そして、周りには安心して集えるようどうか温かく見守って頂きたいと思います。わたしたちも、そのお手伝いをさせて頂きたいと思っております。このような会が身近な所で色々と広まり、家族の方が安心して話しのできるような場所ができることを望みながら私の挨拶とさせていただきます。


◎[動画]20160312甲状腺がん患者家族会設立記者会見(UPLAN三輪祐児さん公開)

▼白田夏彦[取材・構成]
学生時代に山谷、沖縄などの市民運動を訪問。その後、9・11同時多発テロ事件をきっかけにパレスチナ問題の取材を開始。第二次インティファーダ以降、当地で起こった非暴力直接行動を取材。以降、反戦や脱原発などの市民運動を中心に取材。現在、業界紙記者。

『NO NUKES voice』08号【特集】分断される福島──権利のための闘争


鹿砦社の総反撃がいよいよ開始される。熊本の大地震を目の当たりにしながら、川内原発の運転を停止しない、原発マフィアどもに、反原発運動の仮面を被りながら、その実、警察権力と手を携え、ひたすら「排除の論理」で唯我独尊に陥った「反原連」へ、そして、「反原連」を出自とする、リンチ事件が専ら噂のしばき隊、その子分で「9条改憲」を持論とする「シールズ」の諸君へ!

◆25日(水)、『NO NUKES voice』第8号発売開始!

第一段は今週25日(水)発売の『NO NUKES voice』第8号である。第一線で闘ってきたジャーナリスト、研究者、市民運動家にご登場頂き、各持ち場での持論を展開して頂く。三者三様の立場から我々が学ぶべきものに限りがないことを、改めて認識させられる。

また、福島に寄り添う気持ちを忘れないためにも、今号も現地福島に取材班が足を運んだ。過酷な現実と向き合いながらも、将来を切り開こうとする揺るぎない意思をご紹介する。決して楽観論のみでは語れない福島の現実を私たちは直視してゆこうと考える。

田中宏和『SEALDsの真実――SEALDsとしばき隊の分析と解剖』

◆27日(金)、「世に倦む日日」田中宏和さんの『SEALDsの真実』発売開始!

そして27日の金曜日(場所によってはそれよりも早く)には「世に倦む日日」主宰、田中宏和さんによる『SEALDsの真実』がいよいよ書店に並ぶ。アマゾンで告知した直後、一時は人気第一位を記録した注目の問題作だ。

奥田愛基がすぐにTwitterで鹿砦社に対して侮蔑的な書き込みをしたことからも明らかなように、本書の出版については「シールズ」に関わった人々がかなりナーバスになっているようだ。しかし、心配は不要である。本書は「シールズ」に対して正面からの問題提起を行うものであり、彼らの庇護者である「しばき隊」が常套手段として用いる、恫喝、罵声浴びせ、身分明かしなどといった卑怯な手法は、当然の事ながら一切用いられてはいない。あくまでも社会科学的に「シールズ現象」とその背景についての考察が加えられた、学術書に過ぎない。しかしながら、であるからこそ、実は彼らにとっては痛撃となる可能性は低くないだろう。ツイッターの140文字空間にだけ、生息場所を持っている窮屈な言論に慣れ切った御仁には少々難解であるかもしれないが、それこそ「勉強」の為に、是非とも「シールズ」のメンバーには一読をお勧めするし、反論があれば是非有益な議論を交わしたいものである。

しばらく、大人しくしている間に、随分と座視できない〈事件〉が立て続けに起こっているようだ。その中に〈犯罪〉まで含まれているというから事は穏やかではない。

◆雑誌と書籍の使命は闊達な言論を喚起することだ!

『NO NUKES voice』8号は(毎号そうではあるが)編集部が総力を挙げ、やや危険と思われる水域にも敢えて足を踏み込んでいる。そのくらいの危険を冒すことなしに闊達な言論を喚起することはできないであろうし、雑誌を提供する者の最低限の義務だと私たちは考える。原則はゆるぎない。原発全機即廃炉を目指し、読者諸氏からの叱咤を期待する。

『NO NUKES voice』は決して不偏中立ではない。科学と人道に立脚しながら、非人間的存在である「原発」とそれが包含する「差別構造」を常に視野に入れながら敵を撃つ。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

調印式と記者会見に臨むメインイベント出場の羅紗陀(右端)とヤスユキ(左端)─

ニュージャパンキックボクシング連盟が4月1日より一般社団法人に認可されました。前日公開計量も恒例となったNJKF興行。話題の中心は2年ぶりの復帰となる羅紗陀(キング)の復調ぶりと、昨年の最優秀試合となった健太(ESG)vs 大和侑也(大和)戦の再戦。WPMFで世界を獲った一戸総太(WSR池袋)とWMAFで世界を獲った駿太がWBCムエタイ世界をも制覇へ乗り出し、その第一歩、WBCムエタイ日本フェザー級チャンピオン. MOMOTARO(OGUNI)への挑戦権を争います。

NJKF 2016.2nd / 5月8日(日)後楽園ホール17:00~21:30
主催:NJKF / 認定:NJKF、WBCムエタイ日本実行委員会
前日公開計量、調印式:5月7日後楽園ホール5F 展示場14:00~15:00

◆61.0kg契約3回戦

羅紗陀(キング/60.85kg)vs ヤスユキ(Dropout/61.0kg)
勝者:羅紗陀 / 3-0 (主審 山根正美 / 竹村 30-29. 和田 30-29. 小林 30-29)

2年前に折ったスネでキックも問題なしの羅紗陀

2014年2月の中嶋平八(誠至会)戦で右スネを骨折した羅紗陀が復帰し、話題のヤスユキに激しい攻防の中、羅紗陀の我武者羅な攻めの、一発の破壊力を持つパンチも決め手に成らずも僅差の判定勝利。羅紗陀は右スネを蹴られる場面もあるも、ブロックも蹴って出ても問題ない動きで、駆け引きの緊迫感ある展開の中、終了。5回戦でやるべきカードだった。

◆WBCムエタイ日本ウェルター級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.大和侑也(大和/66.5kg)vs 健太(前チャンピオン/E.S.G/66.35kg)
勝者:健太 / 0-3 (主審 多賀谷敏郎 / 竹村 47-49. 和田 47-49. 小林 46-48)

日本人キラーだったゴンナパーからダウン奪ったハイキックも多様した健太

一発貰えば敗北の危機は昨年同様。大和侑也も諦めないラッシュ

健太が昨年のベストバウトとなった大和侑也戦で敗れた試合の雪辱戦に勝利して王座奪回し、第6代チャンピオンとなる。3Rに右フックでダウンを奪い、ポイントを守りきる。

一発貰えば敗北に繋がる緊張の攻防。一戸総太のパンチ

◆WBCムエタイ日本フェザー級挑戦者決定戦(58.0kg契約) 5回戦

WPMF世界フェザー級チャンピオン.一戸総太(WSR池袋/57.76kg)vs 駿太(谷山/58.0kg)
勝者:一戸総太 / 3-0 (主審 竹村光一 / 多賀谷 50-48. 和田 50-48. 山根 49-47)
一戸総太が的確差で優り勝利を掴み、MOMOTAROへの挑戦権を獲得。

◆66.0kg契約3回戦 

WBCムエタイ日本スーパーライト級チャンピオン.テヨン(キング/65.8kg)vs 喜入衆(フォルテス渋谷/65.85kg)
勝者:テヨン / TKO 1R 1:32 / 主審 小林利典

パワーあるハイキックで距離感を掴んでいくテヨン

テヨン(キング)がベテランの喜入衆(フォルテス渋谷)を左ストレート一発で倒す、カウント中のレフリーストップ。

◆NJKFスーパーバンタム級王座決定戦 5回戦 

次回興行のタイトルマッチで対戦するチャンピオン.MOMOTAROと挑戦権獲得した一戸総太

1位.金子貴幸(GANGA/55.26kg)vs 2位.雄一(TRASH/55.05kg) 
勝者:金子貴幸 / 3-0 (主審 和田良覚 / 多賀谷 50-46. 竹村 50-46. 小林 50-47)

金子貴幸(GANGA)が雄一(TRASH)に距離感を支配し、ダウン奪って判定勝利、NJKFスーパーバンタム級王座決定戦を制し、第5代チャンピオンとなる。

◆67.0kg契約3回戦

NJKFウェルター級チャンピオン.浅瀬石真司(東京町田金子/67.0kg)vs 栄基(MTOONG/66.78kg) 
勝者:栄基 / 0-3 (主審 山根正美 / 和田 28-30. 小林 28-30. 竹村 28-30)

若武者会主催のDUELでのラウンドガールとNJKF興行でマスコットガールを務めるタレントの菜緒さんと勝利のツーショット

元NKBウェルター級チャンピオンで現J-NETWORKウェルター級チャンピオンの栄基が過去倒している浅瀬石を返り討ち。

◆NJKFスーパーライト級挑戦者決定戦3回戦

1位.嶋田裕介(Bombo Freely/63.35kg)vs 2位.一輝(OGUNI/63.65→63.5kg)
勝者:嶋田裕介 / 引分け1-0.延長戦2-1
(主審 多賀谷敏郎 / 和田29-29.9-10/ 小林29-28.10-9/ 山根29-29.10-9)

いつも終盤になると怒涛のラッシュを懸ける一輝、嶋田の蹴りの攻勢に傾いたか、微妙な見極めの結果。

◆その他3試合

主要カードを飾る名選手が多くなった時代で、突出した実力や個性が無いと、更なるこの時代のエース格に選ばれ難いところ、羅紗陀はその風格を持ちつつ、怪我による戦線離脱が長く、勿体ない時間を過ごしました。元・日本ウェルター級チャンピオンだった父親(向山鉄也)に似た風貌やファイトスタイルも強いインパクトを与えています。自らも国内王座奪取し、タイトル歴は父親に追いついたものの、まだ名勝負は少ないところ、それは今後に期待です。

首都圏での興行は7月3日(日)NJKF若武者会主催のDUEL.7が新宿フェースで開催。7月23日(土)はディファ有明の昼の部でWBCムエタイジュニアリーグ第2回全国大会、夜のプロの部でNJKF 2016.5thが行われます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

前の記事を読む »